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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ドライブレコーダ
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20220426BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220426BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20220426BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/00 D
G08G1/00 J
G07C5/00 Z
G08G1/13
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019114884
(22)【出願日】2019-06-20
(65)【公開番号】P2021002163
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 章智
(72)【発明者】
【氏名】井下 大輔
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-107429(JP,A)
【文献】特開2016-66144(JP,A)
【文献】特開2017-130155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/01
G08G 1/00
G07C 5/00
G08G 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたカメラと、該カメラにより撮影された車両周辺の画像を記録する記録手段と、を備えたドライブレコーダであって、
前記画像に所定の対象が撮影されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、当該所定の対象が撮影された前記画像に、撮影位置を示す位置情報を付与して送信する送信手段と、をさらに備え、
前記判定手段は、複数種類の前記所定の対象を識別して前記判定を行い、
前記送信手段は、前記画像に、撮影された前記所定の対象の種類を示す種類情報を付与して送信する、
ドライブレコーダ。
【請求項2】
請求項に記載のドライブレコーダであって、
前記送信手段は、撮影された前記所定の対象の種類に応じて静止画及び動画の何れか一方を送信する、
ドライブレコーダ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドライブレコーダであって、
前記判定手段は、定期的に所定時間だけ前記カメラにより撮影された動画に前記所定の対象が撮影されているか否かを判定し、
前記判定手段により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、前記所定時間分の前記動画から前記所定の対象が撮影されている部分のみを切り出す切り出し手段をさらに備え、
前記送信手段が、前記切り出し手段により切り出された前記動画を送信する、
ドライブレコーダ。
【請求項4】
請求項1~何れか1項に記載のドライブレコーダであって、
前記所定の対象は、路面のひび割れ又は穴と、路面の凍結と、路上駐車車両と、危険車両と、の少なくとも1以上を含む、
ドライブレコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラにより撮影された車両周辺画像を記録するドライブレコーダ、に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたカメラにより撮影された画像から路面のひび割れ(所定の対象)などを検出する技術が提案されている(特許文献1)。特許文献1では、道路管理者が所有する専用車にカメラを搭載し、その専用車が走行中に撮影した全ての画像を情報処理装置に取り込んで、ひび割れを検出することが前提となっている。
【0003】
ところで、近年、上述したドライブレコーダが、一般車両にも広く搭載されるようになっている。そこで、一般車両に搭載されたドライブレコーダにより撮影した画像を無線によりサーバ装置に収集して、サーバ装置がひび割れなどの対象を検出することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6294529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、無数にある一般車両が走行中に撮影した全ての画像をサーバ装置に送信すると、送信するデータ量が多くなる、という問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、送信する画像のデータ量を抑制することができるドライブレコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係るドライブレコーダは、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
車両に搭載されたカメラと、該カメラにより撮影された車両周辺の画像を記録する記録手段と、を備えたドライブレコーダであって、
前記画像に所定の対象が撮影されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、当該所定の対象が撮影された前記画像に、撮影位置を示す位置情報を付与して送信する送信手段と、をさらに備えた、
ドライブレコーダであること。
[2]
[1]に記載のドライブレコーダであって、
前記判定手段は、複数種類の前記所定の対象を識別して前記判定を行い、
前記送信手段は、前記画像に、撮影された前記所定の対象の種類を示す種類情報を付与して送信する、
ドライブレコーダであること。
[3]
[2]に記載のドライブレコーダであって、
前記送信手段は、撮影された前記所定の対象の種類に応じて静止画及び動画の何れか一方を送信する、
ドライブレコーダであること。
[4]
[1]~[3]何れか1に記載のドライブレコーダであって、
前記判定手段は、定期的に所定時間だけ前記カメラにより撮影された動画に前記所定の対象が撮影されているか否かを判定し、
前記判定手段により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、前記所定時間分の前記動画から前記所定の対象が撮影されている部分のみを切り出す切り出し手段をさらに備え、
前記送信手段が、前記切り出し手段により切り出された前記動画を送信する、
ドライブレコーダであること。
[5]
[1]~[4]何れか1に記載のドライブレコーダであって、
前記所定の対象は、路面のひび割れ又は穴と、路面の凍結と、路上駐車車両と、危険車両と、の少なくとも1以上を含む、
ドライブレコーダであること。
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係るドライブレコーダは、下記[1]~[5]を特徴としている。
[1]
車両に搭載されたカメラと、該カメラにより撮影された車両周辺の画像を記録する記録手段と、を備えたドライブレコーダであって、
前記画像に所定の対象が撮影されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、当該所定の対象が撮影された前記画像に、撮影位置を示す位置情報を付与して送信する送信手段と、をさらに備え、
前記判定手段は、複数種類の前記所定の対象を識別して前記判定を行い、
前記送信手段は、前記画像に、撮影された前記所定の対象の種類を示す種類情報を付与して送信する、
ドライブレコーダであること。
[2]
]に記載のドライブレコーダであって、
前記送信手段は、撮影された前記所定の対象の種類に応じて静止画及び動画の何れか一方を送信する、
ドライブレコーダであること。
[3]
又は]に記載のドライブレコーダであって、
前記判定手段は、定期的に所定時間だけ前記カメラにより撮影された動画に前記所定の対象が撮影されているか否かを判定し、
前記判定手段により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、前記所定時間分の前記動画から前記所定の対象が撮影されている部分のみを切り出す切り出し手段をさらに備え、
前記送信手段が、前記切り出し手段により切り出された前記動画を送信する、
ドライブレコーダであること。
[4]
[1]~[]何れか1項に記載のドライブレコーダであって、
前記所定の対象は、路面のひび割れ又は穴と、路面の凍結と、路上駐車車両と、危険車両と、の少なくとも1以上を含む、
ドライブレコーダであること。
【0009】
上記[]の構成のドライブレコーダによれば、画像に撮影された所定の対象の種類情報が付与されている。これにより、画像を受信する受信側で、どの種類の対象の画像か容易に識別することができ、受信側の処理を低減できる。
【0010】
上記[]の構成のドライブレコーダによれば、対象の種類に応じて動画及び静止画の何れか一方が送信される。これにより、対象の種類に応じた適切な画像を送信することができる。
【0011】
上記[]の構成のドライブレコーダによれば、所定時間分の動画のうち所定の対象が撮影された部分のみが切り出されて送信される。これにより、より一層、送信する画像のデータ量を抑制することができる。
【0012】
上記[]の構成のドライブレコーダによれば、路面のひび割れ又は穴と、路面の凍結と、路上駐車車両と、危険車両と、の少なくとも1以上を撮影した画像を送信することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、送信する画像のデータ量を抑制することができるドライブレコーダを提供することができる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態における本発明のドライブレコーダを組み込んだ情報提供システムを示す構成図である。
図2図2は、図1に示すドライブレコーダの電気構成図である。
図3図3は、図1に示すサーバ装置の電気構成図である。
図4図4は、図1に示すドライブレコーダを構成する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、図1に示すサーバ装置を構成する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態における本発明のドライブレコーダを組み込んだ情報提供システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における本発明のドライブレコーダ2を組み込んだ情報提供システム1を示す構成図である。本実施形態の情報提供システム1は、車両7に搭載されたドライブレコーダ2から画像を収集し、収集した画像を解析・加工した結果をユーザに提供するシステムである。
【0018】
より具体的に説明すると、本実施形態の情報提供システム1を構成するサーバ装置5は、ドライブレコーダ2から路面のひび割れ又は穴、路面の凍結、路上駐車車両、あおり運転などを行っている危険車両(以下、これらを「所定の対象」と言うこともある)が撮影された画像を収集する。そして、サーバ装置5は、路面のひび割れ又は穴、路面の凍結が撮影された画像を解析・加工し、その結果を国や地方公共団体などの道路を管理する道路管理者(ユーザ)に提供する。また、サーバ装置5は、路上駐車車両、危険車両を撮影した画像を解析・加工し、その結果を、警察(ユーザ)に提供する。
【0019】
図1に示すように、情報提供システム1は、車両7に搭載されたドライブレコーダ2と、ドライブレコーダ2から画像を収集し、収集した画像を解析・加工するサーバ装置5と、サーバ装置5による画像の解析・加工結果が提供されるユーザ端末6と、を備えている。上記ドライブレコーダ2及びサーバ装置5間、サーバ装置5及びユーザ端末6間は、インターネット通信網8を介して互いに通信可能に構成されている。
【0020】
ドライブレコーダ2は、車両7に搭載されている。ドライブレコーダ2は、搭載された車両7の所有者が所有するものであってもよいし、この情報提供システム1を運営する情報提供会社が所有するものをリースしたものであってもよい。ドライブレコーダ2は、車両7に搭載されたカメラ3が撮影した車両周辺の画像を記録するとともに、画像に所定の対象が撮影されているか否かを判定して、所定の対象が撮影されている画像をサーバ装置5に送信する。
【0021】
ドライブレコーダ2は、図1に示すように、カメラ3と、レコーダ本体4と、を備えている。カメラ3は、車両7に搭載され、車両周辺を撮影する。カメラ3は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。レコーダ本体4は、図2に示すように、カメラ3に接続され、記録手段としての記録部41と、通信部42と、GPS受信部43と、操作部44と、制御部45と、を有している。
【0022】
記録部41は、カメラ3が撮影した画像を保存する。記録部41の代表例としては、不揮発性の半導体メモリを内蔵したメモリカードなどが想定される。通信部42は、インターネット通信網8に無線接続するための回路やアンテナ等から構成されている。GPS受信部43は、周知のように複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信して、現在位置を求めて後述する制御部45に出力する。
【0023】
操作部44は、例えば操作ボタンなどから構成され、運転者があおり運転などの危険車両を見つけたときに操作される。制御部45は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリを備えたCPU(Central Processing Unit)で構成され、ドライブレコーダ2全体の制御を司る。制御部45は、判別手段として機能し、カメラ3が撮影した画像に、所定の対象である路面のひび割れ又は穴、路面の凍結、路上駐車車両、危険車両が撮影されているか否かを判定する。また、制御部45は、送信手段として機能し、上述した複数種類の所定の対象の何れか1つでも撮影されていると判定されると、通信部42を制御して、所定の対象が撮影された画像に、撮影位置を示す位置情報及び所定の対象の種類を示す判別子(種類情報)を付与してサーバ装置5に送信する。
【0024】
サーバ装置5は、この情報提供システム1を運営する情報提供会社が所有する。サーバ装置5は、図3に示すように、通信部51と、データベース(以下、DB)52と、制御部53と、を有している。通信部51は、インターネット通信網8に接続するための回路などで構成されている。DB52は、ドライブレコーダ2から送信された画像とこの画像を解析、加工した結果などが記憶される。制御部53は、例えばRAMやROMなどのメモリを備えたCPUで構成され、サーバ装置5全体の制御を司る。制御部53は、ドライブレコーダ2から送信された画像の解析・加工などを行う。
【0025】
ユーザ端末6は、図1に示すように、ユーザが所有する端末である。ユーザ端末6は、RAMやROMなどのメモリを備えたCPUや、表示部、操作部(図示せず)を備えたスマートフォンなどのタブレット端末61や、パーソナルコンピュータ(PC)62から構成されている。ユーザ端末6は、インターネット通信網8を介してサーバ装置5のDB52にアクセスすることができる。
【0026】
次に、上述した構成の情報提供システム1の動作について説明する。まず、ドライブレコーダ2の動作について図4を参照して以下説明する。まず、ドライブレコーダ2の制御部45(以下、単に「ドライブレコーダ2」と略記することもある)は、イグニッションのオンに応じて図4に示す処理を定期的に実行する。
【0027】
まず、ドライブレコーダ2は、カメラ3を用いて所定時間だけ、車両周辺の動画を撮影する(ステップS1)。次に、ドライブレコーダ2は、ステップS1により撮影した動画から静止画(スナップショット)を取得する(ステップS2)。
【0028】
ドライブレコーダ2は、取得した静止画から路面のひび割れ又は穴、路面の凍結、路上駐車車両が撮影されているか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3において、ドライブレコーダ2は、周知の画像認識技術を用いて、路面のひび割れ又は穴、路面の凍結、路上駐車車両が撮影されているか否かを判定する。上記周知の画像認識技術の一例としては、所定の対象が撮影された既知の画像を教師データとして画像における対象の有無を識別するように機械学習されたニューラルネットワークのような識別器を用いることが考えられる。
【0029】
このような画像認識技術として、例えば特許第6294529号公報に記載された技術が一例として挙げられる。特許第6294529号公報は、既知のひび割れ画像を教師データとして静止画におけるひび割れの有無を識別するように機械学習している識別器を用いている。同様に、既知の路面の凍結画像、既知の車両画像を教師データとして静止画における路面の凍結、車両の有無を識別する識別器を用いてもよい。また、路上駐車車両については、画像処理を行い画像から白線検出などを行って画像中の走行レーン領域を特定し、その走行レーン領域から外れた領域に車両が撮影されていた場合、路上駐車車両であると識別することが一例として挙げられる。
【0030】
ドライブレコーダ2は、路面のひび割れ又は穴、路面の凍結、路上駐車車両が撮影されていないと判定すると(ステップS3でN)、ステップS2で取得した静止画を削除して(ステップS4)、次のステップS6に進む。一方、ドライブレコーダ2は、路面のひび割れ又は穴、路面の凍結、路上駐車車両の何れか1つでも撮影されていると判定すると(ステップS3でY)、ステップS5に進む。ステップS5において、ドライブレコーダ2は、ステップS2で取得した静止画に、撮影位置を示す位置情報、対象の種類を示す判定子、タイムスタンプを付与してサーバ装置5に送信した後、ステップS6に進む。
【0031】
上記位置情報及びタイムスタンプは、ステップS1での動画撮影時にGPS受信部43から取得した情報である。また、ステップS3では対象として、ひび割れ又は穴、路面の凍結、路上駐車車両の3つなので、ステップS5で付与される静止画に付与される判定子は3種類である。
【0032】
ステップS6において、ドライブレコーダ2は、ステップS1で撮影した動画に危険車両が撮影されているか否かを判定する。危険車両とは、例えば、あおり運転や、逆走を行っている車両である。ステップS6において、ドライブレコーダ2は、周知の画像認識技術を用いて、危険車両を検出する。上記周知の画像処理技術としては、上述したようにニューラルネットワークのような識別器を用いて動画中に撮影された車両を認識し、その動きから危険車両か否かを判定する。ドライブレコーダ2は、動画中に撮影された車両が急発進、急ブレーキなどを繰り返している場合など、あおり運転を行っている危険車両と判定する。また、特開2019-12496号公報や、特開2009-294812号公報に記載された技術を用いて逆走車両を判定することも考えられる。
【0033】
ドライブレコーダ2は、危険車両が撮影されていないと判定すると(ステップS6でN)、直ちにステップS9に進む。一方、ドライブレコーダ2の制御部45は、危険車両が撮影されていると判定すると(ステップS6でY)、切り出し手段として機能し、ステップS1で撮影された所定時間の動画から危険車両が撮影されている部分のみを切り出す(ステップS7)。次に、ドライブレコーダ2は、切り出した動画に撮影位置を示す位置情報、危険車両であることを示す判定子、タイムスタンプを付与してサーバ装置5に送信した後(ステップS8)、ステップS9に進む。
【0034】
ステップS9において、ドライブレコーダ2は、運転者自身が危険車両を見つけて、操作部44を操作したか否かを判定する。操作されていなければ(ステップS9でN)、ドライブレコーダ2は直ちに処理を終了する。一方、操作されていれば(ステップS9でY)、ドライブレコーダ2は、ステップS8ですでに画像が送信されているか否かを判定する(ステップS10)。送信済みであれば(ステップS10でY)、ドライブレコーダ2は直ちに処理を終了する。
【0035】
送信済みでなければ(ステップS10でN)、ドライブレコーダ2は、運転者が動画、静止画のいずれを送信して欲しいのか判定する(ステップS11)。ドライブレコーダ2は、例えば、操作部44が単押し操作されていれば静止画を送信して欲しいと判定し(ステップS11でY)、ステップS2で取得した静止画をサーバ装置5に送信した後(ステップS12)、処理を終了する。一方、ドライブレコーダ2は、操作部44が長押し操作されていれば動画を送信して欲しいと判定し(ステップS11でN)、ステップS1で撮影した動画を送信した後(ステップS13)、処理を終了する。
【0036】
次に、サーバ装置5の動作について図5を参照して以下説明する。まず、サーバ装置5の制御部53(以下、単に「サーバ装置5」と略記することもある)は、各車両7に搭載されたドライブレコーダ2から画像(静止画、動画)が送信される毎に図5に示す処理を実行する。
【0037】
サーバ装置5は、画像に付与されている判別子からどの対象が撮影された画像であるか否かを判定する(ステップS20~S22)。サーバ装置5は、判別子から路面のひび割れ又は穴が撮影された静止画であると判定すると(ステップS20でY)、その静止画に本当にひび割れ又は穴が撮影されているかチェックする(ステップS23)。ステップS23においては、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2が図4のステップS3で実行した識別器と同じものを用いてもよいし、より精度の高い識別器を用いて、路面のひび割れ又は穴が撮影されているか否かを判定する。
【0038】
サーバ装置5は、ひび割れ又は穴が撮影されていなければ(ステップS23でN)、画像を消去して(ステップS24)、処理を終了する。ひび割れ又は穴が撮影されていれば(ステップS23でY)、サーバ装置5は、ひび割れ又は穴のレベルを抽出した後(ステップS25)、次のステップS26に進む。ステップS25においては、サーバ装置5は、周知の画像認識技術を用いて、ひび割れ又は穴のレベルを抽出する。上記周知の画像認識技術の一例としては、各レベルのひび割れ又は穴が撮影された既知の画像を教師データとして画像におけるひび割れ又は穴のレベルを識別するように機械学習された識別器を用いることが考えられる。
【0039】
一方、サーバ装置5は、判別子から路面凍結が撮影された静止画であると判定すると(ステップS21でY)、その静止画に本当に路面凍結が撮影されているかチェックする(ステップS27)。ステップS27においては、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2が図4のステップS3で実行した識別器と同じものを用いてもよいし、より精度の高い識別器を用いて、路面の凍結が撮影されているか否かを判定する。
【0040】
サーバ装置5は、路面の凍結が撮影されていなければ(ステップS27でN)、ステップS24に進む。ひび割れ又は穴が撮影されていれば(ステップS27でY)、サーバ装置5は、凍結レベルを抽出した後(ステップS28)、次のステップS26に進む。ステップS28においては、サーバ装置5は、周知の画像認識技術を用いて、凍結のレベルを抽出する。上記周知の画像認識技術の一例としては、各レベルの凍結が撮影された既知の画像を教師データとして画像における凍結のレベルを識別するように機械学習された識別器を用いることが考えられる。
【0041】
一方、サーバ装置5は、判別子から路上駐車車両が撮影された静止画であると判定すると(ステップS22でY)、その静止画に本当に路上駐車車両が撮影されているかチェックする(ステップS29)。ステップS29においては、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2が図4のステップS3で実行した識別器と同じものを用いてもよいし、より精度の高い識別器を用いて、路上駐車車両が撮影されているか否かを判定する。
【0042】
サーバ装置5は、路上駐車車両が撮影されていなければ(ステップS29でN)、ステップS24に進む。路上駐車車両が撮影されていれば(ステップS29でY)、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2から送信された静止画から路上駐車車両のナンバープレートを抽出する(ステップS30)。その後、サーバ装置5は、その路上駐車車両の駐車時間を推定した後(ステップS31)、ステップS26に進む。ステップS31において、サーバ装置5は、別のドライブレコーダ2により同一の撮影場所で撮影された同一ナンバープレートの路上駐車車両の画像に付与されたタイムスタンプから駐車時間を推定する。
【0043】
一方、サーバ装置5は、判別子から危険車両が撮影された動画であると判定すると(ステップS22でN)、その動画に本当に危険車両が撮影されているかチェックする(ステップS32)。ステップS32においては、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2が図4のステップS6で実行した処理と同様の処理を行う。
【0044】
サーバ装置5は、危険車両が撮影されていなければ(ステップS32でN)、ステップS24に進む。危険車両が撮影されていれば(ステップS32でY)、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2から送信された動画から危険車両のナンバープレートを抽出する(ステップS33)。その後、サーバ装置5は、その危険車両の危険運転回数を推定した後(ステップS34)、ステップS26に進む。ステップS34において、サーバ装置5は、DB52に格納されている動画から、別の撮影場所又は別の時間帯に撮影された同一ナンバープレートの危険車両の撮影回数を求め、求めた撮影回数から危険運転回数を推定する。
【0045】
ステップS26において、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2から送信された動画、静止画の画像加工を行う。具体的には、動画や静止画に人の顔が撮影されていた場合、人が特定されないように顔にぼかしなどのマスク加工を行う。その後、サーバ装置5は、ドライブレコーダ2から送信された画像(静止画、動画)と、それに付与された撮影場所と、タイムスタンプと、をマッピング(対応付け)する(ステップS35)。
【0046】
また、ステップS35においては、ドライブレコーダ2は、ひび割れ又は穴が撮影された静止画には、ステップS25で抽出したひび割れレベルもマッピングする。また、凍結が撮影された静止画には、ステップS28で抽出した凍結レベルもマッピングする。また、路上駐車車両が撮影された静止画には、ステップS30で抽出したナンバープレート、ステップS31で推定した駐車時間もマッピングする。さらに、危険車両が撮影された動画には、ステップS33で抽出したナンバープレート、ステップS34で推定した危険運転回数もマッピングする。その後、サーバ装置5は、マッピングした画像をDB52に登録して(ステップS36)、処理を終了する。
【0047】
道路管理者が所有するユーザ端末6は、上記路上のひび割れ又は穴、凍結が撮影された画像が登録されたDB52にアクセスすることができる。また、警察が所有するユーザ端末6は、上記路上駐車、危険車両が撮影された画像が登録されたDB52にアクセスすることができる。
【0048】
上述した実施形態によれば、ドライブレコーダ2は、車両7に搭載されたカメラ3が撮影した画像に所定の対象が撮影されているか否かを判定し、所定の対象が撮影されていると判定されると、所定の対象が撮影された画像に、撮影位置を示す位置情報を付与してサーバ装置5に送信する。これにより、車両7の走行中に撮影した画像のうち、所定の対象が撮影された画像のみが送信されるため、ドライブレコーダ2からサーバ装置5に送信する画像のデータ量を抑制することができる。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、ドライブレコーダ2は、画像に撮影された所定の対象の種類情報である判別子が付与されている。これにより、画像が送信されるサーバ装置5側で、どの種類の対象の画像か容易に識別することができ、サーバ装置5の処理を低減できる。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、ドライブレコーダ2は、対象の種類に応じて動画及び静止画の何れか一方が送信される。具体的には、ドライブレコーダ2は、対象がひび割れ又は穴、凍結、路上駐車車両であればその静止画を送信し、危険車両であればその動画を送信する。これにより、対象の種類に応じた適切な画像を送信することができる。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、ドライブレコーダ2は、所定時間分の動画のうち危険車両が撮影された部分のみが切り出されて送信される。これにより、より一層、ドライブレコーダ2からサーバ装置5に送信する画像のデータ量を抑制することができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図6を参照して説明する。図6は、第2実施形態における本発明のドライブレコーダ2を組み込んだ情報提供システム1を示す構成図である。
【0053】
同図において、第1実施形態で異なる点は、ユーザが所有するサーバ装置91、92を備える点である。サーバ装置91、92は、ユーザがそれぞれ所有する装置である。情報提供会社が所有するサーバ装置5は、インターネット通信網8を介してDB52に記録された画像をサーバ装置91、92に送信する。サーバ装置5は、ドライブレコーダ2から送信された画像をそのままサーバ装置91、92に送信するようにしてもよいし、図5に示すように、ドライブレコーダ2から送信された画像を解析・加工したものをサーバ装置91、92に送信するようにしてもよい。
【0054】
第1実施形態では、ユーザ端末6は、情報提供会社が所有するサーバ装置5にアクセスしていたが、第2実施形態では、ユーザ端末6は、ユーザが所有するサーバ装置91、92にそれぞれアクセスしてDBに登録された画像を得ることができる。
【0055】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0056】
上述した実施形態によれば、対象としては、路面のひび割れ又は穴と、路面の凍結と、路上駐車車両と、危険車両と、であったが、これに限ったものではない。対象としては、上記以外であってもよいし、路面のひび割れ又は穴と、路面の凍結と、路上駐車車両と、危険車両と、のうち1以上であってもよい。
【0057】
また、上述した実施形態によれば、ドライブレコーダ2は、対象の種類に応じて静止画、動画の何れかを送信していたが、これに限ったものではない。対象の種類に関係なく一律に静止画を送信してもよいし、動画を送信するようにしてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態によれば、ドライブレコーダ2は、定期的に所定時間だけ動画を撮影し、その撮影した動画に危険車両が撮影されているとき、危険車両が撮影されている部分のみ切り出してサーバ装置5に送信していたが、これに限ったものではない。ドライブレコーダ2は、切り出しを行わず、所定時間分の動画を送信するようにしてもよい。
【0059】
ここで、上述した本発明に係るドライブレコーダの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
車両(7)に搭載されたカメラ(3)と、該カメラ(3)により撮影された車両周辺の画像を記録する記録手段(41)と、を備えたドライブレコーダ(2)であって、
前記画像に所定の対象が撮影されているか否かを判定する判定手段(45)と、
前記判定手段(45)により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、当該所定の対象が撮影された前記画像に、撮影位置を示す位置情報を付与して送信する送信手段(45)と、をさらに備えた、
ドライブレコーダ(2)。
[2]
[1]に記載のドライブレコーダ(2)であって、
前記判定手段(45)は、複数種類の前記所定の対象を識別して前記判定を行い、
前記送信手段(45)は、前記画像に、撮影された前記所定の対象の種類を示す種類情報を付与して送信する、
ドライブレコーダ(2)。
[3]
[2]に記載のドライブレコーダ(2)であって、
前記送信手段(45)は、撮影された前記所定の対象の種類に応じて静止画及び動画の何れか一方を送信する、
ドライブレコーダ(2)。
[4]
[1]~[3]何れか1に記載のドライブレコーダ(2)であって、
前記判定手段(45)は、定期的に所定時間だけ前記カメラにより撮影された動画に前記所定の対象が撮影されているか否かを判定し、
前記判定手段(45)により前記所定の対象が撮影されていると判定されると、前記所定時間分の前記動画から前記所定の対象が撮影されている部分のみを切り出す切り出し手段(45)をさらに備え、
前記送信手段(45)が、前記切り出し手段(45)により切り出された前記動画を送信する、
ドライブレコーダ(2)。
[5]
[1]~[4]何れか1に記載のドライブレコーダ(2)であって、
前記所定の対象は、路面のひび割れ又は穴と、路面の凍結と、路上駐車車両と、危険車両と、の少なくとも1以上を含む、
ドライブレコーダ(2)。
【符号の説明】
【0060】
2 ドライブレコーダ
3 カメラ
7 車両
41 記録部(記録手段)
45 制御部(判定手段、送信手段、切り出し手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6