(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】高調波のビームフォーミング
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/26 20060101AFI20220426BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20220426BHJP
H01Q 23/00 20060101ALI20220426BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
H01Q3/26 Z
H01Q21/06
H01Q23/00
H04B7/08 802
(21)【出願番号】P 2019536512
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(86)【国際出願番号】 US2018012637
(87)【国際公開番号】W WO2018129355
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2021-01-04
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ブリュネル、 ドミニク ミシェル イブ
(72)【発明者】
【氏名】ドミノ、 ウィリアム ジェイ.
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-509345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0278463(US,A1)
【文献】特開2013-187740(JP,A)
【文献】特開2001-345624(JP,A)
【文献】特表2014-524712(JP,A)
【文献】特開2004-113608(JP,A)
【文献】特開2001-053661(JP,A)
【文献】特開2015-132474(JP,A)
【文献】特開2015-103903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0182657(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101026267(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/26
H01Q 21/06
H01Q 23/00
H04B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラーネットワークにおいて使用される無線周波数システムであって、
無線波に応答して複数の受信信号を生成するべく構成された複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイであって、前記複数のアンテナ素子は前記複数の受信信号の対応する一つを生成するべく構成されるアンテナアレイと、
それぞれが複数のアンテナ素子の対応する一つに動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路であって、前記複数の受信信号を処理することにより
一つの受信ビームを形成するべく構成された複数の信号コンディショニング回路と、
前記受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの一つの方向に基づいて
前記受信ビームのビーム操舵を与えるように前記複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路と
を含む、無線周波数システム。
【請求項2】
前記ビーム制御回路はさらに、
前記受信ビームの基本ローブの指向性を前記一つ以上の高調波ローブの
指向性よりも低くするように構成される、請求項1の無線周波数システム。
【請求項3】
前記一つ以上の高調波ローブは、前記基本ローブと実質的に同じ方向を指し示して前記基本ローブよりも狭いビーム幅を有する高調波ローブを含む、請求項2の無線周波数システム。
【請求項4】
前記ビーム制御回路はさらに、前記基本ローブのビーム幅の内側であるが前記一つ以上の高調波ローブのビーム幅の外側で
ある範囲内で前記受信ビームを操舵するべく構成される、請求項3の無線周波数システム。
【請求項5】
前記ビーム制御回路は、前記受信ビームの角度を定期的に調整するべく動作可能である、請求項1の無線周波数システム。
【請求項6】
前記複数の信号コンディショニング回路の少なくとも一つは、高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器を含み、
前記ビーム制御回路はさらに、前記高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される、請求項1の無線周波数システム。
【請求項7】
前記受信ビームの高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器をさらに含み、
前記ビーム制御回路はさらに、前記高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される、請求項1の無線周波数システム。
【請求項8】
前記複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、前記ビーム制御回路により制御される可変位相シフタを含む、請求項1の無線周波数システム。
【請求項9】
前記複数のアンテナ素子は、複数のパッチアンテナ素子、複数のダイポールアンテナ素子、複数のセラミック共振器、複数のスタンプ金属アンテナ、又は複数のレーザ直接構造化アンテナの少なくとも一つを含む、請求項1の無線周波数システム。
【請求項10】
セルラーネットワークにおいて使用されるユーザ機器に実装されるモジュールであって、
積層材基板と、
前記積層材基板に形成されたアンテナアレイと、
前記積層材基板に取り付けられた半導体ダイと
を含み、
前記アンテナアレイは、無線波に応答して複数の受信信号を生成するべく構成された複数のアンテナ素子であって、それぞれが前記複数の受信信号の対応する一つを生成するべく構成された複数のアンテナ素子を含み、
前記半導体ダイは、それぞれが前記複数のアンテナ素子の対応する一つに動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路を含み、
前記複数の信号コンディショニング回路は、前記複数の受信信号を処理することにより
一つの受信ビームを形成するべく構成され、
前記半導体ダイはさらに、前記受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの一つの方向に基づいて受信ビームのビーム操舵を与えるように前記複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路を含む、モジュール。
【請求項11】
前記ビーム制御回路はさらに、
前記受信ビームの基本ローブの指向性を前記一つ以上の高調波ローブの
指向性よりも低くするように構成される、請求項10のモジュール。
【請求項12】
前記一つ以上の高調波ローブは、前記基本ローブと実質的に同じ方向を指し示して前記基本ローブよりも狭いビーム幅を有する高調波ローブを含む、請求項11のモジュール。
【請求項13】
前記ビーム制御回路はさらに、前記基本ローブのビーム幅の内側であるが前記一つ以上の高調波ローブのビーム幅の外側で
ある範囲内で前記受信ビームを操舵するべく構成される、請求項12のモジュール。
【請求項14】
前記ビーム制御回路は、前記受信ビームの角度を定期的に調整するべく動作可能である、請求項10のモジュール。
【請求項15】
前記複数の信号コンディショニング回路の少なくとも一つは、高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器を含み、
前記ビーム制御回路はさらに、前記高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される、請求項10のモジュール。
【請求項16】
前記受信ビームの高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器をさらに含み、
前記ビーム制御回路はさらに、前記高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される、請求項10のモジュール。
【請求項17】
前記複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、前記ビーム制御回路により制御される可変位相シフタを含む、請求項10のモジュール。
【請求項18】
無線周波数システムにおけるビーム制御の方法であって、
アンテナアレイの複数のアンテナ素子において複数の受信信号を受信することであって、前記複数の受信信号はそれぞれが、前記複数のアンテナ素子の対応する一つにより受信されることと、
それぞれが前記複数のアンテナ素子の対応する一つに動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路を使用して前記複数の受信信号をコンディショニングすることと、
前記複数の信号コンディショニング回路を使用して前記複数の受信信号を処理することにより
一つの受信ビームを生成することと、
前記受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの一つの方向に基づいて
一つの選択された方向に前記受信ビームを操舵することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記受信ビームの基本ローブの指向性を前記一つ以上の高調波ローブの
指向性よりも低くすることをさらに含む、請求項18の方法。
【請求項20】
前記基本ローブのビーム幅の内側であるが前記一つ以上の高調波ローブのそれぞれのビーム幅の外側で
ある範囲内で前記受信ビームを操舵することをさらに含む、請求項19の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は電子システムに関し、詳しくは無線周波数(RF)電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
無線周波数(RF)通信システムは、送受信器、フロントエンド、及び信号を無線送信及び/又は受信する一つ以上のアンテナを含み得る。フロントエンドは、アンテナを介して受信した相対的に弱い信号を増幅する低雑音増幅器と、アンテナを介して送信するべく信号をブーストする電力増幅器とを含み得る。
【0003】
RF通信システムの例は、携帯電話機、タブレット、基地局、ネットワークアクセスポイント、顧客宅内機器(CPE)、ラップトップ及びウェアラブル電子機器を含むがこれらに限られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2016/0036125(A1)号明細書
【発明の概要】
【0005】
所定の実施形態において、本開示は、セルラーネットワークにおいて使用される無線周波数システムに関する。無線周波数システムは、無線波に応答して複数の受信信号を生成するべく構成された複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイであって、当該複数のアンテナ素子はそれぞれが当該複数の受信信号の対応する一つを生成するべく構成されるアンテナアレイと、それぞれが当該複数のアンテナ素子の対応する一つに動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路であって、当該複数の受信信号を処理することにより受信ビームを形成するべく構成された複数の信号コンディショニング回路と、当該受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの一つの方向に基づいて当該受信ビームのビーム操舵を与えるように当該複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路とを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路はさらに、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームの基本ローブをデチューニングするべく構成される。一定数の実施形態によれば、一つ以上の高調波ローブは、基本ローブと実質的に同じ方向を指し示して基本ローブよりも狭いビーム幅を有する高調波ローブを含む。様々な実施形態によれば、ビーム制御回路はさらに、基本ローブのビーム幅の内側であるが一つ以上の高調波ローブのビーム幅の外側で受信ビームを操舵するべく構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路は、受信ビームの角度を定期的に調整するべく動作可能である。
【0008】
様々な実施形態において、複数の信号コンディショニング回路の少なくとも一つは、高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器を含み、ビーム制御回路はさらに、当該高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される。
【0009】
一定数の実施形態において、無線周波数システムはさらに、受信ビームの高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器を含み、ビーム制御回路はさらに、当該高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、ビーム制御回路により制御される可変位相シフタを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、複数のアンテナ素子は、複数のパッチアンテナ素子、複数のダイポールアンテナ素子、複数のセラミック共振器、複数のスタンプ金属アンテナ、又は複数のレーザ直接構造化アンテナの少なくとも一つを含む。
【0012】
所定の実施形態において、本開示は、セルラーネットワークにおいて使用されるユーザ機器に実装されるモジュールに関する。モジュールは、積層材基板と、当該積層材基板上に形成されたアンテナアレイであって、無線波に応答して複数の受信信号を生成するべく構成された複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイと、当該積層材基板に取り付けられた半導体ダイとを含み、当該複数のアンテナ素子はそれぞれが、当該複数の受信信号の対応する一つを生成するべく構成される。半導体ダイは、それぞれが複数のアンテナ素子の対応する一つに動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路を含み、当該複数の信号コンディショニング回路は、複数の受信信号を処理することにより受信ビームを形成するべく構成される。半導体ダイはさらに、受信ビームの一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームのビーム操舵を与えるように複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路を含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路はさらに、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームの基本ローブをデチューニングするべく構成される。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の高調波ローブは、基本ローブと実質的に同じ方向を指し示して基本ローブよりも狭いビーム幅を有する高調波ローブを含む。様々な実施形態によれば、ビーム制御回路はさらに、基本ローブのビーム幅の内側であるが一つ以上の高調波ローブのビーム幅の外側で受信ビームを操舵するべく構成される。
【0014】
一定数の実施形態において、ビーム制御回路は、受信ビームの角度を定期的に調整するべく動作可能である。
【0015】
様々な実施形態において、複数の信号コンディショニング回路の少なくとも一つは、高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器を含み、ビーム制御回路はさらに、当該高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、モジュールはさらに、受信ビームの高調波電力レベルを検出するべく構成された高調波電力検出器を含み、ビーム制御回路はさらに、当該高調波電力レベルに基づいてビーム操舵を与えるべく構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、ビーム制御回路により制御される可変位相シフタを含む。
【0018】
所定の実施形態において、本開示は、無線周波数システムにおけるビーム制御の方法に関する。方法は、アンテナアレイの複数のアンテナ素子において複数の受信信号を受信することであって、当該複数の受信信号はそれぞれが当該複数のアンテナ素子の対応する一つによって受信されることと、それぞれが当該複数のアンテナ素子の対応する一つに動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路を使用して当該複数の受信信号をコンディショニングすることと、当該複数の信号コンディショニング回路を使用して当該複数の受信信号を処理することにより受信ビームを生成することと、当該受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの一つの方向に基づいて選択された方向に当該受信ビームを操舵することとを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームの基本ローブをデチューニングすることを含む。一定数の実施形態において、方法はさらに、基本ローブのビーム幅の内側であるが一つ以上の高調波ローブのそれぞれのビーム幅の外側で受信ビームを操舵することを含む。
【0020】
所定の実施形態において、本開示は、エミッション遵守のためのセルラー通信アセンブリの高調波試験の方法に関する。方法は、製造後の対応するセルラー通信アセンブリのアンテナアレイを使用して信号ビームを送信することであって、当該信号ビームは基本ローブ及び一つ以上の高調波ローブを含むことと、試験機器を使用して基本ローブの方向を検出することに基づいて前記信号ビームの、一つ以上の試験箇所を決定することであって、当該一つ以上の試験箇所は当該一つ以上の高調波ローブに関連付けられることと、当該試験機器を使用して当該一つ以上の試験箇所のそれぞれにおける高調波エミッションのレベルを評価することと、各試験された箇所における高調波エミッションのレベルが予め定められたしきい値を下回ると決定された場合、当該対応するセルラー通信アセンブリがエミッション試験に適合すると立証することとを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、試験された箇所の一つ以上における高調波エミッションのレベルが予め定められたしきい値を上回ると決定された場合、対応するセルラー通信アセンブリはエミッション試験に適合しないと立証される。
【0022】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、一つ以上の高調波ローブから離れた位置において試験を省略することを含む。
【0023】
様々な実施形態において、高調波試験は、スプリアスエミッション試験を含む。
【0024】
一定数の実施形態において、高調波試験は、対応するセルラー通信アセンブリからの第2高調波エミッションを検出することを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、高調波試験は、対応するセルラー通信アセンブリからの第3高調波エミッションを検出することを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、方法は、自動試験機器を使用して実装される。
【0027】
所定の実施形態において、本開示は、セルラー通信アセンブリのエミッション遵守のための高調波試験の自動試験機器に関する。自動試験機器は、セルラー通信アセンブリのアンテナアレイから送信された信号ビームの受信に応答して受信信号を生成するべく構成された一つ以上の測定アンテナであって、当該信号ビームは基本ローブ及び一つ以上の高調波ローブを含む測定アンテナと、当該受信信号を分析して基本ローブの方向を検出するべく構成された信号アナライザと、当該基本ローブの検出された方向に基づいて当該信号ビームの、一つ以上の試験箇所を決定するべく構成された試験箇所決定システムであって、当該一つ以上の試験箇所は当該一つ以上高調波ローブに関連付けられた箇所に対応する試験箇所決定システムとを含む。試験箇所決定システムはさらに、自動試験機器を制御して一つ以上の試験箇所のそれぞれにおける高調波エミッションのレベルを評価するべく構成される。
【0028】
一定数の実施形態において、自動試験機器はさらに、一つ以上の試験箇所のそれぞれにおける高調波エミッションのレベルを予め定められたしきい値と比較するべく構成される。
【0029】
いくつかの実施形態において、自動試験機器はさらに、セルラー通信アセンブリを動かすべく構成されたハンドラを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、自動試験機器はさらに、セルラー通信アセンブリを受容するべく構成されたプラットフォームを含み、当該プラットフォームは、一つ以上の測定アンテナに対して移動可能又は回転可能の少なくとも一方となるように構成される。
【0031】
様々な実施形態において、一つ以上の測定アンテナは、セルラー通信アセンブリに対して移動可能又は回転可能の少なくとも一方となるように実装される。
【0032】
一定数の実施形態において、試験箇所決定システムはさらに、一つ以上の高調波ローブから離れた位置における試験を省略するように構成される。
【0033】
所定の実施形態において、本開示は、自動試験機器を使用したセルラー通信アセンブリの高調波試験の方法に関する。方法は、セルラー通信アセンブリのアンテナアレイからの信号ビームの受信に応答して自動試験機器の、一つ以上の測定アンテナを使用して受信信号を生成することであって、当該信号ビームは基本ローブ及び一つ以上の高調波ローブを含むことと、自動試験機器の信号アナライザを使用して当該基本ローブの方向を検出するべく当該受信信号を分析することと、当該基本ローブの検出された方向に基づいて自動試験機器の試験箇所決定システムを使用して当該信号ビームの、一つ以上の試験箇所を決定することであって、当該一つ以上の試験箇所は、当該一つ以上の高調波ローブに関連付けられた箇所に対応することと、自動試験機器を使用して当該一つ以上の試験箇所のそれぞれにおける高調波エミッションのレベルを評価することとを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、一つ以上の試験箇所のそれぞれにおける高調波エミッションのレベルを予め定められたしきい値と比較することを含む。
【0035】
一定数の実施形態において、方法はさらに、自動試験機器のハンドラを使用してセルラー通信アセンブリを試験プラットフォームへと動かすことを含む。
【0036】
様々な実施形態において、方法はさらに、セルラー通信アセンブリと一つ以上の測定アンテナとの相対位置を制御するべく試験プラットフォームを移動させること又は回転させることの少なくとも一方を含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、セルラー通信アセンブリと一つ以上の測定アンテナとの相対位置を制御するべく当該一つ以上の測定アンテナを移動させること又は回転させることの少なくとも一方を含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、一つ以上の高調波ローブから離れた位置において試験を省略することを含む。
【0039】
一定数の実施形態において、高調波エミッションのレベルを評価することは、セルラー通信アセンブリの第2高調波エミッション又は第3高調波エミッションの少なくとも一方を評価することを含む。
【0040】
所定の実施形態において、無線ネットワークの通信デバイスが与えられる。通信デバイスは、複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイと、当該複数アンテナ素子に動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路と、当該アンテナアレイにより形成されるビームを動的に管理するように当該複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路とを含み、当該ビーム制御回路は、当該ビームの、一つ以上の高調波ローブに関連する少なくとも一つの考慮に基づいてビームの方向を制御するべく動作可能である。
【0041】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路は、無線ネットワークの他の通信デバイスの少なくとも一つに対する一つ以上の高調波ローブの箇所に基づいてビームの方向を制御するべく動作可能である。
【0042】
一定数の実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、ビームの基本ローブと実質的に同じ方向を指し示す一次高調波ローブを含み、一次高調波ローブは、当該基本ローブよりも狭いビーム幅を有する。様々な実施形態によれば、ビーム制御回路は、無線ネットワークの他の通信デバイスが基本ローブのビーム幅の内側であるが一次高調波ローブのビーム幅の外側に存在するようにビームの方向を操舵するべく動作可能である。
【0043】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路はさらに、ビームの強度を制御するべく動作可能である。
【0044】
様々な実施形態において、複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、電力増幅器にカスケード接続された可変位相シフタを含む。
【0045】
一定数の実施形態において、複数のアンテナ素子は複数のパッチアンテナ素子を含む。
【0046】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路は、ビームの方向を定期的に更新するべく動作可能である。
【0047】
様々な実施形態において、ビーム制御回路は、アンテナアレイの通信リンク又は通信デバイスの動作環境の少なくとも一方を示す一つ以上の入力を受信する。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、無線ネットワークにおける少なくとも一つの他の通信デバイスの地理的位置決めの指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、達成された通信リンクのデータレートを含む。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、観測された通信リンクのエラーレートを含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、受信信号強度指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、ブロッカー信号レベルの指標を含む。
【0048】
一定数の実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第2高調波ローブを含む。
【0049】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第3高調波ローブを含む。
【0050】
所定の実施形態において、本開示は、無線ネットワークの通信デバイス用のモジュールに関する。モジュールは、積層材と、当該積層材の第1表面に形成されて複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイと、第1表面に対向する当該積層材の第2表面上の一つ以上の半導体ダイであって、当該複数のアンテナ素子に動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路を含む一つ以上の半導体ダイと、当該アンテナアレイにより形成されたビームを動的に管理するように当該複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路とを含む。ビーム制御回路は、ビームの、一つ以上の高調波ローブに関連する少なくとも一つの考慮に基づいて当該ビームの方向を制御するべく動作可能である。
【0051】
様々な実施形態において、ビーム制御回路は、無線ネットワークの他の通信デバイスの少なくとも一つに対する一つ以上の高調波ローブの箇所に基づいてビームの方向を制御するべく動作可能である。
【0052】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、ビームの基本ローブと実質的に同じ方向を指し示す一次高調波ローブを含み、一次高調波ローブは、当該基本ローブよりも狭いビーム幅を有する。一定数の実施形態によれば、ビーム制御回路は、無線ネットワークの他の通信デバイスが基本ローブのビーム幅の内側であるが一次高調波ローブのビーム幅の外側に存在するようにビームの方向を操舵するべく動作可能である。
【0053】
様々な実施形態において、ビーム制御回路はさらに、ビームの強度を制御するべく動作可能である。
【0054】
いくつかの実施形態において、複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、電力増幅器にカスケード接続された可変位相シフタを含む。
【0055】
いくつかの実施形態において、複数のアンテナ素子は複数のパッチアンテナ素子を含む。
【0056】
一定数の実施形態において、ビーム制御回路は、ビームの方向を定期的に更新するべく動作可能である。
【0057】
様々な実施形態において、ビーム制御回路は、アンテナアレイの通信リンク又は通信デバイスの動作環境の少なくとも一方を示す一つ以上の入力を受信する。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、無線ネットワークにおける少なくとも一つの他の通信デバイスの地理的位置決めの指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、達成された通信リンクのデータレートを含む。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、観測された通信リンクのエラーレートを含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、受信信号強度指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、ブロッカー信号レベルの指標を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第2高調波ローブを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第3高調波ローブを含む。
【0060】
所定の実施形態において、本開示は、無線ネットワークの通信デバイスにおける動的ビーム制御の方法に関する。方法は、複数の信号コンディショニング回路を使用して複数の送信信号をコンディショニングすることと、アンテナアレイの複数のアンテナ素子を使用して当該複数の送信信号をビームフォーミングすることによりビームを生成することと、当該ビームの、一つ以上の高調波ローブに関連する少なくとも一つの考慮に基づいてビーム制御回路を使用して当該ビームの方向を動的に制御することとを含む。
【0061】
様々な実施形態において、ビームの方向を動的に制御することは、無線ネットワークの他の通信デバイスの少なくとも一つに対する一つ以上の高調波ローブの箇所に基づいてビームを操舵することを含む。
【0062】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、ビームの基本ローブと実質的に同じ方向を指し示す一次高調波ローブを含み、一次高調波ローブは、当該基本ローブよりも狭いビーム幅を有する。様々な実施形態によれば、ビームの方向を動的に制御することは、無線ネットワークの他の通信デバイスが基本ローブのビーム幅の内側であるが一次高調波ローブのビーム幅の外側に存在するようにビームを操舵することを含む。
【0063】
一定数の実施形態において、方法はさらに、ビーム制御回路を使用してビームの強度を制御することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、ビーム制御回路を使用してビームの方向を定期的に更新することを含む。
【0065】
様々な実施形態において、方法はさらに、ビーム制御回路への一つ以上の入力を受信することを含み、当該一つ以上の入力は、アンテナアレイの通信リンク又は通信デバイスの動作環境の少なくとも一方を示す。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、無線ネットワークにおける少なくとも一つの他の通信デバイスの地理的位置決めの指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、達成された通信リンクのデータレートを含む。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、観測された通信リンクのエラーレートを含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、受信信号強度指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、ブロッカー信号レベルの指標を含む。
【0066】
一定数の実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第2高調波ローブを含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第3高調波ローブを含む。
【0068】
所定の実施形態において、本開示は、無線ネットワークのための通信デバイスに関する。通信デバイスは、通信リンクを経由して無線ネットワークの他の通信デバイスからの信号ビームを受信するべく構成された一つ以上のアンテナであって、当該信号ビームは基本ビーム、及びビームフォーミングにより生成された一つ以上の高調波ビームを含むアンテナと、当該通信リンクを経由してデータを受信するように基本ビームを処理するべく構成された受信器とを含み、当該受信器はさらに、基本ビームと実質的に同じ方向を指し示す少なくとも一つの高調波ビームに基づいて通信リンクの特性の一つ以上を評価するべく動作可能である。
【0069】
所定の実施形態において、本開示は高調波試験の方法に関する。方法は、通信デバイスのアンテナアレイを使用して信号ビームをビームフォーミングすることと、当該信号ビームの基本ローブの方向に基づいて当該信号ビームの、一つ以上の高調波ローブの箇所を決定することと、当該決定に基づいて一つ以上の試験箇所において高調波試験を行うこととを含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、方法はさらに、一つ以上の高調波ローブから離れた位置において試験を省略することを含む。
【0071】
一定数の実施形態において、高調波試験は、スプリアスエミッション試験を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、高調波試験は、通信デバイスからの第2高調波エミッションを検出することを含む。
【0073】
様々な実施形態において、高調波試験は、通信デバイスからの第3高調波エミッションを検出することを含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、方法は、自動試験機器を使用して実装される。
【0075】
所定の実施形態において、本開示は、無線ネットワークにおけるユーザ機器として動作する通信デバイスに関する。通信デバイスは、無線波に応答して複数の受信信号を生成するべく構成された複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイと、当該複数のアンテナ素子に動作可能に関連付けられて受信ビームのビームフォーミングを与えるように当該複数の受信信号をコンディショニングするべく構成された複数の信号コンディショニング回路と、当該受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて当該受信ビームのビーム操舵を与えるように当該複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路とを含む。
【0076】
様々な実施形態において、ビーム制御回路はさらに、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームの基本ローブをデチューニングするべく構成される。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の高調波ローブは、基本ローブと実質的に同じ方向を指し示して基本ローブよりも狭いビーム幅を有する高調波ローブを含む。いくつかの実施形態によれば、ビーム制御回路はさらに、無線ネットワークの他の通信デバイスが基本ローブのビーム幅の内側であるが高調波ローブのビーム幅の外側に存在するように受信ビームを操舵するべく構成される。
【0077】
一定数の実施形態において、ビーム制御回路は、無線ネットワークの他の通信デバイスの少なくとも一つに対する一つ以上の高調波ローブの箇所に基づいてビームの方向を制御するべく動作可能である。
【0078】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路は、受信ビームの角度を定期的に調整するべく動作可能である。
【0079】
様々な実施形態において、ビーム制御回路はさらに、アンテナアレイの通信リンク又は通信デバイスの動作環境の少なくとも一方を示す一つ以上入力信号に基づいてビーム操舵を制御する。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、無線ネットワークにおける少なくとも一つの他の通信デバイスの地理的位置決めの指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、達成された通信リンクのデータレートを含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、通信リンクの観測されたエラーレートを含む。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、受信信号強度指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、ブロッカー信号レベルの指標を含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第2高調波ローブを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第3高調波ローブを含む。
【0082】
一定数の実施形態において、複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、ビーム制御回路により制御される可変位相シフタを含む。
【0083】
様々な実施形態において、アンテナアレイは、線形アレイとして実装される。
【0084】
いくつかの実施形態において、アンテナアレイは、多次元アレイとして実装される。
【0085】
いくつかの実施形態において、無線波は、少なくとも10GHzの周波数を有する。様々な実施形態によれば、無線波は、少なくとも24GHzの周波数を有する。
【0086】
一定数の実施形態において、複数のアンテナ素子は、複数のパッチアンテナ素子、複数のダイポールアンテナ素子、複数のセラミック共振器、複数のスタンプ金属アンテナ、又は複数のレーザ直接構造化アンテナを含む。
【0087】
所定の実施形態において、本開示は、無線ネットワークの通信デバイス用のモジュールに関する。モジュールは、積層材基板と、当該積層材基板の第1表面に形成されたアンテナアレイであって、無線波に応答して複数の受信信号を生成するべく構成された複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイと、当該積層材基板に取り付けられた一つ以上の半導体ダイとを含む。一つ以上の半導体ダイは、複数のアンテナ素子に動作可能に関連付けられた複数の信号コンディショニング回路であって、受信ビームのビームフォーミングを与えるように複数の受信信号をコンディショニングするべく構成された複数の信号コンディショニング回路と、当該受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて当該受信ビームのビーム操舵を与えるように複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路とを含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、一つ以上の半導体ダイは、第1表面に対向する積層材基板の第2表面上に少なくとも一つのダイを含む。
【0089】
一定数の実施形態において、一つ以上の半導体ダイは、積層材基板の内部に少なくとも一つのダイを含む。
【0090】
様々な実施形態において、ビーム制御回路はさらに、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームの基本ローブをデチューニングするべく構成される。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の高調波ローブは、基本ローブと実質的に同じ方向を指し示して基本ローブよりも狭いビーム幅を有する高調波ローブを含む。いくつかの実施形態によれば、ビーム制御回路はさらに、無線ネットワークの他の通信デバイスが基本ローブのビーム幅の内側であるが高調波ローブのビーム幅の外側に存在するように受信ビームを操舵するべく構成される。
【0091】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路は、受信ビームの角度を定期的に調整するべく動作可能である。
【0092】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路はさらに、アンテナアレイの通信リンク又は通信デバイスの動作環境の少なくとも一方を示す一つ以上入力信号に基づいてビーム操舵を制御する。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、無線ネットワークにおける少なくとも一つの他の通信デバイスの地理的位置決めの指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、達成された通信リンクのデータレートを含む。様々な実施形態によれば、一つ以上の入力は、観測された通信リンクのエラーレートを含む。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、受信信号強度指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、ブロッカー信号レベルの指標を含む。
【0093】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第2高調波ローブを含む。
【0094】
一定数の実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第3高調波ローブを含む。
【0095】
様々な実施形態において、複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、ビーム制御回路により制御される可変位相シフタを含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、アンテナアレイは、線形アレイとして実装される。
【0097】
一定数の実施形態において、アンテナアレイは、多次元アレイとして実装される。
【0098】
いくつかの実施形態において、無線波は、少なくとも10GHzの周波数を有する。様々な実施形態によれば、無線波は、少なくとも24GHzの周波数を有する。
【0099】
いくつかの実施形態において、複数のアンテナ素子は、複数のパッチアンテナ素子、複数のダイポールアンテナ素子、複数のセラミック共振器、複数のスタンプ金属アンテナ、又は複数のレーザ直接構造化アンテナを含む。
【0100】
所定の実施形態において、本開示は、無線ネットワークのための基地局に関する。基地局は、無線波に応答して複数の受信信号を生成するべく構成された複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイと、当該複数のアンテナ素子に動作可能に関連付けられて受信ビームのビームフォーミングを与えるように当該複数の受信信号をコンディショニングするべく構成された複数の信号コンディショニング回路と、当該受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの一つの方向に基づいて当該受信ビームのビーム操舵を与えるように当該複数の信号コンディショニング回路を制御するべく構成されたビーム制御回路とを含む。
【0101】
様々な実施形態において、ビーム制御回路はさらに、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームの基本ローブをデチューニングするべく構成される。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の高調波ローブは、基本ローブと実質的に同じ方向を指し示して基本ローブよりも狭いビーム幅を有する高調波ローブを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、ビーム制御回路は、受信ビームの角度を定期的に調整するべく動作可能である。
【0103】
様々な実施形態において、ビーム制御回路はさらに、アンテナアレイの通信リンク又は通信デバイスの動作環境の少なくとも一方を示す一つ以上入力信号に基づいてビーム操舵を制御する。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、無線ネットワークにおける少なくとも一つの通信デバイスの地理的位置決めの指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、達成された通信リンクのデータレートを含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、通信リンクの観測されたエラーレートを含む。一定数の実施形態によれば、一つ以上の入力は、受信信号強度指標を含む。いくつかの実施形態によれば、一つ以上の入力は、ブロッカー信号レベルの指標を含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第2高調波ローブを含む。
【0105】
いくつかの実施形態において、一つ以上の高調波ローブは、第3高調波ローブを含む。
【0106】
一定数の実施形態において、複数の信号コンディショニング回路はそれぞれが、ビーム制御回路により制御される可変位相シフタを含む。
【0107】
様々な実施形態において、アンテナアレイは、線形アレイとして実装される。
【0108】
いくつかの実施形態において、アンテナアレイは、多次元アレイとして実装される。
【0109】
いくつかの実施形態において、無線波は、少なくとも10GHzの周波数を有する。様々な実施形態によれば、無線波は、少なくとも24GHzの周波数を有する。
【0110】
一定数の実施形態において、複数のアンテナ素子は、複数のパッチアンテナ素子、複数のダイポールアンテナ素子、複数のセラミック共振器、複数のスタンプ金属アンテナ、又は複数のレーザ直接構造化アンテナを含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、無線波は、6GHz未満の周波数を有する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
本開示の実施形態が、添付図面を参照する非限定的な例を介して以下に記載される。
【0113】
【
図1】通信ネットワークの一例の模式的な図である。
【
図2】ビーム操舵を有する無線周波数(RF)システムの一実施形態の模式的な図である。
【
図3A】送信ビームを与えるビームフォーミングの一例の模式的な図である。
【
図3B】受信ビームを与えるビームフォーミングの一例の模式的な図である。
【
図3C】送信ビームを与えるビームフォーミングの他例の模式的な図である。
【
図3D】受信ビームを与えるビームフォーミングの他例の模式的な図である。
【
図3E】ビームフォーミングの他例の模式的な図である。
【
図4】基地局とユーザ機器との間のビームフォーミングの一例の模式的な図である。
【
図5】ユーザ機器と基地局との間の基本ビームの一例の模式的な図である。
【
図6】
図6Aは、2×2アンテナアレイを使用した90°での基本ビームの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図6Bは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図6Cは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【
図7】
図7Aは、2×2アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図7Bは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
図7Cは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【
図8】
図8Aは、2×2アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図8Bは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図8Cは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【
図9】
図9Aは、2×2アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図9Bは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
図9Cは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【
図10】
図10Aは、4×4アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図10Bは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図10Cは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【
図11】
図11Aは、4×4アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図11Bは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
図11Cは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【
図12】
図12Aは、4×4アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図12Bは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
図12Cは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【
図13】
図13Aは、4×4アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図13Bは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
図13Cは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【
図14】
図14Aは、8×8アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図14Bは、1×8アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【
図15】
図15Aは、8×8アンテナアレイを使用した75°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図15Bは、1×8アンテナアレイを使用した75°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【
図16】
図16Aは、8×8アンテナアレイを使用した75°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図16Bは、1×8アンテナアレイを使用した75°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【
図17A】ビーム操舵を有するRFシステムの他実施形態の模式的な図である。
【
図17B】ビーム操舵を有するRFシステムの他実施形態の模式的な図である。
【
図17C】ビーム操舵を有するRFシステムの他実施形態の模式的な図である。
【
図18】高調波ビームフォーミングに基づく試験箇所決定を有する試験機器の一実施形態の模式的な図である。
【
図19】高調波ビームフォーミングに基づく試験箇所決定を有する試験機器の他実施形態の模式的な図である。
【
図20】一実施形態に係るエミッション試験の方法の模式的な図である。
【
図22A】モジュールの他実施形態の斜視図である。
【
図23】携帯デバイスの一実施形態の模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
所定の実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしながら、ここに記載のイノベーションは、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバーされる多数の異なる態様で具体化することができる。本記載において、同じ参照番号が同一の又は機能的に類似の要素を示し得る図面が参照される。理解されることだが、図面に例示される要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施形態は、図面に例示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に例示される要素の部分集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2つ以上の図面からの特徴のいずれかの適切な組み合わせを組み入れてよい。
【0115】
国際電気通信連合(ITU)は、国際的な無線スペクトルの使用を含む情報通信技術に関する世界的な問題に責任を負う国連(UN)の専門機関である。
【0116】
第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)は、電波産業協会(ARIB)、電気通信技術委員会(TTC)、中国通信規格協会(CCSA)、米国電気通信業界ソリューション協会(ATIS)、電気通信技術協会(TTA)、欧州電気通信標準化機構(ETSI)、インド電気通信標準化協会(TSDSI)のような、世界中の電気通信標準化団体のグループ間の共同作業である。
【0117】
3GPPは、ITUの範囲内で作業をすることにより、例えば、第2世代(2G)技術(例えば、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM(登録商標)及びエンハンスドデータレートフォーGSMエボリューション(EDGE)を含む)、第3世代(3G)技術(例えばユニバーサル移動体通信システム(UMTS)及び高速パケットアクセス(HSPA))、及び第4世代(4G)技術(例えばロングタームエボリューション(LTE)及びLTEアドバンスト)を含む様々な移動体通信技術に関する技術仕様を開発及び維持する。
【0118】
3GPPにより管理される技術仕様は、仕様リリースによって拡張及び改訂され得る。仕様リリースは多数年にわたることがあり、幅広い新機能及び進化の仕様を定め得る。
【0119】
一例において、3GPPは、リリース10においてLTEのためのキャリアアグリゲーション(CA)を導入した。最初は2つのダウンリンクキャリアが導入されたが、3GPPは、リリース14において5つまでのダウンリンクキャリアと3つまでのアップリンクキャリアとを含むようにキャリアアグリゲーションを拡張した。3GPPのリリースが与えた新機能及び進化の他例は、ライセンスアシスタントアクセス(LAA)、拡張LAA(eLAA)、狭帯域インターネットオブシングス(NB-IOT)、ビークルトゥエブリシング(V2X)、及びハイパワーユーザー機器(HPUE)を含むがこれらに限られない。
【0120】
3GPPは、リリース15において第5世代(5G)技術のフェーズ1(2018年が目標)を、リリース16において5G技術のフェーズ2(2019年が目標)を導入することを計画している。リリース15が6GHz未満の5G通信に対処する見通しである一方、リリース16は6GHz以上の通信に対処する見通しである。その後の3GPPリリースは、5Gテクノロジをさらに進化及び拡張してゆく。5G技術はまた、ここでは5Gニューラジオ(NR)とも称する。
【0121】
5G NRの予備仕様は、ミリ波スペクトルによる通信、ビームフォーミング能力、高スペクトル効率波形、低レイテンシ通信、多重ラジオヌメロロジ、及び/又は非直交多重アクセス(NOMA)のような様々な機能をサポートする。かかるRF機能はネットワークに柔軟性を与えてユーザデータレートを高めるにもかかわらず、当該機能をサポートすることにより、一定数の技術的な困難性が提起され得る。
【0122】
ここでの教示は、LTEアドバンスト、LTEアドバンストプロ及び/又は5G NRのようなアドバンストセルラー技術を使用する通信システムを含むがこれらに限られない多種多様な通信システムに適用可能である。
図1は、通信ネットワーク10の一例の模式的な図である。通信ネットワーク10は、マクロセル基地局1、スモールセル基地局3、並びに、第1携帯デバイス2a、無線接続車2b、ラップトップ2c、静止無線デバイス2d、無線接続列車2e及び第2携帯デバイス2fを含むユーザ機器(UE)の様々な例を含む。
【0123】
基地局及びユーザ機器の特定例が
図1に示されるにもかかわらず、通信ネットワークは、多種多様なタイプ及び/又は数の基地局及びユーザ機器を含み得る。例えば、図示の例において、通信ネットワーク10は、マクロセル基地局1及びスモールセル基地局3を含む。スモールセル基地局3は、マクロセル基地局1と比べ、相対的に低電力、短範囲、及び/又は数少ない同時ユーザにより動作することができる。スモールセル基地局3はまた、フェムトセル、ピコセル又はマイクロセルと称してもよい。通信ネットワーク10が2つの基地局を含むように示されるにもかかわらず、通信ネットワーク10は、これよりも多い又は少ない基地局及び/又は他タイプの基地局を含むように実装してよい。
【0124】
ユーザ機器の様々な例が示されるにもかかわらず、ここでの教示は、例えば携帯電話、タブレット、ラップトップ、IoTデバイス、ウェアラブル電子機器、顧客宅内機器(CPE)、無線接続車両、無線リレー、及び/又は多種多様な他の通信デバイスを含む多種多様なユーザ機器に適用可能である。
図1に示される通信ネットワーク10は、例えば4GLTE、5G NR、及びWi-Fiのような無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を含む様々な技術を使用する通信をサポートする。通信技術の様々な例が与えられているにもかかわらず、通信ネットワーク10は、多種多様な通信技術をサポートするべく適合することができる。
【0125】
通信ネットワーク10の様々な通信リンクが、
図1に描かれている。通信リンクは、例えば周波数分割デュプレクシング(FDD)及び/又は時分割デュプレクシング(TDD)を含む多種多様な方法で二重化することができる。FDDは、信号送信と信号受信とで異なる周波数を使用するタイプの無線周波数通信である。FDDは、高データレート及び低レイテンシのような一定数の利点を与えることができる。これとは対照的に、TDDは、信号送信と信号受信とでほぼ同じ周波数を使用して送信と受信とが時間で切り替わるタイプの無線周波数通信である。TDDは、スペクトルの効率的な使用、及び送信方向と受信方向との間でのスループットの可変配分のような一定数の利点を与えることができる。
【0126】
所定の実装例において、ユーザ機器は、4G LTE技術、5G NR技術及びWi-Fi技術の一つ以上を使用して基地局と通信することができる。所定の実装例において、拡張ライセンスアシストアクセス(eLAA)が、一つ以上のライセンスされた周波数キャリア(例えばライセンスされた4G LTE周波数及び/又は5G NR周波数)を、一つ以上のライセンスされていないキャリア(例えばライセンスされていないWi-Fi周波数)と集約するべく使用される。
【0127】
通信リンクは、多種多様な周波数にわたって動作することができる。所定の実装例において、通信は、6ギガヘルツ(GHz)未満の一つ以上の周波数帯域にわたって、及び/又は6GHzを超える一つ以上周波数帯域にわたって、5G NR技術を使用してサポートされる。一実施形態において、携帯デバイスの一つ以上が、HPUE電力クラス仕様をサポートする。
【0128】
所定の実装例において、基地局及び/又はユーザ機器は、ビームフォーミングを使用して通信する。例えば、ビームフォーミングは、高信号周波数にわたる通信に関連付けられた高損失のような経路損失を克服するべく、信号強度を集中させるために使用することができる。所定の実施形態において、一つ以上の携帯電話機のようなユーザ機器は、30GHzから300GHzの範囲にあるミリメートル波周波数帯域、及び/又は6GHzから30GHz、さらに詳しくは24GHzから30GHzの範囲にある上限センチメートル波周波数についての、ビームフォーミングを使用して通信する。
【0129】
通信ネットワーク10の異なるユーザは、利用可能な周波数スペクトルのような利用可能なネットワークリソースを、多種多様な方法で共有することができる。
【0130】
一例において、周波数分割多元接続(FDMA)が、周波数帯域を多数の周波数キャリアに分割するべく使用される。付加的に、一つ以上のキャリアが、特定のユーザに割り当てられる。FDMAの例は、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)及び直交FDMA(OFDMA)を含むがこれらに限られない。OFDMは、利用可能な帯域幅を、多数の相互直交狭帯域サブキャリアに細分化するマルチキャリア技術であり、これは異なるユーザに別個に割り当てることができる。
【0131】
共有アクセスの他の例は、周波数リソースを使用する特定のタイムスロットにユーザが割り当てられる時分割多重アクセス(TDMA)、各ユーザに一意の符号を割り当てることにより周波数リソースが異なるユーザ間で共有される符号分割多重アクセス(CDMA)、空間分割により共有アクセスを与えるべくビームフォーミングが使用される空間分割多元接続(SDMA)、及び多重アクセスを目的として電力ドメインが使用される非直交多元接続(NOMA)を含むが、これらに限定されない。例えば、NOMAは、同じ周波数、時間及び/又は符号ではあるが異なる電力レベルに多数のユーザを与えるように使用することができる。
【0132】
拡張モバイルブロードバンド(eMBB)は、LTEネットワークの増大するシステム容量のための技術を言及する。例えば、eMBBは、少なくとも10Gbpsの、各ユーザが最小100Mbpsのピークデータレートでの通信を言及することができる。超高信頼性低レイテンシ通信(uRLLC)は、例えば2ms未満の非常に低いレイテンシで通信する技術を言及する。uRLLCは、自律運転アプリケーション及び/又は遠隔手術アプリケーションのようなミッションクリティカルな通信を目的として使用され得る.大規模機械型通信(mMTC)は、インターネットオブシングス(IoT)アプリケーションに関連付けられるもののような、日常的なオブジェクトへの無線接続に関連付けられる低コストかつ低データレートの通信を言及する。
【0133】
図1の通信ネットワーク10は、eMBB、uRLLC及び/又はmMTCを含むがこれらに限られない多種多様なアドバンスト通信機能をサポートするべく使用することができる。
【0134】
高調波ビームフォーミングに基づくビーム操舵を有するRFシステムの例
【0135】
高調波のビームフォーミングに関連する装置及び方法がここに与えられる。所定の実装例において、無線ネットワークにおいて動作する通信デバイスが与えられる。通信デバイスは、無線波に応答して複数の受信信号を生成する複数のアンテナ素子を含むアンテナアレイと、当該複数のアンテナ素子に動作可能に関連付けられて受信ビームのビームフォーミングを与えるように当該複数の受信信号をコンディショニングする複数の信号コンディショニング回路と、当該受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの一つの方向に基づいて当該受信ビームのビーム操舵を与えるように当該複数の信号コンディショニング回路を制御するビーム制御回路とを含む。
【0136】
この態様で通信デバイスを実装することにより一定数の利点が得られる。例えば、ネットワークにおいて動作する通信デバイスが、受信ブロッカー又はジャマー(jammer)が存在する中で性能を高めるべくビームフォーミングの方向を動的に管理することができる。すなわち、デバイスは、高速、低干渉、優れたブロッカー性能、及び/又は他の利益とともに動作することができる。
【0137】
ミリメートル波キャリア(例えば30GHzから300GHz)、センチメートル波キャリア(例えば3GHzから30GHz)、及び/又は他のキャリア周波数を利用する通信デバイスは、信号の送信及び/又は受信のためのビームフォーメーション及び指向性を与えるアンテナアレイを用いることができる。
【0138】
例えば、信号送信の文脈において、m×nアンテナ素子のアンテナアレイを平面モジュールに実装して当該アレイの各アンテナ素子が独立して信号を放射することができる。付加的に、複数のアンテナ素子からの信号は、建設的及び破壊的干渉を使用して組み合わされ、アンテナアレイから離れる所与の方向に伝播する信号強度を有するビーム状の品質を示す集約送信信号を生成する。
【0139】
信号受信の文脈において、信号が特定の方向から到着しているときに多くの信号エネルギーがアンテナアレイにより受信される。したがって、アンテナアレイはまた、信号受信のための指向性を与えることもできる。
【0140】
信号エネルギーのビームへの相対的な集中度を、アレイのサイズを増加させることによって限界まで高めることができる。例えば、多くの信号エネルギーが送信ビームに集中すると、信号は、RF通信にとって十分な信号レベルを与えながら長い範囲に伝播することができる。例えば、送信ビームに集中した信号エネルギーの長い伝播を有する信号は、高い実効等方放射電力(EIRP)を示し得る。
【0141】
アンテナ素子を介して送信される送信信号をコンディショニングするため、及び/又はアンテナ素子からの受信信号をコンディショニングするため、信号コンディショニング回路を使用することができる。一例において、信号コンディショニング回路は、信号位相シフトを制御する位相シフタと、送信にとって適切な電力レベルまで送信信号を増幅する電力増幅器と、導入される雑音が相対的に少量の間のさらなる処理のために受信信号を増幅する低雑音増幅器(LNA)とを含む。信号コンディショニング回路は、ビーム操舵及び/又はビーム強度制御のために制御され得る。
【0142】
ここで本発明者は、基本周波数の信号が基本ビームを生成するべくビームフォーミングされるときに、高調波もまたビームフォーミングされて基本ビームに対して小さなビーム幅(高い指向性)の高調波ビームを形成することに気づいた。
【0143】
一つの側面において、アンテナ素子のアレイによって生成される信号ビームの強度及び/又は方向は、高調波ローブ又はビームに関する一つ以上の考慮に基づいて動的に管理される。例えば、ビーム方向は、高調波ブロッカーの影響を低減又は排除するべく変更又は操舵され得る。
【0144】
ここでのアンテナアレイは、ミリメートル及びセンチメートル波周波数を含むがこれらに限られない多種多様な周波数の信号を送信及び/又は受信するべく使用することができる。アンテナアレイは、多種多様なアプリケーションで使用することができる。一例において、アンテナアレイは、通信デバイスのモジュールに含まれる。例えば、アンテナアレイは、基地局及びユーザ機器において送信及び/又はRF信号のために使用することができる。さらに、所定の実装において、別個のアンテナアレイが、送信及び受信を目的として展開される。
【0145】
所定の実施形態において、アンテナアレイは積層材基板に実装され、アンテナ素子のアレイが当該積層材基板の第1側に形成される。一例において、アンテナ素子のアレイは、パッチアンテナ素子を含み、積層材基板の第1側にあるパターン状の導電層から形成され、グランドプレーンが、導電層を使用して積層材基板の第2対向側に又は積層材基板の内部に形成される。アンテナ素子の他例は、ダイポールアンテナ素子、セラミック共振器、スタンプ金属アンテナ、及び/又はレーザ直接構造化アンテナを含むがこれらに限られない。
【0146】
図2は、ビーム制御を有するRFシステム又は通信デバイス110の一実施形態の模式的な図である。RFシステム110は、アンテナ素子103a1、103a2…103an、103b1、103b2…103bn、103m1、103m2…103mnを含むアンテナアレイ102を含む。RFシステム110はさらに、信号コンディショニング回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnを含む。RFシステム110はさらに、ビーム操舵回路106を含む送受信器105を含む。ビーム操舵回路106は、ここではビーム制御回路とも称する。
【0147】
図2が、送受信器105に含まれているビーム操舵回路106を示すにもかかわらず、ビーム操舵回路106は、任意の適切な箇所に存在してよい。
【0148】
RFシステム110は、m×nアンテナアレイ102及び対応信号コンディショニング回路を使用した特定の実装例を示す。ここで、m及びnは1以上の整数であり、m+nは1よりも大きい。RFシステムは、楕円により示されるよりも多い又は少ないアンテナ素子及び/又は信号コンディショニング回路を含み得る。m*nの積は、アプリケーションに応じて変わり得る。一実施形態において、m*nは、2から2048の範囲にあり、詳しくは16から256の範囲にある。さらに、アンテナ素子は、例えば直線状のアレイ、及び/又はアンテナ素子の不均一な配列を使用するアレイを含む他のパターン又は構成でアレイにすることができる。
【0149】
信号コンディショニング回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnはそれぞれが、アンテナ素子103a1、103a2…103an、103b1、103b2…103bn、103m1、103m2…103mnの対応する一つに結合される。信号コンディショニング回路は、制御位相シフト、送信利得、受信利得及び/又はスイッチングのような多種多様な目的のために使用することができる。
【0150】
信号コンディショニング回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnが送信及び受信双方のために信号コンディショニングを与える実施形態にもかかわらず、他の実装例も可能である。例えば、所定の実装例において、通信デバイスは、信号の受信と信号の送信とで別個のアレイを含む。すなわち、所定の実装例において、信号コンディショニング回路は、送信コンディショニングのためではあるが受信コンディショニングのためではなく、又は受信コンディショニングのためではあるが送信コンディショニングのためではなく、使用される。
【0151】
図2に示されるように、送受信器105は、信号コンディショニング回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnそれぞれのためにビーム制御信号を生成するビーム操舵回路106を含む。各ビーム制御信号を、例えば、可変位相シフタの位相、低雑音増幅器の利得、及び/又は電力増幅器の利得を制御するべく、ひいては、ビームの方向及び/又は強度のような送信ビーム及び受信ビームの特性を制御するべく、使用することができる。ビーム操舵回路106が、この例において送受信器105に含まれるにもかかわらず、他の実装例も可能である。
【0152】
信号受信に関して、アンテナ素子103a1、103a2…103an、103b1、103b2…103bn、103m1、103m2…103mnは、無線波に応答して受信信号を生成するべく動作する。付加的に、信号コンディショニング回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnは、受信ビームのビームフォーミングを与えるべく受信信号をコンディショニングする。
【0153】
ビーム操舵回路106は、アンテナアレイ102に関連付けられたビームフォーミングを、高調波ローブの方向、強度及び/又はビーム幅のような高調波ローブに関する一つ以上の考慮に基づいて動的に管理する。詳しくは、ビーム操舵回路106は、受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて当該受信ビームのビーム操舵を与えるべく、信号コンディショニング回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnを制御する。
【0154】
高調波ローブがビームフォーミングされるので、基本ビームの特性を制御することにより、高調波ビームの特性もまた制御される。すなわち、ビーム制御信号は、基本ビームの強度及び形状だけを制御するのではなく、高調波ビーム又はローブも制御する。よって、ビーム操舵回路106は、ブロッカー信号を受信するための高調波ローブの電位のような、高調波ローブに関連する一つ以上の考慮に基づいて、ビームの方向及び/又は強度を制御する。
【0155】
ビーム操舵回路106は、所与の時刻における所与の動作環境に基づいて受信ビームを制御する。
【0156】
したがって、ビーム操舵回路106は、所与の瞬間に所望の性能特性を与えるべくアンテナアレイ102を再構成する。例えば、信号コンディショニング回路104a1、104a2…104an、104b1、104b2…104bn、104m1、104m2…104mnは、所与の時刻における所与の動作環境のために最適の又は最適に近い受信ビームを与えるべく制御され得る。
【0157】
よって、一対の通信デバイス間のシームレスな接続性を、当該デバイスが互いに対して移動するときに、及び/又は動作環境が変化するときに、得ることができ、ビーム操舵回路106は、受信ビームフォーミングに関連付けられる高調波ローブが性能に干渉するのを抑制するべくビームを管理することができる。
【0158】
図示の実施形態において、ビーム操舵回路106はまた、一つ以上の入力を受信する。入力は、通信リンク(受信及び/又は送信)及び/又は動作環境を示す一定数の信号因子及び/又はフィードバック信号を含み得る。
【0159】
ビーム操舵回路106への適切な入力の例は、一つ以上デバイスの地理的位置決め、他のデバイスにより達成されたデータレート、観測されたエラーレート、受信信号強度指標(RSSI)、及び/又はブロッカー若しくは高調波の強度を示す信号に関連するデータを含む。
【0160】
したがって、入力は、RFシステム110が通信する他のデバイスから、及び/又は高調波ローブからの干渉を受け得るネットワークにある他のデバイスから、受信した信号及び/又はパラメータを含み得る。
【0161】
図3Aは、送信ビームを与えるビームフォーミングの一例の模式的な図である。
図3Aは、第1信号コンディショニング回路114a、第2信号コンディショニング回路114b、第1アンテナ素子113a及び第2アンテナ素子113bを含む通信システムの一部分を示す。
【0162】
2つのアンテナ素子及び2つの信号コンディショニング回路を含むように示されるにもかかわらず、通信システムは、付加的なアンテナ素子及び/又は信号コンディショニング回路を含んでよい。例えば、
図3Aは、
図2の通信システム110の一部分の一実施形態を示す。
【0163】
第1信号コンディショニング回路114aは、第1位相シフト130a、第1電力増幅器131a、第1低雑音増幅器(LNA)132a、及び電力増幅器131a又はLNA132aの選択を制御するスイッチを含む。付加的に、第2信号コンディショニング回路114bは、第2位相シフト130b、第2電力増幅器131b、第2LNA132b、及び電力増幅器131b又はLNA132bの選択を制御するスイッチを含む。
【0164】
信号コンディショニング回路の一実施形態が示されるにもかかわらず、信号コンディショニング回路の他の実装例も可能である。例えば、一例において、信号コンディショニング回路は、一つ以上帯域フィルタ、デュプレクサ及び/又は他のコンポーネントを含む。さらに、アナログ位相シフタを有する実装例が示されるにもかかわらず、ここでの教示はまた、デジタル位相シフト(例えばデジタルベース帯域処理を使用する位相シフト)を使用する実装例、及びアナログ位相シフトとデジタル位相シフトとの組み合わせを使用する実装例にも適用可能である。
【0165】
図示の実施形態において、第1アンテナ素子113a及び第2アンテナ素子113bは、距離dだけ分離される。付加的に、
図3Aには角度θが注釈されている。角度θは、この例において、送信ビーム方向がアンテナアレイ平面に実質的に直交するときに約90°の値を有し、送信ビーム方向がアンテナアレイ平面に実質的に平行なときに約0°の値を有する。
【0166】
アンテナ素子113a、113bに与えられる送信信号の相対的な位相を制御することにより、所望の送信ビーム角度θを達成することができる。例えば、第1位相シフタ130aが0°の基準値を有するとき、第2位相シフタ130bは、約-2πf(d/ν)cosθラジアンの位相シフトを与えるべく制御することができる。ここで、fは送信信号の基本周波数、dはアンテナ素子間の距離、νは放射波の速度、πは数学的定数パイである。
【0167】
所定の実装例において、距離dは、ほぼ(1/2)λとなるように実装される。ここで、λは、送信信号の基本成分の波長である。かかる実装例において、第2位相シフタ130bは、送信ビーム角度θを達成するべく約-πcosθラジアンの位相シフトを与えるように制御することができる。
【0168】
したがって、位相シフタ130a、130bの相対的な位相を、送信ビームフォーミングを与えるべく制御することができる。所定の実装例において、送受信器(例えば
図2の送受信器105)が、一つ以上の位相シフタの位相値を制御してビームフォーミングを制御する。
【0169】
図3Bは、受信ビームを与えるビームフォーミングの一例の模式的な図である。
図3Bは
図3Aと同様であるが、
図3Bが、送信ビームではなく受信ビームの文脈でビームフォーミングを示す点が異なる。
【0170】
図3Bに示されるように、第1位相シフタ130aと第2位相シフタ130bとの相対的な位相差を、所望の受信ビーム角度θを達成するべく-2πf(d/ν)cosθラジアンにほぼ等しくなるように選択することができる。距離dがほぼ(1/2)λに対応する実装例において、位相差は、受信ビーム角度θを達成するべく-πcosθラジアンにほぼ等しくなるように選択することができる。
【0171】
ビームフォーミングを与える位相値のための様々な式が与えられているにもかかわらず、アンテナアレイの実装、信号コンディショニング回路の実装、及び/又は無線環境に基づいて選択された位相値のような他の位相選択値も可能である。
【0172】
図3Cは、送信ビームを与えるビームフォーミングの他例の模式的な図である。
図3Cは、距離dがほぼ(1/2)λに対応する場合に対する
図3Aと同様であるが、
図3Cが第2高調波のビームフォーミングに関連する付加的な注釈を示す点が異なる。
図3Cに示されるように、基本周波数の2倍すなわち2foにおいて、第2高調波は、第1位相シフタ130aと第2位相シフタ130bとの位相差が2πcosθにほぼ等しい場合にビームフォーミングされる。
【0173】
図3Dは、受信ビームを与えるビームフォーミングの他例の模式的な図である。
図3Dは、距離dがほぼ(1/2)λに対応する場合に対する
図3Bと同様であるが、
図3Dが第2高調波のビームフォーミングに関連する付加的な注釈を示す点が異なる。
図3Cに示されるように、基本周波数の2倍すなわち2foにおいて、第2高調波は、第1位相シフタ130aと第2位相シフタ130bとの位相差が2πcosθにほぼ等しい場合にビームフォーミングされる。
【0174】
したがって、位相がπcosθの場合に所望の基本受信信号がビームフォーミングされる一方、位相が2πcosθの場合は第2高調波がビームフォーミングされる。
【0175】
図3Eは、ビームフォーミングの他例の模式的な図である。図示の例は、4つのアンテナ素子113a~113d及び4つの可変位相シフタ130a~130dの文脈におけるビームフォーミングを示す。この例は、送信ビームフォーミング及び受信ビームフォーミングの文脈において適用可能である。
【0176】
図示の例において、隣接するアンテナ素子に関連付けられる位相シフタは、基本ビームを与えるべく位相がほぼφINCの差だけ離れている。付加的に、第N高調波は、位相差がN*φINCにほぼ等しい場合に形成されるビームである。
【0177】
図3A~3Eを参照すると、説明される主要高調波ビームに加え、付加的な高調波ビームも形成することができる。これは、例えば、シミュレーション及び/又は測定によって識別することができる。付加的に、これらの例は、所定の数学モデルの文脈で記載されているが、基本及び/又は高調波ビームを、示された方向から操舵解除する他の因子も存在し得る。かかる因子は、送信器及び/若しくは受信器回路から生じる位相シフト、個々のアンテナ素子自体の固有の指向性、並びに/又は動作環境を含むがこれらに限られない。かかる因子は、周波数依存となり得るので、高調波ビームに対する基本周波数ビームの異なる操舵解除量を引き起こし得る。
【0178】
図4は、基地局151とユーザ機器152との間のビームフォーミングの一例の模式的な図である。
【0179】
図5は、ユーザ機器152と基地局151との間の基本ビームの一例の模式的な図である。
【0180】
図4及び5に示されるように、基地局151とユーザ機器152とは、長距離通信及び/又は高通信速度を目的として他のデバイスに向けて集中される基本ビームを使用して通信することができる。
【0181】
ここで本発明者は、基本周波数の信号が基本ビームを生成するべくビームフォーミングされるときに、高調波もまたビームフォーミングされて基本ビームに対して小さなビーム幅(高い指向性)の高調波ビームを形成することに気づいた。
【0182】
図示の例において、高調波ローブは、基本ビームと実質的に同じ方向であるが基本ビームよりは狭いビーム幅の高調波ローブを含む。
【0183】
ここに与えられるシステム及びデバイスは、受信ビームの、一つ以上の高調波ローブの方向に基づいて受信ビームのビーム操舵を与えることができる。
【0184】
この態様でビーム操舵を与えることにより、一定数の利点が得られる。例えば、無線ネットワークにおいて動作する通信デバイス又は基地局が、受信ブロッカー又はジャマーが存在する中で性能を高めるべくビームフォーミングの方向を動的に管理することができる。すなわち、通信が、高速、低干渉、優れたブロッカー性能、及び/又は他の利益とともに動作し得る。
【0185】
図6A~16Bは、基本及び高調波ビームフォーミングのシミュレーションの様々な例を示す。このシミュレーションにおいて、(グラフの原点に対する)ローブの長さは、ビームの電界強度の指標となる。様々な結果が示されるにもかかわらず、様々な因子に基づいて結果は異なり得る。
【0186】
図6Aは、2×2アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0187】
図6Bは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0188】
図6Cは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0189】
図7Aは、2×2アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
図7Bは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0190】
図7Cは、2×2アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0191】
図8Aは、2×2アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0192】
図8Bは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0193】
図8Cは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0194】
図9Aは、2×2アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0195】
図9Bは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0196】
図9Cは、2×2アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0197】
図10Aは、4×4アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0198】
図10Bは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0199】
図10Cは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0200】
図11Aは、4×4アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0201】
図11Bは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0202】
図11Cは、4×4アンテナアレイを使用した90°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0203】
図12Aは、4×4アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0204】
図12Bは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0205】
図12Cは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の2次元グラフである。
【0206】
図13Aは、4×4アンテナアレイを使用した50°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0207】
図13Bは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0208】
図13Cは、4×4アンテナアレイを使用した50°での第3高調波ビームフォーミングの一例に対する3次元シミュレーション結果である。
【0209】
図14A~16Bは、基本及び高調波ビームフォーミングのシミュレーションの様々な例を示す。シミュレーションは、8×8正方形アレイ対1×8線形アレイのビームフォーミングの比較を示す。様々な結果が示されるにもかかわらず、様々な因子に基づいて結果は異なり得る。
【0210】
図14Aは、8×8アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0211】
図14Bは、1×8アンテナアレイを使用した90°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0212】
図15Aは、8×8アンテナアレイを使用した75°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0213】
図15Bは、1×8アンテナアレイを使用した75°での基本ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0214】
図16Aは、8×8アンテナアレイを使用した75°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0215】
図16Bは、1×8アンテナアレイを使用した75°での第2高調波ビームフォーミングの一例に対するシミュレーション結果の3次元グラフである。
【0216】
シミュレーションにより示されるように、線形アレイを使用したビームフォーミングは、円板形状ビームパターンを生成し得る。付加的に、アレイのアンテナ素子への信号位相を制御することにより、円板形状ビームを傾けて円錐形状ビームにすることができる。付加的に、正方形アレイは、隣り合った多数の線形アレイのビームの重ね合わせを含み得るので、相対的に狭い複合ビームがもたらされる。
図16A及び16Bに示されるように、高調波は、線形アレイ及び正方形アレイ双方のためにビームフォーミングされる。
【0217】
図17Aは、ビーム操舵を有するRFシステム170の他実施形態の模式的な図である。RFシステム170は、アンテナアレイ102’、ビーム操舵回路106、信号コンディショニング回路154a’、154b…154m、及び結合器165を含む。付加的に、アンテナアレイ102’は、アンテナ素子103a、103b…103mを含む。
【0218】
3つのアンテナ素子及び対応する信号コンディショニング回路を有する一実施形態が示されるにもかかわらず、RFシステムは、楕円により示されるよりも多い又は少ないアンテナ素子及び/又は信号コンディショニング回路を含み得る.さらに、アンテナ素子は、一つのアレイに実装することができる。
【0219】
図17Aに示される実施形態において、各信号コンディショニング回路は、位相シフタ、電力増幅器、LNA、並びに当該電力増幅器及びLNAの選択を制御するスイッチを含む。
図17Aに示されるように、信号コンディショニング回路154a’は、位相シフタ160a、電力増幅器161a、LNA162a、及び一群のスイッチを含む。付加的に、信号コンディショニング回路154bは、位相シフタ160b、電力増幅器161b、LNA162b、及び一群のスイッチを含む。さらに、信号コンディショニング回路154mは、位相シフタ160m、電力増幅器161m、LNA162m、及び一群のスイッチを含む。
図17Aに示されるように、各位相シフタからの位相シフト済み受信信号は、結合器165により結合されて受信ビーム信号RXが生成される。
【0220】
電力増幅器及びLNAを有する信号コンディショニング回路の一例が示されるにもかかわらず、信号コンディショニング回路の他の実装例も可能である。例えば、信号コンディショニング回路は、例えばスイッチ、位相シフタ、フィルタ、増幅器、周波数マルチプレクサ及び/又は他のコンポーネントを含む回路及び/又は付加回路の他の配列を含んでよい。
【0221】
図17Aに示されるように、信号コンディショニング回路154’はまた、高調波電力レベルを示す検出信号をビーム操舵回路106に与える高調波電力検出器163を含む。検出信号は、第2及び/又は第3高調波周波数のような一つ以上の高調波周波数の電力レベルを示すことができる。
【0222】
ビーム操舵回路106は、高調波電力検出器163を含むことにより、ビーム操舵回路106が受信ビームの操舵角を決定する支援となり得る受信高調波電力の合計量を決定することができる。
【0223】
一つの高調波電力検出器を有する一実施形態が示されるにもかかわらず、他の信号コンディショニング回路が付加的又は代替的に高調波電力検出器を含んでよい。さらに、高調波電力検出器がLNAの出力部に位置決めされた一実施形態が
図17Aに示されるにもかかわらず、高調波電力検出器は、高調波電力を検出するのに適切な他の位置に置かれてもよい。
【0224】
高調波電力検出器163は、ピーク検出器及び/又は平均検出器を使用することを含むがこれに限られない多種多様な態様で実装することができる。
【0225】
図17Bは、ビーム操舵を有するRFシステム180の他実施形態の模式的な図である。RFシステム180は、アンテナアレイ102’、ビーム操舵回路106’、信号コンディショニング回路154a、154b…154m、高調波電力検出器164、及び結合器165を含む。
【0226】
図17BのRFシステム180は
図17AのRFシステム170と同様であるが、RFシステム180は、高調波電力検出器164が結合器165の後ろに位置決めされて受信ビームRXにおける高調波電力の量を検出する実装例を含む点で異なる。
【0227】
高調波電力検出器164をこの態様で位置決めすることにより、ビーム操舵回路106’は、受信ビームRXを、当該ビームに存在する高調波電力の検出量に基づいて操舵することができる。
【0228】
図17Cは、ビーム操舵を有するRFシステム190の他実施形態の模式的な図である。RFシステム190は、アンテナアレイ102’、ビーム操舵回路106’、信号コンディショニング回路154a、154b…154m、高調波電力検出器164、及び結合器165を含む。
【0229】
RFシステム190は、
図17Aの高調波電力検出器163及び
図17Bの高調波電力検出器164の双方を含む。すなわち、ビーム操舵回路106’’には、無線環境における高調波の電力を示す高調波電力検出器163からの第1検出信号と、受信ビームの高調波電力の量を示す高調波電力検出器164からの第2検出信号とが与えられる。すなわち、ビーム操舵回路106’’は、ローカル無線環境における高調波電力の量と、RFシステム190が高調波電力のソースに向けて操舵され又は差し向けられているか否かとの双方に基づいてビーム操舵を制御する。
【0230】
高調波ビームフォーミングに基づく試験箇所決定を使用した試験機器及び試験方法の例
【0231】
ビームフォーミングを使用してアンテナから送信するとき、アレイのアンテナ素子からの個々の信号は、建設的及び破壊的干渉を使用して組み合わされ、アンテナアレイから離れる所与の方向に伝播する信号強度を有するビーム状の品質を示す集約送信信号を生成する。ここで本発明者は、基本周波数の信号が基本ビームを生成するべくビームフォーミングされるときに、高調波もまたビームフォーミングされて基本ビームに対して小さなビーム幅(高い指向性)の高調波ビームを形成することに気づいた。
【0232】
高調波ビームフォーミングに基づく無線周波数エミッション試験のための装置及び方法がここに与えられる。所定の構成において、エミッション遵守を目的とするセルラー通信アセンブリの放射試験の方法が与えられる。方法は、対応するセルラー通信アセンブリのアンテナアレイを使用して、その製造後に信号ビームを送信することを含む。この信号ビームは、基本ローブ、及び一つ以上の高調波ローブを含む。方法はさらに、試験機器を使用して、基本ローブの方向の検出に基づいて信号ビームの、一つ以上の試験箇所を決定することを含む。試験箇所は、高調波ローブに関連付けられた箇所に対応する。方法はさらに、試験機器を使用して一つ以上の試験箇所のそれぞれにおける高調波エミッションのレベルを評価することと、各試験された箇所における高調波エミッションのレベルが予め定められたしきい値を下回ると決定された場合、当該対応するセルラー通信アセンブリがエミッション試験に適合すると立証することとを含む。
【0233】
したがって、高調波試験は、高調波ローブに関連付けられた試験箇所において行われ、ひいては高い高調波に関連付けられた箇所に試験を集中させることができる。試験時間を低減するべく、高調波試験は、高調波ローブから離れた位置では省略される。すなわち、試験箇所における高調波エミッションのレベルがしきい値未満の場合、セルラー通信アセンブリはエミッション試験に適合する。しかしながら、試験箇所の一つ以上において高調波エミッションのレベルがしきい値よりも大きい場合、セルラー通信は、エミッション試験に適合するものではないと立証される。
【0234】
エミッション試験をこの態様で与えることにより、高調波エミッションの高い可能性に関連付けられた試験箇所を特定し、迅速な試験時間を達成することができる。すなわち、品質保証チェック、性能レベル試験、較正試験、認証試験、及び/又は適合性試験を、短い試験時間で行うことができる。所定の実施形態において、試験は、10以下の試験箇所で、例えば5未満の試験箇所で行われる。
【0235】
これとは対照的に、従来の試験方法は、例えばセルラー通信アセンブリまわりの完全な球を覆う数百もの試験ポイントにおける、多数の試験箇所を含み得る。
【0236】
ビームフォーミングにより動作する多種多様なタイプのセルラー通信アセンブリを、ここの教示に従って試験することができる。かかるセルラー通信アセンブリの例は、パッケージ状半導体コンポーネント(パッケージ状ダイを含む)、無線周波数モジュール(マルチチップモジュールすなわちMCMを含む)、及び/又は無線周波数デバイス(例えば携帯電話機、タブレット、ラップトップ、及びウェアラブル電子機器)を含むがこれらに限られない。さらに、かかるセルラー通信アセンブリは、部分的に製造されたコンポーネント、モジュール又はデバイスを含み得る。
【0237】
所定の実装例において、エミッション試験は、完全に自動化することができる。例えば、試験機器は、被試験デバイス(例えばモジュール、携帯電話機、又は他の適切な無線通信アセンブリ)を試験エリア(例えば無響室)の中へ又は外へ動かすべく使用される自動化されたハンドラを含み得る。付加的に、被試験デバイスは、高調波エミッションのための試験箇所を決定するべく試験機器により処理される送信ビームを生成することができる。すなわち、高調波ビームフォーミングに関連付けられた箇所を特定して試験し、被試験デバイスが高調波試験に合格するか否かを決定することができる。
【0238】
放射試験は、スプリアスエミッション試験、第2高調波エミッション試験、第3高調波エミッション試験、放射性エミッション試験、放射性イミュニティ試験及び/又は電磁適合性(EMC)を含むがこれらに限られない多種多様なタイプのエミッション試験に対応し得る。かかる試験の例は、国際電気通信連合(ITU)、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)、電波産業協会(ARIB)、電気通信技術委員会(TTC)、中国通信規格協会(CCSA)、米国電気通信業界ソリューション協会(ATIS)、電気通信技術協会(TTA)、欧州電気通信標準化機構(ETSI)、インド電気通信標準化協会(TSDSI)、連邦通信委員会(FCC)、米国規格協会(ANSI)、及び/又は国際電気標準会議(IEC)により公布された仕様、推奨及び/又は基準を含むがこれらに限られない。
【0239】
エミッション試験は、無響室、半無響室、ギガヘルツ横電磁セル(GTEM)、残響室、RF遮蔽ルーム若しくはチャンバ、オープンエリア試験サイト(OATS)、及び/又は、例えば工場のフロアのような工場若しくは製造現場において動作する自動化又は半自動化試験機器を使用して多種多様な態様で行うことができる。
【0240】
エミッション試験は、例えばミリメートル波キャリア(例えば30GHzから300GHz)、センチメートル波キャリア(例えば3GHzから30GHz)、及び/又は他のキャリア周波数を含む多種多様な周波数で行うことができる。
【0241】
図18は、高調波ビームフォーミングに基づく試験箇所決定を有する試験機器300の一実施形態の模式的な図である。試験機器300は、測定アンテナ301、信号アナライザ302、試験箇所決定システム303、ハンドラ304、制御器306、及び温度ユニット又はコントローラ307を含む。試験機器300は、被試験デバイス308のような、ビームフォーミングにより動作する被試験デバイスを迅速に試験するべく使用される。試験機器300はまた、ここで、自動化電子試験システム又は自動試験機器(ATE)とも称する。
【0242】
図18が一実施形態に係る試験機器を示すにもかかわらず、ここでの教示は、多種多様な態様で実装される試験機器にも適用可能である。
【0243】
試験機器300により、製造又は部分的製造後の被試験デバイスの製造スループットが改善され及び/又はエミッション遵守のための迅速な試験が得られる。所定の実装例において、被試験デバイス308は、パッケージ状半導体コンポーネント、無線周波数モジュール及び/又は無線周波数デバイスのようなセルラー通信アセンブリに対応する。
【0244】
試験機器300は、被試験デバイス308(例えばセルラー通信アセンブリ)の無線エミッション性能を試験し、被試験デバイス308が所定の性能仕様及びパラメータで動作することを保証するべく使用することができる。試験機器300は、迅速に被試験デバイス(例えば被試験デバイス308)の測定を行って試験結果を評価するべく自動化を使用する。試験機器300は、試験時間をスピードアップするべく、製造アセンブリラインに関する問題を改善若しくは特定するべく、並びに/又は顧客及び/若しくはエンドユーザに届けられる欠陥デバイスの数を低減するべく、使用することができる。
【0245】
測定アンテナ301は、被試験デバイス308から無線送信されるRF信号を受信するべく動作する。例えば、試験機器300は、ビームフォーミングされた送信ビームを無線受信して被試験デバイス308から送信するべく、測定アンテナ301を使用することができる。送信ビームは、基本ローブと、ビームフォーミングから生じる一つ以上の高調波ローブとを含む。測定アンテナ301は、ワイヤアンテナ、進行波アンテナ、反射器アンテナ、マイクロストリップアンテナ、アパチャアンテナ及び/又は任意の他の適切なタイプのアンテナを含むがこれらに限られない多種多様なタイプの、一つ以上のアンテナを含み得る。所定の実装例において、測定アンテナ301は一つ以上のアンテナアレイを含む。
【0246】
信号アナライザ302は、測定アンテナ301を介して被試験デバイス308から受信したRF信号を分析するべく使用することができる。例えば、信号アナライザ302は、スペクトルコンテンツを含むがこれに限られない多種多様なRF信号特性を検出するべく、受信RF信号を処理することができる。
【0247】
ハンドラ304は、被試験デバイス308を物理的に動かし又は位置決めするべく使用することができる。これは、例えば、試験プラットフォーム(例えば
図19の試験プラットフォーム403)へと又は当該試験プラットフォームから被試験デバイス308を動かすことを含む。
【0248】
所定の実装例において、ハンドラ304は、被試験デバイス308と、真空吸引を使用して被試験デバイス308をハンドラ304に保持するプランジャとを動かすことに役立つ機械アームを含み得る。しかしながら、ハンドラ304の他の実装例も使用することができる。これは、例えば、ハンドラ304が、被試験デバイス308を他の態様で固定する実装例を含む。
【0249】
ハンドラ304は、試験機器300のコンポーネントに対する所望の箇所及び/又は配向における被試験デバイス308の位置決めを支援する。例えば、ハンドラ304は、測定アンテナ301に対する所望の箇所に被試験デバイス308を配置し、ひいては当該測定アンテナが、特定の方向及び/又は距離で被試験デバイス308から放射されたRF波を受信できるように、使用することができる。
【0250】
ハンドラ304が、被試験デバイス308を試験機器300に対して位置決めするべく使用することができる。付加的及び/又は代替的に、試験機器300は、被試験デバイス308に対する試験機器300のコンポーネントの箇所を制御するべく移動可能及び/又は回転可能な部品を含み得る。一例において、測定アンテナ301は、移動可能コンポーネントに含められる。
【0251】
試験箇所決定システム303は、エミッション試験を行う試験箇所を選択するべく使用される。所定の実装例において、試験箇所決定システム303はさらに、測定アンテナ301に対する被試験デバイス308の相対箇所を制御することにより、エミッション試験のためのコンポーネントの配置をコーディネートする。所定の実装例において、試験箇所決定システム303は、データを処理して試験機器300の動作を制御するのに適切なコンピュータ処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、マクロコントローラ、及び/又は他の適切な電子ハードウェアを含む。所定の実装例において、かかるハードウェアは、実行ソフトウェアに部分的に基づいて動く。
【0252】
所定の実施形態において、被試験デバイス308及び/又は測定アンテナ301は、被試験デバイス308から送信された基本ローブを最初に測定又は試験するように位置決めされる。付加的に、測定アンテナ301からのRF信号測定値が信号アナライザ302によって分析され、被試験デバイス308から送信された基本ローブの方向及び/又は強度が決定される。基本ローブの方向及び/又は強度に基づいて、試験箇所決定システム303は、エミッション試験のための一つ以上の試験箇所を決定する。試験箇所は、高調波ローブに関連付けられた箇所に対応する。
【0253】
所定の実装例において、試験箇所は、任意の適切な箇所推定アルゴリズム及び/又はモードを使用することに基づいて高調波ローブの一箇所を推定することによって決定される。例えば、
図3A~16Bを参照して上述されたように、高調波ローブの箇所は、基本ローブの箇所に関連する。すなわち、高調波ローブの箇所は、測定アンテナ301及び信号アナライザ302により集められて基本ローブの方向及び/又は強度を示すデータに基づいて推定することができる。
【0254】
その後、各試験箇所について、被試験デバイス308及び/又は測定アンテナ301を互いに対して動かして、当該試験箇所におけるエミッションレベルを測定するように試験機器300を構成することができる。各試験箇所におけるエミッションレベルは、測定アンテナ301及び信号アナライザ302を使用して並びに/又は他の適切な試験コンポーネントを使用して測定することができる。
【0255】
試験箇所における高調波エミッションのレベルがしきい値未満の場合、セルラー通信アセンブリは、エミッション試験に適合する。しかしながら、試験箇所の一つ以上において高調波エミッションのレベルがしきい値よりも大きい場合、セルラー通信は、エミッション試験に適合するものではないと立証される。所定の実装例において、しきい値は、上述したもののいずれかのような規制機関及び/又は標準化団体により公布された試験仕様、推奨及び/又は基準によって設定された許容可能なエミッションのレベルに対応する。
【0256】
したがって、高調波試験は、高調波ローブに関連付けられた試験箇所において行われ、ひいては高い高調波に関連付けられた箇所に試験を集中させることができる。試験時間を低減するべく、高調波試験は、高調波ローブから離れた位置では省略される。
【0257】
エミッション試験をこの態様で与えることにより、高調波エミッションの高い可能性に関連付けられた試験箇所を特定し、迅速な試験時間を達成することができる。すなわち、品質保証チェック、性能レベル試験、較正試験、認証試験、及び/又は適合性試験を、短い試験時間で行うことができる。これとは対照的に、従来の試験方法は、被試験デバイスまわりの完全な球を覆う多数の試験箇所を含み得る。
【0258】
温度ユニット307は、試験機器300及び/又は被試験デバイス308の温度を制御及び/又は監視するべく使用することができる。これにより、制御された試験環境が得られ、及び/又は測定値を温度に対して追跡することができる。所定の実装例において、試験機器300は、2つ以上の異なる温度においてエミッション試験を行うことができる。
【0259】
コントローラ306は、測定アンテナ301、信号アナライザ302、試験箇所決定システム303、ハンドラ304及び/又は温度ユニット307のような、試験機器300のコンポーネントに関連付けられた様々な制御機能を同期させ及び/又は与えるべく使用することができる。所定の実装例において、コントローラ306はまた、被試験デバイス308のビーム送信を制御し又は指示する。コントローラ306は、プロセッサ又は他の適切な電子ハードウェアを使用することを含むがこれらに限られない多種多様な態様で実装することができる。所定の実装例において、コントローラ306、及び試験箇所決定システム303のような試験機器300の他の機能を実装するべく、共通ハードウェア(例えばコンピュータ処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、マイクロコントローラ及び/又は他の適切な電子ハードウェア)が使用される。
【0260】
明確性を目的として所定のコンポーネントを含む試験機器300が示されかつ記載されてきたにもかかわらず、試験機器300は、修正され又は他の態様に適合され得る。例えば、試験機器300はさらに、電源、センサ、デジタル信号処理計器、並びに/又はケーブル及び相互接続部のような付加的なコンポーネントを含み得る。
【0261】
図19は、高調波ビームフォーミングに基づく試験箇所決定を有する試験機器400の他実施形態の模式的な図である。試験機器400は、ハウジング401、回転可能チャンバ402、回転可能試験プラットフォーム403、及び測定アンテナ404を含む。図示の実施形態において、被試験デバイス408(この例では携帯デバイス)が回転可能チャンバ402の中に位置決めされている。
図19に示されるように、回転可能チャンバ402は、信号反射を抑制するべく動作可能な内壁405を含むことにより、回転可能チャンバ402に無響特性を与える。
【0262】
図示の実施形態において、プラットフォーム402は、
図19に対して垂直方向に延びる軸まわりに回転可能である。付加的に、回転可能チャンバ402は、円筒形状で実装され、当該円筒の軸まわりに回転可能である。付加的に、ハウジング401は、プラットフォーム403及び回転可能チャンバ402の回転を制御し、ひいては被試験デバイス408と測定アンテナ404との相対位置を制御するべく構成された電子機器(例えば試験箇所決定システム及び/又はコントローラ)を含む。
【0263】
図19の試験機器400は、高調波ビームフォーミングに基づく試験箇所決定とともに動作するのに適切な試験機器の一実施形態を示す。例えば、試験機器400は、試験箇所決定システム(例えば
図18の試験箇所決定システム303)を実装することができるので、高調波ローブに関連付けられた試験箇所においてエミッション試験を行うことができる。試験機器400が、高調波ビームフォーミングに基づく試験箇所決定を有する試験機器の一実施形態を示すにもかかわらず、ここでの教示は、多種多様な態様で実装された試験機器に適用可能である。
【0264】
エミッション試験をこの態様で与えることにより、高調波エミッションの高い可能性に関連付けられた試験箇所を特定し、迅速な試験時間を達成することができる。すなわち、品質保証チェック、性能レベル試験、較正試験、認証試験、及び/又は適合性試験を、短い試験時間で行うことができる。
【0265】
図20は、一実施形態に係るエミッション試験の方法450の模式的な図である。理解されることだが、方法450は、これよりも多い又は少ない動作を含んでよく、当該動作は、必要に応じて任意の順序で行うことができる。図示の方法450は、セルラー通信アセンブリを含むがこれに限られない多種多様な被試験デバイスを試験するべく使用することができる。方法450は、自動又は半自動試験機器のような任意の適切な試験機器によって行うことができる。一実施形態において、方法450は、
図18の試験機器300によって行われる。他実施形態において、方法450は、
図19の試験機器400によって行われる。
【0266】
方法450がエミッション試験の方法の一実施形態を示すにもかかわらず、ここでの教示は、多種多様な態様で実装された試験方法に適用可能である。
【0267】
方法450は、セルラー通信アセンブリのアンテナアレイを使用して、その製造(完全な製造又は部分的な製造を含む)の後に、基本ローブと一つ以上の高調波ローブとを含む信号ビームが送信されるブロック451から開始する。
【0268】
ステップ451から開始するように示されるにもかかわらず、方法450は、ステップ451に先行する付加的なステップを含んでよい。例えば、所定の実装例において、信号ビームの送信に先立って(例えば試験チャンバの中へ及び/又は試験プラットフォームの上へ)セルラー通信アセンブリを移動させるべく自動ハンドラ(例えば
図18のハンドラ304)が使用される。
【0269】
次のブロック452において、信号ビームの一つ以上の試験箇所が、試験機器を使用した基本ローブの方向の検出に基づいて決定される。一つ以上の試験箇所は、一つ以上の高調波ローブに関連付けられた箇所に対応する。所定の構成において、基本ローブの方向を検出することは、一つ以上の測定アンテナ(例えば
図18の測定アンテナ301)を使用して信号ビームを受信することと、信号アナライザ(例えば
図18の信号アナライザ302)を使用して受信信号を分析することと、試験箇所決定システム(例えば
図18の試験箇所決定システム303)を使用して一つ以上の試験箇所を決定することとを含む。
【0270】
方法450は、試験機器を使用して各試験箇所における高調波エミッションのレベルが評価されるブロック453へと続く。所定の実装例において、高調波エミッションが各試験箇所において測定されるのは、セルラー通信アセンブリ(例えば
図18の被試験デバイス308)と一つ以上の測定アンテナ(例えば
図18の測定アンテナ301)との相対位置を当該試験箇所に到達するように制御することと、任意の適切な試験機器(例えば
図18の測定アンテナ301及び信号アナライザ302)を使用して当該試験箇所におけるエミッションレベルを測定することとによる。
【0271】
次のブロック454において、各試験箇所における高調波エミッションのレベルが予め定められたしきい値を下回ると決定された場合、セルラー通信アセンブリが、エミッション試験に適合すると立証される。
【0272】
すなわち、試験箇所における高調波エミッションのレベルがしきい値未満の場合、セルラー通信アセンブリはエミッション試験に適合する。しかしながら、試験箇所の一つ以上において高調波エミッションのレベルがしきい値よりも大きい場合、セルラー通信は、エミッション試験に適合するものではないと立証される。
【0273】
方法450がブロック454において終了するように示されるにもかかわらず、方法450は、多数のセルラー通信アセンブリを試験するべく反復的に繰り返されてよい。例えば、方法は、次のセルラー通信アセンブリに対してブロック451から再び開始してよい。
【0274】
RFシステム、モジュール及びデバイスの例
【0275】
図21は、モジュール680の一実施形態の平面図である。モジュール680は、アンテナアレイ681、基板682、封入体683、IC684、表面マウントデバイスすなわちSMD685、集積受動デバイスすなわちIPD686、及び遮蔽体687を含む。モジュール680は、ビーム制御を与える通信デバイスのモジュールに含まれ得るコンポーネント及び構造の様々な例を示す。
【0276】
コンポーネント及び構造の組み合わせの一例が示されるにもかかわらず、モジュールは、これよりも多い又は少ないコンポーネント及び/又は構造を含み得る。
【0277】
図22Aは、モジュール700の他実施形態の斜視図である。
図22Bは、
図22Aのモジュール700の22B-22B線に沿った断面である。
【0278】
モジュール700は、積層材基板すなわち積層材701、半導体ダイすなわちIC702(
図22Aでは不可視)、SMD(
図22Aでは不可視)、及び、アンテナ素子710a1、710a2、710a3…710an、710b1、710b2、710b3…710bn、710c1、710c2、710c3…710cn、710m1、710m2、710m3…710mnを含むアンテナアレイを含む。
【0279】
図22A及び22Bに示されないにもかかわらずモジュール700は、明確性を目的として図面から省略されていた付加的な構造及びコンポーネントを含み得る。さらに、モジュール700は、特定のアプリケーション及び/又は実装に対して望ましい多種多様な態様で修正し又は適合させることができる。
【0280】
アンテナ素子710a1、710a2、710a3…710an、710b1、710b2、710b3…710bn、710c1、710c2、710c3…710cn、710m1、710m2、710m3…710mnが積層材701の第1表面に形成され、実装に基づいて信号を受信及び/又は送信するべく使用することができる。4×4アレイのアンテナ素子が示されるにもかかわらず、楕円により示されるように、これよりも多い又は少ないアンテナ素子が可能である。さらに、アンテナ素子は、例えばアンテナ素子の不均一な配列を使用するアレイを含む他のパターン又は構成でアレイにすることができる。さらに、他実施形態において、送信及び受信のための別個のアンテナアレイのような多数のアンテナアレイが設けられる。図示の実施形態において、IC702が、第1表面に対向する積層材701の第2表面に存在する。しかしながら、他の実装例も可能である。一例において、IC702は、積層材701に内部的に統合される。
【0281】
所定の実装例において、IC702は、アンテナ素子710a1、710a2、710a3…710an、710b1、710b2、710b3…710bn、710c1、710c2、710c3…710cn、710m1、710m2、710m3…710mnに関連付けられた信号コンディショニング回路と、高調波ローブに関連する一つ以上の考慮に基づいて信号コンディショニング回路を動的に制御するビーム操舵回路とを含む。一つの半導体チップを有する実装例が示されるにもかかわらず、ここでの教示は、付加的なチップを有する実装例にも適用可能である。
【0282】
積層材701は、例えば導電層、誘電層及び/又ははんだマスクのような様々な構造物を含み得る。当該層を形成するべく使用される層の数、層の厚さ、及び材料は、多種多様な因子に基づいて選択され、アプリケーション及び/又は実装により変わり得る。積層材701は、アンテナ素子の信号フィード及び/又はグランドフィードへの電気接続を与えるビアを含み得る。例えば、所定の実装例において、ビアは、IC702の信号コンディショニング回路と対応アンテナ素子との間に電気接続を与えるのを支援し得る。
【0283】
アンテナ素子710a1、710a2、710a3…710an、710b1、710b2、710b3…710bn、710c1、710c2、710c3…710cn、710m1、710m2、710m3…710mnは、多種多様な態様で実装されたアンテナ素子に対応し得る。一例において、アンテナ素子のアレイは、積層材701の第1側上にパターン状の導電層から形成されたパッチアンテナ素子を含む。グランドプレーンが、導電層を使用して積層材701の対向側に又は積層材701の内部に形成される。アンテナ素子の他例は、ダイポールアンテナ素子、セラミック共振器、スタンプ金属アンテナ、及び/又はレーザ直接構造化アンテナを含むがこれらに限られない。
【0284】
図23は、携帯デバイス800の一実施形態の模式的な図である。携帯デバイス800は、ベース帯域システム801、サブミリメートル波(mmW)送受信器802、サブmmWフロントエンドシステム803、サブmmWアンテナ804、電力管理システム805、メモリ806、ユーザインタフェイス807、mmWベース帯域(BB)/中間周波数(IF)送受信器812、mmWフロントエンドシステム813、及びmmWアンテナ814を含む。
【0285】
携帯デバイス800は、2G、3G、4G(LTE、LTEアドバンスト及びLTEアドバンストプロを含む)、5G NR、WLAN(例えばWi-Fi)、WPAN(例えばブルートゥース(登録商標)及びZigBee(登録商標))、WMAN(例えばWiMax)、及び/又はGPS技術を含むがこれらに限られない多種多様な通信技術を使用して通信するべく使用することができる。
【0286】
図示の実施形態において、サブmmW送受信器802、サブmmWフロントエンドシステム803、及びサブmmWアンテナ804が、センチメートル波、及びミリメートル波周波数未満の他の無線周波数信号を送信及び受信する役割を果たす。付加的に、mmW BB/IF送受信器812、mmWフロントエンドシステム813、及びmmWアンテナ814が、ミリメートル波を送信及び受信する役割を果たす。一つの特定例が示されるにもかかわらず、異なる周波数範囲にわたって動作する回路を使用して動作する携帯デバイスを含むがこれらに限られない他の実装例も可能である。
【0287】
サブmmW送受信器802は、送信のためのRF信号を生成し、サブmmWアンテナ804から受信した入来RF信号を処理する。理解されることだが、RF信号の送信及び受信に関連付けられた様々な機能は、サブmmW送受信器802として
図23にまとめて表されている一つ以上のコンポーネントによって達成することができる。一例において、所定タイプのRF信号を扱うべく別個のコンポーネント(例えば別個の回路又はダイ)を設けることができる。
【0288】
サブmmWフロントエンドシステム803は、アンテナ804に送信及び/又はアンテナ804から受信された信号のコンディショニングを補助する。図示の実施形態において、フロントエンドシステム803は、電力増幅器(PAs)821、低雑音増幅器(LNAs)822、フィルタ823、スイッチ824及びデュプレクサ825を含む。しかしながら、他の実装例も可能である。
【0289】
例えば、サブmmWフロントエンドシステム803は、送信のための信号増幅、受信信号の増幅、信号のフィルタリング、異なる帯域間のスイッチング、異なる電力モード間のスイッチング、送信モード及び受信モード間のスイッチング、信号のデュプレクシング、信号のマルチプレクシング(例えばダイプレクシング又はトライプレクシング)、又はこれらの何らかの組み合わせを含むがこれらに限られない一定数の機能を与えることができる。
【0290】
所定の実装例において、携帯デバイス800はキャリアアグリゲーションをサポートするので、ピークデータレートを増加させる柔軟性が得られる。キャリアアグリゲーションは、周波数分割デュプレクシング(FDD)及び時分割デュプレクシング(TDD)の双方に使用することができ、複数のキャリア又はチャネルを集約するべく使用され得る。キャリアアグリゲーションは、同じ動作周波数帯域内の隣接キャリアが集約される隣接集約を含む。キャリアアグリゲーションはまた、不連続であってもよく、共通の帯域内の又は異なる帯域における周波数が分離されたキャリアを含んでよい。
【0291】
サブmmWアンテナ804は、多種多様なタイプの通信のために使用されるアンテナを含み得る。例えば、サブmmWアンテナ804は、多種多様な周波数及び通信規格に関連付けられた信号を送信及び/又は受信するアンテナを含み得る。
【0292】
mmW BB/IF送受信器812は、送信のためのミリメートル波信号を生成し、mmWアンテナ814から受信した入来ミリメートル波信号を処理する。理解されることだが、RF信号の送信及び受信に関連付けられた様々な機能は、mmW送受信器812として
図23にまとめて表されている一つ以上のコンポーネントによって達成することができる。mmW BB/IF送受信器812は、実装に基づいてベース帯域周波数又は中間周波数で動作することができる。
【0293】
mmWフロントエンドシステム813は、mmWアンテナ814に送信及び/又はmmWアンテナ814から受信された信号のコンディショニングを補助する。図示の実施形態において、フロントエンドシステム803は、電力増幅器831、低雑音増幅器832、スイッチ833、アップコンバータ834、ダウンコンバータ835及び位相シフタ836を含む。しかしながら、他の実装例も可能である。一例において、携帯デバイス800は、BB mmW送受信器とともに動作し、アップコンバータ及びダウンコンバータはmmWフロントエンドシステムから省略されている。他例において、mmWフロントエンドシステムはさらに、ミリメートル波信号をフィルタリングするフィルタを含む。
【0294】
mmWアンテナ814は、多種多様なタイプの通信のために使用されるアンテナを含み得る。mmWアンテナ814は、多種多様な態様で実装されたアンテナ素子を含み、所定の構成において、アンテナ素子は、一つ以上のアンテナアレイを形成するべく配列される。ミリメートル波アンテナアレイのためのアンテナ素子の例は、パッチアンテナ、ダイポールアンテナ素子、セラミック共振器、スタンプ金属アンテナ及び/又はレーザ直接構造化アンテナを含むがこれらに限られない。
【0295】
所定の実装例において、携帯デバイス800は、MIMO通信及び/又は切り替えダイバーシティ通信をサポートする。例えば、MIMO通信は、単数の無線周波数チャネルを経由して多数のデータストリームを通信するべく多数のアンテナを使用する。MIMO通信は、高い信号対雑音比、符号化の改善、及び/又は無線環境の空間的なマルチプレクシング差異に起因する信号干渉の低減により利益を受ける。切り替えダイバーシティとは、特定のアンテナが特定の時刻に動作するべく選択される通信を称する。例えば、観測されたビットエラーレート及び/又は信号強度インジケータのような様々な因子に基づいて一群のアンテナから特定のアンテナを選択するべく、スイッチを使用することができる。
【0296】
携帯デバイス800は、ビームフォーミングによって動作する。例えば、mmWフロントエンドシステム813は、mmW BB/IF送受信器812により制御される可変位相を有する位相シフタを含む。付加的に、位相シフタは、mmWアンテナ814を使用した信号の送信及び/又は受信のためのビームフォーメーション及び指向性を与えるべく制御される。例えば、信号送信の文脈において、送信のために使用されるアンテナアレイに与えられる送信信号の位相は、放射された信号が、建設的及び破壊的干渉を使用して組み合わされ、所与の方向に伝播する信号強度のビーム状の品質を示す集約送信信号を生成するように制御される。信号受信の文脈において、位相は、信号が特定の方向からアンテナアレイに到着しているときに多くの信号エネルギーが受信されるように制御される。
【0297】
ベース帯域システム801は、音声及びデータのような様々なユーザ入力及び出力(I/O)の処理を容易にするべくユーザインタフェイス807に結合される。ベース帯域システム801は、送信のためのRF信号を生成するべく送受信器によって処理される送信信号のデジタル表現を有するサブmmW及びmmW送受信器を与える。ベース帯域システム801はまた、送受信器により与えられるデジタル表現の受信信号を処理する。
図23に示されるように、ベース帯域システム801は、携帯デバイス800の動作を容易にするべくメモリ806に結合される。
【0298】
メモリ806は、携帯デバイス800の動作を容易にするべく、及び/又はユーザ情報の格納を与えるべく、データ及び/又は命令を格納することのような、多種多様な目的のために使用することができる。
【0299】
電力管理システム805は、携帯デバイス800の一定数の電力管理機能を与える。所定の実装例において、電力管理システム805は、フロントエンドシステムの電力増幅器の供給電圧を制御するPA供給制御回路を含む。例えば、電力管理システム805は、電力付加効率(PAE)のような効率を改善するべく、当該電力増幅器の一つ以上に与えられる供給電圧を変化させるように構成することができる。
【0300】
所定の実装例において、電力管理システム805は、電池から電池電圧を受ける。電池は、携帯デバイス800において使用される任意の適切な電池であってよく、例えばリチウムイオン電池を含む。
【0301】
むすび
【0302】
上述した実施形態のいくつかが、無線通信デバイスに接続されたビーム制御の例を与えてきた。しかしながら、こうした実施形態の原理及び利点は、ここに説明される回路及びシステムから有益となる任意の他のシステム又は装置のために使用することができる。
【0303】
本明細書及び特許請求の範囲全体にわたり、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「含む」等の用語は、排他的又は網羅的な意味とは反対の包括的意味に、すなわち「~を含むがこれらに限られない」との意味に解釈すべきである。ここで一般に使用される単語「結合」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。同様に、ここで一般に使用される単語「接続」は、直接接続されるか又は一つ以上の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2つ以上の要素を言及する。加えて、単語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の単語は、本アプリケーションにおいて使用される場合、本アプリケーション全体を言及し、本アプリケーションの任意の固有部分を言及するわけではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する上述の詳細な説明における用語はそれぞれ、複数又は単数をも含み得る。2つ以上の項目のリストを言及する単語「又は」及び「若しくは」は、当該単語の以下の解釈のすべてをカバーする。すなわち、当該リストの任意の項目、当該リストのすべての項目、及び当該リストの項目の任意の組み合わせである。
【0304】
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例えば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないことが述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを伝えるように意図される。すなわち、かかる条件的言語は、特徴、要素及び/若しくは状態が一つ以上の実施形態にとって必要な任意の態様にあること、又は一つ以上の実施形態が必ず、筆者のインプット若しくは促しありで若しくはなしで、これらの特徴、要素及び/若しくは状態が任意の固有実施形態に含まれ若しくは当該実施形態で行われるか否かを決定するロジックを含むこと、を示唆することを一般には意図しない。
【0305】
本発明の実施形態の上記詳細な説明は、排他的であることすなわち本発明を上記開示の正確な形態に制限することを意図しない。本発明の及びその例の特定の実施形態が例示を目的として上述されたが、当業者が認識するように、本発明の範囲において様々な均等の修正も可能である。例えば、プロセス又はブロックが所与の順序で提示されるが、代替実施形態は、異なる順序でステップを有するルーチンを行うこと又はブロックを有するシステムを用いることができ、いくつかのプロセス又はブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらのプロセス又はブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。また、プロセス又はブロックが直列的に行われるように示されることがあるが、これらのプロセス又はブロックは、その代わりに、並列して行い又は異なる時に行うこともできる。
【0306】
ここに与えられた本発明の教示は、必ずしも上述のシステムに限られることがなく、他のシステムにも適用することができる。上述の様々な実施形態要素及び行為は、さらなる実施形態を与えるべく組み合わせることができる。
【0307】
本発明のいくつかの実施形態が記載されたが、これらの実施形態は、例のみとして提示されており、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載される新規な方法及びシステムは、様々な他の形態で具体化することができる。さらに、ここに記載される方法及びシステムの形態における様々な省略、置換及び変更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まるかかる形態又は修正をカバーすることが意図される。