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特許7063909アレルゲンの断片を含むポリペプチド構築物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】アレルゲンの断片を含むポリペプチド構築物
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20220426BHJP
   C07K 14/415 20060101ALI20220426BHJP
   C12N 15/29 20060101ALI20220426BHJP
   C07K 14/02 20060101ALI20220426BHJP
   C07K 14/005 20060101ALI20220426BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220426BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220426BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220426BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220426BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220426BHJP
   A61K 39/385 20060101ALI20220426BHJP
   A61K 39/36 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220426BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/415
C12N15/29
C07K14/02
C07K14/005
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/385
A61K39/36
A61P37/08
C12N15/62 Z
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2019536695
(86)(22)【出願日】2017-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017073808
(87)【国際公開番号】W WO2018054993
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】16189774.9
(32)【優先日】2016-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521165220
【氏名又は名称】ウォーグ ファーマシューティカルズ(ハンジュウ)カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【弁理士】
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】ホーホラトル,モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ストルツ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ノイバウアー,アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】ババエフ,エリヤフ
【審査官】池上 京子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520791(JP,A)
【文献】EbioMedicine,2016年,vol.11,p.43-57
【文献】J Allergy Clin Immunol,2015年,vol.135, no,5,p.1207-1217
【文献】J Immunol,2013年,vol.190,p.3068-3078
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
C12P 21/00-21/08
C12Q 1/00-3/00
A61K 38/00-38/58
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントを含むポリペプチド構築物であって、少なくとも2つの断片の各々は20から50個のアミノ酸残基からなり、少なくとも1つの断片は成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50に由来し、少なくとも1つの断片は成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基に由来し、
Amb a 1ファミリーのアレルゲンが、Amb a 1.0101、Amb a 1.0201、Amb a 1.0202、Amb a 1.0301、Amb a 1.0302、Amb a 1.0303、Amb a 1.0304、Amb a 1.0305、Amb a 1.0401、Amb a 1.0402、Amb a 1.0501およびAmb a 1.0502からなる群から選択され、
成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基に由来する少なくとも1つの断片が、成熟アレルゲンのアミノ酸残基243~253から367~373を含み
少なくとも2つの断片が、担体タンパク質と融合しているか、またはコンジュゲートしている、ポリペプチド構築物。
【請求項2】
Amb a 1ファミリーのアレルゲンが、Amb a 1.0101、Amb a 1.0201、Amb a 1.0305またはAmb a 1.0401である、請求項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項3】
成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50に由来する少なくとも1つの断片が、成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から20~40、好ましくはアミノ酸残基1から25~35、より好ましくはアミノ酸残基1から28~30を含む、請求項1または2に記載のポリペプチド構築物。
【請求項4】
少なくとも2つの断片が、25から45個、好ましくは25から40個、より好ましくは26から35個、より好ましくは28から34個のアミノ酸残基からなる、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項5】
AEDLQEILPVNETRRLTTSGAYNIIDGX(配列番号2)、AEDLQQILPSANETRSLTTXGTYNIIDGX(配列番号3)、AEGVGEILPSVNETRSLQAXEAYNIIDKX(配列番号4)、AEDVEEFLPSANETRRSLKAXEAHNIIDKX(配列番号5)およびそれらと少なくとも70%の同一性を有するそれらのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50に由来する少なくとも1つのアレルゲン断片を含み、Xは、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、Xは、システインまたはセリンである、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項6】
RXGFXQVVNNNYXWGXYAXGGSX1011PTIL(配列番号6)およびそれと少なくとも70%の同一性を有するそのバリアントから
なる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端に由来する少なくとも1つの断片を含み、Xは、システイン、セリン、ロイシンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、Xは、ヒスチジンまたはフェニルアラニンであり、Xは、フェニルアラニンまたはバリンであり、Xは、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xは、アルギニンまたはリシンであり、Xは、トレオニンまたはセリンであり、Xは、イソロイシンまたはロイシンであり、X10は、セリンまたはアラニンであり、X11は、グリシン、セリンまたはアラニンである、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項7】
12DPVLTPX13QX14AGMIPAEPGEX15161718LTSSAGVLSX19(配列番号7)およびそれと少なくとも70%の同一性を有するそのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端に由来する少なくとも1つの断片を含み、X12は、セリンまたはバリンであり、X13は、バリンまたはグルタミン酸であり、X14は、セリン、リシンまたはアスパラギンであり、X15は、アラニンまたはセリンであり、X16は、バリンまたはアラニンであり、X17は、ロイシンまたはイソロイシンであり、X18は、セリン、リシンまたはアルギニンであり、X19は、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在しない、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項8】
20RHGFFQVVNNNYDKWGSYAIGGSASPTIL(配列番号8)、X21RFGFFQVVNNNYDRWGTYAIGGSSAPTIL(配列番号9)、VDPVLTPEQSAGMIPAEPGESALSLTSSAGVLSX22(配列番号10)およびSDPVLTPVQSAGMIPAEPGEAAIKLTSSAGVLSX23(配列番号11)からなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端に由来する少なくとも1つの断片を含み、X20およびX21は、独立して、システイン、ロイシン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、X22およびX23は、独立して、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在しない、請求項1からのいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項9】
担体タンパク質が、50から300個、好ましくは60から250個、より好ましくは80から200個、より好ましくは100から200個のアミノ酸残基からなるウイルスタンパク質またはその断片である、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項10】
ウイルスタンパク質がカプシドタンパク質である、請求項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項11】
ウイルスタンパク質がヘパドナウイルス科のウイルスに由来する、請求項または10に記載のポリペプチド構築物。
【請求項12】
ヘパドナウイルス科のウイルスがB型肝炎ウイルスである、請求項11に記載のポリペプチド構築物。
【請求項13】
B型肝炎ウイルスのウイルスタンパク質が、PreS、PreSlまたはPreS2である、請求項12に記載のポリペプチド構築物。
【請求項14】
少なくとも2つのアレルゲン断片が、担体タンパク質のN末端および/またはC末端と融合している、請求項から13のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項15】
前記少なくとも2つの断片のうちの少なくとも1つが担体タンパク質のN末端と融合しており、前記少なくとも2つの断片のうちの少なくとも1つが担体タンパク質のC末端と融合している、請求項から14のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項16】
1から10個、好ましくは2から8個、より好ましくは3から6個の、担体タンパク質のN末端および/またはC末端と融合した断片を含む、請求項から15のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項17】
配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号59、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69および配列番号70からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項18】
ブタクサ花粉アレルギーの予防または治療における使用のための請求項1から17のいずれか一項に記載のポリペプチド構築物。
【請求項19】
少なくとも2つの断片が担体タンパク質と融合している、請求項1から18のいずれか一項に定義されるポリペプチド構築物をコードする核酸分子。
【請求項20】
請求項19に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項21】
発現ベクターである、請求項20に記載のベクター。
【請求項22】
細菌、真菌、昆虫、ウイルスまたは哺乳動物ベクターである、請求項20または21に記載のベクター。
【請求項23】
請求項19に記載の核酸分子、または請求項20から22のいずれか一項に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項24】
請求項1から17のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリペプチド構築物、請求項19に記載の核酸分子、または請求項20から22のいずれか一項に記載のベクターを含むワクチン製剤。
【請求項25】
ブタクサ花粉アレルギーの治療または予防における使用のための請求項24に記載のワクチン製剤。
【請求項26】
10ngから1g、好ましくは100ngから10mg、特に0.5μgから200μgの前記ポリペプチド、核酸分子またはベクターを含む、請求項24または25に記載のワクチン製剤。
【請求項27】
少なくとも1種のアジュバント、薬学的に許容される賦形剤および/または防腐剤をさらに含む、請求項24から26のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルゲン、好ましくはAmbrosia artemisiifoliaのアレルゲンによって引き起こされるアレルギーまたはアレルギー反応の治療または予防に使用されるワクチンの分野である。
【背景技術】
【0002】
世界中で3600万人を超える人がブタクサ(Ambrosia artemisiifolia)アレルギーに罹患している。高いアレルゲン性およびこの植物が新たな地理的地域に定着する高い可能性のために、患者の数は急速に増加している。鼻漏、くしゃみ、かゆみおよび結膜炎などの随伴症状は、生活の質に多大な影響を与える。驚くべきことに、ブタクサアレルギー患者の40~50%が喘息症状を発生するという事実もある。症状に対抗する薬物の他に、アレルゲン抽出物に基づいたアレルゲン特異的免疫療法(SIT)のみが利用可能である。患者にとって大変残念なことに、この免疫療法は、慎重な用量増加(updosing)が要求される多くの回数の注射を必要とし、致命的なアナフィラキシーを含む重度のIgE媒介性およびT細胞媒介性副作用を引き起こす可能性がある。新たな疾患修飾療法手法が緊急に必要であることが示唆される。
【0003】
国際公開第93/00077号は、Ambrosia artemisiifoliaのアレルゲンを含む治療用組成物を開示している。これらの組成物は、ブタクサアレルギーを患っている患者の経口治療に使用することができる。
【0004】
国際公開第96/013589号において、少なくとも1つのT細胞エピトープを含むAmbrosia artemisiifoliaのアレルゲンの断片を含む医薬品が記載されている。
【0005】
また、国際公開第2008/098749号は、これらのアレルゲンによって引き起こされるアレルギーの治療に使用することができるAmbrosia artemisiifoliaアレルゲンの断片を開示している。
【0006】
国際公開第2013/001362号は、主要なAmbrosia artemisiifoliaアレルゲンである、Amb a 1に由来する複数の重複断片を含む組成物に関する。これらの断片はAmb a 1アレルゲン全体を含むが、成熟Amb a 1分子のN末端を含まない。
【0007】
国際公開第2001/035991号および国際公開第2006/096497号において、免疫刺激配列(ISS)を含むポリヌクレオチドおよびAmb a 1またはその抗原断片であり得る抗原を含むコンジュゲートが記載されている。
【0008】
国際公開第2004/000351号は、動物における免疫応答を増強するための組成物に関し、これらの組成物は、ウイルス様粒子、免疫刺激物質およびAmb a 1のようなアレルゲンであり得る抗原を含む。
【0009】
国際公開第2010/018378号において、Amb a 1に由来するT細胞反応性断片が開示されている。これらの断片は、寛容化によってブタクサに対するアレルギーを予防または治療する際に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第93/00077号
【文献】国際公開第96/013589号
【文献】国際公開第2008/098749号
【文献】国際公開第2013/001362号
【文献】国際公開第2001/035991号
【文献】国際公開第2006/096497号
【文献】国際公開第2004/000351号
【文献】国際公開第2010/018378号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
患者においてアレルギーを治療または予防するために使用される公知のワクチンのほとんどは、個体に投与されたときに望ましくないIgE反応を示すか、またはアレルギー反応を効果的に予防することができる免疫応答を誘導することができない。
【0012】
したがって、本発明の目的は、ブタクサアレルギーを患っている個体を治療するためのポリペプチド構築物およびこのような構築物を含む調製物を提供することである。この調製物は、ブタクサ花粉曝露に対するアレルギー反応を予防し、IgE媒介性副作用ならびにIgE反応性の低下およびアレルゲン特異的T細胞の活性化の低下による後期副作用を取り除くことができるはずである。さらに、これらの調製物は、治療に対する患者のコンプライアンスおよび順守を確実にするために、少ない回数の注射のみを患者に投与して長期間の利益を達成することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
Amb a 1はブタクサ花粉の主要なアレルゲンとして同定されている(Rafnarら、J.Biol.Chem.266(1991年):1229~1236頁)。いくつかのAmb a 1アイソフォームがブタクサ花粉に存在する。それらの配列は、遺伝子またはタンパク質データベース(例えば、www.allergome.org、GenBank)に記載され、開示されている。
【0014】
本発明は、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントを含むポリペプチド構築物であって、少なくとも2つの断片の各々は20から50個のアミノ酸残基からなり、少なくとも1つの断片は成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50に由来し、少なくとも1つの断片は成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基に由来する、ポリペプチド構築物に関する。
【0015】
上述の断片を含むポリペプチド構築物は、個体に投与されると、それぞれのアレルゲンとのアレルゲン特異的IgE分子の結合を効果的に遮断できるIgG抗体の発現を誘導することが判明した。この阻害により、肥満細胞および好塩基球のIgE媒介性脱顆粒が阻止されるか、または少なくとも実質的に阻害される。
【0016】
本発明の別の態様は、本明細書に定義されるポリペプチド構築物をコードする核酸分子に関する。
【0017】
本発明のさらなる態様は、本発明による核酸分子を含むベクターに関する。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、本発明による核酸分子またはベクターを含む宿主細胞に関する。
【0019】
本発明のさらなる態様は、本発明による少なくとも1つのポリペプチド構築物、核酸分子またはベクターを含むワクチン製剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】Amb a 1.0305のアミノ酸配列(配列番号1)およびその断片を示す図である。
図2】IgE ELISAを用いて測定した図1の断片のIgE反応性を示す図である。対照として、Ambrosia artemisiifoliaの抽出物から精製した天然Amb a 1(nAmb a 1)および組換えにより産生したAmb a 1(rAmb a 1;図1に示した配列)を使用した。
図3A図1に示した断片によりウサギを免疫化した後のAmb a 1特異的抗体を示す図である。
図3B図1に示した断片によりウサギを免疫化した後のAmb a 1特異的抗体を示す図である。
図4A】担体としてのPreSと融合した図1に示した断片を含む6つのポリペプチド構築物(融合タンパク質)を示す図である。
図4B】担体としてのPreSと融合した図1に示した断片を含む6つのポリペプチド構築物(融合タンパク質)を示す図である。
図5】IgE ELISAを用いて測定した図4Aおよび4Bの構築物のIgE反応性を示す図である。Ambrosia artemisiifoliaの抽出物から精製したAmb a 1(nAmb a 1)を対照として使用した。
図6】阻害ELISAの結果を示す図である。水酸化アルミニウム(ミョウバン)によりアジュバント化した(adjuvanted)図4Aおよび4Bのポリペプチド構築物により免疫化したウサギの血清中に含まれる抗体は、分子を用いた阻害ELISAにおいて阻害剤として使用した場合、ブタクサアレルギー個体由来のアレルゲン特異的IgEの、Amb a 1との結合を阻害することができる。野生型Amb a 1(rAmb a 1、nAmb a 1)により免疫化したウサギ由来の血清により得られたIgE結合の阻害を、対照として実験に含めた。
図7図6に示したものと同様の阻害ELISA実験の結果を示す図である。阻害剤血清(すなわち、ポリペプチド構築物および対照としての野生型Amb a 1により免疫化したウサギ由来の血清)を、1:10から1:100の範囲の希釈により滴定した。阻害血清に存在するアレルゲン特異的抗体は患者のIgEの結合を阻害することができる。各希釈における左から右の柱は、構築物K1、K2、K3、K4、K6および組換えAmb a 1のそれぞれをウサギにワクチン接種することによって得られた血清を用いて得られた結果を示す。
図8図4Aおよび4Bに示したポリペプチド構築物K4の5つのバリアント(K4A、K4B、K4C、K4DおよびK4E)のIgE反応性を示す図である。IgE反応性はIgE ELISAを用いて測定した。
図9A】ポリペプチド構築物K4AおよびK4Bにより免疫化したウサギから得られた血清が、ブタクサアレルギー患者のIgEの、アイソフォームAmb a 1.0305(図9A)ならびにAmb a 1.0101および1.0401(図9B)との結合を阻害する能力を示す図である。
図9B】ポリペプチド構築物K4AおよびK4Bにより免疫化したウサギから得られた血清が、ブタクサアレルギー患者のIgEの、アイソフォームAmb a 1.0305(図9A)ならびにAmb a 1.0101および1.0401(図9B)との結合を阻害する能力を示す図である。
図10-1】野生型Amb a 1と比較した、ポリペプチド構築物K2、K3、K4、K5およびK6、ならびに構築物K4A、K4B、K4C、K4DおよびK4Eのアレルゲン可能性を試験する好塩基球活性化アッセイ(BATアッセイ)の結果を示す図である。
図10-2】(図10-1の続き)
図11A】単一ペプチドおよびこれらの血清の混合物によりウサギを免疫化することによって得られた血清を使用した阻害ELISAの結果を示す図である。ミョウバンによりアジュバント化した実施例1(図11A)のペプチド1から5および7から11により免疫化したウサギの血清中に含まれる抗体(したがって、上述のペプチドに対する抗体を含む)、ならびにペプチド1+9+11、2+9+11、8+9+11、3+4+5、5+7+8、1+9+10+11(図11B)およびペプチド2+11、1+2、1+8および1+11(図11C)のそれぞれに対する抗体を含有するこれらの血清の混合物は、Amb a 1に対するブタクサアレルギー個体由来のアレルゲン特異的IgEの結合を阻害することができる。野生型Amb a 1(nAmb a 1)により免疫化したウサギ由来の血清を用いて得られたIgE結合の阻害を、対照として実験に含めた。
図11B】単一ペプチドおよびこれらの血清の混合物によりウサギを免疫化することによって得られた血清を使用した阻害ELISAの結果を示す図である。ミョウバンによりアジュバント化した実施例1(図11A)のペプチド1から5および7から11により免疫化したウサギの血清中に含まれる抗体(したがって、上述のペプチドに対する抗体を含む)、ならびにペプチド1+9+11、2+9+11、8+9+11、3+4+5、5+7+8、1+9+10+11(図11B)およびペプチド2+11、1+2、1+8および1+11(図11C)のそれぞれに対する抗体を含有するこれらの血清の混合物は、Amb a 1に対するブタクサアレルギー個体由来のアレルゲン特異的IgEの結合を阻害することができる。野生型Amb a 1(nAmb a 1)により免疫化したウサギ由来の血清を用いて得られたIgE結合の阻害を、対照として実験に含めた。
図11C】単一ペプチドおよびこれらの血清の混合物によりウサギを免疫化することによって得られた血清を使用した阻害ELISAの結果を示す図である。ミョウバンによりアジュバント化した実施例1(図11A)のペプチド1から5および7から11により免疫化したウサギの血清中に含まれる抗体(したがって、上述のペプチドに対する抗体を含む)、ならびにペプチド1+9+11、2+9+11、8+9+11、3+4+5、5+7+8、1+9+10+11(図11B)およびペプチド2+11、1+2、1+8および1+11(図11C)のそれぞれに対する抗体を含有するこれらの血清の混合物は、Amb a 1に対するブタクサアレルギー個体由来のアレルゲン特異的IgEの結合を阻害することができる。野生型Amb a 1(nAmb a 1)により免疫化したウサギ由来の血清を用いて得られたIgE結合の阻害を、対照として実験に含めた。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のポリペプチド構築物は、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントを含み、少なくとも2つの断片の各々は20から50個のアミノ酸残基からなり、少なくとも1つの断片は成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50に由来し、少なくとも1つの断片は成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基に由来する。
【0022】
驚くべきことに、個体に投与すると、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンのN末端由来の少なくとも1つの断片およびAmbrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンのC末端由来の少なくとも1つの断片を含む本発明のポリペプチド構築物が、アレルゲン特異的IgE分子のアレルゲンとの結合を効果的に遮断することができるIgG分子の形成を誘導することができることが判明した。明らかに、成熟アレルゲンのN末端およびC末端由来の断片の存在は、主張した驚くべき効果を得るために必要とされる。
【0023】
本明細書に使用する場合、「ポリペプチド構築物」とは、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントを含むコンジュゲートまたは融合タンパク質を指す。本発明のポリペプチド構築物は、他のペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質(例えば、担体タンパク質)または少なくとも2つの断片に隣接する他の化学部分を含んでもよい。
【0024】
本明細書に使用する場合、「Amb a 1ファミリーのアレルゲン」という用語は、Amb a 1の既知のアイソフォームの群を指す。これは、特に、アイソフォームAmb a 1.0101(GenBank受託番号AAA32665)、Amb a 1.0201(GenBank受託番号AAA32666)、Amb a 1.0202(GenBank受託番号CBW30987)、Amb a 1.0301(GenBank受託番号AAA32668)、Amb a 1.0302(UniProt受託番号P27761バリアントL48Y)、Amb a 1.0303(GenBank受託番号AAA32669)、Amb a 1.0304(GenBank受託番号CBW30988)、Amb a 1.0305(GenBank受託番号CBW30989)、Amb a 1.0401(GenBank受託番号AAA32670)、Amb a 1.0402(GenBank受託番号CBW30993)、Amb a 1.0501(GenBank受託番号AAA32671)およびAmb a 1.0502(GenBank受託番号CBW30995)を含む。したがって、「Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲン」は、成熟アレルゲンがアイソフォームの上記の同定された群から選択されることを意味する。
【0025】
本明細書に使用する場合、「コンジュゲート」という用語は、少なくとも2つのコンジュゲーションパートナーの、別のパートナーとの共有結合の結果として形成される分子を指すことを意図する。本発明の「コンジュゲート」は、本発明の少なくとも2つの断片を含む。2つ以上のペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質の間のコンジュゲーションは、例えば、コンジュゲーションパートナーの1つに付加されたN末端システインまたはC末端システインアミド残基を介して達成され、遊離スルフヒドリル基を含有する分子を生じる。前記末端システイン残基に、任意のマレイミド活性化ポリペプチドまたはタンパク質がコンジュゲートされ得る。コンジュゲーションパートナーが末端にシステイン残基を有しない場合、アミン(リシン)またはカルボン酸(グルタミン酸、アスパラギン酸または5’-リン酸)をコンジュゲーションパートナーにカップリングするためにEDC(l-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)化学物質が利用され得る。次いでペプチドと担体との間の架橋が、例えば、MBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)カップリング剤により行われる。
【0026】
少なくとも2つの断片が、アレルゲン特異的IgG抗体の形成をより効果的に誘導することを可能にするコンジュゲーション産物を得るために、担体タンパク質にカップリングされ得る。例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)またはウシもしくはヒト血清アルブミンが担体タンパク質として使用され得る。オボアルブミン、チログロブリン、破傷風トキソイドまたはジフテリアトキソイドのような他の担体タンパク質もまた、使用され得る。
【0027】
本発明のポリペプチド構築物はまた、融合タンパク質であってもよい。本明細書に使用する場合、「融合タンパク質」とは、アレルゲン断片および/または他のタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドが、単一および特有の1つの組換えポリペプチド鎖として発現され、調製されるタンパク質またはポリペプチドを指す。
【0028】
成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片は、直接またはリンカーを介してのいずれかで、互いにおよび/または他のタンパク質、ポリペプチドもしくはペプチドにコンジュゲートまたは融合され得る。このようなリンカーは、ペプチドもしくはポリペプチドまたはペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質に共有結合することができる任意の他の化学部分であってもよい。
【0029】
本明細書に使用する場合、「成熟アレルゲンの」および「成熟アレルゲンに由来する」という用語は、本発明による断片のアミノ酸配列が、断片化または切断によってアレルゲンのアミノ酸配列から得られることを意味する。したがって、少なくとも2つの断片は、それらが由来する成熟アレルゲンの20から50個の連続したアミノ酸残基からなる。
【0030】
本明細書に定義する場合、「成熟アレルゲン」とは、シグナルペプチドを欠く処理されたアレルゲンのアミノ酸配列を指す。アレルゲン自体は、依然としてシグナルペプチドを含有するそれぞれの遺伝子によってコードされる。アレルゲンのシグナルペプチドは、配列アラインメントを含む当該分野において公知の方法によって同定され得る(例えば、Bendtsen JDら、J Mol Biol.340(2004年):783~95頁;Bjoerklund AKら、Bioinformatics 21(2005年):39~50頁を参照のこと)。成熟アレルゲンのアミノ酸配列を同定する簡単な方法は、アレルゲン源から成熟アレルゲンを単離し、そのN末端を配列決定することである。これらの配列データは、成熟アレルゲンおよびシグナルペプチドのアミノ酸配列を同定するために同じアレルゲンをコードする遺伝子またはmRNAの配列と比較することができる。したがって、「成熟アレルゲン」の配列は、そのmRNAおよび/または遺伝子によってコードされ、シグナルペプチドの可能な切断とは別に、一次翻訳mRNAまたは遺伝子産物の翻訳後修飾によって得られる可能性がある切断産物を含まない。「成熟アレルゲン」は、シグナルペプチドを欠くmRNA分子によってコードされるアミノ酸配列を反映する。
【0031】
本発明によれば、ポリペプチド構築物は、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントを含んでもよい。断片の数は、2から20まで、好ましくは2から19まで、より好ましくは2から18まで、より好ましくは2から17まで、より好ましくは2から16まで、より好ましくは2から15まで、より好ましくは2から14まで、より好ましくは2から13まで、より好ましくは2から12まで、より好ましくは2から11まで、より好ましくは2から10まで、より好ましくは2から9まで、より好ましくは2から8まで、より好ましくは2から7まで、より好ましくは2から6まで、より好ましくは2から5まで変化し得る。本発明のポリペプチド構築物に使用される断片は、成熟アレルゲンにおいて互いに隣接して位置していないこと、および同じアミノ酸配列からならない少なくとも2つの断片が選択されることが特に好ましい。しかしながら、同じ断片の1つより多いコピーが本発明のポリペプチド構築物に存在する場合、この構築物は、別のアミノ酸配列からなる本明細書に定義される少なくとも1つのさらなる断片を含む必要がある。
【0032】
本発明のポリペプチド構築物は、同じ断片の1つまたは複数のコピーを含んでもよい。本発明のポリペプチド構築物は、同じ断片の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも5つのコピーを含むことが特に好ましい。本発明の特に好ましい実施形態において、ポリペプチド構築物は、同じ断片の3つ、4つ、5つまたは6つ、好ましくは4つのコピーを含む。
【0033】
さらに、本発明のポリペプチド構築物はまた、Ambrosia artemisiifoliaの成熟アレルゲンの断片のバリアントを含んでもよい。これらのバリアントは、特に好ましい1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。
【0034】
本発明のバリアントは「保存的」置換を有してもよく、置換アミノ酸は類似の構造的または化学的特性を有する。保存的アミノ酸置換の1つの種類は、類似の側鎖を有する残基の互換性を指す。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンであり、脂肪族-ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリンおよびトレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギンおよびグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシンおよびトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リシン、アルギニンおよびヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システインおよびメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換基は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリンおよびアスパラギン-グルタミンである。本発明のバリアントはまた、「非保存的」置換(例えば、グリシンのトリプトファンによる置き換え)を有してもよい。また、同様の微細な変化には、アミノ酸の欠失もしくは挿入、またはその両方が含まれ得る。本明細書に記載されるペプチドおよび分子のバリアントは、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満の変化(置換、欠失および挿入のいずれかに関わらず)を有する。
【0035】
成熟アレルゲンの断片の特に好ましいバリアントは、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンに天然に存在する1つまたは複数のシステイン残基の置換または欠失を含む。これらのシステイン残基の1つまたは複数は、任意の他のアミノ酸残基で置換されてもよく、システイン残基がセリンで置換されることが特に好ましい。あるいは、断片のバリアントのシステイン残基の1つまたは複数は欠失される。驚くべきことに、減少した数(欠失または置換された)のシステイン残基を有するか、またはほとんどもしくは全てのシステイン残基を欠いている断片は、依然として全てまたはほぼ全ての天然に存在するシステイン残基を含む非修飾断片と比較して、さらに高いIgE阻害を示すことが判明した。
【0036】
本発明のポリペプチド構築物の少なくとも2つの断片が低アレルギー特性を示すことが特に好ましい。本明細書に使用する場合、「低アレルギー性」という用語は、個体に投与されると、減少したアレルギー反応を誘導するか、またはアレルギー反応を誘導しない、本発明の断片の能力を指す。断片またはポリペプチド構築物が低アレルギー性であるかどうかをどのように決定するかについて当該分野において公知の方法が存在する。例えば、ポリペプチドまたは断片のIgE反応性は、ブタクサアレルギー個体由来の血清を使用してELISAによって測定することができ、野生型アレルゲンのIgE反応性と比較することができる。低アレルギー性断片は、野生型アレルゲンと比較して減少したIgE反応性を示す。個体においてアレルギー反応を誘導するアレルゲンの「低アレルギー性」断片の減少したまたは欠損した能力は、前記アレルゲン性ポリペプチドからIgE結合エピトープを除去または破壊することによって得られる。成熟野生型アレルゲンの断片化は、多くの場合、このような分子を得るための十分に確立された方法である。本発明のポリペプチド構築物は、野生型アレルゲンと比較して、アレルゲン特異的IgE分子に対して、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の減少したIgE結合能もしくは結合親和性を示すか、またはさらにより好ましくはIgE結合能もしくは結合親和性を示さない。
【0037】
本明細書に使用する場合、「IgE結合能」は、特異的アレルゲン性ポリペプチドと結合することができるIgEと結合する分子の能力である。ポリペプチドおよびタンパク質のIgE結合能は、例えば、成熟アレルゲンに予め曝露されている1人または複数の個体(すなわち、アレルギー個体)から得られた血清を使用して、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって決定することができる。
【0038】
ポリペプチド構築物の少なくとも2つの断片は、T細胞エピトープを含んでもよいか、または含まなくてもよい。T細胞エピトープは当該分野において公知の方法(例えば、ELISpot)によって同定することができる。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、Amb a 1ファミリーのアレルゲンは、Amb a 1.0101(GenBank受託番号AAA32665)、Amb a 1.0201(GenBank受託番号AAA32666)、Amb a 1.0202(GenBank受託番号CBW30987)、Amb a 1.0301(GenBank受託番号AAA32668)、Amb a 1.0302(UniProt受託番号P27761バリアントL48Y)、Amb a 1.0303(GenBank受託番号AAA32669)、Amb a 1.0304(GenBank受託番号CBW30988)、Amb a 1.0305(GenBank受託番号CBW30989)、Amb a 1.0401(GenBank受託番号AAA32670)、Amb a 1.0402(GenBank受託番号CBW30993)、Amb a 1.0501(GenBank受託番号AAA32671)およびAmb a 1.0502(GenBank受託番号CBW30995)からなる群から選択される。
【0040】
Amb a 1アイソフォームである、Amb a 1.0101、Amb a 1.0201、Amb a 1.0305およびAmb a 1.0401は、ブタクサアレルギーを患っている人々のほとんどがこれらのアイソフォームと特に反応性であることが判明したので、特に好ましい。したがって、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来するアレルゲンの少なくとも2つの断片のうちの少なくとも1つは、これらのAmb a 1アイソフォームの1つまたは複数に由来する。
【0041】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50に由来する少なくとも1つの断片は、成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から20~40、好ましくはアミノ酸残基1から25~35、より好ましくはアミノ酸残基1から28~30を含む。
【0042】
「アミノ酸残基1から20~40」は、上記に示されるように、断片が、アミノ酸残基1から、アミノ酸残基21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38および39を含む20から40の範囲の整数を含んでもよいか、またはそれらからなっていてもよいことを意味する。これは本明細書に示される全てのアミノ酸範囲に適用可能である。
【0043】
本発明のポリペプチド構築物はまた、アレルゲンの他の部分に由来する断片を含んでもよい。例えば、成熟アレルゲンのアミノ酸残基80~85から160~170に由来し得る本発明のポリペプチド構築物の少なくとも1つのさらなる断片は、成熟アレルゲンのアミノ酸残基88~90から151~153、好ましくはアミノ酸残基88~90から117~119または118~120から151~153を含む。
【0044】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基に由来する少なくとも1つの断片は、成熟アレルゲンのアミノ酸残基240から367~373、好ましくはアミノ酸残基240から367~373、より好ましくはアミノ酸残基243~253から367~373を含む。
【0045】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基に由来する少なくとも1つの断片は、成熟アレルゲンのアミノ酸残基240から310~320、好ましくはアミノ酸残基240~260から300~310、より好ましくはアミノ酸残基248~253から278~283を含む。
【0046】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基に由来する少なくとも1つの断片は、成熟アレルゲンのアミノ酸残基310~320から367~373、好ましくはアミノ酸残基320~330から367~373、より好ましくはアミノ酸残基328~334から361~367を含む。
【0047】
本発明のポリペプチド構築物の一部である少なくとも2つの断片は、上記に同定した断片の群から選択される。1つまたは複数のポリペプチド構築物において組み合わされる特に好ましい断片は、
- 成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50、好ましくは1から20~40、より好ましくは1から25~35、より好ましくはアミノ酸残基1から28~30に由来する少なくとも1つの断片、
- 成熟アレルゲンの240から開始してC末端で終了するアミノ酸残基、好ましくは成熟アレルゲンのアミノ酸残基240から310~320、より好ましくはアミノ酸残基240~260から300~310、より好ましくはアミノ酸残基248~253から278~283に由来する少なくとも1つの断片、および/または
- 成熟アレルゲンのアミノ酸残基310~320から367~373、好ましくはアミノ酸残基320~330から367~373、より好ましくはアミノ酸残基328~334から361~367を含む少なくとも1つの断片
を含む。
【0048】
本明細書に使用する場合、「少なくとも1つの断片はアミノ酸残基XからYに由来する」という用語は、断片が、成熟アレルゲンのアミノ酸残基Xから開始してアミノ酸残基Yで終了するアミノ酸ストレッチを含むか、またはそれからなることを意味する。
【0049】
本発明によるポリペプチド構築物に存在する少なくとも2つの断片は、独立して、25から45個、好ましくは25から40個、より好ましくは26から35個、より好ましくは28から34個のアミノ酸残基からなっていてもよい。
【0050】
本発明の特に好ましい実施形態において、少なくとも2つの断片は、独立して、本明細書に定義される領域における成熟アレルゲンの20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50個の連続するアミノ酸残基からなっていてもよい。
【0051】
本発明の好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、AEDLQEILPVNETRRLTTSGAYNIIDGX(配列番号2)、AEDLQQILPSANETRSLTTXGTYNIIDGX(配列番号3)、AEGVGEILPSVNETRSLQAXEAYNIIDKX(配列番号4)、AEDVEEFLPSANETRRSLKAXEAHNIIDKX(配列番号5)およびそれらと少なくとも70%の同一性を有するそれらのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50に由来する少なくとも1つのアレルゲン断片を含み、Xは、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、Xは、システインまたはセリンである。
【0052】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、XRXGFXQVVNNNYXWGXYAXGGSX1011PTIL(配列番号6)およびそれと少なくとも70%の同一性を有するそのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端に由来する少なくとも1つの断片を含み、Xは、システイン、セリン、ロイシンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、Xは、ヒスチジンまたはフェニルアラニンであり、Xは、フェニルアラニンまたはバリンであり、Xは、アスパラギン酸またはグルタミン酸であり、Xは、アルギニンまたはリシンであり、Xは、トレオニンまたはセリンであり、Xは、イソロイシンまたはロイシンであり、X10は、セリンまたはアラニンであり、X11は、グリシン、セリンまたはアラニンである。
【0053】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、X12DPVLTPX13QX14AGMIPAEPGEX15161718LTSSAGVLSX19(配列番号7)およびそれと少なくとも70%の同一性を有するそのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端に由来する少なくとも1つの断片を含み、X12は、セリンまたはバリンであり、X13は、バリンまたはグルタミン酸であり、X14は、セリン、リシンまたはアスパラギンであり、X15は、アラニンまたはセリンであり、X16は、バリンまたはアラニンであり、X17は、ロイシンまたはイソロイシンであり、X18は、セリン、リシンまたはアルギニンであり、X19は、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在しない。
【0054】
本発明のポリペプチド構築物は、好ましくは、X20RHGFFQVVNNNYDKWGSYAIGGSASPTIL(配列番号8)、X21RFGFFQVVNNNYDRWGTYAIGGSSAPTIL(配列番号9)、VDPVLTPEQSAGMIPAEPGESALSLTSSAGVLSX22(配列番号10)およびSDPVLTPVQSAGMIPAEPGEAAIKLTSSAGVLSX23(配列番号11)からなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端に由来する少なくとも1つの断片を含み、X20およびX21は、独立して、システイン、ロイシン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、X22およびX23は、独立して、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在しない。
【0055】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、PLWIIFERDMVIRLDKEMVVNSDKTIDGRG(配列番号12)、PLWIIFARDMVIRLDRELAINNDKTIDGRG(配列番号13)、PLWIIFKNDMVINLNQELVVNSDKTIDGRG(配列番号14)、PLWIIFKRNMVIHLNQELVVNSDKTIDGRG(配列番号15)およびそれらと少なくとも70%の同一性を有するそれらのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基80~85から160~170に由来する少なくとも1つのアレルゲン断片を含む。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、AKVEIINAGFTLNGVKNVIIHNINMHDVKVNPG(配列番号16)、AKVEIINAGFAIYNVKNIIIHNIIMHDIVVNPG(配列番号17)、VKVEIINGGLTLMNVKNIIIHNINIHDVKVLPG(配列番号18)、VKVNIVNAGLTLMNVKNIIIHNINIHDIKVCPG(配列番号19)およびそれらと少なくとも70%の同一性を有するそれらのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基80~85から160~170に由来する少なくとも1つのアレルゲン断片を含む。
【0057】
ポリペプチド構築物は、AGDENIEDRGMLATVAFNTFTDNVDQRMPR(配列番号20)、DFDERGMLCTVAFNKFTDNVDQRMPN(配列番号21)、ADDTHVQDKGMLATVAFNMFTDNVDQRMPR(配列番号22)、ADDTHYQDKGMLATVAFNMFTDHVDQRMPR(配列番号23)およびそれらと少なくとも70%の同一性を有するそれらのバリアントからなる群から選択される成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端に由来する少なくとも1つのアレルゲン断片を含む。
【0058】
本発明のポリペプチド構築物の少なくとも2つの断片は、上記の同定されたアレルゲン断片から選択される。また、Ambrosia artemisiifoliaアレルゲンのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンから得られる断片と、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するアレルゲン断片のバリアントも包含される。上述の特定の断片の好ましいバリアントは、システイン残基におけるアミノ酸置換および/または欠失を含み、システイン残基は、例えば、セリン残基で置換されてもよい。
【0059】
第2のアミノ酸に対する第1のアミノ酸配列の同一性の程度は、ある特定のアルゴリズムを使用して両方のアミノ酸配列間の直接的な比較によって決定することができる。配列同一性は、好ましくは、BLOSUM62マトリクス、11のギャップ存在ペナルティ、および1のギャップ伸長ペナルティを使用してBLASTアラインメントによって決定される(http://blast.ncbi.nlm.nih.gov/;Altschul SFら、J.Mol.Bi ol.215(1990年):403~410頁)。
【0060】
本発明のポリペプチド構築物は、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片を含む融合タンパク質であってもよい。少なくとも2つの断片は、好ましくは、AEDLQEILPVNETRRLTTSGAYNIIDGX(配列番号2)、AEDLQQILPSANETRSLTTXGTYNIIDGX(配列番号3)、AEGVGEILPSVNETRSLQAXEAYNIIDKX(配列番号4)、AEDVEEFLPSANETRRSLKAXEAHNIIDKX(配列番号5)、XRXGFXQVVNNNYXWGXYAXGGSX1011PTIL(配列番号6)、好ましくはX20RHGFFQVVNNNYDKWGSYAIGGSASPTIL(配列番号8)またはX21RFGFFQVVNNNYDRWGTYAIGGSSAPTIL(配列番号9)、X12DPVLTPX13QX14AGMIPAEPGEX15161718LTSSAGVLSX19(配列番号7)、好ましくはVDPVLTPEQSAGMIPAEPGESALSLTSSAGVLSX22(配列番号10)またはSDPVLTPVQSAGMIPAEPGEAAIKLTSSAGVLSX23(配列番号11)、およびそれらのバリアントからなる群から選択される。
【0061】
本発明の好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、X21RFGFFQVVNNNYDRWGTYAIGGSSAPTIL(配列番号9)、AEGVGEILPSVNETRSLQAXEAYNIIDKX(配列番号4)およびSDPVLTPVQSAGMIPAEPGEAAIKLTSSAGVLSX23(配列番号11)からなる群から選択される、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも1つの断片を含み、X、X21およびX23は独立して、好ましくは、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、Xは、好ましくは、システインまたはセリンであり、より好ましくはセリンである。
【0062】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、X20RHGFFQVVNNNYDKWGSYAIGGSASPTIL(配列番号8)、AEDLQEILPVNETRRLTTSGAYNIIDGX(配列番号2)およびVDPVLTPEQSAGMIPAEPGESALSLTSSAGVLSX22(配列番号10)からなる群から選択される、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも1つの断片を含み、X、X20およびX22は独立して、好ましくは、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、Xは、好ましくは、システインまたはセリンであり、より好ましくはセリンである。
【0063】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、X20RHGFFQVVNNNYDKWGSYAIGGSASPTIL(配列番号8)、AEDLQEILPVNETRRLTTSGAYNIIDGX(配列番号2)、VDPVLTPEQSAGMIPAEPGESALSLTSSAGVLSX22(配列番号10)、X21RFGFFQVVNNNYDRWGTYAIGGSSAPTIL(配列番号9)、AEGVGEILPSVNETRSLQAXEAYNIIDKX(配列番号4)およびSDPVLTPVQSAGMIPAEPGEAAIKLTSSAGVLSX23(配列番号11)からなる群から選択される、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも1つの断片を含み、X、X20、X21、X22およびX23は独立して、好ましくは、システイン、セリンであるか、またはアミノ酸残基が存在せず、Xは、好ましくは、システインまたはセリンであり、より好ましくはセリンである。
【0064】
少なくとも2つの断片は、好ましくは、担体タンパク質と融合しているか、またはコンジュゲートしている。
【0065】
本発明の好ましい実施形態によれば、担体タンパク質は、50から300個、好ましくは60から250個、より好ましくは80から200個、より好ましくは100から200個のアミノ酸残基からなるウイルスタンパク質またはその断片である。
【0066】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ウイルスタンパク質はカプシドタンパク質である。
【0067】
ウイルスタンパク質は、好ましくは、ヘパドナウイルス科のウイルスに由来する。
【0068】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヘパドナウイルス科のウイルスはB型肝炎ウイルスである。
【0069】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、B型肝炎ウイルスのウイルスタンパク質は、PreSまたはその断片、好ましくはPreSlまたはPreS2である。
【0070】
B型肝炎PreSポリペプチドの断片は、好ましくは少なくとも30個、好ましくは少なくとも40個、より好ましくは少なくとも50個の連続したアミノ酸残基からなり、B型肝炎PreSポリペプチドのPreS1および/またはPreS2を含んでもよい。
【0071】
担体タンパク質としてのその機能において、およびAmbrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの少なくとも2つの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントについての融合またはコンジュゲーションパートナーとして使用されるB型肝炎PreSポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(配列番号24):
【0072】
【化1】

を含んでもよいか、またはそれからなっていてもよい。
【0073】
B型肝炎PreSポリペプチドは、配列番号24と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも99%、特に100%同一であるアミノ酸配列からなっていてもよい。
【0074】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも2つのアレルゲン断片は、担体タンパク質のN末端および/またはC末端と融合している。
【0075】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記少なくとも2つの断片のうちの少なくとも1つは担体タンパク質のN末端と融合しており、前記少なくとも2つの断片のうちの少なくとも1つは担体タンパク質のC末端と融合している。
【0076】
Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントの一部分を担体タンパク質のN末端と融合し、別の部分を担体タンパク質のC末端と融合すると、断片が由来するポリペプチドまたはタンパク質に対する抗体の産生が増加することが判明した。これはまた、他のアレルゲン断片について国際公開第2012/168487号に首尾良く示されている。
【0077】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、担体タンパク質のN末端および/またはC末端と融合した、1から10個、好ましくは2から8個、より好ましくは3から6個のアレルゲン断片を含む。
【0078】
本明細書に定義される融合タンパク質であるポリペプチド構築物の一般構造は、(A)n-(B)n-Z、(A)n-Z-(B)n、Z-(A)n-(B)n、(A)n-(B)n-(C)n-Z、(A)n-(B)n-Z-(C)n、(A)n-Z-(B)n-(C)n、Z-(A)n-(B)n-(C)n、(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-Z、(A)n-(B)n-(C)n-Z-(D)n、(A)n-(B)n-Z-(C)n-(D)n、(A)n-Z-(B)n-(C)n-(D)n、Z-(A)n-(B)n-(C)n-(D)n、(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-(E)n-Z、(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-Z-(E)n、(A)n-(B)n-(C)n-Z-(D)n-(E)n、(A)n-(B)n-Z-(C)n-(D)n-(E)n、(A)n-Z-(B)n-(C)n-(D)n-(E)n、Z-(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-(E)n、(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-(E)n-(F)n-Z、(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-(E)n-Z-(F)n、(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-Z-(E)n-(F)n、(A)n-(B)n-(C)n-Z-(D)n-(E)n-(F)n、(A)n-(B)n-Z-(C)n-(D)n-(E)n-(F)n、(A)n-Z-(B)n-(C)n-(D)n-(E)n-(F)n、Z-(A)n-(B)n-(C)n-(D)n-(E)n-(F)nなどであってもよく、A、B、CおよびEは、独立して同一であっても、異なっていてもよい、本明細書に定義されるAmbrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントを表し、Zは、担体タンパク質、好ましくはPreSまたはその断片を表し、nは独立して、1から5の間、好ましくは1から4の間、より好ましくは1から3の間の整数、より好ましくは1または2、最も好ましくは2である。本発明の融合タンパク質についての最も好ましい構造は、(A)n-(B)n-(C)n-Z-(D)n-(E)n-(F)nであり、断片A、BおよびCはそれぞれ、断片F、EおよびDと同一である。担体タンパク質のN末端および/またはC末端と融合した同じまたは異なる数の同じまたは異なる断片を含むポリペプチド構築物が特に好ましい。
【0079】
本発明の特に好ましい実施形態では、融合タンパク質は、担体タンパク質のC末端において、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来する成熟アレルゲンの、1から10個、好ましくは1から8個、より好ましくは1から6個の断片を含み、N末端において同様に、1から10個、好ましくは1から8個、より好ましくは1から6個の断片または前記少なくとも2つの断片のバリアントを含む。これらの断片は、異なっていても、同一であってもよい。さらに、本発明の融合タンパク質は、1つまたは複数、好ましくは2つ以上の同じ断片を含んでもよい。
【0080】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号59、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、およびこれらのアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するそれらのバリアントからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
【0081】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号59、配列番号62および配列番号63からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなる。
【0082】
本発明の好ましいポリペプチド構築物のアミノ酸配列は、実施例3(下記)に述べられており、K4、K4A、K4B、K4C、K4Cvar、K4D、K4Dvar、K4EおよびK4Evarと指定される。本発明のさらに好ましいポリペプチド構築物は、以下のアミノ酸配列を含むか、またはそれらからなり、これらのうちのいくつかは、N末端またはC末端においてHisタグ(6個の連続したアミノ酸残基)を有し、これにより良好な精製を可能にすることができる。原則として、本発明のポリペプチドのいずれも、Hisタグを有してもよいか、または有しなくてもよい:
【0083】
K4His(配列番号25):
【0084】
【化2】
【0085】
K4AHis(配列番号26):
【0086】
【化3】
【0087】
K4BHis(配列番号27):
【0088】
【化4】
【0089】
K4Cvar - システイン残基がセリン残基と置換されている、K4Cのバリアント(配列番号28):
【0090】
【化5】
【0091】
K4Dvar - システイン残基がセリン残基と置換されている、K4Dのバリアント(配列番号29):
【0092】
【化6】
【0093】
K4Evar - システイン残基がセリン残基と置換されている、K4Dのバリアント(配列番号30):
【0094】
【化7】
【0095】
K4F(配列番号31):
【0096】
【化8】
【0097】
K4G(配列番号32):
【0098】
【化9】
【0099】
K4H(配列番号33):
【0100】
【化10】
【0101】
K4I(配列番号34):
【0102】
【化11】
【0103】
K4J(配列番号35):
【0104】
【化12】
【0105】
K4CHis(配列番号36):
【0106】
【化13】
【0107】
K4K(配列番号37):
【0108】
【化14】
【0109】
K4L(配列番号38):
【0110】
【化15】
【0111】
K4M(配列番号39):
【0112】
【化16】
【0113】
K4N(配列番号40):
【0114】
【化17】
【0115】
K4O(配列番号41):
【0116】
【化18】
【0117】
K4P(配列番号42):
【0118】
【化19】
【0119】
K4Q(配列番号43):
【0120】
【化20】
【0121】
K4R(配列番号44):
【0122】
【化21】
【0123】
K4S(配列番号67):
【0124】
【化22】
【0125】
K4SHis(配列番号68):
【0126】
【化23】
【0127】
K4T(配列番号69):
【0128】
【化24】
【0129】
K4THis(配列番号70):
【0130】
【化25】
【0131】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明のポリペプチド構築物は、好ましくは、Ambrosia artemisiifoliaのAmb a 1ファミリーのアレルゲンに由来するアレルゲンによって引き起こされる、ブタクサ花粉アレルギーの予防または治療に使用される。
【0132】
本発明の別の態様は、少なくとも2つの断片が担体タンパク質と融合している、本明細書に定義されるポリペプチド構築物をコードする核酸分子に関する。
【0133】
本発明の核酸分子はRNAまたはDNA分子であってもよい。核酸分子は、任意の種類の生体細胞においてトランスフェクトされ得るか、または導入され得るベクター(例えば、タンパク質発現ベクター、組み込みベクター、クローニングベクター)の一部であってもよい。好ましい細胞には、Escherichia coliなどの細菌細胞、Pichia pastorisまたはSaccharomyces cerevisiaeなどの酵母細胞、植物細胞、哺乳動物細胞および昆虫細胞が含まれる。このような核酸分子、ベクターおよび細胞を得るための手段および方法は当業者に周知である。
【0134】
本発明のさらなる態様は、本発明による核酸分子を含むベクターに関する。
【0135】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ベクターは発現またはクローニングベクターである。
【0136】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記ベクターは、細菌、真菌、昆虫、ウイルスまたは哺乳動物ベクターである。
【0137】
本発明のベクターは、好ましくは、細菌、酵母、糸状菌、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞または任意の他の原核もしくは真核細胞のような種々の宿主におけるクローニングおよび発現目的のために利用することができる。したがって、前記ベクターは、本発明による低アレルギー性分子または融合タンパク質をコードする核酸の他に、宿主特異的調節配列を含む。
【0138】
本発明の別の態様は、本発明による核酸分子またはベクターを含む宿主細胞に関する。
【0139】
本発明のさらなる態様は、本発明による少なくとも1つのポリペプチド構築物、核酸分子またはベクターを含むワクチン製剤に関する。
【0140】
本発明の好ましい実施形態によれば、ワクチン製剤および本明細書に記載されるポリペプチド構築物は、ブタクサ花粉アレルギーの治療または予防に使用される。
【0141】
本明細書に使用する場合、「予防すること」および「予防」という用語は、本発明によるポリペプチド構築物または医薬品の投与に起因する対象におけるアレルギーまたはその症状の再発、発症および発生の予防または抑制を指す。一部の実施形態では、「予防すること」および「予防」とは、特定のアレルゲンに対するアレルギーを発生するリスクの低減を指す。「予防すること」という用語は、アレルギーの発生を予防するだけでなく、その進行を停止させ、一旦確立されたその結果を低減させるための手段も含む。
【0142】
本明細書に使用する場合、「治療」および「治療すること」という用語は、アレルギーの進行および持続時間の低減または抑制、アレルギーの重症度の低減または改善、ならびにその1つまたは複数の症状の改善を指す。「治療」はまた、アレルギーまたはアレルギー反応の症状の向上および/または好転も包含する。アレルギーに関連する任意のパラメーターの向上を引き起こすポリペプチド構築物は、治療用融合タンパク質またはコンジュゲートとして同定することができる。「治療」という用語は、治療的治療および予防的手段の両方を指す。例えば、本発明の組成物および方法による治療から利益を受けることができるヒトには、既にアレルギーを有するヒトおよびアレルギーを予防すべきヒトが含まれる。
【0143】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記製剤は、10ngから1g、好ましくは100ngから10mg、特に0.5μgから200μgの前記ポリペプチド、核酸分子またはベクターを含む。
【0144】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、本発明のポリペプチド構築物は、0.01μg/kg体重から5mg/kg体重、好ましくは0.1μg/kg体重から2mg/kg体重の量で少なくとも1回個体に投与される。本発明のさらに好ましい実施形態によれば、ポリペプチド構築物は、体重とは関係なく(すなわち、用量は15、20、25、30または80μgを含んでもよい)、または体重1kg当たりのいずれかで、5から100μg、好ましくは10から80μg、より好ましくは15から30μgの量で患者に投与される。
【0145】
単一の剤形を生成するように賦形剤と組み合わされ得るポリペプチド構築物の量は、治療される宿主および特定の投与様式に応じて変化する。ポリペプチド構築物の用量は、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の抗体応答を誘発する能力などの要因に従って変化させてもよい。投薬計画は最適な治療応答を提供するように調節されてもよい。例えば、いくつかの分割用量が毎日投与されてもよいか、または用量は治療状況の緊急性によって示されるように比例的に低減されてもよい。ポリペプチド構築物の用量もまた、状況に応じて最適な予防用量応答を提供するように変化されてもよい。例えば、本発明のポリペプチド構築物は、常にAmb a 1特異的IgG誘導のレベルに応じて数日、1もしくは2週間またはさらに数カ月の間隔で個体に投与されてもよい。
【0146】
本発明の好ましい実施形態では、本発明のポリペプチド構築物およびワクチン製剤は、2から10回の間、好ましくは2から7回の間、さらにより好ましくは最大で5回まで、最も好ましくは最大で3回まで適用される。特に好ましい実施形態では、後のワクチン接種間の時間間隔は、2週から5年の間、好ましくは1カ月から最大で3年までの間、より好ましくは2カ月から1.5年の間であるように選択される。本発明の融合タンパク質の反復投与は、治療の最終効果を最大化することができる。
【0147】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、前記製剤は、少なくとも1種のアジュバント、薬学的に許容される賦形剤および/または防腐剤をさらに含む。
【0148】
本発明のポリペプチド構築物およびワクチン製剤は、皮下、筋肉内、静脈内、粘膜内などに投与されてもよい。剤形および投与経路に応じて、本発明のポリペプチド構築物は、賦形剤、希釈剤、アジュバントおよび/または担体と組み合わされてもよい。好ましいアジュバントは水酸化アルミニウムである。ワクチン製剤の製造のための適切なプロトコールは当業者に公知であり、例えば、「Vaccine Protocols」(A.Robinson、M.P.Cranage、M.Hudson;Humana Press Inc.、U.S.;第2版、2003年)に見出され得る。
【0149】
本発明のポリペプチド構築物はまた、ワクチンに通常使用される他のアジュバントと共に製剤化されてもよい。例えば、適切なアジュバントは、MF59、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-12、GM-CSF)、サポニン(例えば、QS21)、MDP誘導体、CpGオリゴヌクレオチド、LPS、MPL、ポリホスファゼン、エマルション(例えば、フロイント(Freund’s)、SAF)、リポソーム、ビロソーム、イスコム、コクリエート(cochleate)、PLG微粒子、ポロキサマー粒子、ウイルス様粒子、熱不安定性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素(CT)、変異体毒素(例えば、LTK63およびLTR72)、微粒子および/または重合リポソームであってもよい。適切なアジュバントは、例えば、AS01B(リポソーム製剤中のMPLおよびQS21)、AS02A、AS15、AS-2、AS-03およびそれらの誘導体(GlaxoSmithKline、USA);CWS(細胞壁骨格)、TDM(トレハロース-6,6’-ジミコレート)、LeIF(リーシュマニア伸長開始因子)、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩;カルシウム、鉄または亜鉛の塩;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化糖;カチオン性またはアニオン性誘導体化多糖;ポリホスファゼン;生分解性ミクロスフェア;モノホスホリルリピドAおよびquil Aとして商業的に利用可能である。GM-CSFまたはインターロイキン-2、7もしくは12などのサイトカインもまた、アジュバントとして使用することができる。主にThl型応答を誘発する際に使用するための好ましいアジュバントには、例えば、任意選択でアルミニウム塩との、モノホスホリルリピドA、好ましくは3-O-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)の組合せが含まれる。モノホスホリルリピドAおよび界面活性剤を含む水性製剤は国際公開第98/43670号に記載されている。
【0150】
別の好ましいアジュバントは、サポニンまたはサポニン模倣物もしくは誘導体、好ましくはQS21(Aquila Biopharmaceuticals Inc.)であり、これは、単独でまたは他のアジュバントと組み合わせて使用することができる。例えば、増強系は、QS21と3D-MPLとの組合せなどの、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組合せを含む。他の好ましい製剤は、水中油型エマルションおよびトコフェロールを含む。特に強力なアジュバント製剤は、水中油型エマルション中のQS21、3D-MPLおよびトコフェロールである。本発明に使用するためのさらなるサポニンアジュバントには、QS7(国際公開第96/33739号および国際公開第96/11711号に記載されている)およびQS17(米国特許第5,057,540号および欧州特許第0 362 279 B1号に記載されている)が含まれる。
【0151】
本発明のワクチン製剤は、最も好ましくはアジュバントとしてミョウバンを含む。
【0152】
本発明は、以下の図面および実施例によってさらに例示されるが、それらに限定されない。
【実施例
【0153】
方法:
I)実施例1のAmb a 1断片ならびに実施例3および4の融合タンパク質を試験し、特徴付けるために使用したELISA法
(a)Amb a 1断片および融合タンパク質のIgE反応性を試験するためのIgE ELISA:
この試験の目的は、Amb a 1断片または融合タンパク質が低アレルギー性であるかどうかを評価することである。この目的のために、断片または融合タンパク質とブタクサアレルギー個体の血清由来のIgEとの結合を、参照として使用される野生型Amb a 1とこれらのIgEとの結合と比較する。
【0154】
本出願の文脈において野生型Amb a 1は、IgE反応性、アレルゲン性、およびT細胞反応性に関して、Amb a 1が本質的にブタクサ花粉において発生することを意味する。「野生型Amb a 1」(「Amb a 1」とも称される)という用語は、単一のAmb a 1アイソフォームを含有する、組換えにより産生されたAmb a 1(rAmb a 1)、またはブタクサ花粉から精製され、したがって様々なAmb a 1アイソフォームを含む、実施例4の天然Amb a 1(nAmb a 1)を指し得る。
【0155】
以下のELISAプロトコールを使用してIgE反応性を試験した:Maxisorp ELISAプレートを、4℃にて一晩、0.5μg/ウェルの融合タンパク質、Amb a 1断片および参照アレルゲン(rAmb a 1および/またはnAmb a 1)によりコーティングし、コーティング緩衝液(3.9gのNa2CO3+5.3gのNaHCO3の1L水溶液、脱イオン(deion)、pH9.6)を用いて全て希釈した。次いでプレートを、0.05%のTween20を含有する250μLのPBSTを用いて2回洗浄し、さらに37℃にて2時間、ブロッキング緩衝液(1%のBSAを含有するPBST)を用いてブロッキングした。ブタクサアレルギー患者および非ブタクサアレルギー患者のうちの少なくとも1人由来の複数の患者血清を、希釈緩衝液(0.5%のBSAを含有するPBST)を用いて希釈し(1:5)、コーティングしたプレートに加え(100μl/ウェル)、4℃にて一晩インキュベートした。プレートを、PBST(250μl)を用いて5回洗浄し、検出のために、1:10000希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIgE抗体(KPL、カタログ番号074-1004)100μlを37℃にて2時間インキュベートした。プレートを、PBST(250μl/ウェル)を用いて5回洗浄した。最後に100μLのTMB(BD)をプレートに加え、呈色反応を、50μLの2NのHSOを用いて10~20分後に停止させ、TECAN ELISAリーダーを使用してOD450(参照650nm)にて測定した。参照アレルゲンに対するパーセントでのIgE反応性の計算。
IgE反応性%=(100/ODref.ODpat
【0156】
ODrefは、参照アレルゲンと結合した患者のIgEのOD値を表し、一方で、ODpat値は、試験した融合タンパク質または断片と結合した患者のIgEを表す。
【0157】
(b)ウサギにおけるIgG応答の誘導を評価するためのIgG ELISA:
この試験の目的は、融合タンパク質またはAmb a 1断片によるウサギの免疫化後のin vivo免疫原性を決定することである。
【0158】
以下のELISAプロトコールを使用してウサギ血清中のIgGレベルを測定した:ELISAプレートを、100μLの野生型Amb a 1(rAmb a 1および/またはnAmb a 1)を用いてコーティングし、これを0.1Mの重炭酸塩緩衝液中で2μg/mLに希釈し、4℃にて一晩インキュベートした。プレートを、TECAN ELISA洗浄機を使用して、0.05%のTween 20(PBST)を含む250μLのPBSを用いて5回洗浄し、RTにて2時間、1%のBSAを含有する200μLのPBSTを用いてブロッキングした。次いで、ウサギ血清の連続希釈物(0.5%のBSAを含有するPBST中で調製した希釈物)をプレートに加え(100μL/ウェル)、4℃にて一晩インキュベートした。再び、プレートを、TECAN ELISA洗浄機を使用して、250μLのPBSTを用いて5回洗浄した。検出のために、0.5%のBSAを含有するPBST中で1:25000希釈したHRP標識化ロバ抗ウサギIgG検出抗体(GE Healthcare、カタログ番号NA934)100μLを加え、37℃にて2時間インキュベートした。プレートを洗浄し、最後に100μLのTMBをプレートに加えた。呈色反応を、50μLの2NのHSOを用いて10~20分後に停止させ、TECAN ELISAリーダーを用いてOD450(参照650nm)にて測定した。
【0159】
(c)ウサギ血清中の遮断抗体を検出するためのIgE阻害ELISA
アレルギーワクチンは、免疫化の際に遮断抗体を誘導することが望ましい。この試験の目的は、異なる融合タンパク質またはAmb a 1断片による免疫化によって誘導されるIgGの、遮断抗体として機能する能力を調べ、それによってブタクサアレルギー個体の血清中に存在するIgEの、野生型Amb a 1との相互作用を阻害することである。
【0160】
以下の阻害ELISAプロトコールを使用した:
【0161】
最初に、Maxisorp ELISAプレートを、37℃にて2時間、0.1Mの重炭酸塩緩衝液中の0.2μg/ウェルの野生型Amb a 1(nAmb a 1および/またはrAmb a 1)によりコーティングした。プレートを、TECAN ELISA洗浄機を使用して、0.05%のTween 20(PBST)を含む250μLのPBSを用いて2回洗浄し、37℃にて2時間、1%のBSAを含有する200μLのPBSTを用いてブロッキングした。
【0162】
第2のステップにおいて、融合タンパク質、Amb a 1断片、または野生型Amb a 1(対照として)による免疫化によって得られた100μlのウサギ血清、および100μLの対応する免疫前血清を、4℃にて一晩、コーティングしたプレートとインキュベートした。ウサギ血清を、PBST 0.5% BSA中の1:10~1:100の範囲の異なる希釈で適用した。抗ペプチド血清の混合物をさらに希釈せずに適用した。プレートを、250μlのPBSTを用いて5回洗浄した。
【0163】
第3のステップにおいて、プレートを、37℃にて2時間、ブタクサアレルギーを有する患者由来の100μLの血清(0.5%のBSAを含有するPBST中で1:5に希釈した)とインキュベートした。
【0164】
最後に、結合したヒトIgE抗体を、37℃にて2時間インキュベートした、100μLの1:10000希釈した(PBST 0.5% BSA中)HRP標識化ヤギ抗ヒトIgE検出抗体(KPL、カタログ番号074-1004)を用いて検出した。プレートを、PBSTを用いて5回洗浄した。100μLのTMB(BD)をプレートに加え、呈色反応を、50μLの2NのHSOを用いて10~20分後に停止させ、TECAN ELISAリーダーを用いてOD450(参照650nm)にて測定した。
【0165】
パーセンテージでのIgE結合の阻害率を以下の式に従って計算した:
IgE阻害%=100-(ODs/ODp)×100(Chenら、Allergy Eur.J.Allergy Clin.Immunol.67、609~621頁(2012年)に従う)。ODsおよびODpはそれぞれ、ウサギ免疫血清(ODs)および免疫前血清(ODp)とのプレインキュベーション後の吸光度を表す。
【0166】
II)好塩基球活性化アッセイ(BAT)
ブタクサアレルギー個体由来の100μlの全血試料を、2ng/mlのIL-3を含有するHepesカルシウム緩衝液中で希釈した20μlの異なる刺激剤(陽性対照(抗IgE)、陽性対照(fMLP)、Amb a 1および融合タンパク質)と混合し、37℃にて15分インキュベートした。10μlのHepes/EDTA緩衝液を加え、RTにて5分のインキュベーション後、20μlの抗体溶液(FACS緩衝液、抗CD63-PE、抗CD123-FITCおよび抗CCR3-APC)を加え、暗所で15分間インキュベートした。赤血球を溶解し、遠心分離した後、細胞を0.5mlのFACS緩衝液中に溶解し、遠心分離し、2%のホルムアルデヒドを含有する250μlのFACS緩衝液により固定し、フローサイトメトリーを用いて測定した。ゲートをCD123/CCR3に設定し、1000個の細胞を記録した。
【実施例1】
【0167】
Amb a 1.0305ペプチドの設計
以下の断片を設計した。示したアミノ酸位置は成熟Amb a 1.0305の配列を指す(図1を参照のこと)。
【0168】
【表1】
【0169】
これらのペプチドを化学的に合成し、本発明のポリペプチドの構築に適したアレルゲン断片を同定するためのさらなる試験(実施例5~7)のために使用した。
【実施例2】
【0170】
実施例1の断片および/またはこれらのペプチドのバリアントを含む融合タンパク質の設計および組換え発現
これらの実施例に使用した融合タンパク質K1からK6ならびにK4A、K4B、K4C、K4DおよびK4Eは、ペプチド担体原理に基づき、PreSドメインのN末端およびC末端、B型肝炎ウイルス(HBV)表面抗原のウイルスコートタンパク質と融合したAmb a 1ファミリーに属するアレルゲンの断片(さらに「Amb a 1断片」と称される)を含む。担体分子としてPreSを含むこのようなAmb a 1関連融合タンパク質の例を図4Aおよび4Bに示す。融合タンパク質K4Aにおいて、Amb a 1断片に存在する全ての末端システイン残基は欠失している。融合タンパク質K4Bにおいて、それぞれのAmb a 1断片に存在する全てのシステイン残基はセリン残基と置換されている。融合タンパク質K4C、K4DおよびK4Eは、Amb a 1の異なるアイソフォームに由来する、記載したAmb a 1断片のバリアントを含む。
【0171】
K1からK6ならびにK4A、K4B、K4C、K4DおよびK4Eのアミノ酸配列は以下の通りであった:
【0172】
K1(配列番号56):
【0173】
【化26】
【0174】
K2(配列番号57):
【0175】
【化27】
【0176】
K3(配列番号58):
【0177】
【化28】
【0178】
K4(配列番号59):
【0179】
【化29】
【0180】
K5(配列番号60):
【0181】
【化30】
【0182】
K6(配列番号61):
【0183】
【化31】
【0184】
K4A - 断片の末端システイン残基を有しないK4のバリアント(配列番号62):
【0185】
【化32】
【0186】
K4B - システイン残基がセリン残基と置換されている、K4のバリアント(配列番号63):
【0187】
【化33】
【0188】
K4C(配列番号64):
【0189】
【化34】
【0190】
K4D(配列番号65):
【0191】
【化35】
【0192】
K4E(配列番号66):
【0193】
【化36】
【0194】
前記融合タンパク質をコードする核酸分子は、熱ショック形質転換を使用して発現ベクターpET-27b(+)(Merck/Novagen)を介して化学的にコンピテントなE.coli BL21(DE3)(Novagen、USA)に導入されている。組換えにより発現した融合タンパク質の精製を容易にするために、6個の連続するヒスチジン残基を含むHisタグを融合タンパク質のC末端に導入した。
【0195】
融合タンパク質の組換え発現のために、1.25mLの一晩培養物を、光度計(Eppendorf)を使用して600nmの波長にて測定して0.6のOD(光学密度)として表した細胞密度に到達するようにカナマイシンを含有する250mLのLB培地に接種した。融合タンパク質の発現を誘導するために、1mMのIPTG(イソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド)を細胞培養物に加えた。3から4時間後、細胞を、7000rpmでの20分間の遠心分離によって回収した。上清を廃棄し、ペレットを-20℃にて凍結した。
【実施例3】
【0196】
融合タンパク質の単離および精製
融合タンパク質を含む実施例2のE.coliペレットを、15mLの溶解緩衝液(25mMのイミダゾール;0.1%のTritonX100;pH7.4)に溶解した。得られた懸濁液を室温にて20分間撹拌した。細胞を破壊し、分散装置(Ultraturrax;IKA)を使用することによって均質化した。DNAを、4μLのDNAse(1mg/mL)を加え、10分間撹拌することによって除去した。10mMのNaClの添加によってDNAse活性は減少した。融合タンパク質を含むペレットを遠心分離によって回収した。
【0197】
ペレットから融合タンパク質を単離するために、ペレットを、6MのGHCl(塩酸グアニジン)または8Mの尿素のいずれかを含む変性緩衝液(pH8)を使用することによって溶解した。これらの緩衝液のうちの1つを用いてペレットを溶解した後、溶液を遠心分離し、透明な上清をNi-NTAマトリクス(Quiagen)と接触させた。このマトリクスをポリプロピレンカラム(Quiagen)に移し、カラムを6MのGHClまたは8Mの尿素を含む緩衝液(pH6.3)を用いて2回洗浄した。最後に、融合タンパク質を、6MのGHClまたは8Mの尿素を含む緩衝液(pH4.5)を適用することによってカラムから溶出した。精製手順を、SDS-PAGEを用いて種々のステップからの試料を分析することによってモニターした。
【0198】
単離および精製ステップの後、6MのGHClまたは8Mの尿素を含む緩衝液に溶解した融合タンパク質を透析して、GHClまたは尿素を除去した。
【実施例4】
【0199】
ブタクサ花粉抽出物からの天然Amb a 1(nAmb a 1)の単離および精製
ブタクサ花粉粗抽出物(CE)の調製およびそれに続く硫酸アンモニウムによる沈殿のために、Hiroshi Yasuedaら、1983年(J ALLERGY CLIN IMMUNOL 71:77、1983年)の改変プロトコールを使用した。
【0200】
簡潔に述べると、花粉をAmbrosia artemisiifoliaから得、10gをエーテルにより脱脂し、20℃にて48時間、200mlの0.125Mの重炭酸アンモニウム(pH=8.0)中で抽出した。抽出後、花粉を遠心分離(10,000×g)によって上清から分離し、24時間にわたって120mlの0.125Mの重炭酸アンモニウム中で抽出した。合わせた上清を5mMの重炭酸アンモニウムに対して透析し、凍結乾燥した。
【0201】
10gの乾燥花粉から得た抽出物を30mlの0.05MのTris-HCl(pH7.8)に溶解し、固体硫酸アンモニウムを撹拌しながら80%飽和まで加えた。4℃にて一晩撹拌した後、沈殿物を遠心分離によって回収した。得られた黄色の沈殿物を10mlの0.02MのTris-HCl(pH7.8)に溶解し、同じTris緩衝液に対して透析した。
【0202】
nAmb a 1の精製のために、2つのアニオン交換クロマトグラフィー(AEC IおよびACE II)および1つの疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)ステップを含む、3つのクロマトグラフィーステップを実施した。
【0203】
10mlの0.02MのTris-HCl(pH7.8)中に硫酸アンモニウム沈殿物を含有する上清を、カチオン交換クロマトグラフィー(SP Sepharose FF、GE Health Care)を使用して捕捉した。高分子量不純物は、これらの不純物が結合せずにカラムを通過したためになくなった。nAmb a 1タンパク質の溶出を勾配溶出によって実施し、生成物を、緩衝液A(20mMのTris-HCl、1mMのEDTA、pH8)および緩衝液B(50mMのTris-HCl、1mMのEDTA、pH8)を使用することによって溶出した。nAmb a 1を含有する画分を還元SDS-PAGE分析に従ってプールし、2つのプール(P1およびP2)を得た。捕捉プール2を、疎水性相互作用クロマトグラフィー(Phenyl Sepharose FF)によってさらに処理した。
【0204】
カラムからのプール2を2.5Mの塩化ナトリウムと混合し、pH10に調整し、HICカラムに充填した(結合モード)。低塩緩衝液を使用する勾配溶出によって溶出を実施した。生成物は、溶出緩衝液A(20mMのNaHCO、1mMのEDTA、2.5MのNaCL、pH10)および緩衝液B(5mMのTriHCl、1mMのEDTA、4%のイソプロパノール(pH8.0)が30%から60%の間にあるときに溶出された。
【0205】
画分を還元SDS-PAGE分析に従ってプールし、得られたHICプールを濃縮し、透析濾過した。最後に、高度に精製したnAmb a 1タンパク質を滅菌濾過し(0.22μm]、タンパク質濃度を、ブラッドフォードアッセイを使用することによって測定し、ウェスタンブロット(WB)によって確認し、アリコートし、20℃にて凍結した。
【0206】
精製したnAmb a 1は、特異的Amb a 1反応性抗体を用いた免疫ブロットにおいて陽性と判定した。
【実施例5】
【0207】
Amb a 1断片のIgE反応性は野生型Amb a 1と比較して大幅に低減する
実施例1の11個のAmb a 1ペプチドのIgE結合能を、方法I(a)に記載されるIgE ELISAの使用によって野生型Amb a 1(nAmb a 1および/またはrAmb a 1)のものと比較した。このELISAにおいて得られたODレベルはIgEレベルに対応し、OD値が高いほど、より多くのIgEに、コーティングされた抗原が結合していた。これは、より高いIgE反応性を示す。全体で、23人の高度のブタクサアレルギー患者および1人の非アレルギー患者(陰性対照として)由来の血清を選択し、Amb a 1断片を試験するために使用した。ペプチドのIgE反応性を、各患者についての参照として使用し100%のIgE反応性と設定した野生型Amb a 1のものと比較した。次いで断片のIgE反応性のパーセンテージを、各患者について、野生型Amb a 1についてのそれらの100%に対して計算した。結果を図2にまとめる。
【実施例6】
【0208】
KLH結合Amb a 1断片および融合タンパク質による免疫化はAmb a 1特異的IgG抗体を誘導する
Amb a 1特異的IgG抗体の量ならびに実施例1のAmb a 1断片または実施例2および3の融合タンパク質のin vivo免疫原性を評価し、それを野生型Amb a 1(精製した天然または組換えAmb a 1)の免疫原性と比較するために、免疫化研究をウサギにおいて実施した。この目的のために、KLH結合断片、野生型Amb a 1(nAmb a 1およびrAmb a 1)または融合タンパク質を水酸化アルミニウム(ミョウバン)に吸着させ、ウサギに皮下投与した。3匹のウサギを各抗原により免疫化した。血液試料を免疫化の前および後に得た。
【0209】
Amb a 1特異的IgG力価の誘導を評価するために、免疫化後に得たウサギ血清の連続希釈物(1/10~1/1280)を、方法5(b)に記載されるIgG ELISAを使用して試験した。野生型Amb a 1(nAmb a 1およびrAmb a 1)による免疫化に起因するアレルゲン特異的IgGのレベルは、一方では陽性対照として、他方では最適な免疫原性のための参照として役立った。このように、野生型Amb a 1アレルゲンによって誘導されたIgGレベルは、ペプチドによって誘導されたものと比較して高かった。図3Aおよび3Bに示すように、ペプチド11は、はるかに多くの量のAmb a 1特異的IgG抗体を誘導し、したがって最も高い免疫原性を示し、他のペプチドはより低いIgG力価を誘導した。図3Aおよび3Bに示した抗体レベルはこれらの3匹のウサギの平均を表す。
【0210】
融合タンパク質をウサギの免疫化のために使用し、得られた抗血清を同様に試験した。
【実施例7】
【0211】
実施例1のペプチド/Amb a 1断片1から5および7から11によるウサギの免疫化は、アレルギー患者のIgEと野生型Amb a 1との結合を阻害する遮断抗体を誘導する
上記の方法Ic)を使用して、ペプチド/Amb a 1断片1から5および7から11(実施例1を参照のこと)ならびに前記ペプチド/断片の混合物による免疫化によって誘導された抗体のIgE阻害可能性を評価した。
【0212】
Amb a 1ペプチド/断片1から5および7から11による免疫化によって得られた血清は、ペプチド/断片9、10および11が少なくとも50%のIgE結合阻害のレベルに達したことを示したが、ペプチド1から5、7および8により得られた阻害レベルは50%未満であった(図11Aを参照のこと)。驚くべきことに、3つまたは4つのペプチド/断片に対する抗体を含む前記血清の混合物(すなわち、ペプチド1+9+11、2+9+11、8+9+11、3+4+5、5+7+8、1+9+10+11を含有する混合物)は、成熟アレルゲンのN末端に由来する少なくとも1つの断片(すなわち、成熟アレルゲンのアミノ酸残基1から50)に対する抗体および成熟アレルゲンのC末端に由来する少なくとも1つの断片(すなわち、成熟アレルゲンのアミノ酸残基240からC末端)に対する抗体を含有する混合物が、最も高いIgE阻害反応性を示すことを明らかにした(図11Bを参照のこと)。Amb a 1の2つの断片(ペプチド/断片2+11、1+2、1+8および1+11)に対する抗体を含む血清の混合物は、IgE阻害アッセイにおいて、成熟アレルゲンのN末端に由来する少なくとも1つの断片に対する抗体と、成熟アレルゲンのC末端に由来する少なくとも1つの断片に対する抗体との組合せが、高い阻害率をもたらすことも示した(図11Cを参照のこと)。
【実施例8】
【0213】
融合タンパク質のIgE反応性は野生型Amb a 1と比較して大幅に低減する
Amb a 1特異的融合タンパク質のIgE結合能(実施例2;図4Aおよび4Bを参照のこと)を、方法I(a)に記載されるIgE ELISAの使用によって、天然Amb a 1のものと比較した。やはり、高いOD値は、より多くのIgEが、コーティングした融合タンパク質または野生型Amb a 1によって結合され得ることを意味し、高いIgE反応性を示す。合計で19人のブタクサアレルギー患者の血清を使用し、陰性対照について1人の非アレルギー患者を試験した。
【0214】
天然Amb a 1のIgE反応性を参照として使用した。それを最大IgE反応性と定義し、したがって個々の患者についての100%のIgE反応性と設定し、融合タンパク質のIgE反応性を各患者についてAmb a 1のものとの相関において計算した。図5および8に示したELISA結果により、野生型Amb a 1と比較して、いずれの融合タンパク質も、関連するIgE反応性を示さなかったことが示された。
【0215】
ブタクサアレルギー個体においてアレルギー反応を誘発するIgE反応性および可能性を、好塩基球活性化試験(BATアッセイ)を用いてさらに測定した。ブタクサアレルギー患者由来の新鮮な血液を使用した。融合タンパク質のIgE反応性は、陽性対照および野生型Amb a 1と比較して非常に低かった(図10を参照のこと)。BATアッセイについての実験プロトコールの詳細な説明は方法IIに提供される。
【実施例9】
【0216】
融合タンパク質K1からK6によるウサギの免疫化は、アレルギー患者のIgEと野生型Amb a 1との結合を阻害する遮断抗体を誘導する
Amb a 1融合タンパク質K1からK6による免疫化によって誘導された抗体のIgE阻害可能性を評価するために、野生型Amb a 1によりコーティングしたELISAプレートを融合タンパク質K1からK6により免疫化したウサギから得られた血清、続いて、異なるブタクサアレルギー患者由来の26の血清とインキュベートした。阻害ELISAの詳細なプロトコールは方法I(c)に記載される。結果を図6に示す。Amb a 1特異的融合タンパク質K2、K3、K4およびK6による免疫化によって得られた血清は、参照として使用した野生型Amb a 1および陽性対照(nAmb a 1およびrAmb a 1)について決定したものと同じ範囲(90~92%)であった80~90%の阻害レベルに達した。対照的に、Amb a 1融合タンパク質K1およびK5によって誘導されたIgG抗体は、より低い阻害レベルを示した(60%および23%)。
【0217】
さらに、ウサギ血清を、PBSを用いて1:10、1:25、1:50および1:100に希釈し、IgE阻害を上記のように再び試験した。融合タンパク質K4により免疫化したウサギから得られた血清は、最も高い阻害率を示したことが判明した(図7を参照のこと)。融合タンパク質K5により免疫化したウサギ由来の血清は、以前の実験において低いIgE阻害反応性を示したので、それを異なる希釈においてさらに試験しなかった。
【実施例10】
【0218】
融合タンパク質によるウサギの免疫化は、アレルギー患者のIgEの、Amb a 1の臨床的に関連するアイソフォームとの結合を阻害する遮断抗体を誘導する
Amb a 1の異なるアイソフォームに対するAmb a 1融合タンパク質による免疫化によって誘導された抗体のIgE阻害可能性を評価するために、実施例9の阻害ELISAを、それぞれ、rAmb a 1(単一アイソフォームAmb a 1.0305)およびnAmb a 1(質量分析によって確認して、大部分はアイソフォームAmb a 1.0101およびAmb a 1.0401)によりコーティングしたELISAプレートを用いて実施した。コーティングしたELISAプレートを、融合タンパク質K4AおよびK4Bにより免疫化したウサギから得られた血清、続いて、異なるブタクサアレルギー患者由来の26の血清とインキュベートした。結果を図9Aおよび9Bに示す。K4AおよびK4Bによって誘導された抗体は、Amb a 1アイソフォーム1.0305、ならびにアイソフォーム1.0101および1.0401の混合物とのIgE結合を阻害することができた。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10-1】
図10-2】
図11A
図11B
図11C
【配列表】
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