(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】光学式手ぶれ補正およびフォーカス調整のためのレンズアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20220426BHJP
G02B 3/14 20060101ALI20220426BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20220426BHJP
G03B 5/00 20210101ALN20220426BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/04 Z
G02B3/14
G02B26/08 J
G03B5/00 J
(21)【出願番号】P 2019569220
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2018067511
(87)【国際公開番号】W WO2019002524
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-05-21
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511009547
【氏名又は名称】ポライト アーエスアー
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】クレイン、ピエール
(72)【発明者】
【氏名】カルタショフ,ウラジミール
(72)【発明者】
【氏名】キルピネン、ジャン タパニ
(72)【発明者】
【氏名】タラロン、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリクセン、ラース
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-239106(JP,A)
【文献】特表2017-521718(JP,A)
【文献】特表2012-518197(JP,A)
【文献】特開昭60-111201(JP,A)
【文献】特表2018-525673(JP,A)
【文献】特表2010-533886(JP,A)
【文献】特表2010-518444(JP,A)
【文献】特表2010-518443(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045649(US,A1)
【文献】特表2010-504554(JP,A)
【文献】特開平4-21815(JP,A)
【文献】特開2007-333975(JP,A)
【文献】特開2002-243918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02-7/16
G02B 3/14
G02B 26/08
G03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-フレーム(6)と、屈曲可能な透明なレンズカバー(4)と、フレームに接続された透明なバックウィンドウ(3)と、
を備える光学レンズアセンブリ(1)であって、
前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有し、
前記光学レンズアセンブリ(1)は、
-前記レンズカバーと前記バックウィンドウ(3)との間に挟まれ、光軸(5)と第1光パワーとを有するレンズを形成する、透明で変形可能な非流体のレンズ本体(2)と、
-前記レンズカバーに力を加えて前記レンズの全体形状を変化させるためのアクチュエータシステム(7、8)であって、前記アクチュエータシステムは、それぞれがフレームに接続され、少なくとも実質的に前記光軸(5)に沿った方向にレンズカバーに力を加えるように適合された複数の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)と、前記アクチュエータシステム(7、8)を介して前記フレームに接続される前記レンズカバー(4)と、を有する、アクチュエータシステム(7、8)と、
を備え、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記複数のアクチュエータが、前記レンズの前記第1光パワー
及び前記サグを調整するよう、前記レンズカバー(4)に同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モードを有し、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記レンズカバー(4)のリムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸(5)を傾斜させるよう、前記複数のアクチュエータの各々が、前記レンズカバー(4)に様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有し、
前記レンズカバー(4)は、前記レンズカバー(4)のより大きな領域にわたって加えられた力から生じる前記光軸の周りの歪みおよび非対称な変形を分散させるように機能する一以上のスティフナ(24)をその円周部分に有し、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記フレーム(6)に対して前記レンズカバー(4)の縁部の少なくとも一部を変位させるように配置される、
光学レンズアセンブリ(1)。
【請求項2】
前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有する、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記アクチュエータシステムは、少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を備える、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記アクチュエータシステムは、複数の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を有し、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、全てのアクチュエータが、前記レンズの前記第1光パワー
及び前記サグを調整するよう、前記レンズカバー(4)に同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モードを有し、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記レンズカバー(4)のリムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸(5)を傾斜させるよう、前記アクチュエータが、前記レンズカバー(4)に様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有する、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項5】
前記アクチュエータシステムは、複数の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を有し、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、フォーカス調整モードおよび手ぶれ補正モードで加えられる力の少なくとも実質的に合計である力を加えるように各アクチュエータを処理することで、これらのモードで同時に作動させることができる、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記フォーカス調整モードの前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記レンズの全体形状を、前記レンズが第1光パワーを有する第1全体形状から、前記レンズが第2光パワーを有する第2全体形状に変更することができ、前記第1光パワーと前記第2光パワーとの間の差である光パワー範囲は、少なくとも2ジオプトリである、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項7】
前記複数のアクチュエータ(7、8)は、前記レンズカバー(4)の前記円周部分と前記フレームの前記バックウィンドウ(3)との間で、前記レンズ本体(2)に隣接して配置される、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記複数のアクチュエータ(7、8)はそれぞれ、前記フレーム(6)に接続された第1端部と、力を加えるために前記レンズカバー(4)に係合するように適合された第2端部と、を有するカンチレバー(14)を含み、
各カンチレバーは、圧電材料の層(15)を含み、アクチュエータの前記処理は、前記圧電材料上に電圧を印加することを含む、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記レンズ本体(2)内に、または隣接して、前記光軸上に配置される中央部材(9、10、25、26)をさらに備え、前記中央部材は、前記レンズカバーが前記バックウィンドウ(3)に向けて動かされたときに、前記レンズ本体からの反力の半径方向の変化を前記レンズ本体に提供させることができ、前記反力は、半径が増加することにつれて減少する、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項10】
少なくとも実質的に前記光軸に沿った、前記レンズカバー(4)の動きを制限する機械的止め部(21)をさらに備える、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項11】
前記機械的止め部(21)は、前記フレーム(6)の一部によって形成され、前記レンズカバーの前記円周部分上の前記一以上のスティフナ(24)は、前記機械的止め部によって係合されるように配置される、
請求項7に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項12】
前記レンズカバー(4)に隣接する第1光学絞りおよび前記バックウィンドウ(3)に隣接する第2光学絞りをさらに備え、
前記第1光学絞りおよび前記第2光学絞りは、不透明であり、開口の円周を画定し、その円周は前記光軸に垂直であり、前記光軸と同心であり、前記レンズアセンブリ(1)の光学開口を画定する、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項13】
前記レンズカバー(4)は、その円周部分に一以上のスティフナを備え、
前記アクチュエータシステムは、少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を有し、
前記フレームにそれぞれ接続されている前記少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)は、それぞれ前記一以上のスティフナに接続される、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項14】
前記複数の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)のうちの少なくとも1つが、前記フレームを有するアセンブリ(6)を形成する、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【請求項15】
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1、30、60、32)を含む光学装置であって、前記光学装置は、
カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つである、
光学装置。
【請求項16】
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)を備える携帯電話カメラであって、
前記バックウィンドウ(3)は、前記携帯電話カメラのカバーガラスとして使用される、
携帯電話カメラ。
【請求項17】
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)を製造する方法であって、前記方法は、
-フレーム(6)を設けることと、
-少なくとも一以上の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を設けることと、
-前記少なくとも1つのアクチュエータを前記フレーム(6)に接続することと、
を備える、方法。
【請求項18】
請求項17に記載のレンズアセンブリ(1)を製造する方法であって、
-一以上の個別に処理可能なアクチュエータを設けることは、
前記フレーム(6)とは別個の前記少なくとも1つのアクチュエータを設けることを含む、
方法。
【請求項19】
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1、30、60、32)の使用方法であって、
-カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つのフォーカスを調整することと、
-カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つの光軸を傾斜させることや光学式手ぶれ補正を行うことと、
のうちの一以上のための使用方法。
【請求項20】
前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有し、
前記アクチュエータシステムは、少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を有し、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、全てのアクチュエータが、前記レンズの前記第1光パワー
及び前記サグを調整するよう、前記レンズカバー(4)に同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モードを有し、
前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記レンズカバー(4)の前記リムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸(5)を傾斜させるよう、アクチュエータが、前記レンズカバー(4)に様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有する、
請求項1に記載のレンズアセンブリ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクトカメラのような光学装置のための調整可能またはチューナブルなレンズシステムに関し、特に、光学式手ぶれ補正およびフォーカス調整を補助するための調整可能なレンズシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカス(AF)および手ぶれ補正は、ほとんどのコンパクトカメラにおいて一般的な特徴であり、同時に光学品質を向上させながら、このようなタスクを実行するシステムをより小さく、より安価に、より堅牢にするために、継続的な努力がなされている。
【0003】
米国特許第5,315,435号は、画像を安定させるために光ビームを透過および屈折させるための可変プリズムユニットを提示している。当該ユニットは、その間に液体を有する2つのプレートを有し、一方のプレートは固定され、他方のプレートを押圧して光ビームを屈折させる光学ウェッジを生成するためのアクチュエータを有する。可変プリズムユニットは、いかなるフォーカス機能も提供せず、画像形成およびオートフォーカスのために、追加の光学素子が必要とされる。光学的機能性のために液体を使用することも困難であり、例えば携帯電話のための、レンズの大量生産に適合しないことが知られている。
【0004】
国際公開第2008/100153号パンフレットには、手ぶれ補正装置とオートフォーカス機能の両方を有する装置が記載されている。この装置は、透明プリズムを含む薄い屈曲可能なカバーと、レンズを形成するために中央領域を曲げることができる薄い屈曲可能なカバーとの間に挟まれた可撓性レンズ体を有する。両方の薄い屈曲可能なカバーは、プリズムを傾斜させ、レンズの焦点距離を調整することができるアクチュエータを含む。プリズムおよびレンズは独立して動作し、したがって、装置は2組のアクチュエータ(各側のカバー上に1組)を必要とし、アクチュエータは、カバー上に形成された圧電アクチュエータであり、これは光学開口のサイズを制限するか、または装置のサイズを増大させることを必要とするので、費用効果のない解決策につながる。
【0005】
上述の両方の手ぶれ補正解決策において、画像がカメラ内に固定された画像センサ上で動かないようにするために、カメラの小さな動きが反対方向に画像を動かすように、アクチュエータは、カメラ内の動き検出器に応答して動作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、単純であるが効果的な作動機構で作動させることができるレンズを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、チューナブルであって、光学式手ぶれ補正(OIS)およびフォーカス調整(FA)の両方に使用することができるレンズアセンブリを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、光学式手ぶれ補正およびフォーカス調整の両方において、同一の組のアクチュエータおよび同一のレンズカバーが使用されるようなレンズアセンブリを提供することである。
【0009】
さらに、費用効率が良く、光学開口を大きくすることができるレンズアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、
-フレーム(6)と、屈曲可能な透明レンズカバー(4)と、フレームに接続された透明バックウィンドウ(3)と、を備える光学レンズアセンブリ(1)であって、
前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有し、前記光学レンズアセンブリ(1)は、
-前記レンズカバーと前記バックウィンドウ(3)との間に挟まれ、光軸(5)と第1光パワーとを有するレンズを形成する、透明で変形可能な非流体レンズ本体(2)と、
-前記レンズカバーに力を加えて前記レンズの全体形状を変化させるためのアクチュエータシステム(7、8)であって、前記アクチュエータシステムは、それぞれがフレームに接続され、少なくとも実質的に前記光軸(5)に沿った方向にレンズカバーに力を加えるように適合された、少なくとも3つなどの、一以上の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を有する、アクチュエータシステム(7、8)と、を備え、前記アクチュエータシステム(7、8)は、全てなどといった、前記一以上のアクチュエータが、前記レンズの前記光パワー/サグを調整するよう、前記レンズカバー(4)に同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モードを有し、および/または前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記レンズカバー(4)のリムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸(5)を傾斜させるよう、前記一以上のアクチュエータの各々が、前記レンズカバー(4)に様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有し、前記レンズカバー(4)は、前記レンズカバー(4)のより大きな領域にわたって加えられた力から生じる前記光軸の周りの歪みおよび非対称な変形を分散させるように機能する、リング状スティフナ(23)のような、一以上のスティフナ(24)をその円周部分に有し、前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記フレーム(6)に対して前記レンズカバー(4)の縁部の全てなどといった、少なくとも一部を変位させるように配置される、光学レンズアセンブリ(1)が提供される。本発明は、単純であるが効果的な作動機構を提供するために有利であり得る。例えば、スティフナリングは、フレームに対するレンズカバーの縁部の歪みおよび変位の分散を可能にすることができ、また、レンズカバーを成形および/または傾斜させるために、レンズ本体の作用反力を利用することを可能にすることができる。単一のアクチュエータを使用することができ、任意選択で、単一のアクチュエータから力が加えられたときに(光軸の周りで非回転的に)レンズカバーを案内するための案内手段を有する。複数のアクチュエータは、光軸の周りにそれらを配置することなどにより、(光学式手ぶれ補正モードにおいて)傾斜を提供するために、および/または(フォーカス調整モードにおいて)光軸の周りに対称的に力を加えるために有益であり得る。
【0011】
「スティフナ」とは、レンズカバーやレンズカバーに関連するスティフナアセンブリ(少なくともそれが取り付けられる部分)の剛性を増大させる要素と理解されてもよく(剛性とは、例えば、光軸に沿った厚さに、光軸に沿った方向のヤング率を乗じたものとして定義されてもよい)、スティフナ要素は、例えば、レンズカバーよりも高い剛性を有する。スティフナ要素は、作動時のアクチュエーションシステムによって変形されないなど、実質的に変形されないように、十分に高い剛性を有することができる。スティフナは、光軸を完全に取り囲むようなスティフナリングであってもよい。
【0012】
「その円周部分」とは、光軸からレンズカバーの縁部までの距離の50%を超えて光軸から離れているなど、光軸に対して半径方向に変位しているレンズカバー上の領域と理解されてもよい。
【0013】
第1の態様では、
-フレームと、屈曲可能な透明レンズカバーと、フレームに接続された透明バックウィンドウと、を備える光学レンズアセンブリであって、前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有し、
前記光学レンズアセンブリは、
-前記レンズカバーと前記バックウィンドウとの間に挟まれ、光軸と第1光パワーとを有するレンズを形成する、透明で変形可能な非流体レンズ本体と、
-前記レンズカバーに力を加えて前記レンズの全体形状を変化させるためのアクチュエータシステムであって、前記アクチュエータシステムは、それぞれがフレームに接続され、少なくとも実質的に前記光軸に沿った方向にレンズカバーに力を加えるように適合された、少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータを有する、アクチュエータシステムと、を備え、
前記アクチュエータシステムは、全てのアクチュエータが、前記レンズの前記光パワー/サグを調整するよう、前記レンズカバーに同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モード(以下、単に「フォーカスモード」ともいう)を有し、前記アクチュエータシステムは、前記レンズカバーのリムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸を傾斜させるよう、アクチュエータが、前記レンズカバーに様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有する、光学レンズアセンブリが提供される。
【0014】
態様および実施形態は、代替の態様および実施形態と組み合わせることができることに留意されたい。
【0015】
第2の態様では、本発明は、第1の態様によるレンズアセンブリを含む対物レンズモジュールを提供する。
【0016】
第3の態様では、本発明は、第1の態様によるレンズアセンブリと、カメラの動きを示す信号をアクチュエータシステムに提供するように接続された3軸モーションセンサと、を有するカメラを提供する。以下では、いくつかの好ましいおよび/または任意の特徴、要素、例、および実装を要約する。1つの実施形態または態様に関連して説明された特徴または要素は、適用可能な場合、他の実施形態または態様と組み合わされてもよく、または適用されてもよい。さらに、本発明者らによって実現されるような本発明の基礎となる機構の説明は、説明の目的で提示され、本発明を推論するための事後分析において使用されるべきではない。
【0017】
第4の態様では、本発明は、第1の態様によるレンズアセンブリを有する光学装置、例えば、カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイなどを提供する。レンズアセンブリは、光学レンズスタックの設計に含まれる、またはレンズアセンブリを含むレンズモジュールを有する光学装置内の追加の構成要素であってもよい。
【0018】
一実施形態では、第1の態様によるレンズアセンブリを備える光学装置が提示され、光学装置は、カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つである。第5の態様では、本発明は、第1の態様によるレンズアセンブリを製造する方法であって、前記方法は、
-フレームを設けることと、
-少なくとも3つなどの、少なくとも一以上の個別に処理可能なアクチュエータを設けることと、
-前記少なくとも1つのアクチュエータを前記フレームに接続することと、
を備える、方法。
【0019】
少なくとも1つのアクチュエータを設けること、また少なくとも1つのアクチュエータをフレームに接続することにより、アクチュエータは、アクチュエータをフレームに接続するより前から、作動可能なアクチュエータのようなアクチュエータであることを理解されたい。これは、フレームを設けてから、最終的にはアクチュエータになるが、フレームに接続されていないアクチュエータではない材料を、フレーム上に置くこととは異なると考えることができる。第5の態様の利点は、(個別化された)アクチュエータを別々に製造することを可能にすることであり得る。これの利点は、別々に製造されたこれらの(個別化された)アクチュエータが、ウェーハ当たりの数が多い(高密度)など、効果的に製造され得ることである。別の可能な利点は、レンズアセンブリの他の部分が、アクチュエータを製造するための製造条件にさらされないことであり得る。例えば、アクチュエータの製造中に高温にする必要がある場合があり、これはアクチュエータがフレーム上で製造される場合、レンズアセンブリ内に特定の材料、例えばプラスチックを含めることを不可能にすることがあるが、(完成した、個別化された)アクチュエータを追加することで、これらの材料を使用することが可能になる場合がある。
【0020】
一実施形態によれば、
-少なくとも3つなどの、一以上の個別に処理可能なアクチュエータを設けることは、
前記フレームとは別個の前記少なくとも1つのアクチュエータを設けることを含む方法。
【0021】
第6の態様では、本発明は、第1の態様によるレンズアセンブリを、
-カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つのフォーカスを調整することなどといった、フォーカスを調整することと、
-カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つの光軸を傾斜させることや光学式手ぶれ補正を行うことなどといった、光軸を傾斜させることや任意に光学式手ぶれ補正を行うことと、
のうちの一以上のために使用する。
【0022】
サグは、
図1に示されており、次式によって与えられる、弦からのレンズ表面の高さとして定義される。
【数1】
ここで、Rは、(レンズカバーの中央部分の)曲率半径であり、Dは、開口の径に等しい弦長である。所与のサグは、開口径または曲率半径の具体的な値に限定されず、したがって、様々なサイズおよび強度のレンズに適応する。さらなる実施形態では、レンズカバーおよび/またはバックウィンドウの固有の非ゼロのサグは、15μmまたは少なくとも20μmなど、少なくとも10μmであることが好ましい。
【0023】
サグは、次式による光パワー(OP)に関連する。
【数2】
ここで、nはレンズ本体の屈折率である。好ましい実施形態では、第1光パワーが少なくとも5ジオプトリ、例えば少なくとも10ジオプトリ、例えば少なくとも20ジオプトリである。
【0024】
ほとんどの先行技術の小型の調整可能なレンズは、ゼロまたはわずかな固有の光パワーを有し、したがって、最大電圧で、だいたい数ジオプトリの総光パワーをもたらすので、レンズの固有のサグまたは光パワーは、好都合である。したがって、そのようなレンズは、通常、調整が望まれる光パワーを有する標準レンズと組み合わされなければならない。このようなレンズは、ゼロボルトで平坦またはほぼ平坦である変形可能なレンズカバーを用いる。
【0025】
一実施形態では、前記レンズアセンブリの前記固有の光パワーは、非ゼロであり、少なくとも0.1ジオプトリなど、少なくとも1ジオプトリなど、少なくとも2ジオプトリなど、少なくとも5ジオプトリなど、少なくとも10ジオプトリなど、また少なくとも100ジオプトリなどである。一実施形態では、前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、1ジオプトリ未満など、0.1ジオプトリ未満など、0ジオプトリなど、光パワーを実質的に有していない(実質的な光パワーなどの前記光パワーは、前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウによる前記屈折レンズ本体の成形によって与えられる)。一実施形態では、前記レンズカバーは、非ゼロのサグを有する。
【0026】
フォーカス調整モードでは、レンズのフォーカス点は、変化を特徴付けるための異なる方法である、サグ、光パワー、またはフォーカス距離を調整することによって光軸に沿って移動される。このようなフォーカス調整は、しばしば、画像内の焦点の測定に応じてフォーカスが調整されるオートフォーカス(AF)システムにおいて使用される。
【0027】
好ましい実施形態では、フォーカスモードのアクチュエータシステムが、レンズの全体形状を、レンズが第1光パワーを有する第1全体形状から、レンズが第2光パワーを有する第2全体形状に変更することができ、第1光パワーと第2光パワーとの間の差、光パワー範囲は、少なくとも2ジオプトリである。
【0028】
手ぶれ補正モードでは、レンズの光軸は傾斜している。レンズアセンブリが対物レンズモジュールに含まれる場合、この傾斜は、本質的に(小さな角度に対して)画像センサ上に形成される画像の小さな横方向のずれをもたらす。第3の態様のカメラのように、カメラの動きを示す信号を提供することによって、この横方向の変位を用いてカメラの小さな動きを打ち消して、画像を安定させることができる。したがって、好ましい実施形態では、OIS(光学式手ぶれ補正)モードのアクチュエータシステムが、フレームの動きを示すモーションセンサからの信号に応じてアクチュエータを処理する。好ましくは、アクチュエータシステムは、少なくとも20Hzの周波数で、レンズの光軸を少なくとも+/-0.5°傾斜させることができる。
【0029】
同一の少なくとも3つのアクチュエータが、フォーカス調整および手ぶれ補正の両方に用いられるので、これらの機能が別々のアクチュエータの組によって提供される先行技術の解決策と比較して、必要なアクチュエータが少なくなるという利点がある。同様に、同一の膜カバーが、フォーカス調整および手ぶれ補正の両方のために用いられるので、これらの機能を提供するために、別個の表面/構成要素を使用する先行技術の解決策よりも好都合である。全体として、これは、より低い価格や複雑さ(より少ない可動部品)、ならびにより小さいサイズにつながるものである。
【0030】
一実施形態では、前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有する。
【0031】
一実施形態では、前記アクチュエータシステムは、少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を備える。
【0032】
一実施形態では、前記アクチュエータシステム(7、8)は、全てのアクチュエータが、前記レンズの前記光パワー/サグを調整するよう、前記レンズカバー(4)に同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モードを有し、前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記レンズカバー(4)のリムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸(5)を傾斜させるよう、アクチュエータが、前記レンズカバー(4)に様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有する。
【0033】
一実施形態では、前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有し、前記アクチュエータシステムは、少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を備え、前記アクチュエータシステム(7、8)は、全てのアクチュエータが、前記レンズの前記光パワー/サグを調整するよう、前記レンズカバー(4)に同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モードを有し、前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記レンズカバー(4)の前記リムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸(5)を傾斜させるよう、アクチュエータが、前記レンズカバー(4)に様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有する。
【0034】
好ましい実施形態では、前記アクチュエータシステムは、フォーカスモードおよびOISモードで加えられる力の少なくとも実質的に合計である力を加えるように各アクチュエータを処理することで、これらのモードで同時に作動させることができる。レンズカバーの変形は、アクチュエータストロークの線形関数ではないので、各モードで加えられる力を単に加えることによって引き起こされる形状の変化は、モードの組み合わせ効果に正確につながらないことがある。これについては、後に、より詳細に説明する。
【0035】
好ましい実施形態では、アクチュエータは、レンズカバーの「弛緩」または「0ボルト」位置に対して、少なくとも実質的に光軸に沿ってバックウィンドウに向かう(引っ張る)、および/または少なくとも実質的に光軸に沿ってバックウィンドウから離れる(押す)第1方向に力を加えることができる。好ましい実施形態は、アクチュエータの種類と、レンズ本体およびレンズカバーの特性とに依存する。好ましい実施形態では、アクチュエータは、レンズカバーの形状を変化させ、レンズ本体を圧縮するために、レンズカバーをバックウィンドウに向かって少なくとも引っ張ることができる。これは、押すこととは異なり、レンズカバーをレンズ本体に固定する必要がないので有利である。別の好ましい実施形態では、アクチュエータは、レンズカバーの「弛緩」または「0ボルト」位置に対して、第1方向にのみ力を加えることができる。そのようなアクチュエータは、より単純でより安価であるという利点を提供することができる。引っ張ることも押すこともできるアクチュエータは、全体のストロークがより大きく、したがってレンズカバーの変形がより効率的であるという利点を提供するので、好ましい場合がある。
【0036】
レンズカバーの異なる部分、すなわち、中央部分、円周部分、およびリムが画定され、中央部分は少なくとも実質的に球形の形状を有し、円周部分は、レンズカバーの中央部分とリムとの間の部分である。
【0037】
レンズカバーは平坦であってもよいし、非ゼロのサグを有するように予め成形されていてもよい。レンズは屈曲可能であり、これは、アクチュエータからの力およびレンズ本体からの反力のために、レンズの形状を変化させるためのある程度の柔軟性を有することを意味する。しかし、それは、レンズ本体よりも剛性が高い。事前成形レンズカバーの実施形態では、「事前成形」とは、レンズカバーが、レンズアセンブリに組み立てられる前にその形状を得たことを意味する。レンズ本体およびバックウィンドウと共に組み立てられるとき、そのような事前成形されたレンズカバーは、好ましくは球形または少なくとも実質的に球形の形状を有する中央部分を有するベル形状(凸状または凹状)を有するが、通常のレンズ表面の形状に対応する非球形であってもよい。これは、
図2、
図3(a)および
図6に示されている。レンズカバーの事前成形に起因する非ゼロのサグは、アクチュエータシステムが起動されていないとき、すなわち、レンズの「デフォルト」、「固有」または「ゼロボルト」状態のときに測定される。
【0038】
典型的なレンズカバー材料は、ガラスまたはプラスチックであってもよい。ガラスの場合、カバーレンズは、好ましくは5~50μmの厚さを有する膜であり、このようなガラス膜は、可撓性および堅牢性の両方を有する。プラスチック、好ましくは良好な光学特性(全ての可視波長に対して、ムラのない高い透明性)を有するプラスチックの場合、カバーレンズは好ましくは20~500μmの厚さを有する。
【0039】
好ましい実施形態では、レンズカバーは、膜の、より広い領域にわたって加えられた力から生じる光軸の周りの歪みおよび非対称変形を分散させる働きをする一以上のスティフナをその円周部分上に備える。意図した収差を伴わない動作が実行される場合、一以上のスティフナは、中央部分全体を取り囲むリングであることが好ましい。これは、最小限の数のアクチュエータであっても、円周部分が1つの部品として動くことを保証し、局所的な変形が回避されるので、有利である。一以上のスティフナの1つの役割は、レンズカバーが傾斜されるOISモードにおいて、光パワーを変動させることなくレンズ本体の一方の側を圧迫することを可能にすることであり得る。あるいは、より高次の非点収差を意図的に生成したい場合、円周部分に沿って、力を加えるときにアクチュエータによって係合される位置に、多数の円弧状スティフナを配置することができる。
【0040】
一実施形態によれば、アクチュエータシステムは、フレームに対してレンズカバーの縁部(リムなど)の全てなどといった、少なくとも一部を変位させるように配置される。このことの可能な利点は、レンズカバーの縁部(リムなど)がフレームに固定される場合に必要とされる、レンズカバーの変形の一部または全部の必要性をなくすことである。例えば、レンズカバーの傾斜は、レンズカバーの縁部がフレームに固定される場合、レンズカバーの変形を必要とするが、アクチュエータがフレームに対してレンズカバーの縁部を変位させるように配置される場合(例えば、レンズカバーの縁部がフレームに固定されない場合)、この変形は必要ではない(これは、よりエネルギー効率のよい動作につながり、および/またはより広い範囲の傾斜および/またはピント合わせを可能にし得る)。
【0041】
一実施形態によれば、レンズカバーは、その円周部分にリング状スティフナなどの一以上のスティフナを備え、それぞれフレームに接続されている少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータは、それぞれ一以上のスティフナに接続されている。これの考え得る利点は、アクチュエータがフレームを押す/引っ張ることによって、一以上のスティフナを介してレンズカバーに力を加えることができることである。
【0042】
一実施形態によれば、レンズカバーは、専らアクチュエータシステムなどを介してフレームに接続される。この利点は、アクチュエータが、レンズカバーの位置および向きを制御できることを容易にすることである。
【0043】
一実施形態によれば、レンズカバーは、その円周部分にリング状スティフナなどの一以上のスティフナを備え、レンズカバーは、アクチュエータシステムおよび一以上のスティフナを専ら介するなどしてフレームに接続される。この利点は、アクチュエータがレンズカバーの位置および向きを制御することができ、アクチュエータがフレームを押す/引っ張ることによって一以上のスティフナを介してレンズカバーに力を加えることができることを容易にすることであり得る。
【0044】
いくつかのタイプのカメラでは、カメラをより小型化させることが望まれており、レンズアセンブリの全体的なサイズを小さくするために、レンズアセンブリのすべての要素をきっちり詰め込むことが有利である。したがって、別の好ましい実施形態では、アクチュエータが、レンズカバーの円周部分とフレームのバックウィンドウまたはバックパーツとの間で、レンズ本体に隣接して配置される。アクチュエータが、光軸を横切る方向ではなく、第1および第2方向だけに力を及ぼすという特徴は、アクチュエータを、このように配置されるのに特に適したものにする。
【0045】
一実施形態では、少なくとも3つなどの、一以上の個別に処理可能なアクチュエータは、レンズカバー(4)またはレンズカバーの円周部分のようなレンズカバー(のリム)の平面と、フレームのバックウィンドウまたはバックパーツと、の間に部分的にまたは全体的に配置される。
【0046】
好ましい実施形態では、前記一以上のアクチュエータがそれぞれ、前記フレームに接続された第1端部と、力を加えるために前記レンズカバーの前記円周部分に係合するように適合された第2端部とを有する前記カンチレバーを含む。カンチレバーは、円周部分の係合点に接する方向に延びることが好ましい。これは、アクチュエータが、レンズカバーの周囲または下にきっちりと詰め込まれることを可能にするので、有利である。カンチレバーを曲げたり旋回させたりすることにより、円周部分を上下に押すことができる。このようなカンチレバーを用いることは、より大きなストローク長を得ることができるので有利である。好ましい実施形態では、カンチレバーは、圧電材料の層を含み、アクチュエータの処理は、圧電材料上に電圧を印加することを含む。
【0047】
一実施形態によれば、
-カンチレバーのフレームとの接続点から、
-カンチレバーの(スティフナリングなどのスティフナを介するなどの)レンズカバーとの接続点まで、
に引かれる線は、
-カンチレバーのフレームとの接続点から、
-光軸まで
に引かれる線に対して、非平行であり、少なくとも1°、例えば、少なくとも5°、例えば、5°-175°内、例えば、20°-160°内、例えば、30°-150°内、例えば、45°-135°内、例えば、60°-120°内、例えば、75°-105°内、例えば、90°の内の最小の角度を示す。
これは、例えば、
(i)第1距離(光軸から、(スティフナリングなどのスティフナを介するなどしての)カンチレバーのレンズカバーとの接続点まで)と、
(ii)第2距離((スティフナリングなどのスティフナを介するなどしての)カンチレバーのレンズカバーとの接続点から、カンチレバーのフレームとの接続点)と、
の和(和とは、各スカラー長などであってベクトル和ではない)が、
(iii)第3距離(光軸から、カンチレバーのフレームとの接続点であって、第3距離は、それぞれ第1距離と第2距離を画定する端点を接続するベクトルに対応するベクトルのベクトル和に対応する)の、例えば、101%よりも大きい、例えば、105%よりも大きい、例えば、110%よりも大きい、例えば、125%よりも大きい、例えば、142%よりも大きい、例えば、150%よりも大きい、例えば、200%よりも大きい場合に、レンズカバーの周囲または下側にきっちり詰め込まれるなど、アクチュエータがレンズカバーの周囲または下側にきっちり詰め込まれるようにすることができるために有利である。これは、コンパクトな設計のための、比較的大きなストロークを可能にすることができる。「接続点」(カンチレバーのフレームとの接続点、またはカンチレバーのレンズカバーまたはスティフナリングとの接続点など)が、空間的に(数学的に、無限に小さい)点を超えて延在する場合、例えば、点が実際には平面領域または非平面領域である場合など、前述の「接続点」は、そのような領域の重心または幾何学的平均として理解されるべきである。
【0048】
一実施形態によれば、前記少なくとも3つなどの、一以上の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)のうちの少なくとも1つ、例えばすべてが、前記フレームに結合されるか、接着されるか、溶接されるか、ねじ留めされるか、ボルト留めされるか、またはリベット留めされるなどして、前記フレームを有するアセンブリを形成する。
【0049】
「アセンブリを形成する」とは、(カンチレバーおよびフレームのような)2つの機能する別個のユニットなどの、2つの別個のユニットが互いに接合されることと理解されたい。結合は、例えば、直接結合、陽極結合、または接着結合のいずれか1つであってもよい。
【0050】
一実施形態によれば、前記レンズアセンブリ(1)は、プラスチックを含む。一実施形態によれば、前記レンズカバー(4)および/または前記バックウィンドウ(3)は、有機ポリマーなどといった、ポリマーなどのプラスチックを含む。
【0051】
一実施形態によれば、前記少なくとも3つなどの、一以上の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)のうちの全てなどといった、少なくとも1つが、前記光軸に沿った方向に見られるような長方形形状を有する。これは、ウェーハ当たりの最大密度を与えるので、アクチュエータを生成するための効果的な方法であるため、有利であり得る。
【0052】
別のタイプのアクチュエータは、それぞれコイルや磁石を含み得ることが好ましく、アクチュエータの処理は、コイルを通して電流を引き込むことを含む。
【0053】
変形可能な非流体レンズ本体は、弾性材料から作られることが好ましい。レンズ本体は非流体であるので、レンズ本体を保持するための密閉は必要とされず、漏れの危険はない。好ましい実施形態では、レンズ本体が、シリコン、ポリマーゲル、架橋または部分架橋ポリマーのポリマー網目構造、および混和性油または油の組合せなどの多くの異なる材料を含むことができる軟質ポリマーから作製される。軟質ポリマーを使用することにより、ポリマーが大気と接触するレンズを製造することができ、したがってレンズの焦点距離を調整する際に必要とされる力は、はるかに小さくなる。また、たとえ異なる製造工程が、異なる場所または施設においてローカライズされている場合でも、ポリマーが適切に保持するので、製造が容易になる。上述したように、レンズを調整するために必要な力を低減するために、また環境における温度や圧力の変動によって起こる歪みを低減するために、圧縮性ガスの漏れチャネルまたは気泡を提供することを可能にする。
【0054】
レンズ本体を所定の位置に保持し、レンズカバーの直下の領域に変形を集中させるために、レンズアセンブリは、レンズカバーに対向するレンズ本体の一部の形状の変化を抑制するように適合された構造要素をさらに備えることが好ましい。これらの構造要素は、バックウィンドウ上に配置され、レンズ本体と接触していることが好ましい。
【0055】
レンズカバーの変形に加えられる力から、より良好な伝達を生じさせ、作動中の非点収差を最小限に抑えるために、OISモードでの傾斜中であっても、レンズカバーを常に光軸の中心に保つことが望ましい。これらの理由から、好ましい実施形態では、レンズアセンブリが、レンズ本体内に、またはレンズ本体に隣接して、光軸上に配置される中央部材を備えてもよく、中央部材は、レンズカバーが第2方向に動かされたときに、レンズ本体からの反力の半径方向の変化をレンズ本体に提供させることができ、反力は、半径が増加するにつれて減少する。この半径方向の変化は、以下からの結果であってもよい。
-中央部材が、異なる物質パラメータ(例えば、ヤング率)を有するレンズ本体の一部であってもよい場合の、レンズ本体の硬さの変化。
-レンズ本体とは異なっていて、レンズ本体内に配置されており、光軸を中心とした、レンズ本体よりも硬い物体。
-レンズ本体よりも硬く、バックウィンドウに面するレンズ本体の端部に中心対称の凹形状を付与するようにレンズ本体の下に配置されている中央部材によって起こる、レンズ本体の厚さの半径方向の変化。
これら全ての実装の効果は、レンズ本体の中央部分が上方から押された際、より硬く感じられることであり、レンズ本体の、このより硬い「コア」は、レンズカバーの中央領域のための回転軸および支持である。より硬い「コア」はまた、アクチュエータがレンズカバーを引っ張るときのフォーカスモードにおいて、レンズ本体からの半径方向に変化する反力が、サグの変化なしにレンズ本体を単に垂直に圧縮するのではなく、レンズカバーのサグ(したがって、光パワー)を変化させることを意味する。さらに、それは、OISモードにおいて、レンズカバーの異なる部分とレンズ本体との間で力を伝達するのに役立ち得る。中央部材のいくつかの異なる実施形態は、図面に関連して後述される。実施形態では、中央部材は、バックウィンドウからレンズカバーへの光軸に沿った方向に、この距離の、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも90%、例えば100%延びるように、幾分かまたは全体にわたって延びることができる。
【0056】
レンズカバーは、レンズ本体に取り付けられている。レンズカバー、および可能性的にレンズ本体が大きな加速を受けたときに位置がずれる、および/または破損しないことを確実にするために、レンズアセンブリは、好ましくは少なくとも第1および第2方向、好ましくはそれに対し垂直な平面においても、レンズカバーの動きを制限する機械的止め部をさらに備える。これは、レンズアセンブリの落下試験性能を改善するという利点を有する。
【0057】
機械的止め部は、フレームの一部によって形成されてもよく、アクチュエータを介して作動してもよい。レンズカバーが一以上のスティフナを含む実施形態では、一以上のスティフナは、機械的止め部と係合するように配置されることが好ましい。
【0058】
好ましい実施形態では、レンズ本体の反対側のバックウィンドウの表面が、レンズの固有の光パワーを提供するために、非ゼロのサグ(平凹凸、または両凹/凸レンズ形状)を有する。バックウィンドウは、高い光学品質であることが好ましく、また、ガラスやポリカーボネートのような通常の光学プラスチックから作られることが好ましい。バックウィンドウは、レンズ本体の屈折率に近い屈折率を有することが好ましいが、これは、バックウィンドウとレンズ本体との間に反射防止コーティングを含む必要性を排除するからである。
【0059】
フレームは、好ましくはレンズアセンブリの支持構造であり、レンズアセンブリを対物レンズモジュールまたはカメラの残りの部分に接続する。フレームは、モノリシック構造であってもよいし、異なる部品のアセンブリであってもよい。バックウィンドウは、一般的には、フレームとは異なる材料組成で形成される。バックウィンドウは、フレームのいくつかの機能を提供することもでき、フレームの一部であることが効果的であり、すなわち、バックウィンドウは、アクチュエータを固定するためのベースとして、およびレンズモジュールまたはカメラの残りの部分への機械的インターフェースとしても機能することができる。
【0060】
バックウィンドウは、携帯電話カメラなどといった、レンズアセンブリを含む装置のためのカバーガラスを形成してもよい。これは、層の数を減らし、また、フレアを減らして透過率を改善することによって光学品質を改善する。バックウィンドウは、反射防止コーティング(ARC)を有してもよく、また、レンズ本体のフィルタリング特性と組み合わせられたIRフィルタ機能を提供してもよい。別の実施形態では、バックウィンドウが、タッチスクリーンの透明基板の一部を形成する。そのようなタッチスクリーンは、携帯電話、タブレット、コンピュータモニタ、GPS、メディアプレーヤ、時計などの多くの電子機器において標準的なものである。そのようなタッチセンシティブスクリーンは、抵抗システム、容量システム、弾性表面波システム、赤外システムなどの様々なタッチスクリーン技術に基づいてもよく、それらの全ては、そのベースに透明基板を含んでいる。
一実施形態では、第1の態様によるレンズアセンブリを備える携帯電話カメラが提示され、バックウィンドウは、携帯電話カメラのカバーガラスとして使用される。
【0061】
一態様によれば、携帯電話の一部としての第1の態様によるレンズアセンブリの使用が提示され、バックウィンドウは、携帯電話カメラのカバーガラスとして使用される。
【0062】
代替の実施形態では、追加のポリマー層が、バックウィンドウと、バックウィンドウのレンズ本体側とは反対の側にあるカバーガラスとの間に追加される。これは、空気/ガラス界面が、より少ないので、先行技術の解決手段よりも、より小型であり、透過率およびゴーストに関して、より良好であるという長所を提供する。また、バックウィンドウ上にARコーティングを施す必要もなくなる。
【0063】
好ましい実施形態では、前記レンズアセンブリは、前記レンズカバーに隣接する第1光学絞りおよび前記バックウィンドウに隣接する第2光学絞りの形態の光学開口を備え、前記第1および前記第2光学絞りは、不透明であり、開口の円周(典型的には円形であるが、他の形状であってもよい)を画定し、その円周は前記光軸に垂直であり、前記光軸と同心であり、前記レンズアセンブリの光学開口を画定する。光学開口は、少なくとも1mm、例えば少なくとも2mm、または少なくとも3mm、更には少なくとも4mmの径を有することが好ましい。第2光学絞りは、例えば印刷によって、バックウィンドウの両側に形成された不透明材料層であってもよい。
【0064】
一実施形態では、フォーカス調整モードにおいて、作動時のアクチュエータシステムがレンズカバーを間接的に変形させるように、アクチュエータシステムおよびレンズカバーが配置されているレンズアセンブリが提示される。「間接的に」とは、(フォーカス調整モードにおける)レンズカバーの変形が、レンズ本体および/または中央部材などの第3要素に依存するように、アクチュエータシステムがレンズカバーに対して配置されることを理解されたい。
【0065】
本発明の第1、第2、第3、第4、第5、第6の態様は、それぞれ他の態様のいずれかと組み合わせることができる。本発明のこれらおよび他の態様は以下に記載される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
本発明によるレンズアセンブリは、添付の図面を参照してより詳細に説明される。図面は本発明を実施する1つの方法を示しており、添付の特許請求の技術的範囲に含まれる他の可能な実施形態に限定するものと解釈されるべきではない。
【0067】
【
図1】本発明によるレンズアセンブリの様々な設計パラメータを示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるレンズアセンブリの断面図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態によるレンズアセンブリの断面側面図および上面図を示す。
【
図4】
図3(a)および
図3(b)に示す、実施形態におけるアクチュエータの動きを示す。
【
図6】本発明の実施形態による、いくつかの好ましい特徴および要素を示すレンズアセンブリの断面図を示す。
【
図7】
図3(a)および
図3(b)に示す実施形態からのアクチュエータを用いて機械的止め部をどのように実装することができるかを示す。
【
図8】スティフナリングを有するレンズカバーを示す。
【
図10】本発明の一実施形態によるレンズアセンブリの異なる視点の図を示す。
【
図11】本発明の一実施形態による、追加のポリマー層およびカバーガラスを有するレンズアセンブリの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
多数の、好ましいが任意選択の特徴および要素のために、これらは、各々が特徴および要素のいくつかのみを表示するいくつかの図に示され、それらに関連して説明され、図のいずれも、可能な特徴および要素のすべてを表示しない。どの特徴および要素が一緒に示され、説明されているかは、これらが明示的に暗示されていない場合、これらが互いに接続されていること、または互いに依存していることを示すものではない。
【0069】
図2において、本発明の好ましい実施形態によるレンズアセンブリ1は、バックウィンドウ3と透明な可撓性レンズカバー4との間に挟まれた変形可能な非流体レンズ本体2を含み、バックウィンドウの表面部分に垂直な光軸5を有するレンズを形成する。レンズアセンブリの様々な構成要素は、フレーム6によって一緒に保持され、フレームは、アセンブリ内に別の機能を提供する別個の部品を含むことができる。例えば、バックウィンドウ3は、他の構成要素のための支持体としても機能することができ、この点でフレームの一部となる。さらに、膜およびレンズの全体形状を変化させるために力を加えるためのアクチュエータシステム7、8が設けられている。
【0070】
図2の実施形態では、アクチュエータシステムは、フレームに取り付けられたコイル7と、レンズカバーに取り付けられ、場合によってはコイル内に延在するが、コイルには取り付けられていない磁石または磁化可能部材8とを含む。ここで、アクチュエータの処理とは、磁石に力を及ぼす磁場を生成するために、コイルを通して電流を引き込むことを含む。磁石または部材8が、光軸に平行であるコイルの長手方向軸に中心を置いているこの構成では、レンズカバーに及ぼされる力は、少なくとも実質的に光軸に沿って方向付けられる。
【0071】
別の好ましいアクチュエータシステムが、レンズアセンブリ30と共に
図3(a)および
図3(b)に示されている。ここでは、アクチュエータは、対向する端部それぞれがフレーム6とレンズカバーとに接続されるカンチレバー14によって提供される。カンチレバーは、カバー部材に接続された端部がフレームに対して上下に動くように、屈曲または旋回させることができる。カンチレバーは、シリコンで形成することができ、片側または両側に形成された圧電材料の層を有し、圧電材料上に電圧を印加することによって曲げることができる。カンチレバーを、レンズカバーと接続する点に接する方向に延ばすことで、追加のスペースを占有させずに、カンチレバーを比較的長くすることができる。アクチュエータが長ければ長いほど、ストローク(レンズカバーとの接続点が動く距離)を長くすることができる。得られるストロークは、カンチレバー(またはピエゾアクチュエータ)の長さだけでなく、ピエゾフィルムの下のビームの厚さにも依存する。厚さが大きすぎると、ピエゾアクションが弱すぎてそれを大きく曲げることができないため、ストロークが小さくなる。厚さが小さすぎても、カンチレバーがピエゾフィルムのための堅固な支持を提供しないため、ストロークが小さくなる。
図4(a)~(c)は、圧電材料15に異なる電圧を有するカンチレバー14と、その結果として生じるカンチレバーの曲がり方とレンズカバー4の形状の変化を図示している。
【0072】
三以上のこのようなカンチレバーを有することは、これらがレンズの形状を変化させるために同期して働くことを可能にし、所望の光学的効果をもたらす。
図2において、レンズカバー4の上方の点線の輪郭は、FAモードにおける例示的な動きの影響を示しており(縮尺は一定ではない)、アクチュエータは全て、円周部分を上方に動かすために、同じ方向に力を及ぼすように処理される。これにより、レンズカバーの形状は、より平坦な輪郭に向けて変化し、その結果、より長い焦点距離(より小さいサグおよびOP)が得られる。同様に、
図3(a)では、レンズカバー4の上方の破線の輪郭は、OISモードにおける例示的な(スケールではない)動きの影響を示しており、アクチュエータは、レンズカバーの縁に沿って変化するように第1または第2方向にレンズカバーに様々な力を加えるように処理される。これにより、焦点距離/サグ/OPを実質的に変化させることなく、光軸を角度θだけ傾斜させるようにレンズカバーの形状を変化させる。
【0073】
上述したアクチュエータ7、8および14、15の双方は、レンズアセンブリの全体的な寸法を減少させるために、アクチュエータを可能な限り密接に詰め込むように、レンズカバーとバックウィンドウとの間に配置することができる。
【0074】
アクチュエータシステムは、アクチュエータを制御するための、すなわち、アクチュエータを正しい信号で処理するための、電子プロセッサを含むことができるが、これは対物レンズモジュールまたはカメラのためのプロセッサによって実行することもできる。
図5は、レンズアセンブリ50上のアクチュエータ17に接続された電子プロセッサ16を示す。プロセッサは、フレーム6に接続された2Dまたは3Dモーションセンサ18からの入力に基づいて、OISおよびFAモードのアクチュエータを制御し、レンズによって伝達された光を受光する焦点検出器19を制御するようにプログラムされている。焦点検出器は、位相検出またはコントラスト検出オートフォーカスセンサなどの能動型または受動型とすることができる。
【0075】
先に述べたように、OISモードおよびフォーカスモードで加えられる力を加えることによって引き起こされる形状の変化は、これらのモードの組み合わせ効果を正確にもたらさないかもしれない。これは、レンズカバーの形状の変化が、典型的にはアクチュエータのストローク長に直線的に依存しないからである。レンズカバーの形状の変化をもたらす、円周の一部をある距離だけ押したり引いたりするアクチュエータのあるストロークについて考える。この形状の変化は、円周全体が、既にいずれかの方向に変位されているか否かによって違ってくる。したがって、OISモードおよびフォーカスモードで加えられる力を単に加えるだけでは、必ずしもこれらの力を個別に組み合わせた効果をもたらすとは限らない。アクチュエータが様々なモードで処理される方法は、対物レンズモジュールを用いて明確な物体が撮像され、特定の横方向画像変位および画像焦点合わせ/焦点外しパターンが達成されるまで、アクチュエータが駆動される校正ルーチンの結果であり得る。ルーチンの間にアクチュエータが処理される値を記録することによって、任意の所望の変位または焦点に対して使用される値は、内挿および外挿によって計算され得る。あるいは、アクチュエータストロークの機能としてのレンズカバー変形の非線形挙動を知ることができ、それによって、アクチュエータのための力を加えるためのアルゴリズムを適用することができる。
【0076】
レンズカバーは、非ゼロのサグを有するレンズに全体的な形状を刻印するように予め成形されてもよい。ここで、事前成形された膜の中央部分は、レンズ表面として機能するために実質的に球形の形状を有するが、様々な光学収差を補正するために小さな差を有してもよい。膜の事前成形形態は、ベル形状(
図2、
図3(a)、
図6)、球形状(不図示)、または他の形状であってもよい。ベル形状の膜の場合、外側の領域は凹形状を有し、したがって集束に寄与しないので、中央部分は、曲線の変曲点内にあるものとして定義することができる。
【0077】
レンズ本体は、事前成形された膜の形状に対応する形状を有することができるので、これらに当接することは、膜の形状を変化させるものではない。これは、組み立て前にレンズ本体を事前成形することによって、またはバックウィンドウと膜との間に成形可能な材料を注入することによって行うことができる。特定の実施形態では、液体反応混合物がバックウィンドウと膜との間に注入される。次いで、レンズを高温の炉に特定の時間入れ、液体反応混合物が、事前成形された膜の形状などに成形された粘弾性非流体ポリマーに変わる。
【0078】
レンズ本体は非流体であり、したがって、300Paより大きい弾性率を有することが好ましく、それによって、通常の動作における重力による変形を回避する。レンズ本体は、架橋または部分架橋ポリマーと混和性油または油の組み合わせとのポリマー網目構造から形成することができ、好ましくは1.3より大きい屈折率を有するレンズ本体をもたらす。
【0079】
前述したように、中央部材は、レンズカバーが作動したときに、レンズ本体からの反力の半径方向の変化を引き起こすことができ、この半径方向の変化は、以下の結果であり得る。
-中央部材が、異なる物質パラメータ(例えば、ヤング率)を有するレンズ本体の一部である場合の、レンズ本体の硬さの変化。
これは、
図2および
図3(a)に示されており、レンズ本体は、レンズ本体の残りの部分よりも硬いが、同じ屈折率を有する光軸上および光軸に沿った中央部材9または10を有する。この中央部材は、アクチュエータがレンズカバーの円周部分を押す/引っ張るときに、レンズカバーのための旋回点および支持体として働くことができる。
図2に示すように、中央部材9は、レンズ本体の残りの部分に対して弾性率に差のある別個の部分であり得る。あるいは、
図3(a)に示すように、中央部材10を、弾性率に半径方向の勾配をつけるようにレンズ本体内に形成することができる。中央部材9および10は、液体反応混合物の不均質硬化によって形成され、材料パラメータの半径方向の変化および/または半径方向に沿う変化などの、半径方向の変化を伴う粘弾性非流体ポリマーを形成することができる。
-レンズ本体とは異なっていて、レンズ本体内に配置されており、光軸を中心とした、レンズ本体よりも硬い物体であって、
図9(a)および(b)に示されている。
図9(a)において、その部材は、レンズ本体と同一またはそれに近い屈折率と、レンズ本体よりも高いヤング率と、を有している材料のロッドまたは柱である。レンズカバーは、好ましくは、レンズ本体に取り付けられるべきであるので、
図9(a)に示されるように、中央部材は、貫通しないよう、レンズ本体よりも短くすることができる。
図9(b)では、中央部材25は、半径r<<Rの円筒状の物体であり、光軸上および光軸に沿って配置されているが、レンズ本体を通過してレンズカバーまでは及んではいない。非常に細径であるため、形成された画像において物体が見えにくくなっている。なぜなら、その効果は、比率(r/R)
2によって画像を作成するために集められた光を減少させるだけであるからである。したがって、物体の屈折率は無関係であり、透明である必要はない。
-レンズ本体よりも硬く、レンズ本体の下端部に中心対称の凹形状を付与するように配置されている中央部材によって起こる、レンズ本体の厚さの半径方向の変化であり、
図9(c)に示されている。ここで、バックウィンドウは、レンズ本体に向かうサグを有し、このサグは、光パワーを提供するのに役立つが、レンズ本体の半径方向に変化する厚さをもたらす中央部材26としても役立つ。
【0080】
前述したように、レンズアセンブリは、カバー膜、および可能性的にレンズ本体が大きな加速を受けたときに位置がずれないこと、および/または破損しないことを確実にするために、機械的止め部を組み込むことができる。このような止め部の異なる実施例が、
図6および
図7に示されている。
【0081】
図6において、レンズアセンブリ60の左側において、機械的止め部21は、レンズカバーの円周部分の第1および第2の方向における移動を制限するフレームの一部によって形成される。アクチュエータは、ここには示されていない。レンズアセンブリ60の右側には、
図2に関連して上述したアクチュエータ7、8が示されている。ここで、機械的止め部21は、部材8の移動を制限し、したがって、カバー部材への接続を介して、カバー部材の移動も制限する。
図7は、
図3に関連して説明したカバー部材およびアクチュエータ14、15を示している。ここで、カンチレバー15は、フレーム6内の侵入部内に延在する突出部を有し、それによって、レンズカバーに接続されたカンチレバーの端部のための機械的止め部21を提供している。
【0082】
図6の左側は、レンズカバー4上のスティフナ24を示す。スティフナは、機械的止め部またはアクチュエータのための係合点の強度を増大させ、より大きな面積にわたって力を分散させることができる、あるいは、形状のより連続的な変化を確保するために、そのような係合点間の部分の剛性を増大させるために使用することができる。
図8は、レンズカバー4の円周部分に設けられた単一のリング状スティフナ23の好ましい実施例を示す。スティフナは、大きな強度対重量比を提供するために、金属または他の剛性材料で作ることができる。典型的な厚さは、50~200μmとすることができる。
【0083】
一実施形態では、レンズカバー4が、レンズカバー4のより広い領域にわたって加えられた力から生じる歪みおよび非対称な変形を、光軸の周りに分散させる働きをする一以上のリング状スティフナ23をその円周部分上に備えている、レンズアセンブリが提供される。
【0084】
異なる位置に形成された異なる開口絞り11、12が、
図2、
図3(a)、および
図6(ならびに
図9(a)~
図9(c)および
図11)に示されている。開口の大きさは、典型的には1~6mmであり、絞りは、任意の黒色材料のシートまたは印刷された不透明材料で作ることができる。開口絞りは、典型的には数ミクロンから数十ミクロンの範囲の厚さの、バックウィンドウおよび/または直接的にレンズカバーであり得る。
【0085】
レンズ本体を所定の位置に保持し、レンズカバーの直下の領域に形状の変化を集束させるために、レンズアセンブリは、部分的に封入することができ、レンズカバーとは反対側のレンズ本体の一部の形状の変化を抑制するように適合された構造要素13(
図2)をさらに含むことが好ましい。これらの構造要素は、バックウィンドウ上に設置され、レンズ本体と接触していることが好ましく、
図6および
図9(a)~(c)のように、開口絞り12によって提供されることができる。
【0086】
レンズ本体を所定の位置に保持し、レンズカバーの直下の領域に形状の変化を集束させるために、レンズアセンブリは、部分的に封入することができ、レンズカバーの反対側のレンズ本体の一部の形状の変化を抑制するように適合された(例えば、レンズ本体および光軸を囲む)構造要素13(
図2)をさらに含むことが好ましい。これらの構造要素は、バックウィンドウ上に設置され、レンズ本体と接触していることが好ましく、
図6および
図9(a)~(c)のように、開口絞り12によって提供されることができる。
【0087】
実施形態では、レンズアセンブリは、レンズ本体とフレームとの間に、光軸に直交する方向に非ゼロの距離が存在するように配置されてもよい。したがって、レンズ本体は、フレーム、バックウィンドウ、およびレンズカバーによって画定されるキャビティ空間全体を満たすことができない。実際には、これは熱補償をキャンセルするために有利であり得る。
【0088】
レンズカバーおよび/またはバックウィンドウは、
-湿気から保護するためのバリア層、
-反射防止層、
-IRフィルタリングを生成するためのIR波長フィルタリング層、
などの一以上の層またはコーティングを含むことが好ましい。
【0089】
レンズアセンブリの可能な実装20は、
図10(a)~(d)に示され、様々な構成要素は現実的な相対サイズを有する。前述され、ここで摘要される構成要素は、さまざまな視点にて示されている。
20:レンズアセンブリ。
2:レンズ本体。
3:バックウィンドウであり、フレーム6の一部。
4:レンズカバー。
6:フレームまたはフレーム部。
14:カンチレバー。
23:カンチレバーのための係合スタッドを有するスティフナリング。
27:スティフナリングとレンズカバー(4)などのレンズとの間のシールおよび/または固定具。
28:カンチレバーが曲がるときにスティフナリングが光軸の周りで回転しないようにする可撓性および/または滑りやすいクッションまたは(必ずしも可撓性および/または滑りやすい必要はない)ヒンジ。
クッションは、通常使用の最中に、例えば、カンチレバー14とスティフナリング23の分離などといった、分離を可能にするが、ヒンジは(通常使用の最中などに)このような分離を可能にしないことが理解され得る。
29:カンチレバーのための支持体であり、フレーム6の一部。
【0090】
図10は、アクチュエータ(カンチレバー14)がフレーム6に接続されること、各カンチレバーがフレーム6をスティフナリング23に接続すること、および、スティフナリング23がアクチュエータをレンズカバー4に接続することを示している。このように、レンズカバーもスティフナリングもフレームに固定的に接続されない。レンズカバーおよびスティフナリングは、アクチュエータを介してフレームに接続されるだけである。次いで、アクチュエータシステムの作動により、レンズカバーおよびレンズカバーの縁部またはリムなどのスティフナリングをフレームに対して変位させることができる。アクチュエータは、スティフナリングを介してレンズカバーに力を及ぼす。スティフナリングは、実用的な目的のために、(レンズカバーよりも剛性が高いなど)硬いと考えることができ、したがって、アクチュエータシステムは、レンズカバーを直接変形させず、アクチュエータシステムは、レンズカバーまたはレンズカバーの側面を単に直接(上下に)移動させるだけである。しかし、レンズカバーを(上下に)動かすことによって、レンズ本体はレンズカバーに力を加え、レンズカバーを変形させることがある。アクチュエータシステムは、レンズ本体の光パワーの変化を必然的に伴うことなく、レンズカバーを傾斜させることができる。
図10では、
-カンチレバーのフレームとの接続点から、
-カンチレバーの(スティフナリングなどのスティフナを介するなどの)レンズカバーとの接続点まで
に引かれる線は、
-カンチレバーのフレームとの接続点から、
-光軸まで
に引かれる線に対して非平行である。
【0091】
(装置に組み込む場合)
レンズアセンブリが、既にカバーガラスを有している装置に組み込まれる場合、バックウィンドウをカバーガラスとして使用することができない場合があり、レンズアセンブリを装置と光学的に結合させる、または組み込む方法が必要とされる。
図11は、追加のポリマー層30とカバーガラス31とを有するレンズアセンブリ32を示す。ここで、受動(passive)であることが好ましい追加のポリマー層30は、空気/ガラス界面のない可撓性の光学界面を提供する。
【0092】
図12は、
図10に描かれたアクチュエータ14のような、アクチュエータの図を示す。アクチュエータは矩形である。単位はミリメートルで示す。厚さ「D」は、1~1000マイクロメートル以内、例えば1マイクロメートル、例えば10マイクロメートル、例えば50マイクロメートル、例えば100マイクロメートル、例えば175マイクロメートル、例えば200マイクロメートル、例えば350マイクロメートル、例えば750マイクロメートルであってよい。一例によれば、厚さ「D」は175マイクロメートルであってもよく、たわみは、最大50Vにおいて、双方向たわみ+/-125μmであってもよく、最大たわみでの荷重は、10~40mN内であり、ワイヤボンディングに適した接触パッドによって電気接点が与えられ、環境の保護に、すべての感光層を覆うために追加される受動層(passivation layer)を含み、破壊電圧は80Vである。
【0093】
代替実施形態E1~E33を以下に示す。
【0094】
(E1)
-フレームと、
屈曲可能な透明レンズカバーと、
フレームに接続された透明バックウィンドウと、を備える光学レンズアセンブリであって、前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、非ゼロのサグを有し、
前記光学レンズアセンブリ(1)は、
-前記レンズカバーと前記バックウィンドウとの間に挟まれ、光軸と第1光パワーとを有するレンズを形成する、透明で変形可能な非流体レンズ本体と、
-前記レンズカバーに力を加えて前記レンズの全体形状を変化させるためのアクチュエータシステムであって、前記アクチュエータシステムは、それぞれがフレームに接続され、少なくとも実質的に前記光軸に沿った方向にレンズカバーに力を加えるように適合された、少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータを有する、アクチュエータシステムと、
を備え、
前記アクチュエータシステムは、全てのアクチュエータが、前記レンズの前記光パワー/サグを調整するよう、前記レンズカバーに同一の方向に力を加えるように処理されるフォーカス調整モードを有し、
前記アクチュエータシステムは、前記レンズカバーのリムに沿って変化する方法で様々な力を加えて前記レンズの前記光軸を傾斜させるよう、アクチュエータが、前記レンズカバーに様々な力を加えるように処理される光学式手ぶれ補正モードを有する、
光学レンズアセンブリ。
【0095】
(E2)前記アクチュエータシステムは、フォーカス調整モードおよび手ぶれ補正モードで加えられる力の少なくとも実質的に合計である力を加えるように各アクチュエータを処理することで、これらのモードで同時に作動させることができる、
実施形態E1に記載のレンズアセンブリ。
【0096】
(E3)前記フォーカス調整モードの前記アクチュエータシステムは、前記レンズの全体形状を、前記レンズが第1光パワーを有する第1全体形状から、前記レンズが第2光パワーを有する第2全体形状に変更することができ、前記第1光パワーと前記第2光パワーとの間の差、光パワー範囲は、少なくとも2ジオプトリである、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0097】
(E4)前記アクチュエータは、前記レンズカバーの前記円周部分と前記フレームの前記バックウィンドウとの間で、前記レンズ本体に隣接して配置される、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0098】
(E5)前記アクチュエータはそれぞれ、前記フレームに接続された第1端部と、力を加えるために前記レンズカバーに係合するように適合された第2端部と、を有する前記カンチレバーを含み、
カンチレバーはそれぞれ、圧電材料の層を含み、アクチュエータの前記処理は、前記圧電材料上に電圧を印加することを含む、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0099】
(E6)前記レンズ本体内に、または隣接して、前記光軸上に配置される中央部材をさらに備え、前記中央部材は、前記レンズカバーが前記バックウィンドウに向けてに動かされたときに、前記レンズ本体からの反力の半径方向の変化を前記レンズ本体に提供させることができ、前記反力は、半径が増加することにつれて減少する、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0100】
(E7)少なくとも実質的に前記光軸に沿って、前記レンズカバーの前記動きを制限する機械的止め部をさらに備える、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0101】
(E8)前記機械的止め部は、前記フレームの一部によって形成され、前記レンズカバーの円周部分上の一以上のスティフナは、前記機械的止め部によって係合されるように配置される、
実施形態E7に記載のレンズアセンブリ。
【0102】
(E9)前記レンズカバーおよび/または前記バックウィンドウは、少なくとも10μm、15μmまたは少なくとも20μmのサグを有する、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0103】
(E10)前記レンズカバーに隣接する第1光学絞りおよび前記バックウィンドウに隣接する第2光学絞りをさらに備え、前記第1および前記第2光学絞りは、不透明であり、開口の円周を画定し、その円周は前記光軸に垂直であり、前記光軸と同心であり、前記レンズアセンブリの光学開口を画定する、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0104】
(E11)前記バックウィンドウは、前記携帯電話カメラのカバーガラスとして使用される、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0105】
(E12)前記レンズカバーは、膜の、より広い領域にわたって加えられた力から生じる光軸の周りの歪みおよび非対称変形を分散させる働きをするリング状スティフナをその円周部分上に備える、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ。
【0106】
(E13)前記レンズカバー(4)は、前記レンズカバー(4)の、より広い領域にわたって加えられた力から生じる前記光軸の周りの歪みおよび非対称変形を分散させる働きをする一以上のリング状スティフナをその円周部分上に備える、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0107】
(E14)前記アクチュエータシステム(7、8)は、前記フレーム(6)に対して前記レンズカバー(4)の縁部の全てなどといった、少なくとも一部を変位させるように配置される、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0108】
(E15)前記レンズカバー(4)は、その円周部分にリング状スティフナ(24)などの一以上のスティフナを備え、前記フレームにそれぞれ接続されている前記少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)は、それぞれ前記一以上のスティフナに接続される、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0109】
(E16)前記レンズカバー(4)は、専ら前記アクチュエータシステム(7、8)などを介して前記フレームに接続される、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0110】
(E17)前記レンズカバー(4)は、その円周部分にリング状スティフナ(24)などの一以上のスティフナを備え、前記レンズカバー(4)は、専ら前記アクチュエータシステム(7、8)および前記一以上のスティフナなどを介してフレームに接続される、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0111】
(E18)前記少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)のうちの全てなどといった、少なくとも1つが、前記フレーム(6)に結合されるか、接着されるか、溶接されるか、ねじ留めされるか、ボルト留めされるか、またはリベット留めされるなどして、前記フレームを有するアセンブリを形成する、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0112】
(E19)前記少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)のうちの全てなどといった、少なくとも1つが、前記光軸に沿った方向に見られるような長方形形状を有する、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0113】
(E20)前記レンズアセンブリ(1)は、プラスチックを含む、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0114】
(E21)前記レンズカバー(4)および/または前記バックウィンドウ(3)は、プラスチックを含む、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0115】
(E22)前記レンズアセンブリ(1)の前記固有の光パワーは、非ゼロであり、少なくとも0.1ジオプトリなど、少なくとも1ジオプトリなど、少なくとも2ジオプトリなど、少なくとも5ジオプトリなど、少なくとも10ジオプトリなど、また少なくとも100ジオプトリなどである、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0116】
(E23)前記レンズカバー(4)および/または前記バックウィンドウ(3)は、1ジオプトリ未満など、0.1ジオプトリ未満など、0ジオプトリなど、光パワーを実質的に有していない、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0117】
(E24)前記レンズカバー(4)は、非ゼロのサグを有する、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0118】
(E25)前記少なくとも3つの個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)は、前記レンズカバー(4)または前記レンズカバーの前記円周部分のような前記レンズカバーの平面と、前記フレームの前記バックウィンドウまたはバックパーツと、の間に配置される、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0119】
(E26)前記フォーカス調整モードにおいて、作動時の前記アクチュエータシステム(7、8)が前記レンズカバー(4)を間接的に変形させるように、前記アクチュエータシステムおよび前記レンズカバー(4)が配置されている、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0120】
(E27)-前記カンチレバーの前記フレームとの接続点から、
-前記カンチレバーの(スティフナリングなどのスティフナを介するなどの)前記レンズカバーとの接続点まで
に引かれる線は、
-前記カンチレバーの前記フレームとの接続点から、
-前記光軸まで
に引かれる線に対して非平行である、
先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1)。
【0121】
(E28)先の実施形態のいずれかに記載のレンズアセンブリ(1、30、60、32)を備える、
光学装置。
【0122】
(E29)実施形態E1~E27のいずれか1つに記載のレンズアセンブリ(1、30、60、32)を含む光学装置であって、
前記光学装置は、カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つである、
光学装置。
【0123】
(E30)実施形態E1~E27のいずれか1つに記載のレンズアセンブリ(1)を備える携帯電話カメラであって、
前記バックウィンドウ(3)は、前記携帯電話カメラのカバーガラスとして使用される、
携帯電話カメラ。
【0124】
(E31)実施形態E1~E27のいずれか1つに記載のレンズアセンブリ(1)を製造する方法であって、前記方法は、
-フレーム(6)を設けることと、
-少なくとも3つなどの、少なくとも一以上の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を設けることと、
-前記少なくとも1つのアクチュエータを前記フレーム(6)に接続することと、
を備える、方法。
【0125】
(E32)実施形態E31に記載のレンズアセンブリ(1)を製造する方法であって、
-少なくとも3つなどの、一以上の個別に処理可能なアクチュエータ(7、8)を設けることは、
前記フレーム(6)とは別個の前記少なくとも一以上のアクチュエータを設けることを含む方法。
【0126】
(E33)実施形態E1~E27のいずれか1つに記載のレンズアセンブリ(1、30、60、32)を、
-カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つのフォーカスを調整することなどといった、フォーカスを調整することと、
カメラ、顕微鏡、双眼鏡または望遠鏡、眼鏡またはゴーグル、ウェアラブルディスプレイ、コンパクトカメラのうちのいずれか1つの光軸を傾斜させることや光学式手ぶれ補正を行うことなどといった、光軸を傾斜させることや任意に光学式手ぶれ補正を行うことと、
のうちの一以上のために使用する。
【0127】
上記の実施形態E1~E33について、先の「実施形態」への言及は、実施形態E1~E33内の先行する実施形態を指し得ることが理解され得る。
【0128】
本発明は特定の実施形態に関連して説明されてきたが、提示された実施例に決して限定されるものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。特許請求の範囲の文脈において、「含む(comprises)」または「含む(comprising)」という用語は、他の可能な要素またはステップを排除するものではない。また、「a」または「an」などの参照の言及は、複数を排除するものとして解釈されるべきではない。図面に示される要素に関する特許請求の範囲における参照符号の使用はまた、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、異なる請求範囲に記載された個々の特徴は場合によっては有利に組み合わせることができ、異なる請求範囲におけるこれらの特徴の言及は、特徴の組み合わせが可能でなく有利でないことを排除しない。