IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコラボ ユーエスエー インコーポレイティドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】洗濯用途における無リン遷移金属制御
(51)【国際特許分類】
   D06L 1/12 20060101AFI20220426BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220426BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20220426BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20220426BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20220426BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
D06L1/12
C11D3/20
C11D3/33
C11D3/37
C11D3/395
D06F35/00 Z
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019572045
(86)(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018039721
(87)【国際公開番号】W WO2019005940
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】62/525,237
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ラング
(72)【発明者】
【氏名】ジミー ストークス
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ドッツァウアー
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ランドバーグ
(72)【発明者】
【氏名】クリスタ オッティング
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/028203(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102242024(CN,A)
【文献】国際公開第2013/077980(WO,A1)
【文献】特開昭62-32195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00-19/00
D06F1/00-19/00
27/00-31/00
35/00
41/00-51/02
58/10-58/18
59/00-60/00
D06L1/00-4/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を処理するための方法であって、前記方法は、
洗濯物を、
グルコン酸キレート剤と、
アミノカルボキシレートまたはその塩を含む少なくとも1つの追加のキレート剤であって、前記アミノカルボキシレートが、メチルグリシン二酢酸及び/又はジエチレントリアミン五酢酸を含む、キレート剤と、
ポリアクリレートポリマー、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせから選択される、10重量%以上30重量%以下のカルボキシレートポリマーと、
水と、
を含む洗濯添加剤組成物と接触させることを含み、
前記洗濯添加剤組成物が、アルカリ性から酸性のpH条件下で、かつ任意選択的に酸化剤の存在下で、洗濯プロセス全体にわたって遷移金属汚染物質を制御し、
前記組成物が、リンを含まない、方法。
【請求項2】
前記洗濯プロセスが、洗濯機に供給される遷移金属で汚染された水、及び/又は洗濯機に供給される遷移金属で汚染された汚れもしくは洗濯物を利用する初期洗浄プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記洗濯プロセスが、前記洗濯プロセスで利用される水を加熱するための、遷移金属で汚染されたスチーミングまたは直接スチーム注入を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記グルコン酸キレート剤が、グルコン酸塩、好ましくはグルコン酸ナトリウムである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記洗濯添加剤組成物の投入が、(a)リネン100ポンドあたり0.5液量オンス~30液量オンスの割合、(b)リネン100ポンドあたり3液量オンス~30液量オンスの割合、または(c)前記洗濯プロセスにおいて遷移金属を少なくとも0.1ppmに制御する割合、で提供される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記洗濯添加剤組成物の投入が、0.5~5グラム/前記洗濯添加剤組成物溶液1Lの割合で提供され、前記グルコン酸キレート剤がグルコン酸塩キレート剤を含み、前記組成物が、0.08~0.8グラム/Lの前記グルコン酸塩キレート剤を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記洗濯添加剤組成物が、前記洗濯機に投入され、前記洗濯プロセス内のスチーム注入加熱プロセスのスチーム受け側に投入され、及び/又は
水の再利用もしくはリサイクル用貯蔵容器もしくは排水路に投入される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
水源または前記洗濯プロセスの入口における鉄濃度を測定する初期ステップを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記洗濯添加剤組成物の前記接触が、前記洗濯プロセスにおける漂白及び/もしくは酸化ステップの前;並びに/又は前記洗濯プロセスにおけるアルカリ性洗剤洗浄ステップと同時である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記洗濯添加剤組成物が、前記洗濯プロセスにおける鉄汚染物質の付着物を35ppm未満に低減し、硬水金属イオンの付着物を300ppm未満に低減する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
洗濯添加剤組成物であって、
グルコン酸キレート剤と、
アミノカルボキシレートまたはその塩を含む少なくとも1つの追加のキレート剤であって、前記アミノカルボキシレートが、メチルグリシン二酢酸及び/又はジエチレントリアミン五酢酸を含む、キレート剤と、
ポリアクリレートポリマー、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせから選択される、10重量%以上30重量%以下のカルボキシレートポリマーであって、前記グルコン酸キレート剤対前記カルボキシレートポリマーの比は1:1~3:1である、カルボキシレートポリマーと、
水と、を含み、
前記組成物が、リンを含まない、洗濯添加剤組成物。
【請求項12】
前記グルコン酸キレート剤が、グルコン酸ナトリウムまたはグルコン酸である、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記グルコン酸キレート剤がグルコン酸塩キレート剤を含み、前記グルコン酸塩キレート剤が前記組成物の1重量%~30重量%を構成し、前記少なくとも1つの追加のキレート剤が前記組成物の0.1重量%~10重量%を構成し、前記ポリマーが前記組成物の1重量%~30重量%を構成し、水が前記液体組成物の20重量%~80重量%を構成する、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの追加の機能性成分をさらに含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、界面活性剤を含まない、請求項11~14のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119の下で、2017年6月27日に出願された米国仮出願第62/525,237号に基づく優先権を主張するものであり、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示される実施形態は、洗浄力、漂白、および廃水操作を含む複数の領域で洗濯品質を改善するための方法および組成物に関する。特に、洗濯用途内で利用される水中の遷移金属汚染物質を制御するための方法および組成物を提供する。一実施形態では、キレート剤およびポリマーを含む無リン洗濯添加剤組成物は、ブレークステップ(初期アルカリ性洗剤洗浄プロセス)、スチーミングまたは非スチーミング、漂白および/または酸化剤ステップ、酸性化および洗濯廃水の用途を含むがこれらに限定されない洗濯プロセス全体にわたって遷移金属を有益に制御する。
【背景技術】
【0003】
典型的な商業的または産業的洗濯プロセスでは、シート、タオル、ワイプ、衣服、テーブルクロスなどの織物材料は、一般に高温でアルカリ性洗剤材料で洗濯される。そのような洗剤材料は、典型的には、アルカリ源、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属シリケート、アルカリ金属カーボネート、または他のそのような塩基成分などを含有する。リネンをアルカリ性洗剤組成物で処理すると、一定量のキャリーオーバーアルカリ分が生じ得る。キャリーオーバーアルカリ分とは、次のステップで利用可能な、リネン内に含まれる化学物質(完全に除去されなかった)を指す。例えば、洗剤使用溶液がアルカリ性環境を提供するとき、洗剤使用溶液の全てがすすぎによって除去されない限り、洗剤使用溶液は、後続の酸性化処理ステップのために一定量のキャリーオーバーアルカリ分を提供することが予想される。洗濯物の中または上に残っているアルカリ性洗剤の残留成分は、洗濯された布地の着用者による布地の損傷および皮膚刺激を引き起こす可能性がある。これは、特に、タオル、シーツ、および衣服の問題である。酸性材料は、生地のアルカリ性残留物を中和する酸性成分を含有する。
【0004】
洗濯プロセスの別の課題は、鉄および他の金属である。投入される水源および/または洗濯プロセスを加熱するためのスチームから生じる遷移金属などのそのような汚染物質は、錆などのシミに起因して存在し得るか、または洗濯プロセス内で利用される水に起因して存在し得る。鉄は、水源の水に入ることができるか、または腐食(すなわち、様々な腐食状態にある配管)、水路およびタンクからピックアッブされ得る。鉄は、第一鉄と称される可溶性で無色の形態で水源に存在し得る。空気にさらされると、第一鉄は急速に不溶性の第二鉄に変化し、その色は黄色から赤褐色へと変化する場合がある。鉄や他の金属が適切に除去されない場合、布地の永久的な黄変、および引張強度の低下に起因する布地寿命の低下を引き起こす可能性がある。さらに、金属含有量は、洗剤の不活性化および/または抑制、洗濯プロセスで使用される酸化性化学物質の損失の加速、金属の堆積に起因する陰影、ならびに蛍光増白剤の変更に起因する陰影、およびさらなる他の有害な洗濯効果をもたらす可能性がある。
【0005】
これまで、洗濯プロセスで利用される水源由来の金属を除去する主なアプローチは、鉄不純物を減らすための軟水化装置に関心が集まっていた。さらに、これまでのシミから金属を除去するアプローチは、高レベルの苛性剤(caustic)の使用に主に依存しており、その苛性剤は、繊細な布地を損傷する可能性があり、もし適切に除去されずに中性のpHに戻らない場合、苛性剤は人間の皮膚に対して露出する可能性がある。残留アルカリを除去するのを助け、かつ鉄を制御するために現在の洗濯酸性組成物は、一般に、強酸、例えば、環境的に望ましくなくかつ/または有害なフルオロ酢酸、リン酸、フッ化水素酸、およびヘキサフルオロケイ酸を含む。
【発明の概要】
【発明が解決使用とする課題】
【0006】
以上のように、洗濯された布地の黄色いシミを防ぎ、かつ残留苛性剤を除去するだけでなく、環境に優しく環境的に持続可能な、アルカリ洗浄後の鉄および他の金属の制御処理の開発について当技術分野には継続的なニーズが存在する。さらに、洗濯用途のための配合物は、水質調節および金属制御が同様に必要とされ得る皿洗い用途または他の硬質表面洗浄用途と比較して、明確な課題を提起する。洗濯は、(食器洗浄または硬質表面に比べて)より大きな表面積と、硬度イオンおよび遷移金属(鉄、銅、マンガン)の両方を処理するためにキレート剤を必要とするという独自の課題を提起する。
【0007】
さらに、食器洗浄用途で一般的である界面活性剤および/またはキレート剤の使用は、洗濯用途において同じ効果をすぐにはもたらさない。これは、主として、処理される対象の基材の違いの結果であり、すなわち、洗濯物中の多孔質織物は、食器洗浄用途で処理される硬質表面とは異なる課題を提起する。例えば、洗剤組成物で除去し易いフィルムの形態でのみ表面上に付着物を有し得る食器洗浄基材とは異なり、テリータオルなどのタオルは、汚染物質を吸収するかまたは基材に汚染物質が付着するため、除去するのが難しい場合がある。洗濯用途での繊維および汚れへの無機イオンの吸着は、固体の表面電荷を変更する場合さえあり、その結果、表面への界面活性剤の吸着と競合するか、または吸着を強化する場合がある。これにより、食器洗浄の硬質表面と比較して、洗濯基材を処理する際にさらなる困難が提起される。鉄と他の金属の制御と、少なくとも黄変を防止する黄変の防止と、市販のあまり環境的に優しくない酸性化処理に関する代替物と、を提供する洗濯組成物および方法を提供することが目的である。
【0008】
さらなる目的は、遷移金属および有益な洗濯性能の制御のための無リン洗濯添加剤組成物を提供することである。
【0009】
さらなる目的は、洗浄力、漂白、および廃水操作を含む複数の領域で洗濯品質を改善するための方法および組成物を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的、利点、および特徴は、添付の図面と併せて以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態に従って開示される方法および組成物の利点は、例えば、洗濯機、すなわち直接スチーム注入加熱洗濯機に供給される水、および金属含有量を提供する汚れ、を含む様々な供給源から、洗濯用途に入り得る金属の損傷効果を制御することである。
【0012】
一実施形態では、洗濯物を処理するための方法は、グルコン酸キレート剤(gluconate chelant)、少なくとも1つの追加のキレート剤、カルボキシレートポリマー、および水、を含む洗濯添加剤組成物を洗濯物と接触させることを含み、その洗濯添加剤組成物は、洗濯プロセス全体で遷移金属汚染物質を制御する。一態様では、洗濯プロセスは、洗濯機に供給される遷移金属で汚染された水を利用する初期洗浄プロセスを含む。一態様では、洗濯プロセスは、洗濯機に供給される、遷移金属で汚染された汚れまたは洗濯物を利用する初期洗浄プロセスを含む。一態様では、洗濯プロセスは、洗濯プロセスで利用される水を加熱するための、遷移金属で汚染されたスチーミングまたは直接スチーム注入を含む。一態様では、グルコン酸キレート剤は、グルコン酸塩(gluconate salt)、例えばグルコン酸ナトリウムである。一態様では、少なくとも1つの追加のキレート剤は、アミノカルボキシレートまたはその塩を含む。一態様では、アミノカルボキシレートは、メチルグリシン二酢酸および/またはジエチレントリアミン五酢酸を含む。一態様では、カルボキシレートポリマーは、ポリアクリル酸またはポリマレイン酸である。一態様では、洗濯添加剤調節組成物の投入は、(a)リネン100ポンドあたり約0.5液量オンス~約30液量オンスの割合、(b)リネン100ポンドあたり約3液量オンス~約30液量オンスの割合、および/または(c)洗濯プロセスにおいて遷移金属を少なくとも0.1ppmに制御する割合、で提供される。一態様では、洗濯添加剤組成物の投入は、約0.5~約5グラム/水質調節組成物溶液1Lの割合で提供され、その組成物は、約0.08~約0.8グラム/Lのグルコン酸塩キレート剤を含む。一態様では、洗濯添加剤組成物は、洗濯機、洗濯プロセス内のスチーム注入加熱プロセスのスチーム受け側、および/または水の再利用もしくはリサイクル用貯蔵容器または排水路に投入する。
【0013】
なおさらなる態様では、その方法は、水源または洗濯プロセスへの入口における鉄濃度を測定する初期ステップを含むことができる。なおさらなる態様では、洗濯添加剤組成物の接触は、洗濯プロセスにおける漂白および/または酸化ステップの前または後である。なおさらなる態様では、洗濯添加剤組成物の接触は、洗濯プロセスにおける漂白および/または酸化ステップと同時である。なおさらなる態様では、洗濯添加剤組成物の接触は、洗濯プロセスにおけるアルカリ性洗剤洗浄ステップの前または後である。なおさらなる態様では、洗濯添加剤組成物の接触は、洗濯プロセスにおけるアルカリ性洗剤洗浄ステップと同時である。なおさらなる態様では、洗濯添加剤組成物の接触は、洗濯プロセスにおける酸性化ステップの前または後である。なおさらなる態様では、洗濯添加剤組成物の接触は、洗濯プロセスにおける酸性化ステップと同時である。追加の実施形態では、洗濯添加剤組成物は、グルコン酸塩キレート剤と、アミノカルボキシレートを含む少なくとも1つの追加のキレート剤と、カルボキシレートポリマーと、水と、を含む。一態様では、その組成物は実質的に無リンまたは無リンである。一態様では、グルコン酸キレート剤は、グルコン酸ナトリウムまたはグルコン酸である。一態様では、少なくとも1つの追加のキレート剤は、アミノカルボキシレートまたはその塩、例えば、メチルグリシン二酢酸および/またはジエチレントリアミン五酢酸を含む。一態様では、カルボキシレートポリマーは、ポリアクリレートポリマー、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせである。一態様では、グルコン酸塩キレート剤は組成物の約1重量%~約30重量%を含み、少なくとも1つの追加のキレート剤は組成物の約0.1重量%~約10重量%を構成し、ポリマーは組成物の約1重量%~約30重量%を構成し、水は液体組成物の約20重量%~約80重量%を構成する。一態様では、グルコン酸キレート剤対カルボキシレートポリマーの比は、組成物において約1:1~約3:1である。一態様では、組成物は少なくとも1つの追加の機能性成分を含む。なおさらなる態様では、組成物は界面活性剤を含まない。
【0014】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のなお他の実施形態は、本発明の例証的な実施形態を図示および説明する以下の詳細な説明から、当業者には明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本来は例示的であり、限定的ではないものとしてみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】マグネシウムおよびカルシウムの従来の硬度イオンに加えて、濃度(ppm)によって測定された遷移金属汚染の例示的な頻度を実証するために、顧客アカウントからサンプリングされた洗濯プロセス水の結果を示しており、洗濯用途での遷移金属制御の必要性を実証している。
図2】濃度(ppm)によって測定された遷移金属汚染の例示的な頻度を実証するために、洗濯プロセスの様々な段階で複数の洗濯部位からサンプリングされた追加の洗濯プロセス水の結果を示しており、洗濯プロセス内の場所に応じて水質が変動することから、洗濯プロセス全体での遷移金属制御の必要性を実証している。
図3】陰性および陽性対照と比較した洗濯添加剤組成物の実施形態の比較白色度評価を示している。
図4】一実施形態による評価で測定されたポリエステルスワッチに関する鉄の量(金属付着)を示している。
図5】一実施形態による評価で測定された綿スワッチに関する鉄の量(金属付着)を示している。
図6】陰性対照と比較した洗濯添加剤組成物の一実施形態の比較白色度評価を示している。
図7】陰性対照と比較した洗濯添加剤組成物の一実施形態の比較黄色/青色評価を示している。
図8】洗濯添加剤組成物の添加順序に基づく白色度の測定を示し、漂白ステップの前または漂白ステップと同時に洗濯添加剤組成物を添加した際の利益を実証している。
図9】異なるアルカリ性pH範囲における洗濯添加剤組成物中の様々なポリマーを使用した白色度測定を示している。
図10】ベースラインサンプルと比較して延長された洗浄サイクルにわたって白色度測定を評価するために、洗濯添加剤組成物で処理されたタオルセット(各図10~15では個別のタオルセットを試験した)の白色度測定を示している。
図11】ベースラインサンプルと比較して延長された洗浄サイクルにわたって白色度測定を評価するために、洗濯添加剤組成物で処理されたタオルセット(各図10~15では個別のタオルセットを試験した)の白色度測定を示している。
図12】ベースラインサンプルと比較して延長された洗浄サイクルにわたって白色度測定を評価するために、洗濯添加剤組成物で処理されたタオルセット(各図10~15では個別のタオルセットを試験した)の白色度測定を示している。
図13】ベースラインサンプルと比較して延長された洗浄サイクルにわたって白色度測定を評価するために、洗濯添加剤組成物で処理されたタオルセット(各図10~15では個別のタオルセットを試験した)の白色度測定を示している。
図14】ベースラインサンプルと比較して延長された洗浄サイクルにわたって白色度測定を評価するために、洗濯添加剤組成物で処理されたタオルセット(各図10~15では個別のタオルセットを試験した)の白色度測定を示している。
図15】ベースラインサンプルと比較して延長された洗浄サイクルにわたって白色度測定を評価するために、洗濯添加剤組成物で処理されたタオルセット(各図10~15では個別のタオルセットを試験した)の白色度測定を示している。
図16】洗濯添加剤組成物のポリマーが水の硬度を制御するのを防止する際における非キレート化鉄の影響を査定するために評価したスワッチの黄色度(UV無し)における変化の測定を示している。
図17】洗濯添加剤組成物のポリマーが水の硬度を制御するのを防止する際における非キレート化鉄の影響を査定するために評価したスワッチの白色度(UV無し)における変化の測定を示している。
図18】評価されたポリマーおよび記載の条件から得られた白色度の測定を示している(鉄が有る場合と無い場合)。
図19】様々な洗浄条件下で処理した基材の変色の原因の指標として、評価したスワッチ上に付着物として存在する灰分の割合の測定を示している。
図20】汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した20サイクルの洗浄にわたるカルシウムの濃度(mg/L)の測定を示している。
図21】汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した20サイクルの洗浄にわたるマグネシウムの濃度(mg/L)の測定を示している。
図22】汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した20サイクルの洗浄にわたる鉄の濃度(mg/L)の測定を示している。
図23】様々な洗浄条件下で、処理した基材の変色の原因の指標として、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、評価したスワッチ上に存在する灰分の割合の測定を示している。
図24】汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、カルシウムの濃度(mg/L)の測定を示している。
図25】汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、マグネシウムの濃度(mg/L)の測定を示している。
図26】汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、鉄の濃度(mg/L)の測定を示している。
図27】汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、カルシウムおよびマグネシウムの濃度(mg/L)の測定を示している。
【0016】
図面を参照して本発明の様々な実施形態を詳細に説明するが、いくつかの図を通して、同様の参照番号は同様の部分を表す。様々な実施形態への言及は、本発明の範囲を限定しない。本明細書において示される図は、本発明による様々な実施形態の限定ではなく、本発明の例示的説明のために示される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に開示の実施形態は、例えば、洗濯機、すなわち、直接スチーム注入加熱洗濯機に供給される水、および金属含有量を提供する汚れを含む様々な供給源から洗濯プロセスに入る金属の損傷効果を制御するための方法および組成物に関する。その方法と組成物は、従来の洗濯用途に関して多くの利点を有し、鉄、銅、マンガンなどの金属を含有する水は、硬水イオンと共に、洗濯添加剤組成物の配合により洗濯プロセスの全ての段階にわたって対処され得る。有益なことには、洗濯添加剤組成物は、汚れの懸濁および除去(例えば、綿布)、鉄、および他の金属の制御、フィルム防止、布地の変色に対する保護剤、および洗濯プロセス全体で組成物を使用可能にする他の配合利益を提供する。
【0018】
実施形態は、洗濯用の特定の組成物および方法に限定されず、それらは、変更することができ、当業者によって理解される。本明細書に使用される全ての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図されないことがさらに理解されるべきである。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が別段明らかに示されない限り、複数形の指示対象を含み得る。さらに、全ての単位、接頭辞、および記号は、そのSIによって認められた形態で示され得る。
【0019】
本明細書内に列挙される数的範囲は、定義される範囲内の数を含む。本開示全体にわたって、本方法の様々な態様および組成物は、範囲形式で表される。範囲形式における説明は単に便宜および簡潔さのためであり、本発明の範囲への堅固な限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の可能な部分範囲ならびに個々の数値の全てが具体的に開示されているとみなすべきである(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
【0020】
本発明をより容易に理解し得るように、特定の用語をまず定義する。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明の実施形態が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料が、過度の実験を伴うことなく本発明の実施形態の実践に使用され得、好ましい材料および方法が、本明細書に記載される。本発明の実施形態を説明および請求する上で、以下に記載される定義に従って以下の専門用語が使用される。
【0021】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、現実世界において濃縮物または使用溶液の作製に使用される典型的な測定および液体取り扱い手順、それらの手順における不慮の誤差、組成物の作製または方法の実行に使用される成分の作製、供給源、または純度の違いなどによって生じ得る、数量の変形を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に関する異なる平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語により修飾されるか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の当量を含む。
【0022】
「活性物質」または「活性物質パーセント」または「活性物質重量パーセント」または「活性物質濃度」は、本明細書において互換的に使用され、水または塩などの不活性成分を引いたパーセンテージとして表される洗浄に関与する成分の濃度を指す。
【0023】
「再堆積防止剤」は、洗浄されている物体上に再堆積する代わりに水中に懸濁されたままであることを助ける化合物を指す。再付着防止剤は、本組成物および本方法において、除去された汚れが洗浄されている表面に再付着するのを減らすのを助けるのに有用である。
【0024】
本明細書で使用される場合、「洗浄」という用語は、汚れの除去、漂白、微生物数の低減、すすぎ、およびそれらの任意の組み合わせを促進または支援するために使用される方法を指す。本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」という用語は、任意の非細胞または単細胞(群体を含む)生物を指す。微生物は、全ての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、菌類、原虫、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ、およびいくつかの藻類を含む。本明細書で使用される場合、「細菌(microbe)」という用語は、微生物と同義である。
【0025】
「含む(include)」および「含む(including)」という用語は、材料の列挙に関して使用されるときには、列挙された材料を指すが、それらには限定されない。
【0026】
「洗濯物」という用語は、洗濯機で洗浄される品目または物品を指す。一般に、洗濯物は、織物材料、織布、不織布、およびニット織物から作製された、またはそれらを含む、あらゆる品目または物品を指す。織物材料としては、シルク繊維、リネン繊維、綿繊維、ポリエステル繊維、ナイロンなどのポリアミド繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、ならびに綿およびポリエステルブレンドを含むこれらのブレンドなどの、天然または合成繊維が挙げられ得る。繊維は、処理済または未処理であり得る。例となる処理済繊維としては、難燃処理をされたものが挙げられる。「リネン」という用語は、多くの場合、ベッドシーツ、枕カバー、タオル、テーブルリネン、テーブルクロス、バーモップ、および制服を含む特定の種類のリネン品目を説明するために使用されることが理解されるべきである。
【0027】
「リネン」という用語は、洗濯機で洗浄される品目または物品を指す。一般に、リネンとは、織物材料、織布、不織布、およびニット織物でできた、またはそれらを含む、あらゆる品目または物品を指す。織物材料としては、シルク繊維、リネン繊維、綿繊維、ポリエステル繊維、ナイロンなどのポリアミド繊維、アクリル繊維、アセテート繊維、ならびに綿およびポリエステルブレンドを含むこれらのブレンドなどの、天然または合成繊維が挙げられ得る。繊維は、処理済または未処理であり得る。例となる処理済繊維としては、難燃処理をされたものが挙げられる。「リネン」という用語は、多くの場合、ベッドシーツ、枕カバー、タオル、テーブルリネン、テーブルクロス、バーモップ、および制服を含む特定の種類のリネン品目を説明するために使用されることが理解されるべきである。
【0028】
本明細書で使用される場合、「無リン酸塩」という用語は、リン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物を含有しないか、またはリン酸塩もしくはリン酸塩含有化合物が添加されていない、組成物、混合物、または成分を指す。無リン酸塩組成物、混合物、または成分の汚染によりリン酸塩またはリン酸塩含有化合物が存在する場合、リン酸塩の量は0.5重量%未満とする。より好ましくはリン酸塩の量は0.1重量%未満であり、最も好ましくはリン酸塩の量は0.01重量%未満である。一態様では、洗濯添加剤組成物はリン酸塩を含まない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「無リン」または「実質的に無リン」という用語は、リンもしくはリン含有化合物を含有しないか、またはリンもしくはリン含有化合物が添加されていない組成物、混合物、または成分を指す。リンまたはリン含有化合物が、無リン組成物、混合物、または成分の汚染によって存在する場合、リンの量は、0.5重量%未満とする。より好ましくは、リンの量は、0.1重量%未満であり、最も好ましくは、リンの量は、0.01重量%未満である。一態様では、洗濯添加剤組成物は無リンである。
【0030】
「軟質表面」という用語は、弾性的な洗浄可能な基材、例えば、織布、不織布、もしくは編まれた織物、皮革、ゴムまたは可撓性プラスチック、例えば布地(例えば、手術用衣類、厚地のカーテン類、ベッドリネン、包帯など)、カーペット、運搬用車両のシートの張り布、および内装部品などを指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「汚れ(soil)」という用語は、炭水化物、タンパク質、脂肪、油などを含むがそれらに限定されない極性または非極性の有機または無機の物質を指す。これらの物質は、それらの有機状態で存在するか、または金属と錯体を形成して無機錯体を形成し得る。
【0032】
本明細書で使用される場合、「シミ(stain)」という用語は、金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物-水酸化物、粘土、砂、塵、天然物、カーボンブラック、黒鉛などの粒子状物質を含有する場合または含有しない場合がある極性または非極性物質を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、その構成成分を完全に欠くか、またはその構成成分が組成物の性能に影響を及ぼさない程度の少量の構成成分を有する組成物を指す。構成成分は、不純物としてまたは汚染物質として存在してもよく、0.5重量%未満でなければならない。別の実施形態では、構成成分の量は、0.1重量%未満であり、さらに別の実施形態では、構成成分の量は、0.01重量%未満である。
【0034】
「実質的に同様の洗浄性能」という用語は、概して洗浄力の同じ度合(または少なくとも顕著に劣る度合いではない)、または概して同じ労力の消費(または少なくとも顕著に劣る消費ではない)を用いる代用洗浄製品または代用洗浄系により概して達成されることを指す。
【0035】
「閾値剤(threshold agent)」という用語は、溶液に由来する硬水イオンの結晶化を阻害するが、その硬水イオンと特定の錯体を形成する必要がない化合物を指す。閾値剤としては、限定されるものではないが、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、オレフィン/マレイン酸コポリマーなどが挙げられる。
【0036】
「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt-%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語、およびそれらの変形は、本明細書で使用される場合、その物質の重量を組成物の総重量で除し、100を乗じた物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されることが理解される。
【0037】
本明細書に記載の方法、システム、および組成物は、構成成分および成分、ならびに他の成分を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「~から本質的になる」は、方法、システム、および組成物が追加のステップ、構成成分、または成分を含み得るが、追加のステップ、構成成分、または成分が、特許請求される方法、システム、および組成物の基本的および新規の特質を物質的に変えない場合に限ることを意味する。
【0038】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「構成される」という用語は、特定のタスクを行なうか、または特定の形態に適合するように構築もしくは構成されたシステム、装置、または他の構造を説明することに留意されたい。「構成されるという用語」は、配置および構成される、構築および配置される、適合および構成される、ならびに適合、構築、製造、および配置されるなどの他の類似した語句と同じ意味で使用され得る。
【0039】
使用方法
本明細書に開示される組成物および方法は、洗濯用途および洗濯性能を改善するのに好適である。特に、本明細書で開示される組成物および方法は、遷移金属汚染物質を制御して、例えば、改善された洗浄力、改善された漂白および廃水操作を含む洗濯プロセス全体の質を改善するのに好適である。特定の作用メカニズムに限定されることなく、無リン洗濯添加剤組成物の使用は、洗濯用途全体で用いられる水源中の遷移金属汚染物質の有害な存在を制御する。
【0040】
洗濯添加剤組成物は、洗濯プロセスを汚染する水源および汚れを調節する際に使用するのに好適である。有益なことには、洗濯添加剤組成物およびそれらの使用方法は、洗濯プロセス全体にわたって遷移金属汚染物質を制御する。例えば、遷移金属汚染物質は、複数の供給源を介して導入される可能性があり、従来の洗剤はそれを完全に克服していない。一態様では、洗濯プロセスは、洗濯機に供給される遷移金属汚染水を利用する初期洗浄プロセスを含む。さらなる態様では、洗濯プロセスは、洗濯機に供給される、遷移金属で汚染された汚れまたは洗濯物を利用する初期洗浄プロセスを含む。なおさらなる態様では、洗濯プロセスは、洗濯プロセスで利用される水を加熱するための、遷移金属で汚染されたスチーミングまたは直接スチーム注入を含む。さらなる態様では、洗濯プロセスは、金属汚染物質を洗濯プロセスに有害に導入する可能性があるこれらのステップの1つ以上を含む。
【0041】
洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスの1つ以上の入口に提供することができる。一態様では、洗濯添加剤組成物は、洗浄サイクルにおいて洗濯機に投入することができる。一態様では、洗濯添加剤組成物は、洗濯用途内のスチーム注入加熱プロセスのスチーム受け側に投入することができる。有益なことに、蒸気またはスチーム生成側とは反対側の、スチーム注入の水側への投入により、スチーム注入で用いられる水の中の遷移金属を有益に制御する。さらなる態様では、洗濯添加剤組成物は、水の再利用もしくはリサイクル用貯蔵容器または排水路(すなわち、廃水)に投入することができる。有益なことに、再利用水またはリサイクル水または廃水への投入により、水の再利用および/または廃棄の前に、汚染遷移金属が除去される。廃水中の遷移金属汚染物質の制御は、汚染物質を有益に除去して、スクリーン、フィルター、および/またはそれと同様なもの閉塞または詰まりを低減または排除する。
【0042】
当業者であれば本明細書で提供される開示に基づいて認識するように、洗濯添加剤組成物の投入割合は、遷移金属による洗濯プロセスの汚染の程度に基づいて変えることができる。一態様では、汚染は、鉄、銅、および/またはマンガンの1つ以上の存在によって測定することができる。さらなる態様では、汚染はまた、水硬度の一般的な汚染物質であるカルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属の1つ以上の存在によって測定することができる。さらなる態様では、汚染は好ましくは鉄の存在によって測定される。さらなる態様において、汚染は、少なくとも0.1ppm、少なくとも0.2ppm、少なくとも1ppm、もしくは少なくとも10ppmの鉄または別の遷移金属汚染物質またはアルカリ土類金属汚染物質の存在によって測定することができる。したがって、本明細書に開示される方法の初期ステップは、任意の汚染物質、すなわち遷移金属および任意選択的にアルカリ土類金属による汚染を判定するために、測定もしくは検出ステップ、または検出手段を含むことができる。
【0043】
一態様では、洗濯添加剤組成物の投入は、リネン100ポンドあたり約0.5~約30液量オンス、リネン100ポンドあたり約3~約30液量オンス、リネン100ポンドあたり約5~約30液量オンス、リネン100ポンドあたり、リネン100ポンドあたり約10~約30液量オンス、リネン100ポンドあたり約5~約25液量オンス、またはリネン100ポンドあたり約5~約20液量オンスの割合で提供される。別の態様では、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおいて少なくとも約0.1ppmの濃度で含まれる遷移金属を制御する割合で提供される。
【0044】
一態様では、洗濯添加剤組成物の投入は、約0.1~約5グラム/洗濯添加剤組成物溶液1L、または好ましくは約0.5~約1グラム/洗濯添加剤組成物溶液1Lの割合で提供され、その組成物は約0.08~約0.8グラム/1Lのグルコン酸塩キレート剤を含む。
【0045】
一態様では、洗濯添加剤組成物は、洗濯プロセスの全ての段階またはステップにわたって、鉄および他の金属(遷移金属およびアルカリ土類金属の両方を含む)を制御する。有益なことには、洗濯添加剤組成物は、グルコン酸キレート剤(高いpHに特に好適)と、追加のキレート剤、すなわちアミノカルボキシレート(より低いpHに特に好適)と、カルボキシレートポリマー(酸化条件に特に好適)との組み合わせに起因して、予想外に同じ安定性(すなわち、遷移金属を捕捉し続けるpH範囲で残存するキレート剤の残存性または能力)を達成する。一態様では、洗濯添加剤組成物は、鉄および他の金属汚染物質を、約5~約12、または好ましくは約6~約12のpHで有益に制御し、酸性、中性、およびアルカリ性のpHにわたて有効性を提供する。
【0046】
一態様において、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおける初期アルカリ性洗剤ステップ(ブレークステップとも称される)の前、それと同時、またはその後に行われる。好ましい実施形態では、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおけるアルカリ性洗剤ステップの後に行われる。好ましい方法では、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおけるアルカリ性洗剤洗浄ステップと同時に行われる。
【0047】
一態様では、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおける漂白(および/または酸化)ステップの前、それと同時、またはその後に行われる。好ましい実施形態では、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおける漂白(または酸化)ステップの前に行われる。当業者であれば認識するように、洗濯漂白浴および/または酸化浴(両方とも塩素ベースまたは酸素ベースを含む)の処理は、遷移金属および濁度を管理して漂白効率を最適化する必要があるという点で複雑であり、追加の課題を提起する。
【0048】
一態様では、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおける酸性化ステップの前、それと同時、またはその後に行われる。好ましい実施形態では、洗濯添加剤組成物の投入は、洗濯プロセスにおける酸性化ステップの前に行われる。
【0049】
一態様では、洗濯添加剤組成物の投入は、加熱システムの結果として増加した汚染を有する直接スチーム注入を有する洗濯システムで行われる。
【0050】
実施形態による洗濯添加剤組成物を使用する方法は、様々なリネンおよび表面に改善された洗浄結果、およびシミの改善された除去を含む追加の利益をもたらす。
【0051】
実施形態
洗濯添加剤組成物の例示的な範囲を、濃縮液体組成物の重量百分率で表1に示す。洗濯組成物は、濃縮組成物を希釈するために追加の水が存在する洗濯用途への投入時にさらに希釈されるため、一般に液体濃縮物と称する。
【表1】
【0052】
洗濯添加剤組成物は濃縮組成物を含んでもよく、または希釈して使用組成物を形成してもよい。概して、濃縮物は、水で希釈されて、対象物に接触して所望の洗浄、すすぎなどを提供する使用溶液を提供することが意図される組成物を指す。処理される水と接触して遷移金属汚染物質を制御する洗濯添加剤組成物は、方法で用いられる配合物に応じて、濃縮物または使用組成物(または使用溶液)と称されることがある。使用溶液は、所望の洗濯添加剤特性を有する使用溶液を提供する希釈比で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、場所によって変動し得る。典型的な希釈係数は、約1~約10,000であるが、遷移金属汚染物質の濃度などを含む係数に依存する。一実施形態では、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物対水の比で希釈される。特に、濃縮物は、約1:10~約1:1,000の濃縮物対水の比で希釈される。より特に、濃縮物は、約1:10~約1:100の濃縮物対水の比で希釈される。
【0053】
洗濯添加剤組成物
本開示による洗濯添加剤組成物は、(綿布および他の洗濯基材などに対する)汚れの懸濁および除去、鉄および他の遷移金属ならびにアルカリ土類金属の制御、フィルム防止、布地の変色に対する保護剤、および洗濯プロセス全体で組成物を使用可能にする他の配合利益を有益に提供する。洗濯添加剤組成物は、界面活性剤を含有しないため、洗剤組成物ではない。一態様では、洗濯添加剤組成物は、グルコン酸塩キレート剤、少なくとも1つの追加のキレート剤(好ましくは2つの追加のキレート剤)、カルボキシレートポリマー、および水、を含む、からなる、かつ/またはから本質的になる。
【0054】
グルコン酸塩
洗濯添加剤組成物は、グルコン酸塩キレート剤を含む。例示的な実施形態では、グルコン酸塩キレート剤はグルコン酸ナトリウムである。特定の作用メカニズムに限定されることなく、グルコン酸ナトリウムは、遷移金属の鉄および銅に対してより高い親和性を有するという利益を提供し、さらに洗濯添加剤組成物に含めるための100%活性化合物を提供する。これにより、大部分の遷移金属汚染物質の濃度の処理に関するグルコン酸ナトリウムの有効性に起因して、より低濃度の追加のキレート剤とグルコン酸ナトリウムとの併用がさらに可能である。追加の遷移金属汚染物質および/または従来の硬水イオンに対して好ましい親和性を有する追加のキレート剤が選択される。
【0055】
一態様では、組成物は、約1重量%~約30重量%のグルコン酸塩キレート剤、約1重量%~約20重量%のグルコン酸塩キレート剤、約5重量%~約20重量%のグルコン酸塩キレート剤、または好ましくは約10重量%~約20重量%のグルコン酸塩キレート剤を含む。さらに、組成物により限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0056】
一実施形態では、グルコン酸塩キレート剤は、洗濯添加剤組成物において、少なくとも約1:1以上の比率で、例えば、1.5:1以上、2:1以上、2.5:1以上、または3:1以上を含む比率で、少なくとも1つの追加のキレート剤と併用される。追加のキレート剤と比較してより多量のグルコン酸塩キレート剤を含有する組成物は、例えば限定するものではないが、グルコン酸塩キレート剤の予想外の安定性(すなわち、遷移金属を捕捉し続けるpHで残存するキレート剤の残存性または能力)の結果として、有益な性能効果を提供する。追加のキレート剤を1:1を超える比率で含有する洗濯添加剤組成物は、キレート剤パッケージが約5~約12のpHを含む洗濯方法の全pH範囲で残存することを保証する。
【0057】
追加のキレート剤
洗濯添加剤組成物は、少なくとも1つの追加のキレート剤を含む。キレート剤としては、キレート化剤(キレーター)、封鎖剤(シークエストラント)、ビルダーなどが挙げられる。キレート剤の例としては、ホスホン酸塩、リン酸塩、アミノカルボキシレートおよびそれらの誘導体、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、エチレンジアメン(ethylenediamene)およびエチレントリアメン(ethylenetriamene)誘導体、ヒドロキシ酸、ならびにモノ-、ジ-、およびトリ-カルボキシレート、およびそれらの対応する酸が挙げられるが、それらに限定されない。他の例示的なキレート剤としては、アルミノケイ酸塩、ニトロロアセテート(nitroloacetate)およびそれらの誘導体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。さらに他の例示的なキレート剤としては、アミノカルボキシレート、例えば、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(四ナトリウムEDTAを含む)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸(HEDTA)、およびジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)の塩が挙げられる。キレート剤は、水溶性、および/または生分解性であってもよい。他の例示的なキレート剤としては、TKPP(ピロリン酸四カリウム)、PAA(ポリアクリル酸)およびその塩、ホスホノブタンカルボン酸、アラニン、N,N-ビス(カルボキシメチル)-、三ナトリウム塩、およびグルコン酸ナトリウムが挙げられる。
【0058】
追加の好適なキレート剤としては、アミノポリカルボキシレート、例えば、限定するものではないが、ジエチレントリアミンペンタアセテート、ジエチレントリアミンペンタ(メチルホスホン酸)、エチレンジアミン-N’N’-二コハク酸、エチレンジアミンテトラアセテート、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、およびヒドロキシエタンジ(メチレンホスホン酸)が挙げられる。好ましくは、キレート化剤は、生分解性アミノポリカルボキシレート、例えば、グルタミン酸(GLDA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、L-アスパラギン酸N,N-二酢酸四ナトリウム塩(ASDA)、DEG/HEIDA(ナトリウムジエタノールグリシン/2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、二ナトリウム塩)イミノジコハク酸および塩(IDS)、ならびにエチレンジアミンジコハク酸および塩(EDDS)などである。
【0059】
いくつかの実施形態では、追加の1つ以上のキレート剤は実質的にリンを含まない。より好ましい実施形態では、追加の1つ以上のキレート剤はリンを含まない。好ましくは、キレート剤はアミノカルボキシレートのナトリウム塩である。より好ましくは、キレート剤はメチルグリシン二酢酸および/またはジエチレントリアミン五酢酸である。
【0060】
一態様では、組成物は、約0.1重量%~約10重量%の追加のキレート剤、約1重量%~約10重量%の追加のキレート剤、約1重量%~約7重量%の追加のキレート剤、または好ましくは約2重量%~約6重量%の追加のキレート剤を含む。さらに、組成物により限定されるものではないが、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0061】
カルボキシレートポリマー
洗濯添加剤組成物は、カルボキシレートポリマーを含む。アクリル酸またはマレイン酸のポリマーまたはコポリマーを含み、さらにその置換または官能化類似体を含むカルボキシレートポリマー。
【0062】
一態様では、カルボキシレートポリマーは、ポリアクリル酸ポリマー、好ましくは低分子量アクリレートポリマーを含むポリアクリレートポリマーである。ポリアクリル酸ホモポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソオクチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、およびメタクリル酸ヒドロキシプロピル、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるモノマー由来のポリマー単位を含有し得、中でも、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、およびメタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、ならびにそれらの混合物が、好ましい。
【0063】
ポリアクリル酸、(Cまたは2-プロペン酸ホモポリマー;アクリル酸ポリマー;ポリ(アクリル酸);プロペン酸ポリマーが好ましく、PAAは、下記の構造式を有する:
【化1】
式中、nは任意の整数である。
【0064】
組成物に有用な市販のポリアクリレート(ポリアクリル酸ホモポリマー)の1つの供給源としては、Dow Chemical Company,Wilmington Delaware,USAからのAcusol 445シリーズが挙げられ、例えば、Acusol(登録商標)455(アクリル酸ポリマー、全固形分48%)(4500MW)、Acusol(登録商標)445N(アクリル酸ナトリウムホモポリマー、全固形分45%)(4500MW)、およびAcusol(登録商標)445ND(粉末状のアクリル酸ナトリウムホモポリマー、全固形分93%)(4500MW)が含まれる。組成物に好適なDow Chemical Companyから市販されている他のポリアクリレート(ポリアクリル酸ホモポリマー)としては、Acusol 929(10,000MW)およびAcumer 1510が挙げられるが、それらに限定されない。市販されているポリアクリル酸のさらに別の例は、AkzoNobelからのAQUATREAT AR-6(100,000MW)である。本組成物で使用する他の好適なポリアクリレート(ポリアクリル酸ホモポリマー)としては、Aldrich Chemicals、Milwaukee、Wis.、およびACROS Organics and Fine Chemicals、Pittsburg、Pa、BASF Corporation、およびSNF Inc.などの追加の供給業者から得られるものが挙げられるが、それらに限定されない。固体すすぎ助剤組成物に使用するのに好適なポリアクリレートの追加の開示は、米国特許出願第62,043,572号に開示されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
ポリマレイン酸(C)xポリマーまたは加水分解されたポリマレイン酸無水物またはシス-2-ブテンジオン酸ホモポリマーは、下記の構造式を有する:
【化2】
式中、nおよびmは任意の整数である。組成物に使用してもよい好ましいポリマレイン酸ポリマーは、分子量が約400~800のものである。市販のポリマレイン酸としては、Belclene 200シリーズのマレイン酸ホモポリマーが挙げられる。
【0066】
一態様では、組成物は、約1重量%~約30重量%のカルボキシレートポリマー、約1重量%~約20重量%のカルボキシレートポリマー、約5重量%~約20重量%のカルボキシレート、または好ましくは約10重量%~約20重量%のカルボキシレートポリマーを含む。それに加えて、組成物により限定されることなく、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。
【0067】

洗濯添加剤組成物は、水を含有する液体組成物として提供することができる。用いられる水源は、洗濯プロセスに汚染物質を導入しないように、遷移金属を含んでいてはいけない。一態様では、組成物は、約20重量%~約80重量%の水、約40重量%~約80重量%の水、約45重量%~約75重量%の水、または好ましくは約50重量%~約65重量%の水を含む。さらに、限定されることなく、全ての列挙される範囲は、その範囲を定義する数を含み、その定義される範囲内の各整数を含む。当業者であれば認識するように、洗濯添加剤組成物中の水の濃度を調整して、濃縮組成物および/または固体組成物を提供することができる。
【0068】
追加の任意選択的な成分
洗濯添加剤組成物の成分は、洗濯用途における使用に好適な様々な機能性成分とさらに組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、洗濯添加剤組成物は、グルコン酸キレート剤、追加のキレート剤、ポリマー、および水を含み、それらは、組成物の総重量の大部分、またはさらには実質的に全てを構成する。例えば、いくつかの実施形態では、その中に追加の機能性成分はほとんど、または全く含まれない。
【0069】
他の実施形態では、追加の機能性成分が、本組成物中に含まれてもよい。機能性成分は、組成物に所望の特性および機能性を提供する。本出願の目的のために、「機能性成分」という用語は、使用および/または濃縮溶液中に分散または溶解される場合、特定の使用において有益な特性を提供する材料を含む。機能性材料のいくつかの特定の例は、以下により詳細に述べられるが、述べられている特定の材料は、単に例として与えられており、多様な他の機能性成分が使用されてもよい。
【0070】
好ましい実施形態では、組成物はホスホン酸塩を含まない。他の実施形態では、組成物は、再付着防止剤、漂白剤、溶解度調整剤、分散剤、金属保護剤、安定化剤、腐食防止剤、香料および/または染料、アルカリ源、レオロジー調整剤または増粘剤、ヒドロトロープまたはカプラー、緩衝剤、溶媒などを含み得る。一態様では、組成物は、例えば水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩などのアルカリ化剤を含む、追加のpH調整剤を含み得る。
【0071】
ホスホン酸塩
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、ホスホン酸塩を含む。ホスホン酸塩の例としては:米国特許第8,871,699号および同第9,255,242号に記載されているホスフィノコハク酸オリゴマー(PSO);2-ホスフィノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、CHC(OH)[PO(OH);アミノトリ(メチレンホスホン酸)、N[CHPO(OH);アミノトリ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(ATMP)、N[CHPO(ONa);2-ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)、HOCHCHN[CHPO(OH);ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、(HO)POCHN[CHCHN[CHPO(OH);ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(DTPMP)、C(28-x)Na15(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホネート)、カリウム塩、C10(28-x)12(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)、(HO)POCHN[(CHN[CHPO(OH);モノエタノールアミンホスホネート(MEAP);ジグリコールアミンホスホネート(DGAP)およびリン酸、HPOが挙げられるが、それらに限定されない。好ましいホスホン酸塩は、PBTC、HEDP、ATMP、およびDTPMPである。ホスホン酸塩が加えられるときに、中和反応によって発生される熱もしくはガスがほとんど存在しないか、または全く存在しないように、中和されたもしくはアルカリ性のホスホン酸塩、または混合物に加えられる前にホスホン酸塩とアルカリ源とを組み合わせたものが、好ましい。しかしながら、一実施形態では、組成物は無リンである。
【0072】
本明細書における全ての刊行物および特許出願は、本発明が関連する技術分野における通常の技術レベルを示している。全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0073】
本発明の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、本発明の特定の実施形態を示してはいるが、単に例証として付与されることが理解されるべきである。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認し得、その精神および範囲から逸脱することなく、様々な利用法および条件にそれを適合するために本発明の実施形態の様々な変更および修正を行い得る。したがって、本発明の実施形態の様々な修正は、本明細書に図示および説明されるものに加えて、前述の説明から当業者に明らかとなろう。かかる修正もまた、添付の特許請求の範囲の範疇であることが意図される。
【0074】
実施例1
様々な企業の織物を手入れする場所において水質検査のサンプルを収集した。遷移金属を含む金属に関する水サンプリング試験を、洗濯プロセスの洗浄サイクルで用いた水で実行した。あらゆる金属の存在が記録される。その結果は、遷移金属に関して、鉄および銅が最も優勢であり、しばしば、比較的多量に存在し、例えば、少なくとも約0.1ppmまたは少なくとも約0.5ppmを含むことを実証している。マンガンは、どちらかといえば水道水および井戸水ではあまり優勢ではない。サンプリングは、Fe>Cu>Mnとして遷移金属の出現頻度を示し、対応する汚染物質濃度(ppm)はこのパターンに従い、ならびに図1に示される。同様に、図1は、洗濯用途で従来用いられている水源で優勢なマグネシウムおよびカルシウムの従来の硬度イオンを示している。この試験により、従来の硬水イオンに加えて、マンガンと比較してより大きな鉄および銅を有する遷移金属の取り扱いに好適なキレート剤システムの使用を組み合わせる組成物および方法の実施形態に従う使用のための配合が可能となる。
【0075】
複数の商業用洗濯サイトで追加のサンプリングを行って、洗濯プロセスにおける様々な段階で水サンプリングを調べると、洗濯プロセス全体の濃度(ppm)によって測定される遷移金属汚染の変動が実証される。図2は、データ点の蓄積を示す様々なサンプルサイトでの温水、洗濯機への流入水、再利用水(水を再捕捉/再利用するトンネル洗濯機または資本集約的機器など)、および調整水における鉄、銅、およびマンガンの変化を実証している。本明細書で言及されるように、温水は熱交換器によって温められ、供給源は一般に新鮮な冷水であり、流出流から交換される熱によって温められ、洗浄で使用するために「調整水タンク」に捕捉される。これらの結果は、Fe>Cu>Mnとしての遷移金属の出現および対応する汚染物質濃度(ppm)において図1に示されている複数のアカウントにわたる広範なサンプリングと一致している。さらに、評価した商業用洗濯サイトは、図2に記載した再利用水に見られる遷移金属汚染のみを増加させるスチーム注入プロセスを利用している。この試験は、洗濯プロセス内の場所(またはプロセス水の供給源)に応じて水質が変化するため、洗濯プロセス全体での遷移金属制御の必要性をさらに実証している。
【0076】
洗濯処理水中の遷移金属の汚染を確認する試験の結果として、カルシウムおよびマグネシウムの硬水イオンに加えて、遷移金属の鉄、銅、およびマンガンに対する様々なキレート剤の相対的親和性を評価するために、評価を実施した。その結果は、グルコン酸、すなわちグルコネートのナトリウム塩が、問題の洗濯金属(鉄、銅)に対して最大のキレート剤親和性を示すことを実証している。しかしながら、グルコン酸キレート剤は、遷移金属マンガンおよび/または従来の硬水イオンに対して十分な親和性を提供しない。その結果は、洗濯プロセスにおける様々な洗浄プロセス条件(例えば、pH変化および酸化剤の有無)、鉄の制御、および他の金属の制御における水質調節への多面的アプローチの必要性を実証している。
【0077】
実施例2
商業用洗濯プロセスでは、リネンの褪色(ピンク色および黄色)のシミ(または陰影)が観察された。リネンのサンプルを断片に切断して、従来の洗濯プロセスの下でリネンを試験し、可能な限り多くのサイクルで褪色を再現した。任意の綿100%のリネンに効果的な汚れの除去と、色褪せが見られるのを観察した。洗濯プロセスからの水も評価した。鉄は、0.5ppmを超えるレベルで、洗濯施設のブレークステップ(初期アルカリ性洗剤洗浄ステップ)の排水中で検出されたが、後続のどのステップでも検出されなかった。スチーミングステップにおいて鉄の存在を特定したことに基づいて、例えば、異なる場所で、異なるリネンサンプルを使用して、複数の洗濯機で、複数の配合分類に対してなど、複数の洗濯用途において鉄の存在を評価した。
【0078】
鉄は、非スチーミング洗浄ステップのサンプル(すなわち、漂白)または最終洗浄ステップのサンプルでは検出されなかった。スチーミング洗浄ステップにおける鉄の存在に対する非スチーミング洗浄ステップにおける鉄の欠如を分析処理にかけて、鉄の濃度レベルを決定した。
【0079】
スチーミングステップからの鉄の有害な影響を確認するために、スチーミングステップを洗濯プロセスから除き、再び洗浄ステップのサンプルにおいて鉄を測定した。ほんのわずかな鉄レベルが検出された。その後、スチーミングステップを洗濯プロセスに再導入し、洗浄ステップのサンプルにおいて鉄が再び検出された。この試験は、洗濯プロセスに入るスチーミング用途に適用される際に、水質調節処理、鉄制御、および他の金属制御が必要であることを確認する。
【0080】
実施例3
洗濯添加剤組成物を利用する実施形態による黄変防止を視覚化するために、追加の試験を実施した。黄変の防止は、既知量の汚染を洗浄水に適用したときの鉄の付着から評価した。ICP-MS(誘導結合プラズマ(ICP)質量分析(MS))は、非干渉低バックグラウンド同位体で、1015分の1部(1兆分の1、ppq)と同等に低い濃度の金属およびいくつかの非金属を検出することができる質量分析の一種である。そのプロセスでは、誘導結合プラズマでサンプルをイオン化し、次いで質量分析計を使用してイオンを分離かつ定量化する。
【0081】
一実施形態による新規組成物を、
既存の製品と比較した。
■対照-ブースター無し
■DTPA(アミノポリカルボキシレートキレート)4重量%と、グルコン酸ナトリウム15重量%と、MGDA1.7重量%と、ポリアクリル酸およびポリマレイン酸ポリマー16.2重量%と、水(残り)と、を含有する洗濯添加剤組成物は、全体として、対照と比較して、配合物中により多量およびより多数のキレート剤を含有する。
■陽性対照1-市販のブースター(MGDA8.8重量%およびポリアクリル酸24重量%)
■陽性対照2-市販のブースター(TKPP39重量%およびポリアクリル酸5重量%)
【0082】
次の条件を用いた:5GPG水、鉄(2ppm)、80%充填(100%紡績ポリエステル)の35lb洗濯機。鉄供給源:硫酸第一鉄七水和物。5サイクルごとの測定で15サイクルを実行した(中間加熱器を有する洗濯機12を使用した。2つの試験条件で交互に行った。第1の対照および対照2。次いで、洗濯添加剤組成物および対照1)。完全なサイクルを表2Aに示し、化学物質の投入割合を表2Bに示す。
【表2A】
【表2B】
【0083】
その結果を、布地の白色度を記載している図3に示す(UVを使用しない)。個々の標準偏差を使用して間隔を計算した。サイクル数の増加に対して示された白色度の測定値は、洗濯添加剤組成物に関して有益には95を超えたままである。白色度の測定値は、UV無しのCIE標準光源D65として示され、5以上の増分の変化は、白色度スケールで平均的なユーザーによって視覚的に検出可能である。布地スワッチ上の実際の金属付着量は、図4図5に示すように測定された。図4は、ポリエステルスワッチ上の鉄の量を示している。図5は、綿スワッチ上の鉄の量を示している。
【0084】
布地スワッチの相対的白色度を、対照(陰性)と比較してさらに評価して、維持された白色度を、サイクル数の増加に対して示した。図6は、(布地の黄変に視覚的に対応する)白色度が急激に低下する対照と比較して、少なくとも30サイクルにわたって白色度が維持されたことを示している。白色度の測定値は、UV無しのCIE標準光源D65として示され、5以上の増分の変化は、白色度スケールで平均的なユーザーによって視覚的に検出可能である。
【0085】
同様の分析が図7に示されており、少なくとも30サイクルにわたってb*値(http://cobra.rdsor.ro/cursuri/cielab.pdf(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で利用可能なCIE L*a*b* Color Scale,July 1-15,1996,Vol.8,No.7に従って計算されたときの黄色/青色を評価している)を、対照と比較している。サイクル全体でデルタb*を一定に維持することが望ましい。繰り返すが、洗濯添加剤組成物は、布地の商業的に望ましい白色度に対応する低いb*値(目標は、デルタb*=0であり、1単位の変化は平均的なユーザーによる視覚評価で容易にわかる)に維持されていることを実証している。
【0086】
このデータは、有益なことに、洗濯添加剤組成物が、リネンの黄変を制御(防止)し、アミノカルボキシレートキレート剤およびカルボキシレートポリマーの両方を含有する市販の対照より優れていることを実証している。特定の作用メカニズムにより制限されることなく、追加のキレート剤(アミノカルボキシレートキレート剤を含む)およびカルボキシレートポリマーと組み合わせたグルコン酸キレート剤を含有する洗濯添加剤組成物は、従来のキレート剤では十分に安定していないアルカリ性pHを含み、また濃度を減らしたアミノカルボキシレートキレート剤を同時に使用することを含み、洗濯プロセス全体にわたって、鉄および他の金属を制御する能力のために、対照より優れている。
【0087】
実施例4
洗濯プロセスにおける漂白ステップに関する洗濯添加剤組成物の添加順序を評価した。試験は、Tergotometerを使用して、漂白剤と洗濯添加剤組成物を調整した(実施例3に記載)。評価した4つの条件は以下を含む:洗濯添加剤組成物に続いて漂白剤、漂白剤と一緒に洗濯添加剤組成物を投入、漂白剤に続いて洗濯添加剤組成物、および洗濯添加剤組成物の無い対照。テストファブリックからのポリエステルスワッチは、Hunterlab分光光度計を使用して反射率によって評価した。白色度およびb*値を記録した。
【0088】
ポリエステルスワッチの2つの別個のセットを使用した。第1のセットは、ウォッシュホイール試験と同様の濃度を使用し、第2のセットは、表3に示すように(Tergotometer試験に使用した濃度、セット1(116L/cwt)はセット2(227L/cwt)よりも濃縮されている)、典型的なTergotometer実験室試験と一致させた。これは、ある濃度と他の濃度で大きな差が観察できるかどうかを判断するために行った。
【表3】
【0089】
手順は次のとおりである:Tergotometerの水浴を150°Fに加熱する。4つのポットに、1Lの5GPG冷水および2ppmの鉄(FeSO4・7H2O)を加える。溶液を150°Fに加熱する。表4の個々のポットの試験条件に従う。条件ごとに合計5サイクルを繰り返す。
【表4】
【0090】
この実施例の結果に基づいて、洗濯添加剤組成物は、(図8に記載したように)漂白ステップの前または漂白と同時に添加されるべきである。図8は、漂白ステップ前に洗濯添加剤組成物を添加すると利益が増加するが、漂白後に洗濯添加剤組成物を添加すると、ある程度白くなるが、変色の大きさと方向の両方を実証するデータに基づいて、漂白剤の前または漂白剤と一緒に投入することが好ましい、ことを示している。
【0091】
実施例5
塩素安定性がないためキレート剤が効果的ではない酸化ステップにおいてポリマーで金属を制御する試験を実施した。洗濯添加剤組成物は、金属制御のために洗浄プロセスの全てのステップを通して投入を可能にするために、キレート剤とポリマーの両方の組み合わせを含む。この評価により、組成物においてポリマーを使用する利益が確認される。
【0092】
異なるポリマー(Acusol 445N、Acusol 448、ピロリン酸塩)を含有する洗濯添加剤組成物を用いるサイクルにおいて使用pHを調整するために、白色度試験を実施した。試験溶液のpHは約pH8であると測定され、ポリマーが依然として機能することを検証するために50%のNaOHを使用してpH10.3でも評価した。20ppmを使用すると、図9に示すようにポリマーの性能が維持される。このデータは、洗濯添加剤組成物においてポリマーがホスホン酸塩よりも優れていることを示している。
【0093】
有益なことに、洗濯添加剤組成物は、様々なpH範囲でここで実証されるように、洗濯プロセス全体にわたって鉄および他の金属を制御する能力を実証している。洗濯添加剤組成物の安定性は、洗濯用途の様々な段階および様々な条件下(例えばpH)での投入を可能にするために重要である。これは重要であり、リン酸塩を含有する従来の組成物は、洗濯プロセスの酸性からアルカリ性のpHステップおよび酸化ステップにおいて、(pH有効性および塩素が存在するか否かに関係なく)安定していた。有益なことには、洗濯添加剤組成物は、グルコン酸キレート剤(高いpHに特に好適)と、追加のキレート剤、すなわちアミノカルボキシレート(より低いpHに特に好適)と、カルボキシレートポリマー(酸化条件に特に好適な)と、の組み合わせにより、同じ安定性を予想外に達成する。
【0094】
実施例6
様々な顧客アカウントから選択された6つの異なる製造タオルに関する付加的評価を半分に分割した。29回洗浄して白色度測定値を取得した。白色度測定値は選択した間隔で取得した。タオルのサンプルは、洗濯には難があるとされる水質条件、すなわち硬水でおよび/または遷移金属汚染物質が確認された場所から採取した。組成分析:サンプル1、4、および6のタオルの各半分のサンプルを切断し、灰化した。灰化により、無機含有量を定量化するために、布地の有機部分は除去される。タオルから抽出された無機物のレベルを判定するために、誘導結合プラズマ(ICP)を行った。その結果を表6に示す。Aは表5の洗濯添加剤組成物を使用した29回の洗浄後の結果を示しており、Bはベースライン(洗浄サイクル前)を示している。
【表5】
【表6】
【0095】
さらに、Hitachi S-3400 VP走査電子顕微鏡(SEM)を使用して走査電子顕微鏡(SEM)分析を行って、3倍の倍率で画像を収集した。その後、Hunter UltraScanを使用してLaboratory Color Change/Whiteness Testingを実施し、「L」、「a」、「b」、「WI」、および「YI」の値を、全てのタオル半分AおよびBで測定した。デルタE(ΔE)を、ベースライン(Bと標識したサンプル)と比較するために計算した。サンプルは、紫外線(UV)フィルターINおよびUVフィルターOUTを用いて測定した。UVフィルターを使用して蛍光増白剤の効果を調べた。UVフィルターがINのとき、UV光線は光源から除去される。
【0096】
「L」値は、織物の白色対黒色レベルの尺度である。値が高いほど織物は白くなり、値が低いほど黒くなる。
【0097】
「a」値は、織物の赤色対緑色レベルの尺度である。値が高いほど、より多くの赤色が織物に存在し、値が低いほど、織物はより緑色に見える。
【0098】
「b」値は、織物の青色対黄色のレベルを測定し、値が高いほど(+)、織物は黄色くなり、値が低い(-)ほど青くなる。
【0099】
「WI」-白色度指数値は、全体的な白色度を測定する。数値が大きいほど、サンプルはより白くなる。スケールで4単位の変化は、人間の目に見える。
【0100】
「YI」-黄色度指数値は、「b」値(青色対黄色)も考慮する全体的な黄色度を測定する。数値が大きいほど、サンプルはより黄色になる。
【0101】
各タオルサンプルを29回洗浄した後のUVフィルターの結果を表7A~7Bに示す。
【表7A】
【表7B】
【0102】
表7A~7Bに示すように、白色度指数(WI)、黄色度指数(YI)、およびb*値は、Bと標識したベースラインタオルから29回の洗浄後、大幅に改善した。タオル5Aの値は29回の洗浄で改善した。UVフィルターOUTを使用したb*値およびYI値の結果は、蛍光増白剤が洗浄によって悪影響を受けていないことを示している。b*とYIの値は減少し、29回の洗浄で黄色が少なくなったことを示している。
【0103】
このデータは、水の硬度制御のために必要なポリアクリル酸ポリマーの不活性化をもたらさない設計されたキレート剤組成物を使用する洗濯用途における鉄制御の重要性を示している。有益なことに、鉄汚染物質を制御することにより、ポリアクリル酸は、水の硬度を制御することができ、また洗濯プロセスで用いられる機器上へのエンクラステーションおよび/または堆積を防止することができる。
【0104】
実施例7
追加のフィールド白色度試験は、ポータブルのKinolta Minolta分光光度計を使用して様々な洗浄において実施した。ベースライン試験では、洗浄にはEDTAキレート剤製品を使用した。タオルは様々な顧客アカウントで使用されていたため、現場では様々な状態だった。この試験は、洗濯添加剤組成物を使用して、複数(29)サイクルにわたって改善を示すように設計された。各顧客アカウントは、異なる水源、pH、酸化剤の化学的性質などを使用でき、試験条件を多様化するため、洗濯の全ての条件にわたって適合する洗濯添加剤組成物の必要性は明らかである。
【0105】
表8は、29サイクルにわたる顧客サイトからの白色度試験を示している。
【表8】
【0106】
結果は図10にも記載しており、ベースライン(洗濯添加剤組成物を使用していない)と比較して改善された白色度性能を示している。
【0107】
表9は、追加の顧客サイトからの29サイクルにわたる白色度試験を示している。
【表9】
【0108】
結果は図11にも記載しており、ベースライン(洗濯添加剤組成物を使用していない)と比較して改善された白色度性能を示している。
【0109】
表10は、顧客サイトからの白色度試験を示している。
【表10】
【0110】
結果は図12にも記載しており、ベースライン(洗濯添加剤組成物を使用していない)と比較して改善された白色度性能を示している。
【0111】
表11は、顧客サイトからの白色度試験を示している。
【表11】
【0112】
結果は図13にも記載しており、ベースライン(洗濯添加剤組成物を使用していない)と比較して改善された白色度性能を示している。
【0113】
表12は、顧客サイトからの白色度テストを示している。
【表12】
【0114】
結果は図14にも記載しており、ベースライン(洗濯添加剤組成物を使用していない)と比較して改善された白色度性能を示している。
【0115】
表13は、顧客サイトからの白色度試験を示している。
【表13】
【0116】
結果は図15にも記載しており、ベースライン(洗濯添加剤組成物を使用していない)と比較して改善された白色度性能を示している。
【0117】
実施例8
ポリマーが水の硬度を適切に制御するのを妨げることについて、キレート化されていない鉄が与える影響を実証する追加の試験を行った。黄色度指数値および灰化の両方を、次の手順に従って実行した。
試験は、洗濯試験機(launderometer)を使用して実施した。サンプルは、所望の化学物質と一緒に、DIおよび20GPG人工水硬度を用いて、20サイクル洗浄され、5、10、15、および20サイクルで取り出した。Hunterlabを使用してサンプルをスキャンし、白色度指数値と黄色度指数値を得た後、サンプルを灰化し、ICPを行って総灰分および鉄分を決定した。
-温度:140°F
-水の硬度:DI+2.5gキレート化溶液(20GPG)(33.45g CaCl2.2H2O+23.24g MgCl2.6H2O)
-化学物質:全てのポットに1.5g/L NaOH(50%)+所望の化学物質
-時間:10分
-サイクルの間に17GPGの水でスワッチをすすいだ。各サイクルで新しい洗浄浴を使用した。
-ポット1つあたり12枚のスワッチ
-各条件の20サイクル
-サイクル0、5、10、15、および20サイクルにおいてサンプルを採取した
-水対リネンの目標重量比10:1
-20個のスチールボールと12枚のスワッチに対して水250g
-洗濯試験機を50rpmに設定した。
【0118】
表14は、グラム/リットルベースの活性が一致した場合に分析されたファクターを示している。
【表14】
【0119】
MGDAとグルコン酸ナトリウムは、同じ活性レベルで使用した。白色度指数の変化および黄色度指数の変化に関する結果には同様の傾向がある。鉄を有するMGDAは、他の全ての化学物質よりも優れていた。結果から、ポリアクリル酸が、リネン上に鉄が付着するのを妨げていることが確認される。全体として、グルコン酸塩と追加のキレート化剤と組み合わせたAcusol 445は十分に機能した。
【0120】
結果は図16図27にさらに記載しており、20サイクルにわたって様々な評価を実施した。
【0121】
図16は、「b」値(青色対黄色)も考慮する全体的な黄色度を測定する黄色度指数値に従って評価されたタオルスワッチの黄色度変化(UV無し)の測定を示している。結果を表15にも示す。示されているように、鉄を含み、キレート剤/ポリマーパッケージを含まないサンプルは最大のYIを提供し、最も黄色のサンプルを示している。キレート剤および/またはポリマーのみの使用は、鉄の存在下でYIを十分に低減することができなかった。
【表15】
【0122】
図17は、洗濯添加剤組成物のポリマーが水の硬度を制御するのを妨げる非キレート化鉄の影響を査定するために評価したスワッチの白色度(UV無し)における変化の測定を示している図である。白色度指数値は、全体的な白色度を測定し、数値が高いほどサンプルはより白色である。ゼロに近い結果が所望である。結果は表16にも示されており、鉄を含まないポリマー、MGDA、およびグルコネート表16の全ての試験は、硬水の存在下で行われた(水の硬度:DI+2.5gキレート化溶液(20GPG)(33.45gのCaCl2.2H2O+23.24gのMgCl2.6H2O))。
【0123】
鉄の存在下では、ほとんどのサンプルは、より負のデルタ白色度値の結果により劣化した。ポリマー、MGDA、およびグルコネートの同じ組み合わせは、より小さい変化を示すうちの1つでもあり、これを硬水と遷移金属汚染源の好ましいバランスとして示す。
【表16】
【0124】
図18は、白色度指数値に従って、評価されたポリマーおよび条件から得られた白色度の測定(鉄が有る場合と無い場合)を示している。結果のこの記載では、配合中に鉄が有る場合と無い場合のWIをグラフに示しており、洗濯基材への鉄の有害な影響が確認される。
【0125】
図19および表17は、様々な評価される条件下で、処理した基材の変色の原因の指標として、評価したスワッチ上に付着物として存在する灰分の百分率の測定値を示している。灰分の測定では、全ての付着物を考慮し、遷移金属汚染物質および(水の硬度などの)アルカリ土類金属の両方が基材に付着している。
【表17】
【0126】
図20および表18は、汚染水および/または汚れ源の影響を評価するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した20サイクルの洗浄にわたる基材上のカルシウム付着物の濃度(mg/L)の測定を示している。約500ppm(mg/L)未満または好ましくは300ppm(mg/L)のカルシウム汚染物質が好ましく、これは、洗濯添加剤組成物(鉄+Acusol 445+MGDA+グルコネート)によって得られる。
【表18】
【0127】
図21および表19は、汚染水および/または汚れ源の影響を評価するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した20サイクルの洗浄にわたる基材上のマグネシウム付着物の濃度(mg/L)の測定を示している。マグネシウム汚染物質は、約500ppm(mg/L)未満または好ましくは300ppm(mg/L)が好ましく、それは、洗濯添加剤組成物(鉄+Acusol 445+MGDA+グルコネート)によって得られる。
【表19】
【0128】
図22および表20は、汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した20サイクルの洗浄にわたる鉄の濃度(mg/L)の測定を示している。鉄汚染物質は、約35ppm(mg/L)未満が好ましく、それは、洗濯添加剤組成物(鉄+Acusol 445+MGDA+グルコネート)によって得られる。
【表20】
【0129】
図23は、様々な洗浄条件下で、処理した基材の変色の原因の指標として、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、評価したスワッチ上に存在する灰分の百分率の測定を示している。
【0130】
図24は、汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、基材上のカルシウム付着物の濃度(mg/L)の測定を示している。
【0131】
図25は、汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、基材上のマグネシウム付着物の濃度(mg/L)の測定を示している。
【0132】
図26は、汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、基材上の鉄付着物の濃度(mg/L)の測定を示している。
【0133】
図25は、汚染水および/または汚れ源の影響を査定するために、様々なポリマーおよびキレート剤条件を使用した、鉄汚染物質が有る場合と無い場合における、基材上のカルシウムおよびマグネシウム付着物の濃度(mg/L)の測定を示している。
【0134】
ここに示されている結果は、鉄汚染物質が洗濯物基材の黄色度スコア(およびそれに対応する白色度スコア)に悪影響を与える、ことを立証している。カルシウムおよびマグネシウム(水の硬度の結果として生じるアルカリ土類金属)の付着物は、基材の灰色化を引き起こすため、洗濯基材の白色度スコアに影響を与える。
【0135】
本発明はこのように説明されているが、これは多くの方法で変動し得ることは明らかであろう。かかる変動は、本発明の精神および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、全てのかかる修正は、以下の特許請求の範囲の範疇に含まれることが意図される。上記の明細書は、開示される組成物および方法の製造および使用の説明を提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく多くの実施形態が作られ得るため、本発明は、特許請求の範囲の中にある。以下の項目[1]~[20]に、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
洗濯物を処理するための方法であって、前記方法は、
洗濯物を、グルコン酸キレート剤と、アミノカルボキシレートまたはその塩を含む少なくとも1つの追加のキレート剤と、カルボキシレートポリマーと、水と、を含む洗濯添加剤組成物と接触させることを含み、
前記洗濯添加剤組成物が、アルカリ性から酸性のpH条件下で、かつ任意選択的に酸化剤の存在下で、洗濯プロセス全体にわたって遷移金属汚染物質を制御する、方法。
[2]
前記洗濯プロセスが、洗濯機に供給される遷移金属で汚染された水、及び/又は洗濯機に供給される遷移金属で汚染された汚れもしくは洗濯物を利用する初期洗浄プロセスを含む、項目1に記載の方法。
[3]
前記洗濯プロセスが、前記洗濯プロセスで利用される水を加熱するための、遷移金属で汚染されたスチーミングまたは直接スチーム注入を含む、項目1又は2に記載の方法。
[4]
前記グルコン酸キレート剤が、グルコン酸塩、好ましくはグルコン酸ナトリウムである、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[5]
前記アミノカルボキシレートが、メチルグリシン二酢酸及び/又はジエチレントリアミン五酢酸を含む、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記カルボキシレートポリマーが、ポリアクリル酸またはポリマレイン酸である、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
[7]
前記洗濯添加剤調節組成物の投入が、(a)リネン100ポンドあたり約0.5液量オンス~約30液量オンスの割合、(b)リネン100ポンドあたり約3液量オンス~約30液量オンスの割合、または(c)前記洗濯プロセスにおいて遷移金属を少なくとも0.1ppmに制御する割合、で提供される、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記洗濯添加剤組成物の投入が、約0.5~約5グラム/前記水質調節組成物溶液1Lの割合で提供され、前記組成物が、約0.08~約0.8グラム/Lのグルコン酸塩キレート剤を含む、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記洗濯添加剤組成物が、前記洗濯機に投入され、前記洗濯プロセス内のスチーム注入加熱プロセスのスチーム受け側に投入され、及び/又は
水の再利用もしくはリサイクル用貯蔵容器もしくは排水路に投入される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
[10]
水源または前記洗濯プロセスの入口における鉄濃度を測定する初期ステップを含む、項目1~9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記洗濯添加剤組成物の前記接触が、前記洗濯プロセスにおける漂白及び/もしくは酸化ステップの前;並びに/又は前記洗濯プロセスにおけるアルカリ性洗剤洗浄ステップと同時である、項目1~10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記洗濯添加剤組成物が、前記洗濯プロセスにおける鉄汚染物質の付着物を約35ppm未満に低減し、硬水金属イオンの付着物を約300ppm未満に低減する、項目1~11のいずれか一項に記載の方法。
[13]
洗濯添加剤組成物であって、
グルコン酸キレート剤と、
アミノカルボキシレートまたはその塩を含む少なくとも1つの追加のキレート剤と、
カルボキシレートポリマーであって、前記グルコン酸キレート剤対前記カルボキシレートポリマーの比は約1:1~約3:1である、カルボキシレートポリマーと、
水と、を含み、
前記組成物が、実質的にリンを含まない、洗濯添加剤組成物。
[14]
前記組成物が、リンを含まない、項目13に記載の組成物。
[15]
前記グルコン酸キレート剤が、グルコン酸ナトリウムまたはグルコン酸である、項目13又は14に記載の組成物。
[16]
前記アミノカルボキシレートが、メチルグリシン二酢酸および/またはジエチレントリアミン五酢酸を含む、項目13~15のいずれか一項に記載の組成物。
[17]
前記カルボキシレートポリマーが、ポリアクリレートポリマー、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、それらの塩、またはそれらの組み合わせである、項目13~16のいずれか一項に記載の組成物。
[18]
前記グルコン酸塩キレート剤が前記組成物の約1重量%~約30重量%を構成し、前記少なくとも1つの追加のキレート剤が前記組成物の約0.1重量%~約10重量%を構成し、前記ポリマーが前記組成物の約1重量%~約30重量%を構成し、水が前記液体組成物の約20重量%~約80重量%を構成する、項目13~17のいずれか一項に記載の組成物。
[19]
少なくとも1つの追加の機能性成分をさらに含む、項目13~18のいずれか一項に記載の組成物。
[20]
前記組成物が、界面活性剤を含まない、項目13~19のいずれか一項に記載の組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27