(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】組立式個室装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/344 20060101AFI20220426BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20220426BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
E04B1/344 C
E04H1/12 A
E04B1/344 H
E04B1/343 J
(21)【出願番号】P 2020145966
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2020-08-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.掲載アドレス https://www.taikisha.co.jp https://www.taikisha.co.jp/corporate/news/2020/release/001635.html https://www.taikisha.co.jp/service/barrier_cube.html https://www.taikisha-group.com https://www.taikisha-group.com/corporate/news/20200701e.pdf https://www.taikisha-group.com/service/barrier_cube.html 掲載年月日 令和2年7月1日 2.掲載アドレス https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000060638.html 掲載年月日 令和2年7月1日 3.掲載アドレス https://www.setsubi-forum.jp/topics/2007/200701_3.html 掲載年月日 令和2年7月1日 4.掲載アドレス https://www.kensetsunews.com/web-kan/468681 掲載年月日 令和2年7月2日 5.掲載アドレス https://www.decn.co.jp/?p=114778 掲載年月日 令和2年7月2日 6.発行者名 株式会社日刊建設工業新聞社 刊行物名 日刊建設工業新聞 発行年月日 令和2年7月2日 7.発行者名 株式会社日刊建設産業新聞社 刊行物名 日刊建設産業新聞 発行年月日 令和2年7月2日 8.発行者名 株式会社日刊建設通信新聞社 刊行物名 建設通信新聞 発行年月日 令和2年7月2日 9.発行者名 株式会社環境システムデザイン研究所 刊行物名 設備ニュース980(メールマガジン)「建築設備の情報誌<Vol.980>」 発行年月日 令和2年7月6日 10.配布場所 日本各地の営業訪問先 配布日 令和2年7月7日~令和2年8月31日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 11.掲載アドレス https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61232270X00C20A7000000/ https://r.nikkei.com/article/DGXMZO61232270X00C20A12.掲載アドレス https://www.nikkei.com/paper/print-article/?R_FLG=0&b=20200708&bf=0&c=DM1&d=0&ng=DGKKZO61269490X00C20A7TJ200 0&ue=DTJ2000 掲載年月日 令和2年7月8日 13.発行者名 株式会社日本経済新聞社 刊行物名 日本経済新聞 発行年月日 令和2年7月8日 14.発行者名 株式会社日本経済新聞社 刊行物名 日経産業新聞 発行年月日 令和2年7月20日 15.掲載アドレス https://www.nikkan.co.jp/articles/view/565740?isReadConfirmed=true 掲載年月日 令和2年7月24日 16.発行者名 株式会社日刊工業新聞社 刊行物名 日刊工業新聞 発行年月日 令和2年7月24日 17.納品場所 添付別紙の『バリアキューブ納品先一覧表』に記載の納品先 納品日 令和2年8月25日~令和2年8月28日 18.刊行物名 「バリアキューブ」取扱説明書 配布日 令和2年8月25日~令和2年8月28日 19.会見日令和2年8月28日 会見場所 米原げんきステーション 公開者 滋賀県米原市 20.発行者名 株式会社中日新聞社 刊行物名 中日新聞 発行年月日 令和2年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149790
【氏名又は名称】株式会社大気社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】三輪 朋孝
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-524495(JP,A)
【文献】国際公開第2005/124241(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 ー 1/36
E04H 1/00 ー 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個室空間を構成可能な組立式個室装置であって、
前記個室空間の四方の側面を構成する側面部と、前記個室空間の天面を構成する天面部とを備え、
前記側面部は、正面部、当該正面部に対面し得る背面部、当該正面部と当該背面部との間で対面し得る左面部及び右面部から構成され、
使用時には前記正面部、前記背面部、前記左面部及び前記右面部は前記個室空間の四方の側面を構成する組立姿勢へと、未使用時には少なくとも前記背面部、前記左面部及び前記右面部が一繋がりのまま折り畳まれた折畳姿勢へと、姿勢変更ができるように構成されており、
前記天面部は、
前記側面部から取外し可能であって、前記組立姿勢にあるときに前記正面部、前記背面部、前記左面部及び前記右面部により囲まれた空間を覆うように取付可能に構成されている組立式個室装置。
【請求項2】
個室空間を構成可能な組立式個室装置であって、
前記個室空間の四方の側面を構成する側面部と、前記個室空間の天面を構成する天面部とを備え、
前記側面部は、正面部、当該正面部に対面し得る背面部、当該正面部と当該背面部との間で対面し得る左面部及び右面部から構成され、
使用時には前記正面部、前記背面部、前記左面部及び前記右面部は前記個室空間の四方の側面を構成する組立姿勢へと、未使用時には少なくとも前記背面部
と前記左面部、及び前記背面部と前記右面部が一繋がりのまま
、前記左面部と前記右面部とが前記正面部側において分離した状態でそれぞれ別々に折り畳まれた折畳姿勢へと、姿勢変更ができるように構成されており、
前記天面部は、前記組立姿勢にあるときに前記正面部、前記背面部、前記左面部及び前記右面部により囲まれた空間を覆うように取付可能に構成されている組立式個室装置。
【請求項3】
前記背面部、前記左面部又は前記右面部のいずれかに前記個室空間の内外を連通する開口部が設けられており、
前記開口部には、通過する空気から異物を除去可能なフィルタが備えられ、当該開口部を介して前記個室空間へ空気を給気可能、又は、当該開口部を介して前記個室空間から空気を排気可能な送風装置が、前記個室空間の内側に配置可能に構成されている請求項1または2に記載の組立式個室装置。
【請求項4】
前記送風装置は、
前記個室空間へ給気可能な取付方向と前記個室空間から排気可能な取付方向とを有し、当該取付方向を変更することで、前記個室空間への給気と前記個室空間からの排気とを切り替え可能に構成されている請求項3に記載の組立式個室装置。
【請求項5】
前記左面部は、一枚又は複数枚の左壁部材が備えられ、
前記右面部は、一枚又は複数枚の右壁部材が備えられ、
前記背面部は、一枚又は複数枚の背壁部材が備えられ、
前記左壁部材、前記背壁部材及び前記右壁部材は、前記折畳姿勢とするときに、隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳み可能に連結されている請求項1
から4のいずれか一項に記載の組立式個室装置。
【請求項6】
前記正面部は、前記左面部に連結された左扉部材、及び、前記右面部に連結された右扉部材を備え、
前記左扉部材及び前記右扉部材は、前記折畳姿勢であるときは、前記左扉部材と前記左壁部材とが、一繋がりのまま、内面が互いに面する、又は、外面が互いに面するように折畳み可能に連結され、前記右扉部材と前記右壁部材とが、一繋がりのまま、内面が互いに面する、又は、外面が互いに面するように折畳み可能に連結されている請求項
5に記載の組立式個室装置。
【請求項7】
前記正面部において、前記左扉部材及び前記右扉部材は、前記左面部及び前記右面部よりも高さが低く構成され、前記左扉部材及び前記右扉部材の上方に、当該前記左扉部材及び当該前記右扉部材の上縁から前記左面部及び前記右面部の上縁に届くまでの高さと、前記左面部と前記右面部とに亘る幅を有し、前記組立姿勢であるときに、前記左面部と前記右面部とに跨るように取付可能な小壁部材が備えられている請求項
6に記載の組立式個室装置。
【請求項8】
前記小壁部材は、前記個室空間の内方から前記左扉部材及び前記右扉部材に当接可能な戸当部材が備えられている請求項
7に記載の組立式個室装置。
【請求項9】
前記天面部は、一枚又は複数枚の天井部材から構成され、
前記組立姿勢であるときは、前記天井部材は、少なくとも前記左壁部材及び前記右壁部材に跨って、又は、前記小壁部材及び前記背壁部材に跨って取り付けられるように構成されている請求項
7又は
8に記載の組立式個室装置。
【請求項10】
前記左扉部材、前記右扉部材、前記背壁部材、前記左壁部材、前記右壁部材、前記小壁部材及び前記天井部材は、それぞれの周囲を規定する枠状部材と、当該枠状部材に保持される板状部材とから構成されている請求項
9に記載の組立式個室装置。
【請求項11】
前記板状部材は、透光性を有する材料から構成されている請求項
10に記載の組立式個室装置。
【請求項12】
複数の姿勢維持部材が備えられ、
前記組立姿勢であるときに、
当該姿勢維持部材のうち左姿勢維持部材は、前記左面部と前記背面部とに跨って取り付けられ、当該左面部と当該背面部とが互いに直交する姿勢を維持し、
当該姿勢維持部材のうち右姿勢維持部材は、前記右面部と前記背面部とに跨って取り付けられ、当該右面部と当該背面部とが互いに直交する姿勢を維持するように構成されている請求項1から
11のいずれか一項に記載の組立式個室装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個室空間を構成可能な組立式個室装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各自治体は、洪水や地震などの災害時のために近隣の住民を収容するための避難所を設けている。
【0003】
このような避難所として、公園や学校の体育館などが利用されるのであるが、あくまで避難者を一時的に保護したり、生活環境を一時的に確保したりするためのものにすぎないため、避難者のプライバシーが確保され難い。
【0004】
これを解決するために、特許文献1に記載のようにダンボールなどによって作成された簡易なパーテーションや、組立式のフレームに吊るしたカーテンによって、避難者ごとに居住域を間仕切ることが行われている。
【0005】
しかし、上記のような構成は、居住域の四方を間仕切ることができるものにすぎず、天面が開放されたままであるため、隣接する居住域へ生活音が漏れるなどプライバシーの確保が十分ではないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、大人数が収容される避難所のような環境においても避難者のプライバシーを容易に確保可能な組立式個室装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するための本発明に係る組立式個室装置の特徴構成は、個室空間を構成可能な組立式個室装置であって、前記個室空間の四方の側面を構成する側面部と、前記個室空間の天面を構成する天面部とを備え、前記側面部は、正面部、当該正面部に対面し得る背面部、当該正面部と当該背面部との間で対面し得る左面部及び右面部から構成され、使用時には前記正面部、前記背面部、前記左面部及び前記右面部は前記個室空間の四方の側面を構成する組立姿勢へと、未使用時には少なくとも前記背面部、前記左面部及び前記右面部が一繋がりのまま折り畳まれた折畳姿勢へと、姿勢変更ができるように構成されており、前記天面部は、前記組立姿勢にあるときに前記正面部、前記背面部、前記左面部及び前記右面部により囲まれた空間を覆うように取付可能に構成されている点にある。
【0009】
当該組立式個室装置に係る「前」、「後」、「左」、「右」の文言について、「前」とは正面部側、「後」とは背面部側、「左」とは正面部を正面からみて左手側、「右」とは正面部を正面からみて右手側をいい、また、「中」とは「前」及び「後」の間をいい、これらは説明の便宜のために用いられるにすぎない。
【0010】
上述の構成によると、側面部によって四方の側面を囲むのみならず、天面が天面部によって覆われて、個室空間を形成することができるため、プライバシーをより確保することができるようになった。
【0011】
使用時には前記正面部、前記背面部、前記左面部及び前記右面部は前記個室空間の四方の側面を構成する組立姿勢へと、未使用時には少なくとも前記背面部、前記左面部及び前記右面部が一繋がりのまま折り畳まれた折畳姿勢へと、姿勢変更ができるように構成されているため、組立姿勢とする際には、各部をどの順番で配置すべきかといったことを確認しながら作業する必要がなく、折畳姿勢とする際には、少なくとも背面部、左面部及び右面部は一繋がりのまま折り畳むことができるため、各部の連結の手間が不要であり、また各部が揃っているかといった確認作業が不要であるため、作業性がよい。
【0012】
組立姿勢にあるときに正面部、背面部、左面部及び右面部により囲まれた空間を覆うように取り付けられた天面部によって、当該組立姿勢が維持される。したがって、これらを構成する材料を薄型化することができる。なお、側面部及び天面部は、軽量かつ安価で、使い捨て可能な材料から構成されていることが好ましい。
【0013】
個室空間は、内部に避難者のための簡易ベッドを収容できるサイズであることが好ましい。なお、個室空間は、平面視において四角形であることが好ましい。
【0014】
個室空間の内部には照明や、電源を確保するための蓄電池、非常灯、アラームなどを適宜設けることが好ましい。また、当該組立式個室装置を除菌することができるように、除菌スプレーが備えられることが好ましい。当該「除菌」とは、病原菌を取り除くことのみならず病原菌を殺すことや病原菌の増殖を防ぐことを含み得る。
【0015】
当該組立式個室装置を使用しないときには、折畳姿勢へと姿勢変更することによって、未使用時の省スペース化が図られる。
【0016】
本発明においては、前記背面部、前記左面部又は前記右面部のいずれかに前記個室空間の内外を連通する開口部が設けられており、前記開口部には、通過する空気から異物を除去可能なフィルタが備えられ、当該開口部を介して前記個室空間へ空気を給気可能、又は、当該開口部を介して前記個室空間から空気を排気可能な送風装置が、前記個室空間の内側に配置可能に構成されていると好適である。
【0017】
当該組立式個室装置は、四方の側面及び天面が囲まれていることから、個室空間の換気が滞る虞がある。上述の構成によると、送風装置によって、個室空間に給気したり、個室空間から空気を排気したりすることができるため、個室空間の換気を十分に行うことができる。
【0018】
また、開口部ないし送風装置にフィルタが備えられていることから、フィルタによって浄化された空気を個室空間に給気したり、個室空間の空気をフィルタによって浄化して排気したりすることができる。
【0019】
このようなフィルタとしてHEPAフィルタなどのエアフィルタが好ましく採用される。例えば、避難者のなかに、特に空気感染を引き起こしうる病気を患っているような者がいる場合には、避難所において当該病気の集団感染が発生する虞がある。上述のように、フィルタによって浄化された空気を個室空間に給気したり、フィルタによって浄化された空気を個室空間から排気したりすることができるため、空気感染の原因となる微細な粒子を捕捉することができ、避難所における感染の虞を低減することができる。
【0020】
なお、送風装置が取付け可能な開口部が設けられている側面とは異なる背面部、前記左面部又は右面部には、当該開口部とは高さを異ならせて換気口が設けられていることが好ましい。その際、当該換気口にも上記のようなエアフィルタが備えられていることが好ましい。
【0021】
本発明においては、前記左面部は、一枚又は複数枚の左壁部材が備えられ、前記右面部は、一枚又は複数枚の右壁部材が備えられ、前記背面部は、一枚又は複数枚の背壁部材が備えられ、前記左壁部材、前記背壁部材及び前記右壁部材は、前記折畳姿勢とするときに、隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳み可能に連結されていると好適である。
【0022】
上述の構成によると、左壁部材、背壁部材、及び右壁部材は、一繋がりのまま、組立姿勢であるときは個室空間の四方の側面を構成し、折畳姿勢であるときは隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳まれる。
【0023】
折畳姿勢であるときの省スペース化を考慮すると、左壁部材が複数枚である場合はそれぞれ等幅であることが好ましい。右壁部材が複数枚である場合はそれぞれ等幅であることが好ましい。また、左壁部材と右壁部材の幅はそれぞれ同じであることが好ましい。背壁部材が複数枚である場合はそれぞれ等幅であることが好ましい。
【0024】
なお、左壁部材及び右壁部材の幅と、背壁部材の幅とは、それぞれ同じであることが好ましいが、同じでなくてもよい。ただし、折畳姿勢であるときの寸法を考慮して、各部材の幅は同じではないにしても近いことが好ましい。
【0025】
本発明においては、前記正面部は、前記左面部に連結された左扉部材、及び、前記右面部に連結された右扉部材を備え、前記左扉部材及び前記右扉部材は、前記折畳姿勢であるときは、前記左扉部材と前記左壁部材とが、一繋がりのまま、内面が互いに面する、又は、外面が互いに面するように折畳み可能に連結され、前記右扉部材と前記右壁部材とが、一繋がりのまま、内面が互いに面する、又は、外面が互いに面するように折畳み可能に連結されていると好適である。
【0026】
上述の構成によると、正面部も、背面部、左面部及び右面部と、一繋がりであるため組立姿勢とする際には、各部をどの順番で配置すべきかといったことを確認しながら作業する必要がなく、折畳姿勢とする際には、左扉部材及び右扉部材において左右に開かれた正面部は、背面部、左面部及び右面部と一繋がりのまま折り畳むことができるため、各部の連結の手間が不要であり、また各部が揃っているかといった確認作業が不要であるため、作業性がよい。
【0027】
正面部は、左扉部材及び右扉部材において片方を開口させれば人の出入りが自由であり、広く開口させることによって、例えば、車椅子や担架の搬入、搬出も容易である。
【0028】
したがって、組立式個室装置は、以下のような構成とすることができる。すなわち、当該左面部に、三枚の左壁部材が備えられ、当該組立姿勢であるときは、当該三枚の左壁部材である前左壁部材、中左壁部材、及び後左壁部材が面一となり、当該折畳姿勢であるときは、当該前左壁部材及び当該中左壁部材はそれぞれの内面が互いに面し、当該中左壁部材及び当該後左壁部材は外面が互いに面するように折畳み可能であり、当該右面部に、三枚の右壁部材が備えられ、当該組立姿勢であるときは、当該三枚の右壁部材である前右壁部材、中右壁部材、及び後右壁部材が面一となり、当該折畳姿勢であるときは、当該前右壁部材及び当該中右壁部材はそれぞれの内面が互いに面し、当該中右壁部材及び当該後右壁部材は外面が互いに面するように折畳み可能であり、当該背面部に、二枚の背壁部材が備えられ、当該組立姿勢であるときは、当該二枚の背壁部材である左背壁部材及び右背壁部材が面一となり、当該左背壁部材が当該後左壁部材に対して直交し、かつ、当該右背壁部材が当該後右壁部材に対して直交し、当該折畳姿勢であるときは、当該左背壁部材と当該右背壁部材との外面が互いに面し、当該左背壁部材と当該後左壁部材との内面が互いに面し、かつ、当該右背壁部材と当該後右壁部材との内面が互いに面するように折畳み可能な構成とすることができる。このとき、当該正面部は、当該個室空間の外方に向けて観音開き可能な左右一対の扉部材が備えられ、当該組立姿勢であるときは、当該二枚の扉部材である左扉部材及び右扉部材が面一であり、当該左扉部材が当該前左壁部材に対して直交し、かつ、当該右扉部材が当該前右壁部材に対して直交した閉状態と、当該左扉部材は当該前左壁部材に対して回動し、かつ、当該右扉部材は当該前右壁部材に対して回動した開状態と、に状態変更可能であるとともに、当該折畳姿勢であるときは、当該左扉部材と当該前左壁部材との外面が互いに面し、かつ、当該右扉部材と当該前右壁部材との外面が互いに面するように折畳み可能となる。
【0029】
本発明においては、前記正面部において、前記左扉部材及び前記右扉部材は、前記左面部及び前記右面部よりも高さが低く構成され、前記左扉部材及び前記右扉部材の上方に、当該前記左扉部材及び当該前記右扉部材の上縁から前記左面部及び前記右面部の上縁に届くまでの高さと、前記左面部と前記右面部とに亘る幅を有し、前記組立姿勢であるときに、前記左面部と前記右面部とに跨るように取付可能な小壁部材が備えられていると好適である。
【0030】
個室空間は、正面部は左扉部材及び右扉部材により大きく開口可能な構成であることから、当該正面部において剛性が低下しかねない。
【0031】
上述の構成によると、左面部と右面部とに跨って取り付けられた小壁部材によって、当該正面部の剛性の低下を防止することができる。なお、小壁部材は、左面部と右面部に跨るように面ファスナーによって取付可能に構成されていてもよいし、ガムテープなどの粘着性を有するテープによって取り付ける構成であってもよい。また、小壁部材は、左面部に備えられた左壁部材や右面部に備えられた右壁部材に直接的に取り付けられる構成であってもよいし、間接的に取り付けられる構成であってもよい。なお、小壁部材は、側面部を構成する一繋がりである各部材を折畳姿勢としたときに重ねて結束することができる。
【0032】
本発明おいては、前記小壁部材は、前記個室空間の内方から前記左扉部材及び前記右扉部材に当接可能な戸当部材が備えられていると好適である。
【0033】
上述の構成によると、戸当部材によって、左扉部材及び右扉部材が個室空間の内方へ開くことを防止することができる。
【0034】
本発明においては、前記天面部は、一枚又は複数枚の天井部材から構成され、前記組立姿勢であるときは、前記天井部材は、少なくとも前記左壁部材及び前記右壁部材に跨って、又は、前記小壁部材及び前記背壁部材に跨って取り付けられるように構成されていると好適である。
【0035】
天面部を、一枚の天井部材から構成すると、各天井部材の取付けの際に取り付ける箇所を取り違える虞がない。天面部を、複数枚の天井部材から構成すると、個室空間の大きさのわりに、各天井部材の一枚当たりの寸法を小さくすることができるため、取付けや取外しに係る作業性がよい。
【0036】
なお、天井部材は、側面部を構成する一繋がりである各部材を折畳姿勢としたときに重ねて結束することができる。
【0037】
上述のように、左面部に、三枚の左壁部材である前左壁部材、中左壁部材、及び後左壁部材が備えられ、右面部に、三枚の右壁部材である前右壁部材、中右壁部材、及び後右壁部材が備えられているときは、当該天面部に、三枚の天井部材が備えらえていることが好ましく、これにより、当該組立姿勢であるときは、当該三枚の天井部材である前天井部材、中天井部材、及び後天井部材が面一となるように、当該前天井部材が、当該前左壁部材、当該前右壁部材及び当該小壁部材に取り付けられ、当該中天井部材が、当該中左壁部材及び当該中右壁部材に取り付けられ、当該後天井部材が、当該後左壁部材、当該後右壁部材及び当該背壁部材に取り付けられ、当該各部材の相対的な姿勢が維持される。
【0038】
本発明においては、前記左扉部材、前記右扉部材、前記背壁部材、前記左壁部材、前記右壁部材、前記小壁部材及び前記天井部材は、それぞれの周囲を規定する枠状部材と、当該枠状部材に保持される板状部材とから構成されていると好適である。
【0039】
当該組立式個室装置は、避難所において手作業によって組み立てられるように、軽量で取り扱いやすい材料から構成されていることが好ましい。このような材料としては、再利用のために消毒する場合もあることから、耐久性も考慮してプラスチックダンボールのように軽量で安価な材料が好ましく採用される。しかし、組立式個室装置のすべてをプラスチックダンボールのような板状部材のみから構成した場合に剛性が確保され難い。
【0040】
上述の構成によると、枠状部材に、アルミニウムのような剛性がありながら軽量な材料を採用することができるため、プラスチックダンボールのような板状部材との組み合わせによって、軽量でありながら剛性が十分に確保された組立式個室空間を形成することができる。
【0041】
本発明においては、前記板状部材は、透光性を有する材料から構成されていると好適である。
【0042】
当該組立式個室装置は、個室空間として四方の側面及び天面が板状部材によって囲まれた構成であることから、当該板状部材が遮光性を有した材料から構成されているとすると、当該個室空間の内部に照明が必要となってしまう。また、個室空間の内部において避難者が倒れていないかなどの必要最低限の様子を外部から視認することができない。
【0043】
上述の構成によると、板状部材が透光性を有する材料から構成されることによって、個室空間への採光が可能であり、当該個室空間の照明のために、電池駆動式のLED照明を採用するような場合であっても、その電池の消耗を低減することがきる。また、個室空間の内部において避難者が倒れていないかなどの必要最低限の様子を外部から視認することができる。なお、透光性を有するとは、透明と同様に光が透過する性質を有しているが、透過する光が拡散されるため、又は透過率が低いために、透明とは違ってその材質を通して向こう側の形状などを明確に認識できないことをいい、いわゆる半透明であることをいう。
【0044】
なお、左扉部材、右扉部材、背壁部材、左壁部材、右壁部材、天井部材及び小壁部材に採用される板状部材の透光性は、全てが同じ程度であってもよいし異なっていてもよい。例えば、左扉部材、右扉部材、背壁部材、左壁部材、右壁部材に採用される板状部材の透光性は低めとし天井部材に採用される板状部材の透光性は高めとしてもよい。また、同じ部材内において場所によって透光性が異なっていてもよい。
【0045】
本発明においては、複数の姿勢維持部材が備えられ、前記組立姿勢であるときに、当該姿勢維持部材のうち左姿勢維持部材は、前記左面部と前記背面部とに跨って取り付けられ、当該左面部と当該背面部とが互いに直交する姿勢を維持し、当該姿勢維持部材のうち右姿勢維持部材は、前記右面部と前記背面部とに跨って取り付けられ、当該右面部と当該背面部とが互いに直交する姿勢を維持するように構成されていると好適である。
【0046】
姿勢維持部材によって、左面部と背面部との間における組立姿勢や、右面部と背面部との間における組立姿勢がより維持される。また、当該姿勢維持部材によって、左面部と背面部との角部に生じ得る隙間や、右面部と背面部との角部に生じ得る隙間を隠すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】扉部材が閉状態のときの組立式個室装置の全体図である。
【
図2】扉部材が開状態のときの組立式個室装置の全体図である。
【
図3】天面部が一部切り欠かれた組立式個室装置の全体図である。
【
図4】組立式個室装置の内部が陽圧のときの説明図である。
【
図5】組立式個室装置の内部が陰圧のときの説明図である。
【
図8】姿勢維持部材の取付けを説明する説明図である。
【
図9】組立式個室装置の姿勢変更についての説明図である。
【
図10】組立式個室装置の折畳姿勢についての説明図である。
【
図11】左右壁部材が四枚である組立式個室装置についての説明図である。
【
図12】
図11に示す組立式個室装置の姿勢変更についての説明図である。
【
図13】左右壁部材が二枚である組立式個室装置についての説明図である。
【
図14】左右壁部材が一枚である組立式個室装置についての説明図である。
【
図15】背壁部材が三枚である組立式個室装置についての説明図である。
【
図16】
図15に示す組立式個室装置の姿勢変更についての説明図である。
【
図17】背壁部材が一枚である組立式個室装置についての説明図である。
【
図18】
図17に示す組立式個室装置の姿勢変更についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に、本発明に係る組立式個室装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0049】
(組立式個室装置)
図1には、避難所に設置された組立式個室装置10が示されている。組立式個室装置10は、個室空間11の四方の側面を構成する側面部12と、個室空間11の天面を構成する天面部60を備えている。
【0050】
本実施形態においては、組立式個室装置10は、幅が1700mm、奥行が2100mm、高さが1910mmの大きさを有し、
図2に示すように、内部に幅が970mm~1500mm程度、長さが2000mm程度の簡易ベッド14が設置されながらも、車椅子や担架の搬入、搬出が可能な寸法となっている。レイアウトは一例であり、場合によっては、簡易ベッド14を二つ以上設置してもよい。上記各寸法は例示であるが、組立式個室装置10を、二人くらいで持運び、組立て、折畳みなどが容易にできる程度の寸法や重量であることが好ましい。
【0051】
(送風装置)
図2及び
図3に示すように、側面部12(本実施形態においては前左壁部材41)には、個室空間11の内外を連通する開口部47が設けられている。開口部47には送風装置48が、例えば面ファスナーによって個室空間11の内側において取付け可能に構成されている。なお、送風装置48は独立した架台によって支持されていてもよい。
【0052】
図4及び
図5に示すように、送風装置48には、通過する空気から異物を除去可能なフィルタ49が備えられている。当該フィルタ49としてHEPAフィルタなどのエアフィルタが好ましく採用される。なお、フィルタ49は開口部47に備えられてもよいし、送風装置48及び開口部47に備えられてもよい。
【0053】
さらに、
図3から
図5に示すように、側面部12(本実施形態においては右背壁部材32)において、天面に近い箇所に個室空間11の内外を連通する換気口37が設けられていてもよく、その際、換気口37にもフィルタ38としてHEPAフィルタなどのエアフィルタが備えられることが好ましい。フィルタ38は、換気口37の上下に設けられたアルミニウムからなる等辺アングルの隙間に嵌め込むよう取り付けられてもよいし、換気口37を覆うように面ファスナーなどによって取り付けられてもよい。
【0054】
送風装置48によって、
図4に示すように、個室空間11の内部が陽圧となるように給気することによって、個室空間11の外部からフィルタ49によって異物の除去がされた空気のみが個室空間11の内部に供給され、個室空間11の内部の空気はフィルタ38によって異物が除去されて換気口37から外部に排気される。
【0055】
なお、送風装置48は、開口部47に対する取付方向を変更することによって、
図5に示すように個室空間11の外部から換気口37のフィルタ38によって異物の除去がされた空気が個室空間11に供給され、個室空間11の内部の空気は送風装置48によって排気することもできる。その際、フィルタ49によって異物の除去がされた空気のみが個室空間11の外部に排気される。
【0056】
このように、組立式個室装置10は、内部が陽圧とした場合にはフィルタ49によって異物が除去された空気のみが内部へ供給され、内部が陰圧とした場合にはフィルタ49によって異物が除去された空気のみが外部へ排気されるため、当該組立式個室装置10を密封構造とする必要はない。
【0057】
避難所に複数の組立式個室装置10を並設したときに、各組立式個室装置10の浄化機能によって、避難所の全体の空気が浄化され得る。
【0058】
(装備品)
図3に示すように、さらに、個室空間11の内部には、LED照明15や、スマートフォンの充電用や、送風装置48の駆動用の電源をとなる蓄電池16、当該個室空間11の内部の異常を外部に報知する非常灯17やアラーム18などが備えられている。個室空間11の内部やフィルタ38及びフィルタ49を除菌することができるように除菌スプレー19が備えられている。LED照明15は天面部60や側面部12の内面に、例えばフックなどによって吊るされ、蓄電池16は簡易ベッド14の下に据え置かれ、非常灯17やアラーム18は側面部12の内面に面ファスナーなどによって取り付けられ、除菌スプレー19は個室空間11の内部の適当な位置に置かれる。なお、レイアウトは一例である。
【0059】
(全体的構成)
図1から
図3に示すように、側面部12は、正面部20、当該正面部20に対面し得る背面部30、当該正面部20と当該背面部30との間で対面し得る左面部40及び右面部50から構成されている。
【0060】
使用時には正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50は、個室空間11の四方の側面を構成する組立姿勢へと、未使用時には正面部20において左右に開かれ、
図9及び
図10に示すように、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50が一繋がりのまま折り畳まれた折畳姿勢へと、姿勢変更ができるように構成されている。なお、
図9における矢印は、組立姿勢から折畳姿勢へと姿勢変更させる際の各部の動きを示している。したがって、折畳姿勢から組立姿勢へと姿勢変更させる際は各部の動きは、当該矢印と逆向きとなる。
【0061】
天面部60は、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50によって区画された領域の天面を覆うように構成されている。
【0062】
組立姿勢にあるときに正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50の上に天面部60が取付可能に構成されている。天面部60によって、当該領域の天面が覆われるとともに、組立姿勢が維持される。
【0063】
(枠状部材及び板状部材)
本実施形態においては、正面部20は左扉部材21、右扉部材22及び小壁部材23が備えられ、背面部30は左背壁部材31及び右背壁部材32が備えられ、左面部40は本実施形態においては前左壁部材41、中左壁部材42及び後左壁部材43が備えられ、右面部50は前右壁部材51、中右壁部材52、及び後右壁部材53が備えられ、天面部60は前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63が備えられている。ただし、「前」、「中」、「後」、「左」及び「右」の文言は、説明の便宜のために用いられるにすぎない。
【0064】
当該各部材は、それぞれの四辺を区画する枠状部材80と、当該枠状部材80に保持される板状部材81とが、例えば框組構造に組まれたものから構成されている。
【0065】
枠状部材80は、厚さが2~3mm程度のアルミニウムからなる平板を曲げ加工などして断面視においてコの字状を有する厚さが10mmの厚さの部材である。板状部材81は、プラスチックダンボールが採用される。その際、ライナー間のリブの空隙が、当該組立式個室装置の高さ方向に沿うように用いられることが好ましい。プラスチックダンボールは、ポリプロピレンなどから構成されており、いわゆる半透明となっている。したがって、非常灯17の点滅を組立式個室装置10の外部から確認することができる。
【0066】
なお、枠状部材80のコの字状の部分に嵌め込むことができるように、プラスチックダンボールの厚さは5mm程度のものが好ましく採用される。複数の枠状部材80によって、板状部材81の四辺を囲み、角部において枠状部材80どうしを溶接するなどして連結することによって製作される。枠状部材80及び板状部材81の厚さは例示であるが、組立式個室装置10の寸法に応じて、剛性が確保できるだけの厚さが採用されることが好ましい。
【0067】
以下に、正面部20、背面部30、左面部40、右面部50及び天面部60について説明する。
【0068】
(正面部)
正面部20は、個室空間11の外方に向けて観音開き可能な等幅の左扉部材21及び右扉部材22、並びに、小壁部材23が備えられている。本実施形態においては、左扉部材21及び右扉部材22が等幅であることから、正面部20は左扉部材21及び右扉部材22において左右の中央で分離される。左扉部材21及び右扉部材22に、開閉時に把持するための取っ手が設けられてもよい。
【0069】
左扉部材21は、高さ方向に沿って配置された複数の例えば三つの又は四つの蝶番70によって、左補強部材24を介して前左壁部材41に連結されており、当該組立式個室装置10が組立姿勢であるときは、左扉部材21が前左壁部材41に対して直交する閉状態(
図1参照)と、前左壁部材41に対して回動して開状態(
図2及び
図3参照)とに、状態変更可能となっている。蝶番70は、平蝶番や旗蝶番などの公知のものから、用いられる箇所に応じて好ましいものが採用される。以下の説明において同様である。ただし、当該連結に用いられるのは蝶番に限らない。
【0070】
左補強部材24は、前左壁部材41の高さと略同じ長さを有するアルミニウムからなる等辺アングルからなる部材であって、前左壁部材41の最前縁に取り付けられていることによって、当該最前縁を補強するとともに、左扉部材21の戸当たりとしても機能する。
【0071】
左扉部材21は、当該組立式個室装置10が折畳姿勢であるときは、左扉部材21と前左壁部材41との外面が互いに面するようにして折り畳まれる(
図9及び
図10参照)。したがって、左扉部材21と左補強部材24を介して前左壁部材41とを連結する蝶番70については、当該左扉部材21を閉状態と開状態とに状態変更可能であるとともに、折畳姿勢であるときに左扉部材21と前左壁部材41との外面が互いに面するようにして折り畳めるようになっている。すなわち、このように角部において隣り合う部材どうしの外面が互いに面するようにして折り畳めるようにする必要のある箇所に用いられる蝶番70については、少なくとも270度に亘って作動可能であることを要する。したがって、箇所によっては、蝶番70は少なくとも90度に亘って作動可能であればよかったり、少なくとも180度に亘って作動可能であればよかったりする。以下同様である。
【0072】
なお、左補強部材24は設けられていなくてもよく、この場合は、左扉部材21は前左壁部材41に蝶番70によって直接的に連結される。
【0073】
右扉部材22は、高さ方向に沿って配置された複数の、例えば三つの又は四つの蝶番70によって、右補強部材25を介して前右壁部材51に連結されており、当該組立式個室装置10が組立姿勢であるときは、右扉部材22が前右壁部材51に対して直交する閉状態と、前右壁部材51に対して回動して開状態とに、状態変更可能となっている。
【0074】
右補強部材25は、前右壁部材51の高さと略同じ長さを有するアルミニウムからなる等辺アングルからなる部材であって、前右壁部材51の最前縁に取り付けられていることによって、当該最前縁を補強するとともに、右扉部材22の戸当たりとしても機能する。
【0075】
右扉部材22は、当該組立式個室装置10が折畳姿勢であるときは、右扉部材22と前右壁部材51との外面が互いに面するようにして折り畳まれる(
図9及び
図10参照)。
【0076】
なお、右補強部材25は設けられていなくてもよく、この場合は、右扉部材22は前右壁部材51に蝶番70によって直接的に連結される。
【0077】
(小壁部材)
小壁部材23は、当該左扉部材21及び右扉部材22の上方に設けられる部材である。左扉部材21及び右扉部材22は、前左壁部材41及び前右壁部材51よりも高さが例えば100~200mm低く構成されてあり、小壁部材23は、左扉部材21及び右扉部材22の上縁から前左壁部材41及び前右壁部材51の上縁に至るまでの高さ、すなわち100~200mmの高さと、左扉部材21から右扉部材22に亘る1700mmの幅を有している。
【0078】
小壁部材23は、
図6に示すように、前左壁部材41と前右壁部材51とに跨って、本実施形態においては左補強部材24と右補強部材25とに対して、例えば面ファスナーによって取付可能となっている。小壁部材23によって、左扉部材21及び右扉部材22を有する正面部20における剛性の低下を防止することができ、組立姿勢が安定する。なお、
図6における矢印は、小壁部材23を取り付ける際の様子を示している。したがって、小壁部材23を取り外す際の動きは、当該矢印と逆向きとなる。なお、左補強部材24と右補強部材25とが設けられない場合は、小壁部材23は前左壁部材41と前右壁部材51とに直接的に取付可能に構成されていればよい。また、小壁部材23は、左補強部材24及び右補強部材25が設けない場合であっても、例えば、左補強部材24及び右補強部材25を、小壁部材23の高さに対応する長さにまで短くしたような部材を介して前左壁部材41及び前右壁部材51に跨るように取付可能であってもよい。
【0079】
小壁部材23は、個室空間11の内方から左扉部材21及び右扉部材22の内面に当接可能な戸当部材26が備えられている。戸当部材26は、小壁部材23において、個室空間11の内側に対応する面から下方に延びるように取り付けられたアルミニウムからなる平板から構成されている。戸当部材26によって、左扉部材21及び右扉部材22が面一となる閉状態を安定させることができる。なお、左扉部材21や右扉部材22と、戸当部材26との互いの対向面に磁石が備えられることによって、左扉部材21や右扉部材22の閉状態が維持できるように構成されてもよい。小壁部材23は、折畳姿勢とした左扉部材21、前左壁部材41、中左壁部材42、後左壁部材43、左背壁部材31、右背壁部材32、後右壁部材53、中右壁部材52、前右壁部材51及び右扉部材22に重ねて結束することができる。
【0080】
(背面部)
背面部30は、複数枚の、本実施形態においては等幅の二枚の背壁部材(左背壁部材31及び右背壁部材32)が備えられている。ただし、背壁部材の枚数は組立式個室装置10の寸法に応じて増減させて設計することができる。
【0081】
左背壁部材31及び右背壁部材32は、個室空間11の外面となる側において、高さ方向に沿って配置された複数の、例えば三つの又は四つの蝶番70によって、当該組立式個室装置10が組立姿勢であるときは、左背壁部材31及び右背壁部材32が面一となり、左背壁部材31が後左壁部材43に対して直交し、かつ、右背壁部材32が後右壁部材53に対して直交し、折畳姿勢であるときは、
図9及び
図10に示すように、左背壁部材31と右背壁部材32との外面が互いに面し、左背壁部材31と後左壁部材43との内面が互いに面し、かつ、右背壁部材32と後右壁部材53との内面が互いに面するように折畳み可能に連結されている。
【0082】
(左面部)
左面部40は、複数枚の、本実施形態においては等幅の三枚の左壁部材(前左壁部材41、中左壁部材42及び後左壁部材43)が備えられている。ただし、左壁部材の枚数は組立式個室装置10の寸法に応じて増減させて設計することができる。
【0083】
前左壁部材41と中左壁部材42とは、個室空間11の内面となる側において、高さ方向に沿って配置された複数の、例えば三つの又は四つの蝶番70によって、当該組立式個室装置10が組立姿勢であるときは、前左壁部材41及び中左壁部材42が面一となり、折畳姿勢であるときは、
図9及び
図10に示すように、前左壁部材41及び中左壁部材42はそれぞれの内面が互いに面するように折畳み可能に連結されている。
【0084】
中左壁部材42と後左壁部材43とは、個室空間11の外面となる側において、高さ方向に沿って配置された複数の、例えば三つの又は四つの蝶番70によって、当該組立式個室装置10が組立姿勢であるときは、中左壁部材42及び後左壁部材43が面一となり、折畳姿勢であるときは、
図9及び
図10に示すように、中左壁部材42及び後左壁部材43はそれぞれの外面が互いに面するように折畳み可能に連結されている。
【0085】
(右面部)
右面部50は、複数枚の、本実施形態においては等幅の三枚の右壁部材(前右壁部材51、中右壁部材52、及び後右壁部材53)が備えられている。ただし、右壁部材の枚数は組立式個室装置10の寸法に応じて増減させて設計することができる。
【0086】
左壁部材及び右壁部材の枚数や幅は、組立姿勢のときの安定性や美観、折畳姿勢であるときの折り畳みやすさや省スペース化などの観点から、同様であることが好ましい。これにより、左面部40及び右面部50は対称な構成とすることができる。
【0087】
前右壁部材51と中右壁部材52とは、個室空間11の内面となる側において、高さ方向に沿って配置された複数の、例えば三つの又は四つの蝶番70によって、当該組立式個室装置10が組立姿勢であるときは、前右壁部材51及び中右壁部材52が面一となり、折畳姿勢であるときは、
図9及び
図10に示すように、前右壁部材51及び中右壁部材52はそれぞれの内面が互いに面するように折畳み可能に連結されている。
【0088】
中右壁部材52と後右壁部材53とは、個室空間11の外面となる側において、高さ方向に沿って配置された複数の、例えば三つの又は四つの蝶番70によって、当該組立式個室装置10が組立姿勢であるときは、中右壁部材52及び後右壁部材53が面一となり、折畳姿勢であるときは、中右壁部材52及び後右壁部材53はそれぞれの外面が互いに面するように折畳み可能に連結されている。
【0089】
以上の構成により、左扉部材21、前左壁部材41、中左壁部材42、後左壁部材43、左背壁部材31、右背壁部材32、後右壁部材53、中右壁部材52、前右壁部材51及び右扉部材22は、一繋がりのまま、組立姿勢であるときは個室空間11の四方の側面を構成し、折畳姿勢においては、
図9及び
図10に示すように、左扉部材21及び右扉部材22において開かれ、左扉部材21、前左壁部材41、中左壁部材42、後左壁部材43、左背壁部材31、右背壁部材32、後右壁部材53、中右壁部材52、前右壁部材51及び右扉部材22は折畳まれることとなる。
図10に示すように折畳姿勢とされた各部は結束ベルトや結束バンドなどで束ねることによって、容易に持運びや組立作業をすることができる。
【0090】
なお、組立式個室装置10の幅は1700mm、天面部60の厚さを除いた高さが1900mmであることから、左扉部材21、右扉部材22、左背壁部材31及び右背壁部材32の幅は850mm、高さが1900mmとなる。また、組立式個室装置10の奥行は2100mmであることから、前左壁部材41、中左壁部材42、後左壁部材43、後右壁部材53、中右壁部材52、前右壁部材51の幅は700mm、高さは1900mmとなる。したがって、折畳姿勢であるときは、幅が700mm、長さが1900mmとなる。これらの部材を構成するプラスチックダンボールは、通常入手可能な最大の幅が1820mm、高さが2100mm程度であることから、各部材の寸法を上記のように設定することによって、各部材に用いられるプラスチックダンボールを、それぞれ一枚物から構成することができる。ただし、これらの寸法は例示であり、例えば可搬性や梱包性を考慮して適当な寸法に設計される。
【0091】
(天面部)
天面部60は、複数枚の、本実施形態においては等幅の三枚の天井部材(前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63)が備えられている。ただし、天井部材の枚数は組立式個室装置10の寸法に応じて増減させて設計することができる。天井部材の枚数や幅は、組立姿勢のときの安定性、折畳姿勢とした左扉部材21、前左壁部材41、中左壁部材42、後左壁部材43、左背壁部材31、右背壁部材32、後右壁部材53、中右壁部材52、前右壁部材51及び右扉部材22への重ねやすさなどの観点から、左壁部材や右壁部材と同様であることが好ましい。
【0092】
本実施形態においては、組立式個室装置10の幅は1700mm、奥行は2100mmであることから、前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63の幅は1700mm、奥行は700mmとなる。ただし、天井部材は、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50によって区画される寸法よりも若干大きく設計し、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50の周囲に庇を構成してもよい。
【0093】
図7に示すように、前天井部材61及び後天井部材63には、組立式個室装置10の幅方向に対応する二辺を含む三辺に、当該辺に沿って延びる溝部を有する取付部材64が立設されている。中天井部材62には、組立式個室装置10の幅方向に対応する二辺に沿って延びる溝部を有する取付部材64が立設されている。当該取付部材64の溝部に側面部12を構成する枠状部材80が嵌め込まれる。
図7の拡大図においては、後天井部材63が後左壁部材43に取り付けられる様子が示されている。
【0094】
当該構成により、前天井部材61は、前左壁部材41、前右壁部材51及び小壁部材23に取り付けられる。中天井部材62は、中左壁部材42及び中右壁部材52に取り付けられる。後天井部材63は、後左壁部材43、後右壁部材53、左背壁部材31及び右背壁部材32に取り付けられる。前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63は面一となるように構成されている。なお、
図7における矢印は、前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63を取り付ける際の動きを示している。したがって、前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63を取り外す際の動きは、当該矢印と逆向きとなる。
【0095】
なお、当該実施形態においては、天面部60は前後方向において三枚の天井部材、すなわち前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63を有し、前天井部材61、中天井部材62及び後天井部材63は、左右方向に亘って取り付けられる構成であるが、天面部60は、三枚以外の複数枚の天井部材を有してもよいし、一枚の天井部材を有してもよい。また、天面部60は左右方向において複数枚の天井部材を有し、各天井部材は前後方向に亘って取り付けられる構成であってもよい。
【0096】
(姿勢維持部材)
組立姿勢における後左壁部材43と左背壁部材31との直交状態、及び、後右壁部材53と右背壁部材32との直交状態を維持するために、
図8に示すように、姿勢維持部材(左姿勢維持部材71及び右姿勢維持部材72)が備えられている。
【0097】
左姿勢維持部材71は、後左壁部材43及び左背壁部材31の高さと略同じ長さを有するアルミニウムからなる等辺アングルから構成されている。同様に、右姿勢維持部材72は、後右壁部材53及び右背壁部材32の高さと略同じ長さを有するアルミニウムからなる等辺アングルから構成されている。
【0098】
左姿勢維持部材71は、面ファスナーによって後左壁部材43と左背壁部材31とに外側から跨って取り付けられ、後左壁部材43と左背壁部材31とが互いに直交する姿勢を維持するとともに、当該後左壁部材43と左背壁部材31とから構成される角部に生じ得る隙間を隠すことができる。右姿勢維持部材72は、面ファスナーによって後右壁部材53と右背壁部材32とに外側から跨って取り付けられ、後右壁部材53と右背壁部材32とが互いに直交する状態を維持するとともに、当該後右壁部材53と右背壁部材32とから構成される角部に生じ得る隙間を隠すことができる。
【0099】
なお、
図8における矢印は、左姿勢維持部材71及び右姿勢維持部材72を取り付ける際の動きを示している。したがって、左姿勢維持部材71及び右姿勢維持部材72を取り外す際の動きは、当該矢印と逆向きとなる。左姿勢維持部材71及び右姿勢維持部材72は、折畳姿勢とした左扉部材21、前左壁部材41、中左壁部材42、後左壁部材43、左背壁部材31、右背壁部材32、後右壁部材53、中右壁部材52、前右壁部材51及び右扉部材22に重ねて結束することができる。
【0100】
(別実施形態)
上述したように、背面部30、左面部40、右面部50及び天面部60を構成する各部材の枚数は例示である。
図11から
図18を参照しながら、いくつかの別実施形態を以下に説明する。なお、これらの図面においては、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50と蝶番70とを見やすくするため、他の部分、例えば天面部60や装備品などの記載は省略されている。
【0101】
また、当該別実施形態の説明において、既述の構成と同様の構成については、説明を援用することができる。ただし、「前」、「中」、「後」、「左」及び「右」の文言は、説明の便宜のために用いられるにすぎない。また、当該別実施形態の説明において、上述した実施形態の説明において用いた符号と同じ符号を用いることがあるが、上述の実施形態において同じの符号を付された部材と、蝶番70を介して連結される部材、及び、蝶番70による連結のされ方が同一とは限らない。
【0102】
左面部40に備えられる部材は等幅の三枚に限らず、一枚であってもよいし、三枚以外の複数枚であってもよく、複数枚である場合はそれぞれの幅が異なっていてもよい。右面部50や天面部60も同様である。枚数は、寸法や重量に応じて適宜設計される。
【0103】
例えば、
図11には、左面部40や右面部50に備えられる部材の枚数がそれぞれ四枚の場合の組立式個室装置10が示されている。当該組立式個室装置10においては、左壁部材として前左壁部材41、中左壁部材42、中左壁部材43及び後左壁部材44が備えられ、右壁部材として前右壁部材51、中右壁部材52、中右壁部材53及び後右壁部材54が備えられている。
【0104】
ただし、当該別実施形態においては、左補強部材24を介さずに、左扉部材21と前左壁部材41とが内面において蝶番70によって連結されており、同様に、右補強部材25を介さずに、右扉部材22と前右壁部材51とが内面において蝶番70によって連結されており、左扉部材21及び右扉部材22は個室空間11の外方に向けて観音開き可能でありながら、
図12に示すように、当該組立式個室装置10を折畳姿勢とする際には、左扉部材21は、左扉部材21と前左壁部材41との内面が互いに面するようにして折り畳まれ、右扉部材22は、右扉部材22と前右壁部材51との内面が互いに面するようにして折り畳まれる点が、
図1から
図10に示される実施形態とは特に異なっている。
【0105】
当該別実施形態においては、左補強部材24及び右補強部材25が設けられない代わりに、左扉部材21及び右扉部材22の開閉等を可能としながら、左扉部材21と前左壁部材41との隙間や、右扉部材22は前右壁部材51との隙間に、当該隙間を目隠しするための可撓性があり透明ではない部材が設けられてもよい。当該別実施形態においても小壁部材23は前左壁部材41と前右壁部材51とに直接的又は間接的に取付けられることから、組立姿勢であるときに、戸当部材26によって左扉部材21及び右扉部材22が内方に向けて開かれることがなく、面一となる閉状態を安定させることができる。
【0106】
当該別実施形態においても、各部材は、一繋がりのまま、組立姿勢であるときは個室空間11の四方の側面を構成し、折畳姿勢であるときは隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳まれる。
【0107】
図13には、左面部40や右面部50に備えられる部材の枚数がそれぞれ二枚の場合の組立式個室装置10が示されている。当該組立式個室装置10においては、左壁部材として前左壁部材41及び後左壁部材42が備えられ、右壁部材として前右壁部材51及び後右壁部材52が備えられている。
【0108】
当該別実施形態においても、各部材は、一繋がりのまま、組立姿勢であるときは個室空間11の四方の側面を構成し、折畳姿勢であるときは隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳まれる。
【0109】
図14には、左面部40や右面部50に備えられる部材の枚数がそれぞれ一枚の場合の組立式個室装置10が示されている。当該組立式個室装置10においては、それぞれ一枚の左壁部材41及び右壁部材51のみが備えられている。
【0110】
当該別実施形態においても、各部材は、一繋がりのまま、組立姿勢であるときは個室空間11の四方の側面を構成し、折畳姿勢であるときは隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳まれる。
【0111】
さらに、背面部30に備えられる部材は等幅の二枚に限らず、一枚であってもよいし、三枚以上の複数枚であってもよく、複数枚である場合はそれぞれの幅が異なっていてもよい。
【0112】
例えば、
図15には、背面部30に備えられる部材の枚数が三枚の場合の組立式個室装置10が示されている。当該組立式個室装置10においては、左背壁部材31、中背壁部材32及び右背壁部材33が備えられている。これに伴い、正面部20は左扉部材21及び右扉部材22に加えて正壁部材27が備えられている。簡易ベッド14は少なくとも一方から乗り降りができればよいので、正壁部材27と右背壁部材33との間に設置することもできる。
【0113】
なお、当該別実施形態においては、右姿勢維持部材72は、面ファスナーによって後右壁部材53と右背壁部材33とに内側から跨って取り付けられ、後右壁部材53と右背壁部材33とが互いに直交する状態を維持するとともに、当該後右壁部材53と右背壁部材33とから構成される角部に生じ得る隙間を隠すことができる。さらに、姿勢維持部材として前姿勢維持部材73を設け、面ファスナーによって前右壁部材51と正壁部材27とに外側から跨って取り付け、前右壁部材51と正壁部材27とが互いに直交する状態を維持するとともに、当該前右壁部材51と正壁部材27とから構成される角部に生じ得る隙間を隠すことができる。
【0114】
当該別実施形態においては、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50は左右非対称に折り畳まれる。例えば、正面部20において、正面部20は左扉部材21及び右扉部材22に加えて正壁部材27が備えられていることから、左扉部材21及び右扉部材22は、個室空間11の外方に向けて観音開き可能でありながら、
図16に示すように、当該組立式個室装置10を折畳姿勢とする際には、左扉部材21は、左扉部材21と前左壁部材41との外面が互いに面するようにして折り畳まれ、右扉部材22は、右扉部材22と正壁部材27との外面が互いに面するようにして折り畳まれる。そして、正壁部材27は、正壁部材27と前右壁部材51との内面が互いに面するようにして折り畳まれる。
【0115】
また、左背壁部材31は、後左壁部材43と左背壁部材31との内面が互いに面するようにして折り畳まれ、中背壁部材32は、左背壁部材31と中背壁部材32と外面が互いに面するようにして折り畳まれるとともに、中背壁部材32と右背壁部材33との内面が互いに面するようにして折り畳まれ、右背壁部材33は、右背壁部材33と後右壁部材53との外面が互いに面するようにして折り畳まれる。
【0116】
いずれにせよ当該別実施形態においても、各部材は、一繋がりのまま、組立姿勢であるときは個室空間11の四方の側面を構成し、折畳姿勢であるときは隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳まれる。
【0117】
また、
図17には、背面部30に備えられる部材の枚数が一枚の場合の組立式個室装置10が示されている。当該組立式個室装置10においては、背壁部材31のみが備えられている。これに伴い、正面部20は左扉部材21のみが備えられている。ただし、右扉部材22のみが備えられる構成であってもよい。
【0118】
当該別実施形態においても、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50は左右非対称に折り畳まれる。例えば、左扉部材21は、個室空間11の外方に向けて観音開き可能でありながら、
図18に示すように、当該組立式個室装置10を折畳姿勢とする際には、左扉部材21と前左壁部材41との外面が互いに面するようにして折り畳まれる。そして、背壁部材31は、当該組立式個室装置10が折畳姿勢であるときは、後左壁部材43と背壁部材31との内面が互いに面するようにして折り畳まれ、背壁部材31と後右壁部材53との外面が互いに面するようにして折り畳まれる。
【0119】
いずれにせよ当該別実施形態においても、各部材は、一繋がりのまま、組立姿勢であるときは個室空間11の四方の側面を構成し、折畳姿勢であるときは隣り合うものどうしの内面が互いに面することと、隣り合うものどうしの外面が互いに面することが交互に繰り返されるように折畳まれる。
【0120】
さらに上述のいずれの実施形態においても、正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50は常に一繋がりである構成について説明したがこの限りでない。
【0121】
例えば、
図1から
図10に示す実施形態における組立式個室装置10において、左扉部材21は、左補強部材24を介して、前左壁部材41に常に連結されていたが、左扉部材21は左補強部材24に蝶番70により連結しておき、当該左補強部材24を前左壁部材41に対して、例えば面ファスナーによって着脱自在に構成されてもよい。右扉部材22についても同様である。
【0122】
この場合は、使用時には正面部20、背面部30、左面部40及び右面部50は、個室空間11の四方の側面を構成する組立姿勢へと、未使用時には正面部20において、小壁部材23のみならず左扉部材21及び右扉部材22が左補強部材24及び右補強部材25とともに、左面部40及び右面部50から取り外されて、背面部30、左面部40及び右面部50のみが一繋がりのまま折り畳まれた折畳姿勢へと、姿勢変更されることとなる。また、同様の構成を
図11から
図18に示す別実施形態において採用することも可能である。
【0123】
上述した実施形態においては、面ファスナーによって、小壁部材23、左姿勢維持部材71及び右姿勢維持部材72を取り付け対象となる部材に取り付ける構成について説明したが、これに限らない。例えば、結束バンドによって締め付ける構成であってもよいし、ガムテープなどの粘着性を有するテープによって貼り付けられる構成であってもよい。
【0124】
上述した実施形態においては、左補強部材24、右補強部材25、戸当部材26、左姿勢維持部材71、右姿勢維持部材72及び枠状部材80をアルミニウムからなる部材から構成したが、これに限らず、例えばステンレス鋼からなる部材から構成してもよい。軽量であり加工性がよく耐食性があるものが好ましく採用される。
【0125】
上述した実施形態においては、左扉部材21、右扉部材22、左壁部材41~44、背壁部材31~33、右壁部材51~54、天井部材61~63及び小壁部材23に用いられる板状部材81の全てを同じ程度の透光性を有するプラスチックダンボールから構成したが、これに限らない。一部の透光性が異なっていてもよい。また、板状部材81として、安価、軽量でありながら剛性を確保する観点からプラスチックダンボールを採用したが、これに限らない。例えば、透光性を有する単なる平板から構成してもよい。
【0126】
上述した実施形態は本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
【符号の説明】
【0127】
10 :組立式個室装置
11 :個室空間
12 :側面部
14 :簡易ベッド
15 :LED照明
16 :蓄電池
17 :非常灯
18 :アラーム
19 :除菌スプレー
20 :正面部
21 :左扉部材
22 :右扉部材
23 :小壁部材
24 :左補強部材
25 :右補強部材
26 :戸当部材
30 :背面部
31 :左背壁部材
32 :右背壁部材
37 :換気口
38 :フィルタ
40 :左面部
41 :前左壁部材
42 :中左壁部材
43 :後左壁部材
47 :開口部
48 :送風装置
49 :フィルタ
50 :右面部
51 :前右壁部材
52 :中右壁部材
53 :後右壁部材
60 :天面部
61 :前天井部材
62 :中天井部材
63 :後天井部材
64 :取付部材
70 :蝶番
71 :左姿勢維持部材
72 :右姿勢維持部材
80 :枠状部材
81 :板状部材