(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】心臓補助装置
(51)【国際特許分類】
A61M 60/824 20210101AFI20220426BHJP
A61M 60/82 20210101ALI20220426BHJP
A61M 60/135 20210101ALI20220426BHJP
A61M 60/178 20210101ALI20220426BHJP
A61M 60/216 20210101ALI20220426BHJP
A61M 60/422 20210101ALI20220426BHJP
A61M 60/804 20210101ALI20220426BHJP
A61M 60/81 20210101ALI20220426BHJP
【FI】
A61M60/824
A61M60/82
A61M60/135
A61M60/178
A61M60/216
A61M60/422
A61M60/804
A61M60/81
(21)【出願番号】P 2020536810
(86)(22)【出願日】2018-01-08
(86)【国際出願番号】 US2018012736
(87)【国際公開番号】W WO2019135767
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】517029392
【氏名又は名称】ヴァドヴェイションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】スタンフィールド,ジェイ.ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴラドヴィッチ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マーヘル,ティモシー アール.
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/192119(WO,A1)
【文献】米国特許第04846152(US,A)
【文献】特表2010-528797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/00-60/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータであって、
前記ロータが、外面を備えたシャフトと、前記外面の第1の位置で前記シャフトから延出するインペラとを備え、
前記外面が、前記シャフトの第2の位置にある外側ベアリング面を含む、ロータと、
第1の端部と第2の端部とを備えるポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングが、ポンプ室および前記ポンプハウジング内の内側ベアリング面を画定するように構成された1つまたは複数の円筒穴を備える、ポンプハウジングと
を含み、
動作構成において、前記ロータは、前記ロータの作動時に前記インペラが前記ポンプ室内で回転するように、前記1つまたは複数の円筒穴内に位置決めされ、
前記ポンプハウジングの前記内側ベアリング面は、前記ロータの作動中に前記内側ベアリング面と前記外側ベアリング面が流体力学的ジャーナルベアリングを形成するように、間に流体力学的ベアリングのクリアランスを形成するように前記シャフトの前記外側ベアリング面に近接して嵌合し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に軸方向入口を含み、前記軸方向入口は前記ポンプ室と流体連通し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプ室と連通する環状出口をさらに含み、前記環状出口は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置し、
前記ポンプハウジングは、流体力学的ベアリングのクリアランスと流体連通する漏出出口を含み、
前記ロータの作動により、血液が前記軸方向入口に入り、前記ポンプ室を通って、実質的に軸方向の出口流れで前記環状出口から流出し、
前記ロータの作動中、前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、血流が
漏出入口に入り、前記流体力学的ベアリングのクリアランスの長さに沿って流れることを可能にするために、漏出経路として機能する、
心臓補助装置。
【請求項2】
前記ロータが、前記ポンプハウジングに対する前記ポンプハウジング内の前記ロータの相対運動によって生成される流体力学的スラスト力によって、前記ハウジング内で径方向に主に懸架される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ロータが、前記シャフトの前記ベアリング面内に位置する1つまたは複数のロータ磁石を含み、
前記ポンプハウジングが、前記流体力学的ベアリングのクリアランスから前記1つまたは複数のロータ磁石の反対側に位置決めされたコイルを有するモータステータを含み、
前記ロータの作動が、前記1つまたは複数のロータ磁石を変位させるために
前記漏出経路を横切って延在する磁束場を生成するために、前記モータステータを通って流れる電流の影響を受ける、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の円筒穴は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に配置された第1の穴を含み、前記第1の穴は、前記インペラおよび前記ポンプ室を収容するように構成され、前記ポンプハウジングの第2の端部には第2の穴を含み、前記第2の穴は、前記ロータの前記外側ベアリング面および
漏出経路を収容するように構成された前記内側ベアリング面を画定し、
前記インペラの回転は、
軸方向入口ポートを通して血流を引き寄せ、第1の部分を前記ポンプ室内および前記
漏出経路内に引き込み、
前記血液の第1の部分は、前記第2の穴の長さに沿って、前記ポンプハウジングの前記第2の端部に向かって配置された出口を通って導かれ、
血液の第2の部分は前記環状出口の外に向けられる、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ポンプハウジングが、
前記第1の端部と前記環状出口との間の位置で前記ポンプハウジングの周囲に沿って配置された1つまたは複数の径方向出口ポート
をさらに含み、
血液の第3の部分が、前記1つまたは複数の径方向出口ポートから径方向外側に向けられる、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記モータステータ1つおよび1つ以上のロータ磁石が、軸方向モータを形成するために互いに対して軸方向に配置される、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、
ポンプの前記内側ベアリング面と前記シャフトの前記外側ベアリング面との間に形成された環状隙間を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記環状隙間と流体連通する円錐漏出経路をさらに含み、前記円錐漏出経路が、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェースから形成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記円錐漏出経路は、前記ポンプ室と環状隙間との間の前記環状隙間から上流に位置する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記円錐漏出経路が、前記環状隙間から前記ポンプ室の反対側にある前記環状隙間から下流に位置する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、前記環状隙間と流体連通する第2の円錐漏出経路をさらに含み、
前記第2の円錐漏出経路は、前記ロータとポンプハウジングとの間の第2の円錐ベアリングインターフェースから形成され、
前記第2の円錐漏出経路は、前記環状隙間の下流に位置する、
請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、前記環状隙間と流体連通する球状漏出経路をさらに含み、前記球状漏出経路は、前記ロータとポンプハウジングとの間の球状ベアリングインターフェースから形成される、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記漏出経路は、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェース間に形成され、
前記モータステータ1つおよび1つ以上のロータ磁石は、互いに前記円錐ベアリングインターフェースを横切って配置される、
請求項3に記載の装置。
【請求項14】
外面を有するシャフトと、前記外面の第1の位置で前記シャフトから延出するインペラとを備えるロータであって、
前記外面が、前記シャフト上の第2の位置に外側ベアリング面を含む、ロータと、
第1の端部と第2の端部とを備えるポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングが、ポンプ室と前記ポンプハウジング内の内側ベアリング面とを画定するように構成された1つまたは複数の円筒穴を備える、ポンプハウジングと
を含み、
動作構成において、前記ロータは、前記ロータの作動時に前記インペラが前記ポンプ室内で回転するように、前記1つまたは複数の円筒穴内に位置決めされ、
前記ポンプハウジングの前記内側ベアリング面は、前記ロータの作動中に前記内側ベアリング面と外側ベアリング面が流体力学的ジャーナルベアリングを形成するように、間に流体力学的ベアリングのクリアランスを形成するように前記シャフトの前記外側ベアリング面に近接して嵌合し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に軸方向入口を含み、前記軸方向入口は
循環系の第1の位置および前記ポンプ室と流体連通し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプ室と連通する環状出口をさらに含み、前記環状出口は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置し、
前記ロータの作動により、血液が前記循環系の前記第1の位置から前記軸方向入口に入り、前記ポンプ室を通って、前記環状出口から前記循環系の第2の位置へ流出し、
前記ロータの作動中、前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、血流が
漏出入口に入り、前記流体力学的ベアリングのクリアランスの長さに沿って流れることを可能にするために、漏出経路として機能する、
患者の循環系内で循環補助を提供するためのポンプ。
【請求項15】
前記ポンプハウジングは、前記流体力学的ベアリングのクリアランスと流体連通する漏出出口を含み、前記漏出出口は、血液を前記漏出経路から前記循環系の第3の位置に導く、請求項14に記載のポンプ。
【請求項16】
前記血液は、実質的に軸方向の出口流れで前記環状出口から出る、請求項14に記載のポンプ。
【請求項17】
前記1つまたは複数の円筒穴は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に配置された第1の穴を含み、前記第1の穴は、前記インペラおよびポンプ室を収容するように構成され、前記ポンプハウジングの第2の端部には第2の穴を含み、前記第2の穴は、前記ロータの前記外側ベアリング面および
漏出経路を収容するように構成された前記内側ベアリング面を画定し、
前記インペラの回転は、
軸方向入口ポートを通して血流を引き寄せ、第1の部分を前記ポンプ室内および前記
漏出経路内に引き込み、
前記血液の前記第1の部分は、前記第2の穴の長さに沿って、前記ポンプハウジングの第2の端部に向かって配置された漏出出口を通って導かれ、
血液の第2の部分は前記環状出口の外に向けられる、
請求項15に記載のポンプ。
【請求項18】
前記ポンプハウジングが、
前記第1の端部と前記環状出口との間の位置で前記ポンプハウジングの周囲に沿って配置された1つまたは複数の径方向出口ポート
をさらに含み、
血液の第3の部分が、前記1つまたは複数の径方向出口ポートから径方向外側に向けられる、
請求項17に記載のポンプ。
【請求項19】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記ポンプの前記内側ベアリング面と前記シャフトの前記外側ベアリング面との間に形成された環状隙間を含む、請求項14に記載のポンプ。
【請求項20】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記環状隙間と流体連通する円錐漏出経路をさらに含み、前記円錐漏出経路が、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェースから形成される、請求項19に記載のポンプ。
【請求項21】
前記円錐漏出経路が、前記ポンプ室と環状隙間との間の前記環状隙間から上流に位置する、請求項
20に記載のポンプ。
【請求項22】
前記円錐漏出経路が、前記環状隙間から前記ポンプ室の反対側にある前記環状隙間から下流に位置する、請求項
20に記載のポンプ。
【請求項23】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、前記環状隙間と流体連通する第2の円錐漏出経路をさらに含み、
前記第2の円錐漏出経路は、前記ロータと前記ポンプハウジングとの間の第2の円錐ベアリングインターフェースから形成され、
前記第2の円錐漏出経路は、前記環状隙間の下流に位置する、
請求項20に記載のポンプ。
【請求項24】
シャフトと、前記シャフトの第1の位置で前記シャフトから延出するインペラとを備えたロータであって、
前記ロータが、前記シャフトの第2の位置にあるロータベアリング面を含む、ロータと、
第1の端部と第2の端部とを備えるポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングが、ポンプ室および前記ポンプハウジング内の内側ベアリング面を画定するように構成された1つまたは複数の円筒穴を備える、ポンプハウジングと
を含み、
動作構成において、前記ロータは、前記ロータの作動時に前記インペラが前記ポンプ室内で回転するように、前記1つまたは複数の円筒穴内に位置決めされ、
前記ポンプハウジングの前記内側ベアリング面は、前記ロータの作動中に前記内側ベアリング面とロータベアリング面が流体力学的ジャーナルベアリングを形成するように、間に流体力学的ベアリングのクリアランスを形成するようにロータベアリング面に近接して嵌合し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に軸方向入口を含み、前記軸方向入口は前記ポンプ室と流体連通し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプ室と連通する環状出口をさらに含み、前記環状出口は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置し、
前記ロータの作動により、血液が前記軸方向入口に入り、前記ポンプ室を通って、実質的に軸方向の出口流れで前記環状出口から流出し、
前記ロータの作動中、前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、血流が
漏出入口に入り、前記流体力学的ベアリングのクリアランスの長さに沿って流れることを可能にするために、漏出経路として機能する、
心臓補助装置。
【請求項25】
前記ロータが、前記シャフトの前記ベアリング面内に位置する1つまたは複数のロータ磁石を含み、
前記ポンプハウジングが、前記流体力学的ベアリングのクリアランスから前記1つまたは複数のロータ磁石の反対側に位置決めされたコイルを有するモータステータを含み、
前記ロータの作動が、前記1つまたは複数のロータ磁石を変位させるために
前記漏出経路を横切って延在する磁束場を生成するために、前記モータステータを通って流れる電流の影響を受ける、
請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記モータステータ1つおよび1つまたは複数のロータ磁石が、軸方向モータを形成するように互いに対して軸方向に配置される、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、
ポンプの前記内側ベアリング面と前記シャフトの
外側ベアリング面との間に形成された環状隙間を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記環状隙間と流体連通する円錐漏出経路をさらに含み、前記円錐漏出経路が、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェースから形成される、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記ロータとポンプハウジングとの間の球状ベアリングインターフェースから形成される球状漏出経路をさらに含む、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
内側ベアリング経路およびロータベアリング経路が、平面流体力学的ベアリングを形成する平面と、前記ポンプ室と流体連通する平面漏出経路とを含む、請求項26に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
該当せず
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
該当せず
【0003】
著作権保護の対象となるマテリアルの告知
この特許文書のマテリアルの一部は、米国およびその他の国の著作権法に基づく著作権保護の対象となる場合がある。著作権の所有者は、米国特許庁で公衆に利用可能なファイルまたは記録に掲載された場合には、特許文書または特許開示のいずれかによる複製に異議はないが、それ以外はすべての著作権を留保する。著作権所有者は、特許規則1.14に基づく権利を含むがこれに限定されない、この特許文書を秘密に保持する権利を放棄しないものとする。
【0004】
1.技術分野
【0005】
本開示の技術は、概して、心臓を通る血流を補助するための方法および装置に関し、より詳細には、循環補助装置に関する。
【背景技術】
【0006】
2.背景の説明
【0007】
うっ血性心不全は主要な世界的な公衆衛生問題であり、毎年数十万人が死亡し、数百万人が計り知れないほど苦しんでいる。現在の治療には、最新の薬理学的薬剤、自動体内式除細動器、およびシンクロナイザなどの高度なペーシング装置が含まれていた。これらのモダリティは症状の改善をもたらし、潜在的に生存率を改善するが、すべてがせいぜい緩和療法であり、治癒的ではない。
【0008】
既存の治療法は、うっ血性心不全の進行期の患者にとって限られた臨床的利益を提供する。実際、毎年数十万人のはるかに進行したCHFを有する患者は、既存の確立された治療からは限られた臨床的利益のみを経験し、心臓移植が最も役立ち得ると推定される。心臓移植は、末期心不全患者の症状と生存率を大幅に改善するが、ドナー心臓の数が限られているため、毎年数千人の患者しか利用できない。
【0009】
完全置換型人工心臓(TAH)または左心室補助装置(LVAD)の形態の機械的循環補助(MCA)は、希望がほとんどない末期心不全の患者のニーズを満たす可能性がある。残念ながら、機械的循環補助は、心不全の治療において一般的に使用される治療法に発展していない。
【0010】
歴史的には、機械的循環補助の有効性と心不全の治療におけるその役割に関するMCAの技術とパラダイムの変化には、かなりの進化があった。元のパラダイムは、別の状況では心臓移植の恩恵を受ける可能性がある何十万人もの末期患者に日常的に移植できる大量生産された拍動性TAHの開発を想定していた。しかし、これまでのところ、技術的な課題により、元のビジョンを達成するために必要な実用的なTAHの開発は不可能である。
【0011】
その後、LVADがほとんどの末期患者のニーズに対応できると提案され、過去30年間に多数のLVADが開発されてきた。実際、多くの効果的なLVADが臨床試験で有望であることが示されているが、商業的に成功した例は限られている。そのような装置には、脈動型および回転式の連続流ポンプの両方が含まれる。
【0012】
臨床研究では、LVADには強力な血行力学的効果があり、心臓移植への架け橋として、また心臓切開術後のショックの治療において、実質的な臨床的利点を提供することが示されている。心臓移植の恩恵を受ける可能性があるが候補者ではない患者における心臓移植代替治療のためのLVADに関する最近の経験により、症状、生活の質、および生存率の改善が実証されている。ドナー心臓を待っている一部のブリッジ患者で左心室機能の有意な自然回復が観察されている。左心室機能の自然回復を経験している一部の患者では、補助装置を取り外し、心臓移植の必要性を遅らせるか回避することが可能であった。
【0013】
血管内経弁心室補助は、限られた範囲で患者に使用されており、急性心原性ショックの状況、心肺バイパスからの離脱の失敗、高リスクの血管形成術の支援、および心拍動下冠動脈血行再建術において有意な臨床的利益が実証されている。より具体的には、中心血管アクセスを達成するための2つの非開胸術法が以前に記載されており、限られた範囲の患者に使用されてきた。これらの方法は、左心房の経中隔カニューレ挿入と左心室の経弁カニューレ挿入である。
【0014】
しかしながら、以前のシステムは非常に限られた耐久性を示し、一般に携帯使用または慢性の臨床使用には実用的と見なされていない。
【0015】
機械的循環補助は、重度のうっ血性心不全(CHF)に苦しむ患者にとって効果的な治療であることが示されている。左心室補助装置(LVAD)と右心室補助装置の両方が、患者の心臓移植への架け橋と長期(心臓移植代替)治療に適応されている。残念ながら、これらの装置を挿入する既存の方法では、患者を心肺バイパスに配置する大手術が必要であり、補助システムのポンプへの血液流入をもたらすために心腔に血管グラフトが接続されている間、心臓が停止する場合がある。
【0016】
既存のLVADの埋め込みは、非常に極端な状況を除いて、通常の使用を正当化するにはリスクが高すぎる。現在のLVADには、埋め込みのために心臓血管外科医と心肺バイパスが必要である。以前に開示された多くの装置および以前の試みでは、ポンプを埋め込むために腹腔および胸腔の両方を開く必要がある。ポンプの横隔膜下配置には横隔膜貫通が必要であり、これは可能であれば回避することが望ましい。
【0017】
したがって、左心室補助装置は、以前はCHFの治療においてまれにしか使用されず、その後は最後の手段として使用されてきた。LVADは他のほとんどすべての適応治療よりも血行力学的効果が高く、また、他の治療法に比べてうっ血性心不全の治療における臨床的利益がはるかに高く、心臓移植に匹敵する可能性があるため、これは非常に残念である。
【0018】
LVADおよびRVADを埋め込む現在の方法に関連する実質的なリスクにより、その使用が末期患者に限定されている。重症度の低い心臓病を有するはるかに大きな患者グループは、現在、循環補助装置を埋め込むリスクが高いために機械的循環補助装置による治療の候補と見なされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、大きな切開、心肺バイパス、および心臓停止の必要なしに、低侵襲の心腔カニューレ挿入を可能にする改良された装置および方法の必要性が残っている。これにより、重症度の低いCHFを有する多数の患者により良いサービスを提供できるようになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示は、特定の態様によれば、機械的循環補助装置の最小侵襲および低侵襲の埋め込みのための方法および装置を提供する。好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法および装置は、うっ血性心不全の治療において実施され、携帯型慢性心室補助装置として使用するための最小侵襲または低侵襲の技術で設置される。低リスクの最小侵襲または低侵襲の技術を使用することにより、クラスIIIおよびクラスIVのうっ血性心不全患者が治療用心室補助を利用できるようになるであろう。
【0021】
以前の試みに伴う障壁および欠点を克服するために、本開示の様々な態様は、新しい改善されたLVADおよびそれらを挿入する手段を提供して、それらをうっ血性心不全の治療のために使用するリスクを下げる。本明細書で開示されているLVADは、特に最小侵襲および低侵襲の挿入方法で患者に配置するための改善された安全性と単純さを提供する。特定の実施形態によれば、心臓外科的サポートを必要とせず、開胸術を必要とせずに、介入心臓専門医によるうっ血性心不全の治療に使用されるように適合されたLVADが開示される。本明細書で開示されている実施形態の適切な実施は、多くの状況において標準的なケアになる可能性があると考えられる。さらなる実施形態による装置は、埋め込み型除細動器とほぼ同じ方法で挿入することができるが、特定の状況では、おそらく血管外科医の助けを借りて補うことができる。
【0022】
本明細書で説明される技術のさらなる態様は、明細書の以下の部分で明らかにされ、詳細な説明は、本技術の好ましい実施形態を限定することなく完全に開示することを目的とする。
【0023】
本明細書に記載されている技術は、例示のみを目的とする以下の図面を参照することにより、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本明細書による径方向モータならびに径方向および軸方向ベアリングを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリの側断面図である。
【
図3】本明細書による混合流の流体力学を備えた径方向モータを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリの側断面図である。
【
図5】本明細書による混合流の流体力学を備えた軸方向モータを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリの側断面図である。
【
図7】本明細書による混合流の流体力学を備えた軸方向モータを有する代替の最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリの側断面図である。
【
図9】本明細書による混合流の流体力学を備えた両面軸方向モータを有する代替の最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリの側断面図である。
【
図11】本明細書による混合流の流体力学を備えた密封された径方向モータを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面をより具体的に参照すると、例示の目的で、本技術は、
図1~
図12で一般に示される機器で具現化される。本明細書に開示される基本的な概念から逸脱することなく、機器は構成および部品の詳細に関して変化し得、方法は特定のステップおよびシーケンスに関して変化し得ることが理解される。
図1~
図12に示す装置は、血液にさらされる異物(例えば、ロータ/ステータおよびポンプハウジング面)の表面積を減らすことにより、血液適合性、したがって安全性を改善するように構成された小型心臓補助ポンプを示す。設計が小型化される一方で、トルクは維持され(エネルギーの節約)、持続可能な流れと圧力容量を維持する。血液適合性の重要な要素は、せん断応力と曝露時間を減らすことである。血液適合性を改善するには、一方または両方を減らす必要がある。そのため、ポンプのせん断応力は低くても、それらの応力にかなりの時間さらされる可能性がある。
【0026】
最初に
図1および
図2に示す実施形態を参照すると、
図1は、本明細書による径方向モータならびに径方向および軸方向ベアリングを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリ10の側断面図を示す。
図2は、
図1のポンプアセンブリ10の斜視図である。
【0027】
ポンプアセンブリ10は、第1および第2の端部46、48をそれぞれ有するポンプハウジング12と、ハウジング12内に回転可能に配置されるように構成されたロータ14とを備える。これらのコンポーネントは、次のように互いに対して特定の方法で構成される。
【0028】
ハウジング12は、ロータ14のインペラ16を収容するように構成された第1の円筒穴18につながる端部46に軸方向入口を含む。インペラは一般に、複数のらせん状の掃引ブレードを備える。ハウジング12はまた、内側穴18に結合されたらせん状のステータ(ディフューザ)ブレード20を含み得る。
図1に示すそのようなインペラブレード16およびステータブレード20の特定の構成および相対的配置は、有益な使用と考えられるが、当業者には明らかであるように、他の構成が採用されてもよい。この構成では、ロータシャフト45は、ステータブレード20の間で回転するハブを含む。円筒穴18とインペラ16の組み合わせは、血流をFi穴18内に引き込むように構成されたポンプ室として動作する。
【0029】
ハウジング12は、端部46から始まり、かつハウジング12の端部48に向かって軸方向に延出するが端部48には届かない第1のセクション30を有する。第1のハウジングセクション30は、端部48で終端するハウジング12の残りの部分の直径よりも大きい直径を有し、第1のセクション30は、円筒穴18の遠端で円筒穴18と連通する環状開口部22を形成するようになっている。環状開口部22は、円筒穴またはポンプ室18からの軸方向出口流れFoのために軸方向を向いた出口を形成する。
【0030】
ロータ16の細長いシャフト45は、円筒穴18と同心の第2の円筒穴40内に配置される。円筒穴40は、2つの表面間のジャーナルベアリング嵌合を介して、ロータシャフト45の外側ベアリング面に接合する内側ベアリング面を形成するようなサイズである。この説明の目的のために、「円筒穴40」および「内側ベアリング面」という用語は互換的に使用される。したがって、円筒穴40およびロータシャフト45のベアリング面は、「流体」ベアリングまたは「機械的」ベアリングまたはブッシングとも呼ばれることがある流体力学的ジャーナルベアリングを形成する。形成された流体力学的ベアリングは、ロータシャフトのベアリング面と内側ベアリング面との間の間隔の機能であり、ロータシャフト45の長さの少なくともかなりの部分に沿って、血液がベアリング内を潤滑および流動するための環状隙間またはリーク経路32を含む。
【0031】
図1の動作構成で示すようなポンプアセンブリ10の通常動作中、ハウジング12内のロータ14の回転運動は、一般に、ロータシャフト45およびハウジング12のベアリング面内にそれぞれ配置されたロータ磁石28とロータステータとを含む磁気駆動の径方向モータまたはアクチュエータによって達成される。中実のロータシャフト45は、モータステータ26と相互作用する1つまたは複数のロータ磁石28を収容する。モータステータ26は導電コイル(図示せず)を含み、導電コイルは、リード線を介して電源(図示せず)に結合するように適合され、ロータ磁石28に対して位置決めされて磁束隙間モータインターフェースを形成し、電源による作動時の動作モードでは、モータステータ26のコイルを流れる電流が磁束場を作り出し、磁束場は、ロータ14とハウジング12との間の磁束隙間(すなわち、漏出経路32)を横切って延在し、ロータ14にトルクを与え、かつロータ14をジャーナルベアリングのクリアランスの円筒穴40内で回転させるのに十分な程度にロータ磁石28を変位させる。モータステータコイル26は、ロータ磁石28に対して軸方向にオフセットされて、ハウジングの穴40内へのロータシャフト45の軸方向力または予荷重を形成し得ることも理解される。
【0032】
ポンプハウジング12内でロータ14が回転すると、インペラ16は、血流Fiを端部46の軸方向入口ポート24から内側に、そして円筒穴18によって画定されるポンプ室に引き込む。血液は、ロータシャフト45および円筒穴18、40の長手方向軸に対してインラインで軸方向入口ポート24に向けられる。したがって、血液の入口流れFiおよび血液の出口流れFoの方向は、主に軸方向である。
軸方向入口ポート24は、循環系の第1の位置に位置するポンプ10でカニューレ(図示せず)の第1の端部に結合されてもよく、出力流Foは、分散されてカニューレの第1の端部に入り、循環系の第2の位置にあるカニューレの第2の端部に血液の出力流を分配する。
図1に示すような血流は、環状開口部22が入力であり、端部46の軸方向ポート24が出力であるように(例えば、インペラ16の逆方向またはインペラブレードの配向によって)逆転され得ることも理解される。
【0033】
ロータ14の径方向の支持は、ロータシャフト45の外側ベアリング面と、ポンプハウジング12の円筒穴40の内側ベアリング面との相対運動の作用によって提供される。これにより、流体力学的径方向ベアリングまたはジャーナルベアリングが生み出される。特に、内側ベアリング面に対するロータ14の相対運動によって生成される流体力学的スラスト力は、円筒穴40内のロータの径方向サスペンションの主要なまたは唯一の源である。ジャーナルベアリングは、ロータシャフト45の外径と穴40の内径の関数である環状隙間(リーク経路)32を形成するサイズである。好ましい実施形態では、環状隙間は、0.002インチ~0.003インチのサイズである。
図1のイメージは、主にポンプ10の流れ特性を示す目的を例示するために、(他の構成要素の寸法に関して)漏出経路32のはるかに大きな隙間を示すことが理解される。
【0034】
ジャーナルベアリング構造は、せん断応力を最小限に抑え、出力流Foおよび軸方向入力流Fiと共に、穴40の入口にある軸方向漏出入口からロータ14の半球状端部36に向かって後方に、そして最終的には径方向ポート34を出る漏出流FLを促進する。漏出流FLは、ロータ14の幾何形状(すなわちポンピング溝)によって駆動される。リーク経路の流れFLの方向は、ロータ14の幾何形状に基づいて(この実施形態に示されている方向から)逆にすることができる。
【0035】
すべての接合面は、好ましくは、伝達漏出経路32に沿った連続的な相対運動である。このようなクリアランスが狭く流れが少ない表面はすべて、運動に伴って継続的に洗い流される。これにより、溶血や血栓症などの生理学的悪影響を最小限に抑えることで、血液適合性が最適化される。特に、Fi>>FLであるために溶血が最小限に抑えられる。他の血液適合性因子、例えばフォンウィルブランド因子、血小板の活性化なども、プラスの影響を受ける可能性がある。可動部分を通る能動的な漏出流路32が、穴40内の露出面の能動的な洗浄を可能にする。これは、一般に血栓形成を悪化させるシールの要件を緩和し、したがって、本実施形態は、インプラントとしての寿命を向上させる。
【0036】
好ましい実施形態では、ロータシャフト45および円筒穴40のベアリング面、ならびに以下の様々な実施形態で開示される他の同様のベアリング面は、ロータ14に追加の安定性と流れ特性を提供するために、2016年5月2日に提出されたPCT国際出願番号PCT/US16/30445に示されているように、モータを通るリーク経路32内に1つまたは複数の径方向ベアリングおよび/または半球状/軸方向ベアリング(両方とも図示せず)を含み得る。一実施形態では、ロータシャフト45の円筒面の一部は、三葉の径方向ベアリングを備えてもよく、これは一般に、基部直径部(図示せず)から外向きに延出する3つのランド(図示せず)を備え、各ランドと基部直径部とを移行するテーパ(図示せず)を有する。
【0037】
また、ロータ14には、ロータ14の半球状端部36に配置された溝付き半球状スラストベアリング(図示せず)が組み込まれてもよい。1つの構成では、軸方向スラストベアリングは、3つの掃引テーパ付き溝(図示せず)を含む。カップ状の内側穴面38を有するロータ端部38のスラストベアリングインターフェースは、圧力差、したがってポンピング機構を提供して、漏出経路32を通る流れを促進するように構成される。溝はロータの中心付近で最も深く、中心から外側に向かって(径方向に)浅い‐深い‐浅い構成になっている。スラストベアリングは、浅い深さから深い深さに移行する遠位先端部で最も低く、溝の出口で最も高い低圧領域を作り出し、大幅な径方向の安定性を提供する。この圧力は、軸方向に分散された推力を生み出し、漏出経路32への流れを促進すると同時に、径方向の安定性も提供する。
【0038】
半球状スラストベアリングおよび/または径方向ベアリングはまた、血液が径方向ポート34に入り、リーク経路32内を逆行して流れ、穴40から出てハウジングの前端部46に向かうように、リーク経路32内の血液流FLを逆転させるように構成され得ることも理解される。
【0039】
径方向の段42は、カニューレ(図示せず)または他の導管の結合を支持するために組み込まれ得る。
【0040】
次に
図3および
図4に示す実施形態を参照すると、
図3は、本明細書による混合流の流体力学を備えた径方向モータを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリ50の側断面図を示す。
図4は、
図3のポンプアセンブリ50の斜視図である。
【0041】
ポンプアセンブリ50は、第1および第2の端部86、88をそれぞれ有するポンプハウジング52と、ハウジング52内に回転可能に配置されるように構成されたロータ54とを備える。これらのコンポーネントは、次のように互いに対して特定の方法で構成される。
【0042】
ハウジング52は、ロータ54のインペラ56を収容するように構成された中央穴58につながる端部86に軸方向入口を含む。インペラ56は一般に、複数のらせん状の掃引ブレードを備える。
図1の実施形態とは異なり、ポンプアセンブリ50には、ロータブレードのみを有する、すなわち、ステータブレードのない混合流の流体力学が組み込まれている。
図3に示すそのようなインペラブレード56の特定の構成および相対的配置は、有益な使用と考えられるが、当業者には明らかであるように、他の構成が採用されてもよい。この構成では、穴58は、端部86からインペラブレード56に向かって増加する断面または直径を有する。中央穴58とインペラ56の組み合わせは、血流Fiを中央穴58に引き込むように構成されたポンプ室として動作する。
【0043】
ハウジング52は、端部86から始まり、かつハウジング52の端部88に向かって軸方向に延出するが端部88には届かない第1のセクション70を有する。第1のハウジングセクション70の遠位は、ハウジング52の残りの部分の直径よりも大きい直径で終端し、第1のセクション70は、中央穴58の遠端で中央穴58と連通する環状開口部60を形成するようになっている。環状開口部60は、円筒穴またはポンプ室58からの軸方向出口流れFOAのために軸方向を向いた出口を形成する。さらに、血流FORは、複数の径方向ポート62を介して中央穴58から径方向外側に向けられる。この考察の目的のために、「径方向ポート」は、本明細書では、流れの方向に対して少なくとも径方向成分を有するポートであると定義される。ポンプ50の構成は、ハウジング52内に3つの径方向ポート62を有するものとして
図3および
図4に示されている。しかしながら、任意の数のポートが含まれ得ることが理解される。
【0044】
ロータ54は、インペラ56の反対側に、カップ状の円錐ベアリング面82と、円筒穴76内に配置されるように構成されているロータシャフト64とを備える。円筒穴76は、2つの表面間のジャーナルベアリング嵌合を介して、ロータシャフト64の外側ベアリング面に接合する内側ベアリング面を形成するようなサイズである。したがって、円筒穴76およびロータシャフト64のベアリング面は、流体力学的ジャーナルベアリングを形成する。形成された流体力学的ベアリングは、ロータシャフトのベアリング面と内側ベアリング面との間の間隔の機能であり、ロータシャフト64の長さの少なくともかなりの部分に沿って、血液がベアリング内を潤滑および流動するための環状隙間またはリーク経路72を含む。リーク経路72は、ロータ54のカップ状の円錐面82とハウジング52の対向する円錐面80との間に形成された円錐ベアリング入口から始まり、ロータシャフト64/円筒穴76インターフェースの長さに沿って延出し、径方向出口ポート84で終端する。
【0045】
図3の動作構成で示すようなポンプアセンブリ50の通常動作中、ハウジング52内のロータ54の回転運動は、一般に、ロータシャフト64およびハウジング52のベアリング面内にそれぞれ配置されたロータ磁石65とロータステータ66とを含む磁気駆動の径方向モータまたはアクチュエータによって達成される。中実のロータシャフト64は、モータステータ66と相互作用する1つまたは複数のロータ磁石を収容する。モータステータ66は、導電コイル(図示せず)を含み、導電コイルは、リード線を介して電源(図示せず)に結合するように適合され、ロータ磁石に対して位置決めされて磁束隙間モータインターフェースを形成し、電源による作動時の動作モードでは、モータステータ66のコイルを流れる電流が磁束場を作り出し、磁束場は、ロータ54とハウジング52との間の磁束隙間クリアランス(すなわち、漏出経路72)を横切って延在し、ロータ54にトルクを与え、かつロータ54をジャーナルベアリングのクリアランスの円筒穴76内で回転させるのに十分な程度にロータ磁石を変位させる。モータステータコイル66は、ロータ磁石に対して軸方向にオフセットされて、ハウジングの穴76内へのロータシャフト64の軸方向力または予荷重を形成し得ることも理解される。
【0046】
ポンプハウジング52内でロータ54が回転すると、インペラ56は、血流Fiを端部86の軸方向入口から内側に、そして中央穴58によって画定されるポンプ室に引き込む。血液は、ロータシャフト64および円筒穴76の長手方向軸に対してインラインで軸方向ポートに向けられる。血液の入口流れFiおよび血液の出口流れFOAの方向は、主に軸方向であるが、径方向出口流れFORは、少なくとも有意な径方向成分を有する。端部86の軸方向ポートは、循環系の第1の位置に位置するポンプ50でカニューレ(図示せず)の第1の端部に結合され得、出力流F
0は、分散されてカニューレの第1の端部に入り、循環系の第2の位置にあるカニューレの第2の端部に血液の出力流を分配する。また、
図3に示すような血流は、環状開口部60およびポート62が入力であり、端部86の軸方向ポートが出力であるように(例えば、インペラ56の逆方向またはインペラブレードの配向によって)逆転され得ることも理解される。
【0047】
ロータ14の径方向支持は、円錐ベアリングと、ロータシャフト64の外側ベアリング面と円筒穴76の内側ベアリング面との間の相対運動の作用によって提供される。これにより、流体力学的径方向ベアリングまたはジャーナルベアリングが生み出される。特に、内側ベアリング面に対するロータ54の相対運動によって生成される流体力学的スラスト力は、円筒穴76内のロータの径方向サスペンションの主要なまたは唯一の源である。ジャーナルベアリングは、ロータシャフト64の外径と穴76の内径との間に環状隙間72を形成するサイズである。好ましい実施形態では、環状隙間は、0.002インチ~0.003インチのサイズである。
【0048】
漏出流FLは、ロータ54の幾何形状(すなわち、ポンピング溝)によって駆動される。リーク経路の流れFLの方向は、ロータ54の幾何形状に基づいて(この実施形態に示されている方向から)逆にすることができる。
【0049】
すべての接合面は、好ましくは、伝達に沿った連続的な相対運動である。Fi>>FLであるため、このようなクリアランスが狭く流れが少ない漏出経路72に沿った表面はすべて、運動に伴って継続的に洗い流され、溶血や血栓症、またはその他の生理的悪影響が最小限に抑えられる。可動部分を通る能動的な漏出流路72が、穴76および円錐ベアリング内の露出面の能動的洗浄を可能にする。
【0050】
好ましい実施形態では、ロータ54に追加の安定性と流れ特性を提供するために、2016年5月2日に提出されたPCT国際出願番号PCT/US16/30445で提供されるように、ロータシャフト64および円筒穴76のベアリング面は、モータを通るリーク経路76内に径方向ベアリング(図示せず)および円錐流体力学的ベアリングとを備え得る。一実施形態では、ロータシャフト64の円筒面の一部は、三葉の径方向ベアリングを備えてもよく、これは一般に、基部直径部(図示せず)から外向きに延出する3つのランド(図示せず)を備え、各ランドと基部直径部とを移行するテーパ(図示せず)を有する。
【0051】
また、ロータ54には、それぞれロータ54およびハウジング52の円錐面82および80を介して形成される円錐スラストベアリングが組み込まれてもよい。この構成では、軸方向スラストベアリングは、シャフト64から径方向外向きに横切る長手方向に配向されている3つの溝(図示せず)を含む。スラストベアリングは、圧力差、したがってポンピング機構を提供して、漏出経路72を通る流れを促進するように構成される。円錐ベアリングは、半球状ベアリングに似ており、1組の溝/機能で径方向と軸方向の力/圧力の両方を生成できる。いくつかの実施形態では、円錐軸方向ベアリングの設計は、長手方向溝の代わりに、またはそれに加えて、テーパ付きランド溝(図示せず)を含み得る。
【0052】
また、カニューレ(図示せず)または他の導管の結合を支持するために、端部86に径方向フランジ74が組み込まれてもよい。
【0053】
次に
図5および
図6に示す実施形態を参照すると、
図5は、本明細書による混合流の流体力学を備えた軸方向モータを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリ100の側断面図を示す。
図6は、
図5のポンプアセンブリ100の斜視図である。
図5および
図6の軸方向モータ構成は、径方向モータおよび内部ジャーナルベアリング構成に一般に存在する軸方向長さを減少させる。
【0054】
ポンプアセンブリ100は、第1および第2の端部136、138をそれぞれ有するポンプハウジング102と、ハウジング102内に回転可能に配置されるように構成されたロータ104とを備える。これらのコンポーネントは、次のように互いに対して特定の方法で構成される。
【0055】
ハウジング102は、ロータ104のインペラ106を収容するように構成された中央穴108につながる端部136に軸方向入口を含む。インペラ106は、一般に、複数のらせん状の掃引ブレードを備える。
図1の実施形態とは異なり、ポンプアセンブリ100には、ロータブレードのみを有する混合流の流体力学が組み込まれている。
図5に示すそのようなインペラブレード106の特定の構成および相対的配置は、有益な使用と考えられるが、当業者には明らかであるように、他の構成が採用されてもよい。この構成では、穴108は、端部136からインペラブレード106に向かって増加する断面または直径を有する。中央穴108とインペラ106の組み合わせは、血流Fiを中央穴108に引き込むように構成されたポンプ室として動作する。
【0056】
ハウジング102は、端部136から始まり、ハウジング102の端部138に向かって軸方向に延出するが端部138には届かない第1のセクション120を有する。第1のハウジングセクション120の遠位は、ハウジング102の残りの部分の直径よりも大きい直径で終端し、第1のセクション120は、中央穴108の遠端で中央穴108と連通する環状開口部110を形成するようになっている。環状開口部110は、円筒穴またはポンプ室108からの軸方向出口流れFOAのために軸方向を向いた出口を形成する。さらに、血流FORは、複数の径方向ポート112を介して中央穴108から径方向外側に向けられる。ポンプ100の構成は、ハウジング102に3つの径方向ポート112を有するものとして
図5および
図6に示されている。しかしながら、任意の数のポートが含まれ得ることが理解される。
【0057】
ロータ104は、インペラ106の反対側に、流体力学的ジャーナルベアリングを形成するために2つの表面間のジャーナルベアリング嵌合を介してハウジング102の円錐面124と接合するように構成されたカップ状の円錐ベアリング面122を備える。形成された流体力学的ベアリングは、円錐面124と接合するように構成されたカップ状の円錐ベアリング面122間の間隔の機能であり、血液がベアリング内を潤滑および流動するための隙間またはリーク経路126を含む。
【0058】
図5の動作構成で示すようなポンプアセンブリ100の通常動作中、ハウジング102内のロータ104の回転運動は、一般に、ロータ104およびハウジング102のベアリング面内にそれぞれ配置された1つまたは複数のロータ磁石114とロータステータ116とを含む磁気駆動の軸方向モータまたはアクチュエータによって達成される。モータステータ116は、導電コイル(図示せず)を含み、導電コイルは、リード線を介して電源(図示せず)に結合するように適合され、ロータ磁石に対して位置決めされて磁束隙間モータインターフェースを形成し、電源による作動時の動作モードでは、モータステータ116のコイルを流れる電流が磁束場を作り出し、磁束場は、ロータ104とハウジング102との間の磁束隙間クリアランス(すなわち、漏出経路126)を横切って延在し、ロータ104にトルクを与え、かつロータ104をジャーナルベアリングのクリアランス内で回転させるのに十分な程度にロータ磁石を変位させる。
【0059】
ポンプハウジング102内でロータ104が回転すると、インペラ106は、血流Fiを端部136で軸方向入口から内側に、そして中央穴108によって画定されるポンプ室に引き込む。血液は、ロータ104の長手方向軸または回転軸に対してインラインで軸方向ポートに向けられる。血液の入口流れFiおよび血液の出口流れFOAの方向は、主に軸方向であるが、径方向出口流れFORは、少なくとも有意な径方向成分を有する。端部136の軸方向ポートは、循環系の第1の位置に位置するポンプ100でカニューレ(図示せず)の第1の端部に結合され、出力流F
0は、分散されてカニューレの第1の端部に入り、循環系の第2の位置にあるカニューレの第2の端部に血液の出力流を分配する。また、
図5に示すような血流は、環状開口部110およびポート112が入力であり、端部136の軸方向ポートが出力であるように、(例えば、インペラ106の逆方向またはインペラブレードの配向によって)逆転され得ることが理解される。
【0060】
ロータ104の径方向の支持は、流体力学的円錐ベアリングと、ベアリング面122および124間の相対運動の作用とによって提供される。これにより、流体力学的径方向ベアリングまたはジャーナルベアリングが生み出される。特に、内側ベアリング面に対するロータ104の相対運動によって生成される流体力学的スラスト力は、中央穴108内のロータの径方向サスペンションの主要なまたは唯一の源である。ジャーナルベアリングは、0.002インチ~0.003インチのサイズの隙間またはリーク経路126を形成するサイズである。
【0061】
リーク経路126内の漏出流は、ロータ104またはハウジング102の幾何形状(すなわち、ポンピング溝)によって駆動される。リーク経路の流れの方向は、ロータ104の幾何形状に基づいて逆にすることができる。このようなクリアランスが狭く流れが少ない漏出経路126に沿った表面はすべて、運動に伴って継続的に洗い流され、可動部分を通る能動的な漏出流路126が露出面の能動的洗浄を可能にするため、溶血および血栓症を最小限に抑えることができる。
【0062】
好ましい実施形態では、ベアリング面は、ロータ104に追加の安定性と流れ特性を提供するために、2016年5月2日に提出されたPCT国際出願番号PCT/US16/30445で提供されるように、モータを通るリーク経路126内に円錐流体力学的ベアリングを含む。円錐スラストベアリングは、ロータ104およびハウジング102の円錐面122、124を介して形成される。この構成では、軸方向スラストベアリングは、ロータ104の中心から径方向外向きに横切る長手方向に配向されている3つの溝(図示せず)を含む。スラストベアリングは、圧力差、したがってポンピング機構を提供して、漏出経路126を通る流れを促進するように構成されている。円錐ベアリングは、半球状ベアリングに似ており、1組の溝/機能で径方向と軸方向の力/圧力の両方を生成できる。いくつかの実施形態では、円錐軸方向ベアリングの設計は、長手方向溝の代わりに、またはそれに加えて、テーパ付きランド溝(図示せず)を含み得る。
【0063】
また、カニューレ(図示せず)または他の導管の結合を支持するために、端部136に径方向フランジ130が組み込まれてもよい。
【0064】
次に
図7および
図8に示す実施形態を参照すると、
図7は、本明細書による混合流の流体力学を備えた軸方向モータを有する代替の最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリ150の側断面図を示す。
図8は、
図7のポンプアセンブリ150の斜視図である。
【0065】
ポンプアセンブリ150は、第1および第2の端部186、188をそれぞれ有するポンプハウジング152と、ハウジング152内に回転可能に配置されるように構成されたロータ154とを備える。これらのコンポーネントは、次のように互いに対して特定の方法で構成される。
【0066】
ハウジング152は、ロータ154のインペラ156を収容するように構成された中央穴158につながる端部186に軸方向入口を含む。インペラ156は、一般に、複数のらせん状の掃引ブレードを備える。
図1の実施形態とは異なり、ポンプアセンブリ150には、ロータブレードのみを有する混合流の流体力学が組み込まれている。
図7に示すそのようなインペラブレード106の特定の構成および相対的配置は、有益な使用と考えられるが、当業者には明らかであるように、他の構成が採用されてもよい。この構成では、穴158は、端部186からインペラブレード106に向かって増加する断面または直径を有する。中央穴158とインペラ156の組み合わせは、血流Fiを中央穴158に引き込むように構成されたポンプ室として動作する。
【0067】
ハウジング152は、端部186から始まり、ハウジング152の端部188に向かって軸方向に延出するが端部188には届かない第1のセクション170を有する。第1のハウジングセクション170の遠位は、ハウジング152の残りの部分の直径よりも大きい直径で終端し、第1のセクション170は、中央穴108の遠端で中央穴108と連通する環状開口部160を形成するようになっている。環状開口部160は、円筒穴またはポンプ室158からの軸方向出口流れFOAのために軸方向を向いた出口を形成する。さらに、血流FORは、複数の径方向ポート162を介して中央穴158から径方向外側に向けられる。ポンプ150の構成は、ハウジング152に3つの径方向ポート162を有するものとして
図7および
図8に示されている。しかしながら、任意の数のポートが含まれ得ることが理解される。
【0068】
ロータ154は、インペラ156の反対側に、ハウジング152の円錐面180と接合するように構成されたカップ状の円錐ベアリング面182と、対応する表面間のジャーナルベアリング嵌合を介してハウジングの円筒シャフト176の周りに嵌合する円筒穴174とを備えて、流体力学的ジャーナルベアリングを形成する。形成された流体力学的ベアリングは、円錐面180と接合するように構成されたカップ状の円錐ベアリング面182と、円筒シャフト176の周囲に嵌合する円筒穴174との間の間隔の機能であり、血液がベアリング内を潤滑および流動するための連続的な隙間またはリーク経路172を形成する。
【0069】
図7の動作構成で示すようなポンプアセンブリ150の通常動作中、ハウジング152内のロータ154の回転運動は、一般に、ロータ154およびハウジング152のベアリング面内にそれぞれ配置された1つまたは複数のロータ磁石164とロータステータ166とを含む磁気駆動の軸方向モータまたはアクチュエータによって達成される。モータステータ166は、導電コイル(図示せず)を含み、導電コイルは、リード線を介して電源(図示せず)に結合されるように適合され、ロータ磁石に対して位置決めされて磁束隙間モータインターフェースを形成し、電源による起動時のモードでは、モータステータ166のコイルを流れる電流は、ロータ154とハウジング152との間の磁束隙間クリアランス(すなわち、漏出経路172)を横切って延在し、ロータ154にトルクを与え、かつロータ154をジャーナルベアリングのクリアランス内で回転させるのに十分な程度にロータ磁石を変位させる。
【0070】
ポンプハウジング152内でロータ154が回転すると、インペラ156は、血流Fiを端部186の軸方向入口から内側に、そして中央穴158によって画定されるポンプ室内に引き込む。血液は、ロータ154の長手方向軸または回転軸に対してインラインで軸方向ポートに向けられる。血液の入口流れFiおよび血液の出口流れFOAの方向は主に軸方向であるが、径方向出口流れFORは少なくとも有意な軸方向成分を有する。端部186の軸方向ポートは、循環系の第1の位置に位置するポンプ150でカニューレ(図示せず)の第1の端部に結合され得、出力流F
0は、分散されてカニューレの第1の端部に入り、循環系の第2の位置にあるカニューレの第2の端部に血液の出力流を分配する。また、
図7に示すような血液の流れは、環状開口部160およびポート162が入力であり、端部186の軸方向ポートが出力であるように、(例えば、インペラ156の逆方向またはインペラブレードの配向によって)逆転され得ることが理解される。
【0071】
ロータ154の径方向支持は、流体力学的円錐ベアリングと、ベアリング面122および124間、ハウジングシャフト176の外側ベアリング面および円筒穴174の内側ベアリング面間の相対運動の作用によって提供される。これにより、流体力学的径方向ベアリングまたはジャーナルベアリングが生み出される。特に、内側ベアリング面に対するロータ154の相対運動によって生成される流体力学的スラスト力は、ハウジングシャフト176上のロータの径方向サスペンションの主要なまたは唯一の源である。ジャーナルベアリングは、0.002インチ~0.003インチのサイズの隙間またはリーク経路172を形成するサイズである。
【0072】
リーク経路172内の漏出流は、ロータ154またはハウジング152の幾何形状(すなわち、ポンピング溝)によって駆動される。リーク経路の流れの方向は、ロータ154の幾何形状に基づいて逆にすることができる。このようなクリアランスが狭く流れが少ない漏出経路172に沿った表面はすべて、運動に伴って継続的に洗い流され、可動部分を通る能動的な漏出流路172が露出面の能動的洗浄を可能にするため、溶血および血栓症を最小限に抑えることができる。
【0073】
好ましい実施形態では、ベアリング面は、ロータ154に追加の安定性と流れ特性を提供するために、2016年5月2日に提出されたPCT国際出願番号PCT/US16/30445で提供されるように、モータを通るリーク経路172内に径方向ベアリング(図示せず)と円錐流体力学的ベアリングとを含む。円錐スラストベアリングは、それぞれロータ154およびハウジング152の円錐面182および180を介して形成される。この構成では、軸方向スラストベアリングは、ロータ154の中心から径方向外向きに横切る長手方向に配向されている3つの溝(図示せず)を含む。スラストベアリングは、圧力差、したがってポンピング機構を提供して、漏出経路172を通る流れを促進するように構成される。円錐ベアリングは、半球状ベアリングに似ており、1組の溝/機能で径方向と軸方向の力/圧力の両方を生成できる。いくつかの実施形態では、円錐軸方向ベアリングの設計は、長手方向溝の代わりに、またはそれに加えて、テーパ付きランド溝(図示せず)を含み得る。
【0074】
また、カニューレ(図示せず)または他の導管の結合を支持するために、端部186に径方向フランジ184が組み込まれてもよい。
【0075】
次に
図9および
図10に示す実施形態を参照すると、
図9は、本明細書による混合流の流体力学を備えた両面軸方向モータを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリ200の側断面図である。
図10は、
図9のポンプ200の斜視図である。
【0076】
ポンプアセンブリ200は、第1および第2の端部236、238をそれぞれ有するポンプハウジング202と、ハウジング202内に回転可能に配置されるように構成されたロータ204とを備える。これらのコンポーネントは、次のように互いに対して特定の方法で構成される。
【0077】
ハウジング202は、ロータ204のインペラ206を収容するように構成された中央穴208につながる端部236に軸方向入口を含む。インペラ206は、一般に、複数のらせん状の掃引ブレードを含む。ポンプアセンブリ200には、ロータブレードのみを有する混合流の流体力学が組み込まれている。
図9に示すそのようなインペラブレード206の特定の構成および相対的配置は、有益な使用と考えられるが、当業者には明らかであるように、他の構成が採用されてもよい。この構成では、穴208は、端部236からインペラブレード206に向かって増加する断面または直径を有する。中央穴208とインペラ206の組み合わせは、血流Fiを中央穴208に引き込むように構成されたポンプ室として動作する。
【0078】
ハウジング202は、端部136から始まり、ハウジング202の端部238に向かって軸方向に延出するが端部238には届かない第1のセクション220を有する。第1のハウジングセクション220の遠位は、ハウジング202の残りの部分の直径よりも大きい直径で終端し、第1のセクション220は、中央穴208の遠端で中央穴208と連通する環状開口部210を形成するようになっている。環状開口部210は、円筒穴またはポンプ室208からの軸方向出口流れFOAのために軸方向を向いた出口を形成する。さらに、血流FORは、複数の径方向ポート212を介して中央穴208から径方向外側に向けられる。ポンプ200の構成は、ハウジング202に3つの径方向ポート212を有するものとして
図9および
図10に示されている。しかしながら、任意の数のポートが含まれ得ることが理解される。
【0079】
ロータ204は、インペラ206の反対側に、
図3に示されるカップ状の円錐面80および82と同様のカップ状の円錐ベアリング230を含む。ロータシャフト224は、ベアリングカップ状円錐ベアリング230の遠位側に配置され、円筒穴226内に配置される。円筒穴226は、上記で詳述したように、2つの表面間のジャーナルベアリング嵌合を介して、ロータシャフト224の外側ベアリング面に接合する内側ベアリング面を形成するようなサイズである。第2の対向するカップ状の円錐ベアリング231は、第1のカップ状の円錐ベアリング230からシャフト224の反対側に配置される。好ましい実施形態では、リーク経路232および対応する流体力学的ベアリングは、円錐ベアリング230、231およびシャフト224/円筒穴226インターフェースから形成される円筒ベアリングを含む3つのベアリング面のうちの2つを通して形成される。例えば、両方の円錐ベアリングインターフェース230、231は、流体力学的ベアリングであってもよく、シャフト224/円筒穴226インターフェースは、非流体力学的であるように、より開いた隙間である。あるいは、円錐ベアリングインターフェース230、231のうちの1つは、シャフト224/円筒穴226インターフェースと共に、流体力学的ベアリングであり得、流体力学的ベアリングであり得る。
【0080】
形成された流体力学的ベアリングは、例えば、円筒穴226とハウジング202の対向する円錐面など、ロータシャフトのベアリング面と内側ベアリング面との間の間隔の機能であり、ベアリング内を潤滑および流動するための特定の隙間である。リーク経路232は、円錐ベアリング230に形成された円錐ベアリング入口で始まり、ロータシャフト224/円筒穴226インターフェースの長さに沿って延出し、第2の円錐ベアリング231を通って径方向出口ポート234で終端する。Fi>>FLであるため、動作中、漏出経路232に沿った流れの少ない表面はすべて、運動に伴って継続的に洗い流され、溶血と血栓症を最小限に抑えることができる。可動部分を通る能動的な漏出流路232は、穴232および円錐ベアリング内の露出面の能動的洗浄を可能にする。
【0081】
図9の動作構成で示すようなポンプアセンブリ200の通常動作中、ハウジング202内のロータ204の回転運動は、一般に、磁気駆動の両面軸方向モータまたはアクチュエータを介して達成される。両面軸方向モータは、円錐ベアリング230/231インターフェースと平行にロータ204の両面に配置されたロータ磁石214と、ハウジング202のベアリング面内に配置されたロータステータ216とを備える。モータステータ216は、導電コイル(図示せず)を含み、導電コイルは、リード線を介して電源(図示せず)に結合されるように適合され、ロータ磁石に対して位置決めされて磁束隙間モータインターフェースを形成し、電源による起動時のモードでは、モータステータ216のコイルを流れる電流は、ロータ204とハウジング202との間の磁束隙間クリアランス(すなわち、漏出経路232)を横切って延在し、ロータ204にトルクを与え、かつロータ204をジャーナルベアリングのクリアランス内で回転させるのに十分な程度にロータ磁石を変位させる。
【0082】
ポンプハウジング202内でロータ204が回転すると、インペラ206は、血流Fiを端部236の軸方向入口から内側に、そして中央穴208によって画定されるポンプ室に引き込む。血液は、ロータシャフト224および円筒穴226の長手方向軸に対してインラインで軸方向ポートに向けられる。血液の入口流れFiおよび血液の出口流れFOAの方向は主に軸方向であるが、径方向出口流れFORは少なくとも有意な軸方向成分を有する。端部236の軸方向ポートは、循環系の第1の位置に位置するポンプ200でカニューレ(図示せず)の第1の端部に結合され得、出力流F
0は、分散されてカニューレの第1の端部に入り、循環系の第2の位置にあるカニューレの第2の端部に血液の出力流を分配する。また、
図9に示すような血流は、環状開口部210およびポート212が入力であり、端部236の軸方向ポートが出力であるように、(例えば、インペラ206の逆方向またはインペラブレードの配向によって)逆転され得ることが理解される。
【0083】
漏出流FLは、ロータ204の幾何形状(すなわち、ポンピング溝)によって駆動される。リーク経路の流れFLの方向は、ロータ204の幾何形状に基づいて(この実施形態に示されている方向から)逆にすることができる。
【0084】
好ましい実施形態では、ロータ204に追加の安定性と流れ特性を提供するために、2016年5月2日に提出されたPCT国際出願番号PCT/US16/30445で提供されるように、ロータシャフト224および円筒穴226のベアリング面は、モータを通るリーク経路232内に径方向ベアリング(図示せず)および円錐流体力学的ベアリングとを備え得る。一実施形態では、ロータシャフト224の円筒面の一部は、三葉の径方向ベアリングを備えてもよく、これは一般に、基部直径部(図示せず)から外向きに延出する3つのランド(図示せず)を備え、各ランドと基部直径部とを移行するテーパ(図示せず)を有する。
【0085】
また、ロータ204には、円錐面230および231を介して形成される円錐スラストベアリングが組み込まれてもよい。この構成では、軸方向スラストベアリングは、シャフト224から径方向外向きに横切る長手方向に配向されている3つの溝(図示せず)を含む。スラストベアリングは、圧力差、したがってポンピング機構を提供して、漏出経路232を通る流れを促進するように構成される。円錐ベアリングは、半球状ベアリングに似ており、1組の溝/機能で径方向と軸方向の力/圧力の両方を生成できる。いくつかの実施形態では、円錐軸方向ベアリングの設計は、長手方向溝の代わりに、またはそれに加えて、テーパ付きランド溝(図示せず)を含み得る。
【0086】
また、カニューレ(図示せず)または他の導管の結合を支持するために、端部236に径方向フランジ222が組み込まれてもよい。
【0087】
次に、
図11および
図12に示す実施形態を参照すると、
図11は、本明細書による混合流の流体力学を備えた密封された径方向モータを有する最小侵襲血管内循環補助ポンプアセンブリ250の側断面図である。
図12は、
図11のポンプ250の斜視図である。
【0088】
ポンプアセンブリ250は、第1および第2の端部286、288をそれぞれ有するポンプハウジング252と、ハウジング252内に回転可能に配置されるように構成されたロータ254とを備える。これらのコンポーネントは、次のように互いに対して特定の方法で構成される。
【0089】
ハウジング252は、ロータ254のインペラ256を収容するように構成された中央穴258につながる端部286に軸方向入口を含む。インペラ256は、一般に、複数のらせん状の掃引ブレードを含む。ポンプアセンブリ250には、ロータブレードのみを有する混合流の流体力学が組み込まれている。
図11に示すそのようなインペラブレード256の特定の構成および相対的配置は、有益な使用と考えられるが、当業者には明らかであるように、他の構成が採用されてもよい。この構成では、穴258は、端部286からインペラブレード256に向かって増加する断面または直径を有する。中央穴258とインペラ256の組み合わせは、血流Fiを中央穴258に引き込むように構成されたポンプ室として動作する。
【0090】
ハウジング252は、端部286から始まり、ハウジング252の端部288に向かって軸方向に延出するが端部288には届かない第1のセクション280を有する。第1のハウジングセクション280の遠位は、ハウジング252の残りの直径よりも大きい直径で終端し、第1のセクション280は、中央穴258の遠端で中央穴258と連通する環状開口部260を形成するようになっている。環状開口部260は、円筒穴またはポンプ室258からの軸方向出口流れFOAのために軸方向を向いた出口を形成する。さらに、血流FORは、複数の径方向ポート272を介して中央穴258から径方向外側に向けられる。ポンプ250の構成は、ハウジング252内に3つの径方向ポート272を有するものとして
図5および
図6に示されている。しかしながら、任意の数のポートが含まれ得ることが理解される。
【0091】
ロータ254は、インペラ256の反対側に、流体力学的ジャーナルベアリングを形成するために2つの表面間のジャーナルベアリング嵌合を介してハウジング252の平面ベアリング面282と接合するように構成される平面ベアリング面284を備える。形成された流体力学的ベアリングは、接合平面282/284間の間隔の機能であり、血液がベアリング内を潤滑および流動するための隙間またはリーク経路274を含む。
【0092】
図11の動作構成で示すようなポンプアセンブリ250の通常動作中、ハウジング252内のロータ254の回転運動は、一般に、すべて密閉キャビティ264内に配置されている1つまたは複数の磁石268を有する内部ロータ262を駆動するロータステータ266を含む、磁気駆動の密封された径方向モータまたはアクチュエータによって達成される。モータステータ266は、リード線を介して電源(図示せず)に結合されるように適合された導電性コイル(図示せず)を備える。内部ロータ、したがって磁石268の運動は、ロータ254内の対応する磁石270と結合する回転磁場を作り出し、この磁場は、ロータ254とハウジング252との間のクリアランス(すなわち、漏出経路275)を横切って延在し、ロータ254にトルクを与え、かつロータ254を回転させるのに十分な程度にロータ磁石270を変位させる。
【0093】
ポンプハウジング252内でロータ254が回転すると、インペラ256は、血流Fiを端部286の軸方向入口から内側に、そして中央穴258によって画定されるポンプ室内に引き込む。血液は、ロータ254の長手方向軸または回転軸に対してインラインで軸方向ポートに向けられる。血液の入口流れFiおよび血液の出口流れFOAの方向は主に軸方向であるが、径方向出口流れFORは少なくとも有意な軸方向成分を有する。端部286の軸方向ポートは、循環系の第1の位置に位置するポンプ250でカニューレ(図示せず)の第1の端部に結合され得、出力流F
0は、分散されてカニューレの第1の端部に入り、循環系の第2の位置にあるカニューレの第2の端部に血液の出力流を分配する。また、
図11に示すような血流は、環状開口部260およびポート272が入力であり、端部286の軸方向ポートが出力であるように、(例えば、インペラ256の逆方向またはインペラブレードの配向によって)逆転され得ることが理解される。
【0094】
ロータ254は、最初に、リーク経路274を横切る磁気結合によって支持され、その結果、流体力学的ベアリングが押し付ける磁気「予荷重」がもたらされる。この平坦なスラストベアリングへの負荷は、ロータ254の速度の関数として変化する(ロータの速度が速いほど、ロータ254は磁気結合から離れたがる)。
しかしながら、ロータの軸方向の並進は、インペラブレード256とシュラウド280の相互作用と幾何学的制約によって制限される。対向する表面は、機械的摩耗を低減するために、材料の選択と幾何学的形状によって最適化され得る。例えば、1つの幾何学的形状は、ブレード256の外側形状のテーパ(図示せず)として実装されて、近接したときに流体力学的ベアリング効果を誘発し得る。ポンプアセンブリ250について上記で詳述した幾何学的および流体力学的相互作用はまた、
図5および
図7のポンプアセンブリ100および150のために存在または使用され得、軸方向予荷重は、軸方向/径方向の混合磁気結合によって決定される。
【0095】
リーク経路274内の漏出流は、ロータ254またはハウジング252の幾何形状(すなわち、ポンピング溝)によって駆動される。リーク経路の流れの方向は、ロータ254の幾何形状に基づいて逆にすることができる。このようなクリアランスが狭く流れが少ない漏出経路274に沿った表面はすべて、運動に伴って継続的に洗い流され、可動部分を通る能動的な漏出流路274が露出面の能動的洗浄を可能にするため、溶血および血栓症を最小限に抑えることができる。
【0096】
好ましい実施形態では、ベアリング面は、ロータ254に追加の安定性と流れ特性を提供するために、2016年5月2日に提出されたPCT国際出願番号PCT/US16/30445で提供されるように、モータを通るリーク経路274内に平坦な流体力学的ベアリングを含む。平坦な軸方向スラストベアリングは、ロータ254の平坦な端部282に配置されてもよい。1つの構成では、軸方向スラストベアリングは、平坦な端部282に向かって横断する長手方向に配向されている3つの掃引テーパ付き溝を含む。スラストベアリングは、圧力差、したがってポンピング機構を提供して、漏出経路274を通る流れを促進するように構成される。フラットベアリングは、2つのベアリング機能のセット(1つは径方向、もう1つは軸方向)からもメリットを得る可能性がある。いくつかの実施形態では、スラストベアリング設計は、長手方向溝の代わりに、またはそれに加えて、テーパ付きランド溝(図示せず)を含み得る。
【0097】
また、カニューレ(図示せず)または他の導管の結合を支持するために、端部286に径方向フランジ276が組み込まれてもよい。
【0098】
ポンプ10、50、100、150、200および250のいずれかのポンプ本体またはハウジングに可撓性カニューレ(図示せず)を取り付けてもよい。そのような構成では、ポンプは、カニューレの第1の端部内から血液の入力流Fiを引き込み、カニューレの第2の端部は、循環系の異なる位置に位置決めされ得る。
【0099】
本開示の様々な装置/ポンプの実施形態は、本明細書に記載され、本開示の包括的なレビューに基づいて当業者には明らかであるように、最小侵襲および低侵襲の挿入方法を可能にする目的に大きな利益をもたらすことを理解されたい。限定ではないが、低侵襲の外科的埋め込みのために特に有益な2つの方法が開示されており、この方法は1)血管吻合なしの挿入、および2)血管吻合を伴う挿入を含む。
【0100】
最小侵襲の挿入は、開胸術や心肺バイパスなしでVAD(LV/LA、RV/RAなど)の実装を可能にするという点で、特に有益であると考えられる。中心血管アクセスは、血管内ポンプまたは特殊なカニューレを配置するために、例えば蛍光透視ガイダンスを使用して、末梢血管アクセスを介して達成されるという点で、特に有益であると考えられる。
【0101】
低侵襲の挿入は、限られた外科的切開を伴い心肺バイパスを伴わないLVADの設置を含む点で、特に有益であると考えられる。血管吻合の必要性を排除する方法はさらに、非常に有利であると考えられ、特定の本実施形態に従って有益に達成される。胸腔鏡技術によって促進される挿入方法への適応は、手順をさらに単純化し、特定の本実施形態によっても達成される。
【0102】
LVADSの最小侵襲の配置は、一般に、主に介入心臓専門医の領域に分類されると考えられる(ただし、他の適切な訓練を受けた有能な医師が本開示を実践できることは明らかである)。そのような介入療法士による使用のための適応は、特にそのような装置が一般に、1)非開胸血管アクセスを達成するための簡単な手段、2)末梢動脈への挿入に適した小型カニューレシステムおよび小型ポンプ、3)胸壁への皮下埋め込みに適した小型ポンプ、および4)携帯環境で数か月から数年にわたって確実に動作できるポンプのうちの少なくとも1つ、好ましくは2つ以上、またはすべてを可能にするという点で、特定の本実施形態によって提供される。長期間携帯で確実に動作することができる最小侵襲または低侵襲のLVAD埋め込みを提供する能力は、特定の本実施形態によって提示される特定の利点であり、以前の開示または使用の装置および方法ではこれまで不可能であった。
【0103】
特定の本実施形態によって、介入心臓専門医によく知られている経血管技術に基づく様々な方法が利用可能になる。そのような方法は、典型的には、大動脈弁を横切って逆行する可撓性カニューレの配置を採用して、ポンプへの流入導管として役立てる。流入カニューレの開胸以外の配置は、通常、末梢動脈アクセスを介して行われる。1つの例示的な方法は、経皮ワイヤを介して外部コントローラおよびバッテリから電力を受け取る小型血管内ポンプの配置を採用する。
【0104】
1つの特定の方法をさらに説明すると、動脈系の動脈内に配置される小型化されたポンプ(例えば、
図1~
図12に示すポンプ10、50、100、150、200および250のいずれか)を含むポンプシステムが採用される。流入カニューレは、大動脈弁を横切って逆行し、心臓の左心室に配置される。ポンプ出口は、動脈系の上行大動脈に位置決めされる。次に、血液が流入カニューレを介して左心室から除去され、入口ポートを介して上行大動脈に送り込まれ、それにより左心室を直接支援する。
【0105】
拡張期心不全(DFIF)は、ポンプを左心房(LA)に流入させ、大動脈に血液を送ることによっても支援され得る。
【0106】
すべての実施形態において、電力は、外部に装着したモータコントローラおよび充電式バッテリシステム(図示せず)から経皮ワイヤ(図示せず)を介してポンプ10、50、100、150、200および250に供給され得る。特定の一実施形態では、ワイヤは、鎖骨下動脈を介して外部システム構成要素からポンプに結合される。あるいは、経皮的電子伝達(TET)を介して給電される埋め込み型バッテリおよびコントローラが使用されてもよい。
【0107】
別の実施形態では、システムには、患者の胸部領域の皮下パウチ(図示せず)に位置するポンプの解剖学的配置が組み込まれ得る。ポンプの流入は、可撓性流入カニューレ(図示せず)と連続し、可撓性流入カニューレは、鎖骨下動脈に入り、大動脈弁を逆行して横断し左心室に入る。第2の流出カニューレは、ポンプの流出に接続し、血液を動脈系に戻す(この場合、対側鎖骨下動脈の吻合を介する)。このように構成されていると、血液は左心室から除去され、体循環に戻されるため、左心室を直接支援する。前述のシステムと同様に、経皮ワイヤを使用して、外部に装着されたモータコントローラおよび充電式バッテリシステムを介してポンプに電力を供給したり、ポンプを制御したりしてもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、ポンプシステム、インプラント構成、および外科的方法は、主要な血管壁への流入カニューレまたは流出カニューレの吻合を必要とせずに実施され得る。これらの非吻合方法は、心肺バイパスまたは血管グラフトの吻合を必要とせずに、ミニ開胸術または胸腔鏡アプローチに適合され得ることも理解されるべきである。
【0109】
別の実施形態において、ポンプシステムは、左心室に位置決めされ、大動脈弁を順行性に通過する出口カニューレを備えたポンプ(例えば、
図1~
図12に示すポンプ10、50、100、150、200および250のいずれか)を採用する。この外科的処置は、小規模な開胸術を介して実施され得る。このような方法によれば、心膜を開き、心室尖部に牽引力をかける。次に、穿刺技術と拡張器システムを使用して、薄壁のトロカールを心室腔に送り込む。次に、順流ポンプなどのポンプを左心室に送り込み、可撓性の流出カニューレ(図示せず)を大動脈弁を横切って順行で容易に進める。次に、アンカーアセンブリを使用してポンプを心室尖部に固定し、アンカーアセンブリは、当業者には明らかであるように説明されるシステムおよび方法に関連して適切な構造および動作から選択され得る。
【0110】
そのような構成では、ポンプは、ハウジングのポート(例えば、ポンプ10、50、100、150、200および250のいずれかの軸方向入口ポート)を通して血液を引き込み、血液を出口カニューレを通して前方の弁上部大動脈に送り出す。大動脈弁尖は、一般に、出口カニューレの周りに十分な密封を提供する。
【0111】
本明細書に記載の特定の実施形態と一致するポンプシステムのさらなる態様によれば、血管吻合を伴う低侵襲の外科的挿入は、心肺バイパスなしの小規模な開胸術によって行われる。本明細書には示されていないが、さらなる例示のために、そのような方法は例えば以下のように進行し得る。
【0112】
心膜を開き、心室尖部に牽引力を加える。穿刺技術と拡張器システムを使用して、薄壁の流入カニューレを左心室に挿入する。流出グラフトは下行胸部大動脈に吻合され得る。あるいは、吻合のために流出グラフトを鎖骨下動脈または大腿動脈にトンネルで通してもよい。次に、ポンプを流入グラフトと流出グラフトの間に配置し、血液が左心室から除去され、体循環に送り込まれるようにする。ポンプは、特定の場合または特定の技術において適切であり得るように、胸腔内、または皮下、または他の場所に埋め込まれ得る。経皮ワイヤは、外部コントローラおよびバッテリシステムを介してポンプに電力を供給する。
【0113】
現在の左心室補助装置は、一般に、心室尖部を介した左心室の外科的カニューレ挿入と、動脈グラフトの胸部大動脈への外科的吻合を必要とする。大多数は、心膜腔または胸腔内に配置するには大きすぎ、前腹部の横隔膜の下に埋め込まれる。
横隔膜下の配置では、通常、血管グラフトを経由させるために横隔膜をトンネルで通す必要があり、これは大手術であり、通常は心肺バイパスが必要である。ポンプを心膜腔内に配置すると、横隔膜貫通の必要がなくなり、ポンプ入口の長さが最小限になる。短いポンプ入口は、ポンプで送るために必要な仕事量を減らすことによって、ポンプ内の血栓形成の可能性を低減し得る。
【0114】
本開示の様々なLVADポンプの実施形態は、以下でより完全に説明される。各々は、以前に開示または使用されたシステムを超える特定の重要な潜在的利点を提供すると考えられる。特定の実施形態のそのような改善には、限定ではないが、設計の単純さ、コストの削減、および既存のLVAD設計に対する電力消費の削減のうちの1つ以上が含まれ、各々は、従来の外科的挿入に容易に適合され得る。さらに、特定の実施形態は、薄型の最小侵襲または低侵襲の送達と、長期携帯型インプラントとしての長寿命とを組み合わせるという非常に有益な利点を提示すると考えられる。
【0115】
さらに、本明細書で説明するポンプの外径と長さは、回転アセンブリの径方向の制約に対するモータ性能と流体力学的ベアリング支持を最適化するために、特定の用途に適したパラメータに合うように容易に調整され得る。
【0116】
他の利点の中でも、本明細書のポンプは、ミニ開胸術による左心室尖部または心房への挿入によく適し、かつ心臓外容積をほとんど占有しないサイズのエンベロープを可能にする。ポンプ出口からの血管グラフトは、通常、大動脈または鎖骨下動脈に吻合される。
【0117】
本明細書によるポンプはまた、胸部前壁に位置し、経胸腔カニューレから左心への血液を受け取り、グラフトを介して鎖骨下動脈への循環に流れを戻すのに十分なほど小さく構成され得る。また、鎖骨下動脈を介して配置され、大動脈弁を横切って逆行する薄壁のカニューレによって、左心室へのアクセスを達成し得る。大動脈弁尖は、カニューレの壁の周りを密封する。ポンプ出口からの加圧された流れは、グラフトを介して鎖骨下動脈などの末梢動脈への循環に戻る可能性がある。そのような手順は、介入心臓専門医の領域にあり得る。
【0118】
使用のさらなる特定の一実施形態では、本明細書で詳述されるようなポンプは、ミニ開胸術を介して左心室尖部または心房に挿入され得、心臓外容積をほとんど占有しない。ポンプ出口からの血管グラフトは、大動脈または鎖骨下動脈に吻合され得る。ポンプはまた、胸部前壁に配置され、経胸腔カニューレから左心への血液を受け取り、グラフトを介して鎖骨下動脈への循環に流れを戻すのに十分なほど小さい。同様に、左心へのアクセスは、鎖骨下動脈を介して配置され左大動脈弁を横切って逆行する薄壁のカニューレで達成され得、流れはグラフトを介して鎖骨下動脈への循環に戻る。
【0119】
本明細書のポンプの機能の組み合わせは、一般に、左心室または心房への直接配置に適しているが、適切に構成されているか、または送達中に折りたたまれるように変更されている場合には、径方向に拡大された機能により、最小侵襲または低侵襲の送達のためにより小さい輪郭が可能になり得る。
【0120】
別の例示的な実施形態では、カニューレ(図示せず)の近位端部は、ポンプの入力端部(例えば、ポンプ10a~10eのいずれかのポート24)に結合され、遠位端部は心室尖部の小さな穴を通して挿入され、流出カニューレは、カニューレの先端部が大動脈弁の上になるように、大動脈弁を横切って順行性に通過する。大動脈弁尖は、カニューレの壁の周りを密封する。流出カニューレは、弁尖の摩耗を最小限に抑えるために、補強され得るか、場合によっては膨張式パンタロンの設計であり得る。カニューレの直径は、ポンプ本体よりもはるかに小さい可能性がある。大動脈弁を横断するときの流出カニューレの外径は、例えば約7mmであり得る。ポンプの本体とポンプ入口は、左心室に残り得る。ポンプの動作中、血液は左心室から弁上大動脈に送り出される。
【0121】
本開示を上記で概説した特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、および変形が当業者に明らかであることは明白である。例えば、本実施形態は、ポンプモータを外部電源に接続する導線を参照して説明され得るが、一体型電池、埋め込み型電源などの他の電源またはエネルギー結合機構が使用されてもよい。そのようなものは、例えば、ポンプアセンブリと一体であるか、または遠隔で埋め込まれる埋め込み型電池をさらに含み得る。様々な位置で、適切な電池はさらに、例えば固定充電寿命を有する場合もあれば、運動作動または経皮誘導結合などによって再充電可能である場合もある。別の例によれば、特定の例示的な実施形態によって、ロータ磁石およびモータステータバックアイアンなどの特定の嵌合または協働部品が、互いに対して特定の相対位置で示されている。しかしながら、そのような構成要素間の他の特定の配置も企図されており、特定の状況または用途において適切であるか、または特定の利益さえあり得る。例えば、示されているモータステータの実施形態のバックアイアンは、典型的には、ロータ磁石と整列して示されるが、代わりに、静止状態でロータ磁石から部分的に長手方向に変位してもよい。この静止変位は、磁束隙間モータが作動したときにハウジング内のロータによって発生する反対の長手方向変位力に逆らって、これらのコンポーネント間の磁気引力からの変位力を最大化するように構成されてもよい。
【0122】
さらに、本明細書で説明される実施形態のいずれかの特徴または構成要素は、適切な場合、互換的に使用され得ることが理解される。
【0123】
本明細書の説明から、本開示は以下を含むがこれに限定されない複数の実施形態を含むことが理解されよう。
【0124】
1.ロータであって、
前記ロータが、外面を備えたシャフトと、前記外面の第1の位置で前記シャフトから延出するインペラとを備え、
前記外面が、前記シャフトの第2の位置にある外側ベアリング面を含む、ロータと、
第1の端部と第2の端部とを備えるポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングが、ポンプ室および前記ポンプハウジング内の内側ベアリング面を画定するように構成された1つまたは複数の円筒穴を備える、ポンプハウジングと
を含み、
動作構成において、前記ロータは、前記ロータの作動時に前記インペラが前記ポンプ室内で回転するように、前記1つまたは複数の円筒穴内に位置決めされ、
前記ポンプハウジングの前記内側ベアリング面は、前記ロータの作動中に前記内側ベアリング面と前記外側ベアリング面が流体力学的ジャーナルベアリングを形成するように、間に流体力学的ベアリングのクリアランスを形成するように前記シャフトの前記外側ベアリング面に近接して嵌合し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に軸方向入口を含み、前記軸方向入口は前記ポンプ室と流体連通し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプ室と連通する環状出口をさらに含み、前記環状出口は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置し、
前記ポンプハウジングは、流体力学的ベアリングのクリアランスと流体連通する漏出出口を含み、
前記ロータの作動により、血液が前記軸方向入口に入り、前記ポンプ室を通って、実質的に軸方向の出口流れで前記環状出口から流出し、
前記ロータの作動中、前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、血流が前記漏出入口に入り、前記流体力学的ベアリングのクリアランスの長さに沿って流れることを可能にするために、漏出経路として機能する、
心臓補助装置。
【0125】
2.前記ロータが、前記ポンプハウジングに対する前記ポンプハウジング内の前記ロータの相対運動によって生成される流体力学的スラスト力によって、前記ハウジング内で径方向に主に懸架される、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0126】
3.前記ロータが、前記シャフトの前記ベアリング面内に位置する1つまたは複数のロータ磁石を含み、
前記ポンプハウジングが、前記流体力学的ベアリングのクリアランスから前記1つまたは複数のロータ磁石の反対側に位置決めされたコイルを有するモータステータを含み、
前記ロータの作動が、前記1つまたは複数のロータ磁石を変位させるために前記漏出流路を横切って延在する磁束場を生成するために、前記モータステータを通って流れる電流の影響を受ける、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0127】
4.前記1つ以上の円筒穴は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に配置された第1の穴を含み、前記第1の穴は、前記インペラおよび前記ポンプ室を収容するように構成され、前記ポンプハウジングの第2の端部には第2の穴を含み、前記第2の穴は、前記ロータの前記外側ベアリング面および漏出流路を収容するように構成された前記内側ベアリング面を画定し、
前記インペラの回転は、前記軸方向入口ポートを通して血流を引き寄せ、第1の部分を前記ポンプ室内および前記漏出流路内に引き込み、
前記血液の第1の部分は、前記第2の穴の長さに沿って、前記ポンプハウジングの前記第2の端部に向かって配置された出口を通って導かれ、
血液の第2の部分は前記環状出口の外に向けられる、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0128】
5.前記ポンプハウジングが、
前記第1の端部と前記環状出口との間の位置で前記ポンプハウジングの周囲に沿って配置された1つまたは複数の径方向出口ポート
をさらに含み、
血液の第3の部分が、前記1つまたは複数の径方向出口ポートから径方向外側に向けられる、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0129】
6.前記モータステータ1つおよび1つ以上のロータ磁石が、軸方向モータを形成するために互いに対して軸方向に配置される、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0130】
7.前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記ポンプの前記内側ベアリング面と前記シャフトの前記外側ベアリング面との間に形成された環状隙間を含む、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0131】
8.前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記環状隙間と流体連通する円錐漏出経路をさらに含み、前記円錐漏出経路が、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェースから形成される、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0132】
9.前記円錐漏出経路は、前記ポンプ室と環状隙間との間の前記環状隙間から上流に位置する、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0133】
10.前記円錐漏出経路が、前記環状隙間から前記ポンプ室の反対側にある前記環状隙間から下流に位置する、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0134】
11.前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、前記環状隙間と流体連通する第2の円錐漏出経路をさらに含み、
前記第2の円錐漏出経路は、前記ロータとポンプハウジングとの間の第2の円錐ベアリングインターフェースから形成され、
前記第2の円錐漏出経路は、前記環状隙間の下流に位置する、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0135】
12.前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、前記環状隙間と流体連通する球状漏出経路をさらに含み、前記球状漏出経路は、前記ロータとポンプハウジングとの間の球状ベアリングインターフェースから形成される、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0136】
13.前記漏出経路は、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェース間に形成され、
前記モータステータ1つおよび1つ以上のロータ磁石は、互いに前記円錐ベアリングインターフェースを横切って配置される、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0137】
14.外面を有するシャフトと、前記外面の第1の位置で前記シャフトから延出するインペラとを備えるロータであって、
前記外面が、前記シャフト上の第2の位置に外側ベアリング面を含む、ロータと、
第1の端部と第2の端部とを備えるポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングが、ポンプ室と前記ポンプハウジング内の内側ベアリング面とを画定するように構成された1つまたは複数の円筒穴を備える、ポンプハウジングと
を含み、
動作構成において、前記ロータは、前記ロータの作動時に前記インペラが前記ポンプ室内で回転するように、前記1つまたは複数の円筒穴内に位置決めされ、
前記ポンプハウジングの前記内側ベアリング面は、前記ロータの作動中に前記内側ベアリング面と外側ベアリング面が流体力学的ジャーナルベアリングを形成するように、間に流体力学的ベアリングのクリアランスを形成するように前記シャフトの前記外側ベアリング面に近接して嵌合し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に軸方向入口を含み、前記軸方向入口は前記循環系の第1の位置および前記ポンプ室と流体連通し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプ室と連通する環状出口をさらに含み、前記環状出口は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置し、
前記ロータの作動により、血液が前記循環系の前記第1の位置から前記軸方向入口に入り、前記ポンプ室を通って、前記環状出口から前記循環系の第2の位置へ流出し、
前記ロータの作動中、前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、血流が前記漏出入口に入り、前記流体力学的ベアリングのクリアランスの長さに沿って流れることを可能にするために、漏出経路として機能する、
患者の循環系内で循環補助を提供するためのポンプ。
【0138】
15.前記ポンプハウジングは、前記流体力学的ベアリングのクリアランスと流体連通する漏出出口を含み、前記漏出出口は、血液を前記漏出経路から前記循環系の第3の位置に導く、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0139】
16.前記血液は、実質的に軸方向の出口流れで前記環状出口から出る、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0140】
17.前記1つまたは複数の円筒穴は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に配置された第1の穴を含み、前記第1の穴は、前記インペラおよびポンプ室を収容するように構成され、前記ポンプハウジングの第2の端部には第2の穴を含み、前記第2の穴は、前記ロータの前記外側ベアリング面および漏出流路を収容するように構成された前記内側ベアリング面を画定し、
前記インペラの回転は、前記軸方向入口ポートを通して血流を引き寄せ、第1の部分を前記ポンプ室内および前記漏出流路内に引き込み、
前記血液の前記第1の部分は、前記第2の穴の長さに沿って、前記ポンプハウジングの第2の端部に向かって配置された漏出出口を通って導かれ、
血液の第2の部分は前記環状出口の外に向けられる、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0141】
18.前記ポンプハウジングが、
前記第1の端部と前記環状出口との間の位置で前記ポンプハウジングの周囲に沿って配置された1つまたは複数の径方向出口ポート
をさらに含み、
血液の第3の部分が、前記1つまたは複数の径方向出口ポートから径方向外側に向けられる、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0142】
19.前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記ポンプの前記内側ベアリング面と前記シャフトの前記外側ベアリング面との間に形成された環状隙間を含む、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0143】
20.前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記環状隙間と流体連通する円錐漏出経路をさらに含み、前記円錐漏出経路が、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェースから形成される、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0144】
21.前記円錐漏出経路が、前記ポンプ室と環状隙間との間の前記環状隙間から上流に位置する、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0145】
22.前記円錐漏出経路が、前記環状隙間から前記ポンプ室の反対側にある前記環状隙間から下流に位置する、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0146】
23.前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、前記環状隙間と流体連通する第2の円錐漏出経路をさらに含み、
前記第2の円錐漏出経路は、前記ロータと前記ポンプハウジングとの間の第2の円錐ベアリングインターフェースから形成され、
前記第2の円錐漏出経路は、前記環状隙間の下流に位置する、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0147】
24.シャフトと、前記シャフトの第1の位置で前記シャフトから延出するインペラとを備えたロータであって、
前記ロータが、前記シャフトの第2の位置にあるロータベアリング面を含む、ロータと、
第1の端部と第2の端部とを備えるポンプハウジングであって、
前記ポンプハウジングが、ポンプ室および前記ポンプハウジング内の内側ベアリング面を画定するように構成された1つまたは複数の円筒穴を備える、ポンプハウジングと
を含み、
動作構成において、前記ロータは、前記ロータの作動時に前記インペラが前記ポンプ室内で回転するように、前記1つまたは複数の円筒穴内に位置決めされ、
前記ポンプハウジングの前記内側ベアリング面は、前記ロータの作動中に前記内側ベアリング面とロータベアリング面が流体力学的ジャーナルベアリングを形成するように、間に流体力学的ベアリングのクリアランスを形成するようにロータベアリング面に近接して嵌合し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプハウジングの前記第1の端部に軸方向入口を含み、前記軸方向入口は前記ポンプ室と流体連通し、
前記ポンプハウジングは、前記ポンプ室と連通する環状出口をさらに含み、前記環状出口は、前記ポンプハウジングの前記第1の端部と前記第2の端部との間に位置し、
前記ロータの作動により、血液が前記軸方向入口に入り、前記ポンプ室を通って、実質的に軸方向の出口流れで前記環状出口から流出し、
前記ロータの作動中、前記流体力学的ベアリングのクリアランスは、血流が前記漏出入口に入り、前記流体力学的ベアリングのクリアランスの長さに沿って流れることを可能にするために、漏出経路として機能する、
心臓補助装置。
【0148】
25.前記ロータが、前記シャフトの前記ベアリング面内に位置する1つまたは複数のロータ磁石を含み、
前記ポンプハウジングが、前記流体力学的ベアリングのクリアランスから前記1つまたは複数のロータ磁石の反対側に位置決めされたコイルを有するモータステータを含み、
前記ロータの作動が、前記1つまたは複数のロータ磁石を変位させるために前記漏出流路を横切って延在する磁束場を生成するために、前記モータステータを通って流れる電流の影響を受ける、
あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0149】
26.前記モータステータ1つおよび1つまたは複数のロータ磁石が、軸方向モータを形成するように互いに対して軸方向に配置される、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0150】
27.前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記ポンプの前記内側ベアリング面と前記シャフトの前記外側ベアリング面との間に形成された環状隙間を含む、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0151】
28.前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記環状隙間と流体連通する円錐漏出経路をさらに含み、前記円錐漏出経路が、前記ロータとポンプハウジングとの間の円錐ベアリングインターフェースから形成される、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0152】
29.前記流体力学的ベアリングのクリアランスが、前記ロータとポンプハウジングとの間の球状ベアリングインターフェースから形成される球状漏出経路をさらに含む、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0153】
30.前記内側ベアリング経路およびロータベアリング経路が、平面流体力学的ベアリングを形成する平面と、前記ポンプ室と流体連通する平面漏出経路とを含む、あらゆる前述したまたは後述する実施の形態による装置またはポンプ。
【0154】
本明細書で使用されるとき、単数形の用語「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含むことができる。単数形の対象物への言及は、明示的に述べられていない限り、「1つだけ」を意味することを意図しておらず、むしろ「1つまたは複数」を意味する。
【0155】
本明細書で使用されているように、「セット」という用語は、1つまたは複数の対象物の集合を指す。したがって、例えば、対象物のセットは単一の対象物または複数の対象物を含むことができる。
【0156】
本明細書で使用されているように、「実質的に」および「約」という用語は、小さな変動を記述し、説明するために使用されている。事象または状況と併せて使用される場合、その用語は、その事象または状況が厳密に発生する場合だけでなく、その事象または状況が緊密な近似で発生する場合も指すことができる。数値と共に使用される場合、その用語は、その数値の±10%以下、例えば±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、または±0.05%以下などの変動の範囲を指すことができる。例えば、「実質的に」整列されたとは、±10°以下、例えば±5°以下、±4°以下、±3°以下、±2°以下、±1°以下、±0.5°以下、±0.1°以下、または±0.05°以下などの範囲の角度変動を指すことができる。
【0157】
さらに、量、比率、および他の数値は、本明細書では時には範囲の形式で提示することができる。そのような範囲の形式は便宜上および簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に特定された数値を含むように柔軟に理解されるべきであるが、しかし、あたかも各数値および部分範囲が明示的に特定されているかのように、その範囲内に包含されるすべての個々の数値または部分範囲も含む。例えば、約1から約200の範囲の比は、明示的に列挙された約1から約200の範囲を含むが、約2、約3、および約4などの個々の比、ならびに約10から約50、約20から約100などの部分範囲も含むと理解すべきである。
【0158】
本明細書の記載には多くの詳細が含まれるが、これらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきものではなく、現時点で好ましい実施形態のいくつかの例を提供したものにすぎない。したがって、本開示の範囲は、当業者に明らかになりうる他の実施形態をすべて包含することを認識されたい。
【0159】
当業者に知られている開示された実施形態の要素と構造的および機能的に等価のものはすべて、本明細書に参照により明確に援用されたものとされ、本特許請求の範囲に包含されるものとする。さらに、本開示にない要素、構成部品または方法ステップは、その要素、構成部品または方法ステップが特許請求の範囲に明確に記載されているか否かにかかわらず、公にされるためのものであることが意図される。本願の請求項の要素は、「~するための手段」という表現を用いて明確に要素を記載していない限り、「ミーンズ・プラス・ファンクション」として解釈されるべきではない。本願の請求項の要素は、「~するためのステップ」という表現を用いて明確に要素を記載していない限り、「ステップ・プラス・ファンクション」として解釈されるべきではない。