(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220426BHJP
A61B 1/005 20060101ALI20220426BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A61B1/00 711
A61B1/00 713
A61B1/005 522
A61B1/005 523
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2020550968
(86)(22)【出願日】2018-10-01
(86)【国際出願番号】 JP2018036700
(87)【国際公開番号】W WO2020070775
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 頼望也
(72)【発明者】
【氏名】小板橋 正信
(72)【発明者】
【氏名】岡本 康弘
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/074013(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/129416(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/129494(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
A61B 1/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入される挿入部と、
前記挿入部の長手方向の基端側に設けられた、前記挿入部の操作を行う操作部と、
前記長手方向に交わる方向に前記操作部から第1の側に突出する、前記挿入部の特定部位を操作するノブと、
前記長手方向に交わる方向において、前記操作部における前記ノブとは異なる第2の側に突出して設けられたユニバーサルコードと、
前記操作部において、前記第2の側に配置され、前記挿入部の中心軸に対し前記第1の側にはみ出さないよう位置決めされた収納部
と、
前記収納部内に設けられた、前記挿入部の前記特定部位または他の特定部位を動かす機構を駆動する動力部と、
を有し、
前記操作部に、前記長手方向における前記挿入部側に設けられた把持領域と、該把持領域の前記長手方向の基端側に設けられた前記ノブ及びスイッチボタンが設けられた操作子領域とが設けられており、
前記収納部は、前記操作子領域において前記長手方向に前記挿入部から最も遠位側に位置する前記スイッチボタンを、前記長手方向において前記遠位側に越えない範囲に設けられ、且つ、前記操作子領域において前記長手方向に前記挿入部から最も近位側に位置する前記スイッチボタンを、前記長手方向において前記近位側に越えない範囲に設けられていることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
前記収納部は、前記操作部において、前記ユニバーサルコードが突出後、延出する方向に平行で前記挿入部の中心軸を含む面に対し、前記長手方向に交わる方向において前記第1の側にはみ出さないように位置決めされて設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記収納部の外表面は、前記操作部における前記挿入部の中心軸に対し前記長手方向に交わる方向において前記第1の側にはみ出さないよう位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記収納部は、前記ユニバーサルコードの一端側を前記操作部に固定するとともに前記操作部における前記長手方向に交わる方向において前記第2の側に突出するユニバーサルコード固定部において、前記ユニバーサルコードの前記一端側よりも前記第2の側にさらに突出するよう設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記動力部は、アクチュエータであり、
前記収納部は、前記アクチュエータの少なくとも一部を内部に収納する、前記アクチュエータよりも大きい外部寸法を含むケーシングであることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記挿入部の前記特定部位は、前記ノブの操作に応じて複数方向に湾曲動作するように構成された前記挿入部の前記長手方向の先端側に設けられた第1湾曲部であり、
前記挿入部の前記他の特定部位は、該第1湾曲部に連設された第2湾曲部であり、
前記動力部は、前記第2湾曲部が少なくとも1つの方向に湾曲するための駆動力を、長尺部材を介して前記操作部から前記第2湾曲部に伝達することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に挿入される挿入部の長手方向の基端側に設けられた操作部に、挿入部の特定部位または他の特定部位を動かす機構を駆動する動力部が設けられた内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、医療分野及び工業用分野において広く利用されている。内視鏡は、細長い挿入部を被検体内に挿入することにより、被検体内の被検部位の観察や処置等を行うことができる。
【0003】
また、内視鏡の挿入部の長手方向の先端側(以下、単に先端側と称す)に、例えば複数方向に湾曲自在な湾曲部が設けられた構成が周知である。
【0004】
湾曲部は、管路内の屈曲部における挿入部の進行性を向上させる他、挿入部において、湾曲部よりも先端側に位置する先端部に設けられた観察光学系の観察方向を可変させる。
【0005】
湾曲部は、内視鏡の操作部において、上述した長手方向に交わる方向における一方側に突出して設けられたノブが操作者によって回動操作されることにより、例えば上下左右の4方向のいずれかに湾曲自在となるよう構成されている。
【0006】
具体的には、ノブを回動させると、操作部内に設けられたノブとともに回動するプーリが回動し、該プーリに巻回されるとともに、長手方向の先端(以下、単に先端と称す)が湾曲部に固定されたチェーン、ワイヤ等の長尺部材が牽引されることによって、湾曲部が湾曲されるよう構成されている。
【0007】
尚、ノブは、操作部の把持領域が操作者の左手の腹、小指、薬指、中指で把持され、左手の人指し指と親指とにより操作部から延出されるユニバーサルコードの固定部側が該固定部側を挟むよう把持された状態において、左手の親指によって回動操作される。
【0008】
ここで、内視鏡の挿入部を被検体内に挿入する際は、操作者は、右手で挿入部を把持して挿入部を被検体内の深部に右手で押し込む操作を行うとともに、左手で上述したように操作部を把持して、操作部に設けられた上述したノブや各種スイッチ操作を行う。
【0009】
しかしながら、手の小さい操作者や、不慣れな操作者においては、左手の親指のみで上述したように長尺部材を牽引するためのノブの回動操作が、操作力量が大きく行い難いといった問題があった。
【0010】
このような問題に鑑み、日本国特許第5364868号公報には、ノブの回動操作力量を小さくするため、長尺部材の牽引を電動にて行うよう操作部に動力部であるアクチュエータが設けられた構成が開示されている。
【0011】
尚、日本国特許第5364868号公報においては、内部にアクチュエータが収納された収納部であるケーシングは、操作者が操作部を把持した際の操作部の重量バランスを考慮して、操作部におけるノブとユニバーサルコードとの間の位置に設けられている。
【0012】
しかしながら、日本国特許第5364868号公報に開示された位置に、アクチュエータのケーシングが設けられていると、操作者の左手の人指し指によって、操作部に設けられた各種スイッチの操作が、ケーシングが邪魔となり行い難いといった問題があった。
【0013】
特に、操作部における長手方向の基端側(以下、単に基端側と称す)に設けられた既知のスイッチボックスに設けられた各種スイッチの操作が行い難いばかりか、ケーシングが邪魔となり、スイッチボックスにおけるユニバーサルコード側の面にスイッチを配置し難くなってしまうといった問題もあった。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、操作部における重量バランスが最適な位置かつ操作者によるスイッチ及びノブ操作に対して、さらにはスイッチの配置に支障のない位置に、アクチュエータが収納されたスイッチボックスが配置できる構成を具備する内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため本発明の一態様による内視鏡は、被検体に挿入される挿入部と、前記挿入部の長手方向の基端側に設けられた、前記挿入部の操作を行う操作部と、前記長手方向に交わる方向に前記操作部から第1の側に突出する、前記挿入部の特定部位を操作するノブと、前記長手方向に交わる方向において、前記操作部における前記ノブとは異なる第2の側に突出して設けられたユニバーサルコードと、前記操作部において、前記第2の側に配置され、前記挿入部の中心軸に対し前記第1の側にはみ出さないよう位置決めされた収納部と、前記収納部内に設けられた、前記挿入部の前記特定部位または他の特定部位を動かす機構を駆動する動力部と、を有し、前記操作部に、前記長手方向における前記挿入部側に設けられた把持領域と、該把持領域の前記長手方向の基端側に設けられた前記ノブ及びスイッチボタンが設けられた操作子領域とが設けられており、前記収納部は、前記操作子領域において前記長手方向に前記挿入部から最も遠位側に位置する前記スイッチボタンを、前記長手方向において前記遠位側に越えない範囲に設けられ、且つ、前記操作子領域において前記長手方向に前記挿入部から最も近位側に位置する前記スイッチボタンを、前記長手方向において前記近位側に越えない範囲に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1の内視鏡の操作部を操作者の左手で把持した状態を示す図
【
図3】
図1の内視鏡の操作部、ユニバーサルコード固定部、収納部、ユニバーサルコードの折れ止めを、
図1中のIII方向からみた斜視図
【
図4】
図3の操作部、ユニバーサルコード固定部、収納部、ユニバーサルコードの折れ止めを、
図3中のIV方向からみた平面図
【
図5】
図3の操作部、ユニバーサルコード固定部、収納部、ユニバーサルコードの折れ止めを、
図3中のV方向からみた平面図
【
図6】
図1の収納部内に設けられた動力部の動力を操作部内に設けられた動力伝達機構に伝達させる構成を概略的に示す内視鏡の斜視図
【
図7】
図2のスイッチボックスの頂部に設けられたスイッチボタンよりも遠位側に収納部が設けられている場合における、
図2の操作部を把持する操作者の左手の人指し指により、
図2のスイッチボックス頂部に設けられたスイッチボタンを押下する様子を概略的に示す図
【
図8】
図2の操作部を把持する操作者の左手の人指し指により、
図2のスイッチボックス頂部に設けられたスイッチボタンを押下する様子を概略的に示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態の内視鏡を示す部分斜視図、
図2は、
図1の内視鏡の操作部を操作者の左手で把持した状態を示す図である。
【0019】
また、
図3は、
図1の内視鏡の操作部、ユニバーサルコード固定部、収納部、ユニバーサルコードの折れ止めを、
図1中のIII方向からみた斜視図、
図4は、
図3の操作部、ユニバーサルコード固定部、収納部、ユニバーサルコードの折れ止めを、
図3中のIV方向からみた平面図である。
【0020】
さらに、
図5は、
図3の操作部、ユニバーサルコード固定部、収納部、ユニバーサルコードの折れ止めを、
図3中のV方向からみた平面図、
図6は、
図1の収納部内に設けられた動力部の動力を操作部内に設けられた動力伝達機構に伝達させる構成を概略的に示す内視鏡の斜視図である。
【0021】
また、
図7は、
図2のスイッチボックスの頂部に設けられたスイッチボタンよりも遠位側に収納部が設けられている場合における、
図2の操作部を把持する操作者の左手の人指し指により、
図2のスイッチボックス頂部に設けられたスイッチボタンを押下する様子を概略的に示す図、
図8は、
図2の操作部を把持する操作者の左手の人指し指により、
図2のスイッチボックス頂部に設けられたスイッチボタンを押下する様子を概略的に示す図である。
【0022】
図1に示すように、内視鏡1は、被検体内に挿入される挿入部2と、該挿入部2の基端側に設けられ、操作者によって把持及び操作される操作部6とを具備している。
【0023】
また、内視鏡1は、操作部6から延出されたユニバーサルコード7と、該ユニバーサルコード7の延出端に設けられた図示しないコネクタとを具備している。
【0024】
尚、コネクタが、既知の図示しない光源装置やビデオプロセッサ等に接続自在なことにより、内視鏡1は、周辺装置に接続自在となっている。
【0025】
挿入部2は、先端側から順に、内部に図示しない撮像ユニットを具備する先端部3と、湾曲部4と、可撓管部5とを具備して主要部が構成されている。
【0026】
湾曲部4は、本実施の形態においては、先端側に位置する特定部位である第1湾曲部4aと、該第1湾曲部4aの長手方向Nの基端(以下、単に基端と称す)に連設された他の特定部位である第2湾曲部4bとから構成されている。
【0027】
尚、湾曲部4は、第1湾曲部4aのみから構成されていても構わないが、以下、湾曲部4は、第1湾曲部4aと第2湾曲部4bとから構成されている場合を例に挙げて説明する。
【0028】
操作部6は、先端側から順に、把持領域6aと、該把持領域6aの基端に連設された操作子領域6cとから構成されており、既知の折れ止め20を介して可撓管部5の基端に連設されている。
【0029】
把持領域6aは、
図2に示すように、操作者の左手Lの腹、及び中指LN、薬指LM、小指LKによって把持される領域(把持部)となっており、先端側に、図示しない処置具を操作部6及び挿入部2内に設けられた図示しない処置具挿通路に挿抜するための処置具挿通口25が設けられている。
【0030】
操作子領域6cに、湾曲操作ノブ11、12、固定ノブ13、固定レバー14、湾曲レバー40等、操作者が操作を行うための各種操作子が設けられている。
【0031】
湾曲操作ノブ11、12は、例えば操作者の左手Lの親指LOによる回動操作に伴い、
図6に示すように、挿入部2及び操作部6内に設けられた既知の動力伝達機構90を介して、第1湾曲部4aを、例えば上下左右の4方向に湾曲操作するものである。
【0032】
即ち、第1湾曲部4aは、湾曲操作ノブ11、12の回動操作により、動力伝達機構90を介して複数方向に湾曲動作される。
【0033】
また、固定ノブ13は、例えば親指LOによる回動操作に伴い、湾曲操作ノブ12の回動位置を固定するものである。さらに、固定レバー14は、例えば親指LOによる回動操作に伴い、湾曲操作ノブ11の回動位置を固定するものである。
【0034】
湾曲レバー40は、例えば親指LOによる回動操作に伴い、後述するアクチュエータ51(
図6参照)を駆動させ、後述するユニバーサルコード固定部80、操作部6、挿入部2内に設けられた長尺部材であるワイヤ210を含む動力伝達機構200を介して、第2湾曲部4bを、少なくとも1方向に湾曲操作するものである。
【0035】
即ち、第2湾曲部4bは、湾曲レバー40の回動操作により、アクチュエータ51からの駆動力が動力伝達機構200を介して伝達されることにより湾曲動作される。
【0036】
尚、第2湾曲部4bの湾曲操作は、上述した湾曲レバー40に限らず、アクチュエータ51の駆動指示を出来るものであれば、操作部6に設けられたノブやスイッチボタン、または、内視鏡1や、内視鏡1に接続される周辺装置に接続されたフットスイッチ等、どのようなもので行っても構わない。
【0037】
また、湾曲操作ノブ11、12、固定ノブ13、固定レバー14、湾曲レバー40は、
図3に示すように、長手方向Nに交わる方向Jにおいて、操作子領域6cの外表面における面6caから該面6caから方向Jに離間する側となる第1の側Aに突出するよう設けられている。
【0038】
また、操作子領域6cの外表面において、面6caと隣り合う面、具体的には、
図1に示すように、処置具挿通口25が設けられた面と同じ方向側の面6ccに、例えば、撮像ユニットによって撮像された画像の静止を指示するフリーズスイッチボタン35、吸引操作用スイッチボタン36、送気送水操作用スイッチボタン37が設けられている。
【0039】
フリーズスイッチボタン35、吸引操作用スイッチボタン36、送気送水操作用スイッチボタン37は、操作部6が
図2に示すように操作者によって把持された場合、人差し指LHまたは中指LNによって操作される。
【0040】
尚、スイッチボタン35~37の上述した機能は、あくまでも一例であり、上述した機能に限定されないことは勿論である。
【0041】
さらに、操作子領域6cの外表面において、面6ca及び面6ccに隣接するとともに、上述したスイッチボタン35~37が設けられた位置よりも長手方向Nにおける挿入部2から離間する遠位側の面6cdに、スイッチボックス30が設けられている。
【0042】
スイッチボックス30の長手方向Nにおける頂部に、例えば内視鏡1の電源をオンオフする電源スイッチボタン31が設けられている。
【0043】
また、スイッチボックス30のスイッチボタン35~37が設けられた面と同じ側の面に、例えば測光方式を変更するアイリススイッチボタン32が設けられている。
【0044】
さらに、スイッチボックス30のアイリススイッチボタン32に対向する面に、例えば撮像ユニットによって撮像された画像の録画を指示するレリーズスイッチボタン33が設けられている。
【0045】
尚、スイッチボタン33は、
図2に示すように操作部6が把持された場合、例えば左手Lの親指LOによって操作される。
【0046】
また、スイッチボタン31、32は、
図2に示すように操作部6が把持された場合、例えば左手Lの人指し指LHによって操作される。尚、スイッチボタン32は、親指LOによって操作されても構わない。
【0047】
尚、スイッチボタン31~33の上述した機能は、あくまでも一例であり、上述した機能に限定されないことは勿論である。
【0048】
また、操作子領域6cの外表面における、面6cc、面6cdに隣接するとともに、方向Jにおいて面6caに対向する面6cbにおいて、
図3に示すように、方向Jにおいて第1の側Aとは反対側となる第2の側Bに突出するよう、ユニバーサルコード7の一端側が固定されている。
【0049】
具体的には、面6cbから第2の側Bに突出するユニバーサルコード固定部80に、ユニバーサルコード7の一端側に設けられた折れ止め7kが固定されている。このことにより、ユニバーサルコード7は、一端側がユニバーサルコード固定部80に固定されて、長手方向N及び方向Jの双方に交わる方向Sに延出されている。
【0050】
また、操作子領域6cに、上述したように、第2湾曲部4bを湾曲させるための動力伝達機構200(
図6参照)を駆動する動力部であるアクチュエータ51が内部に収納された収納部であるケーシング50が設けられている。
【0051】
ケーシング50は、アクチュエータ51の少なくとも一部を内部に収納するとともに、アクチュエータ51よりも大きい外部寸法を有しており、
図1~
図6に示すように、方向Sに所定の長さを有している。
【0052】
アクチュエータ51は、第2湾曲部4bが少なくとも1つの方向に湾曲するための駆動力を、動力伝達機構200の、例えばワイヤ等から構成された長尺部材210を介して操作部6から第2湾曲部4bに伝達するものであり、例えばモータが挙げられる。
【0053】
アクチュエータ51は、
図3に示すように、操作部6において、挿入部2の中心軸Cに対し方向Jにおける第1の側Aとは反対となる第2の側Bに配置され、中心軸Cに対してケーシング50が第1の側Aにはみださないよう位置決めされてケーシング50内に収納されている。
【0054】
具体的には、ケーシング50は、方向Sに平行で操作部6において中心軸Cを含む面Fに対し、方向Jにおいて第1の側Aにはみださないよう第2の側Bに位置決めされて設けられている。
【0055】
さらに、ケーシング50の外表面50gは、操作部6における中心軸Cに対して方向Jにおいて第1の側Aにはみださないよう第2の側Bに位置決めされて設けられている。
【0056】
より具体的には、ケーシング50は、ユニバーサルコード固定部80において、ユニバーサルコード7の折れ止め7kよりもさらに第2の側Bに突出するよう設けられており、方向Jにおいて折れ止め7kよりも第2の側Bにおいて、方向Sに沿って延在するとともに、折れ止め7kに方向Jに並設されている。
【0057】
また、
図4、
図5に示すように、ケーシング50は、操作子領域6cにおいて、長手方向Nに挿入部2から最も遠位側に位置するスイッチボタン31を遠位側に越えないN2以下の範囲Mに設けられている。
【0058】
さらに、
図4、
図5に示すように、ケーシング50は、操作子領域6cにおいて、長手方向Nに挿入部2から最も近位側に位置するスイッチボタン37を近位側に越えないN1以上の範囲Mに設けられている。
【0059】
尚、その他の内視鏡1の構成は周知であるため、その説明は省略する。
【0060】
このように、本実施の形態においては、第2湾曲部4bを湾曲させるための駆動力を発生させるアクチュエータ51が収納されたケーシング50は、操作子領域6cにおいて、挿入部2の中心軸Cに対し方向Jにおける第2の側Bに配置され、中心軸Cに対してケーシング50が第1の側Aにはみださないよう位置決めされていると示した。
【0061】
このことによれば、
図2に示すように操作者が左手Lにて操作部6を把持した際、従来と同様に、操作子領域6cにケーシング50が設けられていることから、重量バランスが良い。
【0062】
また、操作者の左手Lの人指し指LHにて、各種スイッチボタン31~33、35~37のいずれかのスイッチ操作を行う際に、ケーシング50が邪魔になることがない。即ち、従来よりも各種スイッチボタン31~33、35~37に対する人指し指Hのアクセス性が向上する。
【0063】
さらに、ケーシング50が、ユニバーサルコード固定部80において、方向Jにおいて折れ止め7kよりも第2の側Bに、折れ止め7kに並設されて設けられている。
【0064】
このことにより、従来のような面6ca上において、ノブ11、12と面6caとの間にケーシング50が設けられている場合に比べ、方向Jにおいて面6cbとノブ11、12との距離を短くすることができる。
【0065】
よって、人指し指LHとの間に折れ止め7kを挟んでいる親指LOによりノブ11~13、レバー14、40の操作性が低下してしまうことがなく、良好なアクセス性を確保することができる。
【0066】
また、本実施の形態においては、ケーシング50は、操作子領域6cにおいて、長手方向Nに挿入部2から最も遠位側に位置するスイッチボタン31を遠位側に越えないN2以下の範囲Mに設けられていると示した。
【0067】
このことによれば、
図5に示すように、仮にケーシング50が長手方向Nにおいてスイッチボタン31よりも遠位側の領域Qに設けられていると、折れ止め7kを親指LOと人指し指LHとによって把持した状態から、人指し指LHにてスイッチボタン31を押下操作する際、
図5の2点鎖線R1に示すように、人指し指LHをケーシング50の上側に迂回させなければならなかった。
【0068】
その結果、
図7に示すように、人指し指Hをコの字型に、第1関節のみならず第2関節も略90°曲げなければならなかった。
【0069】
よって、人指し指LHが立った状態にてスイッチボタン31を押し込まなければならず、スイッチボタン31の押し込み量W1を大きくすることができなかった。
【0070】
しかしながら、本実施の形態のように、ケーシング50が、N2以下の範囲Mに設けられていれば、
図5の2点鎖線R2に示すように、人指し指LHを、最短距離にてスイッチボタン31にアクセスさせることができる。
【0071】
このため、
図8に示すように、僅かに人指し指LHの第1関節を曲げるのみで、スイッチボタン31の押下操作を行うことができる。
【0072】
よって、人指し指LHが寝た状態にてスイッチボタンを押し込めることから、スイッチボタン31の押し込み量W2を、人指し指LHが立った状態よりも大きくすることができる(W2>W1)。
【0073】
その結果、人指し指LHをあまり曲げずにスイッチ操作できることから、スイッチボタン31の押し込み操作の際の人指し指LHの疲労軽減を図ることができる。
【0074】
また、親指LOと人指し指LHとにより折れ止め7kを挟んだ状態から、人指し指LHを、スイッチボタン31に対して最短距離でアクセスさせることができることから、素早くスイッチボタン31のスイッチ操作を行うことができる。
【0075】
さらに、本実施の形態においては、ケーシング50は、操作子領域6cにおいて、長手方向Nに挿入部2から最も近位側に位置するスイッチボタン37を近位側に越えないN1以上の範囲Mに設けられていると示した。
【0076】
このことによれば、
図5に示すように、仮にケーシング50が長手方向Nにおいてスイッチボタン37よりも近位側の領域Pに設けられていると、ケーシング50により、操作者の左手Lによって把持領域6aを握る位置が、長手方向Nにおいて挿入部2側の位置となってしまう。
【0077】
よって、人指し指LHにて、スイッチボタン37の押し込み操作を行うと、操作子領域6cにケーシング50が設けられていないことから、重量バランスが悪くなってしまい、操作子領域6cにおいてスイッチボックス30側に、大きなモーメントが付与されてしまう。さらには、方向Sにおいてスイッチボタン37の対向位置近傍が操作者によって把持されないことから、スイッチボタン37の押し込み操作後、特に手の小さな操作者が把持している場合においては、操作部6がふらついてしまう可能性があった。
【0078】
しかしながら、本実施の形態のように、ケーシング50がスイッチボタン37を近位側に越えないN1以上の範囲Mに設けられていれば、操作部6の重量バランスが良くなる他、把持領域6aにおけるスイッチボタン37の方向Sにおける対向位置近傍を操作者は把持する。
【0079】
このため、スイッチボタン37の押下操作を行っても、仮に手の小さな操作者が把持領域6aを把持していたとしても操作部6がふらついてしまうことがない。
【0080】
以上から、操作部6における重量バランスが最適な位置かつ操作者によるスイッチ31~33、35~37及びノブ11、12操作に対して、さらにはスイッチの配置に支障のない位置に、アクチュエータ51が収納されたケーシング50が配置できる構成を具備する内視鏡1を提供することができる。
【0081】
尚、上述した本実施の形態においては、アクチュエータ51は、動力伝達機構200を介して、第2湾曲部4bを湾曲させる際の駆動力を伝達すると示した。
【0082】
これに限らず、例えば、ノブ11、12の操作により、動力伝達機構90を介して、第1湾曲部4aを湾曲させる際の駆動力を伝達させる構成にも適用可能なことは勿論である。
【0083】
さらには、挿入部2に設けられた第2湾曲部4b以外の他の特定部位、例えば先端部3に設けられた回動体を電動駆動させる際の駆動力を伝達させる構成に用いても本実施の形態と同様の効果を得ることができるということは云うまでもない。