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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/879 20180101AFI20220426BHJP
   B60N 2/809 20180101ALI20220426BHJP
【FI】
B60N2/879
B60N2/809
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020568220
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019035820
(87)【国際公開番号】W WO2019236867
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/682,415
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード・カイル・スバット
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513599(JP,A)
【文献】特開2016-43828(JP,A)
【文献】特表2017-525456(JP,A)
【文献】特開2015-111796(JP,A)
【文献】特開2015-100026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/879
B60N 2/809
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気音響変換器と、
前記電気音響変換器を支持する音響エンクロージャと、
前記音響エンクロージャに結合された単一のフォーム部材であって、前記フォーム部材が、第1の堅さを有する第1の領域と、前記第1の堅さよりも大きい第2の堅さを有する第2の領域と、を含む対照的な堅さの領域を有し、前記第2の領域が、前記電気音響変換器の上に横たわるように構成されているスピーカグリルを画定する、単一フォーム部材と、
を備える、車両ヘッドレスト。
【請求項2】
前記フォーム部材が、第1のフォーム密度を有し、前記第2の領域が、前記第1のフォーム密度よりも大きい第2のフォーム密度を有する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項3】
前記第2のフォーム密度が、前記第1のフォーム密度の少なくとも2倍(×2)である、請求項2に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項4】
前記第1の領域が、約2PCF~約8PCFのフォーム密度を有し、前記第2の領域が、少なくとも約12PCFのフォーム密度を有する、請求項3に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項5】
前記第1及び第2の領域が各々、ショアA50以下の硬度を有する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項6】
前記フォーム部材が、クローズドセルフォームで形成されている、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項7】
前記フォーム部材が、ポリウレタンで形成されている、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項8】
前記第2の領域が、前記第1の領域の一部の上に横たわり、そのため、前記第1の領域の前記一部が、前記第2の領域と前記電気音響変換器との間に配置されている、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項9】
前記電気音響変換器が、前記電気音響変換器を前記音響エンクロージャに取り付けるためのフレームを備え、
前記フォーム部材が、前記第2の領域の下にある前記第1の領域の一部に形成されている凹部を画定し、前記凹部が、前記フレームの形状に適合し、前記フォーム部材が、前記電気音響変換器から前記スピーカグリルまでの障害物がない経路を提供する開口を前記凹部内に更に画定する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項10】
前記フォーム部材が、前記フォーム部材と前記フレームとの間に音響シールを形成するように、前記フレームに係合するように構成されている、請求項9に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項11】
前記フレームに結合されたパッドリングを更に備え、前記凹部が、前記フレームと前記フォーム部材との間に前記パッドリングを収容する深さを有し、前記フォーム部材が、前記フォーム部材と前記パッドリングとの間に音響シールを形成するように前記パッドリングに係合している、請求項9に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項12】
前記第1の領域が、前記電気音響変換器から放射された音響エネルギーを所望の方向に転換するのに役立つ音響チャネルの少なくとも一部を更に画定する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項13】
前記第1及び第2の領域が、2ショット成形プロセスで同時に形成される、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項14】
前記第1の領域及び前記第2の領域のうちの一方が、インサート成形プロセスで、前記第1の領域及び前記第2の領域のうちの他方の周囲で形成される、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項15】
前記スピーカグリルが、5mm~10mmの厚さを有する、請求項1に記載の車両ヘッドレスト。
【請求項16】
方法であって、
フォーム成形プロセスを使用してヘッドレストのための単一フォーム部材を成形することであって、前記単一フォーム部材が、第1の堅さを有する第1の領域と、前記第1の堅さよりも大きい第2の堅さを有する第2の領域と、を含む対照的な堅さの領域を有する、成形することを含み、
前記第2の領域が、スピーカグリルを画定し、
前記成形することが、第1のフォーム成形ステップで第1の部分を成形することと、次いで、第2のフォーム成形ステップで前記第1の部分上に第2の部分を直接成形することと、を含み、
前記第1の部分が、前記第1の領域及び前記第2の領域のうちの一方を画定し、
前記第2の部分が、前記第1の領域及び前記第2の領域のうちの他方を画定する、方法。
【請求項17】
前記第1の部分を成形することが、第1の比率セットで、ポリオール、イソシアネート、及び水を混合することを含み、前記第2の部分を成形することが、前記第1の比率セットとは異なる第2の比率セットで、前記ポリオール、前記イソシアネート、及び水を混合することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の部分を成形することが、ポリオール、イソシアネート、及び水を混合することを含み、前記第2の部分を成形することが、前記ポリオール、前記イソシアネート、水、並びに触媒、界面活性剤、難燃剤、充填剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤を混合することを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、統合されたラウドスピーカを有するヘッドレストに関する。
【発明の概要】
【0002】
下記で言及される全ての例及び特徴は、技術的に可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【0003】
一態様では、車両ヘッドレストは、電気音響変換器と、電気音響変換器を支持する音響エンクロージャと、を含む。単一フォーム部材は、音響エンクロージャに結合される。フォーム部材は、第1の堅さを有する第1の領域と、第1の堅さよりも大きい第2の堅さを有する第2の領域と、を含む、対照的な堅さの領域を有する。第2の領域は、電気音響変換器の上に横たわるように構成されたスピーカグリルを画定する。
【0004】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態では、フォーム部材は、第1のフォーム密度を有し、第2の領域は、第1のフォーム密度よりも大きい第2のフォーム密度を有する。
【0005】
特定の実装形態では、第2のフォーム密度は、第1のフォーム密度の少なくとも2倍(×2)である。
【0006】
いくつかの例では、第1の領域は、約2PCF~約8PCFのフォーム密度を有し、第2の領域は、少なくとも約12PCFのフォーム密度を有する。これらの値は、軟質(可撓性)フォームの使用に基づくものであり、より剛性のフォームが、第2の領域のために利用される場合、剛性フォームのフォーム密度は、より高い硬度に起因してより低くなる可能性が高い。
【0007】
特定の例では、第1及び第2の領域は各々、ショアA50以下の硬度を有する。
【0008】
いくつかの場合では、フォーム部材は、クローズドセルフォームで形成される。
【0009】
特定の場合では、フォーム部材は、ポリウレタンで形成される。
【0010】
いくつかの実装形態では、第2の領域は、第1の領域の一部の上に横たわり、そのため、第1の領域の一部が、第2の領域と電気音響変換器との間に配置される。
【0011】
特定の実装形態では、電気音響変換器は、電気音響変換器を音響エンクロージャに取り付けるためのフレームを含む。フォーム部材は、第2の領域の下にある第1の領域の一部に形成された凹部を画定する。凹部は、フレームの形状に適合する。フォーム部材は、電気音響変換器からグリルまでの障害物がない経路を提供する開口を凹部内に更に画定する。
【0012】
いくつかの例では、フォーム部材は、フォーム部材とフレームとの間に音響シールを形成するように、フレームに係合するように構成される。
【0013】
特定の例では、車両ヘッドレストは、フレームに結合されたパッドリングを含み、凹部は、フレームとフォーム部材との間にパッドリングを収容する深さを有し、フォーム部材は、フォーム部材とパッドリングとの間に音響シールを形成するように、パッドリングに係合する。
【0014】
いくつかの場合では、第1の領域は、電気音響変換器から放射された音響エネルギーを所望の方向に転換するのに役立つ音響チャネルの少なくとも一部を更に画定する。
【0015】
特定の場合では、第1及び第2の領域は、2ショット成形プロセスで同時に形成される。
【0016】
いくつかの実装形態では、第1の領域及び第2の領域のうちの一方が、インサート成形プロセスで、第1の領域及び第2の領域のうちの他方の周囲で形成される。
【0017】
いくつかの場合では、第1の領域及び第2の領域のいずれか又は両方が、現場注入成形プロセスによって形成される。
【0018】
特定の実装形態では、グリルは、5mm~10mmの厚さを有する。
【0019】
別の態様では、方法は、フォーム成形プロセスを使用してヘッドレストのための単一フォーム部材を成形することを含む。単一フォーム部材は、第1の堅さを有する第1の領域と、第1の堅さよりも大きい第2の堅さを有する第2の領域と、を含む、対照的な堅さの領域を有する。第2の領域は、スピーカグリルを画定する。成形ステップは、第1のフォーム成形ステップで第1の部分を成形することと、次いで、第2のフォーム成形ステップで第1の部分上に第2の部分を直接成形することと、を含む。第1の部分は、第1の領域及び第2の領域のうちの一方を画定する。第2の部分が、第1の領域及び第2の領域のうちの他方を画定する。
【0020】
実装形態は、上記及び/又は下記の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0021】
いくつかの実装形態では、第1の部分を成形することは、第1の比率セットで、ポリオール、イソシアネート、及び水を混合することを含み、第2の部分を成形することは、第1の比率セットとは異なる第2の比率セットで、ポリオール、イソシアネート、及び水を混合することを含む。
【0022】
特定の実装形態では、第1の部分を成形することは、ポリオール、イソシアネート、及び水を混合することを含み、第2の部分を成形することは、ポリオール、イソシアネート、水、並びに触媒、界面活性剤、難燃剤、充填剤、及びそれらの組み合わせから選択される添加剤を混合することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】統合されたスピーカを有する車両ヘッドレストの正面斜視図である。
図1B図1Aの車両ヘッドレストの背面斜視図である。
図2A図1Aの車両ヘッドレストの分解正面斜視図である。
図2B図1Aの車両ヘッドレストの分解背面斜視図である。
図3A図1Aの車両ヘッドレストからのクッション部材の背面図である。
図3B図3Aのクッション部材の正面斜視図である。
図3C図3Aのクッション部材の背面斜視図である。
図4図1Aの車両ヘッドレストの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、快適性、製造可能性、及び音響性能のバランスをとるために、対照的な堅さの領域を含む単一フォームクッション部材を有する統合されたスピーカを含む、車両ヘッドレストを提供することが有益であり得るという理解に少なくとも部分的に基づく。
【0025】
図1A及び図1Bを参照すると、例示的な車両ヘッドレスト100は、ユーザの頭の後部を支持するための主要本体部102と、ヘッドレスト100をシートバックに取り外し可能に取り付けるための1つ以上の(2つが図示されている)支持ロッド104と、を含む。
【0026】
図2A及び図2Bを参照して、主要本体部102は、複数の電気音響変換器202を支持するコアアセンブリ200を含む。コアアセンブリ200は、バッフル部材204と、バッフル部材204に結合されたバックカバー206と、を含み、それらの間に1つ以上の音響チャンバ208(図4も参照)を有する音響エンクロージャを画定する。バッフル部材204及びバックカバー206は、射出成形プロセスで、アクリロニトリルブタジエンスチレン(Acrylonitrile Butadiene Styrene、ABS)、ポリカーボネート(PolyCarbonate、PC)、又はポリフェニレンエーテル(PolyPhenylene Ether、PPE)+ポリスチレン(PolyStyrene、PS)ブレンドなどのプラスチックから形成され得る。他の例では、バッフル部材204及びバックカバー206は、他の好適な材料から形成され得る。バッフル部材204及びバックカバー206は、機械的締結具(例えば、ねじ)、接着剤、溶接(例えば、超音波溶接、又はそれらの組み合わせで一緒に結合され得る。
【0027】
バックカバー206は、ヘッドレスト100の背面110(図1B)を画定する。バックカバー206はまた、支持ロッド104のうちの1つの遠位端部分を受容するためのソケット210を画定し得る。支持ロッド104の遠位端部分は、ソケット210内に押し上げられる。ソケット210と支持ロッド104との間の接続は、摩擦嵌合であり得る。代替的に又は追加的に、ソケット210及び支持ロッド104は、ソケット210内にロッド104を固定するのに役立つインターロック機構を含み得る。ソケット210は、ヘッドレストに当たる衝撃力がバーに伝達されるように、支持ロッド104との十分な構造的重なりを提供するように構成される。更に、ソケット210がバックカバー206によって画定される実装形態が説明されているが、いくつかの場合では、ソケット210は、バックカバー206とは別個に形成され、その後、(例えば、接着剤又は金具を介して)そこに固定され得る。例えば、いくつかの実装形態では、ソケット210は、バッフル部材204によって画定され得る。いくつかの実装形態では、バッフル部材204は、マルチピース構造を有し得る。
【0028】
バッフル部材204は、電気音響変換器202を収容するための1対の穴212を画定する。電気音響変換器202の各々は、ダイヤフラム214と、ダイヤフラム214の後方放射面に沿って配置された駆動ユニット216(例えば、ボイスコイルモーター)と、ダイヤフラム214の前方放射面に沿って中央に配置されたダストキャップ218と、駆動ユニット216及びダイヤフラム214を支持するためのフレーム220と、を含む。フレーム220は、例えば、ねじでバッフル部材204に真っ直ぐに取り付けられ、そのため、ダイヤフラム214の後方放射面は、音響エネルギーを1つ以上の音響チャンバ208内に放射する。いくつかの場合では、1つ以上の音響チャンバ208は、各電気音響変換器のための別個の音響チャンバを含み得、そのため、電気音響変換器は、互いに音響的に隔離された別個のそれぞれの音響チャンバ内に音響エネルギーを放射する。
【0029】
図示された実装形態では、電気音響変換器202は、前方発射であるように取り付けられ、すなわち、電気音響変換器の運動軸は、ユーザの頭が休むヘッドレストの正面に対して実質的に垂直であり、かつ互いに実質的に平行である。前方発射構成では、電気音響変換器202の前方放射面は、ヘッドレスト100の正面に対して実質的に垂直である方向に音響エネルギーを放射するように配置される。更に、他の実装形態では、電気音響変換器は、例えば、最大40度の角度で放射するように配置され得る。
【0030】
いくつかの場合では、配線は、支持ロッド104のうちの1つ以上を通じて音響チャンバ208内にルーティングされ得る。代替的に、配線はまた、支持ロッドの内側ではなく、第3の中央ポスト(図示せず)を通じてルーティングされ得る。いくつかの場合では、電気音響変換器202を駆動するための音響チャンバ208内に電気配線を通すために、1つ以上のスロットが、音響エンクロージャで形成され得る。そのようなスロットは、アセンブリ中にシールされ得る。
【0031】
主要本体部102はまた、クッション部材222(図3A)を含む。図3Aを参照すると、クッション部材222は、フォーム部材300と、カバー層302と、取付部材304と、を含む。
【0032】
クッションのために高エネルギー吸収を提供するクッション材料を利用することが望ましい場合がある。例えば、フォーム部材300は、自動車ヘッド抑制安全要件を満たすエネルギー吸収を有する材料で形成され得、ある場合では、安全要件は、24.1km/時で移動する6.8kgの球状質量について、減速が、3ミリ秒よりも長く連続的に80gを超えてはならないことを規定する。(連邦自動車安全基準No.202,Head Restraints(S4.2.5及びS5.2.5でのFMVSS No.202)を参照)。電気音響変換器202を音響的に隔離するのに役立てるために、高音響減衰を提供するクッション材料(例えば、フォーム材料)を利用することが望ましい場合もある。カバー層302は、例えば、フォーム部材300の周囲で引き伸ばすことができる生地のタイプであり得る。カバー層302材料は、音響的に透過する表面材料であり、いくつかの場合では、それは、下にあるグリルをカバーして覆い隠すか又は隠し得る。
【0033】
取付部材304は、取付プレート306と、取付プレート306の背面310から外側に延在する複数のフック308と、を含む。取付プレート306の正面は、例えば、締結具及び/又は接着剤で、フォーム部材300の背面に固定される。代替的に又は追加的に、いくつかの実装形態では、フォーム部材300は、オーバーモールドプロセスで取付部材に接合され得、すなわち、フォーム部材300は、取付部材上に直接成形され得る。次いで、クッション部材222は、バッフル部材204で形成された対応する凹部314(図2A)内にフック308を引っ掛けることによって、コアアセンブリ200に固定される。フック308が凹部内314に引っ掛けられた状態で、取付部材304上のタブ316は、バッフル部材204での取付穴226(図2A)の上に横たわる。次いで、タブ316をバッフル部材204に固定するために、締結具が、タブ316での開口318(図3C)を通って取り付け部226内に通過し得る。取付部材304は、剛性ポリマー又は金属などの剛性材料で形成され得、成形及び/又は機械加工プロセスで形成され得る。更に、クッション部材をコアアセンブリに取り付けるための他の機械的締結方法が企図される。
【0034】
フォーム部材300は、対照的な堅さの領域を有する単一フォーム部分である。その点で、押し込み力たわみ(Indentation Force Deflection、IFD)は、フォーム堅さの測定値である。IFDは、フォームサンプルを、その元の高さの25%を押し込む(圧縮する)ことによって測定される。フォームを押し込むのに必要な力の(例えば、ポンドでの)量は、その25%IFD測定値である。必要な力が大きくなるほど、フォームはより堅くなる。可撓性フォームIFD測定値は、約5ポンド(超軟質)~約80ポンド(非常に堅い)の範囲である。
【0035】
図3B及び図3Cを参照すると、フォーム部材300は、第1の堅さを有する第1の領域320と、第1の堅さよりも大きい第2の堅さをそれぞれ有する複数の第2の領域322と、を有する。フォーム部材300は、第2の領域322が第1の領域320と一体的であるという点で単一である。第2の領域322の各々は、電気音響変換器202のうちの対応するものの上に横たわるように構成されるスピーカグリル324を画定する。フォーム部材300は、第2の(グリル)領域322で10mm~50mmの厚さを有する。グリル324は、第2の領域322で画定された開口325の配列によって形成され、それにより、電気音響変換器202から放射された音響エネルギーがそこを通過することが可能になる。開口323の各々は、100mm~184mmの開放面積を有し得、各グリル324は、2200mm~2400mm、例えば、約2300mmの総開放面積を有し得る。好ましくは、スピーカグリル324の各々は、ダイヤフラム214の面積の少なくとも約50%の開放面積を有する。開口設計は、設計、材料、及び製造プロセスに応じて変化し得る。より硬い領域は、音響エネルギーを吸収する傾向が低く、音響エネルギーを介して変位する可能性が低い。より硬い領域はまた、グリルパターンのエリアでカバー層材料により均一な支持を提供するのに役立ち、それはまた、不十分に(緩く)支持されているときに、失われた音響エネルギーのソースであり得る。
【0036】
この部分がユーザの頭と接触する可能性が高いため、快適性のために第1の領域320に比較的軟質のフォームを提供することが望ましい場合がある。しかしながら、グリル領域322でのそのような軟質のフォームの使用は、電気音響変換器から放射された音響エネルギーの損失をもたらし得ることが発見されている。音響エネルギーの損失を最小限にするために、グリル領域322は、より硬くされる。いくつかの場合では、第1の領域320及び第2の領域322は各々、ショアA50以下の硬度を有する。
【0037】
単一構造を維持しながら、より硬いグリル領域322を提供する1つの方法は、異なる領域が対照的なフォーム密度を有するようにフォーム密度を制御することによるものである。第1の領域320は、第1のフォーム密度を有し、第2の(グリル)領域322は、第1のフォーム密度よりも大きい第2のフォーム密度を有する。好ましくは、第2の領域322は、第1の領域320の少なくとも2倍(×2)であるフォーム密度を有する。一例では、フォーム部材300は、可撓性ポリウレタンフォームで形成される。第1の領域320は、2PCF~8PCF、例えば、7PCFの立方フィート当たりのポンド(PCF)でのフォーム密度で形成されており、第2の領域322は、少なくとも8PCF、例えば、14PCF~30PCFのフォーム密度と同時に形成される。これらの値は、軟質(可撓性)フォームの使用に基づくものであり、より剛性のフォームが、第2の領域のために利用される場合、フォーム密度は、より高い硬度に起因してより低くなり得る。フォーム部材300は、(インモールド、2ショットフォーム成形プロセス又はインサート成形プロセスなどの)マルチステップ成形プロセスで形成され得、第1の領域320又は第2の領域322のいずれかが、まず、初期成形ステップで形成され、次いで、他の領域(複数可)、すなわち、第1の領域320及び第2の領域322のうちの他方が、予め形成された部分(複数可)の周囲で成形される。代替的に又は追加的に、第2の領域は、発砲ポリプロピレン(Expanded PolyPropylene、EPP)又は発泡ポリスチレン(Expanded PolyStyrene、EPS)などの発砲樹脂で形成され得る。
【0038】
ポリウレタンフォームは、2つの重要な化学物質、ポリオール及びイソシアネートと水との反応から生成される。これらは、特定の量で一緒に混合される。密度及び堅さを含むフォームの特性は、これらの成分の比率を調整することによって制御され得る。(上で参照される2ショット及び/又はインサート成形などの)フォーム成形は、個々のアイテムが、具体的に成形された成形型内に化学物質を注ぎ、フォーム反応が起こるのを可能にすることによって生成される、プロセスである。成形プロセスはまた、フォーム部材300の外面上に外殻を形成するのに役立つ。外殻は、成形型表面とフォームとの間の接触の結果である。外殻は、フォーム部材300によって音響エネルギーの吸収を抑制する良好な音響バリアを提供し得るため、有益であり得る。グリル領域でのより高いフォーム密度の使用は、音響エネルギーのより少ない損失をもたらす。第1の領域320は、ユーザの頭と接触する可能性が最も高いエリアでの追加の快適性のために、より低いフォーム密度によってその軟質性を保持する。そして、重要なことに、部品は、単一のままであり、それは、単純化されたアセンブリ、及び滑らかな輪郭のための対照的なハーネスの領域間のシームレスな(ギャップレスな)移行を可能にする。
【0039】
第2の領域322でのより高い堅さを達成するための代替的又は追加的な方法は、ポリオール、イソシアネート、及び水混合物に添加剤を導入することによるものである。そのような添加剤は、触媒、界面活性剤、難燃剤、及び充填剤を含み得る。
【0040】
図3Cを参照すると、フォーム部材300は、第2の領域322の下にある第1の領域320のそれぞれの部で形成された1対の凹部340を画定する。凹部340の各々は、フレーム320の形状に適合する(図2A)。フォーム部材300はまた、凹部340内に開口342を画定し、その各々は、電気音響変換器202のうちの対応するものからグリル324のうちのそれぞれのものまでの障害物がない経路を提供する。いくつかの実装形態では、凹部340の各々は、電気音響変換器202とフォーム部材300との間にパッドリング344(図2A及び図2B)を収容する深さを有し、そのため、フォーム部材300は、フォーム部材300とパッドリング344との間に音響シールを形成するように、パッドリング344に係合する。パッドリング344は、紙又はプラスチックで形成され得、典型的には、シールが作製され得る広い平坦な表面を提供するために使用されるか、又はいくつかの場合では、パッドリングは、電気音響変換器の組み立て中にダイヤフラムの剛性を維持するのを補助するために使用される。代替的に又は追加的に、フォーム部材300は、例えば、パッドリングがない状態で、フォーム部材300とフレーム220との間に音響シールを形成するように、フレーム220に直接係合するように構成され得る。
【0041】
フォーム部材300は、開口342内で壁346を更に画定し、それは、電気音響変換器202の前方放射面に隣接して位置する音響チャネル400(図4)を形成する。音響チャネル400は、電気音響変換器202から放射された音響エネルギーを、それぞれの所望の方向に転換するのに役立つ。
【0042】
図示された例では、フォーム部材300はまた、クリスマスツリー締結具(a/k/a押込リベット、アイテム244、図2A及び図2B)を受容するための1対のポケット350(図3C)を画定する。ポケット350は、締結具のそれぞれのヘッドを受容及び保持するように構成され得る。締結具244の反対の端は、クッション部材222をコアアセンブリに固定するのを補助するために、バッフル部材204で形成された開口245(図2A)内に押し込まれる。クリスマスツリー締結具244は、良好な音響シールがフォーム部材300とバッフル部材204との間に提供されることを確実にするのに役立ち、グリルフォーム部材300がヘッドレスト100の所望の輪郭に適合することを確実にするのに役立ち得る。代替的に又は追加的に、磁石が、ポケット内に収容され得、バッフル部材204で取り付けられる接続磁石に結合するように配置され得る。磁石の使用は、例えば、ユーザカスタマイゼーションの可能性を開き得、異なるフォーム部材が、選択及び再組み立てされ得る。フォーム部材をバッフル部材に接続する、更に他の手段。
【0043】
複数の実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく追加の改変を行うことができ、したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲の範疇にあることが理解される。
【符号の説明】
【0044】

100 車両ヘッドレスト
202 電気音響変換器
300 フォーム部材
320 第1の領域
322 第2の領域
324 スピーカグリル
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4