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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】手動商品販売装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 11/54 20060101AFI20220426BHJP
   G07F 11/44 20060101ALI20220426BHJP
   G07F 9/02 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
G07F11/54
G07F11/44
G07F9/02 101D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021016297
(22)【出願日】2021-02-04
(62)【分割の表示】P 2019159533の分割
【原出願日】2012-01-19
(65)【公開番号】P2021073617
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】中西 康之
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-146196(JP,A)
【文献】特開昭63-143693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 1/00-11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される硬貨投入口と、前記硬貨投入口に硬貨が投入されたときに操作可能となるハンドルと、商品を収納する収納部と、前記収納部の底部に設けられ前記ハンドルの操作に連動して動作する商品保持部材と、前記商品保持部材に設けられ前記商品を保持する複数の商品保持部と、を有し、前記ハンドルを操作することで前記商品保持部材を動作させ、前記商品保持部で待機する前記商品を順次払い出すようにした手動商品販売装置において、
前記商品保持部は、一部が切り欠きにより開放されており、
前記収納部内には、前記収納部に前記商品が無くなったときに前記商品保持部材の動作を阻止する阻止手段が設けられており
前記阻止手段は、前記商品保持部材の近傍に設けられ前記商品保持部に対して前記切り欠きから進退可能な係止部を有し、当該係止部は、前記商品が前記商品保持部に有るときは前記切り欠きより前記商品保持部から退避して前記商品保持部材の動作を許容する一方、前記商品が前記商品保持部に無いときは、前記商品保持部に前記切り欠きから進入して前記商品保持部材の動作を阻止可能であ
前記係止部の動作に連動して前記硬貨投入口の前側に突出可能な売り切れ表示部を有し、
前記売り切れ表示部は、前記係止部が前記切り欠きより前記商品保持部から退避して前記商品保持部の前記商品保持部材の動作を許容するときは、前記硬貨投入口の前側から退避する一方、前記係止部が前記商品保持部に前記切り欠きから進入して前記商品保持部材の動作を阻止するときは、前記硬貨投入口の前側に突出し、前記硬貨投入口を覆いかつ売り切れ状態を表示可能である、
ことを特徴とする手動商品販売装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動商品販売装置に関し、より詳細には、ハンドルを操作することで商品を払い出すようにした手動商品販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨を投入してハンドルを回すと、商品が払い出される手動式の販売装置が広く普及している。一般に、この種の販売装置では、投入された硬貨は、ハンドルが回転操作されると収集ボックスに落ちるようになっているが、商品が無い状態(空の状態)でハンドルが回転操作されると、商品が払い出されないにも関わらず、硬貨が収集ボックスに落ちてしまう、いわゆる空打ちが生じており、従来、これを防止するための技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載される販売機は、操作子(ハンドル)と連動して回転する商品保持部材を商品収納空間の下部に設け、この商品保持部材の周方向に複数の商品保持孔を設けてなる。商品保持部材の下方には、商品保持部孔に係脱可能な係止部が設けられる。この係止部は、商品が商品保持孔に有るときは、商品の自重に負けて商品保持孔から離脱し、商品保持部材の回転を許容する。また、商品が商品保持孔に無いときは、係止部がスプリングの弾性力によって商品保持部材に係合し、商品保持部材の回転を阻止する。
【0004】
この販売機によれば、商品収納空間に商品が有る場合は、購入者により硬貨が投入されて操作子が回転操作されると、商品が商品排出孔に払い出される。そして、投入された硬貨は、操作子の回転に伴って収集ボックスに落ちる。一方、商品収納空間に商品が無くなると、係止部によって商品保持部材の回転が阻止されるので、操作子も回転不能となる。このため、購入者は、硬貨を投入しても操作子を回転することができない。よって、硬貨が収集ボックスに落ちることを防ぎ、空打ちを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4536616号公報(図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、商品の自重を利用して商品の存否を検知するため、商品が軽いと、スプリングの弾性力が商品の自重に打ち勝ってしまう場合がある。この場合、商品が商品保持孔に有るにも関わらず、スプリングによって係止部が商品保持孔に係合してしまい、商品が販売できない不具合が生ずる。そこで、スプリングの弾性力をあらかじめ弱く設定することが考えられるが、スプリングの弾性力が弱くなると係止部による係止力が低下する。すなわち、購入者が故障と勘違いして無理に操作子を回転させた場合、回転しようとする商品保持部材に負けて係止部が下がってしまい、商品保持部材が回転してしまうおそれがある。したがって、スプリングの弾性力を弱く設定すると、商品保持部材の回転を確実に阻止できなくなり、空打ちを防ぐことが困難になってしまう。以上からすると、特許文献1に記載される技術では、空打ち防止を確実にするにはスプリングの弾性力を強くすべきだが、あまり強くすると、軽い商品の場合、商品がなくなっていないにも関わらず商品保持部材が回転しなくなるので、使用するスプリングの弾性力の調整が難しかった。
【0007】
本発明の目的は、より簡便に空打ちを防止できる手動商品販売装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、硬貨が投入される硬貨投入口と、前記硬貨投入口に硬貨が投入されたときに操作可能となるハンドルと、商品を収納する収納部と、前記収納部の底部に設けられ前記ハンドルの操作に連動して動作する商品保持部材と、前記商品保持部材に設けられ前記商品を保持する複数の商品保持部と、を有し、前記ハンドルを操作することで前記商品保持部材を動作させ、前記商品保持部で待機する前記商品を順次払い出すようにした手動商品販売装置において、前記収納部に前記商品が無くなったときに前記商品保持部材の動作を阻止する阻止手段を有し、
前記阻止手段は、前記商品保持部材の近傍に設けられ前記商品保持部に対して側方から進退可能な係止部、を有し、前記係止部は、前記商品が前記商品保持部に有るときは、前記商品の側部あるいは前記商品保持部材に接して前記商品保持部から退避して前記商品保持部材の動作を許容する一方、前記商品が前記商品保持部に無いときは、前記商品保持部に進入して前記商品保持部材の動作を阻止可能であることを特徴とする。また、本発明に係る手動商品販売装置において、 硬貨が投入される硬貨投入口と、前記硬貨投入口に硬貨が投入されたときに操作可能となるハンドルと、商品を収納する収納部と、前記収納部の底部に設けられ前記ハンドルの操作に連動して動作する商品保持部材と、前記商品保持部材に設けられ前記商品を保持する複数の商品保持部と、を有し、前記ハンドルを操作することで前記商品保持部材を動作させ、前記商品保持部で待機する前記商品を順次払い出すようにした手動商品販売装置において、前記商品保持部は、一部が切り欠きにより開放されており、前記収納部内には、前記収納部に前記商品が無くなったときに前記商品保持部材の動作を阻止する阻止手段が設けられており、前記阻止手段は、前記商品保持部材の近傍に設けられ前記商品保持部に対して前記切り欠きから進退可能な係止部を有し、当該係止部は、前記商品が前記商品保持部に有るときは前記切り欠きより前記商品保持部から退避して前記商品保持部材の動作を許容する一方、前記商品が前記商品保持部に無いときは、前記商品保持部に前記切り欠きから進入して前記商品保持部材の動作を阻止可能であり、前記係止部の動作に連動して前記硬貨投入口の前側に突出可能な売り切れ表示部を有し、前記売り切れ表示部は、前記係止部が前記切り欠きより前記商品保持部から退避して前記商品保持部の前記商品保持部材の動作を許容するときは、前記硬貨投入口の前側から退避する一方、前記係止部が前記商品保持部に前記切り欠きから進入して前記商品保持部材の動作を阻止するときは、前記硬貨投入口の前側に突出し、前記硬貨投入口を覆いかつ売り切れ状態を表示可能である、ことを特徴とする。

【0009】
また、本発明に係る手動商品販売装置は、前記係止部の動作に連動して前記硬貨投入口の前側に突出可能な売り切れ表示部を有し、前記売り切れ表示部は、前記係止部が前記商品の側部あるいは前記商品保持部材に接して前記商品保持部から退避して前記商品保持部の前記商品保持部材の動作を許容するときは、前記硬貨投入口の前側から退避する一方、前記係止部が前記商品保持部に進入して前記商品保持部材の動作を阻止するときは、前記硬貨投入口の前側に突出し、前記硬貨投入口を覆いかつ売り切れ状態を表示可能であるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より簡便に空打ちを防止できる手動商品販売装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明にかかる実施形態の手動商品販売装置の斜視図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】収納部の分解斜視図である。
図4】収納部の要部の斜視図である。
図5】空打ち防止手段(阻止手段)を拡大して示す斜視図である。
図6】硬貨投入口周辺の構成を斜め下方から見た斜視図である。
図7】商品が商品保持部に有るときの空打ち防止手段(阻止手段)の作用説明図である。
図8】商品が販売されるときの空打ち防止手段(阻止手段)の作用説明図である。
図9】商品が商品保持部に無いときの空打ち防止手段(阻止手段)の作用説明図である。
図10】装置側方からから見た売り切れ表示部の作用説明図である。
図11】装置正面から見た売り切れ表示部の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。また、前・後は、手動商品販売装置に正対したときの手前側・奥側とし、左・右は、手動商品販売装置に正対したときの左側・右側とする。
【0013】
図1に示すように、本発明にかかる実施形態の手動商品販売装置10は、筐体11と、筐体11上部に設けられて商品12を収納する収納部40と、筐体11下部の前側を覆う前カバー13と、筐体11の背面側を覆う後カバー15と、これら筐体11、収納部40および後カバー15を上から塞ぐ上カバー16と、を有する。
【0014】
収納部40は、多数の商品12を収納すると共に、商品12を1個ずつ払い出す機能を有する。この収納部40の構成の詳細は、後述する。なお、商品12は、ここでは、合成樹脂製のカプセルに小型の玩具を収納したカプセル玩具であるが、商品12の形態および種類は任意である。
【0015】
前カバー13には、硬貨投入口17、ハンドル18、商品取り出し口21、硬貨返却ボタン22および硬貨返却口23が設けられる。ハンドル18は、硬貨が硬貨投入口17に投入されると、回転可能になるように構成される。硬貨投入口17に投入された硬貨は、購入者によってハンドル18が回転操作されると、硬貨収集ボックス(図示省略)に収集されるが、ハンドル18が回転操作されずに硬貨返却ボタン22が押されると、硬貨返却口23に戻るようになっている。商品取り出し口21は、収納部40に連通しており、ハンドル18が回転操作されたとき、1個の商品12が収納部40から商品取り出し口21に払い出される。なお、本発明の手動商品販売装置に使用される硬貨には、貨幣の他、装置を設置する店側から提供される商品交換用のメダル等が含まれる。
【0016】
図2に示すように、ハンドル18は、前カバー13および筐体11に回転可能に設けられる。ハンドル18には、駆動軸25が設けられる。駆動軸25は、後カバー15に向けて延びる。駆動軸25の先端には、第1中間歯車26が設けられる。第1中間歯車26は、後カバー15に回転可能に支持され、第2中間歯車27と噛み合う。第2中間歯車27は、後カバー15に回転可能に支持され、第3中間歯車28に噛み合う。第3中間歯車28は、後カバー15に回転可能に支持される。第3中間歯車28の前側には、第4中間歯車31が一体に設けられる。第3中間歯車28および第4中間歯車31は、二段歯車として構成される。第4中間歯車31は、従動接であるラック62(後述)に噛み合う。ハンドル18が回転操作されると、その回転力が駆動軸25、第1中間歯車26、第3中間歯車28、第4中間歯車31を介してターンテーブル60(本発明にいう「商品保持部材」、後述)に伝わり、ターンテーブル60が回転する。
【0017】
筐体11の下部には、商品12を収納部40から払い出すための排出部32が設けられる。排出部32の前後には、内方に向けて下り傾斜に形成されるシュート32aが設けられる。シュート32aは、矢印(1)で示すように、収納部40からの商品12を商品取り出し口21(図1参照)に導く。
【0018】
図3に示すように、収納部40は、容器体50、容器体50の前部に取り付けられる透明カバー42、ターンテーブル60、撹拌手段61および空打ち防止手段70(本発明にいう「阻止手段」)を主要素とする。容器体50は、前方に開放したほぼ箱型に構成される。容器体50の下部には、円形の凹部51が形成される。凹部51の底部には、円形の排出孔52が形成される。また。凹部51の後端部には、貫通孔53が設けられる。なお、符号55で示す部材は、容器体50において商品12を排出孔52に1個ずつ導くためのガイドであり、符号で56示す部材は、容器体50の隅部に商品12が滞留することを防ぐ傾斜板である。
【0019】
ターンテーブル(商品保持部材)60は、容器体50の凹部51に回転可能に嵌合される。ターンテーブル60の下部周縁には、ラック62が形成される。ラック62は、貫通孔53を通じて第4中間歯車31(図2参照)と噛み合う。ターンテーブル60は、第4中間歯車31(図2参照)から伝わる動力によって、凹部51内で回転する。また、ターンテーブル60には、周方向に並んで設けられ商品12(図2参照)を保持する複数(ここでは、等間隔に5個)の商品保持部63が設けられる。複数の商品保持部63は、各々、上下に開放した筒状に形成され、ターンテーブル60が回転すると、いずれか1個が排出孔52と合致する。商品12(図2参照)は、商品保持部63と排出孔52が合致しない状態では、凹部51の底面上を転動あるいは摺動するが、商品保持部63と排出孔52と合致すると、排出孔52から排出部32(図2参照)に落ちる。
【0020】
撹拌手段61は、ターンテーブル60の中心に取り付けられる支持部61aと、支持部61aに支持される複数の撹拌用ばね61bと、からなる。撹拌用ばね61bは、ターンテーブル60と共に回転することで、容器体50内の商品12(図2参照)を混ぜて商品12の滞留を防ぐ。
【0021】
空打ち防止手段(阻止手段)70は、収納部40に商品12が無くなったときにターンテーブル(商品保持部材)60の動作(本実施例の場合、回転動作)を阻止するものであり、容器体50の前部上面に設けられる。また、容器体50の前部には、傾斜板41が上から被着され、この傾斜板41は、空打ち防止手段70を上から覆う。さらに、容器体50の前部には、透明カバー42が被着される。
【0022】
図4に示すように、ターンテーブル60の外周には、周壁65が形成される。周壁65は、凹部51の上縁よりも高く形成される。商品保持部63は、ほぼ円筒状であり、商品保持部63の高さは、周壁65の高さと同程度である。周壁65には、商品保持部63を側方に開放させる切り欠き66が設けられる。
【0023】
続いて、空打ち防止手段70の構成を図5図6に基づいて詳細に説明する。
図5に示すように、空打ち防止手段70は、ロックアーム71(本発明にいう「係止部」)と、ロックアーム71に連結されるリンク機構80と、リンク機構80に連結される売り切れ表示部100と、を有する。
【0024】
ロックアーム71は、ターンテーブル60の外周近傍に支軸72を介して回動可能に設けられる。ロックアーム71の先端部73は、L字状に曲がっており、次回販売される商品12を保持する商品保持部63に対し、切り欠き66を介して側方から進退(進入、退避)可能である。ロックアーム71には、引張コイルばね75が設けられる。この引張コイルばね75は、先端部73と支軸72を挟んで反対の端部を引っ張っており、先端部73を商品保持部63に進入させる向き(図4、5で支軸72に対して時計回りの向き)にロックアーム71を常時付勢する。これにより、ロックアーム71は、商品12が商品保持部63に有るときは、商品12の側部あるいはターンテーブル60の周壁65に弾性的に接する。そして、ロックアーム71は、商品12の側部あるいはターンテーブル60の周壁65により押されることで、引張コイルばね75の弾性に抗して商品保持部63から退避可能となっている。このことにより、ロックアーム71はターンテーブル60の回転を阻止せず、ターンテーブル60の回転を許容する。一方、商品12が商品保持部63に無いときは、ロックアーム71の先端部73が商品保持部63に深く進入して、切り欠き66の縁に係合する。すなわち、ロックアーム71は、商品12の存否を側方から検知する検知手段であり、かつ、商品12の存否に応じてターンテーブル60が係り合って回転が止まる係止部でもある。ロックアーム71の基端には、上方に突出した円柱状の突起76が形成される。
【0025】
ロックアーム71の動作に売り切れ表示部100が連動するようにするため、ロックアーム71と売り切れ表示部100の間には、リンク機構80が設けられている。リンク機構80は、第1の部材81、第2の部材86、第3の部材88で構成される。第1の部材81は、容器体50の前部に支軸82を介して回動可能に設けられる。第1の部材81は、ロックアーム71の突起76に係合される長穴83a,83bおよびレバー85を有する。長穴83a,83bは、突起76の移動を許容するアーム回動用長穴83aと、アーム回動用長穴83aの端部に連なる表示部落下用長穴83bと、で構成される。第1の部材81は、ロックアーム71の先端部73が商品12の側部あるいはターンテーブル60の外周に弾性的に接して商品保持部63より退避しようとするときには、アーム回動用長穴83aにて突起76の移動を許容しつつ、突起76によって支軸82を中心とした回動が阻止されている。一方、商品12が無くなり、ロックアーム71の先端部73が商品保持部63に深く進入したときは、突起76が表示部落下用長穴83bに移行し、第1の部材81の支軸82を中心とした回動が許容される。
【0026】
第2の部材86は、前後方向に延びる棒状の部材である。第2の部材86の後端部86aは、第1の部材81のレバー85の先端部に連結される。第2の部材86は前後方向に移動可能であり、ロックアーム71の突起76によって第1の部材81の回動が阻止されているときは最後方の位置にあり、その位置から移動不能となっているが、第1の部材81の回動が許容されているときは、前方へ移動可能となる。第2の部材86の前端部には、直線状の長穴87が形成される。
【0027】
第3の部材88は、左右方向に延びる断面角形の棒状の部材である。第3の部材88の左右両端は、軸受91を介して容器体50に前後方向に回動可能に支持されている。第3の部材88の一端には、揺動部92が取り付けられる。揺動部92の先端部(第3の部材88に取り付けられている端とは反対の端部)は、第2の部材86の長穴87に摺動可能に嵌合されている。長穴87の前側内壁は揺動部92の先端部に当接しており、このことにより、第2の部材86が最後方の位置で移動が阻止されているときは、第2の部材86により引っ張られることになるため、揺動部92の先端部は後方へと移動し、前方への移動が阻止されている。そのため、揺動部92に取り付けられている第3の部材88も、第2の部材86が最後方の位置で移動が阻止されているときは、軸受91を中心に後方へと回動し、前方への回動が阻止されていることになる。対して、第2の部材86の前方への移動が許容されているときは、揺動部92の先端部も前方への移動が可能となり、したがって、第3の部材88も前方へと回動可能となる。このとき、売り切れ表示部100の重量により第3の部材88は前方へと回動すると、揺動部92の先端部も前方へと移動する。このとき、揺動部92の先端部と長穴87は当接しているため、揺動部92に引っ張られることで、第2の部材86は前方へと移動しようとし、これに伴って、第1の部材81も回動しようとする。このとき、ロックアーム71の突起76は表示部落下用長穴83bに位置しており、第1の部材81の回動を阻止しないので、結果、第1の部材81は回動し、第2の部材86も揺動部92の先端部も前方へと移動し、第3の部材88は前方へと回動することになる。なお、符号93で示す部材は、第3の部材88の後方への回動を補助する引張コイルばねである。
【0028】
売り切れ表示部100は、第3の部材88の他端に固定される取り付け部101と、取り付け部101から前上方に延びた後、前下方に折れ曲がる回動部102と、を有する。回動部102の前部外面には、売り切れを表示するための表示面103が設けられる。売り切れ表示部100には、自重により前下方に回動しようとする力が常時働いているが、商品12が商品保持部63に有るときは、第1の部材81の回動が阻止されていることから、第2の部材86および揺動部92は最後方の位置で前方への移動が阻止されていることにより、第3の部材88の前方への回動も阻止されているので、売り切れ表示部100も前下方への回動が阻止されている。すなわち、アーム回動用長穴83aと突起76とが係合している状態では、第1の部材81、第2の部材86および第3の部材88が拘束されているため、売り切れ表示部100の前下方への回動も阻止される。一方、ロックアーム71の先端部73が商品保持部63に深く進入したときは、突起76が表示部落下用長穴83bに移行して、第1の部材81の回動が許容されるため、第2の部材86は第1の部材81による拘束が許容され、揺動部92、第3の部材88も第2の部材86による拘束から開放されるため、売り切れ表示部100も、自重によって前下方に回動可能となる。
【0029】
図6に示すように、透明カバー42の下部には、売り切れ表示部100の回動部102が挿通可能な挿通口43が設けられる。回動部102は、通常の販売状態(商品12が商品保持部63に有るとき)では透明カバー42の内側に退避した状態、すなわち、第3の部材88の後方への回動に伴って後上方へと回動した状態となっているが、リンク機構80(図5参照)による拘束から解放され、売り切れ表示部100が自重により前下方に回動すると、挿通口43から透明カバー42の外部に突出し、硬貨投入口17の前側を覆う。
【0030】
次に、空打ち防止手段70の作用を図7図11に基づいて説明する。
図7では、少なくとも1個の商品12がターンテーブル60に残っているときの空打ち防止手段70の状態を示している。図7に示すように、ロックアーム71の先端部73は、商品12の側部に当接して退避しており、ターンテーブル60に係合していない。このため、ターンテーブル60は回転可能である。
【0031】
購入者によってハンドル18(図1参照)が回転操作されると、図8に示すように、ターンテーブル60は、回転して商品12を排出孔52に移動する。このとき、ロックアーム71の先端部73は、矢印(2)で示す向きに、商品保持部63から若干後退するが、ターンテーブル60の周壁65に弾性的に接しつつ、ターンテーブル60の回転を許容し続ける。同時に、ロックアーム71の突起76が矢印(3)で示す向きに移動するが、アーム回動用長穴83aに沿って移動するため、第1の部材81は回動せず、リンク機構80には影響を与えない。したがって、売り切れ表示部100は後上方へと回動し、その回動部102も透明カバー42の内側に退避した状態となっている。
【0032】
そして、待機する商品12が順次払い出され、最後の商品12が排出孔52に移動すると、図9に示すように、ロックアーム71の先端部73は、引張コイルばね93の弾性力によって、商品保持部63に深く進入して切り欠き66の縁に係合する(矢印(4))。これにより、ターンテーブル60は、回転不能となる。
【0033】
このロックアーム71の回動に伴い、突起76が表示部落下用長穴83bに移行するため、第1の部材81は、矢印(5)で示す向きに回動可能になる。これにより、リンク機構80および売り切れ表示部100がロックアーム71による拘束から解放される。結果、売り切れ表示部100が矢印(6)で示す向きに自重で回動し、リンク機構80も売り切れ表示部100の動作に従動する。
【0034】
すると、図10および図11に示すように、回動部102の前部が透明カバー42の挿通口43から突出し、硬貨投入口17の前側を覆い、表示面103が装置正面に向く。このとき、第3の部材88も回動するため、引張コイルばね93が伸びる。これにより、第3の部材88の回動速度が抑制されるため、売り切れ表示部100の回動も制動される。売り切れ表示部100の回動が制動されることで、売り切れ表示部100と透明カバー42等との当接が緩和される。
【0035】
なお、空の容器体50に商品12を補充して販売を再開するときは、ロックアーム71を退避位置(図7に示されるロックアーム71の位置)に戻した上で、商品保持部63に商品12を入れる。ロックアーム71を退避位置に戻すことで、第1の部材81および第2の部材86を介して、第3の部材88を回動させ、売り切れ表示部100を引き上げる。これにより、売り切れ表示部100は、硬貨投入口17の前側から退避して透明カバー42の内側に戻る。
【0036】
以上に述べた手動商品販売装置10によれば、商品12が商品保持部63に無いときは、ロックアーム71の作用により、ターンテーブル60の回転を阻止することで、結果、ハンドル18を操作不能にすることができる。したがって、購入者が誤って硬貨を投入しても、ハンドル18が回転しないので、硬貨が収集ボックスに落ちることを防ぐことができる。
【0037】
また、商品12が商品保持部63に有るときは、ロックアーム71が商品12の側部に接することで、ターンテーブル60の回転を許容するため、商品12の質量に関わらず、商品12を確実に販売することができる。すなわち、商品の質量によって商品の存否を検知する従来の技術に対し、実施形態では、商品12の大きさ(外径寸法等)によって商品12の存否を検知する。このため、軽い商品12でも問題なく販売することができ、引張コイルばね75の弾性力の設定が比較的容易である。
【0038】
また、商品12が商品保持部63に無いときは、売り切れ表示部100が硬貨投入口17の前側を覆い、かつ、売り切れ状態を表示するため、購入者が硬貨投入口17に硬貨を投入するときに、売り切れであることを購入者に認知させることができるので、ロックアーム71の作用と合わせ、空打ちを二重に防止することができる。
【0039】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0040】
10 手動商品販売装置
12 商品
17 硬貨投入口
18 ハンドル
40 収納部
60 ターンテーブル(商品保持部材)
63 商品保持部
70 空打ち防止手段(阻止手段)
71 ロックアーム(係止部)
100 売り切れ表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11