(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】切断刃又はガードの歯を形成する方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/00 20060101AFI20220426BHJP
B21D 53/64 20060101ALI20220426BHJP
B26B 19/04 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B21D28/00 B
B21D53/64
B26B19/04 D
(21)【出願番号】P 2021559814
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2020062821
(87)【国際公開番号】W WO2020225406
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-10-08
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】グロビンク スティーヴン ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】フェルドハウス マーク クラース アルバート
(72)【発明者】
【氏名】アドリアーンセン マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ポストマス ヘンドリック クリスト
(72)【発明者】
【氏名】ゴート ニック
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524473(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105522596(CN,A)
【文献】特開2006-340938(JP,A)
【文献】特開2005-198795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00 - 28/02
B21D 53/64
B26B 19/00 ー 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断刃又はガードの複数の歯を形成する方法において、
a)材料のブランクを採取するステップであって、前記ブランクが、上部外面及び下部外面を持ち、前記下部外面の少なくとも一部は、実質的に平面であり、前記ブランクの平面を形成する、ステップと、
b)第1のダイ及び第2のダイを含む切断装置を利用するステップであって、前記第1のダイが複数の第1の要素を含み、前記第2のダイは複数の第2の要素を含み、前記複数の第1の要素の上面に対して第1の平面が規定され、前記複数の第2の要素の下面に対して第2の平面が規定され、前記複数の第1の要素の各上面が、前記第1の平面内にある中央部と、前記第1の平面の下方にあるエッジ部とを持つ、ステップと、
c)前記下部外面の一部が前記複数の第1の要素の上部表面を向き、前記上部外面の一部が前記複数の第2の要素の下部表面を向くように、前記ブランクを切断装置に配置するステップと、
d)前記第1の平面が前記第2の平面に向かって移動し、前記第2の平面を通過するように、前記第1のダイ及び前記第2のダイを互いに対して移動させるステップであって、前記複数の第1の要素の各要素が、前記複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過し、前記複数の第1の要素の位置に対応する前記切断刃又はガードの歯が形成され、前記歯が、前記ブランクの下部外面から形成された下部外面を持つ、ステップと、
e)曲げ装置を用いて、ステップd)の後、前記ブランクの平面より下に延びる前記切断刃又はガードの歯のエッジ部分を前記ブランクの平面に向かって曲げるステップとを有する、方法。
【請求項2】
ステップe)では、前記曲げ装置が、実質的に平面の上面を持つ第1のプレートを含み、前記方法が、ステップf)前記第1のプレートの平面状の上面を前記歯の下部外面に押し付けることにより、前記切断刃又は前記ガードの歯のエッジ部分を曲げるステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切断装置の前記第1のダイ及び前記第2のダイが、ステップd)において、前記複数の第1の要素の各要素が、前記複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するよう構成され、前記複数の第1の要素における要素は、前記複数の第2の要素における要素から、前記ブランクの厚さの15%以下、好ましくは10%以下の距離で横方向に離間し、前記ブランクの厚さが、前記上部外面の一部と前記下部外面の一部との間の距離に等しい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の第1の要素の各要素が、湾曲した上面を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記複数の第1の要素の各要素が面取りを持ち、前記面取りが20%~45%の範囲にあり、より好ましくは25%~30%の範囲にある、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記曲げ装置が、複数の凹部を含む第2のプレートを有し、各凹部の深さは、前記ブランクの厚さよりも小さく、前記ブランクの厚さが、前記上部外面の一部と前記下部外面の一部との間の距離に等しく、ステップf)において、前記切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるステップが、前記複数の凹部内に歯を配置し、前記第1のプレート及び第2のプレートを互いに対して移動させるステップを有する、請求項2乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記複数の凹部の開口部が、前記第2のプレートの下面に配置され、前記下面の各開口部の幅が、各切断歯の幅よりも広く、ステップf)では、前記第2のプレートの下面が第1のプレートの上面と向き合う、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の凹部の各底部が、各切断歯の幅よりも小さい幅を備える平坦部を持ち、前記凹部の両側には丸みを帯びた角部を持ち、前記角部は、前記平坦部から、各切断歯の幅よりも大きな距離を隔てた凹部の両側の側面部まで延びる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
切断刃又はガードの複数の歯を形成する切断及び曲げシステムであって、
切断装置と、
曲げ装置とを有し、
前記切断装置が、第1のダイ及び第2のダイを含み、前記第1のダイが複数の第1の要素を含み、前記第2のダイは複数の第2の要素を含み、前記複数の第1の要素の上面に対して第1の平面が規定され、前記複数の第2の要素の下面に対して第2の平面が規定され、前記複数の第1の要素の各上面が、前記第1の平面内にある中央部と、前記第1の平面の下方にあるエッジ部とを持ち、
前記切断装置は、材料のブランクが前記切断装置内に配置されることを可能にするよう構成され、前記ブランクが上部外面及び下部外面を含み、前記下部外面の少なくとも一部が実質的に平面であり、前記ブランクの平面を形成し、前記ブランクが前記切断装置に配置されるとき、前記下部外面の一部が前記複数の第1要素の上面に面し、前記上部外面の一部が前記複数の第2要素の下面に面し、
前記切断装置の第1のダイ及び第2のダイは、前記第1の平面が前記第2の平面に向かって移動し、かつ前記第2の平面を通過するように、互いに対して移動するよう構成され、前記複数の第1の要素の各要素が、前記複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過し、前記ブランクが前記切断装置に設置され前記切断装置で切断されるとき、前記複数の第1要素の位置に対応する前記切断刃又はガードの歯が形成され、前記歯は、前記ブランクの下部外面から形成された下部外面を持ち、
前記ブランクが前記切断装置により切断されるとき、前記切断刃又はガードの歯のエッジ部分が前記ブランクの平面よりも下に延び、前記曲げ装置は、切断後の前記ブランクの平面より下に延びる前記切断刃又はガードの歯のエッジ部分を、前記ブランクの平面に向かって折り曲げるよう構成される、切断及び曲げシステム。
【請求項10】
前記曲げ装置が、実質的に平面の上面を持つ第1のプレートを有し、
前記曲げ装置は、前記第1のプレートの平面状の上面が前記歯の下部外面に押し付けられてなる前記切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるよう構成される、請求項9に記載の切断及び曲げシステム。
【請求項11】
前記切断装置の前記第1のダイ及び前記第2のダイが、前記複数の第1の要素の各要素が前記複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、
前記複数の第1要素における要素は、前記複数の第2要素における要素と、前記ブランクの厚さの10%以下の距離だけ横方向に離間するよう構成され、
前記ブランクの厚さが、前記上部外面の一部と前記下部外面の一部との間の距離に等しい、請求項9又は10に記載の切断及び曲げシステム。
【請求項12】
前記複数の第1の要素の各要素が面取りを持ち、前記面取りが20%~45%の範囲にあり、より好ましくは該面取りが25%~30%の範囲にある、請求項9乃至11のいずれかに記載の切断及び曲げシステム。
【請求項13】
前記面取りの外縁が、前記第1の平面から下にブランクの厚さの6%以上の距離にあり、前記ブランクの厚さが、前記上部外面の一部と前記下部外面の一部との間の距離に等しい、請求項12に記載の切断及び曲げシステム。
【請求項14】
前記曲げ装置が、複数の凹部を含む第2のプレートを有し、各凹部の深さが前記ブランクの厚さよりも小さく、
前記ブランクの厚さが、前記上部外面の一部と前記下部外面の一部との間の距離に等しく、
前記第2のプレートは、前記複数の凹部内に前記切断刃又は前記ガードの歯が配置されるよう構成され、
各々の歯が別々の凹部に位置し、
前記曲げ装置は、前記第1のプレート及び前記第2のプレートを互いに移動させてなる前記切断刃又は前記ガードの歯のエッジ部分を曲げるよう構成される、請求項9乃至13のいずれかに記載の切断及び曲げシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断刃又はガードの複数の歯を形成する方法、及び切断刃又はガードの複数の歯を形成する切断及び曲げシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
トリマー及びシェーバーなどのヘアカットシステムの性能は、髪を切る金属製の刃エッジに依存している。斯かる刃エッジは、ガード及び/又は切断刃に存在する。優れたヘアカット性能のためには、刃エッジが鋭角(90度より小さい角度)で鋭利であることが好ましいことが知られている。一般的に、鋭い刃エッジは、先端の半径が小さい刃エッジである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この好ましい形状は、従来の冷間加工技術では作られることができない。例えば、プレス加工は直角をもたらし、鍛造加工は鈍角をもたらす。他の製造技術も、この形状を作ることを可能にするが、これらの技術はより複雑であるため、コストがかかる。
【0004】
例えば、特許文献EP1354674A1号は、バリカンの刃の製造方法を開示し、これは、歯状の刃エッジ部を備えるブランクを提供するステップと、その刃エッジ部を鋭角に鍛造するステップとを含む。
【0005】
この問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
シェーバー及び/又はトリマーのガード及び/又は切断刃の歯を製造するための改良された手段があれば有利である。本発明の目的は、独立請求項の主題により解決される。更なる実施形態が、従属請求項に組み込まれている。
【0007】
以下に説明する本発明の態様及び例は、切断刃又はガードの複数の歯を形成する方法、その方法により形成された複数の歯を持つ切断刃又はガード、及び切断刃又はガードの複数の歯を形成するための切断及び曲げシステムにも適用されることに留意されたい。
【0008】
第1の側面では、切断刃又はガードの複数の歯を形成する方法が提供され、この方法は、
a)材料のブランクを採取するステップであって、ブランクは上部外面及び下部外面を持ち、上記下部外面の少なくとも一部は、実質的に平面であり、上記ブランクの平面を形成する、ステップと、
b)第1のダイ及び第2のダイを含む切断装置を利用するステップであって、第1のダイが複数の第1の要素を含み、第2のダイが複数の第2の要素を含み、複数の第1の要素の上面に対して第1の平面が規定され、複数の第2の要素の下面に対して第2の平面が規定され、複数の第1の要素の各上面が、第1の平面内にある中央部と、第1の平面の下方にあるエッジ部とを持つ、ステップと、
c)切断装置にブランクを置くステップであって、下部外面の一部が複数の第1の要素の上部表面を向き、上部外面の一部が複数の第2の要素の下部表面を向く、ステップと、
d)第1の平面が第2の平面に向かって移動され、第2の平面を通過するように、第1のダイ及び第2のダイを互いに対して移動させるステップであって、上記複数の第1の要素の各要素が、上記複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過し、複数の第1の要素の位置に対応する切断刃又はガードの歯が形成され、上記歯は、上記ブランクの下部外面から形成された下部外面を持つ、ステップと、
e)曲げ装置を用いて、ステップd)の後、ブランクの平面より下に延びる切断刃又はガードの歯のエッジ部分をブランクの平面に向かって曲げるステップとを有する。
【0009】
言い換えると、髪を切るためのカッター/ガードの切断要素を形成するために、切断及び曲げプロセスが使用される。処理におけるプレス加工は、切断刃又はガードの平面よりも下に突出したエッジ部分を意図的に持つ切断刃又はガードの歯を切断する。その後、処理における曲げ加工が、これらのエッジ部分が歯の下側平面に実質的に戻るよう曲げ、これらのエッジ部分が、切断刃又はガードの歯の鋭く頑丈な刃先を形成する。従って、歯が、斯かる鋭い刃エッジを持つ切断刃/ガードを形成するプロセスが提供され、これは、エッチングなどの他の技術よりも環境に優しい。刃エッジは、90度より小さいウェッジ角を持つことができる。
【0010】
従って、この方法は、切断刃(一般的にシェービング/グルーミング装置の可動部)及びガード要素(皮膚に接触し、例えばカッターを覆うもの)の形成に使用されることができる。切断刃及びガードのために形成される歯は、シェービング及びトリミング要素のすべての形態に適用されることができ、例えば、ロタシェーバーのような線形又は回転システムに適用されることができる。
【0011】
一例として、ステップe)では、曲げ装置は、実質的に平面状の上面を含む第1のプレートを有し、上記方法は、ステップf)上記第1のプレートの平面状の上面を上記歯の下部外面に押し付けることにより、上記切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるステップを含む。
【0012】
こうして、プレートの実質的に平面的な上面は、切断ブランクの一部を押し上げることができ、これは、平らであったり、又は湾曲していたりするが、歯が切断された領域では実質的に平らであり、ブランクのこの部分を押し上げるプレートが、歯の鋭い刃エッジを形成するために歯の刃エッジを曲げる。
【0013】
一例では、切断装置の第1のダイ及び第2のダイは、ステップd)において、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1要素における要素が、上記複数の第2要素における要素と、上記ブランクの厚さの10%以下の距離だけ横方向に間隔をあけて配置されるよう構成され、上記ブランクの厚さが、上記上部外面の一部と上記下部外面の一部との間の距離に等しい。
【0014】
こうして、切断に使用されるダイの間隔が通常よりも狭くなり、これは有利には、適切な大きさのエッジ部分を持つ歯が形成されることをもたらす。これは歯の刃エッジを形成するために折り返される。小さな間隔であることは、結果として生じるエッジ部分が「突き出る」ことを意味し、エッジ部分からエッジ部分までの幅が歯の本体の幅よりも大きくなることを意味する。
【0015】
一例として、複数の第1要素の各要素は、湾曲した上面を有する。
【0016】
一例として、複数の第1の要素の各要素は、面取りを持つ。
【0017】
一例として、曲げ装置は、複数の凹部を含む第2のプレートを有し、各凹部の深さはブランクの厚さよりも小さい。上記ブランクの厚さが、上記上部外面の一部と上記下部外面の一部との間の距離に等しく、ステップf)において、上記切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるステップが、上記複数の凹部内に歯を配置し、上記第1のプレート及び第2のプレートを互いに移動させるステップを有する。
【0018】
こうして、切断刃又はガードの歯を挟んだ2枚のプレートを押し合わせるという簡単な処理で、歯のエッジが歯の底面に実質的に折り返されることができる。
【0019】
一例として、複数の凹部の開口部は、第2のプレートの下面に配置される。下面の各開口部の幅は、各切断歯の幅よりも広く、ステップf)では、上記第2のプレートの下面が第1のプレートの上面と向き合う。
【0020】
こうして、「上向き」に折り返されたエッジ部分は、切断歯の一方の側面から反対側の側面まで、切断歯の本体よりも広いエッジの延長部を持つことができる。
【0021】
歯は、屈曲したエッジ部分から形成される刃エッジの位置において、他の部分よりも広くなっている幅を持つ必要はない。
【0022】
一例では、複数の凹部の各底部は、各切断歯の幅よりも小さい幅の平坦部を持ち、凹部の両側には丸みを帯びた角部を有する。角部は、平坦部から、各切断歯の幅よりも大きな距離を隔てた凹部の両側の側面部まで延びている。
【0023】
これは、歯のエッジに加えられる追加の力を提供する。ここで、エッジ部分は折り曲げられる必要がある。これにより、曲げやすさが向上され、材料が更に折り曲げられることができる。その結果、材料の底面が切断刃又はガードの歯の底面に入るように移動される。
【0024】
第3の側面では、切断刃又はガードの複数の歯を形成するための切断及び曲げシステムが提供され、この切断及び曲げシステムは、
切断装置と、
屈曲装置とを有する。
【0025】
切断装置は、第1のダイ及び第2のダイを有する。第1のダイは複数の第1の要素を有し、第2のダイは複数の第2の要素を有する。複数の第1の要素の上面に対して第1の平面が規定され、複数の第2の要素の下面に対して第2の平面が規定されている。複数の第1要素の各上面は、第1平面内に位置する中央部と、第1平面の下方に位置するエッジ部とを持つ。切断装置は、材料のブランクが切断装置内に置かれることを可能にするよう構成される。ブランクは、上部外面と下部外面とを有する。下部外面の少なくとも一部は、実質的に平面であり、ブランクの平面を形成している。ブランクが切断装置に置かれるとき、下部外面の一部が複数の第1要素の上面に面し、上部外面の一部が複数の第2要素の下面に面している。切断装置の第1のダイ及び第2のダイは、互いに対して移動するよう構成される。その結果、第1の平面が第2の平面に向かって移動し、第2の平面を通過する。その結果、複数の第1の要素の各要素が複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過する。ブランクが切断装置に置かれ、切断装置で切断されるとき、複数の第1要素の位置に対応する切断刃又はガードの歯が形成される。歯は、ブランクの下部外面から形成された下部外面を持つ。切断装置でブランクが切断されると、切断刃又はガードの歯のエッジ部分が、ブランクの平面よりも下に延在する。曲げ装置は、切断後ブランクの平面より下に延びる切断刃又はガードの歯のエッジ部分を、ブランクの平面に向かって折り返すよう構成される。
【0026】
一例として、上部外面の少なくとも一部は実質的に平面である。
【0027】
一例として、上部外面の部分は、下部外面の部分と実質的に平行である。
【0028】
一例として、上部外面の部分は、下部外面の部分に対して角度がついている。
【0029】
一例として、曲げ装置は、実質的に平面状の上面を持つ第1のプレートを有する。曲げ装置は、第1プレートの平面状の上面が歯の下部外面に押し付けられてなる切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるよう構成される。
【0030】
一例では、切断装置の第1のダイ及び第2のダイは、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1要素における要素は、上記複数の第2要素における要素と、上記ブランクの厚さの10%以下の距離だけ横方向に間隔をあけて配置されるよう構成される。ブランクの厚さは、上部外面の部分と下部外面の部分との間の距離に等しい。
【0031】
一例として、複数の第1の要素の各要素は、面取りを持つ。
【0032】
一例として、面取りの外縁は、第1の平面の下にブランクの厚さの6%よりも大きい距離にある。ブランクの厚さは、上部外面の部分と下部外面の部分との間の距離に等しい。
【0033】
一例では、曲げ装置は、複数の凹部を含む第2のプレートを有する。各凹部の深さは、ブランクの厚さよりも小さい。ブランクの厚さは、上部外面の部分及び下部外面の部分の間の距離に等しい。第2プレートは、切断刃又はガードの歯が複数の凹部内に位置するよう構成される。各歯が別々の凹部に配置される。曲げ装置は、第1のプレート及び第2のプレートを互いに対して移動させて構成される切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるよう構成される。
【0034】
一例では、複数の凹部の開口部は、第2のプレートの下面に配置される。下面の各開口部の幅は、各切断歯の幅よりも広い。第2のプレートの下面は、第1のプレートの上面に面する。
【0035】
一例では、複数の凹部の各底部は、各切断歯の幅よりも小さい幅の平坦部を持ち、凹部の両側には、丸みを帯びた角部を有する。角部は、平坦部から、各切断歯の幅よりも大きな距離を隔てた凹部の両側の側面部まで延びる。
【0036】
有利なことに、上記のいずれかの側面により提供される利点は、他のすべての側面にも同様に適用され、その逆もまた同様である。
【0037】
上記の側面及び例は、以下に説明する実施形態から明らかとなり、これらの実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】切断刃又はガードの複数の歯を形成する方法を示す図である。
【
図2】切断刃又はガードの複数の歯が切断される概略的な例を示す図である。
【
図3】切断刃又はガードの歯が曲げられる概略的な例を示す図である。
【
図4】切断刃又はガードの歯が切断される概略的な例を示す図である。
【
図5】左が
図4に続く成形ステップを表し、切断刃又はガードの歯が切断される概略的な例を示し、右が切断ステップに続く成形ステップを表し、切断刃又はガードの歯が曲げられる概略的な例を示す、図である。
【
図6】切断刃又はガードの複数の歯が切断される概略的な例を示す図である。
【
図7】
図6に示すボックス内の領域として、
図6に概略的に示された下部の切断ダイの例を、上部の切断ダイの存在なしに示す図である。
【
図8】切断刃又はガードの歯が切断される概略的な例を示す図である。
【
図9】新しい方法で形成された切断刃又はガードの歯の例を示す図である。
【0039】
【
図10】新しい方法で形成された切断刃又はガードの歯の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
例示的な実施形態が、以下の図面を参照して以下に説明される。
【0041】
図1は、切断刃又はガードの複数の歯を形成する方法200をその基本ステップで示し、必須のステップは実線で示される。方法200は、
ステップa)とも呼ばれる取得ステップ210において、材料のブランクを採取するステップであって、ブランクは上部外面及び下部外面を持ち、下部外面の少なくとも一部が実質的に平面であり、ブランクの平面を形成する、ステップと、
ステップb)とも呼ばれる利用ステップ220において、第1のダイ40及び第2のダイ50を含む切断装置20を利用するステップであって、第1のダイは複数の第1の要素42を含み、第2のダイは複数の第2の要素52を含み、複数の第1の要素の上面に対して第1の平面60が規定され、複数の第2の要素の下面に対して第2の平面70が規定され、複数の第1要素の各上面は、第1平面内にある中央部44と、第1平面の下方にあるエッジ部46とを持つ、ステップと、
ステップc)とも呼ばれる配置ステップ230において、ブランクを切断装置に配置するステップであって、下部外面の一部が複数の第1の要素の上側の表面に面し、上部外面の一部が複数の第2の要素の下側の表面に面する、ステップと、
ステップd)とも呼ばれる移動ステップ240において、第1のダイ及び第2のダイを互いに対して移動するステップであって、第1の平面が第2の平面に向かって移動し、第2の平面を通過する、ステップであって、上記複数の第1の要素の各要素が、上記複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過し、複数の第1の要素の位置に対応する切断刃又はガードの歯80が形成され、上記歯は、上記ブランクの下部外面から形成された下部外面を持つ、ステップと、
ステップe)とも呼ばれる利用ステップ250において、曲げ装置30を利用して、ステップd)の後にブランクの平面の下に延びる切断刃又はガードの歯のエッジ部分82をブランクの平面に向かって曲げるステップとを有する。
【0042】
一例として、上部外面の少なくとも一部は実質的に平面である。
【0043】
一例として、上部外面の部分は、下部外面の部分と実質的に平行である。
【0044】
一例として、上部外面の部分は、下部外面の部分に対して角度がついている。
【0045】
従って、ブランクの一部は、概して平坦な平面にすることができ、その結果、歯が端に向かってその長さに沿って一定の厚さを持つ。しかしながら、ブランクの一部は、概して平坦な底面と、底面に対して角度の付いた概して平坦な上面とを持つことができ、従って、変化する厚さを持つことができる。その結果、歯がその長さに沿ってその厚さを変える。全体のブランクは湾曲されることができるが、2つ以上の歯が形成される横方向の領域をカバーするなど、ブランクの一部を超える部分は上述の通りである。こうして、全体的にブランクは、例えばロタシェーバー(rota-shaver)のカッター/ガードのように、湾曲される、又はあらかじめ曲げられることができる。重要なのは、ブランクを切断する際に、歯の底面に、第2のダイ50が移動する方向に向かって、その表面よりも下に突出するエッジがあるように、歯が切断されることである。従って、平らなブランク又は曲がったブランクに対して、これは、上述のように適用される。
【0046】
上述の方法は、切断刃又はガードの歯を形成するプロセスを提供するものであり、そのようなものとして、上記より前及び/又は後のステップで、完成した切断刃又はガードを形成するために必要な他のプロセスステップが存在し得ることも留意すべきである。
【0047】
上述の方法は、1つの実現において、切断刃又はガードのすべての歯を形成する必要はない点も留意されたい。例えば、この方法は、第1の複数の歯を切断するために第1の時間に適用され、第2の複数の歯を切するために第2の時間に適用されることができる。また、この方法は、同じ第1及び第2のダイを使用して、第1の時間と更なる時間とに適用されることができる。しかしながら、この方法は、切断刃又はガードのすべての歯を切断するために、異なる第1及び第2のダイを用いて複数の時間に適用されることができるが、上述の機能的特徴に適合するダイを用いて、上で規定したのと同じ方法ステップを利用する。こうして、例えばトリマーガードの複数の歯は、複数のカッターを使って切り出されることができるが、切り出される必要がある外側の輪郭に基づき、1つのカッター(1組のダイ)だけを使って切り出されることもできる。言い換えれば、方法ステップa~dは、全体のカッター/ガードの異なる歯のセットを切断するために1回又は複数回適用されることができ、適用されるステップe)は、1回適用されることができるか、又はステップa~eは、全体のカッター/ガードの異なる歯のセットを切断するために1回若しくは複数回適用されることができる。こうして、上述した第1及び第2のダイは実質的に、それぞれ単一の要素と考えられ、又は複数の要素で作られると考えられることができる。従って、第1及び第2のダイは、歯を切断するための1組の要素、又は歯を切断するための複数の要素のセットとすることができる。
【0048】
一例では、ステップe)は、ローリングプロセスを用いて、切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げることを有する。
【0049】
一例によれば、ステップe)において、曲げ装置は、実質的に平面の上面92を含む第1のプレート90を有する。この方法は、ステップf)第1のプレートの平面状の上面を歯の下部外面に押し付けることにより、切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるステップ260を有する。
【0050】
一例として、第2のプレートが歯の上部外面と相互作用し、第1のプレートが歯の下部外面に押し付けられる。
【0051】
一例によれば、切断装置の第1のダイ及び第2のダイは、ステップd)において、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の15%以下の距離100だけ横方向に離間するよう構成される。ブランクの厚さは、上部外面の部分及び下部外面の部分の間の距離に等しい。
【0052】
一例では、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の13%以下の距離100だけ横方向に離間する。
【0053】
特に好ましい例では、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の10%以下の距離100だけ横方向に離間するよう構成される。
【0054】
一例では、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の8%以下の距離100だけ横方向に離間する。
【0055】
一例では、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の6%以下の距離100だけ横方向に離間する。
【0056】
一例によれば、複数の第1の要素の各要素は、湾曲した上面47を有する。
【0057】
一例によれば、複数の第1要素の各要素は、面取り48を持つ。
【0058】
一例では、面取りの外縁は、第1の平面の下に、ブランクの厚さの6%よりも大きい距離120にある。
【0059】
一例によれば、曲げ装置は、複数の凹部140を含む第2プレート130を有する。各凹部の深さ150は、ブランクの厚さよりも小さく、ここで、ブランクの厚さは、上部外面の部分と下部外面の部分との間の距離に等しい。ステップf)では、切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げることが、複数の凹部内に歯を配置し、第1のプレート及び第2のプレートを互いに対して移動させることを含む。
【0060】
一例によれば、複数の凹部の開口部は、第2のプレートの下面160に配置される。下面の各開口部の幅170は、各切断歯の幅よりも広い。ステップf)では、第2のプレートの下面が第1のプレートの上面と向き合う。
【0061】
一例によれば、複数の凹部の各底部は、各切断歯の幅よりも小さい幅を備える平坦部を持ち、凹部の両側に丸みを帯びた角部を持つ。角部は、平坦部から、各切断歯の幅よりも大きな距離を隔てている凹部の両側の側面部まで延びる。
【0062】
こうして、
図1を参照して説明した方法に基づき、材料のブランクから形成される歯を用いて、切断刃又はガードが製造されることができる。
【0063】
上述した方法、及び
図2~10から、一例が、切断刃又はガードの複数の歯を形成するための切断及び曲げシステムに関する。切断及び曲げシステムは、切断装置20及び曲げ装置30を有する。切断装置は、第1のダイ40及び第2のダイ50を有する。第1のダイは、複数の第1の要素42を有し、第2のダイは、複数の第2の要素52を有する。複数の第1の要素の上面に対して第1の平面60が規定され、複数の第2の要素の下面に対して第2の平面70が規定される。複数の第1要素の各上面は、第1平面内にある中央部44と、第1平面の下方にあるエッジ部46とを持つ。切断装置は、材料のブランクが切断装置内に置かれることを可能にするよう構成される。ブランクは、上部外面と下部外面とを有する。下部外面の少なくとも一部は、実質的に平面であり、ブランクの平面を形成している。ブランクが切断装置に置かれるとき、下部外面の一部が複数の第1要素の上面に面し、上部外面の一部が複数の第2要素の下面に面している。切断装置の第1のダイ及び第2のダイは、第1の平面が第2の平面に向かって移動し、第2の平面を通過するように、互いに対して移動するよう構成される。こうして、複数の第1の要素の各要素は、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過する。ブランクが切断装置に置かれ、切断装置により切断されると、複数の第1要素の位置に対応する、切断刃又はガードの歯80が形成される。歯は、ブランクの下部外面から形成された下部外面を持つ。切断装置は、切断装置によりブランクが切断されるとき、切断刃又はガードの歯のエッジ部分82がブランクの平面の下に延びるよう構成される。曲げ装置は、切断後ブランクの平面より下に延びる切断刃又はガードの歯のエッジ部分を、ブランクの平面に向かって折り返すよう構成される。
【0064】
一例として、上部外面の少なくとも一部は実質的に平面である。
【0065】
一例として、上部外面の部分は、下部外面の部分と実質的に平行である。
【0066】
一例として、上部外面の部分は、下部外面の部分に対して角度がついている。
【0067】
一例によれば、曲げ装置は、実質的に平面の上面92を含む第1のプレート90を有する。曲げ装置は、切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるよう構成される。この装置は、第1プレートの平面状の上面が歯の下部外面に押し付けられることを通して、この曲げを実行する。
【0068】
一例によれば、切断装置の第1のダイ及び第2のダイは、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の10%以下の距離100だけ横方向に離間するよう構成される。ブランクの厚さは、上部外面の部分及び下部外面の部分の間の距離に等しい。
【0069】
一例では、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の8%以下の距離100だけ横方向に離間する。
【0070】
一例では、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過するとき、上記複数の第1の要素における要素は、上記複数の第2の要素における要素から、上記ブランクの厚さ110の6%以下の距離100だけ横方向に離間する。
【0071】
一例では、複数の第1の要素の各要素は、湾曲した上面47を有する。
【0072】
一例によれば、複数の第1要素の各要素は、面取り48を持つ。
【0073】
一例では、面取りの角度は約45度である。
【0074】
一例では、面取りの角度は約40度である。
【0075】
一例では、面取りの角度は約30度である。
【0076】
一例では、面取りの角度は約25度である。
【0077】
一例では、面取りの角度は約20度である。
【0078】
一例によれば、面取りの外縁部は、第1の平面の下にブランクの厚さの6%よりも大きい距離120にある。上記ブランクの厚さが、上記上部外面の一部と上記下部外面の一部との間の距離に等しい。
【0079】
一例によれば、曲げ装置は、複数の凹部140を含む第2プレート130を有する。各凹部の深さ150は、ブランクの厚さよりも小さく、ここで、ブランクの厚さは、上部外面の部分と下部外面の部分との間の距離に等しい。第2プレートは、切断刃又はガードの歯が複数の凹部内に位置することができるよう構成されている。それぞれの歯は、別々の凹部に配置されることができる。曲げ装置は、第1のプレート及び第2のプレートを互いに対して移動させて構成される切断刃又はガードの歯のエッジ部分を曲げるよう構成される。
【0080】
一例によれば、複数の凹部の開口部は、第2のプレートの下面160に配置される。下面の各開口部の幅170は、各切断歯の幅84よりも広い。第2のプレートの下面は、第1のプレートの上面に面する。
【0081】
一例によれば、複数の凹部の各底部は、各切断歯の幅84よりも小さい幅180を備える平坦部を持ち、凹部の両側には、丸みを帯びた角部190を持つ。角部は、平坦部から、各切断歯の幅よりも大きい距離170だけ互いに離間している凹部の両側の側面部まで延びる。
【0082】
こうして、上述した切断刃又はガードの複数の歯の形成方法、その方法により形成された複数の歯を持つ切断刃又はガード、及び切断刃又はガードの複数の歯を形成する切断及び曲げシステムには利点がある。従来のプレス加工は、90°以上の角度の刃エッジをもたらし、鍛造加工は、鋼の加工硬化により鈍い刃エッジをもたらし、エッチング加工は複雑でコストがかかります。本書に記載新しい歯の形成方法は、90°以下の角度の刃エッジをもたらし、鋭い刃エッジ先端(先端の半径は2μmより小さくすることができる)をもたらす。同時に、製造技術は高価ではない。なぜなら、金属成形技術だけが必要とされ、仕上げ技術は必要ないからである。
【0083】
この新しい方法は、例えば面取りされたダイプレートを用いて第1の切断ステップで材料のエッジが作成され、これが第2のコイニング/ベンディングステップで(力により)押し戻されるというもので、シェーバー及びトリマーに使用されるようなあらゆる種類の直線的な切断要素に適用でき、回転式切断システムにも有用である。こうして、新しい2段階の冷間成形プロセス又は方法は、鋭いエッジを備えるガード及び刃エッジの歯が、費用対効果の高い態様で製造されることを可能にする。
【0084】
次に、切断刃又はガードの複数の歯の形成方法、その方法により形成された複数の歯を持つ切断刃又はガード、並びに切断刃又はガードの複数の歯を形成する切断及び曲げシステムが、
図2~10を参照し、詳細な具体例に関して以下により詳細に説明される。
【0085】
図2は、カットのエッジに材料の過剰部分又はエッジ部分82を形成するため、スチールなどの材料のブランクが、歯又はラメラ80を形成するようカットされる様子を左に示す。第1のダイ(又は切断プレート)40は、複数の切断要素42を持ち、第2のダイ(又はパンチ)50は、複数の切断要素52を持つ。第1のダイ40の切断要素42の中央部44は、エッジよりも高く、又は盛り上がっており、この例では、切断要素42は、曲面47を持つ。こうして、ブランクを切断して歯80を形成すると、
図3の上部に示すように、各歯は下方に突出するエッジ部分82を持つ。第1のダイの切断プレート又は要素の上には、歯又はラメラが示され、一方、第2のダイのパンチ要素の下には、切断されたスクラップ材が示されている。これを容易にするために、第2のダイは、
図2に示すように、歯の上に降りてくるブランクホルダを持つことができる。しかしながら、正しい形状を持つ歯80を作成するための第1及び第2のダイの切断要素による切断プロセスは、ブランクホルダを必要としない。必要なのは、第1のダイ40の切断要素42が、各切断要素42の中心よりも下にあるエッジ46を持つことである。
図3に戻ると、上の画像は、
図2に示すように切断されたばかりの歯80を概略的に示し、
図3の下の画像では、エッジ部分82が上方に曲げられた後の歯80が示される。ここに示されるのは、成形ステップの切断ステップであり、後に詳述するように、歯はまだ曲げられていない点に留意されたい。
【0086】
図4~
図5は、材料のブランクを切断して曲げ、切断刃又はガードの歯80を形成する異なる詳細なメカニズムの例を示す。切断装置20を用いた切断処理の後、曲げ装置30を用いた曲げ処理により、複数の歯80が形成される。
図4では、材料のブランクが第1のダイ40の切断要素42の上に配置されており、第2のダイ50の2つの切断要素52が示される。切断要素42は、この例では面取り48されたエッジ46よりも高い中心44を再び持つ。第1のダイ40の切断要素42の中心44に対して、第1の平面60が形成される。第2のダイ50の切断要素52の下面に対して、第2の平面70が形成される。
図5の左側の画像に示すように、ブランクは、第1のダイが第2のダイに向かって移動するか、第2のダイが第1のダイに向かって移動するか、又は、
図6に示すように、第1の平面60及び第2の平面70が互いに交差するように、第1のダイ及び第2のダイが互いに対して移動することにより切断される。こうして、切断刃又はガードの歯80が切断され、この歯は、歯の底面の下に延びるエッジ部分82を持つ。
図5の左側の画像に示すように、ブランクの廃棄部分は、第2のダイ50の切断要素52の下に示され、「切断」される。次に、
図5の右側の画像に示すように、切断された歯80は、シェーバー又はトリマーの切断刃又はガードの歯を形成するために曲げられる。歯80は、プレート130の凹部140内に配置されている。凹部は、ブランクの厚さよりも小さい深さ150を持つ。凹部の底部は、丸みを帯びた角190を持ち、凹部の底部の幅180は、歯の幅よりも小さい。しかしながら、凹部の開口部は、その下面における歯の幅84よりも広い幅170を持つ。プレート90は、歯80に対して押し上げられた上面92を持ち、下方に突出したエッジ部分82が上方に曲げられて、鋭く堅牢な刃エッジを形成する。この構成は、エッジ部分82を上方に曲げることを助けるが、上部プレートは、下部プレートと同様に、ただの平板であってもよく、凹部を持つ必要はない。
【0087】
図6は、上述したように、第1及び第2のダイにより切断されるブランクを再び示し、
図7は、切断要素42を示す第1のダイ40の一部の画像を示す。
図6では、第1のダイ40及びその切断要素42を二分する長方形が示されるが、実質的には、これは、
図7の画像に示されるものである。示される穴は、第2のダイ50の要素52が切断プロセス中に移動する場所である。従って、
図7の画像では、第1のダイ40の2つの要素42の上面の一部が示されており、第2のダイ50は示されていないが、第2のダイの要素52が下方に移動し、示されたギャップ(又は穴)内を通過する。
【0088】
ダイ40、50は、そのようなものとして知られる技術を用いて作られることができる。
【0089】
図8は、第1のダイ40とその切断要素42、及び第2のダイ50とその切断要素52の更なる詳細を示す。クリアランス(d)100が、切断要素の間に設けられる。なぜなら、切断要素が互いに通過するからである。それは、この詳細な例では、ブランクの厚さ(t)110よりも6%以下である。クリアランスはこれよりも大きく、例えばブランクの厚さの10%以下のオーダーにすることができる。
図5、
図6、及び
図8に示すように、ブランクを切断する際に、各歯の上部は、歯の底面よりも下に延びるエッジ82を持つ下部よりも広くすることができる。曲げ処理では、これらのエッジが歯の底面又は底部表面に向かって折り返されるため、鋭利な刃エッジを持つ底面の最終的な幅は、歯の上部よりも広いか、又は切断処理で歯の上部が外側に広げられるために歯の上部よりも狭くなることができる。実際、第2のダイ50は、その厚さを通して正しいサイズのプロファイルを持つ歯を生成するために、その切断要素52の面取りされたエッジを持つことができる。これは、
図9及び
図10に詳細に示され、これらは、切断刃及びガードの最終的な歯の画像を示す。
【0090】
図9は、上段画像に厚さ0.11mmのガードに対する本書に記載の切断及び曲げ処理により形成された歯を、中段画像に厚さ0.3mmのガードに対する本書に記載の切断及び曲げ処理により形成された歯を示す。下段画像は、本書に記載の切断及び曲げ処理により形成された歯を示す。
【0091】
図10に示すように、歯は鋭いエッジを持ち、切断ステップで下方に突出したエッジ部分が、曲げステップで上方に戻されている。しかしながら、この鋭いエッジは、歯の底面全体よりもわずかに下にあるグローバルな領域(矢印で示す)の一部である。なぜなら、この部分の材料は一般的に、歯の底面の平面に完全に折り返されていないからである。これは、
図9~10の歯の断面図と
図10の平面図に明確に示され、曲げられたエッジ部分が底面に正確に戻っていないためにはっきりと見える。また
図9~10に示すように,形成された歯の本体は,切断及び/又は曲げ処理の際の歯の変形に基づき、刃エッジの幅が広くなったり,逆に狭くなったりする可能性がある。
【0092】
本発明の実施形態は、異なる主題を参照して説明される点に留意されたい。特に、いくつかの実施形態は方法タイプの請求項を参照して説明されるのに対し、他の実施形態は装置タイプの請求項を参照して説明されている。しかしながら、当業者であれば、上記及び以下の説明から、特に通知がない限り、ある種類の主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴間の任意の組み合わせも本願で開示されると考えられることを理解できるであろう。しかしながら、すべての特徴は組み合わせられ、単純な特徴の合計以上の相乗効果が得られることができる。
【0093】
本発明が、図面及び前述の説明で詳細に図示及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、説明的又は例示的なものであり、限定的とみなされるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形が、図面、開示、及び請求項の研究から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び達成され得る。
【0094】
請求項において、「有する」という語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載された複数の項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項における参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【要約】
本発明は、切断刃又はガードの複数の歯を形成する方法200に関し、この方法は、a)材料のブランクを採取するステップ210であって、ブランクは上部外面及び下部外面を持ち、上記下部外面の少なくとも一部は、実質的に平面であり、上記ブランクの平面を形成する、ステップと、b)第1のダイ40及び第2のダイ50を含む切断装置を利用するステップであって、第1のダイは複数の第1の要素42を含み、第2のダイは複数の第2の要素52を含み、複数の第1の要素の上面に対して第1の平面60が規定され、複数の第2の要素の下面に対して第2の平面70が規定され、複数の第1要素の各上面は、第1平面内にある中央部44と、第1平面の下方にあるエッジ部46とを持つ、ステップと、c)下部外面の一部が複数の第1の要素の上部表面を向き、上部外面の一部が複数の第2の要素の下部表面を向くように、ブランクを切断装置に配置するステップ230と、d)第1の平面が第2の平面に向かって移動し、第2の平面を通過するように、第1のダイ及び第2のダイを互いに対して移動させるステップ240であって、複数の第1の要素の各要素が、複数の第2の要素の隣接する要素の間を少なくとも部分的に通過し、複数の第1の要素の位置に対応する切断刃又はガードの歯80が形成され、上記歯が、上記ブランクの下部外面から形成された下部外面を持つ、ステップと、e)曲げ装置30を利用して、ステップd)の後にブランクの平面の下に延びる切断刃又はガードの歯のエッジ部分82を、ブランクの平面に向かって曲げるステップ250とを有する。