(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】バリウムスラグの無害化回収処理プロセスおよびその処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/70 20220101AFI20220427BHJP
C22B 7/04 20060101ALI20220427BHJP
C22B 26/20 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B09B3/00 304D
C22B7/04 B
C22B26/20
(21)【出願番号】P 2021210006
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202111521475.1
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520223723
【氏名又は名称】生態環境部華南環境科学研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】521551548
【氏名又は名称】広州工控環保科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】杜建偉
(72)【発明者】
【氏名】黄凱華
(72)【発明者】
【氏名】張文超
(72)【発明者】
【氏名】楊思原
(72)【発明者】
【氏名】温勇
(72)【発明者】
【氏名】賀框
(72)【発明者】
【氏名】李彦希
(72)【発明者】
【氏名】胡小英
(72)【発明者】
【氏名】田雨
(72)【発明者】
【氏名】徐暁玲
【審査官】越本 秀幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/115369(WO,A1)
【文献】特表平08-501249(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104561561(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103966451(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103966450(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110883060(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00-3/80
C22B 7/04
C22B 26/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1、バリウムスラグを処理装置の粉砕倉(1)によって粉碎した後湿式研磨を行い、次
に選別してスラリーを取得するステップと、
S2、スラリーと一定濃度のアンモニウム塩溶液を混合し、X組の混合スラリーに均等に
分割し、X組の混合スラリーは80~90℃に予熱した1組の混合スラリー底液、および
異なる予熱区間のY組の混合スラリー分液を含み、
S3、混合スラリー底液を処理装置の反応倉(2)に加えて十分に攪拌しながら継続的に
加熱し、温度を90℃以上維持し、次に混合スラリー分液を段階的に反応倉に投与し、総
投与反応時間は0.5~2時間であるステップと、
S4、反応倉内での反応が完了した後濾過し、バリウムスラグ中の炭酸バリウム含有量が
3wt%未満、バリウム浸出濃度が100mg/L未満になるまで、炭酸バリウム含有量
の高いバリウムスラグをアンモニウム塩溶液で複数段階で浸出して、無害化バリウムスラ
グ製品および浸出液を取得するステップと、
S5、得られた浸出液と炭酸アンモニウム溶液を反応させ、精製炭酸バリウム製品を調製
し、反応後に得られた再生アンモニウム塩溶液をステップS2に戻して繰り返し使用する
ステップと、
S6、
S5の炭酸アンモニウム溶液との反応によって生成されたCO
2とNH
3は、処理
装置の排気吸収コンポネント(4)によって回収され、得られた炭酸アンモニウム溶液を
ステップS5の原料として使用するステップと、
を含むことを特徴とするバリウムスラグの無害化回収処理プロセス。
【請求項2】
前記ステップS2のXの値の範囲は、2≦X≦4であり、X=1+Y、各Y組の混合スラリ
ー分液の予熱温度区間は、90~92℃、92~94℃、94~96℃、96~98℃、
98~100℃中のいずれかのYの区間から選択される、ことを特徴とする請求項1に記
載のプロセス。
【請求項3】
前記ステップS3で反応倉に段階的に投与する方法は、反応倉中の混合スラリーの温度が
90℃±0.1℃に下がった時混合スラリー分液を1回投与し、混合スラリー分液を低い
予熱温度区間から順次投与する、ことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記アンモニウム塩溶液の質量濃度が5~25%であり、前記スラリーとアンモニウム塩
溶液の質量比が1:1~1:10である、ことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスを使用するバリウムスラグの無害化回収処理装置であって、
前記処理装置はバリウムスラグの無害化回収処理プロセスに合わせて統合処理を行い、処
理装置は上から下へ順次、粉砕倉(1)、反応倉(2)、濾過浸出倉(3)および排気吸
収コンポネント(4)を備え、
前記粉砕倉(1)と反応倉(2)は上下に接合され、その内部の中心に粉砕倉(1)の底
面を貫通して反応倉(2)の底部に設けられたキャリアリング(21)に結合された1組
の中心駆動ロッド(5)が設けられ、前記中心駆動ロッド(5)の下端がキャリアリング
(21)に設けられた駆動モータ(22)の出力軸に接続され、且つ粉砕倉(1)と反応
倉(2)の接続部の側壁に、粉砕倉(1)と反応倉(2)を連通するための複数組の予熱
混合倉(6)が設けられ、各予熱混合倉(6)の上方にアンモニウム塩溶液を貯蔵するた
めの環状貯液倉(7)が設けられ、前記環状貯液倉(7)は各予熱混合倉(6)とパイプ
を介して接続され、
前記粉砕倉(1)内の上部に、粉砕処理用の粉砕コンポネントが設けられ、下部にボール
ミル処理用のボールミルコンポネントが設けられ、前記粉砕コンポネントは、粉砕カッタ
ーヘッド(11)および第1の材料制御仕切り板(12)を含み、前記ボールミルコンポ
ネントは、トグルブリスク(13)および第2の材料制御仕切り板(14)を含み、
前記反応倉(2)内に、攪拌混合処理用の攪拌ブレードコンポネントが設けられ、前記攪
拌ブレードコンポネントは、攪拌ブレードディスク(23)および第3の材料制御仕切り
板(24)を含み、
前記第1、第2、および第3の材料制御仕切り板(12、14、24)の構造は同様であ
り、材料ロード上部プレート(8)および材料制御下部プレート(81)を含み、前記材
料ロード上部プレート(8)、材料制御下部プレート(81)には同じ数の材料落下穴(
82)、材料バッフルプレート(83)がそれぞれずらして設けられ、材料制御下部プレ
ート(81)は材料ロード上部プレート(8)の底面に配置されて回転可能に接続され、
前記材料ロード上部プレート(8)は粉砕倉(1)の内壁または反応倉(2)の内壁に摺
動可能かつ密閉可能に接触し、材料ロード上部プレート(8)の中心に、上下に摺動して
中心駆動ロッド(5)に結合されて同期して回転するように制御された嵌合リング(84
)が設けられ、前記嵌合リング(84)は材料ロード上部プレート(8)に回転可能に接
続され、
前記中心駆動ロッド(5)の各嵌合リング(84)に対応する位置に環状係合ホルダ(5
1)が設けられ、前記粉砕倉(1)の内壁、反応倉(2)内壁の各材料ロード上部プレー
ト(8)に対応する位置に、材料ロード上部プレート(8)の上下移動を制限するための
支持リング(85)が設けられ、
前記支持リング(85)の上面に、材料ロード上部プレート(8)を摺動可能に支持して
嵌合リング(84)と環状係合ホルダ(51)の分離を制御するためのばね制御リング(
86)が設けられ、前記ばね制御リング(86)はそれに設けられた複数組の第1のばね
(861)を介して材料ロード上部プレート(8)に接続され、
前記支持リング(85)の底面に変位モータ(87)が移動するための円弧状溝(851
)が設けられ、前記材料制御下部プレート(81)の変位モータ(87)に対応する位置
に、変位モータ(87)に設けられたダイヤルに嵌設されたシフトレバー(811)が設
けられ、変位モータ(87)は、材料制御下部プレート(81)を回転させることで、材
料落下穴(82)のオンオフを制御し、
前記濾過浸出倉(3)は反応倉(2)の底部と連通し、濾過浸出倉(3)の上面の中心に
浸出濾過筒(31)の貫通穴が設けられ、濾過浸出倉(3)の側壁の一側の上部に浸出濾
過筒(31)と連通する第1のカテーテル(32)が設けられ、他側の上部に、濾過浸出
倉(3)内と連通する第2のカテーテル(33)が設けられ、濾過浸出倉(3)の側壁の
一側の下部に、再生アンモニウム塩溶液を排出するための排液口(34)が設けられ、
前記排気吸収コンポネント(4)は、反応倉(2)および濾過浸出倉(3)に接続された
ガス収集管(41)、収集されたガスを使用して再生アンモニウム塩溶液を持ち上げて環
状貯液倉(7)に輸送するための輸送コンポネント(42)、および収集されたガスから
炭酸アンモニウム溶液を得る排気倉(43)を含み、前記排気倉(43)はカテーテルを
介して濾過浸出倉(3)の第2のカテーテル(33)に連通し、排気倉(43)は輸送コ
ンポネント(42)の頂面に固定的に接続される、ことを特徴とするバリウムスラグの無
害化回収処理装置。
【請求項6】
前記輸送コンポネント(42)は、輸送パイプ(421)を含み、前記輸送パイプ(42
1)の下部に、排液口(34)に接続された液体入口管(422)が設けられ、輸送パイ
プ(421)の上部に、環状貯液倉(7)に接続された液体排出管(423)が設けられ
、輸送パイプ(421)内に、注入ガスの圧力に応じて上下に摺動可能なピストン載置板
(424)が設けられ、
前記輸送パイプ(421)の内壁の液体入口管(422)に対応する位置に、ピストン載
置板(424)に応じて摺動可能に開閉する第1の密閉摺動扉(425)が設けられ、輸
送パイプ(421)の内壁の液体排出管(423)に対応する位置にピストン載置板(4
24)に応じて摺動可能に開閉する第2の密閉摺動扉(426)が設けられ、前記第1お
よび第2の密閉摺動扉(425、426)のピストン載置板(424)に対応する位置の
一側に結合されたストップバー(427)が設けられ、第1の密閉摺動扉(425)のス
トップバー(427)の底面に、輸送パイプ(421)の底面に接続された複数組の第2
のばね(428)が設けられ、
前記ピストン載置板(424)の中心に保持容量を高めるための弾性液体バッグ(429
)が設けられ、前記ガス収集管(41)と輸送コンポネント(42)の接続部に、気圧を
補償するためのエアポンプが設けられる、ことを特徴とする請求項5
に記載の装置。
【請求項7】
前記嵌合リング(84)の環状係合ホルダ(51)に対応する側に、環状分布された複数
組のバンプ(841)が設けられ、前記環状係合ホルダ(51)の各バンプ(841)に
対応する位置にそれぞれバンプ(841)にプラグインされた1組の溝(511)が設け
られ、
前記粉砕倉(1)の頂面にカバー(15)が設けられ、前記カバー(15)の中心駆動ロ
ッド(5)の上端に対応する位置に、中心駆動ロッド(5)の上端に回転可能に係合され
た係合溝(16)が設けられ、
前記濾過浸出倉(3)の底面に、高さを上下に調節できる支持脚が設けられ、
前記変位モータ(87)のダイヤルは、外側に回して開閉できる2つの円弧状ロッドで構
成され、前記シフトレバー(811)の長さは材料ロード上部プレート(8)の上下移動
高さ差よりも大きくし、
前記第2の材料制御仕切り板(14)の材料落下穴(82)に濾過スクリーンが設けられ
、
前記攪拌ブレードディスク(23)は、複数組の攪拌ブレード(231)で構成され、前
記攪拌ブレード(231)の側面に複数組の円形穴(232)が設けられ、前記円形穴(
232)内にそれぞれ1組のインペラ(233)が設けられ、前記インペラ(233)は
円形穴(232)の穴壁の環状溝を介して円形穴(232)に回転可能に接続される、こ
とを特徴とする請求項5
に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物資源利用の技術分野に関し、具体的にバリウムスラグの無害化回収処理
プロセスおよびその処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業生産では、バリウムはバリウム塩、合金、花火、原子炉などの製造に使用され、また
、銅を精製する際の優れた脱酸素剤でもあり、鉛、カルシウム、マグネシウム、ナトリウ
ム、リチウム、アルミニウムとニッケルなどの合金に広く使用され、バリウム金属は、真
空管や受像管から微量気体を除去するためのゲッター、および精製金属用の脱ガス剤とし
て使用でき、硝酸バリウムは、塩素酸カリウム、マグネシウム粉末、ロジンと混合されて
おり、信号爆弾や花火の製造に使用でき、可溶性バリウム化合物は、さまざまな植物害虫
を防除するために、塩化バリウムなどの殺虫剤としてよく使用され、また、電気分解によ
る苛性ソーダの製造に使用される塩水とボイラー水を精製するために使用することもでき
る。
しかし、工業生産では、バリウムの利用率が高いため、バリウムスラグは他の金属元素の
廃棄物スラグよりも大きく、バリウムスラグを直接排出すると生態環境に害を及ぼす可能
性があり、これは危険な固形廃棄物であり、しかし、従来技術では、それらの多くは蓄積
処理のためにスラグヤードに保管されており、雨で洗うと近くの土壌を汚染しやすく、ま
た多くの土地を占有している。
【0003】
したがって、バリウムスラグの無害化回収処理プロセスの処理効果および効率を向上させ
る新しいバリウムスラグの無害化回収処理プロセス、および処理プロセスを補助してバリ
ウムスラグを無害化処理するための処理装置が必要である。
【発明の概要】
【0004】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、バリウムスラグの無害化回収処理プロセ
スおよびその処理装置を提供する。
【0005】
本発明の技術的解決策は、バリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、
S1、バリウムスラグを処理装置の粉砕倉によって粉碎した後湿式研磨を行い、次に選別
してスラリーを取得するステップと、
S2、スラリーと一定濃度のアンモニウム塩溶液を混合し、X組の混合スラリーに均等に
分割し、X組の混合スラリーは80~90℃に予熱した1組の混合スラリー底液、および
異なる予熱区間のY組の混合スラリー分液を含み、
S3、混合スラリー底液を処理装置の反応倉に加えて十分に攪拌しながら継続的に加熱し
、温度を90℃以上維持し、次に混合スラリー分液を段階的に反応倉に投与し、総投与反
応時間は0.5~2時間であるステップと、
S4、反応倉内での反応が完了した後濾過し、バリウムスラグ中の炭酸バリウム含有量が
3wt%未満、バリウム浸出濃度が100mg/L未満になるまで、炭酸バリウム含有量
の高いバリウムスラグをアンモニウム塩溶液で複数段階で浸出して、無害化バリウムスラ
グ製品および浸出液を取得するステップと、
S5、得られた浸出液と炭酸アンモニウム溶液を反応させ、精製炭酸バリウム製品を調製
し、反応後に得られた再生アンモニウム塩溶液をステップS2に戻して繰り返し使用する
ステップと、
S6、反応によって生成されたCO2とNH3は、処理装置の排気吸収コンポネントによ
って回収され、得られた炭酸アンモニウム溶液をステップS5の原料として使用するステ
ップと、を含む。
【0006】
本発明のバリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、バリウムスラグを効果的に無害化
処理でき、無害化バリウムスラグ製品を得、浸出液をリサイクルして精製炭酸バリウム製
品を得る当時に、浸出液回収処理の後に得られた再生アンモニウム塩溶液および反応によ
って生成されたCO2とNH3を排気吸収コンポネントの回収処理で得られた炭酸アンモ
ニウム溶液は、ステップS2およびステップS5に戻して使用され、原料の使用量を低減
し、したがって、本発明のバリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、高効率、経済的
、環境保護などの利点を有する。
【0007】
本発明の一側面によれば、前記ステップS2のXの値の範囲は、2≦X≦4であり、X=
1+Y、各Y組の混合スラリー分液の予熱温度区間は、90~92℃、92~94℃、9
4~96℃、96~98℃、98~100℃中のいずれかYの区間から選択され、上記の
各予熱温度区間を選択することにより、ステップS3の温度制御反応が比較的良好であり
、温度が上昇し続けると、関連する予熱処理技術の要件も高くなるため、経済性、使用効
果などの観点から、上記5つの予熱温度区間の選択基準を選択する。
【0008】
本発明の一側面によれば、前記ステップS3で反応倉に段階的に投与する方法は、反応倉
中の混合スラリーの温度が90℃±0.1℃に下がった時混合スラリー分液を1回投与し
、混合スラリー分液を低い予熱温度区間から順次投与し、反応倉内の加熱温度が常に90
℃以上維持され、混合スラリー分液の添加が完了するかまたは反応が完了するまで、導入
した各予熱温度区間の混合スラリー分液を一時的に加熱した後90℃±0.1℃に戻し、
上記の温度制御方法によって、スラリーとアンモニウム塩溶液を十分に反応させて、バリ
ウムスラグ無害化処理の効果を高める。
【0009】
本発明の一側面によれば、前記アンモニウム塩溶液の質量濃度は5~25%であり、前記
スラリーとアンモニウム塩溶液の質量比は1:1~1:10である。
【0010】
本発明の別の側面によれば、本発明は、バリウムスラグの無害化回収処理プロセスに適合
して統合処理を行う前記処理装置をさらに提供し、処理装置は、上から下へ順次粉砕倉、
反応倉、濾過浸出倉および排気吸収コンポネントを備え、
前記粉砕倉と反応倉は上下に接合され、その内部の中心に粉砕倉の底面を貫通して反応倉
の底部に設けられたキャリアリングに結合された1組の中心駆動ロッドが設けられ、前記
中心駆動ロッドの下端がキャリアリングに設けられた駆動モータの出力軸に接続され、且
つ粉砕倉と反応倉の接続部の側壁に、粉砕倉と反応倉を連通するための複数組の予熱混合
倉が設けられ、各予熱混合倉の上方にアンモニウム塩溶液を貯蔵するための環状貯液倉が
設けられ、前記環状貯液倉は各予熱混合倉とパイプを介して接続され、
前記粉砕倉内の上部に、粉砕処理用の粉砕コンポネントが設けられ、下部にボールミル処
理用のボールミルコンポネントが設けられ、前記粉砕コンポネントは、粉砕カッターヘッ
ドおよび第1の材料制御仕切り板を含み、前記ボールミルコンポネントは、トグルブリス
クおよび第2の材料制御仕切り板を含み、
前記反応倉内に、攪拌混合処理用の攪拌ブレードコンポネントが設けられ、前記攪拌ブレ
ードコンポネントは、攪拌ブレードディスクおよび第3の材料制御仕切り板を含み、
前記第1、第2、および第3の材料制御仕切り板の構造は同様であり、材料ロード上部プ
レートおよび材料制御下部プレートを含み、前記材料ロード上部プレート、材料制御下部
プレートには同じ数の材料落下穴、材料バッフルプレートがそれぞれずらして設けられ、
材料制御下部プレートは材料ロード上部プレートの底面に配置されて回転可能に接続され
、前記材料ロード上部プレートは粉砕倉の内壁または反応倉の内壁に摺動可能かつ密閉可
能に接触し、材料ロード上部プレートの中心に、上下に摺動して中心駆動ロッドに結合さ
れて同期して回転するように制御された嵌合リングが設けられ、前記嵌合リングは材料ロ
ード上部プレートに回転可能に接続され、
前記中心駆動ロッドの各嵌合リングに対応する位置に環状係合ホルダが設けられ、前記粉
砕倉の内壁、反応倉内壁の各材料ロード上部プレートに対応する位置に、材料ロード上部
プレートの上下移動を制限するための支持リングが設けられ、
前記支持リングの上面に、材料ロード上部プレートを摺動可能に支持して嵌合リングと環
状係合ホルダの分離を制御するためのばね制御リングが設けられ、前記ばね制御リングは
それに設けられた複数組の第1のばねを介して材料ロード上部プレートに接続され、
前記支持リングの底面に変位モータが移動するための円弧状溝が設けられ、前記材料制御
下部プレートの変位モータに対応する位置に、変位モータに設けられたダイヤルに嵌設さ
れたシフトレバーが設けられ、変位モータは、材料制御下部プレートを回転させることで
、材料落下穴のオンオフを制御し、
前記濾過浸出倉は反応倉の底部と連通し、濾過浸出倉の上面の中心に浸出濾過筒の貫通穴
が設けられ、濾過浸出倉の側壁の一側の上部に浸出濾過筒と連通する第1のカテーテルが
設けられ、他側の上部に、濾過浸出倉内と連通する第2のカテーテルが設けられ、濾過浸
出倉の側壁の一側の下部に、再生アンモニウム塩溶液を排出するための排液口が設けられ
、
前記排気吸収コンポネントは、反応倉および濾過浸出倉に接続されたガス収集管、収集さ
れたガスを使用して再生アンモニウム塩溶液を持ち上げて環状貯液倉に輸送するための輸
送コンポネント、および収集されたガスから炭酸アンモニウム溶液を得る排気倉を含み、
前記排気倉はカテーテルを介して濾過浸出倉の第2のカテーテルに連通し、排気倉は輸送
コンポネントの頂面に固定的に接続される。
【0011】
本発明のプロセスに適合する処理装置によれば、統合設計により本発明のプロセス生産の
プロセス流れの要件を効果的に満たす同時に処理電力消費が低く、
粉砕倉、反応倉の連動式駆動により、モータの設置数を減少し、第1の材料制御仕切り板
、第2の材料制御仕切り板および第3の材料制御仕切り板を設置し、中心駆動ロッドと協
力して現在バリウムスラグまたは混合スラリーの位置に対応して駆動することで、非作業
領域のアイドリングが減少し、運動エネルギー消費を低減し、重力トリガー方法により、
駆動デバイスなどを追加することなく機能要件を満たすことができ、
したがって、本発明の処理装置は、バリウムスラグ無害化処理過程中、粉砕カッターヘッ
ド、トグルブリスクおよび攪拌ブレードディスクの駆動回転軸の設置数が元の3組から1
組に減少し、プロセスフローの過程で、中心駆動ロッドは対応の粉砕カッターヘッド、ト
グルブリスクまたは攪拌ブレードディスクによって駆動され、駆動モータの設置数も減少
し、装置の点検やメンテナンスに便利である。
【0012】
改善として、前記輸送コンポネントは、輸送パイプを含み、前記輸送パイプの下部に、排
液口に接続された液体入口管が設けられ、輸送パイプの上部に、環状貯液倉に接続された
液体排出管が設けられ、輸送パイプ内に、注入ガス圧力に応じて上下に摺動可能なピスト
ン載置板が設けられ、
前記輸送パイプの内壁の液体入口管に対応する位置に、ピストン載置板に応じて摺動可能
に開閉する第1の密閉摺動扉が設けられ、輸送パイプの内壁の液体排出管に対応する位置
にピストン載置板に応じて摺動可能に開閉する第2の密閉摺動扉が設けられ、前記第1お
よび第2の密閉摺動扉のピストン載置板に対応する位置の一側に結合されたストップバー
が設けられ、第1の密閉摺動扉のストップバーの底面に、輸送パイプの底面に接続された
複数組の第2のばねが設けられ、
前記ピストン載置板の中心に保持容量を高めるための弾性液体バッグが設けられ、前記ガ
ス収集管と輸送コンポネントの接続部に、気圧を補償するためのエアポンプが設けられる
。
本発明の処理装置は、CO2とNH3の排出経路を最適化し、輸送コンポネントおよびエ
アポンプによって反応で生成されたCO2とNH3を輸送過程で再び利用し、濾過浸出倉
からの再生アンモニウム塩溶液を上へ環状貯液倉に輸送し、CO2とNH3輸送過程でそ
もそもエアバルまたはエアポンプなどのデバイスを追加する必要があり、その経路を最適
化すると輸送運動エネルギーを十分に活用でき、液体ポンプを省略し、装置のメンテナン
スの難しさを軽減する同時に、処理装置の全体的なエネルギー消費も低減する。
【0013】
さらなる改善として、
前記嵌合リングの環状係合ホルダに対応する側に、環状分布された複数組のバンプが設け
られ、前記環状係合ホルダの各バンプに対応する位置にそれぞれバンプにプラグインされ
た1組の溝が設けられ、バンプと溝のプラグインにより安定した嵌合を実現し、嵌合リン
グと環状係合ホルダの嵌合不安定などの問題を回避し、
前記粉砕倉の頂面にカバーが設けられ、前記カバーの中心駆動ロッドの上端に対応する位
置に、中心駆動ロッドの上端に回転可能に係合された係合溝が設けられ、カバーに設けら
れた係合溝により中心駆動ロッドが回転中に軸方向のスイングを行い、中心駆動ロッドの
回転安定性を向上させ、
前記濾過浸出倉の底面に、高さを上下に調節できる支持脚が設けられ、高さを調節できる
支持脚を設置することで、装置全体の配置高さを簡単に調節でき、さまざまな地形に応じ
て水平位置の高さを調整し、
前記変位モータのダイヤルは外側に回して開閉できる2つの円弧状ロッドで構成され、材
料ロード上部プレートが上方に移動するときシフトレバーが変位モータから分離する問題
を回避するために、前記シフトレバーの長さは材料ロード上部プレートの上下移動高さ差
よりも大きくする必要があり、
前記第2の材料制御仕切り板の材料落下穴に濾過スクリーンが設けられ、濾過スクリーン
によって研磨後のバリウムスラグを各予熱混合倉に効果的に篩分け、
前記攪拌ブレードディスクは複数組の攪拌ブレードで構成され、前記攪拌ブレードの側面
に複数組の円形穴が設けられ、前記攪拌ブレードの側面に複数組の円形穴が設けられ、前
記円形穴内にそれぞれ1組のインペラが設けられ、前記インペラは円形穴の穴壁の環状溝
を介して円形穴に回転可能に接続され、回転時に混合スラリーが円形穴を通過することに
より生成された位置エネルギーを利用してインペラを回転させるように駆動し、攪拌ブレ
ードと各インペラの駆動作用下で、反応倉内の混合スラリーを十分に攪拌し、バリウムス
ラグ無害化処理の効果を高める。
【0014】
本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明のバリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、バリウムスラグを効果的に
無害化処理して無害化バリウムスラグ製品を得、浸出液をリサイクルして精製炭酸バリウ
ム製品を得、資源利用率が高く、高効率、経済的、環境保護などの利点を有する。
(2)本発明のプロセスに適合する処理装置は、統合設計により、本発明のプロセス生産
のプロセスフローの要件を効果的に満たす同時に、処理電力消費が低く、装置の点検やメ
ンテナンスに便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の処理装置の全体構造の概略図である。
【
図2】本発明の処理装置の粉砕倉の内部構造の概略図である。
【
図3】本発明の処理装置の反応倉の内部構造の概略図である。
【
図4】本発明の攪拌ブレードディスクの攪拌ブレード構造の概略図である。
【
図5】本発明の予熱混合倉と環状貯液倉の接続関係を示す概略図である。
【
図6】本発明の粉砕倉のカバー構造の概略図である。
【
図7】本発明の第3の材料制御仕切り板の構造の概略図である。
【
図8】本発明の第3の材料制御仕切り板の支持リングおよびその関連部材の上面視構造の概略図である。
【
図9】本発明の第3の材料制御仕切り板の支持リングおよびその関連部材の底面視構造の概略図である。
【
図10】本発明の材料ロード上部プレートおよび材料制御下部プレートの底面視構造の概略図である。
【
図11】本発明の処理装置の濾過浸出倉の構造の概略図である。
【
図12】本発明の処理装置の排気吸収コンポネント構造の概略図である。
【
図13】本発明の排気吸収コンポネントの輸送コンポネント状態1の内部構造の概略図である。
【
図14】本発明の排気吸収コンポネントの輸送コンポネント状態2の内部構造の概略図である。
【0016】
[符号の説明]
1 粉砕倉
11 粉砕カッターヘッド
12 第1の材料制御仕切り板
13 トグルブリスク
14 第2の材料制御仕切り板
15 カバー
16 係合溝
2 反応倉
21 キャリアリング
22 駆動モータ
23 攪拌ブレードディスク
231 攪拌ブレード
232 円形穴
233 インペラ
24 第3の材料制御仕切り板
3 濾過浸出倉
31 浸出濾過筒
32 第1のカテーテル
33 第2のカテーテル
34 排液口
4 排気吸収コンポネント
41 ガス収集管
42 輸送コンポネント
421 輸送パイプ
422 液体入口管
423 液体排出管
424 ピストン載置板
425 第1の密閉摺動扉
426 第2の密閉摺動扉
427 ストップバー
428 第2のばね
429 弾性液体バッグ
43 排気倉
5 中心駆動ロッド
51 環状係合ホルダ
511 溝
6 予熱混合倉
7 環状貯液倉
8 材料ロード上部プレート
81 材料制御下部プレート
811 シフトレバー
82 材料落下穴
83 材料バッフルプレート
84 嵌合リング
841 バンプ
85 支持リング
851 円弧状溝
86 ばね制御リング
861 第1のばね
87 変位モータ
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の利点をよりよく反映するために、具体的な実施形態と併せて本発明を以下でより
詳しく説明する。
【0018】
実施例1
バリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、
S1、バリウムスラグを処理装置の粉砕倉によって粉碎した後湿式研磨を行い、次に選別
してスラリーを取得するステップと、
S2、アンモニウム塩溶液は塩化アンモニウム溶液であり、スラリーと一定濃度の塩化ア
ンモニウム溶液を混合してX組の混合スラリーに均等に分け、塩化アンモニウム溶液の質
量濃度は15%であり、スラリーと塩化アンモニウム溶液の質量比は1:7であり、X組
の混合スラリーは80~90℃に予熱された1組の混合スラリー底液を含み、混合スラリ
ー底液の予熱温度は具体的に85℃であり、予熱区間が異なるY組の混合スラリー分液も
含むステップと、
その内に、Xの値は3であり、Yの値は2であり、各Y組の混合スラリー分液の予熱温度
区間は92~94℃、96~98℃から選択され、具体的に93℃、97℃であり、上記
各予熱温度区間の選択により、ステップS3の温度制御反応が相対的に良好であり、温度
が上昇し続けると関連する予熱処理技術の要件もそれに応じてより高くなり、
S3、混合スラリー底液を処理装置の反応倉に加えて十分に攪拌しながら継続的に加熱し
、温度を90℃以上維持し、次に混合スラリー分液を段階的に反応倉に投与し、総投与反
応時間は1.5時間であるステップと、
その内に、反応倉に段階的に投与する方法は、反応倉中の混合スラリーの温度が90℃に
下がった時混合スラリー分液を1回投与し、混合スラリー分液を低い予熱温度区間から順
次投与し、反応倉内の加熱温度が常に90℃以上維持され、混合スラリー分液の添加が完
了するかまたは反応が完了するまで、導入した各予熱温度区間の混合スラリー分液を一時
的に加熱した後90℃に戻し、上記の温度制御方法によって、スラリーとアンモニウム塩
溶液を十分に反応させて、バリウムスラグ無害化処理の効果を高め、
S4、反応倉内での反応が完了した後濾過し、バリウムスラグ中の炭酸バリウム含有量が
3wt%未満、バリウム浸出濃度が100mg/L未満になるまで、炭酸バリウム含有量
の高いバリウムスラグをアンモニウム塩溶液で複数段階で浸出して、無害化バリウムスラ
グ製品および浸出液を取得し、塩化アンモニウム溶液の質量濃度は13%であるステップ
と、
S5、得られた浸出液と炭酸アンモニウム溶液を反応させ、炭酸アンモニウム溶液はステ
ップS6からの再利用溶液であり、不足分として浸出液に重炭酸アンモニウムを補充し、
精製炭酸バリウム製品を調製し、反応後に得られた再生アンモニウム塩溶液返回ステップ
S2繰り返し使用、
S6、反応によって生成されたCO2とNH3は、処理装置の排気吸収コンポネント4に
よって回収され、得られた炭酸アンモニウム溶液をステップS5の原料として使用するス
テップと、を含む。
本発明のバリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、バリウムスラグを効果的に無害化
処理でき、無害化バリウムスラグ製品を得、浸出液をリサイクルして精製炭酸バリウム製
品を得る当時に、浸出液回収処理の後に得られた再生アンモニウム塩溶液および反応によ
って生成されたCO2とNH3を排気吸収コンポネントの回収処理で得られた炭酸アンモ
ニウム溶液は、ステップS2およびステップS5に戻して使用され、原料の使用量を低減
し、したがって、本発明のバリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、高効率、経済的
、環境保護などの利点を有する。
【0019】
実施例2
本実施例は、以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、S2のアンモニウム塩溶
液は酢酸アンモニウム溶液であり、
図1に示すように、処理装置は上から下へ順次粉砕倉
1、反応倉2、濾過浸出倉3および排気吸収コンポネント4を含む。
一、粉砕倉1
図1および
図2に示すように、粉砕倉1と反応倉2は上下に接合され、その内部の中心に
粉砕倉1の底面を貫通して反応倉2の底部に設けられたキャリアリング21に結合された
1組の中心駆動ロッド5が設けられ、中心駆動ロッド5の下端がキャリアリング21に設
けられた駆動モータ22の出力軸に接続され、駆動モータ22は、市販の回転モータまた
は市販の回転モータを本装置に適合して外形を調整したものを選択し、且つ粉砕倉1と反
応倉2の接続部の側壁に、粉砕倉1と反応倉2を連通するための複数組の予熱混合倉6が
設けられ、各予熱混合倉6の上方にアンモニウム塩溶液を貯蔵するための環状貯液倉7が
設けられ、環状貯液倉7は各予熱混合倉6とパイプを介して接続され、
図2および
図6に示すように、粉砕倉1内の上部に、粉砕処理用の粉砕コンポネントが設
けられ、下部にボールミル処理用のボールミルコンポネントが設けられ、粉砕コンポネン
トは、粉砕カッターヘッド11および第1の材料制御仕切り板12を含み、ボールミルコ
ンポネントは、トグルブリスク13および第2の材料制御仕切り板14を含み、粉砕倉1
の頂面にカバー15が設けられ、カバー15の中心駆動ロッド5の上端に対応する位置に
、中心駆動ロッド5の上端に回転可能に係合された係合溝16が設けられ、カバー15に
設けられた係合溝16により、中心駆動ロッド5が回転中に軸方向のスイングを回避し、
中心駆動ロッド5の回転安定性を高め、第2の材料制御仕切り板14の材料落下穴82に
濾過スクリーンが設けられ、濾過スクリーンは研磨後のバリウムスラグを各予熱混合倉6
に効果的に篩分ける。
二、反応倉2
図3および
図4に示すように、反応倉2内に、攪拌混合処理用の攪拌ブレードコンポネン
トが設けられ、攪拌ブレードコンポネントは、攪拌ブレードディスク23および第3の材
料制御仕切り板24を含み、攪拌ブレードディスク23は複数組の攪拌ブレード231で
構成され、攪拌ブレード231の側面に18組の円形穴232が設けられ、且つ円形穴2
32内にそれぞれ1組のインペラ233が配置され、インペラ233は円形穴232の穴
壁の環状溝を介してそれに回転可能に接続され、回転時に混合スラリーが円形穴232を
通過することにより発生された位置エネルギーでインペラ233を回転させるように駆動
し、攪拌ブレード231と各インペラ233の駆動作用下で反応倉2内の混合スラリーを
十分に攪拌し、バリウムスラグの無害化処理の効果を高める。
図7~
図10に示すように、第1、第2、第3の材料制御仕切り板12、14、24の構
造は同様であり、材料ロード上部プレート8および材料制御下部プレート81を含み、材
料ロード上部プレート8、材料制御下部プレート81には同じ数の材料落下穴82、材料
バッフルプレート83がそれぞれずらして設けられ、材料制御下部プレート81は材料ロ
ード上部プレート8の底面に配置されて回転可能に接続され、材料ロード上部プレート8
は粉砕倉1の内壁または反応倉2の内壁に摺動可能かつ密閉可能に接触し、材料ロード上
部プレート8の中心に、上下に摺動して中心駆動ロッド5に結合されて同期して回転する
ように制御された嵌合リング84が設けられ、嵌合リング84は材料ロード上部プレート
8に回転可能に接続される。
図2に示すように、中心駆動ロッド5の各嵌合リング84に対応する位置に環状係合ホル
ダ51が設けられ、粉砕倉1の内壁、反応倉2内壁の各材料ロード上部プレート8に対応
する位置に、材料ロード上部プレート8の上下移動を制限するための支持リング85が設
けられる。
図10に示すように、嵌合リング84の環状係合ホルダ51に対応する側に6組の環状に
分布されたバンプ841が設けられ、環状係合ホルダ51の各バンプ841に対応する位
置にそれぞれバンプ841にプラグインされた1組の溝511が設けられ、バンプ841
と溝511のプラグイン方式により安定した嵌合を実現し、嵌合リング84と環状係合ホ
ルダ51の嵌合が不安定であるなどの問題を回避する。
図8および
図9に示すように、支持リング85の上面に、材料ロード上部プレート8を摺
動可能に支持して嵌合リング84と環状係合ホルダ51の分離を制御するためのばね制御
リング86が設けられ、ばね制御リング86はそれに設けられた複数組の第1のばね86
1を介して材料ロード上部プレート8に接続され、支持リング85の底面に変位モータ8
7が移動するための円弧状溝851が設けられ、材料制御下部プレート81の変位モータ
87に対応する位置に、変位モータ87に設けられたダイヤルに嵌設されたシフトレバー
811が設けられ、変位モータ87は、材料制御下部プレート81を回転させることで、
材料落下穴82のオンオフを制御し、変位モータ87は市販の変位モータまたは市販の変
位モータを本装置に適合して外形を調整したものを選択し、変位モータ87のダイヤルは
外側に回して開閉できる2つの円弧状ロッドで構成され、材料ロード上部プレート8が上
方に移動するとき、シフトレバー811が変位モータ87から分離する問題を回避するた
めに、シフトレバー811の長さは材料ロード上部プレート8の上下移動高さ差よりも大
きく必要がある。
三、濾過浸出倉3
図11に示すように、濾過浸出倉3は反応倉2の底部と連通し、濾過浸出倉3の上面の中
心に浸出濾過筒31の貫通穴が設けられ、濾過浸出倉3の側壁の一側の上部に浸出濾過筒
31と連通する第1のカテーテル32が設けられ、他側の上部に、濾過浸出倉3内と連通
する第2のカテーテル33が設けられ、濾過浸出倉3の側壁の一側の下部に、再生アンモ
ニウム塩溶液を排出するための排液口34が設けられ、濾過浸出倉3の底面に上下高さを
調節できる支持脚が設けられ、高さ調節可能な支持脚を設置することで、装置全体の配置
高さを簡単に調節でき、様々な地形に応じて水平位置の高さを調整することができる。
四、排気吸収コンポネント4
図12に示すように、排気吸収コンポネント4は、反応倉2および濾過浸出倉3に接続さ
れたガス収集管41、収集されたガスを使用して再生アンモニウム塩溶液を持ち上げて環
状貯液倉7に輸送するための輸送コンポネント42、および収集されたガスから炭酸アン
モニウム溶液を得る排気倉43を含み、排気倉43はカテーテルを介して濾過浸出倉3の
第2のカテーテル33に連通し、排気倉43は輸送コンポネント42の頂面に固定的に接
続される。
図13および
図14に示すように、輸送コンポネント42は、輸送パイプ421を含み、
輸送パイプ421の下部に、排液口34に接続された液体入口管422が設けられ、輸送
パイプ421の上部に、環状貯液倉7に接続された液体排出管423が設けられ、輸送パ
イプ421内に、注入ガス圧力に応じて上下に摺動可能なピストン載置板424が設けら
れ、輸送パイプ421の内壁の液体入口管422に対応する位置に、ピストン載置板42
4に応じて摺動可能に開閉する第1の密閉摺動扉425が設けられ、輸送パイプ421の
内壁の液体排出管423に対応する位置にピストン載置板424に応じて摺動可能に開閉
する第2の密閉摺動扉426が設けられ、第1および第2の密閉摺動扉425、426の
ピストン載置板424に対応する位置の一側に結合されたストップバー427が設けられ
、第1の密閉摺動扉425のストップバー427の底面に、輸送パイプ421の底面に接
続された6組の第2のばね428が設けられ、ピストン載置板424の中心に保持容量を
高めるための弾性液体バッグ429が設けられ、ガス収集管41と輸送コンポネント42
の接続部に、気圧を補償するためのエアポンプが設けられ、エアポンプは市販のポンプま
たは市販のポンプを本装置に適合して外形を調整したものを選択する。
本発明の処理装置は、CO
2とNH
3の排出経路を最適化し、輸送コンポネント42およ
びエアポンプによって反応で生成されたCO
2とNH
3を輸送過程で再び利用し、濾過浸
出倉3からの再生アンモニウム塩溶液を上へ環状貯液倉7に輸送し、CO
2とNH
3輸送
過程でそもそもエアバルまたはエアポンプなどのデバイスを追加する必要があり、その経
路を最適化すると輸送運動エネルギーを十分に活用でき、液体ポンプを省略し、装置のメ
ンテナンスの難しさを軽減する同時に、処理装置の全体的なエネルギー消費も低減する。
本発明のプロセスに適合する処理装置によれば、統合設計により、本発明のプロセス生産
のプロセスフロー要件を効果的に満たす同時に、処理電力消費が低く、
粉砕倉1、反応倉2の連動式駆動により、モータの設置数を減少し、第1の材料制御仕切
り板12、第2の材料制御仕切り板14および第3の材料制御仕切り板24を設置し、中
心駆動ロッド5と協力して現在バリウムスラグまたは混合スラリーの位置に対応して駆動
することで、非作業領域のアイドリングが減少し、運動エネルギー消費を低減し、重力ト
リガー方法により、駆動デバイスなどを追加することなく機能要件を満たすことができ、
したがって、本発明の処理装置は、バリウムスラグ無害化処理過程中、粉砕カッターヘッ
ド11、トグルブリスク13および攪拌ブレードディスク23の駆動回転軸の設置数が元
の3組から1組に減少し、プロセスフローの過程で、中心駆動ロッド5は対応の粉砕カッ
ターヘッド11、トグルブリスク13または攪拌ブレードディスク23によって駆動され
、駆動モータ22の設置数も減少し、装置の点検やメンテナンスに便利である。
上記処理装置の動作原理は以下の通りである。
バリウムスラグを粉砕倉1内に投入し、バリウムスラグが投入された後重力作用下で、第
1の材料制御仕切り板12の材料ロード上部プレート8を押し下げ、材料ロード上部プレ
ート8は対応のばね制御リング86の各第1のばね861を圧縮させて支持リング85に
接触し、同時に材料ロード上部プレート8の嵌合リング84の各バンプ841は中心駆動
ロッド5の環状係合ホルダ51の各溝511に対応して係合され、第1の材料制御仕切り
板12と中心駆動ロッド5が嵌合され、中心駆動ロッド5の回転作用下で、粉砕カッター
ヘッド11でバリウムスラグを粉砕処理し、処理が完了すると、第1の材料制御仕切り板
12の変位モータ87を始動して支持リング85の円弧状溝851に沿って60°移動し
、材料制御下部プレート81の各材料バッフルプレート83による材料落下穴82の遮断
が解除され、粉砕後のバリウムスラグが第2の材料制御仕切り板14に落下し、バリウム
スラグの重力作用がなくなり、第1の材料制御仕切り板12が第1の材料制御仕切り板1
2のばね制御リング86の弾力作用下で元の位置に回復し、材料ロード上部プレート8の
嵌合リング84が環状係合ホルダ51から分離され、
粉砕後のバリウムスラグが第2の材料制御仕切り板14に落下し、上記の原理と同様に、
トグルブリスク13の作用下で追加のミルボールによりバリウムスラグを研磨し、研磨し
た後濾過スクリーンを介して粉砕倉1の底部に落下し、その後パイプを介して各予熱混合
倉6内に落下し、
プロセス方法の要件に従って、X値に応じて予熱混合倉6を均等にX組に分け、それぞれ
プロセス方法に対応させ、制御弁を通して85℃の混合スラリー底液を反応倉2に加えた
後、プロセス要件に従って、順次上記の混合スラリー底液と混合スラリー分液を加え、反
応が完了した後、上記原理と同様に、材料制御下部プレート81を開くと、混合スラリー
が濾過浸出倉3の浸出濾過筒31に落下し、その後濾過されたバリウムスラグに第1のカ
テーテル32を介して酢酸アンモニウム溶液を加え複数段階で浸出させ、濾過浸出倉3の
底部で浸出液を収集し、第2のカテーテル33を介して炭酸アンモニウム溶液を加え、精
製炭酸バリウム製品および再生酢酸アンモニウム溶液を得、
次に排気吸収コンポネント4の輸送コンポネント42により再生塩化ナトリウム溶液を環
状貯液倉7に輸送して用意し、同時にガス収集管41を介して反応によって生成されたガ
スを収集してエアポンプで加圧され輸送パイプ421に輸送し、ガスを注入した後、ピス
トン載置板424が、上部第2の密閉摺動扉のストップバー427を押して1回の移動ス
トロークを完了するまで上方に移動し、ガスを排気倉43に排出した後、輸送パイプ42
1の下部空気圧が低下し、ピストン載置板424は自身の重力作用下で自然に落下し、
ここで、ピストン載置板424が下から上昇し始めると、第1の密閉摺動扉425は第2
のばね428の回復力の作用下で、液体入口管422の入口を遮断するまで上方へ移動し
、ピストン載置板424が上方に頂部まで移動する過程中、ガスが排気倉3の接続口から
排出されるように、第2の密閉摺動扉426は液体排出管423の出口を徐々に遮断して
、水を加え、凝縮および吸収することで炭酸アンモニウム溶液を得てステップS5に再利
用する。
【0020】
実施例3
本実施例は、以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、Xの値は3であり、Yの
値は2であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は、90~92℃、98~100℃か
ら選択され、具体的に91℃、99℃であり、総投与反応時間は1.5時間である。
【0021】
実施例4
本実施例は、以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、Xの値は3であり、Yの
値は2であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は92~94℃、98~100℃から
選択され、具体的に93℃、99℃であり、総投与反応時間は1.5時間である。
【0022】
実施例5
本実施例は、以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、Xの値は1であり、Yの
値は1であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は94~96℃から選択され、具体的
に95℃であり、総投与反応時間は1.5時間である。
【0023】
実施例6
本実施例は、以下の点を除いて実施例1と基本的に同じであり、Xの値は4であり、Yの
値は3であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は92~94℃、94~96℃、96
~98℃から選択され、具体的に93℃、95℃、97℃であり、総投与反応時間は1.
5時間である。
【0024】
実施例7
本実施例は、以下の点を除いて実施例5と基本的に同じであり、Xの値は1であり、Yの
値は1であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は90~92℃から選択され、具体的
に91℃であり、総投与反応時間は0.5時間である。
【0025】
実施例8
本実施例は、以下の点を除いて実施例5と基本的に同じであり、Xの値は1であり、Yの
値は1であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は98~100℃から選択され、具体
的に99℃であり、総投与反応時間は1.5時間である。
【0026】
実施例9
本実施例は以下の点を除いて、実施例6と基本的に同じであり、Xの値は4であり、Yの
値は3であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は90~92℃、92~94℃、94
~96℃から選択され、具体的に91℃、93℃、95℃であり、総投与反応時間は0.
5時間である。
【0027】
実施例10
本実施例は、以下の点を除いて実施例6と基本的に同じであり、Xの値は4であり、Yの
値は3であり、Y組の混合漿料分液の予熱温度区間は94~96℃、96~98℃、98
~100℃から選択され、具体的に95℃、97℃、99℃であり、総投与反応時間は1
.5時間である。
【0028】
実施例11
本実施例は、以下の点で実施例1と異なり、S2のアンモニウム塩溶液は硝酸アンモニウ
ム溶液である。
【0029】
実験例
無害化バリウムスラグ製品の検証
1)実験対象:
実施例1で得られた無害化バリウムスラグ製品を等重量で秤量し用意する。
2)実験方法:
実施例1で得られた無害化バリウムスラグ製品を《有害廃棄物識別基準-浸出毒性識別》
に従って毒性浸出分析を行う。
3)実験結果:
実施例1のバリウムの分析結果として、Baは0.0547ppmであり、中国有害廃棄
物排出基準によると、基準要件よりはるかに低く、無害化処理の基準要件を完全に満たす
。
さらに、異なる予熱温度での混合スラリー分液の後続添加による無害化処理に対する影響
を調べるために、実験を通して実施例1、3~10で得られた無害化バリウムスラグ製品
を以下のように分析する。
1)実施例1、3、4を例として、X値とY値が同じである場合、異なる予熱温度での混
合スラリー分液を反応に導入する効果および影響を調べ、上記の実験方法を採用し、各実
施例のバリウムの分析結果は以下の表1に示される。
表1 実施例1、3、4で得られた無害化バリウムスラグの分析結果テーブル
【0030】
【0031】
上記の表1から分かるように、予熱温度区間が異なると得られた無害化バリウムスラグの
Ba濃度も異なり、検出誤差などの要因を考慮すると、実施例1と実施例4の効果はほぼ
同じである。
2)実施例1、5、6を例として、X値とY値が異なる場合、異なる予熱温度での混合ス
ラリー分液を反応に導入する効果および影響を調べ、上記の実験方法を採用し、各実施例
のバリウムの分析結果は以下の表2に示される。
表2 実施例1、5、6で得られた無害化バリウムスラグの分析結果テーブル
【0032】
【0033】
上記の表2から分かるように、混合スラリー分液の組数および予熱温度区間が異なると、
得られた無害化バリウムスラグのBa濃度も異なり、実施例6で採用された予熱温度区間
が相対的に良好であるが、実施例6は実施例1と比較するとBa濃度の相対的な変化がわ
ずかであり、追加の1組の混合スラリー分液の温度制御調整により、装置処理のエネルギ
ー消費が相対的に増加するため、経済性などの観点から、実施例1のプロセスパラメータ
は相対的に好ましい。
3)実施例5、7、8を例として、X値とY値が同じである場合、異なる予熱温度の混合
スラリー分液を反応に導入する効果および影響を調べ、上記の実験方法を採用し、各実施
例のバリウムの分析結果は以下の表1に示される。
表3 実施例5、7、8で得られた無害化バリウムスラグ分析結果テーブル
【0034】
【0035】
上記の表3から分かるように、予熱温度区間が異なると、得られた無害化バリウムスラグ
のBa濃度も異なり、実施例8で採用された予熱温度区間が相対的に良好であり、予熱温
度区間の向上は反応処理に一定の影響を及ぼすことを示す。
4)実施例6、9、10を例として、X値とY値が同じである場合、異なる予熱温度の混
合スラリー分液を反応に導入する効果および影響を調べ、上記の実験方法を採用し、各実
施例のバリウムの分析結果は以下の表4に示される。
表4 実施例6、9、10で得られた無害化バリウムスラグ分析結果テーブル
【0036】
【0037】
上記の表4から分かるように、予熱温度区間が異なると、得られた無害化バリウムスラグ
のBa濃度も異なり、実施例10で採用された予熱温度区間が相対的に良好であり、予熱
温度区間全体の向上は反応処理に一定の影響を及ぼすが、組の設置数、温度高低の制御電
力消費などの要因を考慮すると、実際の生産要求に応じて選択すればよい。
【要約】 (修正有)
【課題】高効率、経済的、環境保護などの利点を有するバリウムスラグの無害化回収処理プロセスおよびその処理装置を提供する。
【解決手段】バリウムスラグの無害化回収処理プロセスは、バリウムスラグを粉砕、湿式研磨した後、アンモニウム塩溶液と混合処理し、次に濾過したバリウムスラグをアンモニウム塩溶液で複数段階で浸出して、無害化バリウムスラグ製品を取得し、バリウムスラグの無害化回収処理装置は、粉砕倉1、反応倉2、濾過浸出倉3および排気吸収コンポネント4を備える。
【選択図】
図1