(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】映像表示システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20220427BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20220427BHJP
G09G 5/38 20060101ALI20220427BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20220427BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20220427BHJP
【FI】
G06F3/01 570
G09G5/00 550C
G09G5/38 A
G09G5/00 510Q
G06Q30/02 380
G06F3/0488
(21)【出願番号】P 2018092174
(22)【出願日】2018-05-11
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【氏名又は名称】秦 恵子
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】丸山 健二郎
(72)【発明者】
【氏名】池上 智紀
(72)【発明者】
【氏名】秦野 望
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-309537(JP,A)
【文献】特開2015-001879(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0039259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G09G 5/00
G09G 5/38
G06Q 30/00
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を検出する複数の検出セルが行方向及び列方向にマトリックス状に配置されたセンサパネルと、
前記複数の検出セルで検出された圧力に基づいて前記センサパネルの上を移動している人の動きを特定する処理装置と、
前記処理装置で特定された前記人の動きに応じて所定の情報を表示する表示装置と、を備え
、
前記処理装置は、前記人の動きを継続的に特定することで求めた前記人の移動距離を用いて前記人の運動量を算出し、
前記表示装置は、前記人の運動量に対応した情報を表示し、
前記処理装置は、複数の人の運動量を算出可能に構成されており、
前記表示装置は、前記複数の人の運動量と、前記複数の人の運動量に応じた順位を特定するための情報とを表示する、
映像表示システム。
【請求項2】
圧力を検出する複数の検出セルが行方向及び列方向にマトリックス状に配置されたセンサパネルと、
前記複数の検出セルで検出された圧力に基づいて前記センサパネルの上を移動している人の動きを特定する処理装置と、
前記処理装置で特定された前記人の動きに応じて所定の情報を表示する表示装置と、を備え、
前記処理装置は、前記人の動きを継続的に特定することで求めた前記人の移動距離を用いて前記人の運動量を算出し、
前記表示装置は、前記人の運動量に対応した情報を表示し、
前記処理装置は、複数の人の運動量を算出し、前記センサパネル上の領域ごとに運動量を積算可能に構成されており、
前記表示装置は、前記センサパネル上の領域ごとに積算された運動量と、当該運動量に応じた前記センサパネル上の領域ごとの順位を特定するための情報とを表示する、
映像表示システム。
【請求項3】
前記処理装置は、前記人が前記センサパネルの上を移動した際に前記人が前記検出セルを踏んだ回数を用いて前記人の運動量を算出し、
前記表示装置は、前記人の運動量に対応した情報を表示する、
請求項1
または2に記載の映像表示システム。
【請求項4】
前記表示装置は、前記センサパネル上、前記センサパネルの近傍若しくは遠方の壁、及び前記センサパネルの近傍若しくは遠方に設けられたディスプレイの少なくとも一つに前記所定の情報を表示する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の映像表示システム。
【請求項5】
前記表示装置が前記人の動きに応じて前記所定の情報を表示する際に、所定の効果音または所定の音声情報を発生する音声発生装置をさらに備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の映像表示システム。
【請求項6】
空間における前記人の動きを検出するセンサを更に備え、
前記処理装置は、前記複数の検出セルの検出結果に加えて、前記センサで検出した前記空間における前記人の動きを用いて、前記人の動きを特定する、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の映像表示システム。
【請求項7】
圧力を検出する複数の検出セルが行方向及び列方向にマトリックス状に配置されたセンサパネルと、
前記複数の検出セルで検出された圧力に基づいて前記センサパネルの上を移動している人の動きを特定する処理装置と、
前記処理装置で特定された前記人の動きに応じて所定の情報を表示する表示装置と、を備え、
前記処理装置は、前記人の動きとして前記人の移動方向を特定可能に構成されており、
前記処理装置は、
前記複数の検出セルが圧力を検出した場合、前記複数の検出セルが圧力を検出した第1の検出領域が人の第1の足に対応するか否かを判定する第1の処理と、
前記第1の処理において前記第1の検出領域が前記第1の足に対応すると判定された場合、前記第1の検出領域における前記圧力を検出した検出セルの中心点の経時的な移動方向に基づいて前記第1の足の接地方向を決定する第2の処理と、
前記第1の検出領域とは異なる領域であって、当該第1の検出領域を基準として所定の範囲内において前記複数の検出セルが圧力を検出した場合、前記複数の検出セルが圧力を検出した第2の検出領域が前記人の第2の足に対応するか否かを判定する第3の処理と、
前記第3の処理において前記第2の検出領域が前記第2の足に対応すると判定された場合、前記第2の検出領域における前記圧力を検出した検出セルの中心点の経時的な移動方向に基づいて前記第2の足の接地方向を決定する第4の処理と、
前記第1の足の接地方向および前記第2の足の接地方向を用いて前記人の移動方向を特定する第5の処理と、を実行することで前記人の移動方向を特定する
、
映像表示システム。
【請求項8】
前記処理装置は、前記第5の処理において、前記第1の足の接地方向に対する前記第2の足の接地方向が所定の基準角度の範囲内である場合、前記人の移動方向が変化したと判定する、請求項
7に記載の映像表示システム。
【請求項9】
前記処理装置は、
前記第5の処理の後、前記複数の検出セルが圧力を検出した第3の検出領域が人の前記第1の足に対応するか否かを判定する第6の処理と、
前記第6の処理において前記第3の検出領域が前記第1の足に対応すると判定された場合、前記第3の検出領域における前記圧力を検出した検出セルの中心点の経時的な移動方向に基づいて前記第1の足の接地方向を決定する第7の処理と、を実行し、
前記第4の処理で決定された前記第2の足の接地方向および前記第7の処理で決定された前記第1の足の接地方向を用いて前記人の移動方向を特定する、
請求項
7または
8に記載の映像表示システム。
【請求項10】
前記処理装置は、前記第2の処理において決定された前記第1の足の接地方向に対して、前記第4の処理において決定された前記第2の足の接地方向が略逆向きである場合、前記人が立ち止まったと判定する、請求項
7に記載の映像表示システム。
【請求項11】
前記処理装置は、前記人が立ち止まったと判定された場合、前記第5の処理において、前記第1の足の接地方向と前記第2の足の接地方向を反転した方向と用いて、前記人が向いている方向を特定する、請求項
10に記載の映像表示システム。
【請求項12】
前記処理装置は、前記第1及び第2の検出領域における前記圧力を検出した検出セルの中心点の移動速度を用いて前記人の移動速度を求める、請求項
7に記載の映像表示システム。
【請求項13】
前記処理装置は、前記複数の検出セルが圧力を検出した前記第1及び第2の検出領域の大きさが、人の足長に対応した所定の基準値の範囲内の場合、前記第1及び第2の検出領域が前記人の前記第1及び第2の足に対応すると判定する、請求項
7~12のいずれか一項に記載の映像表示システム。
【請求項14】
前記第1及び第2の検出領域をグルーピングし、当該グルーピングされた前記第1及び第2の検出領域を一人分としてカウントすることで、前記センサパネルの上に存在している人の数をカウントする、請求項
7~13のいずれか一項に記載の映像表示システム。
【請求項15】
前記第1及び第2の検出領域は、前記圧力を検出した検出セルの領域を拡張することで決定される、請求項
7~14のいずれか一項に記載の映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は映像表示システムに関し、特にセンサパネルを用いて人の動きを検出し、当該検出した人の動きに応じて所定の情報を表示する映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、圧力を検出する複数の検出セルがマトリックス状に配置されたセンサパネルが様々な分野で用いられている。例えば、特許文献1には、感圧センサ装置を床に設置することで、感圧センサ装置の上を通過する人の数や移動方向などを把握する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、圧力を検出する複数の検出セルがマトリックス状に配置されたセンサパネルは、様々な分野において応用されている。また近年では、映像を表示する表示装置の技術も発展しており、センサパネルと表示装置とを用いることで、従来よりも利便性の高い映像表示システムを提供することが期待されている。
【0005】
本発明の目的は、利便性の高い映像表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる映像表示システムは、圧力を検出する複数の検出セルが行方向及び列方向にマトリックス状に配置されたセンサパネルと、前記複数の検出セルで検出された圧力に基づいて前記センサパネルの上を移動している人の動きを特定する処理装置と、前記処理装置で特定された前記人の動きに応じて所定の情報を表示する表示装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、利便性の高い映像表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態にかかる映像表示システムを説明するための図である。
【
図2】センサパネルが備える検出セルを示す断面図である。
【
図3】
図2に示す検出セルに圧力が印加された状態を示す断面図である。
【
図4】センサパネルが備える検出セルの他の構成例を示す断面図である。
【
図5】実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図である。
【
図7】実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図である。
【
図8】実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図である。
【
図9】実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図である。
【
図10】センサパネルを用いた移動方向特定方法を説明するための図である。
【
図11】センサパネルを用いた移動方向特定方法を説明するための図である。
【
図12】センサパネルを用いた移動方向特定方法を説明するためのフローチャートである。
【
図13】センサパネルを用いた移動方向特定方法を説明するための図である。
【
図14】センサパネルを用いた移動方向特定方法を説明するための図である。
【
図15】センサパネルを用いた移動方向特定方法を説明するための図である。
【
図16】センサパネルを用いた移動方向特定方法を説明するための図である。
【
図17】センサパネルを用いた移動方向特定方法における事前処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
<映像表示システムの構成>
図1は、実施の形態にかかる映像表示システムを説明するためのブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる映像表示システム1は、センサパネル5、処理装置8、及び表示装置9を備える。センサパネル5は、圧力を検出する複数の検出セル10が行方向及び列方向にマトリックス状に配置されている。なお、行方向および列方向に設ける検出セル10の数は任意に決定することができる。
【0011】
図2は、センサパネル5が備える検出セル10を示す断面図である。
図2に示すように、検出セル10は、基板11上に形成されている。基板11は、プリント配線基板等のリジッド基板のほか、フィルム等のフレキシブル基板を用いて構成することができる。基板11の上面には、互いに近接するように配置された下部電極12、13が設けられている。下部電極12、13の材料には、例えば銅やアルミニウムなどの金属材料や、カーボンブラックやグラファイトなどの炭素系材料を用いることができる。下部電極12、13は、例えば印刷工程を用いて基板11に形成してもよい。また、例えば、下部電極12、13を印刷したフィルムを基板11に貼り合わせて形成してもよい。下部電極12には、駆動電圧が供給される。
【0012】
基板11の上部にはフィルム15が配置されている。基板11とフィルム15との間にはスペーサ17が設けられている。スペーサ17は、検出セル10の行方向の両側(換言すると、下部電極12、13の両側)に各々配置されている。スペーサ17を設けることで、基板11とフィルム15とを離間して配置することができる。また、フィルム15の下面には上部電極14が形成されている。上部電極14は、下部電極12、13と対向するように配置されている。
【0013】
図3は、
図2に示す検出セル10に圧力が印加された状態を示す断面図である。
図3に示すように、センサパネル5は、各々の検出セル10の上面に応力F1が印加された際に、上部電極14が下部電極12、13に接触することで圧力を検出するように構成されている。つまり、各々の検出セル10の下部電極12には駆動電圧が供給されており、フィルム15が基板11に近づく方向に変位して上部電極14が下部電極12、13に接触して下部電極12、13が導通状態となり、下部電極13に駆動電圧が印加されることを検出することで、圧力を検出するように構成されている。
【0014】
なお、
図2、
図3に示した各々の検出セル10の構成は一例であり、本実施の形態では、例えば、圧電素子や感圧素子、静電容量素子を用いて検出セル10を構成してもよい。つまり、本実施の形態では、圧力を検出する検出セル10がマトリックス状に複数配置されていればよく、各々の検出セルが圧力を検出する方式については特に限定されることはない。
【0015】
図4は、検出セルの他の構成例を説明する断面図であり、静電容量素子を用いて検出セルを構成した場合を説明するための図である。
図4に示す検出セル10aは、第1導電層150、誘電層151、第2導電層152、及び絶縁層153、154を備える。
【0016】
第1導電層150、及び第2導電層152は、電気を導通する導電体の膜で構成される。例えば、第1導電層150、及び第2導電層152は、導電性インキにより形成された導電層や金属層で構成されることが好ましい。
【0017】
誘電層151は、誘電体の膜で構成される。例えば、誘電層151は、絶縁性物質の膜で構成されても良い。誘電層151は弾性を有する弾性体であることが好ましく、例えば、気泡を含む樹脂層で構成されることが好ましい。また、気泡を有しない場合としては、天然ゴム、合成ゴム等の利用が考えられる。
【0018】
絶縁層153、154はそれぞれ、第1導電層150、及び第2導電層152を保護するために設けられている。例えば、絶縁層153、154は、絶縁性の膜で構成されることが好ましい。
【0019】
図4に示す検出セル10aは、第1導電層150と第2導電層152との間に誘電層151を備えるので、第1導電層150と第2導電層152との間に静電容量が発生する。すなわち、検出セル10aはコンデンサを構成している。ここで、コンデンサの静電容量は、第1導電層150と第2導電層152との距離(換言すると誘電層151の厚さ)に依存するので、検出セル10aが踏まれていない状態と踏まれている状態とで検出セル10aの静電容量が変化する。具体的には、検出セル10aの静電容量は誘電層151の厚さに反比例するので、検出セル10aが踏まれると誘電層151の厚さが減少し、検出セル10aの静電容量が上昇する。よって、検出セル10aの第1導電層150と第2導電層152との間の静電容量を測定することで、センサパネル5が踏まれたことを検出することができる。
【0020】
処理装置8は、センサパネル5の出力(つまり、センサパネル5で検出された圧力)に基づいて人の動きを特定する回路である。例えば、処理装置8は、プロセッサやメモリなどを備えており、プロセッサにおいてプログラムを実行することで、人の動きを特定する処理を実施することができる。また、処理装置8は、映像表示システム1の制御に必要な様々な処理を実施可能に構成されている。メモリには、プロセッサにおいてプログラムを実行することで、圧力のほか、圧力を検出したセルの位置及び検出した時間に基づき、人の動きを特定する処理、及び映像表示システム1の制御を実施するためのプログラムや所定のデータが格納されている。人の動き(移動方向)を特定するための処理の詳細については後述する。
【0021】
表示装置9は、処理装置8で特定された人の動きに応じて所定の情報を表示する。例えば、表示装置9は、センサパネル5の上に映像を投影するプロジェクタである。また、表示装置9は、センサパネル5の近傍に設けられたスクリーンや壁に映像を投影するプロジェクタであってもよいし、センサパネル5から遠方に設けられたスクリーンや壁に映像を投影するプロジェクタであってもよい。更に、表示装置9は、センサパネル5の近傍に設けられたディスプレイパネルであってもよいし、センサパネル5から遠方に設けられたディスプレイパネルであってもよい。また、これらのプロジェクタとディスプレイパネルとを組み合わせたものであってもよい。更に、表示装置9は、透明なディスプレイ表示装置であってもよく、この場合は、透明なディスプレイ表示装置がセンサパネル5と一体化されていてもよい。
【0022】
表示装置9が表示する所定の情報は、本実施の形態にかかる映像表示システム1を利用する利用状況に応じて任意に決定することができる。
【0023】
また、本実施の形態にかかる映像表示システムでは、空間における人の動き(空間情報)を検出するセンサを更に用いて人の動きを検出し、この検出した空間情報と、センサパネル5で検出した人の動きの情報とを用いて、人の動きを特定してもよい。このように空間情報を検出するセンサを更に用いることで、人の動きを精度よく特定することができる。空間における人の動きを検出するセンサには、例えば、カメラ、赤外線センサ、静電容量センサ等を用いることができる。
【0024】
次に、映像表示システム1の応用例について具体的に説明する。
【0025】
<応用例1:軌跡表示>
図5は、本実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図であり、センサパネル5の上を人が移動した際、表示装置9が人の移動の軌跡212、217をセンサパネル5上に表示している例を示している。
【0026】
センサパネル5の上を人が移動すると、人の足によってセンサパネル5が踏まれて、各々の検出セル10(
図1参照)が圧力を検出する。処理装置8は、各々の検出セル10で検出された圧力に基づいて、センサパネル5の上を移動している人の動きを特定する。このとき処理装置8は、人の動きを継続的に特定することで、人の移動の軌跡を求めることができる。そして、表示装置9は、このようにして求めた軌跡に対応する情報をセンサパネル5上に表示する。なお、前記人は、複数人であってもよい。
【0027】
具体的に説明すると、
図5に示すように、処理装置8は、人の足210、215(破線の足は過去の足跡を示す)を検出すると、この検出した足210、215を用いて、各々の人の移動方向を継続的に特定する。このように継続的に人の移動方向を特定することで、人の移動の軌跡を求めることができる。なお、足(実線)211、216は、各々の人の現在の足の位置を示している。そして、表示装置9は、各々の人が移動した軌跡212、217をセンサパネル5上に表示する。
【0028】
図5では、表示装置9が表示する軌跡に対応する情報として、実線の軌跡212、217を例示しているが、表示装置9が表示する軌跡212、217はどのような形状であってもよい。例えば、人が移動した後をキャラクターが追いかけるように軌跡を表示してもよい。また、センサパネル5上に表示する軌跡は、人が移動した全ての軌跡を表示するようにしてもよく、また人が移動した軌跡の一部のみを表示するようにしてもよい。また、人の移動速度に応じて表示する軌跡を変更してもよい。例えば、人の移動速度が速い場合には、人の後に表示されるキャラクターの数が多くなるように軌跡を表示し、人の移動速度が遅い場合には、人の後に表示されるキャラクターの数が少なくなるように軌跡を表示してもよい。
【0029】
またこのとき、表示装置9が表示する軌跡212、217に応じて、効果音を発生するようにしてもよい。効果音は音声発生装置(不図示)から出力される。例えば、人の足を検出したタイミングで効果音を発生させる(つまり、センサパネル5を踏む度に足音が鳴る)ようにしてもよい。このとき、人の移動速度に応じて効果音を変更してもよい。例えば、人の移動速度が速い場合には効果音として高い音を鳴らし、人の移動速度が遅い場合には効果音として低い音を鳴らすようにしてもよい。
【0030】
また、上述した応用例1では、空間における人の動き(空間情報)を検出するセンサ(カメラ、赤外線センサ、静電容量センサ等)を更に用いて人の動きを検出してもよい。例えば、取得した空間情報を用いて、キャラクターの数や動きを変化させたり、効果音を変更したり音量や音質を変更したりしてもよい。例えば、空間情報を取得することで、センサパネル5の上を動いている人が大人であるのか子供であるのかを検出したり、センサパネル5の上を動いている人の性別を検出したりすることができるので、このような情報に応じて、表示するキャラクターの種類や効果音を変更してもよい。
【0031】
なお、
図5では、人の移動の軌跡をセンサパネル5上に表示している例を示したが、本実施の形態にかかる映像表示システムでは、プロジェクタを用いてセンサパネル5の近傍に設けられたスクリーンや壁に人の移動の軌跡を投影してもよい。また、センサパネル5の近傍に設けられたディスプレイパネルに人の移動の軌跡を表示してもよい。また、センサパネル5から遠方に設けられたスクリーンや壁に人の移動の軌跡を投影してもよく、センサパネル5から遠方に設けられたディスプレイパネルに人の移動の軌跡を表示してもよい。
【0032】
<応用例2:運動量表示>
図6は、本実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図であり、センサパネル5の上を人が移動した際、表示装置9が人の運動量に対応した情報をセンサパネル5に表示する例を示している。
【0033】
図6に示すように、センサパネル5の上を人が移動すると、人の足によってセンサパネル5が踏まれて、各々の検出セル10が圧力を検出する。処理装置8は、各々の検出セル10で検出された圧力に基づいて、センサパネル5の上を移動している人の動きを特定する。このとき処理装置8は、人の動きを継続的に特定することで求めた人の移動距離を用いて、人の運動量を算出することができる。また、処理装置8は、人がセンサパネル5の上を移動した際に人が検出セル10を踏んだ回数(すなわち、人が検出セル10を踏んだ回数の積算値)を用いて人の運動量を算出してもよい。また、処理装置8は、上述のようにして求めた人の移動距離と人が検出セル10を踏んだ回数とを用いて、人の運動量を算出してもよい。表示装置9は、このようにして求めた運動量に対応した情報をセンサパネル5上に表示する。
【0034】
図6に示す例では、処理装置8は複数の人の運動量を算出している。そして、表示装置9は、複数の人のうち最も運動量が多い人を特定するための情報224をセンサパネル5上に表示している。ここで、符号220は、Aさんの移動の軌跡を示しており、このときの移動距離はAさんの運動量に対応している。足222はAさんの現在の位置を示している。また、符号221は、Bさんの移動の軌跡を示しており、このときの移動距離はBさんの運動量に対応している。足223はBさんの現在の位置を示している。
図6に示す例では、Aさんの運動量(符号220に対応)のほうがBさんの運動量(符号221に対応)よりも多いので、表示装置9は、Aさんを特定するための情報224(
図6に示す例では円状のマーク)を表示している。
【0035】
図6に示す例では、AさんとBさんの2人が運動量を競い合うゲームを行っている例を示している。
図6に示す例では、所定の時間内におけるAさんとBさんの運動量を測定し、その結果、Aさんのほうが運動量が多いので、Aさんが勝者であることを示す情報(円状のマーク)224をセンサパネル5に表示している。
【0036】
また、上述した応用例2では、空間における人の動き(空間情報)を検出するセンサ(カメラ、赤外線センサ、静電容量センサ等)を更に用いて人の動きを検出してもよい。例えば、取得した空間情報を用いて、人の上半身の運動量を求めて、この上半身の運動量をセンサパネル5から求めた運動量に加算してもよい。
【0037】
なお、
図6では、人の運動量に対応した情報をセンサパネル5上に表示している例を示したが、本実施の形態にかかる映像表示システムでは、プロジェクタを用いてセンサパネル5の近傍に設けられたスクリーンや壁に運動量に対応した情報を投影してもよい。また、センサパネル5の近傍に設けられたディスプレイパネルに運動量に対応した情報を表示してもよい。また、センサパネル5から遠方に設けられたスクリーンや壁に運動量に対応した情報を投影してもよく、センサパネル5から遠方に設けられたディスプレイパネルに運動量に対応した情報を表示してもよい。
【0038】
例えば、運動量を競い合うゲームでは、
図7に示すように、センサパネル5の近くに設置されたディスプレイパネルに各人の運動量をリアルタイムに表示するようにしてもよい。このように、ディスプレイパネルに各人の運動量をリアルタイムに表示することで、ゲームを実施している各人が現在の自分の運動量を把握することができ、ゲームの魅力を高めることができる。
【0039】
また、
図6では、AさんとBさんのうち最も運動量が多い人を特定するための情報224をセンサパネル5上に表示した例を示したが、例えば、表示装置9は、複数の人の運動量と、複数の人の運動量に応じた順位を特定するための情報とを表示するようにしてもよい。例えば、3人で運動量を競い合うゲームを行う場合は、表示装置9は、各人の運動量と、各人の運動量に応じた順位(この場合は、1位から3位まで)を特定するための情報とを表示するようにしてもよい。
【0040】
この場合も、表示装置9は、運動量や順位をセンサパネル5上に表示してもよく、プロジェクタを用いてセンサパネル5の近傍に設けられたスクリーンや壁に投影してもよく、センサパネル5の近傍に設けられたディスプレイパネルに表示してもよい。また、センサパネル5から遠方に設けられたスクリーンや壁に運動量や順位を投影してもよく、センサパネル5から遠方に設けられたディスプレイパネルに運動量や順位を表示してもよい。
【0041】
また、処理装置8は、複数の人の運動量を算出し、センサパネル5上の領域ごとに運動量を積算するようにしてもよい。そして、表示装置9は、センサパネル5上の領域ごとに積算された運動量と、当該運動量に応じたセンサパネル5上の領域ごとの順位を特定するための情報とを表示するようにしてもよい。
【0042】
例えば、センサパネル5上の領域を4つに分割し、この4つの領域の各々に人を配置し、4つの領域ごとに運動量を競い合うようにしてもよい。この場合、各々の領域に配置される人は1人であってもよく、複数人であってもよい。各々の領域に複数の人を配置した場合は、領域ごとのチーム対抗でゲームを行うことができる。
【0043】
この場合も、表示装置9は、センサパネル5上の領域ごとの運動量や順位をセンサパネル5上に表示してもよく、プロジェクタを用いてセンサパネル5の近傍に設けられたスクリーンや壁に投影してもよく、センサパネル5の近傍に設けられたディスプレイパネルに表示してもよい。また、センサパネル5から遠方に設けられたスクリーンや壁にセンサパネル5上の領域ごとの運動量や順位を投影してもよく、センサパネル5から遠方に設けられたディスプレイパネルにセンサパネル5上の領域ごとの運動量や順位を表示してもよい。
【0044】
<応用例3:対象物と連動して表示>
図8は、本実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図であり、センサパネル5の上に表示された対象物225と人の足226の移動とを連動させて表示する例を示している。
【0045】
具体的に説明すると、表示装置9は、センサパネル5上に対象物225の映像を表示する。そして、対象物225が表示されているセンサパネル5の座標と対応する位置に人が移動したことを処理装置8が検知した場合、表示装置9は、人の移動方向と対応する方向に対象物225の映像を移動させる。
【0046】
図8に示す例では、対象物225はボールであり、プレーヤの足226が対象物225の座標と対応する位置に移動した際に、表示装置9はプレーヤの足226の移動方向に対象物(ボール)225を移動させる。
【0047】
例えば、処理装置8は、対象物225の移動方向と移動速度の情報(対象物225の移動ベクトル)を保持している。また、処理装置8は、センサパネル5の出力を用いて、プレーヤの足226の移動方向と移動速度の情報(足226の移動ベクトル)を算出している。そして、処理装置8は、対象物225の移動ベクトルと足226の移動ベクトルとを合成することで、対象物225の移動方向と移動速度を求めることができる。このとき処理装置8は、対象物225の近くでプレーヤの足226がタイミングよく踏み込まれた場合に、対象物225の移動ベクトルと足226の移動ベクトルとを合成するようにしてもよい。表示装置9は、処理装置8で求められた対象物225の移動方向と移動速度に応じて、対象物225の表示位置を移動させる。
【0048】
また、表示装置9が対象物225の映像を移動させる際に、所定の効果音を鳴らすようにしてもよい。
図8に示す例では、対象物225がボールであるので、ボールを蹴る音を効果音として鳴らしてもよい。
【0049】
例えば、
図8に示す例では、2人のプレーヤが対象物(ボール)225を蹴り合って、勝敗を決めるような対戦型のゲーム(サッカーやエアホッケーのようなゲーム)としてもよい。
【0050】
<応用例4:人の移動方向に連動させて広告を表示>
図9は、本実施の形態にかかる映像表示システムの応用例を説明するための図であり、人の移動方向に広告等の所定の情報を表示する例を示している。
【0051】
図9に示すように、センサパネル5の上を人が移動すると、人の足によってセンサパネル5が踏まれて、各々の検出セル10が圧力を検出する。処理装置8は、各々の検出セル10で検出された圧力に基づいて、センサパネル5の上を移動している人の移動方向231、236を特定する(移動方向231は通行人Aの移動方向であり、移動方向236は通行人Bの移動方向である)。このとき処理装置8は、人の移動方向を継続的に特定することで、人の現在の位置をリルタイムに把握することができる。
【0052】
そして、表示装置9は、通行人Aの現在の位置230から移動方向231に向かって所定の距離(符号232で示す)離れた位置に広告などの所定の情報233を表示する。同様に、表示装置9は、通行人Bの現在の位置235から移動方向236に向かって所定の距離(符号237で示す)離れた位置に広告などの所定の情報238を表示する。
【0053】
ここで、所定の距離232、237は、通行人A、Bがセンサパネル5に表示されている情報233、238を視認することができる程度の距離である。例えば、所定の距離232、237が離れすぎている場合は、通行人A、Bが情報233、238を視認することが困難になる。一方、所定の距離232、237が近すぎる場合は、通行人A、Bが情報233、238を見るために歩行中にうつむく必要があり、歩行に危険が伴うことになる。したがって、所定の距離232、237は、このような点を考慮して、適切な距離に設定する必要がある。
【0054】
また、表示装置9は、通行人A、Bの移動に連動して、つまり通行人A、Bに追従するように情報233、238を移動させる。このとき、表示装置9は、各々の通行人A、Bの移動速度と同一の速度で各々の情報233、238を移動させることが好ましい。
【0055】
図9に示す例では、各々の通行人A、Bの移動方向231、236を求め、この移動方向231、236に向かって所定の距離離れた位置に所定の情報を表示している。よって、各々の通行人A、Bが視認することができる位置に、適切に情報233、238を表示することができる。
図9に示す例では、通行人A、Bの移動方向が任意の方向であり、特定の方向ではない。本実施の形態では、このように通行人A、Bの移動方向が定まっていない場所などにおいて、各々の通行人の移動方向に応じて適切に情報を表示することができる。
【0056】
なお、
図9に示す例では、所定の情報233、238として広告を表示した場合を示したが、所定の情報233、238は、例えばナビゲーション情報であってもよい。すなわち、通行人A、Bを所定の場所に導くための情報であってもよい。
【0057】
また、本実施の形態では、情報233、238を表示する際に、情報233、238と関連する音声情報を流すようにしてもよい。例えば、情報233、238が広告である場合は、広告を表示する際に、当該広告と関連する音声情報を流してもよい。また、例えば、情報233、238がナビゲーション情報である場合は、ナビゲーション情報を表示する際に、当該ナビゲーション情報と関連する音声情報(音声ガイド)を流してもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、人の運動量に応じて情報233、238を変化させるようにしてもよい。人の運動量については、上述の応用例2で説明した場合と同様の方法で算出することができる。
【0059】
また、上述した応用例4では、空間における人の動き(空間情報)を検出するセンサ(カメラ、赤外線センサ、静電容量センサ等)を更に用いて人の動きを検出してもよい。例えば、取得した空間情報を用いて、人の視線の方向を求めて、この視線の方向に広告等の所定の情報を表示するようにしてもよい。
【0060】
なお、
図9では、広告等の所定の情報をセンサパネル5上に表示している例を示したが、本実施の形態にかかる映像表示システムでは、プロジェクタを用いてセンサパネル5の近傍に設けられたスクリーンや壁に広告等の所定の情報を投影してもよい。また、センサパネル5の近傍に設けられたディスプレイパネルに広告等の所定の情報を表示してもよい。このとき表示装置9は、人の移動方向に追従するように所定の情報を表示するようにしてもよい。また、例えば、空間における人の動き(空間情報)を検出するセンサを用いて取得した人の視線の方向が壁の方向を向いている場合は、壁に広告等の所定の情報を表示するようにしてもよい。
【0061】
表示装置9は、センサパネル5から遠方に設けられたスクリーンや壁に所定の情報を投影してもよく、センサパネル5から遠方に設けられたディスプレイパネルに所定の情報を表示してもよい。一例を挙げると、歩道を歩いている人の移動方向をセンサパネル5を用いて検出し、当該人の移動方向の前方に建っているビルのディスプレイ(遠方に設けられている)に、所定の情報として広告を表示してもよい。
【0062】
<その他の応用例>
本実施の形態では、例えばセンサパネル5の上を人が移動した際に、人が最も多く踏んだエリアを特定し、このエリアに特定の対象物を表示するようにしてもよい。例えば、人が最も多く踏んだエリアに虫や動物が集まるように映像を表示してもよい。この場合は、例えば処理装置8は、人の移動方向を特定するとともに、各々の検出セル10が踏まれた回数をカウントしておき、踏まれた数が所定の数よりも多い検出セル10を含むエリアに特定の対象物を表示する。
【0063】
なお、本実施の形態にかかる映像表示システムは、センサパネルの上を移動している人の移動方向を特定し、この特定された人の移動方向に応じて所定の情報を表示する映像表示システムであれば、上述した応用例以外にも適用することができる。
【0064】
以上で説明した本実施の形態にかかる映像表示システムは様々な分野に利用することができるので、利便性の高い映像表示システムを提供することができる。
【0065】
次に、センサパネル5を用いて人の動きを特定する方法について説明する。以下では、人の動きとして人の移動方向を特定する方法について説明する。
【0066】
<足を判定するためのアルゴリズム>
図10は、本実施の形態にかかる移動方向特定方法を説明するための図であり、検出領域が人の足に対応するか否かを判定する処理(アルゴリズム)を説明するための図である。
図10の上図に示すように、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、検出セル10は圧力を検出する。本願の図面では、圧力を検出した検出セル10をハッチングで示している。例えば、人の足によってセンサパネル5が踏まれて検出領域21が検出されると、処理装置8は検出領域21が人の足に対応するか否かを判定する。具体的には、処理装置8は、人の足に対応するか否かを判定するための基準値と検出領域21とを比較し、検出領域21が基準値の範囲内の場合、検出領域21が人の足に対応すると判定する。
図10の下図では、検出領域21が人の足に対応すると判定された領域を領域24で示している。
【0067】
ここで、人の足か否かを判定するための基準値は、例えば、人の足のサイズ(人の足長であり、靴の長さを含む)であり、処理装置8は、検出領域21の最も長い箇所の長さ(長手方向の長さ)が、人の足長の基準値の範囲内の場合、検出領域21が人の足に対応すると判定する。具体的には、足長の基準値は、最小値と最大値とを有し、検出領域21の長さが、足長の基準値の最小値以上で且つ足長の基準値の最大値以下の場合に、検出領域21が人の足に対応すると判定する。例えば、足長の基準値は、大人の足長を考慮して決定してもよく、また大人の足長に加えて子供の足長も考慮して決定してもよい。
【0068】
また、本実施の形態では、人の足か否かを判定するための基準値として、更に人の足幅(靴の幅を含む)を用いてもよい。人の足長に加えて、人の足幅を用いることで、より正確に人の足か否かを判定することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、人の足か否かを判定するための基準値として、更に人の足の面積(靴の面積を含む)を用いてもよい。人の足長と足幅に加えて、人の足の面積を用いることで、より正確に人の足か否かを判定することができる。なお、本実施の形態では、人の足長と人の足の面積とを用いて、人の足か否かを判定してもよい。
【0070】
上述した人の足か否かを判定するための基準値は、例えば処理装置8が備えるメモリに予め格納されている。
【0071】
図10に示す検出領域21は連続した領域となっているが、例えば
図10に示す検出領域22のように、検出領域22が複数の領域に分かれる場合もある。例えばハイヒールを履いてセンサパネル5を踏んだ場合は、踵部分とつま先部分とで検出領域22が分かれる。このような場合は、
図10の下図に示すように、検出領域22のうちの一方の領域の中心点26と他方の領域の中心点27との距離を求め、この距離が所定の基準値の範囲内か否かで人の足に対応するか否かを判定することができる。ここで、検出領域22のうち面積が小さい方の領域(中心点26を含む領域)が踵部分に対応し、面積が大きい方の領域(中心点27を含む領域)がつま先部分に対応している。つまり、
図10の検出領域22のように、検出領域22が複数の領域に分かれている場合は、踵部分の中心点26とつま先部分の中心点27との距離を用いて、人の足か否かを判定することができる。
図10の下図では、領域28が人の足に対応すると判定された領域を示している。検出領域22の場合、人の足か否かを判定するための基準値は、踵部分の中心点とつま先部分の中心点との距離となる。このような基準値は、処理装置8が備えるメモリに予め格納されている。
【0072】
<足の接地方向を決定するためのアルゴリズム>
次に、
図11を用いて人の足の接地方向を決定するためのアルゴリズムについて説明する。一般的に、人が歩くときは、踵から地面に着地し、その後、足全体が地面に接地し、その後、踵が上がり、つま先が地面から離れる。本実施の形態では、このような人の足の一連の動作を追跡することで、足の接地方向を決定している。以下、足の接地方向を決定するためのアルゴリズムについて具体的に説明する。
【0073】
図11(a)に示すように、センサパネル5に足の踵が着地すると、検出セル10は圧力を検出する。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点31(足の踵の位置に対応)である。その後、
図11(b)に示すように、更に足がセンサパネル5に接地すると、検出セル10が圧力を検出する領域が広くなる。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点32である。その後、
図11(c)に示すように、足全体がセンサパネル5に接地すると、検出セル10が圧力を検出する領域が更に広くなる。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点32である。その後、
図11(d)に示すように、足の踵が上がると、つま先のみがセンサパネル5に接地するので、検出セル10はつま先の圧力を検出する。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点32(つま先の位置に対応)である。
【0074】
本実施の形態では、
図11(a)~(d)の各々において圧力を検出した検出セル10の中心点32の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向を決定している。つまり、
図11(a)の中心点31(足の踵の位置に対応)に対する
図11(b)~(d)の中心点32の経時的な移動方向(矢印34で示す)を求めることで、人の足の接地方向を決定している。
【0075】
また、本実施の形態では、圧力を検出した検出セル10の中心点32の移動速度を用いて人の移動速度を求めてもよい。つまり、人の移動速度が速い場合は、圧力を検出した検出セル10の中心点32の移動速度も速くなる。逆に、人の移動速度が遅い場合は、圧力を検出した検出セル10の中心点32の移動速度も遅くなる。本実施の形態では、このように、圧力を検出した検出セル10の中心点32の移動速度を求めることで、人の移動速度を求めることができる。
【0076】
<人の移動方向を特定するためのアルゴリズム>
次に、人の移動方向を特定するためのアルゴリズムについて説明する。
図12は、本実施の形態にかかる移動方向特定方法を説明するためのフローチャートである。
図13は、本実施の形態にかかる移動方向特定方法を説明するための図である。
【0077】
人の移動方向を特定する際は、まず、
図12に示すように、検出セル10が圧力を検出したか否かを判定する(ステップS1)。検出セル10が圧力を検出しない場合は(ステップS1:No)、ステップS1の動作を繰り返す。一方、
図13(a)に示すように、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、検出セル10は圧力を検出する。検出セル10が圧力を検出した場合は(ステップS1:Yes)、圧力を検出した検出領域40(ハッチングで示す領域。以下、同様)が人の足に対応するか否かを判定する(ステップS2)。圧力を検出した検出領域40が人の足に対応しない場合は(ステップS2:No)、ステップS1からの動作を繰り返す。
【0078】
図13(a)に示す場合は、圧力を検出した検出領域40が人の足(
図13に示す例では左足)に対応するので(ステップS2:Yes)、処理装置8は、圧力を検出した検出領域40が人の足の領域43に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点41、42の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向44を決定する(ステップS3)。つまり、
図13(a)において中心点41は踵の位置に対応しており、中心点42は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点41)から足の中心の位置(中心点42)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向44を決定することができる。なお、
図13では、足の中心の位置(中心点42)を用いて足の接地方向44を決定している場合を示しているが、本実施の形態では、
図11で説明したように、足のつま先における中心点32を用いて、足の接地方向を決定してもよい。
【0079】
その後、再度、検出セル10が圧力を検出したか否かを判定する(ステップS4)。検出セル10が圧力を検出しない場合は(ステップS4:No)、ステップS1の処理に戻る。一方、検出セル10が圧力を検出した場合は(ステップS4:Yes)、この圧力の検出が同一人の他方の足によるものか否かを判定する。具体的には、処理装置8は、
図13(b)の検出領域40とは異なる領域であって、検出領域40を基準として所定の範囲内において検出セル10が圧力を検出したか否かを判定する。つまり、同一人による足跡は所定の範囲内に収まるため、検出領域40を基準として所定の範囲内において検出セル10が圧力を検出したか否かを判定することで、この圧力の検出が同一人によるものか否かを判定することができる。
【0080】
図13(b)に示す場合は、検出領域45は、検出領域40を基準として所定の範囲内にあるため、次に、処理装置8は、検出領域45が人の足に対応するか否かを判定する(ステップS5)。
図13(b)に示す場合は、圧力を検出した検出領域45が人の足(
図13に示す例では右足)に対応するので(ステップS5:Yes)、処理装置8は、圧力を検出した検出領域45が人の足の領域48に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点46、47の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向49を決定する(ステップS6)。つまり、
図13(b)において中心点46は踵の位置に対応しており、中心点47は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点46)から足の中心の位置(中心点47)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向49を決定することができる。
【0081】
その後、ステップS3で求めた足(左足)の移動方向44と、ステップS6で求めた足(右足)の移動方向49と、を用いて人の移動方向d1を特定する(ステップS7)。具体的には、移動方向44と移動方向49とを合成することで、人の移動方向d1を特定することができる。以降、
図12のステップS1~S7の動作を繰り返すことで、人の移動方向をリアルタイムに特定することができる。
【0082】
図13(c)に示すように、その後、人の足がセンサパネル5を踏むと、検出セル10は圧力を検出する。この場合、圧力を検出した検出領域50は、人の足(
図13(c)に示す例では左足)に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域50が人の足の領域53に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点51、52の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向54を決定する。つまり、
図13(c)において中心点51は踵の位置に対応しており、中心点52は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点51)から足の中心の位置(中心点52)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向54を決定することができる。その後、検出領域45の接地方向49と検出領域50の接地方向54とを用いて、人の移動方向d2を特定する。具体的には、移動方向49と移動方向54とを合成することで、人の移動方向d2を特定することができる。
【0083】
更に、
図13(d)に示すように、その後、人の足がセンサパネル5を踏むと、検出セル10は圧力を検出する。この場合、圧力を検出した検出領域55は、人の足(
図13(d)に示す例では右足)に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域55が人の足の領域58に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点56、57の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向59を決定する。つまり、
図13(d)において中心点56は踵の位置に対応しており、中心点57は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点56)から足の中心の位置(中心点57)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向59を決定することができる。その後、検出領域50の接地方向54と検出領域55の接地方向59とを用いて、人の移動方向d3を特定する。具体的には、移動方向54と移動方向59とを合成することで、人の移動方向d3を特定することができる。
【0084】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる発明では、人の移動方向を特定する際に、人の一方の足の接地方向44(
図13参照)と他方の足の接地方向49とを用いて人の移動方向d1を特定している。このように、本実施の形態かかる発明では、複数の足の接地方向を用いて人の移動方向を特定しているので、人の移動方向を正確に特定することができる。
【0085】
なお、上記では人の2つの足の接地方向44、49を用いて人の移動方向d1を特定する場合について説明したが、本実施の形態にかかる発明では、人の移動方向を特定する際に3つ以上の足の接地方向を用いてもよい。例えば、
図13に示した例において、検出領域40における足の接地方向44、検出領域45における足の接地方向49、及び検出領域50における足の接地方向54(3歩分の足の接地方向)を用いて、人の移動方向を特定してもよい。
【0086】
<人の移動方向の変化を検出するためのアルゴリズム>
次に、人の移動方向の変化を検出するためのアルゴリズムについて、
図14を用いて説明する。なお、各々の足の接地方向を決定するアルゴリズムについては、
図13で説明した場合と基本的には同様である。
【0087】
図14(a)に示すように、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、検出セル10は圧力を検出する。検出セル10が圧力を検出した場合、圧力を検出した検出領域60が人の足に対応するか否かを判定する。
図14(a)に示す場合は、圧力を検出した検出領域60が人の足(
図14に示す例では左足)に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域60が人の足の領域63に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点61、62の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向64を決定する。つまり、
図14(a)において中心点61は踵の位置に対応しており、中心点62は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点61)から足の中心の位置(中心点62)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向64を決定することができる。
【0088】
次に、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、処理装置8は、圧力を検出した検出領域65が人の足に対応するか否かを判定する。
図14(a)に示す場合は、圧力を検出した検出領域65が人の足(
図14に示す例では右足)に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域65が人の足の領域68に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点66、67の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向69を決定する。つまり、
図14(a)において中心点66は踵の位置に対応しており、中心点67は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点66)から足の中心の位置(中心点67)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向69を決定することができる。
【0089】
処理装置8は、検出領域60における足の接地方向64と検出領域65における足の接地方向69とを用いて、人の移動方向d4を特定する。具体的には、移動方向64と移動方向69とを合成することで、人の移動方向d4を特定することができる。
【0090】
その後、
図14(b)に示すように、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、処理装置8は、圧力を検出した検出領域70が人の足に対応するか否かを判定する。
図14(b)に示す場合は、圧力を検出した検出領域70が人の足(
図14に示す例では左足)に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域70が人の足の領域73に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点71、72の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向74を決定する。つまり、
図14(b)において中心点71は踵の位置に対応しており、中心点72は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点71)から足の中心の位置(中心点72)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向74を決定することができる。
【0091】
ここで、検出領域65における足の接地方向69と検出領域70における足の接地方向74とを比較すると、検出領域70における足の接地方向74は、検出領域65における足の接地方向69に対して角度αだけ方向が変化している。この場合、処理装置8は、検出領域65における足の接地方向69に対する、検出領域70における足の接地方向74の角度αが所定の基準角度の範囲内であるので、人の移動方向が変化したと判定する。なお、所定の基準角度とは、人の移動方向の変化を検出するための基準角度であり、任意に決定することができる。例えば、人の歩行状態を考慮すると、所定の基準角度は、5度~80度、及び-5度~-80度とすることができる。足の接地方向の変化を示す角度αが5度~80度の範囲内である場合は、人の移動方向が進行方向左側に変化したと判定することができる(
図14(b)参照)。一方、足の接地方向の変化を示す角度αが-5度~-80度の範囲内である場合は、人の移動方向が進行方向右側に変化したと判定することができる。
【0092】
その後、
図14(c)に示すように、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、処理装置8は、圧力を検出した検出領域75が人の足に対応するか否かを判定する。
図14(c)に示す場合は、圧力を検出した検出領域75が人の足(
図14に示す例では右足)に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域75が人の足の領域78に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点76、77の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向79を決定する。つまり、
図14(c)において中心点76は踵の位置に対応しており、中心点77は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点76)から足の中心の位置(中心点77)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向79を決定することができる。
【0093】
処理装置8は、検出領域70における足の接地方向74と検出領域75における足の接地方向79とを用いて、移動方向が変化した後の人の移動方向d5を特定する。具体的には、移動方向74と移動方向79とを合成することで、移動方向が変化した後の人の移動方向d5を特定することができる。
【0094】
以上で説明した処理により、人の移動方向の変化を検出することができる。
【0095】
<立ち止まっている人の向きを検出するためのアルゴリズム>
次に、立ち止まっている人の向きを検出するためのアルゴリズムについて、
図15を用いて説明する。
図15(a)に示すように、人の左足の踵によってセンサパネル5が踏まれると、検出セル10は圧力を検出する。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点81(左足の踵の位置に対応)である。その後、
図15(b)に示すように、人の左足の全体がセンサパネル5に接地すると、検出セル10が圧力を検出する領域が広くなる。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点82である。処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点81、82の経時的な移動方向に基づいて左足の接地方向84を決定する。
【0096】
その後、
図15(c)に示すように、人の右足の踵によってセンサパネル5が踏まれると、検出セル10は圧力を検出する。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点86(右足の踵の位置に対応)である。その後、
図15(d)に示すように、人の右足の全体がセンサパネル5に接地すると、検出セル10が圧力を検出する領域が広くなる。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点87である。処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点86、87の経時的な移動方向に基づいて右足の接地方向89を決定する。また、処理装置8は、左足の接地方向84と右足の接地方向89とを用いて、人の移動方向d6を特定する。
【0097】
ここで、人が立ち止まってその場で足踏みをする場合は、片足を上げた後、この上げた片足のつま先から着地することが多い。このような場合は、
図15(e)に示すように、人が左足を上げて左足がセンサパネル5から離れた後、
図15(f)に示すように、人の左足のつま先によってセンサパネル5が踏まれて検出セル10が圧力を検出する。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点91(左足のつま先の位置に対応)である。その後、
図15(g)に示すように、人の左足の全体がセンサパネル5に接地すると、検出セル10が圧力を検出する領域が広くなる。このとき圧力を検出している検出セル10の中心点は、中心点92である。処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点91、92の経時的な移動方向に基づいて左足の接地方向94を決定する。
【0098】
また、処理装置8は、右足の接地方向89と左足の接地方向94とを比較し、右足の接地方向89に対して左足の接地方向94が略逆向きである場合、人が立ち止まったと判定する。ここで、略逆向きとは、踵からつま先の順に接地した一方の足の接地方向に対して、つま先から踵の順に設置した他方の足の接地方向が、人の足の構造を考慮して略逆を向いている場合を意味している。例えば、略逆向きの範囲は、一方の足の接地方向を0度とした場合、他方の足の接地方向の範囲が90度~270度とすることができる。
【0099】
その後、処理装置8は、右足の接地方向89と、左足の接地方向94を反転した方向と、を用いて、人が向いている方向d7を特定する。
【0100】
図15に示した例では、人が立ち止まってその場で足踏みをする場合は、片足を上げた後、この上げた片足のつま先から着地することが多いという性質を利用して、人が立ち止まっている状態を検出している。よって、人が立ち止まっているか否かを正確に判定することができる。また、人が立ち止まっている場合には、つま先から着地した足の接地方向を反転させて、人が向いている方向を特定している。よって、立ち止まっている人の向きを正確に特定することができる。
【0101】
<センサパネルの上の人を区別するためのアルゴリズム>
次に、センサパネル5の上に存在する人を区別するためのアルゴリズム(人数をカウントするためのアルゴリズムにも対応)について、
図16を用いて説明する。
図16(a)に示すように、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、検出セル10は圧力を検出する。検出セル10が圧力を検出した場合、圧力を検出した検出領域100が人の足に対応するか否かを判定する。
図16(a)に示す場合は、圧力を検出した検出領域100が人の足に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域100が人の足の領域103に対応すると判定する。また、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点101、102の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向104を決定する。つまり、
図16(a)において中心点101は踵の位置に対応しており、中心点102は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点101)から足の中心の位置(中心点102)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向104を決定することができる。
図16(a)に示す例では、他に圧力を検出した検出領域がないので、処理装置8は、センサパネル5の上に存在する人を1人としてカウントする。
【0102】
その後、人の足によってセンサパネル5が踏まれると、処理装置8は、圧力を検出した検出領域105が人の足に対応するか否かを判定する。
図16(b)に示す場合は、圧力を検出した検出領域105が人の足に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域105が人の足の領域108に対応すると判定する。その後、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点106、107の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向109を決定する。つまり、
図16(b)において中心点106は踵の位置に対応しており、中心点107は足の中心の位置に対応している。よって、足の踵の位置(中心点106)から足の中心の位置(中心点107)への経時的な移動方向を求めることで、足の接地方向109を決定することができる。
【0103】
処理装置8は、圧力を検出した検出領域100と圧力を検出した検出領域105とが同一人の足によるものか否かを判定する。つまり、同一人による足跡は所定の範囲内に収まるため、検出領域100を基準として検出領域105が所定の範囲内であるか否かを判定する。
図16(b)に示す場合は、検出領域100を基準として検出領域105が所定の範囲内であるため、処理装置8は、検出領域100と検出領域105とが同一人の足によるものであると判定する。処理装置8は、検出領域100と検出領域105とをグルーピングし、グルーピングされた検出領域100、105を一人分としてカウントすることで、センサパネル5の上に存在する人の数を把握することができる。
図16(b)に示す例では、検出領域100、105以外に圧力を検出した検出領域がないので、処理装置8は、センサパネル5の上に存在する人を1人としてカウントする。
【0104】
なお、
図16(c)に示すように、検出領域100と検出領域110とが所定の範囲内にある場合であっても、検出領域100と検出領域110とが同一人の足によるものではない場合がある。このような場合、処理装置8は、検出領域110が人の足の領域113に対応すると判定した後、圧力を検出した検出セルの中心点111、112の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向114を決定する。そして、検出領域100の足の接地方向104と検出領域110の足の接地方向114とに基づいて、検出領域100と検出領域110とが同一人の足によるものか否かを判定する。
【0105】
例えば、処理装置8は、2つの検出領域の足の接地方向が所定の範囲内(例えば、0度~90度の範囲内)の場合に、同一人の足によるものであると判定することができる。
図16(b)に示す場合は、検出領域100の接地方向104と検出領域105の接地方向109とが所定の範囲内(平行なので0度)であるので、処理装置8は、検出領域100と検出領域105とが同一人の足によるものであると判定する。一方、
図16(c)に示す場合は、検出領域100の足の接地方向104と検出領域110の足の接地方向114とが、所定の範囲内にないので(つまり、90度よりも大きい)、処理装置8は、検出領域100と検出領域110とが同一人の足によるものではないと判定する。よって、
図16(b)に示す場合は、センサパネル5の上に存在する人数を1人とカウントし、
図16(c)に示す場合は、センサパネル5の上に存在する人数を2人とカウントする。
【0106】
また、
図16(d)に示すように、グルーピングされた検出領域100、105の他に新たに検出領域115が検出された場合、処理装置8は、圧力を検出した検出領域115が人の足に対応するか否かを判定する。
図16(d)に示す場合は、圧力を検出した検出領域115が人の足に対応するので、処理装置8は、圧力を検出した検出領域115が人の足の領域118に対応すると判定する。また、処理装置8は、圧力を検出した検出セルの中心点116、117の経時的な移動方向に基づいて足の接地方向119を決定する。
図16(d)に示す例では、検出領域100、105と検出領域115とが離れており、また検出領域100、105の接地方向104、109と検出領域115の接地方向119とが所定の範囲内にないので、検出領域100、105と検出領域115とが異なる人物によるものであると判断し、センサパネル5の上に存在する人数を2人とカウントする。このような処理を実施することで、センサパネルの上に存在する人を区別することができる。
【0107】
<検出領域の事前処理>
図17は、本実施の形態にかかる移動方向特定方法における事前処理を説明するための図である。
図17に示すように、センサパネル5には、複数の検出セル10が行方向及び列方向にマトリックス状に配置されている。各々の検出セル10は、センサピッチ以上の解像度で圧力を検出することができない。このため、
図17では、各々の検出セル10の1つ当たりの解像度を擬似的に拡張することで、検出領域を拡張している。
【0108】
つまり、
図17に示す事前処理では、
図17の上図に示す各々の検出セル10で検出した検出領域121、122を、
図17の下図に示すように拡張している。具体的には、各々の検出セル10で検出した検出領域を、同心円状123に拡張している。そして、拡張された各々の検出領域を用いて、人の足に対応する領域124、125を特定している。
【0109】
このように検出領域を拡張することで、人の足に対応する領域の判定処理を高精度で行うことができる。また、検出領域を拡張しない場合はセンサピッチに応じた解像度となるため、検出結果は離散的な検出結果となるが、
図17に示すように、各々の検出領域を拡張することで、より精密な検出結果が得られるようになる。また、各々の検出領域を拡張することで、人の足のサイズに比べて各々の検出セル10のピッチが大きい場合であっても、足の接地方向や人の移動方向を判定することができる。よって、人の足の大きさと同等の領域を検出対象とすることができるようになる。
【0110】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0111】
1 映像表示システム
5 センサパネル
8 処理装置
9 表示装置
10 検出セル
11 基板
12、13 下部電極
14 上部電極
15 フィルム
17 スペーサ