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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】放射線防護衝立て
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20220427BHJP
   E04B 1/92 20060101ALI20220427BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
G21F3/00 S
E04B1/92
E04B2/74 561H
E04B2/74 561L
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018541568
(86)(22)【出願日】2016-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 FR2016052881
(87)【国際公開番号】W WO2017077259
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-11-06
(31)【優先権主張番号】1560606
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】521396282
【氏名又は名称】アポディス
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラデ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】コータイス,ユーグ
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-275610(JP,A)
【文献】実公昭35-016898(JP,Y1)
【文献】特表2005-523437(JP,A)
【文献】実公昭34-005100(JP,Y1)
【文献】特開2000-187094(JP,A)
【文献】特開2003-325505(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 3/00
E04B 1/92
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの主面(2、3)を含む放射線防護衝立て(1)であって、当該衝立て(1)を強固にして各側にパネル(5、6)を保持する枠組み(4)を備え、前記パネル(5、6)の一つ(5)が放射線防護性であることを特徴とするものであって、
前記衝立て(1)が、前記衝立て(1)の縁部を形成し二つのパネル(5、6)の周縁部を覆う周辺ケーシング(26)を備え、前記周辺ケーシング(26)が、前記二つのパネル(5、6)の下側の周縁部を覆うスカートボード(30)を備えており、前記スカートボードは、前記衝立て(1)を移動可能にさせるホイール(31)に固定されており、また前記衝立てが、前記スカートボード(30)に固定される基部(32)であって、前記ホイール(31)を取り囲んでいる基部(32)を備えることを特徴とする、放射線防護衝立て。
【請求項2】
前記枠組み(4)が、部分品(9、10、11、12、13)の組み立て体により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の放射線防護衝立て(1)。
【請求項3】
各部分品(9、10、11、12、13)が概ねU字形の形態を有し、当該部分品の各側方分岐部が前記パネル(5、6)を保持することを特徴とする、請求項2に記載の放射線防護衝立て(1)。
【請求項4】
放射線防護グレージング(17)を備えていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の放射線防護衝立て(1)。
【請求項5】
前記基部(32)が、前記スカートボード(30)と前記枠組み(4)とに接続された水平の上側の壁(33)と、当該上側の壁(33)から吊り下がって前記ホイール(31)を取り囲む4つの鉛直側壁(34)とを備えていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の放射線防護衝立て(1)。
【請求項6】
前記基部(32)が、放射線防護フィルムを備えることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の放射線防護衝立て(1)。
【請求項7】
前記基部(32)の前記放射線防護フィルムと、放射線防護パネル(5)の放射線防護フィルムとは、放射線防護の連続性を保証するように配置されていることを特徴とする、請求項に記載の放射線防護衝立て(1)。
【請求項8】
棚が、非放射線防護パネル側(6)で枠組み(4)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の放射線防護衝立て(1)。
【請求項9】
前記枠組み(4)が、外部部分品(9、10、11)と内部部分品(12、13)とを備え、前記パネル(5、6)が、少なくとも前記内部部分品を覆うことを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の放射線防護衝立て。
【請求項10】
互いに接続されたまたは結合可能な少なくとも二つの衝立てを備え、そのうちの少なくとも一つが請求項1~のいずれか一項に記載のものであるシステム。
【請求項11】
前記衝立てが、少なくとも一つの蝶番の手段によって結合されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線防護衝立てに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、放射線防護衝立てを使用して、電離放射線を放射する構成要素から人を分離し、その人をこうした放射線から防護する。
【0003】
この目的のために、放射線防護衝立ては、放射線防護シート(典型的には鉛シート)で被覆されたパネルを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、衝立ての剛性は、パネルのみに由来し、放射線防護シートを穿孔しないようするため、それには何も取り付けることができない。加えて、可動衝立ての場合、高さが概して約15cmに等しいホイール位置での放射線防護は存在しない。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決することを目的とし、詳細には衝立てへの対象物の取付けを、放射線防護シートを変更せずに可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、放射線防護衝立ては二つの主面を備えたものであり、衝立てを強固にしてそれぞれの側でパネルを保持する枠組みを備え、パネルの一方が放射線防護性を有することを特徴とする。従って、本発明に係る衝立ては剛性の枠組みを備え、この枠組みは、一方の側では放射線防護パネルと、もう一方の側では、対象物に確実に固定することができるパネルとを保持しており、確実な固定は、対象物をその枠組みに固定することにより行う。典型的には、枠組みの厚さは約5cmである。
【0007】
第1の実施形態によれば、枠は部分品の組み立て体によって形成されている。結果として、枠組みの構造は特に軽量である。「部分品」とは、詳細には、長手軸に沿って好ましくは開いている長手構造、例えば「U」、「L」または「V」字形断面を有する構造を意味する。組み立てられた部分品はひとつに接続されて、衝立てを強固にする枠組みを形成する。
【0008】
より詳細には、枠組みは、外部部分品と内部部分品とを備え、前記部分品は少なくとも内部部分品を覆っている。
【0009】
第1の実施形態の第1の変形形態によると、各部分品はステンレス鋼製である。結果として、枠組みはステンレス鋼製である。
【0010】
第1の実施形態の第2の変形形態によると、各部分品は、概ねU字形の形態を有しており、各側部パネルは衝立ての側部を保持する。したがって、これらの部分品の位置がわかると、対象物を、非放射線防護側を支持する側部パネルに取り付けることが可能である。
【0011】
第1の実施形態の第3の変形形態によれば、部分品の組み立て体は、衝立ての外側限界を形成する外枠を備えている。
【0012】
第1の実施形態の第1に優先される第3の変形形態によると、外枠を構成する部分品が概ねU字形の形態を有する場合、それらの部分品は、U字の中央の分岐部が衝立ての内側に配置されるような向きをとる。結果として、外枠の縁部は、Uの開口部によって形成されている。
【0013】
第1の実施形態の第2に優先される第3の変形形態によると、部分品の組み立て体は、外枠の二つの鉛直部分品の一方から他方に延びた、少なくとも一つの水平部分品を備えている。有利には、部分品の組み立て体は、二つの平行な鉛直部分品を備え、これらの部分品は、二つの隣接する水平部分品の間に延びている。結果として、二つの隣接する水平部分品と、二つの平行な鉛直部分品とが、枠組みにおける矩形の枠を画定する。
【0014】
第2の実施形態によれば、非放射線防護パネルは、枠組みに固定された内側パネルと、内側パネルを覆う外側パネルとを備えている。典型的には、内側パネルの厚さは約12から16mmであり、外側パネルの厚さは約1から2mmである。
【0015】
第2の実施形態の第1の変形形態によれば、内側パネルは合板、好ましくは、良好な湿度性状(CTBH)を有する合板である。
【0016】
第2の実施形態の第2の変形形態によると、外側パネルは積層パネルである。積層パネルは着色することができる。
【0017】
第2の実施形態の第3の変形形態によれば、放射線防護パネルは、枠組みに取り付けられた鉛シート(典型的には1から2mmの厚さ)と、鉛シートに取り付けられた非放射線防護パネルとを備えている。よって、放射線防護パネルは、枠組みに取り付けられた鉛シートと、鉛シートに取り付けられた内側パネルと、内側パネルに取り付けられた外側パネルとを含む。鉛シートは、その配置をとることによって放射線防護パネルの放射線防護性を提供する。
【0018】
第3の実施形態によれば、放射線防護衝立ては、放射線防護グレージング(glazing)を含む。典型的には、放射線防護グレージングは、いわゆる鉛グレージングである。したがって、各パネルは開口部を含み、その中に放射線防護グレージングが配置されている。
【0019】
第3の実施形態の第1の変形形態によると、放射線防護グレージングは、二つの平行な鉛直部分品と、第1の実施形態の第2に優先される第3の変形形態の有利なモードの二つの隣接する水平部分品とによって取り囲まれている。
【0020】
第3の実施形態の第2の変形形態によると、放射線防護衝立ては、二つのグレージングビード(glazing bead)を備え、各グレージングビードは、パネルと放射線防護グレージングとの接合部に配置されている。
【0021】
第3の実施形態の第2の変形形態の第1の利点によると、第1のグレージングビードは、L字形断面を有し、その一方の分岐部は、一方のパネルの開口部の周縁部を覆い、もう一方の分岐部は、枠組みに載っている。
【0022】
第3の実施形態の第2の変形形態の第2の利点によれば、単純な箱の形態をとる第2のグレージングビードは、放射線防護グレージングとパネルの開口部との周縁部を覆っている。
【0023】
第3の実施形態の第2の変形形態の第2の利点の有利な実施形態によると、第2のフロントガラスはさらなる放射線防護シートを覆っており、このシートは、放射線防護パネル内に形成された周辺溝の中に延びて放射線防護グレージングの周辺リムを覆い、このリム(rim)もまたその溝の中に配置されている。好ましくは、第2のグレージングビードは、周辺溝を取り囲むパネルの部分に(ネジにより)固定されている。
【0024】
第3の実施形態の第2の変形形態の第3の利点によれば、グレージングビードはアルミニウム製である。
【0025】
第4の実施形態によれば、放射線防護衝立ては、それを変位させることができるホイールを備えている。
【0026】
第4の実施形態の第1の変形形態によると、ホイールは鉛直軸に対して枢動する。結果として、衝立ての向きを変化させるのが容易になる。
【0027】
第4の実施形態の第2の変形形態によると、衝立ては、ホイールを取り囲む基部を備えている。
【0028】
第4の実施形態の第2の変形形態の第1の利点によると、放射線防護フィルム(典型的には鉛フィルム)が基部に確実に固定されており、これは、放射線防護パネルによってなされる放射線防護の連続性をホイールの高さで保証するためである。
【0029】
第4の実施形態の第2の変形形態の第2の利点によると、基部は、枠組みに接続された上側の壁と、上側の壁から吊り下がってホイールを取り囲む4つの側壁とを備えている。典型的には側壁は、最上壁から、ホイールを静止させている地面の近傍の距離(地面から約1cm)まで延びている。
【0030】
加えて、ホイールの位置での防護パネルとは異なり、基部が防護することによって、パネルのすぐ下の地面で反射され得る拡散放射線を制限することができる。
【0031】
第4の実施形態の第2の変形形態の第1に優先される第2の利点によると、放射線防護フィルムはまず、前面の側で延びた上側の壁の部分に沿って延びており、他方では、また前面の側に位置する側壁に沿って延びている。
【0032】
第4の実施形態の第2の変形形態の第2に優先される第2の利点によると、上側の壁と4つの側壁はステンレス鋼製である。
【0033】
第4の実施形態の第2の変形形態の第3に優先される第2の利点によると、スカートボード(skirting board)は、基部を枠組みに固定するように接続する。有利にはスカートボードは、基部と一体化して、鉛直上向きに延びている。
【0034】
第4の実施形態の第3の変形形態によると、衝立ては、衝立ての把持と移動を容易にするハンドルを備えている。有利にはハンドルは、衝立ての側縁部にあって中空である。
【0035】
第5の実施形態によれば、衝立ては、枠組みに固定され床に固定されるように構成されたスカートボードを備えている。有利にはスカートボードは、ステンレス鋼製であり、これは、衝立てがいったん設置されると受けるかもしれない可能性のある衝撃に耐えるためである。
【0036】
第6の実施形態によれば、衝立ては、外側限界を形成する周辺カバーを備えている。
【0037】
第6の実施形態の第1の変形形態によると、周辺ケーシングは、衝立ての2つの部分品の外周縁部を覆っている。
【0038】
第6の実施形態の第2の変形形態によれば、概ねU字形の形態を有する周辺ケーシングは、そのU字形の形態の各側部分岐部がパネルの外周縁部を覆い、そのU字形の形態の中央の分岐部が、対応する衝立ての縁部を形成する。
【0039】
第6の実施形態の第3の変形形態によれば、周辺ケーシングはアルミニウム製である。
【0040】
第7の実施形態によると、放射線防護性でないパネルは、枠に取り付けられたタブレットを保持している。有利には、タブレットは、枠に固定された固定部と、その固定部に連節された可動部とを備えている。この発明のその他の機能および利点は、非限定的な例によって与えられ添付図面に示される二つの実施例の詳細な説明に現れることになり、それらの添付図面において:
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】この発明に係る衝立ての第1の実施例の斜視図である;
図2図1の衝立ての枠の斜視図であり、枠組みの最下部でスカートボードが固定されている;
図3】この発明に係る衝立ての第2の実施例の斜視図である;
図4図3の衝立ての枠組みの斜視図であり、枠組みの最下部で、スカートボードおよび基部が固定されている;
図5図3の衝立ての防護グレージングの鉛直断面図である;
図6】グレージングビード位置での衝立ての部分の断面図である;
図7図3の衝立ての分解斜視図である;
図8】発明の変形形態によるシステムの透視図である;そして
図9】本発明にかかるシステムの中央の衝立ての透視図であり、
図10】本発明にかかるシステムの中央の衝立ての透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1および3に、この発明に係る放射線防護衝立て1の二つの実施例を斜視図で示す。
【実施例
【0043】
各放射線防護衝立て1は、二つの主面2、3を備え:前面2は、電離放射線を放射する線源側にあることが意図され、後面3は、電離放射線から防護する人の側にあることが意図されている。
【0044】
本発明によると、放射線防護衝立て1は、この衝立てを強固にして前部パネル2の側に前部パネル5を、そして後部パネル3の側に後部パネル6を保持する枠組み4を備えている。ここで、前部パネル5は、放射線防護パネルであり、後部パネル6は、非放射線防護パネルである。本実施例では、各放射線防護衝立て1は、高さが2メートル、幅が0.8メートルであり、後面3の前面2との間の距離は72ミリメートルである。
【0045】
放射線防護パネル5は、枠組み4に取り付けられた放射線防護シート7(典型的には、鉛シート)と、放射線防護シート7に取り付けられた非放射線防護パネル8(典型的には、後部パネル6と同一のパネル)とによって形成されている。放射線防護シート7の厚さは近似的に1から2ミリメートルである。
【0046】
非放射線防護後部パネル6と、前部放射線防護パネル5の部分を形成する非放射線防護パネル8とは、内側パネルと外側パネルを備えている。内側パネルは、鉛シート7(放射線防護前部パネル5の場合)に、または枠組み4(非放射線防護後部パネル6の場合)に取り付けられている。外側パネルは、内側パネルを覆う。典型的には内側パネルは、合板(好ましくは良好な湿度性状を有する合板)であり、その厚さは約12から16ミリメートルである。典型的には外側パネルは、積層パネルであり、その厚さは、約1から2ミリメートルである。
【0047】
枠組み4は、10分の12のステンレス鋼であって、部分品9、10、11、12、13の組み立て体によって形成されており、この組み立て体が、放射線防護衝立て1(各部分品はステンレス鋼製である)に強度と軽量性を与える。
【0048】
枠組み4は、10分の12のステンレス鋼であって、部分品9、10、11、12、13の組み立て体によって形成されており、この組み立て体が、放射線防護衝立て1(各部分品はステンレス鋼製)に強度と軽量性を与える。
【0049】
詳細には枠組み4は、外部部分品9、10、11、および内部部分品12、13を備えている。部分品5、6は、少なくとも内部部分品12、13を覆う。好ましくはこれらの内部部分品は、部分品5、6の間に配置されている。
【0050】
各部分品9、10、11、12、13は、概ねU字形の形態を有しており、その部分品の各側部パネルが、パネル5、6を保持する。ここでは、各側部パネルの幅は約20ミリメートルであり、中央の分岐部の幅は約50ミリメートルである。
【0051】
部分品9、10、11、12、13の組み立て体は、放射線防護衝立て1の外側境界を形成する矩形の外枠を備えている。この場合、この外枠は、二つの鉛直部分品9と、それら二つの鉛直部分品9を接続する二つの水平部分品10、11(二つの鉛直部分品9の上端の近くに位置する上側の水平部分品10、および二つの鉛直部分品9の下端の近くに配置される下側の水平部分品11)とを備えている。
【0052】
ここでは、外枠の鉛直部分品9はU字形の形態を有しており、各側方分岐部14は、ホイールベース15を保持し、このホイールベースは中央の分岐部16に平行であり、もう一方の側方分岐部14の反対側にある。中央の分岐部16は、放射線防護衝立て1の内部に配置されており、したがって外枠の縁部は、U字の開口部により形成されている。各ホイールベース15は、幅が約10ミリメートルである。
【0053】
部分品9、10、11、12、13の組み立て体はまた、外枠の二つの鉛直部分品9の一方からもう一方に延びた少なくとも一つの内部水平部分品12(ここでは4つの内部水平部分品12)を備えている。
【0054】
本実施例では、全ての水平部分品10、11、12(外枠のものを含む)のU字の中央の分岐部は、中央の分岐部の主要部を形成するように互いに整列した二つの水平の壁によって形成されており、これらの二つの水平の壁は、中央のU字形接続部分によって互いに接続されている。中央のU字形部分は、中央の分岐部と二つの側方分岐部とを備えている。U字形中央結合部分の中央の分岐部は、U字の水平部分品10、11、12の中央の分岐部の主要部を形成する二つの水平の壁に平行である。中央の結合部分の二つの側方分岐部は互いに、そしてU字の水平部分品10、11、12の二つの側方分岐部に並行である。各水平の壁は、第1の方向に延びた水平部分品10、11、12のUの側方分岐部を一端で、そして第1の方向とは反対の第2の方向に延びた中央の接続部分の側方分岐部を第2の端で保持する。
【0055】
部分品9、10、11、12、13の組み立て体はまた、二つの隣接する内部水平部分品12の間に延びた2つの平行な内部鉛直部分品13を備えている。本実施例では、二つの内部鉛直部分品13は、U字形を有し、それらの長手端のそれぞれにおいて、接続壁を有し、この接続壁は、内部鉛直部分品13の中央の分岐部によって保持され、内側の鉛直部分品13の側方分岐部の方向とは反対の方向を向いている。二つの内部鉛直部分品の二つの接続壁13により、これら二つの部分品13を二つの隣接する内部水平部分品12に固定することができる。結果として、二つの隣接する内部水平部分品12と二つの内部鉛直部分品13が、枠組み4内の矩形の枠を画定する。
【0056】
パネル5、6(より正確にはパネル5、6の内側パネル)が、枠組み4の部分品の側方分岐部に取り付けられ、それらの縁部(より正確には内側および外側パネルと部分品5、6の放射線防護シート7の縁部)は、枠組み4の外枠の二つの鉛直部分品9のホイールベース15に当接する。
【0057】
放射線防護衝立て1は、放射線防護グレージング17を備えている。典型的にはこの放射線防護グレージング17は、いわゆる鉛グレージングである。それは、厚さが8.5ミリメートルである(2.2ミリメートルの厚さの鉛当量に相当する)。
【0058】
各パネル5、6は、放射線防護グレージング17の高さに位置する開口部18、19を備えている。ここで、放射線防護グレージング17は、二つの内部鉛直部分品13および二つの隣接する水平部分品12の高さに位置する(より正確には、これら四つの部分品12、13のU字形開口部は、放射線防護グレージング17の縁部に向いている)。
【0059】
放射線防護衝立ては、二つのグレージングビード20、21(この場合には、アルミニウム製である)を備えており、これらは放射線防護グレージング17とパネル5、6の開口部18、19との接合部に配置され、組み立てられた場合にはU字形部分品を形成し、その開口部18、19において、その中央の分岐部が、パネル5,6と接触して配置され、各側方分岐部が、それらを取り巻く。
【0060】
第1のグレージングビード20はL字形断面を有し、その第1のバー22(組み立てられた二つのグレージングビード20、21のUの中央の分岐部を形成するもの)は、内部鉛直部分品13および隣接する水平部分品12を取り巻き、第2の23バーが、非放射線防護後部パネル6の開口部18の周縁部を覆う。第1のビード20は、一方で二つの内部鉛直部分品13と二つの隣接する水平部分品12とに固定され、他方で非放射線防護後部パネル6に固定される。
【0061】
第2のグレージングビード21は、放射線防護前部パネル5の開口部19の周縁部を覆う単純な箱形部分である。放射線防護グレージング17の高さでの放射線防護の連続性を保証するために、放射線防護前部パネル5の内側パネルは、すべてその開口部19の縁部にそって、溝24を備えている。この溝24の中には、放射線防護17のグレージングと、さらなる放射線防護シート25(典型的には鉛シート)とが配置されている。さらなる放射線防護シート25は、溝24内に配置された放射線防護グレージング17の一部分を覆う。第2のグレージングビード21は、さらなる放射線防護シート25と、溝24を囲む内側パネルの中実部分とを完全に覆う。結果として、第2のグレージングビード21を、放射線防護の連続性を損なうことなしにネジにより放射線防護前部パネル5に固定することができる(ネジは、第2のグレージングビード21と、溝24を取り囲む内側パネルの中実部分とを通過する)。
【0062】
放射線防護衝立て1は、その縁部とその外側限界を形成する周辺ケーシング26(ここではアルミニウム)を備えている。周辺ケーシング26は、二つのパネル5、6の外周縁部を覆い、枠4に固定されている。
【0063】
本実施形態では、各上側のそして側方の外周縁部については、周辺ケーシング26が、中央パネル28および二つの側方分岐部29を有するU字形状を有する部分品27であり、各側部パネル29は、パネル5、6の縁部外周を覆い、中央の分岐部28は、放射線防護衝立て1の縁部を形成している。
【0064】
下側の周縁部については、周辺ケーシング26はスカートボード30によって形成されている。
【0065】
第1の実施例では、スカートボード30は、床に固定されて、放射線防護衝立て1を固定するようになっている。
【0066】
第2の実施例では、スカートボード30もまたホイール31に取り付けられて、放射線防護衝立て1を動かせるようにしている。ここでは、各ホイール31は、鉛直軸に沿ってスカートボード30に対して枢動可能に搭載され、放射線防護衝立て1の向きを変え易くしている。スカートボード30からは、基部32(ここではステンレス鋼)が吊り下がっており、ホイール31を取り囲んでいる。この基部32は、スカートボード30と枠組み4とに接続された水平の上側の壁33、および上側の壁33から吊り下がってホイール31を取り囲む4つの鉛直側壁34を備えている。典型的には側壁34は、上側の壁33から、地面の近傍の距離(地面から約1センチメートル)に延びている。第2の実施例ではホイール31は、固定プレート35の下側に固定され、このプレートの上面は上側の壁33の下面に固定されている。
【0067】
第2の実施例では、ホイール31の高さで放射線防護性を保証するために、基部32は放射線防護フィルム(典型的には、鉛シート)を備えている。基部32の放射線防護フィルムと、放射線防護パネル5の放射線防護シートは、放射線防護の連続性を保証するように配置されている。ここで、放射線防護シートフィルムは、前面2の側に延びた上側の壁33の部分に沿って、そして前面2の側にこれも位置している側壁34に沿って延びている。放射線防護フィルムは、上側の壁33の前部と前部側壁34により覆われている。
【0068】
最後に、放射線防護衝立て1の移動の向きを容易に決めるために、後者は、少なくとも一つのハンドル36(ここでは、二つのハンドル36)を備えている。この場合には、各ハンドル36は、オリフィス37内に配置された中空ハンドルであり、このオリフィスは、放射線防護衝立て1の側方外周縁部に付随する各部分品27の中央の分岐部内に作られている。
【0069】
例えば管状の中実ハンドル38を提供することも可能である。
【0070】
ハンドル38は、好ましくは表面に抗菌材料を含む。例えばハンドルは、鉄または非鉄金属で金属化して低温で固化させた表面を備えている。
【0071】
また枠組み4により、放射線防護衝立てに負荷をかけることなく剛性を与えるその特性に加えて、対象物を非放射線防護後部パネル6に確実に固定することが可能になる。この固定は、枠組み4の少なくとも一つの部分品9、10、11、12、13上で静止させることによってなされる。こうして、固定された対象物は水平の棚であってもよい。必要となる空間を制限するために、このタブレットは、枠組み4に固定された第1の部分と、第1の部分に連節された第2の部分を備えていてもよい。固定された放射線防護衝立て1の場合には、固定された対象物が、作業台であってもよい(これはまた、その他の支持体上で支持することができる)。
【0072】
変形形態によれば、少なくとも一つ、好ましくは2つの支持腕39を、枠組み4または後部パネル6に取り付けてもよい。支持腕39はハンドル38として働く。
【0073】
さらに、そこに固定された対象物の、そしてその上に静止した材料の重量のせいで可動式放射線防護衝立て1が傾斜するのを回避するために、基部32の上側の壁33は、後面3の側にさらに延びている。
【0074】
最後に、枠組み4の存在により、通路を備えた放射線防護衝立て1を有することも可能になり、この通路により、ケーブル(例えば電気ケーブル)を通して、電気機器(詳細には非放射線防護後部パネル6に固定された対象物の上に静止するもの)用の電源コンセントを有することができるようになる。
【0075】
加えて、この衝立ては、片側または両側に少なくとも一つのステッカー40を含んでいてもよい。ステッカー40を使用して、衝立てを要望に応じて変更したり、印を付けたり、衝立てを装飾したりすることができる。好ましくは、ステッカーは抗菌性である。
【0076】
本発明はさらに、互いに接続されたまたは接続可能な少なくとも二つの衝立てを備えたシステムに関し、それらの衝立ての少なくとも一つは、先に記載のとおりである。
【0077】
好ましくはこのシステムは、一つ以上の、好ましくは2つの側部衝立てを保持する中央の衝立てを備えている。そうした追加の衝立ては、さらに多くの人を防護し、特に二つの側部衝立てを用いて4から5人を防護する。
【0078】
変形形態によれば、中央の衝立ては、基部およびホイールを備え、好ましくは側部衝立ては、いかなるホイールも含まない。
【0079】
一変形形態によると、これらの衝立ては、少なくとも一つの蝶番の手段によって結合されている。好ましくは蝶番は、放射線防護要素を備えている、または放射線防護パネルは、蝶番を覆う拡張部を備えている。
【0080】
好ましくはこの衝立てまたはシステムは、衝立てまたはシステムの高さを地面に対して変えられるように構成された機構を備えている。例えば、数ミリメートルだけ高いことにより、移動がさらに容易になると同時に、地面と接触するように下げることにより、放射線防護性を向上させることが可能である。
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