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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】バラ干し海苔製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20220427BHJP
【FI】
A23L17/60 103B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018020729
(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公開番号】P2019103485
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】P 2017239975
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149457
【氏名又は名称】株式会社オーツボ
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】大坪 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】春野 卯一郎
(72)【発明者】
【氏名】下川 隆弘
【審査官】吉海 周
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-255433(JP,A)
【文献】特開2003-144067(JP,A)
【文献】実開昭55-160190(JP,U)
【文献】実開平6-52493(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラ干し海苔を製造するバラ干し海苔製造装置であって、
海苔をほぐすほぐし装置を備え、
前記ほぐし装置は、
搬送面に載置された海苔を搬送する搬送部と、
円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向に回転する第1回転体と、
前記第1回転体より搬送方向下流側であって、前記第1回転体に隣接した位置において、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向に回転する第2回転体と、
前記搬送面に載置された海苔に、風を送風する送風部と、を有するバラ干し海苔製造装置。
【請求項2】
バラ干し海苔を製造するバラ干し海苔製造装置であって、
海苔をほぐすほぐし装置を備え、
前記ほぐし装置は、
搬送面に載置された海苔を搬送する搬送部と、
円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向に回転する第1回転体と、
前記第1回転体より搬送方向下流側であって、前記第1回転体に隣接した位置において、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向と逆方向に回転する第2回転体と、
少なくとも前記第2回転体の前記ブラシに付着した海苔を除去するブラシ掃除機構と、を有するバラ干し海苔製造装置。
【請求項3】
海苔を脱水する脱水機を、さらに備え、
脱水機は、
複数のプーリに巻き回され、前記プーリが駆動することで回転する第1ベルト及び第2ベルトと、
前記第1ベルト及び前記第2ベルトを、これらが互いに合わさる方向に押圧する押圧部と、を有し、
前記第1ベルト及び前記第2ベルトは、
互いに反対方向に回転し、
海苔が挿入される挿入位置から、海苔が排出される排出位置までの間において、互いに重なり、挿入された海苔を挟んだ状態で移動し、
前記押圧部は、前記挿入位置と前記排出位置との間に配置されている請求項1又は2に記載のバラ干し海苔製造装置。
【請求項4】
前記脱水機は、前記挿入位置と前記排出位置との間において、前記第1ベルト及び前記第2ベルトに挟まれた海苔の水分を吸引する吸引部を、さらに備える請求項に記載のバラ干し海苔製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラ干し海苔を製造するバラ干し海苔製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バラ干し海苔は、通常の海苔と異なり、製造工程において、海苔をミンチ状にしないため、自然そのものの風味を楽しめるとして人気がある。しかし、バラ干し海苔は、海苔をミンチにしないため、通常の製造装置で製造せず、製造者が手動で海苔を脱水し、程よい大きさに、ばらし、ほぐして乾燥させているのが現状である。
【0003】
このようなバラ干し海苔の製造方法として、特許文献1には、上から落下させた海苔を、セイロ上に並べるほぐし工程を含む乾燥焼バラ海苔の製造方法が開示されている。
【0004】
【文献】特開2000-287650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のバラ干し海苔の製造方法では、単に、上から落下させた海苔をセイロ上に並べるだけなので、海苔そのものをほぐしたり、ばらしたりすることが行われていないため、部分的に塊ができてしまったり、サイズの均一性を損ねてしまい、バラ干し海苔の品質が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、海苔の品質を向上させたバラ干し海苔製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係るバラ干し海苔製造装置の第1の構成は、
(1) バラ干し海苔を製造するバラ干し海苔製造装置であって、
海苔をほぐすほぐし装置を備え、
前記ほぐし装置は、
搬送面に載置された海苔を搬送する搬送部と、
円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向に回転する第1回転体と、
前記第1回転体より搬送方向下流側であって、前記第1回転体に隣接した位置において、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向に回転する第2回転体と、
前記搬送面に載置された海苔に、風を送風する送風部と、を有する。
【0008】
本発明のバラ干し海苔製造装置の上記(1)の構成によれば、バラ干し海苔製造装置は、バラ干し海苔を製造し、海苔をほぐすほぐし装置を備える。
ほぐし装置は、搬送部と、第1回転体と、第2回転体と、を有する。
搬送部は、搬送面に載置された海苔を搬送する。
第1回転体は、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、搬送面に近接する位置を通過するように配置され、搬送部の搬送方向に回転する。
第2回転体は、第1回転体より搬送方向下流側であって、第1回転体に隣接した位置において、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、搬送面に近接する位置を通過するように配置され、搬送部の搬送方向に回転する。
【0009】
これにより、海苔は、搬送面に載置され搬送される。搬送面に載置された海苔は、搬送面と第1回転体のブラシの先端とに挟まれた状態で、下流側に搬送される。そして、海苔は、搬送面と第1回転体のブラシの先端とに挟まれた状態で、搬送方向下流側の部分が、搬送面と第2回転体のブラシの先端とにも挟まれる。好ましくは、第2回転体のブラシは第1回転体より速い速度で回転しているので、海苔は、搬送面と第2回転体のブラシの先端とにも挟まれた部分が、分離される。
【0010】
このように、海苔が塊で搬送されていても、ばらすことができるので、サイズの均一性を保つことが可能となり、バラ干し海苔の品質が低下するのを防止できる。
したがって、海苔の品質を向上させたバラ干し海苔製造装置を提供できる。
また、ほぐし装置が、搬送面に載置された海苔に、風を送風する送風部をさらに有することにより、搬送面に載置された海苔をばらしながら乾燥させることができるので、バラ干し海苔の製造における製造効率を向上できる。
【0011】
本発明に係るバラ干し海苔製造装置の第2の構成は、
(2) バラ干し海苔を製造するバラ干し海苔製造装置であって、
海苔をほぐすほぐし装置を備え、
前記ほぐし装置は、
搬送面に載置された海苔を搬送する搬送部と、
円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向に回転する第1回転体と、
前記第1回転体より搬送方向下流側であって、前記第1回転体に隣接した位置において、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、前記搬送面に近接する位置を通過するように配置され、前記搬送部の搬送方向と逆方向に回転する第2回転体と、
少なくとも前記第2回転体の前記ブラシに付着した海苔を除去するブラシ掃除機構と、を有する。
【0012】
本発明のバラ干し海苔製造装置の上記(2)の構成によれば、バラ干し海苔製造装置は、バラ干し海苔を製造し、海苔をほぐすほぐし装置を備える。
ほぐし装置は、搬送部と、第1回転体と、第2回転体と、を有する。
搬送部は、搬送面に載置された海苔を搬送する。
第1回転体は、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、搬送面に近接する位置を通過するように配置され、搬送部の搬送方向に回転する。
第2回転体は、第1回転体より搬送方向下流側であって、第1回転体に隣接した位置において、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、搬送面に近接する位置を通過するように配置され、搬送部の搬送方向と逆方向に回転する。
【0013】
これにより、海苔は、搬送面に載置され搬送される。搬送面に載置された海苔は、搬送面と第1回転体のブラシの先端とに挟まれた状態で、下流側に搬送される。そして、第2回転体が、搬送方向と逆方向に回転しているため、当該第2回転体に接触した海苔のうち、程よくほぐされた海苔は、そのまま搬送方向に搬送されるが、あまりほぐされていない大きな塊となっている海苔は、当該第2回転体によって上に飛ばされ、自重により第1回転体側に落下し、再度、第1回転体のブラシに絡まって、搬送面と第1回転体に挟まれてほぐされ、搬送される。また、ほぐされすぎた小さな海苔は、自重が軽いため、第2回転体によって上に飛ばされて当該第2回転体の上部に落下し、搬送面から排除される。
また、ほぐし装置が、少なくとも第2回転体のブラシに付着した海苔を除去するブラシ掃除機構をさらに有することにより、第2回転体によって上に飛ばされ当該第2回転体の上部のブラシに落下し付着した海苔を除去して、バラ干し海苔製造工程に再投入することができる。その結果、廃棄される原料を極力少なくすることが可能となる。
【0018】
(3) 海苔を脱水する脱水機を、さらに備え、
脱水機は、
複数のプーリに巻き回され、前記プーリが駆動することで回転する第1ベルト及び第2ベルトと、
前記第1ベルト及び前記第2ベルトを、これらが互いに合わさる方向に押圧する押圧部と、を有し、
前記第1ベルト及び前記第2ベルトは、
互いに反対方向に回転し、
海苔が挿入される挿入位置から、海苔が排出される排出位置までの間において、互いに重なり、挿入された海苔を挟んだ状態で移動し、
前記押圧部は、前記挿入位置と前記排出位置との間に配置されている。
【0019】
上記(3)の好ましい構成によれば、バラ干し海苔製造装置は、海苔を脱水する脱水機を、さらに備える。脱水機は、第1ベルト及び第2ベルトと、押圧部と、を有する。
第1ベルト及び第2ベルトは、複数のプーリに巻き回され、プーリが駆動することで回転する。
押圧部は、第1ベルト及び第2ベルトを、これらが互いに合わさる方向に押圧する。
そして、第1ベルト及び第2ベルトは、互いに反対方向に回転し、海苔が挿入される挿入位置から、海苔が排出される排出位置までの間において、互いに重なり、挿入された海苔を挟んだ状態で移動する。
押圧部は、挿入位置と排出位置との間に配置されている。
【0020】
これにより、海苔は、挿入位置から排出位置までの間において、第1ベルト及び第2ベルトに挟まれ、押圧部により、第1ベルト及び第2ベルトに挟まれた状態で、押圧されることで、水分が外部に押し出される。
【0021】
このように、海苔を、第1ベルト及び第2ベルトで挟んだ状態で押圧し、脱水するので、海苔の脱水工程において、海苔に直接外力を加える場合に比べ、海苔の品質が低下するのを防止することが可能となる。
【0022】
(4) 前記脱水機は、前記挿入位置と前記排出位置との間において、前記第1ベルト及び前記第2ベルトに挟まれた海苔の水分を吸引する吸引部を、さらに備える。
【0023】
上記(4)の好ましい構成によれば、吸引部により、第1ベルト及び前記第2ベルトに挟まれた海苔の水分を吸引することで、脱水効果がさらに向上するので、バラ干し海苔の製造における製造効率を向上できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、海苔の品質を向上させたバラ干し海苔製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態に係るバラ干し海苔製造装置の側面を模式的に示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る脱水機の側面を模式的に示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る第1押圧部を説明する図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るほぐし装置の側面を模式的に示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るほぐし部を説明する図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係るほぐし部の変形例を説明する図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るほぐし部の変形例の構成部材であるブラシ掃除機構を説明する図(ブラシに接触させる前の状態)である。
図8図8は、本発明の実施形態に係るほぐし部の変形例の構成部材であるブラシ掃除機構を説明する図(ブラシに接触させた後の状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、好適な実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施の形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
[バラ干し海苔製造装置1]
図1は、本発明の実施形態に係るバラ干し海苔製造装置の側面を模式的に示す図である。
本実施形態に係るバラ干し海苔製造装置1は、海苔の搬送方向上流側に設けられ、海苔を脱水する脱水機10と、脱水機10の下流側に設けられ、海苔をほぐすほぐし装置20と、を備える。
【0028】
[脱水機10]
図2は、本発明の実施形態に係る脱水機の側面を模式的に示す図である。
脱水機10は、架台11と、架台11に回転自在に取り付けられた複数のプーリと、第1ベルト12及び第2ベルト13と、押圧部14と、吸引部15と、を有する。
【0029】
架台11は、床に載置され、移動し、所定位置で固定可能であり、上記構成に加え、複数のプーリを回転させるモータ等の駆動装置(図示無し)や、駆動装置を制御する制御装置(図示無し)等が取り付けられている。
【0030】
複数のプーリは、下側に配置された第1ベルト12が巻き回されたプーリと、上側に配置された第2ベルト13が巻き回されたプーリと、を備える。
【0031】
第1ベルト12が巻き回されたプーリは、海苔の搬送方向上流側端部に配置された上流側端部下プーリ121と、搬送方向下流側端部に配置された下流側端部下プーリ122と、上流側端部下プーリ121と下流側端部下プーリ122との間に配置された補助下プーリ123と、を備える。
【0032】
第2ベルト13が巻き回されたプーリは、海苔の搬送方向上流側端部に配置された上流側端部上プーリ131と、搬送方向下流側端部に配置された下流側端部上プーリ132と、上流側端部上プーリ131と下流側端部上プーリ132との間に配置された補助上プーリ133と、を備える。
【0033】
第1ベルト12が巻き回されたプーリ(上流側端部下プーリ121、下流側端部下プーリ122及び補助下プーリ123)と、第2ベルト13が巻き回されたプーリ(上流側端部上プーリ131、下流側端部上プーリ132及び補助上プーリ133)とは、駆動装置(図示無し)により、互いに反対方向に回転する。
【0034】
上流側端部下プーリ121及び上流側端部上プーリ131は、搬送方向に移動し固定可能に、架台11に取り付けられている。このように、上流側端部下プーリ121及び上流側端部上プーリ131を搬送方向に移動することで、第1ベルト12及び第2ベルト13のテンションを調整することができる。
【0035】
下側に配置された第1ベルト12が巻き回された上流側端部下プーリ121は、上側に配置された第2ベルト13が巻き回された上流側端部上プーリ131より、上流側に配置されている。これにより、下側に配置された第1ベルト12のみが移動する部分が確保され、この部分に、脱水する海苔を載置することで、海苔を、脱水機10による脱水工程に導くことができる。
【0036】
一方、下側に配置された第1ベルト12が巻き回された下流側端部下プーリ122は、上側に配置された第2ベルト13が巻き回された下流側端部上プーリ132より、下流側に配置されている。これにより、下流側端部下プーリ122が配置された位置を通過した海苔を、比較的前方(より下流側)に飛び出さないように、下方に落下させることが可能となる。
【0037】
補助下プーリ123及び補助上プーリ133は、他の部材との関係等から、第1ベルト12や第2ベルト13を移動させる方向を変える必要がある位置に設けられている。
【0038】
第1ベルト12及び第2ベルト13は、吸水性を有さない素材が網形状に形成され、所定の幅を有する無端ベルトで構成されている。
【0039】
第1ベルト12は、上流側端部下プーリ121、下流側端部下プーリ122及び補助下プーリ123に巻き回され、下流側端部下プーリ122を通過した後、下方に移動するように回転する。
第2ベルト13は、第1ベルト12に上に配置され、上流側端部上プーリ131、下流側端部上プーリ132及び補助上プーリ133に巻き回され、下流側端部上プーリ132を通過した後、上方に移動するように回転する。
すなわち、第1ベルト12と第2ベルト13とは、互いに反対方向に回転する。
【0040】
第1ベルト12と第2ベルト13とは、互いに近接する部分(搬送方向上流側から下流側に移動する部分)において、海苔が挿入される挿入位置P1(後述する第1押圧部141が配された位置)から、海苔が排出される排出位置P2(下流側端部下プーリ122が配された位置)までの間において、互いに重なり、挿入された海苔を挟んだ状態で移動する。
【0041】
押圧部14は、挿入位置P1と排出位置P2との間に配置され、第1ベルト12及び第2ベルト13を、これらが互いに合わさる方向に押圧する。
押圧部14は、搬送方向上流側に設けられた第1押圧部141と、第1押圧部141より下流側に設けられた第2押圧部142と、を有する。
【0042】
図3は、本発明の実施形態に係る第1押圧部を説明する図である。
第1押圧部141は、上下方向に配列された2つのローラ141aを有し、これら2つのローラ141aは、互いに近接する方向に付勢されており、これら2つのローラ141aの間を、第1ベルト12及び第2ベルト13が、互いに重なり、挿入された海苔Sを挟んだ状態で通過する。これにより、図3に示すように、第1ベルト12及び第2ベルト13に挟まれた海苔Sは押圧され、水分が外部に押し出される。
【0043】
図3に示す例では、第1押圧部141を2つ並列しているが、これに限らず、1つ又は3つ以上としてもよい。
2つのローラ141aが互いに近接する方向へ付勢する力は、調整可能としてもよい。また、2つのローラ141aは、互いに近接する方向へ付勢していなくとも、例えば、第1ベルト12及び第2ベルト13に挟まれた海苔Sに水分を外部に押し出すことが可能な寸法で固定されていてもよい。
【0044】
図2に戻って、第2押圧部142は、第1ローラ142aと、2つの第1ローラ142aの間に設けられた第2ローラ142bと、を有する。
第2ローラ142bは、第1ローラ142aより大きい直径の円筒形状に形成され、重なった状態の第1ベルト12及び第2ベルト13が接する部分の端部(図2に示す例では下端)が、第1ローラ142aにおける、重なった状態の第1ベルト12及び第2ベルト13が接する部分の端部(図2に示す例では上端)とは異なる高さ(図2に示す例ではより低い位置)に配置されている。これにより、第2ローラ142bの外周面により、第1ベルト12及び第2ベルト13に挟まれた海苔Sは押圧され、水分が外部に押し出される。
【0045】
図2に示す例では、第2押圧部142は、3つの第1ローラ142aのそれぞれの間に2つの第2ローラ142bを配しているが、これに限らず、2つの第1ローラ142aの間に1つの第2ローラ142bを配してもよいし、5つの第1ローラ142aのそれぞれの間に3つの第2ローラ142bを配してもよい。
【0046】
吸引部15は、挿入位置P1と排出位置P2との間に配置され、重なった状態の第1ベルト12及び第2ベルト13に面する吸引口151と、吸引装置(図示無し)と、を備える。
吸引部15は、吸引口151から、重なった状態の第1ベルト12及び第2ベルト13に挟まれた海苔から水分を吸引し、外部に排出する。
【0047】
[ほぐし装置20]
図4は、本発明の実施形態に係るほぐし装置の側面を模式的に示す図である。
ほぐし装置20は、架台21と、架台21に支持された搬送部22と、架台21に支持されたほぐし部23と、架台21に支持された送風部24と、を備える。
【0048】
架台21は、床に載置され、移動し、所定位置で固定可能であり、上記構成に加え、搬送部22を駆動させるモータ等の駆動装置(図示無し)や、駆動装置を制御する制御装置(図示無し)等が取り付けられている。また、架台21は、搬送部22、ほぐし部23及び送風部24を、下流側に向かって上り傾斜させて支持している。
【0049】
搬送部22は、搬送面221に載置された海苔を、搬送方向(上流側から下流側に向かう方向)に搬送する、例えば、ベルトコンベアで構成されている。
【0050】
図5は、本発明の実施形態に係るほぐし部23を説明する図である。
ほぐし部23は、第1回転体231と、第1回転体231より搬送方向下流側に配置された第2回転体232と、を有する。
【0051】
第1回転体231は、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、搬送面221に近接する位置を通過するように配置され、搬送部22の搬送方向(図5に示す例では左回転)に回転する。
第2回転体232は、第1回転体231より搬送方向下流側であって、第1回転体231に隣接した位置(第1回転体231のブラシと第2回転体232のブラシとが、僅かに接触する位置)において、円筒形状に形成され、放射方向に延びるブラシを有し、当該ブラシの先端が、搬送面221に近接する位置を通過するように配置され、搬送部22の搬送方向(図5に示す例では左回転)に、第1回転体より速い速度で、回転する。
【0052】
このような構成により、搬送面221に配置された海苔Sは、搬送面221と第1回転体231のブラシの先端とに挟まれた状態で、下流側に搬送される。そして、海苔Sは、搬送面221と第1回転体231のブラシの先端とに挟まれた状態で、搬送方向下流側の部分が、搬送面221と第2回転体232のブラシの先端とにも挟まれる。第2回転体232のブラシは第1回転体231より速い速度で回転しているので、海苔Sは、搬送面221と第2回転体232のブラシの先端とにも挟まれた部分が、分離される。
【0053】
図6は、図5のほぐし部23の変形例を説明する図である。この場合、第2回転体232は、搬送部22の搬送方向と逆方向に回転する。さらに、好ましくは、本変形例の第2回転体232のブラシは、回転軸中心から放射するブラシの毛が全角度一様に外側へ放射されず、無毛部分を一定の間隔で有するブラシであってもよい。
【0054】
これにより、海苔Sは、搬送面221に載置され搬送される。搬送面221に載置された海苔Sは、搬送面221と第1回転体231のブラシの先端とに挟まれた状態で、下流側に搬送される。そして、第2回転体232が、搬送方向と逆方向に回転しているため、当該第2回転体232に接触した海苔Sのうち、程よくほぐされた海苔Sは、そのまま搬送方向に搬送されるが、あまりほぐされていない大きな塊となっている海苔Sは、当該第2回転体232によって上に飛ばされ(図6の矢印A1を参照)、自重により第1回転体231側に落下し(図6の矢印A2を参照)、再度、第1回転体231のブラシに絡まって、搬送面221と第1回転体231に挟まれてほぐされ、搬送される。また、ほぐされすぎた小さな海苔Sは、自重が軽いため、第2回転体232によって上に飛ばされて当該第2回転体232の上部に落下し、搬送面221から排除される(図6の矢印Bを参照)。
【0055】
図7図8は、本発明の実施形態に係るほぐし部の変形例の構成部材であるブラシ掃除機構を説明する図である。図7は、ブラシ掃除機構の掃除部材をブラシに接触させる前の状態を示しており、図8は、ブラシ掃除機構の掃除部材をブラシに接触させた後の状態を示している。
ほぐし部23は、さらに、第1回転体231、第2回転体232のブラシに付着した海苔Sを除去するブラシ掃除機構25を備えていてもよい。図7図8では、第2回転体232側のみにブラシ掃除機構25が設けられている場合を示しているが、第1回転体231側に同様の機構を設けてもよい。
ブラシ掃除機構25は、第2回転体232の左上部に設置され、基端部25aを中心として回動させることが可能な(図7の両矢印Cを参照)レバー251と、レバー251とほぼ直交した状態で当該レバー251の基端部25aに固定された掃除部材252と、を備えている。掃除部材252は、丸鋼からなっている。そして、レバー251を回動操作することにより、掃除部材252を、レバー251と一体に回動させ、第2回転体232のブラシに接触させて(図8の状態)、当該第2回転体232のブラシに付着した海苔Sを除去することができる(図8の矢印Dを参照)。第2回転体232のブラシから除去された海苔Sは、第1回転体231側に落下し、搬送面221と第1回転体231に挟まれて搬送される。すなわち、第2回転体232のブラシから除去された海苔Sは、バラ干し海苔製造工程に再投入され、その結果、廃棄される原料を極力少なくすることが可能となる。
【0056】
なお、掃除部材252は、丸鋼に限定されるものではなく、例えば、ブラシの中心軸方向の長さと同じ程度の奥行きを有するゴム板やプラスチック製の板体であってもよい。
また、掃除部材は、複数の突起からなっていてもよい。より具体的には、掃除部材は、剣山状の突起を有する部材であって、突起がブラシの起立方向に向けられ、この部材が、回転体の中心方向に走行して、海苔を除去するようにしたものであってもよい。
また、ブラシ掃除機構の設置位置は、回転体の左上部に限定されるものではなく、回転体の上下左右のいずれの位置であってもよい。
また、第2回転体232が搬送部22の搬送方向に回転する構成の、図5に示すほぐし部23においても、第1回転体231、第2回転体232のブラシに付着した海苔Sを除去するブラシ掃除機構を備えるようにしてもよい。
【0057】
図4に戻って、ほぐし部23は、搬送方向に沿って、複数配列されている(図4に示す例では2つ)が、1つでもよいし、3つ以上配列してもよい。
【0058】
送風部24は、搬送面に載置された海苔に、風を送風する。本実施形態では、送風部24には、ヒータ(図示無し)が接続され、ヒータに温められた温風が供給され、温風を送風する。
本実施形態では、送風部24は、ほぐし部23より搬送方向上流側に設けられ、下流側に送風することで、ほぐし部23を通過する海苔全体に送風しているが、ほぐし部23を通過する海苔全体に送風できれば、例えば、ほぐし部23より搬送方向下流側に設け、上流側に送風してもよい。
【0059】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
1 海苔製造装置
10 脱水機
11 架台
12 第1ベルト
13 第2ベルト
14 押圧部
15 吸引部
20 ほぐし装置
21 架台
22 搬送部
23 ほぐし部
24 送風部
25 ブラシ掃除機構
25a 基端部
121 上流側端部下プーリ
122 下流側端部下プーリ
123 補助下プーリ
131 上流側端部上プーリ
132 下流側端部上プーリ
133 補助上プーリ
141 第1押圧部
141a ローラ
142 第2押圧部
142a 第1ローラ
142b 第2ローラ
151 吸引口
221 搬送面
231 第1回転体
232 第2回転体
251 レバー
252 掃除部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8