(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】工具用ホルダー及びその操作方法
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
H02G1/02
(21)【出願番号】P 2018025595
(22)【出願日】2018-02-16
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】株式会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【氏名又は名称】中村 政美
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【氏名又は名称】原田 寛
(72)【発明者】
【氏名】今野 洋一郎
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-315362(JP,A)
【文献】特開2010-272464(JP,A)
【文献】実開平05-011715(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺な操作ポールと、該操作ポールの上端側に設けられ固定部材を保持する部材保持体と、該部材保持体に連結され操作ポールの下端側で部材保持体を遠隔操作する紐状体とを備え
た取付け工具の前記部材保持体に連結された紐状体を引き下げて操作する工具用ホルダーであって、紐状体を巻き付けて紐状体の長さを調整する巻付体と、該巻付体に設けられ操作ポールの側面に装着して操作ポールの長手方向に沿ってスライド移動するように設けられたスライド固定部と、巻付体に設けられ操作ポールを持つ手の指を掛ける指掛け部とを備え、該指掛け部に掛けた指で巻付体ごと紐状体を引き下げることで部材保持体内の固定部材を高所の支持体に固定するように構成したことを特徴とする工具用ホルダー。
【請求項2】
長尺な操作ポールと、該操作ポールの上端側に設けられ固定部材を保持する部材保持体と、該部材保持体に連結され操作ポールの下端側で部材保持体を遠隔操作する紐状体とを備え
た取付け工具の前記部材保持体に連結された紐状体を引き下げて操作する工具用ホルダーの操作方法であって、紐状体を巻き付けて紐状体の長さを調整する巻付体と、該巻付体に設けられ操作ポールの側面に装着して操作ポールの長手方向に沿ってスライド移動するように設けられたスライド固定部と、巻付体に設けられ操作ポールを持つ手の指を掛ける指掛け部とを備え、該指掛け部に掛けた指で巻付体ごと紐状体を引き下げることで
部材保持体内の固定部材を高所の支持体に固定するようにした
工具用ホルダーの操作方法。
【請求項3】
長尺な操作ポールと、操作ポールに装着された
工具用ホルダーと
を備えた取付け工具の前記操作ポールに被操作体が設けられ、該被操作体と
工具用ホルダーとは紐状体により連結された工具用ホルダーであって、該
工具用ホルダーは紐状体を巻き付けて紐状体の長さを調整する巻付体と、指掛け部と前記操作ポールの長手方向に沿って移動可能なスライド固定部を備え、前記スライド固定部は一対の挟持片により構成されており、前記操作ポールの長手方向に沿って片手で前記
工具用ホルダーを操作することにより該被操作体を遠隔操作可能なように構成したことを特徴とする工具用ホルダー。
【請求項4】
前記巻付体にフック部が設けられている請求項1または3に記載の工具用ホルダー。
【請求項5】
前記紐状体の末端を結び目として前記巻付体に設けた連結孔に収めることができる請求項1または3、4のいずれかに記載の工具用ホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の固定部材を高所に取付けるように構成された取付け工具に装着するもので、例えばケーブルや配管用の支持金具や危険表示旗などの固定部材を、高所にある吊りボルト等の支持体に取付ける際に使用する取付け工具の操作性を高めることができる工具用ホルダー及びその操作方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の固定部材を高所の支持体に取付ける際に使用する取付け工具として、特許文献1~特許文献3に記載の取付け工具が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の取付け工具は、配線・配管材を支持する固定部材を建物の高所に取付ける工具で、天井スラブ等から垂設された吊りボルトに固定部材を固定する際に使用する工具である。
【0004】
特許文献2に記載の取付け工具は、引き込み電線等の支持体に危険標示旗を取り付ける工具で、例えば、引き込み線等が道路を横断して架設されている場合に、その引き込み線に危険標示旗を取り付ける際に使用する。
【0005】
特許文献3に記載の取付け工具は、メッセンジャーワイヤーを支持体とし、この支持体に固定部材であるケーブルハンガーを着脱する際に使用する工具であり、ケーブルハンガーの両端に設けられている鉤状フックをメッセンジャーワイヤーに掛止するように構成したものである。
【0006】
これら従来の取付け工具に共通する構成は、いずれも操作ポールの先端に設けた保持体に固定部材を着脱自在に装着して高所に運び、保持体に連結された操作用の紐状体を操作ポールの基端部で遠隔操作する構成にある。すなわち、操作ポール先端の保持体を紐状体にて遠隔操作し、保持体に保持した固定部材を高所の支持体に取付けるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-90394号公報
【文献】特開2011-244607号公報
【文献】実公平7-9538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これら従来の取付け工具において、紐状体の遠隔操作を行う場合、一方の手で操作ポールを保持しながら他方の手で紐状体を引き下げることになる。すなわち、操作ポールの先端に保持した固定部材を、高所の支持体の位置に合わせるように片手で操作しながら、もう片方の手で紐状体を引き下げる操作を行うものである。そのため、操作ポールの長さが長くなるほど操作ポールの片手操作が難しくなる。
【0009】
また、紐状体の操作は、操作ポール先端の固定部材が高所の支持体に届いた位置を保持しながら紐状体を引き下げる操作になる。このとき、紐状体を引き下げる際に操作ポールの先端に力が加わると、先端の位置がずれてしまう虞があった。
【0010】
仮に、狙った位置以外に固定部材を固定してしまうと、固定部材の位置を修正することは極めて困難になるケースもある。そのため、この種の取付け工具では、操作ポールや紐状体の遠隔操作をいかに正確に行えるかが重要な課題になっていた。
【0011】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、所定の固定部材を高所の支持体に取付ける際に使用する取付け工具の操作性を高めることができ、操作ポールや紐状体の遠隔操作を容易に、且つ、正確に行うことができる取付け工具用ホルダー及びその操作方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、長尺な操作ポール110と、該操作ポール110の上端側に設けられ固定部材Sを保持する部材保持体120と、該部材保持体120に連結され操作ポール110の下端側で部材保持体120を遠隔操作する紐状体130とを備えた取付け工具の前記部材保持体120に連結された紐状体130を引き下げて操作する工具用ホルダーであって、紐状体130を巻き付けて紐状体130の長さを調整する巻付体10と、該巻付体10に設けられ操作ポール110の側面に装着して操作ポール110の長手方向に沿ってスライド移動するように設けられたスライド固定部20と、巻付体10に設けられ操作ポール110を持つ手の指を掛ける指掛け部30とを備え、該指掛け部30に掛けた指で巻付体10ごと紐状体130を引き下げることで部材保持体120内の固定部材Sを高所の支持体に固定するように構成したことにある。
【0013】
第2の手段は、長尺な操作ポール110と、該操作ポール110の上端側に設けられ固定部材Sを保持する部材保持体120と、該部材保持体120に連結され操作ポール110の下端側で部材保持体120を遠隔操作する紐状体130とを備えた取付け工具の前記部材保持体120に連結された紐状体130を引き下げて操作する工具用ホルダーの操作方法であって、紐状体130を巻き付けて紐状体130の長さを調整する巻付体10と、該巻付体10に設けられ操作ポール110の側面に装着して操作ポール110の長手方向に沿ってスライド移動するように設けられたスライド固定部20と、巻付体10に設けられ操作ポール110を持つ手の指を掛ける指掛け部30とを備え、該指掛け部30に掛けた指で巻付体10ごと紐状体130を引き下げることで部材保持体120内の固定部材Sを高所の支持体に固定するようにした操作方法である。
【0014】
第3の手段は、長尺な操作ポール110と、操作ポール110に装着された工具用ホルダー1とを備えた取付け工具の前記操作ポールに被操作体が設けられ、該被操作体と工具用ホルダー1とは紐状体により連結された工具用ホルダーであって、該工具用ホルダー1は紐状体130を巻き付けて紐状体130の長さを調整する巻付体10と、指掛け部30と前記操作ポール110の長手方向に沿って移動可能なスライド固定部20を備え、前記スライド固定部20は一対の挟持片21により構成されており、前記操作ポール110の長手方向に沿って片手で前記工具用ホルダー1を操作することにより該被操作体を遠隔操作可能なように構成したものである。
【0015】
第4の手段は、前記巻付体10にフック部12が設けられている。
【0016】
第5の手段は、前記紐状体130の末端を結び目132として前記巻付体10に設けた連結孔13に収めることができるものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明ホルダーのように、操作ポール110下端側の紐状体130を巻き付けて紐状体130の長さを調整する巻付体10と、該巻付体10に設けられ操作ポール110の側面に装着して操作ポール110の長手方向に沿ってスライド移動するように設けられたスライド固定部20と、操作ポール110を持つ手の指で係止する位置に設けられ巻付体10と共に連動する指掛け部30とを備えたことにより、操作ポール110を両手で支えながら、操作ポール110を持つ手の指にて巻付体10を引き下げることが可能になった。
【0020】
しかも、巻付体10によって紐状体130の長さを調整できるので、操作ポール110を両手で支持する際に、操作しやすい位置に指掛け部30を配置することができる。したがって、操作ポール110を両手で支持しながら片方の指先だけで紐状体130を引き下げることが可能になる。この結果、従来のように紐状体を引き下げる際に、固定部材を保持している操作ポール110の先端がぶれるといった虞は極めて少なくなり、高所でも正確な取付けが可能になった。
【0021】
指掛け部30は巻付体10と一体に形成され、操作ポール110を握る手の人差し指が届く位置に指掛け部30を備えているので、操作ポール110を握る手の指で指掛け部30を操作する作業が容易になる。したがって、作業者は操作ポール110を両手でしっかりと支持しながら操作ポール110から手を離すことなく指掛け部30の操作を極めて簡単に行えるものである。
【0022】
スライド固定部20は、巻付体10と一体に形成され、操作ポール110の左右側面を挟持する一対の挟持片21を備えているので、操作ポール110への着脱作業が簡単に行える。したがって、操作ポール110と巻付体10とを別々に収納し、使用時に組立てることができる。この結果、収納し易く、持ち運びにも便利である。
【0023】
巻付体10は、前記紐状体130を巻き付け保持する胴部11と、該胴部11に巻き付けた前記紐状体130を係止せしめるフック部12と、前記紐状体130の端部を挿入して紐状体130に巻付体10を連結する連結孔13とを備えているので、紐状体130の長さを調整するために巻付体10に巻き付けた紐状体130は、常に巻付体10と一体になる。このため、例えば、垂れ下がった紐を足で踏んで金具が外れるなど、余分な長さの紐状体130が操作を妨げるような不都合は解消された。
【0024】
本発明ホルダーの操作方法によると、部材保持体120に保持した固定部材Sを高所の支持体Tに固定する際に、操作ポール110を持つ手の指を指掛け部30に掛けて巻付体10を引き下げ、該巻付体10と共にスライド移動する紐状体130で部材保持体120を遠隔操作する操作により、一定した方向から紐状体130を引き下げる操作が可能になった。この結果、固定部材Sを保持している操作ポール110の先端がぶれるといった虞は極めて少なくなり、高所でも正確な取付けが可能になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図5】(イ)、(ロ)、(ハ)は、本発明の他の実施例を示す斜視図である。
【
図6】取付け工具の一実施例を示す要部斜視図である。
【
図7】部材保持体に固定部材を装着する状態を示す側断面図である。
【
図8】部材保持体に固定部材を固定した状態を示す側断面図である。
【
図9】部材保持体に固定部材を装着する側面図である。
【
図10】部材保持体に固定部材を固定した側面図である。
【
図11】固定した固定部材の切欠係止口に支持体を入れた側面図である。
【
図12】部材保持体を支持体から解除した側面図である。
【
図13】支持体に固定部材を固定した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明工具用ホルダーは、所定の固定部材Sを高所の支持体Tに取付ける際に使用する取付け工具100に装着する工具用ホルダーである。本発明において固定部材Sとは、例えば、ケーブルや配管用の支持金具、あるいは危険表示旗などの部材を示す。そして、取付け工具100とは、これらの固定部材Sを、高所にある吊りボルトや引き込み電線、メッセンジャーワイヤー等の支持体Tに取付ける際に使用する各種の取付け工具100を指す。
【0027】
すなわち、本発明の
工具用ホルダー1を装着する取付け工具100の基本的構成は、長尺な操作ポール110と、該操作ポール110の上端側に設けられた部材保持体120と、該部材保持体120を操作ポール110の下端側で遠隔操作する紐状体130とを備えた取付け工具である(
図1参照)。そして、紐状体130を引き下げると、部材保持体120に保持された固定部材Sが高所の支持体Tに固定されるように構成したものである(
図13参照)。
【0028】
本発明の
工具用ホルダー1は、この取付け工具100に装着して操作ポール110の操作や紐状体130の遠隔操作を容易にするもので、巻付体10、スライド固定部20、指掛け部30を備えている(
図1参照)。
【0029】
巻付体10は、紐状体130を巻き付けて紐状体130の長さを調整する部材である。この巻付体10は、胴部11とフック部12と連結孔13とを備えている(
図2参照)。胴部11は、紐状体130を巻き付け保持する部位で、図示例では楕円形状を成している(
図3参照)。フック部12は、この胴部11に巻き付けた紐状体130の一部を係止せしめる部位で、図示のフック部12は4か所に形成している。連結孔13は、紐状体130の端部を通して紐状体130に巻付体10を連結する部位である。図示の連結孔13は、紐状体130の端部に形成した結び目132ごと挿入できる大きさの挿入口13Aと、この結び目132が係止する係止口13Bとで形成している(
図2参照)。
【0030】
スライド固定部20は、巻付体10に設けられ操作ポール110の側面に装着して操作ポール110の長手方向に沿ってスライド移動するように設けられている(
図1参照)。図示のスライド固定部20は、巻付体10と一体に形成され(
図4参照)、操作ポール110の左右側面を挟持する一対の挟持片21を備えたものである(
図2参照)。
【0031】
指掛け部30は、操作ポール110を持つ手の指を掛ける位置に設けられる部位で、巻付体10に設けている(
図1参照)。図示の指掛け部30は、巻付体10と一体に形成したものである。すなわち、楕円形の環状を成した巻付体10の端部を指掛け部30として使用するもので、巻付体10を直接指先で操作するように構成している(
図3参照)。
【0032】
また、
図5(イ)~(ハ)は、本発明の
工具用ホルダー1の他の実施例を示すものである。すなわち、同図(イ)は、フック形状の指掛け部30を巻付体10の下端部に一対設けた
工具用ホルダー1である。同図(ロ)は、巻付体10の胴部11を上下一対の突起状に形成し、リング形状の指掛け部30を設けた
工具用ホルダー1である。同図(ハ)は、突起状の胴部11を3本併設し、リング形状の指掛け部30を設けた
工具用ホルダー1を示している。このように、
工具用ホルダー1の巻付体10、スライド固定部20、指掛け部30の形状や構成は任意に変更することが可能である。
【0033】
本発明
工具用ホルダーを使用するには、まず、紐状体130の先端に連結した連結フック131(
図2参照)を、操作ポール110先端の部材保持体120に連結する。次に、操作ポール110を任意の長さに調整し、この長さに合わせて紐状体130を巻付体10に巻き付ける。そして、操作ポール110の下部側面にスライド固定部20を嵌合し、操作ポール110に巻付体10を固定する(
図1参照)。このとき、紐状体130がピンと張った状態になるように巻付体10を固定する。そうすると、巻付体10を僅かにスライドさせるだけで部材保持体120の遠隔操作が可能になる。そして、操作ポール110を両手で操作し、操作ポール110先端の固定部材Sを支持体Tの固定位置に合わせる。この位置を両手で保ちながら、指掛け部30に掛けた指を引き下げると、紐状体130が引き下がり、部材保持体120内の固定部材Sが支持体Tに固定されるものである。
【0034】
また、操作ポール110の長さ全体が必要になるような高さの支持体Tに固定部材Sを固定する場合は、片手で操作ポール110を持ち、この手の指で指掛け部30を引き下げる片手操作が可能になる。この場合においても、巻付体10と共にスライド移動する紐状体130で部材保持体120を遠隔操作するので、部材保持体120を操作する際の安定性は保たれている。したがって、たとえ片手操作であっても、高所への正確な取付けが可能になる。
【0035】
次に、本発明の
工具用ホルダー1を装着する取付け工具100の一実施例を説明する(
図1参照)。図示の取付け工具100は、弾性金具を圧縮する作業で簡単に装着できる構成の固定部材Sを吊りボルト等の支持体Tに固定する際に使用する取付け工具100である(
図6~
図12参照)。
【0036】
図示の固定部材Sは、帯状金具で形成された連結体S1とケーブル又は配管を支持する支持体S2とを備えたものである(
図11参照)。そして、連結体S1の長手側面に形成された上下一対の切欠係止口S3に支持体Tを通すと連結体S1の弾性力で連結体S1が支持体Tに固定状態となる固定部材Sである。
【0037】
操作ポール110は、伸縮自在な杆体の上端部に固定ねじ部111を設けた杆状部材で、この固定ねじ部111に部材保持体120を着脱自在に連結するものである(
図6参照)。
【0038】
部材保持体120は、保持部121と固定解除部122とを備えた部材である(
図7参照)。保持部121は、部材保持体120に上下スライド自在に設けられ、連結体S1の上下端部を保持する部位になっている。
【0039】
図示の保持部121は、載置部121Aとフック部121Bとで構成している(
図7参照)。載置部121Aは、連結体S1の下端部を載置する部位で、部材保持体120の側面に形成している。一方、フック部121Bは、突起状の固定軸121Cに上下移動自在に軸支された部位で、載置部121Aの上部でスライドする略L字状の部位である。そして、載置部121Aに載せた連結体S1の上端部にフック部121Bを当て、そのまま連結体S1を圧縮する方向にスライド移動させるものである(
図8参照)。
【0040】
固定解除部122は、連結体S1を圧縮した状態の保持部121の位置を固定する部材である(
図10参照)。また、この固定解除部122は、固定した保持部121の位置を解除する部材でもある(
図7参照)。すなわち、固定解除部122に連結した紐状体130を引くと、固定解除部122が圧縮状態で固定している保持部121の位置がずれて圧縮状態が解除されるように構成している。
【0041】
このように、保持部121の固定位置が解除されると、連結体S1の弾性力で保持部121を上方にスライドさせながら連結体S1が復元する際に、連結体S1の切欠係止口S3に通した支持体Tに固定部材Sが固定されるものである(
図13参照)。
【0042】
図示の固定解除部122は、連結体S1の上端部を圧縮した位置のフック部121Bの上部に重ねて固定する固定体122Aと、この固定体122Aを部材保持体120に揺動自在に連結する連結体122Bとを備えている(
図6参照)。
【0043】
固定体122Aは、揺動する方向に伸びた複数条の突起で形成されている(
図6参照)。そして、固定体122Aがフック部121B上まで揺動すると、連結体S1の圧縮状態の位置で押えて連結体S1を固定するものである(
図8参照)。
【0044】
固定解除部122の連結体122Bは、固定体122Aと一体に設けられ、部材保持体120に設けた揺動軸122Cで揺動自在に連結された部位である(
図6参照)。図示例では、固定体122Aと連結体122Bとで略倒コ字状を成した固定解除部122を形成している。そして、紐状体130の遠隔操作で固定解除部122が揺動すると、フック部121Bの上部から固定体122Aが外れるように構成したものである(
図7参照)。
【0045】
次に、
図9乃至
図13に基づいて本発明取付け工具の使用手順を説明する。
図9に示すように、保持部121に固定部材Sを装着する。すなわち、載置部121Aに連結体S1の下端部を載置し、上端部をフック部121Bの下に配置するように装着する。
【0046】
図10に示すように、フック部121Bを下向きに押圧して連結体S1を圧縮しながら、フック部121Bの上に固定体122Aを被せて固定する。この状態では、連結体S1が圧縮された状態のままで保持部121に保持されている。
【0047】
更に、
図11に示すように、保持部121に保持した連結体S1の切欠係止口S3に、支持体Tを通す。この状態ではまだ連結体S1が圧縮された状態を保っている。
【0048】
そして、
図12に示す如く、紐状体130を遠隔操作で引くと、固定解除部122が揺動してフック部121Bの上端から固定体122Aが移動する。そうすると、圧縮状態の連結体S1は、自身の弾性力でフック部121Bを押し上げながら圧縮前の状態に復元することになる。
【0049】
最後に、
図13に示す如く、連結体S1の復元時の弾性力にて切欠係止口S3内に挿入していた支持体Tに固定部材Sが固定されるものである。
【0050】
尚、取付け工具100は、図示例に限定されるものではなく、この他、引き込み電線等の支持体に危険標示旗を取り付ける取付け工具や、メッセンジャーワイヤーにケーブルハンガーを着脱する際に使用する取付け工具など、各種の取付け工具に装着することが可能である。また、本発明の巻付体10、スライド固定部20、指掛け部30等の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由である。
【符号の説明】
【0051】
S 固定部材
S1 連結体
S2 支持体
S3 切欠係止口
T 支持体
1 工具用ホルダー
10 巻付体
11 胴部
12 フック部
13 連結孔
13A 挿入口
13B 係止口
20 スライド固定部
21 挟持片
30 指掛け部
100 取付け工具
110 操作ポール
111 固定ねじ部
120 部材保持体
121 保持部
121A 載置部
121B フック部
121C 固定軸
121D フック部
122 固定解除部
122A 固定体
122B 連結体
122C 揺動軸
122D フック部
122E 固定杆
130 紐状体
131 連結フック
132 結び目