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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】射出成形機および成形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/74 20060101AFI20220427BHJP
   B29C 45/60 20060101ALI20220427BHJP
   B29C 45/62 20060101ALI20220427BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20220427BHJP
   B29K 101/10 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
B29C45/74
B29C45/60
B29C45/62
B29C33/02
B29K101:10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018050420
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019162724
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598103152
【氏名又は名称】大和合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】特許業務法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 玲
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 雅則
(72)【発明者】
【氏名】中島 真敏
(72)【発明者】
【氏名】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 謙
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-113623(JP,U)
【文献】実開昭55-031676(JP,U)
【文献】特開平02-270512(JP,A)
【文献】特開2005-329633(JP,A)
【文献】実開昭61-120516(JP,U)
【文献】特開2018-008384(JP,A)
【文献】西独国特許出願公告第01105143(DE,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
B29C 48/00-48/96
B29C 33/00-33/76
B29B 7/00- 7/94
B22D 15/00-17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂材料用の射出成形機であって、
非磁性体からなるシリンダと、
前記シリンダ内に回転可能かつ前後進可能に収容された強磁性体からなるスクリュと、
前記スクリュを誘導加熱する加熱装置と、を有し、
前記シリンダは、先端が開口されており、金型の樹脂流路と連通され、
前記シリンダの先端は、前記スクリュの先端が突出可能な大きさに開口されていることを特徴とする射出成形機。
【請求項2】
請求項1に記載の射出成形機と、制御部と、を有する成形システムであって、
前記射出成形機が、前記シリンダの先端部より基端寄りの部分を冷却する冷却装置と、スクリュ駆動部と、をさらに有し、
前記加熱装置が、前記シリンダの先端部のみに設けられ
前記制御部が、前記スクリュ駆動部を制御して、前記熱硬化性樹脂材料を射出するよう前記スクリュを前進させた後、前記スクリュの先端が前記冷却装置に対応した位置に来るまで前記スクリュを後退させ、
前記制御部が、前記冷却装置を制御して、常時または前記スクリュの先端が前記冷却装置に対応した位置に来るまで前記スクリュを後退させた後、前記シリンダを冷却させることを特徴とする成形システム
【請求項3】
記射出成形機により射出された前記熱硬化性樹脂材料が充填されるキャビティが設けられた前記型をさらにし、
前記金型が、当該金型における前記シリンダの先端が当接される箇所を冷却する金型冷却装置を有していることを特徴とする請求項2に記載の成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂材料用の射出成形機、および、この射出成形機を有する成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の熱硬化性樹脂材料用の射出成形機の一例が特許文献1に開示されている。この射出成形機は、加熱シリンダと、加熱シリンダ内に回転可能かつ前後進可能に収容されたスクリュとを有し、スクリュを加熱シリンダ内で回転駆動することにより、熱硬化性樹脂の混練及び可塑化を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-107509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような射出成形機では、加熱シリンダ内での熱硬化性樹脂材料の硬化反応を抑制するために、熱硬化性樹脂材料に必要以上の熱量が加わらないようにすることが重要である。そのためには、短い時間で熱硬化性樹脂材料を加熱することが有効である。しかしながら、従来の射出成形機は、バンドヒータで温められた加熱シリンダによって間接的に熱硬化性樹脂材料を加熱するものであり、発熱体によって直接的に熱硬化性樹脂材料を加熱するものではない。そのため、効率が悪く、加熱に比較的長い時間を要していた。また、加熱シリンダは、射出時の圧力に耐えうるようある程度の肉厚を有するので、熱容量が大きい。そのため、加熱シリンダの温度を素早く上げたり下げたりすることができず、加熱シリンダ内で熱硬化性樹脂を適切に加熱することが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、短い時間で熱硬化性樹脂材料を適切に加熱できる射出成形機および成形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る射出成形機は、熱硬化性樹脂材料用の射出成形機であって、非磁性体のシリンダと、前記シリンダ内に回転可能かつ前後進可能に収容された強磁性体のスクリュと、前記スクリュを誘導加熱する加熱装置と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、加熱装置によって、非磁性体のシリンダに収容された強磁性体のスクリュを誘導加熱により発熱させることができる。そのため、スクリュにより直接的に熱硬化性樹脂材料を加熱することができる。また、スクリュはシリンダに比べて体積が小さく、熱容量が小さい。そのため、素早く温度を上げたり下げたりすることができ、温度制御が容易であるので、熱硬化性樹脂材料を適切に加熱することができる。また、誘導加熱は短時間で高温に加熱することができる。そのため、熱硬化性樹脂材料の加熱時間を短くすることができ、必要以上の熱量が加わることを抑制できる。
【0008】
本発明において、前記加熱装置が、前記シリンダの先端部のみに設けられていることが好ましい。このようにすることで、シリンダの先端部に滞留している熱硬化性樹脂材料を効果的に加熱することができるとともに、シリンダの先端部以外に滞留している熱硬化性樹脂材料が加熱されることを抑制できる。
【0009】
本発明において、前記シリンダの先端部より基端寄りの部分を冷却する冷却装置をさらに有し、前記スクリュが、前記熱硬化性樹脂材料を射出するよう前進された後、前記スクリュの先端が前記冷却装置に対応した位置まで後退されることが好ましい。このようにすることで、スクリュの後退とともに熱硬化性樹脂材料も冷却装置に対応した位置まで後退される。そのため、シリンダ内の熱硬化性樹脂材料に加えられる熱量をより少なくして、累積熱量の増加をさらに抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記シリンダは、先端が開口されており、金型の樹脂流路と連通され、前記シリンダの先端は、前記スクリュの先端が突出可能な大きさに開口されている。このようにすることで、シリンダの先端にノズルを設けないノズルレス構造となるので、ノズル内に残った熱硬化性樹脂材料の硬化反応を回避できる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の他の一態様に係る成形システムは、上記射出成形機と、制御部と、を有する成形システムであって、前記射出成形機が、前記シリンダの先端部より基端寄りの部分を冷却する冷却装置と、スクリュ駆動部と、をさらに有し、前記加熱装置が、前記シリンダの先端部のみに設けられ、前記制御部が、前記スクリュ駆動部を制御して、前記熱硬化性樹脂材料を射出するよう前記スクリュを前進させた後、前記スクリュの先端が前記冷却装置に対応した位置に来るまで前記スクリュを後退させ、前記制御部が、前記冷却装置を制御して、常時または前記スクリュの先端が前記冷却装置に対応した位置に来るまで前記スクリュを後退させた後、前記シリンダを冷却させることを特徴とする。
本発明において、前記成形システムが、前記射出成形機により射出された前記熱硬化性樹脂材料が充填されるキャビティが設けられた前記型をさらにし、前記金型が、当該金型における前記シリンダの先端が当接される箇所を冷却する金型冷却装置を有していることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、上記射出成形機を有しているので、熱硬化性樹脂材料を直接的に加熱することができる。また、熱硬化性樹脂材料の加熱時間を短くすることができ、必要以上の熱量が加わることを抑制できる。さらに、金型が、当該金型におけるシリンダの先端が当接される箇所を冷却する金型冷却装置を有しているので、シリンダの熱が金型に伝わることを抑制することができ、金型の樹脂流路内で熱硬化性樹脂材料の硬化反応が進むことを抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、短い時間で熱硬化性樹脂材料を適切に加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る成形システムの要部断面図である。
図2図1の成形システムにおける計量前動作を説明する図である。
図3図1の成形システムにおける計量動作を説明する図である。
図4図1の成形システムにおける射出動作を説明する図である。
図5図1の成形システムにおける硬化待ち動作を説明する図である。
図6図1の成形システムにおける製品取り出し動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る熱硬化性樹脂材料用の成形システムについて、図1図5を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る成形システムの要部断面図である。図2図6は、それぞれ図1の成形システムにおける計量前動作、計量動作、射出動作、硬化待ち動作および製品取り出し動作を説明する図である。
【0017】
本実施形態に係る成形システム1は、金型10と、インラインスクリュ式の射出成形機20と、を有している。この成形システム1では、金型10のキャビティ18に、射出成形機20により溶融された熱硬化性樹脂材料(以下、単に「樹脂材料P」という)を射出したのち硬化させて製品を成形する。
【0018】
金型10は、各図において右方から左方に順に配置された固定金型13および移動金型14を有している。固定金型13には、左右方向に貫通した樹脂流路16が形成されている。固定金型13と移動金型14との間にキャビティ18が形成されている。固定金型13の右側面には凹部19が形成されており、凹部19の中心部分に樹脂流路16が開口されている。固定金型13は、凹部19に対応して埋め込まれた金型冷却装置15を有している。金型冷却装置15は、例えば、水などの比較的低温の熱交換媒体が流動される管路を有しており、凹部19付近を冷却する。金型10には、キャビティ18に充填された樹脂材料Pを加熱して硬化させるための図示しないヒータが設けられている。
【0019】
射出成形機20は、シリンダ21と、スクリュ22と、加熱装置23と、冷却装置24と、図示しないシリンダ駆動部と、図示しないスクリュ駆動部と、を有している。
【0020】
シリンダ21は、先端21aが開口された円筒状に形成されており、先端21aを金型10に向けて配置されている。すなわち、シリンダ21の先端21aにはノズルが設けられておらず、ノズルレス構造となっている。本実施形態において、シリンダ21は、先端21aの開口を含む全体の内径が一定である。先端21aは、金型10の凹部19に嵌合可能な形状を有している。シリンダ21は、図示しないシリンダ駆動部により軸方向(各図において左右方向)に移動される。シリンダ21の先端21aは、スクリュ22の先端が突出可能な大きさに開口されていればよい。なお、先端にノズルが設けられたシリンダを採用してもよい。
【0021】
本実施形態において、シリンダ21は、非磁性体であるアルミナ粉体を円筒状に焼き固めて構成されている。これ以外にも、シリンダ21は、非磁性体(磁化しない・磁化しにくい、比透磁率が低い(μ<100))であれば、本発明の目的に反しない限り、SUS304、SUS305(M)、アルミナセラミックス、高ニッケル特殊合金など、任意の材料で構成することができる。
【0022】
スクリュ22は、シリンダ21内に回転可能かつ前後進可能に収容され、図示しないスクリュ駆動部によりシリンダ21内で回転されるとともに、軸方向(各図において左右方向)に移動される。
【0023】
本実施形態において、スクリュ22は、強磁性体である鉄で構成されている。これ以外にも、スクリュ22は、強磁性体(磁化しやすい、比透磁率が高い(μ≧1000))であれば、本発明の目的に反しない限り、SCM440、SACM645、SKD61、SKD11、KPS6など、任意の材料で構成することができる。
【0024】
加熱装置23は、シリンダ21の先端部21bに設けられている。加熱装置23は、シリンダ21を内側に収容するようにらせん状に巻かれたコイルを備えた誘導加熱式ヒータ(Induction Heating;IH)を有している。誘導加熱式ヒータは昇温速度が比較的速く、電磁誘導によりスクリュ22の先端部を瞬時に加熱することができる。一般的に用いられるバンドヒータは昇温速度が0.28℃/秒程度であるが、誘導加熱式ヒータを用いることで8.8℃/秒を実現することができる。本明細書において「瞬時に加熱する」とは、昇温速度が8℃/秒以上のことをいう。
【0025】
冷却装置24は、シリンダ21における先端部21bより基端(先端21aの反対側の端)寄りの部分に設けられている。冷却装置24は、例えば、水などの比較的低温の熱交換媒体が流動される管路を有している。冷却装置24は、シリンダ21を冷却することができる。冷却装置24によってシリンダ21を冷却することで、樹脂材料Pが溶融されず固体の状態で先端側に移送される。
【0026】
また、成形システム1は、全体の動作を司る図示しない制御部を有している。制御部は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、各種I/Oインタフェースなどを有する組み込み機器用のマイクロコンピュータを有して構成されている。制御部は、型閉動作、計量前動作、計量動作、射出動作、硬化待ち動作、型開動作および製品取り出し動作などの各種動作において、成形システム1の各駆動部等を制御する。
【0027】
次に、上述した本実施形態の成形システム1における本発明に係る動作の一例について説明する。
【0028】
成形システム1の制御部は、図示しない型締駆動部を制御して、固定金型13および移動金型14を重ねて型締めする(型閉動作)。また、シリンダ21の先端部21b内の樹脂材料Pがスクリュ22により混練されている。
【0029】
制御部はシリンダ駆動部を制御して、図2に示すように、シリンダ21を金型10に近づくように移動(すなわち前進)させ、先端21aを凹部19に嵌合させる。この状態において、シリンダ21の内部と金型10の樹脂流路16とが直接連通される。そして、制御部はスクリュ駆動部を制御して、スクリュ22を所定位置まで前進させる(計量前動作)。また、制御部は、金型冷却装置15を制御して、金型10におけるシリンダ21の先端が当接される箇所である凹部19を冷却する。
【0030】
次に、制御部は加熱装置23を制御して、スクリュ22を瞬時に加熱する。これにより、樹脂材料Pの粘度を下げる。瞬時に加熱することにより、シリンダ21内の樹脂材料Pの加熱時間を短くして、樹脂材料Pに加えられる熱量を少なくすることができ、粘度を下げつつ累積熱量の増加を抑制する。本実施形態においては、樹脂材料Pが150℃~160℃となる程度までスクリュ22を加熱する。さらに、制御部はスクリュ駆動部を制御して、図3に示すように、スクリュ22を回転させながら後退させ、1回の射出に必要となる量の樹脂材料Pをシリンダ21の先端部21bに供給する(計量動作)。計量が終わると、制御部は加熱装置23を制御して、スクリュ22の加熱を停止する。
【0031】
次に、制御部はスクリュ駆動部を制御して、図4に示すように、スクリュ22を前進させる。これにより、シリンダ21の先端部21bの樹脂材料Pが樹脂流路16を通じてキャビティ18に押し込まれる(射出動作)。
【0032】
次に、制御部は金型10のヒータを制御して、キャビティ18内の樹脂材料Pが硬化するように加熱する(硬化待ち動作)。これと並行して、制御部はスクリュ駆動部を制御して、図5に示すように、スクリュ22を先端22aが冷却装置24に対応する位置に来るまで後退させる。また、制御部は冷却装置24を制御して、シリンダ21を冷却する。これにより、シリンダ21内の樹脂材料Pに加えられる熱量をより少なくして、累積熱量の増加をさらに抑制する。冷却装置24によりシリンダ21を常時冷却していてもよい。
【0033】
次に、制御部はシリンダ駆動部を制御して、図6に示すように、シリンダ21を金型10から離れるように移動(すなわち後退)させ、先端21aと凹部19との嵌合を解除する。さらに、制御部は型締駆動部を制御して、固定金型13および移動金型14を左右方向に開き(型開動作)、図示しないエジェクトピンによりキャビティ18から製品Sを取り出す(製品取り出し動作)。
【0034】
以降、上記型閉動作~上記製品取り出し動作を繰り返して製品Sの成形を行う。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の成形システムによれば、射出成形機20の加熱装置23によって、非磁性体のシリンダ21に収容された強磁性体のスクリュ22を誘導加熱により発熱させることができる。そのため、スクリュ22により直接的に樹脂材料Pを加熱することができる。また、スクリュ22はシリンダ21に比べて体積が小さく、熱容量が小さい。そのため、素早く温度を上げたり下げたりすることができ、温度制御が容易であるので、樹脂材料Pを適切に加熱することができる。また、誘導加熱は短時間で高温に加熱することができる。そのため、樹脂材料Pの加熱時間を短くすることができ、必要以上の熱量が加わることを抑制できる。
【0036】
また、加熱装置23が、シリンダ21の先端部のみに設けられている。このようにすることで、シリンダ21の先端部21bに滞留している樹脂材料Pを効果的に加熱することができるとともに、シリンダ21の先端部21b以外に滞留している樹脂材料Pが加熱されてしまうことを抑制できる。
【0037】
また、シリンダ21の先端部21bより基端寄りの部分を冷却する冷却装置24をさらに有し、スクリュ22が、樹脂材料Pを射出するよう金型10に向けて前進された後、スクリュ22の先端22aが冷却装置24に対応した位置まで後退される。このようにすることで、スクリュ22の後退とともに樹脂材料Pも冷却装置24に対応した位置、つまり、シリンダ21における冷却装置24によって冷却されている箇所まで後退される。そのため、シリンダ21内の樹脂材料Pに加えられる熱量をより少なくして、累積熱量の増加をさらに抑制することができる。
【0038】
また、シリンダ21は、先端21aが開口されており、金型10の樹脂流路16と連通される。このようにすることで、シリンダ21の先端21aにノズルを設けないノズルレス構造となるので、ノズル内に残った樹脂材料Pの硬化反応を回避できる。
【0039】
また、金型10が、金型10におけるシリンダ21の先端が当接される凹部19を冷却する金型冷却装置15を有している。そのため、シリンダ21の熱が金型10に伝わることを抑制することができ、金型10の樹脂流路16内で樹脂材料Pの硬化反応が進むことを抑制できる。
【0040】
したがって、成形システム1によれば、短い時間で熱硬化性樹脂材料を適切に加熱できる。
【0041】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0042】
また、本実施形態では、熱硬化性樹脂材料用の射出成形機において、誘導加熱によりスクリュを加熱する構成を示したが、熱可塑性樹脂材料用のインラインスクリュ式射出成形機においても、同様に、誘導加熱によりスクリュを加熱する構成を採用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…成形システム、10…金型、13…固定金型、14…移動金型、15…金型冷却装置、16…樹脂流路、18…キャビティ、19…凹部、20…射出成形機、21…シリンダ、21a…シリンダの先端、21b…シリンダの先端部、22…スクリュ、22a…スクリュの先端、23…加熱装置、24…冷却装置、P…熱硬化性樹脂材料、S…製品
図1
図2
図3
図4
図5
図6