(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】トング
(51)【国際特許分類】
A47G 21/10 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
A47G21/10 A
(21)【出願番号】P 2020193863
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2019213674
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】598111342
【氏名又は名称】寺本 光希
(72)【発明者】
【氏名】寺本 光希
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04002365(US,A)
【文献】特開2006-055351(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0049243(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0090670(US,A1)
【文献】登録実用新案第3087628(JP,U)
【文献】特開2007-007293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 21/10
A47J 43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
指把持部(5)を切り替えヒンジ(5a)で支持部(2)の下端一端に接合し、指把持部(5)を切り替えヒンジ(5a)で支持部(2)の左右両面に屈曲できるようにし、左右どちらの利き腕の中指Nを挿入しても使いやすいように構成した請求項1または請求項2のトング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子などの食物を食する際に,それらを直接手指でつまんで手を汚してしまうことを防ぐための器具で、食物を取り上げるトングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトングは、二つの長い棒状の物の一端同士が接合されて形成されているものがほとんどであった。
接合部分は弾力性があり、二対の棒同士の先端は離れている。
二対の棒の中ほどを把持し、その把持した手を握って先端を閉じ、その先端に食物を挟んで取り上げて口に運んでいた。(特許文献1)
【0003】
また、(特許文献2)のように棒状の物を二つエックス型に支軸で組み合わせ、ハサミのように先端に食物を挟み込んで取り上げるトングもあった。
【0004】
また、(特許文献3)のようにカバーを手指の先に直接に着せて食物を取り上げる際、指を汚れから守るものもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-92628号公報
【文献】実願2007-10069号公報
【文献】実願2017-2071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のトングには、次のような欠点があった。
スマートフォン、パソコン、読書など手指で作業しながら菓子などの食物の一片を食する際、直接手指で食物をつまみ上げると手指に食物の油脂、砂糖などの汚れが付着してしまい、そのままの手指で作業をすると作業対象のスマートフォンなどの画面やパソコンのキーボード、書物の紙の表面に手指の汚れが付着してしまう。
(イ)それを防ぐにはいったん作業を中止し手指をティッシュなどで拭う、あるいは、トングを取り上げ、それにて食物を挟み込み、口に運び、また、トングを適所に置いて作業を再開するという手順を繰り返し踏む必要があった。
それらの手間はゲームやチャットなど連続して作業を行いたい場合に特に煩わしく感じるものであった。(特許文献1)、(特許文献2)の両発明では同様の問題があった。
【0007】
(特許文献3)の発明では、トングを持ったり離したりするものではなく常に手指に装着しておくものであり、指のカバーである。
(ロ)手指の先には食物の汚れは付着しないが、カバー自体に菓子などの食物の汚れが付着するため、スマートフォンなど素の手指が必要な作業を再開するためにはカバーを脱がなくてはならず、作業を中断し、また、菓子を食べるためには再装着しなければならず着脱の手間がかかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
L字型の薄い板、又は棒である、挟み部(1)と、その挟み部(1)の下端(1b)一端をその下端(1b)に対して90度近い角度で延長して設けた、支持部(2)とで構成されてなるトング部を一対、それぞれ(3A)、(3B)とし、それら両トング部を互いの非対称面を重ね合わせて重なった挟み部の下端(1b)部分で回動自在に、支軸(4)にて接合し、トング部(3A)、(3B)それぞれの支持部(2)の一端に管状で指を一本挿入し貫通し、指先に係止できる指把持部(5)、もう一端に輪状のバンド(6c)と手のひらあて部(6b)、もしくは指の股を挟み込む構成の指挟み上(6d)と指挟み中(6e)及び手のひらあて部(6b)からなる手のひら把持手段(6)を備えてなるトングであり、手に装着したままそのトングで食物をつかみ、かつそのトングを装着したままの手指でスマートフォンが操作できるトング。
上記、手のひら把持手段(6)に代わって、管状で指を一本挿入し貫通し、手指の根元に装着する指把持手段(7)を備えてなるトング。
上記、指把持部(5)を切り替えヒンジ(5a)で支持部(2)の下端一端に接合し、指把持部(5)を切り替えヒンジ(5a)で支持部(2)の左右両面に屈曲できるようにし、左右どちらの利き腕の中指(N)を挿入しても使いやすいように構成したトング。
【発明の効果】
【0009】
課題で示した問題は、L字型の薄い板、又は棒である、挟み部(1)と、その挟み部(1)の下端(1b)一端をその下端(1b)に対して90度近い角度で延長して設けた、支持部(2)とで構成されてなるトング部品を一対、それぞれ(3A)、(3B)とし、それら両トング部品を互いの非対称面を重ね合わせて重なった挟み部の下端(1b)部分で回動自在に、支軸(4)にて接合し、トング部品(3A)、(3B)それぞれの支持部(2)の一端に管状で指を一本挿入し貫通し、指先に係止できる指把持部(5)、もう一端に輪状のバンド(6c)と手のひらあて部(6b)、もしくは指の股を挟み込む構成の指挟み上(6d)と指挟み中(6e)及び手のひらあて部(6b)からなる手のひら把持手段(6)を備えてなるトングであり、手に装着したままそのトングで食物をつかみ、かつそのトングを装着したままの手指でスマートフォンが操作できるトングを形成することで解決した。
【0010】
(0006)(イ)の課題はお菓子を食するたびごとに、いったん作業を中止し手指をティッシュなどで拭う必要があること、それを防ぐためトングを使用すると、トングを取り上げ、それにて食物を挟み込み、口に運び、また、トングを適所に置いて作業を再開するという手順を繰り返すことが煩わしいことであった。
しかし本発明では作業に必要な手指には、その作業の妨げにならないようにトングが装着されている。
手指は必要に応じてトングを保持、放棄したりする必要はない。
いったん作業を中止してトングで菓子などの食物を取り上げ口に運んでも、すぐに、また、必要な手指で作業を再開することができる。作業を再開する手順が煩わしくはない。
このさい食物で汚れるのは、常に手指に装着しているトング先端のみであり作業に使用する手指が汚れることはない。
また、このトングは手指、手のひらに垂直に近い状態で起立しておりスマートフォンの画面やキーボードの表面、読書の紙面に接触することなく作業の妨げになることはない。
【0011】
(0007)(ロ)記載の問題は指のカバーであり、そのカバー越しに手指で食物をつまむとき手指の先には食物の汚れは付着しないが、カバー自体に菓子などの食物の汚れが付着することである。
スマートフォンなどカバーをかけない素の手指が必要な作業を再開するためにはその汚れの付着したカバーを一旦、脱がなくてはならず、作業を中断し、また、菓子を食べるためには再装着しなければならず着脱の手間がかかったことである。
しかし本発明では(0010)記載の問題解決でも示したように作業に必要な手指には、その作業の妨げにならないようにトングが装着されている。
手指は常にカバーをかけられることなく自由に動くことができる。
いったん作業を中止してトングで菓子などの食物を取り上げ口に運んでも、すぐに、また、必要な手指で作業を再開することができる。カバーの着脱の手間はかからない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
手指を汚さないようにお菓子などの食物を取り上げるトングにおいて、その同じ手指を使って同時にスマートフォンなどの機器を操作する際に、保持しているトングを放棄して機器を操作後、また食物を取り上げるために保持し直すという動作の繰返しの必要のないトングを実現した。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明装置の一実施例の斜視図であって一対それぞれトング部(3A)、(3B)はL字型の薄い板、又は棒である、挟み部(1)と、その挟み部(1)の下端(1b)一端をその下端(1b)に対して90度近い角度で延長して設けた、支持部(2)とで構成されている。それら両トング部を互いの非対称面を重ね合わせて重なった挟み部の下端(1b)部分で回動自在に、支軸(4)にて接合する。破線はこの斜視図の見えない(1b)部分を表す。
トング部(3A)の支持部(2)の一端に管状で指を一本挿入し貫通し、指先に係止できる指把持部(5)を設ける。その指把持部(5)は指が貫通でき、指の先が露出するのが望ましい。トング部(3B)の支持部(2)の一端には手のひら把持手段(6)を備える。その手のひら把持手段(6)はここでは一端に輪状のバンド(6c)と手のひらあて部(6b)とそれを支持部(2)に回動できるように接合するヒンジ(6a)から構成されてなる。
【0014】
これを使用するときには、以下のように行う。
図2は本発明のトングの使用例である。ここでは使用者の利き腕は右手とし事例を記載する。
中指Nに指把持部(5)を装着し、中指Nと人差し指Hの指の間にトング部(3B)を挟み込むように保持する。
本発明全体が手よりずり落ちないように手のひら把持手段(6)の手のひらあて部(6b)部分を手のひらの側にあて(6c)のバンドの輪を親指Oと人差し指Hの間に通して固定する。(6c)のバンド部分は着脱が容易なようにやはり伸縮自在な素材で形成するのが望ましい。
【0015】
図3は本発明のトングを手指に装着したままスマートフォンで作業する場面の側面図である。
スマートフォンSの作業画面Gに対して、スマートフォン操作によく利用する人差し指Hや親指O、その他の指、指先が露出した中指Nに至るまで手指は直接に対峙している。主にトング部(3A)、(3B)から構成されてなるトング本体は手の甲Kの上方に対して垂直に近い状態で起立しており、その先端(1a)がスマートフォンの画面Gに直接触れて操作の妨げになることはない。手指がトングを装着してもそれに妨げられることがないのはパソコンのキーボードやマウスの操作、読書の場合の本の紙面をめくる作業でも同じである。
【0016】
図4は本発明のトングが菓子などの食物を取り上げる側面図であり、それを口に運ぶ前の作業である。
中指Nを手のひら側E方向に曲げるとトング部(3A)と(3B)それぞれの支持部(2)間の距離mは近くなる。
それとともに支軸(4)を支点としてそれぞれの挟み部(1)の先端(1a)の距離Mも短くなりお互いに接触できる状態となる。
両先端(1a)は
図1のようにお互いに接触しやすいように幅広く形成するのが望ましい。
その間にあるポテトチップスPは両先端(1a)に挟まれ取り上げられる。
また、この時、手のひら把持部(6)のヒンジ(6a)を支点にトング部(3A)、(3B)は矢印F方向の指先方向に前傾するためポテトチップPを口に運びやすくなる。
油脂の多いポテトチップスPに接触しているのはトング部(3A)、(3B)の(1a)部分であり指N、Oその他の指にポテトチップスPの油脂が付着することはない。ゆえにそれらの指で触る作業対象物にも汚れである油脂は付着しない。
スマートフォンなどの汚れによる誤作動もなく衛生的でもある。ポテトチップスPを食した後、すぐに
図3の状態に戻って作業を再開することができる。
作業中のトングの着脱の手間もない。
【実施例2】
【0017】
図5の実施例は本発明においての手のひら把持手段(6)を(実施例1)とは別の形態にしたものである。手のひら把持手段(6)を指間挟み上(6d)、指間挟み中(6e)、手のひらあて部(6b)、ヒンジ(6a)で形成する。ここでは手のひらあて部(6b)は十字型に形成し中指Nと人差し指Hを挟み込みやすいようになっている。
【0018】
図6は
図5の本発明の人差し指と中指の間Tに指間挟み中(6e)、この図では表面より見えないため破線で表す、を挟み、手の甲K上に指間挟み上(6d)を突き出し、手のひらあて部(6b)との間で手のひら把持手段(6)を人差し指と中指の間Tに固定できるようにした。また中指Nを指把持部5の管の中に挿入した。この実施例においても(0014)から(0016)で示したような作業を行うことができる。
【実施例3】
【0019】
図7は手のひら把持手段(6)に置き換えて、管状で指を一本挿入し貫通でき、手指の根元に装着する指把持手段(7)を備えた本発明の事例である。
図7のAは装着した時の拡大図、Bは菓子であるポテトチップスPをつまんだ時の側面図である。
指把持手段(7)はその側面(7a)部分でトング部(3B)の支持部(2)の側面部分に回動できるように接合されている。
図7のBのように中指Nを内に折り曲げることによって記載(0014)から(0016)までの作業を行うことができる。
このように手のひら把持手段(6)は指把持手段(7)で置き換えることができる。
【実施例4】
【0020】
図8は指把持部(5)を切り替えヒンジ(5a)で支持部(2)の下端一端に接合し、指把持部(5)を切り替えヒンジ(5a)で支持部(2)の左右両面に屈曲できるようにし、左右どちらの利き腕の中指Nを挿入しても使いやすいように構成したことを表した拡大図である。
図8のAでは指把持部(5)には主に中指Nを挿入して用いるが右手に装着する場合、使用者側から見て中指Nは人差し指Hの右側に存在する。
図8のBでは逆に左手に装着する場合には使用者側から見て、中指Nは人差し指Hの左側に存在する。
それぞれ側の中指Nに装着しやすいよう指把持部(5)を切り替えヒンジ(5a)で支持部(2)の左右両面のそれぞれの側に屈曲できるようにした。
図8のAは右利きの場合、Bは左利きの場合である。両図のトングは同一のものであり指把持部(5)が矢印QまたはWの方向に変化した場面を表す。
【符号の説明】
【0021】
1 挟み部
1a 挟み部の先端
1b 挟み部の下端
2 支持部
3A トング部品
3B トング部品
4 支軸
5 指把持部
5a 切り替えヒンジ
6 手のひら把持手段
6a ヒンジ
6b 手のひらあて部
6c バンド
6d 指間挟み上
6e 指間挟み中
7 指把持手段
7a 指把持手段と支持部2の接合部分
N 中指
H 人差し指
O 親指
K 手の甲
T 人差し指と中指の間
S スマートフォン
G スマートフォンの操作画面
E 中指Nの動く方向矢印
m 支持部(2)間の距離
M 挟み部の先端(1a)間の距離
P ポテトチップス
F トング部品(3A)、(3B)の動く方向矢印
Q 指把持部(5)の移動した方向
W 指把持部(5)の移動した方向