(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】非鉛強誘電体薄膜
(51)【国際特許分類】
C23C 14/08 20060101AFI20220427BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20220427BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20220427BHJP
H01L 41/113 20060101ALI20220427BHJP
C04B 35/453 20060101ALI20220427BHJP
C01G 29/00 20060101ALI20220427BHJP
H01B 3/12 20060101ALI20220427BHJP
C23C 14/34 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
C23C14/08 K
H01L41/187
H01L41/09
H01L41/113
C04B35/453
C01G29/00
H01B3/12 318A
H01B3/12 319
C23C14/34 A
(21)【出願番号】P 2018085998
(22)【出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】513099603
【氏名又は名称】兵庫県公立大学法人
(73)【特許権者】
【識別番号】000108764
【氏名又は名称】タテホ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小舟 正文
(72)【発明者】
【氏名】右田 翼
(72)【発明者】
【氏名】亀井 忠輔
【審査官】今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/102985(WO,A1)
【文献】Kaibin Ruan et al.,Improved photoluminescence and electrical properties of Eu- and Gd-codoped bismuth titanate ferroelectric thin films,Journal of Applied Physics,米国,2008年12月31日,103,p.086104
【文献】Fenfzhen Huang et al.,Multiferroic properties and dielectric relaxation of BiFeO3/Bi3.25La0.75Ti3O12 double layered thin films,Journal of Applied Physics,2007年12月31日,90,p.252903
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/08
H01L 41/187
H01L 41/09
H01L 41/113
C04B 35/453
C01G 29/00
H01B 3/12
C23C 14/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bi、Ti、及びランタノイドを含有する酸化物からなり、c軸方向に結晶配向性を有する非鉛強誘電体酸化物薄膜
であって、
前記ランタノイドがNd及びEuであり、
前記酸化物において、Bi、Ti、Nd及びEuの合計量に対するBi、Ti、Nd及びEuそれぞれの元素比率が、40~65at%、35~55at%、1~15at%、及び、1~15at%であり、
前記酸化物薄膜のc軸方向への配向率が97.0%以上である、非鉛強誘電体酸化物薄膜。
【請求項2】
請求項
1に記載の非鉛強誘電体酸化物薄膜と、基板を含む、積層体。
【請求項3】
請求項
1に記載の非鉛強誘電体酸化物薄膜又は請求項
2に記載の積層体を含むマルチフェロイック素子。
【請求項4】
請求項
1に記載の非鉛強誘電体酸化物薄膜又は請求項
2に記載の積層体を含む圧電素子。
【請求項5】
請求項
1に記載の非鉛強誘電体酸化物薄膜又は請求項
2に記載の積層体を含む強誘電体メモリ。
【請求項6】
請求項
1に記載の非鉛強誘電体酸化物薄膜又は請求項
2に記載の積層体を含むセンサー又はアクチュエーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉛強誘電体薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、強誘電性を示す組成物(強誘電体セラミックス)として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の鉛を含む強誘電体組成物が広く知られている。このような強誘電体組成物は、誘電率や圧電性といった強誘電体としての性質(強誘電性)に優れ、様々な工業的分野において広く用いられている。
【0003】
しかしながら、近年、環境保護の観点から、鉛を含まない物質や製品を使用する動きが広まっており、これは強誘電体組成物の分野においても同様である。よって、鉛を含まない強誘電体組成物、すなわち非鉛強誘電体組成物が求められている。
【0004】
非鉛強誘電体組成物としては、例えば、チタン酸ビスマス(BT)やチタン酸ビスマスランタン(BLT)等を含む組成物について研究が進んでいる(例えば特許文献1を参照)。しかし、これら非鉛強誘電体組成物でも、分極特性が十分ではなく、チタン酸ジルコン酸鉛等の鉛を含む強誘電体組成物を完全に代替するには至っていない。
【0005】
また、近年ナノピラー型マルチフェロイックを構成する磁性体薄膜の下地材として、c軸方向に結晶配向性を有し、a軸方向に沿う大きな自発分極をもつ非鉛強誘電体薄膜、中でもビスマス層状構造強誘電体(BLSFs)薄膜の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑み、鉛を含まず、かつc軸方向に優れた結晶配向性を有する新規の非鉛強誘電体薄膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明者らが種々検討を重ねたところ、Bi、Ti及びランタノイドを含有する酸化物からなる非鉛強誘電体薄膜が、c軸方向に優れた配向性を示すことを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち本発明は、Bi、Ti、及びランタノイドを含有する酸化物からなり、c軸方向に結晶配向性を有する非鉛強誘電体酸化物薄膜に関する。好ましくは、前記ランタノイドが、Sm、Eu、Gd、Tb、La、及びNdからなる群より選択される少なくとも1種以上である。好ましくは、前記ランタノイドの含有量が2~30at%である。好ましくは、前記ランタノイドがNd及びEuである。好ましくは、前記酸化物において、Bi、Ti、Nd及びEuの合計量に対するBi、Ti、Nd及びEuそれぞれの元素比率が、40~65at%、35~55at%、1~15at%、及び、1~15at%である。好ましくは、前記酸化物薄膜のc軸方向への配向率が97.0%以上である。また、本発明は、前記非鉛強誘電体酸化物薄膜と、基板を含む、積層体に関するものであってよい。本発明は、前記非鉛強誘電体酸化物薄膜又は前記積層体を含むマルチフェロイック素子、圧電素子、強誘電体メモリ、又は、センサー若しくはアクチュエーターであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、鉛を含まず、かつc軸方向に優れた結晶配向性を有する新規の非鉛強誘電体薄膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1の酸化物薄膜の表面を電界放射型走査電子顕微鏡により撮影した写真
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明に係る非鉛強誘電体薄膜は、鉛を含まず、ビスマス(Bi)、チタン(Ti)及びランタノイドを含有する酸化物からなるものである。前記ランタノイドとしては、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ランタン(La)、及びネオジム(Nd)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ネオジム(Nd)及びユーロピウム(Eu)の双方を含有することがより好ましい。前記酸化物薄膜は、複合酸化物であっても良いし、単純酸化物及び/又は複合酸化物の混合物であってもよい。
【0014】
前記酸化物薄膜がビスマス(Bi)、チタン(Ti)、ネオジム(Nd)及びユーロピウム(Eu)を含有する場合、Bi、Ti、Nd及びEuの合計量に対するBi、Ti、Nd及びEuそれぞれの元素比率が、40~65at%、35~55at%、1~15at%、及び、1~15at%であることが好ましい。各元素のモル数の割合が上記範囲内であると、非鉛強誘電体薄膜が示す分極性能をより良好なものとすることができる。Bi、Ti、Nd及びEuそれぞれの元素比率は、より好ましくは、45~60at%、37~54at%、1~10at%、及び、1.1~10at%であり、さらに好ましくは、48~55at%、37~52at%、1.1~9at%、及び、1.2~9at%である。
【0015】
さらに、前記酸化物薄膜はc軸方向に優れた結晶配向性を有している。c軸方向の配向率としては97.0%以上が好ましく、98.0%以上がより好ましい、99.0%以上がさらに好ましい。該配向率が97.0%以上であると、反応性イオンエッチング等によって酸化物薄膜にナノ加工を施し、ナノピラー型マルチフェロイックデバイスを構成する磁性体薄膜の下地材として使用することができ、このような用途に使用した場合、a/b軸方向がピラーの側面に位置するため、効率よく分極軸を刺激することができ、高い電気磁気効果の発現が期待できる。なお、a軸方向とは、結晶の面成長方位を[hkl]と表したとき[h00]方向であることを意味し、c軸方向とは[00l]方向であることを意味する。
【0016】
次に、本発明に係る薄膜を製造する方法を具体的に説明するが、本発明は以下の製造方法に限定されるものではない。
【0017】
(原料準備工程)
まず、原料として酸化ビスマス又はその前駆体、酸化チタニウム又はその前駆体、及びランタノイドの酸化物又は前駆体を準備する。前記前駆体としては、後述する焼成工程等によって酸化物に変換し得る物質を使用することができ、具体的には、各元素の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等を使用することができる。
【0018】
(粉砕及び混合工程)
次に、準備した各原料を粉砕及び混合する。粉砕及び混合は公知の方法を用いて行うことができる。混合方法は乾式混合であっても良いし、湿式混合であっても良いが、湿式混合の場合、メタノール又はエタノール等のアルコール溶媒中で湿式混合を行うことが好ましい。粉砕及び混合に使用する装置としては、例えば、ボールミル、乳鉢、及びスターラー等の各種混合装置を用いることができる。湿式混合を実施した後は、適宜乾燥させればよい。
【0019】
(焼成工程)
次に、混合後の原料を焼成して非鉛強誘電体薄膜を構成する非鉛強誘電体組成物を製造する。焼成温度は、500℃~1000℃の範囲内であることが好ましいが、原料の組成によって最適な温度を選択することができる。
【0020】
また、焼成時間は、1時間~10時間の範囲内であることが好ましいが、原料の組成や原料の大きさによって最適な時間を選択することができる。焼成は、通常の大気雰囲気下、不活性ガスと酸素を混合した雰囲気下、又は酸素雰囲気下等、各種の条件で行うことができる。
【0021】
(成形工程)
次に、焼成工程により得た非鉛強誘電体組成物の粉末を成形する。成形は、例えば、ダイスやプレス機等、各種公知の成形機器を用いて行うことができる。成形時にかける圧力は、例えば、10MPa~400MPaの範囲内とすることが好ましいが、組成物の組成や前記粉末の大きさによって最適な圧力を選択することができる。
【0022】
この成形工程の圧力や時間を選択することによって、得られる成形体の相対密度を40~60%とすることが好ましい。成形体の相対密度は、より好ましくは42~55%、さらに好ましくは44~50%である。
【0023】
(焼結工程)
焼結体を製造する場合には、上述した各原料を混合してホットプレスによって焼結体を製造することができる。その場合、粉末状の各原料をカーボン製ダイスに充填し、温度500~1000℃、圧力10~200MPaの条件でホットプレスを実施することができる。また、焼結体は、上述のように前記成形体を作製した後、該成形体を大気雰囲気中で焼成することでも製造することができる。焼結体を製造するにあたっては、成形補助材として水および/またはバインダー(例えば、ポリビニルアルコール等)を原料に加えてもよい。
【0024】
焼結工程の温度や圧力、時間を選択することによって、得られる焼結体の相対密度を80%以上100%以下とすることが好ましい。焼結体の相対密度は、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
【0025】
(酸化物薄膜の製造工程)
本発明の非鉛強誘電体薄膜は、例えば、スパッタリング法によって製造することができる。具体的には、非鉛強誘電体組成物の成形体又は焼結体からなるターゲットを用意し、高周波マグネトロンスパッタ装置等を利用することによって、基板上に当該酸化物薄膜を形成することができる。
【0026】
基板を構成する材料としては、本発明の非鉛強誘電体酸化物薄膜がc軸方向にエピタキシャル成長し、優れた結晶配向性を示すものであればよく、例えば、酸化マグネシウム単結晶、チタン酸ストロンチウム単結晶、酸化コバルト単結晶、酸化銅単結晶を使用することができる。また、基板上に白金膜を形成し、その上に本発明の非鉛強誘電体酸化物薄膜を形成してもよい。
【0027】
本発明の非鉛強誘電体酸化物薄膜の厚さは、特に限定されないが、500nm~5000nmの範囲内にあることが好ましい。
【0028】
なお、スパッタリングの条件や焼結体の製造条件によってビスマスが試料表面から再蒸発する可能性がある場合は、再蒸発するビスマスを補償することで所期に設計した化学組成を維持することを目的として、成形体または焼結体に対して、薄膜における所望量よりも過剰に酸化ビスマス又はその前駆体を添加しておくことができる。
【0029】
非鉛強誘電体酸化物薄膜のc軸方向の結晶配向率は、スパッタリング時の基板の温度によってコントロールすることができる。スパッタリング装置や酸化物薄膜の組成により最適な温度範囲が異なる場合があるが、例えばBi、Ti、Nd及びEuそれぞれの元素比率が、54at%、36at%、8at%、及び、2at%の場合は、基板温度を600~700℃にすると、c軸方向の配向率が98.0%を超える酸化物薄膜を製造することができる。
【0030】
その他のスパッタリング条件としては、例えば、雰囲気ガスとしてアルゴンと酸素の任意の混合割合の混合ガスを用い、流量を10~100sccm、真空度を1.0×10-3Pa以下、成膜時間を30~300min、有効電力を100~200Wに設定することができる。
【0031】
本発明の非鉛強誘電体酸化物薄膜は、上記の方法によって製造されたものに限定されない。最終的に得られる酸化物薄膜が所定の組成を有し、c軸方向の配向率が所定の範囲であれば良い。上述した方法以外の、非鉛強誘電体酸化物薄膜を製造する方法としては、例えば、成形体又は焼結体の非鉛強誘電体組成物を介さずに、ゾル-ゲル法、塗布法、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、物理的気相成長法(PVD)、又は、化学気相成長法(CVD)により薄膜を形成する方法や、成形体を焼成した後、高周波マグネトロンスパッタリング装置を用いて薄膜を形成する方法が挙げられる。
【0032】
本発明の非鉛強誘電体酸化物薄膜を適用する具体的な用途としては、特に限定されず、例えば、マルチフェロイック素子、圧電素子、強誘電体メモリ、センサー又はアクチュエーター等を挙げることができる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
(実施例1~4及び比較例1)
原料準備工程
原料として粉末状の酸化ビスマス(純度99.9%以上、粒子径2.6μm)、粉末状の酸化チタン(純度99.9%以上、粒子径3.1μm)、粉末状の酸化ネオジム(純度99.9%以上、粒子径1.6μm)、及び、粉末状の酸化ユーロピウム(純度99.9%以上、粒子径1.8μm)を準備した。各原料を最終的に得られる元素比率が表1記載の元素比率になるように調整して秤量した。
【0035】
粉砕及び混合工程
次に、用意した各原料の粉末を粉砕及び混合した。当該粉砕及び混合は乳鉢を用いて、エタノール湿式混合により行った。その後、乾燥機(タバイ製 Labostar GRAVITY OVEN LG-122型)を使用して90℃で2時間乾燥させた。
【0036】
焼成工程
次に、混合した原料を焼成して非鉛強誘電体組成物を製造した。焼成は、大気雰囲気中で電気炉(アズワン製 MPH-1N型)を用いて750℃、3時間の条件で行った。なお、昇温速度は5℃/分とし、冷却速度は4℃/分とした。焼成後、常温まで冷却して粉末状の非鉛強誘電体組成物を得た。
【0037】
成形工程
次に、非鉛強誘電体組成物を成形した。成形は、直径100mmの金型を用い、40MPaの圧力を2分間維持することにより行った。これにより直径100mm、厚さ約5mmの円柱状の、非鉛強誘電体組成物で構成された相対密度48%の成形体を得た。
【0038】
成膜工程
成膜用の基板として、MgO単結晶基板を用いた。基板の大きさは7.0×7.0mm、厚さ0.4mmである。
【0039】
成形工程で得られた非鉛強誘電体組成物で構成された成形体をターゲットとして、高周波マグネトロンスパッタリング装置(アネルバ株式会社製 SPF-210B)を用いて、前記MgO単結晶基板上に、膜厚1.8μmの非鉛強誘電体組成物から構成されるc軸方向に優れた結晶配向性を有する酸化物薄膜を成膜した。なお、スパッタリングは以下の条件で行った。
・雰囲気:Ar/O2=9:1 (50sccm)
・基板温度:580~650℃(表1に表示)
・真空度:5.0×10-4Pa
・成膜時間:200min
・有効電力:120W
【0040】
高周波多層スパッタリング装置(アネルバ株式会社製)を用いて、前記MgO単結晶基板の裏面にTi電極を作製し、さらに、前記非鉛強誘電体組成物から構成される酸化物薄膜の上面にPt電極を作製した後、前記非鉛強誘電体組成物から構成される酸化物薄膜の特性を評価した。
【0041】
(評価方法)
(FE-SEM観察)
電界放射型走査電子顕微鏡(JEOL製 JSM-7001F)を用いて、加速電圧5kV、及び、WD10mmの条件で、酸化物薄膜の表面を観察した。実施例1の酸化物薄膜の表面を撮影した顕微鏡写真を
図1に示す。
【0042】
(酸化物薄膜の元素比率の測定方法)
電界放射型走査電子顕微鏡(JEOL製 JSM-7001F)に付属のエネルギー分散型X線分光器を用いて、加速電圧15kV、倍率500倍の条件で、計数カウントが8000cps以上になるよう照射電流を調整して測定を行なった。5視野撮影して得た5つの値の平均値を表1に示した。
【0043】
(膜厚の測定方法)
触針式表面形状測定器(Bruker社製 Dektak-3030)により白金下部電極から当該酸化物薄膜まで走査し、計測した段差を膜厚とした。
【0044】
(結晶方位の測定方法)
2次元検出器を搭載したX線回折(Bruker社製 D8μ-HR)を用いて結晶方位を測定した。測定条件は、管電圧40kV、管電流40mV、ステップ時間200s/ステップ、2θ:10-55°とした。得られたX線回折ピークから次式によりc軸方向の配向率を算出した。
配向率=([00l]のX線回折ピークの積分強度の総和÷全X線回折ピークの積分強度の総和)×100)
ただし、基板及び電極由来のX線回折ピークは除く。
【0045】
【表1】
表1より、実施例1~4は、c軸方向に結晶配向性が優れていることが分かる。一方、比較例1は、実施例1~4と比較して低いc軸方向の配向率を示した。