(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】気泡生成装置
(51)【国際特許分類】
B63B 1/38 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
B63B1/38
(21)【出願番号】P 2018003688
(22)【出願日】2018-01-12
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(73)【特許権者】
【識別番号】513218271
【氏名又は名称】合同会社アプテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 豊
(72)【発明者】
【氏名】池 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】上澤 伸一郎
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163492(JP,A)
【文献】特開2014-104441(JP,A)
【文献】特開平04-260427(JP,A)
【文献】特開昭50-049769(JP,A)
【文献】特開2001-239995(JP,A)
【文献】特開2002-274478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船体
内部における喫水線より下方に位置する部分に設けられ
、前記船舶の船首尾方向に沿って延びる筒状の気泡生成装置であって、
水が内部に流入する流入口と、
この気泡生成装置の内側に気体を供給する給気部と、
前記流入口から後方に向かうに従い、縮径する第1縮径部と、
前記第1縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第1拡径部と、
前記第1拡径部から後方に向かうに従い、縮径する第2縮径部と、
前記第2縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第2拡径部と、
前記第2拡径部から、水と気体との混相流体を排出する排出口と、を備え、
前記流入口は、前記船体における船首もしくは船底に開口しており、
前記排出口は、前記船体における船底もしくは側面に開口しており、
前記第1拡径部は、前記第1縮径部から前記第2縮径部まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、
前記第2拡径部は、前記第2縮径部から前記排出口まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、
前記第1縮径部および前記第2縮径部それぞれにおける流体の流速は、気泡生成装置全体における流体の平均流速と比べて増大しているとともに、
前記第2縮径部における流体の流速は、超音速となっている気泡生成装置。
【請求項2】
第2縮径部における流体の流速は、第1縮径部における流体の流速よりも速い請求項1に記載の気泡生成装置。
【請求項3】
前記流入口は、前記船体における船首から前方に向けて開口している請求項1又は2に記載の気泡生成装置。
【請求項4】
前記排出口は、前記船体における船底から
外部にむけて開口している請求項1から3のいずれか1項に記載の気泡生成装置。
【請求項5】
前記給気部はマニホールドを備え、
前記給気部には、前記船舶の機関部からの排気が流下する請求項1から4のいずれか1項に記載の気泡生成装置。
【請求項6】
船舶の船体
内部における喫水線と同等の位置に設けられ
、前記船舶の船首尾方向に沿って延びる筒状の気泡生成装置であって、
水および空
気が内部に流入する流入口と、
前記流入口から後方に向かうに従い、縮径する第1縮径部と、
前記第1縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第1拡径部と、
前記第1拡径部から後方に向かうに従い、縮径する第2縮径部と、
前記第2縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第2拡径部と、
前記第2拡径部から、水と気体との混相流体を排出する排出口と、を備え、
前記流入口は、前記船体における船首に開口しており、
前記排出口は、前記船体における船底もしくは側面に開口しており、
前記第1拡径部は、前記第1縮径部から前記第2縮径部まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、
前記第2拡径部は、前記第2縮径部から前記排出口まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、
前記第1縮径部および前記第2縮径部それぞれにおける流体の流速は、気泡生成装置全体における流体の平均流速と比べて増大しているとともに、
前記第2縮径部における流体の流速は、超音速となっている気泡生成装置。
【請求項7】
前記気泡生成装置の内側に気体を供給する給気部を備えている請求項6に記載の気泡生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶に取付けられる気泡生成装置として、例えば下記特許文献1に示すような、船底に固定翼を取付ける構成が知られている。
この気泡生成装置では、船底と固定翼との間の空間に負圧域を発生させるとともに、大気を前記空間に供給して負圧域に吸い込ませることで、水と空気との混相流体内に微細気泡を生成する。
そして、このように生成された微細気泡を、船体と水との界面に介在させることにより、船舶が水から受ける摩擦抵抗を低減し、船舶の燃費の向上を実現することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の気泡生成装置では、固定翼を船底に取付けることで、船舶が水から受ける抵抗力が増加し、かえって燃費が悪くなるおそれがあった。また、船舶の推進動作により、船底と固定翼との間の空間に水が流入される為、船舶の推進速度が低い場合には、前記空間を充分に負圧にすることができず、微細気泡を確実に生成できないおそれがあった。
【0005】
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであって、船舶が水から受ける抵抗力を増加させることなく、微細気泡を確実に生成することができる気泡生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、船舶の船体内部における喫水線より下方に位置する部分に設けられ、前記船舶の船首尾方向に沿って延びる筒状の気泡生成装置であって、水が内部に流入する流入口と、この気泡生成装置の内側に気体を供給する給気部と、前記流入口から後方に向かうに従い、縮径する第1縮径部と、前記第1縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第1拡径部と、前記第1拡径部から後方に向かうに従い、縮径する第2縮径部と、前記第2縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第2拡径部と、前記第2拡径部から、水と気体との混相流体を排出する排出口と、を備え、前記流入口は、前記船体における船首もしくは船底に開口しており、前記排出口は、前記船体における船底もしくは側面に開口しており、前記第1拡径部は、前記第1縮径部から前記第2縮径部まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、前記第2拡径部は、前記第2縮径部から前記排出口まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、前記第1縮径部および前記第2縮径部それぞれにおける流体の流速は、気泡生成装置全体における流体の平均流速と比べて増大しているとともに、前記第2縮径部における流体の流速は、超音速となっている。
【0007】
また、本発明の一態様は、前述した気泡生成装置において、第2縮径部における流体の流速は、第1縮径部における流体の流速よりも速い。
また、本発明の一態様は、前述した気泡生成装置において、前記流入口は、前記船体における船首から前方に向けて開口している。
【0008】
また、本発明の一態様は、前述した気泡生成装置において、前記排出口は、前記船体における船底から外部にむけて開口している。
また、本発明の一態様は、前記給気部はマニホールドを備え、前記給気部には、前記船舶の機関部からの排気が流下してもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、船舶の船体内部における喫水線と同等の位置に設けられ、前記船舶の船首尾方向に沿って延びる筒状の気泡生成装置であって、水および空気が内部に流入する流入口と、前記流入口から後方に向かうに従い、縮径する第1縮径部と、前記第1縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第1拡径部と、前記第1拡径部から後方に向かうに従い、縮径する第2縮径部と、前記第2縮径部から後方に向かうに従い、拡径する第2拡径部と、前記第2拡径部から、水と気体との混相流体を排出する排出口と、を備え、前記流入口は、前記船体における船首に開口しており、前記排出口は、前記船体における船底もしくは側面に開口しており、前記第1拡径部は、前記第1縮径部から前記第2縮径部まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、前記第2拡径部は、前記第2縮径部から前記排出口まで、後方に向かうに従い漸次、拡径しており、前記第1縮径部および前記第2縮径部それぞれにおける流体の流速は、気泡生成装置全体における流体の平均流速と比べて増大しているとともに、前記第2縮径部における流体の流速は、超音速となっている。
【0010】
また、本発明の一態様は、前記気泡生成装置の内側に気体を供給する給気部を備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、船舶が水から受ける抵抗力を増加させることなく、微細気泡を確実に生成することができる気泡生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る気泡生成装置を備えた船舶の側面概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る気泡生成装置の縦断面図である。
【
図3】
図2に示す気泡生成装置のうち、第2縮径部および第2拡径部における混相流体の挙動を示す模式図である。
【
図4】
図3に示す混相流体の挙動を撮影した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1から
図4を参照し、本発明の一実施形態に係る気泡生成装置1について説明する。
図1に示すように、気泡生成装置1は、船舶50の船体50Aのうち、喫水線Lより下方に位置する部分に設けられている。図示の例では、気泡生成装置1は、
図1に2点鎖線で示すように、船舶50の船体50Aにおける喫水線Lより下方に位置する部分の下側に配置されている。
【0014】
図2に示すように、気泡生成装置1は、筒状をなしている。気泡生成装置1の中心軸線Oは、船舶50の船首尾方向に沿って延びている。以下の説明において、船首尾方向における船舶50の船首側を前方、船尾側を後方という。また、船首尾方向から見た平面視で、中心軸線Oと交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
気泡生成装置1は、水が内部に流入する流入口10と、この気泡生成装置1の内側に気体を供給する給気部12と、を備えている。
流入口10は、船体50Aにおける船首から前方に向けて開口している。
図1に示すように、船体50Aの船首には、前方に向けて突出する半球体状をなし、船舶50の造波抵抗を低減するバルバス・バウ50Bが設けられている。流入口10は、バルバス・バウ50Bから、前方に向けて開口している。
【0016】
給気部12は、マニホールド16を備えている。給気部12には船舶50の機関部からの排気が流下する。マニホールド16は、機関部と接続された筒状の本管16Aと、本管16Aの内周面から径方向の内側に向けて延びる複数の分岐管16Bと、を備えている。
本管16Aは、例えば、中心軸線Oと同軸に配置されている。分岐管16Bは本管16Aの周方向および船首尾方向の双方向に間隔をあけて、複数配置されている。複数の分岐管16Bは、後述する第1拡径部13の前端部内面に接続されている。
【0017】
図2に示すように、気泡生成装置1はまた、流入口10から後方に向かうに従い、連続的に滑らかに縮径する第1縮径部11と、第1縮径部11から後方に向かうに従い、連続的に滑らかに拡径する第1拡径部13と、を備えている。第1縮径部11および第1拡径部13は、船首尾方向に連続して形成されている。
【0018】
第1縮径部11の後端部における内径D2は、第1縮径部11の前端部における内径D1よりも小さくなっている。第1拡径部13の後端部における内径D3は、第1拡径部13の前端部における内径D2よりも大きくなっている。
第1縮径部11の前端部内径D1は、後方に向かうに従い、変化しないか若しくは連続的に滑らかに縮径している。
第1拡径部13は、後方に向かうに従い漸次、拡径している。
【0019】
気泡生成装置1はまた、第1拡径部13から後方に向かうに従い、縮径する第2縮径部14と、第2縮径部14から後方に向かうに従い、拡径する第2拡径部15と、を備えている。第2縮径部14および第2拡径部15は、船首尾方向に連続して形成されている。また、第2縮径部14は、第1拡径部13と船首尾方向に連続して形成されている。
【0020】
第2縮径部14の後端部における内径D4は、第2縮径部14の前端部における内径D3よりも小さくなっている。第2拡径部15の後端部における内径D5は、第2拡径部15の前端部における内径D4よりも大きくなっている。
第2縮径部14の前端部は、後方に向かうに従い漸次、縮径している。第2拡径部15は、後方に向かうに従い漸次、拡径している。
【0021】
気泡生成装置1はまた、第2拡径部15から外部に向けて、水と気体との混相流体を排出する排出口17を備えている。排出口17は、船体50Aにおける船底50Cから外部に向けて開口している。なお、
図2では、船底50Cにおける排出口17の構成の図示を省略している。
【0022】
そして、本実施形態では、第1縮径部11および第2縮径部14における混相流体の流速は、気泡生成装置1全体における流体の平均流速と比べて増大している。また、第2縮径部14における混相流体の流速は、超音速となっている。以下、この点について気泡生成装置1の作用と併せて詳述する。
【0023】
図1に示す状態から船舶50が前方に向けて推進すると、
図2に示すように、流入口10から水(符号L)が第1縮径部11の内側に流入する。ここで、第1縮径部11が縮径していることにより、水の流速が速くなり、図中矢印方向の圧力が低下する。そして、水の流速は、第1縮径部11から第1拡径部13に至る流体の経路において、第1直筒部11Aで速くなる。また、第1直筒部11A内の水の圧力は、流入口10の前方に位置する水の圧力に対して負圧となる。
【0024】
次に、水が第1縮径部11から第1拡径部13に入ると、第1拡径部13が次第に拡径していることにより、水の流速が次第に低下するとともに、図中矢印方向の圧力が上昇する。
この際、給気部12を通して、船舶50の機関部からのCO2を含む排気ガス(符号G)が第1拡径部13の内部に供給される。これにより、気体である排気ガスと水とが混ざり合い、気泡Bを含む気液の混相流体となる。
【0025】
次に、混相流体が第2縮径部14に差し掛かると、第1縮径部11と同様に、混相流体の流速が速くなるとともに、混相流体の図中矢印方向の圧力が低下する。
そして、混相流体の流速は、流入口10から排出口17に至る流体の経路において、第2直筒部14A付近で大きくなる。また、第2直筒部14A内の混相流体の図中矢印方向の圧力は、第1拡径部13内の混相流体の圧力に対して負圧となる。
【0026】
そして、混相流体が第2縮径部14から第2拡径部15に入ると、気泡が圧壊される。気泡が圧壊されて細分化することで、微細気泡(符号MB)が生成される。微細気泡の気泡径は、例えば10μm~100μmである。
【0027】
下記の参考文献に示すように、気体と液体との混相流体では音速が低下することが知られている。このため、流体の速度が音速を超えやすい状態となっており、第2縮径部14で流体の流速が速くなると、流体の流速が超音速となり、衝撃波が発生する。
<参考文献>混相流、27巻、5号、2014年、pp.531-538
【0028】
このため、第2縮径部14および第2拡径部15にて微細気泡が顕著に生成される状態となる。
また、第2縮径部14における流速は、第1縮径部11における流速よりも速くなっている。すなわち、気泡生成装置1の内側において、後方に位置する第2縮径部14の図中矢印方向の圧力が、第1縮径部11における同方向の圧力よりも低くなっている。この圧力差に基づいて、混相流体が後方に向けて順次流下してゆく。
【0029】
そして、排出口17から船体50Aの外部に微細気泡を含む混相流体が排出される。微細気泡は、気泡径が小さいため浮力が小さく、気泡体積に対する表面積の割合が大きいため、水中を漂いながら船体50Aと水との界面に長時間介在する。この微細気泡の存在効果により、船体50Aと水との間の摩擦抵抗を低減させることができる。これにより船舶50の燃費を向上させることができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る気泡生成装置1によれば、流入口10が前方に向けて開口しているので、船舶50の前方に向けた推進に伴って、気泡生成装置1の内側に水を流入させることができる。
また、第1縮径部11で水が船首から船尾を向く方向に減圧されることで負圧となり、この負圧の作用により給気部12から気体を円滑に第1拡径部13の内部に供給することができる。これにより、気体を気泡生成装置1の内側に送り出すための動力が必要なく、効率的に気泡生成装置1の内側に水と気体とを流入させることができる。
【0031】
また、気泡生成装置1が船体50Aの内部に設けられているので、船体50Aの外部に例えば固定翼のような他の部材を取付ける構成と比較して、船体50A全体が水から受ける抵抗力を小さくすることができる。このため、船舶50が推進する際に、気泡生成装置1が原因となって、船舶50が水から受ける抵抗力を増加させることがない。
さらに、気泡生成装置1が筒状であるため、固定翼と比較して製造コストとメンテナンスコストが抑えられる。
そして、第2縮径部14および第2拡径部15を経て、微細気泡を確実に生成することができる。
【0032】
また、第2縮径部14における流体の流速が、第1縮径部11における流体の流速よりも速くなっている。このため、気泡生成装置1の内側において、後方に位置する第2縮径部14の圧力が、第1縮径部11における圧力よりも低くなり、気泡生成装置1の前方から後方に向かう流体の流れを形成することが可能になる。これにより、仮に船舶50の前方に向けた推進速度が低い場合であっても、円滑に気泡生成装置1により微細気泡を生成し、排出口17から排出することができる。
【0033】
また、流入口10が船体50Aにおける船首から前方に向けて開口しているので、船舶50が前方に向けて推進した際に、船舶50の船体50Aのうち、最も水が衝突する部分に流入口10を設けることとなり、効率的に流入口10から水を取り込むことができる。
【0034】
また、排出口17が船体50Aにおける船底50Cから開口しているので、微細気泡を、船体50Aの側面よりも表面積の大きい船底50Cの近傍に排出することができる。これにより、より効率的に微細気泡を船体50Aと水との界面に介在させることが可能になり、微細気泡による燃費向上の効果を、顕著に奏功させることができる。
【0035】
また、給気部12がマニホールド16を備えているので、マニホールド16を通して円滑に第1縮径部11に気体を供給することができる。
また、マニホールド16に機関部から排出されるCO2が供給される。このため、CO2含む微細気泡を生成し、水中に排出することで、機関部から排気されるCO2を大気に排気することなく、水に溶け込ませることができる。これにより、船舶50からのCO2の排出を抑制し、環境負荷を低減することができる。
ここで、微細気泡は気泡径が小さいため、単位体積当たりの表面積が大きい。このため水と接する面積が大きくなることで、気泡が船体50Aに付着する効果が高くなるとともに、効率的にCO2を水に溶け込ませることができる。
【0036】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、船舶50の船首にバルバス・バウ50Bが設けられ、バルバス・バウ50Bの内部に気泡生成装置1が設けられている構成を示したが、このような態様に限られない。船舶50の船首にバルバス・バウが設けられなくてもよい。
【0037】
また、上記実施形態においては、第2縮径部14における混相流体の流速は、第1縮径部11における混相流体の流速よりも速い構成を示したが、このような態様に限られない。第1縮径部11における混相流体の流速は、第2縮径部14における混相流体の流速よりも速くても同等であってもよい。
【0038】
また、第1縮径部11および第2縮径部14それぞれにおける最小内径は、互いに異なっていても同じであってもよい。
また、上記実施形態においては、流入口10は、船体50Aにおける船首から前方に向けて開口している構成を示したが、このような態様に限られない。流入口10は、船体50Aにおける船首以外の部分、例えば船底50C等から、下方かつ前方に向けて開口してもよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、排出口17は船体50Aにおける船底50Cから外部に向けて開口している構成を示したが、このような態様に限られない。排出口17は、船体50Aにおける船底50C以外の部分、例えば船体50Aの側面等から、外部に向けて開口してもよい。また、排出口17が船体50Aに向けて開口してもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、給気部12がマニホールド16を備えている構成を示したが、このような態様に限られない。給気部12はマニホールド16を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態においては、機関部からの排気がマニホールド16を通して第1縮径部11に供給される構成を示したが、このような態様に限られない。例えば大気を取り込むことにより、気体を第1縮径部11に供給してもよい。
また、気泡生成装置1が取付けられる船舶50としては、海上や河川上を航行する船舶50の他、水中を潜航する潜水艇であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、気泡生成装置1が、船舶50の船体50Aにおける喫水線Lより下方に位置している構成を示したが、このような態様に限られない。例えば、気泡生成装置1は、船舶50の船体50Aにおける喫水線Lと同等の位置に設けられてもよい。
ここで、喫水線Lと同等の位置とは、気泡生成装置1における流入口10の上下方向の内側に、喫水線Lが位置していることを意味する。このため、流入口10から水と空気とを気泡生成装置1の内側に流入させることができる。このような場合には、気泡生成装置1が給気部12を備えなくてもよい。
【0042】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 気泡生成装置
10 流入口
11 第1縮径部
12 給気部
13 第1拡径部
14 第2縮径部
15 第2拡径部
17 排出口
50 船舶
50A 船体
50B バルバス・バウ
50C 船底