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特許7064227患者状態判定装置、患者状態判定システム、患者状態判定方法、および患者状態判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】患者状態判定装置、患者状態判定システム、患者状態判定方法、および患者状態判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/20 20180101AFI20220427BHJP
【FI】
G16H10/20
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019558086
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(86)【国際出願番号】 JP2018041155
(87)【国際公開番号】W WO2019111618
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2017235687
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】517304691
【氏名又は名称】株式会社Kitahara Medical Strategies International
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】林谷 昌洋
(72)【発明者】
【氏名】駱 園
(72)【発明者】
【氏名】久保 雅洋
(72)【発明者】
【氏名】北原 茂実
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-094243(JP,A)
【文献】特開2007-004662(JP,A)
【文献】特開2016-157430(JP,A)
【文献】特開2014-023715(JP,A)
【文献】特表2009-520522(JP,A)
【文献】PDAP - 脳卒中診断補助ツール,[online],2017年04月17日,[平成31年1月10日検索], インターネット<URL:https://appadvice.com/app/pdap-e8-84-b3-e5-8d-92-e4-b8-ad-e8-a8-ba-e6-96-ad-e8-a3-9c-e5-8a-a9-e3-83-84-e3-83-bc-e3-83-ab/1227299508>
【文献】本田 遥香,脳梗塞に対する気付きアプリケーションの開発,FIT2013 第12回情報科学技術フォーラム 講演論文集 第4分冊,2013年08月20日,p.595-596
【文献】中尾彰太,情報通信技術を活用して構築した救急搬送患者登録システムの有用性,日救急医会誌,2014年12月31日,p.693-702
【文献】勝田 俊郎,NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale) and JSS(Japan Stroke Scale),日本臨床(増刊) 最新臨床脳卒中学(上),第72巻 第5号,株式会社日本臨牀社,2014年07月20日,p.345-349,ISSN 0047-1852
【文献】消防防災科学技術研究開発事例集V,[online],2015年03月31日,p.98-101,[平成31年1月18日検索], インターネット<URL:http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList4_2/pdf/se ika_jirei05-h2703.pdf>
【文献】脳卒中病院前救護 PSLS アルゴリズム,[onlline],2015年11月06日,[令和4年3月15日検索], インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20151106173329/http://www.isls.jp/DL/algo_islspsls_091029.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定時間内に患者に対して測定すべき複数の項目を、一つずつ順次、医療スタッフに指示する指示部と、
指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する反応認識部と、
前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力する点数判定部と、を備え、
前記指示部は、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示する、ことを特徴とする患者状態判定装置。
【請求項2】
前記指示部は、前記指示された項目に対応する前記質問の各々を音声にて前記医療スタッフに知らせる音声通知手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の患者状態判定装置。
【請求項3】
前記反応認識部は、前記反応として前記医療スタッフから発声された回答音声を受け、該回答音声を識別して、識別結果を前記認識結果として出力する音声識別手段を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の患者状態判定装置。
【請求項4】
前記医療スタッフに対して各項目の指示を開始した開始時刻からの経過時間を測定する時間測定部を更に有する、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の患者状態判定装置。
【請求項5】
前記複数の項目には、それぞれ、許容時間が予め設定されており、
前記経過時間が前記許容時間を超過した時点で、前記医療スタッフから前記反応が得られなかった場合、前記点数判定部は、前記時点での質問に対してする反応として高い方の点数を、前記判定した点数として選択し出力する、請求項4に記載の患者状態判定装置。
【請求項6】
前記判定した点数と前記経過時間とを、前記指示された項目に紐付けて、記録情報として記録する点数・時間記録部を更に有する、請求項4に記載の患者状態判定装置。
【請求項7】
少なくとも前回を含む過去の測定において、前記点数・時間記録部に記録された前記記録情報に基づいて、前記指示部は、今回の測定で前記医療スタッフへ指示すべき通知内容を変更する、請求項6に記載の患者状態判定装置。
【請求項8】
前記変更される通知内容は、前記指示された項目に対して設定された許容時間を含む、請求項7に記載の患者状態判定装置。
【請求項9】
前記患者の測定状態を記録する測定状態記録部を更に有する、請求項6に記載の患者状態判定装置。
【請求項10】
少なくとも前回を含む過去の測定において、前記点数・時間記録部に記録された前記記録情報と前記測定状態記録部に記録された前記測定状態とに基づいて、前記指示部は、今回の測定で前記医療スタッフへ指示すべき通知内容を変更する、請求項9に記載の患者状態判定装置。
【請求項11】
前記変更される通知内容は、前記指示された項目に対して設定された許容時間を含む、請求項10に記載の患者状態判定装置。
【請求項12】
前記複数の項目には、それぞれ、許容時間が予め設定されており、
前記経過時間が前記許容時間を超過した時点で、前記医療スタッフから前記反応が得られなかった場合、複数の類似事例を予め保存している類似事例データベースから、前記患者の状態に類似している1つの類似事例を抽出して、抽出した類似事例を前記医療スタッフへ提示する類似事例抽出部を更に備える、請求項4に記載の患者状態判定装置。
【請求項13】
前記複数の項目の中の特定の項目に対して複数の質問が存在する場合、
前記指示部は、
前記特定の項目に対する前記複数の質問の最初の方として、前記医療スタッフが前記患者の状態を判断するのが容易な質問を指示し、
前記特定の項目に対する前記複数の質問の最後として、前記医療スタッフが前記患者の状態を判断するのが困難な質問を指示する、
請求項1乃至12のいずれか1つに記載の患者状態判定装置。
【請求項14】
前記複数の項目は、NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale)で規定されている項目から成る、請求項1乃至13のいずれか1つに記載の患者状態判定装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1つに記載の患者状態判定装置と、
該患者状態判定装置から前記判定した点数を受けて、前記点数を集計する集計装置と、
を含む患者状態判定システム。
【請求項16】
指示部が、測定時間内に患者に対して測定すべき複数の項目を、一つずつ順次、医療スタッフに指示し、
反応認識部が、指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力し、
点数判定部が、前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力し、
前記指示部は、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示する、ことを特徴とする患者状態判定方法。
【請求項17】
測定時間内に患者に対して測定すべき複数の項目を、一つずつ順次、医療スタッフに指示する指示手順と、
指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する反応認識手順と、
前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力する点数判定手順と、
をコンピュータに実行させる患者状態判定プログラムであって、
前記指示手順は、前記コンピュータに、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示させる、患者状態判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者状態判定装置、患者状態判定システム、患者状態判定方法、および患者状態判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院(特に、救急病院)においては、医師や看護師などの医療関係者(以下、「医療スタッフ」と呼ぶ)が、救急車等によって救急搬送されて来た患者の状態を測定(判定)することが必要となる事態がしばしば発生する。救急搬送されて来た患者には、脳血管障害などの疑いがあることが推測される。そのような状況においては、医療スタッフは、リアルタイムで、その患者の状態(例えば、麻痺、失調など)を把握することが必要になる。
【0003】
そのような脳血管障害の疑いのある患者の状態を測定(判定)する測定手法は、この技術分野において知られている。その測定手法の1つとして、NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale)がある。このNIHSSでは、患者の来院時、治療前および治療時に、担当の医療スタッフは、最短で15分の測定周期ごとに、当該患者の状態を測定(判定)することが必要となる。何故なら、患者の状態は、患者の治療方針に関わるからである。NIHSSには、測定(判定)すべき項目として13項目があることが知られている。したがって、医療スタッフは、NIHSSの各項目について点数を選択するという作業(業務)を、上記測定周期毎に測定時間(判定時間)内で行うことが必要となる。尚、各項目の点数を合計すると42点になる。また、その測定時間(判定時間)は、上記測定周期に比較してなるべく短いことが望ましく、例えば、3分であることが好ましい。
【0004】
本発明に関連する技術が、種々提案されている。
【0005】
たとえば、特許文献1は、一人以上の被験者(患者)を、一人以上の被験者(患者)と関連付けられる健康状態を示す1つ以上のカテゴリに分類するシステムを開示している。特許文献1では、健康状態スコアは、NIHSSスコアなどの脳卒中スコアに対応してよいことを記載している。特許文献1では、NIHSSスコアを4つのカテゴリに分類し、それにより、医師が、脳卒中の重症度を、被験者が分類されているカテゴリに基づいて、判定する例を記載している。
【0006】
特許文献2は、患者の診断を遠隔地にいる医師等が行う遠隔地医療システムを開示している。特許文献2では、遠隔地医療システムの一例として、医療現場にて電子聴診器を用いて患者(被測定者)の生体音を測定するためのシステムであって、取得された電子データすなわち生体音情報を記録するためのシステムを記載している。このような遠隔地医療システムでは、医療現場から遠隔にいる医師等の診断者が、上記生体音情報を閲覧して、患者の診断に利用することが可能となる。特許文献2に開示された測定支援装置においては、表示部に、測定者の測定活動を支援する情報(測定シナリオ)を表示したり、操作画面をGUI(Graphical User Interface)画面として表示している。特許文献2では、測定シナリオの内容を反映した測定支援画面の一例を示している。測定支援画面には、測定シナリオに含まれる聴診手順が表示される出力領域と、聴診領域可視化情報が表示される出力領域とがある。測定者は、画像データを確認し、測定支援画面にしたがって聴診を開始する。患者の生体音を取得し終えると、測定者は、ボタンをタップする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-157430号公報
【文献】特開2014-023715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したNIHSSにおいて、医療スタッフ(特に、未熟で経験の浅い医療スタッフ)は、各項目の点数の選択の判断に迷う場合がある。その結果、NIHSSの測定(判定)に時間がかかる恐れがある。そこで、このような医療スタッフにおける測定(判定)の判断困惑の問題を解決したり、測定時間(判定時間)を短縮することが望まれている。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1~2では、このような課題を解決できない。
【0010】
すなわち、特許文献1は、単に、NIHSSスコアの範囲を、複数のカテゴリに分類する技術的思想を開示しているだけである。したがって、特許文献1においては、医療スタッフは、相変らず、上記NIHSSの各項目について点数を選択するという作業(業務)をしなければならず、測定(判定)の判断困惑や測定時間(判定時間)の課題を解決することはできない。
【0011】
一方、特許文献2は、患者に対して測定者が測定(聴診)を行い、遠隔の医師が聴診結果を利用して診断を行う遠隔測定システムを開示しているに過ぎない。このような遠隔測定システムでは、測定者は、測定シナリオに従って、電子聴診器等の測定器具を使用して、患者に対して適切な測定をしているだけである。上述したように、NIHSSでは、測定するだけなく、各項目について点数を選択しなければならない。よって、特許文献2の遠隔測定システムであっても、測定者である医療スタッフは、相変らず、点数の選択の判断に迷ってしまうことになる。よって、特許文献2においても、測定(判定)の判断困惑や測定時間(判定時間)の課題を解決することはできない。
【0012】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、医療スタッフの業務を改善できる患者状態判定装置、患者状態判定システム、患者状態判定方法、および患者状態判定プログラム記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の患者状態判定装置は、測定時間内に患者に対して測定すべき複数の項目を、一つずつ順次、医療スタッフに指示する指示部と;指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する反応認識部と;前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力する点数判定部と;を備え、前記指示部は、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明の患者状態判定システムは、上記患者状態判定装置と、該患者状態判定装置から前記判定した点数を受けて、前記点数を集計する集計装置と、を含む。
【0015】
本発明の患者状態判定方法は、指示部が、測定時間内に患者に対して測定すべき複数の項目を、一つずつ順次、医療スタッフに指示し;反応認識部が、指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力し;点数判定部が、前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力し;前記指示部は、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示する、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の患者状態判定プログラムは、測定時間内に患者に対して測定すべき複数の項目を、一つずつ順次、医療スタッフに指示する指示手順と;指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する反応認識手順と;前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力する点数判定手順と;をコンピュータに実行させる患者状態判定プログラムであって、前記指示手順は、前記コンピュータに、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、医療スタッフの業務を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示した患者状態判定装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の第2の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。
図5図4に示した患者状態判定装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図6図4に示した患者状態判定装置において、測定開始前に、フィードバックして指示部で指示すべき通知内容を変更する動作を説明するフローチャートである。
図7】本発明の第4の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。
図8図7に示した患者状態判定装置の動作の流れを示すフローチャートである。
図9】NIHSSの13項目を示す図である。
図10】「1a.意識水準」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図11】「1b.意識障害-質問」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図12】「1c.意識障害-従命」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図13】「2.最良の注視」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図14】「3.視野」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスと、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の表示例とを示すフローチャートである。
図15】「4.顔面麻痺」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図16】「5.上肢の運動」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図17】「6.下肢の運動」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図18】「7.運動失調」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスと、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の表示例とを示すフローチャートである。
図19】「8.感覚」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図20】「9.最良の言語」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図21】「10.講音障害」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
図22】「11.消去現象と注意障害」の項目に対して、指示部から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複部分については適宜説明を省略する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、患者状態判定システムは、患者状態判定装置100と、集計装置200とを備える。患者状態判定装置100と集計装置200とは同じ装置上にあってもよい。
【0021】
本第1の実施形態では、次の場合を想定している。図示の患者状態判定システムでは、看護師や医師などの医療スタッフが、測定周期毎にリアルタイムで患者の状態を測定(判定)する場合を想定している。この場合において、患者は、例えば、救急車等で救急搬送されて来た患者であってよい。このような患者では、脳血管障害などの障害の疑いがある。測定周期は、例えば、最短で15分である。また、患者の状態とは、例えば、麻痺や失調などである。測定周期毎に、医療スタッフは、測定時間(判定時間)内に患者の状態を複数の項目の各々について点数を選択する作業を行う必要がある。複数の項目は、上記NIHSSで規定された13の項目であってよい。NIHSSで規定された13の項目については、後で図面を参照して詳述する。測定時間(判定時間)は、上記測定周期に比較してなるべく短いことが望ましく、例えば、3分であることが好ましい。
【0022】
患者状態判定装置100は、医療現場で、患者の状態を自動的にリアルタイムで判定できる装置である。尚、患者には患者ID(identifier)が割り当てられているとする。また、医療スタッフには、スタッフID(ユーザID)が割り当てられてもよい。
【0023】
患者状態判定装置100は、データを処理するデータ処理装置110と、後述するプログラムやデータを記憶する記憶装置120と、データを入力する入力装置130と、データを出力する出力装置140と、通信インターフェース150とを備える。このような患者状態判定装置100は、例えば、タブレットPC(personal computer)で実現されてよい。
【0024】
出力装置140は、LCD(Liquid Crystal Display)やPDP(Plasma Display Panel)などの表示装置やプリンタ、受話器からなる。受話器は、イヤホンやヘッドホンであってよい。出力装置140は、後述するような、各項目に関連付けられた複数の質問や操作メニューなどの各種情報を表示装置の画面上に表示したり、複数の質問の各々を受話器から音声で知らせたり、最終結果をプリンタに印字する機能を有する。
【0025】
記憶装置120は、各種のデータを保持できる記憶媒体である。例えば、記憶装置120は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶媒体や、ROM(read only memory)やRAM(random access memory)などのメモリからなる。記憶装置120は、データ処理装置110における各種処理に必要な処理情報(後述する)やプログラム122を記憶する機能を有する。
【0026】
データ処理装置110は、MPU(micro processing unit)などのマイクロプロセッサやCPU(central processing unit)からなる。データ処理装置110は、記憶装置120からプログラム122を読み込んで、プログラム122に従ってデータを処理する各種処理部を実現する機能を有する。
【0027】
入力装置130は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルや、マイクロホンからなる。また、入力装置130は、患者の状態を測定するための各種センサを備えてもよい。そのようなセンサは、例えば、患者に取り付けられる腕時計型センサやバイタルセンサ、患者の状態を撮像するカメラであってよい。なお、本実施形態においては、入力装置130がタッチパネルを含み、出力装置140が表示装置を含む場合、それらは一体に形成されて、タッチパネル付き表示装置として構成されてよい。
【0028】
通信インターフェース150は、有線又は無線等を介して、当該患者状態判定装置100と後述する集計装置200との間を接続するインターフェースである。通信インターフェース150は、例えば、送信機やトランシーバ、又はコネクタで実現される。通信インターフェース150が送信機からなる場合、送信機は、データ処理装置110での処理結果(具体的には、後述する判定した点数)で搬送波を変調し、変調した波を送信波として無線で集計装置200へ送信する。通信インターフェース150がコネクタからなる場合、図示しない記録媒体を用いてもよい。この場合、上記処理結果(判定した点数)は、患者IDを付加した状態で、コネクタを介して記録媒体に記録情報として書き込まれる。
【0029】
なお、医療スタッフは、患者の状態を測定(判定)する際に、当該患者に対して処置を施すことが必要となる場合がある。したがって、上記受話器および上記マイクロホンの組み合わせとして、マイク付きイヤホンやマイク付きヘッドホンを用いることが好ましい。或いは、患者状態判定装置100は、その患者を搭載している搬送台(ベッド)に据え置かれてもよい。
【0030】
尚、本実施形態では、医療スタッフに対する指示や医療スタッフの反応として、音声と画像(テキストデータ)との両方を用いている。したがって、入力装置130と出力装置140との組み合わせとして、マイク付きイヤホンとタッチパネル付き表示装置とを備えている。しかしながら、本発明は、医療スタッフに対する指示や医療スタッフの反応として、画像(テキストデータ)のみを用いてもよい。
【0031】
記憶装置120は、項目記憶部124を備える。この項目記憶部124には、上記測定時間(判定時間)に、患者の状態を測定するために必要な複数の項目を、各項目に関連付けられた複数の質問の形式で、順序に従って予め記憶されている。本実施形態では、項目記憶部124は、複数の質問を、音声データおよびテキストデータとして、格納している。また、複数の項目には、それぞれ、許容時間が予め設定されている。これら許容時間は、均一であっても異なってもよい。本実施形態では、許容時間は均一である。項目記憶部124には、許容時間も、項目毎に紐付けて記憶されている。
【0032】
このような音声データやテキストデータは、例えば、所定のデータベースから読み出して、上記測定時間(判定時間)の開始時刻直前において、必要な情報のみを項目記憶部124に予め記憶させてよい。その代わりに、患者状態判定装置100がその患者の搬送台(ベッド)に据え置かれている場合には、次のようにしてもよい。まず、図示しないコントロールセンタから、上記測定時間(判定時間)の開始時刻直前に、所定のデータベースからその患者用に必要な複数の項目(音声データやテキストデータ)を読出して、患者状態判定装置100へ送信する。患者状態判定装置100は、その送信された必要な複数の項目を受信するための受信機(図示せず)を備え、その受信した必要な複数の項目を項目記憶部124へ格納してもよい。なお、本例の場合、必要な複数の項目は、上記NIHSSで規定された13の項目であるので、予め決まっている。したがって、その代わりに、項目記憶部124を用いずに、患者状態判定装置100は、受信機で受信した必要な複数の項目を、直接、データ処理装置110の指示部111(後述する)へ供給してもよい。
【0033】
データ処理装置110は、主な処理部として、指示部111と、反応認識部112と、点数判定部113と、時間測定部114と、制御部118とを備えている。
【0034】
指示部111は、上記測定時間内に患者に対して測定すべき複数の項目を、一つずつ順次、医療スタッフに指示する。反応認識部112は、指示された項目に対する、医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する。点数判定部113は、認識結果に基づいて指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力する。指示部111は、複数の項目の各々を、その項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、医療スタッフに提示する。このとき、指示部111は、項目毎に上記許容時間を医療スタッフに提示してもよい。時間測定部114は、医療スタッフに対して各項目の指示を開始した開始時刻からの経過時間を測定する。制御部118は、データ処理装置110全体の動作を制御する。以下、各処理部の動作について、更に、詳細に説明する。
【0035】
指示部111は、項目記憶部124から読み出された音声データを、出力装置140のマイク付きイヤホンへ送出する。マイク付きイヤホンのイヤホンは、音声データを質問音声に変換する。したがって、指示部111と出力装置140のイヤホンとの組み合わせは、複数の項目を、一つずつ順次、質問音声にて医療スタッフに知らせる音声通知手段として働く。また、項目記憶部124と指示部111と出力装置140のイヤホンとの組み合わせは、上記測定時間内に患者の状態を測定するために必要な複数の項目を、一つずつ順次、質問音声によって医療スタッフに提示する提示部として作用する。
【0036】
と同時に、指示部111は、項目記憶部124から読み出されたテキストデータを、出力装置140のタッチパネル付き表示装置へ送出する。タッチパネル付き表示装置は、テキストデータをその表示画面上に表示する。したがって、指示部111と出力装置140のタッチパネル付き表示装置との組み合わせは、複数の項目を、一つずつ順次、質問テキストデータとして医療スタッフに知らせるテキスト通知手段としても働く。よって、項目記憶部124と指示部111と出力装置140のタッチパネル付き表示装置との組み合わせは、上記測定時間内に患者の状態を測定するために必要な複数の項目を、一つずつ順次、画像(テキストデータ)によって医療スタッフに提示する提示部として作用する。
【0037】
出力装置140のマイク付きイヤホンのイヤホンから発生された質問音声に応答して、医療スタッフは、それに対する回答(応答)を入力装置130のマイク付きイヤホンのマイクロホンに向けて発声する。例えば、イヤホンから質問音声として「反応はありますか?」と流れたとする。この場合、医療スタッフは、例えば、マイクロホンに向けて「はい」と音声で回答(応答)する。マイクロホンは、この「はい」の回答音声を電気信号である回答音声信号の入力値に変換する。したがって、マイク付きイヤホンのマイクロホンは、指示された項目に応答して医療スタッフが発声する回答音声を入力して、入力値(回答音声信号)を出力する入力部として働く。
【0038】
と同時に、出力装置140のタッチパネル付き表示装置に表示された質問テキストデータに応答して、医療スタッフは、それに対する回答(応答)を、入力装置130であるタッチパネル付き表示装置のタッチパネルを操作して入力する。ここでは、タッチパネル付き表示装置には、「Yes」および「No」のアイコンが表示されているとする。例えば、タッチパネル付き表示装置に表示された質問テキストデータが「反応はありますか?」であったとする。この場合、医療スタッフは、例えば、タッチパネルの「Yes」のアイコンをタッチして回答(応答)する。タッチパネルは、この「Yes」の回答を示す回答テキスト信号を出力する。したがって、タッチパネル付き表示装置のタッチパネルは、指示された項目に応答して、医療スタッフが回答テキスト信号を入力する入力部として働く。
【0039】
このように、本実施形態では、医療スタッフからの反応として、音声と画像(テキストデータ)との両方を利用している。しかしながら、周囲が騒がしい場合等には、質問に対する反応としては、画像(テキストデータ)のみしか利用できない場合が存在する。その場合には、当然、医療スタッフからの反応として画像(テキストデータ)のみを利用することになる。
【0040】
入力装置130から、反応として医療スタッフから発声された回答音声信号が、反応認識部112に供給されたとする。反応認識部112は、音声認識部(図示せず)を含む。音声認識部は、回答音声信号を識別して、識別結果を上記認識結果として出力する。例えば、回答音声信号が「はい」を示す音声信号であったとする。この場合、反応認識部112の音声認識部は、認識結果(識別結果)として「Yes」の結果を出力する。
【0041】
一方、入力装置130から、反応として医療スタッフで操作(タッチ)された回答テキスト信号が、反応認識部112に供給されたとする。この場合、反応認識部112は、その回答テキスト信号を認識して、認識結果を出力する。例えば、回答テキスト信号が「Yes」を示すテキスト信号であったとする。この場合、反応認識部112は、認識結果として「Yes」の結果を出力する。
【0042】
この認識結果は点数判定部113に供給される。点数判定部113は、認識結果に基づいて、指示された項目に対する点数を判定する。例えば、指示された項目が「意識レベル」であったとする。この場合、指示部111から、出力装置140を介して医療スタッフへ、患者に対する処置の指示(ガイダンス)とともに「反応はありますか?」の指示がなされる。点数判定部113には、「反応はありますか?」の指示に対応して、反応認識部112から「Yes」または「No」の認識結果が供給される。点数判定部113は、「Yes」または「No」の認識結果に基づいて、「意識レベル」の項目に対する点数(この場合、0点から3点までの間の点数)を判定する。
【0043】
集計装置200は、データを処理するデータ処理装置210と、プログラムや後述するデータを記憶する記憶装置220と、通信インターフェース230とを備える。データ処理装置210は、集計部212を含む。
【0044】
通信インターフェース230は、有線や無線等を介して、当該集計装置200と前述した患者状態判定装置100との間を接続するインターフェースである。通信インターフェース230は、例えば、受信機やトランシーバ、又はコネクタで実現される。通信インターフェース230が受信機からなる場合、受信機は、患者状態判定装置100の通信インターフェース(送信機)150から送信された送信波を受信波として受信する。受信機は、受信波を復調して、上記処理結果(判定した点数)を再生する。通信インターフェース230がコネクタからなる場合、上記記録媒体からそこに記録されている記録情報(判定した点数と患者ID)が、コネクタを介して読み出される。
【0045】
通信インターフェース230から、再生された(読み出された)判定した点数は、データ処理装置210に供給される。データ処理装置210の集計部212は、その点数を集計する。集計部212は、集計した結果を記憶装置220に記憶する。
【0046】
次に、第1の実施形態の効果について説明する。上述のとおり、本第1の実施形態に係る患者状態判定装置100は、患者の状態を、医療スタッフがその点数付けに迷うことなく、比較的短い測定時間(判定時間)で、適切に判定することが可能となる。その理由、適切なガイダンスおよび指示を医療スタッフに対して行っているからである。
【0047】
[患者状態判定装置の動作]
図2は、図1に示した患者状態判定装置100の動作の流れを示すフローチャートである。以下、図1および図2を参照しつつ、患者状態判定装置100の動作の流れについて説明する。
【0048】
まず、指示部111は、項目記憶部124から項目を読み出して、その項目のガイダンスを、出力装置140の受話器および表示装置から提示させる(ステップS101)。このとき、指示部111は、その項目に設定された許容時間を表示装置の表示画面上に提示させてもよい。と同時に、制御部118は、時間測定部114を起動して、時間測定部114に当該指示を開始した開始時刻からの経過時間を測定させる。
【0049】
引き続いて、指示部111は、その項目の質問を、出力装置140のイヤホンおよび表示装置を用いて、質問音声および質問テキストデータとして、提示させる(ステップS102)。
【0050】
この質問音声および質問テキストデータに応答して、医療スタッフは、入力装置130のマイクロホンから回答音声を発声し、または、入力装置130のタッチパネルを操作して回答を入力する。反応認識部112は、この回答音声信号または回答テキスト信号を認識(確認)し、認識結果(確認結果)を出力する(ステップS103)。
【0051】
制御部118は、時間測定部114で測定された経過時間が上記許容時間を経過しているか否かを判断する(ステップS104)。経過時間が許容時間を経過していない場合(ステップS104のNo)、制御部118は、質問が項目最後の質問であるか否かを判断する(ステップS105)。最後の質問でなければ(ステップS105のNo)、制御部118は、指示部111に対して次の質問を提示させる(ステップS102)。最後の質問であれば(ステップS105のYes)、点数判定部113は、それまでの認識結果に基づいて、その項目に対する点数を判定し、制御部118は次の項目へ移るように指示部111を制御する(ステップS106)。
【0052】
時間測定部114で測定された経過時間が許容時間を経過している場合(ステップS104のYes)、点数判定部113は、その時点での質問に対してする反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力し(ステップS107)、制御部118は次の項目へ移るように指示部111を制御する(ステップS106)。
【0053】
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。図3に示すように、患者状態判定システムは、患者状態判定装置100Aと、集計装置200とを備える。
【0054】
患者状態判定装置100Aは、データ処理装置での処理内容と記憶装置の記憶内容とが後述するように相違する点を除いて、図1に示した患者状態判定装置100と同様の構成を有し、動作をする。したがって、データ処理装置および記憶装置に、それぞれ、110Aおよび120Aの参照符号を付してある。図1に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、以下では、説明の簡略化のために相違点についてのみ説明する。
【0055】
データ処理装置110Aは、指示部111および制御部118の代わりに、指示部111Aおよび制御部118Aを備えている点を除いて、図1に示したデータ処理装置110と同様の処理動作を行う。一方、記憶装置120Aは、点数・時間記録部126を更に備えている点を除いて、図1に示した記憶装置120と同様の構成を有し、動作をする。すなわち、記憶装置120Aは、プログラム122と、項目記憶部124と、点数・時間記録部126とを備える。
【0056】
点数・時間記録部126は、点数判定部113での判定した点数と時間測定部114での経過時間とを、指示された項目に紐付けて、記録情報として記録する。換言すれば、制御部118Aは、点数判定部113での判定した点数と時間測定部114での経過時間とを、指示された項目に紐付けて、記録情報として点数・時間記録部126に格納する。なお、記録情報として、スタッフID(ユーザID)も記録してもよい。
【0057】
指示部111Aは、少なくとも前回を含む過去の測定において、点数・時間記録部126に記録された記録情報に基づいて、今回の測定で医療スタッフへ指示すべき通知内容を変更する。変更する通知内容は、指示された項目に対して設定された許容時間を含む。すなわち、本第2の実施形態では、項目毎に許容時間を調整している。なお、変更する通知内容は、過去における項目に対して付けられた点数を、質問と併せて出力装置140のタッチパネル付き表示装置に表示してもよい。この場合、医療スタッフは、この表示内容をも参考して、反応することが可能となる。その結果、測定時間(判定時間)を短縮することが可能となり、適切な点数付けを行うことも可能となる。
【0058】
次に、第2の実施形態の効果について説明する。本第2の実施形態に係る患者状態判定装置100Aは、上記第1の実施形態の場合よりも、測定時間(判定時間)を短縮して、適切な判定することが可能となることである。その理由、過去での測定結果をフィードバックして、指示部111Aが適切なガイダンスおよび指示を医療スタッフに対して行っているからである。
【0059】
[第3の実施形態]
図4は、本発明の第3の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。図4に示すように、患者状態判定システムは、患者状態判定装置100Bと、集計装置200とを備える。
【0060】
患者状態判定装置100Bは、データ処理装置での処理内容と記憶装置の記憶内容とが後述するように相違する点を除いて、図3に示した患者状態判定装置100Aと同様の構成を有し、動作をする。したがって、データ処理装置および記憶装置に、それぞれ、110Bおよび120Bの参照符号を付してある。図3に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、以下では、説明の簡略化のために相違点についてのみ説明する。
【0061】
データ処理装置110Bは、指示部111Aおよび制御部118Aの代わりに、指示部111Bおよび制御部118Bを備えている点を除いて、図3に示したデータ処理装置110Aと同様の処理動作を行う。一方、記憶装置120Bは、測定状態記録部128を更に備えている点を除いて、図3に示した記憶装置120Aと同様の構成を有し、動作をする。すなわち、記憶装置120Bは、プログラム122と、項目記憶部124と、点数・時間記録部126と、測定状態記録部128とを備える。
【0062】
図示はしないが、上述したように、患者には腕時計型センサやバイタルセンサが取り付けられると共に、その患者を搬送する搬送台(ベッド)や患者を収容する病室には、患者を撮影するカメラが備えられている。測定状態記録部128は、これらセンサから得られたバイタルデータやカメラで撮影された画像を、測定状態として記録する。換言すれば、制御部118Bは、それらセンサから得られたバイタルデータやカメラで撮影された画像を、測定状態として測定状態記録部128に格納する。
【0063】
指示部111Bは、少なくとも前回を含む過去の測定において、点数・時間記録部126に記録された記録情報と測定状態記録部128に記録された測定状態とに基づいて、今回の測定で医療スタッフへ指示すべき通知内容を変更する。変更する通知内容は、上記第2の実施形態と同様に、指示された項目に対して設定された許容時間を含む。すなわち、本第3の実施形態でも、項目毎に許容時間を調整している。なお、変更する通知内容としては、過去における項目に対して付けられた点数やバイタルデータ及び患者の画像を、質問と併せて出力装置140のタッチパネル付き表示装置に表示してもよい。この場合、医療スタッフは、これら表示内容をも参考して、反応することが可能となる。その結果、測定時間(判定時間)をさらに短縮でき、より適切な点数付けを行うことも可能となる。
【0064】
次に、第3の実施形態の効果について説明する。本第3の実施形態に係る患者状態判定装置100Bは、上記第2の実施形態の場合よりも、測定時間(判定時間)をより短縮して、より適切な判定することが可能となることである。その理由、過去での測定結果や患者の容態をフィードバックして、指示部111Bが適切なガイダンスおよび指示を医療スタッフに対して行っているからである。
【0065】
[患者状態判定装置の動作]
図5は、図4に示した患者状態判定装置100Bの動作の流れを示すフローチャートである。以下、図4および図5を参照しつつ、患者状態判定装置100Bの動作の流れについて説明する。
【0066】
図5のステップS101~S106の動作は、図2のステップS101~S106と同じであるので、説明を省略する。
【0067】
最後の質問であって(ステップS105のYes)、点数判定部113での点数の判定が終わったか、或いは、時間測定部114での経過時間が許容時間を超過して(ステップ104のYes)、点数判定部113での点数の選択(ステップS107)が終わったとする。その後、制御部118Bは、点数判定部113での判定した点数と時間測定部114での経過時間とを、指示された項目に紐付けて、記録情報として点数・時間記録部126に格納する(ステップS108)。
【0068】
引き続いて、制御部118Bは、上述したセンサから得られたバイタルデータやカメラで撮影された画像を、測定状態として測定状態記録部128に格納する(ステップS109)。その後、制御部118Bは次の項目へ移るように指示部111Bを制御する(ステップS106)。
【0069】
次に、図6を参照して、測定開始前に、フィードバックして指示部111Bで指示すべき通知内容を変更する動作について説明する。
【0070】
先ず、制御部118Bは、ユーザID(スタッフID)を確認する(ステップS201)。引き続いて、制御部118Bは、点数・時間記録部126および測定状態記録部128からそれぞれ記録情報および測定状態を読み出して、今までの患者の記録状態を確認する(ステップS202)。制御部118Bは、この記録状態に基づいて、各項目に設定された許容時間の調整を行う(ステップS203)。その後、制御部118Bは、上述したセンサやカメラを起動して、測定状態の記録を開始する(ステップS204)。そして、制御部118Bは、最初の項目から測定を開始するように指示部111Bを制御する(ステップS205)。
【0071】
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態に係る患者状態判定システムの構成を示すブロック図である。図7に示すように、患者状態判定システムは、患者状態判定装置100Cと、集計装置200とを備える。
【0072】
患者状態判定装置100Cは、データ処理装置での処理内容が後述するように相違する点を除いて、図3に示した患者状態判定装置100Aと同様の構成を有し、動作をする。したがって、データ処理装置に110Cの参照符号を付してある。図3に示したものと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付して、以下では、説明の簡略化のために相違点についてのみ説明する。
【0073】
データ処理装置110Cは、制御部118Aの代わりに制御部118Cを備え、かつ、類似事例抽出部115を更に備えている点を除いて、図3に示したデータ処理装置110Aと同様の処理動作を行う。
【0074】
患者状態判定装置100Cは、図示しない類似事例データベースと通信可能に接続されている。類似事例データベースは、複数の類似事例を予め保存しているデータベースである。
【0075】
時間測定部114で測定された経過時間が上記許容時間を経過した時点で、医療スタッフから反応が得られなかった場合、類似事例抽出部115は、類似事例データベースから当該患者の状態に類似している1つの類似事例を抽出して、抽出した類似事例を医療スタッフへ提示する。
【0076】
次に、第4の実施形態の効果について説明する。本第4の実施形態に係る患者状態判定装置100Cは、上記第2の実施形態の場合よりも、より適切な判定をすることが可能となることである。その理由、医療スタッフに対して過去での類似事例を提示しているからである。
【0077】
[患者状態判定装置の動作]
図8は、図7に示した患者状態判定装置100Cの動作の流れを示すフローチャートである。以下、図7および図8を参照しつつ、患者状態判定装置100Cの動作の流れについて説明する。
【0078】
図8のステップS101~S106の動作は、図2のステップS101~S106と同じであるので、説明を省略する。図8は、図2のステップS107の代わりに、ステップS110およびS111を有している点で、図2と相違する。
【0079】
時間測定部114で測定された経過時間が許容時間を経過している場合(ステップS104のYes)、類似事例抽出部115は、類似事例データベースから当該患者の状態に類似している1つの類似事例を抽出して、抽出した類似事例を、出力装置140のタッチパネル付き表示装置へ表示することにより、提示する(ステップS110)。したがって、医療スタッフは、この表示された類似事例を参考にして、反応することができる。反応認識部112は、この医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する(ステップS111)。点数判定部113は、この認識結果に基づいて指定された項目に対する点数を判定し、制御部118Cは次の項目へ移るように指示部111Aを制御する(ステップS106)。
【実施例
【0080】
次に、図9乃至図22を参照して、本発明の実施例に係る患者状態判定装置について説明する。図示の実施例では、説明の都合上、上述した図1および図2に示した第1の実施形態に係る患者状態判定装置100に適用した場合について説明する。本実施例は、他の実施形態に係る患者状態判定装置100A~100Cにも同様に適用可能であるのは勿論である。
【0081】
図9はNIHSSの13項目を示す図である。これら13項目は、この技術分野において周知のものであるので、詳しくは説明しない。以下、図1および図2を参照して、NIHSSの13項目の各々に対して、図1に示した患者状態判定装置100を使用して、患者の状態を判定する動作について説明する。尚、上述したように、これら13項目に対する、ガイダンスおよび質問の音声データやテキストデータは、予め項目記憶部124に格納されている。以下の図面において、Gはガイダンスを示す。また、ガイダンスおよび質問は、上述したように、音声と画像(テキストデータ)との両方で行われる。
【0082】
図10は、「1a.意識水準」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0083】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「患者にさわらずに名前を呼んで下さい」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「反応はありますか?」との質問を提示する(ステップS301)。ここで、患者の反応があれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS301のYes)、その認識結果を出力する。
【0084】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識水準」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0085】
一方、上記ステップS301において、患者の反応がなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0086】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「つぎに、軽く肩をたたいてください」とのガイダンスを提示した(図2のステップS101)後、「反応はありますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図10のステップS302)。ここで、患者の反応があれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS302のYes)、その認識結果を出力する。
【0087】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識水準」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0088】
一方、上記ステップS302において、患者の反応がなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0089】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「つぎに、強い刺激を与えて下さい。」とのガイダンスを提示した(図2のステップS101)後、「反応はありますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図10のステップS303)。ここで、患者の反応があれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS303のYes)、その認識結果を出力する。
【0090】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識水準」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0091】
一方、上記ステップS302において、患者の反応がなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この場合、これがこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識水準」の項目に対する点数を、3点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0092】
一方、上記ステップS303において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「No」の反応の方が「Yes」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「意識水準」の項目に対する点数として、3点を選択し出力する。
【0093】
図11は、「1b.意識障害-質問」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0094】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「現在何月か、患者様の年齢を聞いてください」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「いくつ正解していますか?」との質問を提示する(ステップS401)。ここで、患者の正解が0であれば、医療スタッフは「ゼロ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「0」のキーボタンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「ゼロ」の音声か「0」のタッチを認識して(ステップS401の「0」)、その認識結果を出力する。
【0095】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識障害-質問」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0096】
ステップS401で、患者の正解が1つであれば、医療スタッフは「一つ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「1」のキーボタンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「一つ」の音声か「1」のタッチを認識して(ステップS401の「1つ」)、その認識結果を出力する。
【0097】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識障害-質問」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0098】
ステップS401で、患者の正解が2つであれば、医療スタッフは「二つ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「2」のキーボタンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「二つ」の音声か「2」のタッチを認識して(ステップS401の「2つ」)、その認識結果を出力する。
【0099】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識障害-質問」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0100】
一方、上記ステップS401において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「0」の反応の方が「1つ」、「2つ」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「意識障害-質問」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0101】
図12は、「1c.意識障害-従命」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0102】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「開閉眼と離握手を行ってください。できない場合はほかの動作で置き換えてください。」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「いくつ動作できていますか?」との質問を提示する(ステップS501)。ここで、患者の動作が0であれば、医療スタッフは「ゼロ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「0」のキーボタンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「ゼロ」の音声か「0」のタッチを認識して(ステップS501の「0」)、その認識結果を出力する。
【0103】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識障害-従命」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0104】
上記ステップS501で、患者の動作が1つであれば、医療スタッフは「一つ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「1」のキーボタンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「一つ」の音声か「1」のタッチを認識して(ステップS501の「1つ」)、その認識結果を出力する。
【0105】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識障害-従命」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0106】
上記ステップS501で、患者の動作が2つであれば、医療スタッフは「二つ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「2」のキーボタンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「二つ」の音声か「2」のタッチを認識して(ステップS501の「2つ」)、その認識結果を出力する。
【0107】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「意識障害-従命」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0108】
一方、上記ステップS501において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「0」の反応の方が「1つ」、「2つ」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「意識障害-従命」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0109】
図13は、「2.最良の注視」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0110】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「指で上下左右に目を追わせてください」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「共同偏視はありますか?」との質問を提示する(ステップS601)。
【0111】
ここで、医療スタッフが、「共同偏視がない」と判断したとする(ステップS601のNo)。この場合には、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS601のNo)、その認識結果を出力する。
【0112】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「目で指をまったく追っていませんか?」との質問を提示する(ステップS602)。
【0113】
ここで、医療スタッフが、「目で指をまったく追っていない」と判断したとする(ステップS602のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS602のYes)、その認識結果を出力する。
【0114】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の注視」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0115】
一方、上記ステップS602において、医療スタッフが、「目で指を追っている」と判断したとする(ステップS602のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS602のNo)、その認識結果を出力する。
【0116】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「全方向で指を目で追っていますか?」との質問を提示する(ステップS603)。
【0117】
ここで、医療スタッフが、「全方向で指を目でまったく追っている」と判断したとする(ステップS603のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS603のYes)、その認識結果を出力する。
【0118】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の注視」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0119】
一方、上記ステップS603において、医療スタッフが、「全方向で指を目で追っていない」と判断したとする(ステップS603のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチすることになる。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS603のNo)、その認識結果を出力する。
【0120】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の注視」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0121】
上記ステップ601で、医療スタッフが、「共同偏視がある」と判断したとする(ステップS601のYes)。この場合には、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS601のYes)、その認識結果を出力する。
【0122】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「目で指をまったく追っていませんか?」との質問を提示する(ステップS604)。
【0123】
ここで、医療スタッフが、「目で指をまったく追っていない」と判断したとする(ステップS604のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS604のYes)、その認識結果を出力する。
【0124】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の注視」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0125】
一方、上記ステップS604で、医療スタッフが、「目で指を追っている」と判断したとする(ステップS604のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS604のNo)、その認識結果を出力する。
【0126】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の注視」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0127】
一方、上記ステップS603において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「No」の反応の方が「Yes」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「最良の注視」の項目に対する点数として、1点を選択し出力する。
【0128】
また、上記ステップS604において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「Yes」の反応の方が「No」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「最良の注視」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0129】
図14は、「3.視野」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスと、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の表示例とを示すフローチャートである。
【0130】
まず、図2のステップS101およびS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「全盲の場合は“全盲”といってください。左右の目それぞれで視野の欠損を確認して、欠損部をタッチしてください。」とのガイダンスを提示する。本項目の場合には、図14に示されるように、タッチパネル付き表示装置の表示画面上に、左目および右目に対して1~6の番が記載された画像が表示される。
【0131】
医療スタッフは患者を観察して、その表示画像の欠損部をタッチする。反応認識部112は、このタッチした部分に対応するタッチ信号を認識結果として出力する(図2のステップS103)。医療スタッフのタッチ操作が終了すると、このタッチ操作がこの項目の最後の質問に相当することになるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、このタッチ信号(認識結果)に基づいて、自動的に点数を算出して出力する。
【0132】
一方、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として一番高い点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。
【0133】
図15は、「4.顔面麻痺」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0134】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「顔面におでこは入れないでください」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「麻痺はありませんか?」との質問を提示する(ステップS701)。ここで、医療スタッフが患者の顔面に麻痺がないと判断したなら、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS701のYes)、その認識結果を出力する。
【0135】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「顔面麻痺」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0136】
一方、上記ステップS701において、医療スタッフが患者の顔面に麻痺があると判断したなら、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0137】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「顔面が完全に麻痺していますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図15のステップS702)。ここで、医療スタッフが患者の顔面が完全に麻痺していると判断したなら、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS702のYes)、その認識結果を出力する。
【0138】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「顔面麻痺」の項目に対する点数を、3点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0139】
一方、上記ステップS702において、医療スタッフが患者の顔面が完全に麻痺してはいないと判断したなら、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0140】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「顔面の半分以上麻痺していますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図15のステップS703)。ここで、医療スタッフが患者の顔面の半分以上麻痺していると判断したなら、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS703のYes)、その認識結果を出力する。
【0141】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「顔面麻痺」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0142】
一方、上記ステップS703において、医療スタッフが患者の顔面の半分以上麻痺していないと判断したなら、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「顔面麻痺」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0143】
一方、上記ステップS703において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「Yes」の反応の方が「No」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「顔面麻痺」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0144】
この例の場合のように、項目が「顔面麻痺」のような特定の項目の場合、指示部111は、まず、この特定の項目に対する複数の質問の最初の方として、医療スタッフが患者の状態を判断するのが容易な質問(この例では「麻痺はありませんか?」)を指示する。そして、指示部111は、この特定の項目に対する複数の質問の最後として、医療スタッフが患者の状態を判断するのが困難な質問(この例では「顔面の半分以上麻痺していますか?」)を指示する。
【0145】
このように提示する質問の順番を選択することによって、本実施例では、より正確な点数付けをすることが可能となる。詳述すると、もしこのような順番で質問をしない場合、医療スタッフは、患者の顔面をみて麻痺があるか否か、麻痺がある場合にはどの程度であるか、を自分で判断しなければならない。このような判断は非常に難しいので、医療スタッフ(特に、経験の浅い医療スタッフ)は判断に迷う場合が多い。その結果、このような状況では、医療スタッフは、一番点数の小さい0点か、一番点数の高い3点のどちらかを選択してしまう場合が多い。その結果、点数の誤差が大きくなってしまう。これに対して、本実施例では、判断するのが容易な質問を最初にして、判断するのが困難な質問を最後にしているので、より正確に点数付けを行うことが可能となる。換言すれば、判断に迷った場合(図2のステップS104のYes)でも、本実施例では、点数としては1点の誤差になるだけである。
【0146】
図16は、「5.上肢の運動」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0147】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「健常肢から行ってください。手首とひじを宙に浮かせてからはじめてください。検査できない場合は、“検査不能”といってください」とガイダンスする。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「重力に抗しているか?」との質問を提示する(ステップS801)。
【0148】
ここで、医療スタッフが、患者の上肢が「重力に抗している」と判断したとする(ステップS801のYes)。この場合には、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS801のNo)、その認識結果を出力する。
【0149】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「ベッドに打つように落下するか?」との質問を提示する(ステップS802)。
【0150】
ここで、医療スタッフが、患者の上肢が「ベッドに打つように落下している」と判断したとする(ステップS802のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS802のYes)、その認識結果を出力する。
【0151】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「上肢の運動」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0152】
一方、上記ステップS802において、医療スタッフが、患者の上肢が「ベッドに打つように落下していない」と判断したとする(ステップS802のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS802のNo)、その認識結果を出力する。
【0153】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「10秒保持しているか?」との質問を提示する(ステップS803)。
【0154】
ここで、医療スタッフが、患者が上肢を「10秒保持している」と判断したとする(ステップS803のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS803のYes)、その認識結果を出力する。
【0155】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「上肢の運動」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0156】
一方、上記ステップS803において、医療スタッフが、患者が上肢を「10秒保持していない」と判断したとする(ステップS803のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS803のNo)、その認識結果を出力する。
【0157】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「上肢の運動」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0158】
上記ステップS801で、医療スタッフが、患者の上肢が「重力に抗していない」と判断したとする(ステップS801のNo)。この場合には、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS801のNo)、その認識結果を出力する。
【0159】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「まったく動かないか?」との質問を提示する(ステップS804)。
【0160】
ここで、医療スタッフが、患者の上肢が「まったく動かない」と判断したとする(ステップS804のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS804のYes)、その認識結果を出力する。
【0161】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「上肢の運動」の項目に対する点数を、4点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0162】
一方、上記ステップS804で、医療スタッフが、患者の上肢が「まったく動かなくはない」と判断したとする(ステップS804のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS804のNo)、その認識結果を出力する。
【0163】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「上肢の運動」の項目に対する点数を、3点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0164】
一方、上記ステップS803において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「No」の反応の方が「Yes」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「上肢の運動」の項目に対する点数として、1点を選択し出力する。
【0165】
また、上記ステップS804において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「Yes」の反応の方が「No」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「上肢の運動」の項目に対する点数として、4点を選択し出力する。
【0166】
図17は、「6.下肢の運動」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0167】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「健常肢から行ってください。足首とひざを宙に浮かせてからはじめてください。検査できない場合は、“検査不能”といってください」とガイダンスする。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「重力に抗しているか?」との質問を提示する(ステップS901)。
【0168】
ここで、医療スタッフが、患者の下肢が「重力に抗している」と判断したとする(ステップS901のYes)。この場合には、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS901のYes)、その認識結果を出力する。
【0169】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「ベッドに打つように落下するか?」との質問を提示する(ステップS902)。
【0170】
ここで、医療スタッフが、患者の下肢が「ベッドに打つように落下している」と判断したとする(ステップS902のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS902のYes)、その認識結果を出力する。
【0171】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「下肢の運動」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0172】
一方、上記ステップS902において、医療スタッフが、患者の下肢が「ベッドに打つように落下していない」と判断したとする(ステップS902のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS902のNo)、その認識結果を出力する。
【0173】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「5秒保持しているか?」との質問を提示する(ステップS903)。
【0174】
ここで、医療スタッフが、患者が下肢を「5秒保持している」と判断したとする(ステップS903のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS903のYes)、その認識結果を出力する。
【0175】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「下肢の運動」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0176】
一方、上記ステップS903において、医療スタッフが、患者が下肢を「5秒保持していない」と判断したとする(ステップS903のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS903のNo)、その認識結果を出力する。
【0177】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「下肢の運動」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0178】
上記ステップ901で、医療スタッフが、患者の下肢が「重力に抗していない」と判断したとする(ステップS901のNo)。この場合には、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS901のNo)、その認識結果を出力する。
【0179】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、図2のステップS102に戻って、引き続いて、出力装置140を使用して「まったく動かないか?」との質問を提示する(ステップS904)。
【0180】
ここで、医療スタッフが、患者の下肢が「まったく動かない」と判断したとする(ステップS904のYes)。この場合、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS904のYes)、その認識結果を出力する。
【0181】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「下肢の運動」の項目に対する点数を、4点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0182】
一方、上記ステップS904で、医療スタッフが、患者の下肢が「まったく動かなくはない」と判断したとする(ステップS904のNo)。この場合、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「いいえ」の音声か「No」のタッチを認識して(ステップS904のNo)、その認識結果を出力する。
【0183】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「下肢の運動」の項目に対する点数を、3点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0184】
一方、上記ステップS903において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「No」の反応の方が「Yes」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「下肢の運動」の項目に対する点数として、1点を選択し出力する。
【0185】
また、上記ステップS904において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「Yes」の反応の方が「No」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「下肢の運動」の項目に対する点数として、4点を選択し出力する。
【0186】
図18は、「7.運動失調」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスと、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の表示例とを示すフローチャートである。
【0187】
まず、図2のステップS101およびS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「上肢と下肢のテストを左右で行ってくだい。できていない部分をタッチしてください。」とガイダンスする。本項目の場合には、図18に示されるように、タッチパネル付き表示装置の表示画面上に、左上肢、左下肢、右上肢、および右下肢に対して、それぞれ、1~4の番号が記載された画像が表示される。
【0188】
医療スタッフは患者を観察して、その表示画像のできていない部分をタッチする。反応認識部112は、このタッチした部分に対応するタッチ信号を認識結果として出力する(図2のステップS103)。医療スタッフのタッチ操作が終了すると、このタッチ操作がこの項目の最後の質問に相当することになるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、このタッチ信号(認識結果)に基づいて、自動的に点数を算出して出力する。
【0189】
一方、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として一番高い点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。
【0190】
図19は、「8.感覚」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0191】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「つまようじで患者様を刺激してくだい」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「刺したところに全て反応していますか?」との質問を提示する(ステップS1001)。ここで、患者が刺激に対して全て反応していれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1001のYes)、その認識結果を出力する。
【0192】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「感覚」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0193】
一方、上記ステップS1001において、患者が刺激に対して全てに反応しているわけでなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0194】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「まったく反応がありませんか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図19のステップS1002)。ここで、刺激に対して患者にまったく反応がなければ、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1002のYes)、その認識結果を出力する。
【0195】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「感覚」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0196】
一方、上記ステップS1002において、患者にまったく反応がなくはなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0197】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「感覚」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0198】
一方、上記ステップS1002において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「Yes」の反応の方が「No」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「感覚」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0199】
図20は、「9.最良の言語」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0200】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「絵を見せて質問してください。文字を読ませてくだい。」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「質問に対してまったく反応がありませんか?」との質問を提示する(ステップS1101)。ここで、質問に対して患者にまったく反応がなければ、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1101のYes)、その認識結果を出力する。
【0201】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の言語」の項目に対する点数を、3点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0202】
一方、上記ステップS1101において、質問に対して患者に反応があれば、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0203】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「質問に対して問題なく答えていますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図20のステップS1102)。ここで、患者が質問に対して問題なく答えていれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1102のYes)、その認識結果を出力する。
【0204】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の言語」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0205】
一方、上記ステップS1102において、患者が質問に対して問題なく答えていなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0206】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「発した単語が理解できますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図20のステップS1103)。ここで、医療スタッフが、患者が単語を理解できていると判断したなら、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1103のYes)、その認識結果を出力する。
【0207】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の言語」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0208】
一方、上記ステップS1103において、医療スタッフが、患者が単語を理解できていないと判断したなら、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「最良の言語」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0209】
一方、上記ステップS1103において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「No」の反応の方が「Yes」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「最良の言語」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0210】
図21は、「10.構音障害」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0211】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「文字を読ませてください。」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「文字をすべて問題なく読めていますか?」との質問を提示する(ステップS1201)。ここで、患者が文字をすべて問題なく読めていれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1201のYes)、その認識結果を出力する。
【0212】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「構音障害」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0213】
一方、上記ステップS1201において、患者が文字をすべて問題なく読めてはいなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0214】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「半分以上発している言語が理解できますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図21のステップS1202)。ここで、医療スタッフが患者の発する言語を理解できていれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1202のYes)、その認識結果を出力する。
【0215】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「構音障害」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0216】
一方、上記ステップS1202において、医療スタッフが患者の発する言語を理解できていなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0217】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「構音障害」の項目に対する点数を、2点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0218】
一方、上記ステップS1202において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「No」の反応の方が「Yes」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「構音障害」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0219】
図22は、「11.消去現象と注意障害」の項目に対して、指示部111から指示される、ガイダンスおよび質問を示すフローチャートである。
【0220】
まず、図2のステップS101で、指示部111は、出力装置140を使用して「麻痺がある場合は麻痺側に立ってください。」とのガイダンスを提示する。引き続いて、図2のステップS102で、指示部111は、出力装置140を使用して「指示に対して問題なくできていますか?」との質問を提示する(ステップS1301)。ここで、患者が問題なくでてきれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1301のYes)、その認識結果を出力する。
【0221】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「消去現象と注意障害」の項目に対する点数を、0点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0222】
一方、上記ステップS1301において、患者が問題なくできていなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0223】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問ではないので(図2のステップS105のNo)、指示部111は、「真ん中をつかめていますか?」との質問を提示する(図2のステップS102および図22のステップS1302)。ここで、患者が真ん中をつかめていれば、医療スタッフは、「はい」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「Yes」のアイコンをタッチする。この結果、図2のステップS103で、反応認識部112は、この「はい」の音声か「Yes」のタッチを認識して(ステップS1302のYes)、その認識結果を出力する。
【0224】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「消去現象と注意障害」の項目に対する点数を、1点と判定する。その後、次の項目へ移ることになる(図2のステップS106参照)。
【0225】
一方、上記ステップS1302において、患者が真ん中をつかめていなければ、医療スタッフは、「いいえ」と音声でマイクロホンから回答するか、タッチパネル付き表示装置の表示画面上の「No」のアイコンをタッチする。
【0226】
この場合、この質問がこの項目の最後の質問になるので(図2のステップS105のYes)、点数判定部113は、この認識結果に基づいて、「消去現象と注意障害」の項目に対する点数を、2点と判定する。
【0227】
一方、上記ステップS1302において、医療スタッフが判断に迷ってしまって、経過時間が許容時間を経過したとする(図2のステップS104のYes)。この場合、点数判定部113は、この時点での質問に対する医療スタッフの反応として高い方の点数を、判定した点数として選択し出力する(図2のステップS107)。この例の場合、「No」の反応の方が「Yes」の反応よりも点数が高いので、点数判定部113は、「消去現象と注意障害」の項目に対する点数として、2点を選択し出力する。
【0228】
上述の患者状態判定装置100~100Cは、ハードウエアによって実現してもよいし、ソフトウエアによって実現してもよい。また、患者状態判定装置100~100Cは、ハードウエアとソフトウエアの組み合わせによって実現してもよい。
【0229】
なお、データ処理装置110~110Cが読み取り可能なプログラム122は、コンピュータが読み取り可能な様々な記録媒体に非一時的に格納した状態で、患者状態判定装置100~100Cに供給してもよい。このような記録媒体は、例えば、磁気テープ、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc- Recordable)、CD-RW(Compact Disc-ReWritable)、半導体メモリである。
【0230】
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、本発明は、これらに限られるものではない。例えば、本発明は、これまで説明した実施形態および実施例の一部または全部を適宜組み合わせた形態や、その形態に適宜変更を加えた形態をも含む。
【0231】
例えば、上記実施形態のいずれも、データ処理装置は、時間計測部を備えているが、本発明ではこれを省いてもよい。この場合、測定時間(判定時間)の問題は残るかも知れないが、点数付けの測定(判定)の判断困惑の問題を解決することは可能である。何故なら、医療スタッフに対して適切なガイダンスと指示とを行っているからである。
【0232】
また、タッチパネル付き表示装置の表示画面上に「ヘルプ」ボタンを表示するようにしてもよい。この場合、例えば、経験の浅い医療スタッフがこの「ヘルプ」ボタンを押すと、過去において熟練の医療スタッフが点数付けした、過去の類似の患者に対する「判定した点数」が指示された項目と紐付けられた状態で、その表示画面上に表示される。これにより、経験の浅い医療スタッフは、この表示内容を参考にしながら、適切な点数付けをすることが可能となる。
【0233】
さらに、上記実施形態では、集計装置200は、単に患者状態判定装置から判定した点数を受けて、その点数を集計しているだけであるが、本発明はそれに限定されない。すなわち、本発明は、集計装置200の代わりに、医療記録データベースを備えた電子カルテシステムに適用されてもよい。
【0234】
この場合、患者状態判定装置100A~100Cの各々は、記憶装置120A、120Bの点数・時間記録部126に記録された記録情報(指定された項目、判定した点数、および経過時間)を患者IDと紐付けて、通信インターフェース150を介して無線で電子カルテシステムへ送信する。電子カルテシステムは、受信した記録情報(患者IDが紐付けられている)を、集計結果と共に、医療記録データベースの対応する患者IDの欄に記録(転記)する。
【0235】
また、通信インターフェース150がコネクタから成る場合には、患者状態判定装置100A~100Cの各々は、記憶装置120A、120Bの点数・時間記録部126に記録された記録情報(指定された項目、判定した点数、および経過時間)を患者IDと紐付けて、コネクタを介して外部の記録媒体に書き込む。そして、電子カルテシステムでは、外部の記録媒体に記録されている情報を、その電子カルテシステムに備えられているコネクタを介して読み込み、読み込んだ情報を、集計結果と共に、医療記録データベースの対応する患者IDの欄に記録(転記)する。
【0236】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0237】
(付記1)
患者に対して測定すべき複数の項目を、順次、医療スタッフに指示する指示部と、
指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する反応認識部と、
前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力する点数判定部と、を備え、
前記指示部は、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示する、ことを特徴とする患者状態判定装置。
【0238】
(付記2)
前記指示部は、前記指示された項目に対応する前記質問の各々を音声にて前記医療スタッフに知らせる音声通知手段を含むことを特徴とする付記1に記載の患者状態判定装置。
【0239】
(付記3)
前記反応認識部は、前記反応として前記医療スタッフから発声された回答音声を受け、該回答音声を識別して、識別結果を前記認識結果として出力する音声識別手段を含むことを特徴とする付記1又は2に記載の患者状態判定装置。
【0240】
(付記4)
前記医療スタッフに対して各項目の指示を開始した開始時刻からの経過時間を測定する時間測定部を更に有する、付記1乃至3のいずれか1つに記載の患者状態判定装置。
【0241】
(付記5)
前記複数の項目には、それぞれ、許容時間が予め設定されており、
前記経過時間が前記許容時間を超過した時点で、前記医療スタッフから前記反応が得られなかった場合、前記点数判定部は、前記時点での質問に対してする反応として高い方の点数を、前記判定した点数として選択し出力する、付記4に記載の患者状態判定装置。
【0242】
(付記6)
前記判定した点数と前記経過時間とを、前記指示された項目に紐付けて、記録情報として記録する点数・時間記録部を更に有する、付記4に記載の患者状態判定装置。
【0243】
(付記7)
少なくとも前回を含む過去の測定において、前記点数・時間記録部に記録された前記記録情報に基づいて、前記指示部は、今回の測定で前記医療スタッフへ指示すべき通知内容を変更する、付記6に記載の患者状態判定装置。
【0244】
(付記8)
前記変更される通知内容は、前記指示された項目に対して設定された許容時間を含む、付記7に記載の患者状態判定装置。
【0245】
(付記9)
前記患者の測定状態を記録する測定状態記録部を更に有する、付記6に記載の患者状態判定装置。
【0246】
(付記10)
少なくとも前回を含む過去の測定において、前記点数・時間記録部に記録された前記記録情報と前記測定状態記録部に記録された前記測定状態とに基づいて、前記指示部は、今回の測定で前記医療スタッフへ指示すべき通知内容を変更する、付記9に記載の患者状態判定装置。
【0247】
(付記11)
前記変更される通知内容は、前記指示された項目に対して設定された許容時間を含む、付記10に記載の患者状態判定装置。
【0248】
(付記12)
前記複数の項目には、それぞれ、許容時間が予め設定されており、
前記経過時間が前記許容時間を超過した時点で、前記医療スタッフから前記反応が得られなかった場合、複数の類似事例を予め保存している類似事例データベースから、前記患者の状態に類似している1つの類似事例を抽出して、抽出した類似事例を前記医療スタッフへ提示する類似事例抽出部を更に備える、付記4に記載の患者状態判定装置。
【0249】
(付記13)
前記複数の項目の中の特定の項目に対して複数の質問が存在する場合、
前記指示部は、
前記特定の項目に対する前記複数の質問の最初の方として、前記医療スタッフが前記患者の状態を判断するのが容易な質問を指示し、
前記特定の項目に対する前記複数の質問の最後として、前記医療スタッフが前記患者の状態を判断するのが困難な質問を指示する、
付記1乃至12のいずれか1つに記載の患者状態判定装置。
【0250】
(付記14)
前記複数の項目は、NIHSS(National Institute of Health Stroke Scale)で規定されている項目から成る、付記1乃至13のいずれか1つに記載の患者状態判定装置。
【0251】
(付記15)
付記1乃至14のいずれか1つに記載の患者状態判定装置と、
該患者状態判定装置から前記判定した点数を受けて、前記点数を集計する集計装置と、
を含む患者状態判定システム。
【0252】
(付記16)
指示部が、患者に対して測定すべき複数の項目を、順次、医療スタッフに指示し、
反応認識部が、指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力し、
点数判定部が、前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力し、
前記指示部は、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示する、ことを特徴とする患者状態判定方法。
【0253】
(付記17)
患者に対して測定すべき複数の項目を、順次、医療スタッフに指示する指示手順と、
指示された項目に対する、前記医療スタッフからの反応を認識して、認識結果を出力する反応認識手順と、
前記認識結果に基づいて前記指示された項目に対する点数を判定し、判定した点数を出力する点数判定手順と、
をコンピュータに実行させる患者状態判定プログラムであって、
前記指示手順は、前記コンピュータに、前記複数の項目の各々を、該項目に関連付けられた少なくとも1つの質問の形式で、前記医療スタッフに提示させる、患者状態判定プログラム
【0254】
この出願は、2017年12月8日に出願された日本出願特願2017-235687を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0255】
100、100A、100B、100C・・・患者状態判定装置
110、110A、110B、110C・・・データ処理装置
111、111A、111B・・・指示部
112・・・反応認識部
113・・・点数判定部
114・・・時間測定部
115・・・類似事例抽出部
118、118A、118B、118C・・・制御部
120、120A、120B・・・記憶装置
122・・・プログラム
124・・・項目記憶部
126・・・点数・時間記録部
128・・・測定状態記録部
130・・・入力装置
140・・・出力装置
150・・・通信インターフェース
200・・・集計装置
210・・・データ処理装置
212・・・集計部
220・・・記憶装置
230・・・通信インターフェース
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