(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】物品支持台
(51)【国際特許分類】
B42D 5/04 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
B42D5/04 J
(21)【出願番号】P 2017252322
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】517457104
【氏名又は名称】株式会社岡田印刷
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【氏名又は名称】高松 孝行
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(72)【発明者】
【氏名】岡田 義和
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3103884(JP,U)
【文献】特開2005-208210(JP,A)
【文献】特開2008-265039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を所定の状態で保持することができる物品支持台であって、
前記物品と接着する板状部材からなり、
前記板状部材は、
前記物品の上下方向と交差する方向に、一方の端部から他方の端部にかけて形成された第1~第3の3つの屈曲部と、
前記一方の端部と前記第1の屈曲部とで区分される接着部と、
前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部とで区分される足部と、
前記第2の屈曲部と前記第3の屈曲部とで区分される接地部と、
前記第3の屈曲部と他方の端部とで区別される支持部と、
を少なくとも有し、
前記接着部は、前記物品の上部と接着し、
前記足部は、前記物品の反対側に屈曲し、
前記接地部は、前記物品の下方端部側に屈曲し、
前記支持部は、前記物品の上方端部側に屈曲して前記物品に接触しまたは近傍に配置され、
前記他方の端部と前記第1の屈曲部との間に空間が形成されており、
前記一方の端部から前記第3の屈曲部までの距離が前記物品の上下方向の長さよりも大きく、
前記第2の屈曲部と前記第3の屈曲部の距離が、前記板状部材の前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部までの距離よりも大きく、
前記板状部材を展伸させた場合における、前記第3の屈曲部から前記他方の端部までの距離と、前記一方の端部から前記第1の屈曲部までの距離との比率が、1:1~20:1の範囲にある
ことを特徴とする物品支持台。
【請求項2】
前記板状部材を展伸させた場合における、前記第3の屈曲部から前記他方の端部までの距離と、前記一方の端部から前記第1の屈曲部までの距離との比率が、6:4~10:1の範囲にあることを特徴とする請求項
1に記載の物品支持台。
【請求項3】
前記第2の屈曲部と前記第3の屈曲部との距離が、前記第3の屈曲部から前記板状部材の他方の端部までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1
または2に記載の物品支持台。
【請求項4】
前記支持部の前記物品側に、情報を表示できる第1の表示部が形成されていることを特徴とする請求項1~
3の何れか1項に記載の物品支持台。
【請求項5】
前記第1の屈曲部と前記第2の屈曲部との距離が、前記一方の端部と前記第1の屈曲部との距離よりも大きいことを特徴とする請求項1~
4の何れか1項に記載の物品支持台。
【請求項6】
前記足部の前記接続部側に、情報を表示できる第2の表示部が形成されていることを特徴とする請求項1~
5の何れか1項に記載の物品支持台。
【請求項7】
前記接地部の物品側の反対側表面の少なくとも一部に、前記接地部と当該物品支持台が載置される部材との静摩擦係数よりも高い摩擦係数を有するものを設けたことを特徴とする請求項1~
6の何れか1項に記載の物品支持台。
【請求項8】
前記板状部材が紙で構成されていることを特徴とする請求項1~
7の何れか1項に記載の物品支持台。
【請求項9】
前記板状部材を構成する繊維の方向と、各屈曲部の方向とが交差することを特徴とする請求項
8に記載の物品支持台。
【請求項10】
前記物品がカレンダーであることを特徴とする請求項1~
9の何れか1項に記載の物品支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な物品を所定の状態で保持することができ、容易に後方に押し倒したり、上方から押し潰すことができると共に、折り畳むことによって省スペースを図ることができ、さらには元の状態に容易に戻すことができる物品支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な卓上カレンダーは、複数の紙と、それらの紙を入れ替え可能な状態で、斜め方向の状態で保持できるようなプラスチックケース(例えば、回動可能な2つの透明なプラスチック部材で構成され、一方のプラスチック部材を限界まで回動させると、紙が斜め方向の状態で保持できるようになるもの等)で構成されたり、断面が二等辺三角形状になるように折り曲げた台紙の上部に、複数のリングを取り付け、そのリングに複数の紙を回動可能に取り付けるように構成されている。
【0003】
このようなカレンダーの各紙の表面には、インク等を用いて複数の枠が描かれ、その枠内に日付とメモ欄が設けられており、使用者がメモ欄にその日の予定等の情報を記入することができるようになっている。
【0004】
この他に、カレンダーにも使用することができる、携帯性および使用性を向上させた多用途カバー支持台(特許文献1参照)や、腰や頭を下げないで使用することができる携帯性と使用性を向上させた多用途カバー支持台(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2009-507676号公報
【文献】特表2010-533028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、上述したようなプラスチックケースを用いて構成されたカレンダーでは、メモ欄に予定等の情報を記入する際には、プラスチックのケースから紙を取り出した後、その紙を机等の上に置いて情報を記入し、その後再度プラスチックケースに入れる必要があったり、ペン等を使って情報を書き込む際に、プラスチックケースが移動しないように手で支える必要があった。
【0007】
また、上述したような断面が二等辺三角形状になるように折り曲げた台紙を用いて構成されたカレンダーでは、ボールペン等を使って情報を書き込む際に、台紙が歪まないようにボールペン等が当接する部分の台紙の裏面を手で支えた上で、情報を記入する必要があった。
【0008】
このように、上述した一般的なカレンダーでは、簡単な情報を記入するだけであっても両手を使った面倒な動作が必要となってしまうという問題点があった。
【0009】
また、上述した一般的なカレンダーは、一旦状態(形状)を固定してしまうと簡単に変形することができず、状況によっては机等のスペースを無駄に占有してしまうという問題点があった。
【0010】
さらに、プラスチックケース等の紙以外の材料を用いて構成されているカレンダーは、廃棄する際に分別処理を行わないと環境に悪影響を与えてしまう可能性があるという問題点があった。
【0011】
このような問題点は、特許文献1および2に開示されている多用途カバー支持台でも解決することができない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究・開発を続けた結果、以下のような画期的な物品支持台を見出した。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、物品を所定の状態で保持することができる物品支持台であって、物品の上下方向と交差する方向に、物品の一方の端部から他方の端部にかけて形成された第1~第3の3つの屈曲部を少なくとも有する板状部材からなり、一方の端部と第1の屈曲部とで区分される接着部は、物品の上部と接着し、板状部材の第1の屈曲部と第2の屈曲部とで区分される足部は、物品の反対側に屈曲し、第2の屈曲部と第3の屈曲部とで区分される接地部は、物品の下方端部側に屈曲し、第3の屈曲部と板状部材の他方の端部とで区別される支持部は、物品の上方端部側に屈曲して物品に接触しまたは近傍に配置され、一方の端部から第3の屈曲部までの距離が物品の上下方向の長さよりも大きく、板状部材を展伸させた場合における、第3の屈曲部から他方の端部までの距離と、一方の端部から第1の屈曲部までの距離との比率が、1:1~20:1の範囲にあることを特徴とする物品支持台にある。
【0014】
ここで、「物品」には、不動産以外の有体物だけでなく、ヒトや動物も含まれる。また、「物品の上下方向」とは、机等の上に、物品を載置した時の上下方向をいう。なお、使用者は、物品の角度を変えて机等の上に載置することができるので、実質的には上下方向を任意に設定することができる。
【0015】
かかる第1の態様では、物品を所定の状態で安定して保持することができると共に、物品を押圧することにより、物品支持台を後方側に押し倒したり、上方から容易に押し潰すことができる。その結果、状況に応じて、物品が占めるスペースを小さくすることができるので、物品が載置されている場所を有効に利用することができる。そして、詳細は後述するが、物品支持台は、特に強い反発力を生む支持部および第3の屈曲部を有するので、押し潰された状態から、容易に元の状態に戻すことができる。また、本発明に係る物品支持台は、単純な構造をしていることから、容易に作製することができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、他方の端部と第1の屈曲部との間に空間が形成されていることを特徴とする第1の態様に記載の物品支持台にある。
【0017】
かかる第2の態様では、物品支持台を後方に押し倒したり、上方から押し潰す際に、他方の端部が第1の屈曲部に突っかかることがなくなるので、第3の屈曲部はスムーズに屈曲することができる。
【0018】
本発明の第3の態様は、第2の屈曲部と第3の屈曲部の距離が、板状部材の第1の屈曲部と第2の屈曲部までの距離よりも大きいことを特徴とする第1または第2の態様に記載の物品支持台にある。
【0019】
かかる第3の態様では、物品支持台を机等の上に載置した際に、高さ方向の長さよりも水平方向(接地部)の長さの方が長くなるため、より安定して物品を支持することができる。
【0020】
本発明の第4の態様は、板状部材を展伸させた場合における、第3の屈曲部から他方の端部までの距離と、一方の端部から第1の屈曲部までの距離との比率が、6:4~10:1の範囲にあることを特徴とする第1~第3の態様の何れか1つに記載の物品支持台にある。
【0021】
かかる第4の態様では、物品を所定の状態で、より安定して保持することができる。
【0022】
本発明の第5の態様は、第2の屈曲部と第3の屈曲部との距離が、第3の屈曲部から板状部材の他方の端部までの距離よりも大きいことを特徴とする第1~第4の態様の何れか1つに記載の物品支持台にある。
【0023】
かかる第5の態様では、物品を所定の状態で、さらに安定して保持することができると共に、物品を押圧することにより、物品支持台を後方側または下方側により容易に押し潰すことができる。そして、押し潰された状態から、より容易に元の状態に戻すことができる。
【0024】
本発明の第6の態様は、支持部の物品側に、情報を表示できる第1の表示部が形成されていることを特徴とする第1~第5の態様の何れか1つに記載の物品支持台にある。
【0025】
かかる第6の態様では、物品を後方側に押し倒した際に、第1の表示部が現れ、使用者に第1の表示部に表示された情報を認識させることができる。
【0026】
本発明の第7の態様は、第1の屈曲部と第2の屈曲部との距離が、一方の端部と第1の屈曲部との距離よりも大きいことを特徴とする第1~第6の態様の何れか1つに記載の物品支持台にある。
【0027】
かかる第7の態様では、物品を下方側に押し潰した際に、第2の表示部が現れ、使用者に第2の表示部に表示された情報を認識させることができる。
【0028】
本発明の第8の態様は、物品を所定の状態で保持することができる物品支持台であって、物品の上下方向と交差する方向に、物品の一方の端部から他方の端部にかけて形成された第1および第2の2つ屈曲部を有する板状部材からなり、一方の端部と第1の屈曲部とで区分される接着部は、物品の上部と接着し、板状部材の第1の屈曲部と第2の屈曲部とで区分される足部は、物品の反対側に屈曲し、第2の屈曲部と第3の屈曲部とで区分される接地部は、物品の下方端部側に屈曲し、一方の端部から第3の屈曲部までの距離が物品の上下方向の長さよりも大きく、一方の端部から第1の屈曲部までの距離が物品の上下方向の長さの1/2よりも小さいことを特徴とする物品支持台にある。
【0029】
かかる第8の態様では、第1の態様に係る物品支持台と比較して、第3の屈曲部と支持部がないため、元の形状に戻ろうとする復元力は小さいが、第1の態様に係る物品支持台と同様の効果を奏する。
【0030】
本発明の第9の態様は、接地部の物品側の反対側表面の少なくとも一部に、接地部と当該物品支持台が載置される部材との静摩擦係数よりも高い摩擦係数を有するものを設けたことを特徴とする第1~第8の態様の何れか1つに記載の物品支持台にある。
【0031】
ここで、静摩擦係数は、板状部材の材質と物品支持台が載置される部材の材質に応じて、JIS K 7125:1999等のJISに定められた方法により算出することができる。
【0032】
かかる第9の態様では、物品を後方に押し倒す際または上方から押し潰す際に、物品支持台が移動することを防止することができる。その結果、物品支持台を、より容易に後方に押し倒したり、上方から押し潰すことができる。
【0033】
本発明の第10の態様は、板状部材が紙で構成されていることを特徴とする第1~第9の態様の何れか1つに記載の物品支持台にある。
【0034】
かかる第10の態様では、物品支持台をより容易かつ安価に製造することができると共に、分別処理を行うことなく廃棄することができ、さらには環境負荷が小さいという効果を奏する。
【0035】
本発明の第11の態様は、板状部材を構成する繊維の方向と、各屈曲部の方向とが交差することを特徴とする第10の態様に記載の物品支持台にある。
【0036】
かかる第11の態様では、紙を構成する繊維の方向と、各屈曲部の方向とが交差することになるため、物品支持台を押し潰した際の反発力が向上する。その結果、物品支持台は、押し倒されたり、押し潰された状態から、より容易に元の状態に戻ることができる。
【0037】
本発明の第12の態様は、物品がカレンダーであることを特徴とする第1~第11の態様の何れか1つに記載の物品支持台にある。
【0038】
かかる第12の態様では、カレンダーに情報を書き込むときや、カレンダーが占有する空間を小さくしたいときは、カレンダーを後方に押し倒したり、上方から押し潰すことができる。また、情報を書き終わったときや押し潰されたカレンダーを見やすい状態にしたいときに、容易にカレンダーを元の状態に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は実施形態1に係る物品支持台の概略斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態1に係る物品支持台の概略展開図である。
【
図3】
図3は実施形態1に係る物品支持台上にカレンダーが取り付けられた際の概略図である。
【
図4】
図4は実施形態1に係る物品支持台が後方に押し倒された際の概略側面図である。
【
図5】
図5は実施形態1に係る物品支持台が後方に押し倒された際の概略上面図である。
【
図6】
図6は実施形態1に係る物品支持台が上方から押し潰された際の概略側面図である。
【
図7】
図7は実施形態1に係る物品支持台が上方から押し潰された際の概略上面図である。
【
図8】
図8は実施形態3に係る物品支持台の概略斜視図である。
【
図9】
図9は実施形態5に係る物品支持台の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る物品支持台の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
【0041】
本実施形態では、物品として、複数の紙(日付等が表記されている)が裏面の上部に塗布された接着剤等によりそれぞれ接着して構成されたカレンダーを用いて、本発明に係る物品支持台を説明する。
【0042】
図1は本実施形態に係る物品支持台1の概略斜視図であり、
図2は本実施形態に係る物品支持台1の概略展開図である。
図2に示すように、物品支持台1は、長方形状の台紙5(板状部材)で構成されている。
【0043】
台紙5の長手方向である一方の端部10から他方の端部50に向かって(上方から下方に向かって)、台紙5には、互いに平行な3つの屈曲部20、30、40が幅方向に設けられている。
【0044】
台紙5には、一方の端部10から第1の屈曲部20で区分される接着部15と、第1の屈曲部20と第2の屈曲部30とで区分される足部25と、第2の屈曲部30と第3の屈曲部40とで区分される接地部35と、第3の屈曲部40と他方の端部50とで区分される支持部45とがそれぞれ形成されている。
【0045】
ここで、各部15、25、35、45の縦幅(上下方向)のそれぞれの長さL15、L25、L35、L45は、次式のような関係になっており、かつ一方の端部10から第1の屈曲部20までの距離(L15)と第3の屈曲部40から他方の端部50までの距離(L45)の長さの比率が、1:1~1:20の範囲にあるようになっている。
【0046】
【0047】
そして、支持部45の裏面側表面(物品支持台1が形成されたときの物品側表面)の第3の屈曲部40側近傍には、矩形状の第1の表示部60が形成されており、後述するように使用者に認識させたい情報を表示できるようになっている。
【0048】
また、足部25の裏面側表面の第2の屈曲部30側近傍には、矩形状の第2の表示部70が形成されており、第1の表示部60と同様に、使用者に認識させたい情報を表示できるようになっている。なお、第1の表示部60および第2の表示部70に表示される情報は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0049】
そして、この台紙5から、各屈曲部20、30、40を屈曲させて物品支持台1を形成する。具体的には、まず第1の屈曲部20を紙面に対して裏面側(後ろ側)に屈曲させる。次に、第2の屈曲部30を第1の屈曲部20の屈曲方向とは反対側に屈曲させる。そして、第3の屈曲部40を第2の屈曲部30の屈曲方向と同じ方向に屈曲させる。最後に、各屈曲部20、30、40の角度を調整し、支持部45が物品(カレンダー)の裏面に接するようにする。すると、足部25、接地部35および支持部45によって形成される断面が略三角形状となる物品支持台1が形成される。なお、支持台45は、カレンダーの裏面の近傍に配置されればよく、接しなくてもよい。
【0050】
この物品支持台1は、
図3に示すように、両面テープや接着剤等を介して、物品であるカレンダー100の上部と接着部15とを接着させることができるようになっている。なお、物品支持台1はカレンダー100と直接接着されてもよいし、厚紙等の部材を介して間接的に接着されてもよい。
【0051】
ここで、台紙5を構成する材料は、各屈曲部20、30、40で屈曲させることができ、かつカレンダー100と接着させた状態(カレンダー100が斜めに傾斜している状態)を保持することができる強度を有するものであれば、紙に限定されない。
【0052】
また、両面テープや接着剤等についても、カレンダー100の上部と接着部15とを接着させることができるものであれば特に限定されないが、カレンダー100および物品支持台1が紙製である場合には、燃やしても有害物質が発生しないものが好ましい。このように物品支持台1を構成することにより、カレンダー100が接着した物品支持台1をそのまま(分別せずに)廃棄することができる。
【0053】
また、第1の表示部60および第2の表示部70は、情報を表示することができるものであれば特に限定されず、例えば台紙5に文字等の情報が直接印刷されていてもよいし、情報が印刷されたシール等を貼付してもよい。
【0054】
次に、物品支持台1の動作について説明する。まず、カレンダー100が接着した物品支持台1を後方に押し倒すように力を加えると、物品支持台1は、
図4に示すように、第1の屈曲部20が展伸して容易に後方に押し倒される。
図4は、
図3に示すA方向から見た場合における物品支持台1が後方に押し倒された際の概略側面図である。
【0055】
この図に示すように、第3の屈曲部40がほぼ180度に屈曲して、接地部35と支持部45とが密着する(折り返した状態となる)。そして、第1の屈曲部20と第2の屈曲部が展伸し、その他の各部15、25、35が同一平面上に位置するようになる。すると、
図5に示すように、支持部45の裏面側表面に形成された第1の表示部60が現れ、そこに表示された情報を使用者が見ることができるようになる。
【0056】
なお、物品支持台1は、1つの部材で構成されており、各屈曲部20、30、40を屈曲させて形成されているので、
図4に示すような後方から押し倒された状態から、元の形状(
図3に示す状態)に戻ろうとする復元力を有する。特に、支持部45と第3の屈曲部40は、強い復元力(反発力)を生ぜしめる。その結果、このように後方に押し倒された状態から、片手だけでも物品支持台1を容易に元の形状に戻すことができる。
【0057】
このように、本実施形態にかかる物品支持台1は、後方に容易に押し倒すことができると共に、後方に押し倒した状態の時にのみ、第1の表示部60に表示された情報を使用者に見せることができ、さらには元の形状に容易に戻すことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る物品支持台1は、上方から押し潰すように力を加えると、
図6に示すように、容易に押し潰すことができる。
図6は、
図3に示すA方向から見た場合における物品支持台1が上方から押し潰された際の概略側面図である。
【0059】
この図に示すように、第1~第3の屈曲部20、30、40がほぼ180度に屈曲して接着部15と足部25とが密着(折り返した状態)すると共に、足部25と接地部35の一部とが密着(折り返した状態)する。そして、さらに第3の屈曲部40が屈曲して接地部35と支持部45とが密着(折り返した状態)する。すると、
図7に示すように、足部25の裏面側表面に形成された第2の表示部70が現れ、そこに表示された情報を使用者に見せることができるようになる。
【0060】
なお、物品支持台1は、1つの部材で構成されており、各屈曲部20、30、40を屈曲させて形成されているので、
図6に示すような上方から押し潰された状態から、元の形状(
図3に示す状態)に戻ろうとする復元力を有する。特に、支持部45と第3の屈曲部40は、強い復元力(反発力)を生ぜしめる。その結果、このように上方から押し潰された状態から、片手だけでも物品支持台1を容易に元の形状に戻すことができる。
【0061】
このように、本実施形態にかかる物品支持台1は、上方から容易に押し潰すことができると共に、上方から押し潰された状態の時にのみ、第2の表示部70に表示された情報を使用者に見せることができ、さらには元の形状に容易に戻すことができる。
【0062】
さらに、本実施形態に係る物品支持台1は、第1の屈曲部20と他方の端部50とが当接しておらず、
図1に示すように空間Sが形成されている。その結果、物品支持台1を後方に押し倒したり、上方から押し潰す際に、他方の端部50が第1の屈曲部20に突っかかることがない。その結果、第3の屈曲部40をスムーズに屈曲させることができるので、物品支持台1をスムーズに後方に押し倒したり、上方から押し潰すことできる。
【0063】
なお、第1の表示部60および第2の表示部70に表示される文字の方向は、各表示部60、70が使用者に見えるようになった際に、使用者が認識できるようになっているのは言うまでもない。
(実施例1)
【0064】
本発明に係る物品支持台の形状と使いやすさを検証するために、各部の上下方向の幅(縦幅)の長さを変更した実験を行った。なお、この実験には、物品として横幅22.5cm、縦幅7cm、重さ70gの紙製のカレンダーを用い、物品支持台として、横幅22.5cmの紙製(王子マテリア株式会社製、マットカード22.5 260g/m2)を用いた(物品支持台を構成する各部の長さについては表1参照)。
【0065】
【0066】
ここで、「使いやすさ」とは、後方への押し倒し易さ、上方からの押し潰し易さおよび元の形状への戻し易さをいう。そして、使いやすさの評価としては、「◎」が最も安定して使いやすく、「〇」「△」「×」になるに連れて使いにくいことを示す。
【0067】
この表から分かるように、L35よりもL45が長い場合(サンプル7)には、少し使いにくいことが分かった。
【0068】
なお、サンプル1に示すように、各部15、25、35、45の縦幅(上下方向)のそれぞれの長さL15、L25、L35、L45が物品の上下方向より小さく、L15≧L25の場合には、
図6に示した物品支持台のように折り畳むようにすると、物品の上方から見た際に、物品支持台を構成する各部が、すべて物品の裏側に隠れるように配置されることになる。したがって、物品支持台をコンパクトに収納することができる。
(実施形態2)
【0069】
実施形態1では、一方の端部10から第1の屈曲部20までの距離(L15)と第3の屈曲部40から他方の端部50までの距離(L45)の長さの比率が、1:1~1:20の範囲にあるようになっていたが、この比率が、4:6~1:10の範囲にあるように物品支持台を構成することが好ましい。
【0070】
このように物品支持台を構成することにより、物品を所定の状態でより安定して保持することができる。
(実施形態3)
【0071】
実施形態1では、第1の屈曲部20と他方の端部50と間に空間Sが形成されるように物品支持台を構成したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示すように、第1の屈曲部20と他方の端部50Aとが当接するように物品支持台1Aを構成してもよい。具体的には、例えば、第3の屈曲部40と他方の端部50Aとの距離が実施形態1のものよりも長くなるように物品支持台1Aを構成してもよい。
【0072】
このように物品支持台1Aを構成することにより、実施形態1に係る物品支持台と比較して、第3の屈曲部40をスムーズに屈曲させることはできないが、物品を所定の状態でより安定して保持することができる。
(実施形態4)
【0073】
実施形態1では、台紙5を構成する繊維の向いている方向について特に限定していないが、繊維の向いている方向が各屈曲部20、30、40と交差するようになっている方が好ましく、ほぼ直交するようになっている方が特に好ましい。
【0074】
繊維の向いている方向が各屈曲部の方向と平行になっていないことから、平行になっている場合と比較して、各屈曲部における反発力(元の形状に戻る力)が大きくなる。その結果、より容易に物品支持台の形状を元の形状に戻すことができる。
【0075】
特に、繊維の向いている方向が各屈曲部とほぼ直交するように物品支持台を構成すると、各屈曲部の反発力は最大となる。その結果、さらに容易に物品支持台の形状を元の形状に戻し易くなる。
(実施形態5)
【0076】
上述した実施形態では、第3の屈曲部と支持部が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図9に示すように、実施形態1に係る物品支持台と比較して、第3の屈曲部と支持部がない物品支持台1Bを構成してもよい。本実施形態に係る物品支持台1Bは、第3の屈曲部と支持部がないことを除いて、実施形態1に係る物品支持台と同様にして作製することができる。
【0077】
本実施形態の場合には、実施形態1に係る物品支持台と比較して、第3の屈曲部と支持部がないため、元の形状に戻ろうとする復元力は小さくなるが、実施形態1に係る物品支持台と同様の効果を奏する。なお、本実施形態の場合には、第1の表示部を設けることができないのは言うまでもない。
(他の実施形態)
【0078】
実施形態1では、物品支持台を後方に押し倒したときに第1の表示部が現れ、物品支持台を上方から押し潰したときに第2の表示部が現れるようにしたが、本発明はこれに限定されない。
【0079】
例えば、L25よりもL15が長くなるように物品支持台を構成して、物品支持台を上方から押し潰しても第2の表示部が現れないようにしてもよい。また、L15とL25とL35とを足し合わせた長さが、物品(カレンダー)の短手方向の長さよりも短くなるように物品支持台を構成して、物品支持台を後方に押し倒しても第1の表示部が現れないようにしてもよい。
【0080】
また。実施形態1では、第1の表示部と第2の表示部を形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば第1の表示部および第2の表示部の一方または両方を形成しなくてもよい。
【0081】
加えて、実施形態1では、第1の表示部と第2の表示部は矩形の形状となっていたが、これらの形状は特に限定されない。
【0082】
また、実施形態1では、矩形状の板状部材を用いたが、本発明はこれに限定されず、様々な形状の板状部材を用いることができる。
【0083】
さらに、実施形態1では、カレンダーの上下方向に対して直交するように3つの屈曲部が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。3つの屈曲部が互いに平行である必要はなく、カレンダーの上下方向に対して直交していなくてもよい。このように構成しても、実施形態1の物品支持台と同様の効果が得られる。
【0084】
また、実施形態1では、台紙の表面状況について特に限定しなかったが、接地部の裏面側表面(机等の表面に接する部分)の少なくとも一部に、支持部と支持部材が載置される部材との静摩擦係数よりも高い静摩擦係数を有するもの(例えばゴム等)を設けてもよい。
【0085】
このように物品支持台を構成することにより、物品を後方に押す際または上方から押し潰す際に、物品支持台が移動することを防止することができる。
【0086】
実施形態1では、物品としてカレンダーを用いたが、本発明はこれに限定されない。物品としては、例えばメモ帳やクイズ用紙(例えば表面に問題が記載され、第1の表示部または第2の表示部に回答が表示される)等が挙げられる。また、本発明は、コインパーキング等に設置されるロック板(フラット板)や、ヒト用またはペット用のマットレス等にも適用することができる。
【0087】
さらに、上述した実施形態では、1つの紙で物品支持台を形成したが本発明はこれに限定されない。例えば、接着部、足部、接地部および支持部がそれぞれ異なる材料で構成されていてもよい。そして、その際の屈曲部は各部を接続することができ、かつ屈曲することができるものであれば特に限定されない。
【符号の説明】
【0088】
1、1A、1B 物品支持台
5 台紙
10 一方の端部
15 接着部
20 第1の屈曲部
25 足部
30 第2の屈曲部
35 接着部
40 第3の屈曲部
45 支持部
50、50A、50B 他方の端部
60 第1の表示部
70 第2の表示部
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