(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】組み立て式ボックスパレット
(51)【国際特許分類】
B65D 19/18 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
B65D19/18
(21)【出願番号】P 2018052254
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】井上 将成
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-218167(JP,A)
【文献】特開2003-261139(JP,A)
【文献】特開2007-320613(JP,A)
【文献】実開昭59-165324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、
前記底部の上で組み立て可能な周壁と、
前記底部の上で組み立てられた前記周壁に対して、または前記周壁が組み立てられていない状態の前記底部に対して着脱自在に被せられる蓋と、を具備する組み立て式ボックスパレットであって、
前記底部は、底本体と、前記底本体の周縁部から起立した底枠と、を備え、
前記底枠は、直線状である複数の底枠直線部と、前記複数の底枠直線部よりも上方に突出し、且つ、前記複数の底枠直線部を枠状に結合させる複数の底枠コーナー部と、を有し、
前記蓋は、蓋板と、前記蓋板の周縁部から垂下するように設けられた蓋枠と、を備え、
前記蓋枠は、直線状である複数の蓋枠直線部と、前記複数の蓋枠直線部を枠状に結合させる複数の蓋枠コーナー部と、を有し、
前記複数の蓋枠コーナー部のそれぞれの内側方に、前記複数の底枠コーナー部のうち対応する底枠コーナー部が入り込む凹部が、形成されている
ことを特徴とする組み立て式ボックスパレット。
【請求項2】
前記複数の蓋枠コーナー部のそれぞれの内側面には、前記対応する底枠コーナー部を前記凹部に案内するガイド面が、形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の組み立て式ボックスパレット。
【請求項3】
前記複数の蓋枠直線部のそれぞれは、
前記蓋板の端縁部が嵌り込んで保持される溝部と、
前記溝部と一体に設けられた中空の垂下壁と、を有し、
前記垂下壁は、前記溝部の下方に位置する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の組み立て式ボックスパレット。
【請求項4】
前記蓋枠は、
前記複数の蓋枠直線部と前記複数の蓋枠コーナー部のそれぞれの下部から外側方に突出するように形成されたフランジ部を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の組み立て式ボックスパレット。
【請求項5】
前記複数の底枠直線部のそれぞれは、開放された中空部を有する底枠用直線部材であり、
前記複数の底枠コーナー部のそれぞれは、前記底枠用直線部材の前記中空部に挿し込むための接続片を有する底枠用コーナー部材であり、
前記底枠用コーナー部材の前記接続片は、基端部と、前記基端部よりも厚みが薄い先端部と、前記基端部と前記先端部をつなぐように厚みが漸次変化する中間部を含む
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組み立て式ボックスパレット。
【請求項6】
前記複数の蓋枠直線部のそれぞれは、開放された中空部を有する蓋枠用直線部材であり、
前記複数の蓋枠コーナー部のそれぞれは、前記蓋枠用直線部材の前記中空部に挿し込むための接続片を有する蓋枠用コーナー部材であり、
前記蓋枠用コーナー部材の前記接続片は、基端部と、前記基端部よりも厚みが小さな先端部と、前記基端部と前記先端部をつなぐように厚みが漸次変化する中間部を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組み立て式ボックスパレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み立て式ボックスパレットに関する。
【背景技術】
【0002】
底部、周壁及び蓋を備える組み立て式ボックスパレットが、従来知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
この種の組み立て式ボックスパレットにおいて、組み立て状態では、蓋が、周壁に対して上方から被せられる。折り畳み状態では、蓋が、底部に対して上方から被せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の技術では、組み立て式ボックスパレットを折り畳む作業において、蓋を底部に被せるときに、互いの角が合うように蓋を正確に被せることが容易でない場合がある。
【0006】
というのも、一般的にボックスパレットは、1100mm×1100mmの寸法を有するパレットで底部が形成されており、これに被せる蓋も、同程度の寸法を有する大型の蓋である。そのため、作業者が一人であると、蓋を持ち上げたときにその蓋によって作業者の視野が制限されて底部が隠れてしまうので、底部の狙いどおりの位置に一度で蓋を被せることが容易でなく、蓋の一部が底部に引っ掛かることがあった。蓋の一部が底部に引っ掛かると、更にそこから蓋の位置をずらすことや、蓋を持ち上げることが簡単ではない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、蓋を底部に対して上方から被せる作業を、一人でも簡単に完了することのできる組み立て式ボックスパレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態に係る組み立て式ボックスパレットは、底部と、前記底部の上で組み立て可能な周壁と、前記底部の上で組み立てられた前記周壁に対して、又は前記周壁が組み立てられていない状態の前記底部に対して着脱自在に被せられる蓋と、を具備する組み立て式ボックスパレットである。
【0009】
前記底部は、底本体と、前記底本体の周縁部から起立した底枠と、を備える。
【0010】
前記底枠は、直線状である複数の底枠直線部と、前記複数の底枠直線部よりも上方に突出し、且つ、前記複数の底枠直線部を枠状に結合させる複数の底枠コーナー部と、を有する。
【0011】
前記蓋は、蓋板と、前記蓋板の周縁部から垂下するように設けられた蓋枠と、を備える。
【0012】
前記蓋枠は、直線状である複数の蓋枠直線部と、前記複数の蓋枠直線部を枠状に結合させる複数の蓋枠コーナー部と、を有する。
【0013】
前記複数の蓋枠コーナー部のそれぞれの内側方に、前記複数の底枠コーナー部のうち対応する底枠コーナー部が入り込む凹部が、形成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、蓋を底部に対して上方から被せる作業を、一人でも簡単に完了することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態の組み立て式ボックスパレットの分解斜視図である。
【
図2】同上の組み立て式ボックスパレットの正面図である。
【
図5】同上の組み立て式ボックスパレットの折り畳み状態の斜視図である。
【
図6】同上の組み立て式ボックスパレットの折り畳み状態の正面図である。
【
図9】同上の組み立て式ボックスパレットが備える蓋を斜め下方から視た斜視図である。
【
図12】同上の組み立て式ボックスパレットが備える底部の要部の分解斜視図である。
【
図14】同上の底部に蓋を被せるための作業を示す要部斜視図である。
【
図15】同上の底部に蓋を被せるための次の作業を示す要部斜視図である。
【
図16】同上の組み立て式ボックスパレットにベルトを付加した状態の要部斜視図である。
【
図17】
図17Aは、同上の組み立て式ボックスパレットが備える周壁の変形例の斜視図であり、
図17Bは、同上の周壁の別の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットについて、添付図面に基づいて説明する。
【0017】
(全体)
図1、
図2に示すように、一実施形態の組み立て式ボックスパレットは、平面視矩形状の外形を有する底部1と、底部1の外形の四辺に沿って起立するように底部1上に組み立てられた周壁2と、平面視矩形状を成すように組み立てられた周壁2に対して上方から着脱自在に被せられる蓋3を備える。
【0018】
底部1上の収納空間は、周壁2によって全周を覆われ、且つ、上方に向けて開放された空間である。この空間の開放部分が、蓋3で覆われる。
【0019】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットは、
図5、
図6に示すように折り畳むことができる。折り畳み状態の組み立て式ボックスパレットでは、周壁2が組み立てられていない底部1に対して、蓋3が上方から着脱自在に被せられる。
【0020】
折り畳み状態において、周壁2は例えば四枚の側板21に分解され、底部1の上に積み重ねられる。分解された周壁2は、底部1と蓋3の間に収容される。なお、分解後の周壁2を底部1と蓋3の間に収容することは必須でなく、周壁2の高さによっては底部1と蓋3の間に収納できない場合もある。
【0021】
平面視において、蓋3の外形は、底部1の外形よりも小さく設定されている。組み立て状態と折り畳み状態の両方において、蓋3の外形(後述の蓋枠34の外形)は、底部1の外形(後述の底本体10の外形)よりも内側方に位置する。これにより、蓋3の破損が抑えられている。
【0022】
以下、各構成について更に詳しく説明する。
【0023】
(底部)
底部1は、平面視矩形状の底本体10と、底本体10の周縁部105から起立するように周縁部105に装着された矩形枠状の底枠14を備える。底本体10と底枠14は合成樹脂で形成されているが、金属又は木材で形成することも可能である。
【0024】
底本体10は、周方向に連続する四つの側面101を有する。各側面101には、二つの貫通口103が、水平方向に距離をあけて形成されている。各貫通口103は、フォークリフトの爪等が挿入される部分である。底本体10は、荷物を載せることができればよく、例えば台車でもよい。
【0025】
底枠14は、平面視直線状である四か所の底枠直線部142と、四か所の底枠直線部142を枠状に結合させる四か所の底枠コーナー部144を有する。四か所の底枠直線部142は、平面視直線状に成形された四つの底枠用直線部材4で形成されている。四か所の底枠コーナー部144は、平面視L字状に成形された四つの底枠用コーナー部材5で形成されている。
【0026】
四つの底枠用直線部材4は、底本体10の周縁部105の四辺に沿って位置する。四つの底枠用コーナー部材5は、底本体10の周縁部105の四つの角部分に位置し、四つの底枠用直線部材4を枠状に結合させる。
【0027】
四つの底枠用直線部材4は、それぞれが同一断面形状を有するように押出成形された樹脂成形品である。四つの底枠用コーナー部材5は、それぞれが同一形状を有するように射出成形された樹脂成形品である。
【0028】
図3、
図12等に示すように、底枠用直線部材4は、周縁部105の上面の一辺に沿って設置される直線状の支持片41と、支持片41の幅方向の中央部分から上方に起立する起立部42と、支持片41の幅方向の端部から上方に起立する規制リブ43を、一体に備える。起立部42には、その軸方向に沿って中空部45が貫通形成されている。
【0029】
規制リブ43は、底本体10の上面において、起立部42よりも内側方に位置する。規制リブ43の上方への突出量は、起立部42の上方への突出量よりも小さい。
図3に示すように、周壁2(側板21)の下端部は、起立部42と規制リブ43に挟まれるようにして、支持片41上に支持される。規制リブ43は、その破損を防止するために、底枠用直線部材4の他の部分よりも肉厚に形成している。
【0030】
図12等に示すように、底枠用コーナー部材5は、L字状の支持片51と、支持片51から上方に起立する起立部52を、一体に備える。支持片51は、周縁部105の上面の角に沿って設置される。
【0031】
起立部52は、底枠用直線部材4の起立部42よりも上方に突出するように形成された平面視L字状の突起部分55と、突起部分55の水平方向の両端から延長された一対の接続部56を有する。一対の接続部56は、互いに直交する方向に向けて延長されている。
【0032】
突起部分55の外側面には、内側方に僅かに傾斜が設けられている。具体的には、突起部分55のうち両側の接続部56よりも高い部分の外側面が、内側方に傾いた傾斜面550で構成されている。
図3に示すように、傾斜面550は、仮想的な鉛直面に対して角度αだけ内側に傾斜している。角度αは、一例として1~5°の範囲内(より好ましくは2~4°の範囲内)で設定可能な角度である。
【0033】
一対の接続部56の先端からは、それぞれ二つの接続片57が突出している。上下に並んだ二つの接続片57は、底枠用直線部材4の起立部42の端部に結合される部分である。
【0034】
図13に示すように、二つの接続片57は、底枠用直線部材4の中空部45に挿し込まれる。中空部45は、起立部42の軸方向の両側に開口を有し、この開口を通じて外部に開放されている。
【0035】
接続片57は、基端部572、中間部574及び先端部576を一連に有する。基端部572、中間部574及び先端部576は、互いに厚みが異なる。ここでの厚みは、底本体10に固定された底枠用コーナー部材5を平面視したときの厚み(換言すれば組み立て式ボックスパレットの内外方向の厚み)である。
【0036】
基端部572は、接続片57のなかで最も厚い部分である。先端部576は、接続片57のなかで最も薄い部分であり、平坦な形状を有する。中間部574は、基端部572と先端部576をつなぐように厚みが漸次変化する部分である。
【0037】
基端部572と先端部576の内側面は、互いに平行な平坦面である。基端部572と先端部576の内側面の間には、中間部574の内側面を介して段差が形成されている。先端部576の内側面は、基端部572の内側面よりも外側方に位置する。
【0038】
中間部574の内側面は、基端部572と先端部576の内側面をつなぐように、基端部572と先端部576の内側面に対して傾斜している。
【0039】
中間部574の内側面は、基端部572の内側面から離れた部分ほど(換言すると先端部576の内側面に近い部分ほど)外側に位置するように、その全体が傾斜している。中間部574の内側面は平坦であるが、これに限定されず、例えば凸曲面又は凹曲面でもよい。
【0040】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットでは、底枠用コーナー部材5が上記の接続片57を有するので、底枠用コーナー部材5と底枠用直線部材4に接続させる作業が効率的に行われる。つまり、底枠用コーナー部材5の各接続部56を、対応する底枠用直線部材4に接続させるには、各接続部56から突出する接続片57を、対応する底枠用直線部材4の中空部45に嵌めればよい。
【0041】
このとき、接続片57が薄肉の先端部576と中間部574を有するので、接続片57を中空部45に嵌め込む作業が簡単に行われ、嵌め込み後は、基端部572が中空部45に確実に圧入される。
【0042】
しかも、基端部572が中空部45に圧入された状態で、先端部576が有する平坦な内側面と中空部45の内周面の間に、空間S1が形成される(
図13参照)。空間S1は、図示略のブラインドリベットを用いて底枠用コーナー部材5と底枠用直線部材4を結合させるときに、該ブラインドリベットの座屈部分が収容される空間(換言すれば座屈部分が拡がる空間)として利用することができる。
【0043】
(周壁)
図1に示すように、周壁2は、四枚の側板21と、四枚の側板21を平面視矩形枠状に連結させる四本の縦枠25を備える。周壁2が組み立てられた状態で、上方に起立した姿勢の各縦枠25に、周方向に隣接する二つの側板21の端縁部が、着脱自在に連結される。
【0044】
四枚の側板21は、それぞれハニカム構造を有する合成樹脂製の中空板材である。四本の縦枠25は、直線状に形成された合成樹脂製の部材である。
【0045】
中空板材のハニカム構造は、六角柱状の中空セルが同一平面上において隙間なく並設された合成樹脂製のコア層と、このコア層に対して厚み方向の両側からサンドイッチするように貼り付けられた合成樹脂製のスキン層を有することが好ましい。コア層は、樹脂製の板材に所定の凹凸を形成し、該板材を交互に折り畳むことで、全体がハニカム状に形成されたものであることが、更に好ましい。
【0046】
側板21及び縦枠25の材質と構造は、特に限定されない。側板21及び縦枠25は、例えば金属製又は木製でもよい。側板21の構造は、上記のハニカム構造に限定されず、例えば、押出成形によってハーモニカの孔のように中空部分が一列に形成された構造でもよいし、柱体が多数並設された構造でもよいし、或いは、円錐体等の錐体が多数並設された構造でもよい。中空板材の表面に更に鋼板が貼られてもよい。
【0047】
周壁2が組み立てられた状態で、各側板21の下端部は、対応する底枠用直線部材4の支持片41の上面に載せられ、起立部42と規制リブ43の間で支持される。各縦枠25は、対応する底枠用コーナー部材5の支持片51の上面に載せられる。互いに連結された底枠用直線部材4と底枠用コーナー部材5において、底枠用直線部材4の支持片41の上面と、底枠用コーナー部材5の支持片51の上面は、面一である。
【0048】
(蓋)
蓋3は、平面視矩形状である一枚の蓋板31と、蓋板31の周縁部315(
図4等参照)から垂下するように周縁部315に装着された矩形枠状の蓋枠34を備える。
【0049】
蓋板31は、周壁2と同様のハニカム構造を有する合成樹脂製の中空板材であるが、蓋板31の構造は上記のハニカム構造に限定されず、例えば、押出成形によってハーモニカの孔のように中空部分が一列に形成された構造でもよいし、柱体が多数並設された構造でもよいし、或いは、円錐体等の錐体が多数並設された構造でもよい。中空板材の表面に更に鋼板が貼られてもよい。蓋板31は、合成樹脂製に限定されず、例えば金属製又は木製でもよい。蓋枠34は合成樹脂製であるが、例えば金属製又は木製でもよい。
【0050】
蓋枠34は、平面視直線状である四か所の蓋枠直線部342と、四か所の蓋枠直線部342を枠状に結合させる四か所の蓋枠コーナー部344を有する。四か所の蓋枠直線部342は、平面視直線状に成形された四つの蓋枠用直線部材6で形成されている。四か所の蓋枠コーナー部344は、平面視L字状に成形された四つの蓋枠用コーナー部材7で形成されている。
【0051】
四つの蓋枠用直線部材6は、蓋板31の周縁部315の四辺に沿って位置する。四つの蓋枠用コーナー部材7は、蓋板31の周縁部315の四つの角部分に位置し、四つの蓋枠用直線部材6を枠状に結合させる。
【0052】
四つの蓋枠用直線部材6は、それぞれが同一断面形状を有するように押出成形された樹脂成形品である。四つの蓋枠用コーナー部材7は、それぞれが同一形状を有するように射出成形された樹脂成形品である。
【0053】
図4、
図9等に示すように、蓋枠用直線部材6は、蓋板31の端縁部317を保持する断面コ字状の保持片61と、保持片61の外側方の端縁部から垂下された垂下壁62と、保持片61の内側方の端縁部から垂下された規制リブ63と、垂下壁62の下端部から更に外側方に延長されたフランジ部分68を、一体に備える。蓋板31の端縁部317は、蓋板31の周縁部315の一部を構成する一直線状の端縁部である。
【0054】
保持片61には、蓋板31の端縁部317が嵌り込むように溝部64が形成されている。溝部64は、保持片61の内側方に開口している。
【0055】
溝部64は、垂下壁62の上方の位置にまで凹んだ形状を有する。溝部64には、垂下壁62の上方の位置に至るまで、蓋板31の端縁部317が挿入されている。垂下壁62には、その軸方向に沿って中空部65が貫通形成されている。
【0056】
上記したように、この実施形態においては、蓋枠用直線部材6が蓋枠34の蓋枠直線部342を形成しているので、蓋枠用直線部材6の溝部64が、蓋枠34の溝部36を構成する(
図4等参照)。溝部36は、蓋枠34のうち、蓋板31の端縁部317が嵌り込んで保持される部分である。同様に、蓋枠用直線部材6の垂下壁62が、溝部36の下方に位置する中空の垂下壁37を構成する。
【0057】
規制リブ63は、保持片61の下面において、垂下壁62よりも内側方に位置する。規制リブ63の下方への突出量は、垂下壁62の下方への突出量よりも小さい。
図4に示すように、蓋枠用直線部材6の保持片61は、周壁2の上端(側板21の上端)に載せられる。このとき、周壁2の上端部(側板21の上端部)は、垂下壁62と規制リブ63に挟まれるようにして位置する。規制リブ63は、その破損を防止するために、蓋枠用直線部材6の他の部分よりも肉厚に形成している。
【0058】
フランジ部分68は、垂下壁62の長さ方向の全域にわたって直線状に連続しているが、長さ方向の一部領域にだけ形成されてもよいし、複数に分断された構造でもよい。
【0059】
図4等から理解されるように、組み立て状態において、蓋枠用直線部材6の保持片61は、側板21によって下方から支持される。このとき、溝部64の下方(つまり溝部64に嵌め込まれた蓋板31の端縁部317の下方)に、側板21が位置する。蓋板31の端縁部317は、側板21によってその鉛直下方から支持される。
【0060】
そのため、蓋板31に対して上方から荷重が掛かったときも、蓋板31の端縁部317が落ち込むように保持片61が変形すること(つまり溝部64が変形すること)が効果的に抑えられ、蓋板31の脱落が抑制される。
【0061】
図10等に示すように、蓋枠用コーナー部材7は、蓋板31の周縁部315の角部分を保持する断面コ字状の保持片71と、保持片71の外側方の端縁部から垂下された垂下壁72と、垂下壁72の下端部から更に外側方に延長されたフランジ部分78を、一体に備える。保持片71と垂下壁72とフランジ部分78は、いずれも平面視L字状である。フランジ部分78は、垂下壁72の全域にわたって形成されているが、一部領域にだけ形成されてもよいし、複数に分断された構造でもよい。
【0062】
保持片71には、蓋板31の周縁部315の角部分が嵌り込むように溝部74が形成されている。溝部74は、保持片71の内側方に開口している。
【0063】
垂下壁72の左右の端部には、内側方に突き出した接続部725が形成されている。両側の接続部725の内側面は、垂下壁72のうち両側の接続部725を除いた部分721の内側面よりも、段差を介して内側方に位置している。垂下壁72のこの段差部分に、ガイド面75が形成されている。ガイド面75は、垂下壁72のL字状の隅角に近い部分ほど、外側方に位置するように傾いた傾斜面である。
【0064】
各接続部725の先端からは、二つの接続片77が突出している。上下に並んだ二つの接続片77は、蓋枠用直線部材6の垂下壁62の端部に結合される部分である。
【0065】
図11に示すように、二つの接続片77は、蓋枠用直線部材6の中空部65に挿し込まれる。中空部65は、垂下壁62の軸方向の両側に開口を有し、この開口を通じて外部に開放されている。
【0066】
接続片77は、基端部772、中間部774及び先端部776を一連に有する。基端部772、中間部774及び先端部776は、互いに厚みが異なる。ここでの厚みは、蓋3を平面視したときの厚み(換言すれば組み立て式ボックスパレットの内外方向の厚み)である。
【0067】
基端部772は、接続片77のなかで最も厚い部分である。先端部776は、接続片77のなかで最も薄い部分である。中間部774は、基端部772と先端部776をつなぐように厚みが漸次変化する部分である。
【0068】
基端部772と先端部776の内側面は、互いに平行な平坦面である。基端部772と先端部776の内側面の間には、中間部774の内側面を介して段差が形成されている。先端部776の内側面は、基端部772の内側面よりも外側方に位置する。
【0069】
中間部774の内側面は、基端部772と先端部776の内側面をつなぐように、基端部772と先端部776の内側面に対して傾斜している。
【0070】
中間部774の内側面は、基端部772の内側面から離れた部分ほど(換言すると先端部776の内側面に近い部分ほど)外側に位置するように、その全体が傾斜している。中間部774の内側面は平坦であるが、これに限定されず、例えば凸曲面又は凹曲面でもよい。
【0071】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットでは、蓋枠用コーナー部材7が上記の接続片77を有するので、蓋枠用コーナー部材7と蓋枠用直線部材6を接続させる作業が効率的に行われる。つまり、蓋枠用コーナー部材7の各接続部725を、対応する蓋枠用直線部材6に接続させるには、各接続部725から突出する接続片77を、対応する蓋枠用直線部材6の中空部65に嵌めればよい。
【0072】
このとき、接続片77が薄肉の先端部776と中間部774を有するので、接続片77を中空部65に嵌め込む作業が簡単に行われ、嵌め込み後は、基端部772が中空部65に確実に圧入される。
【0073】
しかも、基端部772が中空部65に圧入された状態で、先端部776の内側面と中空部65の内周面の間に、空間S2が形成される(
図11参照)。空間S2は、図示略のブラインドリベットを用いて蓋枠用コーナー部材7と蓋枠用直線部材6を結合させるときに、該ブラインドリベットの座屈部分が収容される空間(換言すれば座屈部分が拡がる空間)として利用することができる。
【0074】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットにおいて、蓋枠34は、四つの蓋枠用直線部材6と四つの蓋枠用コーナー部材7が上記のように結合した構造であるから、四か所の蓋枠コーナー部344(蓋枠用コーナー部材7)のそれぞれの内側方に、底枠コーナー部144の一段高い部分(つまり突起部分55)が入り込む凹部33が、形成されている(
図14、
図15等参照)。
【0075】
凹部33は、蓋枠用コーナー部材7の垂下壁72の内側方に形成されている。凹部33は、下方に向けて開放され、且つ、内側方に開放されている。凹部33は、垂下壁72のうち両側の接続部725を除いた部分721の内側面と、保持片71の下面で囲まれている。
【0076】
四か所の蓋枠コーナー部344(蓋枠用コーナー部材7)のそれぞれの内側面には、底枠コーナー部144の一段高い部分(つまり突起部分55)を凹所33にまで案内するためのガイド面35が、凹部33を挟んで左右の両側に形成されている。両側のガイド面35は、蓋枠用コーナー部材7の垂下壁72の内周面の二カ所に形成されたガイド面75で構成されている。
【0077】
上記したように、両側のガイド面35(ガイド面75)は、垂下壁72のL字状の隅角から離れた部分ほど、内側方に位置するように傾いている。言い換えると、両側のガイド面35(ガイド面75)は、蓋枠コーナー部344のL字状の隅角から離れた部分ほど、内側方に位置するように傾いている。
【0078】
また、一実施形態の組み立て式ボックスパレットにおいて、蓋枠34は、四つの蓋枠用直線部材6と四つの蓋枠用コーナー部材7が上記のように結合した構造であるから、蓋枠34には、その全周にわたってフランジ部38が一体に形成されている。フランジ部38は、四つの蓋枠用直線部材6のそれぞれの下部から外側方に突出したフランジ部分68と、四つの蓋枠用コーナー部材7のそれぞれの下部から外側方に突出したフランジ部分78を含み、全体として平面視矩形枠状に形成されている。一実施形態の組み立て式ボックスパレットでは、四か所のフランジ部分68と、四か所のフランジ部分78が、周方向において交互に連続しているが、これらが不連続でもよい。
【0079】
(折り畳み状態)
次に、一実施形態の組み立て式ボックスパレットの折り畳み状態について、
図5から
図8に基づいて説明する。上述したように、分解された周壁2(つまり四枚の側板21)は、底部1と蓋3の間に収容されるが、
図7と
図8では分解された周壁2を省略している。
【0080】
折り畳み状態において、蓋3は、底部1の底枠14に対して上方から着脱自在に載せられる。
【0081】
具体的には、
図7に示すように、底枠直線部142を構成する底枠用直線部材4の起立部42の上面に対して、蓋枠直線部342を構成する蓋枠用直線部材6の垂下壁62の下面が、着脱自在に載せられる。
【0082】
このとき、垂下壁62の下端部から外側方に延長された断面クランク状のフランジ部分68の先端部686は、起立部42よりも外側方に位置し、且つ、起立部42の上面よりも下方に位置する。蓋枠用直線部材6にフランジ部分68が設けられていることで、折り畳み状態において、底枠14に対する蓋枠34の位置決めがより安定的に行われる。
【0083】
フランジ部分68は、垂下壁62の下端部から外側方に延長された基端部682と、基端部682の外側方の端部から下方に延長された中間部684と、中間部684の下端部から外側方に延長された先端部686を、全体が断面クランク状となるように一連に有する。中間部684と起立部42の間には、水平方向において隙間が設けられる。
【0084】
先端部686は幅広の下面を有するので、作業者がフランジ部分68に指を引っ掛けて持ち上げる際に、指に痛みを感じることが抑えられる。作業者の指の滑り止めを図るために、先端部686の下面に、複数の凸条を設けることや、複数の突起(微小な突起)を設けることも好ましい。また、破損の発生を抑えるために、フランジ部分68を蓋枠用直線部材6の他の部分よりも厚肉に設けることや、フランジ部分68の中でも先端部686を他の部分より厚肉に設けることも好ましい。
【0085】
図7等から理解されるように、一実施形態の組み立て式ボックスパレットの折り畳み状態では、溝部64の下方(つまり溝部64に嵌め込まれた蓋板31の端縁部317の下方)に、垂下壁62と起立部42が位置する。蓋板31の端縁部317は、上下に重なった垂下壁62と起立部42によって、その鉛直下方から支持される。
【0086】
そのため、蓋板31に対して上方から荷重が掛かったときも、蓋板31の端縁部317が落ち込むように保持片61が変形すること(つまり溝部64が変形すること)が効果的に抑えられ、蓋板31の脱落が抑制される。
【0087】
図8に示すように、底枠コーナー部144を構成する底枠用コーナー部材5の起立部52の上端には、蓋枠コーナー部344を構成する蓋枠用コーナー部材7の保持片71の下面が、着脱自在に載せられる。この状態において、垂下壁72とフランジ部分78は、起立部52の外側方に位置する。垂下壁72と起立部52間には、水平方向において隙間が設けられる。
【0088】
以上、一実施形態の組み立て式ボックスパレットの組み立て状態と、折り畳み状態について説明した。
【0089】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットによれば、組み立て式ボックスパレットを折り畳む作業で、蓋3を底部1に被せるときに、蓋3を狙いどおりの位置に被せることが容易である。
【0090】
つまり、上述したように一実施形態の組み立て式ボックスパレットにおいては、底枠14の角部分を構成するL字型の底枠コーナー部144の一部(詳しくは底枠用コーナー部材5の突起部分55)が、底枠14の残りの部分よりも大きく上方に突出するように形成されている。蓋枠34の角部分を構成するL字型の蓋枠コーナー部344の内側方(詳しくは蓋枠用コーナー部材7の垂下壁72の内側方)には、下方及び内側方に開放された凹部33が、形成されている。
【0091】
したがって、一人の作業者が蓋3を掴んで底部1に被せるときには、蓋枠34を両手で掴んだまま、蓋3を、ターゲットとなる所定の底枠コーナー部144の上端に当たるように載せる(
図14の矢印参照)。このとき、底枠コーナー部144には、蓋板31の下面310が当たる。
【0092】
次いで、蓋枠34を掴んだままで、蓋3を水平方向の例えば手前側に動かし(
図15の矢印参照)、所定の底枠コーナー部144を、これと対応する凹部33に嵌り込ませる。
【0093】
このとき、蓋3は、蓋板31の下面310に底枠コーナー部144の上端を当てながら移動し、次いで、蓋枠コーナー部344の下面(詳しくは保持片71の下面)に底枠コーナー部144の上端を当てながら、凹部33に底枠コーナー部144が嵌り込むまで円滑に移動することができる。
【0094】
上記したように、蓋枠コーナー部344の内側面(詳しくは垂下壁72の内側面)のうち凹部33の両側には、傾斜したガイド面35が形成されている。そのため、底枠コーナー部144がガイド面35に当たったときは、ガイド面35によって、底枠コーナー部144が凹部33に嵌り込むように円滑に案内される。
【0095】
所定の底枠コーナー部144がこれと対応する凹部33に嵌り込めば、この部分を基準として蓋3の位置合わせを行い(つまり、残りの三つの底枠コーナー部144と残りの三つの蓋枠コーナー部344の位置合わせを行い)、その後は蓋3から手を離せばよい。
【0096】
これにより、底部1が有する四つの底枠コーナー部144は、蓋3が有する四つの凹部33に対して、一対一で嵌り込む。
【0097】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットでは、蓋3がある程度の重量を有する大型のものであっても、作業者は一人で蓋3を掴んで持ち上げながら、簡単な作業で、底部1の狙いどおりの位置に一度で被せることができる。
【0098】
一実施形態の組み立て式ボックスパレットでは、底枠コーナー部144の上部の外周面(詳しくは突起部分55の外側面)を内側に傾斜させているので、凹部33に底枠コーナー部144を嵌め込む作業が円滑に行われ、蓋3を底部1から外す作業も円滑に行われる。蓋3を底部1から外す際には、蓋3の全周に形成されたフランジ部38に指を掛ければよく、フランジ部38を利用して作業を効率的に行うことができる。
【0099】
ところで、一実施形態の組み立て式ボックスパレットでは、
図16に示すように、蓋3を固定するためのベルト8を、周壁2の外側面に固定することができる。
【0100】
ベルト8は、ゴム製のベルト本体81と、ベルト本体81の第一端部に打ち込まれる固定具82と、ベルト本体81の第二端部に装着される矩形環状の金具83を備える。固定具82はリベットであり、ベルト本体81を介して縦枠25の適宜個所に打ち込まれる。
【0101】
金具83は、蓋枠コーナー部344に形成された突起39に、着脱自在に引っ掛けられる。突起39は、蓋枠用コーナー部材7の外周面に形成された横リブ79から、上方に突出している。横リブ79は、フランジ部分78の上方に位置している。横リブ79はフランジ部分78と平行である。
【0102】
ベルト8は、金具83が突起39に引っ掛かった状態において、平面視において底部1の外形よりも外側方にはみ出すことがないように、全体の寸法形状が設計されている。ベルト8が、底部1の外形(底本体10の外形)よりも内側方に位置することで、周囲の物にベルト8が接触することが抑えられる。
【0103】
蓋枠用コーナー部材7の外周面には、複数の縦リブ76が更に形成されている。複数の縦リブ76は互いに平行であり、フランジ部分78と横リブ79に対して格子状に交差している。
【0104】
蓋枠用コーナー部材7の外周面には、その上端部から外側方に突出する複数の突片73が、更に形成されている。複数の突片73はそれぞれ平面視台形状であり、複数の縦リブ76に含まれる少なくとも一つ(この実施形態では二つ)の縦リブ76の上方を覆うように位置している。突片73と、これの下方に位置する縦リブ76は一体につながっている。
【0105】
突片73が存在することで、その下方の縦リブ76が補強されることに加えて、縦リブ76に周囲の物が当たることが抑えられ、縦リブ76の破損が抑制される。突片73は台形状であるから、突片73に周囲の物が当たったときに突片73が破損することも抑えられている。
【0106】
ベルト8は、底枠コーナー部144の外側面に固定することも可能である。この場合、底枠用コーナー部材5の外側面に、ベルト本体81を介して固定具82を打ち込めばよい。
図6に示すように、底枠用コーナー部材5の外側面には、補強リブ58が格子状に形成されており、補強リブ58の格子の交差部分に凹み59が設けられている。凹み59は、固定具82を打ち込む目印となり、ベルト8を装着したいときは、ドリル等で凹み59に孔をあけ、この孔を通じて底枠用コーナー部材5に固定具82を打ち込めばよい。
【0107】
(変形例)
図17Aには、周壁2の変形例を示している。この変形例では、四枚の側板21のうち一枚の側板21に、内側方に折り曲げ可能なヒンジ部215が設けられている。この側板21と対向する別の側板21は、取り外し可能である。
【0108】
この変形例では、一枚の側板21を取り外し、残りの三枚の側板21の全体をM字に折り曲げることで、周壁2の折り畳み作業を行うことができる。
【0109】
図17Bには、周壁2の別の変形例を示している。この変形例では、四枚の側板21のうち互いに対向する二枚の側板21に、内側方に折り曲げ可能なヒンジ部216が設けられている。
【0110】
したがって、この変形例においては、二枚の側板21をそれぞれ内側に折り曲げることで、周壁2の折り畳み作業を行うことができる。
【0111】
周壁2は、更に別の構造を備えることも可能である。例えば、底部1に対して四枚の側板21をそれぞれ起倒自在に連結させ、四枚の側板21をそれぞれ内側に倒すことで周壁2を分解及び収容することも可能である。
【0112】
また、上記の実施形態では、蓋枠用コーナー部材7の接続部725にガイド面35を設けているが、ガイド面35の位置及び形状はこれに限定されない。例えば、接続部725から離れた箇所(接続部725よりも垂下壁72のL字状の隅角寄りの個所)にガイド用のリブを設け、該リブにガイド面35を形成することも可能である。
【0113】
また、蓋3の上面(詳しくは蓋板31の上面)に、段積み時に利用可能な突起を設けることも可能である。この場合、第一の組み立て式ボックスパレットの蓋板31の上に第二の組み立て式ボックスパレットを段積みするに際して、第一の組み立て式ボックスパレットの蓋3の突起を、第二の組み立て式ボックスパレットの底部1に係合させ、水平方向のずれを抑えることができる。
【0114】
上記した変形例は一例に過ぎず、一実施形態の組み立て式ボックスパレットの他の構成においても、適宜の設計変更を行うことや、公知の技術を組み合わせることが可能である。
【0115】
(態様)
以上説明した実施形態及び変形例の記載から理解されるように、第一の態様の組み立て式ボックスパレットは、下記の構成を備える。
【0116】
つまり、第一の態様に係る組み立て式ボックスパレットは、底部(1)と周壁(2)と蓋(3)を具備する。周壁(2)は、底部(1)の上で組み立て可能である。蓋(3)は、底部(1)の上で組み立てられた周壁(2)に対して、または周壁(2)が組み立てられていない状態の底部(1)に対して着脱自在に被せられる。
【0117】
底部(1)は、底本体(10)と、底本体(10)の周縁部(105)から起立した底枠(14)を備える。底枠(14)は、直線状である複数の底枠直線部(142)と、複数の底枠直線部(142)よりも上方に突出し、且つ、複数の底枠直線部(142)を枠状に結合させる複数の底枠コーナー部(144)を有する。
【0118】
蓋(3)は、蓋板(31)と、蓋板(31)の周縁部(315)から垂下するように設けられた蓋枠(34)を備える。蓋枠(34)は、直線状である複数の蓋枠直線部(342)と、複数の蓋枠直線部(342)を枠状に結合させる複数の蓋枠コーナー部(344)を有する。複数の蓋枠コーナー部(344)のそれぞれの内側方に、複数の底枠コーナー部(144)のうち対応する底枠コーナー部(144)が入り込む凹部(33)が形成されている。
【0119】
第一の態様の組み立て式ボックスパレットでは、底枠(14)のうち複数の底枠コーナー部(144)が上方に突出しているので、ターゲットとなる底枠コーナー部(144)を決めてこれを蓋(3)の凹部(33)に入り込ませ、その後はこの部分を基準として蓋(3)の位置合わせを行うことにより、一人であっても、簡単な作業で蓋(3)を正確に被せることができる。
【0120】
第二の態様の組み立て式ボックスパレットは、第一の態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0121】
つまり、第二の態様の組み立て式ボックスパレットにおいて、複数の蓋枠コーナー部(344)のそれぞれの内側面には、対応する底枠コーナー部(144)を凹部(33)に案内するガイド面(35)が形成されている。
【0122】
第二の態様の組み立て式ボックスパレットでは、ターゲットとなる底枠コーナー部(144)に凹部(33)を入り込ませる作業を簡単に行うことができ、ひいては、蓋(3)を底部(1)に対して上方から被せる作業を、簡単に完了することができる。
【0123】
第三の態様の組み立て式ボックスパレットは、第一又は第二の態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0124】
つまり、第三の態様の組み立て式ボックスパレットにおいて、複数の蓋枠直線部(342)のそれぞれは、蓋板(31)の端縁部(317)が嵌り込んで保持される溝部(36)と、溝部(36)と一体に設けられた中空の垂下壁(37)を有する。垂下壁(37)は、溝部(36)の下方に位置する。
【0125】
第三の態様の組み立て式ボックスパレットでは、蓋板(31)に対して上方から荷重が掛かったときに、蓋板(31)の端縁部(317)が溝部(36)から抜け落ちるような事態が抑えられる。
【0126】
なお、第三の態様の組み立て式ボックスパレットにおいて、複数の蓋枠直線部(342)のそれぞれは、垂下壁(37)の内側方に距離をあけて位置する規制リブ(63)を、更に有することが好ましい。蓋枠直線部(342)が規制リブ(63)を一体に有していると、垂下壁(37)と規制リブ(63)の間に、周壁(2)の上端部分を安定的に保持することができる。
【0127】
第四の態様の組み立て式ボックスパレットは、第一から第三のいずれか一つの態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0128】
つまり、第四の態様の組み立て式ボックスパレットにおいて、蓋枠(34)は、複数の蓋枠直線部(342)と複数の蓋枠コーナー部(344)のそれぞれの下部から外側方に突出するように形成されたフランジ部(38)を有する。
【0129】
第四の態様の組み立て式ボックスパレットでは、蓋枠(34)のうち複数の蓋枠直線部(342)と複数の蓋枠コーナー部(344)のいずれに手を掛けたときも、フランジ部(38)を利用して確実に掴むことができ、作業をより効率的に行うことができる。
【0130】
第五の態様の組み立て式ボックスパレットは、第一から第四のいずれか一つの態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0131】
つまり、第五の態様の組み立て式ボックスパレットにおいて、複数の底枠直線部(142)のそれぞれは、開放された中空部(45)を有する底枠用直線部材(4)である。複数の底枠コーナー部(144)のそれぞれは、底枠用直線部材(4)の中空部(45)に挿し込むための接続片(57)を有する底枠用コーナー部材(5)である。底枠用コーナー部材(5)の接続片(57)は、基端部(572)と、基端部(576)よりも厚みが薄い先端部(576)と、基端部(572)と先端部(576)をつなぐように厚みが漸次変化する中間部(574)を含む。
【0132】
第五の態様の組み立て式ボックスパレットでは、比較的薄肉の先端部(576)と中間部(574)を利用して、接続片(57)を中空部(45)に簡単に嵌め込むことができ、嵌め込み後は、基端部(572)の厚みによって接続片(57)を中空部45に確実に圧入することができる。
【0133】
第六の態様の組み立て式ボックスパレットは、第一から第五のいずれか一つの態様に加えて、下記の構成を更に備える。
【0134】
つまり、第六の態様の組み立て式ボックスパレットにおいて、複数の蓋枠直線部(342)のそれぞれは、開放された中空部(65)を有する蓋枠用直線部材(6)である。複数の蓋枠コーナー部(344)のそれぞれは、蓋枠用直線部材(6)の中空部(65)に挿し込むための接続片(77)を有する蓋枠用コーナー部材(7)である。蓋枠用コーナー部材(7)の接続片(77)は、基端部(772)と、基端部(772)よりも厚みが小さな先端部(776)と、基端部(772)と先端部(776)をつなぐように厚みが漸次変化する中間部(774)を含む。
【0135】
第六の態様の組み立て式ボックスパレットでは、比較的薄肉の先端部(776)と中間部(774)を利用して、接続片(77)を中空部(65)に簡単に嵌め込むことができ、嵌め込み後は、基端部(772)の厚みによって接続片(77)を中空部45に確実に圧入することができる。
【符号の説明】
【0136】
1 底部
10 底本体
105 周縁部
14 底枠
142 底枠直線部
144 底枠コーナー部
2 周壁
3 蓋
31 蓋板
315 周縁部
317 端縁部
34 蓋枠
342 蓋枠直線部
344 蓋枠コーナー部
35 ガイド面
36 溝部
37 垂下壁
38 フランジ部
4 底枠用直線部材
45 中空部
5 底枠用コーナー部材
57 接続片
572 基端部
574 中間部
576 先端部
6 蓋枠用直線部材
65 中空部
7 蓋枠用コーナー部材
74 溝部
77 接続片
772 基端部
774 中間部
776 先端部