(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】揮発性液体の収容装置
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20220427BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20220427BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B65D83/00 F
A61L9/12
A01M1/20 D
(21)【出願番号】P 2020042543
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2020-03-12
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514054454
【氏名又は名称】睿澤企業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】ウー ハンユアン
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196581(JP,A)
【文献】特表2012-523304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A61L 9/12
A01M 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容筐体開け口が形成される収容部を有し、揮発性液体を収容するために機能する収容筐体と、
前記収容筐体開け口を覆うように配置される易破膜層と、
前記易破膜層の上に配置される微多孔膜と、
貫通孔が形成され、前記微多孔膜の上に配置されるバックシェルと、
可動的に前記バックシェルに連結される圧入部材と、
を備え、
前記微多孔膜は、前記圧入部材と前記易破膜層との間に配置され、
前記微多孔膜に弾性があるため、前記圧入部材の一部が前記バックシェルの前記貫通孔を通過して前記易破膜層を突き抜けて穿孔を形成する場合、前記微多孔膜は突き抜けされることがなく、前記揮発性液体は、前記穿孔を通過して前記微多孔膜を透過して前記収容筐体の外部へ揮発し、
前記微多孔膜の延伸率が200%乃至990%であ
り、
前記揮発性液体の収容装置にはさらに調整部材が配置され、前記調整部材に複数の調整孔が形成され、前記バックシェルに複数の通気孔が形成され、前記調整部材は回転可能に前記バックシェルの一側に配置され、
前記調整部材の回転による前記複数の調整孔と前記複数の通気孔とが重なる面積を変化させることによって通気面積を変化させる、ことを特徴とする揮発性液体の収容装置。
【請求項2】
前記圧入部材は、上部板及び破膜部を含み、前記破膜部は前記上部板の底面に配置され、前記上部板の一側は前記バックシェルに枢結され、
前記破膜部は、前記バックシェルにおける前記貫通孔を通過して前記易破膜層を突き抜けるように用いられ、
前記バックシェルの上面に凹部が凹設されており、
前記圧入部材の位置を制限するために、前記貫通孔は、前記凹部にリミット部として形成されており、
前記圧入部材が押下位置に位置する場合、前記圧入部材の前記上部板が前記凹部に収容され、前記破膜部が前記バックシェルの底面から露出される、請求項1に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項3】
前記バックシェルに回転軸が設けられ、前記回転軸は前記貫通孔の一端に配置され、前記圧入部材は枢結部を含んで、前記枢結部は回転可能に前記回転軸に枢結され、前記圧入部材の前記枢結部は前記破膜部に垂直である、請求項2に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記収容部の上縁から外向きに延在する内縁部を有し、前記易破膜層は前記内縁部の上面に貼り付けられ、
前記内縁部に、前記内縁部から外向きに延在する上部縁が形成され、前記微多孔膜は前記内縁部の上部縁に貼り付けられる、請求項1に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項5】
前記調整部材は取付穴を形成するようにリンク状に形成され、前記調整部材には、前記調整部材の外縁に形成するフリップ部が設けられ、前記バックシェルに取付部が形成され、前記調整部材は回転可能に前記取付部と組み合わせる、請求項
1に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項6】
前記取付部は、内側取付リンク及び外側取付リンクを含み、
前記内側取付リンクは前記貫通孔の外周に形成され、前記外側取付リンクは前記バックシェルの周縁に形成され、
前記内側取付リンクは前記取付穴の内縁に掛合し、
前記外側取付リンクにリミットギャップが形成され、
前記フリップ部の移動範囲を制限するために、前記フリップ部は、前記リミットギャップ内に配置される、請求項
5に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項7】
前記圧入部材はグリップ及び破膜部を備え、前記破膜部は前記グリップの一端に連結され、
前記圧入部材が軸心に対して回転できるように、前記グリップは、前記バックシェルに枢結され、回転により、前記圧入部材は収容状態から使用状態に移され、前記破膜部を、前記貫通孔を通過して前記収容部の内方へ前記微多孔膜及び前記易破膜層に突き当てさせ、
前記破膜部における前記収容筐体に近接する一側と前記軸心との距離は、前記破膜部の上端と前記軸心の距離よりも短い、請求項1に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項8】
前記破膜部における互いに対応する2つの位置にそれぞれ掛合部が形成され、前記圧入部材が前記使用状態に移された場合、前記掛合部は前記バックシェルに掛合され、それにより、前記圧入部材は前記バックシェルに固定される、請求項
7に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項9】
前記圧入部材はグリップ及び押圧部を含み、前記押圧部は、前記グリップの一端に連結され、前記押圧部は前記貫通孔を通過して前記易破膜層を突き抜けることができる、請求項1に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項10】
前記バックシェルに係合凸部が設けられ、前記係合凸部は前記バックシェルから前記貫通孔内へ突出するように設けられ、
前記圧入部材の側面に少なくとも1つの前記掛合部がさらに形成され、前記グリップは前記バックシェルに当接し、前記圧入部材が押圧位置に移されると、前記圧入部材の前記少なくとも1つの掛合部は、前記係合凸部と掛合する、請求項
9に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項11】
前記押圧部の前端は鈍角形状に形成され、
前記押圧部が前記貫通孔に通過して延出した長さを制限するために、前記グリップは、前記バックシェルに当接するように構成される、請求項
10に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項12】
前記揮発性液体の収容装置はさらにケーシングを備え、
前記バックシェル及び前記ケーシングは、前記収容筐体を収容するために、一緒にハウジングを形成し、
前記ケーシングに観察窓が設けられ、前記収容筐体における前記収容部の一部が前記観察窓から露出する、請求項1に記載の揮発性液体の収容装置。
【請求項13】
前記微多孔膜と前記易破膜層との間の距離は0.2ミリメートル乃至7ミリメートルである、請求項1に記載の揮発性液体の収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性液体の収容装置に関し、特に車用芳香剤、車用消臭剤、部屋用の芳香剤、部屋用の消臭剤又は殺虫剤等の揮発性液体の包装に使用される揮発性液体の収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の車用芳香剤、車用消臭剤、部屋の芳香剤、部屋の消臭剤又は殺虫剤等の製品では、芳香、消臭又は殺虫等の機能性がある揮発性液体を包装容器に入れることが一般的である。前記の容器に開け口を有し、保管期間或いは輸送途中に封止フィルムで開け口を封止し、それにより、容器内に収容した液体の揮発を抑えることができる。使用者がその揮発性液体を利用になった時、包装容器にある封止フィルムを外すことによって、容器内に収容された揮発性液体が空気に揮発できる。
【0003】
上記のような既存の揮発性液体の収容装置は手で封止フィルムを取り外さなければならないため、使用性が悪く、かつ、封止フィルムが外れた後開け口は完全に開放した状態になり、揮発性液体の揮発速度を制御することができないのみならず、揮発性液体が容器の外部に漏れやすいため、周りの環境を汚す場合もある。
【0004】
上記既存の揮発性液体の収容装置による使用上の問題を解決するために、本発明の出願人は、特許文献1の「易穿孔式揮発性液体の収容装置」を提出した。それで開示された収容裝置の包装容器には、破膜装置が配置される。収容装置において、その破膜装置は、揮発性液体を収容する収容部を封止する封止フィルムと透気フィルムとの間に配置される。収容装置において、破膜装置が封止フィルムの上に配置されており、そして、透気フィルムが一番上に収容部全体を覆うように配置されている。使用するに際しては、破膜装置を押し込んで封止フィルムを突き抜けることにより、揮発性液体は封止フィルムの破膜孔から揮散することができる。
【0005】
しかしながら、上記揮発性液体の収容装置では、破膜装置が、封止フィルムと透気フィルムとの間に配置されたため、収容装置の高さが増えることになってしまう。さらに、破膜装置は封止フィルムと透気フィルムの間に配置されるため、使用前後にも関わらず、取り外し、分離させることができない。
【0006】
上記の原因によれば、既存の揮発性液体の収容装置に改善し得る余裕がまたあると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】台湾実用新案登録第TWM495854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、既存の技術の不足に対して、運送の途中又は保存の状態において、収容された揮発性液体の損失を抑制するために封止状態を確保することができる揮発性液体の収容装置を提供することである。また、使用する際において、揮発性液体の収容装置にある破膜装置で収容装置の封止構造を突き抜けて、収容装置内に収容された揮発性液体を空気に揮散させることができる。
【0009】
本発明が解決しようとする別の技術的課題としては、使用前後にも関わらず破膜装置を揮発性液体の収容装置から分離させることができる揮発性液体の収容装置を提供することである。本発明によれば、封止フィルムの封止状態が不意に破られることを抑制することができ、さらに揮発性液体の収容装置の高さが抑えられるため、保管又は輸送しやすくなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的手段の1つとしては、収容筐体、易破膜層、微多孔膜、バックシェル及び圧入部材を備える揮発性液体の収容装置を提供することである。前記収容筐体は、揮発性液体を収容するものとして機能する。前記収容筐体に収容筐体開け口が形成される。前記易破膜層は、前記収容筐体の前記収容筐体開け口を覆うように構成される。前記微多孔膜は、前記易破膜層の上に配置されており、前記バックシェルは、前記微多孔膜の上に配置されている。前記バックシェルに貫通孔が形成される。前記圧入部材は可動的に前記バックシェルに連結されており、前記微多孔膜は前記圧入部材と前記易破膜層との間に配置されている。前記圧入部材の一部は、前記バックシェルの前記貫通孔を通過して前記易破膜層を突き抜けて穿孔を形成する。前記微多孔膜は弾性を有するため前記圧入部材により突き抜けされることがないので、前記揮発性液体は、前記易破膜層における前記穿孔及び前記微多孔膜を通過して外部へ揮発することになる。
【0011】
本発明による有益な効果の1つとしては、本発明が提供する圧入部材は可動的に前記バックシェルに連結され、前記微多孔膜が前記圧入部材と前記易破膜層との間に配置され、微多孔膜は弾性を有するため、前記圧入部材の一部が前記バックシェルにおける前記貫通孔を通して前記易破膜層を突き抜けて穿孔を形成する場合、圧入部材は微多孔膜を突き抜けないため、前記揮発性液体が前記易破膜層の、前記穿孔及び前記微多孔膜から外部へ揮発することができる。そのように、本発明の揮発性液体の収容装置では、保管又は輸送途中において易破膜層で揮発性液体を封止することとして、使用しようとする際、前記圧入部材を押し込むことにより、易破膜層を破って、揮発性液体の収容装置を封止状態から解放させる。それにより、本発明の揮発性液体の収容装置は保存でき易くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による有益な効果の1つとしては、揮発性液体の収容装置では、使用前後にも関わらず、圧入部材を揮発性液体の収容装置のハウジングから分離して収容することができる。それにより、封止フィルムの封止が不意に失ってしまうことを抑制することができるし、さらに揮発性液体の収容装置の高さが抑えられて、保管または輸送しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明にかかる揮発性液体の収容装置の一部を示す斜視分解図である。
【
図2】本発明にかかる揮発性液体の収容装置の一部を示す断面分解図である。
【
図3】本発明にかかるバックシェルおよび圧入部材を示す上面図である。
【
図4】本発明にかかる揮発性液体の収容装置の一部を示す別の斜視分解図である。
【
図5】本発明にかかる揮発性液体の収容装置(使用前)を示す斜視図である。
【
図6】本発明にかかる揮発性液体の収容装置(使用前)を示す断面図である。
【
図7】本発明にかかる揮発性液体の収容装置(使用状態)を示す斜視図である。
【
図8】本発明にかかる揮発性液体の収容装置(使用状態)を示す断面図である。
【
図9】本発明にかかる揮発性液体の収容装置の使用状態を示す参考図である。
【
図10】本発明の別の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す斜視分解図である。
【
図11】本発明の別の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す別の斜視分解図である。
【
図12】本発明の別の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す別の斜視図である。
【
図14】本発明の別の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す側面図である。
【
図15】本発明の別の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置(収容状態)を示す断面図である。
【
図16】本発明の別の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置(使用直前)を示す断面図である。
【
図17】本発明の別の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置(使用状態)を示す断面図である。
【
図18】本発明の第3の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す斜視分解図である。
【
図19】本発明の第3の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す別の分解図である。
【
図20】本発明の第3の実施形態にかかる圧入部材がバックシェルに突き抜ける前の状態を示す上面図である。
【
図21】本発明の第3の実施形態にかかる圧入部材がバックシェルに突き抜ける前の状態を示す断面図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す実装断面図である。
【
図23】本発明の第3の実施形態にかかる揮発性液体の収容装置を示す実装斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照する。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【0015】
下記より、具体的な実施例で本発明が開示する「揮発性液体の収容装置」に係る実施形態を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。
【0016】
図1ないし
図4に示すように、
図1および
図4は本発明の揮発性液体の収容装置を示す斜視分解図であり、
図2は分解断面図であり、
図3は本発明のバックシェルおよび圧入部材を示す上面図である。
【0017】
本実施形態の図面は部分的表現を採用しており、揮発性液体容器の四辺の一部が切り取られているように示されている。本発明の実施形態では、収容筐体10、易破膜層14、微多孔膜16、バックシェル30、圧入部材50、およびケーシング60を備える揮発性液体の収容装置を提供する。
【0018】
収容筐体10は、揮発性液体Vを収容するために用いられる。収容筐体10に収容部12が設けられる。収容部12の上端に収容筐体開け口120が形成されている。収容部12はプラスチックで構成されてもよい。本実施形態において、収容部12に、収容部12の上縁から外向きに延在する内縁部122が形成され、前記内縁部122に前記易破膜層14が貼り付けられる。本実施形態の収容部12にはさらに、内縁部122から外向きに延在する外縁部124が設けられ、内縁部122と外縁部124との間に段差が設けられている。全体を見下ろすと、外縁部124は内縁部122の外周に配置されている。易破膜層14は前記内縁部122の上面に貼り付けており、例えば熱圧合で内縁部122に粘着されてもよい。上述したように、本願の図面は4辺が取り切られた部分示したため、本実施形態の内縁部122を一側のみで示しているが、実際の状況では内縁部122は環状に形成されている。
【0019】
バックシェル30とケーシング60を互いに組み合わせることにより、収容筐体10を収納するためのハウジングを形成することができる。収容筐体10の外延伸部122は前記ケーシング60の上縁に当接される。上述した揮発性液体Vは、例えば芳香、消臭または殺虫等の機能を有する揮発性液体である。なお、本発明は例えば例えば、樟脳、除湿剤などの固体物を収容してもよく、上記の例に制限されない。
【0020】
本実施形態の易破膜層14は前記収容筐体10の前記収容筐体開け口120を覆うように構成される。前記微多孔膜16は前記易破膜層14の上に配置される。本実施形態の微多孔膜16は収容部12の外縁部124に貼り付けられ、例えば熱圧合で外縁部124に粘着されてもよい。内縁部122と外縁部124との間に段差が設けられ、その段差の高さは易破膜層14の高さに等しくてもよい。その段差によって、微多孔膜16は易破膜層14の影響を避け、熱圧合で外縁部124により安定的に結合することができる。易破膜層14は上述した収容筐体10に収容された揮発性液体Vを揮発することなく長時間に保存するために、封止するために用いられる。微多孔膜16は多孔質材料(不織布など)で作られてもよいが、プラスチックフィルム(例えばポリオレフィンエラストマー(POE))などのフィルム上に緻密な細い孔を配置するように作られてもよい。微多孔膜16は気透過性を有する以外、微多孔膜16そのものによる毛細管現象は揮発性液体拡散を促進することもできる。
【0021】
本実施形態において、易破膜層14の材料としては、スズ箔、アルミ箔、またはクラフト紙などが挙げられるが、封止性を有すると共に揮発性液体の浸食に対し耐性を有するものであればよく、それらの例に制限されない。本実施形態では、微多孔膜16の延伸性は、易破膜層14の延伸性よりも大きいことが好ましい。易破膜層14の破裂強さ(bursting strength)または突き当て破壊耐性は微多孔膜16の破裂強さよりも小さい。圧入部材50が押し下げられた際に所定の弾性変形に対し耐性を持たせるために、本実施形態の微多孔膜16はより優れた引張強度、引裂強度を有することが望ましい。ポリオレフィンエラストマーは、他のポリマー材料よりも優れた引張強度と引裂強度を持ち、優れた靭性と柔軟性を持っている他、融合特性も非常に良好である。
【0022】
バックシェル30は微多孔膜16の上に配置され、バックシェル30に貫通孔34が形成される。圧入部材50は可動的にバックシェル30に連結され、微多孔膜16は圧入部材50と易破膜層14との間に配置される。圧入部材50の一部はバックシェル30の貫通孔34を通過して前記易破膜層14を突き抜けて穿孔140を形成する。微多孔膜16は弾性を有するので、前記圧入部材50はそれを突き抜けることができない。そのようにして、前記揮発性液体Vは前記易破膜層14の前記穿孔140および前記微多孔膜16を介して外部に揮散する(
図8に示すように)。
【0023】
ちなみに、
図4に示すように、本実施形態の収容部12には通路126がさらに形成されてもよい。通路126は内縁部122と外縁部124との間に配置されてもよい。通路126は気体を流通するために用いられることができる。通路126を設けることにより、圧入部材50を押し込む場合では、微多孔膜16と易破膜層14との間にある空気を外部に順調に排出させることができる。言い換えれば、圧入部材50を微多孔膜16と易破膜層14までに押し込むことができる。
【0024】
本発明の具体的の実施形態において、易破膜層14を、微多孔膜16と極めて近接する位置に配置してもよい。具体的な例を挙げれば、微多孔膜16と易破膜層14との間の距離g(
図6を参照する)は0.2ミリメートル乃至7ミリメートルであってもよい。その距離gは内縁部122と外縁部124との間の段差で形成される。距離gは小さいほど好ましい。本実施形態において、上述距離を内縁部122の延在高さで制御することができる。易破膜層14が突き抜けられて穿孔140が形成された場合、揮発性液体Vは微多孔膜16に接触する。微多孔膜16は微小の孔を備え、それによる毛細管現象により、揮発性液体は容易に拡散して揮散することができる。揮発性液体は易破膜層14を通過して穿孔140から揮散するとなる。
【0025】
本発明の実施形態における圧入部材50は破壊装置としてプラスチック射出によって一体成形されるプラスチック部品であり得るが、圧入部材50の材料はそれらの例に制限されなく、例えば金属、または他の十分の力が与えられる材料であってもよい。前記圧入部材50は上部板52、および破膜部54を備え、前記破膜部54は前記上部板52の下面に連結される。前記上部板52の一側は前記バックシェル30に枢結される。前記破膜部54は前記バックシェル30の前記貫通孔34を通して微多孔膜16および易破膜層14を押し下げる。中でも、微多孔膜16は弾性を有するため前記圧入部材50により突き抜けられることはない。破膜部54は前記易破膜層14を突き抜ける。なお、本発明の圧入部材50は上述の構成により制限されず、例えば、圧入部材の破膜部は上部板の下面に横たわっておき、必要となるとき、上部板の下面に立つことになってもよい。
【0026】
本実施形態のバックシェル30は揮発性液体の収容装置の最も外側に配置され、図面に示すように、上に配置される。バックシェル30は装飾の機能以外、前記圧入部材50を収容する機能もある。前記バックシェル30に凹部31が配置され、前記凹部31は前記バックシェル30の上面から下向きへ窪んで形成される。前記貫通孔34は、リミット部として前記凹部31の底板32に形成され、前記圧入部材50の位置を制限するように用いられる。圧入部材50は押下位置にあるとき、前記圧入部材50の上部板52は凹部31に収納され、前記破膜部54は前記バックシェル30の下面から露出する。また、本実施形態のバックシェル30にさらに複数の通気孔38が設けられる。揮発性液体Vは通気孔38を介して外部に流動することができる。
【0027】
ちなみに、本実施形態のバックシェル30では、運送または保存する際において、収容筐体10と分離する構成になってもよい。それにより、全体構成の高さを抑えることができ、省空間化の効果を果たすこともできる。使用の場合、バックシェル30を収容筐体10の上に被覆するように組み合わせる。
【0028】
本実施形態の圧入部材50とバックシェル30との連結方式については、以下に例を挙げて説明する。バックシェル30に回転軸33が設けられる。回転軸33は前記貫通孔34の一端に配置され、前記圧入部材50に枢結部53が設けられ、前記枢結部53は回転可能に前記回転軸33に枢結されている。
【0029】
ちなみに、前記圧入部材50の前記枢結部53は前記破膜部54に垂直であり、前記バックシェル30の前記貫通孔34はT字形に形成されるとともに前記圧入部材50の外形と対応するように構成される。前記回転軸33は前記貫通孔34に配置される。本実施形態の上記の構成によれば、圧入部材50が過剰押しつけられないように、前記圧入部材50の位置を制限するリミット部を設ける。また、前記圧入部材50における前記破膜部54の下縁は両側向きにそれぞれフランジ542が突出される。フランジ542を設おけることにおり、圧入部材50の下縁が円滑になり、すなわち、シャープとはならない。
【0030】
図5は、本発明の揮発性液体の収容装置の一部を示す実装斜視図である。中でも、圧入部材50は未押圧位置にある。本実施形態において、圧入部材50の上面とバックシェル30の上面となす角度は鋭角である。前記角度の範囲は20度ないし35度である。
【0031】
図6は、本発明の揮発性液体の収容装置(未使用状態)の一部を示す実装断面図である。揮発性液体の収容装置を使用とするとき、使用者は圧入部材50の上部板52に力をかける。省力化の観点からみれば、力を入れる位置は回転軸33から離れることが好ましい。
【0032】
図7および
図8は、本発明の揮発性液体の収容装置(使用状態)の一部を示す実装断面図である。圧入部材50は押下位置にあり、前記圧入部材50の上部板52は前記凹部31に収納され、前記破膜部54は前記バックシェル30の下面から露出される。
【0033】
図9は、本発明にかかる揮発性液体の収容装置の使用状態を示す参考図である。本発明の揮発性液体の収容装置は、易破膜層14が破壊された後、使用する場合、揮発性液体の収容装置を直立にすることが好ましい。それにより揮発性液体の揮散が制限される。例えばテーブルの上に置かれた状態、またはハンギングされた状態であってもよい。それにより、揮発性液体は重力により前記易破膜層14を通して前記穿孔140から前記微多孔膜16に流れ、揮発性液体は前記微多孔膜16により吸収され、ゆっくりと外気に蒸発することになる。ちなみに、本発明の圧入部材50の配置位置は収容筐体10の底部に近接することが好ましい。それにより、揮発性液体は順調に外向きに流れて揮発することができる。
[第2の実施形態]
【0034】
図10乃至
図14は、本発明に係る揮発性液体の収容装置の別の実施形態を示す。本発明の別の実施形態では、収容筐体10a、バックシェル30a、調整部材40a、圧入部材50a、及びケーシング60aを含む揮発性液体の収容装置を提供する。第1の実施形態と同様に、
図15に示すように、収容筐体10aに易破膜層14a及び微多孔膜16aが配置される。本実施形態の主な特徴では、圧入部材50aは易破膜層14aを突き抜けるために設けられるものでのみならず、さらにクリップの機能も付けられた。例えば、自動車のエアコンの吹き出し口の羽に挟まれることができる。また、調整部材40aはバックシェル30aと協働すれば揮発量を調整する機能も果たせる。
【0035】
本発明の実施形態における圧入部材50aはグリップ56及び破膜部54を含む。前記破膜部54は前記グリップ56の一端に連結され、前記グリップ56は前記バックシェル30aに枢結される。更に具体的に言えば、本実施形態の圧入部材50aとバックシェル30aとの連結方式では、グリップ56に回転軸561が設けられ、バックシェル30aに枢結部35が設けられ、回転軸561は回転可能に前記枢結部35に連結される。なお、本発明はこの例に制限されず、例えば、回転軸と枢結部との位置は互いに置き換えることができる。前記圧入部材50aを回転させることにより、前記破膜部54は前記バックシェル30aの貫通孔34を通過して前記微多孔膜16及び易破膜層14に当接するようになり、微多孔膜16が弾性を有することによって、前記圧入部材50aは微多孔膜16を突き抜けることができないが、破膜部54は前記易破膜層14を突き抜けていく。
【0036】
本実施形態のバックシェル30aは揮発性液体の収容装置の最も外側に配置され、バックシェル30aによる別の機能では、調整部材40aと結合して揮発率を調整することとなる。本実施形態のバックシェル30aはさらに複数の通気孔38を備え、揮発性液体Vは通気孔38を透過して外部に流れる。前記調整部材40aに複数の調整孔422が形成され、なかでも、前記バックシェル30aは複数の通気孔38を含み、前記調整部材40aは回転可能に前記バックシェル30aの一側に配置され、それにより、前記複数の調整孔422と前記複数の通気孔38との総計面積は、変化できる通気面積となる。
【0037】
図10及び
図11に示すように、前記調整部材40aは円環状に形成されるリンク部42を取付穴420として含んでいる。前記調整部材40aは前記調整部材40aの外縁に形成されるフリップ部43を有する。フリップ部43により、使用者は調整孔422の位置を変えるように前記調整部材40aを回転させることができる。前記バックシェル30aに取付部36が形成され、前記調整部材40aの取付穴420は回転可能に前記取付部36aに連結される。
【0038】
例を挙げると、
図11に示すように、本実施形態における取付部36aは、外側取付リンク362及び内側取付リンク363を含み、前記内側取付リンク363は前記貫通孔34の外周に形成され、前記外側取付リンク362はバックシェル30aの周縁に形成される。前記内側取付リンク363は前記調整部材40aの取付穴420の内縁に掛合する。外側取付リンク362はリミットギャップ361を形成する。フリップ部43を移動可能にリミットギャップ361内に配置することにより、前記フリップ部43の移動範囲が制限されている。
【0039】
本実施形態におけるバックシェル30aはケーシング60aと共にハウジングを形成して、前記収容筐体10aを収納する。本発明では、ケーシング60aを係合又は粘着によりバックシェル30aに連結してもよい。本実施形態において、ケーシング60aに複数の掛合孔610が設けられ、バックシェル30aの周りに複数の掛合フック321を形成することにより、ケーシング60aはバックシェル30aに係合されることができる。また、ケーシング60aに観察窓620を配置して、収容筐体10aの一部を観察窓620に露出させることにより、溶液の残量を確認する構成になってもよい。
【0040】
図13乃至
図15は、本発明に係る揮発性液体の収容装置を示す側面図及び断面図である。なかでも、圧入部材50aは収容状態、即ち展開していない位置にある。圧入部材50aの回転軸561は回転可能に前記バックシェル30aの枢結部35に連結されるため、圧入部材50aは回転軸561を軸心として回転することができる。本実施形態の圧入部材50aの上端は実質的に平坦となり、内側取付リンク363に当接となる。それにより、圧入部材50aが収容状態にあるとき、適当に固定され、意外に転落することを回避することができる。
【0041】
以下、さらに詳しく圧入部材50aの外形について説明する。
図15を参照する。前記圧入部材50aの回転軸561は実質的に前記破膜部54に垂直であり、前記バックシェル30aの貫通孔34は直線形に形成され、圧入部材50aの外形と対応するようになっている。破膜部54における収容筐体10aに近接する一側と軸心と距離は、破膜部54の上端と軸心と距離よりも小さい。より具体的に言えば、破膜部54における収容筐体10aに近接する一側はより緩くて弧状に形成される(
図15の左側)。破膜部54の左側と回転軸561と距離R1は下記の距離R2よりも短い。破膜部54の上端の湾曲がより著しいとなり、平らな部分もある。破膜部54の上端と回転軸561との距離R2は上記の距離R1よりも長い。破膜部54における収容筐体10aから離れる一側は徐々に平らになる(即ち、
図15の右側)。
図16は、本発明に係る揮発性液体の収容装置(展開する最中)を示す断面図である。揮発性液体の収容装置を使用する際において、前記圧入部材50aを回転させ、グリップ56を収容筐体10aから離れる方向、即ち、
図16における反時計回りの方向にフリップして回転させる。本実施形態において、上述した圧入部材50aの外形によれば、圧入部材50aを回転軸561に関して回転させるとき、破膜部54の上端は徐々に収容筐体10aの内部に移動される。圧入部材50aの破膜部54は微多孔膜16を突き当たってから、さらに易破膜層14に突き当たっていく。
【0042】
本実施形態に係るさらに具体的な例を挙げると、易破膜層14の材料としてはアルミフィルムが採用できる。アルミフィルムの厚さは18μm-75μm(ミリメートル)であってもよい。本実施形態では、微多孔膜16の延伸率が易破膜層14の延伸率よりも大きいであることが好ましい。易破膜層14の破裂強さ(bursting strength)またはトップ破壊耐性は微多孔膜16の破裂強さよりも小さい。圧入部材50が押し下げられた際に所定の弾性変形に対し耐性を持たせるために、本実施形態の微多孔膜16はより優れた引張強度、引裂強度を有することが望ましい。例えば、微多孔膜16の延伸率(Elongation)は、200%-990%であってもよいが、700%-990%であることが好ましい。ポリオレフィンエラストマーは、他のポリマー材料よりも優れた引張強度と引裂強度を持ち、優れた靭性と柔軟性を持っている他、融合特性も非常に良好である。
【0043】
図17は、本発明の揮発性液体の収容装置(使用状態)を示す断面図である。圧入部材50aはおよそ90度と回転され、グリップ56は実質的にバックシェル30aに垂直となる。破膜部54は微多孔膜16に押圧し続けて、さらに易破膜層14まで押し込まれる。本実施形態の圧入部材50aでは、破膜部54の両側のそれぞれにさらに掛合部544が形成される。圧入部材50aの掛合部544をバックシェル30aに係合することにより、圧入部材50aをバックシェル30aと垂直するようにバックシェル30aに固定させることができる。それにより、揮発性液体Vが前記易破膜層14の穿孔を通して前記微多孔膜16に移動してから前記微多孔膜16により吸収され、ゆっくりと外気に揮散することになる。
[第3の実施形態]
【0044】
図18乃至
図21を参照する。本発明に係る第3の実施形態は、収容筐体10b、バックシェル30b、圧入部材50b、及びケーシング60bを備える揮発性液体の収容装置を提供する。圧入部材50bは未使用状態であれば、他の部材と分離になる。内部に収容された揮発性液体を揮発しようとする際において、圧入部材50bをバックシェル30bに差し込んで、それにより、収容筐体10b内の揮発性液体が外部に揮発することができる。詳細は以下のように説明する。
【0045】
収容筐体10bは、揮発性液体Vを収容して保存するように用いられる。収容筐体10bは、収容部12、易破膜層14、及び微多孔膜16を有する。収容部12の上端に収容筐体開け口120が形成される。収容部12の材料としてはプラスチックが挙げられる。本実施形態において、
図21に示すように、収容部12に、収容部12の上縁から外向きに内縁部122が延在する。前記易破膜層14は前記内縁部122に貼り付けられる。本実施形態における収容部12では、内縁部122から外向きに外縁部124がさらに延在する。内縁部122と外縁部124との間に段差が備えられる。
図21の断面図によれば、外縁部124は内縁部122の外周に配置されている。易破膜層14は前記内縁部122の上面に貼り付けられて、例えば、熱圧合により内縁部122に粘着される。
【0046】
収容筐体10bを収納するために、バックシェル30bはケーシング60bと共にハウジングを形成するために組み合わせることができる。収容筐体10bの外延伸部122は前記ケーシング60bの上縁に当接する。
【0047】
本実施形態において、易破膜層14は、前記収容筐体10bの収容筐体開け口120を覆うように構成される。前記微多孔膜16は前記易破膜層14の外側に配置される。その外側とは、収容筐体10bの内部に対応して定義されたものである。本実施形態における微多孔膜16は、収容部12の外縁部124に貼り付けられる。易破膜層14と微多孔膜16との詳細は前記実施形態と同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0048】
バックシェル30bは微多孔膜16の外側に配置される。バックシェル30bに、底板32と、底板32に形成される貫通孔34とが設けられる。本実施形態におけるバックシェル30bの貫通孔34は十字状に形成される。圧入部材50bは、原始状態または未使用状態であるとき、バックシェル30bから分離となる。微多孔膜16は圧入部材50bと易破膜層14との間に配置される。本発明の揮発性液体の収容装置を使用する際において、圧入部材50bの前端の一部をバックシェル30bの貫通孔34を通過して前記易破膜層14を突き抜けて穿孔140を形成させる(
図22に示すように)。微多孔膜16は弾性を有するため、前記圧入部材50bがそれを突き抜けることができない。従って、前記揮発性液体Vは前記易破膜層14の前記穿孔140及び前記微多孔膜16を通して外部に揮散することができる。それにより、本発明の揮発性液体の収容装置では、運送途中又は保存中において、封止された状態で保持でき、収容された揮発性液体の損失を抑制することができる。また、使用する際において、使用者は、揮発性液体の収容装置に付けた破膜装置、即ち本実施形態の圧入部材50bで、収容装置の封止構造、即ち本実施形態の易破膜層14を突き抜けることにより、収容装置内に収容した揮発性液体Vを空気に揮散させることができる。本発明の具体的な実施形態において、易破膜層14と微多孔膜16との間の距離は実際のニーズに応じて変化することができる。
【0049】
本発明の実施形態における圧入部材50は、破壊装置としてプラスチック射出によって一体成形されるプラスチック部品であってもよいが、圧入部材50の材料はそれらの例に制限されなく、例えば金属、または他の十分の力が与えられる材料であってもよい。前記圧入部材50bは、グリップ52及び押圧部54を備え、前記押圧部54は前記グリップ52の一端に連結される。グリップ52を別物、例えば自動車の吹き出し口の気導引羽(図示しない)にクリップすることができる。
【0050】
図22に示すように、圧入部材50bを収容筐体10bに差し込んだ後、その一方端(押圧部54)はバックシェル30bに固定され、他方端(グリップ52)はクリップとして機能している。圧入部材50bをバックシェル30bに差し込んだ後、前記押圧部54は前記バックシェル30bの貫通孔34を通過して前記易破膜層14を突き抜けていく。前記圧入部材50bの押圧部54は前記貫通孔34の形状と対応するように形成される。前記押圧部54は前記バックシェル30bの前記貫通孔34を通して微多孔膜16及び易破膜層14に突き当たる。なかでも、微多孔膜16は弾性を有するため、前記圧入部材50bがそれを突き抜けることができない。押圧部54はさらに前記易破膜層14を突き抜けていく。本実施形態における前記圧入部材50bの前記押圧部54の前端は鈍角形状に形成される。前記グリップ52が前記バックシェル30bに当接することにより、前記押圧部54が前記貫通孔34を通過して延出した長さは制限されている。押圧部54が前記貫通孔34を通過した延出した長さは、上記距離gよりも大きいとなる。なお、本発明の圧入部材50bは上記の構成に制限されない。例えば、圧入部材をバックシェル30bに枢結されており、使用の際、それをバックシェル30bと垂直となるように回転させ、さらに貫通孔34を通過させ前記易破膜層14を突き抜ける構成にしてもよい。
【0051】
本実施形態のバックシェル30bは揮発性液体の収容装置の最も外側に配置される。図面に示すように、圧入部材50bはバックシェル30bに固定される。バックシェル30bは、係合凸部324を備え、前記係合凸部324は、前記バックシェル30bかた前記貫通孔34内に突出するように構成される。前記圧入部材50bの側面に少なくとも1つの掛合部544がさらに形成される。本実施形態では、圧入部材50bの両側のそれぞれに掛合部544が形成される。前記グリップ52は前記バックシェル30bに当接する。前記圧入部材50b押圧位置にある場合、前記圧入部材50bの掛合部544は前記バックシェル30bの前記係合凸部324に係合し、圧入部材50bをバックシェル30bに固定させる。
【0052】
本実施形態のバックシェル30bはさらに複数の通気孔38を備える。揮発性液体Vは通気孔38を通して外部に流れることができる。本実施形態では、揮発性液体の収容装置が揮発率を調整し得ることが好ましい。揮発性液体の収容装置はさらに調整部材40bを備え、前記調整部材40bに複数の調整孔422が形成され、なかでも、前記バックシェル30bに複数の通気孔38が設けられ、前記調整部材40bは回転可能に前記バックシェル30bの一側に配置されるため、前記複数の調整孔422と前記複数の通気孔38との総合面積は変化できる通気面積となる。
【0053】
図18に示すように、前記調整部材40bは円環状に形成されるリンク部42を取付穴420として含んでいる。前記調整部材40bは前記調整部材40bの外縁に形成されるフリップ部43bを有する。フリップ部43bにより、使用者は調整孔422の位置を変えるように前記調整部材40bを回転させることができる。前記バックシェル30bに取付部36が形成され、前記調整部材40bの取付穴420は回転可能に前記取付部36に連結される。
【0054】
例を挙げると、本実施形態における取付部36は、外側取付リンク362及び内側取付リンク363を含み、前記内側取付リンク363は前記貫通孔34の外周に形成され、前記外側取付リンク362はバックシェル30bの周縁に形成される。前記内側取付リンク363は前記調整部材40bの取付穴420の内縁に掛合する。外側取付リンク362はリミットギャップ361を形成する。フリップ部43bは移動可能にリミットギャップ361内に配置されることにより、前記フリップ部43bの移動範囲が制限されている。
【0055】
図18及び
図19を参照する。前記バックシェル30bは、前記収容筐体10bを収納するために、前記ケーシング60bと組み合わせてハウジングに形成することができる。本発明のケーシング60bは係合又は粘着によりバックシェル30bに結合される本実施形態において、ケーシング60bに複数の掛合フック613が備えられて、バックシェル30bに外側取付リンク362との間に複数の掛合孔323が形成される。それにより、ケーシング60bはバックシェル30bに係合することができる。また、ケーシング60bはワンピース又はマルチピースであってもよい。本実施形態のケーシング60bに上部ケーシング61及び下部ケーシング62が備えられて、外観の変化を増やすために両者は異なる色を有してもよい。下部ケーシング62は観察窓620を備え、収容筐体10bの収容部12の一部は観察窓620に露出される。
【0056】
図22、
図23に示すように、本発明の揮発性液体の収容装置では、圧入部材50bがバックシェル30bに挿入された後、バックシェル30bの裏面に固定されると共に、易破膜層14に穿孔140を作っていく。揮発性液体は重力により前記易破膜層14の前記穿孔140を通過して前記微多孔膜16に流れていく。揮発性液体はさらに前記微多孔膜16により吸収され、ゆっくりと外気に発揮し続ける。ちなみに、本発明の圧入部材50bの配置位置は収容筐体10bの下面に近接することが好ましい。それにより、揮発性液体は十分に外部へ流れて揮発することができる。
【0057】
本発明による有益な効果の1つとしては、本発明が提供する揮発性液体の収容装置では、前記圧入部材(50、50a又は50b)は可動的に前記バックシェル(30、30a又は30b)に連結され、前記微多孔膜16は前記圧入部材(50、50a又は50b)と前記易破膜層14との間に配置され、前記圧入部材(50、50a又は50b)の一部は、前記バックシェル30bの前記貫通孔34を通して前記微多孔膜14を突き抜けて穿孔を形成するように構成され、さらに、前記微多孔膜16は弾性を有するため、前記圧入部材(50、50a又は50b)が前記微多孔膜16を突き抜けることができない。従って、前記揮発性液体は、前記易破膜層14の穿孔及び微多孔膜16を通過して外部に揮発することができる。そのようにして、本発明の揮発性液体の収容装置によれば、保管中又は輸送途中において、揮発性液体は、易破膜層14で封止されており、使用しようとする際において、さらに前記圧入部材(50、50a又は50b)を押し込んで又は回転させて、易破膜層14を破壊することにより、揮発性液体の収容装置を封止状態から解放させる。それにより、本発明の揮発性液体の収容装置の保存をより容易にすることができる。
【0058】
本発明による別の有益な効果としては、揮発性液体の収容装置の使用前後にも関わらず、圧入部材(50、50a又は50b)は揮発性液体の収容装置のハウジングから分離、収納されることができる。それにより、封止フィルムの封止を不意に開放することを抑制することができると共に、揮発性液体の収容装置の高さが抑えられるため、保管または輸送し易くすることができる。
【0059】
以上に開示される内容は本発明の好ましい実施可能な実施例に過ぎず、これにより本発明の特許請求の範囲を制限するものではないので、本発明の明細書及び添付図面の内容に基づき為された等価の技術変形は、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0060】
収容筐体 10、10a、10b
収容部 12
収容筐体開け口 120
内縁部 122
外縁部 124
通路 126
易破膜層 14
穿孔 140
微多孔膜 16
バックシェル 30、30a、30b
凹部 31
底板 32
掛合フック 321
掛合孔 323
係合凸部 324
回転軸 33
貫通孔 34
枢結部 35
取付部 36
リミットギャップ361
外側取付リンク 362
内側取付リンク 363
通気孔 38
調整部材 40a、40b
リンク部 42
取付穴 420
調整孔 422
フリップ部 43、43b
圧入部材 50、50a、50b
上部板 52
枢結部 53
破膜部 54
フランジ 542
掛合部 544
グリップ 52b
押圧部 54b
掛合部 544
グリップ 56
回転軸 561
ケーシング 60、60a、60b
掛合孔 610
観察窓 620
上部ケーシング 61
掛合フック 613
下部ケーシング 62
距離 g、R1、R2
揮発性液体 V