(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】ガス検出用複合体、その製造方法、前記ガス検出用複合体を含むガスセンサ、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
G01N27/12 C
G01N27/12 M
(21)【出願番号】P 2020566568
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 KR2018015804
(87)【国際公開番号】W WO2019231066
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0062142
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ACS APPLIED MATERIAL & INTERFACES 2018, 10, 18886-18894
(73)【特許権者】
【識別番号】314000442
【氏名又は名称】高麗大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】145, Anam-ro Seongbuk-gu Seoul 02841, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】グァク チャンフン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソンヨン
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】韓国特許第10-1776116(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0015369(KR,A)
【文献】韓国特許第10-1813226(KR,B1)
【文献】韓国特許第10-1594734(KR,B1)
【文献】特表2012-522242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に提供され、被検ガスに感応するガス検出用複合体を含む感応層と、
前記感応層上に提供されるテルビウム(Tb)層と、を含み、
前記ガス検出用複合体は、酸化物半導体で提供されるナノ構造体を含むガス検出用ガスセンサ。
【請求項2】
前記テルビウム(Tb)層の厚さは、50nm以上250nm以下に提供される請求項
1に記載のガス検出用ガスセンサ。
【請求項3】
前記ガス検出用複合体は、前記ナノ構造体に担持されたテルビウム(Tb)添加剤をさらに含む請求項
1に記載のガス検出用ガスセンサ。
【請求項4】
前記酸化物半導体は、酸化スズ(SnO
2)、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウム(In
2O
3)からなされた群から選択された請求項
1に記載のガス検出用ガスセンサ。
【請求項5】
前記ナノ構造体は、中空構造又は卵黄構造に提供される請求項
1に記載のガス検出用ガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス検出用複合体、その製造方法、前記ガス検出用複合体を含むガスセンサ、及びその製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体型ガスセンサは1960年代日本の九州大学の正山教授等によって最初に提案されて以来、小型集積化が可能であり、低価であり、感度(sensitivity)が高くて応答が迅速かつ簡単な回路を利用して電気信号としてガス濃度を調べることができる様々な長所があるので、運転者の飲酒測定、爆発性ガス検出、排気ガス検出、屋内の有害ガス検知などの分野で広く使用されてきた。また、最近では人体健康及び環境汚染に関する関心が高まるにつれ、室内外の環境ガス検出センサ、疾病自己診断用ガスセンサ、モバイル機器に搭載可能な人工嗅覚センサ等に対する需要も急激に増加している。しかし、酸化物半導体型ガスセンサは外部の湿気と容易に反応して性能及び信頼性が大きく低下する根本的な問題点を持っているので、相変わらず商用化に難しさがある。
【0003】
酸化物半導体型ガスセンサは、還元性ガスが酸化物表面に吸着している酸素イオンと反応する時に起こる抵抗変化を通じてガスを検出するが、大気中に水分が存在する場合には、水分が被検ガスのように酸化物表面の酸素イオンを先に消費するので、センサの抵抗が変化し、ガス感度が非常に減少することになる。しかし、酸化物半導体型ガスセンサは大気中で動作するので、湿気に対して露出を避けることができず、湿度は天候、季節、地域によって非常に大幅に変化するので、センサの湿度依存性を減らさなくては安定的なガス感応特性を確保することがほとんど不可能である。特に、大気中に存在する湿度は一般的に数千乃至数万ppm程度でガスセンサが測定しようとする被検ガスの一般的な濃度(数乃至数十ppm)に比べて非常に高いので、湿度による抵抗変化及び感度変化はセンサの信頼性確保で最も重要な要素として考慮されなければならない。このような湿度による酸化物半導体型ガスセンサの顕著な性能と信頼性の低下の問題は、ガスセンサが提案されて以来、約50年間、まだ未解決の難題として残っており、センサの実用化を妨げている主な要因として作用している。即ち、センサの信頼性を高め、様々な応用分野に活用するためには、湿気の存在の有無及び濃度にかかわらず、一定のガス感度とセンサの抵抗を示す高信頼性ガスセンサを開発することが何よりも先決されるべき課題である。
【0004】
具体的に、大気中の水分は、酸化物半導体の表面から、まるで検出しようとするガスのような反応を起こすので、湿度の変化によって、センサ抵抗とガス感度が大きく変化し、高湿度雰囲気で、ガス感度が数十分の一に減少する深刻な問題を保持しているところ、最近酸化物半導体型ガスセンサの分野の最大の核心問題として、センサ材料の湿度安定性が浮き彫りになっている。しかし、既存の酸化物半導体型ガスセンサに関する研究の約99%以上が相変わらず、乾燥雰囲気でのガス感応特性を評価したものであって、高湿度雰囲気でのガスセンサに関する研究はほとんど行われていない。このような重要な問題について多くの研究が行われない理由は高いガス反応性がある優れた感応物質であるほど、水分との反応性も非常に大きいという根本的な問題点があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は湿気の存在の有無及び濃度に関わらず、様々なガスを正確に測定することができる高感度、高信頼性ガス検出用複合体及びこれを含むガスセンサを提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題はここに制限されず、言及されないその他の課題は後述の記載から当業者に明確に理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は被検ガスに感応するガス検出用複合体を提供する。一実施形態によれば、ガス検出用複合体は、酸化物半導体に提供されるナノ構造体と、前記ナノ構造体に担持されたテルビウム(Tb)添加剤を含む。
【0008】
前記酸化物半導体は酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化インジウム(In2O3)からなされた群から選択されることができる。
【0009】
前記ナノ構造体は中空構造又は卵黄構造に提供されることができる。
【0010】
前記酸化物半導体は酸化スズ(SnO2)で提供され、前記テルビウム(Tb)添加剤は前記ナノ構造体のスズ(Sn)の総元素量を基準に0.5at%乃至20at%の含量に担持されることができる。
【0011】
前記被検ガスはアセトン、一酸化炭素、アンモニア、トルエン、キシレン、ベンゼン、及びその混合物からなされた群から選択された還元性ガスである。
【0012】
また、本発明はガス検出用ガスセンサを提供する。一実施形態によれば、ガスセンサは、基板と、前記基板上に提供され、被検ガスに感応するガス検出用複合体を含む感応層と、前記感応層上に提供されるテルビウム(Tb)層と、を含み、前記ガス検出用複合体は酸化物半導体で提供されるナノ構造体を含む。
【0013】
前記テルビウム(Tb)層の厚さは50nm乃至250nmに提供されることができる。
【0014】
前記ガス検出用複合体は、前記ナノ構造体に担持されたテルビウム(Tb)添加剤をさらに含むことができる。
【0015】
前記酸化物半導体は酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化インジウム(In2O3)からなされた群から選択されることができる。
【0016】
前記ナノ構造体は中空構造又は卵黄構造に提供されることができる。
【0017】
また、本発明はガス検出用複合体の製造方法を提供する。一実施形態によれば、ガス検出用複合体の製造方法は、スズ(Sn)塩、亜鉛(Zn)塩、及びインジウム(In)塩からなされた群から選択された少なくとも1つの塩と、テルビウム(Tb)塩と、有機酸又は糖を含む溶液を製造する溶液製造段階と、前記溶液を超音波噴霧熱分解装置を通じて噴射して超音波噴霧熱分解反応を遂行する超音波噴霧熱分解段階と、前記超音波噴霧熱分解反応結果として微粉末を得る取得段階と、を含む。
【0018】
前記スズ(Sn)塩はSnC2O4、SnCl4・xH2O、及びその混合物からなされた群から選択されたものであり、前記亜鉛(Zn)塩はZn(NO3)2・xH2O及びその混合物からなされた群から選択されたものであり、前記インジウム(In)塩はIn(NO3)3・xH2O及びその混合物からなされた群からから選択されたものであり、前記テルビウム(Tb)塩はTbCl3・6H2O及びその混合物からなされた群から選択されたものであり、前記有機酸はクエン酸及びその混合物からなされた群から選択されたものであり、前記糖はスクロース及びその混合物からなされた群から選択されることができる。
【0019】
超音波噴霧熱分解段階では前記溶液製造段階から製造された溶液を5L/m乃至20L/mの噴射速度で、700℃乃至1000℃に加熱された電気炉の内部に噴射することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態に係る高感度、高信頼性ガス検出用複合体及びこれを含むガスセンサは湿気の存在の有無及び濃度に関わらず、様々なガスを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】超音波噴霧熱分解法を使用して実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3及び比較例1にしたがう卵黄構造ガスセンサを製造する方法に対する概略的な順序図である。
【
図2】超音波噴霧熱分解法を使用して比較例2、比較例3、及び比較例4にしたがう中空構造ガスセンサを製造する方法に対する概略的な順序図である。
【
図3】超音波噴霧熱分解法を使用して実施例2、3、4にしたがうTb触媒層を含む中空構造ガスセンサを製造する方法に対する概略的な順序図である。
【
図4】超音波噴霧熱分解法を通じて合成した純粋な酸化スズ(SnO
2)(比較例1、
図4a)、テルビウム(Tb)が1at%(実施例1-3、
図4b)、5at%(実施例1-1、
図4c)、15at%(実施例1-2、
図4d)ドーピングされたSnO
2卵黄構造微粉末に対するSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【
図5】酸化スズ(SnO
2)(比較例2、
図5a)、酸化亜鉛(ZnO)(比較例3、
図5b)、酸化インジウム(In
2O
3)(比較例4、
図5c)中空構造微粉末に対するSEM写真である。
【
図6】比較例2(
図6a)、比較例3(
図6c)、比較例4(
図6e)、実施例2(
図6b)、実施例3(
図6d)、及び実施例4(
図6f)に対するセンサ感応膜のSEM写真である。
【
図7】比較例1(
図7a)、実施例1-1(
図7b)、実施例1-2(
図7c)、及び実施例1-3(
図7f)にしたがう微粉末に対するX線相分析結果である。
【
図8】比較例2(
図8a)、実施例2(
図8b)、比較例3(
図8c)、実施例3(
図8d)、比較例4(
図8e)、及び実施例4(
図8f)にしたがう微粉末に対するX線相分析結果である。
【
図9】比較例1、実施例1-1、実施例1-2、及び実施例1-3の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗(
図9a乃至
図9d)とセンサ抵抗変化率(
図9e乃至
図9h)に対するグラフである。
【
図10】比較例1、実施例1-1、実施例1-2、及び実施例1-3の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ感度(
図10a乃至
図10d)とセンサ感度変化率(
図10e乃至
図10h)に対するグラフである。
【
図11】実施例2、比較例2、実施例3、比較例3、実施例4、及び比較例4の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗(
図11a乃至
図11c)とセンサ抵抗変化率(
図11d乃至
図11f)に対するグラフである。
【
図12】実施例2、比較例2、実施例3、比較例3、実施例4、及び比較例4の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ感度(
図12a乃至
図12c)とセンサ感度変化率(
図12d乃至
図12f)に対するグラフである。
【
図13】実施例5、比較例5、実施例6、及び比較例6の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗(
図13a及び
図13b)とセンサ抵抗変化率(
図13c及び
図13d)に対するグラフである。
【
図14】比較例1(
図14a)及び実施例1-1(
図14b)にしたがう微粉末のアセトンガス濃度別のガス感度を示したグラフである。
【
図15】実施例1-1(
図15a)及び比較例1(
図15b)に様々なガス20ppmに対する450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ感度に対するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を添付された図面を参照してさらに詳細に説明する。本発明の実施形態は様々な形態に変形することができ、本発明の範囲が以下の実施形態に限定されることとして解釈されてはならない。本実施形態は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をさらに完全に説明するために提供されることである。したがって、図面での要素の形状はより明確な説明を強調するために誇張されている。
【0023】
本発明は上述したような従来技術の問題点を解決するために、テルビウム(Tb)がドーピング及び/又は触媒層に添加された酸化物半導体ナノ構造体に基づいて被検ガスに感応するガス検出用複合体を提供する。ここで、酸化物半導体ナノ構造体は被検ガスに対する主なガス感応体の役割を実行し、添加されるテルビウム(Tb)は外部から流入される湿気を選択的に吸収して除去する。
【0024】
テルビウム(Tb)は優れた原子が切り替え能力を通じて、優れた酸素収容能力を示すことによって、自動車用3元触媒として使用されるCeO2の効率をさらに向上させる役割を遂行することができると報告されている。これに本発明ではテルビウム(Tb)をガス感応体に添加する場合、湿気吸着反応である下記反応式1の逆反応を誘導することができていると判断し、測定結果は実際にセンサの湿度依存性は微々たる水準に減少した。
<反応式1>
O-+H2O→2OH+e-
【0025】
したがって、本発明の実施形態に係るガス検出用複合体は酸化物半導体で提供されるナノ構造体と前記ナノ構造体に担持されたテルビウム(Tb)添加剤を含む。
【0026】
前記ナノ構造体は酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、及び酸化インジウム(In2O3)からなされた群から選択される。前記ナノ構造体は後述するように、商用ナノ微粉末、卵黄構造微粉末、中空構造微粉末等で製造されることができる。
【0027】
また、湿気からの効率的な保護及びガス感応反応に及ぶ影響を最小化するために、前記テルビウム(Tb)添加剤は前記ナノ構造体のドーピング及び触媒層として活用されることができる。
【0028】
さらに、前記テルビウム(Tb)添加剤はドーピングする場合、前記ナノ構造体のスズ(Sn)の総元素量を基準に0.5at%乃至20at%の含量に担持されることができる。但し、5at%未満である場合にはガス感応体を湿気から保護する効果が微々たることができ、15at%を超過する場合にはセンサの抵抗が相当に増加することができる。したがって、好ましくは前記テルビウム(Tb)添加剤はドーピングする場合、前記ナノ構造体のスズ(Sn)の総元素量を基準に5at%乃至15at%の含量に担持されることができる。
【0029】
一方、本発明に係るガス検出用複合体は、アセトン、一酸化炭素、アンモニア、トルエン、キシレン、ベンゼン、及びその混合物からなされた群から選択された様々な還元性ガスの検出に使用が可能である。
【0030】
また、本発明は前記ガス検出用複合体の製造方法を提供し、本発明に係る方法は、a)スズ(Sn)塩、亜鉛(Zn)塩、及びインジウム(In)塩からなされた群から選択された少なくとも1つの塩、テルビウム(Tb)塩、及び有機酸又は糖を含む溶液を製造する溶液製造段階、b)前記溶液を超音波噴霧熱分解装置を通じて噴射して超音波噴霧熱分解反応を遂行する超音波噴霧熱分解段階、及びc)前記超音波噴霧熱分解反応結果物として微粉末を得る取得段階を含む。
【0031】
これに制限されることではないが、前記スズ(Sn)塩はSnC2O4、SnCl4・xH2O、及びその混合物からなされた群から選択されたものであり、前記亜鉛(Zn)塩はZn(NO3)2・xH2O及びその混合物からなされた群から選択されたものであり、前記インジウム(In)塩はIn(NO3)3・xH2O及びその混合物からなされた群から選択されたものであり、前記テルビウム(Tb)塩はTbCl3・6H2O及びその混合物からなされた群から選択されたものである。
【0032】
この時、スズ(Sn)塩を使用して卵黄構造を有するナノ構造体にテルビウム(Tb)を添加する場合には、前記a)段階の溶液に糖を添加し、前記糖はスクロース及びその混合物からなされた群から選択されたものである。
【0033】
また、スズ(Sn)塩、亜鉛(Zn)塩及びインジウム(In)塩を使用して中空構造を有するナノ構造体にテルビウム(Tb)を添加する場合には、有機酸及び糖を添加し、前記有機酸はクエン酸及びその混合物、前記糖はスクロース、及びその混合物からなされた群から選択されたものである。
【0034】
一方、前記超音波噴霧熱分解反応は前記a)段階から製造された溶液を5L/m乃至20L/mの噴射速度で、700℃乃至1000℃に加熱された電気炉(Electric Furnace)の内部に噴射する条件で遂行されることができる。この段階では噴霧溶液を噴霧することによって、微細液滴を発生させ、微細液滴のサイズは噴霧装置の内部圧力、噴霧溶液の濃度、噴霧溶液の粘度、そして超音波の強度等によって制御されることができる。
【0035】
また、本発明は前記ガス検出用複合体をガス感応層として含むガス検出用ガスセンサを提供し、このようなガスセンサは、a)前記ガス検出用複合体及びバインダーを含む溶液を製造する複合体溶液製造段階、及びb)前記溶液を基板上にコーティング、乾燥、及び熱処理して感応層を形成する感応層形成段階によって製造可能である。
【0036】
この時、前記コーティングはドロップコーティング工程又はスクリーン印刷工程によって遂行されることができる。
【0037】
前記ガス検出用ガスセンサに追加的に前記感応層の上部にテルビウム(Tb)触媒層を蒸着することができる。前記テルビウム(Tb)触媒層は下記の方法にしたがって蒸着されることができる。例えば、触媒層は電子ビーム蒸着(electron beam evaporation)、スパッタリング(sputtering)又は原子層蒸着(atomic layer deposition)を通じて形成されることができる。次の、有機汚染物質等を除去し、不完全な相の安定化のために必要であれば、加熱、すなわち熱処理が伴うことができ、例えば100℃~600℃の温度で熱処理する過程を経ることができる。
【0038】
以下、実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明の理解を助けるためのものだけであり、本発明の範囲を制限することではない。
【0039】
アセトンは室内外の環境汚染ガスであると同時に糖尿病を患っている人の呼気で検出されるバイオマーカーのガスなので、これを湿気の存在の有無に関わらず、選択的に検出することは非常に重要な問題である。したがって、下記の実施例ではアセトンを主な測定ガスとして選択して外部の湿気がセンサ抵抗及びセンサのガス感度等に及ぶ影響に対して分析した。
【0040】
本発明では純粋な酸化スズ(SnO
2)卵黄構造微粉末(比較例1)及び中空構造微粉末(比較例2)、純粋な酸化亜鉛(ZnO)中空構造微粉末(比較例3)、純粋な酸化インジウム(In
2O
3)中空構造微粉末(比較例4)を使用して比較例にしたがうガスセンサを製作した。また、スズ(Sn)の総元素量を基準に1at%(実施例1-3)、5at%(実施例1-1)、15at%(実施例1-2)のテルビウム(Tb)がドーピングされた酸化スズ(SnO
2)卵黄構造、100nmのテルビウム(Tb)触媒層が蒸着された純粋な酸化スズ(SnO
2)中空構造(実施例2)、100nmのテルビウム(Tb)触媒層が蒸着された純粋な酸化亜鉛(ZnO)中空構造(実施例3)、100nmのテルビウム(Tb)触媒層が蒸着された純粋な酸化インジウム(In
2O
3)中空構造(実施例4)ガスセンサを製作した。前述したように製作されたガスセンサに対して、センサの湿度依存性及びガス感度、センサ抵抗等を比較した。
図1乃至3には各々超音波噴霧熱分解法を使用して実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3、及び比較例1にしたがう卵黄構造ガスセンサを製造する方法に対する工程図(
図1)、超音波噴霧熱分解法を使用して比較例2、比較例3、及び比較例4にしたがう中空構造ガスセンサを製造する方法に対する工程図(
図2)、及び前記比較例2、比較例3、及び比較例から行われた感応膜にテルビウム(Tb)含有触媒層をコーティングしてガスセンサを製造する方法に対する工程図(
図3)を各々図示した。
【0041】
<比較例1、実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3>
先ず、270mlの蒸留水に30mlの過酸化水素水(H2O2、30wt% in H2O)を添加した後、最終的に300mlに製造される溶液を製造した後、0.1Mに該当するシュウ酸スズ(Tin oxalate、SnC2O4)を混合した後、24時間撹拌させた。この溶液に0.5Mに該当するスクロースを混合して5分間撹拌させて噴霧溶液を製造した。準備された噴霧溶液にスズ(Sn)/テルビウム(Tb)の元素比が100/0(比較例1)、99/1(実施例1-3)、95/5(実施例1-1)、及び85/15(実施例1-2)に該当するように計算して塩化テルビウム6水和物(Tb chloride hexahydrate)を添加した後、5分間撹拌させた後、超音波噴霧した。合成された前駆体は5L min-1の流量に(in O2)噴霧と同時に噴霧出口と連結された電気炉(1000℃)を経由しながらすぐに熱処理され、テルビウム(Tb)がスズ(Sn)の総元素量を基準に0at%(比較例1)、1at%(実施例1-3)、5at%(実施例1-1)、15at%(実施例1-2)ドーピングされた酸化スズ(SnO2)卵黄構造が形成された。このように得られた卵黄構造微粉末を600℃で2時間熱処理した。合成された微粉末を3次蒸留水と混合して金(Au)電極が形成されているアルミナ基板にドロップコーティングし、500℃で2時間熱処理してガスセンサを製作した。製作したセンサを450℃で乾燥雰囲気の空気及び80%相対湿度雰囲気の空気又は乾燥雰囲気の空気+混合ガス及び80%相対湿度雰囲気の空気+混合ガスを交互に注入しながら、抵抗の変化を測定した。ガスは予め混合させた後、4-ウェイバルブを利用して濃度を急激に変化させた。総流量は200sccmに固定してガス濃度が変化する時に、温度差が出ないようにした。
【0042】
<比較例2及び実施例2>
先ず、297mLの蒸留水に3mLの塩酸(HCl、35.0%乃至37.0%)を添加した後、0.1Mの塩化スズ(Tin chloride)と0.025Mのクエン酸単一水和物(Citricacid monohydrate)を入れ、5分間撹拌させた後、超音波噴霧した。超音波を通じて形成されたマイクロサイズの液滴は20L min-1の流量に(in air)700℃の反応炉を経由しながら、酸化スズ(SnO2)中空構造が形成された(比較例2)。このように得られた中空構造微粉末を有機バインダーと混合して金(Au)電極が形成されているアルミナ基板にスクリーン印刷し、70℃で2時間乾燥した後に、600℃で2時間熱処理してSnO2ガス感応膜を製造した。その後、電子ビーム蒸着器(Electron Beam Evaporator)を通じてテルビウムソースを利用して厚さが100nmになるように蒸着し、550℃で2時間熱処理してテルビウム(Tb)が塗布された酸化スズ(SnO2)ガスセンサを製造した(実施例2)。製造されたガスセンサのガス感応測定は実施例1-1と同一であるが測定温度のみ400℃に変更した。
【0043】
<比較例3及び実施例3>
先ず、300mLの蒸留水に0.2Mの硝酸亜鉛水和物(Zinc Nitrate Hydrate)を入れ、5分間撹拌させた後、超音波噴霧した。超音波を通じて形成されたマイクロサイズの液滴は20L min-1の流量に(in air)700℃の反応炉を経由しながら、酸化亜鉛(ZnO)中空構造が形成された(比較例3)。このように得られた中空構造微粉末を有機バインダーと混合して金(Au)電極が形成されているアルミナ基板にスクリーン印刷し、70℃で2時間乾燥した後に、600℃で2時間熱処理して酸化亜鉛(ZnO)ガス感応膜を製造した。その後、電子ビーム蒸着器(Electron Beam Evaporator)を通じてテルビウムソースを利用して厚さが100nmになるように蒸着し、550℃で2時間熱処理してTbが塗布されたZnOガスセンサを製造した(実施例3)。製造されたガスセンサのガス感応測定は実施例2と同一である。
【0044】
<比較例4及び実施例4>
先ず、300mLの蒸留水に0.05Mの硝酸インジウム水和物(Indium Nitrate Hydrate)と0.15Mのスクロースを入れ、5分間撹拌させた後、超音波噴霧した。超音波を通じて形成されたマイクロサイズの液滴は20L min-1の流量に(in air)900℃の反応炉を経由しながら、酸化インジウム(In2O3)中空構造が形成された(比較例3)。このように得られた中空構造微粉末を有機バインダーと混合して金(Au)電極が形成されているアルミナ基板にスクリーン印刷し、70℃で2時間乾燥した後に、600℃で2時間熱処理して酸化インジウム(In2O2)ガス感応膜を製造した。その後、電子ビーム蒸着器(Electron Beam Evaporator)を通じてテルビウムソースを利用して厚さが100nmになるように蒸着し、550℃で2時間熱処理してテルビウム(Tb)が塗布されたIn2O3ガスセンサを製造した(実施例4)。製造されたガスセンサのガス感応測定は実施例2と同一である。
【0045】
<比較例5及び実施例5>
先ず、20mLの蒸留水にスズ(Sn)/テルビウム(Tb)の元素比が95/5に該当するように計算して酸化スズ(SnO2)商用微粉末(比較例5)と塩化テルビウム6水和物(Tb chloride hexahydrate)を添加した後、80℃の温度で2時間撹拌させた。この溶液を70℃の電気オーブンで24時間乾燥させた後、600℃の電気炉で2時間熱処理した(実施例5)。その後、センサの製作方法及びガス感応の測定は実施例1-1と同様に遂行した。
【0046】
<比較例6及び実施例6>
先ず、20mLの蒸留水にインジウム(In)/テルビウム(Tb)の元素比が97.5/2.5に該当するように計算して酸化インジウム(SnO2)商用微粉末(比較例6)と塩化テルビウム6水和物(Tb chloride hexahydrate)を添加した後、80℃の温度で2時間撹拌させた。この溶液を70℃の電気オーブンで24時間乾燥させた後、600℃の電気炉で2時間熱処理した(実施例6)。その後、センサの製作方法及びガス感応の測定は実施例1-1と同様に遂行した。
【0047】
前記のような方法で合成された微粉末でセンサを製造してガス感応特性を評価した結果、実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、比較例1、比較例2、比較例3、比較例4、比較例5、及び比較例6の全てが空気中では高抵抗状態を示しているが、アセトンが流入されると同時に抵抗が減少するN型半導体特性を示した。したがって、N型酸化物半導体の場合、ガス感度をRa/Rg(Ra:空気中でのセンサ抵抗、Rg:ガス中でのセンサ抵抗)として定義した。製造された各センサのアセトン感応特性を乾燥雰囲気で測定し、これを相対湿度80%雰囲気で測定したアセトン感度及びセンサ抵抗と比較した。詳細な測定方法は下記の通りである。
【0048】
乾燥雰囲気の空気中でセンサの抵抗(Ra)が一定になった後、急に被検ガス(アセトン10ppm乃至20ppm)に雰囲気を変え、被検ガスに露出された後、ガスの中での抵抗が一定になる時(Rg)再び乾燥雰囲気の空気に雰囲気を変え、乾燥雰囲気でのガス感度を測定した。その後、急に相対湿度80%雰囲気の空気に雰囲気を変え、相対湿度80%が含まれた被検ガスに露出させて第1番目の湿度に応じるガス感応特性を評価した。また、相対湿度80%雰囲気のガス感度を乾燥雰囲気のガス感度で割った値をガス感度変化率として定義し、相対湿度80%雰囲気のセンサ抵抗を乾燥雰囲気のセンサ抵抗で割った値をセンサ抵抗変化率として定義した。したがって、ガス感度及びセンサ抵抗変化率が1を示せば、センサの湿度依存性が概ね無いと判断することができる。
【0049】
図4は超音波噴霧熱分解法を通じて合成した純粋な酸化亜鉛(SnO
2)(比較例1、
図4a)、テルビウム(Tb)が1at%(実施例1-3、
図4b)、5at%(実施例1-1、
図4c)、15at%(実施例1-2、
図4d)ドーピングされた酸化亜鉛(SnO
2)卵黄構造微粉末に対するSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
図4を参照すれば、すべての実施例及び比較例は中空構造の内部に中空構造が追加的に存在する卵黄構造であり、ナノ構造体のサイズが均一であることが分かる。
【0050】
図5は酸化スズ(SnO
2)(比較例2、
図5a)、酸化亜鉛(ZnO)(比較例3、
図5b)、酸化インジウム(In
2O
3)(比較例4、
図5c)中空構造微粉末に対するSEM写真である。
図5を参照すれば、比較例2、比較例3、及び比較例4の場合、内部が空いている中空構造であることが分かる。
【0051】
図6は比較例2(
図6a)、比較例3(
図6c)、比較例4(
図6e)、実施例2(
図6b)、実施例3(
図6d)、及び実施例4(
図6f)に対するセンサ感応膜のSEM写真である。
図6を参照すれば、電子ビーム蒸着器を通じてテルビウム触媒層が上部感応膜上に均一に蒸着されることを確認することができる(
図6b、
図6d、
図6f)。
【0052】
図7は比較例1(
図7a)、実施例1-3(
図7b)、実施例1-1(
図7c)、実施例1-2(
図7d)にしたがう微粉末に対するX線相分析結果である。
図7を参照すれば、比較例1(
図7a)及び実施例1-1乃至実施例1-3(
図7b乃至7d)のX線回折パターンは正方晶(Tetragonal)構造の酸化スズ(SnO
2)を示した。実施例1-3(
図7b)、実施例1-1(
図7c)の場合、テルビウム(Tb)が1at%及び5at%添加されることにも拘らず、テルビウム(Tb)と関連した回折パターンを確認することができない。これは添加されたテルビウム(Tb)の量が非常に少ないので、XRD(X-Ray Diffraction)の分析限界を超えているか、或いはテルビウム(Tb)が酸化スズ(SnO
2)卵黄構造の全体に均一にドーピングされたためであると判断される。また、実施例1-2の場合、正方晶(Tetragonal)構造の酸化スズ(SnO
2)以外に酸化テルビウム(Tb
2O
3)及びTb
2(Sn
2O
7)相が現れた。
【0053】
図8は比較例2(
図8a)、実施例2(
図8b)、比較例3(
図8c)、実施例3(
図8d)、比較例4(
図8e)、及び実施例4(
図8f)にしたがう微粉末に対するX線相分析結果である。
図8を参照すれば比較例2にTb触媒層を蒸着した実施例2(
図8b)の場合、正方晶構造の酸化スズ(SnO
2)及び酸化テルビウム(Tb
2O
3)の回折パターンが現れた。
【0054】
さらに、比較例3(
図8c)の回折パターンは六方晶(Hexagonal)構造の酸化亜鉛(ZnO)を示し、これにテルビウム(Tb)触媒層を蒸着した実施例3(
図8d)では六方晶構造の酸化亜鉛(ZnO)と酸化テルビウム(Tb
2O
3)の回折パターンが現れた。
【0055】
一方、比較例4(
図8e)の回折パターンは立方晶系(Cubic)構造の酸化インジウム(In
2O
3)を示し、これにテルビウム(Tb)触媒層を蒸着した実施例4(
図8F)では立方晶系構造の酸化インジウム(SnO
2)と酸化テルビウム(Tb
2O
3)の回折パターンが現れた。
【0056】
図9は比較例1、実施例1-1、実施例1-2及び実施例1-3の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗(
図9a乃至
図9d)とセンサ抵抗変化率(
図9E乃至9H)に対するグラフである。
図9を参照すれば、比較例1の場合、相対湿度80%雰囲気に露出される場合、センサの抵抗が乾燥雰囲気でのセンサ抵抗に比べて36.4%減少した値を示した(
図9a及び
図9e)。これは酸化スズ(SnO
2)のようなN型酸化物半導体型ガスセンサが湿気に露出された時、発生する一般的な現象であって、センサの性能を低下させ、誤作動を誘発する主な要因である。反面に、実施例1-1の場合、相対湿度80%雰囲気で急に露出されてもセンサ抵抗が乾燥雰囲気でのセンサ抵抗に比べて24.3%減少した(
図9b及び
図9f)。実施例1-2の場合、同様にセンサ抵抗が乾燥雰囲気でのセンサ抵抗値の102.5%に概ね類似であるが、センサ抵抗が増加して測定が多少難しくなることがあり得る(
図9c及び
図9g)。反面、テルビウム(Tb)が1at%ドーピングされた実施例1-3の場合、相対湿度80%雰囲気に露出される場合、センサの抵抗が乾燥雰囲気での抵抗に比べて65.4%に該当する値を示した(
図9d及び
図9h)。
【0057】
図10は比較例1、実施例1-1、実施例1-2及び実施例の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのアセトンに20ppmに対するセンサ感度(
図10a乃至
図10d)とセンサ感度変化率(
図10e乃至10h)に対するグラフである。比較例1の場合、相対湿度80%雰囲気でのアセトン20ppmに対するセンサ感度は30.7であり、乾燥雰囲気でのセンサ感度63.9に比べて63.6%レベルに減少した(
図10a及び
図10e)。これに比べて実施例1-1の場合、相対湿度80%雰囲気でのセンサ感度は12.0であり、乾燥雰囲気でのセンサ感度16に比べて80.6%レベルに維持した(
図10b及び
図10f)。実施例1-2の場合、センサ感度変化率が82%であり、湿度雰囲気に大きく影響を受けない結果を示した(
図10c及び
図10g)。実施例1-3の場合、相対湿度80%雰囲気でセンサ感度は9.9であり、乾燥雰囲気でのセンサ感度9.2に比べて107.6%に増加した。
【0058】
図9と
図10を参照して乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗変化率、センサ感度変化率、センサの感度、及びセンサの抵抗を考慮する時、実施例1-1が外部の湿気の存在の有無に関わらず、高信頼性で一定のガス感応特性を良く示し、実施例1-2、実施例1-3の場合にも比較例1に比べて感応特性の湿度依存性を著しく減少させることを確認することができる。
【0059】
図11は実施例2、比較例2、実施例3、比較例3、実施例4、及び比較例4の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗(
図11a乃至
図11c)とセンサ抵抗変化率(
図11d乃至
図11f)に対するグラフである。
【0060】
比較例2の場合、相対湿度80%雰囲気に露出される場合、センサの抵抗が乾燥雰囲気に比べて大きく減少して、センサ抵抗変化率は82.6%を示し、実施例2の場合、湿度雰囲気でも抵抗が大きく減少せず、16.2%のセンサ抵抗変化率を示した(
図11a及び
図11d)。
【0061】
比較例3の場合、相対湿度80%雰囲気に露出される場合、比較例2と同様にセンサの抵抗が乾燥雰囲気に比べて大きく減少して、センサ抵抗変化率は66.7%を示し、実施例3の場合、湿度雰囲気でも抵抗が大きく減少せず19.0%のセンサ抵抗変化率を示した(
図11b及び
図11e)。
【0062】
比較例4の場合も相対湿度80%雰囲気に露出される場合、センサの抵抗が乾燥雰囲気に比べて59.0%減少した値を示し、実施例4の場合、湿度雰囲気で乾燥雰囲気でのセンサ抵抗に比べて19.0%減少したセンサ抵抗を示した(
図11c及び
図11f)。
【0063】
図12は実施例2、比較例2、実施例3、比較例3、実施例4、及び比較例4の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ感度(
図12a乃至
図12c)とセンサ感度変化率(
図12d乃至
図12f)に対するグラフである。
【0064】
比較例2の場合、相対湿度80%雰囲気でのアセトン10ppmに対するセンサ感度は8.8であり、乾燥雰囲気でのセンサ感度45.7に比べて80.6%レベルに減少した。反面、実施例2の場合、相対湿度80%雰囲気でのセンサ感度は34.5であり、乾燥雰囲気でのセンサ感度22.3に比べてむしろ55.5%増加した(
図12a及び
図12d)。
【0065】
同様に、比較例3及び比較例4の場合、相対湿度80%雰囲気でのアセトン10ppmに対するセンサ感度は各々18.1(比較例3)、20.8(比較例4)に現れ、乾燥雰囲気でのセンサ感度116.2(比較例3)、44.4(比較例4)に比べて大きく減少した(
図12b、
図12c、
図12e及び
図12f)。これに比べて、実施例3及び実施例4の場合、相対湿度80%雰囲気でのアセトン10ppmに対するセンサ感度は各々18.1(比較例3)、20.8(比較例4)に現れ、乾燥雰囲気でのセンサ感度6.2(比較例3)、20.8(比較例4)に比べて増加するか、又は一定に現れた(
図12b、
図12c、
図12e、及び
図12f)。
【0066】
図11と
図12を参照すれば、テルビウム(Tb)触媒層をセンサ感応膜上にコーティングすれば、乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗変化率、センサ感度変化率を調節可能であり、これは外部の湿気の存在の有無に関わらず、高信頼性に一定のガス感応特性を示すセンサを設計することができることを意味する。
【0067】
図13は実施例5、比較例5、実施例6、及び比較例6の感応温度450℃での乾燥雰囲気及び相対湿度80%でのセンサ抵抗(
図13a及び
図13b)とセンサ抵抗変化率(
図13c及び
図13d)に対するグラフである。
【0068】
比較例5の場合、相対湿度80%雰囲気に露出される場合センサの抵抗が乾燥雰囲気に比べて大きく減少して、センサ抵抗変化率は37.8%を示し、実施例5の場合湿度雰囲気でも抵抗が大きく減少せず、14.4%のセンサ抵抗変化率を示した(
図13a及び
図13c)。
【0069】
比較例6の場合、相対湿度80%雰囲気に露出される場合比較例2と同様にセンサの抵抗が乾燥雰囲気に比べて大きく減少して、センサ抵抗変化率は36.6%を示し、実施例6の場合、湿度雰囲気でも抵抗が大きく減少せず、16.0%のセンサ抵抗変化率を示した(
図13b及び
図13d)。
【0070】
図14は比較例1(
図14a)及び実施例1-1(
図14b)にしたがう微粉末のアセトンガス濃度別のガス感度を示したグラフである。実施例1-1(
図14b)に比べて比較例1(
図14a)は乾燥雰囲気及び相対湿度80%雰囲気でアセトンの濃度にしたがって他のガス感度を示し、この時のガス感度とセンサ抵抗は湿気の存在の有無に概ね影響を受けない特性を示した。アセトンは環境汚染ガスであると同時に正常の呼気では、300乃至900ppbが検出され、糖尿病を患っている患者の呼気では1800ppb以上が検出されるバイオマーカーのガスであるので、1ppm近傍のアセトンを湿気存在の有無及び濃度に関わらず、選択的に検知することができれば、糖尿病の自己診断センサとしても活用することができる。実施例1-1のアセトン測定限界は少なくとも50ppbであるので、本発明に係るガスセンサは、糖尿病の自己診断など呼気による病気の診断センサとしても十分に活用することができると期待される。
【0071】
図15は実施例1-1(
図15a)及び比較例1(
図15b)にしたがう様々なガス(アセトン、アンモニア、一酸化炭素、トルエン、キシレン、ベンゼン)20ppmに対する450℃でのガス感度を示したグラフである。比較例1に比べて、実施例1-1は乾燥雰囲気及び相対湿度80%雰囲気で様々なガスに対する湿度依存性が著しく減少したことを確認することができる。
【0072】
以上の詳細な説明は本発明を例示することである。また、前述した内容は本発明の好ましい実施形態を例として説明することであり、本発明は多様な他の組合せ、変更、及び環境で使用することができる。即ち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、前述した開示内容と均等な範囲及び/又は当業界の技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施形態は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明することであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される多様な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は開示された実施形態に本発明を制限しようとする意図ではない。添付された請求の範囲は他の実施形態も含むこととして解析されなければならない。