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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】カード集積装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/00 20060101AFI20220427BHJP
   G06K 13/12 20060101ALI20220427BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B65H31/00 Z
G06K13/12
B42D15/00 341D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021016230
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2021-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】509015888
【氏名又は名称】奥村印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】輿石 哲也
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-178158(JP,A)
【文献】特開平05-043106(JP,A)
【文献】特開2014-159338(JP,A)
【文献】特開2018-052741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
B65H 33/00-33/18
B26D 1/00- 1/24
B42D 15/00
B65G 57/28
B65G 57/32
G03K 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に並んだ状態で排出されるカードを下から受けて支持する複数のカード受け部と、前記複数のカード受け部を横切るように前記所定の方向に連続する溝部とを有するカード支持機構と、
前記溝部に沿って前記所定の方向に移動可能な押出部材を有し、前記複数のカード受け部に支持された前記カードを前記押出部材の移動によって前記所定の方向と平行なカード押出方向に押し出すことにより、前記カードを所定の位置に集積するカード集積機構と、
を備え、
前記カード支持機構は、前記複数のカード受け部の姿勢を第1の姿勢と第2の姿勢とに変換可能な姿勢変換部を有し、
前記第1の姿勢は、前記カードを水平状態または水平に近い状態に支持する姿勢であり、
前記第2の姿勢は、前記複数のカード受け部に支持された前記カードを前記押出部材によって前記カード押出方向に押し出した場合に、前記カード押出方向の上流側に位置するカードが下流側に位置するカードに乗り上がるように、前記上流側に位置するカードを斜めに支持する姿勢である
カード集積装置。
【請求項2】
前記姿勢変換部は、前記カード押出方向における前記カード受け部の下流側を押し上げることにより、前記カード受け部の姿勢を前記第1の姿勢から前記第2の姿勢に変換する
請求項1に記載のカード集積装置。
【請求項3】
前記姿勢変換部は、前記複数のカード受け部の姿勢を変換するための駆動力を発生する駆動源と、前記駆動源を制御する制御部と、備え、
前記制御部は、前記カードを前記複数のカード受け部で受ける場合は、前記複数のカード受け部の姿勢を前記第1の姿勢とし、前記カードを前記押出部材の移動によって押し出す場合は、前記複数のカード受け部の姿勢を前記第2の姿勢とするように、前記駆動源を制御する
請求項1に記載のカード集積装置。
【請求項4】
前記複数のカード受け部の各々は、前記所定の方向と直交する方向に排出される前記カードを受けるカード受け面を有し、
前記カード受け面は、前記所定の方向と直交する方向であるカード排出方向の下流側が上流側よりも低くなるように傾斜している
請求項1に記載のカード集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを集積するカード集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷工場では、シート媒体に文字や絵柄などの画像を印刷する印刷装置と、印刷済みのシート媒体を断裁する断裁装置と、シート媒体から断裁されたカードを集積するカード集積装置とを組み合わせて使用する場合がある。カード集積装置は、断裁装置によって1枚のシート媒体から断裁された複数枚のカードを集積する。
【0003】
一般に、一枚のシート媒体は、1つの領域が1枚のカードになるように格子状に区分される。このため、断裁装置によって断裁されたカードは、一方向に並んだ状態で排出される。このようにカードを排出する場合、同じ位置に排出されるカードは排出タイミングをずらすことによって順に積み重ねられる。しかし、異なる位置に排出されるカードを一纏めに重ねるには、それらのカードを何らかの手段によって集積する必要がある。
【0004】
カード集積装置に関して、たとえば特許文献1には、シフト装置と、スタック装置と、制御装置とを備えるカード用シフト集積装置が開示されている。上記シフト装置は、回転部、及び、移送部を有し、上記スタック装置は、ステージ、リフト、及び、スタックガイドを有している。また、上記回転部は、順次供給されるカードセットを保持することができる複数組の羽根部が、回転軸周りに等角度間隔で放射状に配置され、制御装置による制御下において、一回の動作毎に所定方向へ90°回転するように構成されている。また、上記移送部は、カードセットを挟持した状態で回動可能なように構成された一対の挟持部と、挟持部に回転駆動力を供給するモータとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】2013-86444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたカード用シフト集積装置は、平積み状態で排出される複数枚一組のカードのセットであるカードセットごとに、複数組の羽根部のいずれかにカードセットを保持させる動作と、複数組の羽根部を90°回転させる動作と、羽根部内のカードセットを移送部により挟持してスタック装置へと移送する動作とを順に行う必要がある。このため、カードの集積に長い時間がかかってしまう。
【0007】
本発明の目的は、カードの集積に要する時間を短縮することができるカード集積装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るカード集積装置は、所定の方向に並んだ状態で排出されるカードを下から受けて支持する複数のカード受け部と、複数のカード受け部を横切るように所定の方向に連続する溝部とを有するカード支持機構と、溝部に沿って所定の方向に移動可能な押出部材を有し、複数のカード受け部に支持されたカードを押出部材の移動によって所定の方向と平行なカード押出方向に押し出すことにより、カードを所定の位置に集積するカード集積機構と、を備える。カード支持機構は、複数のカード受け部の姿勢を第1の姿勢と第2の姿勢とに変換可能な姿勢変換部を有する。第1の姿勢は、カードを水平状態または水平に近い状態に支持する姿勢であり、第2の姿勢は、複数のカード受け部に支持されたカードを押出部材によってカード押出方向に押し出した場合に、カード押出方向の上流側に位置するカードが下流側に位置するカードに乗り上がるように、上流側に位置するカードを斜めに支持する姿勢である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カードの集積に要する時間を短縮することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示す印刷システムによって実行される処理の流れを示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係るカード集積装置の構成を示す概略側面図である。
図4】本発明の実施形態に係るカード集積装置の構成を示す概略平面図である。
図5】カード集積機構の駆動機構の構成を示す概略側面図である。
図6】姿勢変換部の構成および動作を説明する側面図(その1)である。
図7】姿勢変換部の構成および動作を説明する側面図(その2)である。
図8】カード受け部のカード受け面の傾きを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能または構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
<印刷システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、印刷システム10は、供給装置11と、印刷装置12と、断裁装置13と、カード集積装置14と、を備えている。供給装置11は、印刷の対象物となるシート媒体を印刷装置12に供給する装置である。印刷装置12は、供給装置11によって供給されるシート媒体に画像を形成(印刷)する装置である。断裁装置13は、印刷装置12によって画像が形成されたシート媒体を断裁することにより、1枚のシート媒体から複数枚のカードを生成する装置である。カード集積装置14は、断裁装置13によって断裁された複数枚のカードを集積する装置である。
【0013】
本明細書に記載されるカードは、たとえば、名刺、ゲームカード、鑑賞カード、ハガキ、診察券、ステッカー、クレジットカード、IDカード、乗車券、入場券、ポイントカード、会員カード、ICカードなど各種のカードを含み、特定のカードに限定されるものではない。また、カードの材質についても特定の材質に限定されるものではなく、たとえば、紙、プラスチック、金属(合金を含む)などを適用することができる。
【0014】
<印刷システムによる処理の流れ>
図2は、図1に示す印刷システムによって実行される処理の流れを示す模式図である。
図2に示すように、シート媒体18は矩形のシートである。シート媒体18は、供給ステップS1、印刷ステップS2および断裁ステップS3を経ることにより、複数枚のカード21に分割される。複数枚のカード21は、排出ステップS4および集積ステップS6を経ることにより、一纏めに重ねられる。以下、詳しく説明する。
【0015】
シート媒体18は、断裁によって得られるカード21のサイズや枚数に応じて複数の領域18aに区分されている。複数の領域18aは格子状に区分され、1つの領域18aが1枚のカード21として断裁される。本実施形態においては、一例として、1枚のシート媒体18が合計15(5×3)個の領域18aに区分され、各々の領域18aに画像が形成されるものとする。各々の領域18aに形成される画像は、同じ画像でもよいし、異なる画像でもよいし、一部だけが異なり他の部分が共通する画像でもよい。
【0016】
上記印刷システム10においては、供給装置11によってシート媒体18を印刷装置12に供給し、印刷装置12によって各々の領域18aに画像を印刷した後、断裁装置13によってシート媒体18を断裁する。これにより、1枚のシート媒体18から15枚のカード21が得られる。断裁装置13によって行われるシート媒体18の断裁処理は、どのような処理方式を採用してもかまわない。断裁処理によって得られるカード21は、A方向に並んだ状態で排出される。この場合、A方向は「所定の方向」に相当する。本実施形態においては、一例として、3枚のカード21がA方向に並んだ状態で排出されるものとする。3枚のカード21は、それぞれ異なる位置(以下、「排出位置」という。)P1,P2,P3に排出される。これにより、排出位置P1には、1枚のシート媒体18につき5枚のカード21が重ねて排出され、他の排出位置P2,P3にもそれぞれ5枚のカード21が重ねて排出される。したがって、1枚のシート媒体18の断裁処理を終えるたびに、各々の排出位置P1,P2,P3に5枚ずつカード21が排出される。
【0017】
カード集積装置14は、このように排出される複数枚のカード21を一纏めに重ねて集積する。カード集積装置14による集積動作は、断裁装置13によって1枚または複数枚のシート媒体18が断裁されるたびに実行される。
【0018】
なお、本実施形態においては、各々の排出位置P1,P2,P3に排出された複数枚のカード21をカード集積装置14によって集積する場合を例に挙げて説明するが、集積の対象物として各々の排出位置P1,P2,P3に排出されるカード21の枚数は1枚でも複数枚でもかまわない。
【0019】
<カード集積装置の構成>
図3は、本発明の実施形態に係るカード集積装置の構成を示す概略側面図であり、図4は、本発明の実施形態に係るカード集積装置の構成を示す概略平面図である。
図3および図4に示すように、カード集積装置14は、カード排出機構31と、カード支持機構32と、カード集積機構33と、を備えている。
【0020】
(カード排出機構)
カード排出機構31は、断裁装置13での断裁処理によって切り出されたカード21を受け取って支持する複数(本形態例では3つ)のスタックトレイ35と、カード排出機構31とカード支持機構32との境界部に配置されたゲート部材36と、スタックトレイ35に支持されたカード21をカード支持機構32に向けて排出する排出部材37と、を備えている。
【0021】
スタックトレイ35は、所定の間隔でA方向に並んで配置されている。スタックトレイ35は、排出位置P1,P2,P3に1つずつ配置されている。スタックトレイ35の幅方向(図中、A方向)の両側端にはサイドガイド35aが形成されている。サイドガイド35aは、スタックトレイ35の上面から垂直に立ち上がっている。サイドガイド35aは、各々の排出位置P1,P2,P3に排出されるカード21の側縁部をガイドする。スタックトレイ35には排出用溝38が形成されている。排出用溝38は、1つのスタックトレイ35につき2本ずつ形成されている。2本の排出用溝38は、A方向に適度な間隔をあけて形成されている。また、各々の排出用溝38は、B方向と平行に形成されている。B方向は、A方向と直交する方向である。
【0022】
ゲート部材36は、主として、B方向におけるカード21の位置決めを行う部材である。ゲート部材36によるカード21の位置決めは、図3の矢印方向に搬送されるカード21の先端がゲート部材36に突き当たることによって行われる。ゲート部材36の長手方向の両端部は、ゲート支持部39によって支持されている。ゲート支持部39は、ゲート部材36をC方向に回転可能に支持している。C方向は、ゲート支持部39を中心とする回転方向である。ゲート部材36は、カード21をスタックトレイ35で受ける場合はゲート支持部39から垂直に垂れ下がった状態となり、カード21をスタックトレイ35から排出する場合はゲート支持部39を中心に図3の時計回り方向に回転することにより、カード21の排出を許容する状態となる。
【0023】
排出部材37は、B方向に移動可能に設けられている。排出部材37は、1つの排出用溝38の近傍に1つずつ配置されている。排出部材37は、B方向において、スタックトレイ35を間に挟んでゲート部材36の反対側に配置されている。排出部材37は、排出用溝38に沿って図4の左方向に移動することにより、スタックトレイ35上のカード21をカード支持機構32側に押し出すように排出する。
【0024】
(カード支持機構)
カード支持機構32は、それぞれカード21を支持する複数(本形態例では3つ)のカード受け部41と、複数のカード受け部41を横切る溝部45と、を有している。複数のカード受け部41は、A方向に並んだ状態で排出されるカード21を下から受けて支持する。溝部45は、複数のカード受け部41を横切るようにA方向に連続している。
【0025】
カード受け部41は、上述したスタックトレイ35と同様に、所定の間隔でA方向に並んで配置されている。カード受け部41は、カード受け面42と、カード突き当て部43と、を有している。カード受け面42は、スタックトレイ35の上面に相当する。カード受け面42は、図4のb1方向に排出されるカード21を受ける面である。b1方向は、B方向の一方を指す方向である。
【0026】
カード突き当て部43は、カード受け面42から垂直に立ち上がっている。カード突き当て部43は、b1方向に排出されるカード21が突き当てられる部分である。このカード突き当て部43にカード21が突き当てられることにより、b1方向にカード21を排出する際に、カード受け面42上にカード21を確実に停止させ、かつカード21を位置決めすることができる。
【0027】
以降の説明において、複数のカード受け部41を区別する必要がある場合は、各々のカード受け部41にアルファベットの添え字(a,b,c)を付して区別する。この点は、カード受け面42およびカード突き当て部43についても同様である。
【0028】
3つのカード受け部41のうち、カード受け部41a,41bは、それぞれカード21のサイズに応じて独立した構造になっている。これに対して、カード受け部41cは、図4の破線46で示す位置でカード載置台47と区分されるものの、構造的にはカード載置台47と一体化されている。カード載置台47は、各々のカード受け部41a,41b,41cに排出されたカード21をカード集積機構33によって集積する場合に、集積した一纏まりのカード21を載せるための台である。上述した溝部45は、破線46の位置を超えてカード載置台47まで切れ込むように形成されている。
【0029】
カード受け部41cとカード載置台47とを一体構造とした場合は、これらを別体構造とする場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、カード受け部41cからカード載置台47へのカード21の移動をスムーズに行うことができる。ただし、カード受け部41cとカード載置台47は、構造的に分離した構成を採用することも可能である。
【0030】
カード載置台47には舌片部48が一体に形成されている。舌片部48は、カード載置台47の上面と同一平面をなすように形成されている。舌片部48は、B方向においてカード載置台47の幅を部分的に狭めて形成されている。B方向における舌片部48の幅W2は、B方向におけるカード21の幅W1よりも狭い。これにより、集積したカード21をカード載置台47に載せた場合に、カード21の一部が舌片部48からはみ出した状態となる。このため、集積済みのカード21であるカード束をカード載置台47から取り出す場合に、カード束を手で掴みやすくなる。したがって、集積済みのカード21をカード載置台47から迅速かつ確実に取り出すことができる。
【0031】
舌片部48にはストッパー49が設けられている。舌片部48およびストッパー49は、溝部45の延長線上に配置されている。ストッパー49は、丸シャフトによって構成されるとともに、舌片部48の上面から垂直に立ち上がっている。カード載置台47の載置されるカード21は、A方向においてストッパー49に突き当てられることにより、カード載置台47の上に位置決めされる。すなわち、ストッパー49は、集積したカード21を位置決めするための部材である。ストッパー49は、丸シャフト以外にも種々の構造を採用可能である。また、ストッパー49と同様の機能を有する部分を、カード載置台47の舌片部48に折り曲げ加工等によって一体に形成することも可能である。
【0032】
カード支持機構32は、上述した構成(カード受け部41、溝部45など)に加えて、複数のカード受け部41の姿勢を変換可能な姿勢変換部61(図6参照)を備えている。姿勢変換部61の構成については後段で詳しく説明する。
【0033】
(カード集積機構)
カード集積機構33は、図4に示すように、溝部45に沿ってA方向に移動可能な押出部材51と、押出部材51をA方向に移動させるための駆動機構52と、を備えている。以下、カード集積機構33の駆動機構52の構成について図5を用いて説明する。
【0034】
図5に示すように、駆動機構52は、押出部材51の移動を案内する直動ガイド55と、駆動源としてのモータ56と、モータ56の駆動力を直動ガイド55に伝達する動力伝達機構としてのプーリ機構57と、を備えている。直動ガイド55は、ガイドレール55aと、スライダ55bとを有している。ガイドレール55aは、長尺状の部材であって、A方向と平行に配置されている。ガイドレール55aは、カード受け部41の下面側に固定される。スライダ55bは、図示しない軸受を介してガイドレール55aに移動自在に組み付けられ、ガイドレール55aに沿ってA方向に移動する。押出部材51は、スライダ55bにネジ等を用いて固定され、スライダ55bと一体にA方向に移動する。
【0035】
プーリ機構57は、一対のプーリ57a,57bと、一対のプーリ57a,57bに架け渡された無端状(ループ状)のベルト57cと、によって構成されている。一方のプーリ57aは、ベルト57cの周回移動にしたがって回転する従動プーリであり、他方のプーリ57bは、モータ56の駆動にしたがって回転する駆動プーリである。従動プーリと駆動プーリの位置関係は逆でもよい。上述したスライダ55bは、ベルト57cにネジ等によって固定されている。
【0036】
上記構成からなる駆動機構52において、モータ56を駆動すると、一対のプーリ57a,57bが回転するとともに、ベルト57cが周回移動する。また、ベルト57cが周回移動すると、スライダ55bがガイドレール55aに案内されながらA方向に移動する。これにより、スライダ55bと一体に押出部材51をA方向に移動させることができる。また、モータ56の回転方向を反転することにより、A方向において押出部材51を往復移動させることができる。押出部材51の往復移動は、複数のカード受け部41a,41b,41cに排出されたカード21を押出部材51の移動により押し出して集積するための動作として行われる。
【0037】
(姿勢変換部)
続いて、姿勢変換部61の構成について、図6を用いて説明する。
姿勢変換部61は、複数のカード受け部41の姿勢を第1の姿勢と第2の姿勢とに変換可能である。第1の姿勢は、図6に示すように、カード21を水平状態に支持する姿勢である。第2の姿勢は、図7に示すように、複数のカード受け部41に支持されたカード21を押出部材51によって押し出した場合に、押出部材51によるカード押出方向の上流側に位置するカード21が下流側に位置するカード21に乗り上がるように、カード21を斜めに支持する姿勢である。
【0038】
前述した図4においては、複数のカード受け部41に支持されたカード21を押出部材51の移動によってa1方向に押し出すため、カード押出方向はa1方向となる。そして、A方向で隣り合うカード受け部41aとカード受け部41bとの関係で見ると、カード受け部41aに支持されるカード21はカード押出方向a1の上流側に位置するカードに相当し、カード受け部41bに支持されるカード21はカード押出方向a1の下流側に位置するカードに相当する。また、A方向で隣り合うカード受け部41bとカード受け部41cとの関係で見ると、カード受け部41bに支持されるカード21はカード押出方向a1の上流側に位置するカードに相当し、カード受け部41cに支持されるカード21はカード押出方向a1の下流側に位置するカードに相当する。以上の前提を踏まえて、以下に姿勢変換部61の構成を詳しく説明する。
【0039】
図6に示すように、姿勢変換部61は、姿勢変換のための駆動源であるモータ62と、モータ62の駆動にしたがって回転する円盤63と、リンク機構64と、円盤63とリンク機構64とを連結する連結部材65と、カード受け部41aを揺動自在に支持する軸部66aと、カード受け部41bを揺動自在に支持する軸部66bと、モータ62を制御するモータ制御部67と、を備えている。モータ制御部67は、姿勢変換のためのモータ62だけでなく、押出部材51を移動させるモータ56を制御してもよい。また、排出部材37を移動させるための駆動源や、ゲート部材36を回転させるための駆動源にそれぞれモータを用いる場合は、これらのモータについてもモータ制御部67が制御する構成としてもよい。その場合、モータ制御部67は、予め決められたタイミングで各々のモータを駆動する。
【0040】
モータ62は、複数のカード受け部41の姿勢を変換するための駆動力を発生する。モータ62は、たとえば、サーボモータによって構成される。円盤63は、モータ62の出力軸に直接、または、減速機構(図示せず)を介して取り付けられる。
【0041】
リンク機構64は、第1リンク64aと、第2リンク64bと、第3リンク64cと、を備えている。第1リンク64aおよび第2リンク64bは、それぞれアーム状の部材であり、第3リンク64cはバー状の部材である。各リンクの形状は必要に応じて変更可能である。第1リンク64aの長手方向の中間部は、枢軸69aによって回転自在に支持され、第2リンク64bの長手方向の中間部は、枢軸69bによって回転自在に支持されている。
【0042】
第1リンク64aの先端部(上端部)にはローラ71aが取り付けられている。ローラ71aは、図示しない軸受を介して回転自在に支持されている。ローラ71aは、A方向において軸部66aの反対側に配置されている。軸部66aは、脚部81aの上端近傍に配置されている。脚部81aは、ベース部材80の上面側に取り付けられている。ローラ71aの上側の外周面は、カード受け部41aの下面に接触している。また、A方向において、軸部66aとローラ71aとの間にはブラケット72aが配置されている。ブラケット72aは、溝部45(図4参照)を跨ぐように配置され、溝部45によって分割されたカード受け部41aの一方と他方を連結する部材である。カード受け部41aは、図6に示す状態から軸部66aを中心に反時計回り方向に揺動することにより、水平な姿勢から右上がりに傾いた姿勢(図7参照)へと変化する。
【0043】
一方、第1リンク64aの先端部(上端部)にはローラ71bが取り付けられている。ローラ71bは、図示しない軸受を介して回転自在に支持されている。ローラ71bは、A方向において軸部66bの反対側に配置されている。軸部66bは、脚部81bの上端近傍に配置されている。脚部81bは、ベース部材80の上面側に取り付けられている。ローラ71bの上側の外周面は、カード受け部41bの下面に接触している。また、A方向において、軸部66bとローラ71bとの間にはブラケット72bが配置されている。ブラケット72bは、溝部45を跨ぐように配置され、溝部45によって分割されたカード受け部41bの一方と他方を連結する部材である。カード受け部41bは、図6に示す状態から軸部66bを中心に反時計回り方向に揺動することにより、水平な姿勢から右上がりに傾いた姿勢(図7参照)へと変化する。
【0044】
第1リンク64aと第2リンク64bは、図6において同じ方向に同じ量だけ傾いている。また、第1リンク64aの基端部(下端部)と第2リンク64bの基端部(下端部)は、第3リンク64cによって互いに連結されている。第3リンク64cは、ベース部材80の下方にA方向と平行に配置されている。
【0045】
連結部材65の一端部は円盤63の側面に取り付けられ、連結部材65の他端部は第2リンク64bに取り付けられている。連結部材65は、A方向において第2リンク64bを押し出したり引き込んだりすることにより、第1リンク64a、第2リンク64bおよび第3リンク64cを同時に動作させる。この場合、第1リンク64aの動作は、枢軸69aを中心とする回転動作であり、第2リンク64bの動作は、枢軸69bを中心とする回転動作である。
【0046】
上述のように第1リンク64aおよび第2リンク64bを回転動作させると、ローラ71aおよびローラ71bの位置が上下方向で変化する。具体的には、図6の状態から第1リンク64aを反時計回り方向に回転動作させると、ローラ71aの位置が上方向に移動する。そうすると、カード押出方向a1におけるカード受け部41aの下流側がローラ71aによって押し上げられる。その結果、図7に示すようにカード受け部41aが右上がりに傾いた状態となる。同様に、図6の状態から第2リンク64bを反時計回り方向に回転動作させると、ローラ71bの位置が上方向に移動する。そうすると、カード押出方向a1におけるカード受け部41bの下流側がローラ71bによって押し上げられる。その結果、図7に示すようにカード受け部41bが右上がりに傾いた状態となる。
【0047】
モータ制御部67は、姿勢変換部61の駆動源を制御する制御部に相当する。モータ制御部67は、カード排出機構31によって排出されるカード21を複数のカード受け部41で受ける場合は、複数のカード受け部41の姿勢を第1の姿勢とし、複数のカード受け部41に支持されたカード21を押出部材51の移動によって押し出す場合は、複数のカード受け部41の姿勢を第2の姿勢とするように、モータ62を制御する。
【0048】
<カード集積装置の動作>
続いて、カード集積装置14の動作について説明する。
まず、各々の排出位置P1,P2,P3に配置された複数のスタックトレイ35にそれぞれ所定枚数のカード21が積み重ねられると、ゲート部材36がゲート支持部39を中心に図3の時計回り方向と反時計回り方向に順に回転するとともに、ゲート部材36の回転動作に同期して排出部材37がB方向に往復移動する。これにより、所定枚数のカード21は、排出部材37の移動によりb1方向(図4参照)に押し出されて排出される。このとき、図8に示すように、カード排出方向(b1方向)におけるカード受け面42の下流側42-1が上流側42-2よりも低くなるよう、カード受け面42を傾斜させておくことにより、所定枚数のカード21をスムーズに排出させることができるとともに、カード突き当て部43への突き当てによってカード21を精度良く位置決めすることができる。
【0049】
上述のように排出部材37の移動によってカード21を排出することにより、所定枚数のカード21は、スタックトレイ35からカード受け部41へと受け渡される。その際、複数のカード受け部41は、モータ制御部67の制御下において、図6に示す第1の姿勢に保持される。また、所定枚数のカード21は、A方向に並んだ状態で排出され、その並びを保ったままカード受け部41によって支持される。この場合、スタックトレイ35から排出されるカード21は、A方向でほとんど傾きを生じることなく、カード受け部41に受け渡される。このため、カード21の挙動が安定し、ジャム等の発生が抑制される。したがって、スタックトレイ35とカード受け部41との間で、カード21の受け渡しをスムーズに行うことができる。以降の説明では、一例として、所定枚数を20枚とする。
【0050】
次に、モータ制御部67は、モータ62を駆動することにより、複数のカード受け部41の姿勢を第1の姿勢から第2の姿勢へと変換する。このとき、モータ62が駆動すると、円盤63の回転動作によって連結部材65が第2リンク64bを図6の右方向に引き込む。これにより、リンク機構64の動作によってカード受け部41aとカード受け部41bが右上がりに傾く。このため、カード受け部41aに支持された20枚のカード21と、カード受け部41bに支持された20枚のカード21は、それぞれ水平面に対して傾いた状態(図7参照)に支持される。
【0051】
次に、モータ56の駆動によって押出部材51がa1方向(図4参照)に移動する。そうすると、カード受け部41aに支持された20枚のカード21は、押出部材51の移動によってa1方向に押し出される。このとき、カード受け部41aから押し出された20枚のカード21は、カード受け部41bに支持されたカード21に乗り上がる。このため、押出部材51がカード受け部41aを通過した時点では、カード受け部41bの上に合計40枚のカード21が積載された状態となる。
【0052】
次に、カード受け部41b上の40枚のカード21は、押出部材51の移動によってa1方向に押し出される。このとき、カード受け部41bから押し出された40枚のカード21は、カード受け部41cに支持されたカード21に乗り上がる。このため、押出部材51がカード受け部41bを通過した時点では、カード受け部41cの上に合計60枚のカード21が積載された状態となる。
【0053】
次に、カード受け部41c上の60枚のカード21は、押出部材51の移動によってカード載置台47の上に押し出される。このとき、カード載置台47においては、押出部材51によって押し出されたカード21がストッパー49に突き当たることにより、カード21の位置決めがなされる。その結果、60枚のカード21は、所定の位置であるカード載置台47の上に一纏めに集積された状態となる。こうして集積された60枚のカード21は、作業者またはロボットにより、カード載置台47から取り出される。
【0054】
その後、押出部材51は、モータ56の回転方向が反転することにより、a1方向と反対方向に移動して初期位置(図4に示す位置)に戻る。また、モータ制御部67は、モータ62を駆動することにより、複数のカード受け部41の姿勢を第2の姿勢から第1の姿勢に戻す。具体的には、モータ62の駆動によって円盤63を回転動作させることにより、第2リンク64bを連結部材65によって図7の左方向に押し出す。これにより、カード受け部41aとカード受け部41bの傾きが解消される。以降は、上記同様の動作が繰り返される。
【0055】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の実施形態においては、複数のカード受け部41に支持されたカード21を押出部材51の移動によって押し出すことにより、カード載置台47の上にカード21を集積する構成を採用している。これにより、カード21の集積を素早く行うことができる。このため、カード21の集積に要する時間を短縮することができる。また、本発明の実施形態においては、カード支持機構32が、複数のカード受け部41の姿勢を第1の姿勢と第2の姿勢に変換可能な姿勢変換部61を備えた構成を採用している。これにより、カード排出機構31によって排出されるカード21を複数のカード受け部41で受ける場合は、複数のカード受け部41の姿勢を第1の姿勢とすることにより、スタックトレイ35からカード受け部41へのカード21の排出(受け渡し)をスムーズに行うことができる。また、複数のカード受け部41に支持されたカード21を押出部材51の移動によって押し出す場合は、複数のカード受け部41の姿勢を第2の姿勢とすることにより、カード21の集積を素早く行うことができる。
【0056】
(カード集積装置14が姿勢変換部61を備えることの技術的な意義)
本発明者は、複数のカード受け部41の姿勢を第2の姿勢(図7参照)に固定したまま、スタックトレイ35からカード受け部41にカード21を排出し、かつ、排出したカード21をカード集積装置14によって集積してみた。その結果、カード受け部41a,41bが常に傾いていると、スタックトレイ35から排出されるカード21をカード受け部41a,41bで受け取るときに、特定のカードがひっくり返ったりスムーズに排出されずにジャムを誘発したりすることが判明した。そこで本発明者は、カード受け部41の姿勢に着目して鋭意検討を重ねたところ、スタックトレイ35から排出されるカード21を受け取るときは、複数のカード受け部41の姿勢を第1の姿勢とすることが、カード21の排出をスムーズに行う上で非常に有益であり、複数のカード受け部41に支持されたカード受け部41をカード集積装置14によって集積するには、複数のカード受け部41の姿勢を第2の姿勢とすることが必要である、との結論に達し、姿勢変換部61を本発明の構成要件とした。
【0057】
<変形例等>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。たとえば、上述した実施形態では、本発明の内容を理解しやすいように詳細に説明しているが、本発明は、上述した実施形態で説明したすべての構成を必ずしも備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、これを削除し、または他の構成を追加し、あるいは他の構成に置換することも可能である。
【0058】
たとえば、上記実施形態においては、カード受け部41aおよびカード受け部41bをそれぞれに対応するローラ71aおよびローラ71bで押し上げる方式(以下、「押し上げ方式」という。)により、カード受け部41の姿勢を第1の姿勢から第2の姿勢に変換する構成を採用したが、本発明はこれに限らず、カード受け部41aおよびカード受け部41bをそれぞれに対応するローラ71aおよびローラ71bと共に引き下げる方式(以下、「引き下げ方式」という。)を採用してもよい。引き下げ方式の構成についてカード受け部41aを例に挙げて説明すると、図6のA方向における軸部66aとローラ71aの位置関係を反転し、ローラ71aを下方に変位させてカード受け部41aを左下がりに傾ける。このような引き下げ方式を採用した場合でも、カード受け部41の姿勢を第1の姿勢から第2の姿勢に変換することができる。ただし、引き下げ方式を採用した場合は、すべてのカード受け部41を傾ける必要がある。これに対して、押し上げ方式を採用した場合は、最終段のカード受け部41cを傾ける必要がない。このため、押し上げ方式を採用した場合は、引き下げ方式を採用した場合に比べて、部品点数の削減および機械構成の簡素化を図ることができる。
【0059】
また、上記実施形態において、第1の姿勢は、カード21を水平状態に支持する姿勢であるとしたが、これに限らず、カード21を水平に近い状態に支持する姿勢であってもよい。カード21を水平に近い状態に支持する場合とは、少なくとも、第2の姿勢に比べてカードの傾斜角度が小さくなる姿勢を意味する。
【0060】
また、上記実施形態においては、姿勢変換のための駆動源としてモータを採用したが、本発明はこれに限らず、たとえば、シリンダーなどを採用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、カード集積装置14が、カード排出機構31と、カード支持機構32と、カード集積機構33と、を備える場合について説明したが、カード排出機構31はカード集積装置14とは別の装置に設けてもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、カード集積装置14によって集積したカード21をカード載置台47に載せるようにしたが、集積したカード21を載せる位置は、カード載置台47などの固定台ではなく、たとえばベルトコンベアなどの可動台でもよい。集積したカード21をベルトコンベアに載せた場合は、集積済みのカード21をベルトコンベアによって自動的に別の場所に搬送することができる。
【符号の説明】
【0063】
14…カード集積装置
21…カード
32…カード支持機構
33…カード集積機構
41(41a,41b,41c)…カード受け部
42(42a,42b,423c)…カード受け面
45…溝部
51…押出部材
61…姿勢変換部
62…モータ(駆動源)
67…モータ制御部
A…所定の方向
a1…カード押出方向
b1…カード排出方向
【要約】
【課題】カードの集積に要する時間を短縮することができるカード集積装置を提供する。
【解決手段】所定の方向Aに並ぶカード21を下から受けて支持する複数のカード受け部41と、所定の方向に連続する溝部とを有するカード支持機構と、複数のカード受け部41に支持されたカード21を押出部材51によって押し出すことにより、カード21を所定の位置に集積するカード集積機構33と、を備える。カード集積装置14は、複数のカード受け部41の姿勢を変換可能な姿勢変換部61を備える。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8