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特許7064261コンクリート剥離剤用助剤、コンクリート剥離剤及びコンクリートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】コンクリート剥離剤用助剤、コンクリート剥離剤及びコンクリートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/38 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
B28B7/38
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021201948
(22)【出願日】2021-12-13
(62)【分割の表示】P 2021069320の分割
【原出願日】2021-04-15
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2020197350
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【弁理士】
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】村松 郁香
(72)【発明者】
【氏名】大石 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】古田 章宏
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106929133(CN,A)
【文献】特開昭64-031601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 7/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される成分(A)と、
炭素数8~30の脂肪酸、及びその塩から選ばれる少なくとも1つの化合物である成分(C)と、を含有し、
コンクリート剥離剤に配合することにより、当該コンクリート剥離剤を添加したコンクリート硬化物の剥離性及び表面美観の発揮を助けることを特徴とするコンクリート剥離剤用助剤。
【化1】
(一般式(1)において、pは0又は1の整数である。Rは、炭素数1~22の炭化水素基である。Rは、メチル基、又は水素原子である。Rは、-CH-COOMで示される有機基(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又は有機アミンである)である。)
【請求項2】
前記成分(A)、及び前記成分(C)の含有割合の合計を100質量部としたとき、
前記成分(A)を1~99質量部、及び前記成分(C)を1~99質量部の割合で含有する、請求項1に記載のコンクリート剥離剤用助剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンクリート剥離剤用助剤と、ベースオイルと、を含有することを特徴とするコンクリート剥離剤。
【請求項4】
前記コンクリート剥離剤用助剤、及び前記ベースオイルの含有割合の合計を100質量部としたとき、
前記コンクリート剥離剤用助剤を0.5~20質量部、及び前記ベースオイルを80~99.5質量部の割合で含有する、請求項に記載のコンクリート剥離剤。
【請求項5】
請求項1または2に記載のコンクリート剥離剤用助剤と、ベースオイルと、ノニオン界面活性剤(但し、前記成分(A)に該当するものを除く)と、を含有することを特徴とするコンクリート剥離剤。
【請求項6】
前記コンクリート剥離剤用助剤、前記ベースオイル、及び前記ノニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量部としたとき、
前記コンクリート剥離剤用助剤を0.5~20質量部の割合で含有し、
前記ベースオイルを60~98.5質量部の割合で含有し、
前記ノニオン界面活性剤を1~20質量部の割合で含有する、請求項5に記載のコンクリート剥離剤。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のコンクリート剥離剤を、コンクリート用の型枠の内面に塗布する塗布工程と、
コンクリートの材料であるコンクリート形成用材料を前記型枠内に充填する充填工程と、
前記型枠内で硬化した前記コンクリート形成用材料であるコンクリートを前記型枠から脱型する脱型工程と、を含むことを特徴とするコンクリートの製造方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載のコンクリート剥離剤と水とを混合したコンクリート剥離剤の水性液を、コンクリート用の型枠の内面に塗布する塗布工程と、
コンクリートの材料であるコンクリート形成用材料を前記型枠内に充填する充填工程と、
前記型枠内で硬化した前記コンクリート形成用材料であるコンクリートを前記型枠から脱型する脱型工程と、を含むことを特徴とするコンクリートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート剥離剤用助剤、コンクリート剥離剤及びコンクリートの製造方法に関する。更に詳しくは、剥離性及び表面美観が向上されたコンクリート剥離剤用の助剤、これを含むコンクリート剥離剤及びコンクリートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート製品などのコンクリート硬化物は、その作製時において型枠との間に生じる気泡などに起因して、表面に気泡痕が生じるという問題がある。この気泡痕は、コンクリート製品の耐久性や表面美観の観点から好ましいものではない。そのため、通常は、型枠から脱型した後、表面部分を切削したり、表面にモルタルを塗工することによる埋め込み作業を行ったりして、コンクリート硬化物における表面状態の加工作業が行われている。
【0003】
しかし、このような加工作業は、手間やコストがかかるため、コンクリート硬化物の表面における気泡痕の発生を抑えることができる離型剤などが報告されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-130957号公報
【文献】特表平9-507181号公報
【文献】特開平6-278120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1~3に記載の離型剤などに代わる新たな剥離剤及びこれに配合される新たな助剤であって、型枠からの剥離性、及び、得られるコンクリート硬化物の気泡痕が少なく表面美観が良好な剥離剤及びこれに配合される助剤の開発が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、コンクリート剥離剤に配合することで、当該コンクリート剥離剤が、型枠からのコンクリート硬化物の剥離性を良好に発揮し、剥離後のコンクリート硬化物の表面美観を良好にするものとなる助剤(即ち、コンクリート剥離剤用助剤)、これを含むコンクリート剥離剤及びコンクリートの製造方法の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の成分(A)を含有することによって上記課題を解決できることを見出した。本発明によれば、以下のコンクリート剥離剤用助剤、コンクリート剥離剤及びコンクリートの製造方法が提供される。
【0008】
[1] 下記一般式(1)で示される成分(A)と、
炭素数8~30の脂肪酸、及びその塩から選ばれる少なくとも1つの化合物である成分(C)と、を含有し、
コンクリート剥離剤に配合することにより、当該コンクリート剥離剤を添加したコンクリート硬化物の剥離性及び表面美観の発揮を助けることを特徴とするコンクリート剥離剤用助剤。
【0009】
【化1】
(一般式(1)において、pは0又は1の整数である。Rは、炭素数1~22の炭化水素基である。Rは、メチル基、又は水素原子である。Rは、-CH-COOMで示される有機基(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又は有機アミンである)である。)
【0010】
(削除)
【0011】
[2] 前記成分(A)、及び前記成分(C)の含有割合の合計を100質量部としたとき、
前記成分(A)を1~99質量部、及び前記成分(C)を1~99質量部の割合で含有する、前記[1]に記載のコンクリート剥離剤用助剤。
【0012】
[3] 前記[1]または[2]に記載のコンクリート剥離剤用助剤と、ベースオイルと、を含有することを特徴とするコンクリート剥離剤。
【0013】
[4] 前記コンクリート剥離剤用助剤、及び前記ベースオイルの含有割合の合計を100質量部としたとき、
前記コンクリート剥離剤用助剤を0.5~20質量部、及び前記ベースオイルを80~99.5質量部の割合で含有する、前記[]に記載のコンクリート剥離剤。
【0014】
[5] 前記[1]または[2]に記載のコンクリート剥離剤用助剤と、ベースオイルと、ノニオン界面活性剤(但し、前記成分(A)に該当するものを除く)と、を含有することを特徴とするコンクリート剥離剤。
【0015】
[6] 前記コンクリート剥離剤用助剤、前記ベースオイル、及び前記ノニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量部としたとき、
前記コンクリート剥離剤用助剤を0.5~20質量部の割合で含有し、
前記ベースオイルを60~98.5質量部の割合で含有し、
前記ノニオン界面活性剤を1~20質量部の割合で含有する、前記[5]に記載のコンクリート剥離剤。
【0016】
[7] 前記[3]又は[4]に記載のコンクリート剥離剤を、コンクリート用の型枠の内面に塗布する塗布工程と、
コンクリートの材料であるコンクリート形成用材料を前記型枠内に充填する充填工程と、
前記型枠内で硬化した前記コンクリート形成用材料であるコンクリートを前記型枠から脱型する脱型工程と、を含むことを特徴とするコンクリートの製造方法。
【0017】
[8] 前記[5]又は[6]に記載のコンクリート剥離剤と水とを混合したコンクリート剥離剤の水性液を、コンクリート用の型枠の内面に塗布する塗布工程と、
コンクリートの材料であるコンクリート形成用材料を前記型枠内に充填する充填工程と、
前記型枠内で硬化した前記コンクリート形成用材料であるコンクリートを前記型枠から脱型する脱型工程と、を含むことを特徴とするコンクリートの製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、コンクリート剥離剤に配合することで、当該コンクリート剥離剤が、型枠からのコンクリート硬化物の剥離性を良好に発揮し、剥離後のコンクリート硬化物における気泡痕が少なく表面美観を良好にするものとなるという効果を奏するものである。
【0019】
本発明のコンクリート剥離剤は、型枠からのコンクリート硬化物の剥離性を良好に発揮し、剥離後のコンクリート硬化物における気泡痕が少なく表面美観を良好にするという効果を奏するものである。
【0020】
本発明のコンクリートの製造方法によれば、型枠からコンクリート硬化物を良好に剥離することができ、更に、気泡痕が少なく表面美観が良好なコンクリート硬化物を製造することができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
【0022】
(1)コンクリート剥離剤用助剤:
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、特定の成分(A)と、炭素数8~30の脂肪酸、及びその塩から選ばれる少なくとも1つの化合物である成分(C)と、を含有するものである。本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、コンクリート剥離剤に配合することにより、当該コンクリート剥離剤を添加したコンクリート硬化物の剥離性及び表面美観の発揮を助ける。即ち、このようなコンクリート剥離剤用助剤は、コンクリート剥離剤に配合することで、当該コンクリート剥離剤が、型枠からのコンクリート硬化物の剥離性を良好に発揮し、剥離後のコンクリート硬化物の表面美観を良好にする。
【0023】
(1-1)成分(A):
本発明のコンクリート剥離剤用助剤における成分(A)は、下記一般式(1)で示される化合物である。
【0024】
【化2】
(一般式(1)において、pは0又は1の整数である。Rは、炭素数1~22の炭化水素基である。Rは、-X-Hで示される有機基(ただし、Xは、炭素数2~4のオキシアルキレン基を1~30個で形成された(ポリ)オキシアルキレン基であり、この場合、pは0である)、メチル基、又は水素原子である。Rは、-Y-Hで示される有機基(ただし、Yは、炭素数2~4のオキシアルキレン基を1~30個で形成された(ポリ)オキシアルキレン基(この場合、pは0である)であり、当該有機基となるのは、Rが前記-X-Hで示される有機基または水素原子の場合である)、-CH-COOMで示される有機基(ただし、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又は有機アミンであり、当該-CH-COOMで示される有機基となるのは、Rがメチル基または水素原子の場合である)である。R及びRにおけるX及びYで示されるオキシアルキレン基の総数は、3~40である。)
【0025】
一般式(1)におけるRは、炭素数1~22の炭化水素基であるが、これらの中でも、炭素数6~22であることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0026】
一般式(1)におけるRは、-X-Hで示される有機基(ただし、Xは、炭素数2~4のオキシアルキレン基1~30個で形成された(ポリ)オキシアルキレン基であり、この場合、pは0である)、メチル基、又は水素原子である。なお、炭素数2~4のオキシアルキレン基については、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独または2種以上とすることができる。
【0027】
一般式(1)におけるRは、-Y-Hで示される有機基(ただし、Yは、炭素数2~4のオキシアルキレン基1~30個で形成された(ポリ)オキシアルキレン基(この場合、pは0である)であり、当該有機基となるのは、Rが前記-X-Hで示される有機基または水素原子の場合である)、-CH-COOMで示される有機基(ただし、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又は有機アミンであり、当該-CH-COOMで示される有機基となるのは、Rがメチル基または水素原子の場合である)である。
【0028】
一般式(1)におけるR及びRにおけるX及びYで示されるオキシアルキレン基の総数は、3~40である。つまり、R及びRは、上記所定の(ポリ)オキシアルキレン基を採用し得るが、その際のオキシアルキレン基の総数が3~40となることが必要である。
【0029】
成分(A)としては、より具体的には、下記一般式(1-1)で示される化合物である成分(a1)、下記一般式(1-2)で示される化合物である成分(a2)などを挙げることができる。
【0030】
(1-1a)成分(a1):
成分(a1)は、下記一般式(1-1)で示される化合物である。
【0031】
【化3】
(但し、一般式(1-1)において、Rは、炭素数1~22の炭化水素基である。RO,ROは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(ただし、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独または2種以上とすることができる)である。pは0の整数である。q,rは、それぞれ独立に、0~30の整数(ただし、q+r=3~40を満たす整数)である。)
【0032】
一般式(1-1)におけるRでは、炭素数8~20の炭化水素基とすることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0033】
一般式(1-1)におけるRO、ROは、それぞれ独立に、炭素数2~4のオキシアルキレン基(ただし、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独または2種以上とすることができる)である。即ち、オキシアルキレン基は、複数存在する場合、全て同一の種類、例えば、炭素数2のオキシアルキレン基のみでもよいし、2種以上(例えば、炭素数2のオキシアルキレン基と炭素数4のオキシアルキレン基の組み合わせ等)であってもよい。なお、好ましくは、炭素数2~4のオキシアルキレン基の中でも、炭素数2のオキシアルキレン基を含有することであり、具体的には、炭素数2のオキシアルキレン基のみであるか、或いは、炭素数2のオキシアルキレン基と他のオキシアルキレン基(具体的には炭素数3のオキシアルキレン基)の組み合わせとすることができる。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0034】
一般式(1-1)におけるq,rは、それぞれ独立に、0~30の整数(ただし、q+r=3~40を満たす整数)であり、一般式(1-1)においてq+r=3~15を満たす化合物であることが好ましい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0035】
一般式(1-1)で示される成分としては、具体的には、オクチルアミン-ポリオキシエチレン付加物、デシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ウンデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ドデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、トリデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、テトラデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ペンタデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ヘキサデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、2-ヘキシルデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ヘプタデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、オクタデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ノナデシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、イコシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ヘンイコシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ドコシルアミン-ポリオキシエチレン付加物、デセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ウンデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ドデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、トリデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、テトラデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ペンタデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ヘキサデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ヘプタデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、オクタデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ノナデセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、イコセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ヘンイコセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、ドコセニルアミン-ポリオキシエチレン付加物、牛脂アミン-ポリオキシエチレン付加物、硬化牛脂アミン-ポリオキシエチレン付加物;オクチルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、デシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ウンデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ドデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、トリデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、テトラデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ペンタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ヘキサデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、2-ヘキシルデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ヘプタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、オクタデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ノナデシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、イコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ヘンイコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ドコシルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、デセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ウンデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ドデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、トリデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、テトラデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ペンタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ヘキサデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ヘプタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、オクタデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ノナデセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、イコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ヘンイコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、ドコセニルアミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物、硬化牛脂アミン-(ポリ)オキシエチレン・(ポリ)オキシプロピレン付加物等が挙げられる。
【0036】
(1-1b)成分(a2):
成分(a2)は、下記一般式(1-2)で示される化合物である。
【0037】
【化4】
(但し、一般式(1-2)において、Rは、炭素数1~22の炭化水素基である。Rは、水素原子又はメチル基である。pは0又は1の整数である。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又は有機アミンである。)
【0038】
一般式(1-2)におけるRでは、炭素数7~19の炭化水素基とすることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0039】
一般式(1-2)におけるRは、水素原子又はメチル基であるが、これらの中でも、メチル基であることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0040】
一般式(1-2)におけるpは、0又は1の整数であるが、pは1であることが好ましい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0041】
一般式(1-2)におけるMは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アミンであるが、これらの中でも、水素原子またはアルカリ金属であることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0042】
一般式(1-2)で示される成分(a2)としては、例えば、N-ラウロイルサルコシン、N-オレオイルサルコシン、N-ココイルグリシン、サルコシン、N-エチルグリシン、N-アセチルグリシンなどやそれらの塩などを挙げることができる。
【0043】
(1-2)成分(B):
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、更に、下記一般式(2)で示される成分(B)を含有することが好ましい。このような成分(B)を更に含有するコンクリート剥離剤用助剤は、コンクリート剥離剤に配合することで、当該コンクリート剥離剤が、型枠からのコンクリート硬化物の剥離性が更に発揮され、剥離後のコンクリート硬化物の表面美観が更に良好になる。
【0044】
【化5】
(一般式(2)において、Rは、炭素数6~22の炭化水素基、又は炭素数6~30の芳香族炭化水素基である。ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(ただし、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独または2種以上とすることができる)である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)又は有機アミンである。nは、0~20の整数である。mは、1又は2の整数である。)
【0045】
一般式(2)におけるRは、炭素数6~22の炭化水素基、又は炭素数6~30の芳香族炭化水素基であるが、これらの中でも、炭素数8~18の炭化水素であることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0046】
一般式(2)中のRとしては、例えば、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2-エチル-ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2-プロピル-ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等の炭素数6~22の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基;フェノール、クミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール等の炭素数6~30のフェノール類から水酸基を除いた残基;ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2-エチル-ヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、2-プロピル-ヘプチルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2-ブチル-オクチルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等の炭素数6~22の脂肪族アルコール1モル当たりエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの少なくとも一方を合計1~20モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基;フェノール、クミルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、モノスチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール等の炭素数6~30のフェノール類1モル当たりエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの少なくとも一方を合計1~20モルの割合で付加したものから水酸基を除いた残基;等が挙げられる。
【0047】
一般式(2)におけるROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基(ただし、当該オキシアルキレン基が複数存在する場合、1種単独または2種以上とすることができる)であるが、これらの中でも、炭素数2のオキシアルキレン基であることがよく、更には、炭素数2~4のオキシアルキレン基中、炭素数2のオキシアルキレン基が50モル%以上含有されることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0048】
一般式(2)におけるMは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又は有機アミンである。これらの中でも、水素原子又は有機アミンであることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0049】
一般式(2)におけるnは、0~20の整数であり、0~10の整数であることが好ましい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0050】
一般式(2)におけるmは、1又は2の整数である。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0051】
(P核NMR積分比率)
成分(B)は、一般式(2)においてm=1である成分(P1)と、m=2である成分(P2)と、を含有することができる。そして、この場合、アルカリ過中和前処理した際のP核NMR測定において、成分(P1)及び成分(P2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、成分(P1)に帰属されるP核NMR積分比率は、30~90%であることが好ましく、35~80%であることが更に好ましく、40~75%であることが更に好ましい。このような構成とすると、剥離性及び表面美観の両方に更に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0052】
ここで、本明細書において「アルカリ過中和前処理」とは、成分(B)に残存する酸に対して過剰量のアルカリを添加する前処理のことであり、従来公知の方法を採用して行うことができる。なお、アルカリの具体例としては、特に限定されず、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。また、成分(a1)を合成する場合に使用したアルカリと同じであってもよく、異なっていてもよい。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0053】
31P-NMRの測定において、この「アルカリ過中和前処理」を適切なアルカリ量で行うことで、成分(P1)、成分(P2)に帰属されるピークを明瞭に分けることができ、各化合物に帰属されるP核積分比率の計算が可能となる。
【0054】
なお、成分(P1)に帰属されるP核NMR積分比率は、例えば、以下のように算出することができる。即ち、成分(B)にアルカリ過中和処理を行い、pHを12以上にした条件下で、31P-NMR(VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)に供したときの測定値を用いて、下記の式(a)、式(b)に基づいて算出する。なお、溶媒は重水/テトラヒドロフラン=8/2(体積比)の混合溶媒を用いることができる。
【0055】
なお、式(a)、式(b)中、「P化1」は、一般式(2)で示される成分(B)のうち、m=1である成分(P1)のアルカリ金属塩等に帰属されるP核NMR積分値を示し、「P化2」は、一般式(2)で示される成分(B)のうち、m=2である成分(P2)のアルカリ金属塩等に帰属されるP核NMR積分値を示す。
【0056】
【数1】
【0057】
【数2】
【0058】
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、成分(A)及び成分(B)を含有する場合(成分(C)を含有しない場合)、これらの配合比率は特に制限はないが、以下のようにすることが好ましい。即ち、成分(A)及び成分(B)の含有割合の合計を100質量部としたとき、成分(A)を1~99質量部の割合で含有し、成分(B)を1~99質量部の割合で含有することが好ましい。このような配合比率とすることによって、剥離性及び表面美観の両方に更に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。成分(A)のより好ましい配合比率としては、5~95質量部であり、特に好ましい比率としては、5~90質量部である。また、成分(B)のより好ましい配合比率としては、5~95質量部であり、特に好ましい比率としては、10~95質量部である。
【0059】
(1-3)成分(C):
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、炭素数8~30の脂肪酸、及びその塩から選ばれる少なくとも1つの化合物である成分(C)を更に含有する。成分(C)を更に含有することによって、剥離性及び表面美観の両方に更に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。より具体的には、成分(C)が、型枠とコンクリート硬化物(水硬性組成物)との剥離性を向上し、コンクリート硬化物の表面に形成される気泡痕の発生を抑制する。
【0060】
成分(C)は、炭素数8~30の脂肪酸、及び、その塩からなる群より選択される少なくとも1つであるが、これらの中でも、炭素数8~24の脂肪酸及び、その塩が好ましく、炭素数8~22の脂肪酸及び、その塩が好ましい。なお、炭素数が8未満であると、剥離性及び表面美観の向上効果が十分でなくなるおそれがある。
【0061】
成分(C)としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、イソステアリン酸、エルカ酸、12-ヒドロキシステアリン酸等や、それらの塩などを挙げることができる。また、これらの混合物である、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、ラノリン脂肪酸等や、それらの塩を挙げることができる。
【0062】
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、成分(A)及び成分(C)を含有する場合(成分(B)を含有しない場合)、これらの配合比率は特に制限はないが、以下のようにすることが好ましい。即ち、成分(A)及び成分(C)の含有割合の合計を100質量部としたとき、成分(A)を1~99質量部の割合で含有し、成分(C)を1~99質量部の割合で含有することが好ましい。このような配合比率とすることによって、剥離性及び表面美観の両方に更に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。成分(A)のより好ましい配合比率としては、4~93質量部であり、特に好ましい比率としては、6~90質量部である。また、成分(C)のより好ましい配合比率としては、7~96質量部であり、特に好ましい比率としては、10~94質量部である。
【0063】
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)を含有する場合、これらの配合比率は特に制限はないが、以下のようにすることが好ましい。即ち、成分(A)、成分(B)、及び成分(C)の含有割合の合計を100質量部としたとき、成分(A)を1~98質量部の割合で含有し、成分(B)を1~98質量部の割合で含有し、成分(C)を1~98質量部の割合で含有することが好ましい。このような配合比率とすることによって、剥離性及び表面美観の両方に更に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。成分(A)のより好ましい配合比率としては、3~92質量部であり、特に好ましい比率としては、10~89質量部である。また、成分(B)のより好ましい配合比率としては、3~90質量部であり、特に好ましい比率としては、8~87質量部である。また、成分(C)のより好ましい配合比率としては、2~94質量部であり、特に好ましい比率としては、3~82質量部である。
【0064】
(1-4)その他の成分:
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、上述した成分(A)~成分(C)以外に、その他の成分を更に含有することができる。
【0065】
その他の成分としては、例えば、下記一般式(3)で示される成分(D)などを挙げることができる。成分(D)を含有すると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0066】
【化6】
(但し、一般式(3)において、Rは、炭素数8~22の炭化水素基である。R10,R11は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。)
【0067】
一般式(3)におけるRは、炭素数8~22の炭化水素基であるが、これらの中でも、炭素数8~18であることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0068】
一般式(3)におけるR10,R11は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基であるが、これらの中でも、メチル基であることがよい。このようにすると、剥離性及び表面美観の両方に優れるコンクリート剥離剤用助剤を得ることができる。
【0069】
一般式(3)で示される成分(D)としては、例えば、オクチルジメチルアミンオキサイド、ノニルデシルジメチルアミンオキサイド、デシルジメチルアミンオキサイド、ウンデシルジメチルアミンオキサイド、ドデシルジメチルアミンオキサイド、トリデシルジメチルアミンオキサイド、ミスチリルジメチルアミンオキサイド、ペンタデシルジメチルアミンオキサイド、ヘキサデシルジメチルアミンオキサイド、ヘプタデシルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、ノナデシルジメチルアミンオキサイド、イコシルジメチルアミンオキサイド、エイコシルジメチルアミンオキサイド、ヘンエイコシルジメチルアミンオキサイド、ドコシルジメチルアミンオキサイド、オレイルジメチルアミンオキサイド、ヤシ油ジメチルアミンオキサイド、ヤシ油ジエチルアミンオキサイド、ラウリルジヒドロキシエチルアミンオキシド、などを挙げることができる。
【0070】
その他の成分としては、更に、例えば、A成分、B成分、C成分の原料や合成法に由来する副生成物や夾雑物などを挙げることができる。
【0071】
その他の成分の含有割合としては、例えば、本発明のコンクリート剥離剤用助剤全体の0~10質量%とすることができる。
【0072】
(2)コンクリート剥離剤:
コンクリート剥離剤は、主剤としてベースオイルを含有し、更に、添加剤としてコンクリート剥離剤用助剤などを含有するものである。このようなコンクリート剥離剤には、水性タイプの剥離剤と油性タイプの剥離剤とがあり、これらの水性タイプの剥離剤と油性タイプの剥離剤とは、コンクリート材料や使用目的によって適宜選択されて用いられている。
【0073】
上述した本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、水性タイプと油性タイプのいずれにも配合することができ、剥離性と表面美観を良好に向上させることができる。即ち、上述した本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、水性タイプ(水性のものである)の剥離剤と油性タイプ(油性のものである)の剥離剤との両方のタイプの剥離剤に良好に採用することができる。
【0074】
以下、本発明における、油性タイプのコンクリート剥離剤と、水性タイプのコンクリート剥離剤についてそれぞれ説明する。
【0075】
(2-1)油性タイプのコンクリート剥離剤:
油性タイプのコンクリート剥離剤は、主剤となるベースオイルと、上述した本発明のコンクリート剥離剤用助剤と、を含有しているものであり、使用時に水を配合することなくそのまま用いるものである。
【0076】
ベースオイルとしては、特に制限はなく、従来公知のコンクリート剥離剤に用いられるベースオイルを適宜選択して採用することができる。例えば、灯油、軽油、スピン油、トランス油、マシン油等の鉱物油;ポリアルファオレフィン、ポリオールエステル等の合成油;菜種、やし、パーム、大豆、ごま油等の植物油;油脂;脂肪酸エステル等を挙げることができる。これらの中でも、鉱物油、合成油及び植物油からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0077】
この油性タイプのコンクリート剥離剤は、コンクリート剥離剤用助剤、及びベースオイルの含有割合の合計を100質量部としたとき、コンクリート剥離剤用助剤を0.5~20質量部の割合で含有し、ベースオイルを80~99.5質量部の割合で含有することが好ましい。このようにすることで、型枠からのコンクリート硬化物の剥離性を更に良好に発揮し、剥離後のコンクリート硬化物における気泡痕がより少なく表面美観を更に良好にすることができる。
【0078】
コンクリート剥離剤用助剤のより好ましい配合比率としては、1~19質量部であり、特に好ましい比率としては、1~18質量部である。また、ベースオイルのより好ましい配合比率としては、81~99質量部であり、特に好ましい比率としては、82~99質量部である。
【0079】
油性タイプのコンクリート剥離剤には、ベースオイルとコンクリート剥離剤用助剤以外に、その他の添加剤を更に含有することができる。
【0080】
その他の添加剤としては、例えば、ベースオイルに含有する副生成物などを挙げることができる。
【0081】
その他の添加剤の含有割合としては、例えば、油性タイプのコンクリート剥離剤全体の0~10質量%とすることができる。
【0082】
(2-2)水性タイプのコンクリート剥離剤:
水性タイプのコンクリート剥離剤は、主剤となるベースオイルと、上述した本発明のコンクリート剥離剤用助剤と、更にノニオン界面活性剤(但し、上述した成分(A)に該当するものを除く)を含有するものであり、使用する際にその場で水を加えるか、或いは、予め水で希釈しておいて使用するものである。
【0083】
ベースオイルとしては、特に制限はなく、上述した油性タイプのコンクリート剥離剤に配合するベースオイルと同様のものを適宜選択して採用することができる。
【0084】
ノニオン界面活性剤としては、特に制限はなく、従来公知のコンクリート剥離剤に用いられるノニオン界面活性剤を適宜選択して採用することができる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアルコール、アルキレンアルコールやそのアルキレンオキシド付加物、アルキルフェノールやそのアルキレンオキシド付加物、モノ(又はジ、トリ)スチリルフェノール-アルキレンオキシド付加物、ヒマシ油-アルキレンオキシド付加物、硬化ヒマシ油-アルキレンオキシド付加物、ソルビタン脂肪酸エステルやそのアルキレンオキシド付加物、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステルやそのアルキレンオキシド付加物、ショ糖脂肪酸エステルやそのアルキレンオキシド付加物などを挙げることができる。なお、成分(A)は、ノニオン界面活性剤に該当する場合があるため、本発明においては、これら以外のものをノニオン界面活性剤とする。
【0085】
この水性タイプのコンクリート剥離剤は、コンクリート剥離剤用助剤、ベースオイル、及びノニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量部としたとき、コンクリート剥離剤用助剤を0.5~20質量部の割合で含有し、ベースオイルを60~98.5質量部の割合で含有し、ノニオン界面活性剤を1~20質量部の割合で含有することが好ましい。このようにすることで、型枠からのコンクリート硬化物の剥離性を更に良好に発揮し、剥離後のコンクリート硬化物における気泡痕がより小さく表面美観を更に良好にすることができる。
【0086】
コンクリート剥離剤用助剤のより好ましい配合比率としては、1~18質量部であり、特に好ましい比率としては、1~16質量部である。また、ベースオイルのより好ましい配合比率としては、65~95質量部であり、特に好ましい比率としては、75~89質量部である。また、ノニオン界面活性剤のより好ましい配合比率としては、1~18質量部であり、特に好ましい比率としては、1~15質量部である。
【0087】
水性タイプのコンクリート剥離剤には、ベースオイル、コンクリート剥離剤用助剤、ノニオン界面活性剤、及び水以外に、その他の添加剤を更に含有することができる。
【0088】
その他の添加剤としては、例えば、ベースオイルに含有する副生成物、ノニオン界面活性剤を合成する際に生じるポリアルキレンオキシド等の副生成物などを挙げることができる。
【0089】
その他の添加剤の含有割合としては、例えば、水性タイプのコンクリート剥離剤全体の1~10質量%とすることができる。
【0090】
(3)コンクリート剥離剤の使用:
本発明のコンクリート剥離剤は、コンクリート(コンクリート硬化物)の作製に際して、型枠からコンクリート硬化物を脱型するときの剥離剤として使用することができる。そして、コンクリート硬化物の種類、材料、組成には、特に制限はない。即ち、本発明のコンクリート剥離剤は、従来公知の材料からなるコンクリート硬化物を剥離する際の剥離剤として良好に使用することができる。また、型枠は、通常、鋼などの金属製や木製のもの等が使用されるが、本発明のコンクリート剥離剤は、型枠の材質に制限はなく従来公知の型枠に塗布して使用することができる。
【0091】
(4)コンクリートの製造方法:
本発明のコンクリートの製造方法は、上述した本発明のコンクリート剥離剤またはこれを水で希釈して得られる水性液を、コンクリート用の型枠の内面に塗布する塗布工程と、コンクリートの材料であるコンクリート形成用材料を型枠内に充填する充填工程と、型枠内で硬化したコンクリート形成用材料であるコンクリートを型枠から脱型する脱型工程と、を含む方法である。このような製造方法によれば、上述した本発明のコンクリート剥離剤を採用しているため、型枠からコンクリート硬化物を良好に剥離することができ、更に、気泡痕が少なく表面美観が良好なコンクリート硬化物を製造することができる。なお、コンクリート形成用材料は、まだ固まっていないコンクリート(生コンクリート)のことである。
【0092】
(4-1)塗布工程:
コンクリート用の型枠としては、特に制限はなく従来公知のコンクリート用の型枠を適宜採用することができる。この型枠としては、例えば、鋼などの金属製、木製、合成樹脂製などとすることができる。
【0093】
型枠の内面にコンクリート剥離剤または水性液を塗布する方法としては、特に制限はなく、例えば、刷毛やスプレー等による噴霧などを採用することができる。
【0094】
コンクリート剥離剤は、型枠の内面全体に均一に塗布することが好ましい。コンクリート剥離剤の塗布層の厚さは特に制限はなく適宜設定することができる。
【0095】
水性タイプのコンクリート剥離剤を採用する場合、型枠の内面に塗布した後、生コンクリートを充填する前にコンクリート剥離剤を乾燥させることができる。乾燥条件は特に制限はなく適宜設定することができる。
【0096】
(4-2)水性液作製工程:
水性タイプのコンクリート剥離剤を採用する場合、本発明のコンクリートの製造方法では、水性液作製工程を更に含むことができる。水性液作製工程は、上述の塗布工程の前に、ノニオン界面活性剤(但し、成分(A)に該当するものを除く)を更に含有するものであるコンクリート剥離剤を用い、当該コンクリート剥離剤と水とを混合してコンクリート剥離剤の水性液を作製する工程である。
【0097】
ノニオン界面活性剤としては、上述したノニオン界面活性剤を適宜採用することができる。
【0098】
コンクリート剥離剤の水性液におけるコンクリート剥離剤の割合は、特に制限はなく、適宜設定することができるが、例えば、1~99質量%程度とすることができる。好ましくは10~99質量%である。コンクリート剥離剤の割合が小さすぎると、剥離性が低下するおそれがある。
【0099】
なお、油性タイプのコンクリート剥離剤を採用する場合、この油性タイプのコンクリート剥離剤をそのまま型枠の内面に塗布することができる。
【0100】
(4-3)充填工程:
生コンクリートを型枠内に充填する方法としては、特に制限はなく、型枠内に生コンクリートを一度の操作で注ぎ入れる方法などを採用することができる。また、充填後、棒状バイブレーターや型枠振動機等を用いて締固めを行ってもよい。
【0101】
コンクリートの材料であるコンクリート形成用材料(水硬性組成物)としては、特に制限はなく、従来公知のコンクリート材料(水硬性組成物)を適宜採用することができる。
【0102】
(4-4)養生工程:
通常、生コンクリートを型枠内に充填した後、コンクリートを硬化させる養生工程を採用することができる。本発明のコンクリートの製造方法において、コンクリートを硬化させるまでの養生方法については、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。例えば、コンクリートを充填した型枠を外気温に曝したまま硬化させてもよいし、蒸気やオートクレーブ等を使用して30~120℃程度で所望の時間加熱することで硬化時間を短縮してもよい。
【0103】
(4-5)脱型工程:
本発明のコンクリートの製造方法では、型枠内で硬化したコンクリート形成用材料であるコンクリートを型枠から脱型する脱型工程を更に含む。
【0104】
コンクリート硬化物を型枠から脱型する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を適宜採用することができる。本発明においては、上述した本発明のコンクリート剥離剤またはこれを水で希釈して得られる水性液を用いることで、本脱型工程におけるコンクリート硬化物の脱型が容易となる(即ち、剥離性が良好になる)。
【実施例
【0105】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0106】
以下の合成例1~6では、成分(A)に該当する成分(A-1)~(A-3)、(A-7)、(A-8)の合成方法について説明する。
【0107】
(合成例1)成分(A-1)の合成:
オートクレーブにドデシルアミン533.3gを仕込んだ。その後、オートクレーブ内を充分に窒素で置換し、攪拌しながら155℃に維持してエチレンオキサイド237.6gを圧力0.6MPaを維持するように圧入した。その後、当該温度で0.5時間熟成した。次に、100℃に維持してエチレンオキサイド237.6gを圧力0.6MPaを維持するように圧入した。そして、当該温度で1時間熟成し、反応を完結させ、成分(A)に該当する成分(A-1)を得た。
【0108】
(合成例2)成分(A-2)の合成:
原料及び仕込み比率を変更したこと以外は、成分(A-1)と同様にして、成分(A)に該当する成分(A-2)を合成した。
【0109】
(合成例3)成分(A-3)の合成:
オートクレーブにオクタデシルアミン1478.5gを仕込んだ。その後、オートクレーブ内を充分に窒素で置換し、攪拌しながら150℃に維持してエチレンオキサイド483.3gを圧力0.5MPaを維持するように圧入した。そして、当該温度で0.5時間熟成し、60℃まで冷却した。その後、触媒として水酸化カリウム粉末を10.0g投入した。その後、オートクレーブ内を十分に窒素で置換・脱水し、攪拌しながら120℃に維持してエチレンオキサイド483.3gを圧力0.5MPaを維持しながら圧入した。そして、当該温度で1時間熟成し、その後、温度を150℃まで昇温し、1,2-プロピレンオキサイド2548.9gを圧力0.5MPaを維持しながら圧入した。その後、当該温度で1時間熟成し、反応を完結させ、成分(A)に該当する成分(A-3)を得た。
【0110】
(合成例4、5)成分(A-7)、(A-8)の合成:
原料及び仕込み比率を変更したこと以外は、成分(A-3)と同様にして、成分(A)に該当する成分(A-7)、(A-8)を合成した。
【0111】
次に、以下の合成例6~11では、成分(B)に該当する成分(B-1)~(B-6)の合成方法について説明する。
【0112】
(合成例6)成分(B-1)の合成:
反応容器にオレイルアルコール-エチレンオキシド4モル付加物915.3gを仕込み、攪拌しながら55℃で五酸化二燐96.6gを投入した。80℃にて3時間熟成した後、50℃以下に冷却し、成分(B)に該当する成分(B-1)を得た。
【0113】
(合成例7~9)成分(B-2)~(B-4)の合成:
原料及び仕込み比率を変更した以外は、成分(B-1)と同様にして、成分(B)に該当する成分(B-2)~(B-4)を合成した。
【0114】
(合成例10)成分(B-5)の合成:
反応容器にジスチレン化フェノール-エチレンオキシド12モル付加物450.0gを仕込み、攪拌しながら50℃で五酸化二燐24.1gを投入した。70℃にて3時間熟成した後、50℃にて48%水酸化カリウム水溶液2.0gと水酸化カルシウム0.1gを加えて中和した。その後、90℃にて水分を減圧留去し、成分(B)に該当する成分(B-5)を得た。
【0115】
(合成例11)成分(B-6)の合成:
原料及び仕込み比率を変更した以外は、成分(B-5)と同様にして、成分(B)に該当する成分(B-6)を合成した。
【0116】
次に、成分(A)として以下の表1に示すものを使用し、成分(B)として以下の表2に示すものを使用した。
【0117】
【表1】
【0118】
表1において、「A-4」~「A-6」、「A-10」は、市販のものを用いた。また、「A-9」は、市販のサルコシン100gに対して、水酸化カルシウム0.41gを用いて水中で希釈撹拌中和し、その後、水を減圧留去したものを用いた。
【0119】
【表2】
【0120】
表2中、「P核積分比(%)」の欄は、成分(B)のうち、成分(P1)と成分(P2)に帰属されるP核NMR積分比率の合計を100%としたとき、「成分(P1)に帰属されるP核NMR積分比率」と「成分(P2)に帰属されるP核NMR積分比率」を示している。成分(B-1)~(B-6)は、一般式(2)におけるmが1のものと、mが2のものとの混合物である。
【0121】
一般式(2)で示される成分(B)における成分(P1)及び成分(P2)のP核NMR積分比率は、脂肪族アルコールリン酸エステルのアルカリ金属塩等に過剰のKOHを加えてpHを12以上にした条件下で、31P-NMR(VALIAN社製の商品名MERCURY plus NMR Spectrometor System、300MHz)に供したときの測定値を用いて、下記の式(a)、式(b)に基づいて算出した。なお、溶媒は重水/テトラヒドロフラン=8/2(体積比)の混合溶媒を用いた。
【0122】
【数3】
【0123】
【数4】
【0124】
ここで、式(a)、式(b)中、「P化1」は、一般式(1)で示される成分(B)のうち、m=1である成分(P1)のアルカリ金属塩等に帰属されるP核NMR積分値を示し、「P化2」は、一般式(1)で示される成分(B)のうち、m=2である成分(P2)のアルカリ金属塩等に帰属されるP核NMR積分値を示す。
【0125】
次に、成分(C)として以下の表3に示すものを使用し、成分(D)として以下の表4に示すものを使用した。
【0126】
【表3】
【0127】
表3において、「C-1」は、オレイン酸(VANTAGE社製、VOLEIC OA10)であり、「C-2」は、トール油脂肪酸(ハリマ化成社製、ハートールFA-1P)である。その他、表3、表4において、特に説明がないものについては、上記「C-1」、「C-2」などと同様に、市販品を用いた。
【0128】
【表4】
【0129】
次に、表5に示すように、各成分を使用してコンクリート剥離剤用助剤を作製した。なお、水を含有するものに関しては、水を減圧留去し配合を行った。
【0130】
【表5】
【0131】
表5中、「R-2」は、ラウリルアルコールEO10モル付加物(竹本油脂社製)であり、「R-3」は、オレイルアルコールEO6PO40モル付加物(竹本油脂社製)である。
【0132】
(実施例1、2、4、6、7、10、11、13~16、32~35、38~41、43~46、48~51、参考例3、5、8、9、12、17~31、36、37、42、47、52、比較例1~14)
次に、表6、表7に示すように、各成分を混合してコンクリート剥離剤を作製した。なお、表6の実施例1、2、4、6、7、10、11、13~16、32~35、38、39、比較例1~9には、油性のコンクリート剥離剤を示し、表7の実施例40、41、43~46、48~51、比較例10~14には、水性のコンクリート剥離剤を示している。また、表7中、「水」の質量部は、ベースオイル、コンクリート剥離剤用助剤、ノニオン界面活性剤の合計100質量部に対する質量部を示す。
【0133】
【表6】
【0134】
【表7】
【0135】
【表8】
【0136】
表6、表7中の「ベースオイル」について以下の表9に示す。また、表7中、「ノニオン界面活性剤」を以下の表10に示す。なお、表9中、ピュアセイフティ32、ピュアスピンDは、いずれも、コスモ石油社製であり、ダイアナフレシアU-46は、JXTGエネルギー社製である。また、これらは、いずれもスピン油である。
【0137】
【表9】
【0138】
【表10】
【0139】
(評価試験)
作製したコンクリート剥離剤について、以下の各評価(製剤安定性、乳化安定性、剥離性、表面美観)の評価方法を以下に示す。
【0140】
なお、「剥離性」及び「表面美観」の評価を行うために、以下のようにして水硬性組成物(コンクリート材料)を作製した。
【0141】
(水硬性組成物(コンクリート材料)の調製)
温度20℃、湿度80%の恒温室内にて50Lのパン型強制練りミキサーに、表11に記載の調合条件で、表11に示す全成分及び混和剤を一括投入して90秒間練り混ぜて、コンクリートを調製した。調製したコンクリートは、練り混ぜてから15分以内に鋼製の型枠に充填した。なお、コンクリートは、コンクリート温度21℃、空気量が5.0%、スランプが18.0cmであった。
【0142】
混和剤としては、高性能減水剤(チューポールNV-80(JIS A 6204)、セメントに対して0.7質量%)、及び、AE剤(AE-300(JIS A 6204)、セメントに対して0.0025質量%)を練り混ぜ水の一部として使用した。
【0143】
なお、使用した材料の具体的な内容は以下の通りである。
セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製、宇部三菱セメント株式会社製及び住友大阪セメント株式会社製の等量混合物)密度3.16g/cm
水:蒲郡市上水道水
細骨材:大井川水系陸砂 密度2.58g/cm
粗骨材:岡崎産砕石 密度2.68g/cm
【0144】
【表11】
【0145】
(製剤安定性)
ベースオイル及びコンクリート剥離剤用助剤等を混合して得られたコンクリート剥離剤である試験液を250mLの透明なフタ付きポリ容器に入れ、その後、20℃で静置した。
【0146】
そして、静置中における試験液の状態を適宜(具体的には、静置開始後1週間目、2週間目、4週間目)目視にて確認して評価を行った。評価基準を以下に示す。評価結果を表6、表8に示す。
【0147】
S:静置開始後、4週間目に確認を行った際に試験液が均一であることが確認された場合
A:静置開始後、2週間目に確認を行った際に試験液が均一であったが、4週間目に確認を行った際に試験液が均一でなかった場合
B:静置開始後、1週間目に確認を行った際に試験液が均一であったが、2週間目に確認を行った際に試験液が均一でなかった場合
C:静置開始後、1週間目に確認を行った際に試験液が均一でなかった場合
【0148】
(乳化安定性)
250mLの透明なフタ付きポリ容器に、作製したコンクリート剥離剤である試験液50gを入れ、更に、蒲郡市上水道水200gを加え、よく振り混ぜ20℃で静置した。
【0149】
そして、静置中における試験液の状態を適宜(具体的には、静置開始後1時間目、6時間目、12時間目)目視にて確認して評価を行った。評価基準を以下に示す。評価結果を表8に示す。
【0150】
S:静置開始後、12時間目に確認を行った際に試験液が、一様に乳化、白濁していることが確認された場合
A:静置開始後、6時間目に確認を行った際に試験液が、一様に乳化、白濁していることが確認されたものの、12時間目に確認を行った際に試験液が一様に乳化、白濁していると認められない場合
B:静置開始後、1時間目に確認を行った際に試験液が、一様に乳化、白濁していることが確認されたものの、6時間目に確認を行った際に試験液が一様に乳化、白濁していると認められない場合
C:静置開始後、1時間目に確認を行った際に試験液が一様に乳化、白濁していると認められない場合
【0151】
(剥離性)
作製したコンクリート剥離剤を、内径10cm、高さ20cmの有底円筒状の鋼製の型枠の内面全体に刷毛を用いて、均一に塗布した。その後、底面が上方に位置するように逆さまにした状態で、1時間以上静置し、型枠内に余分なコンクリート剥離剤が溜まらないようにした。
【0152】
なお、油性タイプのコンクリート剥離剤は、希釈せずにそのまま塗布し、水性タイプのコンクリート剥離剤は、上述した「乳化安定性」の評価で採用した希釈条件で希釈し、これを塗布した。
【0153】
上記のように、内面にコンクリート剥離剤を塗布した型枠にコンクリート材料(水硬性組成物)を、ジョッキを用いて、上記鋼製の型枠内に1度の操作で流し込んだ。その後、テーブルバイブレーターを用いて、型枠に振動(振動数2800vpm)を30秒間与えた後、20℃、湿度80%の恒温室に静置した。そして、24時間後にコンクリート硬化物を型枠から脱型した。その後、この型枠の内面を確認し、型枠へのコンクリート材料の付着具合を目視にて確認し、剥離性を評価した。評価基準を以下に示す。評価結果を表6、表8に示す。
【0154】
S:型枠にコンクリート材料が殆ど残らない
A:型枠にコンクリート材料がやや付着
C:型枠にコンクリート材料がかなり付着
【0155】
(表面美観)
剥離性の評価後、得られた円柱状のコンクリート硬化物の側面(円筒曲面)をハンディスキャナー(サンワダイレクト社製の「400-SCN032」、解像度900dpi)でスキャンし、スキャン画像をビットマップ画像編集・加工ソフトウェア「GIMP 2.10.20」を用いて、2値化処理した。2値化処理をする際のしきい値は、元のスキャン画像の気泡痕数と処理画像の気泡痕数が同等となるように設定した。その際、コンクリート硬化物に残った型枠境界線が黒として認識されることがあるが、この部分は削除し白とした。そして、黒として認識される気泡痕と白として認識される気泡痕以外の部分とに分けた。その後、気泡占有率(即ち、スキャン画像であるコンクリート硬化物の側面全体に対する気泡痕に相当する部分の割合(%))を算出した。そして、基準となる試験品(基準品)の気泡占有率に対する各コンクリート硬化物の気泡占有率の割合(式:各コンクリート硬化物の気泡占有率/基準品の気泡占有率×100(%))を算出して、表面美観を評価した。評価基準を以下に示す。評価結果を表6、表8に示す。
【0156】
SS:基準品の気泡占有率に対する各コンクリート硬化物の気泡占有率の割合が、20%未満である場合
S:基準品の気泡占有率に対する各コンクリート硬化物の気泡占有率の割合が、20%以上で30%未満である場合
A:基準品の気泡占有率に対する各コンクリート硬化物の気泡占有率の割合が、30%以上で50%未満である場合
B:基準品の気泡占有率に対する各コンクリート硬化物の気泡占有率の割合が、50%以上で70%未満である場合
C:基準品の気泡占有率に対する各コンクリート硬化物の気泡占有率の割合が、70%以上である場合
【0157】
(結果)
表6、表8に示されるように、本発明のコンクリート剥離剤用助剤をコンクリート剥離剤に配合することで、当該コンクリート剥離剤が、型枠内のコンクリート硬化物における型枠との優れた剥離性を発揮し、更に、得られるコンクリート硬化物の表面美観が優れることが確認された。同様に、本発明のコンクリート剥離剤は、型枠内のコンクリート硬化物における型枠との優れた剥離性を発揮し、更に、得られるコンクリート硬化物の表面美観が優れることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本発明のコンクリート剥離剤用助剤は、コンクリート等の製造時における型枠とコンクリート等との間の剥離性を発揮するコンクリート剥離剤に配合される助剤として利用することができる。また、本発明のコンクリート剥離剤は、コンクリート等の製造時における型枠とコンクリート等との間の剥離性を発揮するものとして利用することができる。
【要約】      (修正有)
【課題】剥離性と表面美観に優れたコンクリート硬化物が得られるコンクリート剥離剤用の助剤(コンクリート剥離剤用助剤)を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示される成分(A)を含有することを特徴とするコンクリート剥離剤用助剤。

(一般式(1)において、pは0又は1の整数である。Rは、炭素数1~22の炭化水素基である。Rは、メチル基、又は水素原子である。Rは、-CH-COOMで示される有機基(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属(1/2原子)、又は有機アミンである)である。)
【選択図】なし