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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】監視デバイスを備えるスポーツ器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/00 20150101AFI20220427BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
A63B53/00 H
A63B69/36 541P
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2015230933
(22)【出願日】2015-11-26
(65)【公開番号】P2016107087
(43)【公開日】2016-06-20
【審査請求日】2018-09-21
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】14/564,933
(32)【優先日】2014-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【弁理士】
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】キース ドレッツェル
(72)【発明者】
【氏名】スコット カーライル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クライン
【合議体】
【審判長】藤田 年彦
【審判官】吉村 尚
【審判官】畑井 順一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-196241(JP,A)
【文献】特開2010-082430(JP,A)
【文献】特開2011-125623(JP,A)
【文献】特表2008-506421(JP,A)
【文献】特表2007-530151(JP,A)
【文献】国際公開第2014/076913(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/062873(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/036774(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0077189(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0200094(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0224012(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00-69/40
A63B 49/00-60/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイング経路を監視する監視デバイスを備え、ゴルフボールと衝突することによってゲーム及びスポーツにおいて使用されるゴルフクラブであって、前記監視デバイスは、プロセッサと、前記プロセッサと結合されるセンサコンポーネントとを有し、前記プロセッサは、前記ゴルフクラブのスイング経路に応答する、前記センサコンポーネントから出力されるデータのうち、前記ゴルフクラブのインパクト後のスイング経路に応答するータの少なくとも一部除去し、前記データが除去された部分に関して、前記ゴルフクラブのインパクト前のスイング経路に応答するデータに基づいて、前記ゴルフクラブの仮定的なインパクト後のスイング経路を外挿るように構成される、監視デバイスを備え
前記ゴルフクラブは、ソール部とフェース部とを有するゴルフクラブヘッドを有し、
前記ソール部は空洞を備え、前記監視デバイスは該空洞内に設置され、前記空洞において前記ゴルフクラブヘッドから取り除かれた材料の質量は、前記監視デバイスの質量に等しい、
ゴルフクラブ。
【請求項2】
前記監視デバイスは、前記ゴルフクラブのインパクトによる振動が終わった後のスイング経路を決定し、前記インパクトによる振動が終わった後のスイング経路を遡ることにより、前記ゴルフクラブの前記仮定的なインパクト後のスイング経路を外挿るように更に構成される、請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
前記ゴルフクラブの前記仮定的なインパクト後のスイング経路は、前記ゴルフクラブの前記ゴルフボールとのインパクト点から、前記ゴルフクラブのインパクト後の振動が終わるインパクト後の位置までの経路を含む、請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項4】
別の物体と衝突することによってゲーム及びスポーツにおいて使用されるポーツ器具であって、インパクトエリア付近に空洞を備え、
前記ポーツ器具の前記空洞内に設置され、スイング経路を監視する視デバイスを備え、
前記視デバイスは、
プロセッサと、
前記プロセッサと結合されるメモリと、
前記プロセッサと結合されるセンサコンポーネントとを備え、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行されるときに、該プロセッサに、
前記センサコンポーネントから前記ポーツ器具のスイングのインパクト前の経路のデータを取り込むことと、
前記センサコンポーネントから前記ポーツ器具の前記スイングのインパクト後の経路のデータを取り込むことと、
前記インパクト後の経路の前記データのうち、少なくとも一部のデータ除去することと、
前記インパクト前の経路の前記データと、前記インパクト後の経路の前記少なくとも一部のデータが除去された後のデータとに基づいて、前記ポーツ器具の前記スイングの仮定的なインパクト後のスイング経路を外挿により決定することと、
を含む動作を達成させる実行可能命令を含
前記空洞において前記スポーツ器具から取り除かれた材料の質量は、前記監視デバイスの質量に等しい、
ポーツ器具。
【請求項5】
前記インパクト後の経路の前記少なくとも一部のデータを除去することは、前記ポーツ器具のインパクト後の振動中に取り込まれたデータを除去することを含む、請求項に記載のポーツ器具。
【請求項6】
ポーツ器具と、リモート装置とを備えるシステムであって、
前記ポーツ器具は、ロセッサと、前記ロセッサに結合されるモリと、センサコンポーネントとを備える視デバイスを備え、
前記モリは、前記ロセッサによって実行されるときに、該ロセッサに、
前記センサコンポーネントから前記ポーツ器具のイングのンパクト前の経路のデータを取り込むことと、
前記センサコンポーネントから前記ポーツ器具の前記イングのンパクト後の経路のデータを取り込むことと、
前記ンパクト前の経路の前記データと前記ンパクト後の経路の前記データを前記リモート装置に送信することと、
を含む動作を達成させる実行可能命令を含み、
前記リモート装置は、リモートプロセッサと、前記リモートプロセッサと結合されたリモートメモリとを備え、
前記リモートメモリは、前記リモートプロセッサによって実行されるときに、該リモートプロセッサに、
前記視デバイスから前記ンパクト前の経路の前記データと前記ンパクト後の経路の前記データとを受信することと、
前記ンパクト後の経路の前記データのうち、少なくとも一部のデータ除去することと、
前記ンパクト前の経路の前記データと、前記ンパクト後の経路の前記少なくとも一部のデータが除去された後のデータとに基づいて、前記ポーツ器具の前記イングの仮定的なインパクト後のスイング経路を外挿により決定することと、
を含む動作を達成させる実行可能命令を含み、
前記スポーツ器具は、インパクトエリア付近に空洞を備え、前記監視デバイスは該空洞内に設置され、前記空洞において前記スポーツ器具から取り除かれた材料の質量は、前記監視デバイスの質量に等しい、
システム。
【請求項7】
前記リモートプロセッサは、前記ポーツ器具の振動が終わった後のデータに基づいて、前記ポーツ器具の前記イングの仮定的なインパクト後のスイング経路を外挿により決定する、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記リモートプロセッサは、
前記センサコンポーネントから取り込んだ、前記スポーツ器具の前記インパクト前の経路のデータと、前記スポーツ器具の前記仮定的なインパクト後のスイング経路に関連付けられるデータとに基づいて、結果として生成されたスイング経路を表示すること
を含む動作を更に達成する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
a.監視デバイスに含まれるセンサコンポーネントから該監視デバイスを備えるスポーツ器具のイングのンパクト前の経路のデータを取り込むことと、
b.前記センサコンポーネントから前記スポーツ器具の前記イングのンパクト後の経路のデータを取り込むことと、
c.前記ンパクト後の経路の前記データのうち、少なくとも一部のデータ除去することと、
d.前記ンパクト前の経路の前記データと、前記ンパクト後の経路の前記少なくとも一部のデータが除去された後のデータとに基づいて、前記スポーツ器具の定的なインパクト後のスイング経路を外挿により決定することと、
を含み、
前記スポーツ器具は、インパクトエリア付近に前記監視デバイスを固定するための空間を有し、
前記監視デバイスは、前記スポーツ器具がある別のスポーツ器具と実質的に同じスイング特性を示すようなサイズ及び形状であり、前記ある別のスポーツ器具と実質的に同じスイング特性を示すように前記スポーツ器具の前記空間に位置決めされ、前記空間において前記スポーツ器具から取り除かれた材料の質量は、前記監視デバイスの質量に等しく、
前記ある別のスポーツ器具は、前記監視デバイスが省略され、かつ前記間がない点を除き、前記スポーツ器具と実質的に同じスポーツ器具である、
方法。
【請求項10】
前記センサコンポーネントから取り込んだ前記スポーツ器具の前記スイングの前記インパクト前の経路のデータと、前記スポーツ器具の前記定的なインパクト後のスイング経路に関連付けられるデータとに基づいて、結果として生成されたスイング経路をディスプレイ上に表示することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ンパクト後の経路の前記少なくとも一部のデータを除去することは、前記スポーツ器具のインパクト後の振動中に取り込まれたデータを除去することを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視デバイスを備えるスポーツ器具に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルファー及び他のスポーツ愛好家は腕を上げる方法を絶えず探している。ゴルファーは特に、生まれもったあらゆる能力を高めるために、技術革新を特に当てにしている。そのような革新は、ゴルフクラブ、ゴルフシューズ、ゴルフグローブ、ゴルフボール、更にはゴルフウェアのような改善されたゴルフ用具の形をとる。
【0003】
ゴルファー及びゴルフクラブ用具製造業者は、ゴルファーのスイングを評価するために、センサー及びモニターを益々当てにするようになっている。センサー及びモニターは、クラブヘッドスピード、アタック角、打ち出し角、ゴルフボールスピン速度及びスピン方向等の条件を追跡することができる。そして、ゴルフクラブのフィッティングを専門にするアウトレットを含む、ゴルフクラブ用具の販売業者は、見込購買者が、自分たちの特定のゴルフスイング特性に最もよく合うゴルフクラブを選択するのを助けるために、そのようなセンサー及びモニターを益々当てにしている。
【0004】
市販されている1つのそのようなセンサーは、イリノイ州シカゴのSwingbyte, LLC社(以前のSwingbyte, Inc.社)から市販されるSB2センサーである。かかるセンサーは、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第8,696,482号に記載されているように、通常、例えば、クランプ機構を用いてゴルフクラブのシャフトに取外し可能に取り付けられるか、又は例えば、接着剤を用いてシャフトに固定される。そのようなセンサーは、「3次元ゴルフスイングアナライザー」とも呼ばれ、慣性測定装置(IMU)として機能し、通常、例えば、線形加速度データを生成し、送信することができる3軸加速度計と、角速度データを生成し、送信することができる3軸ジャイロスコープと、加速度計及びジャイロスコープからデータを受信し、そのデータを処理する第1のマイクロプロセッサと、当該マイクロプロセッサが処理されたデータを格納する第1のコンピューターメモリと、第1のコンピューターメモリからの処理されたデータを送信するための無線送信機とを含む。加速度計及びジャイロスコープのためにMEMS(微小電気機械システム)技術を用いることができる。センサーは通常、電池又は他の適切な電源によって電力を供給される。マイクロプロセッサ、加速度計、ジャイロスコープ、コンピューターメモリ、無線送信機及び電池を保持するためにハウジングが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,696,482号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのようなデバイスは、ゴルフクラブにおいてグリップの下方、若しくはキャップ上にセンサーを取り付けることによって、又はシャフト内にセンサーを組み込むことによって、ゴルフスイング(又は他のスポーツ器具の運動)データを取り込み、解析する。ショットを打った後に、又はゴルフクラブ(又は他のスポーツ器具)をスイングした後に、プレーヤー及びインストラクターは、インパクト時のクラブヘッドスピード、経路、面及び種々の角度のような重要な測定基準とともに、スイングのインタラクティブな3次元アニメーションを視認することができる。ゴルフクラブヘッドはインパクト時に激しく振動する傾向があり、それにより、センサーがスイング特性を測定しようとする試みを邪魔する可能性があることに起因して、一般的には、そのようなセンサーはヘッドから離れた位置に固定することが好ましい。そのようなセンサーは、送信機を用いて、スポーツ器具のスイング、すなわち、ゴルフクラブスイングを規定する処理済みの直線運動及び角運動データを、スマートフォン、タブレットコンピューター又はラップトップコンピューターのようなモバイルデバイス上の受信機に送信する。モバイルデバイス上で実行されるコンピューターアプリケーションが、処理済みのデータを受信し、そのデータを更に処理して、スイングの点ごとの包括的な統計データとともに、スイング全体のグラフィカル表現を表示する。処理済みのデータは記憶され、自身のスイングに関してゴルファー又は他のスポーツ器具のユーザーを指導するために、後に理論データとともに用いられる。
【0007】
しかし、そのようなセンサーをゴルフクラブのシャフトに取り付けるにしても、他の形で取り付けるにしても、10グラム~50グラム、より一般的には約30グラムになる場合があるセンサーの重さに起因して、ゴルファーの通常のスイング及び感覚を変化させる可能性がある。したがって、例えば300グラムのドライバーの場合、30グラムのセンサーは、クラブの競技時の重さからの10%のずれを表す。そのような追加の重さは、優れたプレーヤーほど、特にツアープロにとって、特に容易に気が付くものとなり得る。さらに、そのようなセンサーのシャフトへの取り付けは、少なくとも3つの理由から理想的な場所とはならない可能性がある。第一に、シャフト上に位置決めされたときに、センサーがプレーヤーの目に見える/気を散らすかもしれないし、第二に、センサーが、クラブごと又はプレーヤーごとにシャフトに沿って一貫していない場所に位置決めされるかもしれないし、第三に、シャフト上の位置決めが、ユーザーのスイングパターンを監視するのに最も有益な場所とならないかもしれない。
【0008】
この第三の点に関して特に、センサーをゴルフクラブシャフト、例えば、グリップ付近に取り付けることにより、ゴルフクラブの経路が正確に監視されない場合があるが、その理由は以下のとおりである。すなわち、スイング中にシャフトは曲がり、インパクト時にゴルフクラブヘッドはわずかに減速する一方、スイングの可視化を支配する数学は、シャフトが実質的に剛体であり、曲がらないことを前提としているため、両手が完全に剛体のシャフトを誘導しているように見える方向以外の方向への加速度は考慮に入れられない。それゆえ、投影されるスイング経路は、両手がスイング中に剛体の円柱体を投影する場所に従う。
【0009】
その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2013/0267338号は、センサー及び送信機を含む、監視デバイスを開示しており、そのデバイスは、ゴルフクラブヘッドに取り付けることができ、ゴルフスイングの特性に関連するデータをリモートコンピューターに送信するように構成することができる。
【0010】
しかしながら、ゴルフクラブヘッド内にセンサーを取り付けることに伴う問題は、中心を外した(ヒール又はトゥ、フェースの上側/下側での)打撃が、インパクト点からフォロースルーの一部を通して、例えば、フォロースルーの約半分(クラブがウエストの高さを通るとき)まで、ヘッドを前後に揺動させる傾向がある。加速度計/ジャイロスコープ/IMUは、そのようなクラブヘッドの揺動を捕捉し、アルゴリズムを導く数学によっては、異常な方向におけるこれらの力/加速度(センサーが位置する場所による)が、投影されるスイング経路の可視化に悪影響を及ぼす場合がある。さらに、テイクアウェイ時に(シャフトがねじれ、両手が回転する時に)、より大きなねじり力が生じることになる。スイングのトップでは、バックスイングからダウンスイングへの移行(その場合にシャフトが相当に曲がる)による潜在的に信頼性のないデータが生じることになる。この曲がりによって、本来の向き(静止した向き)に対するヘッドの向きは、5度~10度だけ外れ、2度~5度だけねじれる場合がある。インパクト時に再び、曲がり及び揺動が、何らかの加速度を引き起こす傾向をもたらすかもしれない。前後の振動、そして同様にインパクト時に、シャフトが通常曲がる結果、動的変動によりヘッドの重心がクラブの重心と位置合わせされるにつれて、ヘッドが静止したシャフトプレーンの前方に振り動かされ、その面の内側に(足の近くに)向けられる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の説明は、本開示を基本的に理解してもらうために、本開示の態様の包括的な概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概説ではない。この概要は、本開示の重要な、若しくは不可欠な要素を特定することも、本開示の範囲を正確に定めることも意図していない。以下の概要は、以下に提供されるより詳細な説明に対する前置きとして、本開示の幾つかの概念を一般的な形で提示するにすぎない。本開示は、ゴルフクラブヘッド内に配置されるときに、監視デバイスを使用しない同等なゴルフクラブヘッドと比較して実質的に質量を追加しないように構成される、監視デバイスを備えるゴルフクラブヘッドを記載し、その監視デバイスは、ゴルフクラブヘッドのインパクト前のスイング経路に応答するデータを送信し、インパクト後のスイング経路に応答するデータを無視するか、又はトリムし、インパクト後のスイング経路の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて、仮定的なインパクト後のスイング経路を決定するように構成される。
【0012】
別の態様では、ゴルフクラブヘッドは、ソール部及びフェース部を更に備えることができ、ソール部は空洞を備え、この空洞は、監視デバイスがこの空洞内に配置されるときに、監視デバイスを補完するようなサイズ及び形状であり、空洞はゴルフクラブヘッドから取り除かれた材料の質量に対応する容積を有し、取り除かれた材料の質量は、ゴルフクラブヘッド内に設置されるときの監視デバイスの質量に実質的に等しい。
【0013】
別の態様では、監視デバイスは、インパクト前のスイング経路の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて、かつインパクト後のスイング経路の一部に少なくとも部分的に基づいて、仮定的なインパクト後のスイング経路を決定するように更に構成することができる。
【0014】
本開示の更に別の態様では、仮定的なインパクト後のスイング経路は、ゴルフクラブヘッドとゴルフボールとの衝突点から、インパクト後のゴルフクラブヘッドの振動が実質的に終わるインパクト後の位置に実質的に対応する点までの経路を含むことができる。
【0015】
本開示の更に別の態様は、リモートデバイスと、スポーツ器具とを備えるシステムを提供することができ、スポーツ器具は第1の監視デバイス及び第2の監視デバイスを備え、第1の監視デバイス及び第2の監視デバイスは、スポーツ器具の長手方向軸に対して離間して配置され、スポーツ器具に固定され、第1の監視デバイス及び第2の監視デバイスはそれぞれ、スポーツ器具のスイングに対応するデータをリモートデバイスに送信するように構成される監視デバイスを備え、このシステムは、
a.スポーツ器具のスイングの第1の部分中に、スポーツ器具のスイングの第1の部分を最も反映するデータを送信しているのが、第1の監視デバイス及び第2の監視デバイスのうちのいずれであるかを判断し、
b.スポーツ器具のスイングの第1の部分を最も反映するデータを取り込み、
c.スポーツ器具のスイングの第2の部分中に、スポーツ器具のスイングの第2の部分を最も反映するデータを送信しているのが、第1の監視デバイス及び第2の監視デバイスのうちのいずれであるかを判断し、
d.スポーツ器具のスイングの第2の部分を最も反映するデータを取り込み、
e.スポーツ器具のスイングの第1の部分を最も反映するデータをスポーツ器具のスイングの第2の部分を最も反映するデータと累算するように構成される。
【0016】
本開示は例示によって示され、添付の図には限定されず、図面全体を通して、同様の参照番号は類似の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ゴルフクラブシャフトのようなスポーツ器具に取り付けられる従来技術の監視デバイスの図である。
図2】内部に配置されるように構成された監視デバイスを備えるゴルフクラブヘッドのような、本開示のスポーツ器具の一部の組立分解図である。
図3図2のゴルフクラブヘッド及び監視デバイスの左側面図である。
図4】本開示の例示的な監視デバイスの概略図である。
図5】本開示の例示的な監視デバイスの別の概略図である。
図6】本開示の例示的な監視デバイスの別の概略図である。
図7】本開示の例示的な監視デバイスの別の概略図である。
図8】本開示の例示的な監視デバイスの別の概略図である。
図9】監視デバイス及びスポーツ器具の種々の重心を例示する、本開示のスポーツ器具及び監視デバイスの組立分解図である。
図10】本開示の監視デバイスが内部に設置された本開示のスポーツ器具の斜視図である。
図11図10のスポーツ器具の線10A-10Bに沿った断面図である。
図12】ゴルフクラブのようなスポーツ器具のスイング経路のグラフィック表示の概略図である。
図13】本開示の教示による、インパクト後のスイング経路異常及びそれゆえの補正を例示する、ゴルフクラブのようなスポーツ器具のスイング経路のグラフィック表示の概略図である。
図14】本開示の例示的な方法を示すフローチャートである。
図15】リモートデバイスと通信する複数の監視デバイスを備えるように構成されるスポーツ器具を備える、本開示のシステムの概略図である。
図16】例えば、スイング経路の異なる部分において複数の監視デバイスを用いることができる本開示の態様を示す、ゴルフクラブのようなスポーツ器具のスイング経路のグラフィック表示の概略図である。
図17】本開示の例示的な方法を示すフローチャートである。
図18】本明細書において開示される方法及びシステムの態様又はその一部を組み込むことができるコンピューターシステムを表す例示的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書において用いられるときに、「スポーツ器具」という用語は、実際の分野及びバーチャルの分野の両方におけるものを含む、振る、捕る、打つ、投げる、又は別の方法でボール、パック等の別の物体(スポーツ物体)と衝突することによってゲーム及びスポーツにおいて使用されることを意図している物体を意味する。スポーツ器具は、限定はしないが、野球バット、クリケットバット、ゴルフクラブ、ホッケースティック、テニスラケット、スカッシュラケット、ラケットボールラケット、バドミントンラケット又はラクロススティックを含み、そのようなスポーツ器具をまねることを意図したビデオゲームコントローラのようなデバイスを更に含む。「スポーツ器具」は、スポーツ物体のようなデバイスと衝突することができるか、又はそのデバイスとの衝突に関連付けることができ、それゆえ、例えば、サッカーボール又はフットボールをキックするように構成されるシューズ、又は衝突を引き起こすときにユーザーが着用している場合があるゴルフグローブ、ボディスーツ又はヘルメットのような衣類も含み得る。スポーツ器具はインパクトエリアを有することができ、インパクトエリアは、スポーツに参加するときに別のスポーツ器具又はスポーツ物体と通常衝突するスポーツ器具のエリアである。例えば、インパクトエリアは、ゴルフの場合のゴルフクラブヘッド(すなわち、ゴルフクラブヘッド1510)の一部又は全て、野球の場合のバットの胴部等を含むことができる。非インパクトエリアは、ゴルフクラブシャフト(すなわち、シャフト1520)、ラケットの柄、バットの柄等の別のスポーツ器具が通常は衝突しないスポーツ器具のエリアとすることができる。本開示は、便宜上、主にゴルフクラブ、ゴルフクラブヘッド及びゴルフ関連用具を参照するが、これは簡潔するためにすぎず、本明細書における教示及び開示は任意のスポーツ器具に適用することが意図されており、ゴルフクラブのみに適用することは意図されていないことを理解されたい。
【0019】
図1を参照すると、全体として10で示される従来技術のゴルフクラブシャフトを備えるスポーツ器具が示されており、ゴルフクラブシャフト10は、ゴルフクラブシャフト10に固定されるゴルフクラブヘッド(図示せず)を有し、ゴルフクラブグリップ12を含む。また、図1には、上記のSwingbyteSB2センサーのような監視デバイス14も示されており、監視デバイス14は、既知のように、例えば、クランプ又はストラップ16を用いてゴルフクラブシャフト10に取り付けられる。そのような監視デバイス14は、情報、データ、グラフィックス等をコンピューター、ラップトップ、タブレット、スマートフォン等のようなリモートデバイス18に送信するように構成することができ、リモートデバイスにおいて、情報、データ、グラフィックス等はディスプレイ20上でアクセスされ、表示され、又は監視することができる。
【0020】
ここで、図2を参照すると、全体として212で示されるゴルフクラブヘッドを備える、本開示の一態様が示される。この例では、ゴルフクラブヘッド212は、ソール214と、ホーゼル216と、バック又は「マッスル」部218と、フェース(図示せず)とを有する、アイアンタイプのゴルフクラブヘッド、例えば、ウエッジを含むことができる。図示されるように、ゴルフクラブヘッド212は、空洞部220を備えることができる。空洞部220は、ゴルフクラブヘッドの一部として鍛造し、鋳造し、穿孔し、切削し、又は別の方法でゴルフクラブヘッド212内に形成することができる。この例では、空洞部220は、ソール214に隣接するか又はソールを含むゴルフクラブヘッドの領域内に形成することができる。空洞部220は、図示されるように、トゥ領域222から、ソールを通って、ヒール領域224まで貫通することができるか、又は例えば、ゴルフクラブヘッド212内で「行き止まり」にすることができ、それゆえ、1つの入口点のみを含むことができる。空洞部220は、図2において、ソール214の中に「トンネル」を掘るように示されるが、空洞部220は、その中に監視デバイスの全体又はかなりの部分を収容するのに十分なサイズ及び形状の開放チャネル、くぼみ、溝又は他のタイプの凹部を含むことができることは理解されよう。図2のゴルフクラブヘッド212はアイアンタイプのゴルフクラブヘッドとして示されるが、本開示は任意のタイプのゴルフクラブ又はヘッドを包含することを意図し、それゆえ、ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアン及びパターを含む。
【0021】
空洞部220は、結果として、図1のゴルフクラブヘッドグリップ12に対するゴルフクラブヘッド212の重量の望ましくない損失をもたらす場合がある。この重量又は質量の損失は、取り除かれた質量M1を有する、全体して226で示される図2の仮定的材料プラグによって概略的に示される。仮定的材料プラグ226は、空洞部220がトゥ領域222及びヒール領域224を補完する輪郭端部を有すると仮定すると、空洞部220の体積に実質的に等しい体積を有し得る。当然、空洞部220のサイズ、形状、場所等によって、仮定的材料プラグ226の異なる構成も可能である。後に説明されるように、本開示の一態様は、適切に重量が割り振られ及び/又は構成された監視デバイスを用いて、この取り除かれた質量M1を補償し、それにより、監視デバイスを備えないゴルフクラブと監視デバイスを備えるゴルフクラブとの間のスイングの重さ及びスイングの感覚において知覚され得るあらゆる違いを最小限に抑えるか、又は更には解消することができる。
【0022】
図2及び図3に更に示されるように、全体として230で示される監視デバイスは、空洞部220内に設置されるように構成することができる。図11に示されるように、空洞部220は、トゥ領域222からヒール領域224まで延在し、ゴルフクラブヘッド212を貫通し、2つの開放端を有する通路を作り出すことができる。この態様では、図11において最もわかりやすく示されるように、空洞部220の通路の一端、例えば、ヒール領域224から出る部分は、ねじ込みボルト又はねじ242を収容するように構成される進入口221を備えることができる。この態様では、ねじ込みボルト又はねじ242は、監視デバイス230の端部238又は端部240のいずれかの雌ねじ領域244によって螺合するように受け取られ得る。便宜上、ねじ込みボルト又はねじ242が図示及び説明されるが、例示であってこれらに限定はされないが、ピン、リベット、戻り止め、圧入構造、クランプ等を含む、任意の適切な固定構造を利用して、監視デバイス230をゴルフクラブヘッド212内に固定することができることは理解されよう。
【0023】
代替的には、空洞部220は、一方だけが開放端であり、ゴルフクラブヘッド212内の「行き止まり」において終端するように、ゴルフクラブヘッド212内に形成することができる。この態様では、監視デバイス230は、空洞部220の壁内の雌ねじ領域(図示せず)に螺入されるように構成される雄ねじを備えるように構成することができる。更に別の代替形態では、監視デバイスは、ゴルフクラブヘッド内に監視デバイス230を保持するために、空洞部220に対して概ね垂直な方向、すなわち、矢印「A」及び「B」(図3)によって示されるような方向にゴルフクラブヘッドを貫通する1つ又は複数のピン、ねじ込みボルト又はねじを収容するように構成することができる。
【0024】
好ましい態様では、監視デバイス230は、空洞部220及び/又は空洞部220によって表される仮定的材料プラグ226に実質的に対応するサイズ及び形状を備えることができる。極めて好ましい態様では、監視デバイス230は、仮定的材料プラグ226の質量M1に実質的に等しい質量M2を有するように構成することができる。この質量M2は、例えば、加速度計、送信機、電池等を備えることができるセンサーコンポーネント232を備える監視デバイス230を利用することによって達成することができる。しかしながら、監視デバイス230及び/又はセンサーコンポーネント232は、空洞部220より小さくすることができ、及び/又はM1より質量を少なくすることができる。それゆえ、監視デバイス230の一部として、加重部234及び/又は充填材部236のような、1つ又は複数の「充填」及び/又は「加重」要素を含むことが有利な場合がある。加重部234は、金属、すなわち、タングステン、銅、鉛等のような相対的に質量が大きい材料を含むことができ、充填材部が用いられる場合には、その充填材部は、相対的に軽量の材料、すなわち、軽量ポリマーを含むことができる。監視デバイス230の何らかの部分又は全体は、ひとたび空洞部220に対して設置された後に監視デバイスに衝撃吸収性を与え、及び/又は監視デバイス230を更に密着させるために、合成ゴムのような変形可能材料から形成される保護ケーシング内に収容することができる。
【0025】
別の態様では、図9及び図11に示されるように、監視デバイス230は、監視デバイス重心CGsを含むことができ、ゴルフクラブヘッド212も仮想重心CGhを含むことができる(仮想重心は、仮定的材料プラグ226が所定のあるべき位置にあった場合に重心が位置していた場所を含む)。ゴルフクラブヘッド212は、ゴルフクラブヘッド212から仮定的材料プラグ226が除去されたことによって、仮想重心CGh(本明細書において仮定的重心としても知られている)から幾分オフセットされた実際の重心CGaも有することができる。この態様では、図11に示されるように、監視デバイス重心CGsは、監視デバイス230がゴルフクラブヘッド212内に設置されたときに、監視デバイス重心が仮想重心又は実際の重心と実質的に位置合わせされるように構成することができる。したがって、M1=M2であり、かつCGsが実質的にCGhと位置合わせされる場合には、監視デバイス230が設置されているゴルフクラブヘッド212に関して、その質量も、その重心も監視デバイス230によって影響を及ぼされないようにすることができる。これは、より正確なスイング解析に寄与することができる。
【0026】
好ましい態様では、監視デバイスは2つの端部238、240を備えるように構成することができ、その端部の一方又は両方が、端部238及び/又は240に隣接するゴルフクラブヘッド212の輪郭を補完することができる。これが図2の仮定材料プラグ226によって最もわかりやすく示されており、図2は、仮定的な第1の端部238aがゴルフクラブヘッド212のトゥ領域222に類似の、及び/又はトゥ領域222に実質的に補完的な輪郭を示し、仮定的な第2の端部240aが、ヒール領域224に類似の、及び/又はヒール領域224に実質的に補完的な輪郭を示す様子を表している。そのような補完的な輪郭は、図1図10及び図11の端部238によっても示される。
【0027】
好ましい態様では、監視デバイスの一方又は両方の端部238、240は、監視デバイス230を固定構造を用いて空洞部220内に保持できるように、ねじを切られるか又は他の方法で構成することができる。例えば、ねじ込みボルト又はねじ242が、1つ又は複数のねじ付き又はねじなし保持フランジ243を貫通して、監視デバイスの端部240の雌ねじ領域244(図9及び図11に最もわかりやすく示される)に螺入され、それにより、監視デバイス230をゴルフクラブヘッド212内に取外し可能に固定できるようになる。
【0028】
空洞部220内に監視デバイス230を固定するように構成される代替の例示的な固定構造が、図4図7に示される。これらの例において、全体として400、500、600及び700で示される監視デバイスはそれぞれ、第1の端部430、530、630及び730を有することができ、この文脈における「端部」という用語は、これに限定はされないが、監視デバイスの文字通りの左側端部を含むとともに、その中央線「M」付近の左側にある監視デバイスの一部又は全ても含む。第1の端部430、530、630及び730は第1の固定構造を備えるように構成することができ、第1の固定構造は、上記のように、ゴルフクラブヘッド内にそれぞれの監視デバイス400、500、600及び700を固定するねじ込みボルト又は他の留め具を収容するために、それぞれ、例えば、内部にねじを切られた部分444、544、644及び744を備えることができる。代替的には、ここで容易に理解されるように、第1の端部430、530、630及び730は、内部にねじを切られた部分を備えるのではなく、空洞部220内の相補的な雌ねじ内に螺入されることになる外部にねじを切られた部分(図示せず)を備えることができる。
【0029】
各監視デバイス400、500、600及び700は第2の端部440、540、640及び740を更に備えることができ、この文脈における「端部」という用語は、これに限定はされないが、監視デバイスの文字通りの右側端部を含むとともに、その中央線「M」付近の右側にある監視デバイスの一部又は全ても含む。図示されるように、第2の端部440、540、640及び740は、第1の端部430、530、630及び730の概ね反対に位置することができ、ここで説明されるように、第2の固定構造を備えるように構成することができる。
【0030】
図4の例において示されるように、第2の固定構造はOリング450を含むことができ、Oリング450は変形可能な材料から形成することができる。Oリング450は、監視デバイス400内の相補的な溝内に、及び/又は監視デバイス400の設置時に空洞部220の内壁内に収容されるように構成することができる。Oリング450は、監視デバイス400の第2の端部440を空洞部内に固定するのを助けることができ、一方、ねじ込みボルト又は他の留め具は、内部にねじを切られた部分444内に螺入され、締められるときに第1の端部430を固定することができる。代替的な態様では、Oリング450は、第2の端部440を一周することができるか、又はその一部のみを囲むことができる非弾性部材又は係止部材を含むことができ、空洞部の内壁上に形成されるフランジ又は相対する係止部材と係合することができ、相対する係止部材は、例えば、空洞部の内壁を一周するか、その一部のみを囲むフランジを備えることができる。
【0031】
その代わりに、又はそれに加えて、第2の固定構造は、監視デバイス500の設置時に空洞部220の内壁の相補的な溝、スロット又は他の凹部内に嵌合するか、若しくはその中で摺動するように構成されるフランジ、くさび又は他の構造を備えることができる。図5の例に示されるように、第2の固定構造は、くさび形構造550を備えることができ、その構造は、監視デバイス500の設置時に空洞部220の内壁の相補的な形状のスロット、溝又は凹部に摺動可能に収容することができる。ゴルフクラブヘッド内に監視デバイス500をその両端において確実に嵌め込むことは、例えば、雌ねじ部分544にボルトを締め込むことによって達成することができ、それにより、監視デバイス500の第2の端部540を、空洞部220の内壁に摩擦嵌めにすることができるか、又は空洞部220の内壁とロッキング係合させることができる。この態様では、空洞部220の内壁の第2の固定構造及び相補的な形状のスロット、溝又は凹部は、固定構造を構成することに加えて、監視デバイス500をゴルフクラブヘッド内に特定の向きに取り付け、保持できるようにする、例えば、監視デバイス500の外側端部560が、ヒール部分260又はトゥ部分262のようなゴルフクラブヘッドの輪郭と一致するような輪郭をなすことができるようにする位置合わせ構造又は鍵として機能することができる。
【0032】
その代わりに、又はそれに加えて、第2の固定構造は、図5に関して説明されたくさび形構造550に類似の構成、例えば、図6の監視デバイス600に関して図示されるような錐台タイプの構成を備えることができる。この態様では、監視デバイス600は、実質的に上記のように構成することができる第1の端部630を備えることができ、全体として、又は一部として錐台650を備えることができる第2の端部640を有することができる。図6に示される例では、半円錐台、すなわち、楕円形円錐部分又は長円形円錐部分を備える錐台を用いることができる。しかしながら、「切頭円錐」構成とも呼ばれる真円錐台、四角錐台、六角錐台等の他の形状も用いることができる。第2の端部640に対して錐台又は他の対称な構成が用いられるとき、後に説明されるような監視デバイスの端部及びゴルフクラブの輪郭の補完的な輪郭特徴の利点を得られるように、空洞部220内の特定の向きにおいて空洞部220内の鍵付きスロット内に監視デバイス600を位置合わせするように構成される鍵642又は他の類似の構成要素を含むことが望ましい場合がある。容易に理解されるように、鍵642は、代替的には、空洞部220内に位置決めされる得、対応するスロットは監視デバイス600の第2の端部640内に位置決めされ得る。1つの鍵642のみが示されるが、当然、複数のそのような構成要素が用いられ得る。
【0033】
監視デバイス600が錐台を備えるか、又は少なくともその一部が錐台を備えるとき、ここで理解されるように、第2の端部640は、空洞部220の補完的な形状の部分の中に「入れ子にする」ように構成することができる。そのように入れ子にする結果として、摩擦嵌めすることができるか、又は他の方法でクランプによって係合させることができ、それにより、例えば、ボルト又はねじ山のような留め具が第1の端部630に対して締められるときに、空洞部220の中に第2の端部640を固定することができる。
【0034】
図6に示されるように、監視デバイス600の第1の端部630は、正面から見たときに、楕円形又は長円形を含む外側端部635を有することができる。そのような形状は、第1の端部630がその形状の断面を有する結果であり得る。それゆえ、そのような断面は、厳密に垂直な断面、すなわち、線6A-6Bに沿った断面を含むことができる。代替的には、外側端部635の楕円形又は長円形或いは他の非円形形状は、外側端部635が、図6の破線635aによって示されるような輪郭を有する結果であり得る。図6の破線635aは、そのヒール端のようなゴルフクラブヘッドの外側表面の輪郭を補完することができる輪郭を示すことが意図されている。
【0035】
同様に、図6に示されるように、監視デバイス600の第2の端部640は、正面から見たときに、楕円形又は長円形となり得る外側端部660を有することができる。そのような形状は、第2の端部640がその形状の断面を有する結果であり得る。それゆえ、そのような断面は、厳密に垂直な断面、すなわち、線6C-6Dに沿った断面を含むことができる。代替的には、外側端部660の楕円形又は長円形或いは他の非円形形状は、外側端部660が、図6の破線660aによって示されるような輪郭を有する結果であり得る。図6の破線660aは、そのトゥ端のようなゴルフクラブヘッドの外側表面の輪郭を補完することができる輪郭を示すことが意図されている。
【0036】
本明細書において説明される空洞部及び任意の監視デバイス構成は、1つの向きにおいてのみ監視デバイスが設置されることを要求する、涙形、非正三角形等のような、非対称の断面、又は部分的に非対称の断面を有することができ、それは、例えば、上記のように、ゴルフクラブヘッドに隣接する空洞部の領域を補完する輪郭を有する1つ又は複数の端部を有する監視デバイスの場合に好都合となり得ることも理解されよう。
【0037】
図7に示されるように、第2の端部の固定構造は、雄ねじ部分750を備えることができる。この態様では、雄ねじ部分750によって、監視デバイス700を空洞部220内の補完的な雌ねじと螺合できるようにし得る。代替の態様では、監視デバイスの第2の端部740及び第1の端部730はいずれも雄ねじ部分750を備えることができるか、又は雄ねじ部分は監視デバイス700の実質的に全長にわたって延在することができ、第1の端部730を空洞部220内に固定する雌ねじ部分744及びボルト又はねじを潜在的に不要にすることができる。
【0038】
図7において更に示されるように、監視デバイス700は、監視デバイス700を空洞部220内に設置するための工具と係合するように構成される鍵、スロット、溝、正方形若しくは他の多面穴、又は他の凹部若しくは突起を有する監視デバイス端760を備えることができる。この例では、監視デバイス端760はプラスねじのスロット765を備える。
【0039】
ここで図8を参照すると、全体として800で示される監視デバイスを、本明細書において説明される或る特定の態様に従っていかに構成することができるかの一例が示される。監視デバイス800は、図示されるように概ね円筒形の形状を有するか、又は任意の他の好都合の形状を有することができる外部ケーシング810を備えることができる。外部ケーシングは、限定はしないが、プラスチック、ゴム、合成ゴム、金属、樹脂、複合材等を含む、その目的を果たすのに適した任意の材料から作製することができる。好ましい態様では、外部ケーシング810は、監視デバイス800の電子コンポーネントが、監視デバイス800が設置されるゴルフクラブヘッドでボールを打った衝撃及び振動に耐えることができるようにするために、及び/又は監視デバイス800を上記のようにゴルフクラブヘッド内により容易に固定できるように、すなわち、摩擦嵌めによって固定できるようにするために、変形可能ポリマーのような衝撃吸収材料から作製することができる。
【0040】
監視デバイス800はセンサーコンポーネント820を備えることができ、センサーコンポーネントは、例えば、その上に、マイクロプロセッサ、送信機、加速度計、抵抗器、コンデンサ等のような1つ又は複数のサブコンポーネントを実装し、配置し、接続することができる回路基板825を備えることができる。そのようなセンサーコンポーネント820は、例えば、シャフトに取り付けられるSwingbyteSB2クリップオンタイプセンサーにおいて市販され、利用されるタイプのものとし得る。
【0041】
更に示されるように、監視デバイス800は、監視デバイスの電子コンポーネントに電力を供給するための1つ又は複数の電池830を備えることができる。一態様では、電池830は、監視デバイス800の外部ケーシング810の内側輪郭に対して補完的な構成、この場合には、概ね円筒形の構成を含むことができる。そのような電池830は、例えば、腕時計の電池に類似の構成要素を備えることができる。センサーコンポーネント820に電力を供給するのに十分な電力を与え、かつ外部ケーシング810内に嵌め込むことができるサイズを有するならば、当然、他の電池タイプ及び構成も可能である。代替の態様では、電池(複数の場合もある)は、ゴルフクラブのシャフト又はグリップ内に位置決めされ、配線等によって監視デバイス800に接続することもできる。
【0042】
監視デバイス800は、空洞部220を実現するために失われる理論的な量のゴルフヘッド材料、例えば、仮定的材料プラグ226と実質的に同じ質量をこの監視デバイスに与えるための1つ又は複数の重り840を更に備えることができる。電池(複数の場合もある)830は同じ目的で1つ又は複数の重りを備えることができる。空洞部(すなわち、空所)を実現するために失われる理論的な量のゴルフクラブヘッド材料の質量は、仮定的質量と呼ばれる場合があり、その質量は仮定的材料プラグ226の質量とすることができ、失われるゴルフクラブヘッド材料の容積に、失われる材料の密度を乗算することによって求めることができる。それに加えて、又はその代わりに、外部ケーシング810は、必要とされるのと同じ量の質量を与えるのに十分に密度の高い材料から作製することができる。言い換えると、監視デバイス800は、監視デバイス800が固定されるゴルフクラブヘッドに、監視デバイス800を備えず、かつそのような監視デバイスを固定するための空洞、空所又は凹部がない同等なゴルフクラブヘッド(すなわち、在庫のゴルフクラブヘッド)と実質的に同じ重さを与えるだけの十分な質量を有するように構成することができる。
【0043】
本開示の好ましい態様では、本明細書において図示及び説明されるような監視デバイスは、ゴルフクラブヘッドに対するインパクト後の振動を補償するように構成することができる。監視デバイスを備えるゴルフクラブヘッドにおいて、監視デバイスは、ゴルフクラブヘッドのインパクト前のスイング経路に応答するデータを送信し、インパクト後のスイング経路に応答するデータを無視又は「トリム」し、インパクト前のスイング経路の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて、仮定的なインパクト後のスイング経路を決定するように構成することができる。
【0044】
ここで、図12を参照すると、図1に示されるようなゴルフクラブシャフトに固定又は接着されるSwingbyteSB2タイプのセンサーを用いて実現されるような、ゴルフクラブスイング経路のためのグラフィック表示が、全体として1200で示される。そのようなグラフィック表示1200は、ハンドヘルドデバイス、すなわち、スマートフォンのようなリモートデバイス、タブレットコンピューターのようなポータブルデバイス、又はコンピューター端末のようなデスクトップデバイス上に表示することができる。そのようなグラフィック表示は、米国特許第8,696,482号において記載されているような、シャフトに取り付けられる監視デバイス及び/又はリモートデバイスに埋め込まれるコンポーネント、アルゴリズム及びソフトウェアを用いて実現することができる。
【0045】
監視デバイスは、グラフィック表示1200として処理し、表示するために、スイング経路に特有のデータをリモートデバイスに送信するように構成される送信機を備えることができる。図示されるように、グラフィック表示1200は、1つ又は複数のスイング位置、この例では、ゴルフスイングの最後に非常に近いフォロースルー位置に仮想ゴルフクラブ1210を表示することができる。更に示されるように、グラフィック表示1200は、シャフトに取り付けられる監視デバイスによって記録、検知及び/又は送信されるようなスイング経路を表示することができる。そのような表示されるスイング経路は、ゴルフボール1240とのインパクト点に先行する、インパクト前のバックスイング経路1220とインパクト前のダウンスイング経路1230とを含むことができる。グラフィック表示は、仮定的なインパクト後のゴルフボール経路1250と、インパクト後のスイング経路1260とを更に表示することができる。この例では、監視デバイスはゴルフクラブのシャフトに、又は更にはグリップに取り付けられるので、インパクト後のスイング経路は、インパクト点、すなわち、ゴルフクラブヘッドにおいて経験されるインパクト後の振動の影響を比較的受けないままである。
【0046】
ここで図13を参照すると、インパクト点における仮想ゴルフクラブヘッド1310を表示する概略的なグラフィック表示が、全体として1300で示される。図13に示される表示1300は、従来技術の監視デバイスをゴルフクラブヘッド内に取り付ける際に経験される場合があるような、記録されたスイング経路を例示することを意図している。そこに示されるように、仮想ゴルフクラブヘッド1310内に取り付けられる監視デバイスは、インパクト後に生じる揺動ほど大きくないが、上記で示されたようにバックスイング及びダウンスイング中に何らかのヘッド揺動がある場合があるものの、結果として、バックスイング(すなわち、インパクト前のスイング経路1320)及びダウンスイング(すなわち、インパクト前のスイング経路1330)に関して極めて信頼性の高い記憶及び表示を生成することができる。図示されるように、ゴルフボール1340とのインパクト点では、仮想ゴルフクラブヘッド1310に対する極めて大きな振動に起因して、特に中心から外れて打った場合に、インパクト後のスイング経路1360は散在する場合があり、ゴルフボール1340とのインパクト点から、1342において示されるその後の或る時点まで、ほとんど実用的でない場合がある。点1342では、振動後でインパクト後のスイング経路1365が、効果的な用途でより実効的に記録及び表示され得る程度まで、仮想ゴルフクラブヘッド1310のインパクト後の振動が実質的に終わる。
【0047】
本開示の好ましい態様では、監視デバイス(又は監視デバイスに関連付けられるリモートデバイス)は、ゴルフボール1340とのインパクト後のスイング経路からのデータをトリムし、インパクト後のスイング経路1360として概略的に表される、望ましくないインパクト後のデータを回避するように構成することができる。ここで図14を参照すると、本明細書において説明されるような監視デバイスが、動作1410において、ゴルフクラブヘッドの経路に関連付けられるデータを送信するように構成することができる1つの方法を提供するフローチャートが示される。その監視デバイスは、動作1420において、インパクト後のスイング経路1360に対する「トリム」ライン1366、1368として、図13に概略的に示される、インパクト後のスイング経路に応答するデータを無視又は「トリム」することができる。本明細書において論じられるように、データをトリムすることは、データ極値のうちの幾つかを除外すること、すなわち、切り捨てと呼ばれるプロセスを指すことができる。これは一般的に、よりロバストな推定を得るために行われ、極値は異常値と見なされる。データをトリムするために、数ある技法の中でも、トリム平均、修正平均、四分位間平均、ミッドヒンジ、十分位数範囲、四分位範囲のような任意の数の技法を用いることができる。
【0048】
動作1430において、インパクト前のスイング経路に関連付けられるデータ(すなわち、インパクト前のスイング経路1330又はインパクト前のスイング経路1320に関するデータ)の少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて、図13において1370として示される、仮定的なインパクト後のスイング経路を決定することができる。図示されるように、この決定は、インパクト点、すなわち、ゴルフボール1340に極めて近いインパクト前のスイング経路1330の部分1330aに関連付けられるデータから、仮定的なインパクト後のスイング経路1370を外挿することによって行うことができる。図13に更に示されるように、仮定的なインパクト後のスイング経路1370はディスプレイ1300上に表示することができ、インパクト後のスイング経路1360に関して「トリムされた」データは表示しても、しなくてもよい。インパクト後のスイング経路1360に関するデータ(すなわち、「実際の」インパクト後のスイング経路のデータ)は、監視デバイス内の1つ又は複数のセンサーによって直接取り込まれたデータ、又はゴルフクラブヘッドに対する実質的なインパクト関連の影響を考慮するように調整されないデータと見なすことができる。また、図示されるように、そのディスプレイは、仮定的なインパクト後のスイング経路1370を振動後でインパクト後のスイング経路1365と「結び付けて」、クラブヘッドのインパクト後の振動に関して補正された実際のスイング経路の近似を表示することができる。このようにして、動作1440において、インパクト前のスイング経路及び仮定的なインパクト後のスイング経路に関連付けられるデータに基づいて結果として生成されたスイング経路をディスプレイ1300上に表示することができる。
【0049】
本開示の別の態様では、仮定的なインパクト後のスイング経路1370は、少なくとも部分的に、振動後でインパクト後のスイング経路1365に関連付けられるデータによって決定することができる。この態様では、振動後でインパクト後のスイング経路1365又はその一部を「遡って」外挿して(又は補間して)、仮定的なインパクト後のスイング経路1370又はその一部を生成することができる。更に別の態様では、インパクト前のスイング経路1330及び振動後でインパクト後のスイング経路1365の両方又はその一部を外挿して、仮定的なインパクト後のスイング経路1370を生成することができる。一態様では、そのような外挿は、「トリム」ライン1366、1368によって表される両端から実行することができ、結果として生成される実効的な仮定的なインパクト後のスイング経路1370が2つの「トリム」ライン1366、1368の中央において、又は実質的に中央において合流する。
【0050】
本開示の更に別の態様では、監視デバイス230は、幾つかの練習スイング、すなわち、ゴルフボールとの衝突のないスイングからのデータを記憶及び/又は送信し、そのような記憶及び/又は送信されたデータを用いて、インパクト後のスイング経路1360を「正規化する」か、又は別の方法で調整し、仮定的なインパクト後のスイング経路1370を生成するように構成することができる。更に別の態様では、監視デバイス230は、ゴルフボールと衝突した複数のスイングからのデータを記憶及び/又は送信し、複数のスイングからのそのような記憶及び/又は送信されたデータを合計するか、平均するか、又は別の方法で用いて、インパクト後のスイング経路1360を調整し、仮定的なインパクト後のスイング経路1370を生成するように構成することができる。この態様では、信頼性のある結果を得るのに、2、3回のそのようなスイングで十分となり得る。
【0051】
本開示の別の態様は、図15に示されるシステムである。この態様では、ホーゼル1515を介してグリップ1530を有するシャフト1520に接続されるゴルフクラブヘッド1510を備える、全体として1500で示されるゴルフクラブにおいて、本明細書において実質的に説明されるように、又は別の例として、米国特許出願公開第2013/0267338号に記載されているように、ヘッド内に監視デバイス1540を設けることができる。この態様では、ゴルフクラブ1500は監視デバイス1550を更に備えることができ、その監視デバイスは、例えば、シャフト1520に取り付けられ得、ゴルフクラブ1500の運動を検知し、それに関連するデータを処理、記憶及び送信することに関して、監視デバイス1540と実質的に同じ機能を示すことができる。監視デバイス1540、1550は、コンピュータータブレット、スマートフォン、ラップトップコンピューター等のようなリモート装置1570と通信することができ、及び/又はそのようなリモート装置とともに用いることができる。この態様では、監視デバイス1540、監視デバイス1550及び/又は関連するリモート装置1570は、監視デバイス1540及び監視デバイス1550により入手可能な最良のデータのみを受信、処理、送信及び/又は表示するように構成することができる。例えば、ここで図16を参照すると、監視デバイス1540は、ゴルフクラブヘッド1510とボール1610とのインパクト点から、ゴルフクラブヘッド1510のインパクト後の振動が実質的に終わる点1620までを除いて、及び/又はゴルフクラブヘッドが「揺動」を経験するバックスイングのトップ1630を除いて、スイング中の全ての時点において用いられ得る。以前の例の状況では、監視デバイス1550は、スイング中の監視デバイス1540が使用されない時点で(すなわち、インパクト時に、又はバックスイングのトップにおいて)用いられ得る。
【0052】
別の例として、ゴルフクラブ1500は、スイングの複数の部分からの最も正確な読み値を取り込む複数の機会を与えるために、シャフト1520内の監視デバイス1525及び/又はグリップ1530内の監視デバイス1535のような、更なる監視デバイスを有することができる。図示されるように、複数の監視デバイス1525、1535、1540、1550は、例えば、スポーツ器具の柄、シャフト、ホーゼル等の長手方向軸又は中心線C/Lに概ね沿って、ゴルフクラブ1500に沿って比較的均等な間隔を置いて配置することができる。当然、本開示において、他の多くの監視デバイス、並びに間隔及び監視デバイス固定構成も考えられる。
【0053】
複数の監視デバイス1525、1535、1540、1550のうちのいずれの監視デバイスが、解析されているスイングの種々の位置において最も正確な、及び/又は関連するデータを取り込んでいるかによって、複数の監視デバイス1525、1535、1540、1550が協動して最も正確な、及び/又は関連するスイング経路データを決定することができる。再び図16を参照すると、例えば、ゴルフクラブ1500のスイングの場合に、テイクアウェイの点1640からバックスイングのトップ1630の直前まで、及びボール1610のインパクト点の直前の点から、監視デバイス1540が最も正確な/関連するスイングデータを与えることがわかる(又はシステムによって判断される)場合には、その監視デバイスは、スイングのそれらの2つの部分のためにそのデータを使用するのみとすることができる。例えば、バックスイングのトップ1630から中間点1650まで、例えば、ゴルフクラブ1500がダウンスイング時に地面と平行となる点付近まで、監視デバイス1535が最も正確な/関連するスイングデータを与えることが更にわかる場合には、その監視デバイスは、スイングのその部分のためにそのデータを使用するのみとすることができる。同様に、中間点1650から、ボール1610とのインパクト点直前の点1660まで、監視デバイス1550が最も正確な/関連するスイングデータを与える場合には、その監視デバイスは、スイングのその部分のためにそのデータのみを使用するのみとすることができる。そして、例えば、ボール1610とのインパクト点からゴルフスイング1670の残り(すなわち、フォロースルー)を通して、監視デバイス1525が最も正確な/関連するスイングデータを与えることが更にわかる場合には、その監視デバイスは、スイングのその部分のためにそのデータを使用するのみとすることができる。
【0054】
複数の監視デバイス1525、1535、1540、1550のうちの2つ以上が、リモート装置1570、他の監視デバイスのうちのいずれか、又は任意の他のデバイスのようなコンピューティングデバイスと通信することができる。これらのデバイスは、解析されているスイングのための最良の入手可能なデータを表す統合されたデータセットを生成するために、それぞれのスイングデータを取り込み、比較し、トリムし、正規化し及び/又は総計させるために、複数の監視デバイス1525、1535、1540、1550からのデータを理解する、例えば、計算及びソートの中間ステップを実行するように構成される。
【0055】
図17は、スイング経路を決定するための例示的な方法を示す。動作1705において、第1のスポーツ器具の第1のスイングの第1のデータが取り込まれる。第1のデータは、リモート装置1570、監視デバイス1525、1535、1540又は1550等のような1つ又は複数のデバイスからもたらされ得る。第1のスイングは、非インパクトスイング(例えば、第2のスポーツ器具との衝突のないスイング)とすることができるか、又はインパクトスイング(例えば、第1のスポーツ器具が第2のスポーツ器具と衝突するスイング)とすることができる。動作1710において、第1のスポーツ器具の第2のスイングの第2のデータが取り込まれる。第2のスイングは非インパクトスイング又はインパクトスイングとすることができる。第1のスイングと第2のスイングとの間の時間は、数秒若しくは数分のような短い範囲の時間内にあってもよいし、又は数時間、数日若しくは数週間のような長い範囲の時間内にあってもよい。
【0056】
動作1715において、第1のデータ及び/又は第2のデータを調整することができる。第1のデータ及び/又は第2のデータは、インパクト前の経路又はインパクト後の経路を含み得るスイング経路を決定するのを助けるために、トリミング、正規化、又は別の統計学に基づく方法又は統計学に基づかない方法によって調整することができる。一例では、非インパクトスイングであるとき、リモート装置1570、又は監視デバイス1525、1535、1540又は1550のうちの1つ又は複数が(別々に、又は合わせて)、ボールの仮定的なインパクト点の推定に基づいて(非インパクトスイングの場合、ボールのインパクトは生じないため)、インパクト前のスイング経路からのデータとインパクト後のスイング経路からのデータとを区別することができる。この例では、インパクト前のスイング経路及びインパクト後のスイング経路のデータが決定された後に、インパクト後のスイング経路をトリム及び正規化することができる。
【0057】
動作1720において、第1のデータ、第2のデータ、調整済みの第1のデータ及び/又は調整済みの第2のデータに基づいて、第1のスイング又は第2のスイングに関する仮定的なスイング経路(すなわち、仮定的なインパクト後のスイング経路及び/又は仮定的なインパクト前のスイング経路)を決定することができる。動作1725において、第1のデータ、第2のデータ、調整済みの第1のデータ及び/又は調整済みの第2のデータに基づいて、スポーツ物体(すなわち、ボール1610)の仮定的なインパクト後の飛行経路(すなわち、ボール経路1625)を決定することができる。例えば、ボール1610又は仮定的ボール(例えば、非インパクトスイングの状況において)の飛行の決定において、トリム及び/又は正規化されたインパクト後のスイング経路又はインパクト前のスイング経路を用いることができる。動作1730において、仮定的なインパクト後のスイング経路及び/又はインパクト後のスポーツ物体飛行経路を、例えば、図16に示されるのと同様に表示することができる。図17の動作及び本明細書において論じられる他の方法は、単一のデバイスにおいて実行することができるか、又は複数のデバイスにわたって分散させることができる。本明細書において幾つかの動作が論じられてきたが、1つ若しくは複数の動作を除去することもできるし、任意の妥当な順序において実行することもできることは理解されたい。
【0058】
別の態様では、本開示のシステムが複数のスポーツ器具、例えば、その中に監視デバイスを備えるゴルフグローブ、その中に監視デバイスを備えるアームバンド、及び/又はその中に1つ若しくは複数の監視デバイスを備えるゴルフクラブを備えることができ、各監視デバイスは、ゴルフスイングのようなユーザーの運動を監視するように構成され、そのシステムは、種々の監視デバイスの中から、監視されている運動中の任意の点において、いずれの監視デバイスが最も正確な及び/又は関連する運動データを送信しているかを選別するように構成され、そのシステムは、そのようなデータを処理し、累算(又は総計)して、結果として監視されているユーザーの運動の経路を表示するように更に構成される。
【0059】
図18及び以下の検討は、本明細書において開示される方法及びシステム、及び/又はその一部が実施され得る適切なコンピューティングシステムの簡潔な概要を提供することを意図している。必須ではないが、本明細書において開示される方法及びシステムは、コンピューティングシステムによって実行される、プログラムモジュールのようなコンピューターが実行可能な命令の一般的な状況において説明される。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。本明細書において開示される方法及びシステム又はその一部は、クライアントワークステーション、サーバー、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサに基づくか、又はプログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピューター、メインフレームコンピューター等を含む、コンピューターシステム構成で実施できることは理解されたい。それらの方法及びシステムは、通信ネットワークを通してリンクされるリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境において実施することもできる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカル及びリモートの両方のメモリ記憶デバイス内に位置することができる。
【0060】
図18は、本明細書において開示される方法及びシステムの態様又はその一部を組み込むことができる汎用コンピューターシステムを表すブロック図である。数あるデバイスの中でも、監視デバイス(すなわち、監視デバイス230、400、500、600、700及び800等)、リモート装置1570が、本明細書において説明されるコンピューティングデバイス1820の構成要素のうちの1つ又は複数を含むことができる。図示されるように、例示的な汎用コンピューティングシステムは、処理ユニット1821と、システムメモリ1822と、システムメモリを含む種々のシステムコンポーネントを処理ユニット1821に結合するシステムバス1823とを含む、コンピューター1820等を含む。システムバス1823は、メモリバス又はメモリコントローラと、周辺機器用バスと、種々のバスアーキテクチャのうちの任意のものを用いるローカルバスとを含む、幾つかのタイプのバス構造のうちの任意のものとすることができる。システムメモリは、リードオンリーメモリ(ROM)1824と、ランダムアクセスメモリ(RAM)1825とを含む。起動中等に、コンピューター1820内の要素間で情報を転送するのを助ける基本ルーチンを含む、基本入力/出力システム1826(BIOS)がROM1824に記憶される。
【0061】
コンピューター1820は、ハードディスク(図示せず)からの読出し及びハードディスクへの書込みのためのハードディスクドライブ1827と、取外し可能磁気ディスク1829からの読出し及び取外し可能磁気ディスクへの書込みのための磁気ディスクドライブ1828と、CD-ROM又は他の光学メディアのような取外し可能光ディスク1831からの読出し及び取外し可能光ディスクへの書込みのための光学ディスクドライブ1830とを更に含むことができる。ハードディスクドライブ1827、磁気ディスクドライブ1828及び光学ディスクドライブ1830はそれぞれ、ハードディスクドライブインターフェース1832、磁気ディスクドライブインターフェース1833及び光学ディスクドライブインターフェース1834によってシステムバス1823に接続される。それらのドライブ及び関連するコンピューター可読媒体は、コンピューター1820のためのコンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール及び他のデータの不揮発性記憶を提供する。本明細書において説明されるように、コンピューター可読媒体は製品であり、それゆえ、一過性の信号ではない。
【0062】
本明細書において説明される例示的な環境は、ハードディスク、取外し可能磁気ディスク1829及び取外し可能光ディスク1831を利用するが、例示的な動作環境においては、コンピューターによってアクセス可能であるデータを記憶することができる他のタイプのコンピューター可読媒体を用いることもできることは理解されたい。そのような他のタイプの媒体は、限定はしないが、磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタルビデオ又はバーサタイルディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)等を含む。
【0063】
ハードディスク、磁気ディスク1829、光ディスク1831、ROM1824又はRAM1825上に、オペレーティングシステム1835、1つ又は複数のアプリケーションプログラム1836、他のプログラムモジュール1837及びプログラムデータ1838を含む、幾つかのプログラムモジュールが記憶され得る。キーボード1840及びポインティングデバイス1842のような入力デバイスを通して、ユーザーがコンピューター1820にコマンド及び情報を入力することができる。他の入力デバイス(図示せず)が、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディスク、スキャナー等を含むことができる。これらの入力デバイス及び他の入力デバイスは多くの場合に、システムバスに結合されるシリアルポートインターフェース1846を通して処理ユニット1821に接続されるが、パラレルポート、ゲームポート、又はユニバーサルシリアルバス(USB)のような他のインターフェースによって接続されてもよい。モニター1847又は他のタイプの表示デバイスも、ビデオアダプター1848のようなインターフェースを介してシステムバス1823に接続される。モニター1847に加えて、コンピューターが、スピーカー及びプリンターのような、他の周辺出力デバイス(図示せず)を含むことができる。図18の例示的なシステムは、ホストアダプター1855、スモールコンピューターシステムインターフェース(SCSI)バス1856、及びSCSIバス1856に接続される外部記憶デバイス1862も含む。
【0064】
コンピューター1820は、リモートコンピューター1849(すなわち、監視デバイス230)のような1つ又は複数のリモートコンピューターへの論理接続を用いてネットワーク化された環境において動作することができる。リモートコンピューター1849は、パーソナルコンピューター、サーバー、ルーター、ネットワークPC、ピアデバイス又は他の一般的なネットワークノードとすることができ、コンピューター1820に関して上記で説明された要素のうちの幾つか又は全てを含むことができるが、図18には、メモリ記憶デバイス1850のみが示されている。図18に示される論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)1851と、ワイドエリアネットワーク(WAN)1852とを含む。そのようなネットワーク化環境は、事務所、企業規模のコンピューターネットワーク、イントラネット及びインターネットでは一般的である。
【0065】
LANネットワーク化環境において用いられるとき、コンピューター1820は、ネットワークインターフェース又はアダプター1853を通してLAN1851に接続される。WANネットワーク化環境において用いられるとき、コンピューター1820は、インターネットのようなワイドエリアネットワーク1852を介して通信を確立するためのモデム1854又は他の手段を含むことができる。モデム1854は、内部又は外部にあることができ、シリアルポートインターフェース1846を介してシステムバス1823に接続される。ネットワーク化された環境では、コンピューター1820に対して示されるプログラムモジュール、又はその一部が、リモートメモリ記憶デバイスに記憶され得る。図示されるネットワーク接続は例示であり、コンピューター間に通信リンクを確立する他の手段が用いられ得ることは理解されよう。
【0066】
コンピューター1820は、種々のコンピューター可読記憶媒体を含むことができる。コンピューター可読記憶媒体は、コンピューター1820によってアクセスすることができる任意の市販の媒体とすることができ、揮発性及び不揮発性の両方の媒体、並びに取外し可能及び非取外し可能の両方の媒体を含む。例として、限定はしないが、コンピューター可読媒体は、コンピューター記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。コンピューター記憶媒体は、コンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータのような情報を記憶するための任意の方法又は技法において実現される揮発性及び不揮発性の両方、並びに取外し可能及び非取外し可能の両方の媒体を含む。コンピューター記憶媒体は、限定はしないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ若しくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタルバーサタイルディスク(DVD)若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気記憶デバイス、又は所望の情報を記憶するために用いることができ、コンピューター1820によってアクセスすることができる任意の他の媒体を含む。上記のうちの任意のものの組み合わせも、本明細書において説明される方法及びシステムを実現するためのソースコードを記憶するために用いることができるコンピューター可読媒体の範囲に含まれるべきである。本明細書において開示される特徴又は要素の任意の組み合わせを1つ又は複数の実施形態において用いることができる。
【0067】
図に示されるような、本開示の主題の好ましい実施形態を説明する際に、明確にするために、特定の用語が利用される。しかしながら、特許請求される主題は、そのように選択された特定の用語に限定されることを意図するものではなく、それぞれの特定の要素は、同様の目的を成し遂げるために同じように動作する全ての技術的均等物を含むことは理解されたい。
【0068】
この書面による説明は、複数の例を用いて本発明を開示し、更には、任意のデバイス又はシステムを作製し、使用すること、及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めて、任意の当業者が本発明を実施することも可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が思いつく他の例も含むことができる。そのような他の例は、それらの例が特許請求の範囲の文字通りの文言と異ならない構造的要素を有する場合には、又はそれらの例が特許請求の範囲の文字通りの文言と実質的に違わない同等の構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲にあることを意図している。
図1
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