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特許7064284スタガーキャストでのパケット損失を検出する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】スタガーキャストでのパケット損失を検出する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/438 20110101AFI20220427BHJP
【FI】
H04N21/438
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2016240685
(22)【出願日】2016-12-12
(65)【公開番号】P2017143509
(43)【公開日】2017-08-17
【審査請求日】2019-12-04
(31)【優先権主張番号】15307072.7
(32)【優先日】2015-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319002876
【氏名又は名称】インターデジタル マディソン パテント ホールディングス, エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】グーデ,セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラック ピンサック,ジョアン
(72)【発明者】
【氏名】フォンテーヌ,ロイック
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-521722(JP,A)
【文献】特開2001-136195(JP,A)
【文献】特開2005-328131(JP,A)
【文献】特表2011-519210(JP,A)
【文献】特表2004-536524(JP,A)
【文献】特開2010-016722(JP,A)
【文献】特表2009-535891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタガーキャスト受信機で使用される方法であって、
少なくとも2つのパケットストリームを含むスタガーキャストコンテンツを受信することであって、1つのパケットストリームはメインストリームであり、前記コンテンツの提示に使用され、他のパケットストリームはスタガーストリームであり、前記スタガーストリームは前記メインストリームの前に受信される、受信することと、
前記メインストリームのパケットが前記パケットの配信時間に受信されない場合、前記コンテンツの提示に使用するために、前記受信したスタガーストリームからの対応するパケットを前記パケットの代わりに使用することであって、前記パケットの配信時間は、2つの連続パケットの配信時間の関数である、代わりに使用することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記パケットの配信時間は、第1パケットの第1配信時間を第2パケットの第2配信時間から減算することにより定められる値に基づき、前記第1パケット及び前記第2パケットは、前に受信した2つの連続パケットである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前に受信した2つの連続パケットは、両方が前記メインストリーム又は前記スタガーストリーム内にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パケットの前記配信時間は、待機時間の追加にさらに基づく、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記値は、減算の数の平均をとることにより定められる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記パケットの配信時間は、スタガー遅延に基づく、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記受信することは、前記受信したスタガーキャストコンテンツを逆多重化して、前記メインストリーム及び前記スタガーストリームを生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つのパケットストリームを含むスタガーキャストコンテンツを受信する受信機であって、1つパケットストリームはメインストリームであり、前記コンテンツの提示に使用され、他のパケットストリームはスタガーストリームであり、前記スタガーストリームは前記メインストリームの前に受信される、受信機と、
前記メインストリームの前記パケットが前記パケットの配信時間に受信されない場合、前記コンテンツの提示に使用するために、前記受信したスタガーストリームからの対応するパケットを前記パケットの代わりに使用するように構成され、前記パケットの配信時間は、2つの連続パケットの配信時間の関数である、プロセッサと
を含む、装置。
【請求項9】
前記パケットの配信時間は、第1パケットの第1配信時間を第2パケットの第2配信時間から減算することにより定められる値に基づき、前記第1パケット及び前記第2パケットは、前に受信した2つの連続パケットである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記前に受信した2つの連続パケットは、両方が前記メインストリーム又は前記スタガーストリーム内にある、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記パケットの前記配信時間は、待機時間にさらに基づく、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記値は、減算の数の平均をとることにより定められる、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記パケットの配信時間は、スタガー遅延に基づく、請求項に記載の装置。
【請求項14】
前記受信機は、前記受信したスタガーキャストコンテンツを逆多重化して、前記メインストリーム及び前記スタガーストリームを生成するデマルチプレクサを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記受信機は、前記メインストリームのパケット及び前記スタガーストリームのパケットから、提示するパケットを選択するスタガーキャスト選択器を実現する、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
本発明は、広く通信システムに関し、より詳細には、例えば、地上ブロードキャスト、セルラ、Wi-Fi(Wireless-Fidelity)、衛星、ケーブル等の無線及び有線システムに関する。
【0002】
スタガーキャストでは、例えばパケット等のストリームは、メインストリーム及びスタガーストリームとして2回送信される。スタガーストリームは、メインストリームよりも先に送信される。すなわち、メインストリームは遅延する(スタガー遅延)。図1に、例示的なスタガーキャスト送信機を示す。この図に示される要素は周知であり、詳細には説明しない。図1において、スタガーキャスト送信機は、例示的に、エンコーダ105及び110、スタガー遅延115、及びマルチプレクサ(mux)120を含む。信号104がエンコーダ105及び110に入力され、エンコーダ105及び110はそれぞれ信号を符号化して、符号化信号106及び111を生成する。符号化信号111はスタガーストリーム111でもある。例示的な目的として、これらのエンコーダは同じタイプの符号化を実行するが、これは必要なことではない。つぎに、符号化信号106は、スタガー遅延115だけ時間的に遅延されて、メインストリーム116を提供する。この遅延は調整可能であってもよく、又は一定であってもよい。遅延の結果として、スタガーストリームはこの時点で、メインストリームよりも時間的に「前」にある。マルチプレクサ120は、メインストリーム及びスタガーストリームを多重化して、送信(ブロードキャスト)する出力ストリーム121、すなわち、送信ストリームを生成する。
【0003】
図2を参照して、例示的なスタガーキャスト受信機を示す。スタガーキャスト受信機は、デマルチプレクサ(demux)150、スタガーキャスト選択器155、及びデコーダ160を含む。送信ストリーム(送信媒体、例えば、ブロードキャスト、インターネット等は図2に示されていない)は、デマルチプレクサ150により受信され、デマルチプレクサ150は、受信した送信ストリーム121を逆多重化し、メインストリーム151及びスタガーストリーム152を生成する。したがって、物理的中断に起因して損失が生じる場合、スタガーキャスト選択器155が、スタガーストリーム152からのデータをメインストリーム151に挿入することにより、受信側で修正を行うことができる。特に、メインストリーム152中の受信したトランスポートパケットのシーケンス番号に不連続性が見つけられた際に、スタガーキャスト選択器155は、メインストリーム151の「ホール」を検出することになる。スタガーストリーム152からのパケットは先に受信されたため、スタガーキャスト選択器155は、スタガーストリーム152からの正確なパケットをメインストリーム151中の欠損パケットに挿入し、出力信号156をデコーダ160に提供する。このようにして、スタガーストリーム152から先に受信した対応するパケットを使用することにより、メインストリーム151からの欠損パケットを置換することができる。したがって、ユーザへのサービス品質(QoS)が維持され、デコーダ160は、(更に処理(図示せず)されて)ユーザにより閲覧される復号されたストリーム161を生成する。
【0004】
図3に、このパケット損失の例を更に示す。スタガーストリーム152は、パケット「N Stg」、「N+1 Stg」、及び「N+2 Stg」で表されるように、パケットストリームを含み、ここで、「N」、「N+1」、及び「N+2」は、パケットシーケンス番号を表し、「N」は整数値、例えば、10である。同様に、メインストリーム151も、パケット「N-1」、「N」、「N+1」、及び「N+2」で表されるように、パケットストリームを含む。メインストリーム151での各パケットの配信時間(TD)も図3に示されている。例えば、パケット「N-1」の配信時間は、図3等ではTDN-1として示されている。不都合なことに、スタガーストリーム152がパケット「N+2 Stg」を欠損し(破線枠として示される)、メインストリーム151がパケット「N」を欠損している(破線枠として示される)ような損失11が生じる。図2のスタガーキャスト選択器155は、TDN+1においてメインストリーム151からのパケットが欠損していることを、つぎに受信したパケットがシーケンス番号「N+1」を有することから、検出する。したがって、スタガーキャスト選択器155は、スタガーストリーム152から先に受信したパケット「N Stg」及びメインストリーム151からのパケット「N+1」の両方を図2のデコーダ160にプッシュする(「スタガーキャスト選択器出力時間」軸の下に示される)。パケットの配信からユーザへの提示までの時間は、図3ではΔとして示される。ユーザへの提示時間(TP)は、図3の一番下の軸上に示される。理解されるように、ユーザへのQoSは維持される。すなわち、パケット「N Stg」がTPであるユーザへの提示時間に提供されるため、復号化オーディオ/ビデオコンテンツに中断はない。パケット「N+2 Stg」がスタガーストリーム152中で損失された場合であっても、対応するパケット「N+2」がメインストリーム151において正確に受信されたため、この欠損パケットが復号化オーディオ/ビデオに影響を及ぼさないことが観測される。不都合なことに、欠損パケットがスタガーストリームから利用可能ではない場合、ユーザへのQoSは低下する。目的は、スタガーストリーム中のそのパケットが、メインストリーム中の欠損パケットへの代用に利用可能であるように、スタガー遅延を正確に調整することである。
【0005】
しかし、メインストリームでの欠損パケットの代用となるパケットがスタガーストリーム中で利用可能な場合であっても、提示時間(TP)に関して問題がまだあり得る。図4にこれを示す。図4図3と同様であるが、ここでは、パケット「N」の提示時間がより短い。換言すれば、パケットの提示時間は、パケットの配信時間により近い。したがって、パケット「N」の提示時間TP(15)において、スタガーキャスト選択器155はまだ、そのパケット「N」がメインストリーム151から欠損していることを検出していない。したがって、スタガーストリーム152中の対応するパケットがメインストリーム151中の欠損パケットの代用に利用可能であったとしても、この対応するパケットの提供が遅すぎるため、復号化オーディオ/ビデオにギャップが存在する。
【0006】
損失がより長い場合も、ユーザはスタガー修正から恩恵を受けない。図5にこれを示す。図5図4と同様であるが、損失18はより長く、メインストリーム151からパケット「N+1」も欠損している。しかし、スタガーキャスト選択器155は、メインストリーム151中でパケット「N+2」を受信するまで、シーケンス番号のギャップを検出しない。メインストリーム151中でパケット「N+2」を受信した時点で、スタガーキャスト選択器155は、パケット「N Stg」及び「N+1 Stg」をスタガーストリーム152からプッシュし、パケット「N+2」をメインストリーム151からプッシュする。しかし、スタガーストリーム152からのパケットの提供は遅すぎる。すなわち、スタガーストリーム152からのパケットは、パケット「N」及び「N+1」の提示時間後に提供され、提示時間においてデコーダにより破棄される。
【0007】
加えて、現在提案されているATSC3.0ブロードキャストシステムは、スタガーキャストをサポートし得、図6に示されるように、UDP over IPパケットを使用してコンテンツを送信することを採用している。図6は、例示的なトランスポートスタック190を示し、ここで、コンテンツは、ブロードキャスト(物理)層を介してUDP over IPパケットを使用して送信される。不都合なことに、UDPプロトコル自体には、欠損パケットを識別する方法がなく、物理層は、MPEG2トランスポートストリームで行うことができるように、スタガーキャスト選択器に損失及びエラーを通知することができない。受信機は、破損が生じたとき(IPチェックサムを使用するか、又は物理層により管理)又は損失が生じたとき(例えば、(上述したように)トランスポートパケットシーケンス番号の不連続性を使用)を、それ自体の手段により検出する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
上記に鑑みて、スタガーキャストの修正能力を改善する必要がある。特に、本発明の原理によれば、受信機は、メインストリームからのパケットの配信時間を推定し、メインストリームからのパケットが推定配信時間に受信されない場合、スタガーストリームからの対応するパケットを代用する。その結果、受信機は、欠損シーケンス番号の検出まで待つ必要がないため、損失をより素早く検出することができ、したがって、受信機は、ユーザがQoSの損失を受けないように、様々なシステム(及び様々なタイプのトランスポートスタック)にわたり提示時間に対応することができる。
【0009】
本発明の例示的な実施形態では、ATSC DTV(Advanced Television Systems Committee Digital Television)デバイスは、1つのパケットストリームはメインストリームであり、他のパケットストリームはスタガーストリームである少なくとも2つのパケットストリームを含むコンテンツを表すスタガーキャスト送信を受信する受信機と、メインストリームからのパケットの配信時間を推定し、メインストリームからのパケットが推定された配信時間に受信されない場合、コンテンツの提示での使用に、受信したスタガーストリームからの対応するパケットを代わりに使用するように構成されるプロセッサとを含む。
【0010】
本発明の別の例示的な実施形態では、ATSC DTV(Advanced Television Systems Committee Digital Television)デバイスは、少なくとも2つのパケットストリームを含むコンテンツを表すスタガーキャスト送信を受信することであって、1つのパケットストリームはメインストリームであり、他のパケットストリームはスタガーストリームである、受信することと、メインストリームからのパケットの配信時間を推定することと、メインストリームからのパケットが推定された配信時間に受信されない場合、コンテンツの提示に使用するために、受信したスタガーストリームからの対応するパケットを代わりに使用することとを含む方法を実行する。
【0011】
上記に鑑みて、詳細な説明を読むことにより明らかになるように、他の実施形態及び特徴も実現可能であり、本発明の原理内に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】スタガーキャストシステムで使用される従来技術による送信機を示す。
図2】スタガーキャストシステムで使用される従来技術による受信機を示す。
図3】欠損シーケンス番号の検出に基づくスタガーキャストシステムでの欠損パケットの復元を示す。
図4】欠損シーケンス番号の検出に基づくスタガーキャストシステムでの提示時間問題を示す。
図5】欠損シーケンス番号の検出に基づくスタガーキャストシステムでの提示時間問題を示す。
図6】ブロードキャストシステムで使用される例示的なトランスポートスタックを示す。
図7】本発明の原理によるデバイスの例示的な実施形態を示す。
図8】本発明の原理による受信機の例示的な実施形態を示す。
図9】本発明の原理による受信機で使用される例示的なフローチャートを示す。
図10】本発明の原理によるスタガーキャストシステムでの欠損パケットの復元を示す。
図11】本発明の原理による受信機で使用される例示的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の概念以外、図に示される要素は周知であり、詳細には説明しない。例えば、テレビジョンブロードキャスト、受信機、及びビデオ符号化はよく知られているものと仮定し、本明細書では詳細に説明しない。したがって、本発明の概念以外、ATSC(Advanced Television Systems Committee)及びデジタルビデオブロードキャスティング(DVB:Digital Video Broadcasting)、例えば、デジタルビデオブロードキャスティング-テレストリアル(DVB-T2:Digital Video Broadcasting - Terrestrial)等のテレビジョン(TV)規格への現在及び提案されている推奨はよく知られていると仮定する。さらに、本発明の概念以外、FLUTE(File Deliver over Unidirectional Transport)プロトコル、ユーザデータグラムプロトコル(UDP:User Datagram Protocol)、非同期階層符号化(ALC:Asynchronous Layered Coding)プロトコル、インターネットプロトコル(IP)、及びインターネットプロトコルエンキャプスレータ(IPE:Internet Protocol Encapsulator)等のプロトコルもよく知られているものと仮定し、プロトコルについては本明細書で説明しない。同様に、トランスポートビットストリームを生成するフォーマット及び符号化方法(MPEG-2システム規格(Moving Picture Expert Group (MPEG)-2 Systems Standard)(ISO/IEC13818-1))も周知であり、本明細書で説明しない。本発明の概念が、従来のプログラミング技法を使用して実施することが可能であり、したがって、プログラミング技法について本明細書で説明しないことにも留意されたい。最後に、図中の同様の符号は同様の要素を表す。
【0014】
上述したように、スタガーキャストの修正能力を改善する必要がある。特に、本発明の原理によれば、受信機は、メインストリームからのパケットの配信時間を推定し、メインストリームからのパケットが推定配信時間に受信されない場合、受信機は、スタガーストリームからの対応するパケットを代用する。その結果、受信機が欠損シーケンス番号の検出まで待つ必要がないため、損失をより素早く検出することができ、したがって、受信機は、ユーザがサービス品質の損失を受けないように、様々なシステム(及び様々なタイプのトランスポートスタック)にわたり提示時間に対応することができる。
【0015】
つぎに図7を参照して、本発明の原理によるデバイス200の例示的な実施形態を示す。デバイス200は、ハンドヘルド、モバイル、又は備え付けのいずれでもよく、任意のプロセッサベースのプラットフォームを表す。例えば、PC、サーバ、セットトップボックス、個人情報端末(PDA)、携帯電話、モバイルデジタルテレビジョン(DTV)、DTV等である。これに関して、デバイス200は、メモリ(図示せず)が関連付けられた1つ又は複数のプロセッサを含む。デバイス200は、受信機205及びディスプレイ290を含む。受信機205は、復元処理のためにスタガーキャストを使用する送信信号121(送信媒体、例えば、ブロードキャスト、インターネット等は図7に示されていない)、例えば、ビデオコンテンツを見るためにディスプレイ290に適用されるビデオ信号206を受信する。本発明の原理によれば、受信機205は、欠損配信時間に基づいて欠損の可能性があるパケットを検出する。
【0016】
つぎに受信機205について説明する。図8に、本発明の原理による受信機205の例示的な部分を示す。本発明の概念に関連する部分のみが示される。受信機205は、プロセッサベースのシステムであり、図8において破線枠の形態で示されるプロセッサ390及びメモリ395で表されるような、1つ又は複数のプロセッサ及び関連付けられたメモリを含む。この状況では、コンピュータプログラム又はソフトウェアは、メモリ395に記憶され、プロセッサ390により実行され、例えば、スタガーキャスト選択器255を実施する。プロセッサ390は、1つ又は複数のストアドプログラム制御プロセッサを表し、これらは受信機機能に専用である必要はなく、例えば、プロセッサ390は受信機205の他の機能を制御することもできる。メモリ395は、任意の記憶装置、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)等を表し、受信機205の内部及び/又は外部であり得、必要に応じて揮発性及び/又は不揮発性である。
【0017】
受信機205は、デマルチプレクサ(demux)150、スタガーキャスト選択器255、及びデコーダ160を含む。本発明の概念に関連する部分のみが示される。送信ストリーム(ブロードキャストやインターネット等の送信媒体等は、図8に示されていない)はデマルチプレクサ150により受信され、デマルチプレクサ150は、受信した送信ストリーム121を逆多重化し、メインストリーム151及びスタガーストリーム152を生成する。したがって、物理的中断に起因して損失が生じる場合、スタガーキャスト選択器255が、スタガーストリーム152からのデータをメインストリーム151に挿入することにより、受信機側で修正を行うことができる。特に、本発明の原理によれば、スタガーキャスト選択器255は、メインストリームからのパケットの配信時間を推定し、メインストリームからのパケットが推定配信時間に受信されない場合、受信機は、スタガーストリームからの対応するパケットを代用する(更に後述する)。スタガーストリーム152からのパケットは先に受信されたため、スタガーキャスト選択器255は、スタガーストリーム152からの正確なパケットをメインストリーム151での欠損パケットのために挿入し、出力信号256をデコーダ160に提供する。デコーダ160は、復号されたストリーム161を生成し、復号化ストリーム161は、複数の楕円形325で表される受信機205の他の回路(図示せず)により処理されて、そこから、図7のディスプレイ290を介してユーザに提示されるビデオ信号206を復元する。その結果、受信機は、欠損シーケンス番号の検出まで待つ必要がないため、損失の可能性をより素早く検出することができ、したがって、受信機は、ユーザがQoSでの損失を受けないように、様々なシステム(及び様々なタイプのトランスポートスタック)にわたる提示時間に対応することができる。
【0018】
つぎに図9を参照して、本発明の原理による受信機205で使用される例示的なフローチャートを示す。ステップ405において、スタガーキャスト選択器255は、2つの連続パケットの実際の配信時間の関数として、パケットの配信時間を推定する。スタガーストリーム252又はメインストリーム151の何れかを使用することができる。例えば、図10を参照すると、スタガーストリーム152中のパケット「N Stg」及び「N+1 Stg」を使用して、これら両方のパケットを受信してからのつぎのパケットの配信時間を推定することができる。この例では、推定配信時間は、
D=TDN+1 Stg-TDN Stg (1)
であり、式中、TDN+1 Stg及び「TDN Stg」は、各スタガーキャストパケットの配信時間である。TDN+1 Stg及びTDN Stg図10に明示的に示されていないが、スタガーストリーム152中の位置が示され、したがって、配信時間も示されることに留意されたい。図9に戻ると、スタガーキャスト選択器255はつぎに、ステップ410において、配信時間Dを使用して、損失をチェックする。ステップ405は、連続して実行したり、定期的に実行したり等できることに留意されたい。ステップ405のポイントは、配信時間の推定Dが、ステップ410により表される損失チェックで使用するために特定されることである。さらに、式(1)は、単純な減算を表すが、例えば、幾つかの受信パケットにわたる平均等の統計を使用する他の方法を使用することもできる。スタガーキャスト選択器255が、ステップ405の具体的な実行で、配信時間Dを特定することができない場合、前に特定された値を引き続き使用してもよく、又はDのデフォルト値を使用してもよいことにも留意されたい。実際に、配信時間Dを特定する他の方法を使用することもでき、単純にスタガー遅延Dを使用することもできるが、これに限定されない。
【0019】
つぎに図11を参照して、配信時間の推定Dを使用して損失をチェックする例示的なフローチャートを示す。最新のパケット(ここでは、図10においてパケット「N-1」(22)で表される)をプッシュした後、スタガーキャスト選択器255は、ステップ505において、最新のパケットの配信時間から待機時間「W」だけ待機して、パケットストリームに損失があるか否かを判断する。この例では、待機時間Wは、
W=D+M (2)
により決定され、式中、Dは推定配信時間であり(図9のフローチャートに関して上述したように特定される)、Mはマージンであり、メインストリームでパケットNをなお受信するチャンスを与える。しかし、Mはゼロに設定することができる。待機時間Wは、図10では、「スタガーキャスト選択器出力時間」軸の真上に例示的に示されている。待機時間Wが、最新受信パケットの配信時間であるTDN-1から経過した後、スタガーキャスト選択器255は、時間「TDN-1+W」において、パケット、この例では「N」がステップ510において受信されたか否かをチェックする。メインストリーム151からのパケット「N」が受信された場合、スタガーキャスト選択器255は、ステップ515において、パケット「N」をメインストリーム151からプッシュする。しかし、メインストリーム151からのパケット「N」が受信されなかった場合、スタガーキャスト選択器255は、ステップ520において、スタガーストリーム152からのパケット「N STG」をプッシュする。これは図10に示され、ここで、(破線枠で表されるように)メインストリームからのパケット「N」は受信されなかったため、待機時間Wが満了した後、この時点で、パケット「N」の損失が仮定され、図10において「スタガーキャスト選択器出力時間」軸の下に示されるように、スタガーストリーム152からのパケット「N Stg」が、パケット「N」の所要提示時間TP(15)に先立ってプッシュされる。したがって、本発明の原理によれば、受信機は、欠損シーケンス番号の検出まで待つ必要がないため、損失をより素早く検出することができ、したがって、受信機は、ユーザがQoSでの損失を受けないように、様々なシステム(及び様々なタイプのトランスポートスタック)にわたり提示時間に対応することができる。
【0020】
同じように、例えば、メインストリーム151からのパケット「N」及び「N+1」が損失される図5に示される場合のように、損失がより長い場合、スタガーキャスト選択器255は、同じ手法を続くパケット「N+1」に使用することができる。この場合、TDNは単に(TDN-1+D)により提供され、スタガーキャスト選択器255は、待機時間Wだけ待機してから期限切れし、図11でパケット「N」に関して説明した手法と同じように、時間(TDN+W)においてパケット「N+1」が損失されるか否かを判断する。
【0021】
上記に鑑みて、上記は単に、本発明の原理が任意のスタガーキャストベースのシステムに適用されることを示しており、したがって、当業者が、本明細書に明示的に記載されていないが、本発明の原理を実施し、本発明の範囲内にある多くの代替の構成を交換可能なことが理解される。例えば、時間推定を特定するスタガーキャスト選択器に関連して示されているが、これは、構造的に、又は実行されるソフトウェアの異なる部分にある受信機の別の部分により特定することもできる。さらに、別個の機能要素に関連して示されているが、これらの機能要素は、1つ又は複数の集積回路(IC)で実施し得る。同様に、別個の要素として示されているが、任意又は全ての要素は、例えば図9及び図11等に示されるステップの1つ又は複数に対応する関連付けられたソフトウェアを実行するデジタル信号プロセッサ等のストアドプログラムプロセッサにより実施し得る。さらに、図の幾つかは、要素が一緒にまとめられていることを示唆し得るが、本発明の概念はそのように限定されず、例えば、図7のデバイス200の要素は、それらの任意の組合せで異なるユニットに分散し得る。例えば、図7の受信機205は、ディスプレイ290等を組み込んだ、デバイス又はボックスとは物理的に別個のセットトップボックス等のデバイス又はボックスの一部であり得る。したがって、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の範囲から逸脱せずに、多くの変更を例示的な実施形態に対して行うことができ、他の構成を考案し得ることを理解されたい。
[付記1]
スタガーキャスト受信機で使用される方法であって、
少なくとも2つのパケットストリームを含むスタガーキャストコンテンツを受信することであって、1つのパケットストリームはメインストリームであり、前記コンテンツの提示に使用され、他のパケットストリームはスタガーストリームであり、前記スタガーストリームは前記メインストリームの前に受信される、受信することと、
前記メインストリームからのパケットの配信時間を推定することと、
前記メインストリームからの前記パケットが前記推定された配信時間に受信されない場合、前記コンテンツの提示に使用するために、前記受信したスタガーストリームからの対応するパケットを代わりに使用することと
を含む、方法。
[付記2]
前記推定された配信時間は、前に受信した2つの連続パケットの配信時間を減算することにより定められる値を使用する、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記前に受信した2つの連続パケットは、両方が前記メインストリーム又は前記スタガーストリーム内にある、付記2に記載の方法。
[付記4]
前記推定された配信時間は、待機時間の追加を含む、付記2に記載の方法。
[付記5]
前記値は、減算の数の平均をとることにより定められる、付記2に記載の方法。
[付記6]
前記値は、スタガーキャスト遅延と相関する、付記2に記載の方法。
[付記7]
前記受信することは、前記受信したスタガーキャストコンテンツを逆多重化して、前記メインストリーム及び前記スタガーストリームを生成することを含む、付記1に記載の方法。
[付記8]
少なくとも2つのパケットストリームを含むスタガーキャストコンテンツを受信する受信機であって、1つパケットストリームはメインストリームであり、前記コンテンツの提示に使用され、他のパケットストリームはスタガーストリームであり、前記スタガーストリームは前記メインストリームの前に受信される、受信機と、
前記メインストリームからのパケットの配信時間を推定し、前記メインストリームからの前記パケットが前記推定された配信時間に受信されない場合、前記コンテンツの提示に使用するために、前記受信したスタガーストリームからの対応するパケットを代わりに使用するように構成されたプロセッサと
を含む、装置。
[付記9]
前記推定された配信時間は、前に受信した2つの連続パケットの配信時間を減算することにより定められる値を使用する、付記8に記載の装置。
[付記10]
前記前に受信した2つの連続パケットは、両方が前記メインストリーム又は前記スタガーストリーム内にある、付記9に記載の装置。
[付記11]
前記推定された配信時間は、待機時間の追加を含む、付記9に記載の装置。
[付記12]
前記値は、減算の数の平均をとることにより定められる、付記9に記載の装置。
[付記13]
前記値は、スタガーキャスト遅延と相関する、付記9に記載の装置。
[付記14]
前記受信機は、前記受信したスタガーキャストコンテンツを逆多重化して、前記メインストリーム及び前記スタガーストリームを生成するデマルチプレクサを含む、付記8に記載の装置。
[付記15]
前記プロセッサは、前記メインストリームのパケット及び前記スタガーストリームのパケットから、提示するパケットを選択するスタガーキャスト選択器を実現する、付記8に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11