(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】配電グリッドを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20220427BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20220427BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
H02J3/00 130
H02J3/00 170
H02J3/14
H02J13/00 311T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017141545
(22)【出願日】2017-07-21
【審査請求日】2020-07-08
(32)【優先日】2016-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508161584
【氏名又は名称】エービービー・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】ABB S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Vittor Pisani, 16, I-20124, MILANO, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フィディガッティ, アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】モナケージ, ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】シルベストロ, フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】アディノルフ, フランチェスコ
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0028671(US,A1)
【文献】国際公開第2013/135296(WO,A1)
【文献】米国特許第05414640(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/14
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電グリッド(100)を制御する方法(1)であって、前記配電グリッドは、変更可能な
電力の設定点を有する一又は複数の第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)を含み、前記方法は下記のステップ:
- 前記配電グリッドの所定の観測電気ノード(P
CC)において前記配電グリッドの
電力消費が観測される観測時間ウインドウ(T
OW)が終了する瞬間(t
E)における前記配電グリッドの
電力消費目標値(E
CTV)を決定するステップ(3)を含み、
前記第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の設定点を制御するための制御手順(40)を実行するステップ(4)を含むことを特徴とし、前記制御手順は下記のステップ:
- 前記観測時間ウインドウ(T
OW)内のチェックの瞬間(t
C)における前記配電グリッドの一又は複数の検出された電気量に関する入力データ(D
IN)を取得するステップ(401)と、
- 前記チェックの瞬間(t
C)において、前記観測電気ノード(P
CC)における
電力消費測定値(E
CMV)を計算するステップ(402)と、
- 前記観測時間ウインドウ(T
OW)が終了する瞬間(t
E)における前記配電グリッドの
電力消費予測値(E
CFV)を計算するステップ(403)と、
- 前記第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の一又は複数の設定点を変更するための
過負荷保護の介入の介入基準が前記チェックの瞬間(t
C)において満たされたか否かをチェックするステップ(404、406)と、
- 前記介入基準が満たされない場合、前記第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の設定点を
対応する既定値に変えずに維持するステップ(405、407)と、
- 前記介入基準が満たされた場合、前記
電力消費予測値(E
CFV)が前記
電力消費目標値(E
CTV)に対する第1の収束基準を満たすか否かをチェックするステップ(408)と、
- 前記
電力消費予測値(E
CFV)が前記第1の収束基準を満たす場合、前記第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の設定点を変えずに維持するステップ(409)と、
- 前記
電力消費予測値(E
CFV)が前記第1の収束基準を満たさず、前記第1のグリッド素子の設定点が前記チェックの瞬間(t
C)の前に変更されていない場合、下記のステップ:
-
前記観測時間ウインドウ(T
OW
)が終了する前の残留時間間隔(t
E
-t
C
)において前記
電力消費目標値(E
CTV)に達するために前記配電グリッドに要求される電力変動値(△P
REQ)を計算するステップ(410)と、
- 一又は複数の第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)に対して、△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ(411)と、
- 前記配電グリッドに対して、前記△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ(412)と、
- 前記配電グリッドの
前記△P-r基準系の前記特性曲線において、前記チェックの瞬間(t
C
)に計算された要求される電力変動値(△P
REQ
(t
C
))に対応する優先順位の値である優先レベル(λ)を計算するステップ(413)と、
- 一又は複数の第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の設定点を変更するための制御信号(CON)であって、前記配電グリッドに対して計算された優先レベル(λ)を示す情報を含む制御信号(CON)を供給するステップ(414)と
を実行すること
を含
み、
前記第1の収束基準は、前記電力消費予測値(E
CFV
)が第1の許容域TR1内であることであり、
前記△P-r基準系において、前記設定点が変更されることによる前記第1のグリッド素子(CD
1
、...、CD
N
)又は前記配電グリッドによって供給されうる電力の変動が前記設定点に割り当てられた優先順位の関数として表される、方法。
【請求項2】
前記
電力消費予測値(E
CFV)が前記第1の収束基準を満たさず、前記第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の設定点が前記観測時間ウインドウ(T
OW)内ですでに変更されている場合、前記制御手順(40)が下記のステップ:
- 前記
電力消費予測値(E
CFV)が前記
電力消費目標値(E
CTV)に対して
前記第1の収束基準とは異なる第2の収束基準を満たすか否かをチェックするステップ(415)と、
- 前記
電力消費予測値(E
CFV)が前記第2の収束基準を満たす場合、前記第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の設定点を変えずに維持するステップ(416)と、
- 前記
電力消費予測値(E
CFV)が前記第2の収束基準を満たさない場合、下記のステップ:
- 前記
電力消費目標値(E
CTV)に達するために前記配電グリッドに要求される電力変動値(P
REQ)を計算するステップ(417)と、
- 一又は複数の第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)に対して、
前記△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ(418)と、
- 前記配電グリッドに対して、
前記△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ(419)と、
- 前記配電グリッドの
前記優先レベル(λ)を計算するステップ(420)と、
- 一又は複数の第1のグリッド素子(CD
1、...、CD
N)の設定点を変更するための制御信号(CON)を提供するステップ(421)であって、前記制御信号は、前記配電グリッドに対して計算された優先レベル(λ)を示す情報を含む、提供するステップ(421)と
を実行すること
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記介入基準が満たされたか否かをチェックする前記ステップが、下記のステップ:
- 前記チェックの瞬間(t
C)が
、前記観測時間ウインドウ(T
OW)に含まれる
介入が禁止された禁止時間ウインドウ(T
HW)内にあるか否かをチェックするステップ(404)と、
- 前記チェックの瞬間(t
C)が所定の介入期間(△T
I)の倍数であるか否かをチェックするステップ(406)と
を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記
電力消費測定値(E
CMV)は、前記配電グリッドの一又は複数の電気量に関する平均値(A)に基づいて計算され、前記平均値は前記入力データ(D
IN)に基づいて計算されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記観測時間ウインドウ(T
OW)が終了する瞬間(t
E)における前記配電グリッドの優先レベル(λ)を設定するステップ(5)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記観測時間ウインドウ(T
OW)が終了する瞬間(t
E)において、前記第1のグリッド素子の一又は複数の設定点を対応する
既定値に設定するために、制御信号(CON)を生成するステップ(6A)を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記観測時間ウインドウ(T
OW)が終了する瞬間(t
E)において、前記第1のグリッド素子の設定点を変えずに維持するステップ(6B)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記観測時間ウインドウ(T
OW)が、
電力を前記配電グリッド(100)
へ供給する電気エネルギー供給者によって用いられるエネルギー支払請求期間に対応する継続期間を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記配電グリッド(100)が、
前記配電グリッド(100)の動作中に介入することができない変更不能な設定点を有する一又は複数の第2のグリッド素子(UD
1、...、UD
M)を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
記憶媒体に保存され、又は保存可能であり、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(1)を実行するためのソフトウェア命令を含むことを特徴とする、コンピュータプログラム(350)。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(1)を実行するためのソフトウェア命令を実行するように構成された処理リソースを含むことを特徴とする、コンピュータ化されたデバイス(300)
【請求項12】
配電グリッド(100)を制御するための制御装置(200)であって、請求項11に記載のコンピュータ化されたデバイス(300)を備えることを特徴とする、制御装置(200)。
【請求項13】
請求項11に記載のコンピュータ化されたデバイス(300)を含むことを特徴とする、配電グリッド(100)。
【請求項14】
請求項11に記載のコンピュータ化されたデバイス(300)を含むことを特徴とするブレーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電グリッドを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、現在の配電グリッドは通常、主に互いに独立して負荷又は発電機として動作する膨大な量の異なる電気装置を備える。
これら電気装置の動作の協調性喪失によりどのように、高ピークの電力消費量が引き起こされうるかは経験上分かっており、これは時間が経つにつれてかなり可変でありうる。
【0003】
制御されていない電力消費レベルの上昇は、配電グリッドの故障、及び/又は過負荷保護装置の介入につながり、これに関連して起こりうるユーザの不快感が伴いうる。
更に、制御されていない電気エネルギー需要の増加により、電気エネルギー供給者へ高い罰金を支払う負担が生じうる。
【0004】
配電グリッドの消費挙動を能動的に管理するために現在利用可能な制御方法では、満足のいく性能が得られない。
一般にこれらの制御方法は、幾つかの不利点を被る、既定の電力平均分配スキーム(例:負荷制限スキーム)の適応に基づくものである。
【0005】
これらは主に、負荷遮断の基礎として即時測定を適応する、すなわち、電力消費量が固定閾値を超えたときすぐに、電気負荷を遮断する。これにより、モータ始動時等の過渡電流の場合に、電気負荷の不必要な遮断が起こりうる。
更に、現在利用可能な制御方法は多くの場合、局所レベルで電気エネルギーを供給する発電機(例:バッテリ、光起電システム、太陽光発電システム、風力発電システム、ディーゼル発電システム等)が取り付けられた配電グリッドの消費挙動を管理するのに不適切であることが分かっている。
【0006】
更に、現在利用可能な制御方法は一般に、最近の配電グリッドに取り付けられた電気負荷又は発電機のほとんどが、時が経つにつれ動的に変化しうる設定点を有する事実を余すところなく利用するようには適応されていない。
従って市場では、配電グリッドの消費挙動の効果的な管理を提供することができ、これにより、望ましくない過負荷保護の介入、及びエネルギー供給者へ罰金を支払う負担を回避する又は軽減する制御方法の需要がいまだ感じられる。
【発明の概要】
【0007】
この必要に応えるために、本発明は、下記の請求項1及び関連の従属請求項に係る配電グリッドを制御するための方法を提供する。
一般的定義では、本発明は、可変の設定点を有する一又は複数の第1のグリッド素子を備える配電グリッドを制御するための方法に関する。
【0008】
本発明に係る方法は、観測時間ウインドウが終了する瞬間に配電グリッドの消費目標値を決定するステップであって、観測時間ウインドウにおいて、前記配電グリッドの所定の観測電気ノードにおける前記配電グリッドの消費が観測されるステップを含む。
本発明に係る方法は、前記第1のグリッド素子の設定点を制御するための制御手順を実行するステップを含む。
【0009】
本発明によれば、前記制御手順は以下のステップ:
- 前記観測時間ウインドウ内のチェックの瞬間における前記配電グリッドの一又は複数の検出された電気量に関する入力データを取得するステップ、
- 前記チェックの瞬間の前記観測電気ノードにおける消費の測定値を計算するステップ、
- 前記観測時間ウインドウが終了する瞬間における前記配電グリッドの消費予測値を計算するステップ、
- 前記第1のグリッド素子の一又は複数の設定点を変更するための介入基準が前記チェックの瞬間に満たされたか否かをチェックするステップ、
- 前記介入基準が満たされていない場合、前記第1のグリッド素子の設定点を変更せずに維持するステップと、
- 前記介入基準が満たされた場合、消費予測値が、消費目標値に対して第1の収束基準を満たすか否かをチェックするステップと、
- 消費予測値が前記第1の収束基準を満たした場合、前記第1のグリッド素子の設定点を変更せずに維持するステップと、
- 前記消費予測値が前記第1の収束基準を満たしておらず、前記第1のグリッド素子の設定点が前記チェックの瞬間の前に変更されていない場合に、以下のステップ:
- 前記消費目標値に達するために前記配電グリッドに要求される電力変動値を計算するステップと、
- 一又は複数の第1のグリッド素子に対して、△P-r基準系での特性曲線を計算するステップと、
- 前記配電グリッドに対して、前記△P-r基準系での特性曲線を計算するステップと、
- 前記配電グリッドの優先レベルを計算するステップと、
- 一又は複数の第1のグリッド素子の設定点を変更するために、前記配電グリッドに対して計算された優先レベルを示す情報を含む制御信号を供給するステップと
を実行させるステップと
を含む。
【0010】
前記消費予測値が前記第1の収束基準を満たさず、前記第1のグリッド素子の設定点が前記観測時間ウインドウ内ですでに変更されている場合、前記制御手順(40)が以下のステップ:
- 前記消費予測値が、前記消費目標値に対して第2の収束基準を満たすか否かをチェックするステップ、
- 前記消費予測値が前記第2の収束基準を満たす場合、前記第1のグリッド素子の設定点を変更せずに維持するステップ、
- 前記消費予測値が前記第2の収束基準を満たさない場合、前記以下のステップ:
- 前記消費目標値に達するために要求される前記配電グリッドの電力変動値を計算するステップ、
- 一又は複数の第1のグリッド素子に対して、△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ、
- 前記配電グリッドに対して、前記△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ、
- 前記配電グリッドの優先レベルを計算するステップ、
- 一又は複数の第1のグリッド素子の設定点を変更するために、前記配電グリッドに対して計算された優先レベルを示す情報を含む制御信号を供給するステップ
を実行させるステップ
を含むことが好ましい。
【0011】
前記介入基準が満たされたか否かをチェックする前記ステップが、以下のステップ:
- 前記チェックの瞬間が、前記観測時間ウインドウに含まれる禁止時間ウインドウ(THW)内であるか否かをチェックするステップ、
- 前記チェックの瞬間が既定の介入期間の倍数であるか否かをチェックするステップ
を含むことが好ましい。
【0012】
前記消費の測定値が、前記配電グリッドの一又は複数の電気量に関連する平均値を基に計算され、前記平均値は前記入力データを基に計算されることが好ましい。
本発明に係る方法は、前記観測時間ウインドウが終了する瞬間において前記配電グリッドの優先レベルを設定するステップを含むことが好ましい。
【0013】
本発明に係る方法は、前記観測時間ウインドウが終了する瞬間の対応する既定値に前記第1のグリッド素子の一又は複数の設定点を設定するために制御信号を生成するステップ、又は前記観測時間ウインドウが終了する瞬間の前記第1のグリッド素子の設定点を変更せずに維持するステップを含むことが好ましい。
前記観測時間ウインドウが、前記配電グリッドに適応したエネルギー支払請求期間に対応する持続期間を有することが好ましい。
【0014】
本発明に係る方法は、後続の既定の時間ウインドウにわたって配電グリッドの消費を制御するために、配電グリッドの構成の協調管理を提供する。
具体的には、本発明に係る方法は、取り付けられたグリッド素子の設定点を動的に、また適応的に管理して、前記後続の既定の時間ウインドウにわたって最適な消費目標を達成することを可能にする。
【0015】
本発明に係る方法は、配電グリッドの動作条件に従って簡単に調節及び適応可能な消費管理基準を適応する。
更なる態様では、本発明は下記の請求項11に記載のコンピュータプログラムに関するものである。
【0016】
更なる態様では、本発明は下記の請求項12に記載のコンピュータ化装置に関するものである。
更なる態様では、本発明は下記の請求項13に記載の制御装置に関するものである。
更なる態様では、本発明は、下記の請求項14に記載の回路遮断器(例:配線用遮断器又は気中遮断器)に関するものである。
本発明の更なる特徴及び利点は、単なる例示として非限定的に添付の図面に示す、好ましいが非限定的な実施形態の説明からより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る配電グリッドと、配電グリッドの制御装置とを示す概略図である。
【
図9A】本発明に係る方法を概略的に示す図である。
【
図9B】本発明に係る方法を概略的に示す図である。
【
図10A】本発明に係る方法を概略的に示す図である。
【
図10B】本発明に係る方法を概略的に示す図である。
【
図11A】本発明に係る方法を概略的に示す図である。
【
図11B】本発明に係る方法を概略的に示す図である。
【
図12】本発明に係る方法を概略的に示す図である。
【0018】
言及した図面を参照すると、本発明は、低又は中間電圧の配電グリッド100を制御するための方法1に関するものである。
本発明のフレームワーク内での「低電圧」という語は、最大1kV AC及び1.5kV DCの作動電圧に関し、「中間電圧」という語は、1kV AC及び1.5kV DCを上回る最大数十kV、例えば72kV AC及び100kV DCの作動電圧に関する。
【0019】
配電グリッド100は、比較的大きな工業用建物、商業用建物及び居住用建物又はプラント用の電気ネットワークであってよい。これは一例として、0.05MWと10MWの間の範囲に含まれる平均電力消費によって特徴づけられうる。
配電グリッド100は、例えば発電ユティリティであってよい、又は複数の同時発電システム又はプラントを含みうる電源150によって供給される。
【0020】
配電グリッド100は、電気負荷として動作するように適応された(すなわち電源150及び/又は幾つかの発電機によって供給される電気エネルギーを消費するように適応された)又は発電機として動作するように適応された(すなわち電源150及び/又は幾つかの電気負荷に電力を供給するように適応された)一又は複数のグリッド素子CD
1、...、CD
N、UD
1、...、UD
Mを含む。
図1に示すように、グリッド素子CD
1、...、CD
N、UD
1、...、UD
Mは、複数のレベル構成に従って異なるグリッドブランチに配置することができる。
【0021】
しかしながら、必要に応じて異なる構成が可能である。
配電グリッド100は、変更可能な設定点を有する、すなわち配電グリッドの動作中に変更できる設定点を有する一又は複数の第1のグリッド素子CD1、...、CDNを含む。
【0022】
配電グリッド100はまた、例えばこの配電グリッドに対して付与される管理要件又は制約のために、変更不能な設定点を有する、すなわち配電グリッドの動作中に変更できない設定点を有する一又は複数の第2のグリッド素子UD1、...、UDMも含みうる。
明快にするために、所定のグリッド素子CD1、...、CDN、UD1、...、UDMは、それ自体の特定構造又は可能な動作モードによってではなく、配電グリッド100の前記グリッド素子に対して予測される動作によって、変更可能な又は変更不能な設定点を有すると見なされうることを明記することが重要である。
【0023】
従って、原則的に異なる設定点で動作しうる所定のグリッド素子(例:発電機)は、配電グリッドの動作中100にそのグリッド素子に介入することができない場合、変更不能な設定点を有すると見なされる。
逆に、原則的に既定の設定点においてのみ動作できる所定のグリッド素子(例:オン/オフ電気負荷)は、配電グリッド100の動作中に特定要件なしに必要に応じてオン/オフの切替ができる場合、変更可能な設定点を有すると見なされる。
【0024】
これは簡単にわかりうることであるが、第1のグリッド素子CD1、...、CDNと第2のグリッド素子UD1、...、UDMは両方とも電気負荷として動作するように、あるいは発電機として動作するように適応されうる。一例として、これにはドライバ、オン/オフロード(on/off loads)、バッテリ、コンデンサバンク、電流又は電圧ジェネレータ等が含まれうる。
これらが配電グリッド100の動作中に変更可能であったとしても、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの動作設定点はいずれにしろ、技術的制約及び/又は時間的制約の影響下にあることが明らかである。
【0025】
技術的制約の例は、第1のグリッド素子の類型又は性質によって付与される技術要件である。
時間的制約の例を下記に記す。
- 電気負荷又はジェネレータの最長接続解除時間(tmax、tmin、off):このパラメータは、電気負荷又はジェネレータを配電グリッドから接続解除できる最長期間を表す。
- 電気負荷又はジェネレータの最短接続解除時間(tmax、off):このパラメータは、配電グリッドが一旦オフになると、電気負荷又はジェネレータを配電グリッドへ再接続できない最短期間を表す。
- 電気負荷又はジェネレータの最短接続時間(tmax、tmin、on):このパラメータは、配電グリッドが一旦オンになったときに、電気負荷又はジェネレータが配電グリッドへ接続される際に要求される最短期間を表す。
【0026】
これらは配電グリッド100の動作中に変更可能な設定点を有し、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点は、所定の優先順位で有利に割り当てられ得、優先順位は、変更する必要があるときに前記設定点が変更されるべき順番を示す数値(指標)である。
下記からより良くわかるように、各動作の瞬間に、各第1のグリッド素子CD1、...、CDNの動作は、△P-r基準系の特性曲線によって表すことができ、Pは、前記第1のグリッド素子の設定点が変化したときに前記第1のグリッド素子によって供給されうる電力の(正又は負)変動であり、rは、変更される前記第1のグリッド素子の設定点に割り当てられた優先順位である。
【0027】
明快にするために、本発明の枠組みにおいて、「△P-r基準系」は素子、装置又はグリッドの設定点を変更することによって素子、装置又はグリッドによって供給されうる電力の変動が、前記素子、装置又はグリッドの設定点に割り当てられた優先順位の関数として表される基準系(例:デカルトタイプの基準系)であることをここで特定する。
配電グリッド100は、電源150から/電源150で一又は複数のグリッド素子CD1、...、CDN、UD1、...、UDM又は一又は複数のグリッドブランチを接続解除する/接続するための一又は複数の制御可能なスイッチング素子B1、...、BKを有利に備える。
【0028】
スイッチング素子B1、...、BKは例えば、ブレーカ、接触器、I-Oインターフェース、通信インターフェース又はその他同様の素子を含みうる。
本発明に係る方法は、既定の観測時間ウインドウTOWにわたって、この配電グリッド100の既定の観測電気ノードPCCにおいて配電グリッド100の消費を制御することを提供する。
【0029】
明快にするために、本発明の枠組みにおいて、「消費」という語はエネルギー消費、平均電力消費、又はその他後者に等しい物理量に関するものであるべきことをここに記載し、「電力」という語は特定の必要に応じて、「有効電力」、「無効電力」又は「皮相電力」とも称されうることもここに記載する。
本発明に係る方法は、配電グリッド100の動作中に後続の観測時間ウインドウTOWにおいて循環的に実行される。
【0030】
観測電気ノードPCCは、配電グリッド100の消費活動が観測されるべき、配電グリッド100のいずれかの電気ノードである。
観測電気ノードPCCは、必要性に応じて、例えば配電グリッド100に対して要求される管理制約に従って選択されうる。
【0031】
観測時間ウインドウTOWは、観測電気ノードPCCにおける配電グリッド100の消費が観測される期間である。
観測時間ウインドウTOWは、電力を配電グリッド100へ供給する電気エネルギー供給者によって適応されるエネルギー支払請求期間(例:15分)に対応する継続期間を有することが好ましい。
【0032】
しかしながら、観測時間ウインドウTOWの持続期間は、必要に応じて選択されうる。
異なる持続期間の観測時間ウインドウTOWは従って、配電グリッド100の動作寿命の間に採用されうる。
各観測時間ウインドウTOWは、開始する瞬間tSと終了する瞬間tEを有する。
【0033】
各観測時間ウインドウTOWの開始する瞬間tSは、直前の観測時間ウインドウが終了する瞬間tEと一致するように選択されることが好ましい。
配電グリッド100の動作寿命の間に採用される、後に続く観測時間ウインドウTOWの開始する瞬間tSが、例えば一日一回等、定期的に電源100から受ける基準信号と同期することが好ましい。
【0034】
本発明によれば、方法1は、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEにおける(その観測電気ノードPCCにおける)配電グリッド100の消費目標値ECTVを決定するステップ3を含む。
消費目標値ECTVは、観測時間ウインドウTOWの終了時に配電グリッド100によって達成されるよう要求される消費レベルを表す。
【0035】
消費目標値ECTVは、配電グリッド100の進行中の動作条件に依存し、これにより1つの観測時間ウインドウTOWから別の観測時間ウインドウへ変化しうる。
消費目標値ECTVは、観測時間ウインドウTOWの間に配電グリッド100に対して要求され、例えばグリッドマネージャによって又は電気エネルギー供給者によって確立される管理制約を満たすように、有利に選択される。
【0036】
本発明によれば、方法1は、配電グリッド100の第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を制御するための制御手順40を実行するステップ4を含む。
一般的には、制御手順40は、観測時間ウインドウTOWの間の配電グリッド100の消費に応じて、配電グリッド100が前記観測時間ウインドウTOWの予測される消費目標値ECTVを達成するように、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点の調整を目的とした一連の制御ステップを含む。
【0037】
制御手順40は、観測時間ウインドウTOWに含まれる一又は複数の既定のチェックの瞬間tCで有利に実行される。
各チェックの瞬間tCは、観測時間ウインドウTOWの開始する瞬間tSから開始するために測定された、既定のサンプリング期間△TS(例:1秒)の倍数であることが好ましい。実際には、各チェックの瞬間は、tC=K1*△TSとして定義され得、ここでK1は、開始する瞬間tSから開始するためにカウントされる正の整数である。
【0038】
以下から明らかとなるように、観測時間ウインドウTOWの各チェックの瞬間tCにおいて、制御手順40は、観測電気ノードPCCにおける配電グリッド100の実際の消費を測定し、配電グリッド100の実際の消費が予測される消費目標値ECTVに適合するか否かをチェックし、消費目標値ECTVを達成するのに必要である場合に、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更するために制御信号CONを供給することを提供する。
以下からより明らかとなるように、本発明によれば、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの任意の可能な介入が、制御手順40が実行されるチェックの瞬間tCが観測時間ウインドウTOWに含まれる既定の禁止時間ウインドウTHWに含まれないとき、及び前記チェックの瞬間が、観測時間ウインドウTOWの開始する瞬間tSから開始するために測定された既定の介入期間△TI(例:60秒)の倍数であるときのみに起こる。
【0039】
制御手順40を以下に説明する。
本発明によれば、制御手順40は、観測時間ウインドウTOWに含まれるチェックの瞬間tcにおける配電グリッドの一又は複数の検出電気量に関する入力データDINを取得するステップ401を含む。
【0040】
入力データDINは、一又は複数のグリッド素子CD1、...、CDN、UD1、...、UDMの作動に関係する任意の適切な電気量に関連し得、観測電気ノードPCCにおける配電グリッドの実際の消費を測定することが可能になる。
入力データDINは、配電グリッドの一又は複数の検出装置400(例:電圧センサ、電流センサ等)によって供給されることが好ましい。
【0041】
しかしながら、本発明の幾つかの変形例によれば、入力データDINは、配電グリッド100の一又は複数のグリッド素子CD1、...、CDN、UD1、...、UDMの作動特性を表す表またはデータベースから導出されるデータも含みうる。
本発明によれば、制御手順40は、チェックの瞬間tcにおいて、観測電気ノードPCCにおける消費測定値ECMVを計算するステップ402を含む。
【0042】
測定値ECMVの計算が、制御手順40の前のステップ401で取得した入力データDINを基にしたものであることに利点がある。
測定値ECMVは、配電グリッド100の一又は複数の電気量の平均値Aを基に計算されることが好ましい。次に、必要に応じて選択されうる適切な計算時間ウインドウにわたって(既知の種類の計算アルゴリズムに従って)移動平均の計算を実施することによって、入力データDINを基にこれらの平均値Aが計算されうる。
【0043】
観測電気ノードP
CCにおける配電グリッドの実際の消費を表す(連続的な線によって表される)曲線の概略的な例を示す
図5を参照する。上記曲線は、対応する後続のチェックの瞬間t
Cに計算された測定値E
CMVのシーケンスを概略的に示す。
本発明によれば、制御手順40は、配電グリッド100の消費予測値E
CFVを計算するステップ403を含む。消費予測値E
CFVが、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eを参照したものであることに利点がある。
【0044】
基本的に、消費予測値E
CFVは、観測電気ノードP
CCにおける配電グリッドの消費レベルの予測を表し、これは、チェックの瞬間t
Cに測定された実際の消費レベルを考慮して、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eにおける配電グリッド100によって達成される可能性が高い。
配電グリッドの(終了する瞬間t
Eにおける)消費予測を示す(点線によって提示される)曲線の概略的な例である
図5を参照する。上記曲線は、対応する後続のチェックの瞬間において計算された予測値E
CFVのシーケンスを概略的に示したものである。
【0045】
消費予測値E
CFVが、チェックの瞬間t
Cにおける配電グリッド100の実際の消費に基づいて、つまり、チェックの瞬間t
Cにおける実際の消費を示す消費測定値E
CMVに基づいて計算されることが好ましい。
一例として、各チェックの瞬間t
Cにおいて、消費予測値E
CFVは下記の関係:
に従って計算されうる。
上記式において、E
CMV(t
C)は、チェックの瞬間t
Cにおける(観測電気ノードP
CCにおける)消費測定値E
CMVであり、t
E-t
Cは、(チェックの瞬間t
Cから開始するために)観測時間ウインドウT
OWが終了する前の残留時間間隔である。
【0046】
本発明によれば、制御手順40は、一又は複数の第1のグリッド装置CD1、...、CDNの設定点を変更するための介入基準がチェックの瞬間tCにおいて満たされるか否かをチェックするステップ404、406を含む。
下記から理解することが可能になるように、前記介入基準は、制御手順40を実行するために利用可能な処理リソースを考慮した制御手順40が安定して、また正確に実行されるようにチェックされる。
【0047】
記載された介入基準は、観測時間ウインドウTOW内のチェックの瞬間tCのタイミングのみを考慮し、配電グリッドの消費活動とは関連していないことが好ましい。
前記介入基準は、チェックの瞬間tCが禁止時間ウインドウTHW以外であるべきである条件を含むことが好ましい。禁止時間ウインドウTHWは観測時間ウインドウTOWに含まれ、開始する瞬間tSから開始するように計算された既定の継続期間を有する。
【0048】
上記介入条件は、計算された予測値ECFVのシーケンスがチェックの瞬間tCにおいて十分に安定化されるように、有利にチェックされる。
前記介入基準は、チェックの瞬間tCが、観測時間ウインドウTOWが開始する瞬間tSから開始するように測定される所定の介入期間△TIの倍になるべきである条件を含むことが好ましい。
【0049】
実際には、前記介入基準は、tC=K2*△TIが成り立つ条件を含み、前記式においてK2は、開始する瞬間tSから開始するようにカウントされる正の整数である。
有利なことに、介入期間△TI(例:60秒)は、予め定められ、サンプリング期間△TSよりも長く、有利なことにサンプリング期間の倍である。
【0050】
介入期間△TIは、制御手順40のステップを実行する、具体的には第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更するために可能な制御信号を供給するように利用可能な処理リソース、に基づいて設定されることが好ましい。
上述した介入基準が満たされない場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変えずに維持することを提供する。この場合、制御手順40は終了し、制御手順40は、次のチェックの瞬間tC+△TSにおいて実行される。
【0051】
記載された介入基準が満たされた場合、制御手順40は、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEにおいて達成されるべき消費目標値ECTVに関して、チェックの瞬間tCにおいて配電グリッド100の消費活動をチェックすること(ステップ408)に進む。
介入基準が、チェックの瞬間tCが禁止時間ウインドウTHW内であるか否かをチェックするステップ404と、チェックの瞬間tCが介入期間△TIの倍数であるか否かをチェックするステップ406を含むか否かをチェックするステップが好ましい。
【0052】
本発明の好ましい実施形態(
図3)において、上述した消費予測値E
CFVを計算するステップ403の後に、制御手順40は、チェックの瞬間t
Cが禁止時間ウインドウT
HW内であるか否かをチェックするステップ404を含む。
チェックの瞬間t
Cが禁止時間ウインドウT
HW内である場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を変えずに維持するステップ405を含む。この場合、制御手順40は終了し、下記のチェックの瞬間t
C+△T
Sにおいて実行される。
【0053】
チェックの瞬間tCが禁止時間ウインドウTHW内でない場合、制御手順40は、チェックの瞬間tCが介入期間△TIの倍数であるか否かをチェックするステップ406を含む。
チェックの瞬間tCが介入期間△TIの倍数でない場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変えずに維持するステップ407を含む。この場合、制御手順40は終了し、下記のチェックの瞬間tC+△TSにおいて実行される。
【0054】
チェックの瞬間tCが介入期間△TIの倍数である場合、上記の介入基準が満たされ、制御手順40は、配電グリッド100の消費活動をチェックすること(ステップ408)へ進む。
本発明によれば、前記介入基準が満たされた場合、制御手順40は、消費予測値ECFVが消費目標値ECTVに対して第1の収束基準を満たすか否かをチェックするステップ408を含む。
【0055】
好ましくは、前記第1の収束基準によれば、チェックの瞬間tCにおける消費予測値ECFVは、下記条件:
{ECFV<=E1;ECFV>=E2}
を満たさなければならない。
上記式において、E1、E2はそれぞれ、第1及び第2の既定の境界値であり、E1>E2である。
実際には、ステップ408において、制御手順40は、消費予測値ECFVが第1の許容域TR1内であるか否かをチェックすることを提供し、第1の許容域TR1は、消費目標値ECTVに収束させる第1及び第2の既定の境界B1、B2によって定義される。
【0056】
前記既定の境界は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNに介入することなく消費目標値ECTVを達成させる最大及び最小の消費予測絶対値のシーケンスを示すものである。
第1及び第2の既定の境界B1、B2は多項式曲線として計算されることが好ましく、多項式曲線は、配電グリッドの(観測時間ウインドウTOWにおける)全体的な消費が消費目標値ECTVを上回らない限り、一又は複数の瞬間に(グリッド素子の全体数に基づいて)配電グリッドのために設定された最大消費値を(著しく)上回るように最適化される。
【0057】
前記既定の境界を、消費目標値ECTVに収束する境界線B1、B2を一致させ、消費目標値E
CTVを観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eに交差させることによって概略的に示す
図5~8を参照する。
図6を参照すると、消費予測値E
CFVが下記条件:
{E
CFV>E1;E
CFV>E2}
を満たす状況が示されている。
【0058】
この条件は、上述の第1の収束基準を満たさない。従って、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEに消費目標値ECTVに達するように、一又は複数の第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更することが必要になる。
より具体的には、消費予測値ECFVが第1の許容域TR1に対して高すぎると、観測時間ウインドウTOWが終了する前に残留時間間隔tE-tCにおける配電グリッドの消費が削減するように、一又は複数の第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更することが必要になる。
【0059】
消費予測値E
CFVが以下の条件:{E
CFV<E1;E
CFV>E2}を満たす状況を示す
図7を参照する。
この条件は、上述の第1の収束基準を満たす。従って、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eに消費目標値E
CTVに達するように、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を変更することは不必要になる。
【0060】
消費予測値E
CFVが以下の条件{E
CFV<E1;E
CFV<E2}を満たす状況を示す
図8を参照する。
この条件は、上述の第1の収束基準を満たさない。従って、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eにおいて消費目標値E
CTVに達するように、一又は複数の第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を変更することが可能になる。
【0061】
より具体的には、消費予測値ECFVが第1の許容域TR1に対して低すぎると、観測時間ウインドウTOWが終了する前に残留時間間隔tE-tCにおける配電グリッドの消費が増加するように、一又は複数の第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更することが可能になる。
本発明によれば、上記第1の収束基準が計算された消費予測値ECFVによって満たされた場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変えずに維持するステップ409を含む。この場合、制御手順40は終了し、次のチェックの瞬間tC+△TSに実行されることになる。
【0062】
本発明によれば、上記の第1の収束基準が、計算された消費予測値ECFVによって満たされない場合、制御手順40は、チェックの瞬間tCの前の観測時間ウインドウTOWの間に第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点がすでに変更されているか否かにより、異なるシーケンスのステップを提供することが好ましい。
本発明によれば、上記の第1の収束基準が計算された消費予測値ECFVによって満たされず、チェックの瞬間tCの前の観測時間ウインドウTOWの間に少なくとも1回もまだ第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点が変更されていない場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更するための第1のシーケンスのステップ410-414を含む。
【0063】
上述した第1のシーケンスのステップによれば、制御手順40は、観測時間ウインドウT
OWが終了する前の残留時間間隔t
E-t
Cにおいて消費目標値E
CTVに達するために配電グリッドに要求される、要求電力変動値△P
REQを計算するステップ410を含む。
要求電力変動値△P
REQは、消費目標値E
CTVに達するために観測電気ノードP
CCにおいて消費されるべき有効電力を表すことが好ましい。
一例として、各チェックの瞬間t
Cにおいて、下記関係:
に従って要求電力変動値△P
REQを計算することができる。上記式において、E
CFV(t
C)は、チェックの瞬間t
Cにおいて計算された消費予測値であり、t
E-t
Cは、観測時間ウインドウT
OWが終了する前の残留時間間隔である。
【0064】
消費予測値E
CFVが第1の許容域TR1に対して高すぎるときの要求電力変動値△P
REQは、正になることが分かっている(
図6)。実際、この場合、配電グリッド100の消費を削減して、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eに消費目標値E
CTVに達するように、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を変えることが可能である。
一方で、消費予測値E
CFVが第1の許容域TR1に対して低すぎるときの要求電力変動値△P
REQは、負である(
図6)。実際、この場合、配電グリッド100の消費を増加して、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eに消費目標値E
CTVに達するように、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を変える必要がある。
【0065】
上述した第1のシーケンスのステップによれば、制御手順40は、一又は複数の第1のグリッド素子CD1、...、CDNに対して、△P-r基準系の特性を計算するステップ411を含み、Pは、電力の利用可能な変数であり、rは、前記第1のグリッド素子の設定点に割り当てられた優先順位である。
△P-r基準系の上述した特性曲線は、チェックの瞬間tCにおいて活動している第1のグリッド素子CD1、...、CDNについてのみ計算される。
【0066】
明快にするために、ここで、グリッド素子は、いかなる理由においても配電グリッド100から接続解除されず、完全に動作しうるときに「活動している」と見なされると述べておく。
制御手順40のステップ411は、各チェックの瞬間tCにおいて、各第1のグリッド素子CD1、...、CDNの動作が、(前記第1のグリッド素子の設定点が変更されるときの)前記第1のグリッド素子の利用可能な(正又は負の)電力の変動△Pを前記第1のグリッド素子の設定点に割り当てられた優先順位rの関数として表す特性曲線によって提示されうる、上述した状況に基づくものである。
【0067】
所定の第1のグリッド素子の特性曲線は、前記第1のグリッド素子の観測時間ウインドウTOWの開始する瞬間tSにおいて確立された設定点に基づいて、また前記第1のグリッド素子に対して確立された技術的制約及び時間的制約に基づいて、計算されうる。
一例として、発電機の特性曲線は、観測時間ウインドウTOWが開始する瞬間tSに対して設定された出力、前記発電機に対して予測される最大出力、及び前記発電機がそれ自体の出力を供給し調整しうる設定点調整レベルの数に基づいて計算されうる。
【0068】
好ましくは、第1のグリッド素子に対して計算された特性曲線は、ΔPi(r)=Ai+Birとして定義されうる線形関数であり、上記式において、係数Ai、Biは、第1のグリッド素子に対して確立された設定点、技術的制約及び時間的制約によって変わる。
本発明の実際の実装態様では、第1のグリッド素子CD1、...、CDNに対して計算された特性曲線は、記憶媒体に記憶されうる値の表から有利に構成されうる。
【0069】
一般的なチェックの瞬間において一般的な第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの特性曲線の一例を、
図11A~11Bに概略的に提示する。
コンベンションとして、「ジェネレータコンベンション」は、言及した図面に示す曲線に適応される。しかしながら、反対の「ロードコンベンション」が適応可能である。
【0070】
図11Aに、電力の正変動の一般的なチェックの瞬間における、一般的な第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの特性曲線を示す。
図11Bに、電力の負変動の一般的なチェックの瞬間における、一般的な第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの特性曲線を示す。
【0071】
上記から簡単に理解できるように、各第1のグリッド素子CD1、...、CDNの△P-r基準系の特性曲線は、前記第1のグリッド素子の動作条件によって1つのチェックの瞬間から別の瞬間へ変化しうる。
更に、前記特性曲線は、前記第1のグリッド素子の種類によって、すなわち前記第1のグリッド素子がドライバ、オン/オフロード、バッテリ、コンデンサバンク、電流又は電圧発生器等であるか否かによって変化しうる。
【0072】
上述した第1のシーケンスのステップによれば、制御手順40は、配電グリッド100の△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ412を含む。
制御手順40のステップ412は、各チェックの瞬間tCにおいて、配電グリッド100の動作が△P-r基準系の特性曲線によって表されうる事実に基づくものである。この場合、△Pは第1のグリッド素子CD1、...、CDN(好ましくはチェックの瞬間tCにおいて活動している第1のグリッド素子CD1、...、CDN)の設定点を変えることによる、配電グリッド100の利用可能な(正又は負の)電力の変動であり、rは配電グリッド100に割り当てられた優先順位である。
【0073】
△P-r基準系の配電グリッド100の特性曲線は、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
N(好ましくはチェックの瞬間t
Cにおいて活動している第1のグリッド素子CD
1、...、CD
N)に対して計算された特性曲線に基づいて計算されうる。
一般的なチェックの瞬間における配電グリッド100の特性曲線の一例は、概略的に
図12に提示されている。簡単に理解できることであるが、図示した特性曲線は、△P-r基準系の3つの第1のグリッド素子CD
1、CD
2,CD
3に対して計算された特性曲線を結合させることによって(例えば集計することによって)取得される。
【0074】
第1のグリッド素子に関しては、配電グリッド100の△P-r基準系の特性曲線は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの動作条件によって、またどの第1のグリッド素子がチェックの瞬間tCに活動しているかによって1つのチェックの瞬間から別の瞬間へ変化しうる。
上述した第1のシーケンスのステップによれば、制御手順40は、チェックの瞬間tCにおける配電グリッド100の優先レベルλを計算するステップ413を含む。
【0075】
優先レベルλは、制御手順40のステップ410~412において計算されたデータに基づいて、特に要求電力変動値△PREQ、及び第1のグリッド素子CD1、...、CDN(好ましくはチェックの瞬間tCにおいて活動している第1のグリッド素子CD1、...、CDN)に対して、また配電グリッド100に対して計算された特性曲線に基づいて有利に計算される。
本発明の可能な実際的実装態様によれば、チェックの瞬間tCにおける優先レベルλは、要求電力変動値△PREQに基づいて配電グリッド100の特性曲線で(周知の補間アルゴリズムを用いることによって)幾何学的に識別される。
【0076】
実際には、上記方法によれば、チェックの瞬間t
Cにおける優先レベルλ(t
C)は、配電グリッド100に対して計算された△P-r基準系の特性曲線のチェックの瞬間t
Cにおいて計算された、要求電力変動値△P
REQ(t
C)に対応する優先順位の値である(
図12)。
本発明の代替的な実際的実装態様によれば、優先レベルλは、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
N(好ましくはチェックの瞬間t
Cにおいて活動している第1のグリッド素子CD
1、...、CD
N)を含む最適化問題を解くことによって計算される。
【0077】
前記最適化問題は有利に、前記第1のグリッド素子に対して計算された特性曲線に基づいて、また要求電力変動値△P
REQに基づいて、観測時間ウインドウT
OWが開始する瞬間t
Sにおいて前記第1のグリッド素子に対して確立された設定点に基づいて定義されうる。
一例として、前記最適化問題は、以下の関係によって表されうる。
上記式において、W
i(ΔP
i)は、i番目の第1のグリッド素子に対する△P-r基準系の加重特性曲線であり、ΔP
iは、前記i番目の第1のグリッド素子に対する電力設定点であり、Nは第1のグリッド素子(好ましくはチェックの瞬間t
Cにおいて活動している第1のグリッド素子)の数である。
【0078】
上述したように、i番目の第1のグリッド素子の△P-r基準系の特性曲線は、ΔPi(r)=Ai+Birタイプの線形関数であり、係数Ai、Biは、前記第1のグリッド素子に対して確立された設定点、技術的制約及び時間的制約によって変わる。
上述した最適化問題の制約は、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEに消費目標値ECTVに達するべきであるという事実により、第1のグリッド素子(好ましくはチェックの瞬間tCにおいて活動している第1のグリッド素子)に対して確立された技術的制約、及び配電グリッド100の動作に関する制約を含みうる。
【0079】
これら後者の制約は、下記の関係によって表されうる。
上記式において、△P
REQは制御手順40のステップ410において配電グリッド100に対して計算されたチェックの瞬間t
Cにおいて要求される電力変動値であり、△P
iは観測時間ウインドウT
OWが終了する前の残留時間間隔t
E-t
Cにおいてi番目の第1のグリッド素子によって付与されうる電力の変動である。
上述した最適化問題を表す異なる方程式のセットは、例えば周知のILM(反復ラムダ方式)アルゴリズムを用いることによって簡単に解くことができる。
【0080】
配電グリッド100の優先レベルλの計算の次に、手段40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDN(好ましくはチェックの瞬間tCにおいて稼働している第1のグリッド素子CD1、...、CDN)の設定点に介入することを提供する。
上述した第1のシーケンスのステップによれば、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDN(好ましくはチェックの瞬間tCにおいて活動している第1のグリッド素子CD1、...、CDN)の設定点を変更するための制御信号CONを供給するステップ414を含む。
【0081】
制御信号CONは、制御手段40の上述したステップ413で計算された、チェックの瞬間t
Cにおける配電グリッド100の優先レベルλに情報を提供する。
制御信号CONに応じて、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nは、△P-r基準系の第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの特性曲線に従った挙動を見せるようになる(
図11A)。
【0082】
図11Aに、(要求される)電力の正変動(△P
REQ>0)における、一般的な第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの特性曲線を示す。
前記特性曲線によれば、一般的な第1のグリッド素子の挙動は以下の通りである。
- 配電グリッド100の優先レベルλが、前記第1のグリッド素子の設定点に付与される最低優先レベルr
MIN以下である場合(すなわちλ<=r
MINであるときに)、前記第1のグリッド素子はそれ自体の設定点を変更しない。
- 優先レベルλが、前記第1のグリッド素子の設定点に付与される最高優先レベルr
MAX以上である場合(すなわちλ<=r
MAXであるときに)、前記第1のグリッド素子は、前記グリッド素子の技術的制約を考慮して利用可能な電力の最大正変動△P
MAXを得るためにそれ自体の設定点を変更する。
- 優先レベルλが、前記第1のグリッド素子の設定点に付与される最低及び最高優先レベルr
MIN、r
MAXの間に含まれる場合(すなわちr
MIN<λ<r
MAX)、前記第1のグリッド素子は、前記優先レベルλに対応する電力の(正)変動△P
λを得るためにそれ自体の設定点を変更する。
【0083】
図11Bに、(要求される)電力の負変動(△P
REQ<0)における一般的な第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの特性曲線を示す。
前記特性曲線によれば、一般的な第1のグリッド素子の挙動は下記のようになる。
- 優先レベルλが、前記第1のグリッド素子の設定点に付与される最低優先レベルr
MIN以下である場合(すなわちλ<=r
MINであるときに)、前記第1のグリッド素子は、前記グリッド素子の技術的及び時間的な制約を考慮して利用可能な電力の最大正変動△P
MAXを得るためにそれ自体の設定点を変更する。
- 優先レベルλが、前記第1のグリッド素子の設定点に付与される最高優先レベルr
MAX以上である場合(すなわちλ>=r
MAX)、前記第1のグリッド素子はそれ自体の設定点を変更しない。
- 優先レベルλが、前記第1のグリッド素子の設定点に付与される最低及び最高優先レベルr
MIN、r
MAXの間に含まれる場合(すなわちr
MIN<λ<r
MAX)、前記第1のグリッド素子は、前記優先レベルに対応する電力の(負)変動△P
λを得るためにそれ自体の設定点を変更する。
【0084】
ステップ414において制御手順40が終了し、制御手順40は次のチェックの瞬間tC+△TSにおいて実行される。
本発明の好ましい実施形態によれば、上記第1の収束基準が計算された消費予測値ECFVを満たさず、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点が、観測時間ウインドウTOWの間のチェックの瞬間tCの前にすでに少なくとも1回は変更されている場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更するステップ415~421の第2のシーケンスを提供する。
【0085】
観測時間ウインドウT
OWの間、すなわちチェックの瞬間t
Cに先立つ瞬間t
P=t
C-△T
Iに、一又は複数の第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点がすでに変更されている幾つかの状況を示す
図9A~9B、10A~10Bを参照する。
図9A~9Bにおいて、消費予測値E
CFVがチェックの瞬間t
Cにおいて、チェックの瞬間t
Cに先立つ瞬間t
P=t
C-△T
Iにおける第1のグリッド素子の設定点への介入にもかかわらず、条件{E
CFV>E1;E
CFV>E2}をいまだ満たす状況を示す。上記状況は、上述した第1の収束基準を満たさない。
【0086】
図10A~10Bでは、消費予測値E
CFVがチェックの瞬間t
Cにおいて、チェックの瞬間t
Cに先立つ瞬間t
P=t
C-△TIにおける第1のグリッド素子の設定点への介入にもかかわらず、条件{E
CFV<E1;E
CFV<E2}をいまだ満たす状況を示す。また、上記状況は上述した第1の収束基準も満たさない。
上記の状況において、制御手順40は、上述した第2のシーケンスのステップ415~421を実行して、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を変更することを提供する。
【0087】
制御手順40は、消費予測値ECFVが、チェックの瞬間tCに、消費目標値ECTVに対して(前記第1の収束基準とは異なる)第2の収束基準を満たすか否かをチェックするステップ415を含むことが好ましい。
好ましくは、前記第2の収束基準によれば、消費予測値ECFVはチェックの瞬間tCにおいて下記条件:
{ECFV>=E1;ECFV<=E3}又は{ECFV<=E2;ECFV>=E4}
を満たさなければならない。
上記式において、E1、E2(E1>E2が成り立つ)はそれぞれ、上述した第1の収束基準によって考慮される第1及び第2の既定境界値であり、E3、E4はそれぞれ、第3と第4の既定境界値であり、E3>E1及びE4<E2が成り立つ。
【0088】
好ましくは、第3及び第4の既定の境界値E3、E4は、チェックの瞬間t
Cに先立つ瞬間t
P=t
C-△TIにおいて計算された消費予測値E
CFVによって変化する。
一例として、第3及び第4の既定の境界値E3、E4はチェックの瞬間t
Cにおいて、下記の関係:
に従って計算されうる。
上記のE
CFV(t
P)において、E
CTVはそれぞれ瞬間t
P=t
C-△TIにおいて計算された消費予測値E
CFV、及び観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eにおける消費目標値である。
【0089】
実際には、ステップ415において、制御手順40は、瞬間tP=tC-△TIにおける第1のグリッド素子の設定点への介入にも関わらずいまだ第1の許容域TR1外にある消費予測値ECFVが、消費目標値ECTVに収束するようにする追加の既定の境界B3、B4によって定義される第2の許容域TR2内にあるか、又は第3の許容域TR3にあるか否かをチェックすることを提供する。
前記既定の境界は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNへ更に介入することなく消費目標値ECTVに達するようにする最高及び最低の消費予測微分値のシーケンスを示すものである。
【0090】
前記既定の境界を、消費目標値E
CTVに収束する境界線B3、B4を一致させ、チェックt
Pにおいて計算された消費目標値E
CFVと消費目標値E
CTVとを観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eにおいて交差させることによって概略的に示す
図9A~9B、10A~10Bを参照する。
消費予測値E
CFVが下記条件:{E
CFV>E1;E
CFV>E3}を満たす状況を示す、
図9Aを参照する。
【0091】
この条件は、上述した第2の収束基準を満たさない。従って、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEに消費目標値ECTVに達するように、一又は複数の第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更することが必要になる。
更に具体的には、消費予測値ECFVが、瞬間tPおける設定点への以前の介入に関わらず、第2の許容域TR2に対して高すぎるときに、観測時間ウインドウTOWが終了する前の残留時間間隔tE-tCにおいて配電グリッドの消費が更に削減されるように、一又は複数の第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更することが必要になる。
【0092】
消費予測値E
CFVが下記の条件:{E
CFV>E1;E
CFV<E3}を満たす状況を示す
図9Bを参照する。
この条件は、上述した第2の収束基準を満たすものである。従って、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eに消費目標値E
CTVに達するように、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を更に変更する必要がない。消費予測値E
CFVが第2の許容域TR2内にあるときに、配電グリッド100の消費は、チェックの瞬間t
Cに先立つ瞬間t
P=t
C-△T
Iにおいて実施された第1のグリッド素子の設定点への介入のおかげで、すでに消費目標値E
CTVに収束している。
【0093】
消費予測値E
CFVが下記の条件:{E
CFV<E2;E
CFV<E4}を満たす状況を示す
図10Aを参照する。
この条件は、上述した第2の収束基準を満たさない。従って、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eに消費目標値E
CTVに達するように、一又は複数の第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を変更することが必要になる。
【0094】
更に具体的には、消費予測値ECFVが、瞬間tPおける設定点への以前の介入に関わらず、第2の許容域TR2に対して低すぎるときに、観測時間ウインドウTOWが終了する前の残留時間間隔tE-tCに配電グリッドの消費が更に増加するように、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更することが可能である。
【0095】
消費予測値E
CFVが下記の条件:{E
CFV<E2;E
CFV>E4}を満たす状況を示す
図10Bを参照する。
この条件は、上述した第2の収束基準を満たすものである。従って、観測時間ウインドウT
OWが終了する瞬間t
Eにおいて消費目標値E
CTVに達するように、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nの設定点を更に変更する必要がない。消費予測値E
CFVが第2の許容域TR2内にあるときに、配電グリッド100の消費は、チェックの瞬間t
Cに先立つ瞬間t
P=t
C-△TIにおいて実施された第1のグリッド素子の設定点への介入のおかげで、すでに消費目標値E
CTVに収束している。
【0096】
計算された消費予測値ECFVが上記の第2の収束基準を満たす場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変えずに維持するステップ416を含むことが好ましい。この場合、制御手順40は終了し、次のチェックの瞬間tC+△TSにおいて実行される。
計算された消費予測値ECFVが上記の第2の収束基準を満たさない場合、制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変更する幾つかのステップ417~421を実行することを提供することが好ましい。制御手順40のステップ417~421は、上述したステップ410~414と同様(実際に同一、準用)のものである。
【0097】
制御手順40は、観測時間ウインドウTOWが終了する前の残留時間間隔tE-tCに消費目標値ECTVに達するために配電グリッドに要求される電力変動値△PREQを計算するステップ417を含むことが好ましい。
要求電力変動値△PREQは、消費目標値ECTVに達するように観測電気ノードPCCで消費されるべき電力を示すことが好ましい。
【0098】
要求電力変動値△P
REQは、上述したように計算されうる。
また、要求電力変動値△P
REQは、第1の許容域TR1に対して消費予測値E
CFVが高すぎる(
図9A~9B)又は低すぎる(
図10A~10B)か否かによって、正になる又は負になる。
【0099】
制御手順40が、各第1のグリッド素子CD1、...、CDNに対して△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ418を含むことが好ましく、ここで△Pは利用可能な電力の変動であり、rは前記第1のグリッド素子の設定点に割り当てられた優先順位である。
記載された△P-r基準系の特性曲線は、チェックの瞬間tCにおいて活動している第1のグリッド素子CD1、...、CDNに対してのみ計算されることが好ましい。
【0100】
各第1のグリッド素子CD1、...、CDNの特性曲線は、上述したように計算されうる。
第1のグリッド素子(好ましくはチェックの瞬間tCにおいて活動している第1のグリッド素子)に対して計算された特性曲線が、ΔPi(r)=Ai+Birとして定義されうる線形関数であることが好ましく、上記式において、係数Ai、Biは、第1のグリッド素子に対して確立された設定点、技術的制約及び時間的制約によって変化する。
【0101】
制御手順40は、チェックの瞬間tCにおいて、配電グリッド100の△P-r基準系の特性曲線を計算するステップ419を含むことが好ましい。
配電グリッド100の特性曲線は、上述したように計算されうる。
【0102】
制御手順40は、チェックの瞬間tCにおいて配電グリッド100の優先レベルλを計算するステップ420を含むことが好ましい。
優先レベルλは、制御手順40のステップ417~419において計算されたデータに基づいて、具体的には、要求電力変動値△PREQ、及び第1のグリッド素子CD1、...、CDNに対し、また配電グリッド100に対して計算された特性曲線に基づいて有利に計算される。
【0103】
チェックの瞬間tCにおける配電グリッド100の優先レベルλは、上述したように計算されうる。
配電グリッド100の優先レベルλの計算後に、手順40は、第1のグリッド素子(好ましくはチェックの瞬間tCに活動している第1のグリッド素子)の設定点に更に介入することを提供する。
【0104】
制御手順40は、第1のグリッド素子CD1、...、CDN(好ましくはチェックの瞬間tCにおいて活動しているグリッド素子)の設定点を変更するための制御信号CONを提供するステップ421を含むことが好ましい。
制御信号CONは、制御手順40の上述したステップ413で計算された、チェックの瞬間tCにおける配電グリッド100の優先レベルλの情報を提供する。
【0105】
制御信号CONに応じて、第1のグリッド素子CD
1、...、CD
Nは、上述したように、△P-r基準系のそれ自体の特性曲線に従った挙動を見せる(
図11A~11B)。
ステップ421において、制御手順40は終了し、制御手順40は次のチェックの瞬間t
C+△T
Sにおいて実行される。
【0106】
本発明の可能な実施形態によれば、計算された消費予測値ECFVが上記の第1の収束基準を満たさず、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点が観測時間ウインドウTOWの間にすでに少なくとも1回は変更されている場合、制御手順40は単に終了し、制御手順40は次のチェックの瞬間tC+△TSにおいて実行される。
実際には、本発明の上記代替実施形態は、観測時間ウインドウTOWにおいて1回のみ、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点に介入することを提供する。
【0107】
方法1が、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEに配電グリッド100の優先レベルλを設定するステップ5を含むことが好ましい。
本発明のある実施形態によれば、上記優先レベルλは、各観測時間ウインドウTOWの終了時(次の観測時間ウインドウTOWの開始時)に設定されるべき既定値でありうる。
【0108】
本発明の他の実施形態によれば、上記優先レベルλは、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点への最後の介入において計算された優先レベルでありうる。
本発明のある実施形態によれば、方法1は、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEに、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を対応する既定値に設定するための制御信号CONを提供するステップ6Aを含む。
【0109】
実際には、本発明のこれらの実施形態は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を、観測時間ウインドウTOWの終了時に再設定することを提供する。
本発明の代替実施形態によれば、方法1は、観測時間ウインドウTOWが終了する瞬間tEにおける第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を変えずに維持するステップ6Bを含む。
【0110】
実際には、本発明の上記代替実施形態は、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点を、第1のグリッド素子CD1、...、CDNの設定点への最後の介入におけるセットとして維持することを提供する。
本発明に係る方法は、具体的にはコンピュータ化されたデバイス300によって実行される。
【0111】
別の態様では、本発明は従って、本発明に係る方法を実施するためのソフトウェア命令を含むコンピュータプログラム350に関する。
コンピュータプログラム350は、例えばコンピュータ化されたデバイス300のメモリの記憶媒体に保存される又は保存可能である。
【0112】
別の態様では、本発明は更に、本発明に係る方法を実施するためのソフトウェア命令を実行するように構成されたコンピュータ化されたリソース(例:一又は複数のマイクロプロセッサ)を含むコンピュータ化されたデバイス300に関する。
コンピュータ化されたデバイス300は、現場に、あるいは配電グリッド100に対する遠隔地に設置されたコンピュータ化されたデバイスであってよい。
【0113】
一例として、コンピュータ化されたデバイス300は、搭載型スイッチング装置に設置された制御・保安ユニット、又は配電グリッド又はコントローラ用のデジタル継電器であってよい。
別の態様では、本発明は、本発明に係る方法を実行するように構成されたハードウェア及びソフトウェアリソースを含む制御装置200に関する。
【0114】
制御装置200は、様々な制御アーキテクチャ、例えば集中型アーキテクチャ又はマルチレベルアーキテクチャに従って配置されうる。
一例として、
図1に示すように、制御装置は、本発明に係る方法を実施するためのソフトウェア命令を実行するように構成された処理リソースが備わったコントローラ300を含みうる。
【0115】
当然ながら、上述したものとは異なった他の制御アーキテクチャを、必要に応じて適応させることが可能である。
本発明に係る方法は、配電グリッドの消費を管理するのにかなり効果的である。
【0116】
本発明に係る方法により、電力需要のピークを著しく低下させることが可能になる。
本発明に係る方法は特に、電流が流れている時間(例:時間帯)、エネルギー費用、より安価な電源の利用可能性などを考慮しながら、配電グリッドの動作を適切に管理するように適応される。
【0117】
本発明に係る方法は特に、必要に応じて、例えば集中型マルチレベル又は分散型制御アーキテクチャなどの様々な制御アーキテクチャによって実行されるように適応される。
本発明に係る方法は特に、配電グリッドの動作を管理するために現場にすでに設置されているハードウェア及びソフトウェアリソースを使用して実行されるように適応される。
【0118】
本発明に係る方法は特に、デジタル化で可能になる電力配電回路網(スマートグリッド、マイクログリッド等)で実行されるように適応される。
本発明に係る方法は、現場において比較的簡単で、コスト効率の高い実用的な実装態様の方法である。