IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】車両制御装置及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20220427BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20220427BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220427BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 X
G06Q30/06 350
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017194894
(22)【出願日】2017-10-05
(65)【公開番号】P2018124974
(43)【公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】P 2017013535
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】南 公男
(72)【発明者】
【氏名】渕上 哲司
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-038580(JP,A)
【文献】特開2015-163881(JP,A)
【文献】特開2012-073979(JP,A)
【文献】特開2008-052455(JP,A)
【文献】特開2007-129302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
G08G 1/00
G06Q 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動走行可能な車両が乗り捨てられた場合、当該車両を自動走行により待機場所へと移動させる車両制御装置であって、
前記車両の状態に基づき、前記車両が目的地にて乗り捨てられたかを判定する乗り捨て判定部と、
前記乗り捨て判定部にて前記車両が乗り捨てられたと判定された場合、前記車両の現在の位置である現在位置と、複数の待機場所の位置である待機場所位置と、車両の需要予測情報と、に基づいて、前記複数の待機場所から移動先を決定する移動先決定部と、
前記車両に前記移動先への移動を指示する移動指示部とを備える
車両制御装置。
【請求項2】
前記目的地は、前記複数の待機場所以外の場所である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記移動先決定部は、前記複数の待機場所のうち、前記現在位置から、予め定められた範囲に含まれる複数の移動先候補を判定し、前記需要予測情報に基づいて、前記複数の移動先候補から前記移動先を決定する
請求項1記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記車両は電動車両であり、
前記待機場所には、前記車両の充電器が設置されており、
前記移動先決定部は、前記車両が乗り捨てられた場合、前記現在位置と、前記待機場所位置と、前記需要予測情報と、前記車両の現在の蓄電量である現在蓄電量と、に基づいて前記移動先を決定する
請求項1記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記移動先決定部は、前記複数の待機場所のうち、前記現在位置から、前記現在蓄電量で走行可能な範囲に含まれる複数の移動先候補を判定し、前記需要予測情報に基づいて、
前記複数の移動先候補から前記移動先を決定する
請求項4記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記移動先決定部は、前記車両が乗り捨てられた場合、前記現在位置と、前記待機場所位置と、前記需要予測情報と、複数の車両の情報と、に基づいて前記移動先を決定する
請求項1記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記車両制御装置は、さらに、
人口情報に基づき、前記需要予測情報を決定する需要予測部を備える
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記車両制御装置は、さらに、
動的な消費電力データに基づき、動的な前記需要予測情報を決定する需要予測部を備える
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記車両制御装置は、さらに、
店舗の動的な売り上げデータに基づき、動的な前記需要予測情報を決定する需要予測部を備える
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記車両制御装置は、さらに、
天気予報情報に基づき、動的な前記需要予測情報を決定する需要予測部を備える
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記乗り捨て判定部は、前記車両の状態として、ユーザが降車時に行う操作を示す情報、前記車両に掛かる加重変化、ドアの開閉、又はドアのロックに基づき、前記車両が乗り捨てられたかを判定する
請求項1記載の車両制御装置。
【請求項12】
自動走行可能な車両が乗り捨てられた場合、当該車両を自動走行により待機場所へと移動させる車両制御方法であって、
前記車両の状態に基づき、前記車両が目的地にて乗り捨てられたかを判定する乗り捨て判定ステップと、
前記乗り捨て判定ステップにて前記車両が乗り捨てられたと判定された場合、前記車両の現在の位置である現在位置と、複数の待機場所の位置である待機場所位置と、車両の需要予測情報と、に基づいて、前記複数の待機場所から移動先を決定する移動先決定ステップと、
前記車両に前記移動先への移動を指示する移動指示ステップとを含む
車両制御方法。
【請求項13】
前記乗り捨て判定ステップは、前記車両の状態として、ユーザが降車時に行う操作を示す情報、前記車両に掛かる加重変化、ドアの開閉、又はドアのロックに基づき、前記車両が乗り捨てられたかを判定する
請求項12記載の車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人走行可能な車両が乗り捨てられた場合、当該車両を無人走行により待機場所へと移動させる車両制御装置及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動走行可能な車両である自動運転車(電気自動車等)を用いたシステムについて、開示されている。特許文献1では、降車後の振る舞いの設定を受け付ける自動運転車が開示されている。また、降車後の振る舞いを「返却」に設定することで、自動運転車が、乗り捨て後に、最寄りのレンタカー会社の駐車場など、所定の返却用の場所に戻ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/166811号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなシステムでは、乗り捨てられた車両を適切な位置に配置することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、乗り捨てられた車両を適切な位置に配置できる車両制御装置又は車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両制御装置は、前記車両の状態に基づき、前記車両が目的地にて乗り捨てられたかを判定する乗り捨て判定部と、前記乗り捨て判定部にて自動走行可能な車両が乗り捨てられたと判定された場合、当該車両を自動走行により待機場所へと移動させる車両制御装置であって、前記車両が乗り捨てられた場合、前記車両の現在の位置である現在位置と、複数の待機場所の位置である待機場所位置と、車両の需要予測情報と、に基づいて、前記複数の待機場所から移動先を決定する移動先決定部と、前記車両に前記移動先への移動を指示する移動指示部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、乗り捨てられた車両を適切な位置に配置できる車両制御装置又は車両制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1に係る車両制御システムの構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態1に係る車両及び待機場所の一例を示す図である。
図3図3は、実施の形態1に係る車両制御装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態1に係る車両制御システムの動作を示す図である。
図5図5は、実施の形態1に係る車両制御装置による処理のフローチャートである。
図6図6は、実施の形態1に係る移動先決定処理のフローチャートである。
図7図7は、実施の形態1に係る待機場所情報の一例を示す図である。
図8図8は、実施の形態1に係る待機場所情報の一例を示す図である。
図9図9は、実施の形態1に係る移動可能範囲の判定処理を説明するための図である。
図10図10は、実施の形態1に係る移動可能範囲の判定処理を説明するための図である。
図11図11は、実施の形態1に係る移動可能範囲の一例を示す図である。
図12図12は、実施の形態1に係る需要予測情報の一例を示す図である。
図13図13は、実施の形態1に係る需要予測情報の一例を示す図である。
図14図14は、実施の形態1に係る移動先決定処理を説明するための図である。
図15図15は、実施の形態1に係る車両情報の一例を示す図である。
図16図16は、実施の形態1に係る移動先決定処理のフローチャートである。
図17図17は、実施の形態1の変形例に係る車両制御装置の構成を示すブロック図である。
図18図18は、実施の形態2に係る自転車シェアリングシステムの構成を示す図である。
図19図19は、実施の形態2に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図20図20は、実施の形態2に係る自転車シェアリングシステムの動作を示す図である。
図21図21は、実施の形態2に係る制御装置による処理のフローチャートである。
図22図22は、実施の形態2に係る待機場所情報の一例を示す図である。
図23図23は、実施の形態2に係る車両情報の一例を示す図である。
図24図24は、実施の形態2に係る表示画面例を示す図である。
図25図25は、実施の形態2に係る表示画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様に係る車両制御装置は、自動走行可能な車両が乗り捨てられた場合、当該車両を自動走行により待機場所へと移動させる車両制御装置であって、前記車両が乗り捨てられた場合、前記車両の現在の位置である現在位置と、複数の待機場所の位置である待機場所位置と、車両の需要予測情報と、に基づいて、前記複数の待機場所から移動先を決定する移動先決定部と、前記車両に前記移動先への移動を指示する移動指示部とを備える。
【0010】
この構成によれば、当該車両制御装置は、車両の需要予測情報を用いて、乗り捨てられた車両を適切な位置に配置できる。また、このように適切な位置を決定できることで車両の再移動等の発生を抑制できるので、車両の燃料の消費を低減できる。また、再度の演算及び指示等の発生を抑制できるので、車両制御装置の処理量を低減できる。
【0011】
例えば、前記移動先決定部は、前記複数の待機場所のうち、前記現在位置から、予め定められた範囲に含まれる複数の移動先候補を判定し、前記需要予測情報に基づいて、前記複数の移動先候補から前記移動先を決定してもよい。
【0012】
例えば、前記車両は電動車両であり、前記待機場所には、前記車両の充電器が設置されており、前記移動先決定部は、前記車両が乗り捨てられた場合、前記現在位置と、前記待機場所位置と、前記需要予測情報と、前記車両の現在の蓄電量である現在蓄電量と、に基づいて前記移動先を決定してもよい。
【0013】
この構成によれば、当該車両制御装置は、乗り捨てられた車両を、当該車両の蓄電量に基づき適切な位置に配置できる。
【0014】
例えば、前記移動先決定部は、前記複数の待機場所のうち、前記現在位置から、前記現在蓄電量で走行可能な範囲に含まれる複数の移動先候補を判定し、前記需要予測情報に基づいて、前記複数の移動先候補から前記移動先を決定してもよい。
【0015】
例えば、前記移動先決定部は、前記車両が乗り捨てられた場合、前記現在位置と、前記待機場所位置と、前記需要予測情報と、複数の車両の情報と、に基づいて前記移動先を決定してもよい。
【0016】
この構成によれば、当該車両制御装置は、複数の車両の情報を用いて、乗り捨てられた車両を適切な位置に配置できる。
【0017】
例えば、前記車両制御装置は、さらに、人口情報に基づき、前記需要予測情報を決定する需要予測部を備えてもよい。
【0018】
この構成によれば、当該車両制御装置は、適切な需要予測情報を生成できる。
【0019】
例えば、前記車両制御装置は、さらに、動的な消費電力データに基づき、動的な前記需要予測情報を決定する需要予測部を備えてもよい。
【0020】
この構成によれば、当該車両制御装置は、消費電力データに基づく動的な需要予測情報を生成できる。
【0021】
例えば、前記車両制御装置は、さらに、店舗の動的な売り上げデータに基づき、動的な前記需要予測情報を決定する需要予測部を備えてもよい。
【0022】
この構成によれば、当該車両制御装置は、売り上げデータに基づく動的な需要予測情報を生成できる。
【0023】
例えば、前記車両制御装置は、さらに、天気予報情報に基づき、動的な前記需要予測情報を決定する需要予測部を備えてもよい。
【0024】
この構成によれば、当該車両制御装置は、天気予報情報に基づく動的な需要予測情報を生成できる。
【0025】
例えば、前記車両制御装置は、さらに、前記車両の状態に基づき、前記車両が乗り捨てられたかを判定する乗り捨て判定部を備えてもよい。
【0026】
例えば、前記乗り捨て判定部は、前記車両の状態として、前記車両の速度、前記車両に掛かる加重変化、ドアの開閉、又はドアのロックに基づき、前記車両が乗り捨てられたかを判定してもよい。
【0027】
この構成によれば、当該車両制御装置は、適切に車両の乗り捨てを判定できる。
【0028】
また、本発明の一態様に係る車両制御方法は、自動走行可能な車両が乗り捨てられた場合、当該車両を自動走行により待機場所へと移動させる車両制御方法であって、前記車両が乗り捨てられた場合、前記車両の現在の位置である現在位置と、複数の待機場所の位置である待機場所位置と、車両の需要予測情報と、に基づいて、前記複数の待機場所から移動先を決定する移動先決定ステップと、前記車両に前記移動先への移動を指示する移動指示ステップとを含む。
【0029】
これによれば、当該車両制御方法は、車両の需要予測情報を用いて、乗り捨てられた車両を適切な位置に配置できる。
【0030】
また、車両の需要予測情報を用いて、車両を適切な位置に配置する構成は、自転車シェアリングシステムにも適用できる。
【0031】
前記自転車シェアリングシステムは、複数の待機場所の各々に待機している自転車の数と、自転車の需要予測情報と、に基づいて、前記複数の待機場所の一つである移動先にユーザが自転車を移動させた場合の、前記ユーザに与えられるインセンティブを決定するインセンティブ決定部と、前記移動先と前記インセンティブとを前記ユーザに提示する提示部とを備える。
【0032】
この構成によれば、当該自転車シェアリングシステムは、車両の需要予測情報を用いて、車両が適切が位置に配置されるようにユーザを誘導できる。また、このように適切な位置を決定できることで、再度の演算及び指示等の発生を抑制できるので、制御装置の処理量を低減できる。
【0033】
また、前記インセンティブ決定部は、自転車の現在の位置から前記移動先までの距離が長いほど前記インセンティブを多くしてもよい。
【0034】
この構成によれば、当該自転車シェアリングシステムは、適切なインセンティブを決定できる。
【0035】
また、前記インセンティブ決定部は、前記需要予測情報で示される前記移動先における需要予測に対して、前記移動先に存在する自転車の数が少ないほど前記インセンティブを多くしてもよい。
【0036】
この構成によれば、当該自転車シェアリングシステムは、車両がより適切が位置に配置されるようにユーザを誘導できる。
【0037】
また、前記自転車シェアリング方法は、複数の待機場所の各々に待機している自転車の数と、自転車の需要予測情報と、に基づいて、前記複数の待機場所の一つである移動先にユーザが自転車を移動させた場合の、前記ユーザに与えられるインセンティブを決定するインセンティブ決定ステップと、前記移動先と前記インセンティブとを前記ユーザに提示する提示ステップとを含む。
【0038】
これによれば、当該自転車シェアリング方法は、車両の需要予測情報を用いて、車両が適切が位置に配置されるようにユーザを誘導できる。
【0039】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0040】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0041】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態に係る車両制御システムの構成を説明する。図1は、本実施の形態に係る車両制御システム100の構成を示す図である。図1に示すように、車両制御システム100は、複数の車両102と、複数の車両102を制御する車両制御装置101とを含む。
【0042】
複数の車両102の各々は、例えば、自動運転機能を有する電気自動車等の電動車両であり、自動走行(例えば無人走行)可能である。
【0043】
例えば、図2に示すように車両102は、街中の狭小なスペースにおいて駐車及び充電可能である。これにより、ユーザは、街中のいろいろな待機場所に駐車されている車両102を利用することができる。例えば、ユーザは、駐車されている車両102に乗車し、目的地を設定する。これにより、車両102は、ユーザを乗せた状態で、設定された目的まで自動走行する。なお、目的地の設定は、ユーザが車両102に乗車する前に、携帯端末等を介してユーザによって予め設定されてもよい。そして目的地においてユーザが降車すると、車両102は、待機場所まで自動走行し、待機及び充電を行う。なお、目的地においてユーザが降車することを乗り捨てと呼ぶ。
【0044】
なお、ユーザが乗車している状態では、自動走行ではなく、ユーザが車両102を運転してもよい。
【0045】
また、ユーザが待機場所を訪れるのではなく、携帯端末等を介したユーザの指示、又は予約に基づき、車両102は、ユーザの指定した乗車場所まで自動走行により移動してもよい。この場合、ユーザの指定した乗車場所から最寄りの車両102を乗車場所まで自動走行により移動してもよい。また、ユーザの指定した乗車場所から最寄りの車両102ではなく、ユーザの設定した目的地に基づいて乗車場所まで自動走行により移動する車両102を決定してもよい。例えば、ユーザの設定した目的地付近に向かって回送中の車両102を乗車場所まで自動走行により移動することで、効率的な配車を実現できる。
【0046】
また、待機場所とは、図2に示すような個人の駐車スペースに限らず、事業者が駐車場事業を経営する駐車スペース、又は公的な駐車スペース等であってもよい。ここで、待機場所には、車両102の充電器が設置されている。車両102への充電は、例えば、充電用コネクタを物理的に接続する方法、又は、非接触充電により自動的に行われる。なお、充電作業の一部又は全ては、待機場所に駐在する作業員等により行われてもよい。
【0047】
車両制御装置101は、複数の車両102と通信網等を介して通信可能である。この車両制御装置101は、車両102が乗り捨てられた場合、当該車両102を自動走行(例えば無人走行)により待機場所へと移動させる。
【0048】
次に、車両制御装置101の構成を説明する。図3は、車両制御装置101の構成を示すブロック図である。図3に示すように、車両制御装置101は、車両情報取得部111と、乗り捨て判定部112と、記憶部113と、移動先決定部114と、移動指示部115と、待機場所管理部116と、需要予測部117と、車両情報管理部118とを備える。
【0049】
車両情報取得部111は、車両102から車両状態情報を取得する。車両状態情報は、例えば、車両の状態及び位置を示す。
【0050】
乗り捨て判定部112は、車両102から取得された車両状態情報で示される車両102の状態に基づき、車両102が乗り捨てられたか否かを判定する。
【0051】
記憶部113は、複数の待機場所の位置である待機場所位置を示す待機場所情報121と、車両の需要予測分布を示す需要予測情報122と、複数の車両102の状態及び分布(位置)を示す車両情報123とを記憶する。
【0052】
移動先決定部114は、車両102が乗り捨てられた場合、待機場所情報121で示される複数の待機場所から車両102の移動先を決定する。具体的には、移動先決定部114は、車両102の現在の位置である現在位置と、待機場所情報121で示される複数の待機場所の位置と、需要予測情報122で示される車両の需要予測分布と、車両情報123で示される複数の車両の分布と、に基づいて、複数の待機場所から移動先を決定する。
【0053】
移動指示部115は、決定された移動先への移動を車両102に指示する。
【0054】
待機場所管理部116は、複数の待機場所の状態を管理する。例えば、待機場所管理部116は、複数の車両102から、当該車両102がどの待機場所に待機中であるかを示す情報、又は、各待機場所から当該待機場所が空いているかを示す情報を定期的に取得し、得られた情報に基づき、各待機場所が空き状態であるかを管理する。
【0055】
需要予測部117は、車両の需要予測分布を算出し、算出結果を需要予測情報122として記憶部113に格納する。
【0056】
車両情報管理部118は、複数の車両102から得られた当該車両の車両状態情報に基づき、車両情報123を更新する。
【0057】
次に、車両制御装置101の動作を説明する。図4は、車両102及び車両制御装置101の動作を示す図である。なお、以下では、簡単化のため、1台の車両102に対する車両制御装置101の動作を説明するが、実際には、以下に示す動作が各車両102に対して行われる。
【0058】
図4に示すように、車両102は、車両状態情報を定期的に車両制御装置101へ送信する(S101、S103)。また、車両制御装置101は、受信した車両状態情報を用いて、車両102が乗り捨てられてかを判断する(S102、S104)。
【0059】
車両102が乗り捨てられたと判断された場合(S104)、車両制御装置101は、車両102の位置情報と、車両102の蓄電量情報との取得要求を車両102に送信する(S105)。取得要求を受信した車両102は、位置情報及び蓄電量情報を車両制御装置101に送信する(S106)。
【0060】
次に、車両制御装置101は、受信した位置情報及び蓄電量情報を用いて移動先を決定し(S107)、車両102へ、決定した移動先への移動指示を送信する(S108)。移動指示を受信した車両102は、指示された移動先へ移動する(S109)。
【0061】
なお、ここでは、乗り捨てと判定された場合に、位置情報及び蓄電量情報を取得する例を示すが、位置情報及び蓄電量情報は車両状態情報に含まれ、車両102から定期的に送信されてもよい。
【0062】
図5は、車両制御装置101の動作を示すフローチャートである。まず、車両情報取得部111は、車両状態情報を車両102から取得する(S111)。
【0063】
次に、乗り捨て判定部112は、取得した車両状態情報を用いて車両102が乗り捨てられたか否かを判定する(S112)。
【0064】
具体的には、例えば、ユーザが降車時に、車両102に備え付けられているボタンを押す。そして、このボタンが押されたことを示す情報が車両状態情報に含まれる。乗り捨て判定部112は、ボタンが押されたことを示す情報が車両状態情報に含まれる場合に、車両102が乗り捨てられたと判定する。なお、ユーザが降車時に行う操作はボタンの押下に限らず、タッチパネル又は音声入力等の他のユーザインタフェースを介した入力操作であってもよい。また、これらのユーザインタフェースは、車両102に設けられている必要なく、例えば、ユーザが所持するスマートフォン又は携帯端末等を介した入力であってもよい。
【0065】
または、乗り捨て判定部112は、車両状態情報で示される車両102の状態に基づき、乗り捨てを判定してもよい。例えば、車両状態情報は、車両102の速度を示し、乗り捨て判定部112は、この速度に基づき、当該車両102が乗り捨てられたかを判定してもよい。具体的には、乗り捨て判定部112は、車両102の速度がゼロ(停止状態)となり、予め定められた時間以上、その状態が継続している場合に、乗り捨てと判定する。
【0066】
または、乗り捨て判定部112は、車両状態情報に基づき、ユーザの降車を検知してもよい。例えば、乗り捨て判定部112は、ドアが開閉され、開閉後にドアがロックされた場合に、乗り捨てと判定してもよい。または、車両状態情報は、タイヤ、サスペンション又はシートに掛かる加重を示し、乗り捨て判定部112は、予め定められた量以上、加重が変化(減少)した場合に、乗り捨てと判定してもよい。このように、乗り捨て判定部112は、車両102に掛かる加重変化、ドアの開閉、又はドアのロックにも基づき、車両102が乗り捨てられたかを判定してもよい。なお、乗り捨て判定部112は、上記の複数の判定方法のうち2以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
乗り捨てと判定されなかった場合(S112でNo)、車両情報取得部111は、所定時間後に再度、車両状態情報を車両102から取得し(S111)、乗り捨て判定部112は、取得された車両状態情報を用いて車両102が乗り捨てられたか否かを判定する(S112)。
【0068】
一方、乗り捨てと判定された場合(S112でYes)、移動先決定部114は、乗り捨てられた車両102の位置と、当該車両102の蓄電量と、待機場所の情報と、需要予測分布とを取得する(S113)。具体的には、乗り捨てられた車両102の位置、及び当該車両102の蓄電量を示す情報は、車両情報取得部111により車両102から取得される。また、待機場所の情報及び需要予測分布は、待機場所情報121及び需要予測情報122として記憶部113に記憶されている。
【0069】
次に、移動先決定部114は、取得した、乗り捨てられた車両102の位置と、当該車両102の蓄電量と、待機場所の情報と、需要予測分布とを用いて移動先を決定する(S114)。なお、この処理の詳細は後述する。
【0070】
最後に、移動指示部115は、決定された移動先への移動を車両102に指示する(S115)。
【0071】
次に、移動先決定部114による移動先決定処理(S114)の詳細を説明する。以下では、まず、需要予測分布及び蓄電量を用いた移動先決定処理について説明する。図6は、この処理のフローチャートである。図7は、待機場所情報121の一例を示す図である。
【0072】
図7に示すように、待機場所情報121は、複数の待機場所ごとに、当該待機場所を識別するための情報である待機場所IDと、当該待機場所の位置を示す位置情報(位置(x、y))と、当該待機場所が使用中か空き状態(使用可能)かを示す利用状態情報とを含む。なお、ここでは、位置情報として二次元座標が示されているが、三次元座標であってもよいし、住所等であってもよい。
【0073】
また、利用状態情報は、待機場所管理部116により順次更新される。具体的には、待機場所管理部116は、例えば、複数の車両102から定期的に位置情報を取得し、得られた位置情報が待機場所の位置情報と一致する場合に、その待機場所が使用中であると判定する。なお、待機場所管理部116は、各車両102から当該車両102が待機状態であることを示す情報と、現在使用中の待機場所の待機場所IDとを取得し、これらの情報に基づき、利用状態情報を更新してもよい。または、待機場所管理部116は、待機場所に設置された装置から当該待機場所が使用中か空き状態かを示す情報を通信網等を介して取得し、取得した情報に基づき利用状態情報を更新してもよい。
【0074】
また、待機場所情報121は、図8に示すような地図情報であってもよい。
【0075】
図6に示すように、移動先決定部114は、まず、乗り捨てられた時点での車両102の位置である現在位置と、乗り捨てられた時点での車両102の蓄電量である現在蓄電量とを用いて、車両102が現在蓄電量で走行可能な移動可能範囲を判定する(S121)。
【0076】
例えば、図9に示すように、移動先決定部114は、車両102の現在位置を中心とする同心円を移動可能範囲として決定する。また、この同心円の半径は、蓄電量に比例して増加する。なお、同心円の半径と蓄電量との関係は予め設定されていてもよいし、車両102の過去の走行履歴に基づき決定されてもよい。走行履歴を用いる場合には、車両102ごとに当該車両の走行履歴に基づき、車両102ごとに互いに異なる同心円の半径と蓄電量との関係が設定されてもよい。
【0077】
または、図10に示すように、蓄電量に加えて、道路状況、又は混雑状況を踏まえて移動可能範囲が決定されてもよい。また、混雑状況は、日(曜日、季節或いは月)又は時間帯ごとに設定され、現在の日時に対応した混雑状況が用いられてもよい。また、通信網等を介して他の装置から現在の混雑状態を示す情報が取得されてもよい。また、混雑状況は、過去の混雑状況から予測されたものでもよい。また、当該車両102が、これから移動する際の時々刻々の予測された混雑状況が用いられてもよい。
【0078】
例えば、図10に示す例では、上及び右の2方向は、道路の混雑度が高いため、移動可能範囲が短く、下及び左の2方向は、道路の混雑度が低いため、移動可能範囲が長い。
【0079】
次に、移動先決定部114は、移動可能範囲に含まれる複数の移動先候補を判定する。まず、移動先決定部114は、移動可能範囲に使用可能な待機場所が含まれるかを判定する(S122)。移動可能範囲に使用可能な待機場所が含まれない場合(S122でNo)、移動先決定部114は、移動指示部115を介して、車両102に待機指示を送信する(S123)。これにより、車両102はその場に待機する。また、移動先決定部114は、所定時間後に待機場所情報121を更新し(S124)、更新された待機場所情報121を用いて、再度ステップS122の処理を行う。これにより、車両102の近くの待機場所が空いたタイミングで、その待機場所への移動指示が行われる。
【0080】
一方、移動可能範囲に使用可能な待機場所が含まれる場合(S122でYes)、移動先決定部114は、移動可能範囲に使用可能な待機場所が複数含まれるかを判定する(S125)。移動可能範囲に使用可能な待機場所が複数含まれない場合、つまり、移動可能範囲に一つの使用可能な待機場所のみが含まれる場合(S125でNo)、移動先決定部114は、その待機場所を移動先に決定する(S126)。
【0081】
一方、移動可能範囲に使用可能な待機場所が複数含まれる場合(S125でYes)、移動先決定部114は、需要予測分布を用いて、移動可能範囲に含まれる複数の使用可能な待機場所である複数の移動先候補からが移動先を決定する(S127)。
【0082】
図11は、移動先候補の一例を示す図である。なお、図11では、待機場所として使用可能な待機場所のみを記載している。この例では、車両Aに対して、待機場所1、待機場所2及び待機場所3の3つの移動先候補が存在する。
【0083】
図12は、需要予測情報122の一例を示す図である。図12に示すように、需要予測情報122は、例えば、乗車ユーザの出現頻度の高いスポットを示す。なお、乗車ユーザの出現頻度は段階的に設定されていてもよい。
【0084】
また、需要予測情報122は、図13に示すような人口分布に基づき決定されてもよい。つまり、需要予測部117は、外部から取得した人口分布に基づき、需要予測分布を決定する。具体的には、需要予測部117は、人口が多いほど需要が高いと判定する。
【0085】
また、需要予測部117は、建物の分布(例えば、建物の平面的な情報)を考慮して、人口分布又は需要予測を決定してもよい。例えば、需要予測部117は、建物容積又は床面積の分布を考慮して、人口分布又は需要予測を決定してもよい。具体的には、需要予測部117は、建物容積が大きいほど又は床面積が広いほど、人口が多い又は需要が多いと判定してもよい。
【0086】
また、需要予測部117は、居住者マップを考慮して、人口分布又は需要予測を決定してもよい。つまり、需要予測部117は、居住者が多いほど、人口が多い又は需要が多いと判定してもよい。
【0087】
また、需要予測部117は、時刻ごとに異なる需要予測分布を決定してもよい。例えば、需要予測部117は、昼間の人口マップを用いて昼間用の需要予測分布を生成し、夜間の人口マップを用いて夜間用の需要予測分布を生成してもよい。
【0088】
また、需要予測部117は、リアルタイムの情報を用いて、動的な需要予測分布を生成してもよい。例えば、需要予測部117は、リアルタイムの情報を用いて、動的な人口分布を生成し、生成した人口分布に基づき、動的な需要予測分布を生成してもよい。
【0089】
例えば、需要予測部117は、動的な(リアルタイムの)消費電力データに基づき、動的な需要予測分布を決定してもよい。例えば、需要予測部117は、該当エリア内のスマートメーターの電力データを分析することで、動的な人口分布を生成する。つまり、需要予測部117は、消費電力が多いエリアほど人口が多い(需要が高い)と判定する。
【0090】
または、需要予測部117は、店舗の動的な売り上げデータに基づき、動的な需要予測分布を決定してもよい。具体的には、需要予測部117は、該当エリア内の店舗の売り上げ状況を分析することで、動的な人口分布を生成する。つまり、需要予測部117は、売り上げが多いエリアほど人口が多い(需要が高い)と判定する。例えば、需要予測部117は、店舗のPOS(Point Of Sales)データを収集し、収集したデータを分析することで、動的な人口分布を生成する。
【0091】
または、需要予測部117は、過去の利用履歴を用いて、需要予測分布を生成してもよい。具体的には、需要予測部117は、各車両102のGPSデータに基づき、過去の利用開始位置を特定し、利用開始位置として用いられた回数が多いエリアほど需要が高いと判定する。
【0092】
または、需要予測部117は、タクシーの乗降傾向の情報を取得し、乗車が多いエリアほど需要が高いと判定してもよい。
【0093】
または、需要予測部117は、現在の天気又は天気予報情報に基づき、動的な需要予測分布を決定してもよい。具体的には、需要予測部117は、雨が降っている地域、又はこれから雨が降る地域ほど需要が高いと判定する。
【0094】
なお、需要予測部117は、上記の複数の手法のうち2以上を組み合わせてもよい。
【0095】
図14は、需要予測分布が、図12に示すような乗車ユーザの出現頻度の高いスポットを示す情報である場合の動作を説明するための図である。図14に示す例では、移動可能範囲内に3つの待機場所1~3が存在する。また、車両Aから待機場所1~3までの距離は概ね等しい。この場合、移動先決定部114は、乗車ユーザの出現頻度の高いスポット1及び2に近い、待機場所1を移動先に決定する。
【0096】
なお、上記説明では、蓄電量に応じて決定される移動可能範囲内の待機場所が移動先候補と判定される例を述べたが、予め定められた範囲に含まれる待機場所が移動先候補と判定され、需要予測分布に基づいて、複数の移動先候補から移動先が決定されてもよい。
【0097】
例えば、蓄電量が予め定められた閾値より多い場合には、蓄電量が用いられなくてもよい。また、待機場所が多く存在する特定地域においては、蓄電量が用いられてなくてもよい。
【0098】
また、移動先決定部114は、さらに、複数の車両102の分布を用いて移動先を決定してもよい。図15は、車両情報123の一例を示す図である。図15に示すように、車両情報123は、車両102ごとに、当該車両102を識別するための車両IDと、当該車両102の現在位置(位置(x、y))と、当該車両102の利用状態と、当該車両102の移動先とを示す。
【0099】
ここで利用状態は、待機場所に停車中の状態(使用可能)と、ユーザが利用中の状態(利用中)と、乗り捨て後に待機場所に移動中の状態(帰還中)と、乗り捨て後にその場に待機している状態(待機中)とを含む。また、利用中の場合にはその目的地が移動先に設定され、帰還中の場合にはその移動先の待機場所が移動先に設定される。
【0100】
また、これらの情報は、複数の車両102から定期的に車両制御装置101に送信される。なお、現在位置及び移動先として二次元座標が示されているが、三次元座標であってもよいし、住所等であってもよい。また、現在位置又は移動先が待機場所である場合には待機場所IDが用いられてもよい。
【0101】
図16は、車両102の分布を用いた場合の移動先決定部114による移動先決定処理のフローチャートである。まず、移動先決定部114は、需要予測分布に基づき、各移動先候補の第1評価値を決定する(S131)。具体的には、移動先決定部114は、需要予測が高いエリア内の待機場所、又は需要予測が高いエリアに近い待機場所ほど、第1評価値を高く設定する。また、需要予測により需要度合いが示される場合には、移動先決定部114は、需要度合いが高いエリア内の待機場所、又は需要度合いが高いエリアに近い待機場所ほど、第1評価値を高く設定する。
【0102】
次に、移動先決定部114は、現在位置から待機場所までの距離に基づき、各移動先候補の第2評価値を決定する(S132)。具体的には、移動先決定部114は、距離が短いほど第2評価値を高く設定する。なお、混雑状況等が考慮される場合には、距離の代わりに移動に要する時間が用いられてもよい。この場合、移動先決定部114は、時間が短いほど第2評価値を高く設定する。
【0103】
次に、移動先決定部114は、車両の分布に基づき、各移動先候補の第3評価値を決定する(S133)。具体的には、移動先決定部114は、車両が多く存在するエリア、又はそのエリアの周辺に車両が多く存在するエリアほど、第3評価値を低く設定する。なお、ここでの判定に用いられる車両とは、利用可能な車両(例えば、図15における使用可能の車両)である。なお、移動先決定部114は、現在移動中の車両を加味し、所定の時間後の車両分布に基づき、第3評価値を決定してもよい。
【0104】
最後に、移動先決定部114は、第1評価値、第2評価値及び第3評価値に基づき移動先を決定する(S134)。例えば、移動先決定部114は、第1評価値、第2評価値及び第3評価値を加算することで、最終的な評価値を算出し、最終的な評価値が最も高い移動先候補を移動先に決定する。
【0105】
なお、上記説明では、第1評価値と第3評価値と個別に算出しているが、例えば、需要予測と車両分布とに基づき、各エリアで不足している車両の数を算出し、当該不足している車両の数に基づき評価値を決定してもよい。つまり、移動先決定部114は、車両が不足しているエリア内、又はそのエリアに近い待機場所ほど評価値を高く設定する。
【0106】
また、図3では、車両制御装置101が、車両102とは別の単一の装置(例えばサーバ)として実現される例を示しているが、車両制御装置101の機能は、互いに通信可能な複数の装置により実現されてもよい。例えば、待機場所管理部116と、需要予測部117と、車両情報管理部118とは、別の装置に設けられ、車両制御装置101は、当該装置で生成された待機場所情報121、需要予測情報122及び車両情報123を取得し、取得した情報を記憶部113に記憶してもよい。
【0107】
また、車両制御装置101の機能の一部が車両102内に設けられてもよい。図17は、車両制御装置101の機能の一部が車両102内に設けられている例を示す図である。図17の例では、車両102内の車両制御装置101は、上述した車両情報取得部111と、乗り捨て判定部112と、移動先決定部114と、移動指示部115とを備える。また、車両102の外部に設けられたサーバ等である管理装置130は、上述した記憶部113と、待機場所管理部116と、需要予測部117と、車両情報管理部118とを備える。
【0108】
また、車両制御装置101は、管理装置130と通信する通信部131を備える。通信部131は、車両状態情報の送信、及び待機場所情報121、需要予測情報122及び車両情報123の受信を行う。
【0109】
以上のように、本実施の形態に係る車両制御装置101は、車両102が乗り捨てられた場合に、車両102の現在の位置である現在位置と、複数の待機場所の位置である待機場所位置と、車両の需要予測分布と、に基づいて、複数の待機場所から移動先を決定する。これにより、車両制御装置101は、車両の需要予測分布を用いて、乗り捨てられた車両を適切な位置に配置できる。
【0110】
さらに、車両制御装置101は、車両102が乗り捨てられた場合、車両102の現在の蓄電量である現在蓄電量に基づいて移動先を決定する。これにより、車両制御装置101は、乗り捨てられた車両102の蓄電量を加味して、当該車両102を適切な位置に配置できる。
【0111】
さらに、車両制御装置101は、車両102が乗り捨てられた場合、複数の車両102の分布に基づいて移動先を決定する。これにより、車両制御装置101は、複数の車両102の分布を加味して、乗り捨てられた車両102を適切な位置に配置できる。
【0112】
ここで、車両102が乗り捨てられた時点では、車両102の分布が偏っており、利用したいユーザの分布に即した配置になっていないことがある。この場合、車両102を利用したいユーザの近くに車両102が配置されていない場合があり、ユーザは車両102を利用することができない。
【0113】
一方で、上述したように本実施の形態に係る車両制御装置101は、あるユーザが車両102の利用を終えた後、次のユーザの利用に備えて車両102を移動する。つまり、車両制御装置101は、利用したいユーザの分布に即して複数の車両102を配置する。これにより、ユーザが利用したいときに、常に近くに車両102が配置されているという環境を実現できる。
【0114】
また、上記システムは、以下のようなシステムにも適用できる。
【0115】
まず、利用者は、自身の現在位置と行き先をタブレット端末等で指示する。指示された条件に基づき、コミュニティカーである車両102が上記利用者の現在位置に配送される。
【0116】
利用終了後、利用者が、車両102等に設けられた終了ボタンを押すと利用料金がクレジット精算される。
【0117】
使用の終了した車両102は、センターの指示に従って、駐車場所又は次の利用者の呼び出し場所へ回送される。
【0118】
回送される先は、上述したような、時間帯、天候予想、及び過去の利用状況に基づく、需要予測、又は行き先予測等に基づき決定される。
【0119】
利用予約が入っている場合は、その予約の内容を勘案し、利用に最も適した車両が配車される。具体的には、迎車にかかる時間、又は走行可能距離等が勘案される。また、行き先からの戻る際には、次の利用予想なども勘案される。
【0120】
例えば、同地点から同一行き先で利用したとしても、時間帯、及びその後の天候予測などにより、利用後に待機する場合もあれば、戻る先が異なる場合もある。例えば、夕方であれば駅前周辺等に多くの車両が配置され、朝方であれば、住宅地周辺等に多くの車両が配置される。
【0121】
戻り先への走行中に利用予約が入った場合、又は走行中に予定経路で利用申し込みがあった場合には、センターの承認により経路が変更される。
【0122】
また、上記需要予測に、機械学習が用いられてもよい。例えば、時間帯及び天候等の各種パラメータと、実際に利用があった地点の履歴情報とを入力として用いて機械学習が行われる。なお、需要は変化するものであるため、より新しいパラメータ及び履歴情報ほど優先度が高くなるように機械学習が行われてもよい。
【0123】
以上、本実施の形態に係る車両制御装置101及び車両制御システムについて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0124】
例えば、上記説明では、人を輸送する場合を例に説明を行ったが、物を輸送する場合にも本実施の形態の手法を適用できる。
【0125】
また、上記説明では、車両102が電動車両である場合を例に説明したが、車両102の動力源は電力に限らず、公知の任意の動力源を用いてもよい。また、複数の動力源を用いるハイブリッドカー等であってもよい。
【0126】
(実施の形態2)
本実施の形態では、複数の自転車の分布の偏りを抑制できる自転車シェアリングシステムについて説明する。
【0127】
まず、本実施の形態に係る自転車シェアリングシステムの構成を説明する。図18は、本実施の形態に係る自転車シェアリングシステム200の構成を示す図である。図18に示すように、自転車シェアリングシステム200は、制御装置201と、複数の自転車202と、複数のドッキングステーション204と、ユーザ端末205とを含む。
【0128】
ドッキングステーション204は、複数の待機場所の各々に設けられている。自転車202は、待機時において、ドッキングステーション204に連結され、ロックされている。
【0129】
ユーザ端末205は、ユーザ203が携帯する端末であり、例えば、スマートフォンである。なお、ユーザ端末205は、スマートフォンに限定されず、スマートウォッチ、専用端末、又は、ヘッドマウントディスプレイ等であってもよい。
【0130】
例えば、ユーザ203は、専用のアプリケーションをユーザ端末205にインストールするとともに、予め自転車シェアリングシステムに登録を行う。次に、ユーザ203は、任意のドッキングステーション204において、当該ドッキングステーション204又は自転車202に設けられたリーダー等に、ユーザ端末205をかざすことで、ユーザ認証が行われる。これにより、ロックが解除され、ユーザ203は自転車202を使用することができる。なお、この使用方法は一例であり、認証カード、又は事前に通知されたパスコード等を用いて、ユーザ認証が行われてもよい。
【0131】
また、ユーザ203は、自転車202の使用後に、任意のドッキングステーション204に自転車202をロックすることで当該自転車202を返却する。
【0132】
制御装置201は、複数のドッキングステーション204、複数の自転車202及びユーザ端末205と通信網等を介して通信可能である。なお、これらの通信は他の装置を介して間接的に行われてもよい。この制御装置201は、上記のようなユーザの管理等を行う。
【0133】
このようなシステムにより、複数のユーザ203により複数の自転車202を共有することができる。また、ユーザ203は、自転車202を借りた場所に当該自転車202を返却する必要がなく、任意のドッキングステーション204に自転車を返却できるので、ユーザ203の利便性を向上できる。
【0134】
一方で、ユーザ203が、任意のドッキングステーション204に自転車202を返却できるため、自転車202の分布が偏る場合があるという課題が生じる。これにより、ユーザ203が借りたい場所に自転車202が存在しないケースが発生し、ユーザ203の利便性が低下する。または、自転車202を移動させるためのコストが生じるという問題が発生する。本実施の形態では、このような自転車202の分布の偏りを低減できる手法について説明する。
【0135】
図19は、制御装置201の構成を示すブロック図である。図19に示すように、制御装置201は、待機場所情報取得部211と、位置情報取得部212と、記憶部213と、インセンティブ決定部214と、提示部215と、待機場所管理部216と、需要予測部217と、車両情報取得部218と、車両情報管理部219とを備える。
【0136】
待機場所情報取得部211は、ドッキングステーション204から待機場所に待機している自転車202の台数を示す待機台数情報を取得する。
【0137】
記憶部213は、複数の待機場所の各々に待機している自転車202の台数を示す待機場所情報221と、自転車の需要予測分布を示す需要予測情報222と、複数の自転車202の位置及び状態等を示す車両情報223とを記憶する。
【0138】
待機場所管理部216は、複数の待機場所の状態を管理する。具体的には、待機場所管理部216は、待機場所情報取得部211が取得した待機台数情報を用いて待機場所情報221を更新する。
【0139】
位置情報取得部212は、ユーザ端末205又は自転車202からユーザ203の現在位置を取得する。
【0140】
インセンティブ決定部214は、複数の待機場所から、ユーザ203がその待機場所に移動した場合(つまり、自転車202を返却した場合)に、ユーザ203にインセンティブが与えられる待機場所である推奨地点を決定する。また、インセンティブ決定部214は、ユーザ203が推奨地点に移動した場合に、ユーザに与えられるインセンティブを決定する。
【0141】
具体的には、インセンティブ決定部214は、複数の待機場所に待機している自転車202の数と、自転車の需要予測情報222と、に基づいて、推奨地点及びインセンティブを決定する。
【0142】
提示部215は、決定された推奨地点及びインセンティブをユーザ203に提示する。
【0143】
需要予測部217は、自転車202の需要予測分布を算出し、算出結果を需要予測情報222として記憶部213に格納する。
【0144】
車両情報取得部218は、自転車202から車両状態情報を取得する。車両状態情報は、例えば、車両の状態及び位置を示す。
【0145】
車両情報管理部219は、複数の自転車202から得られた車両状態情報に基づき、車両情報223を更新する。
【0146】
次に、自転車シェアリングシステム200の動作を説明する。図20は、自転車シェアリングシステム200の動作を示す図である。
【0147】
図20に示すように、ドッキングステーション204は、当該ドッキングステーション204に待機している自転車202の台数を示す待機台数情報を、定期的に又は制御装置201からの指示に基づき、制御装置201へ送信する(S201)。なお、図20では1つのドッキングステーション204のみを記載しているが、複数のドッキングステーション204の各々から待機台数情報が送信される。
【0148】
また、ユーザ端末205は、定期的に、又は所定のトリガに基づき、ユーザ端末205の位置(つまりユーザ203の位置)を示す位置情報を制御装置201の送信する。ここで、所定のトリガとは、ユーザ203によるユーザ端末205への操作、又は、ドッキングステーション204へユーザ端末205がかざされた場合等である。また、位置情報は、例えば、ユーザ端末205が有するGPS等により得られる。
【0149】
なお、位置情報は必ずしも送信される必要はない。また、位置情報は、自転車202又はドッキングステーション204が有するGPS等で得られてもよい。
【0150】
次に、制御装置201は、受信した待機台数情報及び位置情報を用いて推奨地点及びインセンティブを決定する(S203)。次に、制御装置201は、決定した推奨地点及びインセンティブをユーザ端末205に通知する(S204)。ユーザ端末205は、通知された推奨地点及びインセンティブをユーザ203に提示する。例えば、ユーザ端末205は、ユーザ端末205が有する表示部に、推奨地点及びインセンティブを表示する。
【0151】
なお、制御装置201は、推奨地点及びインセンティブを、自転車202又はドッキングステーション204に通知し、自転車202又はドッキングステーション204が、通知された推奨地点及びインセンティブをユーザ203に提示してもよい。例えば、自転車202又はドッキングステーション204は、表示部を備え、当該表示部に推奨地点及びインセンティブを表示する。
【0152】
図21は、制御装置201の動作を示すフローチャートである。まず、車両情報取得部218は、複数の待機台数情報を複数のドッキングステーション204から取得する(S211)。
【0153】
次に、待機場所管理部216は、複数の待機台数情報を用いて、複数の自転車202の現在の分布を算出し、待機場所情報221を更新する(S212)。
【0154】
図22は、待機場所情報221の一例を示す図である。図22に示すように、待機場所情報221は、複数の待機場所ごとに、当該待機場所を識別するための情報である待機場所IDと、当該待機場所の位置を示す位置情報(位置(x、y))と、当該待機場所に待機可能な自転車202の台数を示す待機可能台数情報と、当該待機場所に現在待機している自転車202の台数を示す待機台数情報とを含む。なお、ここでは、位置情報として二次元座標が示されているが、三次元座標であってもよいし、住所等であってもよい。また、待機台数情報は、待機場所管理部216により順次更新される。また、待機場所情報221は、図8に示すような地図情報であってもよい。
【0155】
次に、需要予測部217は、複数の自転車202の最適な分布を算出し、需要予測情報222として記憶部213に保存する(S213)。なお、需要予測情報222の算出は、予め行われてもよいし、外部から取得された需要予測情報222が用いられてもよい。
【0156】
例えば、最適な分布として、地図的に均等に自転車202が配置される分布が用いられてもよい。また、需要予測部217は、実施の形態1で用いられた需要予測情報122の算出方法と同様の方法を用いて、需要予測情報222を算出してもよい。具体的には、需要予測情報222は、各待機場所の自転車202の必要台数を示す。
【0157】
次に、インセンティブ決定部214は、位置情報及び需要予測情報222を用いて推奨地点及びインセンティブを決定する(S214)。具体的には、インセンティブ決定部214は、待機台数が必要台数に満たない待機場所を推奨地点に決定する。なお、インセンティブ決定部214は、待機台数が必要台数に満たない待機場所が予め定められた所定数よりも多い場合には、必要台数への不足台数が多い順に、又は必要台数に対する待機台数の割合が少ない順に、上記所定数だけ待機場所を選択し、選択した所定数の待機場所を推奨地点として決定してもよい。
【0158】
また、インセンティブ決定部214は、位置情報で示されるユーザ203の現在位置から所定範囲に含まれる待機場所を上記判定の対象としてもよい。
【0159】
次に、インセンティブ決定部214は、各推奨地点に対するインセンティブを決定する。ここでインセンティブとは、例えば、ユーザ203に付与されるポイントである。例えば、ユーザ203は、現金の代わりに当該ポイントを用いて、当該自転車シェアリングシステム200を利用できる。なお、ポイントの利用方法は、任意でよく、他のサービス又は物品との交換等に用いられてもよい。また、インセンティブは、ユーザ203による今回又は次回以降における、自転車シェアリングシステム200の利用料金の割引等であってもよい。
【0160】
具体的には、インセンティブ決定部214は、ユーザ203(自転車202)の現在の位置から推奨地点までの距離が長いほどインセンティブを多くする。ここで距離とは、直線距離であってもよいし、道路上の距離であってもよい。これにより、ユーザ203の労力に応じたインセンティブを決定できる。
【0161】
または、インセンティブ決定部214は、需要予測情報222で示される推奨地点における需要予測に対して、推奨地点に存在する自転車202の数が少ないほどインセンティブを多くする。つまり、インセンティブ決定部214は、必要台数への不足台数が多いほど、又は必要台数に対する待機台数の割合が少ないほど、インセンティブを多くする。これにより、自転車202の不足をより解消できる。
【0162】
なお、インセンティブ決定部214は、車両情報223を用いて、所定時間後の自転車202の分布を予測してもよい。図23は、車両情報223の一例を示す図である。図23に示すように、車両情報223は、自転車202ごとに、当該自転車202を識別するための車両IDと、当該自転車202の現在位置(位置(x、y))と、当該自転車202の状態と、当該自転車202の移動先とを示す。この車両情報223は、車両情報取得部218により、自転車202、ドッキングステーション204又はユーザ端末205から取得された情報に基づき、更新される。
【0163】
ここで状態は、待機場所に待機中の状態(使用可能)と、ユーザ203が利用中の状態(利用中)とを含む。また、自転車202の移動先の待機場所等が予測できる場合には、移動先が示される。例えば、ユーザ端末205又は自転車202がナビゲーション機能を有し、当該ナビゲーション機能に対して目的地が設定された場合には、当該目的地が移動先として設定される。また、自転車202の移動方向又は軌跡から移動先が推定できる場合には、推定された移動先が示される。なお、この推定には、過去の移動履歴等が用いられてもよい。
【0164】
インセンティブ決定部214は、推定された移動先の情報を用いて、所定時間後の自転車202の分布を算出し、得られた分布と、需要予測情報222とを用いて、推奨地点及びインセンティブを決定する。
【0165】
また、インセンティブ決定部214は、過去の分布を用いて、所定時間後の自転車202の分布を推定してもよい。例えば、過去の分布において、ある時間帯では、特定の待機場所の台数が少なくなる傾向にある場合には、インセンティブ決定部214は、当該特定の待機場所の台数を現在の台数より少ない台数に補正したうえで、需要予測情報222との比較を行ってもよい。
【0166】
また、直前の期間において、他のユーザに提示した推奨地点については、台数が増加する可能性があるため、インセンティブ決定部214は、当該推奨地点の台数を現在の台数より多い台数に補正したうえで、需要予測情報222との比較を行ってもよい。または、提示部215は、所定の期間内において複数のユーザに推奨地点を提示する場合には、各ユーザに異なる推奨地点を提示してもよい。
【0167】
次に、提示部215は、決定された推奨地点及びインセンティブをユーザ203に提示する(S215)。図24は、ユーザ端末205に表示される画面例を示す図である。例えば、ユーザ203が自転車202の利用を開始するために、ユーザ203が自転車202又はドッキングステーション204から所定の範囲内に接近した場合、又は、ユーザ203がユーザ端末205を自転車202又はドッキングステーション204にかざした場合に、当該画面が表示される。なお、これらの情報は、自転車202、又はドッキングステーション204が有する表示部に表示されてもよいし、ユーザ203による操作等、他のトリガに基づき表示されてもよい。
【0168】
例えば、図24に示すように、地図情報に、複数の推奨地点と、各推奨地点のインセンティブ(ポイント)とが表示される。この場合、上記のように提示する推奨地点の数に制限を設けることで、表示される情報が煩雑になることを抑制できる。
【0169】
なお、図25に示すように、複数の待機場所のうち、推奨地点が強調表示され、ユーザが推奨地点をタップした際に、インセンティブを含む当該推奨地点の情報が表示されてもよい。
【0170】
また、上述したように、推奨地点の数を制限する場合には、現在表示されている地図の範囲に含まれる待機場所から、予め定められた所定数の推奨地点が選択されてもよい。つまり、表示される地図範囲がスクロールされたり、地図の表示倍率が変更された場合に、表示される推奨地点が変更されてもよい。
【0171】
また、ユーザ203が自転車202を用いて推奨地点に移動し、当該推奨地点に自転車202を返却した場合、ユーザ203に上記インセンティブが付与される。
【0172】
以上のように、自転車シェアリングシステム200は、複数の待機場所に待機している自転車202の数と、自転車202の需要予測情報222と、に基づいて、複数の待機場所の一つである移動先(推奨地点)にユーザ203が自転車202を移動させた場合にユーザ203に与えられるインセンティブを決定し、移動先(推奨地点)とインセンティブとをユーザ203に提示する。
【0173】
これにより、ユーザ203が推奨地点に自転車202を移動するように誘導することができる。よって、自転車202の偏りを低減できる。例えば、ユーザ203の目的地の近くに2つの待機場所が存在し、一方が推奨地点に設定されている場合には、ユーザ203が推奨地点への移動を選択するケースが増加する。このように、ユーザ203の負荷を増加させることなく、台数が不足している待機場所に自転車202を移動させることができる。また、観光などにおいて、ユーザが複数の観光地の順番に訪れようとしている場合、推奨地点に設定されている観光地を先に訪れるなどというケースも想定できる。
【0174】
なお、上記説明では、予め定められた待機場所(ドッキングステーション204)が設定されているシステムの例を説明したが、待機場所が設けられておらず、任意の場所に自転車202を乗り捨てるようなシステムにおいても本実施の形態の手法を適用できる。このようなシステムでは、例えば、自転車202につけられている鍵が、ユーザ端末205等により開け閉めされる。
【0175】
この場合には、制御装置201は、自転車202が有するGPS等で得られた自転車202の位置を管理する。例えば、制御装置201は、図23に示す車両情報223に基づき、待機中の自転車202の位置を判定する。そして、制御装置201は、この待機中の自転車202の位置に基づき、複数の自転車202の現在の分布を算出する。また、上記の待機場所の代わりに、例えば、地図をメッシュ状に分割した区画が用いられる。インセンティブ決定部214は、各区画の、現在の台数と必要台数とを用いて、上記と同様の方法により、推奨地点に相当する推奨区画及び各推奨区画のインセンティブを決定する。なお、区画はメッシュ状に限らず、任意の形状でよい。また、ビル又は交差点といった対象物及びその周辺が一つの区画として設定されてもよい。なお、このような乗り捨てが行われる場合であっても、道路周辺等といった乗り捨て可能な待機場所は規定されている。よって、このような場合においても、複数の待機場所から推奨地点が決定されるといえる。
【0176】
以上、本実施の形態に係る車両制御装置101並びに車両制御システム、及び、自転車シェアリングシステム200並びに制御装置201について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0177】
また、上記実施の形態に係る車両制御装置又は制御装置等に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0178】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0179】
また、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0180】
また、本発明は、車両制御装置により実行される車両制御方法として実現されてもよい。また、本発明は、自転車シェアリングシステム又は制御装置により実行される自転車シェアリング方法又は制御方法として実現されてもよい。
【0181】
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
【0182】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0183】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0184】
以上、一つまたは複数の態様に係る車両制御装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明は、車両制御装置に適用でき、例えば、自動運転可能な電気自動車を用いた輸送システム又は自転車シェアリングシステム等に適用できる。
【符号の説明】
【0186】
100 車両制御システム
101 車両制御装置
102 車両
111 車両情報取得部
112 乗り捨て判定部
113 記憶部
114 移動先決定部
115 移動指示部
116 待機場所管理部
117 需要予測部
118 車両情報管理部
121 待機場所情報
122 需要予測情報
123 車両情報
130 管理装置
131 通信部
200 自転車シェアリングシステム
201 制御装置
202 自転車
203 ユーザ
204 ドッキングステーション
205 ユーザ端末
211 待機場所情報取得部
212 位置情報取得部
213 記憶部
214 インセンティブ決定部
215 提示部
216 待機場所管理部
217 需要予測部
218 車両情報取得部
219 車両情報管理部
221 待機場所情報
222 需要予測情報
223 車両情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25