(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】包装用箱及びそのブランクシート
(51)【国際特許分類】
B65D 5/4805 20060101AFI20220427BHJP
B65D 5/487 20060101ALI20220427BHJP
B65D 5/486 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B65D5/4805
B65D5/487
B65D5/486
(21)【出願番号】P 2017242309
(22)【出願日】2017-12-19
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】391026276
【氏名又は名称】株式会社タイヨーパッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】松本 千春
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02883098(US,A)
【文献】特開2008-087804(JP,A)
【文献】実開昭61-193011(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00-5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のブランクシートから組み立てられ、後側板、左側板、前側板及び右側板
並びに上封鎖板及び下封鎖板に囲まれた閉鎖空間を備え、前記閉鎖空間の内部に当該閉鎖空間の前後にわたる仕切片を備えた包装用箱であって、
前記後側板の上縁に続いて前記閉鎖空間の上開口部を閉鎖する前記上封鎖板を備え、
前記右側板の側縁に続いて第一仕切片を具備する後仕切板を備えると共に、前記前側板の上縁又は下縁に続いて前記第一仕切片と重なり合う第二仕切片を具備する前仕切板を備え、
前記後仕切板は、前記後側板の内面に接着された
上下後リンク片と、当該
上下後リンク片に対して起立し
相互に平行となるように前記閉鎖空間を仕切る前記第一仕切片を備え、
前記前仕切板は、前記前側板の内面に接着された
上下前リンク片と、当該
上下前リンク片に対して起立し
相互に平行となるように前記閉鎖空間を仕切り前記第一仕切片と接着された前記第二仕切片を備え、
前記第一仕切片は、前記上下後リンク片の間に複数横並びに連続して配置され、
前記第二仕切片は、前記上下前リンク片の間に複数横並びに連続して配置され、
前記前側板の上位に、前記閉鎖空間の前面上部を開放し内容物を露出するための離脱部を備え、
前記離脱部は、その外縁として間欠的な切込みを備え、
前記上封鎖板の糊代部が前記離脱部に接着してあり、
前記上前リンク片は、前記切込みの内側に接着してあることを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
後側板、左側板、前側板及び右側板
並びに上封鎖板及び下封鎖板に囲まれた閉鎖空間を備え、且つ前記閉鎖空間の内部に当該閉鎖空間の前後にわたる仕切片を備えた包装用箱に組み立てられる一連のブランクシートであって、
前記後側板の上縁に続いて前記閉鎖空間の上開口部を閉鎖する前記上封鎖板を備え、
前記右側板の側縁に続いて第一仕切片を具備する後仕切板を備えると共に、前記前側板の上縁又は下縁に続いて前記第一仕切片と重なり合う第二仕切片を具備する前仕切板を備え、
前記後仕切板は、前記後側板の裏面に接着される
上下後リンク片と、当該
上下後リンク片に対して起立し
相互に平行となるように前記閉鎖空間を仕切る前記第一仕切片を備え、
前記前仕切板は、前記前側板の裏面に接着される
上下前リンク片と、当該
上下前リンク片に対して起立し
相互に平行となるように前記閉鎖空間を仕切り前記第一仕切片と接着される前記第二仕切片を
備え、
前記第一仕切片は、前記上下後リンク片の間に複数横並びに連続して配置され、
前記第二仕切片は、前記上下前リンク片の間に複数横並びに連続して配置され、
前記前側板の上位に、前記閉鎖空間の前面上部を開放し内容物を露出するための離脱部を備え、
前記離脱部は、その外縁として間欠的な切込みを備え、
前記上封鎖板に、前記離脱部に接着される糊代部を備え、
前記上前リンク片は、前記離脱部の内側に接着されるように切り欠かれていることを特徴とする包装用箱のブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装した商品を保持するための仕切材を一体的に備える包装用箱及びそのブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、クリーム状の軟膏などが入れられたチューブなどが入れられ相互の干渉によって変形し易い商品を複数収容する包装用箱では、商品相互の干渉を回避し商品の変形など損傷を回避するための仕切材を設ける必要性が生じる。
【0003】
これまで、包装用箱を一連のブランクシートから組み上げる構成を採用し、当該ブランクシートのレイアウト及び折曲げ方を工夫することによって、包装用箱自体に内部に仕切を設けるための仕切片などを一体的に設ける手法(例えば下記特許文献1乃至特許文献3参照)が多数紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3195439号公報
【文献】実用新案登録第3206282号公報
【文献】特開平10-77025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特に、商品(以下「内容物」という)を一列に内包する包装箱など、前後の奥行きが比較的狭い包装用箱は、展開時における引揚げ幅が比較的狭いために、切込に囲まれた仕切片を十分に離脱(起立)させて展開させることが困難であり、自動機による組立てにおいて、仕切片に囲まれた仕切空間を確実に成形することが困難であるという問題がある(例えば特許文献1又は特許文献2参照)。
一方、仕切片の離脱及び展開の便宜のために、仕切片の周囲に過大な切込を入れると、仕切機能が脆弱となるという問題がある(例えば特許文献3参照)。
【0006】
また、上記特許文献に記載の手法では、限られた紙面で、一様な仕切片を効率的に得つつ、仕切片の支持強度を維持する上では、仕切片が前後に傾斜した構成とならざるを得ず、上縁及び下縁が水平な仕切や、十分な高さを持った仕切を一様に設けることが困難であるという問題もある。
他方、仕切片の離脱や展開を容易としつつ、十分な仕切機能が与えられる構成を与えたとしても、更に、開封後において商品の名称、提供元又は効能などが明記された商品の側面を有る程度目視できる構成が求められる場合もある。
【0007】
このように、箱の組立の自動化が進む上でも、手作業と同様又はそれを上回る品質や機能を満たすことが求められている実態において、それらの要請を如何なる構成や方法で満足するかが課題となっているところである。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、一連のブランクシートから組み上げられる包装用箱であって、実用的な仕切機能を一体的に備えると共に、仕切片の離脱や展開を妨げる紙自体の硬直性を緩和しつつ、機械的に且つ自動的に包装用箱として組み立てるに適した構造を持つ包装用箱及びそのブランクシートの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく為された本発明による包装用箱は、一連のブランクシートから組み立てられ、後側板、左側板、前側板及び右側板に囲まれた閉鎖空間を備え、前記閉鎖空間の内部に当該閉鎖空間の前後にわたる仕切片を備えた包装用箱であって、前記右側板の側縁に続いて第一仕切片を具備する後仕切板を備えると共に、前記前側板の上縁又は下縁に続いて前記第一仕切片と重なり合う第二仕切片を具備する前仕切板を備え、前記後仕切板は、前記後側板の内面に接着された後リンク片と、当該後リンク片に対して起立した第一仕切片を備え、前記前仕切板は、前記前側板の内面に接着された前リンク片と、当該前リンク片に対して起立し前記第一仕切片と接合された第二仕切片を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明による包装用箱は、前記後側板の上縁に続いて前記閉鎖空間の上開口部を閉鎖する上封鎖板を備えた包装用箱とし、前記前側板の上位に、前記閉鎖空間の前面上部を開放し内容物を露出するための離脱部を備え、前記上封鎖板の糊代部が前記離脱部に接着してある構成を採ることもできる。
【0011】
上記課題を解決すべく為された本発明による包装用箱のブランクシートは、後側板、左側板、前側板及び右側板に囲まれた閉鎖空間を備え、且つ前記閉鎖空間の内部に当該閉鎖空間の前後にわたる仕切片を備えた包装用箱に組み立てられる一連のブランクシートであって、前記右側板の側縁に続いて第一仕切片を具備する後仕切板を備えると共に、前記前側板の上縁又は下縁に続いて前記第一仕切片と重なり合う第二仕切片を具備する前仕切板を備え、前記後仕切板は、前記後側板の裏面に接着される後リンク片と、当該後リンク片に対して起立する第一仕切片を備え、前記前仕切板は、前記前側板の裏面に接着される前リンク片と、当該前リンク片に対して起立し前記第一仕切片と接合される第二仕切片を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明による包装用箱のブランクシートは、前記後側板の上縁に続いて前記閉鎖空間の上開口部を閉鎖する上封鎖板を備えた包装用箱に組み立てられる一連のブランクシートとし、前記前側板の上位に、前記閉鎖空間の前面上部を開放し内容物を露出するための離脱部を備え、前記上封鎖板に、前記離脱部に接着される糊代部を備える構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による包装用箱及びそのブランクシートによれば、一連のブランクシートから組み立てることから、複数の部材を形作るブランクシートの各々について、裁断工程及び組立工程が必要となることもなく、包装用箱の内部に仕切材などを装填する作業を要することもなく、包装用箱の製造から内容器の装填に至るまでの工程が簡素となる。
【0014】
また、第一仕切片を具備する後仕切板を備えると共に、前記前側板の上縁又は下縁に続いて前記第一仕切片と重なり合って接着される第二仕切片を具備する前仕切板を備える構成によって、特に、奥行きが比較的狭い包装用箱であっても、切込に囲まれた仕切片の離脱や展開が比較的容易となるのみならず、仕切片の離脱及び展開の便宜のために、仕切片の周囲に比較的大きな切込を入れたとしても、仕切の維持に十分な強度を与えることができる。
本発明による包装用箱は、このように仕切片の離脱や展開を容易としつつ、十分な仕切機能が与えられる構成を持ちながら、自動機による組立にあっても高い歩留まりが得られるという効果がある。
【0015】
更に、本発明による包装用箱は、前記後側板の上縁に続いて前記閉鎖空間の上開口部を閉鎖する上封鎖板を備えた包装用箱とし、前記前側板の上位に、前記閉鎖空間の前面上部を開放し内容物を露出するための離脱部を備え、前記上封鎖板の糊代部が前記離脱部に接着してある構成を採ることによって、開封後において商品の名称、提供元又は効能などが明記された商品の側面を目視できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明による包装用箱の一例を示す開封時における斜視図である。
【
図2】本発明による包装用箱の一例を示す開封時における斜視図である。
【
図3】本発明による包装用箱の一例を示す六面図である。
【
図4】本発明による包装用箱の一例を示す開封時における正面図である。
【
図5】本発明による包装用箱の一例を示す
図3(C)におけるA-A矢視断面図である。
【
図6】本発明による包装用箱(筒状)の一例を示す正面側から見た縦断面図である。
【
図7】本発明による包装用箱の一例を示す
図3(C)におけるB-B矢視断面図である。
【
図8】本発明による包装用箱(筒状)の一例を示す裏面側から見た縦断面図である。
【
図9】本発明による包装用箱の折畳み工程(ブランクシート)の一例を示す平面図である。
【
図10】本発明による包装用箱の折畳み工程の一例を示す平面図である。
【
図11】本発明による包装用箱の折畳み工程の一例を示す平面図である。
【
図12】本発明による包装用箱の折畳み工程の一例を示す平面図である。
【
図13】本発明による包装用箱の折畳み工程(ブランクシート)の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による包装用箱の実施の形態を、そのブランクシートの実施の形態と共に詳細に説明する。
図1乃至
図8に示す例は、
図9に示す一枚のブランクシートから直方体状に組み立てられ、四つの側板並びに上封鎖板7及び下封鎖板8に囲まれた直方体状の閉鎖空間を備え、且つ前記閉鎖空間の内部に、前側板3及び後側板1並びに当該閉鎖空間の前後にわたる仕切片に挟まれた均等な面積を持つ複数の保持領域を備える包装用箱である。
【実施例1】
【0018】
前記包装用箱は、前記閉鎖空間を囲う四つの側板として、後側板1、左側板2、前側板3及び右側板4を備える。
更に、この例は、前記右側板4の側縁に続いて第一仕切片5aを具備する後仕切板5を備えると共に、前記前側板3の下縁に続いて前記第一仕切片5aと相互に重なり合った第二仕切片6aを具備する前仕切板6を備える。
【0019】
<ブランクシート>
前記包装用箱を形作るブランクシートは、閉鎖空間を取り囲む後側板1、左側板2、前側板3及び右側板4を一列に連結して備える。この例は、前記右側板4の側縁に続いて第一仕切片5aを具備する後仕切板5を備えると共に、前記前側板3の下縁に続いて前記第一仕切片5aと重なり合う第二仕切片6aを具備する前仕切板6を備える(
図9参照)。
【0020】
前記左側板2及び右側板4は、前記上下封鎖板7,8の一部として、それぞれ上下端縁から延びる上下フラップ9,11,10,12を備える。
また、前記後側板1は、前記上下封鎖板7,8の一部として、それぞれの端縁から延びる上封鎖片7a及び下端縁から延びる下封鎖片8aを備える。
前記前側板3は、その上位に、前記閉鎖空間の前面上部を開放し内容物を露出するための離脱部3aを備える。当該離脱部3aは、その外縁として、間欠的に穿設された切込を備える。
前記上封鎖板7は、前記閉鎖空間の上開口部を覆う前記上封鎖片7aと、前記前側板3の上位で下へ直角に折曲げられ前記離脱部3aに接着される糊代部7bと、接着後に当該糊代部7bを剥がすために摘む摘み部7cを備える。
【0021】
この例の前記後仕切板5は、長方形状の前記後側板1の裏面に接着される後リンク片5b,5cと、当該後リンク片5b,5cに対して起立し相互に平行となるように閉鎖空間を仕切る第一仕切片5aを備える。
この例の後リンク片は、上下に平行に配置された上下後リンク片5b,5cと、当該上下後リンク片5b,5cの右(折曲げられていないブランクシートの裏面から見て右)端部を連結し最も右側の第一仕切片5aの右縁を支持する中継ぎ片5dとからなるU字状に構成される。
前記第一仕切片5aは、当該上下後リンク片5b,5cの間に、略同じ形状で複数横並びに連続して配置されている。
この例の上下後リンク片5b,5cは、最も右側の第一仕切片5aを除き、前記ヒンジ部5eを介して全ての第一仕切片5aを支持する構成を備える。
【0022】
例えば、上下の後リンク片5b,5cの各第一仕切片5aに隣接する内縁は、最も左側の第一仕切片5aを除く全ての第一仕切板5aについて、当該第一仕切片5aが左側に向って先細りとなる様に、各第一仕切片5aの左側の上下端部を面取りすることで残る三角形状の支持部5fを備える。
この例の各第一仕切片5aは、概ね、上記形状を形作って切込みで囲まれているが、各第一仕切片5aの面取りが施された辺の反対側(この例では右側)に位置する支持部5fと隣接する領域の一部はヒンジ部5eとして残しておく構成が採られている。
尚、各第一仕切片5aの外縁にバリを残さないためには、前記ヒンジ部5e以外の全ての切り込みが一連であることが望ましい。
【0023】
この例の前記前仕切板6は、長方形状の前記前側板3の裏面に接着される前リンク片6b,6cと、当該前リンク片6b,6cに対して起立し相互に平行となるように閉鎖空間を仕切る第二仕切片6aを備える。
この例の前リンク片は、上下に平行に配置された上下前リンク片6b,6cと、最も右側の第二仕切片6aの右縁を支持する支え片6dとで構成されている。
前記第二仕切片6aは、当該上下前リンク片6b,6cの間に、同じ形状で複数横並びに連続して配置されている。
この例の上下前リンク片6b,6cは、最も右側の第二仕切片6aを除き、前記ヒンジ部6eを介して全ての第二仕切片6aを支持する構成を備える。
【0024】
例えば、上下の前リンク片6b,6cの各第二仕切片6aに隣接する内縁は、最も左側の第二仕切片6aを除く全ての第二仕切板6aについて、当該第二仕切片6aが左側に向って先細りとなる様に、各第二仕切片6aの左側の上下端部を面取りすることで残る三角形状の支持部6fを備える。
この例の各第二仕切片6aは、概ね、上記形状を形作って切込みで囲まれているが、各第二仕切片6aの面取りが施された辺の反対側(この例では右側)に位置する支持部6fと隣接する領域の一部はヒンジ部6eとして残しておく構成が採られている。
尚、各第二仕切片6aの外縁にバリを残さないためには、前記ヒンジ部6e以外の全ての切り込みが一連であることが望ましい。
この例の上の前リンク片6bは、前記離脱部3aを囲む切込を横切らないように、前記切込みから外側に出る部分を切り欠いておく。
【0025】
この例では、前記前側板3に折り重ねた際の前記前仕切板6が備える全ての第二仕切片6aと、前記右側板4との境界で前記前側板3及び前記前仕切板6の上に折り重ねた前記後仕切板5に設けた全ての第一仕切片5aは、相互に向き合う形となるように、前記前後仕切板6,5における各仕切片6a,5aの幅と高さ(上下リンク部の間隔)を一致させてある。
尚、前記第一仕切片5a及び前記第二仕切片6aそれぞれについての、前記ヒンジ部5e,6e及びそれらに連なる前記支持部5f,6f、並びに前記中継ぎ片5d及び前記支え片6dは、箱を立体化する展開工程において前記第一仕切片5a及び前記第二仕切片6aがそれぞれ開く方向と同じ側に設ければよい。
【0026】
前記下封鎖板8は、前記閉鎖空間の下開口部全体を覆う下閉鎖部8aと、当該閉鎖空間の下開口部に差し入れる差込部8bを備える。
【0027】
上記例のような包装用箱を形作る各構成要素(板や片等)又はそれらの各部位間の境界は、折曲げ成形を行う際の便宜や解体の便宜などのために、他の部分との相対的な強度差を与えるべく、当該境界線に沿って適宜設けられたミシン目状の間欠切込を備える。
各間欠切込の周期、深さ又は間欠割合等は、切断や折曲げなど、目的に応じて適宜調整する。
【0028】
<組立>
この例の組立は、立体化の下準備であって折曲げ作業及び貼着作業を伴う折畳み工程と、当該折畳み工程を経たブランクシートを筒状に立体化する展開工程と、筒状となったブランクシートの底を閉じ有底筒体とする底閉じ工程と、当該底閉じ工程を経た有底筒体に内容物を装填する装填工程と、内容物が装填された有底筒体を封鎖する封鎖工程を経てなされる。
【0029】
前記折畳み工程は、前記前仕切板6を前記前側板3の裏側へ折重ねると共に、当該前仕切板6の上前リンク片6b及び下前リンク片6cを当該前側板3の裏面に接着する第一折重ねステップ(
図10参照)と、前記後仕切板5を、前記右側板4との境界を折曲げ線として、当該右側板4の裏面及び前記前仕切板6の表面上へ折重ねると共に、前仕切板6の全ての第二仕切片6aの表面と後仕切板5の全ての第一仕切片5aの裏面を接着する第二折重ねステップ(
図11参照)と、前記左側板2と前記後側板1を、前記前側板3と前記左側板2との境界を折曲げ線として、前記後仕切板5の表面上に折重ねると共に、当該後仕切板5の上下後リンク片5b,5c及び中継ぎ片5dと前記後側板1の裏面とを接着する第三の折重ねステップ(
図12参照)からなる。
【0030】
この例では、前記第一折重ねステップの際に、前記前側板3の裏面は、前記前仕切板6が備える第二仕切片6aの裏面との接着を行わない。
また、前記第二折重ねステップの際に、前記前仕切板6の上下前リンク片6b,6cと前記後仕切板5の上下後リンク片5b,5c及び第一仕切片5aとの接着を行わず、前記右側板4と前記後仕切板5の中継ぎ片5dとの接着は行わない。
また、前記第三折重ねステップの際に、前記後側板1と前記後仕切板5の第一仕切片5aとの接着を行わず、前記前仕切板6の支え片6dと前記左側板2の裏面との接着は行わない。
【0031】
前記展開工程は、上記の如く折曲げ工程を終えたブランクシートを、前記左側板2及び前記右側板4が前記前側板3及び前記後側板1に対して直角に起立するまで、前記前側板3と前記後側板1との間隔を開くように操作する(
図5乃至
図8参照)。
その結果、この例の前記第二仕切片6a及び前記第一仕切片5aは、前後リンク片6b,6c,5b,5cの双方のヒンジ部6e,5eを介して前後から両側縁それぞれが引っ張られ、前記前側板3及び前記後側板1から前記前リンク片6b,6c及び支え片6d、並びに後リンク片5b,5c及び中継ぎ片5dを残して離脱すると共に、前記第二仕切片6a及び前記第一仕切片5aが一体の複層仕切片となって、前記左側板2及び前記右側板4と平行となる(平行とならない構成も可能である)に至るまで確実に誘導される。
これにより、前記複層仕切片は、前記前仕切板6及び後仕切板5に切り込まれた間隔で前記支持空間を左右方向に並ぶ複数の保持領域に区分する。
【0032】
前記底閉じ工程は、当該下開口部を構成する前記左右側板2,4から延出する一対の下フラップ10,12を、当該下開口部を封じるように直角に折り曲げ、最後に前記下封鎖片8aを、先に折曲げた下フラップ10,12の上へ折曲げ、その差込部8bを前記後側板1と一対の下フラップ10,12との隙間に差し入れて封じるものである(
図1参照)。
この後、装填工程において、前記複層仕切片によって形成された複数の保持領域に、内容物(例えばアンプル等)を装填する。
【0033】
前記封鎖工程は、前記閉鎖空間を囲う前記左右側板2,4の上端から延出する一対の上フラップ9,11を、当該閉鎖空間の上開口部を封じるように直角に折り曲げ、最後に前記上封鎖片7aを、前記閉鎖空間の上開口部全体を覆うように直角に折曲げ、当該閉鎖空間を囲う前記前側板3の前記離脱部3aに前記上封鎖板7の糊代部7bを接着するものである。
この際、前記糊代部7bと前記離脱部3a以外の部分、例えば、前記摘み部7cと前記前側板3との間などについては接着を行わない。
【0034】
<開封及び再封>
上記の如く組み立てられた包装用箱は、前記摘み部7cを引揚げ、前記糊代部7bを前記前側板3の表面から引き剥がすように操作することによって開封する。
その際、前記前側板3の上部に設けられた離脱部3aは、その周囲の切込みの破断によって分離し、前記糊代部7bの裏面に定着した形で前記上封鎖板7と一体化する。
これによって、前記閉鎖空間の前面上部が開放され、内容物の側面の一部を露出することとなる。
再封可能な構成を採る場合には、前記前側板3の前記離脱部3aの下位に前記摘み部7cを差し入れる切込みを設けることによって、再封状態を維持できる構成となる。
【0035】
尚、この発明による包装用箱の具体的な構成は、上記例に限定されるものではなく、前記折畳み工程を経た一連のブランクシートが、単一方向への操作で前記閉鎖空間を備える立体となり、当該閉鎖空間が複層仕切片で仕切られた複数の保持領域を確実に形作って展開する構成である限りにおいて、前記閉鎖空間の開口部を封じる構造や、前記仕切片の複層形状など包装用箱を形作る各構成要素の形状や構成を適宜変更することが可能である。
【実施例2】
【0036】
例えば、
図13に示す例は、機械による自動組立の更なる便宜を図ったものである。
この例の前記下封鎖板8は、前記閉鎖空間の下開口部を覆う後封鎖片13と前封鎖片14を備える。
前記前封鎖片14は、前記閉鎖空間の下開口部全体を覆う形状を備え、前記後封鎖片13は、前記左右側板2,4それぞれの下縁から延設された前記左右下フラップ10,12上で前記前封鎖片14を下支えする。
この例の前記底閉じ工程は、当該下開口部を構成する前記左右側板2,4から延出する一対の下フラップ10,12を、当該下開口部を封じるように直角に折り曲げ、前記後封鎖片13を、先に折曲げた下フラップ10,12の上へ折曲げ、最後に、前記前封鎖片14を、前記後封鎖片13の表面に貼着して封じる以外は、前記実施例1と同様の工程を経る。
【0037】
このように、各側板の下縁にそれぞれフラップ10,12や封鎖片13,14を設けると、前記前側板3の下縁に続いて前記前仕切板6を設けることが出来ない場合がある。
この例は、前記右側板4の側縁に続いて第一仕切片5aを具備する後仕切板5を備えると共に、前記前側板3の上縁に続いて前記第一仕切片5aと重なり合う第二仕切片6aを具備する前仕切板6を備えたブランクシートの例である。
この例を用いた組立工程の前記折畳み工程は、第一折重ねステップにおいて、前記前仕切板6を、前記前側板3の上縁を折曲げ線としてその裏側へ折重ねる点で異なるが、他の点で相違はなく、前記展開工程、装填工程及び封鎖工程においては、前記実施例1と同様である。
【0038】
また、この例では、各室の内容物をより幅広く保護するために、第一仕切片5aが第二仕切片6aよりも高く設定されており、且つ各第一仕切片5aの上先端部の支持部5fが下先端部の支持部5fに比較して、各第一仕切片5a奥行きが狭くなる様に下向きに食込む形で切り込まれている。
この食込みを設けることによって、そこに生じる空間に説明書き等の書類を安定して保持することができる。
【0039】
尚、複層仕切片は、上記実施例2のように、その全域が複層となっていない構成とすることができる。前記第二仕切片6a及び前記第一仕切片5aが向き合う部分は複層となるが、第一仕切片5aと第二仕切片6aの形状が、両者の重なる部分の形状と異なる場合には、前記第二仕切片6a及び前記第一仕切片5aが向き合わない部分には、単層の部分が生じる。
【符号の説明】
【0040】
1 後側板,2 左側板,
3 前側板,3a 離脱部,
4 右側板,
5 後仕切板,
5a 第一仕切片,5b (後上)リンク片,5c (後下)リンク片,
5d 中継ぎ片,5e ヒンジ部,5f 支持部,
6 前仕切板,
6a 第二仕切片,6b (前上)リンク片,6c (前下)リンク片,
6d 支え片,6e ヒンジ部,6f 支持部,
7 上封鎖板,7a 上封鎖片,7b 糊代部,7c 摘み部,
8 下封鎖板,8a 下封鎖片,8b 差込部,
9 (左上)フラップ,10 (左下)フラップ,
11 (右上)フラップ,12 (右下)フラップ,
13 後封鎖片,14 前封鎖片,