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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】保護パネル
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/08 20060101AFI20220427BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
E01D19/08
E01D22/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018003812
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019124011
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】500538715
【氏名又は名称】日軽エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 望
(72)【発明者】
【氏名】大島 勤
(72)【発明者】
【氏名】市川 章広
(72)【発明者】
【氏名】金澤 宏明
(72)【発明者】
【氏名】末吉 昭徳
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-143469(JP,A)
【文献】廣川亮吾,アルミ合金を用いた橋梁の維持管理向け製品,株式会社横河ホールディングス決算説明資料,日本,株式会社横河ホールディングス,2017年11月10日,第13―14、16頁
【文献】橋梁メンテナンスを支える恒久足場 NSカバープレート,Journal of Civil Engineering,日本,オフィス・スペース,2015年07月01日,VOL.56 No.7,第140-141頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/08
E01D 22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁の下部を保護する保護パネルであって、
前記橋梁の下部に設けられる桁材の下端に前記下部に沿って配置された下面パネルと、
前記下面パネルに対して前記橋梁の幅方向の外側に起立した状態で配置された側面パネルと、を備え、
前記側面パネルは、当該側面パネルの上端が下端よりも前記橋梁の幅方向の外側に配置されるように傾斜可能であり、
前記側面パネルは、前記橋梁の幅方向の内側の面に凸部を有し、
前記凸部は、前記側面パネルの前記橋梁の幅方向の内側の面に上下方向に沿って設けられるリブ部に固定され、前記側面パネルを前記橋梁の幅方向の外側に傾斜させる際に、点検作業の足場として、又は前記足場となる足場部材を支持する支持部として用いられる
保護パネル。
【請求項2】
記凸部は、前記側面パネルの高さ方向に複数設けられる
請求項に記載の保護パネル。
【請求項3】
前記側面パネルは、当該側面パネルを前記橋梁の幅方向の外側に傾斜させた状態で当該側面パネルの上部に配置される手摺部を有し、
前記手摺部は、前記リブ部に取り付けられる
請求項1又は請求項に記載の保護パネル。
【請求項4】
前記手摺部は、前記側面パネルに対して軸部の中心軸の周りに回動可能に取り付けられ、前記側面パネルに対して回動させることで前記側面パネルの上部に出没可能であり、
前記軸部は、前記リブ部に設けられる
請求項に記載の保護パネル。
【請求項5】
前記手摺部が前記側面パネルの所定の収容位置に収容された状態において前記手摺部を支持する第1支持部材と、
前記手摺部が前記側面パネルの上部に配置された状態において前記手摺部を支持する第2支持部材と
を更に備え、
前記手摺部は、前記側面パネルに対して前記第1支持部材と前記第2支持部材との間で回動可能に取り付けられ、前記側面パネルに対して回動させることで前記側面パネルの上部に出没可能である
請求項3又は請求項4に記載の保護パネル。
【請求項6】
橋梁の下部を保護する保護パネルであって、
前記橋梁の下部に設けられる桁材の下端に前記下部に沿って配置された下面パネルと、
前記下面パネルに対して前記橋梁の幅方向の外側に起立した状態で配置された側面パネルと、を備え、
前記側面パネルは、当該側面パネルの上端が下端よりも前記橋梁の幅方向の外側に配置されるように傾斜可能であり、
前記橋梁は、前記桁材から前記橋梁の幅方向の外側に向けて配置される水平支持材と、当該水平支持材の端部から吊り下げられる吊材と、を有し、
前記下面パネルは、前記桁材の下端と前記吊材の下端とにそれぞれ固定され、
前記側面パネルは、前記吊材の下端に回動可能に支持され、
前記吊材は、下端に前記橋梁の幅方向の外側かつ下側に向けて突出するガゼット部を有し、
前記側面パネルは、前記ガゼット部に回動可能に支持され、
前記ガゼット部は、ガゼット支持部材を介して前記吊材に取り付けられ、
前記ガゼット部及び前記ガゼット支持部材は、それぞれ上辺として前記橋梁の幅方向の内側に向けて上方に傾斜した傾斜片を有し、前記橋梁の架設方向から見て前記傾斜片同士が重なるように配置される
保護パネル。
【請求項7】
前記側面パネルは、過開きを規制するストッパ機構を介して前記吊材に連結される
請求項6に記載の保護パネル。
【請求項8】
前記ストッパ機構は、前記側面パネルの前記橋梁の幅方向の内側の面に上下方向に沿って設けられるリブ部に回動可能に取り付けられる
請求項7に記載の保護パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両及び歩行者が通行する橋梁は、通行部分の下部が排気ガスや海又は川からの水分、塩分等によって腐食環境に晒されているため、これを保護する必要がある。また、このような橋梁では、当該橋梁の安全性を確認するための点検用の足場を確保する必要がある。
【0003】
橋梁の下部を腐食環境から保護することについては、例えば橋梁下部に保護カバー材を設けることで橋梁下部を保護するとともに、保護カバー材自体を点検用通路として用いる技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。一方、橋梁の安全性を確認するための点検は、橋梁の下部だけでなく側部においても行う必要がある。そのため、橋梁の通行部分から側部に梯子等を吊り下げることで足場を確保する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4077358号公報
【文献】特開2014-205961号公報
【文献】特開2003-160913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1から特許文献3に記載の構成では、橋梁の下部及び側部のうち一方のみを点検することができるが、その両方を点検することは困難である。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、橋梁の下部を腐食環境から保護し、かつ橋梁の下部及び側部の点検を効率よく行うことができる保護パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る保護パネルは、橋梁の下部を保護する保護パネルであって、前記橋梁の下部に設けられる桁材の下端に前記下部に沿って配置された下面パネルと、前記下面パネルに対して前記橋梁の幅方向の外側に起立した状態で配置された側面パネルと、を備え、前記側面パネルは、当該側面パネルの上端が下端よりも前記橋梁の幅方向の外側に配置されるように傾斜可能である。
【0008】
この構成によれば、下面パネル及び側面パネルにより、橋梁の下部を腐食環境から保護することができる。また、下面パネルを足場とすることで、橋梁の下部の点検を行うことができる。更に、側面パネルの上端が下端よりも橋梁の幅方向の外側に配置されるように当該側面パネルを傾斜させることにより、傾斜した側面パネルの上部から橋梁の側部にアクセスすることが可能となるため、橋梁の側部の点検を行うことができる。これにより、橋梁の下部を腐食環境から保護し、かつ橋梁の下部及び側部の点検を効率的に行うことができる。
【0009】
上記保護パネルの望ましい態様として、前記側面パネルは、前記橋梁の幅方向の内側の面に凹部又は凸部を有し、前記凹部又は凸部は、前記側面パネルを前記橋梁の幅方向の外側に傾斜させる際に、点検作業の足場として、又は前記足場となる足場部材を支持する支持部として用いられる。
【0010】
この構成によれば、側面パネルのうち橋梁の幅方向の内側の面を足場として効率よく橋梁の側部を点検することができる。
【0011】
上記保護パネルの望ましい態様として、前記凹部又は凸部は、前記側面パネルの高さ方向に複数設けられる。
【0012】
この構成によれば、側面パネルを傾斜させた状態において、凹部又は凸部が高さ方向に階段状に配置される。これにより、点検作業をより容易かつ効率的に行うことができる。
【0013】
上記保護パネルの望ましい態様として、前記側面パネルは、当該側面パネルを前記橋梁の幅方向の外側に傾斜させた状態で当該側面パネルの上部に配置される手摺部を有する。
【0014】
この構成によれば、側面パネルに手摺部が配置されるため、点検作業をより安全に行うことができる。
【0015】
上記保護パネルの望ましい態様として、前記手摺部は、前記側面パネルに対して回動可能に取り付けられ、前記側面パネルに対して回動させることで前記側面パネルの上部に出没可能である。
【0016】
この構成によれば、手摺部を側面パネルに対して回動させることにより、側面パネルの上部に効率的に出没させることができる。
【0017】
上記保護パネルの望ましい態様として、前記橋梁は、前記桁材から前記橋梁の幅方向の外側に向けて配置される水平支持材と、当該水平支持材の端部から吊り下げられる吊材と、を有し、前記下面パネルは、前記桁材の下端と前記吊材の下端とにそれぞれ固定され、前記側面パネルは、前記吊材の下端に回動可能に支持される。
【0018】
この構成によれば、水平支持材と吊材とで下面パネルを安定して保持することができ、側面パネルを安定して傾斜させることができる。
【0019】
上記保護パネルの望ましい態様として、前記吊材は、下端に前記橋梁の幅方向の外側かつ下側に向けて突出するガゼット部を有し、前記側面パネルは、前記ガゼット部に回動可能に支持される。
【0020】
この構成によれば、側面パネルを傾斜させる際に下面パネルと干渉することをより確実に防ぐことができる。
【0021】
上記保護パネルの望ましい態様として、前記側面パネルは、過開きを規制するストッパ機構を介して前記吊材に連結される。
【0022】
この構成によれば、側面パネルの過開きを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、橋梁の下部を腐食環境から保護し、かつ橋梁の下部及び側部の点検を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態に係る保護パネルの一例を示す斜視図である。
図2図2は、保護パネルの使用態様の一例を示す図である。
図3図3は、保護パネルの使用態様の一例を示す図である。
図4図4は、下面パネルが桁材に支持される構成の一例を示す図である。
図5図5は、下面パネルが吊材に支持される構成の一例を示す図である。
図6図6は、ストッパ機構の使用態様の一例を示す図である。
図7図7は、ストッパ機構の使用態様の一例を示す図である。
図8図8は、手摺部を側面パネルの上部に配置させる手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る保護パネルの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0026】
図1は、本実施形態に係る保護パネル100の一例を示す斜視図である。図2及び図3は、保護パネル100の使用態様の一例を示す図である。図1から図3に示すように、保護パネル100は、橋梁101の下部を保護する。
【0027】
ここで、橋梁101について説明する。橋梁101は、例えば一方向に沿って架け渡される。以下、橋梁101が架け渡される方向を架設方向D1と表記する。橋梁101は、通行部102と、桁材103と、防護柵104と、水平支持材105と、吊材106とを有する。通行部102は、車両及び歩行者等が通行する部分である。本実施形態において、通行部102の下面部分が、橋梁101の下部(以下、「橋梁下部」と表記する)101aとなる。
【0028】
桁材103は、橋梁下部101aに設けられ、幅方向D2に複数並んだ状態で配置される。なお、幅方向D2は、上記の架設方向D1及び鉛直軸に沿った上下方向D3にそれぞれ直交する方向である。桁材103は、例えば鉄鋼等によって板状に形成され、橋梁101の架設方向D1に沿って配置される。各桁材103の下端には、幅方向D2の両側に突出した板状の載置部103aが設けられる。防護柵104は、通行部102に対して幅方向D2の両端に配置される。本実施形態において、防護柵104のうち幅方向D2の外面部分が、橋梁101の側部(以下、「橋梁側部」と表記する)101bとなる。
【0029】
水平支持材105は、幅方向D2の最も外側に配置される桁材103に連結部材121(121a、121b)を介して連結される。水平支持材105は、当該桁材103から幅方向D2の外側に向けて延び出している。水平支持材105は、上下方向D3に複数本、例えば2本配置されている。
【0030】
水平支持材105は、支持部材122(122a、122b)を介して吊材106を支持する。吊材106は、例えば柱状であり、水平支持材105によって支持された状態で上下方向D3に平行に配置される。吊材106は、幅方向D2の最も外側に配置される桁材103に対して、幅方向D2の外側に所定の間隔を空けて配置される。本実施形態では、1つの吊材106を上下の2つの水平支持材105で支持する構成を例に挙げて説明しているが、これに限定されない。吊材106は、架設方向D1に沿って複数配置される。吊材106は、下端部に支持機構107を有する。
【0031】
また、本実施形態では、桁材103の上部に連結される連結部材121aと、吊材106の下部に連結される支持部材122bとの間に、補強部材119が連結される。補強部材119は、幅方向D2及び上下方向D3について、桁材103と吊材106との間の連結構造を補強する。
【0032】
保護パネル100は、下面パネル10と、側面パネル20とを備える。下面パネル10は、橋梁下部101aに対して下方に配置され、当該下部101aを保護する。下面パネル10は、例えば平板状であり、下部101aに沿って配置される。下面パネル10は、架設方向D1及び幅方向D2にそれぞれ複数配置され、橋梁下部101aを覆った状態となっている。なお、下面パネル10は、水平面(架設方向D1及び幅方向D2に平行な平面)に沿って配置されてもよい。
【0033】
下面パネル10は、このように橋梁下部101aを覆うことにより、腐食環境から橋梁下部101aを保護する。また、下面パネル10は、作業者が橋梁下部101aの点検作業等を行う場合の足場となる。そのため、下面パネル10は、橋梁下部101aとの間に、作業者が作業可能な間隔を空けて配置される。
【0034】
複数の下面パネル10は、幅方向D2に隣り合う桁材103の載置部103a同士の間に架け渡される。複数の下面パネル10のうち、幅方向D2の最も外側に配置される下面パネル10は、幅方向D2の内側の端部が桁材103の載置部103aに支持され、幅方向D2の外側の端部が吊材106の下端の支持機構107に支持される。
【0035】
図4は、下面パネル10が桁材103に支持される構成の一例を示す図である。図4に示すように、下面パネル10は、固定機構110により載置部103aに固定されている。固定機構110は、固定金具111と、ボルト112と、ナット113と、スペーサ114と、被せ蓋115と、パッキン116とを有する。
【0036】
固定金具111は、載置部103aの下方に配置される。固定金具111は、載置部111a及び突出部111bを有する。載置部111aは、載置部103aとの間でパッキン116を挟んだ状態で配置される。突出部111bは、載置部103aから幅方向D2の外側に突出している。ボルト112は、突出部111bの下方から上方に向けて挿入され、突出部111b及び下面パネル10を貫通して配置される。ナット113は、ボルト112の上端部分に下面パネル10の上面側でネジ接合される。スペーサ114は、固定金具111の突出部111bと下面パネル10の下面との間に配置される。
【0037】
被せ蓋115は、固定金具111の突出部111bに上方から被せられた状態で配置される。被せ蓋115は、ボルト112のヘッド部112aを覆った状態で保護する。また、被せ蓋115は、架設方向D1の両側部に突出片115aを有する。突出片115aは、幅方向D2の内側に突出しており、パッキン116を架設方向D1の両側から挟んだ状態で配置される。突出片115aにより、パッキン116が架設方向D1にずれることを抑制している。
【0038】
図5は、下面パネル10が吊材106に支持される構成の一例を示す図である。図5に示すように、吊材106の下端には、支持機構107が固定される。支持機構107は、固定部107aと、連結部107bと、パネル支持部107dとを有する。固定部107aは、板状であり、不図示の固定部材等により、吊材106の下端に固定される。連結部107bは、中空状であり、固定部107aから幅方向D2の内側に突出して設けられる。
【0039】
連結部107bでは、ボルト109aのヘッド109cが中空部分に配置される。ボルト109aは、連結部107bの中空部から幅方向D2の内側に貫通するように配置される。連結部107bは、幅方向D2の内側に平面状の端面107cを有する。端面107cは、上部から下部にかけて、幅方向D2の外側に傾斜している。
【0040】
連結部107bは、ボルト109a及びナット109bを介して、連結部材108に連結される。連結部材108は、パネル側連結部108aと、吊材側連結部108bとを有する。パネル側連結部108aは、ボルト等により下面パネル10に連結され、パネル支持部107dとの間で下面パネル10を挟持する。吊材側連結部108bは、パネル側連結部108aに対して上方に折り曲げられた状態で設けられる。吊材側連結部108bは、ボルト109a及びナット109bを介して、連結部107bに連結される。吊材側連結部108bは、連結部107bの端面107cに接触する平面状の端面108cを有する。連結部材108は、吊材側連結部108bの根元部分に凹部108dを有する。この凹部108dにより、吊材側連結部108bが根元部分を支点として弾性変形するようになっている。連結部材108は、パネル側連結部108aが下面パネル10に連結され、吊材側連結部108bが端面108cを端面107cに接触させた状態で連結部107bに連結される。この状態において、吊材側連結部108bは、根元部分を支点として幅方向D2の内側に弾性変形した状態となっている。この吊材側連結部108bの弾性変形によって生じた弾性力は、下面パネル10を下方に押す力となってパネル側連結部108aに伝わる。このため、下面パネル10が安定して保持される。
【0041】
また、図1から図3に示すように、側面パネル20は、下面パネル10に対して幅方向D2の外側に配置される。図1から図3では、側面パネル20が幅方向D2の一方側に配置された構成を例に挙げて示しているが、当該側面パネル20は、幅方向D2の他方側にも配置されている。側面パネル20は、例えば平板状であり、下面パネル10に対して起立した状態で配置される。本実施形態において、側面パネル20は、下面パネル10に直交して配置されるが、これに限定されない。
【0042】
側面パネル20は、架設方向D1に複数並んだ状態で配置され、橋梁下部101aを幅方向D2の両側から覆った状態となっている。これにより、側面パネル20は、橋梁側部101bの下方を幅方向D2の両側から保護する。
【0043】
側面パネル20は、下端を軸にして幅方向D2の外側に傾斜可能となっている。側面パネル20は、軸部22を有する。軸部22は、例えば円柱状であり、側面パネル20の下端に配置され、中心軸が架設方向D1に沿って配置される。軸部22は、吊材106の下端に連結されたガゼット部123に固定される。側面パネル20は、軸部22により、当該軸部22の中心軸の周りに回転可能に支持される。本実施形態において、ガゼット部123は、吊材106に対して幅方向D2の外側かつ下側に向けて突出している。軸部22は、このガゼット部123のうち幅方向D2の外側かつ下側に向けて突出した部分に配置される。この構成により、側面パネル20が軸部22の中心軸の周りに回転する場合、側面パネル20のうち軸部22の下方側に配置される部分が吊材106や支持機構107等に接触しないようになっている。
【0044】
側面パネル20は、軸部22の中心軸を中心として回転することにより、橋梁側部101bの下方を閉塞する閉塞位置P1と、橋梁側部101bの下方を開放する開放位置P2との間を移動可能である。なお、図2は、側面パネル20が閉塞位置P1に配置される場合の一例を示している。また、図3は、側面パネル20が開放位置P2に配置される場合の一例を示している。本実施形態において、閉塞位置P1は、側面パネル20が下面パネル10に対して垂直に配置される位置である。また、開放位置P2は、側面パネル20が閉塞位置P1に対して外側に傾いて配置される位置である。開放位置P2における側面パネル20の傾斜角度については、適宜設定することができる。
【0045】
側面パネル20は、閉塞位置P1に配置された状態において、幅方向D2の外側の面(以下、外面と表記する)20aが、橋梁側部101bに対して幅方向D2の内側に配置される(図2等参照)。このため、側部101bを伝わって落下する水等が側面パネル20に対して幅方向D2の内側に到達し難くなっている。
【0046】
側面パネル20が閉塞位置P1から開放位置P2に配置されることで、側面パネル20の上部と橋梁下部101aとの間に開口部分が形成された状態となる。このため、側面パネル20に対して幅方向D2の内側の位置から、当該開口部分を介して橋梁側部101bにアクセス可能となる。
【0047】
側面パネル20は、幅方向D2の内側の面(以下、内面と表記する)20bにリブ部20cを有する。リブ部20cは、上下方向に沿って配置され、側面パネル20を補強している。側面パネル20は、内面20b側にステップ部材21を有する。ステップ部材21は、側面パネル20が開放位置P2に配置される場合に作業者の足場となる板状部材である。ステップ部材21は、側面パネル20が開放位置P2に配置された状態において水平面に平行となるように配置される。つまり、側面パネル20が閉塞位置P1に配置された状態において、ステップ部材21は、水平面に対して傾いて配置される。本実施形態において、ステップ部材21は、側面パネル20に固定される。例えば、ステップ部材21は、リブ部20cに固定することができる。ステップ部材21は、図2に示すように、閉塞位置P1に配置される側面パネル20の高さ方向に複数設けられる。この構成により、図3に示すように、側面パネル20が開放位置P2に配置される場合、複数のステップ部材21が階段状に配置される。このため、作業者が高さ方向について容易に複数段の足場を確保することができる。
【0048】
なお、本実施形態において、側面パネル20は、作業者の足場となる構成として、板状のステップ部材21を有する構成を例に挙げているが、これに限定されない。例えば、作業者の足場となりうる構成であれば、他の態様の凹部又は凸部を有する構成であってもよい。また、側面パネル20は、ステップ部材21を有しない構成であってもよい。また、側面パネル20は、ステップ部材21に替えて、例えば作業者の足場となりうる板状部材や脚立等の足場機構を支持する支持部として、凹部又は凸部を内面20bに有する構成であってもよい。
【0049】
側面パネル20は、開放位置P2よりも外側に開くことを防止するストッパ機構23を有する。ストッパ機構23は、側面パネル20と吊材106とに連結される。ストッパ機構23は、パネル側連結部材23aと、吊材側連結部材23bと、連結軸23cとを有する。
【0050】
パネル側連結部材23aは、パネル側連結軸23dを介して側面パネル20のリブ部20cに連結される。パネル側連結部材23aは、パネル側連結軸23dの中心軸を中心として回転可能である。吊材側連結部材23bは、吊材側連結軸23eを介して吊材106に連結される。吊材側連結部材23bは、吊材側連結軸23eの中心軸を中心として回転可能である。また、連結軸23cは、パネル側連結部材23aと吊材側連結部材23bとを連結する。パネル側連結部材23a及び吊材側連結部材23bは、連結軸23cの中心軸を中心として回転可能である。
【0051】
吊材側連結部材23bには、取手部24が設けられる。取手部24は、側面パネル20が閉塞位置P1及び開放位置P2のいずれの位置にある場合でも、作業者が側面パネル20に対して幅方向D2の内側から把持可能な位置に配置される。そのため、本実施形態において、取手部24は、幅方向D2の内側に配置される吊材側連結部材23bに固定される。
【0052】
図6及び図7は、ストッパ機構23の使用態様の一例を示す図である。図6は、側面パネル20が閉塞位置P1に配置される場合のストッパ機構23の状態を示す図である。図7は、側面パネル20が開放位置P2に配置される場合のストッパ機構23の状態を示す図である。
【0053】
図6に示すように、側面パネル20が閉塞位置P1に配置された状態では、不図示のロック機構により、側面パネル20が外力によって外側に開くことが規制されている。この状態から、作業者がロック機構を解除し、取手部24を把持して幅方向D2の外側に力を加えると、連結軸23c及びパネル側連結部材23aを介して側面パネル20に力が加えられ、側面パネル20が開放位置P2へと移動する。
【0054】
側面パネル20が開放位置P2へ移動した場合、図7に示すように、パネル側連結部材23aと吊材側連結部材23bとが直線状に伸びる。この場合、側面パネル20は、パネル側連結部材23a、連結軸23c、及び吊材側連結部材23bを介して吊材106側に引っ張られた状態となる。したがって、側面パネル20が開放位置P2よりも外側に開くことが規制される。
【0055】
また、図6及び図7に示すように、パネル側連結部材23a及び吊材側連結部材23bには、それぞれピン挿入孔23f、23gが設けられる。ピン挿入孔23f、23gは、側面パネル20が開放位置P2に配置されてパネル側連結部材23aと吊材側連結部材23bとが直線状に伸びた状態で互いに重なる位置に配置される。このようにピン挿入孔23fとピン挿入孔23gとが重なる位置に配置される場合には、ピン挿入孔23fとピン挿入孔23gとを貫通するように不図示のトグルピン等を挿入することができる。この場合、パネル側連結部材23aと吊材側連結部材23bとの相対移動がトグルピンにより規制され、パネル側連結部材23a及び吊材側連結部材23bが直線状に伸びた状態で保持される。このため、側面パネル20が安定して開放位置P2に配置される。
【0056】
また、図1から図3に示すように、側面パネル20は、手摺部30を有する。手摺部30は、側面パネル20の上部に配置される。手摺部30は、支持柱31と、手摺部材32と、軸部33とを有する。支持柱31は、手摺部材32を支持する。支持柱31は、架設方向D1に複数、例えば2本配置される(図1参照)。支持柱31の本数については、これに限定されず、1本又は3本以上であってもよい。手摺部材32は、架設方向D1に沿って配置される。
【0057】
軸部33は、例えば円柱状であり、側面パネル20のリブ部20cの上部に配置され、中心軸が架設方向D1に沿って配置される。支持柱31は、軸部33により、当該軸部33の中心軸の周りに回転可能に支持される。支持柱31が軸部33の中心軸の周りに回転することにより、手摺部30は、側面パネル20に対して回動可能に取り付けられる。また、手摺部30は、側面パネル20に対して回動させることで、側面パネル20の上部に出没可能である。
【0058】
図8は、手摺部30を側面パネル20の上部に配置させる手順を示す図である。図8に示すように、手摺部30は、側面パネル20が閉塞位置P1に配置された状態ST1(図8の左側の図参照)においては、所定の収容位置に収容された状態である。手摺部30を側面パネル20の上部に配置させる場合、まず、側面パネル20を開放位置P2に配置させた状態ST2(図8の中央の図参照)とする。その後、軸部33を中心として支持柱31の先端側を幅方向D2の外側に向けて回動させることで、手摺部30が側面パネル20の上部に配置された状態ST3(図8の右側の図参照)となる。
【0059】
図8に示すように、側面パネル20は、手摺部30の支持柱31を支持する支持部材34、35を有する。支持部材34は、手摺部30を収容した状態において支持柱31を支持する。支持部材35は、手摺部30を側面パネル20の上部に配置させた状態において支持柱31を支持する。支持部材34の支持面34aは、側面パネル20が開放位置P2に配置される場合に、水平面に平行に配置される。つまり、支持柱31は、支持面34aに支持された状態においては、ステップ部材21と平行に配置される。なお、支持柱31とステップ部材21との位置関係については、平行でなくてもよい。
【0060】
支持部材35の支持面35aは、支持部材34の支持面34aに対して直交して配置される。つまり、支持柱31は、支持面34aに支持された状態から支持面35aに支持された状態に移動する際、側面パネル20が開放位置P2に配置される場合、水平面に平行に配置される。つまり、支持柱31は、支持面34aに支持された状態においては、ステップ部材21と平行に配置される。なお、支持柱31とステップ部材21との位置関係については、平行でなくてもよい。
【0061】
以上のように、本実施形態に係る保護パネル100は、橋梁下部101aを保護する保護パネルであって、橋梁下部101aに設けられる桁材103の下端に橋梁下部101aに沿って配置された下面パネル10と、下面パネル10に対して幅方向D2の外側に起立した状態で配置された側面パネル20と、を備え、側面パネル20は、当該側面パネル20の上端が下端よりも幅方向D2の外側に配置されるように傾斜可能である。
【0062】
この構成によれば、下面パネル10及び側面パネル20により、橋梁下部101aを腐食環境から保護することができる。また、下面パネル10を足場とすることで、橋梁下部101aの点検を行うことができる。更に、側面パネル20の上端が下端よりも幅方向D2の外側に配置されるように当該側面パネル20を傾斜させることにより、傾斜した側面パネル20の上部から橋梁側部101bにアクセスすることが可能となるため、橋梁側部101bの点検を行うことができる。これにより、橋梁下部101aを腐食環境から保護し、かつ橋梁下部101a及び橋梁側部101bの点検を効率的に行うことができる。
【0063】
上記保護パネル100において、側面パネル20は、幅方向D2の内側の面にステップ部材21を有し、当該ステップ部材21は、側面パネル20を幅方向D2の外側に傾斜させる際に、点検作業の足場として用いられる。この構成によれば、側面パネル20のうち幅方向D2の内側の面を足場として効率よく橋梁側部101bを点検することができる。
【0064】
上記保護パネル100において、ステップ部材21は、側面パネル20の高さ方向に複数設けられる。この構成によれば、側面パネル20を傾斜させた状態において、ステップ部材21が高さ方向に階段状に配置される。これにより、点検作業をより容易かつ効率的に行うことができる。
【0065】
上記保護パネル100において、側面パネル20は、当該側面パネル20を幅方向D2の外側に傾斜させた状態で当該側面パネル20の上部に配置される手摺部30を有する。この構成によれば、側面パネル20に手摺部30が配置されるため、点検作業をより安全に行うことができる。
【0066】
上記保護パネル100において、手摺部30は、側面パネル20に対して回動可能に取り付けられ、側面パネル20に対して回動させることで側面パネル20の上部に出没可能である。この構成によれば、手摺部30を側面パネル20に対して回動させることにより、側面パネル20の上部に効率的に出没させることができる。
【0067】
上記保護パネル100において、橋梁101は、桁材103から幅方向D2の外側に向けて配置される水平支持材105と、当該水平支持材105の端部から吊り下げられる吊材106と、を有し、下面パネル10は、桁材103の下端と吊材106の下端とにそれぞれ固定され、側面パネル20は、吊材106の下端に回動可能に支持される。この構成によれば、水平支持材105と吊材106とで下面パネル10を安定して保持することができ、側面パネル20を安定して傾斜させることができる。
【0068】
上記保護パネル100において、吊材106は、下端に幅方向D2の外側かつ下側に向けて突出するガゼット部123を有し、側面パネル20は、ガゼット部123に回動可能に支持される。この構成によれば、側面パネル20を傾斜させる際に下面パネル10と干渉することをより確実に防ぐことができる。
【0069】
上記保護パネル100において、側面パネル20は、過開きを規制するストッパ機構23を介して吊材106に連結される。この構成によれば、側面パネル20の過開きを防止することができる。
【0070】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上記した実施形態では、ストッパ機構23が剛体であるパネル側連結部材23a及び吊材側連結部材23bを有する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、ストッパ機構23が、側面パネル20と吊材106との間をチェーン等の可撓性を有する部材によって連結することで、側面パネル20の過開きを規制する構成であってもよい。
【0071】
また、上記した実施形態では、吊材106がガゼット部123を有し、側面パネル20がガゼット部123に回動可能に支持される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、側面パネル20が吊材106に直接回動可能に支持される構成であってもよい。
【0072】
また、上記した実施形態では、橋梁101が桁材103に加えて吊材106を有し、下面パネル10を固定する構成及び側面パネル20を支持する構成において吊材106を含む構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、吊材106が設けられることなく、下面パネル10が桁材103に固定されると共に側面パネル20が桁材103に支持される構成であってもよい。
【0073】
また、上記した実施形態では、手摺部30が側面パネル20に対して回動させることで側面パネル20の上部に出没させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、手摺部30を側面パネル20に対して上下方向にスライドさせることで側面パネル20の上部に出没させる構成であってもよい。また、手摺部30は、側面パネル20に設けられなくてもよいし、側面パネル20に対して着脱可能な構成であってもよい。
【0074】
また、上記した実施形態では、側面パネル20が下端に設けられる軸部22を中心に回動することで傾斜可能な構成としたが、これに限定されない。側面パネル20は、当該側面パネル20の上端が下端よりも幅方向D2の外側に配置されるように傾斜可能であれば、他の構成であってもよい。例えば、軸部22が側面パネル20の外部に配置されてもよい。この場合、軸部22と側面パネル20とが連結部材により連結された構成とすることができる。また、側面パネル20が軸部22を中心に回転する構成に加えて、幅方向D2の外側にスライド移動可能な構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
D1…架設方向、D2…幅方向、D3…上下方向、P1…閉塞位置、P2…開放位置、ST1,ST2,ST3…状態、10…下面パネル、20…側面パネル、20a…外面、20b…内面、20c…リブ部、22,33…軸部、23…ストッパ機構、23a…パネル側連結部材、23b…吊材側連結部材、23c…連結軸、23d…パネル側連結軸、23e…吊材側連結軸、23f,23g…ピン挿入孔、24…取手部、30…手摺部、31…支持柱、32…手摺部材、34,35,122,122a,122b…支持部材、34a,35a…支持面、100…保護パネル、101…橋梁、101a…下部,橋梁下部、101b…側部,橋梁側部、102…通行部、103…桁材、103a,111a…載置部、104…防護柵、105…水平支持材、106…吊材、107…支持機構、107a…固定部、107b…連結部、107c,108c…端面、107d…パネル支持部、108,121,121a,121b…連結部材、108a…パネル側連結部、108b…吊材側連結部、108d…凹部、109a,112…ボルト、109b,113…ナット、109c…ヘッド、110…固定機構、111…固定金具、111b…突出部、112a…ヘッド部、114…スペーサ、115…被せ蓋、115a…突出片、116…パッキン、119…補強部材、123…ガゼット部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8