(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/34 20060101AFI20220427BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B65D1/34
B65D43/08
(21)【出願番号】P 2018021546
(22)【出願日】2018-02-09
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】関田 奈緒
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136587(JP,A)
【文献】実開昭63-126246(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0134911(US,A1)
【文献】特開2012-101828(JP,A)
【文献】特開平09-249242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/34
B65D 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の開口部分に周設された本体フランジ部と、
前記本体フランジ部の一部を含み、蓋体と嵌合するための本体嵌合部と、
前記本体フランジ部に連接され、閉蓋時に蓋体と干渉する本体摘み部と
を少なくとも備え、
前記本体嵌合部は、
前記本体フランジ部の先端部分と前記本体摘み部との連接部分に沿って延び、かつ、前記本体嵌合部の一部の高さが所定の幅に渡って低くなるように形成された本体嵌合凹部を有し、
前記本体嵌合凹部は、前記本体フランジ部の先端部分と前記本体摘み部との連接部分の幅と同等以上の幅を有する
ことを特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記本体摘み部が、前記連接部分より外側に直線状かつアーチ状の本体摘み凸部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記連接部分の両脇から前記本体フランジ部の先端部分につながる部分には、当該本体フランジ部より内方に向かって湾状に入り込んだ本体フランジ先端湾部が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体が嵌合して容器本体を閉蓋する包装用容器に関し、詳細には、開蓋用の摘み部を有する容器本体を備えた包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の小売店で販売される弁当や惣菜等の食品を収納する包装用容器は、例えば、容器本体及び蓋体に周設した嵌合部分同士を嵌合して閉蓋していた。容器本体と蓋体とが嵌合することで、開閉部分を密閉して異物混入や突発的な開蓋を予防していた。しかしながら、嵌合の程度が強過ぎると、容器本体及び蓋体を開封しにくいため、容器本体と蓋体それぞれに摘み部分を設け、嵌合状態を解除しやすいようにしていた。
【0003】
ここで、容器本体の嵌合部分の四隅に容器本体側耳部(摘み部分)を設け、容器本体側耳部と対向するように蓋体の嵌合部分の四隅に蓋体側耳部(摘み部分)を設けると共に、容器本体耳部を設けた嵌合部分が他の部分より低くなるように円弧状隅部を設けることにより、容器本体側耳部と蓋体側耳部との間に指が入りやすく、双方の耳部を把持して開蓋しやすくなる発想が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、容器本体の摘み部分と蓋体の摘み部分とが対向しない包装用容器に対して上述した発想を採用することはできない。すなわち、閉蓋により容器本体の摘み部分が蓋体と干渉する場合、容器本体の摘み部分と蓋体の摘み部分とを対向させるのは困難であるばかりでなく、閉蓋時に容器本体の摘み部分が蓋体から加圧される場合、新たな問題が浮上する。例えば、剛性により蓋体の加圧に応じて容器本体の摘み部分が折り曲がらないにも関わらず強引に閉蓋すると、容器本体の摘み部分と連接している容器本体の嵌合部分やフランジ部分の変形により隙間が生じて内部へ異物が混入する恐れがあると共に、容器本体の摘み部分の反力により突発的に開蓋してしまう恐れがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、閉蓋時に容器本体の摘み部分が蓋体と干渉しても、容器本体の変形を回避し、安定した閉蓋状態を維持する包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明による包装用容器は、容器本体の開口部分に周設された本体フランジ部と、上記本体フランジ部の一部を含み、蓋体と嵌合するための本体嵌合部と、上記本体フランジ部に連接され、閉蓋時に蓋体と干渉する本体摘み部とを少なくとも備え、上記本体嵌合部は、上記本体摘み部と沿うように下方に凹んだ本体嵌合凹部を有し、上記本体嵌合凹部は、上記本体フランジ部の先端部分と上記本体摘み部との連接部分の幅と同等以上の幅を有することを特徴としてもよい。
【0008】
上記本体摘み部が、上記連接部分より外側に直線状かつアーチ状の本体摘み凸部を有する
ことが望ましい。
【0009】
上記連接部分の両脇から上記本体フランジ部の先端部分につながる部分には、上記本体フランジ部より内方に向かって湾状に入り込んだ本体フランジ先端湾部が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明による包装用容器では、本体摘み部が折れ曲がりやすく、本体嵌合部や本体フランジ部が上記本体摘み部の折れ曲がり動作に連動して変形しにくいため、正常な閉蓋状態を維持することができる。すなわち、本体嵌合部や本体フランジ部の変形による内部への異物混入や、本体摘み部の反発力による突発的な開蓋を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一例である包装用容器の斜視図である。
【
図2】上記包装容器の一部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器(以下、「本包装用容器」ともいう。)の構造について説明する。
図1では、本包装用容器における容器本体(下側)と蓋体(上側)とを斜視した状態を示している。
図2では、容器本体の一部を拡大して平面視した状態を示している。
なお、これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番してもよい。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線を破線や想像線(二点鎖線)で示してもよい。
本包装用容器の向きは、商品の購入者等が本包装用容器と向き合う通常の向きを基準としてもよく、この通常の向きを本包装用容器の正面としてもよく、この正面に位置する購入者等にとって近い方を手前側、遠い方を奥側、左手方向を左側、右手方向を右側、上方向を上側、下方向を下側と表現してもよい。
【0013】
本包装用容器は、容器本体1と、この容器本体の開口部分を閉蓋する蓋体2とを備えていてもよい。
なお、本包装用容器の平面視での形状に限定はなく、例えば、正方形、長方形、円形、半円形、楕円形、又は任意の形状でもよい。
【0014】
容器本体1は、平面視で本包装用容器と同形状で、食品等を載置する底部11と、この底部の外周端縁から立設している本体側部12と、この本体側部の上端部分から外方に延出している本体フランジ部13と、この本体フランジ部の先端部分(以下、「本体フランジ先端部13a」ともいう。)に連接された本体摘み部14とを備えていてもよい。本体側部12の上端部分付近から本体フランジ先端部13a付近までの部分が、蓋体2で閉蓋するための本体嵌合部15であってもよい。本体フランジ先端部13aは、平坦状でもよい。
なお、底部11の平面視形状や本体側部12の水平方向の端面形状は、例えば、正方形、長方形、円形、半円形、又は楕円形でもよい。本体摘み部14の平面視形状は、矩形、半円形、円形、又はこれらを組み合わせた形状でもよい。
【0015】
蓋体2は、平面視で本包装用容器と同形状で、天面部21と、この天面部の外周端縁から下方に向かって設けられた蓋体側部22と、この蓋体側部の下端部分から外方に延出している蓋体フランジ部23と、この蓋体フランジ部の先端部分に連接された蓋体摘み部24とを備えていてもよい。蓋体側部22の下端部分付近から蓋体フランジ部23の先端部分付近までの部分が、容器本体1を閉蓋するための蓋体嵌合部25であってもよい。
なお、天面部21の平面視形状や蓋体側部22の水平方向の端面形状は、例えば、正方形、長方形、円形、半円形、又は楕円形でもよい。蓋体摘み部24は、閉蓋時に本体摘み部14と接する位置に成型されてもよい。
【0016】
本体嵌合部15は、本体側部12の上端部分付近を含む本体嵌合内壁部15aと、この本体嵌合内壁部と連接している本体嵌合頂上部15bと、この本体嵌合頂上部と連接している本体嵌合外壁部15cとを有していてもよい。本体嵌合部15は、容器本体1の開口部分として周設されていてもよい。本体嵌合部15は、周方向に真っ直ぐな部分に、本体摘み部14と沿うように下方に凹んだ本体嵌合凹部16を有していてもよい。この構成によれば、本体フランジ部13の先端部分に加えて本体嵌合凹部16から本体嵌合部15に渡る部分で本体摘み部14を支えるため、閉蓋時の押圧による力がこの本体摘み部に加わりやすく折れ曲がりやすくできる。さらに、剛性により本体摘み部14が折れ曲がりにくくても、この本体摘み部の動作に連動する(引き込まれる)部分が相対的に少ないため、この本体嵌合部が変形する範囲を軽減することができる。
なお、本体嵌合部15の直交方向からの端面は、山なり状でもよく、段差を有する山なり状でもよい。本体嵌合部外壁部15cの末端部分が、本体フランジ先端部13aでもよい。本体嵌合部15は、上下方向に波状に成型されていてもよい。
【0017】
蓋体嵌合部25は、蓋体側部22の下端部分を含む蓋体嵌合内壁部25aと、この蓋体嵌合内壁部と連接している蓋体嵌合頂上部25bと、この蓋体嵌合頂上部と連接している蓋体嵌合外壁部25cとを有していてもよい。蓋体嵌合部25は、閉蓋時に本体嵌合部15を上から被うように嵌合してもよい(いわゆる外嵌合式)。
なお、蓋体嵌合部25の直交方向からの端面は、山なり状でもよく、段差を有する山なり状でもよい。蓋体嵌合外壁部25cのうち、閉蓋時に本体摘み部14と接する部分は、他の部分より外方に膨出していてもよい。
【0018】
本体嵌合凹部16は、本体嵌合内壁部15a、本体嵌合頂上部15b、及び本体嵌合外壁部15cの一部が切り欠かれたように成型された部分でもよい。換言すれば、本体嵌合凹部16は、本体嵌合部15の一部の高さが所定の幅に渡って低くなるように成型された部分でもよい。本体嵌合凹部16は、少なくとも隣接する本体嵌合頂上部15bより低い本体嵌合凹底部16aを有していてもよい。
図2に示すように、本体嵌合凹部16の幅Waは、隣接する本体嵌合頂上部15b同士の距離でもよく、本体フランジ先端部13aと本体摘み部14との連接部分(以下、この連接部分を「本体摘み付け根部14a」ともいう。)の幅Wcと同等、又はこの幅より幅広でもよい。この構成によれば、剛性により本体摘み付け根部14aが折れ曲がりにくくても、本体摘み部14の動作に連動して本体嵌合凹部16が変形することを回避することができる。
なお、本体嵌合凹部16は、容器本体1の平面視での形状に応じて、周設された本体嵌合部15の角部分や曲率半径が相対的に小さい湾曲部分に設けられてもよい。本体嵌合部15の周方向における本体嵌合凹部16の端面は、湾曲した皿型、枡型、又はV字型でもよい。
【0019】
本体嵌合凹底部16aは、本体側部12側に位置する本体嵌合凹内縁部16bと、本体フランジ部13側に位置する本体嵌合凹外縁部16cとを有していてもよい。本体嵌合凹底部16aの幅(少なくとも本体嵌合凹外縁部16cの幅)Wbは、本体摘み付け根部14aの幅Wcと同等、又はこの幅より幅広でもよい。この構成によれば、剛性により本体摘み付け根部14aが折れ曲がりにくくても、本体摘み部14の動作に連動して本体嵌合部15の変形を回避することができる。さらに、本体嵌合凹部16の幅Waが本体嵌合凹底部16aの幅Wbより幅広であれば、本体嵌合凹部16に隣接する本体嵌合頂上部15bが沈み込みにくくなるため、より本体嵌合部15の変形を回避することができる。本体嵌合凹底部16aの高さは、本体摘み部14の高さと同等でもよい。この構成によれば、本体嵌合凹底部16aと本体摘み部14とを成型する部分の型の高さを同一にできるため成型しやすく、かつ本体摘み部14の動作に連動して本体嵌合部15の変形をより回避することができる。本体摘み部14が、本体摘み付け根部14aより外側に直線状かつアーチ状の本体摘み凸部14bを有していてもよい。この構成によれば、V字状に成型され引き延ばされるので厚みが薄くなり、かつ屈折していて曲がりやすいため、本体摘み部14が折れ曲がりやすくなる。
なお、本体嵌合凹底部16aは、平面状や上に凸又は下に凹んだ形状でもよい。本体嵌合凹底部16aの高さは、本体フランジ先端部13aより高くてもよい。本体嵌合凹底部16aが平面状の場合、容器本体1の内側から外側に向かって上り傾斜でも下り傾斜でもよい。本体嵌合凹内縁部16bと本体嵌合凹外縁部16cの高さは、同一でも、一方が高く他方が低くてもよい。本体嵌合凹内縁部16bと本体嵌合凹外縁部16cとの長さは、同一でも、一方が長く他方が短くてもよい。本体嵌合凹外縁部16cの幅Wbは、本体摘み付け根部14aの幅Wcより狭くてもよい。本体嵌合凹外縁部16cは、本体フランジ先端部13aでもよく、本体摘み付け根部14aでもよい。
【0020】
本体摘み付け根部14aの両脇から本体フランジ先端部13aにつながる部分には、この本体フランジ先端部より内方に向かって湾状に入り込んだ本体フランジ先端湾部13bが設けられていてもよい。この構成によれば、折れ曲がる本体摘み付け根部14aの両脇に連動して本体フランジ先端部13aが引きずり込まれないため、本体嵌合部15の変形を回避することができる。
なお、本体フランジ先端湾部13bの形状は、湾曲状でも矩形状でもよい。
【0021】
次に、
図3を参照しつつ、容器本体に蓋体が装着する前後の状態を説明する。
図3(a)は容器本体1のみ、
図3(b)は容器本体1に蓋体2が載置してある状態、
図3(c)は容器本体1に蓋体が装着した状態を、それぞれ示す。
なお、説明の便宜上、蓋体に関しては想像線(二点鎖線)で示している。
【0022】
まず、
図3(a)に示すように、容器本体1に蓋体が装着する前では、本体摘み部14は剛性により水平に保たれていてもよい。
次に、
図3(b)に示すように、容器本体1に蓋体2が装着するとき、蓋体フランジ部23の先端部分が本体摘み付け根部14aより外側の本体摘み部14の表面に接してもよい。一方、本体摘み部14を除き、本体嵌合部15の略全体が蓋体嵌合部25に被われていてもよい。そして、蓋体2が本体摘み部14を押圧しても、本体嵌合凹部16から本体嵌合部15に渡る部分でこの本体摘み部を支えると共に、この本体摘み部の動作に連動する部分が相対的に少なく、本体摘み凸部14bが本体摘み付け根部14aの弾性力を軽減し、本体フランジ先端湾部13bが本体フランジ先端部13aの連動を回避するため、この本体嵌合部が変形することなく、スムーズこの本体摘み部が折れ曲がってもよい。
そして、
図3(c)に示すように、蓋体2が容器本体1を閉蓋している状態では、本体摘み部14のみ折れ曲がっていてもよい。すなわち、本体嵌合凹部16を除いた本体嵌合部15が、全周に渡って蓋体嵌合部25に嵌合されているため、内部への異物混入や突発的な開蓋を回避することができる。
【0023】
なお、本実施形態における容器本体1及び蓋体2は、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂で、単層や多層のシートを使用してもよい。樹脂としては、例えば、発泡樹脂を使用すれば、軽量かつ断熱性があり好ましい。さらに、シートの表面または裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はない。
【符号の説明】
【0024】
1 容器本体
13 本体フランジ部
13a 本体フランジ部の先端部分(本体フランジ先端部)
13b 本体フランジ先端湾部
14 本体摘み部
14a 本体フランジ部の先端部分と本体摘み部との連接部分(本体摘み付け根部)
14b 本体摘み凸部
15 本体嵌合部
16 本体嵌合凹部
2 蓋体