(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】車両計測装置及び車両計測プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20220427BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20220427BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220427BHJP
G01S 13/86 20060101ALI20220427BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220427BHJP
【FI】
G01C3/06 120W
G01B21/00 D
G08G1/16 C
G01S13/86
G06T7/00 650B
(21)【出願番号】P 2018109792
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】星 将広
(72)【発明者】
【氏名】時枝 幸伸
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-256040(JP,A)
【文献】特開2011-204054(JP,A)
【文献】特開2009-223504(JP,A)
【文献】特開2015-185045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/06
G01B 21/00-21/32
G01B 11/00-11/30
G08G 1/00-99/00
G01S 13/00-13/95
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両からのレーダ反射点の情報及び前記車両の画像を取得する車両情報取得部と、
前記画像上で前記レーダ反射点をプロットする反射点プロット部と、
前記画像上で前記レーダ反射点の近傍でのエッジ解析を実行することにより、前記画像上で前記車両を縁取る四角錐台を検出する四角錐台検出部と、
前記画像上の前記四角錐台の位置を実空間内の位置に変換する位置変換部と、
を備えることを特徴とする車両計測装置。
【請求項2】
前記反射点プロット部は、前記レーダ反射点が路面上にあると仮定し、
前記四角錐台検出部は、前記反射点プロット部が前記路面上にあると仮定した前記レーダ反射点に基づいて、前記四角錐台の底面の辺を検出する
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両計測装置。
【請求項3】
前記四角錐台検出部は、レーダ装置から遠距離の前記レーダ反射点に基づかず、前記レーダ装置から近距離の前記レーダ反射点に基づいて、前記四角錐台の底面の辺を検出する
ことを特徴とする、請求項2に記載の車両計測装置。
【請求項4】
前記四角錐台検出部は、前記四角錐台の底面の辺から前記画像上の高さ方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、前記四角錐台の上面の辺を検出する
ことを特徴とする、請求項2又は3に記載の車両計測装置。
【請求項5】
前記四角錐台検出部は、前記四角錐台の底面の二辺の交点から前記画像上の高さ方向に延伸する直線に基づいて、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺を検出する
ことを特徴とする、請求項2から4のいずれかに記載の車両計測装置。
【請求項6】
前記四角錐台検出部は、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺から前記画像上の幅方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、前記四角錐台の正面の四辺のうち、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺と向かい合う辺を検出する
ことを特徴とする、請求項5に記載の車両計測装置。
【請求項7】
前記四角錐台検出部は、前記車両の最前方の前記レーダ反射点から前記画像上の奥行方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、前記四角錐台の側面の四辺のうち、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺と向かい合う辺を検出する
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の車両計測装置。
【請求項8】
前記四角錐台検出部は、レーダ装置から前記車両までの距離が近いほど、エッジ解析を実行する前記画像上の前記所定距離の範囲を広くし、前記レーダ装置から前記車両までの距離が遠いほど、エッジ解析を実行する前記画像上の前記所定距離の範囲を狭くする
ことを特徴とする、請求項4、6又は7に記載の車両計測装置。
【請求項9】
車両からのレーダ反射点の情報及び前記車両の画像を取得する車両情報取得ステップと、
前記画像上で前記レーダ反射点をプロットする反射点プロットステップと、
前記画像上で前記レーダ反射点の近傍でのエッジ解析を実行することにより、前記画像上で前記車両を縁取る四角錐台を検出する四角錐台検出ステップと、
前記画像上の前記四角錐台の位置を実空間内の位置に変換する位置変換ステップと、
を順にコンピュータに実行させるための車両計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の三次元情報を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の三次元情報を計測する技術として、ステレオカメラ又はLiDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)を用いる技術が存在する。しかし、ステレオカメラを用いる技術では、ステレオカメラから遠距離になるほど、測距精度が低下する。そして、ステレオカメラ又はLiDARを用いる技術では、天候依存度が大きいため、霧及び雨等の悪天候時に対応することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術として、ミリ波レーダ及び単眼カメラを併用する技術が存在する。よって、特許文献1に開示された技術では、レーダ装置から遠距離になっても、測距精度が向上する。そして、特許文献1に開示された技術では、天候依存度が小さいため、霧及び雨等の悪天候時に対応することができる。しかし、特許文献1に開示された技術では、レーダ装置から車両の正面までの距離及び車両の正面を縁取る矩形を検出するのみであり、車両の三次元情報を計測することができない。
【0005】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、ミリ波レーダ等及び単眼カメラ等を併用することにより、車両の三次元情報を計測することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ミリ波レーダ等では、車両の幅及び奥行といった二次元情報を計測するのみである。単眼カメラ等では、車両の幅及び高さといった二次元情報を計測するのみである。前記課題を解決するために、ミリ波レーダ等及び単眼カメラ等を併用して、各々に不足する次元の情報を互いに補完して、車両の幅、奥行及び高さといった三次元情報を計測する。
【0007】
具体的には、本開示は、車両からのレーダ反射点の情報及び前記車両の画像を取得する車両情報取得部と、前記画像上で前記レーダ反射点をプロットする反射点プロット部と、前記画像上で前記レーダ反射点の近傍でのエッジ解析を実行することにより、前記画像上で前記車両を縁取る四角錐台を検出する四角錐台検出部と、前記画像上の前記四角錐台の位置を実空間内の位置に変換する位置変換部と、を備えることを特徴とする車両計測装置である。
【0008】
この構成によれば、ミリ波レーダ等及び単眼カメラ等を併用することにより、車両の幅、奥行及び高さといった三次元情報を計測することができる。なお、車両の幅及び奥行といった二次元情報を計測するのみであるレーダに代えて、車両の幅、奥行及び高さといった三次元情報を計測することができるレーダを用いてもよい。また、車両の幅及び高さといった二次元情報を計測するのみである単眼カメラに代えて、車両の幅、高さ及び奥行といった三次元情報を計測することができるステレオカメラを用いてもよい。
【0009】
また、本開示は、前記反射点プロット部は、前記レーダ反射点が路面上にあると仮定し、前記四角錐台検出部は、前記反射点プロット部が前記路面上にあると仮定した前記レーダ反射点に基づいて、前記四角錐台の底面の辺を検出することを特徴とする車両計測装置である。
【0010】
レーダ反射点の高さは、レーダ装置の設置高さの周りで不明である。この構成によれば、レーダ反射点の高さを路面の高さ(レーダ装置の設置高さに近い)に等しいと仮定することにより、車両を縁取る四角錐台の底面の辺を容易に検出することができる。なお、車両の下側のエッジ解析を実行しないのは、車両の下側のエッジと路面との間にタイヤの半径程度の高さの空間があり、車両の高さを精度高く計測することができないからである。
【0011】
また、本開示は、前記四角錐台検出部は、レーダ装置から遠距離の前記レーダ反射点に基づかず、前記レーダ装置から近距離の前記レーダ反射点に基づいて、前記四角錐台の底面の辺を検出することを特徴とする車両計測装置である。
【0012】
レーダ反射点の高さは、レーダ装置の設置高さの周りで不明である。ここで、レーダ装置から遠距離のレーダ反射点の高さは、レーダ装置の設置高さの周りで大きな誤差を有する。一方で、レーダ装置から近距離のレーダ反射点の高さは、レーダ装置の設置高さの周りで大きな誤差を有さない。この構成によれば、レーダ装置から遠距離のレーダ反射点に基づかず、レーダ装置から近距離のレーダ反射点に基づいて、車両を縁取る四角錐台の底面の辺を精度高く検出することができる。そして、車両の奥行方向の辺の傾きを精度高く計測することにより、車両の奥行方向の長さを精度高く計測することができる。
【0013】
また、本開示は、前記四角錐台検出部は、前記四角錐台の底面の辺から前記画像上の高さ方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、前記四角錐台の上面の辺を検出することを特徴とする車両計測装置である。
【0014】
この構成によれば、車両を縁取る四角錐台の上面の辺を検出することができる。
【0015】
また、本開示は、前記四角錐台検出部は、前記四角錐台の底面の二辺の交点から前記画像上の高さ方向に延伸する直線に基づいて、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺を検出することを特徴とする車両計測装置である。
【0016】
この構成によれば、車両を縁取る四角錐台の正面と側面との境界の辺を検出することができる。
【0017】
また、本開示は、前記四角錐台検出部は、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺から前記画像上の幅方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、前記四角錐台の正面の四辺のうち、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺と向かい合う辺を検出することを特徴とする車両計測装置である。
【0018】
この構成によれば、車両を縁取る四角錐台の正面の四辺のうち、四角錐台の正面と側面との境界の辺と向かい合う辺を検出することができる。
【0019】
また、本開示は、前記四角錐台検出部は、前記車両の最前方の前記レーダ反射点から前記画像上の奥行方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、前記四角錐台の側面の四辺のうち、前記四角錐台の正面と側面との境界の辺と向かい合う辺を検出することを特徴とする車両計測装置である。
【0020】
この構成によれば、車両を縁取る四角錐台の側面の四辺のうち、四角錐台の正面と側面との境界の辺と向かい合う辺を検出することができる。
【0021】
また、本開示は、前記四角錐台検出部は、レーダ装置から前記車両までの距離が近いほど、エッジ解析を実行する前記画像上の前記所定距離の範囲を広くし、前記レーダ装置から前記車両までの距離が遠いほど、エッジ解析を実行する前記画像上の前記所定距離の範囲を狭くすることを特徴とする車両計測装置である。
【0022】
レーダ装置から近距離の車両のサイズは、画像上で大きい。一方で、レーダ装置から遠距離の車両のサイズは、画像上で小さい。この構成によれば、レーダ装置から車両までの距離に応じて、エッジ解析を実行する画像上の範囲を調整し、車両を縁取る四角錐台の上面、正面及び/又は側面の辺を容易に検出することができる。
【0023】
また、本開示は、車両からのレーダ反射点の情報及び前記車両の画像を取得する車両情報取得ステップと、前記画像上で前記レーダ反射点をプロットする反射点プロットステップと、前記画像上で前記レーダ反射点の近傍でのエッジ解析を実行することにより、前記画像上で前記車両を縁取る四角錐台を検出する四角錐台検出ステップと、前記画像上の前記四角錐台の位置を実空間内の位置に変換する位置変換ステップと、を順にコンピュータに実行させるための車両計測プログラムである。
【0024】
この構成によれば、ミリ波レーダ等及び単眼カメラ等を併用することにより、車両の幅、奥行及び高さといった三次元情報を計測することができる。なお、車両の幅及び奥行といった二次元情報を計測するのみであるレーダに代えて、車両の幅、奥行及び高さといった三次元情報を計測することができるレーダを用いてもよい。また、車両の幅及び高さといった二次元情報を計測するのみである単眼カメラに代えて、車両の幅、高さ及び奥行といった三次元情報を計測することができるステレオカメラを用いてもよい。
【発明の効果】
【0025】
このように、本開示は、ミリ波レーダ等及び単眼カメラ等を併用することにより、車両の三次元情報を計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の車両計測システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本開示の車両計測装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】本開示の車両情報取得の処理内容を示す図である。
【
図4】本開示の反射点プロット及び底面の辺検出の処理内容を示す図である。
【
図5】本開示の底面の辺検出の処理内容を示す図である。
【
図6】本開示の正面と側面との境界の辺検出の処理内容を示す図である。
【
図7】本開示の上面の辺検出の処理内容を示す図である。
【
図8】本開示の正面の他辺検出の処理内容を示す図である。
【
図9】本開示の側面の他辺検出の処理内容を示す図である。
【
図10】本開示の位置変換の処理内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0028】
本開示の車両計測システムの構成を示すブロック図を
図1に示す。本開示の車両計測装置の処理手順を示すフローチャートを
図2に示す。車両計測システムCは、レーダ装置1、撮像装置2及び車両計測装置3から構成される。車両計測装置3は、
図2に示した車両計測プログラムをインストールされたコンピュータであり、車両情報取得部31、反射点プロット部32、四角錐台検出部33及び位置変換部34から構成される。
【0029】
レーダ装置1は、自車のバンパーの内部等に設置される、MIMO(Multiple Input-Multiple Output)ミリ波レーダ等である。撮像装置2は、自車のフロントガラスの上部又は自車のバンパーの内部等に設置される、単眼カメラ等である。車両計測装置3は、レーダ装置1及び撮像装置2を併用することにより、車両の三次元情報を計測する。
【0030】
本開示の車両情報取得の処理内容を
図3に示す。車両情報取得部31は、車両からのレーダ反射点の情報及び車両の画像を取得する(ステップS1)。
【0031】
車両からのレーダ反射点の情報は、ビームフォーマ法又はMUSIC(Multiple Signal Classification)法等により取得される。車両情報取得部31は、複数の白線Lの情報を取得している。レーダ装置1のアンテナAから見て、左側の隣接車線には、複数のレーダ反射点のクラスタとして車両C1が検出され、同一の車線には、複数のレーダ反射点のクラスタとして車両C2が検出され、右側の隣接車線には、複数のレーダ反射点のクラスタとして車両C3が検出される。
【0032】
車両の画像は、単眼カメラ等により取得される。撮像装置2のセンサから見て、前方の方向には、複数の白線Lが検出され、左側の隣接車線には、車両C1が検出され、同一の車線には、車両C2が検出され、右側の隣接車線には、車両C3が検出される。
【0033】
レーダ装置1は、複数のアンテナAを高さ方向に離して設置する余裕がないため、車両の幅X[m]及び奥行Z[m]といった二次元情報を計測するのみである。撮像装置2は、複数のセンサを幅方向に離して設置する余裕がないため、車両の幅x[pix]及び高さy[pix]といった二次元情報を計測するのみである。そこで、車両計測装置3は、レーダ装置1及び撮像装置2を併用して、各々に不足する次元の情報を互いに補完して、車両の幅X[m]、奥行Z[m]及び高さY[m]といった三次元情報を計測する。
【0034】
本開示の反射点プロット及び底面の辺検出の処理内容を
図4及び
図5に示す。反射点プロット部32は、画像上でレーダ反射点をプロットする(ステップS2)。四角錐台検出部33は、画像上で車両を縁取る四角錐台の底面の辺を検出する(ステップS3)。
【0035】
車両C1からのレーダ反射点の情報では、車両C1の正面には、複数のレーダ反射点P1、P2、P3が検出され、車両C1の側面には、複数のレーダ反射点P4、P5、P6、P7が検出される。車両C1の画像では、車両C1の近傍に、複数のレーダ反射点P1~P7がプロットされる。ここで、
図10に示した画像上の位置を実空間内の位置に変換する数式に対して、逆処理である実空間内の位置を画像上の位置に変換する数式を用いて、複数のレーダ反射点P1~P7が車両C1の画像上にプロットされる。
【0036】
図4に示した車両C1の画像では、反射点プロット部32は、複数のレーダ反射点P1~P7が路面上にあると仮定する。というのは、複数のレーダ反射点P1~P7の高さは、レーダ装置1の設置高さの周りで不明である。そこで、複数のレーダ反射点P1~P7の高さは、路面の高さ(レーダ装置1の設置高さに近い)に等しいと仮定する。
【0037】
そして、四角錐台検出部33は、反射点プロット部32が路面上にあると仮定した複数のレーダ反射点P1~P7に基づいて、画像上で車両C1を縁取る四角錐台Rの底面の辺R1、R2を検出する。具体的には、四角錐台検出部33は、複数のレーダ反射点P1~P3の近似直線を最小二乗法等により算出し、複数のレーダ反射点P1~P3の近似直線を四角錐台Rの底面の辺R1として検出する。そして、四角錐台検出部33は、複数のレーダ反射点P4~P7の近似直線を最小二乗法等により算出し、複数のレーダ反射点P4~P7の近似直線を四角錐台Rの底面の辺R2として検出する。
【0038】
このように、
図4に示した車両C1の画像では、複数のレーダ反射点P1~P7の高さを路面の高さ(レーダ装置1の設置高さに近い)に等しいと仮定することにより、車両C1を縁取る四角錐台Rの底面の辺R1、R2を容易に検出することができる。なお、
図7から
図9までと異なり、
図4において、車両C1の下側のエッジ解析を実行しないのは、車両C1の下側のエッジと路面との間にタイヤの半径程度の高さの空間があり、車両C1の高さを精度高く計測することができないからである(
図10の第3式を参照)。
【0039】
図5に示した車両C1の画像では、四角錐台検出部33は、レーダ装置1から遠距離のレーダ反射点P6、P7に基づかず、レーダ装置1から近距離のレーダ反射点P4、P5に基づいて、車両C1を縁取る四角錐台Rの底面の辺R2を検出する。というのは、複数のレーダ反射点P4~P7の高さは、レーダ装置1の設置高さの周りで不明である。ここで、レーダ装置1から遠距離のレーダ反射点P6、P7の高さは、レーダ装置1の設置高さの周りで大きな誤差を有する。一方で、レーダ装置1から近距離のレーダ反射点P4、P5の高さは、レーダ装置1の設置高さの周りで大きな誤差を有さない。
【0040】
第1の方法として、四角錐台検出部33は、複数のレーダ反射点P6、P7を利用せず、複数のレーダ反射点P4、P5の近似直線を最小二乗法等により算出し、複数のレーダ反射点P4、P5の近似直線を四角錐台Rの底面の辺R2として検出する。第2の方法として、四角錐台検出部33は、複数のレーダ反射点P6、P7を複数のレーダ反射点P4、P5とほぼ同一の直線上に乗るように補正し、複数のレーダ反射点P4~P7の近似直線を最小二乗法等により算出し、複数のレーダ反射点P4~P7の近似直線を四角錐台Rの底面の辺R2として検出する。第3の方法として、四角錐台検出部33は、
図5に示した方法を、四角錐台Rの底面の辺R2の検出と同様に、四角錐台Rの底面の辺R1の検出で適用する(レーダ装置1から近距離のレーダ反射点P2、P3を利用する。)。
【0041】
このように、レーダ装置1から遠距離のレーダ反射点P6、P7に基づかず、レーダ装置1から近距離のレーダ反射点P4、P5に基づいて、車両C1を縁取る四角錐台Rの底面の辺R2を精度高く検出することができる。そして、レーダ装置1から遠距離のレーダ反射点P1に基づかず、レーダ装置1から近距離のレーダ反射点P2、P3に基づいて、車両C1を縁取る四角錐台Rの底面の辺R1を精度高く検出することができる。さらに、車両C1の奥行方向の辺R2の傾きを精度高く計測することにより、車両C1の奥行方向の長さを精度高く計測することができる(
図10に示した第1式を参照)。
【0042】
本開示の正面と側面との境界の辺検出の処理内容を
図6に示す。四角錐台検出部33は、四角錐台Rの底面の二辺R1、R2の交点から画像上の高さ方向に延伸する直線に基づいて、四角錐台Rの正面と側面との境界の辺R3を検出する(ステップS3)。
【0043】
本開示の上面の辺検出の処理内容を
図7に示す。四角錐台検出部33は、四角錐台Rの底面の辺R1、R2から画像上の高さ方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、四角錐台Rの上面の辺R4、R5を検出する(ステップS3)。
【0044】
具体的には、四角錐台検出部33は、レーダ装置1から車両C1までの距離が近いほど、エッジ解析を実行する画像上の高さ方向の所定距離の範囲y
E[pix]を広くし、レーダ装置1から車両C1までの距離が遠いほど、エッジ解析を実行する画像上の高さ方向の所定距離の範囲y
E[pix]を狭くする。ここで、辺R4、R5を検出するためのエッジ解析範囲E4、E5の最小高さは、例えば現行軽自動車の最小高さ及び
図10に示した第3の座標変換式に基づいて設定され、エッジ解析範囲E4、E5の最大高さは、法律で定められた最大高さ規制及び
図10に示した第3の座標変換式に基づいて設定される。
【0045】
そして、四角錐台検出部33は、エッジ解析範囲E4、E5のみにおいて、幅方向に長いエッジを検出するCanny法等を適用することにより、四角錐台Rの上面の辺R4、R5を容易に検出することができる。なお、四角錐台検出部33は、エッジ解析範囲E4、E5のみにおいて、様々な幅座標位置で高さ方向に輝度勾配を計測することにより、四角錐台Rの上面の辺R4、R5を検出することもできる。
【0046】
本開示の正面の他辺検出の処理内容を
図8に示す。四角錐台検出部33は、四角錐台Rの正面と側面との境界の辺R3から画像上の幅方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、四角錐台Rの正面の四辺のうち、四角錐台Rの正面と側面との境界の辺R3と向かい合う辺R6を検出する(ステップS3)。
【0047】
具体的には、四角錐台検出部33は、レーダ装置1から車両C1までの距離が近いほど、エッジ解析を実行する画像上の幅方向の所定距離の範囲x
E[pix]を広くし、レーダ装置1から車両C1までの距離が遠いほど、エッジ解析を実行する画像上の幅方向の所定距離の範囲x
E[pix]を狭くする。ここで、辺R6を検出するためのエッジ解析範囲E6の最小幅座標は、例えば現行軽自動車の最小幅及び
図10に示した第2の座標変換式に基づいて設定され、エッジ解析範囲E6の最大幅座標は、法律で定められた最大幅規制及び
図10に示した第2の座標変換式に基づいて設定される。
【0048】
そして、四角錐台検出部33は、エッジ解析範囲E6のみにおいて、高さ方向に長いエッジを検出するCanny法等を適用することにより、四角錐台Rの正面と側面との境界の辺R3と向かい合う辺R6を容易に検出することができる。なお、四角錐台検出部33は、エッジ解析範囲E6のみにおいて、様々な高さ座標位置で幅方向に輝度勾配を計測することにより、四角錐台Rの正面の他辺R6を検出することもできる。
【0049】
本開示の側面の他辺検出の処理内容を
図9に示す。四角錐台検出部33は、車両C1の最前方のレーダ反射点P7から画像上の奥行方向の所定距離でのエッジ解析を実行することにより、四角錐台Rの側面の四辺のうち、四角錐台Rの正面と側面との境界の辺R3と向かい合う辺R7を検出する(ステップS3)。
【0050】
具体的には、四角錐台検出部33は、レーダ装置1から車両C1までの距離が近いほど、エッジ解析を実行する画像上の奥行方向の所定距離の範囲zE[pix]を広くし、レーダ装置1から車両C1までの距離が遠いほど、エッジ解析を実行する画像上の奥行方向の所定距離の範囲zE[pix]を狭くする。ここで、辺R7を検出するためのエッジ解析範囲E7の最小奥行及び最大奥行は、辺R7を確実に検出できるように設定される。
【0051】
そして、四角錐台検出部33は、エッジ解析範囲E7のみにおいて、様々な高さ座標位置で奥行方向に輝度勾配を計測することにより、四角錐台Rの正面と側面との境界の辺R3と向かい合う辺R7を確実に検出することができる。なお、四角錐台検出部33は、エッジ解析範囲E7のみにおいて、高さ方向に長いエッジを検出するCanny法等を適用することにより、四角錐台Rの側面の他辺R7を検出することもできる。
【0052】
本開示の位置変換の処理内容を
図10に示す。位置変換部34は、画像上の四角錐台Rの位置を実空間内の位置に変換する(ステップS4)。
【0053】
辺R1、R6の交点の座標を、画像上で(x1[pix]、y1[pix])とし、実空間内で(X1[m]、Y1[m]、Z1[m])とする。辺R2、R7の交点の座標を、画像上で(x2[pix]、y2[pix])とし、実空間内で(X2[m]、Y2[m]、Z2[m])とする。辺R1、R2、R3の交点の座標を、画像上で(x3[pix]、y3[pix])とし、実空間内で(X3[m]、Y3[m]、Z3[m])とする。辺R3、R4、R5の交点の座標を、画像上で(x4[pix]、y4[pix])とし、実空間内で(X4[m]、Y4[m]、Z4[m])とする。辺R4、R6の交点の座標を、画像上で(x5[pix]、y5[pix])とし、実空間内で(X5[m]、Y5[m]、Z5[m])とする。辺R5、R7の交点の座標を、画像上で(x6[pix]、y6[pix])とし、実空間内で(X6[m]、Y6[m]、Z6[m])とする。画像の消失点V(例えば、複数の白線Lの延長線の交点)の座標を、画像上で(xV[pix]、yV[pix])とする。
【0054】
x1~x6をxで代表し、y1~y6をyで代表し、X1~X6をXで代表し、Y1~Y6をYで代表し、Z1~Z6をZで代表する。画像上での座標(x[pix]、y[pix])は、実空間内での座標(X[m]、Y[m]、Z[m])に、以下の数式により変換される。
Z[m]=(焦点距離[mm]×高さ方向の画素数[pix]×センサの設置高さ[cm])/((y[pix]-yV[pix])×センササイズ[mm]×100)
X[m]=(x[pix]-xV[pix])×Z[m]での解像度[m/pix]
Y[m]=(y[pix]-yV[pix])×Z[m]での解像度[m/pix]
【0055】
以上に説明したように、レーダ装置1及び撮像装置2を併用することにより、車両C1の幅X[m]、奥行Z[m]及び高さY[m]といった三次元情報を計測することができる。そして、自動運転に応用可能な周辺環境認識を行うことができる。
【0056】
なお、車両C1の幅X[m]及び奥行Z[m]といった二次元情報を計測するのみであるレーダに代えて、車両C1の幅X[m]、奥行Z[m]及び高さY[m]といった三次元情報を計測することができるレーダを用いてもよい。
【0057】
また、車両C1の幅x[pix]及び高さy[pix]といった二次元情報を計測するのみである単眼カメラに代えて、車両C1の幅x[pix]、高さy[pix]及び奥行z[pix]といった三次元情報を計測することができるステレオカメラを用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本開示の車両計測装置及び車両計測プログラムは、ミリ波レーダ等及び単眼カメラ等を併用することにより、車両の三次元情報を計測することができる。
【符号の説明】
【0059】
C:車両計測システム
C1、C2、C3:車両
L:白線
A:アンテナ
P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7:レーダ反射点
R:四角錐台
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7:辺
E4、E5、E6、E7:エッジ解析範囲
V:消失点
1:レーダ装置
2:撮像装置
3:車両計測装置
31:車両情報取得部
32:反射点プロット部
33:四角錐台検出部
34:位置変換部