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特許7064401速度測定装置、レーダシステム及び速度測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】速度測定装置、レーダシステム及び速度測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/36 20060101AFI20220427BHJP
   G01S 13/58 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
G01P3/36 E
G01S13/58
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018139048
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020016517
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】318006365
【氏名又は名称】JRCモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 重治
(72)【発明者】
【氏名】時枝 幸伸
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-158435(JP,A)
【文献】特開2015-25699(JP,A)
【文献】特開2013-44697(JP,A)
【文献】特開2011-153958(JP,A)
【文献】特開2000-266863(JP,A)
【文献】特開平5-312944(JP,A)
【文献】特開平5-87915(JP,A)
【文献】米国特許第4065745(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 3/00- 3/80
G01S13/58-13/64
G01S15/58-15/62
G01S17/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置に対する凹凸面の相対速度を測定する速度測定装置であって、
前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において、前記レーダ装置から前記凹凸面へと照射されたレーダ信号の送信周波数と、前記凹凸面から前記レーダ装置へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数に基づいて、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を測定するドップラー速度測定部と、
前記凹凸面の法線方向において測定された、前記凹凸面の法線方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の0のドップラー速度を除去しつつ、前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を統合して、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度を測定する相対速度測定部と、
を備えることを特徴とする速度測定装置。
【請求項2】
前記相対速度測定部は、
前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度と、前記レーダ装置の各々の方位角方向と前記凹凸面の法線方向又は運動方向との間のずれ角度と、に基づいて、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度を測定するドップラー速度補正部と、
前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度について、ヒストグラムを作成するヒストグラム作成部と、
前記ヒストグラムの非0のピーク位置に基づいて、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度の代表値を抽出する代表速度抽出部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項3】
前記相対速度測定部は、
前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度について、前記レーダ装置の方位角方向に対する依存性を示す方位-ドップラースペクトラムを作成する方位-ドップラースペクトラム作成部と、
前記方位-ドップラースペクトラムに含まれ他の信号より強度が高い大信号が形成する曲線の傾きの大きさに基づいて、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度の代表値を抽出する代表速度抽出部と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の速度測定装置。
【請求項4】
前記レーダ装置から前記凹凸面へと照射されたレーダ信号の送信周波数と、前記凹凸面から前記レーダ装置へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数のうちの直流成分のドップラー周波数を除去する直流成分除去部、
をさらに備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の速度測定装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の速度測定装置と、
前記凹凸面の法線方向にほぼ平行方向にレーダ信号を照射する前記レーダ装置と、
を備えることを特徴とするレーダシステム。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の速度測定装置と、
前記凹凸面の法線方向からずれた方向にレーダ信号を照射する前記レーダ装置と、
を備えることを特徴とするレーダシステム。
【請求項7】
レーダ装置に対する凹凸面の相対速度を測定する速度測定プログラムであって、
前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において、前記レーダ装置から前記凹凸面へと照射されたレーダ信号の送信周波数と、前記凹凸面から前記レーダ装置へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数に基づいて、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を測定するドップラー速度測定ステップと、
前記凹凸面の法線方向において測定された、前記凹凸面の法線方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の0のドップラー速度を除去しつつ、前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を統合して、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度を測定する相対速度測定ステップと、
を順にコンピュータに実行させるための速度測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダを用いて路面又は水面等の速度を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダを用いて水面の速度を測定する技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1を応用することにより、レーダを用いて路面の速度を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-189074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、水面の一点のみにおいて、水面の速度を測定している。しかし、平均速度の周りの速度変動が存在するとともに、ゴミ等の外乱物が流れることがある。よって、特許文献1では、水面の速度の測定は、上記の一点の状況に左右される。
【0005】
そこで、特許文献1に加えて、時間方向の積分処理を実行し、上記の一点での水面の速度の時間平均を測定することにより、速度変動及び外乱物の影響を低減することが考えられる。しかし、水面の速度の測定時間が増加してしまう。
【0006】
または、特許文献1に加えて、レーダのアンテナを回転させ、多数の位置での水面の速度の空間平均を測定することにより、速度変動及び外乱物の影響を低減することが考えられる。しかし、水面の速度の測定時間が増加してしまう。
【0007】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、レーダを用いて路面又は水面等の速度を測定するにあたり、路面又は水面等の速度測定の精度を維持しながら、路面又は水面等の速度の測定時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、時間方向の積分処理の実行を要することなく、レーダのアンテナの回転を要することなく、多数の位置での凹凸面の速度を測定する。そして、多数の位置での凹凸面の速度を統合して、全体的な凹凸面の速度を測定する。ここで、凹凸面の法線方向に平行方向の凹凸面の0のドップラー速度を除去する。
【0009】
具体的には、本開示は、レーダ装置に対する凹凸面の相対速度を測定する速度測定装置であって、前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において、前記レーダ装置から前記凹凸面へと照射されたレーダ信号の送信周波数と、前記凹凸面から前記レーダ装置へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数に基づいて、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を測定するドップラー速度測定部と、前記凹凸面の法線方向において測定された、前記凹凸面の法線方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の0のドップラー速度を除去しつつ、前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を統合して、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度を測定する相対速度測定部と、を備えることを特徴とする速度測定装置である。
【0010】
この構成によれば、レーダを用いて凹凸面の速度を測定するにあたり、凹凸面の法線方向に平行方向の凹凸面の0のドップラー速度を除去しつつ、凹凸面の速度測定の精度を維持しながら、凹凸面の速度の測定時間を短縮することができる。
【0011】
また、本開示は、前記相対速度測定部は、前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度と、前記レーダ装置の各々の方位角方向と前記凹凸面の法線方向又は運動方向との間のずれ角度と、に基づいて、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度を測定するドップラー速度補正部と、前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度について、ヒストグラムを作成するヒストグラム作成部と、前記ヒストグラムの非0のピーク位置に基づいて、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度の代表値を抽出する代表速度抽出部と、を備えることを特徴とする速度測定装置である。
【0012】
この構成によれば、凹凸面の法線方向に平行方向の凹凸面の0のドップラー速度を除去することができる。そして、凹凸面の速度のヒストグラムの分散値に基づいて、凹凸面の速度変動及び/又は鉛直振動の大きさを見積もることができる。
【0013】
また、本開示は、前記相対速度測定部は、前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度について、前記レーダ装置の方位角方向に対する依存性を示す方位-ドップラースペクトラムを作成する方位-ドップラースペクトラム作成部と、前記方位-ドップラースペクトラムに含まれ他の信号より強度が高い大信号が形成する曲線の傾きの大きさに基づいて、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度の代表値を抽出する代表速度抽出部と、を備えることを特徴とする速度測定装置である。
【0014】
この構成によれば、凹凸面の法線方向に平行方向の凹凸面の0のドップラー速度を除去することができる。そして、凹凸面のドップラー速度の補正を要することなく、凹凸面の速度のヒストグラムの作成を要することなく、凹凸面の速度を測定することができる。
【0015】
また、本開示は、前記レーダ装置から前記凹凸面へと照射されたレーダ信号の送信周波数と、前記凹凸面から前記レーダ装置へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数のうちの直流成分のドップラー周波数を除去する直流成分除去部、をさらに備えることを特徴とする速度測定装置である。
【0016】
この構成によれば、上記のヒストグラム又は上記の方位-ドップラースペクトラムに加えて、凹凸面の法線方向に平行方向の凹凸面の0のドップラー速度をさらに除去することができる。
【0017】
また、本開示は、上記の速度測定装置と、前記凹凸面の法線方向にほぼ平行方向にレーダ信号を照射する前記レーダ装置と、を備えることを特徴とするレーダシステムである。
【0018】
この構成によれば、波が立つ水面等の速度の測定において、水面等の法線方向に平行方向の水面等の0のドップラー速度に影響されず、反射強度を増加させることができる。
【0019】
また、本開示は、上記の速度測定装置と、前記凹凸面の法線方向からずれた方向にレーダ信号を照射する前記レーダ装置と、を備えることを特徴とするレーダシステムである。
【0020】
この構成によれば、比較的平坦な路面等の速度の測定において、路面等の法線方向に平行方向の路面等の0のドップラー速度をさらに除去することができる。
【0021】
また、本開示は、レーダ装置に対する凹凸面の相対速度を測定する速度測定プログラムであって、前記レーダ装置のアンテナ指向性が固定された状態での前記レーダ装置の複数の方位角方向において、前記レーダ装置から前記凹凸面へと照射されたレーダ信号の送信周波数と、前記凹凸面から前記レーダ装置へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数に基づいて、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を測定するドップラー速度測定ステップと、前記凹凸面の法線方向において測定された、前記凹凸面の法線方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の0のドップラー速度を除去しつつ、前記レーダ装置の複数の方位角方向において測定された、前記レーダ装置の各々の方位角方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面のドップラー速度を統合して、前記凹凸面の運動方向に平行方向の前記レーダ装置に対する前記凹凸面の相対速度を測定する相対速度測定ステップと、を順にコンピュータに実行させるための速度測定プログラムである。
【0022】
この構成によれば、レーダを用いて凹凸面の速度を測定するにあたり、凹凸面の法線方向に平行方向の凹凸面の0のドップラー速度を除去しつつ、凹凸面の速度測定の精度を維持しながら、凹凸面の速度の測定時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本開示は、レーダを用いて路面又は水面等の速度を測定するにあたり、路面又は水面等の速度測定の精度を維持しながら、路面又は水面等の速度の測定時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示のレーダシステムの概要を示す図である。
図2】本開示の第1のレーダシステムの構成を示すブロック図である。
図3】本開示の第1の速度測定装置の処理手順を示すフローチャートである。
図4】本開示の第1のドップラー速度補正方法を示す図である。
図5】本開示の第1の相対速度測定方法を示す図である。
図6】本開示の第2のレーダシステムの構成を示すブロック図である。
図7】本開示の第2の速度測定装置の処理手順を示すフローチャートである。
図8】本開示の第2の相対速度測定方法を示す図である。
図9】本開示のレーダシステムのレーダ照射方法を示す図である。
図10】本開示のレーダシステムのキャリブレーション方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0026】
(レーダシステムの概要)
本開示のレーダシステムの概要を図1に示す。レーダシステムR(車Cとともに移動している。)に対する路面Pの相対速度を測定するために、車Cの床面にレーダシステムRを設置し、レーダシステムRから路面Pへとレーダ信号を照射する。レーダシステムR(橋Bとともに静止している。)に対する水面Pの相対速度を測定するために、橋Bの橋桁にレーダシステムRを設置し、レーダシステムRから水面Pへとレーダ信号を照射する。
【0027】
ここで、路面Pは比較的平坦であっても凹凸を有し、水面Pは波が立っているため凹凸を有し、路面・水面Pの法線方向のみならず、他の方向においても、路面・水面PからレーダシステムRへとレーダ信号が反射される。そこで、時間方向の積分処理の実行を要することなく、レーダのアンテナの回転を要することなく、多数の位置での路面・水面Pの速度を測定する。そして、多数の位置での路面・水面Pの速度を統合して、全体的な路面・水面Pの速度を測定する。ここで、路面・水面Pの法線方向に平行方向の路面・水面Pの0のドップラー速度を除去する。以下に、その詳細を説明する。
【0028】
(第1のレーダシステムの構成及び処理)
本開示の第1のレーダシステムの構成を図2に示す。本開示の第1の速度測定装置の処理手順を図3に示す。レーダシステムR1は、レーダ装置1及び速度測定装置2から構成される。レーダ装置1は、レーダ送信部11、レーダ受信部12、送信アンテナ13及び受信アンテナ14から構成される。速度測定装置2は、図3に示した速度測定プログラムをコンピュータにインストールしたものであり、直流成分除去部21、ドップラー速度測定部22、ドップラー速度補正部23、ヒストグラム作成部24及び代表速度抽出部25から構成される。
【0029】
レーダ送信部11は、レーダ装置1から路面・水面Pへと照射されるレーダ信号を送信する。レーダ受信部12は、路面・水面Pからレーダ装置1へと反射されたレーダ信号を受信する。送信アンテナ13は、照射レーダ信号を送信する。受信アンテナ14は、反射レーダ信号を受信する。
【0030】
ここで、レーダ送信部11は、パルスレーダ信号を送信してもよく、連続波レーダ信号を送信してもよい。そして、送信アンテナ13及び受信アンテナ14は、フェーズドアレイアンテナでもよく、MIMOアンテナでもよい。また、図2では、送信と受信に別の送信アンテナ13及び受信アンテナ14を用いているが、図2以外に、送信と受信に同じアンテナを用いてもよい。さらに、送信アンテナ13は、路面・水面Pの法線方向にほぼ平行方向にレーダ信号を照射してもよく、路面・水面Pの法線方向からずれた方向にレーダ信号を照射してもよい。要は、レーダ装置1のアンテナ指向性が固定された状態でのレーダ装置1の複数の方位角方向において、レーダ装置1の各々の方位角方向に平行方向のレーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度を測定することができればよい。
【0031】
直流成分除去部21は、照射レーダ信号及び反射レーダ信号を入力する(ステップS1)。そして、レーダ装置1から路面・水面Pへと照射されたレーダ信号の送信周波数と、路面・水面Pからレーダ装置1へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数のうちの直流成分のドップラー周波数を除去する(ステップS2)。
【0032】
本開示の第1のドップラー速度補正方法を図4に示す。ドップラー速度測定部22は、レーダ装置1のアンテナ指向性が固定された状態でのレーダ装置1の複数の方位角方向θにおいて、レーダ装置1から路面・水面Pへと照射されたレーダ信号の送信周波数と、路面・水面Pからレーダ装置1へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数に基づいて、レーダ装置1の各々の方位角方向θに平行方向のレーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度vを測定する(ステップS3)。
【0033】
ここで、レーダ送信部11が、パルスレーダ信号を送信するときには、ドップラー速度測定部22は、レーダ装置1の各々の方位角方向θにおいて、検波信号強度が最大値をとるレンジビンを探索し、当該レンジビン内でフーリエ変換を実行し、検波信号強度が最大値をとるドップラー周波数及びドップラー速度vを探索する。そして、レーダ送信部11が、連続波レーダ信号を送信するときには、ドップラー速度測定部22は、レーダ装置1の各々の方位角方向θにおいて、検波信号全体でフーリエ変換を実行し、検波信号強度が最大値をとるドップラー周波数及びドップラー速度vを探索する。なお、検波信号のSN比又は路面・水面Pの粗さに応じて、検波信号強度がある程度高いレーダ装置1の方位角方向θにおいて、ドップラー周波数及びドップラー速度vを探索すればよい。
【0034】
図4で、レーダ装置1の方位角方向θは、路面・水面Pの法線方向と平行方向で0をとるとし、路面・水面Pの法線ベクトル及び路面・水面Pの速度ベクトルを含む面内で正又は負をとるとする。そして、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vは、レーダ装置1の方位角方向θの正から負への変化方向と同じ方向に負をとるとする。
【0035】
すると、レーダ装置1の方位角方向θ>0において、レーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度vは、レーダ装置1へと近づく方向と同じ方向にvsinθ<0となる。そして、レーダ装置1の方位角方向θ<0において、レーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度vは、レーダ装置1から遠ざかる方向と同じ方向にvsinθ>0となる。さらに、レーダ装置1の方位角方向θ=0において、レーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度vは、vsinθ=0となる(レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vと、レーダ装置1へと近づく方向と、は垂直である。)。
【0036】
ドップラー速度補正部23は、レーダ装置1のアンテナ指向性が固定された状態でのレーダ装置1の複数の方位角方向θにおいて、レーダ装置1の各々の方位角方向θに平行方向のレーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度vと、レーダ装置1の各々の方位角方向θと路面・水面Pの法線方向との間のずれ角度θと、に基づいて、路面・水面Pの運動方向に平行方向のレーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vを測定する(ステップS4)。なお、図4のように、レーダ装置1の各々の方位角方向θと路面・水面Pの法線方向との間のずれ角度θを用いてもよく、変形例として、レーダ装置1の各々の方位角方向θと路面・水面Pの運動方向との間のずれ角度π/2-θを用いてもよい。
【0037】
図4のように、レーダ装置1の各々の方位角方向θと路面・水面Pの法線方向との間のずれ角度θを用いるときには、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vは、v/sinθ<0となる。変形例として、レーダ装置1の各々の方位角方向θと路面・水面Pの運動方向との間のずれ角度π/2-θを用いるときには、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vは、v/cos(π/2-θ)<0となる。
【0038】
本開示の第1の相対速度測定方法を図5に示す。ヒストグラム作成部24は、レーダ装置1のアンテナ指向性が固定された状態でのレーダ装置1の複数の方位角方向θにおいて測定された、路面・水面Pの運動方向に平行方向のレーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vについて、ヒストグラムを作成する(ステップS5)。代表速度抽出部25は、ヒストグラムの非0のピーク位置に基づいて、路面・水面Pの運動方向に平行方向のレーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vの代表値を抽出する(ステップS6)。
【0039】
ここで、ヒストグラムの非0のピーク位置は、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vの代表値であり、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vの測定値として採用される。そして、ヒストグラムの0のピーク位置は、レーダ装置1の方位角方向θ=0での反射を反映するものであり、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vの測定値として採用されない。さらに、非0のピーク位置の周りの分散値は、路面・水面Pの速度変動及び/又は鉛直振動の大きさを反映するものである。
【0040】
ところで、直流成分除去部21は、レーダ装置1から路面・水面Pへと照射されたレーダ信号の送信周波数と、路面・水面Pからレーダ装置1へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数のうちの直流成分のドップラー周波数を除去する(ステップS2)。よって、図4において、レーダ装置1の方位角方向θ=0近傍及びレーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度v=0近傍において、反射強度を低減することができ、レーダ装置1の広い方位角方向θにおいて、レーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度vを測定することができる。そして、図5において、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度v=0近傍において、頻度ピークを低減することができ、レーダ装置1に対する路面・水面Pの速い相対速度vはむろん、レーダ装置1に対する路面・水面Pの遅い相対速度vにおいて、頻度ピークを強調することができる。
【0041】
このように、第1のレーダシステムR1において、レーダを用いて路面・水面Pの相対速度vを測定するにあたり、路面・水面Pの法線方向に平行方向の路面・水面Pのドップラー速度v=0を除去しつつ、路面・水面Pの相対速度vの測定精度を維持しながら、路面・水面Pの相対速度vの測定時間を短縮することができる。
【0042】
(第2のレーダシステムの構成及び処理)
本開示の第2のレーダシステムの構成を図6に示す。本開示の第2の速度測定装置の処理手順を図7に示す。レーダシステムR2は、レーダ装置3及び速度測定装置4から構成される。レーダ装置3は、レーダ送信部31、レーダ受信部32、送信アンテナ33及び受信アンテナ34から構成される。速度測定装置4は、図7に示した速度測定プログラムをコンピュータにインストールしたものであり、直流成分除去部41、ドップラー速度測定部42、方位-ドップラースペクトラム作成部43及び代表速度抽出部44から構成される。
【0043】
レーダ送信部31は、レーダ装置3から路面・水面Pへと照射されるレーダ信号を送信する。レーダ受信部32は、路面・水面Pからレーダ装置3へと反射されたレーダ信号を受信する。送信アンテナ33は、照射レーダ信号を送信する。受信アンテナ34は、反射レーダ信号を受信する。
【0044】
ここで、レーダ送信部31は、パルスレーダ信号を送信してもよく、連続波レーダ信号を送信してもよい。そして、送信アンテナ33及び受信アンテナ34は、フェーズドアレイアンテナでもよく、MIMOアンテナでもよい。また、図6では、送信と受信に別の送信アンテナ33及び受信アンテナ34を用いているが、図6以外に、送信と受信に同じアンテナを用いてもよい。さらに、送信アンテナ33は、路面・水面Pの法線方向にほぼ平行方向にレーダ信号を照射してもよく、路面・水面Pの法線方向からずれた方向にレーダ信号を照射してもよい。要は、レーダ装置3のアンテナ指向性が固定された状態でのレーダ装置3の複数の方位角方向において、レーダ装置3の各々の方位角方向に平行方向のレーダ装置3に対する路面・水面Pのドップラー速度を測定することができればよい。
【0045】
直流成分除去部41は、照射レーダ信号及び反射レーダ信号を入力する(ステップS11)。そして、レーダ装置3から路面・水面Pへと照射されたレーダ信号の送信周波数と、路面・水面Pからレーダ装置3へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数のうちの直流成分のドップラー周波数を除去する(ステップS12)。
【0046】
本開示の第2の相対速度測定方法を図8に示す。ドップラー速度測定部42は、レーダ装置3のアンテナ指向性が固定された状態でのレーダ装置3の複数の方位角方向θにおいて、レーダ装置3から路面・水面Pへと照射されたレーダ信号の送信周波数と、路面・水面Pからレーダ装置3へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数に基づいて、レーダ装置3の各々の方位角方向θに平行方向のレーダ装置3に対する路面・水面Pのドップラー速度vを測定する(ステップS13)。
【0047】
ここで、レーダ送信部31が、パルスレーダ信号を送信するときには、ドップラー速度測定部42は、レーダ装置3の各々の方位角方向θにおいて、検波信号強度が最大値をとるレンジビンを探索し、当該レンジビン内でフーリエ変換を実行し、検波信号強度が最大値をとるドップラー周波数及びドップラー速度vを探索する。そして、レーダ送信部31が、連続波レーダ信号を送信するときには、ドップラー速度測定部42は、レーダ装置3の各々の方位角方向θにおいて、検波信号全体でフーリエ変換を実行し、検波信号強度が最大値をとるドップラー周波数及びドップラー速度vを探索する。なお、検波信号のSN比又は路面・水面Pの粗さに応じて、検波信号強度がある程度高いレーダ装置3の方位角方向θにおいて、ドップラー周波数及びドップラー速度vを探索すればよい。
【0048】
図8で、レーダ装置3の方位角方向θは、路面・水面Pの法線方向と平行方向で0をとるとし、路面・水面Pの法線ベクトル及び路面・水面Pの速度ベクトルを含む面内で正又は負をとるとする。そして、レーダ装置3に対する路面・水面Pの相対速度vは、レーダ装置3の方位角方向θの正から負への変化方向と同じ方向に負をとるとする。
【0049】
すると、レーダ装置3の方位角方向θ>0において、レーダ装置3に対する路面・水面Pのドップラー速度vは、レーダ装置3へと近づく方向と同じ方向にvsinθ<0となる。そして、レーダ装置3の方位角方向θ<0において、レーダ装置3に対する路面・水面Pのドップラー速度vは、レーダ装置3から遠ざかる方向と同じ方向にvsinθ>0となる。さらに、レーダ装置3の方位角方向θ=0において、レーダ装置3に対する路面・水面Pのドップラー速度vは、vsinθ=0となる(レーダ装置3に対する路面・水面Pの相対速度vと、レーダ装置3へと近づく方向と、は垂直である。)。
【0050】
方位-ドップラースペクトラム作成部43は、レーダ装置3のアンテナ指向性が固定された状態でのレーダ装置3の複数の方位角方向θにおいて測定された、レーダ装置3の各々の方位角方向θに平行方向のレーダ装置3に対する路面・水面Pのドップラー速度vについて、レーダ装置3の方位角方向θに対する依存性を示す方位-ドップラースペクトラムを作成する(ステップS14)。代表速度抽出部44は、方位-ドップラースペクトラムに含まれる大信号が形成する曲線の傾きの大きさに基づいて、又は、方位-ドップラースペクトラムに含まれる大信号が形成する曲線のフィッティングの結果に基づいて、路面・水面Pの運動方向に平行方向のレーダ装置3に対する路面・水面Pの相対速度vの代表値を抽出する(ステップS15)。なお、方位-ドップラースペクトラムに含まれる大信号は、方位-ドップラースペクトラムに含まれる他の信号より強度が高い信号を指す。
【0051】
ここで、方位-ドップラースペクトラムに含まれる大信号が形成する曲線の傾きの大きさは、(dv/dθ)θ=0=(vcosθ)θ=0=vであり、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vの測定値として採用される。そして、方位-ドップラースペクトラムに含まれる大信号が形成する曲線のフィッティングは、v=vsinθに基づいて実行され、その結果でのvは、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vの測定値として採用される。よって、レーダ装置1に対する路面・水面Pのドップラー速度vの補正を要することなく、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vのヒストグラムの作成を要することなく、レーダ装置1に対する路面・水面Pの相対速度vを測定することができる。
【0052】
ところで、直流成分除去部41は、レーダ装置3から路面・水面Pへと照射されたレーダ信号の送信周波数と、路面・水面Pからレーダ装置3へと反射されたレーダ信号の受信周波数と、の間のドップラー周波数のうちの直流成分のドップラー周波数を除去する(ステップS12)。よって、図8において、レーダ装置3の方位角方向θ=0近傍及びレーダ装置3に対する路面・水面Pのドップラー速度v=0近傍において、反射強度を低減することができ、レーダ装置3の広い方位角方向θにおいて、v=vsinθに基づいた方位-ドップラースペクトラムに含まれる大信号が形成する曲線のフィッティングを高い精度で実行することができる。
【0053】
このように、第2のレーダシステムR2において、レーダを用いて路面・水面Pの相対速度vを測定するにあたり、路面・水面Pの法線方向に平行方向の路面・水面Pのドップラー速度v=0を除去しつつ、路面・水面Pの相対速度vの測定精度を維持しながら、路面・水面Pの相対速度vの測定時間を短縮することができる。
【0054】
(レーダシステムのレーダ照射方法)
本開示のレーダシステムのレーダ照射方法を図9に示す。速度測定装置2、4が、路面Pの相対速度vを測定するか、水面Pの相対速度vを測定するか、に応じて、レーダ装置1、3は、凹凸面の法線方向にほぼ平行方向にレーダ信号を照射するか、凹凸面の法線方向からずれた方向にレーダ信号を照射するか、を使い分ける。
【0055】
まず、速度測定装置2、4が水面Pの相対速度vを測定するときを説明する。ここで、レーダ装置1、3が水面Pの法線方向からずれた方向にレーダ信号を照射するときには、高い波が立たない限りは反射強度が低減される。そこで、レーダ装置1、3が水面Pの法線方向にほぼ平行方向にレーダ信号を照射することにより、反射強度が増加する。このように、波が立つ水面Pの相対速度vの測定において、水面Pの法線方向に平行方向の水面Pのドップラー速度v=0に影響されず、反射強度を増加させることができる。
【0056】
次に、速度測定装置2、4が路面Pの相対速度vを測定するときを説明する。ここで、レーダ装置1、3が路面Pの法線方向にほぼ平行方向にレーダ信号を照射するときには、凹凸程度が小さい限りは直流成分が増加する。そこで、レーダ装置1、3が路面Pの法線方向からずれた方向にレーダ信号を照射することにより、直流成分が低減される。このように、比較的平坦な路面Pの相対速度vの測定において、路面Pの法線方向に平行方向の路面Pのドップラー速度v=0をさらに除去することができる。
【0057】
(レーダシステムのキャリブレーション方法)
本開示のレーダシステムのキャリブレーション方法を図10に示す。図4、8において、v=v/sinθ又はv=vsinθを適用するときに、路面・水面Pの法線方向θ=0を決定する必要がある。しかし、レーダシステムR1、R2を車Cの床面又は橋Bの橋桁に設置するときに、アンテナ指向性が路面・水面Pの法線方向θ=0に厳密に向くとは限らない。そこで、路面・水面Pの法線方向θ=0をキャリブレーションする。
【0058】
まず、第1のレーダシステムR1、R2のキャリブレーション方法を説明する。横軸にレーダ装置1、3の方位角方向θをとり、縦軸にレーダ装置1、3から反射位置へのレンジビンrをとり、反射強度が高い曲線を抽出する。そして、反射強度が高い曲線において、レーダ装置1、3から反射位置へのレンジビンrが最短距離rであるレーダ装置1、3の方位角方向θを、路面・水面Pの法線方向θ=0にキャリブレーションする。すると、反射強度が高い曲線は、r(θ)=r/cosθとなる。
【0059】
次に、第2のレーダシステムR1、R2のキャリブレーション方法を説明する。横軸にレーダ装置1、3の方位角方向θをとり、縦軸にレーダ装置1、3に対する路面・水面Pのドップラー速度vをとり、反射強度が高い曲線を抽出する。そして、反射強度が高い曲線において、レーダ装置1、3に対する路面・水面Pのドップラー速度vが0であるレーダ装置1、3の方位角方向θを、路面・水面Pの法線方向θ=0にキャリブレーションする。すると、反射強度が高い曲線は、v=vsinθとなる。
【0060】
次に、第3のレーダシステムR1、R2のキャリブレーション方法を説明する。横軸にレーダ装置1、3の方位角方向θをとり、縦軸にレーダ装置1、3に対する路面・水面Pのドップラー速度vをとり、反射強度が高い帯状領域を抽出する。そして、反射強度が高い帯状領域において、縦軸に平行な対称軸が走るレーダ装置1、3の方位角方向θを、路面・水面Pの法線方向θ=0にキャリブレーションする。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示の速度測定装置、レーダシステム及び速度測定プログラムは、レーダを用いて路面又は水面等の速度を測定するにあたり、路面又は水面等の速度測定の精度を維持しながら、路面又は水面等の速度の測定時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0062】
R、R1、R2:レーダシステム
P:路面・水面
C:車
B:橋
1:レーダ装置
2:速度測定装置
3:レーダ装置
4:速度測定装置
11:レーダ送信部
12:レーダ受信部
13:送信アンテナ
14:受信アンテナ
21:直流成分除去部
22:ドップラー速度測定部
23:ドップラー速度補正部
24:ヒストグラム作成部
25:代表速度抽出部
31:レーダ送信部
32:レーダ受信部
33:送信アンテナ
34:受信アンテナ
41:直流成分除去部
42:ドップラー速度測定部
43:方位-ドップラースペクトラム作成部
44:代表速度抽出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10