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特許7064435α-1,2-分岐鎖を有するグルカンを生成することができるポリペプチドおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】α-1,2-分岐鎖を有するグルカンを生成することができるポリペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/04 20060101AFI20220427BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20220427BHJP
   C12N 15/54 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
C12P19/04 Z
C12N9/10 ZNA
C12N15/54
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018527120
(86)(22)【出願日】2016-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 US2016063233
(87)【国際公開番号】W WO2017091533
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】520346620
【氏名又は名称】ニュートリション・アンド・バイオサイエンシーズ・ユーエスエー・フォー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】チィォン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ディコジーモ
(72)【発明者】
【氏名】ジャナヴィ・チャンドラ・プラサッド
(72)【発明者】
【氏名】チョンフォン・チャン
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/183714(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 19/00 - 19/64
C12N 9/00 - 9/99
C12N 15/00 - 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α-1,2結合を含むグルカン組成物を生成する方法であって、以下:
(a)少なくとも下記の反応成分:水、スクロース、少なくとも70%のα-1,6結合を含むα-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを用意するステップであって、前記分岐鎖は、前記基質のα-1,6結合グルコースから形成され、前記ポリペプチドが、配列番号4の配列の成熟形態と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、前記成熟形態は、配列番号4の配列の36位~1672位を含むステップ;および
(b)前記ポリペプチドが、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖の合成を触媒するのに適切な条件下で前記反応成分を合わせ、ここで、前記分岐鎖は、前記基質のα-1,6結合グルコースから形成され、それによって、1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を形成するステップ
を含む方法。
【請求項2】
α-グルカン基質は、少なくとも3の重合度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
α-グルカン基質は、少なくとも80%のα-1,6結合を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
α-グルカン基質は、少なくとも90%のα-1,6結合を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
α-グルカン基質は、少なくとも95%のα-1,6結合を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
α-グルカン基質は、100%のα-1,6結合を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリペプチドは、配列番号4の配列の前記成熟形態と少なくとも92%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ポリペプチドは、配列番号4の配列の前記成熟形態と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
α-グルカン基質は、8~500の重合度を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
α-グルカン基質は、少なくとも50の重合度を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
α-グルカン基質は、10~2000の重合度を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
α-グルカン基質は、10~1300の重合度を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
α-グルカン基質は、10~150の重合度を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
反応成分は、α-グルカノヒドラーゼをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ステップ(b)で形成されたグルカン組成物を単離するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に全体として組み込まれる国際出願番号PCT/CN2015/095687号明細書(2015年11月26日出願)およびPCT/CN2016/085547号明細書(2016年6月13日出願)の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、例えば、α-1,2-結合を有するグルカンを形成することができるタンパク質、そのようなグルカンを生成するための反応および方法、このグルカンを含む組成物、およびこのグルカンを使用する様々な用途に関する。
【0003】
電子的に提出された配列表の参照
配列表の正式な写しは、413キロバイトのサイズを有して本明細書と同時に提出される、2016年11月21日に作成された20161122_CL6550WOPCT3_SequenceListing.txtのファイル名を備えるASCIIフォーマットの配列表としてEFS-Webを介して電子的に提出される。このASCIIフォーマット文献に含有される配列表は、本明細書の一部であり、これにより全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
デキストランに対するα-1,2-分岐の酵素による付加が報告されている。ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)NRRL B-1299は、デキストランにα-1,2-分岐を付加することができる第2触媒ドメイン(「CD2」)を有する(特許文献1および特許文献2;特許文献3;非特許文献1)。特許文献4は、α-1,2-分岐α-1,6デキストランを含む組成物を投与することによって被験者の健康を改善するための方法および組成物を記載している。Sarbini et al.(非特許文献2)は、ヒト糞便微生物によるデキストランおよびα-1,2-分岐デキストランのインビトロ発酵を記載している。非特許文献3は、デキストランにα-1,2-分岐を添加することができるロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)NRRL B-1299(第2触媒ドメインであるCD2に連結したグルカン結合ドメイン[GBD][すなわち、GBD-CD2])由来のDsrEグルコシルトランスフェラーゼの切断型を記載している。これらの報告にもかかわらず、依然として、α-1,2結合を有するグルカンを生成することができるさらに別の酵素を同定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7439049号
【文献】米国特許第5141858号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009-0123448号明細書
【文献】米国特許出願公開第2010-0284972号明細書
【非特許文献】
【0006】
【文献】Bozonnet et al.,J.Bacteriol.184:5753-5761,2002
【文献】Appl.Environ.Microbiol.77:5307-5315,2011
【文献】Brison et al.(J.Biol.Chem.287:7915-7924,2012)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態では、本開示は、少なくとも水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを含む反応組成物に関し、ここで、ポリペプチドは、以下:
(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;
(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または
(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列
と少なくとも90%同一であるアミノ酸を含む。
【0008】
本開示は、α-1,2結合を含むグルカン組成物を生成する方法に関し、この方法は、以下:
(a)少なくとも下記の反応成分:水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを用意するステップであって、ポリペプチドが、以下:
(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;
(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または
(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列
と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むステップ;
(b)ポリペプチドが、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖の合成を触媒する好適な条件下で反応成分を合わせ、それによってα-1,2結合を含むグルカン組成物を形成するステップ;ならびに
(c)α-1,2結合を含むグルカン組成物を任意選択的に単離するステップ
を含む。
【0009】
本開示は、さらに、本明細書に記載の方法または反応によって生成される1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を含む組成物に関し、好ましくは、組成物は、食料製品、医薬製品、パーソナルケア製品、住居用ケア製品または工業製品の形態にあり、任意選択的に、組成物は、約0.01~99重量%(乾燥固形物基準)のグルカン組成物を含む。
【0010】
本開示は、物質を哺乳動物に経腸投与するステップを含む方法にも関し、ここで、物質は、α-1,2結合を含むグルカン組成物を含み、投与によって、グルカン組成物がない代わりに、同量の易消化性グルコース含有炭水化物を含む物質が経腸投与された哺乳動物と比較して低いか、または緩徐な血糖上昇を哺乳動物にもたらし、その際、グルカン組成物は、本明細書に記載の方法または反応によって生成され、任意選択的に、哺乳動物は、ヒトであり、また任意選択的に、易消化性グルコース含有炭水化物は、スクロース、遊離グルコース、またはデンプンである。
【0011】
本開示は、食品または飲料を製造する方法にも関し、この方法は、α-1,2結合を含むグルカン組成物を食品または飲料に組み込むステップを含み、ここで、得られた食品または飲料のグリセミック指数は、グルカン組成物を含まない食品または飲料と比較して、上昇しないか、またはわずかにしか上昇せず、グルカン組成物は、本明細書に記載の方法または反応によって生成される。
【0012】
生物学的配列の簡単な説明
以下に記載する識別(gi)およびアクセッション番号は、GENEBANKから得たものである(国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)[NCBI]ウェブサイトから入手可能)。
【0013】
配列番号1は、完全長GTFJ18(旧gi:356644413、新gi:504090610、Acc.No. WP_014324604.1、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides))のアミノ酸配列である。予測されるGTFJ18の成熟分泌形態は、配列番号1の21位~2771位に対応すると考えられる。配列番号1および配列番号13は同一である。
【0014】
配列番号2は、gi:116096814(GENBANK Acc.No.ABJ61965.1、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides);また、本明細書では、GTF6814とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF6814の成熟分泌形態は、配列番号2の21位~2821位に対応すると考えられる。
【0015】
配列番号3は、gi:916260333(GENBANK Acc.No.WP_050995379.1、ロイコノストック・カルノスム(Leuconostoc carnosum);本明細書では、GTF0333とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF0333の成熟分泌形態は、配列番号3の41位~2844位に対応すると考えられる。
【0016】
配列番号4は、gi:902949905(GENBANK Acc.No.GAP05007.1、フルクトバシラス・トロパエオリ(Fructobacillus tropaeoli);本明細書では、GTF9905またはFtrGtf1とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF9905の発現形態(分泌された成熟形態であると予想される)は、配列番号4の36位~1672位に対応すると考えられる。
【0017】
配列番号5は、gi:938153845(GENBANK Acc.No.WP_054608463.1、ラクトバシラス・クンキー(Lactobacillus kunkeei);本明細書では、GTF3845とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF3845の成熟分泌形態は、配列番号5の51位~1632位に対応すると考えられる。
【0018】
配列番号6は、gi:938153846(GENBANK Acc.No WP_054608464.1、ラクトバシラス・クンキー(Lactobacillus kunkeei);本明細書では、GTF3846とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF3846の成熟分泌形態は、配列番号6の51位~1318位に対応すると考えられる。
【0019】
配列番号7は、gi:927068954(GENBANK Acc.No.KOY70706.1、ラクトバシラス・クンキー(Lactobacillus kunkeei);本明細書では、GTF8954とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF8954の成熟分泌形態は、配列番号7の51位~1139位に対応すると考えられる。
【0020】
配列番号8は、gi:927268464(GENBANK Acc.No.WP_053795842.1、ラクトバシラス・クンキー(Lactobacillus kunkeei);本明細書では、GTF8464とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF8464の成熟分泌形態は、配列番号8の51位~1463位に対応すると考えられる。
【0021】
配列番号9は、gi:908395133(GENBANK Acc.No.WP_049752804.1、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides);GTF5133とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF5133の成熟分泌形態は、配列番号9の41位~2841位に対応すると考えられる。
【0022】
配列番号10は、gi:935566432(GENBANK Acc.No.WP_054450649.1、ラクトバシラス・クンキー(Lactobacillus kunkeei);本明細書では、GTF6432とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF6432の成熟分泌形態は、配列番号10の46位~2580位に対応すると考えられる。
【0023】
配列番号11は、gi:916985575(GENBANK Acc.No.WP_051592287.1、ラクトバシラス・クンキー(Lactobacillus kunkeei);本明細書では、GTF5575とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF5575の成熟分泌形態は、配列番号11の51位~1463位に対応すると考えられる。
【0024】
配列番号12は、gi:407242790(GENBANK Acc.No.AFT82440.1、ロイコノストック・カルノスム(Leuconostoc carnosum)JB16;本明細書では、GTF2790とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF2790の成熟分泌形態は、配列番号12の21位~2824位に対応すると考えられる。
【0025】
配列番号13は、gi:504090610(GENBANK Acc.No.WP_014324604.1、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides);本明細書では、GTF0610とも称される)からのアミノ酸配列である。予測されるGTF0610の成熟分泌形態は、配列番号13の21位~2771位に対応すると考えられる。
【0026】
配列番号14は、完全長GTFJ18(配列番号1)をコードするDNA配列である。
【0027】
配列番号15は、gb:CP000414.1からのヌクレオチド846926~855391のDNA配列であり、GTF6814(配列番号2)をコードする。
【0028】
配列番号16は、gb:CP003851.1からのヌクレオチド1620046~1611512に対する相補配列のDNA配列であり、GTF0333(配列番号3)をコードする。
【0029】
配列番号17は、gi:850934366からのヌクレオチド237~5252のDNA配列であり、GTF9905(配列番号4)をコードする。配列番号34は、GTF9905(配列番号4)の発現形態をコードするコドン最適化配列である。
【0030】
配列番号18は、gb:JXDF01000026.1からのヌクレオチド13658~8760に対する相補配列のDNA配列であり、GTF3845(配列番号5)をコードする。
【0031】
配列番号19は、gb:JXDF01000026.1からのヌクレオチド17742~13786の相補配列のDNA配列であり、GTF3846(配列番号6)をコードする。
【0032】
配列番号20は、gb:JXCW01000006.1からのヌクレオチド99099~95680に対する相補配列のDNA配列であり、GTF8954(配列番号7)をコードする。
【0033】
配列番号21は、gb:JXCU01000040.1からのヌクレオチド23080~18689に対する相補配列のDNA配列であり、GTF8464(配列番号8)をコードする。
【0034】
配列番号22は、gb:CP000414.1からのヌクレオチド846866~855391のDNA配列であり、GTF5133(配列番号9)をコードする。
【0035】
配列番号23は、gb:JXDB01000011.1からのヌクレオチド7742~3に対する相補配列のDNA配列であり、GTF6432(配列番号10)をコードする。
【0036】
配列番号24は、gb:AZBY01000038.1からのヌクレオチド4456~65に対する相補配列のDNA配列であり、GTF5575(配列番号11)をコードする。
【0037】
配列番号25は、gb:CP003851.1からのヌクレオチド1619986~1611512に対する相補配列のDNA配列であり、GTF2790(配列番号12)をコードする。
【0038】
配列番号26は、gb:CP003101.3からのヌクレオチド845078~853513のDNA配列であり、GTF0610(配列番号13)をコードする。
【0039】
配列番号27は、GTFJ18(配列番号1)のN末端切断(最初の1664個の残基が除去されている)型を表すGTFJ18T1のアミノ酸配列である。
【0040】
配列番号28は、GTFJ18 CD2のアミノ酸配列である。
【0041】
配列番号29は、GENBANK Acc.No.KRM57462.1のラクトバシラス・アニマリス(Lactobacillus animalis)KCTC3501タンパク質の成熟GTF8117(配列番号30)をコードするコドン最適化ヌクレオチド配列(開始メチオニンが付加されている)である。
【0042】
配列番号31は、GENBANK Acc.No.WP_004182667.1のストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)M18タンパク質の成熟GTF6831(配列番号32)をコードするヌクレオチド配列である。
【0043】
配列番号33は、ストレプトコッカス・クリセティ(Streptococcus criceti)HS-6(GENBANK(登録商標)Acc. No.WP_004226213.1、旧gi:357235604;また、SG1018グルコシルトランスフェラーゼまたはGtfHS6とも称される)に由来するGTF5604のアミノ酸配列である。GTF5604の成熟形態は、アミノ酸位置37から開始すると予測される。
【0044】
配列番号34は、GTF9905(配列番号4)の発現形態をコードするコドン最適化配列である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
引用した全ての特許および非特許文献の開示は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
要素または成分の前に置かれる冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、要素または成分の事例(すなわち、発生)の数に関して非限定的であることが意図される。したがって、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、1つまたは少なくとも1つを含むと解釈すべきであり、要素または成分の単数形の単語も、その数が明らかに単数であることが意図されない限り、複数を含む。
【0047】
存在する場合、全ての範囲は包括的である。例えば、「1~5」の範囲が記載される場合、記載される範囲は、「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2および4~5」、「1~3および5」などの範囲を包含するものとして解釈すべきである。
【0048】
用語「α-グルカン」、「α-グルカンポリマー」などは、本明細書において互換的に使用される。α-グルカンは、α-グリコシド結合(また、α-グルコシド結合と呼ばれることもある)により互いに連結されたグルコースモノマー単位を含むポリマーである。
【0049】
用語「結合」、「グリコシド結合(linkage)」、「グリコシド結合(bond)」などは、糖化合物(オリゴ糖および/または多糖)内の糖単量体を連結する共有結合を意味する。グリコシド結合(linkage)の例としては、1,6-α-D-グリコシド結合(本明細書では、「α-1,6」結合とも呼ばれる);1,3-α-D-グリコシド結合(本明細書では、「α-1,3」結合とも呼ばれる);1,4-α-D-グリコシド結合(本明細書では、「α-1,4」結合とも呼ばれる);1,2-α-D-グリコシド結合(本明細書では、「α-1,2」結合とも呼ばれる);ならびに典型的に分岐状糖オリゴマーに関連するこのような結合の組み合わせを有するα-結合グルコースオリゴマーが挙げられる。
【0050】
用語「グルコシルトランスフェラーゼ」、「グルコシルトランスフェラーゼ酵素」、「GTF」、「グルカンスクラーゼ」などは、本明細書では互換的に使用される。本明細書に記載のグルコシルトランスフェラーゼの活性は、生成物であるα-グルカンおよびフルクトースを生成するための基質スクロースの反応を触媒する。グルコシルトランスフェラーゼ反応のいくつかの副生成物としては、例えば、グルコースおよび/またはロイクロースが挙げられる。グルコシルトランスフェラーゼ酵素の野生型形態は、一般に(N末端からC末端方向に)、シグナルペプチド、可変ドメイン、触媒ドメイン、およびグルカン結合ドメインを含有する。本明細書のグルコシルトランスフェラーゼの一例は、1,2-分岐酵素である。
【0051】
用語「反応組成物」、「酵素反応」、「グルコシルトランスフェラーゼ反応」、「グルカン合成反応」などは、本明細書では互換的に使用され、一般に、水、スクロース、少なくとも1種の活性グルコシルトランスフェラーゼ酵素、および任意選択的に他の成分を最初に含む反応を意味する。本明細書の1,2-分岐反応組成物の場合、含有される別の成分は、α-グルカン基質である。典型的には反応の開始後に、グルコシルトランスフェラーゼ反応中にさらに存在し得る成分としては、生成物であるフルクトースおよびα-グルカン、ならびに任意選択的にグルコースおよびロイクロースなどの副生成物が挙げられる。グルコシルトランスフェラーゼが1,2-分岐活性を有する実施形態では、α-グルカン生成物は、酵素により合成される1,2-分岐鎖材料、および/またはα-グルカン生成物全体そのもの(すなわち、α-グルカン基質と付加された1,2-分岐鎖)を表し得る。本明細書で使用するとき、用語「好適な条件下で」は、グルコシルトランスフェラーゼ酵素活性を介した生成物フルクトースおよびα-グルカンへのスクロースの変換を支持する反応条件を指す。
【0052】
用語「α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチド」は、1つまたは複数の分岐鎖を介してα-グルカン基質(または「α-グルカン骨格」)に1つまたは複数のα-1,2グリコシド結合を導入する(別の基質としてスクロースを用いて)ことができる触媒として活性のグルコシルトランスフェラーゼ(またはその活性断片)(また、本明細書では「1,2-分岐酵素」または他の類似用語で呼ばれることもある)を指す。ポリペプチドは、分岐鎖毎に1グルコース基を付加すると考えられる。所定の実施形態では、そうしたポリペプチドは、α-グルカン基質からα-1,2分岐を実施することができる触媒ドメインを含む切断型グルコシルトランスフェラーゼである。当業者であれば、切断が、野生型配列に存在するα-1,2分岐を付加することができる触媒ドメインに対して、NおよびC末端方向のいずれかまたは両方にアミノ酸の欠失を含み得ることは認識されよう。例えば、N末端切断は、遅延開始コドンから開始するグルコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子から生成され得、またC末端切断は、未成熟終止コドンで終止するグルコシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子から生成され得る。所定の実施形態では、ポリペプチドは、触媒ドメインに加えて、少なくとも1つのグルカン結合ドメインを含む。所定の実施形態では、ポリペプチドは、単独で、またはグルカン結合ドメインと組み合わせて、α-グルカン基質骨格にα-1,2分岐を付加することができる触媒ドメインを含み、且つα-1,2グリコシド結合以外の結合を合成することができるドメインを含まない切断型グルコシルトランスフェラーゼである。
【0053】
本明細書で述べる用語「α-グルカン基質」または「α-グルカン基質骨格」(および類似の用語)は、例えば、(i)α-1,6または(ii)α-1,6およびα-1,3グリコシド結合を含み得、典型的に、少なくとも3の重合度(DP)を有し、典型的には水溶性である。典型的な実施形態では、α-グルカン基質は、水性反応条件下で、スクロースの存在下、α-1,2分岐活性を有するポリペプチドによる修飾(すなわち、少なくとも1つのα-1,2グリコシド結合の付加)が可能である。「β-グルカン」は、典型的に、本明細書のα-グルカン基質の部分として除外される。
【0054】
本明細書で述べる用語「α-1,2分岐鎖」(および類似の用語)は、本明細書では、例えば、本明細書のα-グルカン基質骨格に由来するものであってよい。α-1,2分岐鎖が、骨格の1,6-結合グルコースに由来する場合、そうした1,2-結合は、α-1,2,6と呼ぶこともできる。本明細書のα-グルカン骨格にα-1,2結合した分岐鎖は、典型的に、1つのグルコース基(任意選択的に、ペンダントグルコースと呼ぶこともできる)を有する。本明細書のグルカン中の1,2-分岐のパーセントは、1,2-分岐鎖点(例えば、1,2,6)を表すグルカン中の全ての結合のパーセンテージを指す。
【0055】
本明細書において、「α-1,3,6」は、分岐鎖グルコースが、骨格の1,6-結合グルコース単量体にα-1,3-結合した分岐鎖点を指す。
【0056】
本明細書において、1,2-分岐反応のグルカン生成物(例えば、「α-1,2結合を含むグルカン組成物」、「α-1,2分岐状グルカン組成物」、「本明細書のグルカン」および類似の用語)は、例えば、(i)本明細書の任意のα-グルカン基質と(ii)本明細書の任意の付加された1,2-分岐に関して特性決定することができる。
【0057】
用語「成熟」、「分泌」、「成熟分泌」などは、本明細書では、互換的に使用される。成熟タンパク質は、細胞、特に細菌細胞の細胞膜を通過することができるものである。成熟タンパク質は、一部の態様では、タンパク質の未成熟(プロセシング前)形態のN末端からの「シグナル配列」(または「シグナルペプチド」)の翻訳後除去(切除)によって得られる。シグナル配列は、典型的に、未成熟タンパク質を細胞膜へと向かわせ、タンパク質による膜の通過中(すなわち、タンパク質分泌過程中)にタンパク質から除去される。成熟タンパク質の本明細書の異種発現は、シグナル配列を使用することができ、その場合、目標は、恐らく、周囲の媒質へのタンパク質の分泌である。あるいは、異種発現は、そのシグナル配列がすでに欠如するように設計されたタンパク質の発現を使用することもでき(このような実施形態において、開始メチオニンは、典型的にN末端に付加される);こうした成熟タンパク質発現は、タンパク質が分泌されていないことから、典型的に、細胞の溶解を起こしてタンパク質を放出させる。本明細書のシグナル配列は、任意選択的にそれと一緒に使用されるタンパク質に関してネイティブまたは異種のいずれであってもよい。
【0058】
本明細書の用語「デキストラン」は、少なくとも50%のα-1,6グリコシド結合(典型的に、最大49%のα-1,3グリコシド結合、その一部は、分岐点で起こり得る)を含む水溶性α-グルカンを指す。デキストランは、多くの場合、1000kDaを超える平均分子量を有する。スクロースからデキストランを合成することができる酵素は、「デキストランスクラーゼ」(EC 2.4.1.5)と表される場合もある。デキストランは、本明細書の好適なα-グルカン基質の一例である。
【0059】
本明細書で使用する用語「α-グルカンヒドロラーゼ」、「グルカノヒドロラーゼ」などは、α-グルカンオリゴマーをエンド-またはエキソ-加水分解することができる酵素を指す。グルカノヒドロラーゼは、所定のα-グリコシド結合に向かう加水分解活性によって定義され得る。例として、限定されないが、デキストラナーゼ(EC3.2.1.1;α-1,6-連結グリコシド結合をエンド加水分解することができる)、ムタナーゼ(EC3.2.1.59;α-1,3-連結グリコシド結合をエンド加水分解することができる)、およびアルテルナナーゼ(EC3.2.1.-;アルテルナンをエンド加水分解的に切断することができる)が挙げられる。限定されないが、所定のα-グルカン内での分岐レベル、分岐の種類、および相対分岐鎖長をはじめとする様々な要因は、α-グルカノヒドロラーゼがいくつかのグリコシド結合を加水分解する能力に悪影響を与え得る。
【0060】
本明細書のグルカンの分子量(例えば、α-1,2結合を含むα-グルカン基質またはグルカン組成物)は、重合度(DP)、ダルトン、またはグラム/モルとして表すことができる。DPは、グルカン内に含まれるグルコースの数を指す(例えば、DP10のグルカンは、グルカンが10グルコースを含有することを意味する)。例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、またはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などを用いた分子量測定値を計算する様々な手段が知られている。
【0061】
本明細書で使用する用語「水溶性」は、水および/または水溶液中に溶解する能力を有するグルカンを特徴付け、その場合、全グルカン分子が溶解性である。典型的に、そうした水溶性についての条件は、約1~85℃の水/溶液温度を含み、これは、飲料および/または住居用ケア用途などの様々な使用に好適な温度を含む。
【0062】
用語「体積によるパーセント」、「体積パーセント」、「体積%」、「v/v%」などは、本明細書では互換的に使用される。溶液中の溶質の体積によるパーセントは、式:[(溶質の体積)/(溶液の体積)]×100%を使用して決定できる。
【0063】
用語「重量によるパーセント」、「重量パーセンテージ(wt%)」、「重量-重量パーセンテージ(%w/w)」などは、本明細書では互換的に使用される。重量によるパーセントは、それが組成物中、混合物中もしくは溶液中に含まれるかのように質量ベースでの物質のパーセンテージを意味する。
【0064】
本明細書の「哺乳動物」は、例えば、ヒト、ペット(例えば、ネコ、イヌ)、家畜/飼育哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ)、またはげっ歯類またはその他の小型哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ)であってよい。
【0065】
用語「経腸投与」および類似の用語は、胃腸(GI)管を介した供給または薬剤投与を指す。これは、GI管以外の経路(例えば、静脈内)から行われる非経口投与とは対照をなす。経腸投与の本明細書のほとんどの事例は、摂取により(例えば、口から;経口で)実施されるが、一部の事例は、食道または胃への直接送達(例えば、栄養管を用いて)によるものであってもよい。
【0066】
本明細書で使用する用語「グリセミック指数」は、哺乳動物の血糖(血糖)レベルに対する食品の影響を示す特定種類の食品に関する数を指す。100の値は、純粋グルコースの当量である標準を表す。低グリセミック指数は、典型的に、約55以下であり、中間グリセミック指数は、典型的に、約56~69であり、高グリセミック指数は、典型的に、約70以上である。本明細書の用語「血糖反応」は、特定の食品または食品の組み合わせの消費後の血糖レベルの変化を指す。本明細書の食品のグリセミック指数の「限界増加」は、例えば、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%未満のグリセミック指数の増加を指す。
【0067】
本明細書の「易消化性グルコース含有炭水化物」は、哺乳動物による摂取後に、本明細書の「低速グルコース放出グルカン組成物」の摂取と比較して、哺乳動物中の血糖レベルを急速に上昇させる炭水化物を指す。易消化性グルコース含有炭水化物の例として、スクロース、遊離グルコース、およびデンプンが挙げられる。本明細書の「遊離グルコース」は、別の糖とグリコシド結合状態にない遊離形態のグルコースを指す。
【0068】
本明細書の用語「食物繊維」、「グルカン繊維」および類似の用語は、哺乳動物に経腸投与されたとき、難消化性の、および/または血糖レベルを増加しない本明細書のグルカンを指す。一般に、本明細書の食物繊維は、ヒトなどの哺乳動物の上部胃腸管中の内在性酵素により有意に加水分解されない。
【0069】
用語「水性条件」、「水性反応条件」、「水性設定」、「水性系」などは、本明細書において互換的に使用される。本明細書の水性条件は、溶媒が、例えば、少なくとも約60重量%水である溶液または混合物を指す。本明細書の分岐反応は、典型的に、水性条件下で実施される。
【0070】
本明細書の「水性組成物」は、例えば、少なくとも約10重量%の水を含む液体成分を有する。水性組成物の例としては、例えば、混合物、溶液、分散液(例えば、コロイド状分散液)、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。本明細書の「水溶液」は、溶媒が水を含む溶液を指す。水溶液は、本明細書の所定の態様において分散剤として役立ち得る。所定の実施形態のα-1,2-分岐状グルカンは、所定の態様において水溶液中に溶解させることができる。
【0071】
用語「住居用ケア製品」および類似の用語は、住居およびその内容物の処理、洗浄、ケアおよび/またはコンディショニングに関する製品、物品およびサービスを指す。前述のものには、例えば、そうしたケアに用途を有する化学薬品、組成物、製品、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0072】
用語「織物」、「生地」、「布」および類似の用語は、本明細書では、互換的に使用され、天然および/または人造繊維の網状組織を有する織布を意味する。そのような繊維は、例えば、撚り糸もしくは編み糸の形態であってよい。
【0073】
「織物ケア組成物」および類似の用語は、任意の方法で織物を処理するために好適な任意の組成物である。そのような組成物の例には、洗濯用洗剤および織物柔軟剤が含まれ、これらは、洗濯ケア組成物の例である。
【0074】
用語「ヘビーデューティ洗剤」、「万能洗剤」などは、本明細書では、互換的に使用され、任意の温度で白色および着色繊維製品の標準的洗濯のために有用な洗剤を意味する。用語「ローデューティ洗剤」、「細繊維洗剤」などは、本明細書では互換的に使用され、例えばビスコース、ウール、シルク、マイクロファイバーまたは特別なケアを必要とする他の繊維といったデリケートな織物のケアのために有用な洗剤を意味する。「特別なケア」は、例えば、過剰量の水、低撹拌、および/または漂白なしを使用する条件を含み得る。
【0075】
本明細書の「洗剤組成物」は、典型的には少なくとも1つの界面活性剤(洗剤化合物)および/または1つのビルダーを含む。本明細書の「界面活性剤」は、その中に物質が溶解した液体の表面張力を低下させる傾向を示す物質を意味する。界面活性剤は、例えば、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、および/または分散剤として作用することができる。
【0076】
本明細書の「パーソナルケア製品」などは、人のトリートメント、洗浄、ケアまたはコンディショニングに関する製品、物品およびサービスを指す。前述のものには、例えば、そうしたケアに用途を有する化学薬品、組成物、製品、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0077】
本明細書の「口腔ケア組成物」は、歯(複数の歯)の表面および/または歯肉表面などの口腔内の軟質もしくは硬質表面を処理するために好適な任意の組成物である。
【0078】
用語「ポリヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」、「核酸分子」などは、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、ヌクレオチド配列などを包含する。ポリヌクレオチドは、一本鎖もしくは二本鎖であり、任意選択的に合成、非天然もしくは改変ヌクレオチド塩基を含有するDNAもしくはRNAのポリマーであっってよい。ポリヌクレオチドは、cDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたはそれらの混合物の内の1つ以上のセグメントから構成されてよい。
【0079】
本明細書で使用する用語「遺伝子」は、コーディング領域からRNA(RNAは、DNAポリヌクレオチド配列から転写される)を発現するDNAポリヌクレオチド配列を意味するが、そのRNAはメッセンジャーRNA(タンパク質をコードする)または非タンパク質コーディングRNAであってよい。遺伝子は、コーディング領域単独を意味する場合がある、またはコーディング領域への上流および/または下流の調節配列(例えば、プロモーター、5’未翻訳領域、3’転写ターミネーター領域)を含む場合がある。またはタンパク質をコードするコーディング領域は、本明細書では「オープンリーディングフレーム」(ORF)と呼ぶことができる。「天然」もしくは「内因性」である遺伝子は、固有の調節配列を備える自然界で見出される遺伝子を意味する;そのような遺伝子は、宿主細胞のゲノム内の自然な場所に所在する。「キメラ」遺伝子は、天然遺伝子ではない、自然には一緒に見出されることのない調節配列およびコーディング配列を含む(すなわち、調節配列およびコーディング配列は相互に異種である)、あらゆる遺伝子を意味する。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源に由来する調節配列およびコーディング配列を含むことができる、または同一起源に由来するが、自然に見出されるのとは異なる方法で配列された調節配列およびコーディング配列を含むことができる。「外来」もしくは「異種」遺伝子は、遺伝子導入によって宿主生体内に導入される遺伝子を意味する場合がある。外来/異種遺伝子は非天然生体内に挿入された天然遺伝子、天然宿主内の新規な場所に導入された天然遺伝子またはキメラ遺伝子を含むことができる。本明細書に開示した所定の実施形態内のポリヌクレオチド配列は、異種である。「トランス遺伝子」は、遺伝子送達手順(例えば、形質転換)によってゲノム内に導入されている遺伝子である。「コドン最適化」オープンリーディングフレームは、宿主細胞の好ましいコドン使用頻度を模擬するために設計されたそのコドン使用頻度を有する。
【0080】
用語「異種」は、自然には対象位置に見出されないことを意味する。例えば、異種遺伝子は、自然には宿主細胞内に見出されないが、遺伝子移入によって宿主生物中に導入される遺伝子であってよい。別の例として、キメラ遺伝子中に存在する核酸分子は、異種として特徴付けることができ、したがって、核酸分子は、キメラ遺伝子の他のセグメントと自然には関連しない(例えば、プロモーターは、コード配列に対して異種であってよい)。
【0081】
本明細書の細胞または生物中に含まれる「非ネイティブ」アミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列は、そうした細胞または生物のネイティブ(天然の)対応物には存在しない。このようなアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列は、細胞または生物に対して異種であると言うこともできる。
【0082】
本明細書で使用する「調節配列」は、遺伝子の転写開始部位(例えば、プロモーター)、5’未翻訳領域、イントロン、および3’非コーディング領域の上流に所在する、ならびにその遺伝子から転写されたRNAの転写、プロセッシングもしくは安定性および/または翻訳に影響を及ぼす可能性があるヌクレオチド配列を意味する。本明細書の調節配列は、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、5’未翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位、ステムループ構造および遺伝子発現の調節に関連する他の要素を含むことができる。本明細書の1つ以上の調節要素は、本明細書のコーディング領域に対して異種であってよい。
【0083】
本明細書で使用する「プロモーター」は、遺伝子からのRNAの転写を制御することができるDNA配列を指す。一般に、プロモーター配列は、遺伝子の転写開始部位の上流にある。プロモーターは、その全体がネイティブ遺伝子から得られるものでも、または天然に存在する異なるプロモーターに由来する様々な要素から構成されるものでもよいし、あるいは、合成DNAセグメントを含んでもよい。ほとんどの場合、あらゆる状況で遺伝子を細胞中で発現させるプロモーターは、一般に、「構成性プロモーター」と呼ばれる。本明細書の1つまたは複数のプロモーターは、本明細書のコード領域に対して異種であり得る。
【0084】
本明細書で使用する「強いプロモーター」は、単位時間当たり比較的多数の生産性開始を指令することができるプロモーターを意味し、および/または細胞中の遺伝子の平均転写レベルよりも高レベルの遺伝子転写を駆動するプロモーターである。
【0085】
本明細書で使用する用語「3’-非コード配列」、「転写ターミネーター」および「ターミネーター」は、コード配列の下流に位置するDNA配列を指す。これは、ポリアデニル化認識配列、ならびにmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響を及ぼすことができる調節シグナルをコードする他の配列を含む。
【0086】
本明細書でポリヌクレオチドに関して使用される用語「上流」および「下流」は、それぞれ「~の5’側」および「~の3’側」を指す。
【0087】
本明細書で使用する用語「発現」は、(i)コード領域からのRNA(例えば、mRNAもしくは非タンパク質コードRNA)の転写、および/または(ii)mRNAからのポリペプチドの転写を指す。ポリヌクレオチド配列のコード領域の発現は、所定の実施形態において上方制御または下方制御することができる。
【0088】
本明細書で使用する用語「作動可能に連結した」は、一方の機能が他方によって影響されるような2つ以上の核酸配列の会合を意味する。例えば、プロモーターは、コード配列の発現に影響を与えることができるとき、そのコード配列と作動可能に連結している。すなわち、上記のコード配列は、プロモーターの転写制御下にある。コード配列は、例えば、1つ(例えば、プロモーター)または複数(例えば、プロモーターおよびターミネーター)調節配列に作動可能に連結することができる。
【0089】
用語「組換え」は、本明細書において、プラスミド、ベクター、または構築物などのDNA配列を特徴付けるために使用されるとき、配列の2つのそうでなければ分離したセグメントの人工的な組み合わせを指し、例えば、これは、化学合成によって、および/または遺伝子工学技術による核酸の単離セグメントの操作によって達成される。
【0090】
本明細書で使用する用語「形質転換」は、任意の方法による宿主生物または宿主細胞中への核酸分子の移入を意味する。生物/細胞中に形質転換された核酸分子は、生物/細胞中で自律的に複製するか、または生物/細胞のゲノム中に組み込まれるか、または複製もしくは組み込みなしに細胞中に一過的に存在するものであってよい。形質転換に好適な核酸分子の非限定的な例は、本明細書に開示され、例えば、プラスミドおよび線状DNA分子などがある。形質転換核酸配列を含有する宿主生物/細胞は、例えば、「トランスジェニック」、「組換え」、「形質転換(された)」、「操作(された)」、「形質転換体」、および/または「外性遺伝子発現のために修飾された」と呼ぶことができる。
【0091】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に関して本明細書で使用する用語「配列同一性」、「同一性」などは、特定の比較ウィンドウにわたって最高一致のために整列させたとき同一である、2つの配列内の核酸残基もしくはアミノ酸残基に関する。したがって、「配列同一性のパーセンテージ」、「同一性率(%)」などは、比較ウィンドウにわたって2つの最適に整列された配列を比較することによって決定される数値を意味するが、このとき比較ウィンドウ内のポリヌクレオチドもしくはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適整列のための参照配列(付加もしくは欠失を含まない)と比較して付加もしくは欠失(すなわち、ギャップ)を含む可能性がある。パーセンテージは、マッチした位置の数を生じさせるために両方の配列内で同一の核酸塩基もしくはアミノ酸残基が発生する位置の数を決定し、マッチした位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で割り、配列同一性のパーセンテージを得るためにその結果に100を掛けることによって計算される。DNA配列とRNA配列との間の配列同一性を計算する場合に、DNA配列のT残基がRNA配列のU残基と整列すると「同一」であると見なせると理解されるであろう。第1および第2ポリヌクレオチドの「相補率」を決定するためには、例えば、(i)第1ポリヌクレオチドと第2ポリヌクレオチドの相補配列(またはその逆)との同一性率、および/または(ii)正準ワトソン&クリック塩基対を作り出すであろう第1および第2ポリヌクレオチド間の塩基のパーセンテージを決定することによってこれを得ることができる。
【0092】
同一性率は、限定されないが、以下:1)分子計算生物学(Computational Molecular Biology)(Lesk,A.M.,Ed.)Oxford University:NY(1988);2)バイオコンピューティング(Biocomputing):Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,Ed.)Academic:NY(1993);3)配列データのコンピューター解析(Computer Analysis of Sequence Data)、第I部(Part I)(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,Eds.)Humana:NJ (1994);4)分子生物学における配列解析(Sequence Analysis in Molecular Biology)(von Heinje,G.,Ed.)Academic(1987);ならびに5)プライマーの配列解析(Sequence Analysis Primer)(Gribskov,M.and Devereux,J.,Eds.)Stockton:NY(1991)(これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものを含む、任意の公知の方法によって容易に決定することができる。
【0093】
同一性率を決定する好ましい方法は、試験する配列同士の最良の一致を付与するように設計される。同一性および類似性を決定する方法は、例えば、一般に入手可能なコンピュータープログラムにコード化されている。配列アラインメントおよび同一性率計算は、例えば、LASERGENEバイオインフォマティクス計算スイートのMEGALIGNプログラム(DNASTAR Inc.,Madison,WI)を用いて実施することができる。配列の複数のアラインメントは、例えば、ClustalVアラインメント法などの数種のアルゴリズムを含むClustalアラインメント法(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151-153(1989);Higgins,D.G.et al.,Comput.Appl.Biosci.,8:189-191(1992)に記載されている)を用いて実施することができ、また、LASERGENEバイオインフォマティクス計算スイートのMEGALIGNV8.0プログラム(DNASTAR Inc.)に見出すことができる。複数のアラインメントの場合、デフォルト値はGAP PENALTY=10およびGAP LENGTH PENALTY=10に対応し得る。Clustal法を使用したタンパク質配列のペアワイズアラインメントおよび同一性率の計算のためのデフォルトパラメーターは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5であってよい。核酸の場合には、これらのパラメーターは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4およびDIAGONALS SAVED=4であってよい。さらに、ClustalWアラインメント法(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151-153(1989);Higgins,D.G.et al.,Comput.Appl.Biosci.,8:189-191(1992)に記載されている)を使用することができ、これは、LASERGENEバイオインフォマティクス計算スイートのMEGALIGNV8.0プログラム(DNASTAR Inc.)に見出すことができる。複数のアラインメント(タンパク質/核酸)のためのデフォルトパラメーターは、以下:GAP PENALTY=10/15、GAP LENGTH PENALTY=0.2/6.66、Delay Divergen Seqs(%)=30/30、DNA Transition Weight=0.5、Protein Weight Matrix=Gonnet Series、DNA Weight Matrix=IUBであってよい。
【0094】
様々なポリペプチドアミノ酸配列およびポリヌクレオチド配列は、本明細書では所定の実施形態の特徴として開示されている。本明細書に開示した配列と少なくとも約70~85%、85~90%もしくは90%~95%同一であるこれらの配列の変異体を使用または参照できる。または、変異アミノ酸配列もしくはポリヌクレオチド配列は、本明細書に開示した配列と少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有することができる。変異アミノ酸配列もしくはポリヌクレオチド配列は、本明細書に開示した配列と同一の機能/活性または本明細書に開示した配列の約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の機能/活性を有する。
【0095】
本明細書に開示するタンパク質の各アミノ酸位置のアミノ酸残基は全て例である。所定のアミノ酸が、互いに類似の構造および/または電荷特徴を有する(保存されている)とすれば、本明細書のタンパク質の各位置のアミノ酸は、開示する配列に記載される通りであるか、または以下のように保存アミノ酸残基で置換することができる(「保存的アミノ酸置換」):
1.下記の小さな脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基は、互いに置換することができる:Ala(A)、Ser(S)、Thr(T)、Pro(P)、Gly(G);
2.下記の極性、陰荷電残基およびそれらのアミドは、互いに置換することができる:Asp(D)、Asn(N)、Glu(E)、Gln(Q);
3.下記の極性、陽荷電残基は、互いに置換することができる:His(H)、Arg(R)、Lys(K);
4.下記の脂肪族、非極性残基は、互いに置換することができる:Ala(A)、Leu(L)、Ile(I)、Val(V)、Cys(C)、Met(M);ならびに
5.下記の大きな芳香族残基は、互いに置換することができる:Phe(F)、Tyr(Y)、Trp(W)。
【0096】
用語「~と整列する」、「~と対応する」などは、本明細書において互換的に使用することができる。本明細書の一部の実施形態は、配列番号27と整列する配列番号4、2、3、および5~13のいずれか1つの部分配列に関する。本明細書の「部分配列」とは、単純に、配列番号4、2、3、および5~13のいずれか1つの一部分である。部分配列は、それが配列番号27と少なくとも約50%、または配列番号27と少なくとも約65%(同一部位と保存部位両方の合計パーセント)類似すれば、それは、配列番号27と整列すると特徴付けることができる。一般に、同一性率および/または類似性を決定するために、本明細書に記載されるアラインメントアルゴリズムおよび/またはソフトウェア(例えば、BLASTP、ClustalW、ClustalV、EMBOSS)を用いて、配列番号27と部分配列のアミノ酸配列を整列させることができる。
【0097】
用語「単離(された)」は、天然に存在しない形態または環境にある物質を意味する。単離(された)物質の非限定的例として、以下が挙げられる:(1)天然に存在しない任意の物質、(2)限定されないが、自然界では結合している天然成分の1つもしくは複数または全部から少なくとも部分的に取り出された任意の宿主細胞、酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチド、補因子、または炭水化物/糖などの任意の物質;(3)自然界で見出される物質に対して、人の手により修飾された任意の物質;あるいは(4)それが自然に結合している他の成分に対して、物質の量を増加することによって修飾された任意の物質。本明細書に開示される実施形態(例えば、反応組成物およびその生成物)は合成/人工であり、および/または天然に存在しない特性を有すると考えられる。
【0098】
本明細書で使用する用語「増加した」は、それに対して量が増加しているか、もしくは活性が比較されている量または活性より少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、50%、100%、もしくは200%上回る量または活性を意味し得る。用語「増加した」、「上昇した」、「増強された」、「より多い」、「改善された」などは、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、例えば、タンパク質をコードするポリヌクレオチドの「過剰発現」または「上方制御」を特徴付けるために使用することができる。
【0099】
本開示の一部の態様は、少なくとも水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを含む反応組成物に関し、ここで、ポリペプチドは、以下:
(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;
(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または
(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列
と少なくとも90%同一であるアミノ酸を含む。
【0100】
すぐ上に記載した反応は、任意選択的に、α-1,2分岐反応として本明細書に特徴付けることができる。こうした反応の生成物は、例えば、α-1,2結合を含むグルカン組成物(またはグルカン生成物)と呼ぶことができる。
【0101】
本開示の一部の態様では、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドは、配列番号4、1、2、3、および5~13からなる群から選択される配列の予測成熟形態と、100%同一であるか、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成されるものであってよい。下記の配列は、それぞれ、これらのポリペプチドの成熟形態(発現形態)の例であると考えられる:配列番号4の36位~1672位、配列番号1の21位~2771位、配列番号2の21位~2821位、配列番号3の41位~2844位、配列番号5の51位~1632位、配列番号6の51位~1318位、配列番号7の51位~1139位、配列番号8の51位~1463位、配列番号9の41位~2841位、配列番号10の46位~2580位、配列番号11の51位~1463位、配列番号12の21位~2824位、配列番号13の21位~2771位。これらの配列はいずれも、任意選択的に、付加されたN末端メチオニン残基をさらに含んでもよい。
【0102】
一部の態様では、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドは、配列番号4、1、2、3、および5~13からなる群から選択される配列と、100%同一であるか、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはそれから構成される。
【0103】
配列番号1のN末端短縮バージョンである配列番号27(GTFJ18T1)は、以下の実施例で、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができることが証明される。さらに、配列番号27と比較的類似する部分配列を含む配列番号4(GTF9905)もまた、本明細書において、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができることが証明される。この情報に基づいて、所定の実施形態における好適なポリペプチドは、配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、および5~13のいずれか1つの部分配列と、100%同一であるか、または少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含み得ると考えられる。一部の態様では、配列番号27と整列する好適な部分配列を以下の表に列記する:
【0104】
【表1】
【0105】
前述した実施形態のいくつかから、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドは、配列番号1~13のいずれかに関して切断されたアミノ酸配列を含み得ることが明らかとなるはずである。所定の実施形態では、切断型アミノ酸配列は、α-1,2結合を有するグルカンの合成を触媒する配列番号1~13のいずれかからのドメインを含む。こうした切断型アミノ酸配列は、任意選択的に、1つまたは複数のグルカン結合ドメインを含み得る。所定の実施形態では、切断型アミノ酸配列は、α-1,2結合以外の結合を有するグルカンの合成を触媒するドメインを含まない。
【0106】
本明細書に開示する一部の実施形態は、任意の1,2分岐酵素(例えば、配列番号4、1、2、3、5~13および27のいずれかに関する前述のi、ii、もしくはiii部)または本明細書に開示する他のグルコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドに関する。任意選択的に、1つまたは複数の調節配列は、ヌクレオチド配列と作動可能に連結され、好ましくは、プロモーター配列が調節配列として含まれる。
【0107】
本明細書の酵素をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドは、例えば、細胞中にヌクレオチド配列を移入するのに有用なベクターまたは構築物(例えば、発現ベクター)であってよい。好適なベクター/構築物の例は、プラスミド、酵母染色体(YAC)、コスミド、ファージミド、細菌人工染色体(BAC)、ウイルス、または線状DNA(例えば、線状PCR産物)から選択することができる。一部の態様におけるポリヌクレオチド配列は、細胞内に一過的(すなわち、ゲノムに組み込まれていない)または安定に(すなわち、ゲノムに組み込まれている)存在することができる。一部の態様におけるポリヌクレオチド配列は、1つまたは複数の好適なマーカー配列(例えば、選択もしくは表現型マーカ―)を含んでもよいし、またはそれらを欠失してもよい。
【0108】
所定の実施形態におけるポリヌクレオチド配列は、酵素をコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結した1つまたは複数の調節配列を含んでもよい。例えば、酵素をコードするヌクレオチド配列は、プロモーター配列(例えば、異種プロモーター)と作動可能な連結状態にあってもよい。プロモーター配列は、例えば、細胞中(例えば、大腸菌(E.coli)などの細菌細胞;真菌、酵母、昆虫、もしくは哺乳動物細胞などの真核細胞)またはインビトロタンパク質発現系での発現に好適となり得る。他の好適な調節配列の例を本明細書に開示する(例えば、転写終結配列)。
【0109】
一部の実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、グルコシルトランスフェラーゼをコードするヌクレオチドに作動可能に連結した調節配列を含まない。そうしたポリヌクレオチドは、例えば、単純にサブクローニングまたは遺伝子シャッフリングの目的で使用されるクローニングベクター(例えば、クローニングプラスミド)であってよい。
【0110】
本明細書の発現ベクターに含有させることができる、開始制御領域またはプロモーター候補は多数あり、当業者には周知である。これらの遺伝子を駆動することができるほぼあらゆるプロモーターが好適であり、限定されないが、以下のものが挙げられる:CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)での発現に有用);AOX1(ピチア(Pichia)での発現に有用);ならびにlac、araB、tet、trp、lP、lP、T7、tac、およびtrc(大腸菌(Escherichia coli)での発現に有用)、さらには、バシラス(Bacillus)での発現に有用なamy、apr、nprプロモーターおよび様々なファージプロモーター。
【0111】
転写終結を制御するDNA断片も、好ましい宿主細胞に対してネイティブの様々な遺伝子に由来するものであってよい。所定の実施形態では、終結制御領域の含有は任意選択的である。所定の実施形態では、発現ベクターは、好ましい宿主細胞に由来する終結制御領域を含む。
【0112】
所定の実施形態では、本明細書に開示するポリペプチドは、融合タンパク質の形態をしている。例えば、ポリペプチドは、ポリペプチドの精製に役立ち得る1つまたは複数のタグ配列を含んでもよい。例示的なタグ配列として、以下:GST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)、インテリン-CBD(キチン結合ドメイン)、MBD(マルトース結合ドメイン)、およびヒスチジンタグが挙げられる。
【0113】
所定の実施形態では、宿主細胞、特に微生物宿主細胞に発現ベクターを含有させる。一部の実施形態では、微生物宿主細胞は、真菌または細菌ファミリー内に見出すことができ、および/または広範囲の温度、pH値、および溶媒耐性にわたって増殖することができる。例えば、細菌、酵母、および糸状菌のいずれも発現ベクターを好適に保有し得ると考えられる。宿主細胞への発現ベクターの含有は、本明細書に開示するポリペプチドの細胞内および/または細胞外発現に使用することができる。転写、翻訳およびタンパク質生合成装置は、細胞バイオマスを生成するのに用いられる細胞フィードストックに対して不変のままであってよく;機能性遺伝子は、典型的に、それにかかわらず発現させることができる。宿主細胞の例として、限定されないが、以下に挙げるような細菌、真菌または酵母種:アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)、ファフィア(Phaffia)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、ヤロウィア(Yarrowia)、サルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリキア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロシヌス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)がある。所定の実施形態では、真菌宿主細胞は、トリコデルマ(Trichoderma)、例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)の株などである。所定の実施形態では、細菌宿主株は、エシェリキア(Escherichia)、バシラス(Bacillus)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、およびシュードモナス(Pseudomonas)を含む。一部の実施形態では、細菌宿主細胞は、枯草菌(Bacillus subtilis)または大腸菌(Escherichia coli)である。
【0114】
所定の実施形態では、(i)宿主細胞は、2つ以上の発現ベクターを含み、および/または(ii)複数のポリペプチドが宿主細胞において発現される。例えば、所定の実施形態では、宿主細胞は、α-グルカノヒドロラーゼの発現のための発現ベクターを含む。α-グルカノヒドロラーゼを発現するための発現ベクターは、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを発現するための発現ベクターと同じでも、異なっていてもよいと認識されよう。
【0115】
本開示の所定の実施形態におけるα-グルカン基質/骨格は、少なくとも3の重合度(DP)を有し、少なくとも以下:(i)α-1,6グリコシド結合または(ii)α-1,3およびα-1,6グリコシド結合を含み、典型的には、水溶性である。
【0116】
一部の実施形態では、α-グルカン基質は、約、または少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、100、105、110 150、200、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000のDPを有し得る。α-グルカン基質のDPは、任意選択的に、これらの値のいずれか2つの間の範囲として表すこともできる。あくまで例として、DPは、約8~20、8~30、8~100、または8~500(これは、DP8+α-グルカン基質の例にすぎない)、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、4~5、4~6、4~7、4~8、5~6、5~7、5~8、6~7、6~8、または7~8であってよい。あくまで他の例として、DPは、90~120、95~120、100~120、105~120、110~120、115~120、90~115、95~115、100~115、105~115、110~115、90~110、95~110、100~110、105~110、90~105、95~105、100~105、90~100、95~100、または90~95であってよい。
【0117】
所定の実施形態におけるα-グルカン基質は、少なくとも以下:(i)α-1,6グリコシド結合または(ii)α-1,3およびα-1,6グリコシド結合を含む。例えば、α-1,6結合のパーセンテージは、少なくとも約20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、69%、70%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%であってよい。α-グルカン基質の結合プロフィールは、任意選択的に、これらの値のいずれか2つの間の範囲として表すこともできる。これらの実施形態のいずれかにおける他の基質結合は、例えば、α-1,3(例えば、最大80%)であってよく、および/またはα-1,4もしくはα-1,2結合を含まない。一部の態様では、α-グルカン基質は、少なくとも50%のα-1,6グリコシド結合を含む。一部の態様では、α-グルカン基質は、少なくとも1~50%のα-1,3グリコシド結合を含む。
【0118】
所定の実施形態では、α-グルカン基質は、グルコシルトランスフェラーゼ(典型的には、グリコシドヒドラーゼのGH70ファミリー由来)、デキストリンデキストラナーゼ、4,6-α-グルコシルトランスフェラーゼ(ファミリーGH70由来の「Gtf-Bタイプ」)、またはこれらの組み合わせから選択される酵素を用いて調製される。任意選択的に、デキストラナーゼおよび/またはムタナーゼなどの少なくとも1つのα-グルコシダーゼがさらに含まれる。一部の実施形態では、α-グルカン基質は、配列番号30(GTF8117)、32(GTF6831)、または33(GTF5604)と100%同一、または少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であるアミノ酸配列を含む、またはそのアミノ酸配列からなるグルコシルトランスフェラーゼの生成物であってよい。本明細書のα-グルカン基質は、適切なグルコシルトランスフェラーゼ反応組成物(例えば、少なくとも1つのGTF酵素に加えて、少なくとも水およびスクロースを含む)によって調製することができる。
【0119】
α-グルカン基質は、α-1,2分岐を酵素により導入する前に合成(および任意選択的に単離)することができ、またはα-1,2分岐酵素の存在下で同時に合成してもよい(すなわち、有効量のスクロースの存在下で、α-1,2分岐活性を有するポリペプチドとの同時反応混合物中で、グルカン基質骨格合成を実施することができる)。α-グルカン基質は、様々な方法で生成することができ、そうした方法として、限定されないが、以下のものが挙げられる:(1)スクロースの存在下での少なくとも1つのグルコシルトランスフェラーゼからの合成(α-1,2分岐活性を有するポリペプチドとは異なるポリペプチドを用いて)、(2)デキストリンデキストラナーゼ活性を有するポリペプチド、Gtf-BタイプGH70グルコシルトランスフェラーゼ、もしくはこれらの組み合わせを用いて、デンプンまたはスクロースから取得可能なマルトデキストリン(例えば、アミロスクラーゼを用いてスクロースから合成されるマルトデキストリン基質)からの合成、(3)少なくとも1つのα-グルカノヒドロラーゼ(例えば、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、もしくはこれらの組み合わせ)の存在下での方法(1)および/または(2)を用いた合成、ならびに(4)α-グルカン基質が、α-1,2分岐活性を有するポリペプチドによる作用を受けることができる限り、(1)、(2)、または(3)のいずれかの組み合わせ。さらに別の実施形態では、α-グルカン基質は、α-1,2分岐ステップの前に合成してもよいし、またはα-1,2分岐と同時に合成してもよい(すなわち、α-1,2分岐活性および有効量のスクロースを有するポリペプチドが水性反応混合物中に存在する)。前述の実施形態のいずれかを用いてα-グルカン基質を合成する場合に関して、合成のための反応体は、スクロースおよび/またはマルトデキストリンを含んでもよく、任意選択的に1種または複数種の別のアクセプターの存在下にあってもよい。別の実施形態では、反応体は、いくつか挙げるなら、マルトース、イソマルトース、イソマルトトリオース、およびメチル-α-D-グルカンなどの1種または複数種のアクセプターをさらに含んでもよい。
【0120】
所定の実施形態では、α-グルカン基質は、同じ反応混合物中に少なくとも1つのα-グルカノヒドラーゼと、グルコースオリゴマーを形成することができる少なくとも1つのグルコシルトランスフェラーゼの組み合わせを用いて合成される(すなわち、これらは、反応組成物中に同時に存在し、活性である)。したがって、α-グルカノヒドラーゼのための反応体は、スクロースからグルコシルトランスフェラーゼにより反応系中で同時に合成されるグルコースオリゴマーによって代表される。
【0121】
本明細書の1,2分岐反応のグルカン生成物は(「例えば、α-1,2結合を含むグルカン組成物」)(そうした生成物は、本明細書の反応組成物の生成物および/またはグルカン組成物を生成する本明細書の方法の生成物であり得る)は、例えば、(i)本明細書の任意のα-グルカン基質と(ii)本明細書に開示する、任意の付加された1,2分岐に関して特徴付けることができる。α-1,2結合を含むグルカン組成物の1,2分岐率は、例えば、約、または少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、もしくは55%、またはそれ未満であってよい。この1,2-分岐プロフィールは、任意選択的に、これらの値のいずれか2つの間の範囲として表すこともできる。あくまで例として、グルカン組成物中の1,2分岐のパーセンテージは、15~50%、15~45%、15~40%、15~35%、15~30%、15~25%、15~20%、20~50%、20~45%、20~40%、20~35%、20~30%、20~25%、25~50%、25~45%、25~40%、25~35%、25~30%、30~50%、30~45%、30~40%、30~35%、35~50%、35~45%、35~40%、40~50%、または40~45%であってよい(こうした1,2-分岐プロフィールの一部または全部は、任意選択的に、哺乳動物に経腸投与されるとき、血糖レベルを増加しない本明細書のグルカン組成物と関連している[任意選択的に、食物グルカン組成物と呼ぶことができる])。あくまで別の例として、グルカン組成物中の1,2分岐のパーセンテージは、約10%、9%、8%、7%、6%、5%、もしくは4%未満であってもよいし、または2~10%、4~10%、6~10%、2~8%、4~8%、6~8%、2~6%、4~6%、4.5~6%、5~6%、4~7%、4.5~7%、もしくは5~7%であってもよい(こうした1,2-分岐プロフィールは、任意選択的に、哺乳動物に経腸投与されるとき、血糖レベルを緩徐に増加する本明細書のグルカン組成物と関連している[任意選択的に、低グリセミック指数グルカンと呼ぶことができる])。一部の態様では、α-1,2結合を含むグルカン組成物は、1,6-結合と1,2-分岐鎖(1,2,6)(例えば、1,2-連結ペンダントグルコースで修飾された1,6-連結骨格)だけを含み、他の結合タイプは存在しない。他の実施形態では、α-1,2-結合を含むグルカン組成物は、1,2-連結分岐鎖で修飾された、本明細書に開示する任意のα-グルカン基質骨格を含む。本明細書の1,2-分岐鎖点(ならびに他の結合タイプ)のパーセンテージは、例えば、以下の実施例に開示されるようなHNMRまたはGC/MS方法を用いて決定することができる。
【0122】
一部の態様では、α-1,2結合を含むグルカン組成物は、約、または少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、105、110、120、130、140、150、170、180、190、200、210、220、230、240、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、または2000のDPを有し得る。α-1,2結合を含むグルカン組成物のDPは、任意選択的に、これらの値のいずれか2つの間の範囲として表すこともできる。あくまで例として、DPは、約120~160、125~160、130~160、135~160、140~160、150~160、155~160、120~155、125~155、130~155、135~155、140~155、145~155、150~155、120~150、125~150、130~150、135~150、140~150、145~150、120~145、125~145、130~145、135~145、140~145、120~140、125~140、130~140、135~140、120~135、125~135、130~135、120~130、もしくは120~125(こうしたDPプロフィールは、任意選択的に、哺乳動物に経腸投与されるとき、血糖レベルを増加しない本明細書のグルカン組成物と関連している)、または約100~110であってよい。あくまで別の例として、DPは、100~120、105~120、110~120、115~120、100~115、105~115、110~115、100~110、105~110、または100~105であってよい(こうしたDPプロフィールは、任意選択的に、哺乳動物に経腸投与されるとき、血糖レベルを緩徐に増加する本明細書のグルカン組成物と関連している)。
【0123】
一部の態様では、α-1,2結合を含むグルカン組成物(例えば、水溶性のもの)は、ヒトなどの哺乳動物に供給(経腸投与)されると、緩徐にグルコースを放出し;このタイプのグルカン組成物は、「低速グルコース放出グルカン組成物」(または類似の用語)として特徴付けることができる。こうした低速グルコース放出は、血糖レベルの緩徐な増加(低血糖反応と対応する。一部の他の態様では、α-1,2結合を含むグルカン組成物は、哺乳動物に供給されると、グルコースを放出しないため、血糖レベルの増加を一切起こさない(無血糖反応)。血糖レベルに対するこうした作用(緩作用または無作用)は、α-1,2結合を含むグルカン組成物に特有であると考えられ、したがって、哺乳動物に供給される物質に含まれる可能性がある血糖増加成分(例えば、スクロース、遊離グルコース、デンプン)によって生じ得る血糖レベルに対する作用とは独立している。つまり、本発明のα-1,2結合を含むグルカン組成物を含有する食品/飲料に血糖増加成分が含まれている場合、食品/飲料が供給された哺乳動物中の血糖レベルの有意または急速な上昇は、そうした他の血糖増加成分に起因すると考えられる。
【0124】
本明細書の低速グルコース放出は、α-1,2結合(例えば、約10%未満のα-1,2分岐鎖)を含む本明細書の所定のグルカン組成物の経腸投与(摂取)後に、主として哺乳動物の腸内で起こると考えられる。低速グルコース放出は、典型的には血糖の急激な上昇を引き起こさない。スクロースおよび他の形態の易消化性グルコース含有炭水化物(例えば、遊離グルコース)と比較して、本明細書の低速グルコース放出グルカンの利点は、それが、哺乳動物によって緩徐に、且つ着実に消化されることである。本明細書の低速グルコース放出グルカンは、カロリーとして利用可能な炭水化物である-つまり、消化可能且つ吸収可能であることを意味する(例えば、表35を参照、これは、サンプル105-3[本明細書の低速グルコース放出グルカンの一例]の摂取によって、遊離グルコース摂取からのAUC値とほぼ等しいAUC値が得られたことを示す)-が、その摂取は、遊離グルコースの摂取と比較して、低速且つ持続的なグルコースの放出をもたらす(例えば、表35を参照、これは、サンプル105-3の摂取が、1時間後に334mg/dLの最大血糖濃度をもたらすのに対し、遊離グルコース接種は、20分後に401mg/dLの最大値をもたらすことを示す)。したがって、本明細書の低速グルコース放出グルカンは、典型的に、哺乳動物による摂取後、易消化性グルコース含有炭水化物から得られるものと同じか、もしくは同様の総グルコース(例えば、摂取から2~2.5時間にわたって放出される総グルコース)放出をもたらす(例えば、同量の低速グルコース放出グルカンまたは易消化性グルコース含有炭水化物が摂取された場合)。しかし、哺乳動物による摂取後(例えば、摂取から0.25~2.5時間以内に測定して)、本明細書の低速グルコース放出グルカンは、以下:(i)易消化性グルコース含有炭水化物によって誘導されたピークよりも低い血糖ピーク(例えば、少なくとも10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、25%、10~25%、10~20%、10~15%、15~25%、もしくは15~20%低い)、および/または(ii)易消化性グルコース含有炭水化物と比較して持続的な血糖曲線をもたらす。(i)および/または(ii)の結果は、例えば、同量もしくは同等量の低速グルコース放出グルカンまたは易消化性グルコース含有炭水化物が摂取されたときに、観察することができる。哺乳動物におけるグルコース放出のレベルは、例えば、血糖レベルを測定することにより決定することができる。
【0125】
本明細書の低速グルコース放出グルカンからのグルコースの緩徐な消化および吸収は、その摂取後の低血中グルコース反応(低血糖反応)に寄与する。こうした低血糖反応が、今度はインスリンの低放出をもたらすと考えられる。低血糖反応は、欧州食品安全機関(European Food Safety Authority)によって生理学的に有益な効果であるとみなされている。長期の場合、不必要に高い濃度の血糖を低下させる炭水化物を含有する規定食、したがって、より低いインスリンの需要(恐らく、本明細書の低グルコース放出グルカンなど)が、糖尿病、心血管疾患、および多分に肥満の予防および管理を支持する。さらに、低速放出炭水化物は、限定的な炭水化物源の最適使用が有利となり得る場合の身体耐久活性において有益となる。炭水化物および脳へのそれらのグルコース供給は、認識能力および情緒において中心的役割を果たす。そのため、着実且つ持続的なグルコース供給は、記憶力および情緒において役割を果たし得る。
【0126】
したがって、本明細書には、哺乳動物に物質(例えば、食品、飲料、補助食品、または医薬品)を経腸投与(例えば、摂取)する方法がさらに開示され、ここで、物質は、α-1,2結合を含むグルカン組成物を含み、投与により、哺乳動物において、グルカン組成物を含まないが、同量の易消化性グルコース含有炭水化物を含有する物質が経腸投与された哺乳動物と比べて(例えば、1gのグルカン組成物が使用された場合、1gの易消化性グルコース含有炭水化物と比較)、少ないか、または緩徐な血糖上昇がもたらされ、グルカン組成物は、本明細書に記載の任意の分岐法または反応によって生成される。経腸投与は、例えば、自己投与(例えば、薬剤の摂食、飲用、服用などの任意の摂取形態)または非自己投与(例えば、強制経口投与、栄養管などの供給装置)によるものであってよい。
【0127】
したがって、本明細書には、摂取可能な製品(例えば、食品または飲料)を製造する方法も開示され、この方法は、α-1,2結合を含むグルカン組成物を摂取可能な製品に組み込むステップを含み、ここで、これによって得られる摂取可能な製品のグリセミック指数は、グルカン組成物を含まない摂取可能な製品と比べて、増加しないか、またはわずかにしか増加せず、グルカン組成物は、本明細書に記載の任意の分岐法または反応によって生成される。
【0128】
本明細書で製造されたα-1,2-分岐状グルカン組成物を含む組成物
本明細書に開示されるα-1,2-分岐状グルカンを含む組成物は、所定の実施形態では、水性組成物であってよい。
【0129】
α-1,2-分岐状グルカンを含む水性組成物は、一部の態様では、約、または少なくとも約3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、もしくは50cP(センチポアズ)の粘度を有することができると考えられる。粘度は、例えば、約3℃~約110℃(または3~110℃の間の任意の整数)の任意の温度で、水性組成物について測定することができる。粘度は、大気圧(約760torr)またはそれより高いもしくは低い好適な圧力で測定するこができる。
【0130】
本明細書の水性組成物のpHは、例えば、約2.0~約12.0の間であってよい。または、pHは、例えば、約2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0;もしくは5.0~約12.0の間;または約4.0~8.0の間;または約5.0~8.0の間であってよい。
【0131】
本明細書の水性組成物は、少なくとも約10重量%の水を有する溶媒を含むことができる。他の実施形態では、溶媒は、例えば、少なくとも約20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100重量%(または10~100重量%の間のいずれかの整数)の水である。
【0132】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンは、例えば、約または少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89,重量%もしくは90重量%で水性組成物中に存在することができる。
【0133】
本明細書の水性組成物は、一般的に、α-1,2-分岐状グルカンに加えて他の成分を含むことができる。例えば、水性組成物は、例えばナトリウム塩(例えば、NaCl)などの1つ以上の塩を含むことができる。塩の他の非限定的例には、(i)アルミニウム、アンモニウム、バリウム、カルシウム、クロム(IIもしくはIII)、銅(IもしくはII)、鉄(IIもしくはIII)、水素、鉛(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(IIもしくはIII)、水銀(IもしくはII)、カリウム、銀、ストロンチウムナトリウム、スズ(IIもしくはIV)または亜鉛カチオンおよび(ii)酢酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、臭化物、炭酸塩、塩素酸塩、塩化物、亜塩素酸塩、クロム酸塩、シアナミド、シアン化物、重クロム酸塩、リン酸二水素、フェリシアン化物、フェロシアン化第二鉄、フッ化物、炭酸水素、リン酸水素、硫酸水素、硫化水素、亜硫酸水素、水素化物、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、窒化物、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、過酸化物、リン酸塩、リン化物、亜リン酸塩、ケイ酸塩、スズ酸塩、亜スズ酸塩、硫酸塩、硫化物、亜硫酸塩、酒石酸塩もしくはチオシアン酸塩アニオンが含まれる。したがって、例えば、上記の(i)からのカチオンおよび上記の(ii)からのアニオンを有する任意の塩が水性組成物中に存在してよい。塩は、例えば、約0.01~約10.00(もしくは0.01~10.00の間のいずれかの100分の1増分)の重量%で本明細書の水性組成物中に存在してよい。
【0134】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを含む組成物は、一部の態様において、非水性(例えば、乾燥組成物)であってよい。こうした実施形態の例として、粉末、顆粒、マイクロカプセル、フレーク、または他の粒子状物質の形態が挙げられる。他の例としては、ペレット、バー、粒、ビーズ、錠剤、スティック、またはその他の凝集体などのより大きな組成物がある。本明細書の非水性または乾燥組成物は、典型的に、組成物中に3、2、1、0.5、または0.1重量%未満の水分を含む。非水性または乾燥組成物中の本明細書のα-1,2-分岐状グルカンの量は、例えば、約、または少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.5、もしくは99.9重量%であってよい。
【0135】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを含む組成物は、任意選択的に1つ以上の活性酵素を含有することができる。好適な酵素の非限定的例には、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、脂肪分解酵素(例えば、金属脂肪分解酵素)、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ(例えば、アリールエステラーゼ、ポリエステラーゼ)、ペルヒドロラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ(例えば、コリンオキシダーゼ)、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、メラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、メタロプロテイナーゼ、アマドリアーゼ、グルコアミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、フィターゼ、イソメラーゼ、トランスフェラーゼおよびアミラーゼが含まれる。酵素が含まれる場合、酵素は、例えば、約0.0001~0.1重量%(例えば、0.01~0.03重量%)の活性酵素(例えば、純粋酵素タンパク質として計算された)で本明細書の組成物中に含まれてよい。
【0136】
本組成物中には、少なくとも1つ、2つまたはそれ以上のセルラーゼを含むことができる。本明細書のセルラーゼは、エンドセルラーゼ活性(EC3.2.1.4)、エキソセルラーゼ活性(EC3.2.1.91)もしくはセロビアーゼ活性(EC3.2.1.21)を有することができる。本明細書のセルラーゼは、セルラーゼ活性を維持するための好適な条件下で活性を有する「活性セルラーゼ」である;そのような好適な条件を決定することは、当技術分野の技術の範囲内に含まれる。
【0137】
本明細書のセルラーゼは、例えば細菌もしくは真菌などの任意の微生物起源由来の可能性がある。化学修飾されたセルラーゼもしくはタンパク質組換え技術により作成された突然変異体セルラーゼが含まれる。好適なセルラーゼには、バシラス(Bacillus)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、フミコラ(Humicola)属、フザリウム(Fusarium)属、チエラビア(Thielavia)属およびアクレモニウム(Acremonium)属が含まれるが、それらに限定されない。他の例として、セルラーゼは、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、マイセリオフソラ・サーモフィラもしくはフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)および参照により本明細書に全部が組み込まれる米国特許第4435307号明細書、同第5648263号明細書、同第5691178号明細書、同第5776757号明細書および同第7604974号明細書に開示されている他のセルラーゼに由来してよい。典型的なトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)セルラーゼは、それらの全部が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4689297号明細書、同第5814501号明細書、同第5324649号明細書および国際公開第92/06221号パンフレットおよび国際公開第92/06165号パンフレットに開示されている。典型的なバシラス(Bacillus)属セルラーゼは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6562612号明細書に開示されている。セルラーゼ、例えば上記のいずれかなどのセルラーゼは、好ましくはN末端シグナルペプチドが欠如する成熟形にある。本明細書において有用な市販で入手できるセルラーゼにはCELLUZYME(登録商標)および CAREZYME(登録商標)(Novozymes A/S);CLAZINASE(登録商標)および PURADAX(登録商標)HA (DuPont Industrial Biosciences)、および KAC-500(B)(登録商標)(Kao Corporation)が含まれる。
【0138】
1つ以上のセルラーゼは、本明細書に開示した組成物を調製する場合に1つの成分として直接的に加えることができる。または、1つ以上のセルラーゼは、本明細書に開示した組成物中で間接的に(意図せずに)提供される可能性がある。例えば、セルラーゼは、組成物を調製するために使用される非セルラーゼ酵素調製物中に存在することによって本明細書の組成物中で提供することができる。その中でセルラーゼがそれに間接的に提供される組成物中のセルラーゼは、例えば、約0.1~10ppb(例えば、1ppm未満)で存在することができる。
【0139】
所定の実施形態におけるセルラーゼは、熱安定性であってよい。セルラーゼ熱安定性は、ある時間(例えば、約30~60分間)にわたり高温(例えば、約60~70℃)へ曝露させた後にこの酵素が活性を保持する能力を意味する。セルラーゼの熱安定性は、その時間中に規定条件下でセルラーゼ活性の半分が失われる分間、時間もしくは日間で与えられるその半減期(t1/2)によって測定できる。
【0140】
所定の実施形態におけるセルラーゼは、広範囲のpH値(例えば、約7.0~約11.0などの中性もしくはアルカリ性pH)まで安定性である可能性がある。そのような酵素は、そのようなpH条件下で規定時間(例えば、少なくとも約15分間、30分間もしくは1時間)にわたり安定性を保持できる。
【0141】
その中で織物が処理される水性組成物中のセルラーゼの有効濃度は、当業者であれば容易に決定できる。織物ケア加工では、セルラーゼはその中で織物が少なくとも約0.01~0.1ppmの全セルラーゼタンパク質、または約0.1~10ppbの全セルラーゼタンパク質(例えば、1ppm未満)~最大約100、200、500、1,000、2,000、3,000、4,000もしくは5,000ppmの全セルラーゼタンパク質の濃度で処理される水性組成物(例えば、洗浄液)中に存在してよい。
【0142】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを含む組成物は、例えば、以下に記載した製品のいずれかなどの住居用ケア製品、パーソナルケア製品、工業製品、医薬製品、もしくは食料製品の形態であっても、および/またはそれらに含まれてもよい。これらの組成物のいずれも、例えば、水性組成物であってよい。
【0143】
本明細書のパーソナルケア製品には、特別には限定はされないが、例えば、スキンケア組成物、化粧品組成物、抗真菌組成物および抗菌組成物が含まれる。本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、ローション、クリーム、ペースト、鉱油、軟膏、ポマード、ジェル、リキッドこれらの組み合わせなどの形態にあってよい。本明細書に開示したパーソナルケア製品は、所望であれば、少なくとも1つの有効成分を含むことができる。有効成分は、一般に、意図された薬理学的効果を誘発する成分であると認識されている。本明細書のパーソナルケア製品は、所定の実施形態では、パーソナルケア洗浄用途に使用することができる。
【0144】
スキンケア製品は、典型的には、化粧効果を提供しながら、皮膚の病気を治療もしくは予防するため、または皮膚に保湿効果を提供するための少なくとも1つの有効成分、例えば、酸化亜鉛、ワセリン、白色ワセリン、鉱油、タラ肝油、ラノリン、ジメチコン、硬質脂肪、ビタミンA、アラントイン、カラミン、カオリン、グリセリンもしくはコロイド状オートミールおよびこれらの組み合わせを含むことができる。スキンケア製品は、1つ以上の天然保湿要素、例えば、セラミド、ヒアルロン酸、グリセリン、スクアラン、アミノ酸、コレステロール、脂肪酸、トリグリセリド、リン脂質、グリコスフィンゴ脂質、尿素、リノール酸、グリコサミノグリカン、ムコ多糖、乳酸ナトリウムもしくはピロリドンカルボン酸ナトリウムが含むことができる。スキンケア製品に含むことのできる他の成分には、制限なく、グリセリド、杏仁油、キャノーラ油、スクアラン、スクアレン、ココナツ油、コーン油、ホホバ油、ホホバワックス、レシチン、オリーブ油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、大豆油、甘扁桃油、ヒマワリ油、ティーツリー油、シアバター、パーム油、コレステロール、コレステロールエステル、ワックスエステル、脂肪酸およびオレンジ油が含まれる。
【0145】
本明細書のパーソナルケア製品は、例えば、さらにメーキャップ、リップスティック、マスカラ、ルージュ、ファンデーション、ブラシ、アイライナー、リップライナー、リップグロス、他の化粧品、サンスクリーン、サンブロック、マニキュア液、ネイルコンディショナー、バスジェル、シャワージェル、ボディソープ、洗顔料、リップバーム、スキンコンディショナー、コールドクリーム、保湿剤、ボディースプレー、石鹸、ボディスクラブ、スクラブ剤、収れん剤、スクラッフィングローション、脱毛剤、パーマネント液、ふけ防止製剤、制汗組成物、デオドラント、シェービング製品、プレシェーブ製品、アフターシェーブ製品、クレンジング剤、スキンジェル、リンス、歯磨き組成物、練り歯磨きもしくはマウスウォッシュの形態にあってもよい。
【0146】
一部の態様におけるパーソナルケア製品は、ヘアケア製品であってよい。本明細書のヘアケア製品の例には、シャンプー、ヘアコンディショナー(リーブインもしくはリンスアウト)、クリームリンス、ヘアダイ、ヘアカラーリング製品、ヘアシャイン製品、ヘアセラム、毛髪縮れ防止製品、毛髪枝毛修復製品、ムース、ヘアスプレーおよびスタイリングジェルが含まれる。ヘアケア製品は、一部の実施形態では、リキッド、ペースト、ジェル、固体もしくはパウダーの形態にあってよい。本明細書に開示したヘアケア製品は、典型的には、ヘアケア製品を調製するために一般に使用される下記の成分;アニオン性界面活性剤、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム;カチオン性界面活性剤、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムおよび/または塩化ジステアリルトリメチルアンモニウム;非イオン性界面活性剤、例えばグリセリルモノステレアレート、ソルビタンモノパルミテートおよび/またはポリオキシエチレンセチルエーテル;湿潤剤、例えばプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール、ピログルタミン酸塩、アミノ酸および/またはトリメチルグリシン;炭化水素、例えば液体パラフィン、ペトロラタム、固形パラフィン、スクアランおよび/またはオレフィンオリゴマー;高級アルコール、例えばステアリルアルコールおよび/またはセチルアルコール;過脂肪剤;ふけ防止剤;消毒剤;抗炎症剤;生薬;水様性ポリマー、例えばメチルセルロース、ヒドロキシセルロースおよび/または部分脱アセチル化キチン;防腐剤、例えばパラベン;紫外線吸収剤;パール化剤;pH調整剤;香水および顔料の内の1つ以上を含む。
【0147】
本明細書の医薬製品は、例えば、エマルジョン剤、リキッド剤、エリキシル剤、ジェル剤、懸濁剤、液剤、クリーム剤もしくは軟膏剤の形態にあってよい。さらに、本明細書の医薬製品は、本明細書に開示したパーソナルケア製品のいずれかの形態、例えば抗菌もしくは抗真菌組成物の形態にあってよい。医薬製品は、医薬上許容される担体、希釈剤および/または医薬上許容される塩の内の1つ以上をさらに含むことができる。本明細書に開示したα-1,2-分岐状グルカンは、さらにカプセル剤、カプセル材、錠剤コーティングおよび医薬および薬剤用の賦形剤中に使用することもできる。
【0148】
本明細書の家庭用ケアおよび/または工業製品は、例えば、ドライウォールテープ接合化合物;モルタル;グラウト;セメントプラスター;スプレープラスター;セメントスタッコ;接着剤;ペースト;壁/天井結着剤;テープキャスティング、押出成形、射出成形および陶磁器用の結合剤および加工助剤;殺虫剤、除草剤および肥料用のスプレー接着剤および懸濁化/分散助剤;織物ケア剤、例えば織物柔軟剤および洗濯用洗剤;食器用洗剤;硬質表面洗浄剤;空気清浄剤;ポリマーエマルジョン;ゲル剤、例えば水性ゲル;界面活性剤溶液;塗料、例えば水性塗料;保護コーティング;接着剤;シーラントおよびコーキング剤;インク類、例えば水性インク;金属工作液;または電気めっき、リン酸塩処理、亜鉛めっきおよび/または一般金属洗浄作業におけるエマルジョンベースの金属洗浄液の形態にあってよい。本明細書の住居用ケア製品または工業製品は、所定の実施形態では、洗浄用途に使用することができ、したがって、例えば、洗剤組成物中に含有させることができる。
【0149】
本明細書に開示するα-1,2-分岐状グルカンは、パーソナルケア製品、医薬製品、住居用ケア製品、工業製品、もしくは食料製品に下記の物理的特性の1つまたは複数を賦与する上で有用であると考えられる:例えば、グリセミック指数の改変、食物繊維、増粘、凍結/解凍安定性、潤滑性、水分保持および放出、質感、稠密性、形状維持、乳化作用、結合、懸濁、分散、ゲル化、低ミネラル硬度。製品中のα-1,2-分岐状グルカンの濃度または量の例は、例えば、上に挙げた重量パーセンテージのいずれであってもよい。
【0150】
本明細書に開示するα-1,2-分岐状グルカンは、食料製品および/または本明細書の他の摂取可能な製品(例えば、栄養補助食品、医薬品)での使用に好適な1もしくは複数種の別の物質と一緒に配合する(例えば、ブレンド、混合、組み込む)ことができる。任意選択的に、本明細書のα-1,2-分岐状グルカンは、本明細書に開示する任意の食品または他の摂取可能な製品を調製および/または改変するのに使用するためのシロップとして提供することもできる。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書のα-1,2-分岐状グルカンは、下記の少なくとも1つと一緒に製品に含有させることができる:単糖、二糖、グルコース、スクロース、フルクトース、ロイクロース、コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、異性化糖、マルトース、トレハロース、パノース、ラフィノース、セロビオース、イソマルトース、ハチミツ、メープルシュガー、果実由来甘味料、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクトース、ニゲロース、コージビオース、キシリトール、エリスリトール、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α-グリコシルステビオシド、アセスルファムカリウム、アリテーム、ネオテーム、グリシルリジン、ソーマチン、スクラロース、L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル、サッカリン、マルトデキストリン、デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、デキストラン、可溶性トウモロコシ繊維、難消化性マルトデキストリン、分岐状マルトデキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、フルクト-オリゴ糖、ガラクト-オリゴ糖、キシロ-オリゴ糖、アラビノキシロ-オリゴ糖、ニゲロ-オリゴ糖、ゲンチオ-オリゴ糖、ヘミセルロース、フルクトースオリゴマーシロップ、イソマルト-オリゴ糖、充填剤、賦形剤、および結合剤。
【0152】
所定の実施形態では、摂取可能な製品は、乾燥固体率で0.01~99重量%、0.1~90重量%、1~90重量%、または5~80重量%の本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを含む。
【0153】
用語「食品」は、ヒトによる消費ならびに動物(例えば、哺乳動物)による消費のための食品を包含することが意図される。「機能性食品」とは、補給栄養の基本的栄養機能を超える、健康増進および/または疾患予防および/または疾患(リスク)軽減特性を有することが主張されるあらゆる生鮮または加工食品を意味する。機能性食品は、例えば、加工食品または健康増進添加剤で強化された食品を含み得る。機能性食品の例として、ビタミン強化食品、または生きた培養菌を含む発酵食品がある。
【0154】
本明細書の摂取可能な製品に含有させることができる他の成分は、とりわけ、水または他の水溶液、脂肪、糖、デンプン、結合剤、増粘剤、着色料、フレーバラント、着香料、酸味料(なかでも、例えば乳酸もしくはリンゴ酸)、安定剤、高甘味度甘味料、および/またはミネラルである。
【0155】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカン生成物は、本明細書に開示する食品実施形態のいずれかとして提供してもよい。所望の効果に応じて、(i)食物繊維性質を有するα-1,2-分岐状グルカンおよび/または(ii)低グリセミック指数を有するα-1,2-分岐状グルカンを適宜使用してよい。
【0156】
好適な食品の例として、パン、朝食用シリアル、ビスケット、ケーキ、クッキー、クラッカー、ヨーグルト、ケフィア、味噌、納豆、テンペ、キムチ、サワークラウト、水、牛乳、果物ジュース、野菜ジュース、炭酸ソフトドリンク、非炭酸ソフトドリンク、コーヒー、茶、ビール、ワイン、リカー、アルコール飲料、スナック菓子、スープ、冷菓、揚げ物、ピザ、パスタ製品、ジャガイモ製品、コメ製品、トウモロコシ製品、コムギ製品、乳製品、ハードキャンディー、栄養バー、シリアル、パン生地、加工肉およびチーズ、ヨーグルト、アイスクリーム、乳飲料、サラダドレッシング、ソース、トッピング、デザート、菓子製品、シリアルスナックバー、惣菜などが挙げられる。
【0157】
所定の実施形態では、本明細書の摂食可能な製品は、少なくとも1つの食物繊維供給源を含んでもよい。本明細書のα-1,2-分岐状グルカンが食物繊維そのもの(例えば、一部の事例では、約15~45%の1,2-分岐鎖を有するグルカン)である態様では、そうしたグルカンは、唯一の繊維供給源であってもよいし、またはそれ以外に1つまたは複数の他の繊維供給源があってもよい。本明細書の好適な食物繊維としては、難消化性/分岐マルトデキストリン/繊維デキストリン(例えば、Roquette Freres,Lestrem,France製のNUTRIOSE(登録商標);ADM-Matsutani LLC,Decatur,Illinois製のFIBERSOL-2(登録商標))、ポリデキストロース(例えば、Danisco-DuPont Nutrition & Health,Wilmington,DE製のLITESSE(登録商標)またはLITESSE(登録商標)ULTRA)、可溶性トウモロコシ繊維(例えば、Tate & Lyle,London,UK製のPROMITOR(登録商標)、イソマルト-オリゴ糖(IMO)、アルテルナンおよび/またはマルト-アルテルナンオリゴ糖(MAO)(例えば、Aevotis GmbH,Potsdam,Germany製のFIBERMALT(商標);Cargill Inc.,Minneapolis,MN製のSUCROMALT(商標))、プルラン、難消化性デンプン、イヌリン、フルクト-オリゴ糖(FOS)、ガラクト-オリゴ糖(GOS)、キシロ-オリゴ糖、アラビノキシロ-オリゴ糖、ニゲロ-オリゴ糖、ゲンチオ-オリゴ糖、ヘミセルロースおよびフルクトースオリゴマーシロップなどのオリゴ-または多糖類が挙げられる。
【0158】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンは、例えば、通常の炭水化物の代替または補充物として食品に添加することができる。
【0159】
所定の実施形態では、本明細書の摂食可能な製品は、少なくとも1種の人工甘味料を含んでもよく、そうしたものとして、限定されないが、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書の摂食可能な製品は、少なくとも1種の代替糖、例えば、ブラゼイン、クルクリン、エリスリトール、グリセロール、グリシルリジン、加水分解水添デンプン、イヌリン、イソマルト、ラクチトール、マビンリン、マルチトール、マルト-オリゴ糖、マルト-アルテルナンオリゴ糖(例えば、XTEND(登録商標)SUCROMALT(商標)、Cargill Inc.,Minneapolis,MNから入手可能)、マンニトール、ミラクリン、モグロシドミックス、モナチン、モネリン、オスラジン、ペンタジン、ソルビトール、ステビア、タガトース、ソーマチン、キシリトール、およびこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0160】
所定の実施形態では、本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを含有する食料製品は、通常の炭水化物(例えば、易消化性グルコース含有炭水化物)が用いられている類似の食料製品と比較して(例えば、同量または同等量を使用したとき)、低い(例えば、少なくとも約5%、10%、15%、20%、もしくは25%低い)血糖反応、グリセミック指数、および/またはグリセミック負荷を有する。さらに、一部の態様のα-1,2-分岐状グルカンは、ヒトの胃および/または小腸内で低い消化性を有するか、または消化性がないことを特徴とするため、食料製品のカロリー含有率は、減少する(前述の比較後)。α-1,2-分岐状グルカンは、カロリー含有率を下げるために、食品の栄養プロフィールを増強するために、および/または脂肪の部分的代替品として、単独で、または糖アルコールもしくはマルトデキストリンなどの増量剤と組み合わせて食料製品に使用することができる。
【0161】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンは、食肉軟化剤もしくは調質剤として、新鮮な食感を高める、見た目を改善する、および/または生地、練り物、もしくはその他の食品組成物の粘弾性を改善するために、食料製品に使用され得ることが考慮される。また、湿潤剤として、製品貯蔵寿命を延ばすために、より柔らかく、しっとりした食感を生み出すために、水活性を低減するために、および/または水を固定化し、管理するために、グルカンを食料製品に用いることも考慮される。グルカンのさらに別の用途としては、卵液の代替、および/または食料製品の表面光沢の増強、小麦粉デンプン糊化温度の改変、製品の質感の改良、ならびに製品の褐色化の増強などが挙げられる。
【0162】
α-1,2-分岐状グルカンは、多種多様な食料製品に使用することができる。本発明のグルカンが有用となり得る食料製品の種類の1つは、例えば、ケーキ、ブラウニー、クッキー、クッキークリスプ、マフィン、パン、および菓子パンなどのベーカリー製品(焼成食品)である。ベーカリー製品には2つの主要なカテゴリー:イーストで膨らませるものと、化学的発酵によるものがある。ドーナツ、菓子パン、およびパンなどのイースト菌で膨らませる製品の場合、本明細書のグルカンを砂糖の代わりに使用することができるが、イースト菌の発酵基質または外皮褐色化の必要性のために少量の砂糖が要望される場合もある。例えば、シロップ中のα-1,2-分岐状グルカンは、繊維を含有しないシロップまたは液体甘味料の直接代替品として他の液体に添加することができる。次に、混合、発酵、分割、形成またはローフ型もしくは様々な型への押出し、発酵(proofed)、および焼成またはフライなどをはじめとする、焼成産業で一般に使用される条件下で生地を加工する。伝統的な製品と同様の条件を用いて製品を焼成またはフライすることができる。パンは、一般に、420°F~520°F(216~271℃)の温度で20~23分間焼成し、ドーナツは、400°F~415°F(204~213℃)の温度で揚げることができるが、これ以外の温度および時間を使用することもできる。
【0163】
化学的発酵製品は、典型的に、より多量の糖を含むため、本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを含む、より高レベルの炭水化物組成物および/または食用シロップを含有させ得る。完成クッキーは、30%の糖を含有するが、これに完全または部分的に代わって、本発明のグルカン組成物を含む炭水化物組成物および/またはシロップを使用することができる。これらの製品は、例えば、4~9.5のpHを有し得る。水分は、例えば、2~40%であってよい。
【0164】
本明細書のグルカン組成物(例えば、シロップ中の)は、容易に組み込むことができ、クリーム形成ステップ中の混合開始時の脂肪に、またはいずれか類似の方法において、代用しようとするシロップもしくは乾燥甘味料に添加してよい。生成物を混合した後、例えば、シート形成、ロータリー切断、ワイヤー切断、または別の形成法によって形成する。次に、製品を典型的な焼成条件、例えば200~450°F(93~232℃)の温度で焼成する。
【0165】
本明細書のグルカン(例えば、シロップ中の)を使用することができる別の種類の食料製品は、朝食シリアルである。例えば、押出しシリアル片および/またはこれらのシリアル片外側のコーティング中の糖の全部もしくは一部の代わりに、グルカン含有シロップを使用することができる。コーティングは、典型的に、完成シリアル片の総重量の30~60%である。シロップは、例えば、スプレーで塗布するか、または垂らすことができる。
【0166】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを使用することができる別の種類の食料製品は、乳製品である。好適な乳製品の例として、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、乳飲料、フレーバーミルク、スムージー、アイスクリーム、シェーク、カッテージチーズ、カッテージチーズドレッシング、ならびにクアルグ(quarg)およびホイップムースタイプ製品などの乳製デザートが挙げられる。これは、直接消費されることが意図される乳製品(例えば、包装されたスムージーなど)ならびに他の成分とブレンドすることが意図されるもの(例えば、ブレンドスムージーなど)を含む。これは、160°F~285°F(71~141℃)で低温殺菌されたものなど、低温殺菌乳製品に使用することができる。
【0167】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカン組成物を使用することができる別の種類の食料製品は、菓子類である。好適な菓子類の例として、キャンディー、フォンダン、ヌガーおよびマシュマロ、ゼラチンゼリーキャンディーもしくはグミ、ゼリー、チョコレート、リコリス菓子、チューインガム、キャラメルおよびトフィー、砂糖菓子、ミント、タブレット状の菓子類、および果実スナックが挙げられる。果実スナックの場合、本明細書のグルカンを含む組成物は、果実ジュースと組み合わせて使用することができる。果実ジュースは、大部分の甘味を賦与し、グルカンを含む組成物は、糖の総含量を減らし、場合によっては繊維の添加も可能である。本明細書のα-グルカンを含む組成物は、初期キャンディースラリーに添加し、最終固形分まで加熱することができる。スラリーを200~305°F(93~152℃)に加熱することにより、最終固形分を達成することができる。加熱の前または後に酸を添加して、2~7の最終pHを付与することができる。グルカンを含む組成物は、糖の0~100%およびコーンシロップまたは存在する他の甘味料の1~100%の代替品として使用することができる。
【0168】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを使用することができる別の種類の食料製品は、ジャムおよびゼリーである。ジャムおよびゼリーは、果実から製造され;ジャムは、果実片を含むのに対し、ゼリーは、果実ジュースから製造される。本発明のグルカンを含む組成物は、次のように糖または他の甘味料の代わりに使用することができる:果実およびジュースを計量してタンクに導入し;糖、α-グルカン含有組成物およびペクチンを予め混合し;乾燥組成物を液体に添加し、214~220°F(101~104℃)の温度まで加熱し;ジャーに高温充填してから、5~30分間加熱殺菌する。
【0169】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを使用することができる別の種類の食料製品は、飲料である。好適な飲料の例として、炭酸飲料、果実ジュース、濃縮ジュースミックス(例えば、マルガリータミックス)、浄水、および飲料用ドライミックスが挙げられる。本明細書のα-1,2-分岐状グルカン食物繊維を使用すれば、他のタイプの繊維を飲料に添加したときに起こる透明度の問題を解決し得る。糖の完全な代替も可能である(例えば、総配合の12%以上まで可能)。
【0170】
別の好適な種類の食料製品は、高固形分フィリングである。高固形分フィリングの例として、スナックバー、トースターペストリー、ドーナッツ、およびクッキーのフィリングが挙げられる。高固形分フィリングは、例えば、酸/果実フィリングまたは風味フィリングであってよい。本明細書のα-1,2-分岐状グルカンは、消費される製品、またはフードプロセッサー(追加焼成)により、もしくは消費者によって(安定なフィリングの焼成)、さらなる加工に付される製品に添加することができる。所定の実施形態では、高固形分フィリングは、67~90%の固形物濃度を有し得る。固形物は、α-グルカンを含む組成物で完全に代替してもよいし、または存在する他の甘味料固形物の一部に代わって(例えば、既存の固形物の5~100%に代わって)使用してもよい。典型的に、果実フィリングは、2~6のpHを有するが、風味フィリングは、4~8のpHを有する。フィリングは、低温で調製してもよいし、または最大250°F(121℃)に加熱して、所望の最終固形分まで蒸発させることもできる。
【0171】
本明細書のグルカンを含むことができる別の種類の食料製品は、押出および薄片状スナックによって代表される。押出および薄片状スナックとして、パフスナック、クラッカー、トルティーヤチップ、およびコーンチップが挙げられる。押出片を調製する場合、本発明のグルカンを含む組成物を乾燥製品と一緒に直接添加する。押出機に少量の水を添加した後、100°F~300°F(38~149℃)の範囲の様々なゾーンを通過させる。乾燥した製品は、乾燥製品混合物の0~50%のレベルで添加することができる。グルカンを含むシロップ組成物も押出機に沿った液体注入口の1つから添加することができる。製品は、低水分(5%)で取り出した後に焼成して余分な水分を除去するか、またはやや高い水分(10%)で取り出した後に揚げて水分を除去し、製品の調理を完了する。焼成は、最大500°F(260℃)で20分間行うことができる。焼成は、より典型的には350°F(177℃)で10分間行う。フライは、典型的に、350°F(177℃)で2~5分間行う。薄片状スナックの場合、グルカンを他の乾燥材料(例えば、小麦粉)の部分的な代替品として使用することができる。グルカンは、乾燥重量の0~50%であってよい。製品は、乾燥混合した後、水を添加して、粘着性の生地を形成する。製品ミックスは5~8のpHを有し得る。続いて生地をシート状にし、切断した後、焼成するか、またはフライする。焼成は、最大500°F(260℃)で20分間行うことができる。フライは、典型的に、350°F(177℃)で2~5分間行う。グルカンを含む組成物の使用によるもう1つの利点は、それを内部材料として、または揚げた食品の外側のコーティングとして添加する場合、揚げたスナックの脂肪分を15%も低減することである。
【0172】
本明細書のグルカンを使用することができる別の種類の食料製品は、ゼラチンデザートである。ゼラチンデザートの材料は、ゲル化剤としてのゼラチンとのドライミックスとして販売されていることが多い。糖固形物の一部または全部をドライミックス中に本発明のグルカンを含む組成物で代用することができる。次に、ドライミックスを水と混合した後、212°F(100℃)まで加熱して、ゼラチンを溶解させてから、より多くの水および/または果実を添加して、ゼラチンデザートを完成することができる。続いて、ゼラチンを冷却させて硬化させる。また、ゼラチンは、常温安定性のパックに入れて販売することもできる。その場合、安定剤は通常、カラギーナンを基材とする。前述したように、α-グルカンを含む組成物は、他の甘味料固形物の最大100%に代わって使用することができる。乾燥材料を液体中で混合した後、低温殺菌してから、カップに入れて、冷却および硬化させる。
【0173】
本明細書のグルカンを含む組成物を用いることができる別の種類の食料製品は、スナックバーである。グルカンを使用することができるスナックバーの例として、朝食およびミールリプレイスメントバー、栄養バー、グラノーラバー、プロテインバー、およびシリアルバーが挙げられる。これは、高固形分フィリング、結合シロップまたは粒子部分などのスナックバーのあらゆる部分に使用することができる。結合シロップ中の糖の完全または部分的代用が可能である。結合シロップは、典型的に、50~90%固形物であり、10%結合シロップ:90%粒子~70%結合シロップ:30%粒子の範囲の比で適用する。結合シロップは、甘味料、増量剤およびその他の結合剤(デンプンなど)の溶液を160~230°F(71~110℃)(シロップ中に必要な最終固形物に応じて)に加熱することによって製造する。次に、シロップを粒子と混合して、粒子を被覆し、マトリックス全体にコーティングを施す。グルカンを含む組成物はまた、粒子自体に使用することもできる。これは、直接エキスパンドするか、またはガンパフ化した押出品であってよい。これは、別の穀粒材料、コーンミール、米粉または他の類似材料と組み合わせて使用することができる。
【0174】
本明細書のグルカンを含む組成物を用いることができる別の種類の食料製品は、チーズ、チーズソース、およびその他のチーズ製品である。これを用いることができるチーズ、チーズソース、およびその他のチーズ製品の例として、低乳固形分チーズ、低脂肪チーズ、および低カロリーチーズがある。ブロックチーズの場合、これは、融解特性を改善する、またはデンプンなどの他の成分によって付加される融解制限の作用を低減する上で役立つ。さらに、例えば増量剤として、これをチーズソースに使用して、脂肪、乳固形分、またはその他の典型的な増量剤を代替することもできる。
【0175】
本明細書のグルカンを用いることができる別の種類の食料製品は、食用および/または水溶性のフィルムである。これを用いることができるフィルムの例として、水に溶かすことが意図される多様な食品および飲料のドライミックスを包むために使用されるフィルム、または調理後まだ熱いうちに食品に添加されるスパイスフィルムなどの色彩もしくはフレーバーをもたらすために使用されるフィルムが挙げられる。他のフィルム用途として、限定されないが、フルーツおよびベジタブルレザー、ならびに他の柔軟フィルムが挙げられる。
【0176】
別の実施形態では、本明細書のグルカンを含む組成物は、スープ、シロップ、ソース、およびドレッシングに使用することができる。典型的なドレッシングは、0~50%油であってよく、2~7のpH範囲を有する。これは、低温加工または加熱加工することができる。これを混合した後、安定剤を添加する。グルカンを含む組成物は、必要に応じて他の材料と一緒に、液体または乾燥形態で容易に添加することができる。ドレッシング組成物は、安定剤を活性化するために、加熱を要する場合がある。典型的な加熱条件は、170~200°F(77~93℃)で1~30分間であろう。冷却後、油を添加して、プレエマルジョンを調製する。続いて、ホモジナイザー、コロイドミル、または他の高せん断法を用いて生成物を乳化する。ソースは、0~10%油および10~50%総固形分を有してよく、2~8のpHを有してよい。ソースは、低温加工または加熱加工することができる。材料を混合した後、加熱加工する。本明細書のグルカンは、必要に応じて他の材料と一緒に、液体または乾燥形態で容易に添加することができる。典型的な加熱は、170~200°F(77~93℃)で1~30分間であろう。スープは、より典型的には、20~50%固形分であり、より中性のpH範囲(4~8)にある。これらは、ドライミックスであってよく、それに、本明細書のグルカンを含む乾燥組成物を添加することができ、または缶詰した後に加熱殺菌される液体スープであってもよい。スープの場合、難消化性コーンシロップを50%固形分まで使用することができるが、より典型的な用途では、1回当たり5g繊維を送達する。
【0177】
本明細書のグルカンを用いることができる別の種類の食料製品は、コーヒークリームである。これを用いることができるコーヒークリームの例として、液体および乾燥クリームがある。乾燥ブレンドコーヒークリームは、下記タイプの脂肪:ダイズ、ココナッツ、パーム、ヒマワリ、もしくはキャノーラ油、またはバター脂の市販のクリーム粉末と一緒にブレンドすることができる。これらの脂肪は、非水素添加または水素添加のいずれであってもよい。グルカンを含む組成物は、任意選択的に、フルクト-オリゴ糖、ポリデキストロース、イヌリン、マルトデキストリン、難消化性デンプン、スクロース、および/または従来のコーンシロップ固形物と一緒に、繊維供給源として添加することができる。組成物は、さらに、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、またはこれらの組み合わせなどの高甘味度甘味料を含有してもよい。これらの材料を乾燥ブレンドして、所望の組成物を製造することができる。噴霧乾燥クリーム粉末は、脂肪、タンパク質および炭水化物、乳化剤、乳化塩、甘味料、および固化防止剤の組み合わせである。脂肪供給源は、ダイズ、ココナッツ、パーム、ヒマワリ、もしくはキャノーラ油、またはバター脂の1つまたは複数であってよい。タンパク質は、カゼインナトリウムもしくはカルシウム、乳タンパク質、乳清タンパク質、またはダイズタンパク質であってよい。炭水化物は、グルカンを単独で、またはフルクト-オリゴ糖、ポリデキストロース、イヌリン、難消化性デンプン、マルトデキストリン、スクロース、コーンシロップまたはこれらの任意の組み合わせと組み合わせて含む組成物である。乳化剤は、モノ-およびジグリセリド、アセチル化モノ-およびジグリセリド、またはプロピレングリコールモノエステルであってよい。塩は、クエン酸三ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸一カリウム、および/またはリン酸二カリウムであってよい。組成物はまた、前述したものなどの高甘味度甘味料を含有してもよい。好適な固化防止剤として、アルミノケイ酸ナトリウムまたは二酸化ケイ素が挙げられる。生成物をスラリー状で合わせ、任意選択的に均質化した後、顆粒状または凝集化形態のいずれかで噴霧乾燥する。液体コーヒークリームは、単純に、脂肪(乳脂肪もしくは水添植物油)、幾分の乳固形分もしくはカゼイン塩、コーンシロップ、およびバニラまたは他のフレーバー、ならびに安定化ブレンドの均質化され、低温殺菌されたエマルジョンである。生成物は通常、185°F(85℃)のHTST(高温短時間)により30秒間、または285°F(141℃)のUHT(超高温)により4秒間低温殺菌した後、第1段階:500~3000psi(3.45~20.7MPa)と第2段階:200~1000psi(1.38~6.89MPa)の二段階ホモジナイザーを用いて均質化する。コーヒークリームは通常、コーヒーに添加されたとき分解しないように安定化される。
【0178】
本明細書のグルカンを用いることができる(例えば、シロップとして)別の種類の食料製品は、アイシング、フロスティング、およびグレーズなどの食品コーティングである。アイシングおよびフロスティングの場合、カロリー含量を減じると共に、繊維含量を増加するために、甘味料代替品(完全または部分的)としてグルカンを使用することができる。グレーズは、典型的に、約70~90%が糖で、残りの大部分は水であり、糖の全部または一部に代わってグルカンを使用することができる。フロスティングは、典型的に、2~40%の液体/固体脂肪組み合わせ、約20~75%の甘味料固形物、着色料、フレーバー、および水を含有する。甘味料固形物の全部もしくは一部に代わって、または低脂肪系中の増量剤として、グルカンを使用することができる。
【0179】
本明細書のグルカンを用いることができる別の種類の食料製品は、乾燥またはモイストドッグフードなどのペットフードである。ペットフードは、押出、形成、およびグレービーとしての配合などの様々な方法で製造される。これらのタイプの各々で、グルカンを0~50%のレベルで使用することができる。
【0180】
本明細書のグルカンを用いることができる別の種類の食料製品は、魚および食肉である。一部の食肉には従来のコーンシロップがすでに使用されており、本明細書のグルカン含有シロップを部分的または完全な代替品として使用することができる。例えば、真空タンブリングまたは食肉への注射前の塩水にグルカンシロップを添加することができる。これは、塩およびリン酸塩と一緒に、ならびに任意選択的に、デンプン、カラギーナン、またはダイズタンパク質などの水結合成分と一緒に添加することができる。
【0181】
有益な生理学的特性
ガス生成
下部消化管内でのガス生成の速度が速いと、鼓腸および膨満などの消化管不快感が起こるが、ガス生成が漸進的且つ低度であれば、身体は、より容易に対処することができる。例えば、イヌリンは、同等用量の開示されるグルカンと比較すると、高速且つ高度のガス生成増大をもたらすことが可能であるのに対し、一部の実施形態において、開示されるグルカンは、同等用量のイヌリンのそれより低いガス放出速度を有する。
【0182】
一実施形態では、開示のグルカンを含有する食料製品の消費は、食品用途で十分に容認されるガス生成速度をもたらす。一実施形態では、ガス生成の相対速度は、同様の条件下で観測されたイヌリンの速度以下、例えば、同等用量のイヌリンと同じか、それより低い、またはイヌリンより低い、またはイヌリンよりはるかに低い。別の実施形態では、ガス形成の相対速度は、本明細書に記載する方法を用いて、3時間または24時間にわたって測定する。一部の実施形態では、ガス形成速度は、同じ反応条件下で観測されたイヌリンの速度より少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、または30%低い。
【0183】
短鎖脂肪酸生成
本明細書のグルカンの使用は、結腸内発酵による代謝物をもたらすエネルギーの生成を促進し得る。本明細書のグルカンの使用は、プロピオン酸塩および/または酪酸塩などの短鎖脂肪酸(SCFA)の生成を促進し得る。SCFAは、コレステロールを低下させることがわかっている。その結果、本明細書のグルカンは、高コレステロールを発生するリスクを軽減し得る。SCFAの生成または酢酸塩に対するSCFAの比の増加は、それを必要とする哺乳動物のコレステロールレベルの制御に有益であることから、開示のグルカン組成物は、心血管リスクの予防および/または治療のために栄養士および消費者にとって特に興味深いものとなり得る。したがって、別の態様では、本開示は、被験者の健康を改善する方法を提供し、これは、開示のグルカン組成物を含む組成物を被験者に、コレステロール関連疾患の治療などの、前記被験者の健康に有益な効果をもたらす上で有効な量で投与するステップを含む。さらに、一般に、SCFAは腸内のpHを低下させることがわかっており、これは、カルシウム吸収を助ける。したがって、本開示の化合物は、ミネラル吸収にも影響を与え得る。このことは、これらの化合物が、骨の健康も改善する、または腸内のSCFA増加によるpHの低下によって骨粗鬆症も予防もしくは治療し得ることを意味する。SCFAの生成は、小腸内の粘度を高め得るが、これは、胆汁酸の再吸収を抑制し;コレステロールからの胆汁酸の合成を高めると共に、循環低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを低減する。
【0184】
本明細書に定義する化合物または組成物の「有効量」は、血中コレステロールの低下、SCFA生成の増加または胃腸管疾患の予防もしくは治療などの所望の有益な生理学的効果を達成するために、必要な用量で、および必要期間にわたって、有効な量を意味する。例えば、被験者に投与される組成物の量は、被験者の状態、被験者の体重、被験者の年齢、ならびに組成物が唯一の栄養源であるか否かなどの要因に応じて変動し得る。有効量は、医師または栄養士により容易に設定され得る。一般に、1日最大50g;または例えば、1日約25g~約35gを被験者に供給するように、十分な組成物が投与される。一部の実施形態では、被験者が受ける開示のグルカン組成物の量は、1日0.1g~50gの範囲、または1日0.5g~20gの範囲、または1日1g~10gの範囲である。本明細書に定義される化合物または組成物は、例えば、全日にわたってもしくは短時間の間に1~5回の複数回用量で摂取されてもよいし、または1回用量で摂取されてもよい。本明細書に定義される化合物または組成物は、所望の期間にわたって連続的に供給してもよい。所定の実施形態では、要望される期間は、少なくとも1週間または少なくとも2週間または少なくとも3週間または少なくとも1ヵ月または少なくとも6ヵ月である。
【0185】
一部の実施形態では、本開示は、必要とする被験者に、本明細書に定義される化合物または組成物を投与することによって、必要とする被験者の血中トリグリセリドレベルを低下させる方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、必要とする被験者に、本明細書に定義される化合物または組成物を投与することによって、必要とする被験者の低密度リポタンパク質レベルを低下させる方法を提供する。別の実施形態では、本開示は、必要とする被験者に、本明細書に定義される化合物または組成物を投与することによって、必要とする被験者の高密度リポタンパク質レベルを増大する方法を提供する。
【0186】
食後血糖濃度/血糖反応の漸減
開示のグルカン組成物中のα-1,4骨格結合以外の結合の存在は、ヒト消化管の酵素が、そうした結合および/または分岐結合を加水分解する上で困難を有し得るため、改善された難消化性を提供する。分岐鎖の存在は、一部の実施形態のグルカンに部分的または完全な不消化をもたらし、これによって、身体中のグルコースの吸収がほぼなくなるか、遅くなるため、より低い血糖反応をもたらす。したがって、本開示は、より低い血糖反応をもたらす食品および飲料組成物を製造するためのグルカン組成物を提供する。例えば、これらの化合物を糖または他の易消化性炭水化物の代わりに使用することができ、これによって食品のグリセミック負荷を低下させ、食品のカロリーを低減し、および/またはエネルギー密度を低下させることができる。さらに、これらのタイプの結合を有する開示のグルカン組成物の安定性によって、それらは大腸の中へと容易に通過することができ、そこで、それらは、結腸内細菌叢に特異的な基質として役立ち得る。
【0187】
消化管の健康の改善
別の実施形態では、本明細書に開示する化合物は消化管の治療および/またはその健康の改善のために使用することができる。一部の実施形態では、グルカン組成物は、腸内細菌叢により消化管内で緩徐に発酵する。一部の実施形態では、本化合物は、イヌリンまたは他の市販の繊維、例えば、PROMITOR(登録商標)(可溶性トウモロコシ繊維、Tate & Lyle)、NUTRIOSE(登録商標)(可溶性トウモロコシ繊維もしくはデキストリン、Roquette)、またはFIBERSOL(登録商標)-2(難消化性マルトデキストリン、Archer Daniels Midland Company & Matsutani Chemical)ほど悪くない耐性を示し(インビトロ消化管モデル)(すなわち、ガス生成の類似レベル)、特に、1種または複数種の市販の繊維に対して改善された耐性を提供する。すなわち、本発明のグルカンの発酵は、3時間または24時間で、イヌリンより少ないガス生成をもたらすため、ガス形成による鼓腸および膨満などの不快感を軽減する。一態様では、本開示は、必要とする被験者に、本明細書に開示する化合物または組成物を投与することによって被験者の消化管内のガス形成を緩和し、その結果、鼓腸および膨満による消化管の痛みもしくは不快感を軽減する方法に関する。別の実施形態では、本明細書に開示する組成物は、食品の発酵に対する耐性の改善を被験者にもたらすが、ガス生成を低下することによって耐性を改善するために、イヌリンもしくはFOS、GOS、またはラクツロースなどの繊維と組み合わせてもよい。別の実施形態では、本明細書に開示する化合物を投与し、便の量を増やすことによって、便通を改善する、または規則性を改善することもできる。
【0188】
プレバイオティクスおよびプロバイオティクス
本明細書のグルカンは、以下に論じるように、プロバイオティクスと組み合わせて使用するとき、プレバイオティクス、または「シンバイオティクス」として有用となり得る。「プレバイオティクス」とは、胃腸管、特に結腸内の1つまたは限られた数の細菌の増殖および/または活性を選択的に刺激することによって被験者に有益な作用をもたらし、このようにして、被験者の健康を改善する食品成分を意味する。プレバイオティクスの例として、フルクト-オリゴ糖、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デンプン、可溶性トウモロコシ繊維、グルコ-オリゴ糖、ガラクト-オリゴ糖、アラビノキシラン-オリゴ糖、ラクチトール、およびラクツロースが挙げられる。
【0189】
別の実施形態では、本明細書のグルカンを含む組成物は、さらに、少なくとも1種のプロバイオテック生物を含んでもよい。「プロバイオテック生物」とは、消化管内でのその機能により被験者に有益な作用をもたらす生きた微生物栄養補助食品を意味する。有効であるためには、プロバイオテック微生物は、消化状態に耐えることができなければならず、しかも、被験者に一切害を与えることなく、少なくとも一時的に胃腸管にコロニーを形成することができなければならない。いくつかの微生物株しかこれらの特性をもっていない。一部の実施形態では、プロバイオテック微生物は、ラクトバシラス(Lactobacillus)種、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)種、バシラス(Bacillus)種、エンテロコッカス(Enterococcus)種、エシェリキア(Escherichia)種、ストレプトコッカス(Streptococcus)種およびサッカロミセス(Saccharomyces)種からなる群から選択される。具体的な微生物として、限定されないが、なかでも、枯草菌(Bacillus subtilis)、バシラス・セレウス(Bacillus cereus)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィクム(Bifidobacterium bificum)、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・サーモフィルム(Bifidobacterium thermophilum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ブルカリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ラクティス(Lactobacillus lactis)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・レウテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillusrhamnosus)、ストレプトコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、サッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)、トルロプシス(Torulopsia)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)、ならびにそれらの栄養胞子、非栄養胞子(バシラス(Bacillus))および合成誘導体を含む群から選択される。一部の実施形態では、プロバイオテック微生物として、限定されないが、3つの細菌属:ラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)およびサッカロミセス(Saccharomyces)のメンバーが挙げられる。
【0190】
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも10~2000億、10~1000億、または10~500億個の生きたプロバイオテック生物を送達するのに十分な量のプロバイオテック生物を含む。前述のように送達されるプロバイオテック生物の量は、1回の投与当たりおよび/または1日当たりであってよく、一部の用途では、1日に複数回の投与が好適となり得る。1つの組成物に、例えば2種以上のプロバイオテック生物を使用してもよい。
【0191】
本明細書に開示した組成物は、織物ケア組成物の形態にあってよい。本明細書の織物ケア組成物は、手洗い、洗濯機洗浄および/または他の目的、例えば織物の浸漬および/または前処理などの他の目的のために使用できる。織物ケア組成物は、例えば、洗濯用洗剤;織物コンディショナー、任意の洗濯用製品、リンス用製品もしくは乾燥機添加製品;単位投与もしくはスプレーの形態を取ることができる。液体形にある織物ケア組成物は、本明細書に開示した水性組成物の形態にあってよい。他の態様では、織物ケア組成物は、乾燥形、例えば顆粒状洗剤もしくは乾燥機点火用織物柔軟剤シートなどの乾燥形であってよい。本明細書の織物ケア組成物の他の非限定的例には;顆粒状もしくは粉末状の万能もしくは強力洗浄剤;液体形、ジェル形もしくはペースト形の万能もしくは強力洗浄剤;液体もしくは乾燥の細(例えば、繊細)繊維用洗剤;例えば漂白用添加物、「ステイン・スティック」もしくは前処理剤などのクリーニング補助剤;基質積載製品、例えばドライワイプもしくはウェットワイプ、パッドもしくはスポンジ;スプレー剤およびミスト剤が含まれる。
【0192】
本明細書の洗剤組成物は、例えば、粉末、顆粒、ペースト、バー、単位用量もしくは液体などの任意の有用な形態にあってよい。液体洗剤は、典型的には、約70重量%までの水および0重量%~約30重量%の有機溶媒を含有する水性であってよい。液体洗剤は、さらにまた水を約30重量%しか含有していないコンパクトジェルの形態にあってよい。
【0193】
本明細書の洗剤組成物は、1つ以上の界面活性剤を含み、ここで、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤およびそれらの混合物から選択される。一部の実施形態では、界面活性剤は、洗剤組成物の重量で約0.1重量%~約60重量%の濃度で存在するが、また別の実施形態では濃度は約1重量%~約50重量%であり、さらにまた別の実施形態では、濃度は約5重量%~約40重量%である。洗剤は、通常は0重量%~約50重量%のアニオン性界面活性剤、例えば直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキル硫酸塩(高級アルコール硫酸エステル苑)(AS)、アルコールエトキシサルフェート(AEOSもしくはAES)、第二級アルカンスルホネート(SAS)、α-スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル-もしくはアルケニルコハク酸または石鹸を含有するであろう。さらに、洗剤組成物は、任意選択的に0重量%~約40重量%の非イオン性界面活性剤、例えば、(例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第92/06154号パンフレットに記載されている)アルコールエトキシレート(AEOもしくはAE)、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミン、脂肪酸モノエタノールアミドもしくはポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドを含有することができる。
【0194】
本明細書の洗剤組成物は、典型的には、1つ以上の洗剤ビルダーもしくはビルダー系を含む。少なくとも1つのビルダーを組み込んでいる一部の態様では、クリーニング組成物は、本組成物の重量で少なくとも約1重量%、約3重量%~約60重量%もしくはいっそう約5重量%~約40重量%のビルダーを含んでいる。ビルダーには、アルカリ金属、ポリリン酸のアンモニウム塩およびアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類およびアルカリ金属炭酸塩、アルミノケイ酸塩、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、マレイン酸無水物とエチレンもしくはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン-2,4,6-トリスルホン酸およびカルボキシメチルオキシコハク酸、ポリ酢酸の様々なアルカリ金属、アンモニウムおよび置換アンモニウム塩、例えばエチレンジアミン四酢酸およびニトリロ三酢酸ならびにポリカルボキシレート、例えばメリット酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5-トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸およびそれらの可溶塩が含まれるがそれらに限定されない。実際に、任意の好適なビルダーが本開示の様々な実施形態において利用されることが企図されている。洗剤ビルダーもしくは錯化剤の追加の例には、ゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキルコハク酸もしくはアルケニルコハク酸、可溶ケイ酸塩もしくは層状ケイ酸塩(例えば、HoechstからのSKS-6)が含まれる。
【0195】
一部の実施形態では、ビルダーは、水溶性硬質イオン錯体(例えば、金属イオン封鎖ビルダー)、例えばクエン酸塩およびポリリン酸塩(例えば、トリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム六水和物、トリポリリン酸カリウムならびに混合トリポリリン酸ナトリウムおよびカリウムなど)を形成する。任意の好適なビルダーは、当技術分野において公知のビルダーも含めて本開示において利用されることが企図されている(例えば、欧州特許第2100949号明細書を参照されたい)。
【0196】
一部の実施形態では、好適なビルダーは、リン酸塩ビルダーおよび非リン酸塩ビルダーを含むことができる。一部の実施形態では、ビルダーはリン酸塩ビルダーである。一部の実施形態では、ビルダーは、非リン酸塩ビルダーである。ビルダーは、本組成物の重量で0.1重量%~80重量%、もしくは5重量%~60重量%または10重量%~50重量%の濃度で使用できる。一部の実施形態では、本生成物は、リン酸塩ビルダーおよび非リン酸塩ビルダーの混合物を含む。好適なリン酸塩ビルダーには、ナトリウム塩を含むこれらの化合物のアルカリ金属塩を含む、一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩もしくオリゴマーポリリン酸塩が含まれる。一部の実施形態では、ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)であってよい。さらに、本組成物は、炭酸塩および/またはクエン酸塩、好ましくは中性pH組成物を達成するのに役立つクエン酸塩を含むことができる。他の好適な非リン酸ビルダーには、ポリカルボン酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにそれらの部分もしくは完全中和塩、モノマーポリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸およびそれらの塩が含まれる。一部の実施形態では、上記の化合物の塩には、アンモニウムおよび/またはアルカリ金属塩、すなわち、ナトリウム塩を含むリチウム、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。好適なポリカルボン酸には、非環式、脂環式、複素環式および芳香族カルボン酸が含まれるが、このとき一部の実施形態では、それらはそれぞれの場合に相互から、一部の例では2個以下の炭素原子によって相互から分離できる少なくとも2つのカルボキシル基を含有することができる。
【0197】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1つのキレート剤を含むことができる。好適なキレート剤には、銅、鉄および/またはマンガンキレート剤およびそれらの混合物が含まれるがそれらに限定されない。少なくとも1つのキレート剤が使用される実施形態では、本組成物は、本組成物の重量で約0.1重量%~約15重量%またはいっそう約3.0重量%~約10重量%のキレート剤を含む。
【0198】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1つの沈着助剤を含むことができる。好適な沈着助剤には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカルボキシレート、防汚ポリマー、例えばポリテレフタル酸、例えばカオリナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、イライト、ベントナイト、ハロイサイトなどの粘土およびそれらの混合物が含まれるがそれらに限定されない。
【0199】
本明細書の洗剤組成物は、1つ以上の染料移動阻害剤を含むことができる。好適なポリマー染料移動阻害剤には、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾールまたはそれらの混合物が含まれるがそれらに限定されない。追加の染料移動阻害剤には、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾールおよび/またはそれらの混合物が含まれる;そのキレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA);ジエチレントリアミンペンタメチレンリン酸(DTPMP);ヒドロキシエタン二リン酸(HEDP);エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS);メチルグリシン二酢酸(MGDA);ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA);プロピレンジアミン四酢酸(PDTA);2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO);またはメチルグリシン二酢酸(MGDA);グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA);ニトリロ三酢酸(NTA);4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸;クエン酸およびそれらの任意の塩;N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)および単独または上記のいずれかと組み合わせて使用できるそれらの誘導体が含まれる。少なくとも1つの染料移動阻害剤が使用される実施形態では、本明細書の組成物は、本組成物の重量で約0.0001重量%~約10重量%、約0.01重量%~約5重量またはいっそう約0.1重量%~約3重量%を含むことができる。
【0200】
本明細書の洗剤組成物は、ケイ酸塩を含むことができる。これらの実施形態の一部では、ケイ酸ナトリウム(例えば、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよび/または結晶性フィロケイ酸塩)が利用される。一部の実施形態では、ケイ酸塩は、本組成物の重量で約1重量%~約20重量%の濃度で存在する。一部の実施形態では、ケイ酸塩は、本組成物の重量で約5重量%~約15重量%の濃度で存在する。
【0201】
本明細書の洗剤組成物は、分散剤を含むことができる。好適な水溶性有機材料には、その中でポリカルボン酸が2個以下の炭素原子で相互から分離された少なくとも2個のカルボキシル基を含む、ホモポリマー酸もしくはコポリマー酸またはそれらの塩が含まれるがそれらに限定されない。
【0202】
本明細書の洗剤組成物は、追加して1つ以上の上述の酵素を含むことができる。
【0203】
一部の実施形態では、洗剤組成物は、それぞれが本組成物の重量で約0.00001重量%~約10重量%の濃度にある1つ以上の酵素(例えば、本明細書で開示したいずれか)および残余のクリーニング補助材料を含むことができる。一部の他の実施形態では、洗剤組成物は、さらに各酵素を本組成物の重量で約0.0001重量%~約10重量%、約0.001重量%~約5重量%、約0.001重量%~約2重量%または約0.005重量%~約0.5重量%の濃度で含むことができる。
【0204】
本明細書の洗剤組成物中に含めることのできる酵素は、従来型の安定化剤、例えば、プロピレングリコールもしくはグリセロールなどのポリオール;糖もしくは糖アルコール;乳酸;ホウ酸もしくはホウ酸誘導体(例えば、芳香族ホウ酸エステル)を使用して安定化することができる。
【0205】
所定の実施形態における洗剤組成物は、1つ以上のポリマーを含むことができる。好適なポリマーの例には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリカルボキシレート、例えば、ポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマーおよびラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーが含まれる。
【0206】
本明細書の洗剤組成物は、漂白系を含有していてよい。例えば、漂白系は、H起源、例えば過酸形成漂白活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)もしくはナノニルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)と結合することのできる、過ホウ酸塩もしくは過炭酸塩を含むことができる。または、漂白系は、ペルオキシ酸(例えば、アミド、イミドもしくはスルホンタイプのペルオキシ酸)を含むことができる。またはそれでも、漂白系は、例えば国際公開第2005/056783号パンフレットに記載された系などのペルヒドロラーゼを含む酵素的漂白系であってよい。
【0207】
本明細書の洗剤組成物は、さらに、従来型の洗剤成分、例えば、織物コンディショナー、粘土、発泡増強剤、石鹸泡抑制剤、防錆剤、土壌懸濁化剤、再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤もしくは香料も含むことができる。本明細書の洗剤組成物の(使用濃度にある水溶液中で測定した)pHは、通常は中性もしくはアルカリ性(例えば、約7.0~約11.0のpH)である。
【0208】
本明細書の洗剤組成物は、少なくとも1つの再付着防止剤および/または粘土質土壌除去剤を含むこともできる(そのような作用物質は、任意選択的に所定の態様における白色維持剤であると特徴付けることができる)。本明細書の好適な再付着防止剤および/または粘土質土壌除去剤の例には、ポリエトキシ両性イオン性界面活性剤、アクリル酸もしくはメタクリル酸とアクリル酸もしくはメタクリル酸-酸化エチレン凝縮体との水溶性コポリマー(例えば、米国特許第3719647号明細書)、セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース(例えば、米国特許第3597416号明細書および同第3523088号明細書)ならびに非イオン性アルキルポリエトキシ界面活性剤、ポリエトキシアルキル第4級カチオン性界面活性剤および脂肪酸アミド界面活性剤(例えば、米国特許第4228044号明細書)が含まれる。他の好適な再付着防止剤および/または粘土質土壌除去剤の非限定的例は、それらが全部参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4597898号明細書および同第4891160号明細書ならびに国際公開第95/32272号パンフレットに開示されている。
【0209】
本明細書に開示した目的に適合させることのできる洗剤組成物の特定の形態は、例えば、それらの全部が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第20090209445A1号明細書、米国特許第20100081598A1号明細書、米国特許第7001878B2号明細書、欧州特許第1504994B1号明細書、国際公開第2001085888A2号パンフレット、国際公開第2003089562A1号パンフレット、国際公開第2009098659A1号パンフレット、国際公開第2009098660A1号パンフレット、国際公開第2009112992A1号パンフレット、国際公開第2009124160A1号パンフレット、国際公開第2009152031A1号パンフレット、国際公開第2010059483A1号パンフレット、国際公開第2010088112A1号パンフレット、国際公開第2010090915A1号パンフレット、国際公開第2010135238A1号パンフレット、国際公開第2011094687A1号パンフレット、国際公開第2011094690A1号パンフレット、国際公開第2011127102A1号パンフレット、国際公開第2011163428A1号パンフレット、国際公開第2008000567A1号パンフレット、国際公開第2006045391A1号パンフレット、国際公開第2006007911A1号パンフレット、国際公開第2012027404A1号パンフレット、欧州特許第1740690B1号明細書、国際公開第2012059336A1号パンフレット、米国特許第6730646B1号明細書、国際公開第2008087426A1号パンフレット、国際公開第2010116139A1号パンフレット、および 国際公開第2012104613A1号パンフレットに開示されている。
【0210】
本明細書の洗濯用洗剤組成物は、任意選択的に強力(万能)洗濯用洗剤組成物であってよい。典型的な強力洗濯用洗剤組成物は、アニオン性洗浄性界面活性剤(1群の直鎖もしくは分岐鎖もしくはランダム鎖の置換もしくは未置換アルキルスルフェート、アルキルスルホネート、アルコキシル化アルキルスルフェート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、アルキルカルボキシレートおよび/またはそれらの混合物から選択される)および任意選択的に非イオン性界面活性剤(1群の直鎖もしくは分岐鎖もしくはランダム鎖の置換もしくは未置換アルコキシル化アルコールアルキル、例えば、C8~C18エトキシル化アルキルアルコールおよび/またはC6~C12アルキルフェノールアルコキシレートから選択される)洗浄性界面活性剤(10重量/重量%~40重量/重量%)を含み、ここで、アニオン性洗浄性界面活性剤(6.0~9の親水性指数(HIc)を備えるI対非イオン性洗浄性界面活性剤の重量比は1:1より大きい。好適な洗浄性界面活性剤にはさらに、カチオン性洗浄性界面活性剤(1群のアルキルピリジニウム化合物、アルキル第4級アンモニウム化合物、アルキル第4級ホスホニウム化合物、アルキル三元スルホニウム化合物および/またはそれらの混合物から選択される);両性イオン性および/または両性洗浄性界面活性剤(1群のアルカノールアミンスルホ-ベタイン);両性界面活性剤;半極性非イオン性界面活性剤ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0211】
本明細書の洗剤、例えば強力洗濯用洗剤組成物には、任意選択的に、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー(1群の分岐鎖親水性および疎水性を有するアルコキシル化ポリマー、例えば0.05重量%~10重量%の範囲内にあるアルコキシル化ポリアルキレンイミンから選択される)および/またはランダムグラフトポリマー(典型的には不飽和C1~C6カルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、マレイン酸無水物、飽和ポリアルコール、例えばグリセロールならびにそれらの混合物からなる群から選択されるモノマーを含む親水性骨格);ならびにC4~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C1~C6モノ-カルボン酸のビニルエステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C6アルキルエステルおよびそれらの混合物からなる群から選択される水性側鎖からなる界面活性増強性ポリマーが含まれる。
【0212】
例えば強力洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、任意選択的に、ランダムもしくはブロック構造にある追加のポリマー、例えば防汚ポリマー(例えばSRP1などの非イオン性で末端キャップされたポリエステル、サッカライド、ジカルボン酸、ポリオールおよびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマー、ランダムもしくはブロック構造にあるエチレンテレフタレートをベースとするポリマーおよびそれらのコポリマー、例えばREPEL-O-TEX SF、SF-2およびSRP6、TEXCARE SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300およびSRN325、MARLOQUEST SLを含む)、本明細書の再付着防止剤(0.1重量%~10重量%)(カルボキシレートポリマー、例えばアクリル酸、マレイン酸(もしくはマレイン酸無水物)、フマル酸、イタコン酸、アコニット酸、メサコン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸およびそれらの任意の混合物、ビニルピロリドン、ビニルピロリドンホモポリマーおよび/またはポリエチレングリコール(500~100,000Daの範囲内の分子量);ならびにポリマーカルボキシレート(例えば、マレエート/アクリレートランダムコポリマーもしくはポリアクリレートホモポリマー))を含むことができる。
【0213】
例えば強力洗濯用洗剤組成物などの洗剤は、任意選択的に、さらに飽和もしくは非飽和脂肪酸、好ましくは飽和もしくは非飽和C12~C24脂肪酸(0重量%~10重量%);本明細書に開示した沈着助剤(それに含まれる例には、多糖類、セルロースポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物(DADMAC)およびランダムもしくはブロック構造にあるDAD MACとビニルピロリドン、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリウムハロゲン化物およびそれらの混合物、カチオン性グアールガム、カチオン性デンプン、カチオン性ポリアクリルアミドおよびそれらの混合物が含まれる)。
【0214】
例えば強力洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤はさらに、任意選択的に、その例には、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドンおよびN-ビニルイミダゾール、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾールのコポリマーおよび/またはそれらの混合物が含まれる染料移動阻害剤、その例にはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシ-エタンジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンN,N’-ジコハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、2-ヒドロキシピリジン-N-オキシド(HPNO)もしくはメチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸N,N-二酢酸(N,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、4,5-ジヒドロキシ-m-ベンゼンジスルホン酸、クエン酸および任意の塩のいずれかの酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)およびそれらの誘導体が含まれるキレート剤を含むことができる。
【0215】
例えば強力洗濯用洗剤組成物などの本明細書の洗剤は、任意選択的に、シリコンもしくは脂肪酸をベースとする石鹸泡抑制剤;ぼかし染料(hueing dyes)、カルシウムおよびマグネシウムカチオン、視覚信号化成分、消泡剤(0.001重量%~約4.0重量%)および/またはジグリセリドおよびトリグリセリド、エチレングリコールジステアレート、微結晶セルロース、マイクロファイバーセルロース、バイオポリマー、キサンタンガム、ゲランガムおよびそれらの混合物からなる群から選択される構造物質/増粘剤(0.01重量%~約5重量%)を含むことができる。構造物質は、構造剤とも呼ぶことができる。
【0216】
本明細書の洗剤は、例えば、強力乾燥/固体洗濯用洗剤組成物の形態にあってよい。そのような洗剤は、(i)洗浄性界面活性剤、例えば本明細書に開示した任意のアニオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示した任意の非イオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示した任意のカチオン性洗浄性界面活性剤、本明細書に開示した任意の両性イオン性および/または両性洗浄性界面活性剤およびそれらの混合物;(ii)ビルダー、例えば任意の無リンビルダー(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のゼオライトビルダー)、任意のリン酸塩ビルダー(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のナトリウムトリポリリン酸塩、クエン酸、クエン酸塩およびニトリロ三酢酸、任意のケイ酸塩(例えば、0重量%~10重量%未満の範囲内のケイ酸ナトリウムもしくはカリウムまたはメタケイ酸ナトリウム;任意の炭酸塩(例えば、0重量%~80重量%未満の範囲内の炭酸ナトリウムおよび/または重炭酸ナトリウム)およびそれらの混合物;(iii)漂白剤、例えば光漂白剤(例えば、スルホン化亜鉛フタロシアニン、スルホン化アルミニウムフタロシアニン、キサンテン染料およびそれらの混合物)、任意の疎水性もしくは親水性漂白活性化剤(例えば、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノルオキシ安息香酸もしくはそれらの塩、3,5,5-トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラセチルエチレンジアミン-TAED、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート-NOBS、ニトリルクアットおよびそれらの混合物)、過酸化水素の任意の起源(例えば、その例には過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、過リン酸塩もしくは過ケイ酸塩のモノもしくはテトラハイドレートナトリウム塩が含まれる無機ペルハイドレート塩)、任意の予備形成親水性および/または疎水性過酸(例えば、過カルボン酸および塩、過炭酸および塩、過イミド酸および塩、ペルオキソ一硫酸および塩ならびにそれらの混合物);および/または(iv)任意の他の成分、例えば漂白触媒(例えば、その例にはイミニウムカチオンおよびポリイオン、イミニウム両性イオン、改質アミン、改質アミンオキシド、N-スルホニルイミン、N-ホスホニルイミン、N-アシルイミン、チアジアゾールジオキシド、ペルフルオロイミン、環状糖ケトンおよびそれらの混合物が含まれるイミン系漂白増強剤)ならびに金属含有漂白触媒(例えば亜鉛もしくはアルミニウムなどの補助金属カチオンおよび例えばEDTA、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)などの金属イオン封鎖剤と一緒に、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデンもしくはマンガンカチオン)を含むことができる。
【0217】
本明細書に開示した組成物は、食器用洗剤組成物の形態にあってよい。食器用洗剤の例には、自動食器洗い用洗剤(典型的には、食器洗い機で使用される)および手洗い食器用洗剤が含まれる。食器洗い機用洗剤組成物は、例えば、本明細書に開示した任意の乾燥もしくは液体/水性形にあってよい。食器洗い用洗剤の所定の実施形態に含むことのできる成分には、例えば、リン酸塩;酸素系もしくは塩素系漂白剤;非イオン性界面活性剤;アルカリ塩(例えば、メタケイ酸塩;アルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム);本明細書に開示した任意の活性酵素;防錆剤(例えば、ケイ酸ナトリウム);消泡剤;陶磁器からの艶や文様の除去を緩徐化するための添加物;香料;凝固防止剤(顆粒状洗剤中);デンプン(錠剤ベースの洗剤中);ゲル化剤(液体/ジェルベースの洗剤中);および/または砂(粉末状洗剤)の内の1つ以上が含まれる。
【0218】
例えば自動食器洗い機用洗剤もしくは液体食器洗い用洗剤などの食器洗い用洗剤は、(i)0~10重量%の範囲内で任意のエトキシル化非イオン性界面活性剤、アルコキシル化アルコール界面活性剤、エポキシキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコールもしくはアミンオキシド界面活性剤を含む非イオン性界面活性剤;(ii)任意のリン酸塩ビルダー(例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、トリポリリン酸塩、他のオリゴマーポリリン酸塩、ナトリウムトリポリリン酸塩-STPP)、任意の無リンビルダー(例えば、メチル-グリシン二酢酸[MGDA]およびそれらの塩もしくは誘導体、グルタミン-N,N-二酢酸[GLDA]およびそれらの塩もしくは誘導体、イミノ二酢酸(IDS)およびそれらの塩もしくは誘導体、カルボキシメチルイヌリンおよびそれらの塩もしくは誘導体、ニトリロ三酢酸[NTA]、ジエチレントリアミン五酢酸[DTPA]、B-アラニン二酢酸[B-ADA]およびそれらの塩を含むアミノ酸ベースの化合物)、ポリカルボン酸およびそれらの部分もしくは完全中和塩のホモポリマーおよびコポリマー、0.5重量%~50重量%の範囲内のモノマーポリカルボン酸およびヒドロキシカルボン酸およびそれらの塩または0.1重量%~約50重量%の範囲内のスルホン化/カルボキシル化ポリマーを含む約5~60重量%の範囲内のビルダー;(iii)0.1重量%~約10重量%の範囲内の乾燥助剤(例えば、任意選択的にまた別の3~6つの官能基-典型的には重縮合を誘導する酸、アルコールもしくはエステル官能基を備えるモノマーと一緒にポリエステル、特にアニオン性ポリエステル、ポリカーボネート-、ポリウレタン-および/またはポリウレア-ポリオルガノシロキサン化合物もしくはそれらの前駆体化合物、特に反応性環状炭酸塩およびウレアタイプの);(iv)約1重量%~約20重量%の範囲内のケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウムもしくはカリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムおよび結晶性フィロケイ酸塩);(v)無機漂白剤(例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩および過ケイ酸塩などのペルハイドレート塩および/または有機漂白剤(例えば、ジアシル-およびテトラアシルペルオキシド、特にジペルオキシドデカン二酸およびジペルオキシヘキサデカン二酸などの有機ペルオキシ酸);(vi)漂白活性化剤(例えば、0.1重量%~約10重量%の範囲内の有機過酸前駆体)および/または漂白触媒(例えば、マンガントリアザシクロノナンおよび関連錯体;Co、Cu、MnおよびFeビスピリジルアミンおよび関連錯体;およびペンタミンコバルト(III)酢酸塩および関連錯体);(vii)0.1重量%~5重量%の範囲内の金属ケア剤(例えば、ベンザトリアゾール、金属塩および錯体および/またはケイ酸塩);および/または(viii)自動食器洗い機用洗剤組成物1グラム当たり約0.01~5.0mgの範囲内の活性酵素の本明細書に開示した任意の活性酵素、および酵素安定化剤(例えば、オリゴ糖、多糖および無機二価金属塩)を含むことができる。
【0219】
極めて多数の市販で入手できる洗剤調製物は、本明細書に開示したα-1,2-分岐状グルカンを含むために適応させることができると考えられる。例には、PUREX(登録商標)ULTRAPACKS (Henkel)、FINISH(登録商標)QUANTUM (Reckitt Benckiser)、CLOROX(商標)2 PACKS (Clorox)、OXICLEAN MAX FORCE POWER PAKS (Church & Dwight)、TIDE(登録商標)STAIN RELEASE、CASCADE(登録商標)ACTIONPACS、および TIDE(登録商標)PODS(商標)(Procter & Gamble)が含まれる。
【0220】
本明細書に開示した組成物は、例えば、口腔ケア組成物の形態にあってよい。口腔ケア組成物の例には、何らかの形の口腔ケア(例えば、虫歯[う食]、歯肉炎、歯垢、歯石および/または歯周疾患の治療または予防)を提供する歯磨き剤、練り歯磨き、洗口液、口内洗浄剤、チューインガム、可食ストリップ、およびトゥースクリーム/ジェルが含まれる。口腔ケア組成物はさらに、舌の表面、硬口蓋および軟口蓋、頬粘膜、歯茎および歯の表面を含む口腔内のあらゆる軟質もしくは硬質表面を含む「口腔面」を治療するためであってもよい。本明細書の「歯の表面」は、例えば、天然歯の表面または、歯冠、キャップ、充填物、ブリッジ、義歯もしくは歯科インプラントを含む人工歯列の硬質表面である。
【0221】
本明細書の口腔ケア組成物は、例えば、約0.01~15.0重量%(例えば、約0.1~10重量%もしくは約0.1~5.0重量%、約0.1~2.0重量%)の本明細書に開示した1つ以上のα-1,2-分岐状グルカンを含むことができる。本明細書の口腔ケア組成物中には、例えばカルボキシビニルポリマー、カラゲナン(例えば、L-カラゲナン)、天然ゴム(例えば、カラヤゴム、キサンタンゴム、アラビアゴム、トラガントゴム)、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムもしくはコロイド状シリカなどの1つ以上の他の増粘剤もしくは分散剤もまた用意することができる。
【0222】
本明細書の口腔ケア組成物は、例えば、練り歯磨きもしくは他の歯磨き剤であってよい。本明細書のそのような組成物ならびに任意の他の口腔ケア組成物は、追加して、制限なく、う食予防薬、抗微生物剤もしくは抗菌剤、抗結石剤もしくは歯石防止剤、界面活性剤、研磨剤、pH修飾剤、発泡調節剤、保湿剤、フレーバラント、甘味料、顔料/着色剤、ホワイトニング剤および/または他の好適な成分の内の1つ以上を含むことができる。1つ以上の本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを加えることのできる口腔ケア組成物の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2006/0134025号明細書、同第2002/0022006号明細書および同第2008/0057007号明細書に開示されている。
【0223】
本明細書のう食予防薬は、経口的に許容できるフッ化物イオンの起源であってよい。フッ化物イオンの好適な起源には、例えば、フッ化物、モノフルオロリン酸塩およびフルオロケイ酸塩ならびにオラフルール(N’-オクタデシルトリメチレンジアミン-N,N,N’-トリス(2-エタノール)-ジヒドロフルオリド)を含むアミンフッ化物が含まれる。う食予防薬は、例えば、組成物に総計約100~20,000ppm、約200~5,000ppmもしくは約500~2,500ppmのフッ化物イオンを提供する量で存在することができる。その中でフッ化ナトリウムがフッ化物イオンの唯一の起源である口腔ケア組成物中では、約0.01~5.0重量%、約0.05~1.0重量%もしくは約0.1~0.5重量%のフッ化ナトリウムが組成物中に存在することができる。
【0224】
本明細書の口腔ケア組成物に使用するために好適な抗微生物剤もしくは抗菌剤には、例えば、フェノール化合物(例えば、4-アリルカテコール;p-ヒドロキシ安息香酸エステル、例えばベンジルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベンおよびプロピルパラベン;2-ベンジルフェノール;ブチル化ヒドロキシアニソール;ブチル化ヒドロキシトルエン;カプサイシン;カルバクロール;クレゾール;オイゲノール;グアイアコール;ハロゲン化ビスフェノール系、例えば、ヘキサクロロフェンおよびブロモクロロフェン;4-ヘキシルレゾルシノール;8-ヒドロキシキノリンおよびそれらの塩;サリチル酸エステル、例えば、サリチル酸メンチル、サリチル酸メチルおよびサリチル酸フェニル;フェノール;ピロカテコール;サリチルアニリド;チモール;ハロゲン化ジフェニルエーテル化合物、例えば、トリクロサンおよびトリクロサン一リン酸)、銅(II)化合物(例えば、塩化銅(II)、フッ化(II)、硫酸(II)および水酸化(II))、亜鉛イオン起源(例えば、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、グリシン酸亜鉛、酸化亜鉛および硫酸亜鉛)、フタル酸およびそれらの塩(例えば、フタル酸マグネシウム一カリウム)、ヘキセチジン、オクテニジン、サンギナリン、塩化ベンズアルコニウム、臭化ドミフェン、塩化アルキルピリジニウム(例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラデシルピリジウム、N-テトラデシル-4-エチルピリジウムクロリド)、ヨウ素、スルホンアミド、ビスビグアニド(例えば、アレキシジン、クロルヘキシジン、ジグルコン酸クロルヘキシジン)、ピペリジノ誘導体(例えば、デルモピノール、オクタピノール)、マグノリア抽出物、グレープシード抽出物、ローズマリー抽出物、メントール、グラニオール、シトラール、オイカプリトール、抗生物質(例えば、オウグメンチン、アモキシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、メトロニダゾール、ネオマイシン、カナマイシン、クリンダマイシン)および/または本明細書の参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5776435号明細書に開示された任意の抗菌剤が含まれる。1つ以上の抗微生物剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中に例えば、約0.01~10重量%(例えば、0.1~3重量%)で存在することができる。
【0225】
本明細書の口腔ケア組成物に使用するために好適な抗結石剤もしくは歯石防止剤には、例えば、リン酸塩およびポリリン酸塩(例えば、ピロリン酸塩)、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸およびポリグルタミン酸)、ポリオレフィンスルホネート、ポリオレフィンホスフェート、ジホスホネート(例えば、アザシクロアルカン-2,2-ジホスホネート、例えばアザシクロヘプタン-2,2-ジホスホン酸)、N-メチルアザシクロペンタン-2,3-ジホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸(EHDP)、エタン-1-アミノ-1,1-ジホスホネートおよび/またはホスホノアルカンカルボン酸およびそれらの塩(例えば、それらのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩)が含まれる。有用な無機リン酸塩およびポリリン酸塩には、例えば、一塩基性、二塩基性および三塩基性リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸、モノ-、ジ-、トリ-およびテトラ-ナトリウムピロリン酸、ピロリン酸二水素二ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムまたはそのナトリウムがカリウムもしくはアンモニウムで置換されているこれらのいずれかが含まれる。所定の実施形態における他の有用な抗結石剤には、アニオン性ポリカルボキシレートポリマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸およびマレイン酸無水物のポリマーもしくはコポリマー、例えばポリビニルメチルエーテル/マレイン酸無水物コポリマー)が含まれる。さらに他の有用な抗結石剤には、金属イオン封鎖剤、例えばヒドロキシカルボン酸(例えば、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸およびシュウ酸ならびにそれらの塩)およびアミノポリカルボン酸(例えば、EDTA)が含まれる。1つ以上の抗結石剤もしくは歯石防止剤は、任意選択的に、本明細書に口腔ケア組成物中で、例えば、約0.01~50重量%(例えば、約0.05~25重量%もしくは約0.1~15重量%)で存在してよい。
【0226】
本明細書の口腔ケア組成物において使用するために好適な界面活性剤は、例えば、アニオン性、非イオン性もしくは両性であってよい。好適なアニオン性界面活性剤には、制限なく、C8~20アルキル硫酸塩、C8~20脂肪酸のスルホン化モノグリセリド、サルコシン酸塩およびタウリン酸塩の水溶性塩が含まれる。アニオン性界面活性剤の例には、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホン酸ココナッツモノグリセリドナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルイソエチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが含まれる。好適な非イオン性界面活性剤の例には、制限なく、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第3級アミン酸化物、第3級ホスフィン酸化物およびジアルキルスルホキシドが含まれる。好適な両性界面活性剤には、制限なく、アミノ基を有するC8~20脂肪族第2級および第3級アミンの誘導体、例えば、カルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩もしくはホスホン酸塩が含まれる。好適な両性界面活性剤の1つの例は、ココアミドプロピルベタインである。1つ以上の界面活性剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約0.01~10重量%(例えば、約0.05~5.0重量%もしくは約0.1~2.0重量%)の総量で存在してよい。
【0227】
本明細書の口腔ケア組成物に使用するために好適な研磨剤は、例えば、シリカ(例えば、シリカゲル、ケイ酸、沈降シリカ)、アルミナ、不溶性リン酸塩、炭酸カルシウムおよび樹脂製研磨剤(例えば、ユリアホルムアルデヒド縮合生成物)を含むことができる。本明細書の研磨剤として有用な不溶性リン酸塩の例は、オルトリン酸塩、ポリメタリン酸塩およびピロリン酸塩であり、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、β-カルシウムピロリン酸塩、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウムおよび不溶性ポリメタリン酸ナトリウムが含まれる。1つ以上の研磨剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約5~70重量%(例えば、約10~56重量%もしくは約15~30重量%)の総量で存在する。所定の実施形態における研磨剤の平均粒径は、約0.1~30μ(ミクロン)(例えば、約1~20μもしくは約5~15μ)である。
【0228】
所定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つのpH修飾剤を含むことができる。そのような作用物質は、組成物のpHを約2~10(例えば、約2~8、3~9、4~8、5~7、6~10もしくは7~9)のpH範囲へ酸性化する、より塩基性にする、または緩衝するために選択できる。本明細書で有用なpH修飾剤の例には、制限なく、カルボン酸、リン酸およびスルホン酸;酸性塩(例えば、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、マレイン酸一ナトリウム);アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸塩、セスキ炭酸塩);ホウ酸塩;ケイ酸塩;リン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸塩);およびイミダゾールが含まれる。
【0229】
本明細書の口腔ケア組成物に使用するために好適な発泡調節剤は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)であってよい。約200,000~7,000,000(例えば、約500,000~5,000,000もしくは約1,000,000~2,500,000)の平均分子量を有するPEGを含む高分子量PEGは好適である。1つ以上のPEGは、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約0.1~10重量%(例えば、約0.2~5.0重量%もしくは約0.25~2.0重量%)の総量で存在する。
【0230】
所定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つの保湿剤を含むことができる。所定の実施形態における保湿剤は、多価アルコール、例えば、グリセリン、ソルビトール、キシリトールまたは低分子量PEGであってよい。最も好適な保湿剤は、さらにまた本明細書の甘味料として機能することができる。1つ以上の保湿剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約1.0~70重量%(例えば、約1.0~50重量%、約2~25重量%もしくは約5~15重量%)の総量で存在する。
【0231】
天然もしくは人工甘味料は、本明細書の口腔ケア組成物中に任意選択的に含むことができる。好適な甘味料の例には、デキストロース、スクロース、マルトース、デキストリン、転化糖、マンノース、キシロース、リボース、フルクトース、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ(例えば、高果糖コーンシロップもしくはコーンシロップ固体)、部分的に加水分解されたデンプン、加水分解デンプン加水分解物、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、イソマルト、アスパルテーム、ネオテーム、サッカリンおよびそれらの塩、ジペプチドをベースとする強力甘味料およびシクラミン酸塩が含まれる。1つ以上の甘味料は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約0.005~5.0重量%の総量で存在する。
【0232】
天然もしくは人工フレーバラントは、本明細書の口腔ケア組成物中に任意選択的に含むことができる。好適なフレーバラントの例には、バニリン;セージ;マヨラマ;オランダセリ油;スペアミント油;シナモン油;ウィンターグリーンの油(サリチル酸メチル);ペパーミント油;チョウジ油;ベイ油;アニス油;ユーカリ油;カンキツ油;果実油;精油、例えば、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、アプリコット、バナナ、グレープ、リンゴ、ストロベリー、チェリーもしくはパイナップル由来の精油;マメもしくはナッツ由来のフレーバー、例えば、コーヒー、ココア、コーラ、ピーナッツもしくはアーモンド;ならびに吸着およびカプセル封入フレーバラントが含まれる。本明細書のフレーバラントにさらに含まれるのは、口腔内に芳香および/または冷却もしくは加温効果を含む他の感覚効果を提供する成分である。そのような成分には、制限なく、メントール、酢酸メンチル、乳酸メンチル、ショウノウ、ユーカリ油、オイカプリトール、アネトール、オイゲノール、カッシア、オキサノン、Irisone(登録商標)、プロペニルグアイエトール、チモール、リナロール、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、N,2,3-トリメチル-2-イソプロピルブタンアミド、3-(1-メントキシ)-プロパン-1,2-ジオール、シンナムアルデヒドグリセロールアセタール(CGA)およびメトングリセロールアセタール(MGA)が含まれる。1つ以上のフレーバラントは、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約0.01~5.0重量%(例えば、約0.1~2.5重量%)の総量で存在する。
【0233】
所定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つの重炭酸塩を含むことができる。アルカリ金属重炭酸塩、例えば、重炭酸ナトリウムもしくはカリウムおよび重炭酸アンモニウムなどを含む任意の経口的に許容される重炭酸塩を使用できる。1つ以上の重炭酸塩は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約0.1~50重量%(例えば、約1~20重量%)の総量で存在する。
【0234】
所定の実施形態における口腔ケア組成物は、少なくとも1つのホワイトニング剤を含むことができる。好適なホワイトニング剤は、参照により本明細書に久美子舞える米国特許第8540971号明細書に開示されたいずれかなどのペルオキシド化合物である。本明細書の好適な着色剤には、顔料、染料、レーキおよび例えばパール化剤などの特定の光沢もしくは反射性を付与する作用物質が含まれる。本明細書で有用な着色剤の特定の例には、タルク;マイカ;炭酸マグネシウム;炭酸カルシウム;ケイ酸マグネシウム;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;シリカ;二酸化チタン;酸化亜鉛;赤色、黄色、褐色および黒色酸化鉄;フェロシアン化鉄ナトリウム;マンガンバイオレット;ウルトラマリン;チタン化マイカ;およびオキシ塩化ビスマスが含まれる。1つ以上の着色剤は、任意選択的に、本明細書に開示した口腔ケア組成物中で、例えば、約0.001~20重量%(例えば、約0.01~10重量%もしくは約0.1~5.0重量%)の総量で存在する。
【0235】
本明細書の口腔ケア組成物中に任意選択的に含めることのできる追加の成分には、例えば、1つ以上の(上記の)酵素、ビタミン類および抗接着剤を含むことができる。本明細書で有用なビタミン類の例には、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB5および葉酸が含まれる。好適な抗接着剤の例には、ソルブロール、フィシンおよびクオラムセンシング阻害剤が含まれる。
【0236】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを含む組成物は、一部の実施形態においてグルカンのエーテル誘導体であってよい(すなわち、本明細書のα-1,2-分岐状グルカンを誘導体化して、1つまたは複数の有機基とエーテル結合させることができる)。1つまたは複数のエーテル化有機基のα-1,2-分岐状グルカンの置換度(DoS)は、例えば、約0.0025~約3.0であってよい。あるいは、DoSは、例えば、約、または少なくとも約0.0025、0.005、0.01、0.025、0.05、0.075、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0であってよい(任意選択的に、これらの値のいずれか2つの間の範囲として表すこともできる)。
【0237】
本明細書のα-1,2-分岐状グルカンにエーテル化した有機基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、またはドシル基などのアルキル基であってよい。一部の態様では、α-1,2-分岐状グルカンにエーテル化した有機基は、アルキル基の1個または複数個の炭素上に置換がある置換アルキル基であってよい。置換は、1個または複数個のヒドロキシル、アルデヒド、ケトン、および/またはカルボキシル基であってよい。例えば、置換アルキル基は、ヒドロキシアルキル基、ジヒドロキシアルキル基、またはカルボキシアルキル基であってもよい。好適なヒドロキシアルキル基の例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルおよびヒドロキシペンチル基である。他の例として、ジヒドロキシメチル、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、ジヒドロキシブチルおよびジヒドロキシペンチル基などのジヒドロキシアルキル基(ジオール)がある。好適なカルボキシアルキル基の例は、カルボキシメチル(-CHCOOH)、カルボキシエチル、カルボキシプロピル、カルボシブチルおよびカルボキシペンチル基である。
【0238】
α-1,2-分岐状グルカンにエーテル化した有機基は、一部の態様では、陽荷電有機基であってもよい。本明細書の陽荷電基は、例えば、置換アンモニウム基であってよい。置換アンモニウム基の例は、第1級、第2級、第3級および第4級アンモニウム基であってよい。好適な陽荷電基の別の例は、米国特許出願公開第2016/0311935号明細書に開示され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0239】
所定の実施形態のα-1,2-分岐状グルカンエーテル化合物は、1種類の有機基を含有してよい。こうした化合物の具体的な非限定的例は、カルボキシメチルα-1,2-分岐状グルカンである。あるいは、α-1,2-分岐状グルカンエーテル化合物は、2種類以上の有機基を含有してもよい。一部の態様では、本明細書のグルカンエーテル化合物は、少なくとも1つのノニオン有機基と少なくとも1つのアニオン基をエーテル基として含んでもよい。一部の態様では、本明細書のグルカンエーテル化合物は、少なくとも1つのノニオン有機基と少なくとも1つの陽荷電有機基をエーテル基として含んでもよい。
【0240】
有機基にエーテル結合した(すなわち、単糖単量体単位の1つまたは複数のヒドロキシル基が、エーテル化されている)本明細書のα-1,2-分岐状グルカンエーテル化合物の単糖単位のパーセンテージは、α-1,2-分岐状グルカンが、エーテル化反応でエーテル化される程度に応じて変動し得る。このパーセンテージは、例えば、少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%(または30%~100%の間の任意の整数)であってよい。
【0241】
本明細書に開示するα-1,2-分岐状グルカンを用いて、対応するエーテル化合物を調製することができる。米国特許第2961439号明細書、同第2344179号明細書、同第2203703号明細書、同第2203704号明細書、同第2380879号明細書、および同第2974134号明細書、米国特許出願公開第2014/179913号明細書、同第2016/0304629号明細書、同第2016/0311935号明細書、同第2015/0232785号明細書、および同第20150239995号明細書、ならびに国際公開第16/160738号パンフレット(これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているものなど、オリゴ糖および/または多糖をエーテル誘導体化する任意の好適な方法を使用することができる。
【0242】
あくまで一例として、本明細書のエーテル化合物は、(i)少なくとも95%(例えば、100%)のα-1,6結合および約15~20kD(例えば、約17kD)の分子量を有するグルカン骨格に、約35~45%(例えば、40%)のα-1,2-分岐鎖を付加するステップと、(ii)上に開示した任意の有機基(例えば、カルボキシメチル基)でα-1,2-分岐状グルカン生成物をエーテル化するステップにより調製することができる。
【0243】
本開示の別の態様は、α-1,2結合を含むグルカン組成物を生成する方法に関する。こうした方法は、以下:
(a)少なくとも下記の反応成分:水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを用意するステップであって、ポリペプチドが、以下:
(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;
(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または
(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列
と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むステップ;
(b)ポリペプチドが、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖の合成を触媒する適切な条件下で反応成分を合わせ、それによって1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を形成するステップ;ならびに
(c)1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を任意選択的に単離するステップ
を含み得る。
反応組成物(1,2-分岐反応)に関して本明細書に開示する(例えば、前述および以下の実施例において)特徴のいずれも、こうしたグルカン生成方法の適切な態様を特徴付けることができ、その逆も同様である。
【0244】
α-1,2結合を含むグルカン組成物の生成は、本明細書に開示するものなどの任意の好適な反応条件下で反応成分を合わせることによって実施することができる。反応は、水溶液中で実施してもよいし、および/または所定の実施形態では、いずれか公知の方法にしたがって、製品(例えば、食品、医薬剤、パーソナルケア、住居用ケア、または工業製品)においてインサイチュで実施することもできる。所定の実施形態では、1,2-分岐酵素をスクロース含有液体食品に添加する。酵素は、液体食品中のスクロースの量を低減すると共に、フルクトースおよびα-1,2-分岐状グルカンの量を増加し得る。食品中でのグルカンのインサイチュ生成の好適な方法は、例えば、国際公開第2013/182686号パンフレット(参照により本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。
【0245】
本明細書の1,2-分岐酵素の濃度は、その具体的な触媒活性に応じて変動し得、典型的に所望の全反応率が得られるように選択される。酵素濃度は典型的に、総反応量mL当たり0.0001mg~20mg、またはmL当たり0.001mg~10mgの範囲である。1,2-分岐酵素は、公知の方法を用いて可溶性または不溶性支持体に固定化してもよく;例えば、Immobilization of Enzymes and Cells;Gordon F.Bickerstaff, Editor;Humana Press,Totowa,NJ,USA;1997を参照されたい。1,2-分岐酵素は、微生物細胞表面提示酵素のように全微生物細胞、透過性微生物細胞、微生物細胞エキス、部分的精製形態もしくは精製形態、またはこれらの任意の混合物中に提供され得る。
【0246】
所定の実施形態では、α-1,2-分岐状グルカン組成物を生成する方法は、グルカン組成物を濃縮するステップ(d)をさらに含む。
【0247】
所定の実施形態では、α-1,2-分岐の開始時のα-グルカン基質濃度は、少なくとも約10g/L、または50g/L~500g/L、または100g/L~500g/L、または150g/L~450g/L、または250g/L~450g/L、または250g/L~600g/Lである。
【0248】
反応中に使用されるスクロース濃度は変動し得る。所定の実施形態では、反応成分を合わせる際、最初に存在するスクロース濃度は、少なくとも約50g/L、または50g/L~600g/L、または100g/L~500g/L、または100g/L~200g/L、または150g/L~450g/L、または200g/L~450g/L、または250g/L~600g/Lである。特定の実施形態では、スクロース濃度は、約200g/Lまたは100g/Lである。反応がα-グルカン基質調製反応と同時に起こる場合には、より高濃度のスクロースを用いてもよい。
【0249】
1,2分岐反応中のスクロースとα-グルカン基質骨格の重量比は変動し得る。一実施形態では、スクロースとα-グルカン基質骨格の重量比は、0.01:1.0~1.0:0.01の範囲であってよく、両端の値を含む。所定の実施形態では、本方法は、3~8、または4~8、または5~8、または5.5~7.5、または5.5~約6.5の間のpHで実施される。所定の実施形態では、反応成分のセットは、限定されないが、リン酸塩、ピロリン酸塩、重炭酸塩、酢酸塩、またはクエン酸塩を含む好適なバッファーを含む。使用される場合、バッファーの濃度は、典型的に、0.1mM~1.0M、または1mM~300mM、または10mM~100mMである。本方法は、任意選択的に、最適酵素活性に要望される範囲内にpHを維持する上で好適な酸もしくは塩基の漸増もしくは連続的添加によって、反応の過程にわたり最適pHを維持するようにpH制御を使用してもよい。
【0250】
本明細書のα-1,2分岐反応の長さは、変動し得るが、多くの場合、利用可能なスクロース基質を全て使用するのにかかる時間量によって決定することができる。所定の実施形態では、反応は、反応混合物中に最初に存在したスクロースの少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも99%が消費されるまで実施される。所定の実施形態では、反応時間は、約1時間~168時間、1時間~72時間、1時間~24時間、または1時間~2時間である。
【0251】
本明細書の1,2分岐反応の温度は、要望されるように、反応速度および使用される酵素の安定性の両方を制御するために選択することができる。反応の温度は、例えば、反応配合物の氷点を少し上回る範囲(約0℃)~約60℃、または5℃~約47℃、または20℃~約37℃でよい。
【0252】
所定の実施形態では、反応成分のセットは、α-グルカノヒドロラーゼ(エキソ-および/またはエンド-グルカノヒドロラーゼ)をさらに含んでもよい。所定の実施形態では、α-グルカノヒドロラーゼは、エンドムタナーゼまたはエンドデキストラナーゼなどのデキストラナーゼまたはムタナーゼである。所定の実施形態では、α-グルカノヒドロラーゼは、デキストラナーゼ(EC2.1.1.11)、ムタナーゼ(EC3.1.1.59)またはこれらの組み合わせである。所定の実施形態では、デキストラナーゼは、ケトミウム・エラチカム(Chaetomium erraticum)由来の食品グレードデキストラナーゼである。所定の実施形態では、ケトミウム・エラチカム(Chaetomium erraticum)由来のデキストラナーゼは、Novozymes A/S,Denmarkから入手可能なDEXTRANASE(登録商標)PLUS Lである。
【0253】
所定の実施形態では、α-1,2-分岐状グルカン生成物を単離するステップは、遠心分離、濾過、分別、クロマトグラフィー分離、透析、蒸発、および希釈の少なくとも1つを含む。
【0254】
上記または以下の実施例に記載されるものなどの、α-1,2-分岐鎖を有するグルカン組成物を合成するための本明細書の上述の条件のいずれも、本明細書に開示する反応組成物の実施に適用することができる。
【0255】
本明細書に開示する組成物および方法の非限定的例は、以下を含む:
1.少なくとも水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを含む反応組成物であって、ポリペプチドが、以下:(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、反応組成物。
【0256】
2.(i)の配列が、以下:配列番号4の36位~1672位、配列番号1の21位~2771位、配列番号2の21位~2821位、配列番号3の41位~2844位、配列番号5の51位~1632位、配列番号6の51位~1318位、配列番号7の51位~1139位、配列番号8の51位~1463位、配列番号9の41位~2841位、配列番号10の46位~2580位、配列番号11の51位~1463位、配列番号12の21位~2824位、または配列番号13の21位~2771位を含む、実施形態1の反応組成物。
【0257】
3.(ii)の配列が、以下:配列番号4の36位~1115位、配列番号2の1715位~2821位、配列番号3の1735位~2834位、配列番号5の51位~1167位、配列番号6の93位~1178位、配列番号7の51位~1130位、配列番号8の51位~1158位、配列番号9の1735位~2841位、配列番号10の1274位~2413位、配列番号11の51位~1158位、配列番号12の1715位~2821位、または配列番号13の1665位~2771位を含む、実施形態1の反応組成物。
【0258】
4.α-グルカン基質が、少なくとも3の重合度を有し、少なくとも(i)α-1,6グリコシド結合または(ii)α-1,6およびα-1,3グリコシド結合を含む、実施形態1~3のいずれかの反応組成物。
【0259】
5.α-1,2結合を含むグルカン組成物を生成する方法であって、以下:(a)少なくとも下記の反応成分:水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを用意するステップであって、ポリペプチドが、以下:(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むステップ;(b)ポリペプチドが、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖の合成を触媒する好適な条件下で反応成分を合わせ、それによって1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を形成するステップ;ならびに(c)1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を任意選択的に単離するステップを含む方法。
【0260】
6.α-グルカン基質が、少なくとも3の重合度を有し、少なくとも(i)α-1,6グリコシド結合または(ii)α-1,6およびα-1,3グリコシド結合を含む、実施形態5の方法。
【0261】
7.α-グルカン基質とスクロースが、(b)において0.01:1~1:0.01(両端を含む)の比で存在する、実施形態5~6のいずれかの方法。
【0262】
8.反応成分が、α-グルカノヒドロラーゼをさらに含む、実施形態5~7のいずれかの方法。
【0263】
9.実施形態5~8のいずれかの方法によって生成されるか、または実施形態1~4のいずれかの反応組成物の反応によって生成される、1つまたは複数のα-1,2-結合を含むグルカン組成物を含む組成物であって、好ましくは、組成物が、食品、医薬製品、パーソナルケア製品、住居用ケア製品または工業製品の形態にあり、任意選択的に、組成物は、約0.01~99重量%(乾燥固体率)のグルカン組成物を含む組成物。
【0264】
10.α-1,2結合を含むグルカン組成物が、水溶性であり、哺乳動物に供給されると、緩徐にグルコースを放出し、ここで、哺乳動物が、好ましくはヒトである、実施形態9の組成物。
【0265】
11.α-1,2結合を含むグルカン組成物が、10%以下のα-1,2分岐を有する、実施形態9~10のいずれかの組成物。
【0266】
12.α-1,2結合を含むグルカン組成物が、水溶性であり、哺乳動物に供給されると、食物繊維として作用し、ここで、前記哺乳動物が、好ましくはヒトである、実施形態9の組成物。
【0267】
13.α-1,2結合を含むグルカン組成物が、少なくとも約15%のα-1,2分岐を含む、実施形態9または12のいずれかの組成物。
【0268】
14.以下:シンバイオティクス、ペプチド、ペプチド加水分解物、タンパク質、タンパク質加水分解物、ダイズタンパク質、乳タンパク質、アミノ酸、ポリオール、ポリフェノール、ビタミン、ミネラル、ハーブ、ハーブエキス、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、フィトステロイド、ベタイン、カロテノイド、消化性酵素、およびプロバイオテック生物からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含み;好ましくは、組成物が、食料製品または医薬製品の形態をしている、実施形態9~13のいずれかの組成物。
【0269】
15.組成物が、食料製品または医薬製品の形態をしており、以下:単糖、二糖、グルコース、スクロース、フルクトース、ロイクロース、コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、異性化糖、マルトース、トレハロース、パノース、ラフィノース、セロビオース、イソマルトース、ハチミツ、メープルシュガー、果実由来甘味料、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクトース、ニゲロース、コージビオース、キシリトール、エリスリトール、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α-グリコシルステビオシド、アセスルファムカリウム、アリテーム、ネオテーム、グリシルリジン、ソーマチン、スクラロース、L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル、サッカリン、マルトデキストリン、デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、デキストラン、可溶性トウモロコシ繊維、難消化性マルトデキストリン、分岐マルトデキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、フルクト-オリゴ糖、ガラクト-オリゴ糖、キシロ-オリゴ糖、アラビノキシロ-オリゴ糖、ニゲロ-オリゴ糖、ゲンチオ-オリゴ糖、ヘミセルロース、フルクトースオリゴマーシロップ、イソマルト-オリゴ糖、充填剤、賦形剤、および結合剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、実施形態9~14のいずれかの組成物。
【0270】
16.組成物が、洗剤組成物であり、組成物が、好ましくは、家庭用製品である、実施形態9の組成物。
【0271】
17.物質を哺乳動物に経腸投与するステップを含む方法であって、物質は、α-1,2結合を含むグルカン組成物を含み、投与によって、グルカン組成物がない代わりに、同量の易消化性グルコース含有炭水化物を含む物質が経腸投与された哺乳動物と比較して、低いか、または緩徐な血糖上昇を哺乳動物にもたらし、ここで、グルカン組成物は、実施形態5~8のいずれかの方法によって生成されるか、または実施形態1~4のいずれかの反応組成物によって生成され、任意選択的にここで、哺乳動物は、ヒトであり、また任意選択的に、易消化性グルコース含有炭水化物は、スクロース、遊離グルコース、またはデンプンである、方法。
【0272】
18.摂取可能な製品を製造する方法であって、α-1,2結合を含むグルカン組成物を摂取可能な製品に組み込むステップを含み、ここで、得られた摂取可能な製品のグリセミック指数は、グルカン組成物を含まない(しかし、それ以外は同じ)摂取可能な製品と比較して、上昇しないか、またはわずかにしか上昇せず、ここで、グルカン組成物は、実施形態5~8のいずれかの方法によって生成されるか、または実施形態1~4のいずれかの反応組成物によって生成される方法。
【実施例
【0273】
本開示を以下の実施例においてより詳細に規定する。実施例は所定の実施形態を示しているが、例示するためにだけ提供されていると理解すべきである。上記の考察および実施例から、当業者であれば、本発明の本質的な特徴を確証することができ、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に適応させるために様々に変化させて、修飾を加えることができる。
【0274】
略語の意味は次の通りである:「sec」または「s」は秒を、「ms」はミリ秒を、「min」は分を、「h」もしくは「hr」は時間を、「μL」はマイクロリットルを、「mL」はミリリットルを、「L」はリットルを意味し;「mL/min」は毎分ミリリットルであり;「μg/mL」はミリリットル当たりのマイクログラムであり;「LB」はルリア(Luria)ブロスであり;「μm」はマイクロメートルであり、「nm」はナノメートルであり;「OD」は光学密度であり;「IPTG」はイソプロピル-β-D-チオ-ガラクトシドであり;「g」は重力であり;「mM」はミリモルであり;「SDS-PAGE」はドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドであり;「mg/mL」はミリリットル当たりのミリグラムであり;「N」は正常であり;「w/v」は体積当たりの重量であり;「DTT」はジチオトレイトールであり;「BCA」はビシンコニン酸であり;「DMAc」はN,N’-ジメチルアセトアミドであり;「LiCl」は塩化リチウムであり;「NMR」は核磁気共鳴であり;「DMSO」はジメチルスルホキシドであり;「SEC」はサイズ排除クロマトグラフィーであり;「GI」もしくは「gi」はGenInfo識別子(Identifier)、すなわち、GENBANK(登録商標)および他の配列データベースによって、それぞれのデータベース内のポリヌクレオチドおよび/またはポリペプチド配列を独自に同定するために使用されるシステムを意味し;「DPx」は「x」単位の長さを有するグルカン重合度を意味し;「ATCC」はAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA)を意味し、「DSMZ」および「DSM」はLeibniz Institute DSMZ-German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(Braunschweig,Germany)を指し;「EELA」はFinnishFood Safety Authority(Helsinki, Finland;)であり、「CCUG」はCulture Collection, University of Goeteborg、Swedenを指し;「Suc」はスクロースを;「Gluc」はグルコースを;「Fruc」はフルクトースを;「Leuc」はロイクロースを;また「Rxn」は反応をそれぞれ意味する。
【0275】
一般方法
試薬、制限酵素および細菌培養材料は全て、別に記載のない限り、以下:BD Diagnostic Systems(Sparks,MD),Invitrogen/Life Technologies Corp.(Carlsbad,CA),Life Technologies(Rockville,MD),QIAGEN(Valencia,CA),Sigma-Aldrich Chemical Company(St.Louis,MO)、またはPierce Chemical Co.(Thermo Fisher Scientific Inc.の一部門,Rockford,IL)から取得した。IPTG、(cat♯I6758)、塩化トリフェニルテトラゾリウム、およびBCAタンパク質アッセイ試薬は、Sigma Co.,(St.Louis,MO)から得た。BELLCOスピンフラスコは、Bellco Co.,(Vineland,NJ)から得た。LB培地は、Becton,Dickinson and Company(Franklin Lakes,New Jersey)から得た。
【0276】
糖の減少は、PAHBAHアッセイ(Lever,Anal.Biochem.47,273-279,1972)を用いて決定した。
【0277】
実施例1
α(1,2)結合を有するグルカンを形成することができるポリペプチドの同定
GTF-J18(ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)亜種メセンテロイデス(mesenteroides)J18)(配列番号1)は、3つの異なる領域:触媒ドメイン1(「CD1」)、グルカン結合ドメイン、およびCD2を含む。CD1およびCD2は、様々な触媒活性を担うGH70ドメインである。
【0278】
本発明者らは、α-1,6-連結多糖が反応に付与されると、GTFJ18のN末端切断バージョン(GTFJ18T1と称する)(配列番号27)は、α-1,2-分岐を生成することができることを明らかにしている(例えば、本明細書に参照により組み込まれる国際公開第2015/183714号パンフレットの実施例1を参照)(以下の実施例6も参照)。GTF-J18T1(配列番号27)は、グルカン結合ドメインの1部分とCD2を含んでいるに過ぎない。これは、GTF-J18由来のCD2(「GTF-J18-CD2」)が、α-1,6-連結多糖基質上でα-1,2-分岐を触媒することができることを示唆している。
【0279】
GTF-J18-CD2配列(配列番号28)を、GENBANKタンパク質データベースの非冗長バージョンに対するBLASTへのクエリーとして使用した。BLASTにより、BLAST High Scoring Segment中のGTF-J18-CD2配列(配列番号28)と50%超同一として、40の配列が報告された。UCSCからのSAMスイート(SAM:サンタクルス大学(UC Santa)のKarplusグループにより公開されたHMMツールのパッケージ;SAMのアルゴリズムは、Karplus et al.,Bioinformatics 14:846-856,1998に記載されている)からのTARGET2Kプログラムを用いて、40の配列を整列させた。整列した領域内でGTF-J18-CD2配列(配列番号28)と少なくとも60%同一であった13の配列(配列番号1~13)が、α(1,2)結合を有するグルカンを形成することができるポリペプチド候補として選択され、本明細書に開示されている。
【0280】
実施例2
ラクトバシラス・アニマリス(Lactobacillus animalis)KCTC3501グルコシルトランスフェラーゼGTF8117の発現
GI番号335358117(旧)(新GI番号948839227;GENBANK Acc.No.KRM57462.1)の推定グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子、LanGtf1をラクトバシラス・アニマリス(Lactobacillus animalis)KCTC3501(本明細書では「GTF8117」)から同定した。GTF8117タンパク質は、SignalP4.0(Petersen et al.,Nature Methods 8:785-786,2011)により予測された37アミノ酸シグナルペプチドを有する。これは、GTF8117が、分泌されたタンパク質であることを示している。GTF8117の成熟タンパク質をコードする遺伝子配列は、枯草菌(Bacillus subtilis)中での発現のためにコドン最適化された。この遺伝子は、Generay(Shanghai,China)により合成され、p2JM103BBIプラスミド(Vogtentanz,Protein Expr.Purif.55:40-52,2007)に挿入されて、pZZH561プラスミドが得られた。pZZH561は、(5’から3’方向に)aprEプロモーター、枯草菌(Bacillus subtilis)中のタンパク質分泌を指令するために使用されるaprEシグナル配列をコードする配列、標的タンパク質の分泌を促進するAla-Gly-Lysをコードするオリゴヌクレオチド、ならびに標的タンパク質をコードする合成遺伝子を含む。
【0281】
シグナルペプチドなしでGTF8117を発現するために別の発現プラスミド、pDCQ1004を構築した。TlatターミネーターとのGTF8117コード配列のPCR増幅のためのテンプレートとして、プラスミドpZZHB561を使用した。aprEプロモーターを有するが、シグナル配列コード領域は含まない枯草菌(B.subtilis)組み込み発現プラスミド、p4JHのSpeIおよびBamHI部位にPCR産物をクローン化した。得られたpDCQ1004プラスミドは、配列番号29を含み、これは、N末端メチオニンが付加された成熟GTF8117(配列番号30)をコードする。pDCQ1004を用いて、枯草菌(B.subtilis)BG6006細胞を形質転換して、GTF8117(配列番号30)を発現させた。枯草菌(B.subtilis)宿主BG6006株は、9つのプロテアーゼ欠失(amyE::xylRPxylAcomK-ermC、degUHy32、oppA、ΔspoIIE3501、ΔaprE、ΔnprE、Δepr、ΔispA、Δbpr、Δvpr、ΔwprA、Δmpr-ybfJ、ΔnprB)を含む。5μg/mLのクロラムフェニコールを添加したLBプレート上に形質転換細胞を塗布した。これらのプレート上で増殖させたコロニーを、25μg/mLのクロラムフェニコールを含むLBプレート上に数回線状に塗布した。得られた増幅コロニーを、25μg/mLのクロラムフェニコールを含むLB中で6~8時間にわたり増殖させた後、Grant’s II培地に継代培養し、30℃で2~3日間増殖させた。培養物を4℃、15,000gで30分間旋回させ、回収した上清(細胞自己溶解のために、可溶性細胞内タンパク質を含有することが予想された)を0.22μmフィルターで濾過した。濾過した上清を等分し、-80℃で凍結し、後にp-ヒドロキシ安息香酸ヒドラジン(PAHBAH)アッセイに使用して、酵素活性を決定した。PAHBAHアッセイで最も高い活性を有する上清を含むクローン(SG1024株と呼ぶ)を、発酵用のシードバイアル作製のために使用した。
【0282】
GTF8117(配列番号30)のさらなる生成を実施例4で実施した。
【0283】
実施例3
ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)M18グルコシルトランスフェラーゼGTF6831の発現
推定グルコシルトランスフェラーゼ(旧GI番号345526831、新GI番号490287001;GENBANK Acc.No.WP_004182667.1)をストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)M18から同定した。この酵素は、本明細書で「GTF6831」と呼ばれ、1600アミノ酸残基を有し、最初の42残基は、SignalP4.1プログラムによってネイティブシグナルペプチドであると予想されている。GenScript USA Inc.(Piscataway,NJ)により、GTF6831(配列番号32)の成熟タンパク質をコードする遺伝子ヌクレオチド配列を合成した。aprEプロモーターおよび枯草菌(B.subtilis)AprEシグナルペプチドをコードする配列の下で、枯草菌(Batillus subtilis)組み込み発現プラスミドp4JHのNheIおよびHindIII部位に、合成配列(配列番号31)をクローン化した。構築物をまず大腸菌(E.coli)DH10Bに形質転換し、アンピシリン(100μg/mL)を含むLB上で選択した。確認された構築物、pDCQ990-5は、成熟GTF6831グルコシルトランスフェラーゼ(配列番号32)の発現を可能にした。次に、pDCQ990-5を、9つのプロテアーゼ欠失(amyE::xylRPxylAcomK-ermC、degUHy32、oppA、ΔspoIIE3501、ΔaprE、ΔnprE、Δepr、ΔispA、Δbpr、Δvpr、ΔwprA、Δmpr-ybfJ、ΔnprB)を含む枯草菌(B.subtilis)BG6006に形質転換し、クロラムフェニコール(5μg/mL)を含むLBプレート上で選択した。これらのプレート上で増殖させたコロニーを、25μg/mLのクロラムフェニコールを含むLBプレート上に数回線状に塗布した。得られた枯草菌(B.subtilis)発現株、SG1190の複数のコロニーを、25μg/mLのクロラムフェニコールを含むLB培地中で6~8時間にわたり増殖させた後、Grant’s II培地に継代培養し、30℃で2~3日間増殖させた。培養物を4℃、15,000gで30分間旋回させ、上清を0.22μmフィルターで濾過した。濾過した上清を等分し、-80℃で凍結し、後にPAHBAHアッセイに使用して、酵素活性を決定した。最も高いPAHBAH活性を有するクローンを、発酵用のシードバイアル作製のために選択した。
【0284】
GTF6831(配列番号32)のさらなる生成を実施例5で実施した。
【0285】
実施例4
枯草菌(B.subtilis)中でのGTF8117グルコシルトランスフェラーゼの生成
pDCQ1004プラスミドを含む、9プロテアーゼ-ノックアウト枯草菌(B.subtilis)、comK株であるSG1204株を用いて、GTF8117グルコシルトランスフェラーゼ(配列番号30)を生成した。初めに、10g/Lのソイトン、5g/Lの酵母エキス、10g/LのNaCl、10g/Lのグルコースおよび10mg/Lのクロラムフェニコール抗生物質を含有する40mLのシード培地中でSG1204の凍結バイアルを増殖させた。増殖温度は、30℃、初期pHは7.2であった。40mLのシード培地を含む250mLシードフラスコを30℃のシェーカー-インキュベーター内に配置し、300rpmで2.83時間混合した。その後、接種材料は、0.33単位のOD(600nm)まで増殖した。30mLの増殖シード培地を用いて、7リットルの発酵培地を含む生成容器に接種した。
【0286】
発酵培地は、5g/Lのコーンスティープ固形物、8g/Lのリン酸一ナトリウム一水和物、8g/Lのリン酸カリウム一水和物、4.2g/Lの硫酸マグネシウム七水和物、0.3g/Lの硫酸第一鉄七水和物、0.2g/Lの塩化マンガン四水和物、0.1g/Lの塩化カルシウム二水和物(dehydrate)および2.06mL/Lの消泡剤、FOAM BLAST882を含有した。
【0287】
下記の操作条件を設定した:30℃、pH7.2、および25%溶存酸素。発酵ランは、初めにバッチモードで実施し、10g/Lの残留グルコース濃度で開始した。15.3時間の発酵時間が経過して残留グルコースがほぼ枯渇したとき、フェドバッチモードの開始によって連続グルコース供給を開始した。69%v/vNHOH溶液(20%のNH含有率)を用いて、pHを制御した。40.6時間の発酵時間が経過するまでグルコースを供給し、650g/Lのグルコース濃度で約1593グラムを送達した。40.6時間で、グルコース供給を停止したが、残留グルコースを完全に消費させるために、他の操作条件は約30分間維持した。次に、発酵時間が41.1時間の時点で、33℃までの発酵操作温度の上昇、空気流の完全な停止、200rpmへの攪拌速度の減速、pH制御条件の上昇でグルコース停止を補償することによって、ランの溶解部を開始したところ、連続8時間以内に完全なインサイチュ細胞溶解が起こった。発酵ランは、開始から49.1時間後に終了した。
【0288】
ラン終了ブロスの上清を回収し、スクロースの消費速度および対応するフルクトースの生成速度を測定することによって、GTF8117(配列番号30)の存在についてHPLCにより分析した。この生化学アッセイでは、4.64mgのGTF8117/mL(472U/mL、スクロース消費に基づく)および4.25mgのGTF8117/mL(フルクトース生成に基づく)が測定された。上清を-80℃で保存した。
【0289】
この実施例で生成されたGTF8117(配列番号30)を、α-1,2-分岐酵素の基質として用いるグルカンを合成するために下記の実施例の1つまたは複数で使用した。
【0290】
実施例5
枯草菌(B.subtilis)中でのGTF6831グルコシルトランスフェラーゼの生成
pDCQ990-5プラスミドを含む、9プロテアーゼ-ノックアウト枯草菌(B.subtilis)、comK株であるSG1190株を用いて、GTF6831グルコシルトランスフェラーゼ(配列番号32)を生成した。シードフラスコ培地、発酵培地、および操作条件は全て、実施例4に概説したものと同じであった。発酵ランは、53時間持続した。細胞溶解は発酵時間が41時間経過後に開始し、12時間持続した。送達したグルコース供給の総量は、2147グラムの50%w/w溶液であった。
【0291】
溶解後、上清を回収し、残留スクロースの消費速度および対応するフルクトースの生成速度を測定することによって、酵素GTF6831(配列番号32)の存在についてHPLCにより分析した。この生化学アッセイでは、108.7U/mLの上清が測定された。溶解物の遠心分離によって、114.5U/mLの活性を有する上清が生成され;上清を-80℃で保存した。
【0292】
この実施例で生成されたGTF6831(配列番号32)を、α-1,2-分岐酵素の基質として用いるグルカンを合成するために下記の実施例の1つまたは複数で使用した。
【0293】
実施例6
切断型グルコシルトランスフェラーゼ、GTFJ18T1の発現、およびそのα-1,2-分岐活性の試験
以下の実施例は、完全長グルコシルトランスフェラーゼ、およびこの酵素の切断型の大腸菌(E.coli)における発現、ならびにグルカン骨格に対するそれぞれのα-1,2-分岐活性の試験を記載する。完全長グルコシルトランスフェラーゼは、α-1,2-分岐がほとんどないグルカンを生成したのに対し、切断型のグルコシルトランスフェラーゼは、有意な量のα-1,2-分岐を含むグルカンを生成した。
【0294】
ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)亜種メセンテロイデス(mesenteroides)J18(GTFJ18と称する)由来の推定グルコシルトランスフェラーゼ(旧GENBANK(登録商標)gi:356644413、新gi:504090610、Acc.No.WP_014324604.1)は、2771アミノ酸を有する(配列番号1)。これは、キムチから単離されたJ18株の完全ゲノムシーケンシングからグリコシルヒドロラーゼとして同定された(Jung et al., J. Bacteriol. 194:730, 2012)。GTFJ18の完全長配列は、ロイコノストック・メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)NRRLB-1299(GENBANK(登録商標)gi:23320943、Acc.No.CAD22883.1)由来のDsrEタンパク質(2835アミノ酸長)と68.6%のアミノ酸同一性を有する。DsrEタンパク質は、2つの触媒ドメインを含む二官能価タンパク質であることが判明している(Bozonnet et al.,J.Bacteriol.184:5763,2002)。第1触媒ドメイン「CD1」は、α-1,6結合の合成を触媒し、第2触媒ドメイン「CD2」は、α-1,2-結合の合成を触媒する。CD1およびCD2ドメインは、グルカン結合ドメイン「GBD」によって隔てられている(Fabre et al.,J.Bacteriol.187:296,2005)。DsrEおよびGTFJ18タンパク質のCD1ドメインは、79.3%のアミノ酸同一性を共有し、2つのタンパク質のCD2ドメインは、76.6%のアミノ酸同一性を共有する。
【0295】
GTFJ18(配列番号1)のN末端の20アミノ酸は、SignalP4.0プログラム(Petersen et al.,)によりシグナルペプチドとして推定された。完全長GTFJ18発現プラスミドを構築するために、シグナルペプチドなしで成熟タンパク質をコードするDNAがGenScript USA Inc.により合成された。合成遺伝子をpET23D+ベクター(NOVAGEN(登録商標);Merck KGaA,Darmstadt,Germany)のNheIおよびHindIII部位中にサブクローン化した。また、C末端CD2ドメインおよびGBDドメインの一部を含有するGTFJ18の切断型(GTF18T1と称する)(配列番号27)をコードするポリヌクレオチド(全体で配列番号1の1665~2771アミノ酸残基を含む)もpET23D+ベクター中にサブクローン化した。完全長(配列番号1)または切断型(配列番号27)GTFJ18タンパク質のいずれかをコードする遺伝子配列を担持するプラスミドを大腸菌(E.coli)BL21DE3宿主細胞中に形質転換することによって、それぞれ、EC0059およびEC0059T1が得られた。EC0059およびEC0059T1の細胞をOD約0.5まで増殖させた後、37℃にて、1mM IPTGで3時間誘導するか、あるいは23℃で一晩誘導した。4000×gで10分の遠心分離により細胞を回収し、pH6.8のPBSバッファーに懸濁させた。14,000psig(約96.53MPa)のフレンチプレスに2回通過させることにより細胞を破壊し、15,000×gで20分の遠心分離により細胞残屑をペレット化した。各粗酵素エキスの上清を等分してから、-80℃で凍結した。
【0296】
ストレプトコッカス・クリセティ(Streptococcus criceti)HS-6(GENBANK(登録商標)Acc No.WP_004226213.1、旧gi:357235604)に由来し、また国際公開第2015/183714号パンフレット(この文献では、SG1018グルコシルトランスフェラーゼまたはGtfHS6とも呼ばれる)に開示されているグルコシルトランスフェラーゼ、GTF5604のグルカン生成物に対して、各酵素(GTFJ18またはGTFJ18T1)のα-1,2-分岐活性を個別に試験した。GTF5604(配列番号33)は、SignalP4.0プログラムによりそのシグナルペプチドとして推定されたN末端36アミノ酸を含む1338アミノ酸を有する。そのネイティブシグナルペプチドを含む完全長GTF5604(配列番号33)をコードするネイティブヌクレオチド配列(GENBANKAcc No.NZ_AEUV02000002.1の1289627位~1293643位)をGenScriptにより合成し、枯草菌(B.subtilis)aprEプロモーターの下で複製バシラス(Bacillus)発現プラスミドpHYT(タカラバイオ株式会社、大津、日本)のSpeIおよびHindIII部位にクローン化した。まず、構築物を大腸菌(E.coli)DH10B中に形質転換し、アンピシリン(100μg/mL)プレート上で選択した。確認されたクローン、pDCQ918を枯草菌(Bacillus subtilis)株BG6006(amyE::xylRPxylAcomK-ermC、degUHy32、oppA、ΔspoIIE3501、ΔaprE、ΔnprE、Δepr、ΔispA、Δbpr、Δvpr、ΔwprA、Δmpr-ybfJ、ΔnprB)中に形質転換し、テトラサイクリン(12.5μg/mL)プレート上で選択した後、SG1018と称する形質転換細胞をまず、10μg/mLのテトラサイクリンを含むLBプレート上で増殖させ、次に、12.5μg/mLのテトラサイクリンを含むGrant’s II培地に継代培養し、37℃で2~3日間増殖させた。培養物を4℃、15,000×gで30分間旋回させ、上清を0.22μmフィルターで濾過した。100g/Lのスクロース、10mMクエン酸ナトリウムpH5および1mM CaClと一緒に、10%(v/v)のSG1018上清を含有するグルカン合成反応を開始した。37℃で6時間後、反応物中のスクロースは全部消費され;グルカン生成物は、約3000の分子量を有し、ほぼ100%のα-1,6結合から構成された。グルカン合成反応物を95℃で30分間の熱不活性化に付した。
【0297】
分岐反応は、70%(v/v)の熱不活性化グルカン合成反応物を用いて開始した。上記のグルカン生成物、GTFJ18またはGTFJ18T1からの分岐活性について試験する酵素は、それぞれ、40g/Lのスクロースを含むEC0059またはEC0059T1から上記で調製された粗細胞エキスの10%(v/v)として供給した。各分岐反応物を37℃または30℃で22時間インキュベートし、スクロース消費についてHPLCにより、結合プロフィールについてはNMRによって生成物を分析した。
【0298】
5mm低温トリプルレゾナンスパルス磁場勾配プローブを用い、Hについて500MHzで作動するAgilent DD2分光計(Agilent Technologies,Inc., Santa Clara,CA)でNMRデータを取得した。「presat」実験における残留水シグナルの共鳴に観測送信機周波数を注意深く合わせた後、フルフェーズ(full phase)サイクル(32の倍数)およびミックス時間10msのNOESY実験の第1の部分を用いて、水抑制を達成した。一次元Hスペクトルは、スペクトル幅6410Hz、取得時間5.1s、65536データポイント、4sプレサチュレーションおよび90度観測パルスで取得した。シグナル平均化は、典型的に、64スキャンの蓄積を要した。サンプル温度は25℃に維持した。
【0299】
内部化学シフト標準として12.4mM 4,4-ジメチル-4-シラペンタン-1-スルホン酸ナトリウム塩(DSS)を含有する60μLのD2O、および総量560μLのためのDOの残り(450または400μL)と一緒に、5mmNMR管に50または100μLいずれかの完了分岐反応物を添加することによって液体サンプルを調製した。DSSメチル共鳴は0ppmに設定した。
【0300】
様々なアノマー結合についての化学シフト割り当ては、Goffin et al.(Bull Korean Chem.Soc.30:2535,2009)から採用した。α-1,6骨格に対するα-1,2分岐に特有の割り当ては、Maina et al.(Carb.Res.343:1446,2008)から採用した。α-1,6骨格でのα-1,2置換(すなわち、α1-2,6結合)は、置換部位に隣接するアノマーHについて特徴的な化学シフト(5.18ppm)をもたらす。1,2結合糖(5.10ppm)のアノマーHは、反応混合物中ではロイクロースにより覆い隠されるが、精製済サンプル中では直接観察される。
【0301】
GTFJ18を含む分岐反応の生成物は、97%のα-1,6結合と、わずか0.6%のα-1,2結合を含んだ。GTFJ18T1(配列番号27)を含む分岐反応の生成物は、82%のα-1,6結合と、18%のα-1,2結合を含んだ。このように、切断型酵素、GTFJ18T1(配列番号27)は、その完全長対応物であるGTFJ18と比較して、はるかに高いα-1,2分岐活性を示した。本明細書のいずれかの理論にも拘束される意図はないが、この結果は、完全長GTFJ18中のCD1ドメインが、非常に活性で、スクロース基質についてCD2分岐ドメインと競合したことによると考えられる。
【0302】
したがって、GTFJ18T1(配列番号27)は、有意なα-1,2分岐活性を有するため、グルカン基質の構造を修飾するために使用することができる。この酵素のさらなる生成を実施例7で実施した。
【0303】
実施例7
大腸菌(E.coli)を用いた、GTFJ18T1 1,2-分岐酵素の生成
プラスミド内に標的酵素の遺伝子情報を含むBL21DE3大腸菌(E.coli)株であるEC0059T1株を用いて、実施例6に開示したGTFJ18T1 1,2-分岐酵素(配列番号27)を生成した。初めに、10g/Lの酵母エキス、16g/Lのトリプトン、5g/LのNaCl、グルコースなし、および100mg/Lのアンピシリン抗生物質を含有する260mLのシード培地中でEC0059T1の凍結バイアルを増殖させた。増殖温度は、30℃、初期pHは6.8であった。2つの発酵容器に接種するための260mLのシード培地を含む1Lシードフラスコをシェーカー-インキュベーター内に配置し、250rpmで3.7時間混合した。その後、接種材料は、4.0単位のOD(600nm)まで増殖した。125mLの増殖シード培地を用いて、7リットルの発酵培地を含む生成容器の各々に接種した。
【0304】
発酵培地は5g/Lの酵素エキス、5g/Lのリン酸二水素カリウム、1.9g/LのNaCl、1.0g/LのTWEEN-80および0.1mL/LのBIOSPUMEX 153K消泡剤を含有した。容器/ブロス滅菌の前にこれらの成分を添加した。滅菌サイクルが完了し、操作温度がその設定値で水平化した後、無菌操作によって、下記の化合物を添加した:2/4g/Lの硫酸マグネシウム七水和物、50mg/Lの硫酸第一鉄七水和物、100mg/Lの塩化カルシウム二水和物(dehydrate)、10mL/LのNIT微量元素カクテル、100mg/Lのアンピシリン抗生物質および10g/Lのグルコース。NIT微量元素カクテル溶液は、以下のものを含有した:10g/Lのクエン酸一水和物、2g/Lの硫酸マンガン一水和物、2g/Lの塩化ナトリウム、0.5g/Lの硫酸第一鉄七水和物、0.2g/Lの硫酸亜鉛七水和物、20mg/Lの硫酸銅五水和物、20mg/Lのモリブデン酸ナトリウム二水和物(dehydrate)および2.94mg/Lの塩化カルシウム二水和物。
【0305】
発酵ランは、30℃、pH6.8、および25%溶存酸素で制御した。初めに、発酵ランは、最初の5時間にわたってバッチモードで実施し、10g/Lの残留グルコース濃度で開始した。5時間の発酵時間が経過後、連続グルコース供給を開始すると共に、フェドバッチモードを開始した。非常に低い残留グルコース濃度(<0.1g/L)を維持することを目標にして注意深くグルコースを供給した。17時間の発酵時間で、IPTGをブロスに添加し、0.5mMの残留濃度を達成することによってGTFJ18T1タンパク質(配列番号27)の生成を誘導した。誘導は、一方の実験では7時間、他方では16時間持続した。この間、極めて低い残留グルコース濃度(<0.1g/L)を維持しながら、グルコースの供給を続けた。
【0306】
2つの発酵の終了(それぞれ、24および33時間)後、2リットルボトルを用いたRC-12遠心機中の約9kgの発酵ブロスから細胞ペレットを回収した。細胞ペーストを回収しやすくするために、2枚のプラスチックバッグ1セットをボトル内に配置した。6728RCFで20分間遠心分離を実施した。液体をバッグからデカントした後、細胞ペレットを-80℃で冷凍し;計1943gの凍結ペーストを回収した。続いて、凍結ペーストを3.2リットルのバッファー(50mMリン酸カリウム、pH6.0)に添加し、ペーストが解凍したら、得られた細胞懸濁液を、圧力約850バールで作動するAPV-100ホモジナイザーを用いて均質化した。ホモジネートを氷上で冷却した後、6つの1リットル遠心ボトル中にデカントした。ボトルを5890RCFのRC-3遠心機内で1時間旋回させた。上清をボトル中にデカントし、-80℃で冷凍保存し;2つの発酵ラン溶解物上清のアリコートを、スクロースからフルクトースへの変換速度を測定することによって、標的酵素、GTFJ18T1(配列番号27)の存在について分析した。生化学アッセイにより、2つの発酵について、それぞれ5.8U/mLおよび9.90U/mLの活性酵素が測定された。SS34ローターを用いて12,000rpmで5.8U/mL上清の2回目の遠心分離により、5.0U/mLGTFJ18T1活性を有する清澄化上清が生成された(-80℃で冷凍保存)。
【0307】
この実施例で生成されたGTFJ18T1(配列番号27)は下記の実施例の1つ又は複数で使用した。
【0308】
実施例8
フルクトバシラス・トロパエオリ(Fructobacillus tropaeoli)F214-1グルコシルトランスフェラーゼ、FtrGtf1(GTF9905)の配列
グルコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FtrGtf1は、フルクトバシラス・トロパエオリ(Fructobacillus tropaeoli)F214-1から同定された。FtrGtf1遺伝子の核酸配列(GENBANK Acc.No.DF968096.1、配列番号17)、およびFtrGtf1遺伝子によりコードされる想定タンパク質のアミノ酸配列(GENBANK Acc.No.GAP05007.1、gi 902949905、配列番号4、本明細書では「GTF9905」)は、NCBIデータベース内で見出された。配列番号4の1部分は、上の実施例1に開示した分析で配列番号28と整列したため、GTF9905を推定α-1,2分岐酵素として同定した。成熟、分泌形態GTF9905は、配列番号4の36位~1672位と一致する。
【0309】
実施例9
成熟GTF9905(FtrGtf1)を発現する配列
GTF9905(フルクトバシラス・トロパエオリ(Fructobacillus tropaeoli)F214-1由来のGtf1)の成熟型をコードするヌクレオチド配列を枯草菌(Bacillus subtilis)中での発現のためにコドン最適化して、配列番号34を得た。この配列は、Generay(Shanghai,China)により合成され、これをp2JM103BBIプラスミド(Vogtentanz,Protein Expr.Purif.55:40-52,2007)中に挿入すると、pZQ2-CRC08152-FtrGtf1プラスミドが得られた。pZQ2-CRC08152-FtrGtf1は、(5’から3’方向に)aprEプロモーター、枯草菌(Bacillus subtilis)中のタンパク質分泌を指令するために使用されるaprEシグナル配列をコードする配列、標的タンパク質の分泌を促進するためのAla-Gly-Lysをコードするオリゴヌクレオチド、ならびにGTF9905の成熟型(すなわち、配列番号4の36位~1672位)をコードする合成配列(配列番号34)を含む。
【0310】
プラスミドpZQ2-CRC08152-FtrGtf1を用いて、枯草菌(B.subtilis)細胞を形質転換し、形質転換細胞を、5ppmのクロラムフェニコールを添加したルリア寒天(Luria Agar)プレート上に塗布した。PCRおよびシーケンシングによって確認される通り、正しい挿入を含むコロニーを選択し、GTF9905生成のための発酵に付した。
【0311】
実施例10
GTF9905(FtrGtf1)の生成
正しい挿入を含む枯草菌(B.subtilis)形質転換コロニーを選択して5ppmのクロラムフェニコールを添加したルリア(Luria)ブロス培地に導入し、一晩増殖させた。この培養物の30μLを、5ppmのクロラムフェニコールを添加した30mLのGrant’s II培地を含有する250mL振盪フラスコ中に接種して、これを250rpmで振盪しながら、30℃で48時間インキュベートした。得られた培養物上清を4℃、24,000×gで1時間の遠心分離により回収した後、0.22μmフィルターで濾過した。
【0312】
GTF9905を含有する上清を初めに、透析チュービング(Thermo product ♯68100)中の50mM KHPOpH6.8バッファーで透析した後、透析した上清をFREEZONE 6凍結乾燥システム(Labconco)を用いて凍結乾燥させてから、-80℃で保存した(22.5U/mL)。
【0313】
この実施例で生成されたGTF9905は、下記の実施例の1つ又は複数で使用した。
【0314】
実施例11
GTF8117およびGTF6831酵素活性アッセイ
GTF8117およびGTF6831のグルコシルトランスフェラーゼ活性アッセイは、25g/Lのデキストリン(MW約1500、Sigma-Aldrich,Cat.#31394)の存在下、pH5.5の25mM酢酸バッファー中の200g/Lのスクロースと一緒に各GTF酵素を37℃で、125rpmのオービタルシェーキングをしながらインキュベートすることによって実施した。1アリコートの反応混合物を1h、2hおよび3hインキュベーション時間後に取り出し、90℃で5分間加熱することによって、GTFを不活性化した。13,000×gで5分間の遠心分離により不溶性物質を除去した後、0.22μmナイロン膜を介した濾過を実施した。得られた濾過物を、85℃のAMINEX HPX-87Cカラムシリーズ(Bio-Rad,Hercules,CA)を備えるHPLCにより分析して、スクロース濃度を定量した。各時点でのスクロース濃度を反応時間に対してプロットし、線形プロットの傾きから初期反応速度を決定した。1単位のGTF活性は、アッセイ条件下で1分間に1マイクロモルのスクロースを消費するのに必要な酵素の量として定義した。
【0315】
実施例12
GTF9905およびGTFJ18T1酵素の1,2-分岐活性アッセイ
1,2-分岐酵素GTF9905およびGTFJ18T1についてのグルコシルトランスフェラーゼ活性アッセイは、デキストリン40K(Sigma-Aldrich Cat#1662-100G)の存在下、pH5.5の50mM酢酸バッファー中の100g/Lのスクロースと一緒に各酵素を30℃で、125rpmのオービタルシェーキングをしながら、インキュベートすることによって実施した。1アリコートの反応混合物を1h、2hおよび3hインキュベーション時間後に取り出し、90℃で5分間加熱することによって、酵素を不活性化した。13,000×gで5分間の遠心分離により不溶性物質を除去した後、0.2μmナイロン膜を介した濾過を実施した。得られた濾過物を、85℃のAMINEX HPX-87Cカラムシリーズ(Bio-Rad,Hercules,CA)を備えるHPLCにより分析して、スクロース濃度を定量した。各時点でのスクロース濃度を反応時間に対してプロットし、線形プロットの傾きから初期反応速度を決定した。1単位のGTF1,2-分岐活性は、アッセイ条件下で1分間に1マイクロモルのスクロースを消費するのに必要な酵素の量として定義した。
【0316】
実施例13
グルコシルトランスフェラーゼGTF8117およびα-1,2分岐酵素GTF9905の段階的組み合わせによる可溶性α-1,2分岐状多糖の生成
最初に、1,2分岐酵素の基質として本実施例の第2部で使用するグルカンを生成するために、反応を実施した。スクロース(488g/L)およびGTF8117(実施例4、9.4U/mL)から構成される反応混合物(20mL)を6.0N塩酸でpH5.5に調節し、47℃で攪拌した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間の加熱によりクエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。6h後、反応混合物を90℃で30分間加熱し、熱処理反応混合物のアリコートを遠心分離し、得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖(DP8+)について分析した(表1)。DP8+多糖は、100%のα-1,6結合を含むことがわかった。
【0317】
【表2】
【0318】
次に、第1の反応の生成物からα-1,2分岐を行うために、第2の反応を実施した。第2の反応混合物は、上で調製した5.84mLの熱処理済第1反応混合物と、2.92mLのスクロース溶液(脱イオン水中600g/Lのスクロース;最終スクロース濃度175g/L)、0.67mLの0.75M酢酸ナトリウムバッファー(pH5.5、50mM最終濃度)、0.070mLの脱イオン水、およびα-1,2分岐酵素GTF9905(実施例10;最終GTF9905濃度1.13U/mL)含有の0.50mLの遠心分離細胞溶解物を混合した後、30℃で攪拌することによって調製した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。76.2h後、反応混合物を90℃で20分間加熱し、熱処理反応混合物のアリコートを遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖について分析し(表2)、HNMR分光法により分析して、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定した(表3)。
【0319】
【表3】
【0320】
【表4】
【0321】
したがって、GTF9905は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できる。
【0322】
実施例14
グルコシルトランスフェラーゼGTF6831およびα-1,2分岐酵素GTF9905の段階的組み合わせによる可溶性α-1,2分岐状多糖の生成
最初に、1,2分岐酵素の基質として本実施例の第2部で使用するグルカンを生成するために、反応を実施した。スクロース(488g/L)およびGTF6831(実施例5、4.6U/mL)構成される反応混合物(20mL)を6.0N塩酸でpH5.5に調節し、47℃で攪拌した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。24.5h後、反応混合物を90℃で30分間加熱し、熱処理反応混合物のアリコートを遠心分離し、得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖(DP8+)について分析した(表4)。
【0323】
【表5】
【0324】
次に、第1の反応の生成物からα-1,2分岐を行うために、第2の反応を実施した。第2の反応混合物は、上で調製した5.84mLの熱処理済第1反応混合物と、2.92mLのスクロース溶液(脱イオン水中600g/Lのスクロース;最終スクロース濃度175g/L)、0.67mLの0.75M酢酸ナトリウムバッファー(pH5.5、50mM最終濃度)、0.070mLの脱イオン水、およびα-1,2分岐酵素GTF9905(実施例10;最終GTF9905濃度1.13U/mL)含有の0.50mLの遠心分離細胞溶解物を混合した後、30℃で攪拌することによって調製した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。76.2h後、反応混合物を90℃で20分間加熱し、熱処理反応混合物のアリコートを遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖について分析し(表5)、HNMR分光法により分析して、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定した(表6)。
【0325】
【表6】
【0326】
【表7】
【0327】
したがって、GTF9905は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0328】
実施例15
グルコシルトランスフェラーゼGTF6831およびα-1,2分岐酵素GTFJ18T1の段階的組み合わせによる可溶性α-1,2分岐状多糖の生成
最初に、1,2分岐酵素の基質として本実施例の第2部で使用するグルカンを生成するために、反応を実施した。スクロース(488g/L)およびGTF6831(実施例5、4.6U/mL)構成される反応混合物(20mL)を6.0N塩酸でpH5.5に調節し、47℃で攪拌した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。22.5h後、反応混合物を90℃で30分間加熱し、熱処理反応混合物のアリコートを遠心分離し、得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖(DP8+)について分析した(表7)。
【0329】
【表8】
【0330】
次に、第1の反応の生成物からα-1,2分岐を行うために、第2の反応を実施した。第2の反応混合物は、上で調製した5.84mLの熱処理済第1反応混合物と、2.09mLのスクロース溶液(脱イオン水中600g/Lのスクロース;最終スクロース濃度125g/L)、0.67mLの0.75M酢酸ナトリウムバッファー(pH5.5、50mM最終濃度)、およびα-1,2分岐酵素GTFJ18T1(実施例7、最終GTFJ18T1濃度0.70U/mL)含有の1.40mLの遠心分離細胞溶解物を混合した後、30℃で攪拌することによって調製した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。51.5h後、反応混合物を90℃で30分間加熱し、熱処理反応混合物のアリコートを遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖について分析し(表8)、HNMR分光法により分析して、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定した(表9)。
【0331】
【表9】
【0332】
【表10】
【0333】
したがって、GTFJ18T1は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0334】
実施例16
グルコシルトランスフェラーゼGTF8117およびα-1,2分岐酵素GTF9905の同時組み合わせによる可溶性α-1,2分岐状多糖の生成(1)
54mM酢酸バッファー、pH5.5中にスクロース(450g/L)、GTF8117(実施例4、0.944U/mL;)、およびα-1,2分岐酵素GTF9905(実施例10、1.06U/mL)を含む反応混合物を30℃で攪拌した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。74h後、反応混合物を90℃で20分間加熱し、遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖(DP8+)について分析し(表10)、また、HNMR分光法により分析して、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定した(表11)。
【0335】
【表11】
【0336】
【表12】
【0337】
したがって、GTF9905は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0338】
実施例17
グルコシルトランスフェラーゼGTF8117およびα-1,2分岐酵素GTF9905の同時組み合わせによる可溶性α-1,2分岐状多糖の生成(2)
54mM酢酸バッファー、pH5.5中のスクロース(500g/L)、GTF8117(実施例4、2.83U/mL)、およびα-1,2分岐酵素GTF9905(実施例10、3.17U/mL)構成される反応混合物を30℃で攪拌した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。28.5h後、反応混合物を90℃で20分間加熱し、遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖(DP8+)について分析し(表12)、また、HNMR分光法により分析して、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定した(表13)。
【0339】
【表13】
【0340】
【表14】
【0341】
したがって、GTF9905は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0342】
実施例18
グルコシルトランスフェラーゼGTF8117およびα-1,2分岐酵素GTFJ18T1の同時組み合わせによる可溶性α-1,2分岐状多糖の生成(1)
54mM酢酸バッファー、pH5.5中のスクロース(450g/L)、GTF8117(実施例4、0.944U/mL)、およびα-1,2分岐酵素GTFJ18T1(実施例7、1.06U/mL)構成される反応混合物を30℃で攪拌した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。71h後、反応混合物を90℃で20分間加熱し、遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖(DP8+)について分析し(表14)、また、HNMR分光法により分析して、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定した(表15)。
【0343】
【表15】
【0344】
【表16】
【0345】
したがって、GTFJ18T1は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0346】
実施例19
グルコシルトランスフェラーゼGTF8117およびα-1,2分岐酵素GTFJ18T1の同時組み合わせによる可溶性α-1,2分岐状多糖の生成(2)
54mM酢酸バッファー、pH5.5中にスクロース(450g/L)、GTF8117(実施例4、0.472U/mL)、およびα-1,2分岐酵素GTFJ18T1(実施例7、1.06U/mL)構成される反応混合物を30℃で攪拌した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。131h後、反応混合物を90℃で20分間加熱し、遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖(DP8+)について分析し(表16)、また、HNMR分光法により分析して、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定した(表17)。
【0347】
【表17】
【0348】
【表18】
【0349】
したがって、GTFJ18T1は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0350】
実施例20
α-1,2分岐状多糖の単離および特性決定
200g/Lのスクロース、および9.44U/mLのGTF8117(実施例4)を含有する4つの500mL反応物(1~4)をpH5.5に調節し、ロータリーシェーカ上で、47℃で18h混合した。予定時間に各生成物混合物のアリコートを取り出し、90℃で20分間加熱し、約25℃まで冷却させた後、遠心分離し;得られた上清をHPLCにより分析して、スクロースから直鎖状α-1,6-デキストリン多糖への変換中に存在するスクロース、グルコース、フルクトース、およびロイクロースの濃度を決定した(表18)。18h後、4つの反応混合物を90℃で20分間加熱し、約25℃まで冷却させた後、遠心分離し;得られた上清を合わせて、α-1,2-グルコシル分岐をα-1,6-結合デキストリン多糖に付加する後の反応(以下)に使用するまで5℃で保存した。
【0351】
【表19】
【0352】
2つの250mLジャケット付きレジンケトル各々に、100mLの上記からのGTF8117反応生成物上清(最終濃度:スクロースから得られた総溶解固形物の80g/L)、33.3mLの600g/Lスクロースストック溶液(最終濃度:80g/Lのスクロース)、および91.7mLの蒸留水を充填した。混合物をインサイチュで80℃に30分間加熱してから、30℃まで冷却した後、25mLのGTFJ18T1酵素溶液(実施例7、0.5U/mL最終GTFJ18T1濃度)を添加し、直ちに、0.5%水酸化ナトリウムでpHを5.5に調節した(これらの2つの反応は、以下で反応1および2と呼ぶ)。必要に応じて、反応混合物中に0.5%水酸化ナトリウムを供給する蠕動ポンプと連結したpH電極を用いて、反応物pHを5.5に連続的に制御した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。44h後、各反応混合物(反応1および2)を90℃で20分間加熱し、遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖についてHPLCにより分析し(表19);HNMR分光法により、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定し(表20);また、分子量についてサイズ排除クロマトグラフィーにより分析した(表21)。
【0353】
【表20】
【0354】
【表21】
【0355】
【表22】
【0356】
したがって、GTFJ18T1は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0357】
反応1および2からの上清を合わせ、その中のα-1,2分岐状多糖を精製し、5-kDa分子量カットオフ(MWCO)ポリエーテルスルホン(PES)膜(Pall Centramate(商標)LV)を用いた限外濾過(UF)により単離した。UF濃縮液のHPLC分析は、検出可能な単糖、二糖またはDP2-DP8オリゴ糖を示さなかった。UF濃縮液を約5重量%溶解固形物に調節し、得られた溶液を凍結乾燥して、乾燥固形物として、可溶性α-1,2分岐状多糖を生成した。固体多糖生成物をHNMR分光法により(表22)、およびGC/MSにより分析して、多糖のアノマー結合を決定した(表23)。
【0358】
【表23】
【0359】
【表24】
【0360】
実施例21
α-1,2分岐状多糖の単離および特性決定
2つの250mLジャケット付きレジンケトル各々に、100mL上の実施例20の第1部で生成されたGTF8117反応生成物上清(最終濃度:80g/Lのスクロース由来総溶解固形物)、33.3mLの600g/Lスクロースストック溶液(最終濃度:80g/Lスクロース)、および91.7mLの蒸留水を充填した。混合物をインサイチュで80℃に30分間加熱してから、30℃まで冷却した後、25mLのGTFJ18T1酵素溶液(実施例7、0.5U/mL最終GTFJ18T1濃度)を添加し、直ちに、0.5%水酸化ナトリウムでpHを5.5に調節した(これらの2つの反応は、以下で反応3および4と呼ぶ)。必要に応じて、反応混合物中に0.5%水酸化ナトリウムを供給する蠕動ポンプと連結したpH電極を用いて、反応物pHを5.5に連続的に制御した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。4h後、各反応混合物(反応3および4)を90℃で20分間加熱し、遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖についてHPLCにより分析し(表24);HNMR分光法により、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定し(表25);また、分子量についてサイズ排除クロマトグラフィーにより分析した(表26)。
【0361】
【表25】
【0362】
【表26】
【0363】
【表27】
【0364】
したがって、GTFJ18T1は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0365】
反応3および4からの上清を合わせ、その中のα-1,2分岐状多糖を精製し、5-kDa分子量カットオフ(MWCO)ポリエーテルスルホン(PES)膜(Pall Centramate(商標)LV)を用いた限外濾過(UF)により単離した。UF濃縮液のHPLC分析は、検出可能な単糖、二糖またはDP2-DP8オリゴ糖を示さなかった。UF濃縮液を約5重量%溶解固形物に調節し、得られた溶液を凍結乾燥して、乾燥固形物として、可溶性α-1,2分岐状多糖を生成した。固体多糖生成物をHNMR分光法により(表27)、およびGC/MSにより分析して、多糖のアノマー結合を決定した(表28)。
【0366】
【表28】
【0367】
【表29】
【0368】
実施例22
α-1,2分岐状多糖の単離および特性決定
2つの250mLジャケット付きレジンケトル各々に、175mLの上の実施例20の第1部で生成されたGTF8117反応生成物上清(最終濃度:140g/Lのスクロース由来総溶解固形物)、4.2mLの600g/Lスクロースストック溶液(最終濃度:10g/Lスクロース)、および45.8mLの蒸留水を充填した。混合物をインサイチュで80℃に30分間加熱してから、30℃まで冷却した後、25mLのGTFJ18T1酵素溶液(実施例7、0.5U/mL最終GTFJ18T1濃度)を添加し、直ちに、0.5%水酸化ナトリウムでpHを5.5に調節した(これらの2つの反応は、以下で反応5および6と呼ぶ)。必要に応じて、反応混合物中に0.5%水酸化ナトリウムを供給する蠕動ポンプと連結したpH電極を用いて、反応物pHを5.5に連続的に制御した。予定時間にアリコートを取り出し、90℃で20分間クエンチングした。得られた熱処理アリコートを遠心分離し、上清をHPLCにより分析して、スクロース、グルコース、フルクトース、ロイクロース、オリゴ糖および多糖の濃度を決定した。20h後、各反応混合物(反応5および6)を90℃で20分間加熱し、遠心分離した。得られた上清を可溶性単糖、オリゴ糖および多糖についてHPLCにより分析し(表29)、HNMR分光法により、オリゴ糖および多糖のアノマー結合を決定し(表30)、また、分子量についてサイズ排除クロマトグラフィーにより分析した(表31)。
【0369】
【表30】
【0370】
【表31】
【0371】
【表32】
【0372】
したがって、GTFJ18T1は、有意なα-1,2分岐活性を有し、グルカン基質の構造を修飾するために使用できることがさらに証明された。
【0373】
反応5および6からの上清を合わせ、その中のα-1,2分岐状多糖を精製し、5-kDa分子量カットオフ(MWCO)ポリエーテルスルホン(PES)膜(Pall Centramate(商標)LV)を用いた限外濾過(UF)により単離した。UF濃縮液のHPLC分析は、検出可能な単糖、二糖またはDP2-DP8オリゴ糖を示さなかった。UF濃縮液を約5重量%溶解固形物に調節し、得られた溶液を凍結乾燥して、乾燥固形物として、可溶性α-1,2分岐状多糖を生成した。固体多糖生成物をHNMR分光法により(表32)、およびGC/MSにより分析して、多糖のアノマー結合を決定した(表33)。
【0374】
【表33】
【0375】
【表34】
【0376】
実施例23
マウスにおける血糖反応
スクリーニング試験の目的は、単回用量の後に雄マウスの血糖反応を評価することによって、GTF8117およびGTFJ18T1を用いて、それぞれ生成されたサンプル105-1(実施例20)、サンプル105-2(実施例21)、およびサンプル105-3(実施例22)の消化性を評価することである。7グループの雄C57B1/6マウスは各々、3つの試験物質(サンプル105-1、-2、もしくは-3)、陽性もしくは負の対照物質、またはビヒクル対照の1つを単回用量で摂取した。血糖値測定器を用いて、血糖レベルを測定するために、尾静脈から血液を採取した。試験物質曝露の日に複数の読み取り値を取得した。
【0377】
経口投与経路は、それが意図されるヒトへの曝露経路であり、正確な用量を投与するのに最も効率的な方法であるために選択される。グループの12匹の若い成体雄C57B1/6Jマウスに、下記の処置の1つを強制経口投与により投与した:試験物質(サンプル105-1、サンプル105-2、もしくはサンプル105-3)、正の対照物質(グルコース[データを示す]、もしくはα-1,2分岐鎖のないα-1,3-連結グルカン[データは示さない])、負の対照物質(Litesse(登録商標)Ultra)、またはビヒクル対照(脱イオン水)。用量レベルは、水対照を除く全ての処置について2000mg/kgであり、水対照は、他の処置と同じ用量(10mL/kg)で投与した(表34)。
【0378】
毎日の水の強制補給および投与前の複数回のベースライン血糖値測定器読み取りを含む試験手順に動物を付した後、実験を実施した。3回のベースライン血糖値測定器読み取りは、投与前の約1時間以内に実施し(投与前測定1~3)、3回の読み取り各々の間、および3回目の読み取りと投与との間に約20分の間隔を置いた。約20、40、60、および120分後に投与後血糖値測定器読み取りを実施した。ALPHA TRAK2血糖値測定器を用い、滅菌針で尾静脈を刺すことにより採取した少なくとも0.3マイクロリットルの血液中のグルコースを測定した。0~2時間にわたる曲線下面積(AUC)を計算した。滑らかな曲線の予測モデルではなく、一連の台形を一緒に付加することによってAUCを計算した。最終ベースライン値は、計算の目的で「投与後0分」として示した。
【0379】
試験の条件下で、強制経口投与による2000mg/kgのサンプル105-1またはサンプル105-2の投与は、血糖の増加を全く引き起こさず;血糖反応は、Litesse(登録商標)Ultra食物繊維または脱イオン水と類似していた(表35)。強制経口投与による2000mg/kgのサンプル105-3の投与は、遊離グルコース(正の対照)によって誘導されたもの(α-1,2分岐鎖のないα-1,3-連結グルカンは、グルコースによって誘導されたものと酷似する血糖反応を誘導した[データは示さない])よりも緩徐な開始および低いピーク値の血糖反応を起こした。血糖反応(すなわち、血糖レベルの統計学に有意な増加)は、最大用量2000mg/kgのこれらの物質の消化性の有望な指標であると考えられる。
【0380】
【表35】
【0381】
【表36】
【0382】
したがって、サンプル105-3は、本明細書の緩徐なグルコース放出グルカン組成物として特性決定することができ、サンプル105-1および105-2は、食物繊維特性を有するものとして特性決定することができる。サンプル105-3が、10%未満のα-1,2分岐を有する(実施例22)のに対し、サンプル105-1および105-2はそれぞれ15%を超えるα-1,2分岐を有する(実施例20~21)ことは、注目すべきである。
【0383】
実施例24
ヨーグルト/飲用スムージーの調製
以下の実施例に、本発明のα-1,2分岐状グルカンを含有するヨーグルト/飲用スムージーの調製を記載する。
【0384】
【表37】
【0385】
ステップ番号 手順
ペクチン溶液形成
1 配合水(formula water)の50%を160°F(約71.1℃)に加熱する。
2 高せん断力を用いて、ペクチンを分散させ;10分間混合する。
3 濃縮果汁およびヨーグルトを添加し;ヨーグルトが分散するまで5~10分間混合する。
【0386】
タンパク質スラリー
1 140°F(60℃)でバッチ水の50%を導入し、SUPRO XT40を添加し、十分に混合する。
2 170°F(約76.7℃)に加熱し、15分間保持する。
3 タンパク質溶液にペクチン/ジュース/ヨーグルトスラリーを添加し;5分間混合する。
4 フルコース、グルカン、フレーバーおよび着色料を添加し;3分間混合する。
5 リン酸を用いてpHを所望の範囲(4.0~4.1のpH範囲)に調節する。
6 間接蒸気(IDS)装置を用いて、2500/500psig(17.24/3.45MPa)で加熱した後、UHT均質化により、7秒間の224°F(約106.7℃)で超高温(Ultra High Temperature)(UHT)処理。
7 ボトル内の生成物を回収し、氷浴中で冷却させる。
8 生成物を冷却条件で保存する。
【0387】
実施例25
α-1,2分岐状グルカンを含む水調製物の調製
以下の実施例に、増強された水組成物の調製を記載する。
【0388】
【表38】
【0389】
ステップ番号 手順
1 乾燥材料を添加し、15分間混合する。
2 残りの乾燥材料を添加し;3分間混合する。
3 配合に示す通り、クエン酸を用いて3.0+/-0.05にpHを調節する。
4 2500/500psig(17.24/3.45MPa)での均質化により、224°F(約106.7℃)で7秒間超高温(Ultra High Temperature)(UHT)処理。
5 ボトル内の生成物を回収し、氷浴中で冷却させる。
6 生成物を冷却条件で保存する。
【0390】
実施例26
スプーナブルヨーグルト配合物の調製
以下の実施例に、α-1,2分岐状グルカンを含むスプーナブルヨーグルトの調製を記載する。
【0391】
【表39】
【0392】
ステップ番号 手順
1 基材の液状乳に乾燥材料を添加し;5分間混合する。
2 195°F(約90.6℃)で30秒間低温殺菌し、2500psig(約17.24MPa)で均質化した後、105~110°F(約40.6~43.3℃)まで冷却させる。
3 培養物を接種し;穏やかに混合し、ウォーターバッチまたはホットボックスに108°F(約42.2℃)で、pHが4.5~4.6に到達するまで添加する。
【0393】
果実プレップ手順
1 バッチタンクに水を添加し;140°F(約60℃)に加熱する。
2 炭水化物および安定剤をプレブレンドする。バッチタンクに添加し、十分に混合する。
3 酸を添加し、pHを所望の範囲(目標pH3.5~4.0)まで低下させる。
4 フレーバーを添加する。
5 冷却および冷凍する。
【0394】
実施例27
モデルスナックバー配合物の調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含むモデルスナックバーの調製を記載する。
【0395】
【表40】
【0396】
ステップ番号 手順
1 コーンシロップを液体グルカン溶液と合わせる。シロップをマイクロ波で10秒間温める。
2 ミキシングボール中でシロップと油および液体フレーバーを合わせる。速度2で1分間混合する。
3 ボールに全部の乾燥材料を添加し、速度1で45秒間混合する。
4 さらに30秒間、または生地が混ざるまで、こすり取り、混合する。
5 チョコレートコーティング材を溶かす。
6 チョコレートコーティング材でバーを完全にコーティングする。
【0397】
実施例28
ウエハースの調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含むウエハースの調製を記載する。
【0398】
【表41】
【0399】
ステップ番号 手順
1.高せん断力で水、油およびCITREMを20秒間せん断する。
2.乾燥材料をゆっくりと添加し、高せん断力で2~4分間せん断する。
3.残りの生地を60分間せん断する。
4.200℃に設定したホットプレートに生地の両面を置き、1分30秒間焼成する。
5.可能な限り早く冷却パックができるようにする。
【0400】
実施例29
ソフトチョコレートチップクッキーの調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含むソフトチョコレートチップクッキーの調製を記載する。
【0401】
【表42】
【0402】
ステップ番号 手順
1.ステージ1材料を一緒に高速で1分間クリーム状にする。
2.ステージ2と低速で2分間ブレンドする。
3.ステージ3を低速で20秒間添加する。
4.ボールの底をこすり取り;ステージ4を低速で20秒間添加する。
5.30gの部分に分け、平たく延ばして、シリコーン裏装焼成トレーに載せる。
6.190℃で約10分間焼成する。
【0403】
実施例30
低脂肪ショートクラストペストリー生地の調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含む低脂肪ショートクラストペストリー生地の調製を記載する。
【0404】
【表43】
【0405】
ステップ番号 手順
1.小麦粉、塩およびグルカン(乾燥)を乾燥ブレンドする。
2.混合物が細かいパン粉のようになるまで、穏やかに油脂に練り込む。
3.滑らかな生地が得られるように十分な水を加える。
【0406】
実施例31
低糖シリアルクラスターの調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含む低糖シリアルクラスターの調製を記載する。
【0407】
【表44】
【0408】
ステップ番号 手順
1.細粒を細かく刻む。
2.シリアルミックスを計量し、細粒を加える。
3.植物油をシリアルに加え、十分に混合する。
4.材料を溶解させることにより、シロップを調製する。
5.シロップを冷却させる。
6.所望の量のシロップをシリアルミックスに添加する。
7.シリアルの一様なコーティングを確実にするように、十分にブレンドする。
8.トレー上に広げる。
9.乾燥器/オーブン内に配置し、乾燥させる。
10.静置して完全に冷却させた後、砕いてクラスターにする。
【0409】
実施例32
ペクチンゼリーの調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含むペクチンゼリーの調製を記載する。
【0410】
【表45】
【0411】
ステップ番号 手順
1.ペクチンとキシリトールを乾燥ブレンドする(コンポーネントA)。
2.溶液が沸騰し始めるまで、コンポーネントBを加熱する。
3.コンポーネントAを徐々に加えた後、完全に溶解するまで沸騰させる。
4.バッチが過剰に冷却しないように、コンポーネントCを除去に加える。
5.113℃まで沸騰させる。
6.<100℃まで冷却させ、着色料、フレーバーおよび酸(コンポーネントD)を添加する。直ちにデンプン型に注ぐ。
7.硬くなるまで静置し、デンプンから外す。
【0412】
実施例33
チュウイーキャンディーの調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含むチュウイーキャンディーの調製を記載する。
【0413】
【表46】
【0414】
ステップ番号 手順
1.グルカン、キシリトール、水、脂、GMSおよびレシチンを一緒に混合した後、穏やかに158℃まで加熱する。
2.90℃を下回るまで塊を冷却してから、ゼラチン溶液、フレーバー、着色料および酸を加える。
3.さらに冷却し、キシリトールCM50を加える。直ちに塊を5分間引っ張る。
4.再度塊を冷却させた後、処理する(切断およびラッピングまたはドロップローリング)。
【0415】
実施例34
コーヒーチェリーアイスクリームの調製
以下の実施例に、本明細書に開示するα-1,2分岐状グルカンを含むコーヒーチェリーアイスクリームの調製を記載する。
【0416】
【表47】
ステップ番号 手順
1.激しく攪拌しながら、乾燥材料を水に加える。
2.脂肪を溶かす。
3.40℃でミックスに脂肪を添加する。
4.200バール/70~75℃で均質化する。
5.80~85℃/20~40秒で殺菌する。
6.エージング温度(5℃)まで冷却する。
7.最小4時間のエージングを実施する。
8.ミックスにフレーバーを添加する。
9.所望のオーバーランまで(100%が推奨される)連続冷凍庫内で凍結させる。
10.硬化させ、-25℃で保存する。
【0417】
以上、本発明を要約すると下記のとおりである。
1.少なくとも水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを含む反応組成物であって、前記ポリペプチドが、以下:
(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;
(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または
(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列
と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む反応組成物。
2.(i)の前記配列が、以下:配列番号4の36位~1672位、配列番号1の21位~2771位、配列番号2の21位~2821位、配列番号3の41位~2844位、配列番号5の51位~1632位、配列番号6の51位~1318位、配列番号7の51位~1139位、配列番号8の51位~1463位、配列番号9の41位~2841位、配列番号10の46位~2580位、配列番号11の51位~1463位、配列番号12の21位~2824位、または配列番号13の21位~2771位を含む、上記1に記載の反応組成物。
3.(ii)の前記配列が、以下:配列番号4の36位~1115位、配列番号2の1715位~2821位、配列番号3の1735位~2834位、配列番号5の51位~1167位、配列番号6の93位~1178位、配列番号7の51位~1130位、配列番号8の51位~1158位、配列番号9の1735位~2841位、配列番号10の1274位~2413位、配列番号11の51位~1158位、配列番号12の1715位~2821位、または配列番号13の1665位~2771位を含む、上記1に記載の反応組成物。
4.前記α-グルカン基質が、少なくとも3の重合度を有し、少なくとも(i)α-1,6グリコシド結合または(ii)α-1,6およびα-1,3グリコシド結合を含む、上記1に記載の反応組成物。
5.α-1,2結合を含むグルカン組成物を生成する方法であって、以下:
(a)少なくとも下記の反応成分:水、スクロース、α-グルカン基質、およびα-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖を形成することができるポリペプチドを用意するステップであって、前記ポリペプチドが、以下:
(i)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列の成熟形態;
(ii)配列番号27、または配列番号27と整列する配列番号4、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、もしくは13のいずれか1つの部分配列;および/または
(iii)配列番号4、1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、および13からなる群から選択される配列
と少なくとも90%同一であるアミノ酸を含むステップ;
(b)前記ポリペプチドが、α-グルカン基質から少なくとも1つのα-1,2分岐鎖の合成を触媒する条件下で前記反応成分を合わせ、それによって、1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を形成するステップ;ならびに
(c)1つまたは複数のα-1,2結合を含むグルカン組成物を任意選択的に単離するステップ
を含む方法。
6.前記α-グルカン基質が、少なくとも3の重合度を有し、少なくとも(i)α-1,6グリコシド結合または(ii)α-1,6およびα-1,3グリコシド結合を含む、上記5に記載の方法。
7.前記α-グルカン基質とスクロースが、(b)において0.01:1~1:0.01(両端を含む)の比で存在する、上記5に記載の方法。
8.前記反応成分が、α-グルカノヒドロラーゼをさらに含む、上記5に記載の方法。
9.上記5に記載の方法によって生成される1つまたは複数のα-1,2-結合を含むグルカン組成物を含む組成物であって、好ましくは、前記組成物が、食品、医薬製品、パーソナルケア製品、住居用ケア製品または工業製品の形態にあり、任意選択的に、前記組成物は、約0.01~99重量%(乾燥固形物基準)の前記グルカン組成物を含む組成物。10.α-1,2結合を含む前記グルカン組成物が、水溶性であり、哺乳動物に供給されると、緩徐にグルコースを放出し、ここで、前記哺乳動物が、好ましくはヒトである、上記9に記載の組成物。
11.α-1,2結合を含む前記グルカン組成物が、10%未満のα-1,2分岐を含む、上記10に記載の組成物。
12.α-1,2結合を含む前記グルカン組成物が、水溶性であり、哺乳動物に供給されると、食物繊維として作用し、ここで、前記哺乳動物が、好ましくはヒトである、上記9に記載の組成物。
13.α-1,2結合を含む前記グルカン組成物が、少なくとも約15%のα-1,2分岐を含む、上記12に記載の組成物。
14.(i)前記組成物が、以下:シンバイオティクス、ペプチド、ペプチド加水分解物、タンパク質、タンパク質加水分解物、ダイズタンパク質、乳タンパク質、アミノ酸、ポリオール、ポリフェノール、ビタミン、ミネラル、ハーブ、ハーブエキス、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、フィトステロイド、ベタイン、カロテノイド、消化性酵素、およびプロバイオテック生物からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含み;好ましくは、前記組成物が、食料製品または医薬製品の形態をしており;および/または
(ii)前記組成物が、食料製品または医薬製品の形態をしており、以下:単糖、二糖、グルコース、スクロース、フルクトース、ロイクロース、コーンシロップ、高果糖コーンシロップ、異性化糖、マルトース、トレハロース、パノース、ラフィノース、セロビオース、イソマルトース、ハチミツ、メープルシュガー、果実由来甘味料、ソルビトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクトース、ニゲロース、コージビオース、キシリトール、エリスリトール、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α-グリコシルステビオシド、アセスルファムカリウム、アリテーム、ネオテーム、グリシルリジン、ソーマチン、スクラロース、L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル、サッカリン、マルトデキストリン、デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、デキストリン、可溶性トウモロコシ繊維、難消化性マルトデキストリン、分岐マルトデキストリン、イヌリン、ポリデキストロース、フルクト-オリゴ糖、ガラクト-オリゴ糖、キシロ-オリゴ糖、アラビノキシロ-オリゴ糖、ニゲロ-オリゴ糖、ゲンチオ-オリゴ糖、ヘミセルロース、フルクトースオリゴマーシロップ、イソマルト-オリゴ糖、充填剤、賦形剤、および結合剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに含む、
上記9に記載の組成物。
15.前記組成物が、洗剤組成物であり、前記組成物が、好ましくは、住居用ケア製品である、上記9に記載の組成物。
16.物質を哺乳動物に経腸投与するステップを含む方法であって、前記物質が、α-1,2結合を含むグルカン組成物を含み、前記投与によって、前記グルカン組成物がない代わりに、同量の易消化性グルコース含有炭水化物を含む物質が経腸投与された哺乳動物と比較して、低いか、または緩徐な血糖上昇を前記哺乳動物にもたらし、ここで、前記グルカン組成物は、上記5に記載の方法によって生成され、ここで、前記哺乳動物は、ヒトで
あり、また任意選択的に、前記易消化性グルコース含有炭水化物は、スクロースまたは遊離グルコースである方法。
17.摂取可能な製品を製造する方法であって、α-1,2結合を含むグルカン組成物を前記摂取可能な製品に組み込むステップを含み、ここで、得られた前記摂取可能な製品のグリセミック指数は、前記グルカン組成物を含まない摂取可能な製品と比較して、上昇しないか、またはわずかにしか上昇せず、ここで、前記グルカン組成物は、上記5に記載の方法によって生成される方法。
【配列表】
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