(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】電圧クローバ
(51)【国際特許分類】
H02H 9/04 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
H02H9/04 A
(21)【出願番号】P 2018544450
(86)(22)【出願日】2017-01-25
(86)【国際出願番号】 GB2017050189
(87)【国際公開番号】W WO2017144847
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-01-24
(32)【優先日】2016-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・ウラジミール・エスポジット
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第0862255(EP,A1)
【文献】米国特許第05144517(US,A)
【文献】特開昭58-006032(JP,A)
【文献】特表2009-535004(JP,A)
【文献】特開2012-253864(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102280869(CN,A)
【文献】特開昭53-048407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路障害状態中の電圧制限のための電圧リミッタ装置を備える電子バリア装置であって、前記バリア装置が、前記電圧リミッタ装置の両端をラッチし、前記回路障害状態における前記電圧リミッタ装置での電力消失を低減するように構成されたクローバ装置を含み、前記クローバ装置が、前記バリア装置において
感知要素により感知された電流の変化に応答してラッチするように構成され、
ヒューズを含み、前記感知された電流が、前記ヒューズを通った後の電流を含
み、
前記クローバ装置は、前記感知要素よりも下流の位置で前記電圧リミッタ装置の両端をラッチすることで、前記感知された電流を増加させる、バリア装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバリア装置の出力ライン内に制限抵抗器を含む、請求項1に記載のバリア装置。
【請求項3】
本質安全バリア機構を含む、請求項1または2に記載のバリア装置。
【請求項4】
前記クローバ装置が、前記電圧リミッタ装置の両端でラッチされると、前記電圧リミッタ装置内の無視できる電力消失を除く全ての電力消失を除去するように構成されている、請求項1、2、または3に記載のバリア装置。
【請求項5】
前記回路障害状態中の前記電力消失のほぼ全てが、前記クローバ装置の両端で生じるように構成されている、請求項4に記載のバリア装置。
【請求項6】
前記電圧リミッタ装置が、少なくとも1つのツェナー装置を備える、請求項1~5のいずれか1項以上に記載のバリア装置。
【請求項7】
前記バリア装置内部の非電圧リミッタ装置内の電力消失を低減するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項以上に記載のバリア装置。
【請求項8】
前記バリア装置の少なくとも1つの制限抵抗器における電力消失を低減するように構成されている、請求項7に記載のバリア装置。
【請求項9】
最大安全電圧の76%が、前記バリア装置の出力において有効電圧として利用可能である、請求項1に記載のバリア装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項以上に記載のツェナーバリア装置を含む、電子回路。
【請求項11】
隔離バリアを含む、請求項10に記載の電子回路。
【請求項12】
バリア装置の電圧リミッタ装置の両端でラッチし、前記電圧リミッタ装置での電力消失を低減するように構成されたクローバ装置であって、前記クローバ装置が、前記バリア装置において
感知要素により感知された電流の変化に応答してラッチするように構成され、
前記バリア装置がヒューズを含み、前記感知された電流が、前記ヒューズを通った後の電流を含
み、
前記クローバ装置は、前記感知要素よりも下流の位置で前記電圧リミッタ装置の両端をラッチすることで、前記感知された電流を増加させる、クローバ装置。
【請求項13】
前記電圧リミッタ装置の両端でラッチされると、前記電圧リミッタ装置における電力消失を停止するように構成されている、請求項12に記載のクローバ装置。
【請求項14】
前記電圧リミッタ装置が、少なくとも1つのツェナー装置を含む、請求項12または13に記載のクローバ装置。
【請求項15】
前記バリア装置内の非電圧リミッタ装置内の電力消失を低減するように構成されている、請求項12、13、または14のいずれか1項以上に記載のクローバ装置。
【請求項16】
前記バリア装置の少なくとも1つの制限抵抗器における電力消失を低減するように構成されている、請求項15に記載のクローバ装置。
【請求項17】
請求項12~16のいずれか1項以上に記載のクローバ装置を含む、電子回路。
【請求項18】
隔離バリアを含む、請求項17に記載の電子回路。
【請求項19】
回路障害状態中のバリア装置の電圧リミッタ装置における電力消失を低減する方法であって、前記電力消失を低減するために、前記電圧リミッタ装置の両端にクローバ装置をラッチするステップを含み、前記クローバ装置をラッチする前記ステップが、前記バリア装置にお
いて感知要素が電流の変化を感知することに応答して生じるものであり、
ヒューズ装置を通った後の電流の変化を感知するステップを含
み、
前記クローバ装置をラッチする前記ステップにおいて、前記感知要素よりも下流の位置で前記電圧リミッタ装置の両端に前記クローバ装置をラッチすることで、前記感知要素により感知される電流を増加させる、方法。
【請求項20】
前記クローバ装置が、前記電圧リミッタ装置の両端にラッチされると、前記電圧リミッタ装置内部の無視できる電力消失を除く全ての電力消失を除去する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記回路障害状態中の前記バリア装置における前記電力消失のほぼ全てが、前記クローバ装置の両端で生じる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電圧リミッタ装置が、少なくとも1つのツェナー装置を備える、請求項19~21のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項23】
前記バリア装置内部の非電圧リミッタ装置における電力消失を低減することを含む、請求項19~22のいずれか1項以上に記載の方法。
【請求項24】
前記バリア装置の少なくとも1つの制限抵抗器における電力消失を低減することを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧クローバとも呼ばれる電圧シャント装置に関し、具体的には、限定されないが、本質安全システムのためのバリア装置における電力消失低減に使用するための、隔離バリアまたはツェナーバリアにおいて見られるような電圧シャント装置に関する。
【0002】
バリア装置は、一般的には、電圧リミッタ、例えば電圧制限を提供するツェナー群と、ツェナーにおいて電流を制限するよう働くヒューズと、規定のツェナークランプ電圧で生じる出力電流を制限するように働く装置の出力レッグ上の制限抵抗器とを備える。ツェナーダイオード、及び抵抗器は、その最大定格の2/3以下で使用されなければならず、ヒューズは、その定格の1.7倍での持続電流でも、損なわれないままでいるよう考慮されなければならない。
【0003】
しかし、このような機構は、障害状態のツェナーにおける、すなわち、ツェナーが電圧をクランプしているときの電力消費が著しくなる可能性があり、特に、絶縁バリアまたはツェナーバリア装置に典型的な小さなエンクロージャでは、生成された熱を消失させにくい可能性があるため、問題を呈する可能性がある。
【0004】
例えば、上記の定格特性に言及すると、70mAの持続電流に対しては、100mAのヒューズを必要とする。出力電圧を最大20Vにする場合、20Vのツェナーが必要である。この機構は、障害状態で消失するための熱(0.1Ax1.7)x20V=3.4Wを生成し、そのためツェナーに対して5.1Wの連続的な定格を必要とする。そのような電力を消失させ、適切なツェナーを提供することは不可能かもしれない。このような電力消失の問題を軽減するために、既知の解決策は、いわゆる電圧クローバ装置を使用することである。そのような装置は、ツェナー最小電圧(ツェナー許容値による)に達する前にツェナーの電圧を検出するように動作し、その電圧が限度を超えると、ツェナーの両端でラッチ短絡回路が始動する。一例として、このような短絡回路は、クローバの両端に1Vを供給することができ、100mAx1.7の電流によって、クローバ装置における消失電力は、ツェナーで以前に発生した3.4Wと比較すると、わずか0.17Wである。
【0005】
現在の技術をさらに説明するために、
図1を参照すると、基本的なバリア装置の図が提供され、未画定の電流能力を有する未画定の電圧が入力104にあり、その電源のいくらかまたは全てが出力105上で利用可能であるようにされている。電圧は、最大値≦Vzを保証するために、ツェナー電圧Vzでツェナークランピング101を受ける。ここで、このことが電圧を保護し、一方で、電流を、制限抵抗器103を通過させることによって、出力105上で利用可能な最大電流を≦Vz÷Rlまで制限する。
【0006】
上記のように、そのような値は、以下の条件で有効に維持されるべきであり、全てのコンポーネントが、それらの電力パラメータで2/3定格でなければならない。したがって、ツェナーをこの規則に違反することから保護するために、直列ヒューズ102は、連続的な電流を公称ヒューズ値の1.7倍に制限する働きをする(その係数は安全であるとみなされ、標準として使用される)。実用上の理由から、ヒューズ定格は、少なくとも出力短絡回路電流と同じでなければならず、長期的な信頼性のために、安全係数を超えることが好ましい。
【0007】
これは、ツェナーが、データシートに指定されている最大許容連続電力の最大で2/3の連続電力にあった場合、低減された値(短絡回路が含まれる)でのみ障害を起こす可能性があり、増加された値(開回路が含まれる)では決して起こさないことを意味する。
【0008】
また、抵抗器が、データシートに指定されている最大許容連続電力の最大で2/3の連続電力にあった場合、増加された値(開回路が含まれる)でのみ障害を起こす可能性があり、低減された値(短絡回路が含まれる)では決してない。
【0009】
さらに、両方のコンポーネントタイプもまた、それらのデータシートに従って、潜在的な過渡電流の1.5倍に耐えることが可能でなければならない。
【0010】
またさらに、温度ディレーティングを適用しなければならず、分離距離が安全要件となる。
【0011】
最終的に、入力境界106から出力境界107までのバリア内の距離は、絶縁障壁のツェナーバリアの一部またはより複雑な機器、例えば隔離バリアの一部であることができ、それによって、出力境界の後に、本質的に安全な信号を利用できるようにすることができる。
【0012】
ツェナーの選択がこの用途のための実用的なツェナー装置に限定されている場合、かつほとんどの電力ツェナーが表面実装タイプの場合は3W連続型、またはリード部品の場合は5W連続型に制限されているため、消費される最大許容連続電力は、それぞれ2W及び3.3Wに制限される。
【0013】
しかし、障害状態では、消失を必要とする連続的な電力は、これらの値をかなり上回る可能性がある。
【0014】
制限要素がそのような電力に耐えることができたとしても、エンクロージャは発生した熱を放散することが可能ではない場合がある。
【0015】
これに対する既知の解決策は、ツェナーに過渡電流を吸収させることであるが、それらの定格を超える連続的な電力に遭遇すると、シャント要素がトリガしてツェナーを短絡し、ひいては安全ヒューズがとぶ。そして、これは、安全でない電力を消滅させる効果を有する。
【0016】
シャント素子はラッチ式であり、電力が除去される(主にヒューズがとぶとき)まで、オンに維持されなければならない。
【0017】
付加的に、ia回路及びib回路に対しては、依然として2つの計数可能な障害が発生する可能性があるため、シャントは3倍にして確実に構築しなければならない。
【0018】
障害状態において、電圧の値がツェナーの最小クランプ電圧に近づくと、ツェナーの両端にシャントまたは短絡が付与された場合、ヒューズがとぶ前に消費された唯一の電力は、この状況では入力電力×シャント電圧降下であり、結果として、さもなければツェナーにおいて消費されるより低い電力をもたらす。
【0019】
そのような既知のクローバ配置のさらなる詳細を
図2に示し、ここで、未画定の電流能力を有する未画定の電圧が入力204にあり、その電源のいくらかまたは全てが出力205上で利用可能である。再度、電圧は、最大値≦Vzを保証するために、ツェナークランピング201を受ける。ここで、このことが電圧を保護し、一方で、電流を、制限抵抗器203を通過させることによって、電流は、出力205上で利用可能な最大電流を≦Vz÷Rlまで制限する。
【0020】
しかしながら、かつクローバ機能によれば、入力電圧は、比較要素231によって基準電圧230と比較される。
【0021】
入力電圧が所定の安全値よりも高い場合、比較要素は、シャント要素220を閉じる。このシャント要素はラッチ型であり、その電流が除去されるまで閉じられたままにされる。
【0022】
ここで、最大電力は、たった(1.7×ヒューズ定格電流)x(閉鎖シャント電圧)である。
【0023】
ここで、そのようなシャントに関連付けられた動作範囲を例解する
図3を参照する。
【0024】
ツェナーは、公称電圧許容値301、302を有する。付加的に、公称ツェナー値は、温度とともに減少する。このことは、最大ツェナー電圧311であるVzhと、最小ツェナー電圧312であるVzlとを与える。Vzhは、本質安全出力205を説明するために使用される安全電圧305である。
【0025】
入電圧は、ノイズ341の影響を受けやすい。実質的に、シャントなしで、ノイズ範囲は、ツェナーが繰り返し導通することを防止するために、ツェナーの下に位置しなければならない。有効電圧は、最小ノイズレベル342であるVzuである。
【0026】
また、シャント回路は、動作許容範囲321を有する。典型的には、そのようなシャントシステムは、正の温度係数を有する。このことは、最大シャントトリガ電圧331であるVshと、最小シャントトリガ電圧332であるVslとを与える。
【0027】
シャントは、任意のツェナーが引き継ぐ前に動作しなければならないため、Vshは、小さな安全マージンを有するVzuよりも低くなければならない。
【0028】
シャントはラッチ回路であり、任意の入雑音でトリガされるべきではない。入電圧は、ノイズ351の影響を受けやすい。実質的に、ノイズ範囲は、ヒューズがとぶことを防止するために、シャント最小トリガ点Vslの下に位置する必要がある。有効電圧は、最小値ノイズレベル352であるVsuである。
【0029】
要素の値の例は、以下の通りである。
ヒューズ202:1A
ツェナー値201:全電圧10V
ツェナー許容値301、302:±5%(完全温度)
制限抵抗器203:20Ω
電圧ノイズレベル341、351:1V
シャントトリガ点許容値321:0.4V
シャント上電圧降下:1V
Vzh=10V+5%=10.5V Vzl=10V~5%=9.5V
安全マージン0.5Vで; Vzu=9.5V-0.5V-1V=8.0V
安全マージン0.5Vで; Vsh=8.0V-0.5V=7.5V
Vsl=7.5V-0.4V=7.1V
安全マージン0.5Vで; Vsu=7.1V-1V=6.1V
安全電圧最大305は、Vzh=10.5Vである
有効電圧最大325は、Vsu=6.1V(Vzhの58%)である
最大ツェナー電力(シャントなし):Pz=(10V+5%)×(1A×1.7)=17.8W
最大シャントオン電力:Ps=1V×(1A×1.7)=1.7W
【0030】
したがって、上記の例示的な値を参照して分かるように、利用可能な最大電圧の大部分は、製品の平滑な動作を確実にするために抑制されるため、使用することができない。最大定格安全電圧と利用可能な実質電圧との間には、より大きな間隔がある。
【0031】
付加的に、このことは、回路が3重であるため、高価なリファレンスの使用が費用を3倍に増加させることにつながる可能性があるため、特に不利であることが判明している。
【0032】
障害が生じた場合、これは任意の実質的な電流を取り、ヒューズの後の電圧が降下する可能性がある。これは、トリガ回路が起動する可能性が低いことを意味する。結果として、全てのシャント要素は、公称ヒューズ電流の1.7倍で利用可能な全電力を取ることが可能でなければならない。利用可能なツェナーは、そのように寸法決定されない場合があり、一方でシャント要素はその可能性がある。
【0033】
また、一連のツェナーにおいて、1つが短絡によって障害するかまたは低い値である場合、残りのツェナーは、そのシャントトリガ電圧の、より低い電圧においてクランプし得る。
【0034】
したがって、既知のクローバ装置の動作は、出力電圧が可能な限り高く、かつクランプ電圧が可能な限り低くなるように所望される場合、コストを3倍に増大させる可能性がある特に選択されたツェナーが必要とされるため、問題がありかつ制限される可能性がある。また、正確かつ安定したリファレンスが、電圧クローバ検出回路内部で、理想的には2重または3重に用いられなければならず、これは、さらなる費用を含意する。したがって、そのような既知の電圧ベースのクローバは、費用がかかり、かつそれらが許容値制限の直近で構成されるため過剰に感度が良くなることを証明する。
【0035】
したがって、本発明は、既知のかかる電圧クローバ装置を超える利点を有する電圧クローバ装置を提供することを模索している。
【0036】
本発明の一態様によれば、障害状態中の回路における電圧制限のための、例えばツェナーダイオードを用いる電圧リミッタを備える電子バリアが提供され、バリア装置は、電圧リミッタの両端をラッチし、回路障害状態における電圧リミッタでの電力消失を低減するように構成されたクローバ装置を含み、クローバ装置は、バリア装置において感知された電流に応答してラッチするように構成される。
【0037】
本発明は、電圧を検知する代わりに、ライン内の電流を感知することによって、クローバの動作が、電圧リミッタ許容値から独立している点において有利である。また、電流感知は、回路内で利用可能である幅広い電流範囲からの利点があり、これは、必要とされる電流を十分に上回り、電流感知において発生したそのような許容差は、電圧感知よりも本質的に大きい。
【0038】
一例として、電圧リミッタは、少なくとも1つのツェナー装置を備えることができる。
【0039】
これに基づいて、本発明のクローバ機能は、標準許容構成要素をもって実装されることができ、かつ低減された感度をさらに呈することができる。また、感度をさらに向上することができるが、これは、ツェナーオーバークランピング電圧に達する前に電圧スパイクが容易に生じる可能性がある一方で、最大電圧がツェナー画定され、それによって、例えばシリアル抵抗器の電圧によって制限されるため、電流スパイクが生じる可能性がないためである。
【0040】
好ましくは、バリア装置は、ヒューズ及び/または制限抵抗器を含む。そのような機構では、感知電流は、ヒューズを通過しているものを含むことができる。
【0041】
また、該装置は、有利には、本質安全バリアを備える。
【0042】
またさらには、クローバ装置は、ツェナー装置の両端でラッチされると、ツェナー装置内部の全ての電力消失を除去するように構成される。特に、電流は、クローバを介して分流され、周囲の1V前後またはそれ以下の残留電圧によって、電力消失が大幅に低減されることができる。
【0043】
本発明の別の態様によれば、バリア装置の電圧リミッタ、例えば少なくとも1つのツェナーの両端でラッチし、電圧リミッタ装置での電力消失を低減するように構成されるクローバ装置が提供され、クローバ装置は、バリア装置において感知された電流に応答してラッチするように構成される。
【0044】
本発明のさらに別の態様によれば、バリア装置の電圧リミッタ、例えば少なくとも1つのツェナーにおける電力消失を低減する方法が提供され、電圧リミッタにおける電力消失を低減するために、電圧リミッタの両端にクローバ装置をラッチするステップを含み、クローバ装置をラッチするステップが、バリア装置における電流を感知することに応答して生じる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
添付の図面を、例示のみを目的として参照しながら、本発明を以下にさらに記載する。
【0046】
【
図2】
図2は、本記載の一実施形態による、電圧クローバ装置を用いるバリア装置の回路図である。
【
図3】
図3は、シャントに関連付けられた動作範囲を例解する図である。
【
図4】
図4は、本記載の一実施形態による、電圧クローバ装置を用いるバリア装置の回路図である。
【
図5】
図5は、
図4に図示されたような電圧クローバ装置の動作許容値を例証する電圧図である。
【0047】
したがって、理解されるように、本発明は、入力電圧ではなく、感知された電流上でシャントをトリガすることを伴う。
【0048】
図4を参照すると、比較を容易にするために
図2の先行技術の機構と同様の構成を有し、未画定の電流能力を有する未画定の電圧が入力404にあり、その電源のいくらかまたは全てが出力405上で利用可能である。電圧は、この例証された例においては、最大値≦Vzを保証するために、ツェナークランピング401を含む電圧制限を受ける。ここで、このことが電圧を保護し、一方で、電流を、制限抵抗器403を通過させることによって、出力405上で利用可能な最大電流を≦Vz÷Rlまで制限する。
【0049】
加えて、入力電流は、抵抗器440を通して感知され、比較要素441によって評価される。入力電流が安全値よりも高い場合、比較要素は、シャント要素420を閉じる。このシャント要素は、有利にはラッチ型であり、その電流が除去されるまで閉じられたままにされる。付加的に、回路に起因して、シャントを閉じることは、結果的に、感知要素440を通る電流を増加させ、これはひいてはセルフラッチングしている。
【0050】
ここで、最大電力消失は、シャントの両端であり、たった(1.7×ヒューズ定格電流)×(閉鎖シャント電圧)である。このように、電圧を感知することによるのではなく、むしろ電流を検知することによって、電力が低減されている。すなわち、両方の電力が低減され、またクローバの起動のためのトリガも異なる。
【0051】
通常、ユーザは、短絡において出力を動作させないが、いくつかの有用なモードでは、これは、ヒューズを通して利用可能な最大電流をかなり下回る。これは、電流クランプが、有利には、公称ヒューズ値×1.7よりもはるかに低い値で動作することができることを意味する。
【0052】
かかるシャントの実用的な動作範囲の例を
図5に図示する。
【0053】
すなわち、ツェナーは、電圧許容値501、502を有する。付加的に、公称ツェナー値は、最大ツェナー電圧511であるVzhと、最小値ツェナー電圧512であるVzlとを与える温度とともに減少する。Vzhは、本質安全出力405を説明するために使用される安全電圧505である。
【0054】
入電圧は、ノイズ541の影響を受けやすい。実質的には、ノイズ範囲は、ツェナーが繰り返し導通することを防止するために、ツェナーの下に位置しなければならない。有効電圧は、最小ノイズレベル542であるVzuである。
【0055】
シャント回路は該電圧範囲で動作していないため、このことは、有効電圧Vsuが最小ノイズレベル542であることを意味する。
【0056】
実質的には、出力を最大動作電流570であるInまで動作させることが望ましい。電流モードでは、ノイズレベルは、電圧モードよりもはるかに低い。小さい電流ノイズ591と、電流トリガ上の小さな許容値561とを考慮しても、これは、最小電流トリガレベル571であるIslを、ノイズの非常に近くに位置することを可能にする。1つは公称電流トリガレベル581であるIsを、最大電流トリガレベル572であるIshの直後に設定することができる。
【0057】
以下は、比較のために、我々の従前の実施例と同じ値を使用して可能である場合の、例証を目的とした可能な値の例である。
ヒューズ402:1A
ツェナー値401:全電圧10V
ツェナー許容値501、502:±5%(完全温度)
制限抵抗器403:20Ω
電圧ノイズレベル541:1V
電流ノイズレベル541:0.1V
シャントトリガ点許容値521:±2%
Vzh=10V+5%=10.5V Vzl=10V-5%=9.5V
安全マージン0.5Vで: Vzu=Vsu=9.5V-0.5V-1V=8.0V
安全電圧最大505は、Vzh=10.5Vである
有効電圧最大542は、Vsu=8.0V(Vzhの76%)である
最大ツェナー電力(シャントなし):Pz=(10V+5%)×(1A×1.7)=17.8W
最大シャントオン電力:Ps=1V×(1A×1.7)=1.7W
利用可能な最大電流: In=10.5V÷20Ω=0.53A
安全マージン0.1A及び電流ノイズでは:
Isl=0.53A+0.1A+0.1A=0.73A Ish=0.73A+4%=0.76A
0.1Aの安全性マージンで: Is=0.76A+0.1A=0.86A
【0058】
本例では、利用可能な有効電圧が58%~76%に増大した、実質的なゲインを確認することができる。
【0059】
本技術分野と比較して、過電流トリガシャントの使用から、様々な利点が生じる。特に、バリア装置の出力において、さらなる電圧が利用可能である。また、最大定格安全電圧と利用可能な実質電圧との間には、より少ない間隔がある。
【0060】
入力電流値を参照して動作し、最大電流が、制限抵抗器に対する短絡によって画定されるため、トリガレベルをちょうどその入力電流外に設けることが容易である。回路は3重化されなければならず、そしてリファレンスに対する必要性がないため、総費用は、3重化に対するそのような必要性によって深刻な影響を受けない。
【0061】
また、障害が生じた場合、これは任意の実質的な電流を取り、ヒューズの後の電流が増加する可能性がある。これは、トリガ回路が起動することを意味する。結果として、全てのシャント要素が、公称ヒューズ電流の1.7倍で利用可能な全電力を取ることが必要とされてはならない。一連のツェナーにおいて、1つが短絡によって障害するかまたは低い値である場合、電流は、シャントトリガ値まで増大し、これによって自動的に安全となる。
【0062】
シャントトリガ電流を実用最大出力電流に非常に近く設定することによって、係数1.7による影響を受けることなく、ヒューズ定格に非常に近いかまたはそれより低くなる。
【0063】
様々な潜在的な障害のシナリオが、現在の技術にあるような電圧感知シャント、及び本発明の実施形態による電流感知シャントのそれぞれの反応を述べることによって、以下に概説される。
【0064】
まず、より低い値または短絡のいずれかにより、1つのツェナーが障害し得ることが想定される。次いで、電圧感知シャントに対して、シャントは、電圧が減少する可能性が高いと、また任意の他のツェナーが、利用可能な完全電力が利用可能であることを確認する。しかしながら、電流感知シャントによって、これはフェールセーフに維持されるが、これは、電流が上昇するとシャントが早期にトリガするためである。
【0065】
次に、1つのシャント要素が障害することが想定され、これは、いかなるモードでも障害する可能性がある。開放に失敗した場合、電圧感知シャントはフェールセーフに維持されるが、これは、シャントが3重化されるためである。同様の方法では、電流感知シャントに対しては、フェールセーフ動作は、シャントが再度3重化されるように保持される。
【0066】
1つのシャント要素が障害した場合、それは、いかなるモードでも障害する可能性がある。抵抗性または短絡に失敗した場合、その後電圧感知シャントに対して、該要素は、利用可能な電力の全てを取る必要がある場合がある。3重化は、電圧が減少する可能性が高いときには助けとならないため、トリガ作用は保証されない。しかしながら、電流感知シャントに対しては、該要素がより電流を取ることができるように、安全かつ安全ではなく、トリプリクルされたシャントの残りはトリガすることができる。
【0067】
さらに、1つの比較要素が障害した場合、それは、いかなるモードでも障害し、電圧感知シャントによって、シャントが3重化されるとフェールセーフモードに入るか、またはトリガされる。電流センサについては、再度、シャントが3重化されるとフェールセーフモードに維持されるか、またはトリガされる。
【0068】
1つのリファレンスが障害した場合、それは、いかなるモードでも障害し、上記のように、電圧シャントは、シャントが3重化されるとフェールセーフモードに入るか、またはトリガされる。リファレンスがないため、かかる障害モードでは、電流感知シャントは適用可能ではない。
【0069】
最後の例として、感知抵抗器は、障害の場合、より高い値または開で障害し、かかる場合、電圧感知シャントは適用可能ではない。しかしながら、電流感知シャントはフェールセーフにあり、シャントは、電流がより高いレベルで感知されるため、早期にトリガする。
【0070】
当然のことながら、本発明は、前述の実施形態の詳細に制限されないことが理解されるべきである。例えば、本発明は、ツェナーバリア装置自体に単独で組み入れられる必要はないが、バリア機構を回路の一体型の可能性のあるパーツとして使用する関連機器、例えば隔離バリア装置等に関連させることもできる。
【0071】
さらに、クローバは、付加的に、例えば制限抵抗器等のバリアの他の構成要素における電力を低減するようにさらに構成されることができる。