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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】車両用スイッチ装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 11/00 20060101AFI20220427BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20220427BHJP
   H01H 13/83 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
H01H11/00 B
H01H11/00 Q
H01H36/00 J
H01H13/83
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019064160
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020166960
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 英樹
(72)【発明者】
【氏名】万徳 善久
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-113388(JP,A)
【文献】特開平11-144556(JP,A)
【文献】実開平5-92931(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0101738(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 11/00
H01H 13/83
H01H 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ部材(2)と、内部に前記スイッチ部材(2)が配置された開口部(1a)が形成された基材(1)と、前記基材(1)の裏面側に配置された光源(3)と、前記基材(1)の表面側に積層され、前記光源(3)からの光(L)を透過させる透光領域(4a)が形成された表皮材(4)と、を備えた車両用スイッチ装置(SW)の製造方法であって、
前記基材(1)の表面側に前記透光領域(4a)が形成されていない状態の表皮材(4)を積層する積層ステップ(ST1)と、
前記積層ステップ(ST1)の後に、前記表皮材(4)に前記透光領域(4a)を形成する形成ステップ(ST2)と、
前記基材(1)の前記開口部(1a)内に前記スイッチ部材(2)を配置する配置ステップ(ST3)と、を含む
ことを特徴とする車両用スイッチ装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用スイッチ装置の製造方法において、
前記車両用スイッチ装置(SW)は、前記基材(1)と前記表皮材(4)との間に積層されかつ、前記基材(1)の前記開口部(1a)に対応する部分に開口部(5a)が形成されたクッション材(5)をさらに備え、
前記積層ステップ(1)では、前記基材(1)の表面側に前記クッション材(5)と前記透光領域(4a)が形成されていない状態の表皮材(4)とを積層する
ことを特徴とする車両用スイッチ装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された車両用スイッチ装置の製造方法において、
前記表皮材(4)は、遮光層(4b)と、前記遮光層(4b)の表面側又は裏面側に積層された透光層(4c)を有し、
前記形成ステップ(ST2)では、前記遮光層(4b)における前記透光領域(4a)に対応する部分を除去することで前記透光領域(4a)を形成する
ことを特徴とする車両用スイッチ装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スイッチ装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両用スイッチ装置が開示されている。このスイッチ装置は、光透過性を有するシート部材(透光層)と、このシート部材よりも下層に設けられ、所定の領域(透光領域)を除いて遮光するマスクプレート(遮光層)と、点灯時にマスクプレートの下層側から前記所定の領域を照らし、この所定の領域を通してシート部材上にスイッチ操作の操作位置を示す表示を浮かび上がらせる光源と、マスクプレートよりも下層に設けられ光源から前記所定の領域を照らす光を通すための導光孔(開口部)が設けられた基材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5212229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前記特許文献1では、所定の領域がマスク印刷されたマスクプレートを基材に積層することで、車両用スイッチ装置を製造することが考えられる。
【0005】
しかし、マスクプレートを積層する際に、マスクプレートの透光領域を基材の導光孔に正確に位置合わせすることが難しく、透光領域の位置ずれが生じやすいという問題があった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、透光領域の位置ずれを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、この発明では、透光領域が形成されていない状態の表皮材を基材の表面側に積層した後に、透光領域を表皮材に形成することとした。
【0008】
具体的に、第1の発明は、スイッチ部材と、内部に前記スイッチ部材が配置された開口部が形成された基材と、前記基材の裏面側に配置された光源と、前記基材の表面側に積層され、前記光源からの光を透過させる透光領域が形成された表皮材と、を備えた車両用スイッチ装置の製造方法であって、前記基材の表面側に前記透光領域が形成されていない状態の表皮材を積層する積層ステップと、前記積層ステップの後に、前記表皮材に前記透光領域を形成する形成ステップと、前記基材の前記開口部内に前記スイッチ部材を配置する配置ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記車両用スイッチ装置は、前記基材と前記表皮材との間に積層されかつ、前記基材の前記開口部に対応する部分に開口部が形成されたクッション材をさらに備え、前記積層ステップでは、前記基材の表面側に前記クッション材と前記透光領域が形成されていない状態の表皮材とを積層することを特徴とする。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記表皮材は、遮光層と、前記遮光層の表面側又は裏面側に積層された透光層を有し、前記形成ステップでは、前記遮光層における前記透光領域に対応する部分を除去することで前記透光領域を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、基材の表面側に透光領域が形成されていない状態の表皮材を積層する積層ステップの後に、表皮材に透光領域を形成する形成ステップを行うので、表皮材において基材の開口部に対応する位置に確実に透光領域を形成でき、透光領域の位置ずれを抑制することができる。
【0012】
第2の発明によれば、車両用スイッチ装置は、基材と表皮材との間に積層されるクッション材をさらに備えるので、表皮材が基材の表面側に直接積層されている場合と比較して、スイッチのクッション性を向上させることができる。
【0013】
ところで、車両用スイッチ装置において、基材と表皮材との間にクッション材が積層されていると、クッション材の厚さの分だけ基材と表皮材とが離間する。このため、透光領域が形成された表皮材を基材に積層させる製造方法では、基材と表皮材とが離間している分、表皮材の透光領域を基材の開口部に正確に位置合わせするのがさらに難しくなり、透光領域の位置ずれがさらに生じやすくなる。
【0014】
ここで、第2の発明では、基材の表面側にクッション材と透光領域が形成されていない状態の表皮材とを積層する積層ステップの後に、表皮材に透光領域を形成する形成ステップを行うので、クッション材の厚さの分だけ基材と表皮材とが離間していても、透光領域の位置ずれを抑制することができる。
【0015】
第3の発明では、表皮材は、遮光層と、遮光層の表面側又は裏面側に積層された透光層とを有し、形成ステップでは、遮光層における透光領域に対応する部分を除去することで透光領域を形成するので、遮光層を除去するという比較的簡単なステップで、透光領域を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係る製造方法によって製造された車両用スイッチ装置を備えたインストルメントパネルを示す斜視図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】積層ステップを示す断面図である。
図4】形成ステップを示す断面図である。
図5】配置ステップを示す断面図である。
図6】組立ステップを示す断面図である。
図7】実施形態2に係る図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
(実施形態1)
―車両用スイッチ装置の構成―
本発明に係る車両用スイッチ装置(以下、単にスイッチ装置という)SWは、図1に示すように、車両のインストルメントパネルPの右側のエアコン吹出口Aの真下のクラスタースイッチを構成している。
【0019】
図2は、スイッチ装置SWを示す図1のII-II断面図である。なお、以下では、図2の上下方向を表裏方向と、図2の上側を表面側と、図2の下側を裏面側と、図2の左右方向を車両高さ方向と、図2の紙面と垂直な方向を車幅方向という場合がある。
【0020】
スイッチ装置SWは、基材1と、スイッチ部材2と、基材1の裏面側に配置された光源3と、基材1の表面側に積層され、光源3からの光Lを透過させる透光領域4aが形成された表皮材4と、基材1と表皮材4との間に積層されたクッション材5とを備えている。
【0021】
―基材―
基材1は、表裏方向視で矩形状で且つ略板状に形成されている。基材1は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)等の樹脂から形成されている。基材1は、遮光性を有している。
【0022】
基材1には、内部にスイッチ部材2が配置された表裏方向視で矩形状の開口部1aが形成されている。この開口部1aの外周縁部には、基材1の表面側に突出する突出壁部1bが一体に形成されている。
【0023】
基材1は、その裏面側に配置された表裏方向視で略矩形状の基板6に取付固定されている。この基板6は、その部品面を基材1の裏面側に対向させた状態で配置されている。基材1には、その裏面側に突出する複数の固定部1c(図2では2つ表示)が一体に形成されており、これら固定部1cが複数のタッピングネジS(図2では2つ表示)によって基板6に取付固定されている。
【0024】
基材1には、その裏面側に突出する、スイッチ部材2が収容される収容壁部1dが一体に形成されている。この収容壁部1dは、表裏方向視で開口部1aを取り囲むように矩形状に形成されている。
【0025】
―スイッチ部材―
スイッチ部材2は、基材1の開口部1a内に進退可能に設けられている。スイッチ部材2は、基材1の表裏面に平行な、表裏方向視で矩形状の底壁部2aと、この底壁部2aの外周縁部からその裏面側に突出して基材1の開口部1a内に収容される、表裏方向視で矩形状の第1側壁部2bと、この第1側壁部2bの裏面側端部から表裏方向と直交する車両高さ方向及び車幅方向の外側に突出する、表裏方向視で矩形状の段差部2cと、この段差部2cの外周縁部からその裏面側に突出して基材1の収容壁部1d内に収容される、表裏方向視で矩形状の第2側壁部2dとを有している。底壁部2aの表面位置は、スイッチ部材2が押圧されていない通常時においてクッション材5の表面位置と表裏方向で同じ位置である。スイッチ部材2は、透光性を有している。
【0026】
第2側壁部2dの裏面側端面には、その裏面側に突出する棒状のばね挿通部2eが一体に形成されている。このばね挿通部2eは、後述する圧縮コイルばねSP内にその表面側端部から圧縮コイルばねSPの表裏方向略半分の部分まで挿通されている。圧縮コイルばねSPは、第2側壁部2dの裏面側端面と基板6の部品面との間に表裏方向に沿うように配置されている。圧縮コイルばねSPの裏面側端部は、基板6の表面に固定されている。
【0027】
第2側壁部2dの裏面側端面には、その裏面側に突出するスイッチ接触部2fが一体に形成されている。このスイッチ接触部2fの裏面側端面は、前記通常時において後述する、検知手段としてのタクトスイッチ7の表面側端面に接触している又はその端面との間に微少な間隔が空いている。タクトスイッチ7は、スイッチ接触部2fに対向するように、基板6の部品面に取り付けられている。
【0028】
―光源―
光源3は、スイッチ部材2の底壁部2a略中央部に対向するように、基板6の部品面に取り付けられている。光源3は、例えば、車両のエンジンの作動に伴って発光する。光源3の発光時は、光源3からの光Lの一部は、スイッチ部材2の底壁部2a及び表皮材4の透光領域4aを通過する。一方、光源3からの光Lの残部は、表皮材4の後述する遮光層4bで遮断される。従って、光源3の発光時は、表皮材4(後述する透光層4c)の表面側に透光領域4aの形状(図2では表裏方向視で円形状)に形成された表示が現れる。なお、本実施形態の透光領域4aの形状は、表裏方向視で円形状、矩形状及び三角形状である(図1参照)。
【0029】
―表皮材―
表皮材4は、表裏方向視で略矩形状に形成されており、クッション材5を介して基材1の表面側に積層されている。表皮材4は、基材1及びクッション材5の全体に亘って配設されている。
【0030】
表皮材4は、遮光層4bと、この遮光層4bの表面側に積層された透光層4cとを有している。遮光層4b及び透光層4cは、共にポリ塩化ビニルから形成され伸縮性を有している。遮光層4bは、黒色の顔料を含んで遮光性を有している。一方、透光層4cは、顔料を含むが、その含有量が比較的少なく、表皮材4の表面側に透光領域4aの形状に形成された表示が現れる程度に透光性を有している。透光層4cは、その裏面の全部又は一部が遮光層4bの表面に積層されている。
【0031】
―クッション材―
クッション材5は、表裏方向視で略矩形状に形成されており、基材1の全体に亘って配設されている。クッション材5は、発泡ウレタンから形成されクッション性を有している。
【0032】
クッション材5は、基材1の開口部1aに対応する部分に表裏方向視で矩形状の開口部5aが形成されている。この開口部5aは、基材1の開口部1aより大きく形成されている。開口部5aの内周側面は、突出壁部1bの外周側面を取り囲みこの外周側面に接触している。クッション材5の表面は、突出壁部1bの表面側端面よりも少し表面側に位置している。
【0033】
―操作方法―
操作者が表皮材4表面におけるスイッチ部材2対応領域(図1の破線部分参照)を押圧すると、スイッチ部材2が圧縮コイルバネSPの付勢力に抗して裏面側に後退して、表皮材4及びスイッチ部材2を介してタクトスイッチ7が押圧される。そして、タクトスイッチ7は、その押圧検知信号を図示しない制御部に送り、この信号を受けた制御部は、例えば、車両の所定の動作を実行する。
【0034】
―スイッチ装置の製造方法―
図3図6は、スイッチ装置SWの製造方法を示す断面図である。
【0035】
スイッチ装置SWの製造方法は、基材1の表面側に透光領域4aが形成されていない状態の表皮材4を積層する積層ステップST1と、積層ステップST1の後に、表皮材4に透光領域4aを形成する形成ステップST2と、基材1の開口部1a内にスイッチ部材2を配置する配置ステップST3と、組立ステップST4とを含む。以下、各ステップST1~ST4について、具体的に説明する。
【0036】
まず、積層ステップST1を行う。図3は、積層ステップST1を示す。積層ステップST1では、基材1の表面側にクッション材5と透光領域4aが形成されていない状態の表皮材4とを積層する。詳細に、クッション材5の裏面の全部又は一部を基材1の表面に接着又は溶着させる。次いで、表皮材4の裏面の全部又は一部をクッション材5の表面に接着又は溶着させる。また、表皮材4の外周縁部を、クッション材5及び基材1の外周縁部を包み込むように、クッション材5の表面側から基材1の裏面側に巻き込むことで、表皮材4をクッション材5及び基材1に固定する。
【0037】
続いて、形成ステップST2を行う。図4は、形成ステップST2を示す。形成ステップST2では、表皮材4の遮光層4bにおける透光領域4aに対応する部分を除去することで透光領域4aを形成する。詳細に、形成ステップST2では、遮光層4b及び透光層4cのうち遮光層4bのみにおいて、透光領域4aに対応する所定領域を、基材1の裏面側から開口部1aを介してレーザー光LSを照射することにより除去する。すると、表皮材4に透光領域4aが形成される。
【0038】
続いて、配置ステップST3を行う。図5は、配置ステップST3を示す。配置ステップST3では、スイッチ部材2を、基材1の裏面側から基材1の開口部1aに挿入する。そして、スイッチ部材2の第1側壁部2bを基材1の開口部1a内に収容配置させるとともに、その第2側壁部2dを基材1の収容壁部1d内に収容配置させる。
【0039】
続いて、組立ステップST4を行う。図6は、組立ステップST4を示す。組立ステップST4では、部品面に圧縮コイルばねSP、光源3及びタクトスイッチ7を取り付けた状態の基板6を、基材1にその裏面側から近づける。そして、スイッチ部材2のばね挿通部2eを圧縮コイルばねSPに挿通させるとともに、そのスイッチ接触部2fの裏面側端部をタクトスイッチ7の押圧面7aに対向配置させる。その後、基材1の固定部1cを基板6にタッピングネジSで取付固定する(図2参照)。
【0040】
―効果―
本実施形態によれば、基材1の表面側に透光領域4aが形成されていない状態の表皮材4を積層する積層ステップST1の後に、表皮材4に透光領域4aを形成する形成ステップST2を行うので、表皮材4において基材1の開口部1aに対応する位置に確実に透光領域4aを形成でき、透光領域4aの位置ずれを抑制することができる。
【0041】
また、基材1の表面側に透光領域4aが形成されていない状態の表皮材4を積層する積層ステップST1の後に、表皮材4に透光領域4aを形成する形成ステップST2を行うので、表皮材4の外周縁部を、クッション材5及び基材1の外周縁部を包み込むように、クッション材5の表面側から基材1の裏面側に巻き込むことで、表皮材4が伸びたとしても、透光領域4aの形状が歪むことを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態に係るスイッチ装置SWは、基材1と表皮材4との間に積層されるクッション材5をさらに備えるので、表皮材4が基材1の表面側に直接積層されている場合と比較して、スイッチのクッション性を向上させることができる。
【0043】
ところで、スイッチ装置SWにおいて、基材1と表皮材4との間にクッション材5が積層されていると、クッション材5の厚さの分だけ基材1と表皮材4とが離間する。このため、透光領域4aが形成された表皮材4を基材1に積層させる製造方法では、基材1と表皮材4とが離間している分、表皮材4の透光領域4aを基材1の開口部1aに正確に位置合わせするのがさらに難しくなり、透光領域4aの位置ずれがさらに生じやすくなる。
【0044】
ここで、本実施形態では、基材1の表面側にクッション材5と透光領域4aが形成されていない状態の表皮材4とをこの順に積層する積層ステップST1の後に、表皮材4に透光領域4aを形成する形成ステップST2を行うので、クッション材5の厚さの分だけ基材1と表皮材4とが離間していても、透光領域4aの位置ずれを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、表皮材4は、遮光層4bと、遮光層4bの表面側に積層された透光層4cとを有し、形成ステップST2では、遮光層4bにおける透光領域4aに対応する部分を除去することで透光領域4aを形成するので、遮光層4bを除去するという比較的簡単なステップで、透光領域4aを形成することができる。
【0046】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係るスイッチ装置SWを示す図2相当図である。以下では、実施形態1と共通する構成については、説明を省略する場合がある。
【0047】
本実施形態に係るスイッチ装置SWは、実施形態1に係るスイッチ装置SWと比較して、スイッチ部材2及び検知手段の構成が異なっている。このため、本実施形態に係る基材1には突出壁部1b及び収容壁部1dが形成されておらず、基板6の部品面に圧縮コイルばねSP及びタクトスイッチ7が取り付けられていない。
【0048】
スイッチ装置SWは、検知手段として、透明電極よりなる板状の静電センサ8を備えている。静電センサ8は、表裏方向視で矩形状に且つ基材1の開口部1aよりも大きくなるように形成されている。静電センサ8は、基材1の開口部1aを塞ぐように基材1の裏面側に設けられている。静電センサ8の外周縁部は、開口部1aの外周縁部に接着又は溶着されている。静電センサ8は、導線9を介して後述する制御部に電気的に接続されている。
【0049】
スイッチ部材2は、直方体状に形成されている。スイッチ部材2は、基材1の開口部1a内に収容されている。スイッチ部材2は、裏面が静電センサ8の表面の中央部に接着又は溶着された基部2gと、この基部2gの表面側に積層されてクッション性を有する緩衝部2hとを有している。基部2g及び緩衝部2hは、共に透光性を有している。基部2gの表裏方向厚さは、基材1と同じ厚さに形成されており、緩衝部2hの表裏方向厚さは、クッション材5と同じ厚さに形成されている。このため、緩衝部2hの表面位置は、クッション材5の表面位置と表裏方向で同じ位置である。
【0050】
クッション材5の開口部5aは、基材1の開口部1aと同じ大きさに形成されている。クッション材5の開口部5aの内周側面は、基材1の開口部1aの内周側面と面一となっている。
【0051】
上述の如く構成されたスイッチ装置SWでは、操作者の指が表皮材4表面におけるスイッチ部材2対応領域に近付く又はこの領域に触れると、それを静電センサ8が検知する。そして、静電センサ8は、その検知信号を図示しない制御部に送り、この信号を受けた制御部は、例えば、車両の所定の動作を実行する。
【0052】
本実施形態に係るスイッチ装置SWは、スイッチ部材2が緩衝部2hを有しているので、スイッチのクッション性を向上させることができる。
【0053】
本実施形態に係るスイッチ装置SWの製造方法では、配置ステップST3において、スイッチ部材2を基材1の開口部1a内に収容配置し、静電センサ8を基材1にその裏面側から近づけ、静電センサ8の外周縁部を基材1の開口部1aの外周縁部に接着又は溶着し且つスイッチ部材2の基部2gの裏面を静電センサ8の表面に接着又は溶着するという点を除いて、実施形態1とほぼ同様である。従って、前記実施形態1と同様に透光領域4aの位置ずれを抑制することができる。
【0054】
(その他の実施形態)
前記実施形態1では、スイッチ部材2の底壁部2aの表面側に前記実施形態2の緩衝部2hを設けなかったが、緩衝部2hを設けてもよい。
【0055】
また、前記各実施形態では、表皮材4は、遮光層4bの表面側に透光層4cを積層したが、透光層4cの表面側に遮光層4bを積層してもよい。この場合、形成ステップST2では、表皮材4の表面側から遮光層4bを除去することで透光領域4aを形成する。
【0056】
また、前記各実施形態では、透光領域4aは円形状、矩形状又は三角形状としたが(図1参照)、これに限られない。例えば、透光領域4aは文字及び記号などの任意のマークであってもよい。
【0057】
また、前記各実施形態では、レーザー光LSを照射することにより遮光層4bを除去したが、遮光層4bを除去する方法は、これに限られない。例えば、透光領域4aに対応する形状又はマークに形成された金属製の刻印を加熱し、この加熱された刻印を遮光層4bに押し付けることで、遮光層4bを熱溶解させて除去してもよい。
【0058】
また、前記各施形態では、基材1の表面側にクッション材5と表皮材4とをこの順に積層したが、これに限られない。すなわち、表皮材4とクッション材5とを互いに積層した後に、その積層した表皮材4及びクッション材5を基材1の表面側に積層してもよい。
【0059】
また、前記各実施形態では、基材1と表皮材4との間にクッション材5を積層したが、これに限られない。すなわち、クッション材5を積層せず、表皮材4を基材1の表面に直接積層してもよい。
【0060】
また、前記各実施形態では、表皮材4は、ポリ塩化ビニルから形成されているが、ポリウレタン又は熱可塑性ポリウレタンなどの樹脂から形成されていてもよい。
【0061】
また、前記各実施形態では、表皮材4の透光層4cは顔料を含むが、顔料を含んでいなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、車両用スイッチ装置の製造方法として有用である。
【符号の説明】
【0063】
SW スイッチ装置(車両用スイッチ装置)
1 基材
1a 基材の開口部
2 スイッチ部材
3 光源
L 光
4 表皮材
4a 透光領域
4b 遮光層
4c 透光層
5 クッション材
5a クッション材の開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7