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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】冶金炉用冷却パネル
(51)【国際特許分類】
   F27D 1/12 20060101AFI20220427BHJP
   C21B 7/10 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
F27D1/12 A
C21B7/10 301
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019544809
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2018054285
(87)【国際公開番号】W WO2018153920
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】100107
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】513200003
【氏名又は名称】ポール ワース エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジャン キエン
(72)【発明者】
【氏名】マッジオリ,ニコラス
【審査官】河野 一夫
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2573504(CN,Y)
【文献】米国特許出願公開第2011/0210484(US,A1)
【文献】特開2002-129213(JP,A)
【文献】特開平11-236611(JP,A)
【文献】特開2001-316709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 1/12
C21B 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面(14)および反対側の背面(16)と、上面(18)および反対側の底面(20)と、2つの対向する側面(22、24)とを備えた本体(12)であって、前記本体(12)は少なくとも1つの冷却チャネルを有し、前記冷却チャネルは前記背面(16)に開口部を有し、使用中に前記本体(12)の前記前面(14)が炉の内部に向けられている、本体(12)を含み、
細長い中間部(34)と、その両端に角度付き分岐部(36、38)とを有する少なくとも1つの冷却パイプ(32)であって、前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)が前記冷却チャネルを形成することを特徴とし、
前記本体(12)は、前記前面(14)に形成された少なくとも1つの細長い凹部(30)を備え、前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)は、前記角度付き分岐部(36、38)が前記本体(12)の前記背面(16)にある前記開口部を通って突出するように前記少なくとも1つの細長い凹部(30)に配置されている、冶金炉用の冷却パネル(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)は、前記本体(12)に配置されたときに、前記本体(12)の前記前面(14)のプロファイルと一致するプロファイルを備えた前面(40)を有する、請求項1に記載の冷却パネル(10)。
【請求項3】
前記本体(12)の前記前面(14)は、リブ(26)および溝(28)が交互に並んだ構造化表面を有し、前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)の前記前面(40)は、リブ(44)および溝(46)が交互に並んだ一致する構造化表面を有する、請求項2に記載の冷却パネル(10)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)の前記前面(40)は、前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)と一体に形成される、請求項1~3のいずれかに記載の冷却パネル(10)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)の前記中間部(34)が、円形、楕円形、または長方形の断面を有する、請求項1~のいずれかに記載の冷却パネル(10)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの細長い凹部(30)および前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)は、自動ロック構成を提供するように形成される、請求項1~のいずれかに記載の冷却パネル(10)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの細長い凹部(30)および前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)の一方は突起(48)を備え、前記少なくとも1つの細長い凹部(30)および前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)の他方は、その中に前記突起(48)を受け入れるためのチャネル(50)を備える、請求項に記載の冷却パネル(10)。
【請求項8】
前記本体(12)の前記リブ(26)の少なくとも1つおよび前記冷却パイプ(32)の前記リブ(44)の少なくとも1つには、協働する貫通穴(56、58)が設けられ、前記貫通穴(56、58)は、前記少なくとも1つの冷却パイプ(32)が前記少なくとも1つの細長い凹部(30)内に配置されたときに整列し、ボルト(60)が前記貫通穴(56、58)を通して配置される、請求項1~のいずれかに記載の冷却パネル(10)。
【請求項9】
前記ボルト(60)はねじ付きシャフト端部を備え、前記シャフト端部と協働するためのナット(62)が設けられる、請求項に記載の冷却パネル(10)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの細長い凹部(30)は、前記本体(12)の前記側面(22、24)平行な方向で前記前面(14)に形成される、請求項1~のいずれかに記載の冷却パネル(10)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの細長い凹部(30)は、前記本体(12)の前記側面(22、24)垂直な方向で前記前面(14)に形成される、請求項1~のいずれかに記載の冷却パネル(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば高炉などの冶金炉用の冷却パネル、特に損傷した冷却パネルを修理する手段を備えた冷却パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
「ステーブ」とも呼ばれる冶金炉用冷却パネルは、当技術分野で周知である。冷却パネルは、例えば高炉またはアーク炉としての冶金炉の外殻の内壁を覆うために使用され、炉の内部と炉の外殻との間に排熱保護スクリーンを提供する。冷却パネルは一般に、耐火レンガのライニング、耐火グナイティング、または炉内のプロセスで生成された付着層のための固定手段をさらに提供する。
【0003】
元来、冷却パネルは、冷却チャネルが鋳込まれた鋳鉄板であった。鋳鉄製ステーブの代替として、銅製ステーブが開発された。現在、冶金炉のほとんどの冷却パネルは銅製、銅合金製であるか、より近年では鋼製である。
【0004】
耐火レンガのライニング、耐火グナイティング材料、またはプロセスで生成された付着層は、パネル状本体の高温面の前に配置された保護層を形成する。この保護層は、炉内に広がる過酷な環境に起因する劣化から冷却パネルを保護するのに役立つ。しかし実際には、炉はこの保護層なしでも運転され、その結果、高温面の層状リブが侵食される。
【0005】
当技術分野で知られているように、高炉には最初に、ステーブの前面に耐火レンガのライニングまたはステーブの溝に挿入された鋼の刃が設けられているが、このライニングは寿命中に摩耗する。特に、朝顔部では、耐火ライニングが比較的急速に消失することが観察されている。
【0006】
主に摩滅によって冷却パネルが摩耗すると、冷却チャネルを循環する冷却材が炉内に漏れたり、高炉ガスが冷却回路に入ることがある。もちろん、このような漏れは避ける必要がある。
【0007】
そのような漏れが検出された場合、最初の反応は一般に、次のプログラムされた停止まで、漏れている冷却チャネルへの冷却材の供給を停止することであり、その間、例えば特許文献1に記載されているように、冷却チャネルを通してフレキシブルホースを供給することができる。その後、フレキシブルホースを冷却材供給部に接続し、冷却パネル内のフレキシブルホースを介して冷却材を供給することができる。したがって、損傷した冷却パネルを交換する必要なく、冶金炉をさらに運転することができる。
【0008】
しかし、漏れている冷却チャネルを通る冷却材の供給が中断されると、炉からの材料が冷却チャネルに入ることによってフレキシブルホースのその後の設置が妨げられる場合がある。
【0009】
冷却パネルがひどく摩耗すると、チャネルを囲む銅の温度が上昇し、銅の機械的特性が失われる。場合によっては、これにより冷却プレートが完全に破壊される可能性があり、炉殻は高熱負荷および摩滅に直接さらされる。
【0010】
また、冷却チャネルへのフレキシブルホースの設置はかなり複雑である。フレキシブルホースは、冷却チャネルよりも直径が小さく、冷却チャネルの角部/隅部で操作するためにかなり薄い壁厚を有する必要がある。フレキシブルホースのこのような薄い壁厚は、摩滅に長時間耐えることができない。したがって、フレキシブルホースは、冷却パネルの寿命を短期間延長することしかできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、冷却材が漏れた場合に迅速かつ効果的な修理を提供する改良された冷却パネルを提供することである。本発明のさらなる目的は、より速く、より低いコストで製作できる冷却パネルを提供することである。この目的は、請求項1に記載の冷却パネルにより達成される。
【0012】
本発明は、前面および反対側の背面と、上面および反対側の底面と、2つの対向する側面とを備えた本体を含む冶金炉用の冷却パネルに関する。本体はその中に少なくとも1つの冷却チャネルを有し、冷却チャネルは背面に開口部を有する。使用中、本体の前面は炉内に向けられる。
【0013】
本発明によれば、冷却パネルは、細長い中間部とその両端に角度付き分岐部とを有する少なくとも1つの冷却パイプを備え、少なくとも1つの冷却パイプは冷却チャネルを形成する。
【0014】
冷却パネルは、本体の前面に形成された少なくとも1つの細長い凹部をさらに備え、少なくとも1つの冷却パイプは、角度付き分岐部が本体の背面の開口部から突出するように少なくとも1つの細長い凹部に配置されている。
【0015】
冷却パネルの前面に形成された凹部に冷却パイプを設置することにより、そのような冷却パイプは迅速に設置することができ、これは損傷した冷却パイプを交換する場合に特に重要である。実際、損傷した冷却パイプを凹部から取り外し、損傷のない新しい冷却パイプを設置して、冷却パネルをさらに使用できるようにすることができる。
【0016】
本発明の冷却パイプは、従来の冷却パネル、すなわち、そのような冷却パイプを受け入れるように当初考えられていなかった冷却パネルが損傷した冷却チャネルを修理するためにも使用できることに留意されたい。一般に、従来の冷却パネルが損傷した場合、冷却チャネル内に冷却材通路を作成しようとするために、損傷した冷却チャネルにフレキシブルホースを通過させることがある。しかし、このようなフレキシブルホースの設置は、かなり繊細で時間がかかる。このようなフレキシブルホースを設置する代わりに、冷却パネルの前面に細長い凹部を形成して、この新しく形成した凹部に本発明による冷却パイプを設置することが提案される。
【0017】
冷却パイプが中間部およびその両端に角度付き分岐部を含むという事実も特に重要である。実際、冷却パイプが冷却パネル本体内に配置されたときに、冷却パイプの角度付き分岐部は、冷却パネルの背面から突出するように形成および配置される。これらの突出した角度付き分岐部は冷却材供給パイプとして機能し、冷却材供給パイプは、従来技術のソリューションでは冷却パネルの背面に溶接されていた。しかし、そのような溶接にはかなり時間がかかり、したがって冷却パネルの製造がかなり高価になる。一体型の供給パイプを備えた冷却パイプを提供することで、このような溶接は不要になり、製造プロセスが高速化され、コストが節約される。
【0018】
また、従来の冷却パネルの製造では、本体に冷却チャネルを形成し、その後にパネルを形成および成形し、最後に供給パイプを溶接する必要がある。本発明によれば、冷却パイプの設置後に冷却パネル本体を形成および成形する必要はなく、したがって製造時間およびコストが再び節約される。
【0019】
有利には、冷却パイプは、本体内に配置されたときに本体の前面のプロファイルと一致するプロファイルを備えた前面を有する。実際、本体の前面は、リブと溝が交互に並んだ構造化表面を有する。この場合、冷却パイプの前面は、リブと溝が交互に並んだ一致する構造化表面を有することが好ましい。実際、冷却パネルは一般に、交互に並んだリブと溝を前面に備えている。冷却パイプは冷却プレート本体の前面にある凹部に配置されるため、一致する構造化表面を有する冷却パイプの前面は、冷却パネルが典型的で一般的なリブと溝の構造を有することを可能にする。
【0020】
冷却パイプの前面は、冷却パイプと一体に形成されていることが好ましい。これは、安全で堅牢な構造を保証するだけでなく、冷却パイプの前面と冷却パイプを通過する冷却材との間の良好な熱伝達も可能にする。
【0021】
冷却パイプと前面は、押し出し、機械加工、鋳造、または3D印刷によって形成され得る。特に3D印刷は、複雑な形状の形成を可能にする。
【0022】
冷却パイプの中間部は、冷却パネル本体の凹部の形状に応じて、円形、楕円形、または長方形の断面を有し得る。
【0023】
有利には、細長い凹部内に冷却パイプを確実に維持し、冷却パイプと冷却パネル本体との間の適切な伝導熱伝達を確保するために、細長い凹部および冷却パイプは自動ロック機構を提供するように形成される。
【0024】
細長い凹部は突起を備えてもよく、一方、冷却パイプはその中に突起を受け入れるためのチャネルを備えてもよい。あるいはもちろん、冷却パイプが突起を備えてもよく、一方で細長い凹部がチャネルを備える。突起およびチャネルは、局所的であっても、冷却パイプの全長にわたって延在してもよい。冷却パイプを細長い凹部に設置し凹部の突起に係合させるために、冷却パイプは、突起をチャネルに押し込むのに十分な力で細長い凹部に押し込まれてもよい。代替的に、冷却パネル本体は膨張するように加熱され、それによって突起がチャネル内に配置されることを可能にしてもよい。その後、冷却パネルが冷えると冷却パネルは収縮し、突起はチャネルに安全に配置される。
【0025】
本体のリブの少なくとも1つと冷却パイプのリブの少なくとも1つには、協働する貫通穴を設けてもよく、冷却パイプが細長い凹部内に配置されると貫通穴は整列する。次に、貫通穴にボルトを配置することができる。そのようなボルトにより、冷却パイプを細長い凹部内に固定することが可能になる。
【0026】
好ましくは、ボルトはねじ付きシャフト端部を備え、シャフト端部と協働するためにナットが提供される。そのようなナットを締めると、冷却パイプを細長い凹部内にきつく固定することができる。これは、冷却パイプが細長い凹部から抜け落ちるのを防ぐだけでなく、細長い凹部の側壁を冷却パイプに強く押し付けることにより、冷却パイプと冷却パネル本体との間の熱伝達も改善する。
【0027】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの細長い凹部は、冷却パネル本体の側面に本質的に平行な方向で前面に形成される。本体の前面が、リブと溝が交互に並んだ構造化プロファイルを有する場合、そのようなリブと溝は一般に、本体の側面に垂直な方向に配置される。したがって、冷却パイプの前面は、本体の前面のプロファイルと一致するプロファイルを有する必要があり、すなわち、リブと溝を有する必要がある。
【0028】
別の実施形態によれば、少なくとも1つの細長い凹部は、冷却パネル本体の側面に本質的に垂直な方向で前面に形成される。この場合、細長い凹部は、本体の前面のリブと溝に平行になる。したがって、冷却パイプの前面の形状をかなり単純化することができる。好ましくは、細長い凹部は、本体の前面のリブ内に完全に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のさらなる詳細および利点は、添付の図面を参照して、いくつかの非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本発明の第1の実施形態による冷却パネルの斜視図である。
図2図1の冷却パネルの本体の斜視図である。
図3図1の冷却パネルの冷却パイプの斜視図である。
図4】本発明の第2の実施形態による冷却パネルの斜視図である。
図5図4の冷却パネルの本体の斜視図である。
図6図4の冷却パネルの冷却パイプの斜視図である。
図7図4の冷却パネルの断面図である。
図8】さらなる実施形態による冷却パネルを横切る一連の断面図である。
図9】本発明のさらなる実施形態による冷却パネルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態による冷却パネル10を概略的に示しており、冷却パネル10は典型的には、例えば銅、銅合金、鋳鉄、鋼、またはこれらの材料のハイブリッド組み合わせの鋳造または鍛造体で作られたスラブから形成された本体12を含む。本体12は、冶金炉の内部に面する前面14(しばしば高温面と呼ばれる)と、炉殻に面する反対側の背面16(しばしば冷面と呼ばれる)とを有する。冷却パネル10の本質的に長方形の本体12は、上面18と、反対側の底面20と、2つの対向する側面22、24とを有する。少なくとも1つの冷却チャネルが本体12内に配置され、そこを通って冷却材が供給される。本体12は、冷却チャネルの入口端部および出口端部に対応する背面16に開口部を有する。
【0031】
当該技術分野で知られているように、本体12の前面14は、特にリブ26および溝28が交互に並んだ構造化表面を有することが有利である。冷却パネル10が炉に取り付けられると、溝28および層状リブ26は一般に水平方向に配置されて、耐火レンガのライニング(図示せず)用の固定手段を提供する。
【0032】
冷却パネル10は、その前面14に細長い凹部30(図2でより良く見える)を含む。このような細長い凹部30は、図2に示すように、上面18から底面20まで延出してもよい。
【0033】
冷却パネル10は、図3に示すように冷却パイプ32をさらに備える。このような冷却パイプ32は、細長い中間部34と、その両端に角度付き分岐部36、38とを有する。冷却パイプ32は、本体12の細長い凹部30の内側にぴったりと嵌るように寸法が決められており、一方、角度付き分岐部36、38は本体12の背面16から突出する。冷却パイプ34の中間部34は、本体12内の冷却チャネルを形成し、一方、角度付き分岐部36、38は、冷却材供給パイプを形成する。
【0034】
冷却パイプ32はさらに、交互に並んだリブ44および溝46を形成する切り抜き部42を有する構造化表面を備えた前面40を有する。冷却パイプ32の前面40のリブ44および溝46は、冷却パイプ32が本体12の細長い凹部30に配置されたときに、本体12の前面14のリブ26および溝28と一致するように形成されている。
【0035】
冷却パイプ32は、本体12の前面14に形成された細長い凹部30を補完する形状を有する。
【0036】
冷却パイプ32を細長い凹部30内に維持するために、細長い凹部30には、冷却パイプ32の側部に配置されたチャネル50と協働する突起48が設けられ、自動ロック構造を提供する。
【0037】
冷却パイプ32が細長い凹部30に配置されると、冷却パイプは、突起48およびチャネル50の配置によって所定の位置にしっかりと維持される。冷却パイプ32は細長い凹部30と相補的な形状を有するため、冷却パイプ32と本体12は冷却パネル10を形成し、冷却パネル10の前面14と冷却パイプ32内を循環する冷却材との間の熱伝達が維持される。
【0038】
典型的な冷却パネル10は、炉の内部と炉の外殻との間に排熱保護スクリーンを提供するために複数の冷却チャネルを備えている。図1図3に示す実施形態では、冷却パネル10には、3つのそのような冷却チャネルが設けられている。言い換えれば、本体12は、3つの細長い凹部30とその中に配置された3つの冷却パイプ32とを含む。
【0039】
高炉などの操業中、耐火レンガのライニングは、負荷物質の降下により腐食し、冷却パネルは無防備になり、高炉内の過酷な環境にさらされる。
【0040】
本体12の前面14には、冷却パネルを摩滅から保護する手段を設けることができる。そのような手段の一例は、溝28、46に配置された金属インサート(図示せず)であってもよい。
【0041】
しかし、冷却パネル10が高炉内の過酷な環境にさらされると、冷却パネル10と冷却パイプ32の摩滅が生じる。冷却パイプ32が損傷すると、冷却パイプ32からの冷却材が炉内に漏れる可能性がある。この場合、損傷した冷却パイプ32は取り外され、損傷のない新しい冷却パイプ32と交換される。
【0042】
本発明の冷却パイプ32は、従来の冷却パネルの損傷した冷却チャネルを修理するためにも使用できることに留意されたい。そのような従来の冷却パネル本体内の冷却チャネルは、一般に、例えば鋳造または穴あけなど、任意の既知の手段によって得られる。冷却パネルの背面に供給パイプが溶接で取り付けられており、冷却材は冷却チャネルを介して供給される。冷却材は、冷却パネル本体の材料と直接接触している。冷却パネルが動作中に損傷して、冷却チャネルと冷却パネルの前面との間に摩滅または亀裂が形成される場合、冷却チャネルからの冷却材が炉内に漏れる可能性がある。このような冷却パネルを修理するために、冷却パネルの前面に細長い凹部を切り込むことができる。次に、本発明による冷却パイプ32を細長い凹部に設置し、冷却パネルを再び使用することができる。
【0043】
図4図5および図6は、本発明の第2の実施形態による冷却パネル10を概略的に示す。この第2の実施形態の特徴の多くは第1の実施形態の特徴と同一であるため、ここでは繰り返さない。主に違いが強調表示されている。図6に見られるように、冷却パイプ32は、それが接続される中間部34の断面よりもかなり広い前面40を有する。ここでも、本体12の前面14の細長い凹部30は、冷却パイプ32がその中にぴったりと嵌るように、冷却パイプ32の形状を補完するように形作られている。図5はまた、本体12の背面16の開口部52、54を示し、そこを通って角度付き分岐部36、38が供給される。
【0044】
冷却パイプ32を細長い凹部30に固定するために、本体12のいくつかのリブ26と冷却パイプ32のいくつかのリブ44には、協働する貫通穴56、58が設けられている。冷却パイプ32が細長い凹部30内に正しく配置されると、貫通穴56、58が整列し、そこを通ってボルト60が貫通する。図7は、図4の冷却パネル10の横断面図であり、3つの細長い凹部30に配置された3つの冷却パイプ32を示す。図7はまた、本体12および冷却パイプ32の両方のリブ26、44を横切るシャフト60を示す。シャフト60の各端部には、ボルト60のねじ付き端部と協働するナット62を配置することができる。ナット62を締めることにより、本体12と冷却パイプ32との間の接続をより強くすることができる。これは、冷却パイプ32が所定の位置に留まることを保証するだけでなく、冷却パイプ32と本体12との間の熱伝達も改善する。
【0045】
図8は、冷却パネル10のさらなる実施形態を示して、さらなる設計を例示している。冷却パイプ32の中間部34は、例えば、AおよびCに示すように丸い断面、またはBに示すように楕円形の断面を有してもよい。実際には、鍛造、鋳造、または3D印刷によって得ることができるあらゆる断面が想定され得る。
【0046】
冷却パイプ32の前面40は、様々な形状および/または幅であってもよい。Aでは、前面40は、本体12の前面が廃止されるように、隣接する冷却パイプ32の前面が互いに接触するような幅を有する。一方、BおよびCでは、冷却パイプ32の前面40は、中間部34の断面をほとんど超えない幅を有する。これらは、上述の第1および第2の実施形態の両方に適用され得る変形であることに留意されたい。
【0047】
冷却パネル10の本体12は、銅、鋼、鋳鉄、またはそれらに基づく任意の合金で作られてもよい。同様に、冷却パイプ32は、銅、鋼、鋳鉄、またはそれらに基づく任意の合金で作られてもよい。
【0048】
本発明のさらなる実施形態が図9に示されており、細長い凹部30は、冷却パネル10の本体12の前面14のリブおよび溝26、28に平行な方向に配置されている。細長い凹部30は、リブ26内に完全に配置されてもよく、好ましくは、細長い凹部30は、リブ26の全長にわたって、すなわち一方の側面22から他方の側面24まで延出する。冷却パイプ32の前面40は、細長い凹部30を完全に充填するように形成され、その後、冷却パイプ32は、冷却パイプ32の前面40がリブ26と同一平面になるようにその中に設置される。
【符号の説明】
【0049】
10 冷却パネル
12 本体
14 前面
16 背面
18 上面
20 底面
22 側面
24 側面
26 リブ
28 溝
30 細長い凹部
32 冷却パイプ
34 中間部
36 角度付き分岐部
38 角度付き分岐部
40 前面
42 切り抜き部
44 リブ
46 溝
48 突起
50 チャネル
52 開口部
54 開口部
56 貫通穴
58 貫通穴
60 ボルト
62 ナット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【文献】特願2015187288A号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9