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特許7064508自律走行車両強化システムのためのモバイル機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】自律走行車両強化システムのためのモバイル機器
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20220427BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
G08G1/123 A
H04M1/00 U
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019562633
(86)(22)【出願日】2018-05-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 US2018031647
(87)【国際公開番号】W WO2018208815
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】62/502,817
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519397541
【氏名又は名称】チェイス,アーノルド
(73)【特許権者】
【識別番号】519397552
【氏名又は名称】チェイス,ウィリアム
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェイス,アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】チェイス,ウィリアム
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-091411(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0115125(US,A1)
【文献】特開2002-032897(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0339928(US,A1)
【文献】特開2015-176566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/123
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されるよう構成されたコンピュータ実行可能命令のセットを含む自律走行車両強化システム(AVES)アプリケーションを格納して、ユーザ運送ネットワークサービスを提供する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記AVESアプリケーションが前記ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、前記ユーザモバイル機器は、
・ ユーザIDを提供するようユーザに求め、
・ 前記ユーザIDを認証するためにAVES中央オペレーションセンター(AVES・COC)と通信し、
・ 迎車場所、迎車日時、目的地および任意の経由地(複数を含む。)を含むトリップ要求を受信し、
・ 前記AVES・COCに前記トリップ要求を送信し、
・ 前記トリップ要求に対する一意のトリップIDおよび前記トリップ要求を満たすために選択された自律走行車両の詳細を受信し、
・ 前記選択された自律走行車両が、最大受信信号強度の方向に基づいて、前記ユーザモバイル機器の位置を特定し、追跡し、且つ前記ユーザモバイル機器に向けて走行するように、前記一意のトリップIDでエンコードされた信号を伝送し、
前記AVESアプリケーションが前記ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、前記ユーザモバイル機器は、さらに、
・ 前記選択された自律走行車両によって伝送された前記一意のトリップIDでエンコードされた信号を検知し、
・ 前記ユーザモバイル機器のビデオカメラを起動し、
・ 前記ビデオカメラに捉えられた画像において、前記一意のトリップIDでエンコードされた前記信号を伝送する前記選択された自律走行車両を識別する、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項2】
前記AVESアプリケーションが前記ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、前記ユーザモバイル機器は、さらに、
・ 前記選択された自律走行車両によって伝送された前記一意のトリップIDでエンコードされた信号を検知し、
・ 可聴フィードバックおよび/または触覚フィードバックを提供して、前記ユーザを、前記一意のトリップIDでエンコードされた前記信号を伝送する前記選択された自律走行車両へ向かうように案内する、
請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項3】
前記AVESアプリケーションが前記ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、前記ユーザモバイル機器は、さらに、
前記AVES・COCからリアルタイム車両位置および更新された迎車予定時刻を受信する、
請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項4】
前記AVESアプリケーションが前記ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、前記ユーザモバイル機器は、さらに、
・ 前記トリップ要求に対応するトリップ情報を変更するために、前記ユーザから変更要求を受信し、
・ 前記トリップ情報を変更するために、前記AVES・COCに前記変更要求を送信し、
・ ルート変更および/または乗り換え通知を受信し、
・ 前記ルート変更および/または前記乗り換えを受け入れるか拒否するかを前記ユーザに求める、
請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項5】
前記AVESアプリケーションが前記ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、前記ユーザモバイル機器は、さらに、
・ ユーザ緊急警報を受信し、
・ 前記AVES・COCに前記ユーザ緊急警報を送信する、
請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記AVESアプリケーションが前記ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、前記ユーザモバイル機器は、さらに、
・ 前記ユーザから交通情報、事故情報、道路閉鎖情報、道路工事情報およびイベント情報のうちの少なくとも1つを受信し、
・ 前記AVES・COCに、前記交通情報、前記事故情報、前記道路閉鎖情報、前記道路工事情報および前記イベント情報のうちの少なくとも1つを送信する、
請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
ユーザモバイル機器に組み込まれた自律走行車両強化システム(AVES)アプリケーションを介して運送ネットワークサービスを提供する方法であって、
前記ユーザモバイル機器が、ディスプレイにグラフィカルユーザインタフェースをレンダリングするステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザIDを提供するよう前記ユーザに求めるステップと、
前記ユーザモバイル機器が、AVES中央オペレーションセンター(COC)と通信して、前記ユーザIDを認証するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して迎車場所、迎車日時、目的地および任意の経由地(複数を含む。)を含むトリップ要求を受信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記AVES・COCに前記トリップ要求を送信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記トリップ要求に対する一意のトリップIDと、前記トリップ要求を満たすために選択された自律走行車両の詳細と、を受信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して前記トリップ要求に対する前記一意のトリップIDと、前記トリップ要求を満たすために選択された前記自律走行車両の詳細と、を提供するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記選択された自律走行車両が最大受信信号強度の方向に基づいて、前記ユーザモバイル機器の位置を特定し、追跡し、且つ前記ユーザモバイル機器に向けて走行するように、前記一意のトリップIDでエンコードされた信号を伝送するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記選択された自律走行車両によって伝送された前記一意のトリップIDでエンコードされた信号を検知するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、ビデオカメラを起動するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記ビデオカメラに捉えられた画像において、前記一意のトリップIDでエンコードされた前記信号を伝送する前記選択された自律走行車両を識別するステップと、
を含む、
方法。
【請求項8】
前記ユーザモバイル機器が、前記選択された自律走行車両によって伝送された前記一意のトリップIDでエンコードされた信号を検知するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、可聴フィードバックおよび/または触覚フィードバックを提供して、前記ユーザを、前記一意のトリップIDでエンコードされた前記信号を送信する前記選択された自律走行車両へ向かうように案内するステップと、
をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザモバイル機器が、前記AVES・COCからリアルタイム車両位置および更新された迎車予定時刻を受信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して前記リアルタイム車両位置および前記更新された迎車予定時刻を提供するステップと、
をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記トリップ要求に対応するトリップ情報を変更するために、前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して前記ユーザから変更要求を受信するステップと、
前記トリップ情報を変更するために、前記ユーザモバイル機器が、前記AVES・COCに前記変更要求を送信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、ルート変更および/または乗り換え通知を受信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して前記ルート変更および/または前記乗り換え通知を提供するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して前記ルート変更および/または前記乗り換えを受け入れるか拒否するかを前記ユーザに求めるステップと、
をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザ緊急警報を受信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記AVES・COCに前記ユーザ緊急警報を送信するステップと、
をさらに含む、
請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記ユーザモバイル機器が、前記グラフィカルユーザインタフェースを介して前記ユーザから、交通情報、事故情報、道路閉鎖情報、道路工事情報およびイベント情報のうちの少なくとも1つを受信するステップと、
前記ユーザモバイル機器が、前記AVES・COCに、前記交通情報、前記事故情報、前記道路閉鎖情報、前記道路工事情報および前記イベント情報のうちの少なくとも1つを送信するステップと、
をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記一意のトリップIDでエンコードされた信号が、前記選択された自律走行車両の360°スキャンするアンテナに伝送される、
請求項1に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記選択された自律走行車両が、360°スキャンするアンテナにより、前記一意のトリップIDでエンコードされた信号をスキャンするステップ、
をさらに含む、
請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の外部参照>
本明細書と同日付で出願された「自律走行車両強化システム」、「自律走行車両強化システムのための中央オペレーションセンター」および「自律走行車両強化システムのための車両機器」と題するPCT出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、全体として自律走行車両の動作を拡張することに関し、より詳細には、運送ネットワーク上の自律走行車両の車両群を遠隔で監視および制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車会社は、既存の道路で使用される、個人用タクシーサービスや配達サービスを含むがこれらに限定されない様々な用途に適用される商業用および個人用の自律走行車両を開発している。本出願の文脈において、自律走行車両とは、人間の運転者によって行われる動的運転のあらゆる側面を実行することができる自動運転システムを具備する車両を指す。タクシー、バスまたは配達用バンのネットワークと同様の自律走行車両のネットワークが利用可能になることが想定されており、これにより、ユーザが自律走行車両に乗客の迎車、移動および降車、または荷物の集荷、輸送および配達等を要求することができる。様々な会社がこの自律走行車両を開発しているが、本技術の開発の初期段階における既存の自律走行車両は標準化されておらず、特定の機能的制限を有する。最適化された一貫した動作、機能性、安全性および品質が提供できるような普遍的/一般的な解決策を提供するように、運送ネットワーク会社が車両群内の異なる自律走行車両を遠隔で監視および動的に制御することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、自律走行車両強化システム(AVES)ならびに運送ネットワークに登録された自律走行車両の車両群を監視および管理して、運送ネットワークに登録されたユーザに車両群内の自律走行車両を派遣する方法に関する。AVESには、AVES中央オペレーションセンター(COC)が含まれる。AVES中央オペレーションセンター(COC)は、車両群内の各自律走行車両に組み込まれたAVES車両機器と、運送ネットワーク上のユーザがアクセス可能なコンピューティングデバイスに組み込まれたAVESアプリケーションと動作可能に通信する。AVESは、車両群内の自律走行車両の状況を監視し、運送ネットワークの地理的領域の全体にわたって自律走行車両の車両群の配車を最適化し、運送サービスを要求しているユーザへの車両群内の自律走行車両の割り当てを最適化して、運送ネットワークの運用に関する全体的な効率を最大化および最適化する。AVES・COCは、AVES車両機器を介して車両群内の自律走行車両を監視および制御する。AVES・COCは、コンピューティングデバイスに組み込まれたAVESアプリケーションを介して運送ネットワーク上のユーザと通信して、ユーザに運送ネットワークサービスを提供する。AVES車両機器およびコンピューティングデバイスに組み込まれたAVESアプリケーションは、相互通信して、運送サービスに対するユーザの要求を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態において、非一時的コンピュータ可読媒体は、ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されるよう構成されたコンピュータ実行可能命令のセットを含む自律走行車両強化システム(AVES)アプリケーションを格納して、ユーザ運送ネットワークサービスを提供する。AVESアプリケーションは、ユーザモバイル機器のプロセッサによって実行されると、運送ネットワークサービスを提供する方法を実行する。該方法には、ユーザモバイル機器が、ディスプレイにグラフィカルユーザインタフェースをレンダリングするステップと、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザIDを提供するようユーザに求めるステップと、ユーザモバイル機器が、AVES中央オペレーションセンター(COC)と通信して、ユーザIDを認証するステップと、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介して迎車場所、迎車日時、目的地および任意の経由地(複数を含む。)を含むトリップ要求を受信するステップと、ユーザモバイル機器が、AVES・COCにトリップ要求を送信するステップと、ユーザモバイル機器が、トリップ要求に対する一意のトリップIDおよびトリップ要求を満たすために選択された自律走行車両の詳細を受信するステップと、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してトリップ要求に対する一意のトリップIDおよびトリップ要求を満たすために選択された自律走行車両の詳細を提供するステップと、選択された自律走行車両がユーザモバイル機器を認識し、位置を特定し、且つユーザモバイル機器に向けて走行するように、ユーザモバイル機器が、一意のトリップIDでエンコードされた信号を伝送するステップと、が含まれる。
【0006】
上述したAVESアプリケーションおよびAVESアプリケーションを実行する方法のいくつかの実施形態には、ユーザモバイル機器が、迎車の最終段階において、選択された自律走行車両によって伝送された一意のトリップIDでエンコードされた信号を検知するステップと、ユーザモバイル機器が、ビデオカメラを起動するステップと、ユーザモバイル機器が、ビデオカメラに捉えられた画像において、一意のトリップIDでエンコードされた信号を伝送する選択された自律走行車両をリアルタイムで識別するステップと、がさらに含まれる。
【0007】
上述したAVESアプリケーションおよびAVESアプリケーションを実行する方法のいくつかの実施形態には、ユーザモバイル機器が、迎車の最終段階において、選択された自律走行車両によって伝送された一意のトリップIDでエンコードされた信号を検知するステップと、ユーザモバイル機器が、可聴フィードバックおよび/または触覚フィードバックを提供して、ユーザを、一意のトリップIDでエンコードされた信号を伝送する選択された自律走行車両へ向かうように案内するステップと、がさらに含まれる。
【0008】
上述したAVESアプリケーションおよびAVESアプリケーションを実行する方法のいくつかの実施形態には、ユーザモバイル機器が、AVES・COCからリアルタイム車両位置および更新された迎車予定時刻を受信するステップと、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してリアルタイム車両位置および更新された迎車予定時刻を提供するステップと、がさらに含まれる。
【0009】
上述したAVESアプリケーションおよびAVESアプリケーションを実行する方法のいくつかの実施形態には、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してトリップ情報を変更するために呼び出し元ユーザから変更要求を受信するステップと、ユーザモバイル機器が、トリップ情報を変更するためにAVES・COCに変更要求を送信するステップと、ユーザモバイル機器が、ルート変更および/または乗り換え通知を受信するステップと、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してルート変更および/または乗り換え通知を提供するステップと、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してルート変更および/または乗り換えを受け入れるか拒否するかをユーザに求めるステップと、がさらに含まれる。
【0010】
上述したAVESアプリケーションおよびAVESアプリケーションを実行する方法のいくつかの実施形態には、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザ緊急警報を受信するステップと、ユーザモバイル機器が、AVES・COCにユーザ緊急警報を送信するステップと、がさらに含まれる。
【0011】
上述したAVESアプリケーションおよびAVESアプリケーションを実行する方法のいくつかの実施形態には、ユーザモバイル機器が、グラフィカルユーザインタフェースを介してユーザから交通情報、事故情報、道路閉鎖情報、道路工事情報およびイベント情報のうちの少なくとも1つを受信するステップと、ユーザモバイル機器が、AVES・COCに交通情報、事故情報、道路閉鎖情報、道路工事情報およびイベント情報のうちの少なくとも1つを送信するステップと、がさらに含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
上述した概要および以下の詳細の説明は、添付の図面を参照しながら読むことでよりよく理解される。本出願には、本発明を説明する目的で例示的な実施形態が図示されているが、本出願が本明細書に記載する特定の実施形態に限定されるものではないことに留意されたい。
図1】例示的な自律走行車両強化システム(AVES)を示す模式図である。
図2図1の例示的なAVESのAVES中央オペレーションセンター(COC)を示す模式図である。
図3図1の例示的なAVESのAVES車両機器を示す模式図である。
図4図1の例示的なAVESのAVESアプリケーションを示す模式図である。
図5A図1の例示的なAVESの動作を示す例示的なフローチャートである。
図5B図1の例示的なAVESの動作を示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の様々な例示的な実施形態を詳細に説明する前に、本発明は本明細書に記載する特定の実施形態に限定されるものではないことに留意されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけに使用されるものであり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないことにも留意されたい。
【0014】
図において、本発明におけるシステムおよび方法の同様の特徴には同様の参照符号が付されている。したがって、特定の説明が特定の図および参照番号を参照する場合があるが、これらの説明は、他の図の類似の参照番号にも等しく適用できることに留意されたい。
【0015】
本発明は、運送ネットワークの地理的領域の全体にわたって自律走行車両20の車両群を監視および制御し、運送ネットワーク上のユーザに運送サービスを提供する自律走行車両強化システム(AVES)10に関する。AVES10によって、運送ネットワーク上の自律走行車両20を遠隔で監視および制御することができる。これにより、自律走行車両20を効率的に管理して、人による操作への介入なしに運送ネットワーク上のユーザに運送サービスを提供することができる。本発明の特定の実施形態によれば、自律走行車両20の車両群には、共同所有の車両群が含まれてよく、個人所有車両が含まれてもよい。この場合、個人所有車両は、所有者の裁量で現在のタクシーサービスや車両群のように利用可能になる車両群の一部である。
【0016】
図1に示すように、AVES10は、AVES中央オペレーションセンター(COC)100と、車両群内の各自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器200と、ユーザがアクセス可能なコンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300と、を備える。
【0017】
AVES・COC100は、各自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器200と通信して、車両群内の自律走行車両20を監視および制御する。AVES・COC100は、適切な通信プロトコル(例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、イーサネット、SAP(登録商標)、SAS(登録商標)、ATP、GSM、TCP/IP等)によって少なくとも部分的に無線で確立された通信リンクを介してAVES車両機器200と通信する。AVES・COC100は、各自律走行車両に組み込まれたAVES車両機器200から、一意の車両ID402と、リアルタイム車両位置404(例えばGPS座標)と、リアルタイム車両利用可否406と、リアルタイム車両動作状態408と、リアルタイム車両状況410と、リアルタイム車両燃料/充電レベル412と、を含む車両情報を受信する。リアルタイム車両利用可否406には、自律走行車両20が割り当てられたトリップ要求に対して呼び出し元ユーザを乗せたかに関する情報、または割り当てられたトリップ要求の完了後に呼び出し元ユーザを降ろしたかに関する情報が含まれてもよい。代替的に、例えば、特定の自動運転車両20が所有者の裁量で車両群に一時的に追加された個人所有車両である場合、自律走行車両20が「非稼働状態」であってオンラインに戻るまでトリップ要求に利用できない可能性がある。リアルタイム車両動作状態408には、自律走行車両20の機械システムおよび電気システムの動作状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両状況410には、自律走行車両20の清潔度の状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両燃料/充電レベル412には、車両走行可能範囲、利用可能な燃料タンクまたは電気バッテリ容量の割合、および利用可能な電力またはエネルギーの単位のうちの少なくとも1つに関する情報が含まれてもよい。AVES・COC100は、AVES車両機器200から受信した車両情報を使用して、各自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器200を介して自律走行車両20の車両群を監視して、車両群内の自律走行車両20の利用可否を判断し、車両群内の利用可能な自律走行車両20を派遣準備が完了している自律走行車両20のアクティブプール内に割り当てる。
【0018】
AVES・COC100は、コンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300と通信して、ユーザからサービス要求(例えばトリップ要求)を受信する。AVES・COC100は、適切な通信プロトコル(例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、イーサネット、SAP(登録商標)、SAS(登録商標)、ATP、GSM、TCP/IP等)によって少なくとも部分的に無線で確立された通信リンクを介してAVESアプリケーション300と通信する。AVES・COC100は、コンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300を介して呼び出し元ユーザからトリップ要求を受信する。AVES・COC100は、コンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300から、各ユーザトリップ要求504に関連付けられた一意のユーザID502と、各ユーザトリップ要求504に関連付けられたトリップ情報506と、を受信する。トリップ情報506には、迎車場所と、迎車日時と、目的地と、経由地(複数を含む。)と、が含まれてもよい。
【0019】
AVES・COC100は、ユーザトリップ要求504に応答して、アクティブプールから自律走行車両20を選択する。AVES・COC100は、各ユーザトリップ要求504に対して、一意のトリップID602および対応する一意のトリップPIN604を生成して、トリップ情報506に基づいてトリップルート606を決定する。トリップルート606には、トリップの予想走行距離および所要時間に関する情報が含まれる。AVES・COC100は、決定したトリップルート606に従って、トリップ要求を満たすのに最適な自律走行車両20をアクティブプールから選択する。AVES・COC100がトリップ要求504を満たすために自律走行車両20を選択すると、AVES・COC100は、AVESアプリケーション300を介して呼び出し元ユーザに、トリップID602と、トリップPIN604と、トリップルート606と、トリップ要求504を満たすために割り当てられた自律走行車両20の車両ID402および車両詳細414と、を含む車両割り当て情報を送信する。
【0020】
AVES・COC100は、選択された自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器200と通信して、選択された自律走行車両20を呼び出し元ユーザに向かうように案内する。AVES・COC100は、選択された自律走行車両20がトリップ要求504を満たすように、選択された自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器200に、トリップID602、トリップPIN604、トリップルート606および/またはトリップ情報506を含むトリップ割り当て情報を送信する。また、AVES・COC100は、呼び出し元ユーザからのトリップ要求に応答するよう割り当てられていないアクティブプール内の自律走行車両20のAVES車両機器200と通信して、自律走行車両20を運送ネットワークの地理的領域における待機場所へ案内する。
【0021】
図2に示すように、AVES・COC100には、集中型または分散型のコンピューティングアーキテクチャにおいて1つまたは複数のコンピュータサーバ120が含まれる。コンピュータサーバ120には、人工知能(AI)システム130と、ナレッジベース140と、が含まれる。コンピュータサーバ120は、運送ネットワークに登録された各自律走行車両20に対する車両記録400と、運送ネットワークに登録された各ユーザ30に対するユーザ記録500と、運送ネットワークによって実施される各トリップに対するトリップ記録600と、を格納および維持する。
【0022】
本明細書に記載するコンピュータサーバ120の機能は、コンピュータプロセッサによって実行される非一時的コンピュータ可読媒体内に格納されたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータアプリケーションを使用して実装され得る。また、本明細書に記載するコンピュータサーバ120の機能は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、PAL(プログラマブルアレイロジック)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)等のプログラマブルハードウェアデバイスにも実装され得る。さらに、本発明書に記載するコンピュータサーバ120の機能は、コンピュータプロセッサによって実行されるコンピュータプログラム(複数を含む。)とプログラマブルハードウェアデバイスとの組み合わせを使用して実装され得る。したがって、本出願のコンピュータサーバ120は、所望の機能を実行する適切なコンピュータハードウェアおよびソフトウェアを備え、ハードウェアとソフトウェアとの特定の組み合わせに限定されるものではない。
【0023】
実行可能なコンピュータプログラムコードには、オブジェクト、プロシージャ、プロセスまたはファンクションとして編成され得るコンピュータ命令の物理的または論理的ブロックが1つまたは複数含まれてもよい。例えば、実行可能なコンピュータプログラムコードは、いくつかの異なるコードパーティションまたはセグメント、異なるプログラム間、およびいくつかのデバイスにわたって分散されてもよい。したがって、実行可能なコンピュータプログラムは、それぞれ物理的に同じ位置に配置される必要はなく、論理的に結合されたときにコンピュータアプリケーションを含む異なる場所に格納された別々の命令を含むことができる。これにより、コンピュータアプリケーションの所定の目的を達成することができる。
【0024】
図3に示すように、各自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器200には、AVES車両制御システム210と、マイクおよびスピーカを含む自動音声応答(IVR)システム220と、インタラクティブなタッチスクリーン230と、スキャンアンテナ240と、信号エミッタ250と、1つまたは複数のカメラ260と、1つまたは複数のセンサ270と、が含まれる。AVES車両制御システム210は、自律走行車両20の自律走行システム(例えばCANバス)と動作可能に接続するよう構成されており、これにより、車両データを取得し、トリップ情報、ルート情報、走行コマンド等を提供して、自律走行車両20を案内することができる。AVES車両制御システム210は、AVES・COC100によって遠隔で制御され得るおよびAVES・COC100に車両状況情報を送信するために使用され得るGPIO(汎用入出力)機能を提供する。AVES車両制御システム210は、AVES・COC100と通信して、自律走行車両20を案内するために必要なデータを送受信する。AVES車両制御システム210は、適切な通信プロトコル(例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、イーサネット、SAP(登録商標)、SAS(登録商標)、ATP、GSM、TCP/IP等)によって少なくとも部分的に無線で確立された通信リンクを介してAVES・COC100と通信する。
【0025】
本明細書に記載するAVES車両制御システム210の機能は、コンピュータプロセッサによって実行される非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータアプリケーションを使用して実装され得る。また、本明細書に記載するAVES車両制御システム210の機能は、FPGA、PAL、PLD等のプログラマブルハードウェアデバイスにも実装され得る。さらに、本明細書に記載するAVES車両制御システム210の機能は、コンピュータプロセッサによって実行されるコンピュータプログラム(複数を含む。)とプログラマブルハードウェアデバイスとの組み合わせを使用して実装され得る。したがって、本出願のAVES車両制御システム210は、所望の機能を実行する適切なコンピュータハードウェアおよびソフトウェアを備え、ハードウェアとソフトウェアとの特定の組み合わせに限定されるものではない。
【0026】
各自律走行車両20のAVES車両制御システム210は、コンピュータサーバ120と通信して、AVES・COC100が自律走行車両20の車両群を監視するために必要なデータを送信する。各自律走行車両20に組み込まれたAVES車両制御システム210は、コンピュータサーバ120に、一意の車両ID402と、リアルタイム車両位置404(例えばGPS座標)と、リアルタイム車両利用可否406と、リアルタイム車両動作状態408と、リアルタイム車両状況410と、リアルタイム車両燃料/充電レベル412と、を含む車両情報を送信する。リアルタイム車両利用可否406には、自律走行車両20が割り当てられたトリップ要求に対して呼び出し元ユーザを乗せたか、または割り当てられたトリップ要求が完了した後に呼び出し元ユーザを降ろしたかに関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両利用可否406は、ユーザが自律走行車両20に出入りしたかを判断するために、IVRシステム220へのユーザ入力、インタラクティブなタッチスクリーン230へのユーザ入力、カメラ260からの画像、およびセンサ270からの信号のうちの少なくとも1つを使用して確立されてもよい。リアルタイム車両動作状態408には、自律走行車両の機械システムおよび電気システムの動作状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両動作状態408は、AVES車両制御システム210と自律走行車両20の自律走行システム(例えばCANバス)との接続を使用して確立されてもよい。リアルタイム車両状況410には、自律走行車両20の清潔度の状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両状況410は、自律走行車両20が汚れていたり、散らかっていたり、破損したりしていないかを判断するために、IVRシステム220へのユーザ入力、インタラクティブなタッチスクリーン230へのユーザ入力、カメラ260からの画像、およびセンサ270からの信号のうちの少なくとも1つを使用して確立されてもよい。リアルタイム車両燃料/充電レベル412には、車両走行可能範囲、利用可能な燃料タンクまたは電気バッテリ容量の割合、および利用可能な電力またはエネルギーの単位のうちの少なくとも1つに関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両燃料/充電レベル412は、AVES車両制御システム210と自律走行車両20の自律走行システム(例えばCANバス)との接続を使用して確立されてもよい。
【0027】
また、選択された自律走行車両20に組み込まれたAVES車両制御システム210は、コンピュータサーバ120と通信して、選択された自律走行車両20を呼び出し元ユーザに向かうように案内するために必要なデータを受信する。選択された自律走行車両20に組み込まれたAVES車両制御システム210は、選択された自律走行車両20がトリップ要求504を満たすように、コンピュータサーバ120から、トリップID602、トリップPIN604、トリップルート606、および/またはトリップ情報506を含むトリップ割り当て情報を受信する。さらに、呼び出し元ユーザからのトリップ要求に応答するよう割り当てられていないアクティブプール内の自律走行車両20に組み込まれたAVES車両制御システム210は、コンピュータサーバ120と通信して、自律走行車両20を運送ネットワークの地理的領域における待機場所へ案内するために必要なデータを受信する。
【0028】
ユーザは、AVES・COC100と通信するコンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300を介して運送ネットワークサービスにアクセスすることができる。AVESアプリケーション300は、適切な通信プロトコル(例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、イーサネット、SAP(登録商標)、SAS(登録商標)、ATP、GSM、TCP/IP等)によって少なくとも部分的に無線で確立された通信リンクを介してAVES・COC100と通信する。AVESアプリケーション300は、非一時的コンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ実行可能命令のセットで実施される。これらのセットは、コンピューティングデバイス30のプロセッサによって実行されて、運送ネットワークサービスを要求するためにAVES・COC100へのユーザアクセスを提供する。コンピューティングデバイス30は、AVESアプリケーション300を実行して以下に記載する機能を実施するための適切なデバイス(例えばPC、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン等)であってよく、好ましくは、モバイルコンピューティングデバイス(例えばタブレット、スマートフォン等)である。代替的に、トリップ要求は、電話またはAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)のような手段、またはAPIを有するキオスクでの直接手配等のその他の手段を介して要求されてもよい。例えば、AVES・COCは、APIまたはトリップ要求(複数を含む。)504を認証するために事前に登録および承認されたその他のシステムによって生成されたトリップ要求(複数を含む。)504を満たすように、自律走行車両(複数を含む。)20を動的に選択および割り当てるよう構成されていてもよい。
【0029】
コンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300は、コンピュータサーバ120と通信して、トリップ要求504を送信およびトリップ要求504に対する車両割り当て情報を受信する。コンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300は、コンピュータサーバ120に、ユーザトリップ要求504に関連付けられた一意のユーザID502と、ユーザトリップ要求504に関連付けられたトリップ情報506と、を送信する。トリップ情報506には、迎車場所と、迎車日時と、目的地と、経由地(複数を含む。)と、が含まれてもよい。コンピュータサーバ120がトリップ要求504を満たすために自律走行車両20を選択すると、コンピューティングデバイス30に組み込まれたAVESアプリケーション300は、コンピュータサーバ120から、トリップID602と、トリップPIN604と、トリップルート606と、トリップ要求504を満たすために割り当てられた自律走行車両20の車両ID402および車両詳細414と、を含む車両割り当て情報を受信する。
【0030】
AVES・COC100のコンピュータサーバ120は、運送ネットワーク上の自律走行車両20の車両群を監視および管理ならびに運送ネットワーク上のユーザに自律走行車両20を派遣するために必要なデータを維持する。コンピュータサーバ120は、運送ネットワークに登録された各自律走行車両20に対する車両記録400と、運送ネットワークに登録された各ユーザ30に対するユーザ記録500と、運送ネットワークによって実施される各トリップに対するトリップ記録600と、を格納および維持する。
【0031】
各自律走行車両20の対応する車両記録400は、コンピュータサーバ120内で維持される。車両記録400には、一意の車両ID402と、リアルタイム車両位置404(例えばGPS座標)と、リアルタイム車両利用可否406と、リアルタイム車両動作状態408と、リアルタイム車両状況410と、リアルタイム車両燃料/充電レベル412と、車両詳細414と、車両所有者指定の制限(複数を含む。)416と、車両請求/支払いアカウント418と、が含まれてもよい。リアルタイム車両利用可否406には、自律走行車両20がアクティブプール内にあるか、呼び出し元ユーザからのトリップ要求に応答するよう割り当てられているか、待機しているか、割り当てられたトリップ要求に対して呼び出し元ユーザを迎えに行っている最中か、割り当てられたトリップ要求に対して呼び出し元ユーザを乗せたか、または割り当てられたトリップ要求が完了した後に呼び出し元ユーザを降ろしたかに関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両動作状態408には、自律走行車両20の機械システムおよび電気システムの動作状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両状況410には、自律走行車両20の清潔度の状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両燃料/充電レベル412には、車両走行可能範囲、利用可能な燃料タンクまたは電気バッテリ容量の割合、および利用可能な電力またはエネルギーの単位のうちの少なくとも1つに関する情報が含まれてもよい。車両詳細414には、一般的な車両詳細(例えば車種、メーカー、モデル、年式等)と、車両の写真と、乗車定員と、車両走行距離と、州のDMV(車両管理局)車両登録情報と、保険情報と、修理および保守履歴と、が含まれてもよい。車両の所有者/操作者は、(適宜更新されてもよい)登録時に、自律走行車両20が走行してもよい(例えば経度/緯度の基準点を中心とした半径によって、または市、群、州またはその他の地理的境界によって画定される)走行可能領域(allowable operational trip area)と、自律走行車両20をトリップに割り当ててもよい利用可能日時と、自律走行車両を割り当ててもよいトリップの最低収益率と、を含む制限(複数を含む。)416を指定することができる。
【0032】
各ユーザの対応するユーザ記録500は、コンピュータサーバ120内で維持される。ユーザ記録500には、一意のユーザID502と、ユーザID502に関連付けられたトリップ要求(複数を含む。)504と、各トリップ要求504に対応するトリップ情報506と、ユーザ設定(複数を含む。)508と、リアルタイムユーザ位置510と、ユーザ請求/支払いアカウント512と、が含まれてもよい。トリップ情報506には、迎車場所と、迎車日時と、目的地と、経由地(複数を含む。)と、が含まれてもよい。ユーザ設定(複数を含む。)508には、価格設定と、優先度と、走行速度と、車両定員と、車内温度等が含まれてもよい。ユーザ設定(複数を含む。)508は、運送ネットワークへのユーザ登録時または特定のトリップ要求を行うときに提供されてもよい。リアルタイムユーザ位置510は、AVESアプリケーション300が組み込まれたコンピューティングデバイスのGPS機能を使用して確立されてもよい。
【0033】
各トリップ要求504の対応するトリップ記録600は、コンピュータサーバ120内で維持される。トリップ記録600には、ユーザトリップ要求504に関連付けられた一意のユーザID502と、トリップ要求504に関連付けられたトリップ情報506と、トリップ要求504に割り当てられた車両ID402と、トリップ要求504に関連付けられたトリップID602およびトリップPIN604と、トリップ要求504に対して決定したトリップルート606と、トリップ要求504に対してユーザが要求したトリップ変更608と、トリップ要求504に対して提供される変更されたトリップルート610と、が含まれてもよい。
【0034】
図5Aおよび図5Bに示すように、コンピュータサーバ120は、動作時において、各自律走行車両20に組み込まれたAVES車両制御システム210を介して自律走行車両20の車両群を監視して、車両群内の各自律走行車両20のリアルタイム車両位置404と、リアルタイム車両利用可否406と、リアルタイム車両動作状態408と、リアルタイム車両状況410と、リアルタイム車両燃料/充電レベル412と、を決定する。例えば、コンピュータサーバ120は、指定された頻度(例えば毎分)で、車両群内の各自律走行車両20に組み込まれたAVES車両制御システム210に断続的に問い合わせを行ってもよい。自律走行車両20が利用可能であり、許容可能な動作状態(例えば無問題表示)にあり、許容可能な状況(例えば危険または不衛生な状況に対する警告や検出がない)にあり、許容可能な燃料/充電レベル(例えば事前に定義された最小レベルよりも高いレベル)を有する場合、コンピュータサーバ120は、車両群内の自律走行車両20のAVES車両制御システム210から問い合わせされた車両情報に基づいて、自律走行車両20をアクティブプールに動的に割り当てる。リアルタイム車両動作状態408には、自律走行車両20の機械システムおよび電気システムの動作状態(例えば低いタイヤ圧、暖房または空調の故障、機械的な問題等)に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両動作状態408は、AVES車両制御システム210と自律走行車両20の自律走行システム(例えばCANバス)との接続を使用して確立されてもよい。リアルタイム車両状況410には、自律走行車両20の清潔度の状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両状況410は、自律走行車両20が汚れていたり、散らかっていたり、破損したりしていないかを判断するために、IVRシステム220へのユーザ入力、インタラクティブなタッチスクリーン230へのユーザ入力、カメラ260からの画像、およびセンサ270からの信号のうちの少なくとも1つを使用して確立されてもよい。コンピュータサーバ120は、車両郡内の許容不可の動作状態または状況の自律走行車両20を保守サービス用のサービス場所(整備工場)へ案内する。
【0035】
コンピュータサーバ120は、車両群内の許容不可の燃料/充電レベルの自律走行車両20を給油/充電用のガス/充電スタンドへ案内する。電気式の自律走行車両20は、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/956,998号、米国特許出願第15/957,022号、米国特許出願第15/957,041号および米国特許出願第15/957,057号に記載されたシステムおよび方法を使用して充電スタンドへ案内されて充電され得る。
【0036】
コンピュータサーバ120は、選択されたコンピューティングデバイス30の選択されたAVESアプリケーション300を介して呼び出し元ユーザからトリップ要求504を受信する。トリップ要求504には、呼び出し元ユーザに関連付けられた一意のユーザID502と、迎車場所、迎車日時、目的地および任意の経由地(複数を含む。)を含むトリップ情報506と、が含まれる。コンピューティングデバイス30は、AVESアプリケーション300を実行して以下に記載する機能を実施するための任意の適切なデバイス(例えばPC、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン等)であってよく、好ましくは、モバイルコンピューティングデバイス(例えばタブレット、スマートフォン等)である。代替的に、トリップ要求は、上述したように電話またはAPIのようなその他の手段を介して要求されてもよい。例えば、AVES・COCは、APIまたはトリップ要求(複数を含む。)504を認証するために事前に登録および承認されたその他のシステムによって生成されたトリップ要求(複数を含む。)504を満たすように、自律走行車両(複数を含む。)20を動的に選択および割り当てるよう構成されていてもよい。例えば、不都合な状況によって予期せぬ学校閉鎖が発生した場合、APIは、学校の警告システムから一斉通知を受信して、トリップ要求(複数を含む。)504を自動的に生成することができる。親は、子どもを迎えに行くために職場から急に早退する必要がなくなる。親は、このサービスの登録時に、一意の緊急時乗車識別子を受け取る。この識別子は、トリップ要求504を満たすために割り当てられた選択された自律走行車両20によって表示され、これにより、子どもは、どの自律走行車両20が自身に割り当てられたか知ることができる。
【0037】
コンピュータサーバ120は、トリップ要求504に対するトリップ情報506に基づいて、トリップルート606を決定する。例えば、人工知能システム130は、トリップ要求504を満たすために、ルート決定アルゴリズムを実行して、トリップ情報506およびナレッジベース140内の情報に基づいて、トリップルート606(予測所要時間含む)を決定する。ナレッジベース140には、過去の交通状況700と、リアルタイムの交通状況702と、予定されている道路閉鎖704と、予定されているイベント706と、予定されている工事708と、が含まれる。ルート決定アルゴリズムは、トリップ情報506(例えば迎車場所、迎車日時、目的地および任意の経由地)およびナレッジベース140からの情報(例えば過去の交通状況700、リアルタイムの交通状況702、予定されている道路閉鎖704、予定されているイベント706および予定されている工事708)を使用して、トリップ要求504を満たすのに最適なトリップルートを決定する。過去のデータは、既存のトリップ要求の分析に基づいて、頻繁に利用される迎車場所および降車場所を識別することができる。また、AVES・COCは、進行中のトリップ要求の記録に基づいて、「頻繁に利用される」迎車場所および降車場所を認識することができ、時間帯(例えば朝晩のラッシュアワー)、曜日(例えば平日または週末)、時期(例えば夏と冬)、または様々な所要時間(例えば日毎パターン、週毎パターン、またはより長い時間枠)に関連するパターンに基づいて調整することもできる。
【0038】
コンピュータサーバ120は、トリップ要求504を満たすための自律走行車両20を選択する。例えば、人工知能システム130は、マッチメイキングアルゴリズムを実行して、決定したトリップルート606およびナレッジベース140内の情報に基づいて、トリップ要求504を満たすための自律走行車両20を選択する。ナレッジベース140には、ユーザ設定(複数を含む。)508が含まれ、且つ車両群内の各自律走行車両20に対して、リアルタイム車両位置データ404と、リアルタイム車両利用可否データ406と、リアルタイム車両動作状態408と、リアルタイム車両状況データ410と、リアルタイム車両燃料/充電レベル表示412と、車両詳細414と、車両所有者指定の制限(複数を含む。)416と、過去の交通状況700と、リアルタイムの交通状況702と、予定されている道路閉鎖704と、予定されているイベント706と、予定されている工事708と、も含まれる。マッチメイキングアルゴリズムは、決定したトリップルート606と、ナレッジベース140からの情報(例えばユーザ設定(複数を含む。)508、リアルタイム車両位置データ404、リアルタイム車両利用可否データ406、リアルタイム車両動作状態408、リアルタイム車両状況データ410、リアルタイム車両燃料/充電レベル表示412、車両詳細414、車両所有者指定の制限(複数を含む。)416、過去の交通状況700、リアルタイムの交通状況702、予定されている道路閉鎖704、予定されているイベント706および予定されている工事708)を使用して、トリップ要求504を満たすために決定したルート606を走行するのに最適な自律走行車両をアクティブプールから選択する。
【0039】
トリップ要求504がアクティブプール内のいずれの利用可能な自律走行車両20の走行可能範囲を超える場合、コンピュータサーバ120は、トリップ要求504を順次満たすために2つ以上の自律走行車両20を選択する。例えば、人工知能システム130は、マッチメイキングアルゴリズムを実行してマルチホップ経路制御(ルーティング)を実施し、トリップ要求を満たすために、決定したルートを連続した区間で走行するのに最適な自律走行車両を2つ以上選択する。人工知能システム130によって実行されるマルチホップ経路制御は、航空会社が長距離を飛行するために複数区間のトリップを利用する場合と似ている。コンピュータサーバ120は、トリップ要求504に応答して、ユーザに複数区間のトリップルート606を自動的に提供する。人工知能システム130は、乗り換え時に休憩(例えばトイレ休憩、食事休憩等)ができるようにおよび余分な待機料金の発生を避けるために、マルチホップ経路制御を実施して、便利な場所ならびにずらされた降車時刻および迎車時刻を乗り換えのために提供することができる。コンピュータサーバ120は、指定された降車時刻および迎車時刻に2つ以上の選択された自律走行車両20を乗り換え場所へ案内して、乗り換えを調整する。
【0040】
トリップ要求504がアクティブプール内の利用可能な自律走行車両20の乗車定員または積載可能容量を超える場合、コンピュータサーバ120は、トリップ要求504を順次満たすために2つ以上の自律走行車両20を選択する。例えば、人工知能システム130は、マッチメイキングアルゴリズムを実行して複数車両経路制御(multi-vehicle routing)を実施し、トリップ要求を満たすために、決定したトリップルート606を同時に走行するのに最適な自律走行車両を2つ以上選択する。コンピュータサーバ120は、トリップ要求504に応答して、ユーザに2つ以上の自律走行車両20を自動的に提供する。複数車両経路制御は、アドホックキャラバン編成に留まるように2つ以上の自律走行車両20の走行パターンを自動的に調整することで実施される。アドホックキャラバン編成を維持することで、複数の乗客(例えば大家族等)間の距離を比較的近くに保つことができる。その目的のために、選択された自律走行車両20らは、移動中に互いに通信することができ、AVES・COC100とも通信することができる。これにより、1つの車両がトリップルート606から逸れた場合(例えば故障や交通渋滞に陥った場合)、他の車両は逸れたことを認識して、AVES・COC100の支援を必要におうじて受けながら調整を行うことができる。
【0041】
コンピュータサーバ120は、トリップ要求504を満たすために、自律走行車両(複数を含む。)20を選択して、トリップ要求504を満たすために、一方的且つ自動的に選択された自律走行車両(複数を含む。)20を割り当てる。このアプローチは、既存の「ライドシェア」企業や運送ネットワーク会社が実施する従来のアプローチと異なる。通常、運送ネットワーク会社は、呼び出し者の近くにある車両にトリップの受け入れ機会(trip opportunity)を提供し、車両によるトリップの受け入れ機会の受け入れを待つ。対照的に、本出願のAVES・COC100は、拒絶、不確実性、または遅延なしに、すなわち一方的且つ明確且つ自動的に、トリップ要求504を満たすのに最適な選択された自律走行車両(複数を含む。)20を割り当てる。このアプローチは、AVES・COC100がトリップ要求504に最適な自律走行車両20を割り当てることができることを保証する。単に呼び出し元ユーザの近くに位置し、様々な理由でトリップ要求504を正常且つ効率的に完了させるのに適していない可能性がある自律走行車両(複数を含む。)20にトリップ要求を提供するわけではない。AVES10は、人的要因を排除することで、迅速且つ効率的且つ低コストで動作することができる。トリップ要求504を開始する呼び出し元ユーザ以外に、「瞬時の」および自動的な選択ならびに割り当てプロセスにおいて人による介入がないため、自律走行車両20を呼び出し元ユーザに遅延なく派遣することができる。また、ユーザは、AVES10に慣れることで、AVES10が、トリップ要求504を満たすことができる自律走行車両20を派遣することを確信することができる。
【0042】
トリップ要求504の予定されている迎車日時になる前に、アクティブプール内の新しく利用可能になった自律走行車両20が以前に選択された自律走行車両504よりもトリップ要求504を満たすのにより適しているとマッチメイキングアルゴリズムが判断した場合、人工知能システム130は、以前に選択された車両20の代わりにトリップ要求を満たすために、新しく利用可能になった自律走行車両20を一方的且つ自動的に選択および置換する。この再割り当てプロセスは、自動的であり、呼び出し元ユーザには見えない。ユーザは、自律走行車両20の再割り当てプロセスの最終結果を、自律走行車両20の待ち時間の短縮として見るであろう。AVES・COC100は、トリップ要求504の予定されている迎車時刻の前および選択された自律走行車両20の車両詳細414がAVESアプリケーション300に送信される前の指定された期間において再割り当てプロセスを一時停止する。AVES・COC100は、人間の運転者を使用する運送ネットワーク会社と異なり、運送ネットワーク会社とその運転者との間の関係に悪影響を与えることなく、トリップ要求504を満たすために自動的且つ一方的に自律走行車両20の割り当ておよび再割り当てができるため、AVES10における歩留まり管理および運用効率を向上させることができる。例えば、運転者が運送ネットワーク会社を介してトリップ要求を受け入れると、運転者は、受け入れたトリップ要求に応じた収入を期待して要求された場所へ向かうが、運送ネットワーク会社が予告なく他の運転者にそのトリップ要求を再割り当てした場合、運送ネットワーク会社と置換された運転者との間の関係に悪影響を与える。
【0043】
コンピュータサーバ120は、AVES・COC100によって受信された各トリップ要求504に対して、トリップ要求504に対応する一意のトリップID602およびそれに対応する一意のトリップPIN604を生成する。さらに、コンピュータサーバ120は、トリップ要求504と対応するトリップ情報506、呼び出し元ユーザに対するユーザID502、選択された自律走行車両20に対する車両ID402、トリップ要求504に対するトリップID602と対応するトリップPIN604、およびトリップ要求504に対して決定したトリップルート606をコンピュータサーバ120に格納されるトリップ記録600内で関連付ける。AVES・COC100がトリップ要求504を満たすために自律走行車両20を選択すると、AVES・COC100は、選択された自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器200と通信して、迎車時刻に選択された自律走行車両20を迎車場所へ案内する。コンピュータサーバ120は、選択された自律走行車両20がトリップ要求504を満たすように、選択された自律走行車両20に組み込まれたAVES車両制御システム210に、トリップID602、トリップPIN604、トリップルート606および/またはトリップ情報506を含むトリップ割り当て情報を送信する。AVES車両制御システム210は、迎車時刻に自律走行車両20を迎車場所へ案内するために、車両コンピュータシステム(例えばCANバス)に、トリップ要求504に対するトリップ情報506および/またはトリップルート606を伝送する。代替的に、AVES車両制御システム210は、迎車時刻に自律走行車両20を迎車場所へ案内するために、トリップ情報506および/またはトリップルート606に基づいて、自律走行車両20の車両コンピュータシステム(例えばCANバス)に走行コマンドを伝送する。トリップ要求504が新しく選択された自律走行車両20に再割り当てされた場合、コンピュータサーバ120は、迎車時刻に新しく選択された自律走行車両20を迎車場所へ案内するために、新しく選択された自律走行車両20のAVES車両制御システム210にトリップ割り当て情報を送信する。また、コンピュータサーバ120は、以前に選択された自律走行車両を別の迎車場所または待機場所に迂回させる。さらに、コンピュータサーバ120は、トリップ記録600を更新して、以前に選択された自律走行車両を新しく選択された自律走行車両に置き換える。
【0044】
コンピュータサーバ120は、呼び出し元ユーザからのトリップ要求に応答するよう割り当てられていないアクティブプール内の自律走行車両20を運送ネットワークの地理的領域における待機場所へ案内する。例えば、ナレッジベース140を含む人工知能システム130は、配車最適化アルゴリズムを実行して車両群内の自律走行車両20の待機場所を決定する。ナレッジベース140には、アクティブプール内の自律走行車両20に対するリアルタイム車両位置データ404と、以前のトリップ要求504に関する過去の情報と、現在のトリップ要求504に関するリアルタイムの情報と、運送ネットワークの地理的領域における予定されているイベントに関する情報が含まれる。配車最適化アルゴリズムは、現在の情報(例えば現在の日時、曜日および天気)およびナレッジベース140からの情報(例えばアクティブプール内の自律走行車両20に対するリアルタイム車両位置データ404、以前のトリップ要求504に関する過去の情報、現在のトリップ要求504に関するリアルタイムの情報および運送ネットワークの地理的領域における予定されているイベントに関する情報)を使用して、運送ネットワークの地理的領域における自律走行車両20の待機場所を選択する。これにより、トリップ要求の需要を満たすのに最適な配車を得ることできる。待機場所には、ガス/充電スタンド、路上駐車スペース、駐車場、空港およびバス停、学校ならびにタクシー乗り場が含まれてもよい。AVES・COCは、公的なメッセージシステム、車両群内の自律走行車両20に組み込まれたAVES車両機器またはユーザがアクセス可能なコンピューティングデバイスに組み込まれたAVESアプリケーションから、トリップ要求504に関するリアルタイムの情報と、運送ネットワークの地理的領域における予定されているイベントに関する情報と、を受信する。
【0045】
AVES・COC100は、呼び出し元ユーザからのトリップ要求に応答するよう割り当てられていないアクティブプール内の自律走行車両20を、従来からタクシー乗り場の即時性および効率のよさに依存する場所(例えば空港、公開イベント、ホテル等)のタクシー乗り場へ誘導してもよい。コンピュータサーバ120は、上述したようにAVESアプリケーション300を介して行われたトリップ要求504に応答して、トリップ要求504に対するトリップID602を提供し、ユーザをタクシー乗り場へ行かせて、ユーザがトリップ要求504に適した最初に利用可能な自律走行車両20を選べるようにする。呼び出し者がタクシー乗り場内の自律走行車両20に乗車すると、ユーザは、IVRシステム220またはインタラクティブなタッチスクリーン230を介してトリップID602を提供する。AVES車両制御システム210は、選択された自律走行車両20がトリップ要求504を満たすように、AVES・COC100に、ユーザが入力したトリップID602を伝送し、コンピュータサーバ120は、選択された自律走行車両20のAVES車両制御システム210に、トリップID602、トリップルート606および/またはトリップ情報506を含むトリップ割り当て情報を送信する。AVES・COC100は、タクシー乗り場内の自律走行車両によって満たされたトリップ要求504の数を監視し、需要に応じて追加の自律走行車両をタクシー乗り場へ誘導する。
【0046】
AVES・COC100は、呼び出し元ユーザからのトリップ要求に応答するよう割り当てられていないアクティブプール内の自律走行車両20を、トリップ要求504が割り当てられるまでの間に給油/充電するために、ガス/充電スタンドへ誘導してもよい。これにより、アクティブプール内の自律走行車両20の燃料/充電レベルを可能な限り一杯であるように維持して、アクティブプール内の自律走行車両の利用率を最適化することができる。電気自律走行車両20は、充電スタンドへ案内されて、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/956,998号、米国特許出願第15/957,022号、米国特許出願第15/957,041号および米国特許出願第15/957,057号に記載されているようなシステムおよび方法を用いて充電されてもよい。
【0047】
AVES・COC100は、許容不可の車両動作状態408または車両状況410にある自律走行車両20をアクティブプールから外して、これらの自律走行車両20を保守サービス用のサービス場所へ案内する。リアルタイム車両動作状態408には、自律走行車両20の機械システムおよび電気システムの動作状態(例えば低いタイヤ圧、暖房または空調の故障、機械的な問題等)に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両動作状態408は、AVES車両制御システム210と自律走行車両20の自律走行システム(例えばCANバス)との接続を使用して確立されてもよい。リアルタイム車両状況410には、自律走行車両20の清潔度の状態に関する情報が含まれてもよい。リアルタイム車両状況410は、自律走行車両20が汚れていたり、散らかっていたり、破損したりしていないかを判断するために、IVRシステム220へのユーザ入力、インタラクティブなタッチスクリーン230へのユーザ入力、カメラ260からの画像、およびセンサ270からの信号のうちの少なくとも1つを使用して確立されてもよい。トリップが完了した後に、カメラ260は、介入なしに、まだ乗車している乗客、自律走行車両20内にトリップ開始時よりも多く残された物品、汚れ、捨てられた食べ物または飲み物の容器、または自律走行車両20内の清潔な環境を損なうその他の物を含む異常を検出してもよい。貴重品が忘れられた場合、AVES・COCは、貴重品を回収するために自律走行車両20をサービス場所へ誘導して、前の乗客に忘れ物があったことを通知する。また、AVES・COC100は、定期的に(例えば1日1回)自律走行車両20をアクティブプールから外して、検査、清掃、保守および/または修理のために自律走行車両をサービス場所へ案内する。自律走行車両20が許容不可の状況でトリップ要求504に対するユーザを迎えに行った場合、ユーザは、自律走行車両のIVRシステム220および/またはインタラクティブなタッチスクリーン230を介して許容不可の状況を指摘して自律走行車両20を拒否することができる。AVES・COCは、自律走行車両20のAVES車両制御システム210から許容不可の車両状況の指摘を受信すると、最も高い優先度で、自動的に交換用の自律走行車両20を割り当てて、許容不可の状況にある自律走行車両20をアクティブプールから外し、その自律走行車両20をサービス場所へ誘導する。
【0048】
AVES・COC100は、AVESアプリケーション300を介して呼び出し元ユーザに、一意のトリップID602と、トリップPIN604と、トリップルート606と、トリップ要求504を満たすために割り当てられた自律走行車両20に対する車両ID402および車両詳細414と、を含む車両割り当て情報を送信する。また、AVES・COC100は、AVESアプリケーション300を介して呼び出し元ユーザに、到着予定時刻を含む更新されたリアルタイム車両位置の状況を送信する。
【0049】
割り当てられた自律走行車両20およびAVESアプリケーション300を含むユーザのデバイス30が特定の距離にあると、AVES10は、車両/ユーザ発見プロトコルを開始する。AVESアプリケーション300は、車両/ユーザ発見プロトコル中に、選択されたコンピューティングデバイス30を介して一意のトリップID602でエンコードされた信号302を伝送し、AVES車両制御システム210は、アンテナ240を起動して一意のトリップID602でエンコードされたAVESアプリケーションの信号302をスキャンする。例えば、AVESアプリケーション300は、車両/ユーザ発見プロトコル中に、コンピューティングデバイス30内のBluetooth(登録商標)送信機を自動的に起動して、一意のトリップID602でエンコードされた信号302を伝送する。ここではBluetooth(登録商標)送受信用の2.4GHz周波数帯域が開示されているが、任意の適切な通信プロトコルを使用してもよい。アンテナ240は、呼び出し元ユーザの選択されたコンピューティングデバイスからのトリップID602でエンコードされた信号伝送(例えばBluetooth)のために360°スキャンするように電子的に操作可能なフェーズドアレイアンテナであってもよい。代替的に、アンテナ240は、呼び出し元ユーザの選択されたコンピューティングデバイスからのトリップID602でエンコードされた信号伝送(例えばBluetooth)のために360°スキャンするように電動化された従来の指向性アンテナであってもよい。また、AVES車両制御システム210は、車両/ユーザ発見プロトコル中に、信号エミッタ250を起動して一意のトリップID602でエンコードされた信号252を伝送し、AVESアプリケーション300は、コンピューティングデバイス30のビデオカメラを起動して一意のトリップID602でエンコードされた信号エミッタの信号252を検知する。例えば、信号エミッタ250は、一意のトリップID602でエンコードされた連続変調信号252を伝送する無指向性赤外線エミッタであってもよい。AVESアプリケーション300は、コンピューティングデバイス30のビデオカメラを起動して、信号エミッタ250によって発信された一意に変調された赤外線信号を検知する。
【0050】
AVES車両制御システム210は、一意のトリップID602でエンコードされアンテナ240によって検出された信号伝送を使用して、自律走行車両20を呼び出し元ユーザへ向かうように案内する。AVES車両制御システム210は、最大受信信号強度の方向に基づいて、一意のトリップID602でエンコードされた信号302を伝送する選択されたコンピューティングデバイスの位置を判断する。これは、トリップID602でエンコードされた信号302を伝送する選択されたコンピューティングデバイスを傍受するために自律走行車両20が移動する方向を示す。また、図4に示すように、ユーザがコンピューティングデバイス30のカメラを使用して、トリップ要求504が割り当てられた選択された自律走行車両20の領域をスキャンすると、自律走行車両20の信号エミッタ250によって発信された一意に変調された赤外線信号が、カメラに捉えられた画像の画面の上に重ねられる「拡張現実」画像(例えば自律走行車両20の方を指す点滅する矢印)を生成させる。したがって、呼び出し元ユーザは、領域内の多数の車両の中からトリップ要求504が割り当てられた選択された自律走行車両20を迅速且つ容易に識別することができる。任意選択で、AVESアプリケーション300は、コンピューティングデバイス30を介して可聴フィードバックおよび/または触覚フィードバックを提供してもよい。これにより、視覚障害のあるユーザを、トリップID602でエンコードされた信号252を伝送する選択された自律走行車両20へ向かうように案内することができる。例えば、AVESアプリケーション300は、音声方向案内(例えば「左/直進/右」)および注意案内(例えば「左から来る車両に注意」)を提供してもよい。
【0051】
自律走行車両20が呼び出し元ユーザに対して特定の距離内に入ると、AVES車両制御システム210は、ユーザの端末を傍受できたと判断して、自律走行車両20を停止する。呼び出し元ユーザに対する距離は、ユーザのコンピューティングデバイスから受信した信号の強度またはその他のデータおよび地域の状況に基づいて決定されてもよい。AVES車両制御システム210が自律走行車両20を停止させた後に、AVES車両制御システム210は、ハザードランプを起動し、ドアおよびトランクのロックを解除し、呼び出し元ユーザが自律走行車両20に乗車するのを待つ。AVES車両制御システム210と自律走行車両20のコンピュータシステム(例えばCANバス)との間の相互接続によって、AVES車両制御システム210は、ハザードランプを起動し、ドアおよびトランクのロックを解除し、呼び出し元ユーザが自律走行車両20に乗車したことを検出する(例えば車両のドアが開閉されたことを検出する)ことができる。また、AVES車両制御システム210は、トランクが開閉されたかを検出して、物品がトランクに置かれたかを判断してもよい。さらに、AVES車両機器200には、自律走行車両のトランクルームに配置され且つAVES車両制御システム210と接続されるカメラ(複数を含む。)260および/またはセンサ(複数を含む。)270が含まれてもよい。これにより、物品がトランクに置き忘れられていないかを判断することができる。
【0052】
AVES車両制御システム210が、乗客が自律走行車両20に乗車したことを検出すると、AVES車両制御システム210は、IVRシステム220を起動して、ウェルカムメッセージおよびトリップ要求504に対する一意のトリップID602を知らせる。また、AVES車両制御システム210は、インタラクティブなタッチスクリーン230を起動して、トリップ要求504に対する一意のトリップID602を表示する。さらに、AVES車両制御システム210は、IVRシステム220およびインタラクティブなタッチスクリーン230を起動して、一意のトリップID602に対応するトリップPIN604をユーザに求める。AVES車両制御システム210がユーザからトリップPIN604を受信すると、AVES車両制御システム210は、ユーザから受信したトリップPIN604と一意のトリップID602に対応するトリップPIN604とを比較する。ユーザから受信したトリップPIN604と、一意のトリップID602に対応するトリップPIN604とが合致すると、ユーザは認証される。また、AVES車両制御システム210は、IVRシステム220およびインタラクティブなタッチスクリーン230を起動して、目的地を確認するようユーザに求める。この認証プロセスによって、ユーザが間違った自律走行車両20に乗り込んで間違った目的地に辿り着かないようにすることができる。また、AVES車両制御システム210は、占有された座席位置におけるシートベルトの着用を確認する。すべての乗客がシートベルトを着用していない場合、AVES車両制御システム210は、IVRシステム220およびインタラクティブなタッチスクリーン230を起動して、乗客にシートベルトの着用を求める。ユーザが認証され、目的地が確認され、乗客がシートベルトを着用した後に、AVES車両制御システム210は、自律走行車両20にトリップを開始するように命令する。自律走行車両20のAVES車両機器200は、AVESアプリケーション300を介してユーザによって視覚障害モードに設定され得る。視覚障害モードにおいて、AVES車両制御システム210は、IVRシステム220を介してユーザと通信する。
【0053】
自律走行車両20が許容不可の状況でトリップ要求504に対するユーザを迎えに行った場合、ユーザは、自律走行車両のIVRシステム220および/またはインタラクティブなタッチスクリーン230を介して許容不可の状況を指摘して自律走行車両20を拒否することができる。AVES・COCは、自律走行車両20のAVES車両制御システム210から許容不可の車両状況の指摘を受信すると、最も高い優先度で、自動的に交換用の自律走行車両20を割り当てて、許容不可の状況にある自律走行車両20をアクティブプールから外し、その自律走行車両20をサービス場所へ誘導する。
【0054】
トリップが進行すると、インタラクティブなタッチスクリーン230は、地図上にトリップルートおよびリアルタイムの位置や到着予定時刻等を含むリアルタイムのトリップ情報を表示する。また、インタラクティブなタッチスクリーン230は、トイレ休憩や体調不良等のためにトリップを一時的に停止するソフトキーを提供してもよい。また、IVRシステム220は、トイレ休憩や体調不良等のためにトリップを一時的に停止する音声コマンドを認識するようにプログラムされていてもよい。
【0055】
ユーザは、移動中に、IVRシステム220、インタラクティブなタッチスクリーン230、またはAVESアプリケーション300を使用して、変更されたトリップ情報507(例えば変更された経由地(複数を含む。)および/または目的地)を含むトリップ変更要求505を行うことができる。AVES車両制御システム210は、AVES・COC100に、変更されたトリップ情報507を含むトリップ変更要求505を送信する。乗車要求504に対して上述したように、人工知能システム130は、変更要求505を満たすために、ルート決定アルゴリズムを実行して、変更されたトリップ情報507およびナレッジベース140内の情報に基づいて、変更されたトリップルート608(新しく予測された所要時間および費用を含む)を決定する。コンピュータサーバ120は、現在の自律走行車両が変更されたトリップルート608に従ってトリップ変更要求505を満たすことができるか、および変更されたトリップを要求しているユーザが十分な支払い能力を有するかを判断する。現在の自律走行車両20が変更されたトリップルート608に従って変更要求505を満たすことができる場合、コンピュータサーバ120は、IVRシステム220、インタラクティブなタッチスクリーン230、またはAVESアプリケーション300を介してユーザが変更されたトリップルート608を受け入れるかを確認し、変更されたトリップルート608に従って現在の自律走行車両20を案内する。現在の自律走行車両20が変更されたトリップルート608に従ってトリップ変更要求505を満たすことができない場合、コンピュータサーバ120は、変更されたトリップルート608に従ってトリップ変更要求505を満たすために、トリップ変更要求505を満たすことができる代替の自律走行車両20を選択し、IVRシステム220、インタラクティブなタッチスクリーン230、またはAVESアプリケーション300を介してユーザが代替の自律走行車両20を受け入れるかを確認し、マルチホップ経路制御を実施して現在の自律走行車両20および代替の自律走行車両20を調整する。乗車要求504に対して上述したように、人工知能システム130は、トリップ変更要求505を満たすために、マッチメイキングアルゴリズムを実行して、変更されたトリップルート608およびナレッジベース140内の情報に基づいて、代替の自律走行車両20を選択する。
【0056】
ユーザは、IVRシステム220またはインタラクティブなタッチスクリーン230を使用して、緊急警報514を発動することができる。例えば、IVRシステム220は、緊急時プロトコルを開始するための特定のキーワードを認識するようプログラムされていてもよい。IVRシステム220は、緊急時プロトコルを開始するための事前にプログラムされた単語を検出するために、トリップの期間中、有効になっていてもよい。AVES車両制御システム210は、AVES・COC100に緊急警報514を送信し、AVES・COC100は、緊急時プロトコルを開始する。AVES・COC100は、IVRシステム220またはインタラクティブなタッチスクリーン230を介して緊急事態であることを確認する。AVES・COC100が緊急事態であることを確認した場合または応答をまったく受信しない場合、AVES・COC100は、緊急時プロトコルを続行する。AVES・COC100は、緊急用911番通報を発信し、自律走行車両のIVRシステム220と緊急用911番通報とを繋ぐ。位置情報等を提供する必要がある場合、AVES・COC100の担当者も緊急用911番通報と繋がっていてもよい。また、AVES車両制御システム210は、IVRシステム220のマイクおよびスピーカ、室内および室外カメラ260、ならびに自律走行車両の室内ライトを起動して、ビデオ監視をしやすくする。室内ビデオカメラ260およびIVRシステム220は、AVES・COC100の担当者がユーザの緊急事態を精査できるように、ならびにビデオおよびオーディオデータが自律走行車両に搭載されたメモリに格納されるように、起動される。インタラクティブなタッチスクリーン230は、ソフトキーによる「警察署へ行く」および「病院へ行く」の選択肢を提供してもよい。IVRシステム220は、特定のキーワードを認識して、緊急事態および緊急事態のタイプ(例えば医療的緊急事態)を確認することができるようプログラムされていてもよい。AVES車両制御システム210は、自律走行車両のトリップを中断し、ユーザ入力に応じて、自律走行車両20を警察署または病院へ案内してもよい。病院側が自律走行車両20と合流できるように救急車を派遣することを希望する場合、AVES・COC100の担当者は、自律走行車両を遠隔で停止またはルート変更し、自律走行車両の位置を提供することができる。また、AVES10は、位置情報を、そのような情報を受け入れることができる将来の911番システムに直接転送する能力も有する。
【0057】
トリップ中に自律走行車両20が突然無効化された場合、AVES車両制御システム210は、無効車両プロトコルを開始する。AVES車両制御システム210は、まず、自律走行車両を安全な場所(例えば路肩)へ案内して、ハザードランプを起動し、AVES・COC100に通知する。AVES・COC100は、代替の自律走行車両20を自動的且つ優先的に派遣し、IVRシステム220および室内ビデオカメラ260を介して自律走行車両の乗客(複数を含む。)と通信リンクを確立する。これにより、AVES・COC100の担当者は、その状況を監視することができる。この無効車両プロトコルは、代替の自律走行車両20が自動的に派遣される点で、単に自律走行車両20の無効化状態を運送ネットワーク会社に通知するだけの従来の自動運転車両の通知システムと異なる。
【0058】
AVES・COC100がAVES車両機器200との通信リンクを失敗するまたは失うと、AVES車両制御システム210は、無効システムプロトコルを開始する。AVES車両制御システム210は、進行中のトリップを完了するように自律走行車両20を誘導し、通信リンクおよび/またはAVES・COC100の通常動作が復元されるまで、自律走行車両20のローカルAVESメモリにトリップ代金情報を格納する。通信リンクおよび/またはAVES・COC100が復元されると、AVES車両制御システム210は、AVES・COC100にトリップデータを送信する。AVES車両制御システム210は、自律走行車両20を誘導して、ローカルAVESメモリファイルに格納されている最も近いフェイルセーフな場所または休憩所へ走行させる。また、GPSシステムに障害が発生すると、無効システムプロトコルが開始され、進行中のトリップを完了するために「自律航法」(例えばコンパスや距離情報)が使用されたり、フェイルセーフな場所または休憩所へ移動させたりする。
【0059】
自律走行車両20が所望の経由地または目的地に到達しても停止できない場合(例えば別の車両がその領域を占有している場合等)、AVES車両制御システム210は、自律走行車両20を誘導して、所望の経由地または目的地をわずかに通り過ぎて特定の距離を走行させ、所望の経由地または目的地での停止を再び試みる自動ループを実行する。AVES車両制御システム210は、IVRシステム220を起動して、乗客に目的地の手前で停車するか、迂回して戻ってくるか、目的地の先で停車するか、代替の停車場所があるかを尋ねる。自律走行車両20が所望の経由地または目的地で停止すると、AVES車両制御システム210は、ドアのロックを自動的に解除し、IVRシステム220を介して場所を知らせ、インタラクティブなタッチスクリーン230を介してその場所を表示する。
【0060】
AVES車両制御システム210は、IVRシステム220を起動し、インタラクティブなタッチスクリーン230は、トリップを終了するか、ユーザが自律走行車両20に戻るまで待つか、新しい目的地へ向かうかを確認するようユーザに求める。呼び出し元ユーザが、ユーザが自律走行車両20に戻るまで待つことを自律走行車両20に望む場合、AVESアプリケーション300は、その期間中有効となる。これにより、ユーザは、自律走行車両20を再呼び出しすることができる。トリップの終わりにAVES車両制御システム210が特定の時間枠内でトリップの完了確認要求に対する応答を受信しなかった場合、AVES車両制御システム210は、次第に音量レベルを大きくして確認を繰り返し、室内ライトを点滅させる。AVES車両制御システム210がトリップの完了確認要求に対する応答を受信せず、ドアが開かれたという兆候もなかった場合、AVES車両制御システム210は、AVES・COC100が、ユーザがまだ自律走行車両20内に残っているかを確認できるように、室内ビデオカメラおよびIVRを起動する。AVES車両制御システム210と自律走行車両20のコンピュータシステム(例えばCANバス)との間の相互接続によって、AVES車両制御システム210は、呼び出し元ユーザが自律走行車両20から降車したと判断する(例えば車両のドアが開閉したことを検出する)ことができる。AVES・COC100が自律走行車両20内にいて応答することができない行動不能な乗客を検出した場合、AVES・COC100は、緊急時プロトコルを開始する。
【0061】
AVES車両制御システム210と自律走行車両20のコンピュータシステム(例えばCANバス)との間の相互接続によって、AVES車両制御システム210は、(例えばトランクが開閉されたことを検出して)物品が自律走行車両20のトランクに置かれたかを判断してもよい。AVES車両制御システム210がトリップ中にトランクが開けられたと判断した場合、AVES車両制御システム210は、トリップの完了時にIVRシステム220およびインタラクティブなタッチスクリーン230を起動して、トランクからすべての私物が取り出されたことを確認し、それを再確認するよう乗客(複数を含む。)に求める。AVES車両制御システム210が、トリップ中にトランクが1度だけ開けられた(したがって物品がトランクに置かれてその後取り出された可能性がない)と判断した場合、AVES車両制御システム210は、自律走行車両20に、目的地に居続け、トランクからすべての私物が取り出されたことを確認するよう乗客(複数を含む。)に求め続けるよう指示する。また、AVES車両制御システム210は、トランクが開閉されたことを検出して、物品がトランクに置かれたかを判断してもよい。また、AVES車両機器200には、自律走行車両のトランクルームに配置され且つAVES車両制御システム210と接続されるカメラ(複数を含む。)260および/またはセンサ(複数を含む。)270が含まれてもよい。これにより、物品がトランクに置き忘れられていないかを判断することができる。特定の期間の後に、AVES車両制御システム210が、乗客(複数を含む。)がトランクを確認したという確認を受信しなかった場合、AVES車両制御システム210は、AVES・COC100がトランク内に物品が残されていないかを確認できるように、ビデオカメラおよびトランク内のライトを起動する。トランクに物品が残されている場合、乗客に通知が送られる。また、トランク内のセンサ(複数を含む。)270(例えば赤外線センサ)を使用して、トランクルーム内の物品の存在が検出されてもよい。
【0062】
AVES10は、「立入禁止」区域内を走行するよう要求された自律走行車両20のセキュリティ上の危険性を考慮する。F.A.A.(アメリカ連邦航空局)がアリーナや特別なイベント等の周辺を「飛行禁止」区域に指定すると同様に、AVES10は、特定の既知の立入禁止区域に入るトリップ要求504の受け入れを当然のことながら拒否することができる。統治当局によって一時的に制限されると発表された区域(例えばパレード、マラソン等)も、AVES・COC100によって対応される。
【0063】
(例えば門番、車庫の扉、守衛所等によって)立ち入り(アクセス)が制御されている場所へトリップ要求504およびそこから開始するトリップ要求504は、AVES車両機器200が提供するように構成される追加の機能を必要とする。遠隔で制御されるアクセスシステムにおいて、AVES車両機器200には、300MHz~400MHz帯域の送信機が含まれる。この送信機は、シームレスなインタフェースが提供されるように、Security+2.0(ローリングコード)、Intellicode、またはその他の門または車庫の扉を遠隔で開くことができる無線プロトコルの直接無線伝送を使用して、制御を行うことができる。AVES・COC100には、ユーザ記録500の一部として、アクセスコードが格納されてもよい。代替的に、ユーザが、IVRシステム220およびインタラクティブなタッチスクリーン230を介してアクセスコードを提供してもよい。AVES車両機器200には、人間のセキュリティ要員がいる場所に対応するために、外部スピーカおよび外部マイクが含まれてもよい。これにより、ユーザは、IVRシステム220を介して窓を開けることなくセキュリティ要員と会話することができる。また、自律走行車両20が迎車場所において門(または同様の障害物)によってブロックされた場合、AVES・COC100は、AVESアプリケーション300を介してユーザと通信して、自律走行車両が門で入場が許可されるまで待機していることをユーザに通知してもよい。
【0064】
AVES・COC100は、運送ネットワーク会社の中央施設に統合されてもよく、既存の個別の車両群を仮想的に組み合わせて「車両群の群」として単一の仮想車両群を生成する「独立した」施設として運用されてもよい。AVES・COC100は、地理的領域内の複数の運送会社のための運送サービス(例えば配車、代金等)を管理することができる。AVES・COC100は、特定の運送会社に対して運送サービス(例えば配車、代金等)を、その特定の運送会社の車両群内の自律走行車両20のみに制限することができる。特定の航空会社のフライトがユーザによって予約されたが実際の運行は別の航空会社が行う「コードシェア」の仕組みと同様に、車両群リソースの共有は、ユーザには見えない。代替的に、仮想車両群の全体が、個人所有の単一の車両、または個人所有車両の車両群から構成されてもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態を例示および詳述する目的で説明した。上記の説明は、本発明を網羅するものでも開示された形態に限定するものでもない。上述した開示に基づいて、明らかな変形例およびバリエーションが可能である。本明細書に記載された実施形態は、本発明の原理および応用を最もよく説明するために選択され、当業者は、特定の用途に適した様々な実施形態および様々な変形例において本発明を利用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B