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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】シャーシ、およびシールドケース
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20220427BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
H05K5/02 M
H05K9/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020106699
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022002259
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2020-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000109668
【氏名又は名称】DXアンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 将和
(72)【発明者】
【氏名】山口 一幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 聡志
(72)【発明者】
【氏名】塚元 信光
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-283614(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0205349(US,A1)
【文献】中国実用新案第208657258(CN,U)
【文献】特開2020-042999(JP,A)
【文献】登録実用新案第3110157(JP,U)
【文献】特開2004-221283(JP,A)
【文献】特開平02-027797(JP,A)
【文献】実開平01-058996(JP,U)
【文献】特開2009-141160(JP,A)
【文献】実開平05-024122(JP,U)
【文献】登録実用新案第3099034(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00- 5/04
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路を内部に収容可能なシャーシと、前記シャーシを外側から覆う意匠カバーと、を備えたシールドケースであって、
前記シャーシは、
第1側板部と、
前記第1側板部と隣り合う第2側板部と、
前記第1側板部における前記第2側板部側の端部から折れ曲がり、かつ前記第2側板部の厚み方向に前記第2側板部と対向する折り曲げ部と、
を備え、
前記意匠カバーは、前記第2側板部の外側で前記第2側板部と対向するカバー側板部を有し、
前記カバー側板部、前記第2側板部、および前記折り曲げ部は、ねじにより締結されており、
前記シールドケースは、前記シャーシを外側から覆うシールド部材をさらに備え、
前記シールド部材は、前記第2側板部と前記カバー側板部とにより挟まれて配置されるシールド側板部を有し、
前記カバー側板部、前記シールド側板部、前記第2側板部、および前記折り曲げ部は、前記ねじにより締結されている、シールドケース。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、シャーシ内部側に突出する筒状部を有し、
前記筒状部の内面には、前記ねじと螺合される螺合部が形成される、請求項1に記載のシールドケース。
【請求項3】
前記ねじは、前記折り曲げ部の折り曲げ箇所とは反対側の端部に配置される、請求項1または請求項2に記載のシールドケース。
【請求項4】
前記第1側板部の下端面と前記第2側板部の下端面は、上下方向位置が略同じであり、
前記折り曲げ部の下端面は、前記第1側板部の下端面および前記第2側板部の下端面よりも上方に位置する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシールドケース。
【請求項5】
前記シャーシは、上面板部をさらに有し、
前記第2側板部は、前記上面板部から下方へ折り曲げられて形成されており、
前記折り曲げ部の上端面は、前記第2側板部の折り曲げ箇所の内側部よりも下方に位置する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールドケース。
【請求項6】
前記シャーシは、前記第1側板部における前記折り曲げ部の折り曲げ箇所近傍に配置される同軸コネクタをさらに有し、
前記折り曲げ部は、シャーシ内部側に突出する突出部を有し、
前記突出部は、前記電子回路が実装される基板と係合可能である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシールドケース。
【請求項7】
前記カバー側板部は、前記ねじのねじ頭が収容される収容凹部を有し、
前記ねじ頭の頭頂位置は、前記収容凹部の外端位置に位置する、または前記外端位置より前記収容凹部内部側に位置する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシールドケース。
【請求項8】
前記収容凹部は、前記ねじ頭の座面と接触する平面状の座面部を有する、請求項7に記載のシールドケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド用のシャーシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高周波回路から発生するノイズをシールドするために、上記高周波回路を内部に収容可能なシャーシが用いられる。このようなシャーシの一例は、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のシャーシは、平板状の板金からなる前側板、後側板、左側板、および右側板を有する。上記前側板および上記後側板の両端部は、ほぼ直角に折り曲げされた折曲部とされる。上記折曲部の先端に第1係合部が形成される。上記左側板および上記右側板の両端縁に第2係合部が形成される。上記第1係合部に上記第2係合部が嵌合されて箱型の側板が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-87179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のシャーシでは、上記折曲部によりシャーシの四隅には隙間がない構造となり、当該四隅におけるシールド性能は向上させることができる。しかしながら、上記第1係合部と上記第2係合部が係合される箇所は、板金の厚み分での接触箇所となり、当該箇所におけるシールド性能は低くなる虞がある。
【0006】
上記状況に鑑み、本発明は、シールド性能を向上させることができるシャーシ、およびこれを備えたシールドケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係るシャーシは、電子回路を内部に収容可能なシャーシであって、第1側板部と、前記第1側板部と隣り合う第2側板部と、前記第1側板部における前記第2側板部側の端部から折れ曲がり、かつ前記第2側板部の厚み方向に前記第2側板部と対向する折り曲げ部と、を備える構成としている(第1の構成)。
【0008】
また、上記第1の構成において、前記第2側板部と前記折り曲げ部は、ねじにより締結されている構成としてもよい(第2の構成)。
【0009】
また、上記第2の構成において、前記折り曲げ部は、シャーシ内部側に突出する筒状部を有し、前記筒状部の内面には、前記ねじと螺合される螺合部が形成される構成としてもよい(第3の構成)。
【0010】
また、上記第2または第3の構成において、前記ねじは、前記折り曲げ部の折り曲げ箇所とは反対側の端部に配置される構成としてもよい(第4の構成)。
【0011】
また、上記第1から第4のいずれかの構成において、前記第1側板部の下端面と前記第2側板部の下端面は、上下方向位置が略同じであり、前記折り曲げ部の下端面は、前記第1側板部の下端面および前記第2側板部の下端面よりも上方に位置する構成としてもよい(第5の構成)。
【0012】
また、上記第1から第5のいずれかの構成において、上面板部をさらに有するシャーシであって、前記第2側板部は、前記上面板部から下方へ折り曲げられて形成されており、前記折り曲げ部の上端面は、前記第2側板部の折り曲げ箇所の内側部よりも下方に位置する構成としてもよい(第6の構成)。
【0013】
また、上記第1から第6のいずれかの構成において、前記第1側板部における前記折り曲げ部の折り曲げ箇所近傍に配置される同軸コネクタをさらに有するシャーシであって、前記折り曲げ部は、シャーシ内部側に突出する突出部を有し、前記突出部は、前記電子回路が実装される基板と係合可能である構成としてもよい(第7の構成)。
【0014】
また、本発明の一態様に係るシールドケースは、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のシャーシと、前記シャーシを外側から覆うカバーと、を備えるシールドケースであって、前記カバーは、前記第2側板部の外側で前記第2側板部と対向するカバー側板部を有し、前記カバー側板部は、前記ねじのねじ頭が収容される収容凹部を有し、前記ねじ頭の頭頂位置は、前記収容凹部の外端位置に位置する、または前記外端位置より前記収容凹部内部側に位置し、前記カバー側板部、前記第2側板部、および前記折り曲げ部は、前記ねじにより締結されている構成としている(第8の構成)。
【0015】
また、上記第8の構成において、前記収容凹部は、前記ねじ頭の座面と接触する平面状の座面部を有する構成としてもよい(第9の構成)。
【0016】
また、上記第8または第9の構成において、前記シャーシを外側から覆うシールド部材をさらに備えるシールドケースであって、前記シールド部材は、前記第2側板部と前記カバー側板部とにより挟まれて配置されるシールド側板部を有し、前記カバー側板部、前記シールド側板部、前記第2側板部、および前記折り曲げ部は、前記ねじにより締結されている構成としてもよい(第10の構成)。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、上記折り曲げ部により、シャーシ内部の電子回路から視てシャーシの隅に隙間(スリット)は存在しないこととなる。さらに、折り曲げ部と第2側板部とは広い面で面接触することが可能となるので、折り曲げ部と第2側板部との間から、電子回路で発生するノイズが漏洩することを抑制できる。従って、シールド性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るシールドケースの斜視図である。
図2図1に示すシールドケースの分解斜視図である。
図3】シャーシにおける前側側板部と左側側板部とが隣り合う箇所を拡大した要部拡大斜視図である(シャーシ外部から視た図)。
図4】シャーシにおける前側側板部と左側側板部とが隣り合う箇所を拡大した要部拡大斜視図である(シャーシ内部を視た図)。
図5】シールドケースにおける前側側板部と左側側板部とが隣り合う箇所周辺の要部拡大断面斜視図である。
図6】シャーシにおける後側側板部と左側側板部とが隣り合う箇所を拡大した要部拡大斜視図である(シャーシ外部から視た図)。
図7】シャーシにおける後側側板部と左側側板部とが隣り合う箇所を拡大した要部拡大斜視図である(シャーシ内部を視た図)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
なお、図面においてはXYZ座標系を示している。Z軸方向はシールドケース5の上下方向である。Z1を上側とし、Z2を下側としている。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であり、シールドケース5の左右方向である。X1を右側、X2を左側としている。Y軸方向は、Z軸方向とX軸方向の両方と直交する方向であり、シールドケース5の前後方向である。Y1を前側、Y2を後側としている。なお、上記の各方向は、シールドケース5を使用する際の方向を限定するものではない。
【0021】
<1.シールドケースの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るシールドケース5の斜視図である。図2は、図1に示すシールドケース5の分解斜視図である。シールドケース5は、内部に収容される電子回路(不図示)から発生するノイズの外部への漏洩を抑制する。
【0022】
シールドケース5は、シャーシ1と、シールド部材2と、カバー3と、を備えている。
【0023】
シャーシ1は、外形が略矩形体状の箱型であり、電子回路が実装される基板(不図示)を内部に収容可能である。シャーシ1は、金属板から全体を一体的に形成される。
【0024】
シャーシ1は、外形が略四角形である上面板部10を上面に有する。また、シャーシ1は、上面と下面とに挟まれる四つの側面のそれぞれに沿って、前側側板部11、左側側板部12、後側側板部13、および右側側板部14を有する。前側側板部11、左側側板部12、後側側板部13、および右側側板部14はそれぞれ、上面板部10の各辺の縁から下方へ折り曲げられて形成される。なお、シャーシ1は、四隅に折り曲げ部161~164を有するが、これについては後に詳述する。
【0025】
また、シャーシ1は、前側に同軸コネクタ(F型コネクタ)15A~15Dを有する。同軸コネクタ15A~15Dは、前側側板部11に固定され、左右方向に配列される。
【0026】
シールド部材2は、シャーシ1を外側から覆う部材であり、金属板から一体的に形成される。シールド部材2は、外形が略四角形である上面板部20を有する。上面板部20は、シャーシ1の上面板部10を上方から覆う。
【0027】
また、シールド部材2は、上面と下面とに挟まれる四つの側面のそれぞれに沿って、前側側板部21、左側側板部22、後側側板部23、および右側側板部24を有する。前側側板部21、左側側板部22、後側側板部23、および右側側板部24はそれぞれ、上面板部20の各辺の縁から下方へ折り曲げられて形成される。前側側板部21は、シャーシ1の前側側板部11を前方から覆う。左側側板部22は、シャーシ1の左側側板部12を左方から覆う。後側側板部23は、シャーシ1の後側側板部13を後方から覆う。右側側板部24は、シャーシ1の右側側板部14を右方から覆う。
【0028】
カバー3は、意匠カバーとしての部材であり、シャーシ1およびシールド部材2を外側から覆う。カバー3は、金属板から一体的に形成される。カバー3は、外形が略四角形である上面板部30を有する。上面板部30は、シールド部材2の上面板部20を上方から覆う。
【0029】
また、カバー3は、上面と下面とに挟まれる四つの側面のそれぞれに沿って、前側側板部31、左側側板部32、後側側板部33、および右側側板部34を有する。前側側板部31、左側側板部32、後側側板部33、および右側側板部34はそれぞれ、上面板部30の各辺の縁から下方へ折り曲げられて形成される。前側側板部31は、シールド部材2の前側側板部21を前方から覆う。左側側板部32は、シールド部材2の左側側板部22を左方から覆う。後側側板部33は、シールド部材2の後側側板部23を後方から覆う。右側側板部34は、シールド部材2の右側側板部24を右方から覆う。
【0030】
ここで、シャーシ1の前側側板部11は、内面(後面)からシャーシ1内部側(後方)へ突出する筒状部11Aを一例として5つ有する。各筒状部11Aは、内面にねじ山を形成される。筒状部11Aは、左右方向に配列される。シールド部材2の前側側板部21は、前後方向に貫通する孔部21Aを一例として5つ有する。孔部21Aは、左右方向に配列される。カバー3の前側側板部31は、前後方向に貫通する孔部31Aを一例として5つ有する。孔部31Aは、左右方向に配列される。
【0031】
また、シャーシ1の後側側板部13は、内面(前面)からシャーシ1内部側(前方)へ突出する筒状部13Aを一例として2つ有する。各筒状部13Aは、内面にねじ山を形成される。筒状部13Aは、左右方向に配列される。シールド部材2の後側側板部23は、前後方向に貫通する孔部(不図示)を一例として2つ有する。当該孔部は、左右方向に配列される。カバー3の後側側板部33は、前後方向に貫通する孔部(不図示)を一例として2つ有する。当該孔部は、左右方向に配列される。
【0032】
シールドケース5を組み立てる際には、シャーシ1に対してシールド部材2を覆いかぶせ、さらにシールド部材2に対してカバー3を覆いかぶせる。この状態で、孔部31A、孔部21A、および筒状部11Aは前後方向に並ぶ。孔部31A、孔部21A、および筒状部11Aにねじ(不図示)を挿入し、ねじを筒状部11Aに形成されたねじ山と螺合させる。これにより、前側側板部31、前側側板部21、および前側側板部11は、ねじにより共締めされる。
【0033】
同様に、上記状態で、後側側板部33の孔部、後側側板部23の孔部、および筒状部13Aは前後方向に並ぶ。後側側板部33の孔部、後側側板部23の孔部、および筒状部13Aにねじ(不図示)を挿入し、ねじを筒状部13Aに形成されたねじ山と螺合させる。これにより、後側側板部33、後側側板部23、および後側側板部13は、ねじにより共締めされる。
【0034】
ここで、左側側板部32、左側側板部22、および左側側板部12の組、および、右側側板部34、右側側板部24、および右側側板部14の組も、それぞれねじにより共締めされるが、これについては後に詳述する。なお、図1には、左側側板部32、左側側板部22、および左側側板部12の組を共締めするねじ41~43が図示されている。
【0035】
<2.折り曲げ部の構成>
図3および図4は、シャーシ1における前側側板部11と左側側板部12とが隣り合う箇所を拡大した要部拡大斜視図である。図3は、シャーシ1外部から視た図であり、図4は、シャーシ1内部を視た図である。
【0036】
シャーシ1は、折り曲げ部161を有する。折り曲げ部161は、前側側板部11の左側端部から後方へ向けて折れ曲がり形成され、板状である。折り曲げ部161の折れ曲がる角度は、直角である。左側側板部12における前側の一部分は、折り曲げ部161の左方、すなわち外側に配置され、折り曲げ部161と左右方向(左側側板部12の厚み方向)に対向する。
【0037】
すなわち、前側側板部11を「第1側板部」、左側側板部12を「第2側板部」と捉えれば、シャーシ1は、第1側板部と、第1側板部と隣り合う第2側板部と、を備える。さらに、シャーシ1は、第1側板部における第2側板部側の端部から折れ曲がり、かつ第2側板部の厚み方向に第2側板部と対向する折り曲げ部161を備える。
【0038】
このような折り曲げ部161により、シャーシ1内部の電子回路から視てシャーシ1の隅に隙間(スリット)は存在しないこととなる。さらに、折り曲げ部161と第2側板部(左側側板部12)とは広い面で面接触することが可能となるので、折り曲げ部161と第2側板部との間から、電子回路で発生するノイズが漏洩することを抑制できる。従って、本実施形態のシャーシ1によれば、シールド性能を向上させることができる。また、折り曲げによってシールド性能の高い隅部が構成されるので、スポット溶接やカシメなどよりも組み立てが容易となる。
【0039】
ただし、折り曲げ部161の折れ曲がる角度は、直角に限らなくてもよい。この場合、上方から視た第1側板部と第2側板部とのなす角度は、上記折れ曲がる角度に応じて直角とは異なる角度となる。
【0040】
また、前側側板部11(第1側板部)の下端面11BSと左側側板部12(第2側板部)の下端面12BSは、上下方向位置が略同じである(図4)。すなわち、下端面11BSと12BSとは、略同一平面上に位置する。そして、折り曲げ部161の下端面161BSは、下端面11BS,12BSよりも若干、上方に位置することが望ましい。
【0041】
これにより、量産によって折り曲げ部161の製造精度または折り曲げ部161の折り曲げ加工精度にばらつきが生じても、下端面161BSが下端面11BS,12BSよりも下方に位置することを回避し、シャーシ1の設置に不具合が生じることを抑制できる。
【0042】
また、折り曲げ部161の上端面161TS(図3)は、左側側板部12(第2側板部)の折り曲げ箇所の内側部BP(図3)よりも下方に位置する。これにより、量産によって折り曲げ部161の製造精度または折り曲げ部161の折り曲げ加工精度にばらつきが生じても、上端面161TSが内側部BPと干渉することを抑制できる。
【0043】
また、折り曲げ部161は、内面からシャーシ1内部側に突出する筒状部1611(図4)を有する。筒状部1611の内面には、後述するねじ41(図1)と螺合されるねじ山により構成される螺合部1611Aが形成される。折り曲げ部116は、筒状部1611と連接されて左右方向(厚み方向)に延びる孔部161A(後述する図5)を有する。筒状部1611と孔部161Aにより、折り曲げ部161を厚み方向に貫通する貫通孔が形成される。また、左側側板部12には、左右方向(厚み方向)に貫通する孔部121(図3)が形成される。
【0044】
また、シールド部材2の左側側板部22には、左右方向に貫通する孔部221(図2)が形成される。カバー3の左側側板部32には、右方に凹む収容凹部321(図2)が形成される。収容凹部321の底面には、左右方向に貫通する孔が形成される。なお、他の収容凹部の構成も収容凹部321と同様である。
【0045】
ここで、図5は、シールドケース5における前側側板部11と左側側板部12とが隣り合う箇所周辺の要部拡大図である。なお、図5は、上下面に平行な切断面でねじ41の位置で切断した場合の断面斜視図である。
【0046】
図5に示すように、シャーシ1にシールド部材2およびカバー3を覆いかぶせた状態で、収容凹部321、孔部221、孔部121、および筒状部1611は、左右方向に並ぶ。ねじ41を外側から収容凹部321、孔部221、孔部121、および筒状部1611の順に挿入し、ねじ41を筒状部1611の螺合部1611Aと螺合させることにより、左側側板部32、左側側板部22、左側側板部12、および折り曲げ部161は、ねじ41により締結、すなわち共締めされる。この締結された状態で、ねじ41のねじ頭411は、収容凹部321内部に収容される。
【0047】
上記のように、左側側板部12と折り曲げ部161は、ねじ41により締結されている。これにより、左側側板部12と折り曲げ部161の面接触がより確実なものとなり、電子回路で発生するノイズの漏洩をより抑制できる。またこのとき、筒状部1611に設けた螺合部1611Aをねじ41と螺合させるため、ねじ41の締結力を確保することができる。
【0048】
また、カバー3の左側側板部32をカバー側板部と捉えると、下記の通りとなる。カバー3は、第2側板部(左側側板部12)の外側で第2側板部と対向するカバー側板部(左側側板部32)を有する。カバー側板部は、ねじ41のねじ頭411が収容される収容凹部321を有する。ねじ頭411の頭頂位置は、収容凹部321の外端321Tの位置より収容凹部321内部側に位置する。カバー側板部、第2側板部、および折り曲げ部161は、ねじ41により締結される。なお、上記頭頂位置は、収容凹部321の外端位置に位置してもよい。
【0049】
このような構成により、意匠カバーとしてのカバー3において、ねじ頭411が収容凹部321から外部へ突出することを回避できる。さらに、そのようなカバー3と、第2側板部(左側側板部12)および折り曲げ部161とを、同じねじ41により締結して固定できるので、シールドケース5の組み立て性を向上させることができる。
【0050】
また、シールド部材2の左側側板部22をシールド側板部と捉えると、下記の通りとなる。シールド部材2は、第2側板部(左側側板部12)とカバー側板部(左側側板部32)とにより挟まれて配置されるシールド側板部(左側側板部22)を有する。カバー側板部、シールド側板部、第2側板部、および折り曲げ部161は、ねじ41により締結されている。
【0051】
このような構成により、カバー3とシャーシ1とシールド部材2とを同じねじ41により締結できるので、シールドケース5の組み立て性をさらに向上させることができる。
【0052】
また、収容凹部321は、ねじ頭411の座面(頭頂部側と反対側の面)と接触する平面状の座面部321Aを有する。これにより、ねじ41により締結したときのねじ頭411の座面と座面部321Aとの摩擦が大きくなり、締結を強固とすることができる。
【0053】
また、ねじ41が挿入される筒状部1611は、折り曲げ部161の後端部に位置する。すなわち、ねじ41は、折り曲げ部161の折り曲げ箇所とは反対側の端部に配置される。これにより、折り曲げ部161を折り曲げ箇所からねじ41による締結が可能な位置まで延ばし、かつ、折り曲げ部161の長さが長くなりすぎることを回避できる。従って、シャーシ1のコストを低減できる。
【0054】
以上のような折り曲げ部161の構成、並びに、折り曲げ部161と左側側板部12,22,32とのねじ41による共締めの構成は、折り曲げ部164(図2)についても同様である。すなわち、折り曲げ部164は、前側側板部11の右端部から後方へ向かって折れ曲がり形成され、シャーシ1における折り曲げ部164および右側側板部14、シールド部材2の右側側板部24、およびカバー3の右側側板部34は、同じねじ(不図示)により共締めされる。
【0055】
また、図6および図7は、シャーシ1における後側側板部13と左側側板部12とが隣り合う箇所を拡大した要部拡大斜視図である。図6は、シャーシ1外部から視た図であり、図7は、シャーシ1内部を視た図である。
【0056】
折り曲げ部162は、後側側板部13の左端部から前方へ向けて折れ曲がり形成される。左側側板部12における後側の一部分は、折り曲げ部162の外側において折り曲げ部162と左右方向に対向する。折り曲げ部162には、シャーシ1内部側に突出する筒状部1621(図7)が形成される。筒状部1621の内面には、螺合部1621Aが形成される。
【0057】
左側側板部12は、左右方向に貫通する孔部122(図6)を有する。シールド部材2の左側側板部22は、左右方向に貫通する孔部222(図2)を有する。カバー3の左側側板部32は、収容凹部322(図2)を有する。
【0058】
シャーシ1に対してシールド部材2およびカバー3を覆いかぶせた状態で、筒状部1621、孔部122、孔部222、および収容凹部322は左右方向に並ぶ。ねじ42(図1)を収容凹部322、孔部222、孔部122、および筒状部1621の順に挿入し、ねじ42を螺合部1621Aと螺合させることで、シャーシ1における折り曲げ部162および左側側板部12、シールド部材2の左側側板部22、およびカバー3の左側側板部32は、ねじ42により共締めされる。
【0059】
このような折り曲げ部162の構成、並びに、折り曲げ部162と左側側板部12,22,32とのねじ42による共締めの構成は、折り曲げ部163(図2)についても同様である。すなわち、折り曲げ部163は、後側側板部13の右端部から前方へ向かって折れ曲がり形成され、シャーシ1における折り曲げ部163および右側側板部14、シールド部材2の右側側板部24、およびカバー3の右側側板部34は、同じねじ(不図示)により共締めされる。
【0060】
このように、シャーシ1においては、四隅に折り曲げ部161~164による構成を設けたことにより、四隅におけるシールド性能を向上させている。
【0061】
なお、収容凹部321と収容凹部322との間の位置においても、カバー3、シールド部材2、およびシャーシ1のねじによる共締めがされている。図5を参照して、より具体的には、カバー3の左側側板部32には、収容凹部323が形成される。収容凹部323は、収容凹部321と収容凹部322とで前後方向に挟まれる位置に配置される(図2)。シールド部材2の左側側板部22には、左右方向に貫通する孔部223が形成される。シャーシ1の左側側板部12には、内面からシャーシ1内部側に突出する筒状部123が形成される。
【0062】
シャーシ1に対してシールド部材2およびカバー3を覆いかぶせた状態で、筒状部123、孔部223、および収容凹部323は左右方向に並ぶ。ねじ43を収容凹部323、孔部223、および筒状部123の順に挿入し、ねじ43を筒状部123内面に形成される螺合部と螺合させることで、シャーシ1の左側側板部12、シールド部材2の左側側板部22、およびカバー3の左側側板部32は、ねじ43により共締めされる。なお、このような構成は、シャーシ1における右側部においても同様である。
【0063】
<3.折り曲げ部による基板の支持>
ここで、図4に示すように、折り曲げ部161は、内面からシャーシ1内部側に突出する突出部1612を有する。突出部1612は、切り起こしにより形成され、右方かつ下方に斜めに延びてから、下方へまっすぐ延びるように屈曲して形成される。このように突出部1612は、フック状に形成される。
【0064】
そして、電子回路が実装される基板(不図示)の端子孔が突出部1612と嵌合され、当該嵌合された箇所は半田づけされる。すなわち、突出部1612は、基板と係合される。また、同軸コネクタ15A~15Dのうち最も左方に位置する同軸コネクタ15Aは、折り曲げ部161の折り曲げ箇所近傍に配置される。これにより、基板を介して同軸コネクタ15Aと突出部1612とを電気的に接続することで、同軸コネクタ15Aのグランドをとることができる。
【0065】
<4.その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 シャーシ
2 シールド部材
3 カバー
5 シールドケース
10 上面板部
11 前側側板部
11A 筒状部
12 左側側板部
13 後側側板部
13A 筒状部
14 右側側板部
15A~15D 同軸コネクタ
20 上面板部
21 前側側板部
21A 孔部
22 左側側板部
23 後側側板部
24 右側側板部
30 上面板部
31 前側側板部
31A 孔部
32 左側側板部
33 後側側板部
34 右側側板部
121、122 孔部
123 筒状部
161~164 折り曲げ部
221~223 孔部
321~323 収容凹部
41~43 ねじ
411 ねじ頭
1611 筒状部
1611A 螺合部
1612 突出部
1621 筒状部
1621A 螺合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7