(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/14 20060101AFI20220427BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B60Q1/14 Z
B60Q1/24 A
(21)【出願番号】P 2020154787
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0120571
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジュン ヨン
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-100612(JP,A)
【文献】特開2017-061206(JP,A)
【文献】特開2009-227088(JP,A)
【文献】特開2015-143065(JP,A)
【文献】特開2019-048526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
B60Q 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方に存在するオブジェクトを検知するオブジェクト検知部と、
ビームパターンによってマトリックスビームを照射するADBヘッドランプと、
ADBの作動状態が入力される車両状態入力部と、
前記オブジェクト検知部から前記オブジェクトを検知した結果に基づき、前記オブジェクトに対応する暗影帯の幅と前記暗影帯周辺のバウンダリー区間を算出した後、前記ADBの作動状態に応じて前記ADBヘッドランプを駆動する制御部と、を含
み、
前記制御部は、前記ADBが作動状態でない場合、前記バウンダリー区間のみを点滅させることを特徴とする車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記オブジェクトの位置情報に余裕マージンを合算して前記暗影帯の幅を演算することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記オブジェクトに対応する前記暗影帯の幅を基準として前記オブジェクトの距離情報を用いて前記バウンダリー区間を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記オブジェクトの数が多数の場合、それぞれの前記オブジェクトに対応する前記暗影帯の幅と前記バウンダリー区間をそれぞれ合算して算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ADBが作動状態の場合、前記暗影帯を消灯させた後、前記バウンダリー区間を消灯点滅させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置。
【請求項6】
制御部が、オブジェクト検知部からオブジェクトの検知結果を受信するステップと、
前記制御部が、前記オブジェクトの検知結果に基づき、前記オブジェクトに対応する暗影帯の幅と前記暗影帯周辺のバウンダリー区間を算出するステップと、
前記制御部が、ADBの作動状態を受信するステップと、
前記制御部が、前記ADBの作動状態に応じて前記暗影帯と前記バウンダリー区間に基づいてADBヘッドランプを駆動させるステップと、を含
み、
前記ADBヘッドランプを駆動させるステップは、前記制御部が、前記ADBの作動状態を判断して、前記ADBが作動状態でない場合、前記バウンダリー区間のみを点滅させることを特徴とする車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法。
【請求項7】
前記暗影帯の幅と前記バウンダリー区間を算出するステップは、前記制御部が、前記オブジェクトの位置情報に余裕マージンを合算して前記暗影帯の幅を演算することを特徴とする請求項
6に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法。
【請求項8】
前記暗影帯の幅と前記バウンダリー区間を算出するステップは、前記制御部が、前記オブジェクトに対応する前記暗影帯の幅を基準として前記オブジェクトの距離情報を用いて前記バウンダリー区間を算出することを特徴とする請求項7に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法。
【請求項9】
前記暗影帯の幅と前記バウンダリー区間を算出するステップは、前記制御部が、前記オブジェクトの数が多数の場合、それぞれの前記オブジェクトに対応する前記暗影帯の幅と前記バウンダリー区間をそれぞれ合算して算出することを特徴とする請求項7に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法。
【請求項10】
前記ADBヘッドランプを駆動させるステップは、前記制御部が、前記ADBの作動状態を判断して、前記ADBが作動状態の場合、前記暗影帯を消灯させた後、前記バウンダリー区間を消灯点滅させることを特徴とする請求項7に記載の車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置およびその方法に関し、より詳細には、ADBヘッドランプのマスキング原理を利用して対向車領域を消灯させて、相手の眩しさを防止し、歩行者および野生動物が検知された場合には、対象周辺のバウンダリー区間を点滅させて、相手に眩しさを与えることなく車両の接近を認知できるようにする車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両は、夜間走行時に走行方向の事物をよく見られるように照明機能および他の車両やその他道路利用者に自車両の走行状態を知らせるための用途の灯火装置を備える。ここで、前照灯ともいうヘッドランプ(head lamp)は、車両が進行する前方の進路を照らす機能を果たす照明灯である。
【0003】
ヘッドランプから照射されるビーム(beam)は、中央線に隣接した側により弱く照射されるように調整されるものである。このようにヘッドランプのビーム照射方向を調整することにより、対向方向に走行する運転者に照射されるビームの量を低減することにより、運転者の眩しさを防止するように法規化されている。
【0004】
それによって、ADB(Adaptive Driving Beam)ヘッドランプは、運転者と相手運転者の前方認識を改善しようとする試みによって導入された。すなわち、ADBヘッドランプは、ランプの照明角度、明るさ、幅および長さなどを変更して照射する光照射装置である。
【0005】
ADBヘッドランプは、反対車線から接近する自動車(以下、「対向車」という)の運転者の目が眩しくないようにヘッドランプの明るさを調節することができる。
【0006】
すなわち、対向車がない場合、ADBヘッドランプを備える車両は、ハイビーム(high beam)で走行し、対向車が見えた場合、L状(L-shape)にビームパターンを変更する。そして、スイベルアクチュエータを用いて対向車に眩しさがないように暗影帯(dark zone)を形成する。そして、対向車が過ぎ去った後、ハイビームに復帰する。
【0007】
本発明の背景技術は、大韓民国公開特許公報第10-2015-0052638号(2015.05.14.公開、ADBヘッドランプシステムおよびADBヘッドランプシステムを用いたビーム制御方法)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、ヘッドランプシステムには、ヘッドランプの側部に複数の光学モジュールを別途に備えて、夜間走行時に障害物を見つけると、障害物が存在する領域にあたる光学モジュールを点灯させて障害物を照射することにより、運転者が障害物が存在することを視認できるようにするスポットライト(spot light)機能を備えている。
【0009】
このように、ヘッドランプシステムには、ADBヘッドランプのように部分消灯により対向車運転者の眩しさを防止したりするが、スポットライトのように障害物に光を照射して運転者が歩行者を認知しやすくするだけでなく、歩行者に眩しさを誘発して車両の存在を知らせる機能を備えている。
【0010】
しかし、このようなADBヘッドランプとスポットライトを備えるためには、別途の光学モジュールを追加的に備えなければならないという問題点がある。
【0011】
また、スポットライトの場合、運転者の識別力を高めるためには明るさを高めなければならないが、相手にはひどい眩しさによる不便さをもたらすだけでなく、野生動物の場合、意図せぬ脅威的な行動を誘発する恐れもあるという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点を改善するためになされたものであり、一態様に係る本発明の目的は、ADBヘッドランプのマスキング原理を利用して対向車領域を消灯させて、相手の眩しさを防止し、歩行者および野生動物が検知された場合には、対象周辺のバウンダリー区間を点滅させて、相手に眩しさを与えることなく車両の接近を認知できるようにする車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置およびその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置は、車両の前方に存在するオブジェクトを検知するオブジェクト検知部と、ビームパターンによってマトリックスビームを照射するADBヘッドランプと、ADBの作動状態が入力される車両状態入力部と、オブジェクト検知部からオブジェクトを検知した結果に基づき、オブジェクトに対応する暗影帯の幅と暗影帯周辺のバウンダリー区間を算出した後、ADBの作動状態に応じてADBヘッドランプを駆動する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明において、制御部は、オブジェクトの位置情報に余裕マージンを合算して暗影帯の幅を演算することを特徴とする。
【0015】
本発明において、制御部は、オブジェクトに対応する暗影帯の幅を基準としてオブジェクトの距離情報を用いてバウンダリー区間を算出することを特徴とする。
【0016】
本発明において、制御部は、オブジェクトの数が多数の場合、それぞれのオブジェクトに対応する暗影帯の幅とバウンダリー区間をそれぞれ合算して算出することを特徴とする。
【0017】
本発明において、制御部は、ADBが作動状態の場合、暗影帯を消灯させた後、バウンダリー区間を消灯点滅させることを特徴とする。
【0018】
本発明において、制御部は、ADBが作動状態でない場合、バウンダリー区間を点灯点滅させることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の態様に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法は、制御部が、オブジェクト検知部からオブジェクトの検知結果を受信するステップと、制御部が、オブジェクトの検知結果に基づき、オブジェクトに対応する暗影帯の幅と暗影帯周辺のバウンダリー区間を算出するステップと、制御部が、ADBの作動状態を受信するステップと、制御部が、ADBの作動状態に応じて暗影帯とバウンダリー区間に基づいてADBヘッドランプを駆動させるステップと、を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明において、暗影帯の幅とバウンダリー区間を算出するステップは、制御部が、オブジェクトの位置情報に余裕マージンを合算して暗影帯の幅を演算することを特徴とする。
【0021】
本発明において、暗影帯の幅とバウンダリー区間を算出するステップは、制御部が、オブジェクトに対応する暗影帯の幅を基準としてオブジェクトの距離情報を用いてバウンダリー区間を算出することを特徴とする。
【0022】
本発明において、暗影帯の幅とバウンダリー区間を算出するステップは、制御部が、オブジェクトの数が多数の場合、それぞれのオブジェクトに対応する暗影帯の幅とバウンダリー区間をそれぞれ合算して算出することを特徴とする。
【0023】
本発明において、ADBヘッドランプを駆動させるステップは、制御部が、ADBの作動状態を判断して、ADBが作動状態の場合、暗影帯を消灯させた後、バウンダリー区間を消灯点滅させることを特徴とする。
【0024】
本発明において、ADBヘッドランプを駆動させるステップは、制御部が、ADBの作動状態を判断して、ADBが作動状態でない場合、バウンダリー区間を点灯点滅させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置およびその方法は、ADBヘッドランプのマスキング原理を利用して対向車領域を消灯させて、相手の眩しさを防止し、歩行者および野生動物が検知された場合には、対象周辺のバウンダリー区間を点滅させて、相手に眩しさを与えることなく車両の接近を認知できるようにするだけでなく、ADBヘッドランプを用いてスポットライト機能を実現可能で部品数を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置を示すブロック構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置によってADBの作動中に照射されるビームパターンを示す例示図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置によってADBの未作動中に照射されるビームパターンを示す例示図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置およびその方法を説明する。この過程で、図面に示された線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上誇張されて示されることがある。また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは、使用者、運用者の意図または慣例によって異なる。そのため、このような用語に対する定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行われなければならない。
【0028】
当分野において通常の通り、一部の例示的な実施例が機能ブロック、ユニットおよび/またはモジュールの観点から添付図面に示される。当業者は、このようなブロック、ユニットおよび/またはモジュールが論理回路、離散部品、プロセッサ、ハードワイヤード回路、メモリ素子、配線接続のような電子(または光学)回路によって物理的に実現されることを理解するであろう。ブロック、ユニットおよび/またはモジュールがプロセッサまたは他の類似するハードウェアによって実現される場合、これらは、本明細書で議論された多様な機能を行うためにソフトウェア(例えば、コード)を用いてプログラミングされ、制御できる。また、それぞれのブロック、ユニットおよび/またはモジュールは、専用ハードウェアによって、または一部の機能を行うための専用ハードウェアおよび他の機能を行うためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたプロセッサおよび関連回路)の組み合わせとして実現できる。機能においても、一部の例示的な実施例のそれぞれのブロック、ユニットおよび/またはモジュールは、本発明の概念の範囲を逸脱することなく物理的に2つ以上の相互作用し離散的なブロック、ユニットおよび/またはモジュールに分離される。また、一部の例示的な実施例のブロック、ユニットおよび/またはモジュールは、本発明の概念の範囲を逸脱することなくより複雑なブロック、ユニットおよび/またはモジュールで物理的に結合できる。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置を示すブロック構成図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置によってADBの作動中に照射されるビームパターンを示す例示図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置によってADBの未作動中に照射されるビームパターンを示す例示図である。
【0030】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置は、オブジェクト検知部10と、ADBヘッドランプ40と、車両状態入力部20と、制御部30と、を含むことができる。
【0031】
オブジェクト検知部10は、車両の前方に存在するオブジェクトを検知して検知結果を制御部30に提供することができる。
【0032】
ここで、オブジェクト検知部10は、光学カメラやIRカメラを介してオブジェクトの位置情報と距離情報を検知することができる。この時、複数のセンサを介してオブジェクトを検知する場合、それぞれのセンサで検知した位置情報や距離情報を互いに併合してオブジェクトの位置と距離を検知することができる。
【0033】
ADBヘッドランプ40は、ビームパターンによってマトリックスビームを照射して所望の領域に対して選択的に点灯および消灯させることができる。
【0034】
車両状態入力部20は、ADBの作動状態が入力されて制御部30に提供することにより、単一光学系を介してADB機能に付加してスポットライト機能を行うようにできる。車両状態入力部20は、車両内のCAN通信を行ってADBの作動状態が入力される。
【0035】
制御部30は、オブジェクト検知部10からオブジェクトを検知した結果に基づき、オブジェクトに対応する暗影帯の幅と暗影帯周辺のバウンダリー区間を算出した後、ADBの作動状態に応じてADBヘッドランプを駆動してスポットライト機能を行うことができる。
【0036】
ここで、制御部30は、暗影帯の幅を演算する時、オブジェクトの位置情報に余裕マージンを合算して暗影帯の幅を演算することができる。この時、オブジェクトの数が多数の場合には、それぞれのオブジェクトに対応する暗影帯の幅を合算して算出することができる。
【0037】
また、制御部30は、オブジェクトに対応する暗影帯の幅を基準としてオブジェクトの距離情報を用いて暗影帯周辺のバウンダリー区間を算出することができる。この時も、オブジェクトの数が多数の場合には、それぞれの個体に対応するバウンダリー区間を合算して算出することができる。
【0038】
この時、バウンダリー区間の点灯・消灯幅の角度は、距離に応じて反比例するように算出することができる。
【0039】
このようにオブジェクトを検知した結果に基づき、オブジェクトに対応する暗影帯の幅とバウンダリー区間を算出した後、制御部30は、ADBの作動状態を車両状態入力部20から受信して、ADBが作動状態の場合には、すでにADBヘッドランプ40がハイビームで点灯した状態と判断することができる。
【0040】
したがって、制御部30は、
図2に示されるように、オブジェクトに対応する暗影帯Aを消灯させた後、バウンダリー区間Bを消灯点滅させて、歩行者および野生動物の眩しさを防止しながら運転者が歩行者および野生動物を認知できるようにする。
【0041】
一方、ADBが作動状態でない場合には、ADBヘッドランプ40が消灯した状態であるため、制御部30は、
図3に示されるように、暗影帯A周辺のバウンダリー区間Bを点灯点滅させて、歩行者および野生動物が車両の接近を認知しながらも眩しさを防止するだけでなく、運転者も歩行者および野生動物を認知できるようにする。
【0042】
上述のように、本発明の実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御装置によれば、ADBヘッドランプのマスキング原理を利用して対向車領域を消灯させて、相手の眩しさを防止し、歩行者および野生動物が検知された場合には、対象周辺のバウンダリー区間を点滅させて、相手に眩しさを与えることなく車両の接近を認知できるようにするだけでなく、ADBヘッドランプを用いてスポットライト機能を実現可能で部品数を節減することができる。
【0043】
図4は、本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0044】
図4に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法では、まず、制御部30が、オブジェクト検知部10からオブジェクトの検知結果を受信する(S10)。
【0045】
ここで、オブジェクトの検知結果は、オブジェクト検知部10の光学カメラやIRカメラを介して検知したオブジェクトの位置情報と距離情報を含むことができる。また、複数のセンサを介してオブジェクトを検知する場合には、それぞれのセンサで検知した位置情報や距離情報が互いに併合された結果であってもよい。
【0046】
S10ステップでオブジェクトの検知結果を受信した後、制御部30は、オブジェクトが検知されたかを判断することができる(S20)。
【0047】
本実施形態において、オブジェクトは、歩行者や野生動物を含むことができる。
【0048】
S20ステップでオブジェクトが検知されたかを判断して、オブジェクトが検知されていない場合、制御部30は、S10ステップにリターンして、オブジェクトの検知結果を受信する。
【0049】
これに対し、S20ステップでオブジェクトが検知されたかを判断して、オブジェクトが検知された場合、制御部30は、オブジェクトに対応する暗影帯の幅を算出する(S30)。
【0050】
ここで、制御部30は、暗影帯の幅を演算する時、オブジェクトの位置情報に余裕マージンを合算して暗影帯の幅を演算することができる。この時、オブジェクトの数が多数の場合には、それぞれのオブジェクトに対応する暗影帯の幅を合算して算出することができる。
【0051】
S30ステップでオブジェクトに対応する暗影帯の幅を算出し、制御部30は、暗影帯周辺のバウンダリー区間を算出する(S40)。
【0052】
ここで、バウンダリー区間は、オブジェクトに対応する暗影帯の幅を基準としてオブジェクトの距離情報を用いて算出することができる。この時も、オブジェクトの数が多数の場合には、それぞれの個体に対応するバウンダリー区間を合算して算出することができる。
【0053】
また、バウンダリー区間の点灯・消灯幅の角度は、距離に応じて反比例するように算出することができる。
【0054】
S40ステップでバウンダリー区間を算出した後、制御部30は、車両状態入力部20からADBの作動状態を受信して、ADBが作動中であるかを判断する(S50)。
【0055】
S50ステップでADBの作動状態を判断して、ADBが作動中の場合、制御部30は、すでにADBヘッドランプ40がハイビームで点灯した状態と判断し、
図2に示されるように、オブジェクトに対応する暗影帯Aを消灯させる(S60)。そして、バウンダリー区間Bを消灯点滅させて、歩行者および野生動物の眩しさを防止しながら運転者が歩行者および野生動物を認知できるようにする(S70)。
【0056】
一方、S50ステップでADBの作動状態を判断して、ADBが作動中でない場合、制御部30は、ADBヘッドランプ40が消灯した状態と判断し、暗影帯周辺のバウンダリー区間を点灯点滅させて、歩行者および野生動物が車両の接近を認知しながらも眩しさを防止するだけでなく、運転者も歩行者および野生動物を認知できるようにする(S80)。
【0057】
上述のように、本発明の実施形態に係る車両用ヘッドランプのビームパターン制御方法によれば、ADBヘッドランプのマスキング原理を利用して対向車領域を消灯させて、相手の眩しさを防止し、歩行者および野生動物が検知された場合には、対象周辺のバウンダリー区間を点滅させて、相手に眩しさを与えることなく車両の接近を認知できるようにするだけでなく、ADBヘッドランプを用いてスポットライト機能を実現可能で部品数を節減することができる。
【0058】
本明細書で説明された実現は、例えば、方法またはプロセス、装置、ソフトウェアプログラム、データストリームまたは信号で実現できる。単一形態の実現の脈略でのみ議論(例えば、方法としてのみ議論)されたとしても、議論された特徴の実現はさらに、他の形態(例えば、装置またはプログラム)でも実現できる。装置は、適切なハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアなどで実現できる。方法は、例えば、コンピュータ、マイクロプロセッサ、集積回路またはプログラミング可能なロジッグデバイスなどを含むプロセッシングデバイスを一般的に称するプロセッサなどのような装置で実現できる。プロセッサはまた、最終使用者の間に情報の通信を容易にするコンピュータ、携帯電話、携帯用/個人用情報端末(personal digital assistant:「PDA」)および他のデバイスなどのような通信デバイスを含む。
【0059】
本発明は、図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術の属する分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形および均等な他の実施例が可能であるという点を理解するであろう。
【0060】
したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、以下の請求の範囲によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0061】
10:オブジェクト検知部
20:車両状態入力部
30:制御部
40:ADBヘッドランプ