(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】マルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22D 19/00 20060101AFI20220427BHJP
B22C 9/10 20060101ALI20220427BHJP
B22D 29/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B22D19/00 A
B22C9/10 J
B22C9/10 M
B22D29/00 F
B22C9/10 K
(21)【出願番号】P 2020191473
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0148402
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520452688
【氏名又は名称】エムエイチ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100170184
【氏名又は名称】北脇 大
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジン-ホ
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-111553(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0118309(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0128817(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 19/00,29/00,
B22C 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に中空が形成され、両端にそれぞれ形成された開口を通じて前記中空が外部に露出するパイプと;
前記中空内に設けられ、内部に空間が形成される第1支持部材と;
前記空間に設けられる第2支持部材と;
前記第2支持部材を長さ方向に貫通する溶融バーと;を含み、
前記溶融バーは、加熱されると、溶けて前記
第2支持部材に空間を形成
し、
前記溶融バーは、融点が200℃であり、
前記第1支持部材は、水溶性物質を含み、
前記第2支持部材は、非水溶性物質を含み、
前記第1支持部材と前記第2支持部材は、前記溶融バーの融点より高い融点を有する、
マルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コア。
【請求項2】
前記第1支持部材および第2支持部材が外部に流れ出ないように前記パイプの両端をそれぞれ閉鎖するように前記パイプの中空に設けられる第3支持部材;をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コア。
【請求項3】
前記パイプは、
第1パイプと;
前記第1パイプの内部に設けられ、前記第1パイプの融点より高い融点を有する第2パイプと;を含むことを特徴とする、請求項1に記載のマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コア。
【請求項4】
前記第2パイプは、前記第1パイプの融点より高い融点を有することを特徴とする、請求項
3に記載のマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コア。
【請求項5】
前記第2パイプは、外部圧力が外周面に加えられるとき、前記第1支持部材による圧痕が防止されるように、前記第1支持部材の硬度と同じか、または前記第1支持部材の硬度より高い硬度を有することを特徴とする、請求項
3に記載のマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コア。
【請求項6】
前記第1支持部材は、サルトを含み、
前記第2支持部材は、セラミック、サンドおよび金属ボールのうち1つを含むことを特徴とする、請求項
3に記載のマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コア。
【請求項7】
開閉可能な金型のキャビティに充填材で内部が充填された
中空のパイプであるコアが投入されるコア投入段階と;
前記コアを取り囲むように溶融物が前記キャビティに注入されて形成される成形品の成形段階と;
前記成形品に埋め込められたコアから充填材を除去する充填材除去段階と;を含み、
前記充填材は、前記コアを支持する支持部材と、前記支持部材を長さ方向に貫通する溶融バーとを含み、
前記充填材除去段階は、前記溶融バーが溶融するように成形品を加熱して前記支持部材の内部に空間部が形成されるように
し、
前記支持部材は、
前記中空内に設けられ、内部に空間が形成される第1支持部材と;
前記空間に設けられる第2支持部材と;を含み、
前記溶融バーは、前記第2支持部材を長さ方向に貫通し、
前記第1支持部材は、水溶性物質を含み、
前記第2支持部材は、非水溶性物質を含み、
前記溶融バーは、融点が200℃であり、
前記第1支持部材と前記第2支持部材は、前記溶融バーの融点より高い融点を有する、
コアを用いた中空製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法(Core comprising multilayer filling material for manufacturing hollow product and Manufacturing method of hollow product using the same)に関し、より詳細には、内部に冷却水のような流体が通過できる冷却水循環用チャネルの形成に使用され得るマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、鋳造で中空製品を成形するためには、日本国特許登録JP5737016のようにサンド(sand;砂)コアやサルト(salt;塩)コアのような単一材質のコアが使用される。コアは、鋳造物、すなわち成形物の形状を作るために金型内に挿入する部品であって、サンド、熱硬化性樹脂またはサルトが一般的に使用されてきた。このようなコアを中子として活用して鋳造を進行後、成形物からコアを除去して成形物に中空が設けられるようにする。
【0003】
従来、コアを除去するために、鋳造後に成形物に衝撃を加えてサンドコアとサルトコア等のコアをこわした後に水や空気を中空に強く注入して振り落とす工法が使用される。しかしながら、折り曲げ部位や螺旋形構造のようにコアの形状によってこわれない一部領域がコアに存在する。すなわち、鋳造成形後にコアとして使用されるサンド、熱硬化性樹脂またはサルトは、鋳造物間の結合により鋳造物から溶出が容易でないという問題点がある。
【0004】
こわれないコアの一部領域は、塊りに凝集して中空の一部区間を塞ぐことになり、これにより、空気や水の流れを妨害して、結局、中空からコアが除去されないことになる。
【0005】
また、サンドコアの場合、サンド粒子が鋳物の表面に打ち込まれて抜けない問題が発生する。この残存物は、後でシステムの故障を引き起こす原因となるので、コアを完全に除去することが大変重要である。
【0006】
上記のような問題を解決するために、最近には、中空が形成されたパイプがコアとして使用され、これと関連して中空製品の製造方法が韓国特許公開10-2017-0118309を通じて公開されたことがある。しかしながら、中空製品の製造時に溶融原液、すなわち溶融物の高温によりパイプが溶解する損傷問題および注入圧力により支持部材がパイプ内壁に圧痕を発生させる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一実施例を通じて、鋳造時に溶融原液の高温によりパイプが損傷することを防止するマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法を提供しようとする。
【0008】
また、本発明は、一実施例を通じて、溶融原液の注入圧力によりパイプに充填された支持部材がパイプ内壁に圧痕を発生させることを防止するマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法を提供しようとする。
【0009】
また、本発明は、一実施例を通じて、溶融原液の高温によりパイプの外側の一部層が溶融後に冷却されて、冷却された溶融材料とパイプ間の結合力が高いマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法を提供しようとする。
【0010】
また、本発明は、一実施例を通じて、パイプに充填された支持部材の除去が容易なマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するために、内部に中空が形成され、両端にそれぞれ形成された開口を通じて前記中空が外部に露出するパイプと;前記中空内に設けられ、内部に空間が形成される第1支持部材と;前記空間に設けられる第2支持部材と;前記第2支持部材を長さ方向に貫通し、加熱時に溶融して前記第2支持部材の内部に空間を形成させる溶融バー(bar)と;を含むマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアを提供する。
【0012】
前記第1支持部材は、水溶性物質からなり、前記第2支持部材は、非水溶性物質からなり得る。
【0013】
前記第1支持部材および第2支持部材が外部に流れ出ないように前記パイプの両端をそれぞれ閉鎖するように前記パイプの中空に設けられる第3支持部材;をさらに含むことができる。
【0014】
前記パイプは、第1パイプと;前記第1パイプの内部に設けられ、前記第1パイプの融点より高い融点を有する第2パイプと;を含むことができる。
【0015】
前記第2パイプは、前記第1パイプの融点より高い融点を有することを特徴とするマルチレイヤ充填材を含むことができる。
【0016】
前記第2パイプは、外部圧力が外周面に加えられるとき、前記第1支持部材による圧痕が防止されるように、前記第1支持部材の硬度と同じか、または前記第1支持部材の硬度より高い硬度を有することを特徴とするマルチレイヤ充填材を含むことができる。
【0017】
前記第1支持部材は、サルトを含み、前記第2支持部材は、セラミック、サンドおよび金属ボールのうち1つを含むことを特徴とするマルチレイヤ充填材を含むことができる。
【0018】
また、本発明は、開閉可能な金型のキャビティに充填材で内部が充填されたコアが投入されるコア投入段階と;前記コアを取り囲むように溶融物が前記キャビティに注入されて形成される成形品の成形段階と;前記成形品に埋め込められたコアから充填材を除去する充填材除去段階と;を含み、前記充填材は、前記コアを支持する支持部材および前記支持部材を長さ方向に貫通する溶融バー(bar)を含み、前記充填材除去段階は、前記溶融バーが溶融するように成形品を加熱して前記支持部材の内部に空間(space)部が形成されるようにするコアを用いた中空製品の製造方法を提供することによって、上述した課題を解決する。
【0019】
前記支持部材は、前記中空内に設けられ、内部に空間が形成される第1支持部材と;前記空間に設けられる第2支持部材と;を含み、前記溶融バーは、前記第2支持部材を長さ方向に貫通することができる。
【0020】
前記第1支持部材は、水溶性物質を含み、前記第2支持部材は、非水溶性物質を含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明の実施例によれば、次のような効果を有する。
【0022】
第一に、本発明の一実施例によれば、鋳造時に溶融原液の高温によりパイプが損傷することを防止する効果を提供する。
【0023】
第二に、本発明の一実施例によれば、溶融原液の注入圧力によりパイプに充填された支持部材がパイプ内壁に圧痕を発生させることを防止する効果を提供する。
【0024】
第三に、本発明の一実施例によれば、溶融原液の高温によりパイプの外側の一部層が溶融後に冷却されて、冷却された溶融材料とパイプ間の結合力が高くなるという効果を提供する。
【0025】
第四に、本発明の一実施例によれば、パイプに充填された支持部材の除去が容易なマルチレイヤ充填材を含む効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による中空成形品製造用金型装置の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された中空成形品製造用金型装置に成形品が配置された状態を示す側断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示されたパイプに支持部材が充填された状態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示された中空成形品製造用金型装置により製作された中空が設けられた成形品である。
【
図5】
図5は、
図3に示された支持部材が充填されたパイプから第3支持部材および溶融バーが除去された状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示された中空が設けられた成形品の断面図であり、中空から支持部材が除去された状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下で説明される実施例は、発明の理解を助けるために例示的に示すものであり、本発明は、ここで説明される実施例とは異なって多様に変形されて実施され得ることが理解されなければならない。ただし、本発明を説明するに際して関連した公知機能あるいは構成要素に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明にするかも知れないと判断される場合、その詳細な説明および具体的な図示を省略する。また、添付の図面は、発明の理解を助けるために実際の縮尺のとおり図示されたのではなく、一部の構成要素の寸法が誇張されるように図示され得る。
【0028】
本出願で使用される第1、第2用語は、多様な構成要素を説明するのに使用され得るが、構成要素は、用語により限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけで使用される。
【0029】
また、本出願で使用される用語は、ただ特定の実施例を説明するために使用されたものであって、権利範囲を限定しようとする意図ではない。単数形の表現は、文脈上明白に異なる意味でない限り、複数形の表現を含む。本出願で「含む」、「なる」または「構成される」等の用語は、明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせたものの存在または付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0030】
以下、
図1および
図2を参照して本発明の一実施例によるマルチレイヤ充填材を含む中空製品製造用コアおよびコアを用いた中空製品の製造方法について説明する。
図1は、本発明の一実施例による中空成形品製造用金型装置の分解斜視図であり、
図2は、
図1に示された中空成形品製造用金型装置に成形品が配置された状態を示す側断面図である。
【0031】
以下に説明される中空成形品は、バイメタル(bimetal)の二重構造パイプを用いた金型装置の使用によって内部に中空が形成される成形品を含む。また、中空成形品製造用金型装置には、バイメタル(bimetal)の二重構造パイプが使用され得、中空成形品の製造方法は、上記金型装置を用いて内部に中空が形成された成形品を製造する方法である。
【0032】
本発明の一実施例による金型装置は、内部に中空が形成された成形品を製造するための装置である。内部に中空が形成された成形品である中空成形品は、金型装置の金型を型開し、金型の内部に形成されたキャビティに中空パイプを投入した後、金型の型閉および溶融物の注入によって製作される。成形物の内部に形成される中空は、キャビティに注入される溶融物がパイプ部30の内部中空に注入されない状態で冷却されることによって形成される。
【0033】
このような金型装置は、第1金型41と第2金型42を含む金型4と、第1金型41と第2金型42との間に設けられるパイプ部30とを含む。
【0034】
第1金型41は、内部に第1キャビティ44が形成され、一側にパイプ部30が嵌合され得るように第1貫通溝45Aが設けられる。第1貫通溝45Aは、外部と第1キャビティ44を連通させる。
【0035】
第2金型42は、内部に第2キャビティ43が形成され、第2キャビティ43は、第2金型42と第1金型41が型閉されるとき、第1キャビティ44と共に1つのキャビティを形成する。第2金型42は、一側にパイプ部30が嵌合され得るように第2貫通溝45Bが設けられる。第2貫通溝45Bは、外部と第2キャビティ43を連通させる。また、第2貫通溝45Bは、第1貫通溝45Aと共にパイプ部30が位置する1つの貫通溝45を形成する。
【0036】
パイプ部30は、両端部がキャビティの外側に設けられ、それぞれにパイプ部30の中空と外部を連通させるホールが形成される。両端部のうち一端部に設けられるホールは、流体または後述する支持部材が引き込まれる流入口の役割をし、残りの他端部に設けられるホールは、流体または支持部材が排出される排出口の役割をすることができる。
【0037】
また、パイプ部30は、
図1および
図6に示されたように、キャビティの内部に設けられて、相互平行に配置される平行部30Aと、平行部30Aを相互連通させる湾曲部30Bと、外部に突出した部分30C、30Dとを含む。平行部30Aと湾曲部30Bは、成形品に埋め込められた部分である。
【0038】
平行部30Aと湾曲部30Bは、1つの単一経路を形成し、両端部それぞれに形成されたホールを通じて外部と連通する。これにより、パイプ部30は、ジグザグで連続するように続いた経路を形成する。しかしながら、パイプ部30は、ジグザグ形状に限定されるものではなく、直線状など多様な形状に形成され得る。
【0039】
このようなパイプ部30は、バイメタル(bimetal)の二重構造であり、二重構造の外層を形成する第1パイプ10と、二重構造の内層を形成し、第1パイプ10の内部に位置する第2パイプ20とを含む。第1パイプ10の内周面と第2パイプ20の外周面は、相互接合される。
【0040】
第1パイプ10は、一例として、アルミニウム(Al)素材からなり得る。キャビティの内部に注入される溶融原液、すなわち溶融物に使用される溶融材料は、第1パイプ10素材と同じ素材からなり得、一例として、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり得る。したがって、高温の溶融物の注入時に第1パイプ10は、一部または全部溶融可能である。この場合、溶融物の注入によって第1パイプ10全体が溶けずに外側の一部のみが溶融するように、第1パイプ10の厚みをあらかじめ設定することができる。
【0041】
第2パイプ20は、後述する充填材50による圧痕が防止されるように、充填材50の硬度と同じか、または充填材50の硬度より高い硬度を有する。圧痕は、一般的にキャビティに高温の溶融物が注入される場合、パイプが高温により軟性の性質を有することになると同時に、溶融物による注入圧力が加えられて、パイプ内周面がパイプ内部の支持部材を加圧することによって発生する。
【0042】
第2パイプ20は、第1パイプ10の素材および溶融物の溶融材料それぞれの硬度および融点よりさらに高い融点と硬度を有する素材からなり得る。この場合、第1パイプ10は、充填材50の硬度と同じか、またはさらに低い硬度を有する素材からなる。硬度と融点が高い材料の相当数は、価格が高く、硬度と融点が低い材料の相当数は、価格が低い。第1パイプ10を溶融材料と同じ材料で構成し、且つ融点と硬度が低く比較的安い材料で構成し、第2パイプ20を比較的高価であり、且つ融点と硬度が相対的に高い材料で構成すると、製作費用が低くなって、所望の性能のパイプ部30を得ることができる。
【0043】
このような第2パイプ20は、一例として、銅(Cu)素材からなり得る。銅は、アルミニウムより融点が高くて、溶融材料がアルミニウムである溶融物が注入されても損傷しない。第2パイプ20が銅素材からなる場合、第2パイプ20の硬度が充填材50の硬度より高い。したがって、第2パイプ20の内周面が充填材50と相互密着した状態で外部圧力による第2パイプ20の内周面上の圧痕が防止される。
【0044】
ここで、外部圧力は、溶融物の注入時にパイプ部30の外部に加えられる注入圧力を指す。第1パイプ10の外周面に溶融物注入圧力が加えられると、第1パイプ10と第2パイプ20が微細に圧縮されて第2パイプ20の内周面が充填材50を加圧する。上述したように、第2パイプ20の硬度が充填材50の硬度より高いので、第2パイプ20の内周面には、圧痕が発生しない。
【0045】
ひいては、第2パイプ20は、溶融物と直接接触しないので、高温の溶融物による軟性化程度が低くて、圧痕の防止に有利である。高温の溶融物と直接接触する第1パイプ10により取り囲まれた第2パイプ20は、第1パイプ10に比べて低い温度で加熱されて、固有の硬度値を相当水準に維持することができるためである。
【0046】
このようなパイプ部30は、一例として、押出または鋳造等で形成され得る。また、パイプ部は、所望の形状に後述する充填材が充填されたまま、ベンディングが可能(bendable;折り曲げ可能)であり、ベンディングされる(bent;折り曲げられた)部分の最小曲率半径が外径の1.5倍になるように形成され得る。第1パイプおよび第2パイプは、伸縮率が50%以上になるように形成され得る。第2パイプは、700℃より高い温度で溶融する材質で形成され得る。
【0047】
ひいては、第1パイプおよび第2パイプ相互間には、金属間結合により結合することができる。金属間の結合または金属結合は、金属カチオンと自由電子との間の結合であり、外部で力を加えても、自由電子が金属カチオンの間を自由に動けるので、結合力が高い。これはなぜなら、結合が破壊されないからである。
【0048】
ひいては、第1パイプおよび第2パイプの間には、金属間化合物が形成され得る。金属間化合物は、2つ以上の金属が化合して互いに強く結合することによって、合金内部に混在し、結晶粒の間に存在しつつ、不均質組織を成す中間相(intermediate phase)が形成される場合である。
【0049】
一方、キャビティへの溶融物の注入時に溶融物の圧力によりパイプ部30の変形が発生し得る。したがって、パイプ部30の内部には、溶融物の圧力によりパイプ部30の変形を防止するように充填材50が充填される。
【0050】
このような充填材50は、パイプ部30を支持する支持部材51、53、57および支持部材51、53、57を長さ方向に貫通する溶融バー55(bar)を含む。
【0051】
支持部材51、53、57は、パイプ部30の内部に形成された中空内に設けられ、内部に空間が形成される第1支持部材51と、第1支持部材51の空間に設けられる第2支持部材53と、第1支持部材51および第2支持部材53が外部に流れ出ないようにパイプ部30の両端をそれぞれ閉鎖するようにパイプ部30の中空に設けられる第3支持部材57とを含む。
【0052】
第1支持部材51は、水溶性物質を含み、圧痕を防止するために第2支持部材53が第2パイプ20の内側面に直接接触しないようにする。第1支持部材51は、水溶性物質からなるので、供給された水により溶出が容易である。
【0053】
第2支持部材53は、適当な水準の気孔率(約20%前後)を有している非水溶性無機物ないしは金属材質の粒子または粉体の形態を含む。第2支持部材53を成す物質は、互いにくっつく性質がないので、ベンディング(bending;折り曲げ)工程時にパイプ部30の外部に加えられる力を伝達を受けて内圧を形成し、同時に伝達を受けた力を周辺に伝達して、充填材50の密度が均一に形成されるようにする。したがって、パイプ部30の容易なベンディングが可能である。
【0054】
第2支持部材53は、第1支持部材51と互いに化学反応をしない。一例として、第2支持部材53は、第1支持部材51と略650℃以下でいかなる形態の反応や結合が発生しない。
【0055】
第3支持部材57は、通気性を有する。これは、溶融物が金型に注入されて、溶融バー55が一部溶融する場合、溶融した物質を吸収して外部に漏れ出ることを防止するためである。第3支持部材57は、第2パイプ20と進行性侵食が発生しない。
【0056】
溶融バー55は、パイプ部30全体を長さ方向に貫通するように形成され、略200℃で液状に変わる特徴を有する。溶融バー55は、溶融物が金型に注入されて成形品40の成形される段階では形態を維持し、成形品40の成形が完了すると、加熱により除去される。
【0057】
この場合、溶融バー55が占めた空間は、第2支持部材53の内部に中空53aとして残る。このような中空は、水が移動できる流路を形成し、水の供給によって第2支持部材53が容易に除去されるようにする役割をする。
【0058】
一方、溶融バー55は、溶融物が金型に注入されて成形品40の成形される段階で一部溶融し得、場合によって第3支持部材57の内部に形成される空隙を満たすことができる。したがって、溶融バー55の体積は、溶融バー55が溶融して液状状態で外部に流れ出ることが防止されるように、第3支持部材57の空隙が占める全体体積より小さいように形成される。
【0059】
このような溶融バー55は、第2支持部材53と互いに化学反応があってはならない。一例として、溶融バー55は、略650℃以下で第2支持部材53といかなる形態の反応や結合が発生しないように形成される。
【0060】
一方、本発明のコア、すなわちパイプ部30の製造方法は、まず、第1パイプ10および第2パイプ20を金属結合するようにした後、両端のうち一端に第3支持部材57を充填することから始める。
【0061】
パイプ部30は、その後、第1支持部材51が充填され、第1支持部材51の中空に溶融バー55が長さ方向に貫通するように配置される。
【0062】
その後、パイプ部30は、第2支持部材53が第1支持部材51の中空に充填され、最後に、両端のうち残りの他端に第3支持部材57が充填される。
【0063】
一方、本発明のコアを用いた中空製品の製造方法は、コア30、すなわちパイプ部30の内部に充填材50を充填する段階と、開閉可能な金型のキャビティに充填材50で内部が充填されたパイプ部30が投入されるコア投入段階と、パイプ部30を取り囲むように溶融物がキャビティに注入されて形成される成形品40の成形段階と、成形品40に埋め込められたコア30から充填材50を除去する充填材50除去段階とを含む。
【0064】
充填材50除去段階を、
図5および
図6を参照して説明する。
図5は、
図3に示された支持部材51、53、57が充填されたパイプ部30から第3支持部材57および溶融バー55が除去された状態を示す断面図であり、
図6は、
図4に示された中空が設けられた成形品40の断面図であり、中空から支持部材51、53、57が除去された状態を示す。
【0065】
図5および
図6を参照すると、充填材50除去段階では、まず、パイプ部30の両端を閉鎖している第3支持部材57が除去される。第3支持部材57が除去されると、第3支持部材57が占めた空間にホール20a、すなわち第1空間(space)部20aが形成される。
【0066】
その後、充填材50除去段階では、前記溶融バー55が溶融するように
図4に示された成形品40を加熱して、前記支持部材の内部に空間(space)部、すなわち第2空間部53aが形成されるようにする。第2空間部53aをパイプ部30の長さ方向と交差する方向に切断した断面積は、第1空間部20aの同じ方向に切断した断面積より小さい。
【0067】
その後、充填材50除去段階では、パイプ部30の両端のうちいずれか1つを通じて高圧の水が供給される。高圧で供給された水は、まず、第1空間部20aに流入した後、第1支持部材51および第2支持部材53の端面と強く衝突する。第2空間部53aの断面積が、第1空間部20aの断面積より小さいためである。
【0068】
第1支持部材51および第2支持部材53の断面と強く衝突した水は、第2空間部53aに流入してパイプ部30の両端のうち残りの1つに向かって速く移動する。これにより、第2空間部53aと接している水溶性物質を含む第2支持部材53が速く溶解する。
【0069】
その後、第1支持部材51は、供給された水が一端と強く衝突しつつ、内部を貫通することによって、容易に除去され得る。
【0070】
以上のように、本発明は、限定された実施例と図面により説明されたが、本発明は、これにより限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により本発明の技術思想と下記に記載される特許請求範囲の均等範囲内で多様な修正および変形可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0071】
4 金型
10 第1パイプ
20 第2パイプ
30 パイプ部
41 第1金型
42 第2金型
50 充填材