(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】多成分分散剤
(51)【国際特許分類】
C09K 23/52 20220101AFI20220427BHJP
C08F 283/00 20060101ALI20220427BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20220427BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20220427BHJP
C08G 63/91 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B01F17/52
C08F283/00
C08F2/44 C
C08G18/28 015
C08G63/91
(21)【出願番号】P 2020513306
(86)(22)【出願日】2018-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2018073565
(87)【国際公開番号】W WO2019048365
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-05-01
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598067245
【氏名又は名称】ベーイプシロンカー ヘミー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オケル アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】プリツチンス ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】バージュ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】トイヴィゼン ハンス-ヨセフ
【審査官】中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-241063(JP,A)
【文献】特開2009-086345(JP,A)
【文献】特表2012-511610(JP,A)
【文献】特開平02-086610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 283/00
C08G 18/28
C08F 2/44
B01F 17/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子の分散剤としての組成物の使用であって、
前記組成物が、
i)10~90重量%のエチレン性不飽和構成成分(A)と、
ii)10~90重量%のウレタンおよび/または尿素基を有する構成成分(B)と、
iii)0~4重量%の、構成成分(A)および(B)とは異なる有機構成成分(C)と、
iv)0~9重量%のその他の成分(D)と
を含む組成物であって、
重量%は、組成物の総重量に対して算出され、
構成成分(A)の重量%および構成成分(B)の重量%の合計は、91~100重量%であり、
構成成分(A)は、1~8つのエチレン性不飽和結合および100~1400g/molのモル質量を有する化合物からなり、構成成分(A)は、アミノ基を含有せず、
構成成分(B)は、第一級および第二級アミノ基を含有せず、構成成分(B)は、ウレタンおよび尿素基から選択される2~40の官能基を有し、第三級アミノ基、その塩、第四級アンモニウム基およびそれらの基の組み合わせから選択される1~40の基を有する化合物からなり、構成成分(B)は、ウレタンおよび尿素基の合計よりも多い第三級アミノ基を含有せず、構成成分(B)は、構成成分(B)の重量に基づき1.0~12.0重量%の範囲の窒素含量を有し、0.0~5.0の範囲のヨウ素価を有し、
構成成分(C)は、1000g/mol未満のモル質量を有する有機化合物からなる、組成物の使用。
【請求項2】
i)25~75重量%の構成成分(A)、
ii)25~75重量%の構成成分(B)、
iii)0~2重量%の構成成分(C)、および
iv)0~2重量%のその他の成分(D)
を含み、
構成成分(A)の重量%および構成成分(B)の重量%の合計が、98~100重量%である、請求項1に記載の組成物
の使用。
【請求項3】
構成成分(A)の少なくとも70重量%が、(メタ)アクリル基を有する化合物から選択される、請求項1または2に記載の組成物
の使用。
【請求項4】
構成成分(A)の少なくとも70重量%が、2~4のエチレン性不飽和結合を有する化合物からなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項5】
構成成分(A)の少なくとも70重量%が、12:1~3:1の炭素原子対エチレン性不飽和結合の割合を有する化合物から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項6】
構成成分(B)が、分子量分布を有し、2000~200000g/molの範囲の数平均分子量M
nを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項7】
構成成分(B)が、4~9重量%の範囲の窒素含量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項8】
構成成分(B)の
化合物の少なくとも70mol.%が、ウレタンおよび尿素基から選択される4~15の官能基を含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項9】
ヨウ素価は、Wijsの方法を使用してDIN 53241-1:1995-05に従って決定する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項10】
構成成分(B)の少なくとも90重量%が、
構成成分(a)のイソシアネート基の20%~90%が、一般式(I)の化合物と反応するという条件で、分子あたり少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上のポリイソシアネート(a)を、一般式(I)
Y-(XH)
n (I)
[式中、
XHは、イソシアネートに向けて反応性である基であり、
Yは、第三級アミノ基を含有せず、加水分解性シラン基を含有せず、1つ以上の脂肪族、脂環式および/または芳香族基を含む、イソシアネートに向けて反応性ではない有機基であり、
一般式(I)の化合物は、32~15000g/molの数平均モル質量Mnを有し、構成成分(c1)または(c2)の定義内に入る化合物を表さず、
nは、1、2または3であり、
一般式(I)の化合物の少なくとも50mol.%について、nは1である場合がある]
で示される1種以上の化合物(b)と、
ならびに
構成成分(a)のイソシアネート基の少なくとも10%が、構成成分(c1)と反応するという条件下で、一般式(IIa)
Z-Q (IIa)
[式中、Qは、-NH
2、-NHRまたはOHであり(式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐有機基である)、
Zは、少なくとも1つの第三級アミノ基を有し、イソシアネート反応性基を含有しない有機基である]
で示される1種以上の化合物(c1)および
任意選択で、一般式(IIb)
M-Q (IIb)
[式中、Qは、-NH
2、-NHRまたはOHであり(式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐有機基である)、
Mは、1000g/mol以下の数平均モル質量を有し、少なくとも1つの第三級アミノ基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基である]
で示される(c1)とは異なる1種以上の化合物(c2)と反応させることによって得られる付加物からなる、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項11】
構成成分(B)の少なくとも70重量%について、Zが、以下の定義のうち1以上を有することが満たされる:j)少なくとも1つの第三級アミノ基を有する脂肪族および/もしくは脂環式基またはk)少なくとも1つの、水素原子を含有しない塩基性環窒素原子を有する複素環式基であって、複素環式基について、有機カップリング基を介してQ基と結合されることが可能である、請求項10に記載の組成物
の使用。
【請求項12】
構成成分(B)の少なくとも70重量%について、式(I)の一官能性化合物が、2~30個の炭素原子を有する、モノヒドロキシ官能性ポリエーテル、モノヒドロキシ官能性ポリエステル、モノヒドロキシ官能性ポリエーテル-ポリエステル、脂肪族および/もしくは脂環式モノアルコールおよびそれらの混合物から選択されることが満たされる、請求項10または11のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項13】
構成成分(B)の少なくとも70重量%について、ポリイソシアネート(a)が、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび/またはトルエンジイソシアネートに由来するジイソシアネートのイソシアヌレート基を1以上含有する生成物であることが満たされる、請求項10から12のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項14】
23℃の温度で液体である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項15】
2~50mg KOH/gの範囲のアミン値を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項16】
第一級および第二級アミンを含有しない、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【請求項17】
フリーラジカルイニシエータを含有しない、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物
の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物、分散剤としての組成物の使用および組成物を含む調製物に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液または液体中の分散物では、湿潤剤は、表面張力または界面張力を低下させ、そのようにして、溶液の湿潤能を増大させる。分散剤は、一般に、結合剤、塗料、コーティング、顔料ペースト、プラスチックおよびプラスチックブレンド、接着剤およびシーリングコンパウンド中の固体粒子を安定化するために、対応する系の粘度を低減するためにおよび流動性を改善するために適している。分散物安定剤は、すでに製造されている分散物を安定化するために使用される。
【0003】
固体を液体媒体に分散することができるためには高い機械力が必要である。分散力を低減し、固体粒子の解膠に必要である、系への総エネルギーインプットを最小化し、従ってまた、分散時間を最小にするために分散剤を使用することは通例である。このような分散剤の場合には、これらは、カチオン、アニオンおよび/または中性構造を有する表面活性物質である。これらの物質は、少量で、固体に直接適用されるか、または分散媒体に添加される。一次粒子への凝集固体の完全解膠後、分散操作の後に再凝集があり、それによって、分散努力が完全にまたは部分的に無効になる場合もあることもわかっている。不適切な分散および/または再凝集の結果として、通常、色ずれ、液体系における粘度の増大ならびに塗料およびコーティングにおける光沢の喪失ならびにプラスチックにおける機械力および材料均一性の低減などの不要な効果が生じる。
【0004】
したがって、一般に、使用される湿潤および分散添加物が、良好な湿潤および分散能を提供することが重要である。光沢度の測定は、顔料分散物において対応する分散効果を評価するための確立された方法である。光沢度が高いほど、顔料のより良好な分散および安定化を示す。
【0005】
特別な適用に関連して良好な結果を提供する適した湿潤および分散添加物が必要であることも多い。いわゆるフレキソ印刷は、このような特別な適用と考えられ得る。活版印刷のようなフレキソ印刷は、凸版印刷プロセスの1種であり、新聞、書籍および包装を印刷するために、特に、高品質食品包装用に使用される。色の濃さ/透明度は、フレキソ印刷インクにおいて適用するために非常に重要なものである。一般に、いくつかの層で異なる顔料インクが塗布され、低透明度のインクは、前に塗布された層の色を隠し、印刷イメージの色品質に対して負の影響を有するであろう。
【0006】
実際には、種々の種類の化合物が、湿潤剤および分散剤として使用するために考慮され得る。しかし、それらのすべてが、顔料の分散および安定化に関連して良好に機能するわけではなく、特に、フレキソ印刷適用に関連して、機能しない。
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載されるように、ポリイソシアネートベースの添加物化合物であるポリマー分散剤を用いて、良好な結果が既に達成されている可能性がある。
【0008】
しかしまた、これらの分散剤の対応する性能は、改善可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許出願公開第2254926号
【文献】欧州特許出願公開第2254927号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、フレキソ印刷の分野において対応する添加物適用に特に適している一般的な高品質の分散剤を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題の解決策は、
i)10~90重量%のエチレン性不飽和構成成分(A)と
ii)10~90重量%のウレタンおよび/または尿素基を有する構成成分(B)と、
iii)0~4重量%の、構成成分(A)および(B)とは異なる有機構成成分(C)と、
iv)0~9重量%のその他の成分(D)と
を含む組成物であって、
重量%は、組成物の総重量に対して算出され、
構成成分(A)の重量%および構成成分(B)の重量%の合計は、91~100重量%であり、
構成成分(A)は、1~8つのエチレン性不飽和結合および100~1400g/molのモル質量を有する化合物からなり、構成成分(A)は、アミノ基を含有せず、
構成成分(B)は、第一級および第二級アミノ基を含有せず、構成成分(B)は、ウレタンおよび尿素基から選択される2~40の官能基を有し、第三級アミノ基、その塩、第四級アンモニウム基およびそれらの混合物から選択される1~40の基を有する化合物からなり、構成成分(B)は、ウレタンおよび尿素基の合計よりも多い第三級アミノ基を含有せず、構成成分(B)は、1.0~12.0重量%の範囲の窒素含量を有し、構成成分(C)は、1000g/mol未満のモル質量を有する有機化合物からなる、組成物である。
【0012】
構成成分(A)、(B)および(C)の各々は、(A)、(B)および(C)の対応する既定の必要条件をすべて満たす異なる種からなり得る。例えば、構成成分(A)は、構成成分(A)の上記の規定の必要条件をすべて満たす異なる種の混合物であり得る。
【0013】
不飽和構成成分(A)およびウレタン/尿素構成成分(B)は、改善された分散効果を提供することに関連して正に相互作用すると思われ(相乗作用の種類)、構成成分(A)および(B)の各々は、共分散物の一種であると考えることができ、両者の組合せは、改善された分散剤を形成する。結果として、本発明の組成物は、広範囲の分散されるべき固体に関して良好な分散効果を有することが指摘されなければならない。本発明の組成物は、したがって、特に高品質のものであり、湿潤剤および分散剤として普遍的に使用できる。さらに、特に、顔料ペーストの場合には、これらのペーストが、多数の異なる樹脂、結合剤、レットダウン系およびコーティング材料中で使用されることを可能にするために広い適合性を確実にすることが必要である。さらに、本発明の組成物は、ペーストの、またはこれらのペーストを用いて製造された結合剤およびコーティング材料の凝結を含まない適用性を可能にする。
【0014】
さらに、本発明の組成物は、分散物安定剤として、特に、エマルジョン安定剤として適している。添加される粉砕材料の粘度は、本発明の組成物の使用の結果として分散の間に明確に低減され、このようにして、高い固体含量を有する配合物を調製することが可能になる。要約すると、本発明の組成物は、高度の充填剤でさえ、硬化塗料の安定性に対して負の影響を有さずに加工が可能であるような程度に、顔料または充填剤の良好な安定化を維持しながら、対応する塗料、ペーストまたはプラスチック配合物の粉砕材料の粘度を低減すると結論づけることができる。本発明の組成物の有益な顔料分散および顔料安定化特性は、例えば、対応する高光沢度の測定値によって反映される。
【0015】
本発明の組成物は、印刷インクの分野において分散添加物として特に適している。特に、フレキソ印刷の分野における適用は、例えば、色の濃さ/透明度および光沢改善に関連して良好な結果を提供する。
【0016】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
I.25~75重量%の構成成分(A)、
II.25~75重量%の構成成分(B)、
III.0~2重量%の構成成分(C)、および
IV.0~2重量%のその他の成分(D)
を含み、
構成成分(A)の重量%および構成成分(B)の重量%の合計は、98~100重量%である。
【0017】
より好ましい実施形態では、本発明の組成物は、
I.30~70重量%の構成成分(A)、
II.30~70重量%の構成成分(B)、
III.0~1重量%の構成成分(C)、および
IV.0~1重量%のその他の成分(D)
を含み、
構成成分(A)の重量%および構成成分(B)の重量%の合計は、99~100重量%である。
【0018】
構成成分(A)
構成成分(A)は、エチレン性不飽和を有する化合物からなる。エチレン性不飽和基は、非芳香族炭素-炭素二重結合である。化合物は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アリル-またはビニル-官能性を含有する。構成成分(A)は、異なる種を含む混合物であることが多い。例えば、α,β-不飽和カルボニル化合物、例えば、α,β-不飽和カルボン酸エステル、α,β-不飽和カルボン酸アミド、脂肪族、芳香族および/またはアラルキル部分を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸エステル、エトキシル化および/またはプロポキシル化(メタ)-アクリレートおよびヒドロキシ官能基(メタ)アクリレートを含み得る。分子あたりのエチレン性不飽和基数は、1~6であることが多く、1~4が好ましく、2~3が最も好ましい。これらの化合物の混合物を使用してもよい。
【0019】
普通、不飽和構成成分(A)の少なくとも70重量%が、2~4の(2以上4以下)、より好ましくは、2~3のエチレン性不飽和基を有する種から選択される。
【0020】
構成成分(A)のその他の種(通常、少なくとも70重量%)は、150~1000g/molの、より多くは、200~800g/molの、例えば、300~800g/molのモル質量を有する。種が分子量分布を有する場合には、モル質量は、溶出剤としてのTHFおよびポリスチレン較正標準を使用してGPCによって決定される数平均に関する。
【0021】
好ましくは、構成成分(A)の少なくとも70重量%は、(メタ)アクリル基を有する種から選択される。
【0022】
一般に、構成成分(A)の少なくとも70重量%は、12:1~3:1の炭素原子対エチレン性不飽和結合の割合を有する種から選択される。
【0023】
構成成分(A)(の種)の例として、以下がある:
一官能性アクリレート:エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、ドデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、エチレンメチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート、エチレンブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、アリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ノニルフェノールアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-シアノエチルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、4-ペンチルフェニルアクリレート、2-ヘキシルフェニルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシル化-P-クミルフェノールアクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコールモノアクリレート、ラウリルアクリレート、アルコキシル化ラウリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマルアクリレート、ジヒドロジシクロペナジエニルアクリレート、ポリグリシジルアクリレート、ベータ-カルボキシエチルアクリレート、C16~C18アルキルアクリレート。
【0024】
二官能性アクリレート:1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,10-ドデカンジオールジアクリレート、2-メチル-1,3-プロパンジオールジアクリレート、エトキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、プロポキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエトキシル化トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロポキシル化トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、プロポキシル化1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシル化ノニルフェニルジアクリレート、プロポキシル化ノニルフェニルジアクリレート、脂肪族ウレタントリアクリレート、芳香族ウレタンジアクリレート。
【0025】
多官能性アクリレート:トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化グリセロールトリアクリレート、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、トリス-(2-ヒドロキシ-エチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチルプロパンテトラアクリレート、芳香族ウレタンテトラアクリレート、多官能ポリエステルアクリレート。
【0026】
一官能性メタクリレート:メチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルトリグリコールメタクリレート、エチルトリグリコールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ブチルジグリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、ウレイドメタクリレート。
【0027】
二官能性メタクリレート:ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジウレタンジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、プロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート、グリセリンジメタクリレート。
【0028】
多官能性メタクリレート:トリメチロールプロパントリメタクリレート。
【0029】
構成成分(A)(の種)のさらなる例として以下がある:
スチレン、置換スチレン、例えば、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、4-エチルスチレン、4-メチルスチレン、4-t-ブチルスチレンまたはビニルトルエン、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、C1~C20アルコールのビニルエーテル、2,3-ジヒドロフラン、トリメチロールプロパンジアリルエーテルモノメタクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテルおよびC1~C20ジオールのジビニルエーテル、マレイン酸エステル、例えば、ジブチルマレエート、アリルエステル、例えば、ジアリルフタレート、飽和および不飽和カルボン酸のビニルエステル、例えば、ビニルプロピオネート、ビニルエチルヘキサノエート、ビニルピバレート、ビニルステアレート、ビニルウレア、リモネン、ジペンテン、インデン、アリルベンゼンなど。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態では、構成成分(A)は、リン、ケイ素およびハロゲンを含まない、または本質的に含まない。リン、ケイ素またはハロゲンを本質的に含まないとは、指定の元素が完全に存在しない、または個々の元素が、構成成分(A)の総重量に対して算出して1.0重量%を超えない量で存在することを意味する。
【0031】
構成成分(B)
構成成分(B)は、異なる種からなる混合物であることが多い。
【0032】
好ましい実施形態では、構成成分(B)は、低含量のエチレン性不飽和基を有する、またはこのような基を含まない、もしくは本質的に含まない。エチレン性不飽和基の含量は、100gの問題のサンプルによって消費されるヨウ素の量を示すヨウ素価として表すことができる。ヨウ素価は、Wijsの方法を使用してDIN 53241-1:1995-05に従って決定できる。構成成分(B)は、0.0~10.0、好ましくは、0.0~5.0の範囲にあるヨウ素価を有することが好ましい。
【0033】
エチレン性不飽和炭素-炭素結合を含有しないウレタン/尿素構成成分(B)の種の適用によって、前記の種の重合の可能性を避けられる。したがって、添加物適用の場合には、対応する結合剤構造との架橋は、避けられる。構成成分(B)の架橋は、一般に安定化効率を減少させるのでこれは重要である。
【0034】
構成成分(B)の種は、普通、ウレタンおよび尿素基から選択される3~20、好ましくは、4~10の官能基を含有し、構成成分(B)の種は、普通、1~20、好ましくは、1~9の第三級アミノ基を含有する。本発明の好ましい実施形態では、ウレタン/尿素構成成分(B)の種の少なくとも90mol.%は、ウレタンおよび尿素基から選択される4~15の官能基を含有する。
【0035】
さらに、構成成分(B)は、普通、2~10重量%の窒素含量、大部分は、5~9重量%の窒素含量を有する。本発明の好ましい実施形態では、ウレタン/尿素構成成分(B)の種の少なくとも90mol.%は、4~9重量%の窒素含量を有する。前記窒素含量は、一般に、Dumas原理(ISO 16634-1)に従って測定される。
【0036】
より高い窒素含量は、製品を黄色化するような副作用または貯蔵安定性に関連する問題につながり得る。しかし、より低い窒素含量は、より低い分散効果および/またはより低い安定化効果につながり得る。
【0037】
本発明の好ましい実施形態では、構成成分(B)は、全体として、2000~200000g/molの数平均モル質量Mnを有する異なる種からなる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、ウレタン/尿素構成成分(B)の少なくとも90重量%(多くは、100重量%)は、構成成分(a)のイソシアネート基の20%~90%が、一般式(I)の化合物と反応するという条件で、
分子あたり少なくとも2つのイソシアネート基を有する1種以上のポリイソシアネート(a)を、一般式(I)
Y-(XH)n (I)
[式中、
XHは、イソシアネートに向けて反応性である基であり、
Yは、第三級アミノ基を含有せず、加水分解性シラン基を含有せず、1つ以上の脂肪族、脂環式および/または芳香族基を含む、イソシアネートに向けて反応性ではない単量体または多量体基であり、一般式(I)の化合物は、32~15000g/molの数平均モル質量Mnを有し、構成成分(c1)または(c2)の定義内に入る化合物を表さず、
nは、1、2または3であり、
一般式(I)の化合物の少なくとも50mol.%について、nは1である場合がある]
で示される1種以上の化合物(b)と、ならびに
構成成分(a)のイソシアネート基の少なくとも10%(好ましくは、25%、より好ましくは、50%)が、構成成分(c1)と反応するという条件下で、一般式(IIa)
Z-Q (IIa)
[式中、Qは、-NH2、-NHRまたはOHであり(式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐有機基である)、
Zは、少なくとも1つの第三級アミノ基を有し、イソシアネート反応性基を含有しない有機基である]
で示される1種以上の化合物(c1)および
任意選択で、一般式(IIb)
M-Q (IIb)
[式中、Qは、-NH2、-NHRまたはOHであり(式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐有機基である)、
Mは、1000g/mol以下の数平均モル質量を有し、少なくとも1つの第三級アミノ基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機基である]
で示される(c1)とは異なる1種以上の化合物(c2)と反応させることによって得られる付加物からなる。
【0039】
構成成分(a)
ウレタン/尿素構成成分(B)の調製のための構成成分(a)として、分子あたり少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートが使用される。この種のポリイソシアネートは、本技術分野における先行技術から公知である。
【0040】
問題の化合物は、好ましくは、ビウレット、ウレタン、ウレトジオン(uretdione)および/またはイソシアヌレート基を含有する単量体ジイソシアネートのオリゴマーまたはポリマー誘導体である。この種の単量体ジイソシアネートとして、例えば、1,4-ジイソシアネートブタン、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアネートペンタン、1,5-ジイソシアネート-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアネートヘキサン、1,10-ジイソシアネートーデカン、1,3-および1,4-ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサン、1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’-ジイソシアネート-ジシクロヘキシルメタン、トリレンジイソシアネート(TDI)、1-イソシアネート-1-メチル-4(3)-イソシアネートメチルシクロヘキサン、ビス(イソシアネートメチル)ノルボルナンおよび1,3-および1,4-ビス(2-イソシアネートプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)またはこのようなジイソシアネートの混合物がある。あるいは、記載された単量体イソシアネートを、単独で、もしくは混合物中で、またはビウレット、ウレタン、ウレトジオン(uretdione)および/もしくはイソシアヌレート基を含有するそのオリゴマーもしくはポリマー誘導体との混合物中であるように使用してもよい。本発明に従って、1種以上の単量体、オリゴマーまたはポリマーポリイソシアネートを使用することが可能である。
【0041】
ポリイソシアネートは、少なくとも2つの平均官能性を有さなくてはならない。平均官能性は、好ましくは、少なくとも2.5、より好ましくは、少なくとも3である。HDI、TDIおよび/またはIPDIの上記の誘導体が特に好ましく、TDIのものが特別である。
【0042】
この種のポリイソシアネートの例として、例えば、ポリオールととものジイソシアネートの添加によって得ることができるもの、例えば、Bayer製のDesmodur Lまたはジイソシアネートからビウレット反応によって得ることができるもの、例えば、Bayer製の市販品Desmodur Nまたはジイソシアネートの環化によって得ることができる他のイソシアヌレート親構造を有するポリイソシアネート、例えば、Bayer製の市販品Desmodur HLおよびDesmodur IL、SAPICI製の市販品Polurene KCまたはPolurene HRまたは三量体イソホロンジイソシアネート(Chemische Werke Huls製のイソシアヌレートT1890)がある。市販品として利用可能なポリイソシアネートのさらなる例として、Desmodur VL(ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をベースとするポリイソシアネート、Bayer AG)、Desmodur Z4370(イソホロンジイソシアネートをベースとするポリイソシアネート(IPDI)、Bayer AG)、Desmodur N3400(脂肪族HDIウレトジオン(uretdiones)、Bayer AG)、Thanecure T9(芳香族TDIウレトジオン(uretdione)、TSE Industries)、Crelan VP LS 2147およびCrelan VP LS 2347(脂肪族IPDIウレトジオン(uretdiones)、Bayer AG)、Polurene KD(トリレンジイソシアネート(TDI)をベースとするポリイソシアヌレート、SAPICI)、Uronal RA 50(TDIをベースとするポリイソシアヌレート、Galstaff製)、Polurene A(TDIトリメチロールプロパン(TMP)をベースとするポリイソシアネート、SAPICI)、Polurene MC(TMP-IPDI、SAPICIをベースとするポリイソシアネート)、Polurene MD 70(TMP-TDI-MDIをベースとするポリイソシアネート、SAPICI)がある。これらの市販品は、ポリイソシアネートの純粋な形態ではなく、代わりに、同様の構造のポリイソシアネートの混合物の形態であることが頻繁にある。本発明におけるポリイソシアネートとして、三量体化製品-すなわち、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)および/またはトリレンジイソシアネート(TDI)をベースとするジイソシアネートの1以上のイソシアヌレート基を含有する製品を使用することが好ましい。
【0043】
上記の「少なくとも2の平均官能性」とは、イソシアネート基の点で、市販品が少なくとも2の記載の官能性を有することを意味する。「3の官能性」とは、例えば、分子が、平均で3の遊離イソシアネート基を含有することを意味する。平均官能性は、本発明の実施例の節に記載されるように数平均分子量MnおよびNCO数を決定すること、およびそれからNCO当量を算出することによって実験的に決定できる。平均官能性は、数平均分子量およびNCO当量から形成される比である。好ましくは、ポリイソシアネートの平均分子量は、少なくとも200、より好ましくは、少なくとも300、極めて好ましくは、少なくとも500である。好ましくは、平均官能性は、2.5~10、より好ましくは、少なくとも3、例えば、3~6である。
【0044】
構成成分(b)
構成成分(a)のポリイソシアネートを、本発明に従って上記式(I)の構成成分(b)の化合物と反応させる。
【0045】
式(I)の化合物は、1、2または3つの、イソシアネート基に向けて反応性であるXH基を含有することを特徴とする。一般式(I)の化合物のY基について、イソシアネートに向けて反応性ではない場合がある。これは、特に、Y基は、上記のXH基から遊離しているということを意味する。XHの例として、OH、NH2、NHR、SHまたはCOOHがあり、Rは、1~18個の炭素原子を有する分岐または非分岐有機基、好ましくは、アルキル基である。好ましくは、XHは、OH、NH2またはNHRである。これらの官能基は、ヒドロキシル基であることが特に好ましいが、これは、これらの化合物が、容易に得ることができ、および/または商業的に入手可能であり、得られた反応生成物は、本発明に従う添加物の後の使用に関連して使用される溶媒に高度に可溶性であるからである。
【0046】
イソシアネートに向けて反応性ではないY基は、ヘテロ原子O、S、Siおよび/もしくはNならびに/またはエーテル、ウレタン、カーボネート、アミドおよび/もしくはエステル基を含有し得る。Y基では、ハロゲン、好ましくは、フッ素および/または塩素について、水素と置換されることが可能である。
【0047】
式(I)の化合物として、脂肪族、脂環式および/または芳香脂肪族化合物を使用することが可能である。このような化合物の混合物、言い換えれば、式(I)の少なくとも2種の異なる化合物を使用することもまた可能である。式(I)の脂肪族または芳香脂肪族化合物は、直鎖であっても、分岐していてもよい。それらは、飽和であっても、不飽和であってもよい。しかし、飽和化合物が好ましい。
【0048】
式(I)の化合物の例として、直鎖または分岐アルコール、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、エチルヘキサノール、デカノール、イソトリデシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、イソボルニルアルコール、ベンジルアルコール、プロパルギルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、オキソアルコール、ネオペンチルアルコール、シクロヘキサノール、脂肪アルコール、アルキルフェノール、モノフェニルジグリコール、アルキルナフトール、フェニルエタノールおよびヒドロキシエチルエチレンウレアおよびまたポリオレフィンポリオール、例えば、非水素化または水素化、ヒドロキシ官能性ポリブタジエン、ポリプロピレン、エチレン/ブチレン共重合体または1~3の平均官能性を有するポリスチレンがある。対応する市販品の例として、Mitsubishi Chemical製の名称Polytail(登録商標)の下で入手可能なヒドロキシ末端水素化ポリブタジエンまたはKraton Polymers製のヒドロキシ末端エチレン/ブチレン共重合体Kraton(登録商標)Liquid L-1203、L-1302およびL-2203またはNippon Soda Co.製のNISSO-PBとして入手可能である液体ポリブタジエンまたはUnilin(登録商標)アルコールとしてBaker Petroliteから入手可能な、最大C50の長さおよび375~700g/molの分子量を有する飽和、長鎖、直鎖の、大部分は第一級アルコールおよびUnithox(登録商標)名のもとで得ることができるそのエトキシレートがある。さらなる例は、とりわけ、EP-A-154678に記載されている。
【0049】
式(I)の化合物として、エステル、エーテル、ウレタン、カーボネート、アミドおよび/またはシロキサン基またはこれらの基の組合せを含有するものを使用することも可能である。したがって、それらは、例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリシロキサンまたは例えば、混合ポリエーテル-ポリエステルであり得る。
【0050】
ポリエステルは、例えば、ジカルボン酸およびまたそのエステル化可能な誘導体、例えば、無水物、酸塩化物またはジアルキルエステル、例えば、ジメチルエステルまたはジエチルエステルなどを、ジオールおよび一-、二-または三-官能性スターター構成成分との反応によって反応させることによって調製できる。ジヒドロキシポリエステルの形成は、必要に応じて、上記で記載されたようにモノヒドロキシ化合物の対応する化学量論量を使用することによって抑制できる。エステル化は、同調剤の存在下で、バルクで、または共沸エステル化によって実施できる。ジカルボン酸の例として、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ピメリン酸、フタル酸または二量体化脂肪酸およびその異性体および水素化生成物がある。ジオールの例は以下のとおりである:エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シス-1,2-シクロヘキサンジメタノール、トランス-1,2-シクロヘキサンジメタノールおよびまたエチレングリコールまたはプロピレングリコールをベースとするポリペプチドグリコール。
【0051】
式(I)の好ましいポリエステルとして、EP-A-154678に記載されるような、例えば、モノ-、ジ-またはトリ-ヒドロキシスターター構成成分による、1以上の任意選択でアルキル置換されていてもよいヒドロキシカルボン酸および/またはプロピオラクトン、バレロラクトンもしくはカプロラクトンなどの対応するラクトンの開環重合の重縮合によって得ることができるポリエステルがある。好ましくは、それらは、150~5000g/molの数平均分子量Mnを有する。スターター構成成分として、式(I)の化合物として与えられるもの以外の任意の化合物を使用することが原則として可能である。スターター構成成分として使用される一-、二-または三-官能性アルコールは、好ましくは、1~30個、より好ましくは、4~14個の炭素原子を有する。n-ブタノール、より長い鎖の、飽和および不飽和アルコール、例えば、プロパルギルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、オキソアルコール、シクロヘキサノール、フェニルエタノール、ネオペンチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロールならびにまたフッ素化アルコール、ヒドロキシ官能性ポリジアルキルシロキサンが、例として記載される。上記の種類のアルコールならびに置換および非置換フェノールを、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよび/またはスチレンオキシドなどを使用して公知のプロセスに従うアルコキシル化によって、ポリオキシアルキレンモノアルキル、ポリオキシアルキレンモノアリール、ポリオキシアルキレンモノアラルキルおよびポリオキシアルキレンモノシクロアルキルエーテルに変換することならびにラクトン重合のためのスターター構成成分としてこれらのヒドロキシポリエーテルを上記の方法で使用することも可能である。各場合において、上記の化合物の混合物を使用することも可能である。ラクトン重合は、例えば、約70℃~180℃の温度でp-トルエンスルホン酸またはジブチルスズジラウレートによって開始される公知の方法によって実施する。必要に応じてδ-バレロラクトンと組み合わせたε-カプロラクトンをベースとするポリエステルが特に好ましい。
【0052】
式(I)の化合物として、モノ-、ジ-またはトリ-ヒドロキシポリエーテルを使用することも可能である。これらは、例えば、式(I)の化合物として記載されるその他の化合物、例えば、アルカノール、シクロアルカノール、フェノールまたは上記のヒドロキシポリエステルを、アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドまたはそれらの混合物を用いてアルコキシル化することによって得ることができる。混合ポリエーテルを、勾配として、またはブロックで無作為に配置できる。これらのポリエーテルは、約100~10000、好ましくは、150~5000、より好ましくは、200~3500g/molの範囲の数平均分子量(Mn)を有することが有利である。エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびそれらの混合物に基づくポリエーテルが好ましい。モノヒドロキシ官能性ポリオキシアルキレンモノアルコール、例えば、メタノールから出発して調製されたポリオキシエチレンモノアルコール、例えば、BASF AG製のPluriol(登録商標)A350E、Pluriol(登録商標)A500E、Pluriol(登録商標)A750E、Pluriol(登録商標)A1020E、Pluriol(登録商標)A2000EまたはPluriol(登録商標)A5010E、アルカノールから出発して調製されたポリオキシプロピレンモノアルコール、例えば、Clariant AG製のポリグリコールB01/20、ポリグリコールB01/40、ポリグリコールB01/80、ポリグリコールB01/120もしくはポリグリコールB01/240またはBASF AG製のPluriol(登録商標)A1350PもしくはPluriol(登録商標)A2000Pならびに種々の脂肪アルコールを使用して出発した、さまざまな程度のアルコキシル化を有する、BASF AG製の商標名Lutensol(登録商標)A、Lutensol(登録商標)AT、Lutensol(登録商標)AO、Lutensol(登録商標)TO、Lutensol(登録商標)XP、Lutensol(登録商標)XL、Lutensol(登録商標)APおよびLutensol(登録商標)ONの下で当業者に公知の種類のポリアルコキシレートがさらに好ましい。エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド基を含有し、スチレンオキシドを用いて修飾されていてもよいポリオキシアルキレンモノアルコールを使用することが好ましい。ブタノールから出発して調製された、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから形成された、および末端OH基を有するポリオキシアルキレンである、ポリオキシアルキレンモノアルコール、例えば、Clariant AG製のポリグリコールB11/50、ポリグリコールB11/70、ポリグリコールB11/100、ポリグリコールB11/150、ポリグリコールB11/300もしくはポリグリコールB11/700、BASF AG製のPluriol(登録商標)A1000PE、Pluriol(登録商標)A1320PEもしくはPluriol(登録商標)A2000PEまたはDOW Chemicals製のTerralox WA110などを使用することが特に好ましい。
【0053】
式(I)の好ましい化合物として、2~30個の炭素原子を有する、いくつかの水素原子がハロゲンおよび/またはアリール基によって置換されていてもよい、ヒドロキシ官能性ポリエーテル、ヒドロキシ官能性ポリエステル、ヒドロキシ官能性ポリエーテル-ポリエステルおよび/または脂肪族および/または脂環式アルコールがある。
【0054】
式(I)の化合物として、一-、二-または三-官能性ポリシロキサン、例えば、ヒドロキシル基を含有する、シリコン原子と結合していない、アミノ-もしくはヒドロキシ-官能性ポリジアルキルシロキサンなどを使用すること、または適当な場合には、ポリエーテル修飾および/もしくはポリエステル修飾されていてもよいアミノアルキルポリシロキサンを使用することも可能である。この場合には、それぞれのアミノ官能性化合物は、第一級または第二級であるが、第三級ではないアミノ基を保持する。400~8000g/mol、より好ましくは、400~5000g/mol、極めて好ましくは、400~2000g/molの数平均分子量Mnを有するヒドロキシアルキルポリジメチルシロキサンを使用することが好ましい。
【0055】
式(I)の化合物として、一-、二-または三-官能性スターター構成成分の存在下で、ジイソシアネートのジヒドロキシ化合物を用いる付加反応によって得ることができる、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタンおよび/またはポリエーテル-ポリエステル-ポリウレタンを使用することも可能である。
【0056】
ウレタン基を含有する式(I)の化合物を合成するためのジイソシアネートとして、ポリウレタン化学からそれ自体公知の、4~15個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式および/または芳香族ジイソシアネート、例えば、テトラメチレン、ヘキサメチレン、トリメチルヘキサメチレン、ドデカメチレン、イソホロン、トリレンおよびジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)または1,4-シクロヘキサンビス(メチルイソシアネート)を使用することが可能である。ウレタン基を含有する式(I)の化合物を合成するためのヒドロキシ化合物として、2~12個の炭素原子を有するジオール、ポリオキシアルキレングリコールおよび2000g/mol以下の好ましい数平均分子量Mnを有するジヒドロキシ官能性ポリエステルを使用することが好ましい。モノヒドロキシ官能性スターター構成成分として、式(I)のポリエステルを調製するために記載されるものなどの最大30個の炭素原子を有するアルコールを使用することが可能であるが、式(I)の化合物として記載されるヒドロキシポリエステルおよびヒドロキシポリエーテルも可能である。ポリエステルは、好ましくは、300~5000g/molの数平均分子量Mnを有し、ポリエーテルは、200~2000g/molを有する。
【0057】
Y基は、先行技術に従って、鎖式および/または環状カーボネートとの反応によって得られるものなどのカーボネート基を含有し得る。適合性は、例えば、ポリウレタンの調製において使用されるものなどの、カーボネート修飾された直鎖ポリエステルまたはポリカーボネートジオールによって有される。例は、米国特許第4,101,529号、EP0358555またはWO02/085507に記載されている。適したカーボネートとして、例えば、炭酸の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および/または芳香族エステル、例えば、ジアルキルカーボネート、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートまたはジフェニルカーボネート、例えば、カテコールカーボネートまたは環状アルキレンカーボネートがある。特別の適合性は、必要に応じて置換されていてもよい、5または6員環を有する環状アルキレンカーボネートによって有される。好ましい置換基として、最大30個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式および/または芳香族基がある。適した環状アルキレンカーボネートの例として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリルカーボネート、トリメチレンカーボネート、4-メチルトリメチレンカーボネート、5-メチルトリメチレンカーボネート、5,5-ジメチルトリメチレンカーボネート、5,5-ジエチルトリメチレンカーボネートまたは5-メチル-5-プロピルトリメチレンカーボネートがある。
【0058】
Y基は、構成成分(B)の形成の際に不活性に挙動するさらなる基、例えば、カルボキサミド基(-NHCO-)または尿素基(-NHCONH-)などを保持し得る。このような基を保持する式(I)のこれらの化合物の画分は、好ましくは、式(I)の使用される化合物のすべてに基づいて50mol.%未満、より好ましくは、5mol.%未満でなくてはならない。特に好ましい化合物は、これらの基を全く含有しないものである。
【0059】
存在し得るエステル、エーテル、ウレタン、カーボネートおよび/またはシロキサン基は、ブロック構造(好ましくは、ポリ(エチレンオキシド-ブロック-プロピレンオキシド-ブロック-イプシロン-カプロラクトン)であり得る、勾配を形成できる、またはそうでなければ、無作為に配置できる。
【0060】
式(I)の化合物として、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルのアニオン、カチオンまたは遊離ラジカル重合によって得られるものなどの、平均で最大3つのNCO-反応性基を有するポリアクリル酸エステルおよび/またはポリメタクリル酸エステルを使用することも可能である。モノヒドロキシ官能性化合物が好ましい。モノヒドロキシ官能性ポリアクリル酸エステルおよびポリメタクリル酸エステルは、分子中に平均で1つのヒドロキシル基を含有するものである。このような化合物は、その他の分散剤を調製するために本発明の技術分野においてすでに使用されている。この種の化合物は、例えば、米国特許第4,032,698号またはEP318999に記載されている。このようなポリアクリレートは、好ましくは、300~20000g/mol、より好ましくは、500~10000g/molの数平均分子量Mnを有する。それらは、ブロック構造で、または無作為に配置でき、勾配を形成することもできる。
【0061】
単量体アクリレートまたはメタクリレートのカルボキシル基を、例えば、脂肪族、脂環式および/もしくは芳香族アルコール、例えば、メタノール、ブタノール、シクロヘキサノール、2-エチルヘキサノール、ラウリル、ステアリル、イソボルニルもしくはベンジルアルコールを用いて、またはエーテルアルコール、例えば、2-メトキシエタノール、2-フェノキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコールもしくはグリシドールを用いて、またはポリエステルアルコール、例えば、ヒドロキシ官能性ポリカプロラクトンを用いて、またはアルコキシポリアルキレングリコール、例えば、メトキシポリエチレングリコールもしくはメトキシポリプロピレングリコールを用いてエステル化できる。エステル化構成成分の数平均分子量Mnは、好ましくは、2000g/mol未満である。ヒドロキシ官能性ポリアクリレートまたはポリメタクリレートを調製するために、上記で記載される異なる単量体の混合物を使用することも可能である。これらのポリアクリレートまたはポリメタクリレートを調製するために、コモノマーとして、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニル、ビニルエーテル、例えば、ビニルエチルエーテル、スチレン、ビニルトルエンおよび/またはビニルシクロヘキサンを使用することも可能である。得られた共重合体は、好ましくは、アクリル酸官能性を有さないコモノマーの50mol.%以下から合成されている。
【0062】
ヒドロキシ官能性ポリ-2-アルキル-2-オキサゾリンまたはポリ-2-アルキル-2-オキサジンはまた、式(I)の化合物としても働くことができる。モノヒドロキシ官能性化合物が使用されることが好ましい。当業者ならば承知しているであろうが、ポリ-2-アルキル-2-オキサゾリンまたはポリ-2-アルキル-2-オキサジンは、例えば、2-アルキル-2-オキサゾリンまたは2-アルキル-2-オキサジンの、イニシエータ、例えば、パラトルエンスルホン酸、メチルトシレートまたはメチルトリフレートを用いるカチオン重合、開環重合によって得られる。
【0063】
リビングカチオン重合機序に起因するオキサゾリニウムまたはオキサジニウム末端基は、アミノエステル末端基を介したアルカリ加水分解によって、より安定なヒドロキシアミドに変換できる。モノヒドロキシ官能性ポリ-2-アルキル-2-オキサゾリンまたはポリ-2-アルキル-2-オキサジンの調製の代替経路は、開始種として2-(4-ヒドロキシフェニル)-N-メチル-2-オキサゾリニウムトリフルオロ-メタンスルホネートを用いる重合である(A. Groβ、G. Maier、O、Nuyken、Macromol. Chem. Phys.197巻、2811~2826頁(1996年))。アルキル置換基の選択によって、適合性を制御することが可能である。例えば、ポリ-2-エチル-2-オキサゾリンの水溶解度は、それを高度極性系に適したものにするが、ポリ-2-ラウリル-2-オキサゾリンは、例えば、非極性系に適合している。ブロック共重合体が、2-エチル-2-オキサゾリンおよび2-ラウリル-2-オキサゾリンから形成される場合、ポリマーは、特に広い適合性について注目すべきである。このようなポリ-2-アルキル-2-オキサゾリンまたはポリ-2-アルキル-2-オキサジンは、好ましくは、300~20000g/mol、より好ましくは、500~10000g/molの数平均分子量Mnを有する。
【0064】
汎用ペースト部門におけるように広い適合性を必要とする適用には、例えば、式(I)の異なる化合物の混合物を用いて調製されるウレタン/尿素構成成分(B)を使用することが有利であることが頻繁にある。例えば、本発明の組成物が、水性および非極性系のための汎用着色ペーストにおいて使用される場合には、式(I)の水溶性化合物と非極性化合物の組合せが有利である。
【0065】
式(I)の化合物の数平均分子量Mnは、15000g/molより小さく、好ましくは、10000g/mol以下、より好ましくは、5000g/mol以下、極めて好ましくは、3500g/mol以下、さらにより良好には、2000g/mol以下である。最小分子量Mnは、好ましくは、100g/mol、より好ましくは、150g/mol、極めて好ましくは、200g/mol、最も好ましくは、400g/molである。好ましくは、式(I)の使用される化合物の50mol%未満が、より好ましくは、25mol.%が、極めて好ましくは、15.mol%未満が、最も好ましくは、0mol.%が、100g/mol未満の数平均分子量を有するべきである。
【0066】
式(I)の一官能性化合物との反応では、元々使用された遊離NCO基の15%~90%、好ましくは、20%~70%、より好ましくは、25%~60%が反応する。
【0067】
式(I)の二官能性または三官能性化合物の例として、それぞれ、ジオールおよびトリオール、2~36個の炭素原子を有する第三級アミノ基を有さないジアミンおよびトリアミン、ジヒドロキシジアルキルスルフィドおよびジヒドロキシスルホンがある。例として、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、脂肪酸ジアルカノールアミド、チオジグリコールジ(4-ヒドロキシフェニル)スルホンおよびまた2~3の平均官能性を有するヒドロキシ官能性ポリブタジエンがある。式(I)の化合物の1つの好ましい群として、有利には、2~4個、好ましくは、2個の炭素原子を有するアルキレン基を有し、好ましくは、200~2000g/mol、より好ましくは、400~1500g/molの範囲の数平均分子量Mnを有するポリオキシアルキレングリコールがある。例えば、スターター構成成分として三官能性アルコールを使用する重合によって、3つのヒドロキシル基を有するエトキシレートが得られる。好ましいポリオキシアルキレングリコールとして、ポリエチレングリコールがある。
【0068】
二官能性または三官能性の式(I)の化合物として、すでに記載されたようにジ-またはトリ-ヒドロキシスターター構成成分を用いて、1つ以上のラクトン、好ましくは、イプシロン-カプロラクトンを重合することによって得ることができるものを使用することも可能である。好ましくは、これらのポリエステルポリオールは、500~2000g/molの数平均分子量Mnを有する。好ましいスターター構成成分として、ブタンジオールまたはエチレングリコールがある。しかし、上記のジオールまたはトリオールも適したスターター構成成分として同様に適している。
【0069】
1つの好ましい実施形態では、多官能性の式(I)の化合物として、二官能性または三官能性ポリエーテル、ポリエステルまたはポリエーテル-ポリエステルがある。
【0070】
多官能性の式(I)の化合物として、ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタンおよび/またはポリエーテル-ポリエステル-ポリウレタンを使用することも可能であり、これは、対応する式(I)の一官能性化合物と同様にジイソシアネートを用いるジヒドロキシ化合物との付加反応によって得ることができる。好ましくは、式(I)のこれらのウレタン含有化合物は、2以下の平均官能性および300~2500g/molの、好ましくは、500~1500g/molの数平均分子量を有する。
【0071】
二官能性または三官能性の式(I)の化合物は、ポリイソシアネートおよび一官能性の式(I)の化合物の反応生成物間に架橋をもたらす。出発生成物は、例えば、二官能性または三官能性の式(I)の化合物が、分子の中心を構成するような量で、および残存するイソシアネート基が一官能性の式(I)の化合物と反応している、または反応するポリイソシアネートが、それらに結合されるような量で使用できる。もちろん、特定の過剰架橋または架橋不足が存在することがあり得る。
【0072】
二官能性または三官能性の式(I)の化合物との反応の場合には、元々使用されたNCO基の0%~45%および好ましくは、0%~25%が反応する場合がある。特に好ましい生成物は、二官能性または三官能性の式(I)の化合物を全く使用せずに得られる。
【0073】
元々使用された構成成分(a)のNCO基の合計少なくとも20%、より好ましくは、少なくとも25%、および90%以下、好ましくは、80%以下、より好ましくは、70%以下が、式(I)の化合物と反応する。
【0074】
種々の式(I)の化合物とのポリイソシアネートの反応は、1つの単一反応ステップで、または2つ以上の反応ステップで連続して実施できる。これは、任意の順序で起こり得る。しかし、多くの場合、ポリイソシアネートを連続して、まず一官能性の化合物、次いで、多官能性の化合物の順序で構成成分と反応させることが有利である。イソシアネート付加は、室温から最大約150℃のこの種の反応にとって通例である温度範囲内で、個々の反応物の反応性に応じて起こり得る。副反応を加速するおよび低減する目的で、例えば、第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンおよび同様の化合物、また特に、チタンエステルなどの有機金属化合物、鉄(III)アセチルアセトネートなどの鉄化合物、例えば、二酢酸スズ、オクチル酸スズ、ジラウリン酸スズまたは二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズなどの脂肪族カルボン酸のスズジアルキル塩のジアルキル誘導体などのスズ化合物等といった通例の先行技術触媒を使用することが可能である。これらの触媒は、通例、ポリイソシアネートの重量による100部あたり0.0001~0.1重量部の量で使用される。
【0075】
構成成分(c1)
構成成分(c1)は、Z-Qとして一般式(IIa)によって表される。基Zは、NCO反応性基を含有しない少なくとも1つの第三級アミノ基を有する有機基である。Z基は、好ましくは、適当な場合には、複素環式環構造の第三級環窒素原子の形態の、少なくとも1つの第三級アミノ基を有する脂肪族または脂環式基である。第三級環窒素を有する第三級アミノ基または複素環式環構造を、直接的に、または有機カップリング基を介してQ基と結合させてもよい。第三級環窒素を有する第三級アミノ基または複素環式環構造がQ基に結合され得るカップリング基は、好ましくは、2~10個、より好ましくは、2~5個の炭素原子を含む。2~10個、極めて好ましくは、2~5個の炭素原子を有するアルキレン基または同数の炭素原子を有するポリエーテル基が特に好ましい。Q基は、NH2、OHまたはNHRを表す[式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐有機基を表し、Rは、アルキル基であることが多い]。
【0076】
式(IIa)の化合物Z-Qとして使用できる化合物の1つの群は、第三級アミノ基を有するモノヒドロキシアミンまたは第三級アミノ基および第一級もしくは第二級アミノ基を有する脂肪族ジアミン、例えば、(N,N-ジエチルアミノ)エタノール、(N,N-ジメチルアミノ)エタノール、(N,N-ジメチルアミノ)プロパノール、2-(ジエチルアミノ)エチルアミン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3-(ジエチルアミノ)プロピルアミン、N,N-ジエチル-1,4-ブタンジアミン、1-ジエチルアミノ-4-アミノペンタンから構成され、このうち、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミンおよび(N,N-ジエチルアミノ)エタノールが好ましい。
【0077】
また、例えば、ビス-(3-ジメチルアミノプロピル)アミンまたはビス-(3-ジメチルアミノエチル)アミンのような2つ以上の第三級アミン基を有する脂肪族オリゴアミンを使用してもよい。
【0078】
さらなる基の場合には、Zは、環窒素原子が、Q基と、好ましくは、2~5個の炭素原子を有するアルキレン基を介して結合している単環式または二環式複素環式基である。好ましい複素環として、トリアゾール、ピリミジン、イミダゾール、ピリジン、モルホリン、ピロリジン、ピペラジン、ピペリジン、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾールおよび/またはトリアジン、より好ましくは、イミダゾールおよびベンズイミダゾールがある。これらの複素環は、1つ以上の置換基を含有し得る。それらは、好ましくは、以下の群のうち1つを保持する:1~6個、好ましくは、1~4個の炭素原子(メトキシ基が好ましい場合)または第三級アミノ基を有するアルキルベンゾチアゾールおよび/またはアルコキシ基。
【0079】
複素環式基は、環窒素原子および好ましくは、2~5個の炭素原子を有するアルキレン基を介してQ基に結合されることが好ましい。複素環式基は、もちろん、この環窒素原子に加えて、さらなる環窒素原子を含むさらなるヘテロ原子も含有する。
【0080】
式(IIa)の化合物のさらなる例として、N-(3-アミノプロピル)イミダゾール、N-(3-アミノプロピル)モルホリン、N-(2-アミノエチル)ピペリジン、1-メチルピペラジン、アミノエチルピペラジンがある。これらの化合物の特徴は、それらが分子あたり1つの、NCO基と反応可能である基を含有することおよびそれらが水素と反応性ではない窒素含有塩基性基をさらに有することである。これらの塩基性基は、そのpKa値によって先行技術において特性決定されている(米国特許第3,817,944号;同4,032,698号および同4,070,388号を参照のこと)。2~14の、より好ましくは、5~14の、極めて好ましくは、5~12のpKa値を有する塩基性基が好ましい。pKa値は、表組みから採用できる。上に示された制限値は、水中、0.01モル濃度で25℃でのpKa値の測定値を指す。これらの塩基性基は同様に、構成成分(B)に塩基性を付与する。
【0081】
式Z-Qの化合物は、例えば、(メタ)アクリレートまたはエポキシドを、アミンまたは窒素含有複素環式環構造と反応させることによって得ることができる。(メタ)アクリレートと窒素含有複素環式環構造の間の反応生成物の例として、(メタ)アクリル酸のヒドロキシエチルエステルおよびヒドロキシプロピルエステルの、窒素含有複素環式環構造との反応生成物があり、以下の構造元素は、複素環式環構造の窒素と結合している:
-プロピオン酸2-ヒドロキシエチルエステル、-プロピオン酸2-ヒドロキシプロピルエステル、-2-メチルプロピオン酸2-ヒドロキシエチルエステルおよび-2-メチルプロピオン酸2-ヒドロキシプロピルエステルおよびそれらのエトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体。アクリル酸エステルが好ましい。
【0082】
アミンとの反応は、類似的に進行する。
【0083】
エポキシドの、アミンとの、または窒素含有複素環式化合物との反応によって、化合物Z-Qを調製することが同様に可能である。反応の過程で、形成されたQ基は、第二級ヒドロキシル基であり、第三級アミノ基は、反応に参加する窒素原子から形成される。
【0084】
構成成分(c2)
使用される式(IIb)の化合物M-Qは、Mが、1000g/mol以下、好ましくは、500g/mol以下、より好ましくは、300g/mol以下の数平均モル質量を有し、少なくとも1つの第三級アミノ基および少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する有機基であり、QがNH2、NHRまたはOHである(式中、Rは、1~18個の炭素原子を有する直鎖または分岐有機基である)化合物である。
【0085】
Mは、好ましくは、1~10、より好ましくは、1~5、極めて好ましくは、1~3、例えば2などのOH基を含有する。第一級OH基が好ましい。
【0086】
第三級アミノ基およびOH基を有するM-Qの例として、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、アミノプロピルメチルエタノールアミン、3-(ジエチルアミノ)プロパン-1,2-ジオール、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンおよびビス(2-ヒドロキシエチル)オクタデシルアミンがある。
【0087】
構成成分(c2)の化合物は、構成成分(c1)の化合物と同様に(メタ)アクリレートまたはエポキシドの、アミンとの反応によって調製できる。例えば、第一級ヒドロキシル基をすでに含有するグリシドールがエポキシドとして使用される場合には、第二級アミン、第三級アミンとの反応によって、第二級ヒドロキシル基がさらに形成され、その結果、このような付加物が、第一級および第二級ヒドロキシル基およびまた第三級アミノ基を保持する。
【0088】
窒素含有複素環を、(メタ)アクリレートおよびエポキシドと類似的に反応させることができる。
【0089】
添加化合物(構成成分(B)の種)を調製するために、(a)ポリイソシアネートおよび/または構成成分(b)および/または構成成分(c1)および/または(c2)の混合物などの種々の出発材料の混合物を使用することも可能である。2種以上の構成成分(a)、(b)、(c2)または(c2)の個々の代表物を、超化学量論量または準化学量論量で使用してもよい。しかし、割合は、イソシアネート基が実質的に完全な反応を起こすように選択されることが好ましく、これは、イソシアネート基の好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%、極めて好ましくは、少なくとも98%、理想的にはすべてが反応を起こしたことを意味する。
【0090】
修飾
さらなる実施形態では、本発明に従うウレタン基含有反応生成物中に依然として存在するXH基、すなわち、OH基および/または第一級および/または第二級アミノ基を、例えば、カルボン酸無水物とその後の反応においてさらに反応させてもよい。次いで、本発明のウレタン反応生成物を、本発明に従って同様に修飾され、ウレタンを含有する反応生成物の製造において中間体として使用する。修飾された生成物を、本発明に従って修飾されていないウレタンを含有する反応生成物と同一領域において使用できる。修飾、例えば、特定の媒体への反応生成物の適合性が増大または調整され得る。
【0091】
第三級アミノ基をまた、酸素、ペルオキソ化合物、例えば、過カルボン酸を用いて、およびアミンオキシド中の過酸化水素を用いて変換でき、これを塩酸などの酸を用いてさらに修飾してもよい。
【0092】
塩形成
塩基性基のために、添加構成成分(B)は、塩を形成可能である。本発明の目的上、分散剤として、それらを対応する塩の形態で使用できる。特定の場合には、このような部分的または完全塩化によって、活性の改善および/または溶解度の増強を得ることが可能であり、ならびに/または顔料および/もしくは充填剤などの固体粒子との適合性または相互作用が影響を受ける。例えば、酸触媒形におけるように生成物の塩基性が破壊因子である適用でさえ、部分的または完全中和によって改善を達成することが可能であることが頻繁にある。
【0093】
1種以上の有機または無機酸を用いる中和によって、または四級化によって、得られた反応生成物から塩が得られる。使用されるべき酸の量は、使用分野によって導かれる。各個々の場合に応じて、酸構成成分を、等モル量で、準化学量論量または超化学量論量で使用してもよい。ポリカルボン酸から、例えば、生成物に酸性特徴を与えるために中和されるべき塩基性基あたり最大1当量のポリカルボン酸を使用することも可能である。およそ等モルの中和を実施することが好ましい。有機カルボン酸または酸性リン酸エステルとの塩が好ましい。このような酸性リン酸エステルの例は、EP893155、EP417490および米国特許第5,143,952号に示されている。カルボン酸の例として、脂肪族および/または芳香族カルボン酸、例えば、短鎖または長鎖脂肪酸、ギ酸、酢酸、ネオデカン酸、オレイン酸、トール油脂肪酸、ステアリン酸、リシノール酸、天然飽和または不飽和植物または動物脂肪酸およびそのマレイン酸無水物付加物、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、ドデセニルコハク酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、アジピン酸、グルタル酸、安息香酸、ニトロ安息香酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、二量体化または三量体化脂肪酸、クエン酸およびアビエチン酸がある。
【0094】
四級化
本発明のウレタン反応生成物は、第三級アミノ基を含有することが好ましい。これらを、四級化試薬との反応によって完全にまたは部分的に変換して、対応する第四級アンモニウム塩を提供できる。四級化生成物は、本発明に従う非四級化ウレタン基含有反応生成物と同一領域で使用できる。四級化によって、特定の媒体に対する反応生成物の適合性を増大または調整できる、または顔料および/もしくは充填剤などの固体粒子との相互作用が影響を受ける。
【0095】
適した四級化試薬は、例えば、アルキルハロゲン化物、アリールハロゲン化物、アルキル/アリールハロゲン化物、トリフレート、メシレートもしくはトシレートなどの脱離基を含有するアルキルおよび/またはアリール誘導体の群から選択できる。
【0096】
適した四級化試薬の例として、塩化ベンジル、2-または4-ビニルベンジルクロリド、塩化メチル、ヨウ化メチルまたは硫酸ジメチル、メチルトシレートがある。塩化ベンジルが好ましい。
【0097】
四級化のためのさらなる可能性は、酸の存在下でのグリシジルエーテルなどのオキシランの使用である。適したグリシジルエーテルの例として、アルキルグリシジルエーテル、例えば、2-エチルヘキシルおよびC13/C15グリシジルエーテル(Grilonit RV 1814のような商標名)またはアリールグリシジルエーテルがある。これらの四級化に適した酸として、例えば、カルボン酸、例えば、安息香酸、酢酸または乳酸がある。その他の酸として、1つまたは2つのエステル基を有する酸性リン酸エステルを挙げることができる。
【0098】
本発明のプロセスは、まず第1に、構成成分(a)の化合物を、構成成分(b)のものと反応させ、その時に初めて、残存するイソシアネート基を構成成分(c1)および/または(c2)の化合物と反応させるように実施されることが好ましい。本発明のプロセスにおいて使用される構成成分(a)、(b)、(c1)および(c2)は、上記で先にすでに記載されるものに対応する。
【0099】
通常、構成成分(B)の少なくとも70重量%について、Zが、以下の定義のうち1以上を有することが満たされる:j)少なくとも1つの第三級アミノ基を有する脂肪族および/もしくは脂環式基またはk)少なくとも1つの、水素原子を含有しない塩基性環窒素原子を有する複素環式基であって、複素環式基について、有機カップリング基を介してQ基と結合されることが可能である複素環式基。
【0100】
付加物(B)の少なくとも70重量%について、式(I)の一官能性種が、2~30個の炭素原子を有する、モノヒドロキシ官能性ポリエーテル、ポリエステル、ポリエーテル-ポリエステルならびに/または脂肪族および/もしくは脂環式モノアルコールから選択されることが満たされることが多い。
【0101】
通常、付加物(B)の少なくとも70重量%について、ポリイソシアネート(a)が、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソホロンジイソシアネートおよび/またはトリレンジイソシアネートに基づくジイソシアネートのうち1以上のイソシアヌレート基を含有する生成物であることが満たされる。
【0102】
種あたり平均で少なくとも2.5の遊離イソシアネート基を有するポリイソシアネート混合物が使用される場合には、分岐、すなわち、非線形ポリウレタン構造も形成される。したがって、本発明に従って、非線形添加化合物は特に好ましい。
【0103】
溶媒
構成成分(B)の調製は、粘度に応じて、バルクで、または適した溶媒、溶媒混合物またはその他の適した液体媒体の存在下で実施できる。適した溶媒または液体媒体は、すべて反応条件下で反応性ではなく、または共反応物に対する反応性が無視できるものであり、反応物および反応生成物は、少なくとも部分的に可溶性であるものである。多くの場合において構成成分(a)として使用されるポリイソシアネートは、その取扱いを容易にするための酢酸エチルまたは酢酸ブチルのような溶媒を含有する。これらは、反応に使用してもよく、予め除去してもよい。適した溶媒のその他の例として、トルエン、キシレン、脂肪族および/もしくは脂環式ベンジン画分などの炭化水素、クロロホルム、トリクロロエタンなどの塩素付加炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状および非環式エーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのポリアルキレングリコールジアルキルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、ブチロラクトン、ジメチル2-メチルグルタレート、トリアセチン、フタレートまたはその他の可塑剤、ジ-またはポリカルボキシルエステル、「二塩基性エステル」と呼ばれるC2~C4ジカルボン酸のジアルキルエステルなどのモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸のエステル、エチルグリコールアセテート、メトキシプロピルアセテートなどのアルキルグリコールエステル、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトンなどのケトン、ジメチルホルムアミドなどの酸アミド、N-メチルピロリドン等がある。溶媒(単数または複数)および/または液体媒体は、計画された使用分野を考慮するように選択されることが有利である。例えば、VOC(揮発性有機化合物)の存在が不要である適用において生成物が使用される場合には、配合物は、できる限り溶媒不含でなくてはならず、または適宜高沸騰液体媒体中でなくてはならない。
【0104】
最終組成物(本発明に従う)は、低溶媒含量を有することが好ましい(好ましくは、溶媒不含)。したがって、使用される溶媒の除去は、重要な測定である。
【0105】
溶媒は、例えば、蒸留によって、適当な場合には、減圧下で、および/または水を添加して共沸によって除去でき、このような除去は、完全または一部である。あるいは、活性物質を沈殿によって、脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサンなどの非溶媒の添加、濾過によるその後の分離および必要に応じて乾燥によって単離できる。これらの方法のうち1つによって得られた活性物質を次いで、特定の分野の適用に適した構成成分(A)と混合できる。必要に応じて、適した高沸騰溶媒の添加後、添加生成物が溶解される溶媒は、適当な場合には、減圧下で、および/または水を添加して共沸によって留去でき、この場合には、添加生成物を、それぞれの適用分野に適している担体媒体に移すことができる。
【0106】
構成成分(A)を、構成成分(B)の調製後に構成成分(B)に、好ましくは、低沸騰溶媒の除去の前に添加してもよい。構成成分(A)と反応する可能性がある第一級または第二級アミンのような成分が含まれない場合には、構成成分(A)を、構成成分(B)の調製のための反応媒体として使用できることが有利である。この場合には、ポリイソシアネート構成成分(a)に含有される溶媒を、構成成分(A)のポリイソシアネートとの混合後、添加反応が開始する前に除去してもよい。
【0107】
触媒
反応は、通常、アミンおよび/または例えば、スズ、亜鉛、ビスマス、ジルコニウムもしくはアルミニウムを含有する金属化合物に基づく通例の触媒の存在下で実施できる。例として、ジブチルスズジラウレートなどの有機スズ化合物、その他の有機金属化合物、例えば、ビスマスカルボキシレート、亜鉛カルボキシレート、トリエチレンジアミンなどの第三級アミン、酵素等がある。
【0108】
その性質、割合および/または分子量の点で式(I)の置換基を変更することによって、構成成分(B)の特性を種々の適用分野に適応させることが可能である。例えば、溶解度および適合性を、溶媒、担体媒体、結合剤、樹脂、固体および適当な場合には、本発明の組成物が使用されるコーティングおよび成形材料中に存在するさらなるポリマー化合物の極めて広い多様性と一致させることができる。
【0109】
高度に極性の系において使用するためには、Y基は、例えば、特定の使用領域に十分である溶解度のレベルを達成するために極性基の十分に高い画分、例えば、ポリエチレンオキシドを含むべきである。しかし、特定の適用において、これが水に対する感受性の不要な増大をもたらす場合には、親水基のこの画分はまた、高すぎないものであるべきである。1つの重要な実施形態では、XH官能基を有するポリアルキレンオキシドのY基は、化合物Y-XHに、同様に最終的に、本発明の組成物に本質的に水における不溶性を付与する基である。XH官能基を有するポリアルキレンオキシドのこのようなY基は、Y基中のアルキレンオキシドユニットの総量に基づいて、最大28重量%まで、好ましくは、最大20重量%まで、より好ましくは、最大10重量%まで、極めて好ましくは、最大5重量%までのエチレンオキシドユニットを含有することが有利である。
【0110】
長油アルキド塗料、PVCプラスチゾルまたはポリオレフィンなどの非極性系における使用の場合には、好ましくは、非極性基の適当な画分がなくてはならず、広い適合性が重要である系、例えば、顔料濃縮物における使用の場合には、例えば、極性および非極性基の釣り合いのとれた組合せが有利である。
【0111】
本発明の組成物が、例えば、結合剤がポリウレタンである、ポリウレタン樹脂中またはコーティング材料中で使用される場合には、分子がまた、式(I)の出発化合物中に存在する基のために、ウレタン基または当業者に公知であるようにポリウレタンと適合する同様の基も含む本発明の添加化合物を使用することが有利である。同じことが、変更すべきところは変更して、例えば、ポリアクリレート、ポリエステル、アルキド樹脂およびその他のポリマーに当てはまる。
【0112】
変更すべきところは変更して、これはまた、構成成分(c1)および(c2)の置換基にも当てはまり、これは、特に、分散される固体の構成成分(B)の親和性に影響を及ぼす。
表面活性置換基を有する本発明の組成物は、それらを使用して生成した基材の表面張力を修飾し得る。例えば、極めて非極性の基、例えば、12個より多い炭素原子を有する長鎖アルキル基、ポリジメチルシロキサン含有および/またはペルフルオロアルキル含有基が存在する場合、例えば、生成物は、液体系の表面張力を低減するのに、ならびに関連特性、例えば、湿潤特性、染色性、印刷適性、流動および発泡挙動に影響を及ぼすのに適している。
【0113】
構成成分(C)
構成成分(C)は、任意選択の成分であり、1000g/mol未満のモル質量を有する有機化合物からなる。
【0114】
構成成分の限定されない例として、組成物の貯蔵安定性を改善するための重合阻害剤がある。適した重合阻害剤として、フェノール型抗酸化物質、ヒンダードアミン光安定剤、ホスホール型抗酸化物質、(メタ)アクリレートモノマーにおいてよく使用されるヒドロキノンモノメチルエーテルが挙げられ、ヒドロキノン、t-ブチルカテコール、ピロガロールも使用してもよい。適した市販の阻害剤として、例えば、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、Sumitomo Chemical Co. Ltd.によって製造されるSumilizer(商標)GA-80、Sumilizer(商標)GMおよびSumilizer(商標)GS;Rahn AG製のGenorad(商標)16、Genorad(商標)18およびGenorad(商標)20;Ciba Specialty Chemicals製のIrgastab(商標)UV10およびIrgastab(商標)UV22、Tinuvin(商標)460およびCGS20;Kromachem Ltd製のFloorstab(商標)UVレンジ(UV-1、UV-2、UV-5およびUV-8)、Cytec Surface Specialties製のAdditol(商標)Sレンジ(S100、S110、S120およびS130)がある。
【0115】
好ましい重合阻害剤として、4-メトキシフェノールおよびRahn AG製のGenorad(商標)16がある。
【0116】
好ましい発明組成物は、0.000~1.500重量%部、より好ましくは、0.000~1.000%、最も好ましくは、0.001~0.500%の重合阻害剤を含有する。
【0117】
その他の成分(D)
本発明の組成物は、構成成分(A)、(B)または(C)の定義によって網羅されない0.0~9.0重量%のその他の成分を含有し得る。(D)の例として、残存する未反応の原材料、加工助剤、触媒、安定化剤、消泡剤または溶媒がある。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の組成物は、周囲温度、例えば、23℃で液体調製物である。
【0119】
好ましくは、本発明の組成物は、2~50の、より好ましくは、5~40mg KOH/gの、最も好ましくは、10~20mg KOH/gのアミン値を有する。
【0120】
より低いまたはより高いアミン値を有する場合には、固体粒子の安定化に関する組成物の効率が減少する。多くの場合、より高いアミン値は、より不十分な溶解度および適用マトリックスとの適合性につながり、黄色化または貯蔵安定性の低減のような不要な副作用に対する感受性を増大させる。
【0121】
普通、本発明の組成物は、第一級アミンも第二級アミンも含有しない。これによって、適用混合物中の添加物の架橋のような不要な反応が避けられる。
【0122】
好ましい実施形態では、組成物は、フリーラジカルイニシエータを含有しない。フリーラジカルイニシエータは、穏やかな条件下でラジカル種を生成し、ラジカル反応を促進できる物質である。通常の例として、アゾ化合物ならびに有機および無機過酸化物がある。
【0123】
本発明は、分散剤としての、特に、固体粒子の分散剤としての本発明の組成物の使用にも関する。
【0124】
さらに、本発明は、合成、半合成または天然高分子物質をベースとする、塗料、コーティング、印刷インクを含むインク、紙コーティング、皮革および織物の色、ペースト、顔料濃縮物、セラミック、化粧用調製物、鋳造組成物および/または成形組成物の調製または加工における本発明の組成物の使用に関する。
【0125】
本発明はまた、本発明の組成物を含有する適用調製物についてであり、適用調製物は、コーティング、インクまたはポリマー樹脂であり、調製物は、固体粒子を含有する。
【0126】
本発明の組成物は、特に、コーティングおよびプラスチック適用のための湿潤剤および分散剤として適していることが好ましい。さらに、本発明の組成物は、好ましくは、コーティングにおいて、特に、ラッカーにおける、塗料における、プラスチックにおける、顔料ペーストにおける、シーラントにおける、化粧品における、セラミックにおける、接着剤における、鋳造化合物における、フラットスクリーン技術の顔料含有化合物における、充填化合物における、印刷インクにおけるおよびインクにおける、好ましくは、ラッカーにおける添加物として使用できる。
【0127】
この適用では、組成物は、湿潤剤および分散剤として使用されることが好ましい。
【0128】
最後に、本発明の組成物を含有する塗料および/またはプラスチックを提供することが可能である。
【0129】
本発明の組成物は、例えば、アルミニウム不動態化剤、分散剤、分散安定剤または湿潤剤として使用され、例えば、着色製品および/または増量剤含有製品、例えば、顔料濃縮物またはペースト、コーティング組成物、シーラント、プラスチック、セラミック、化粧品、接着剤、鋳造化合物、スパックリング化合物、インクおよび/または印刷インクにおいて使用できる。好ましい顔料濃縮物として、適当な塗料系と混合し、それによって、着色塗料を製造できるものがある。
【0130】
したがって、上記の組成物を、例えば、塗料、コーティング、インクおよび印刷カラーの製造または加工において、例えば、インクジェット印刷、紙コーティング、皮革および織物インク、ペースト、顔料濃縮物、セラミック、接着剤およびシーラント、鋳造化合物、プラスチックおよび化粧品調製物のために、特に、これらが、固体、例えば、顔料および/または充填剤を含有する場合(同様に繊維性)に使用してもよい。上記の組成物はまた、合成、半合成または天然高分子物質、例えば、ポリ塩化ビニル、飽和もしくは不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンをベースとする成形化合物の製造または加工において使用してもよい。組成物はまた、例えば、鋳造化合物、製陶材料、PVCプラスチゾル、ゲルコート、ポリマーコンクリート、回路基材、工業用塗料、木材および家具用塗料、自動車用塗料およびエナメル、(防汚)船舶用塗料、防食塗料、缶およびコイルコーティング、または画家および建築用塗料を製造するために使用してもよい。
【0131】
本発明の組成物は、着色塗料のための塗料系において使用してよいだけでなく、広範な配合物および/または製品、例えば、樹脂、オイル、グリース、滑沢剤、ゴム、シーラント、印刷カラー、インク、接着剤、ワックスまたはコーティング組成物における使用も可能である。組成物はまた、パーソナルケア産業において、またはエレクトロニクス産業における電気的適用において、造船産業において、医学適用の関連内で、建築産業において、または自動車産業において調製される配合物において使用してもよい。例として、電子ペーパー、例えば、eブックにおけるディスプレイ、超小型電子チップおよび回路基材のカプセル封入、水中船体コーティング、例えば、防汚コーティング、ブレーキ構成成分用のシリコンチューブまたは滑沢剤添加物が挙げられる。
【0132】
本発明の組成物をまた、液晶ディスプレイ、液晶スクリーン、色解像デバイス、センサー、プラズマディスプレイスクリーン、SED(表面伝導型電子放出ディスプレイ)に基づくディスプレイ用の、およびMLCC(多層セラミック化合物)用のカラーフィルターの製造において使用してもよいことが有利であり得る。MLCC技術は、マイクロチップ、多層セラミックコンデンサーおよび回路基材の製造において使用される。
【0133】
言及する価値があるその他の適用分野として、NIP(ノンインパクト印刷)、インクジェット(紙、ホイル、セラミック、人工および天然繊維織物上に)、セラミックを分散すること(水性または無水)、製陶材料における分散が挙げられる。本発明の組成物はまた、上記の配合物および適用分野において、そのようなものとして、すなわち、対応する濃縮物中に予め組み込まれずに使用できる。
【0134】
通常、組成物、ならびに顔料および/または充填剤を含有する製品として、塗料またはコーティング組成物のための顔料濃縮物がある。しかし、最終的に、前記組成物の使用は、任意の着色製品および/または増量剤含有製品において可能である。
【0135】
顔料濃縮物は、特に、本発明の組成物に加えて、例えば、水および/または有機溶媒および少なくとも1つ種の顔料を含有する組成物である。これらの顔料濃縮物は、特に、充填剤および結合剤として有機ポリマーをさらに含有し得る。通常、顔料濃縮物は、結合剤として有機ポリマーを含有しない、または小部分のみの有機ポリマーを含有する。このような公知の結合剤は、対応する最終塗料系中に存在することが有利であり、以下に記載される。
【0136】
適した有機溶媒として、特に、塗料および色素工業の分野において通常使用され、当業者に公知であるもの、例えば、脂肪族溶媒、脂環式溶媒、芳香族溶媒、例えば、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ、エーテル、エステルおよび/またはケトン、例えば、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンおよび/または溶媒、例えば、メトキシプロピルアセテート、ジアセトンアルコールがある。
【0137】
使用される顔料は、当業者に公知の顔料であり得る。適した顔料の例として、モノ-、ジ-、トリ-およびポリアゾ顔料、オキサジン、ジオキサジン、チアジン顔料、ジケトピロロピロール、フタロシアニン、ウルトラマリンおよびその他の金属錯体顔料、インジゴイド顔料、ジフェニルメタン顔料、トリアリールメタン顔料、キサンテン顔料、アクリジン顔料、キナクリドン顔料、メチン顔料、アントラキノン、ピラントロン、ペリレン顔料およびその他の多環式カルボニル顔料、カーボンブラック顔料および/またはカーボンブラックをベースとする顔料、例えば、グラファイトが挙げられる。有機顔料のさらなる例は、モノグラフ:W. Herbst、K. Hunger 「Industrial Organic Pigments」、1997年(Verlag:Wiley-VCH、ISBN:3-527-28836-8)に見ることができる。使用される顔料は、無機顔料、例えば、亜鉛、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、硫酸バリウム、リソフォン、酸化鉄、ウルトラマリン、リン酸マンガン、アルミン酸コバルト、スズ酸コバルト、亜鉛酸コバルト、酸化アンチモン、硫化アンチモン、酸化クロム、クロム酸亜鉛、ニッケル、ビスマス、バナジウム、モリブデン、カドミウム、チタン、亜鉛、マンガン、コバルト、鉄、クロム、アンチモン、マグネシウム、アルミニウムをベースとする混合金属酸化物(例えば、ニッケルチタンイエロー、ビスマスバナデートモリブデートイエローまたはクロムチタンイエロー)であり得る。さらなる例は、モノグラフ:G. Buxbaum 「Industrial Inorganic Pigments」、1998年(Verlag:Wiley-VCH、ISBN:3-527-28878-3)に見ることができる。無機顔料は、純粋鉄、酸化鉄および酸化クロムまたは混合酸化物をベースとする磁性顔料、アルミニウム、亜鉛、銅または黄銅の金属効果顔料ならびに真珠光沢顔料または蛍光およびリン光顔料であり得る。その他の例として、少なくとも1次元で100nm未満の粒径を有するナノスケール有機または無機固体、例えば、特定の種類のカーボンブラックまたはその他の同素形形態の炭素、例えば、単層CNT、多層CNTおよびグラフェンが挙げられる。粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡、分析超遠心または光散乱法によって決定される。金属酸化物および/または水酸化物または半金属酸化物および/または水酸化物からなる粒子ならびに混合金属酸化物および/または水酸化物および/または半金属酸化物および/または水酸化物からなる粒子も言及できる。例えば、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、チタンなどの酸化物および/または酸化物水酸化物を、このような極めて微細に分割された固体の製造のために使用してもよい。これらの酸化物粒子および/または水酸化物粒子および/または酸化物水酸化物粒子を製造するプロセスは、例えば、イオン交換プロセス、プラズマプロセス、ゾル-ゲル法、沈殿、粉砕(comminution)(例えば、粉砕(grinding)による)または火炎加水分解などの種々の方法を含み得る。上記で言及されたすべての顔料はまた、表面修飾形態で存在してもよく、表面に塩基性、酸性または中性基を有し得る。
【0138】
それぞれの製品、特に、コーティング組成物が、充填剤を含有する場合には、充填剤は、例えば、当業者に公知の充填剤である。粉状または繊維状充填剤の例として、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、珪藻土、ケイ質土、石英、シリカゲル、タルク、カオリン、マイカ、パーライト、長石、粘板岩粉、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、方解石、白雲石、ガラスまたは炭素の粉状または繊維状粒子から構成されるものがある。使用される繊維は、天然に有機および/または無機であってよく、また、強化材料として使用してもよい。顔料または充填剤のその他の例は、例えば、米国特許第4,795,796A号に見ることができる。本発明の組成物が、この目的のために添加物の通常量ですでに使用されていないという条件で、水酸化アルミニウムまたはマグネシウムなどの難燃剤およびシリカなどの艶消し剤も、本発明の湿潤剤および分散剤によって特に良好に分散でき、安定化できる。
【0139】
本発明の組成物はまた、顔料濃縮物などの固体濃縮物の製造に特に適している。この目的のために、本発明の組成物は、有機溶媒、可塑剤および/または水などの担体媒体中で提示され、分散されるべき固体は、撹拌しながら添加される。さらに、これらの濃縮物は、結合剤および/またはその他の賦形剤を含有し得る。本発明の組成物を使用して、特に、安定な結合剤不含顔料濃縮物を製造することが可能である。本発明の組成物を使用して、顔料プレスケーキから流動性を有する固体濃縮物を製造することも可能である。この目的のために、本発明の組成物を、プレスケーキと混合し、これは、有機溶媒、可塑剤および/または水をさらに含有することができ、このように得られた混合物が分散される。次いで、種々の経路によって製造された固体濃縮物を、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂またはエポキシ樹脂などの種々の基材に組み込むことができる。顔料はまた、溶媒を用いずに本発明の組成物に直接分散することができ、熱可塑性および熱硬化性可塑性配合物を着色するのに特に適している。
【0140】
適用分野に応じて、本発明の組成物を、さらなる適用にとって最終的に興味深い製品が、それぞれの製品の総量に基づいて有利には0.01~10重量%の割合の本発明の湿潤剤および分散剤を含有するような量で使用する。しかし、さらにより多くの量も可能である。分散されるべき固体、例えば、顔料に基づいて、本発明の組成物を、好ましくは、0.5~100重量%の量で使用する。
【0141】
安定化することが困難である固体を使用する場合には、本発明の湿潤剤および分散剤の量は、かなり高い場合もある。必要とされる分散剤の濃度は、一般に、分散されるべき固体の比表面積に応じて変わる。したがって、例えば、どの顔料が含まれるかを知ることが重要であり得る。一般に、無機顔料の安定化は、一般に、有機顔料を安定化するのに必要であるものよりも少ない分散剤を必要とするが、これは、後者が、より高い比表面を有する傾向があり、従って、より多量の分散剤を必要とするからであるということは述べることができる。無機顔料のための湿潤剤および分散剤の通常の用量は、各々、分散されるべき固体、特に、顔料に基づいて、1~30重量%であり、有機顔料のためには、10~50重量%である。極めて微細に分割された顔料、例えば、いくつかのカーボンブラックの場合には、30~90%またはそれより多い添加量が必要である。十分な顔料安定化の基準として、例えば、コーティング組成物の光沢度および透明度または流動度を挙げることができる。固体の分散は、単一固体を粉砕する時に、または複数の顔料の混合物を同時に粉砕する時に起こることがあり、最良結果は、普通、単一個体を粉砕することで達成される。種々の個体の混合物を使用することは、固体の表面上の反対の電荷のために液相中に凝集をますますもたらすことがある。これらの場合には、すべての粒子の均一な、普通は正の電荷を、本発明の組成物を使用する場合に達成でき、したがって、電荷の相違による不安定性を防ぐことができる。分散剤は、粉砕材料に添加される場合に、特に、まず、分散されるべき固体が、添加物および任意選択で、溶媒(「プレミックス」)とのみ混合され、それ以降、添加物が、結合剤ポリマーと競合することなく固体表面に優先的に吸着し得る場合に、その最適効果を達成する。しかし、実際には、この手順は、例外的な場合においてのみ必要である。必要に応じて、例えば、本発明の組成物をまた後に使用して(いわゆる「後添加物」として)、すでに最終化処理したバッチにおいて浮遊または凝結問題を解決できる。しかし、この場合には、普通、より高い添加物用量が必要である。本発明の組成物がその効果を最終的に示さなければならない製品、特に、コーティング組成物および/または塗料はまた、結合剤として有機ポリマーを含有し得る。当業者は、このような結合剤に精通している。前記の少なくとも1種の結合剤を、例えば、塗料系によって導入してもよく、これが、例えば、本発明の組成物を含有する顔料濃縮物と混合され、その結果、問題の製品は、顔料含有塗料である。しかし、有機ポリマーマトリックスに基づくその他の顔料含有製品および/または増量剤含有製品、例えば、当業者に公知のプラスチック、シーラントおよびその他の製品もあり得る。製品は、結合剤としてポリマー樹脂および/または有機ポリマーを含有する系と考えることができ、従って、製品は、適した硬化条件下で固体有機ポリマーマトリックス(例えば、コーティング組成物)を形成可能である。製品と呼ばれるものとして、結合剤を含有する構成成分と簡単に混合することによって、このような有機ポリマーマトリックス(例えば、顔料濃縮物)を形成できる系もある。例えば、それだけには限らないが、当業者に公知の、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ポリウレタン樹脂、硝酸セルロース、セルロースアセトブチレート、メラミン、塩素付加ゴムおよび/またはエポキシ樹脂も使用してよい。水ベースのコーティングの例として、例えば、自動車車体用の陽極または陰極電着塗料が挙げられる。その他の例として、プラスター、シリケート塗料、エマルジョン塗料、水希釈可能アルキドをベースとする水ベースの塗料、アルキドエマルジョン、ハイブリッド系、二成分系、ポリウレタンおよびアクリレート分散物が挙げられる。一成分系および二成分系の両方が可能であり、後者の場合には、一般に、ポリイソシアネート、メラミン樹脂および/またはポリアミド樹脂も、当業者に公知の通常の架橋剤として第2の構成成分中に存在する。結合剤としてアクリレート樹脂を含有する製品系、特に、コーティング組成物が好ましい。
【0142】
別の異形として、結合剤構成成分中にエポキシ樹脂を、架橋成分中にアミン官能性樹脂を含有する、2構成成分(2C)コーティング組成物および/または2構成成分(2C)塗料がある。製品として好ましいコーティング組成物は、水ベースのまたは溶媒ベースのものであり得る。水ベースのものは、コーティング組成物が、溶媒として主に水を含有すると理解されなければならない。水ベースのコーティング組成物は、特に、コーティング組成物中に存在する溶媒の総量に基づいて10重量%以下の有機溶媒を含有する。溶媒の総量に基づいて5重量%以下、好ましくは、2重量%以下の水を含有するコーティング組成物は、溶媒ベースであると考えられる。
【0143】
例えば、光重合開始剤、消泡剤、湿潤剤、フィルム形成添加物、例えば、セルロース誘導体(例えば、硝酸セルロース、酢酸セルロース、セルロースアセトブチレート)、反応性希釈剤、流動制御剤、分散剤および/またはレオロジー制御添加物も、例えば、さらなる製品構成成分として使用できる。
【0144】
本発明の製品として好ましい顔料濃縮物およびコーティング組成物は、当業者に公知の方法によって製造される。例えば、従来の混合装置、例えば、撹拌容器または溶解機においてコーティング組成物の構成成分を撹拌および混合しながらの段階的添加などの公知の方法が、使用される。
【0145】
コーティングおよび/または塗料層は、好ましい顔料濃縮物およびコーティング組成物を使用することによって製造できる。コーティングは、コーティングを基材に塗布し、その後硬化する当業者に公知の適当な技術を使用することによって実施する。
【0146】
塗布は、例えば、公知の噴霧、噴出、ブラッシング、ローリング、鋳造、含浸、浸漬(soaking)および/または浸漬(dipping)方法により実施される。コーティング組成物の基材上への塗布後、従来法によって硬化または乾燥を実施する。例えば、塗布されたコーティング組成物は、物理的乾燥、熱によって、および/またはアクチン照射(照射硬化)、好ましくは、UV照射および例えば、電子ビームを適用することによって硬化可能であり得る。熱硬化は、例えば、コーティング組成物および/または基材の種類に応じて、約10℃~約400℃の範囲で起こり得る。各個々の場合において、硬化期間は、例えば、硬化方法の種類(熱的またはアクチン的)、使用されるコーティング組成物および/または基材の種類に応じて変わる。この目的上、基材は、動いていても、静止していてもよい。
【0147】
粉状および繊維状固体について分散剤および/またはコーティング剤として上記される適用に加えて、本発明の組成物はまた、合成樹脂において粘度低減剤および相溶化剤として使用してもよい。このような合成樹脂の例として、高い増量剤および繊維含量を有する不飽和ポリエステル樹脂からなる、いわゆる「シート成形化合物」(SMC)および「バルク成形化合物」(BMC)が挙げられる。その製造および加工は、米国特許第4,777,195A号に例示されている。SMCおよびBMC樹脂混合物における問題は、加工の間の縮みを低減するための配合物へのポリスチレン(PS)の添加であることが多い。PSは、使用される不飽和ポリエステル樹脂と適合せず、したがって、構成成分の分離をもたらす。PSが充填されたSMCまたはBMC混合物を使用する場合には、本発明の組成物は、その良好な分散品質のために、PSと不飽和ポリエステル樹脂の間の相溶化効果につながることがあり、このような混合物の貯蔵安定性およびプロセス信頼性を増大する。
【0148】
相間移動効果は、例えば、不適合性ポリオール混合物、ポリオール-イソシアネート混合物またはポリオール-噴射剤混合物(ポリウレタンの製造において使用されるものなど)中の本発明の組成物によって達成できる。
【0149】
本発明を、実施例を使用してより詳細に以下に説明する。
【0150】
特に記載しない限り、部は重量部であり、パーセンテージは重量パーセンテージである。
【0151】
測定方法
分子均一性を有さない物質の場合には、述べられた分子量(モル質量)は-以下、すでに前記の説明におけるように-数平均の平均値を表す。滴定可能なヒドロキシルまたはアミノ基が存在する場合には、それぞれOH数またはアミン数の決定による末端基決定によってモル質量または数平均分子量Mnを決定する。末端基決定を適用できない化合物の場合には、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーによってモル質量または数平均分子量(Mn)を決定する。
【0152】
適用されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
ゲル浸透クロマトグラフィーは、高圧液体クロマトグラフィーポンプ(Bischoff HPLC 2200)および屈折率検出器(Waters 419)を用いて40℃で実施した。使用した溶出剤は、テトラヒドロフランであり、1ml/分の溶出速度を用いた。較正はポリスチレン標準を使用して実施した。
【0153】
非揮発性含量(固体含量)の測定
サンプル(2.0±0.2gの試験物質)を正確に秤量して、予め乾燥させたアルミニウムディッシュに入れ、ワニス乾燥キャビネット中で150℃で20分間乾燥させ、デシケーター中で冷却し、次いで、再秤量した。残渣は、サンプル中の固体含量に対応する(ISO 3251)。
【0154】
ヒドロキシル数の測定
ヒドロキシル数の決定は、DIN ISO 4629に従って実施した。アルコール性ヒドロキシル基を、過剰の無水酢酸とのアセチル化によって反応させた。過剰の無水酢酸を、水を添加することによって酢酸に加水分解し、エタノール性KOH溶液を使用して逆滴定した。ヒドロキシル数は、mgでのKOH量であると理解され、これは1gの物質をアセチル化する場合に結合される酢酸量と等しい。
【0155】
アミン数の測定
アミン数は、1gの物質のアミン含量に相当するmgでの量KOHである。アミン数は、DIN 16945に従って、酢酸中0.1Nの過塩素酸を用いる電位差測定滴定によって決定する。
R-NH2 + HClO4 → R-NH3
+ + ClO4
-
【0156】
NCO含量
使用されるポリイソシアネートの遊離NCO含量およびまたNCO添加反応の経過は、EN ISO 9369に従って、ジブチルアミンとの反応およびその後のアミン過剰の滴定によって決定する。これらの方法はまた、Saul Pataiの「The Chemistry of Cyanates and their Thio Derivatives」、第1部、チャプター5、1977年に記載されている。
【0157】
ヨウ素値
不飽和量は、Wijsの方法を使用するDIN 53241-1:1995-05によるヨウ素価によって決定する。サンプルを四塩化炭素に溶解し、過剰の一塩化ヨウ素溶液(Wijs試薬)と25℃で30分間反応させる。未反応のハロゲンは、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液を用いて逆滴定することによって決定する。ヨウ素数は、ハロゲンのグラムとして定義され、100gの物質と反応するヨウ素として表される。
【0158】
窒素含量
窒素含量は、ISO 16634-1に従ってDumas法によって決定する。
【0159】
略語:
SR9020=Sartomerから購入した3-モルプロポキシル化グリセリルトリアクリレート
Genorad16=Rahn AGから購入したアクリル酸エステル中の重合阻害剤
MEHQ=4-メトキシフェノール
MPEG350=ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、平均分子量Mn=350
MPEG500=ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、平均分子量Mn=500
PEG400=ポリエチレングリコール(ジヒドロキシ官能性)、平均分子量Mn=400
【0160】
モノ付加物1の調製
スターラー、サーモメーター、滴下漏斗、還流冷却器および窒素注入チューブを備えた四つ口フラスコ中に、44.7gのDesmodur T100(TDI)(およそ100%の2,4-トルエンジイソシアネート、NCO含量=48.2)および0.2gの塩化ベンゾイルを導入し、徹底的に混合し、無水でありアルカリを含まない22.5gのMPEG350および32.8gのMPEG500を、温度が55℃を超えないようにゆっくりと計量して入れる。添加後、混合物を55℃で3時間撹拌する。薄膜式エバポレーターによって150℃で反応混合物から過剰のTDIを除去する。残存するTDI含量は、<1%である。
【0161】
SR9020モノ不飽和構成成分(A)の調製
不活性雰囲気下で、200gのSR9020および53.83gのモノ付加物1をホモジナイズし、0.005gのジブチルスズジラウレートおよび安定剤の混合物(Genorad 16およびMEHQ、反応混合物の総重量に対して0.15%および0.07%)を添加し、混合物を80℃に加熱する。0%のNCO含量および0mg KOH/gのOH数が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約10時間撹拌する。
【0162】
一般式Y-(XH)nを有する化合物の調製
Y-XH
【0163】
中間体A1
n-デカノールおよびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:8.3)のポリエステル
不活性雰囲気下で、144gのn-デカノールおよび857gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.02部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を170℃に加熱する。99%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約6時間撹拌する。約1100g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で固体であり、51mg KOH/gのOH数を有する。
【0164】
中間体A2
イソデカノールおよびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:8.3)のポリエステル
不活性雰囲気下で、144gのイソデカノールおよび857gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.04部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を180℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約4時間撹拌する。約1100g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で固体であり、51mg KOH/gのOH数を有する。
【0165】
中間体A3
MPEG500およびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:3.5)のポリエステル
不活性雰囲気下で、58gのMPEG500および42gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.3部のドデシルベンゼンスルホン酸を添加し、混合物を80℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約2時間撹拌する。約900g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で液体であり、62mg KOH/gのOH数を有する。
【0166】
中間体A4
モノフェニルグリコールおよびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:5.8)のポリエステル
不活性雰囲気下で、178gのモノフェニルグリコールおよび822gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.04部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を160℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約7時間撹拌する。約800g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で固体であり、70mg KOH/gのOH数を有する。
【0167】
中間体A5
ブトキシポリプロピレングリコール(約700の平均モル質量を有する)、イプシロン-カプロラクトンおよびデルタ-バレロラクトン(モル比1:10.5:10.5)のポリエステル
不活性雰囲気下で、250gのブトキシポリプロピレングリコール、428gのイプシロン-カプロラクトンおよび375gノデルタ-バレロラクトンをホモジナイズし、0.04部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を160℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約11時間撹拌する。約2950g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、19mg KOH/gのOH数を有する。
【0168】
中間体A6
イソデカノールおよびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:5.2)のポリエステル
不活性雰囲気下で、210gのイソデカノールおよび790gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.04部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を180℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約4時間撹拌する。約750g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で固体であり、75mg KOH/gのOH数を有する。
Y-(XH)2
【0169】
中間体A7
PEG400およびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:6.1)のポリエステル
不活性雰囲気下で、9.0gのPEG400および15.6gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.003部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を170℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約7時間撹拌する。約1100g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で固体であり、102mg KOH/gのOH数を有する。
【0170】
中間体A8
1,4-ブタンジオールおよびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:8.0)のポリエステル
不活性雰囲気下で、9.0gの1,4-ブタンジオールおよび91gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.003部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を160℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約7時間撹拌する。約1000g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で固体であり、112mg KOH/gのOH数を有する。
Y-(XH)3
【0171】
中間体A9
トリメチロールプロパンおよびイプシロン-カプロラクトン(モル比1:11.1)のポリエステル
不活性雰囲気下で、9.6gのトリメチロールプロパンおよび90.5gのイプシロン-カプロラクトンをホモジナイズし、0.003部のジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を170℃に加熱する。98%の固体含量が到達されるまで、反応混合物をこの温度で約7時間撹拌する。約1400g/molの数平均モル質量Mnを有する生成物は、室温で固体であり、120mg KOH/gのOH数を有する。
【0172】
最終生成物の合成
一般的な製造手順1
*
(非発明的実施例)
xxgのポリイソシアネートPを、xxgのY-XHおよびxxgの溶媒とともにホモジナイズする。不活性ガス下で混合物を70℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、80℃で撹拌を継続する。
【0173】
一般的な製造手順2
*
(非発明的実施例)
xxgのポリイソシアネートPを、xxgのY-XHおよびxxgの溶媒とともにホモジナイズする。不活性ガス下で混合物を70℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのY-(XH)2~3を添加する。使用されるNCO基のさらにxx%が反応を起こすまで、70℃で撹拌を継続する。次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、80℃で撹拌を継続する。
【0174】
一般的な製造手順3A
xxgのポリイソシアネートPを、xxgのY-XHおよびxxgの溶媒とともにホモジナイズする。不活性ガス下で混合物を60℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、60℃で撹拌を継続する。反応混合物を室温に冷却し、反応混合物にxxgの不飽和構成成分(A)を安定剤の混合物(Genorad16およびMEHQ、最終組成物の総重量に対して0.15%および0.07%)と一緒に添加する。混合物をホモジナイズし、60℃に加熱し、次いで、溶媒が完全に除去されるまで、圧力を28mbarまで段階的に低減する。
【0175】
一般的な製造手順3B
xxgのポリイソシアネートPに、xxgの不飽和構成成分(A)を安定剤の混合物(Genorad16およびMEHQ、最終組成物の総重量に対して0.15%および0.07%)と一緒に添加する。混合物をホモジナイズし、60℃に加熱し、次いで、圧力を28mbarまで段階的に低減し、溶媒を留去する。溶媒の完全除去後、溶液を室温に冷却し、xxgのY-XHとともにホモジナイズする。次いで、不活性ガス下で混合物を70℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、80℃で撹拌を継続する。
【0176】
一般的な製造手順3C
xxgのポリイソシアネートPを、xxgの不飽和構成成分(A)、安定剤の混合物(Genorad16およびMEHQ、最終組成物の総重量に対して0.15%および0.07%)およびxxgのY-XHと一緒にホモジナイズする。次いで、不活性のガス下で混合物を70℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、80℃で撹拌を継続する。
【0177】
一般的な製造手順4A
xxgのポリイソシアネートPを、xxgのY-XHおよびxxgの溶媒とともにホモジナイズする。不活性ガス下で混合物を60℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのY-(XH)2~3を添加する。使用されるNCO基のさらにxx%が反応を起こすまで、60℃で撹拌を継続する。
【0178】
次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、60℃で撹拌を継続する。反応混合物を室温に冷却し、反応混合物にxxgの不飽和構成成分(A)を安定剤の混合物(Genorad16およびMEHQ、最終組成物の総重量に対して0.15%および0.07%)と一緒に添加する。混合物をホモジナイズし、60℃に加熱し、次いで、溶媒が完全に除去されるまで、圧力を28mbarまで段階的に低減する。
【0179】
一般的な製造手順4B
xxgのポリイソシアネートPに、xxgの不飽和構成成分(A)を安定剤の混合物(Genorad16およびMEHQ、最終組成物の総重量に対して0.15%および0.07%)と一緒に添加する。混合物をホモジナイズし、60℃に加熱し、次いで、圧力を28mbarまで段階的に低減し、溶媒を留去する。溶媒の完全除去後、溶液を室温に冷却し、xxgのY-XHとともにホモジナイズする。次いで、不活性ガス下で混合物を70℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのY-(XH)2~3を添加し、使用されるNCO基のさらにxx%が反応を起こすまで、撹拌を継続する。
【0180】
次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、80℃で撹拌を継続する。
【0181】
一般的な製造手順4C
xxgのポリイソシアネートPを、xxgの不飽和構成成分(A)、安定剤の混合物(Genorad16およびMEHQ、最終組成物の総重量に対して0.15%および0.07%)およびxxgのY-XHと一緒にホモジナイズする。次いで、不活性ガス下で混合物を70℃に加熱し、xxgのジブチルスズジラウレートを添加する。使用されるNCO基のxx%が反応を起こすまで、混合物をこの温度で撹拌する。次いで、xxgのY-(XH)2~3を添加し、使用されるNCO基のさらにxx%が反応を起こすまで、撹拌を継続する。次いで、xxgのZ-QおよびxxgのM-Qを添加し、NCO基のすべてが反応によって消費されてしまうまで、80℃で撹拌を継続する。
【0182】
【0183】
キー:
・P=ポリイソシアネート
・*=発明実施例ではない
・GMP=一般的な製造手順
・P1=酢酸ブチル中の51%強度溶液として8.0%の遊離NCO含量を有する芳香族TDIポリイソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)IL、Bayer AG
・P2=21.8%の遊離NCO含量を有する脂肪族ポリイソシアネート(HDI trimer)、例えば、Desmodur(登録商標)N3300、Bayer AG
・P3=酢酸エチル中の51%強度溶液として8.0%の遊離NCO含量を有する芳香族TDIポリイソシアヌレート、例えば、Desmodur(登録商標)IL EA、Bayer AG
・BA=酢酸ブチル
・EA=酢酸エチル
・PMA=1-メトキシ-2-プロピルアセテート
・DBTL=ジブチルスズジラウレート
・PEG600PR=Clariant AGから購入したPolyglykol PR600(ジヒドロキシ官能性)、平均分子量Mn=600
・PEG1000=ポリエチレングリコール(ジヒドロキシ官能性)、平均分子量Mn=1000
・API=3-アミノプロピルイミダゾール
・DMAPA=N,N-ジメチル-3-アミノプロピルアミン
・DEEA=N,N-ジエチルアミノエタノール
・DMAP=N,N-ジメチルアミノプロパノール
・DMAE=N,N-ジメチルアミノエタノール
・TEA=トリエタノールアミン
・HDDA=1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
・TPGDA=トリプロピレングリコールジアクリレート
・SR9020=3-モルプロポキシル化グリセリルトリアクリレート
・TMPTA=トリメチロールプロパントリアクリレート
・Ebecryl160=Arkemaから購入した、プロピリジントリメタノール、エトキシル化、アクリル酸とのエステル(<6.5EO)
・PETA=ペンタエリスリトールトリアクリレート
・Sartomer SR DFM=トリメチルプロパンジアリルエーテルモノメタクリレート
・DPGDA=ジプロピレングリコールジアクリレート
・SR9020 Mono=モノ付加物1修飾3-モルプロポキシル化グリセリルトリアクリレート
・BP1100=ブタノールから出発して調製されたモノヒドロキシ官能性POポリエーテル、平均分子量Mn=1100
・BDDMA=1,4-ブタンジオールジメタクリレート
・TMPTMA=トリメチロールプロパントリメタクリレート
・TEGDVE=トリエチレングリコールジビニルエーテル
・DEGDVE=ジエチレングリコールジビニルエーテル
・DAP=ジアリルフタレート
【0184】
適用試験
使用された原材料:
Ebecryl 81 Allnex、UV/EB硬化性樹脂、アミン修飾ポリエステルアクリレート。
Ebecryl 450 Allnex、UV/EB硬化性樹脂、脂肪酸修飾ポリエステル ヘキサアクリレート。
BYK-085 BYK Chemie GmbH、溶媒由来および溶媒不含コーティングおよび接着剤のための良好な消泡特性を有する、溶媒不含、シリコン含有レベリング添加物。
BYK-377 BYK Chemie GmbH、表面張力の強力な低減を有する、溶媒不含、照射硬化性および溶媒由来コーティング、接着剤ならびに印刷インクのためのシリコン表面添加物。
Irgacure 907 BASF、化学的に不飽和なプレポリマーの光重合を開始するために使用される光重合開始剤
顔料: P.R.57:1-Irgalite Rubine D4230(L4 BH)
P.B.15:4-Fastogen Blue 249-5452
【0185】
顔料分散物(ミルベース)の調製:
以下の配合に従って、顔料に対して15%の構成成分(B)固体を有するミルベースを調製する。
配合ミルベース:
【0186】
【0187】
上記の表に由来するすべての構成成分を、表中と同一の順序で、温度管理された粉砕容器に添加する。各成分の添加後、混合物をスパチュラを用いてホモジナイズする。分散は、テフロンディスク、4.5cmφを使用する垂直ビーズミル(Dispermat CV、Getzmann GmbH)を用い、以下のパラメータを用いて行う:
【0188】
粉砕条件:
粉砕時間: 30分
速度: 10000rpm
粉砕媒体: ガラスビーズ(1.0~1.3mmφ)、分散後フィルターによって除去される(ガラスビーズ:顔料濃縮物、重量で1.5:1)、
温度: 40℃
【0189】
レットダウン溶液:
Ebecryl 81 89.8g
BYK-377 0.2g
Irgacure 907 10.0g
【0190】
すべての構成成分を秤量してガラス容器中に入れ、スパチュラを用いてホモジナイズする。その後、容器をアルミホイルで覆って、混合物を光から保護する。すべての構成成分が溶解するまで、容器を50℃で3時間オーブンに入れ、室温に冷却後、レットダウン溶液を使用できる準備が整う。
【0191】
レットダウン:6gミルベース:4gレットダウン溶液
まず、レットダウン溶液を、Speedmixerカップに入れ、次いで、頂部にミルベースを添加する。次いで、サンプルを、Speedmixer(DAC 150.1 FVZ、Hauschild Engineering)を用いて2000rpmで30秒間混合する。その後、6μmのワイヤードバーを用いてモレスト(morest)チャートに描画し、PETフィルムを行って、色の濃さ/透明度を調べる。AKTIPRINT Dryer(Omnilab)を用いてUV硬化(80W/cm/3パス)を行う。硬化後、色の濃さ/透明度を視覚的に判断し、MICRO TRI GLOSS(BYK Gardner)を用いて光沢度(20°/60°)を測定する。
【0192】
結果:
実施例20*および実施例21*は、発明実施例22~28に対する比較であって、発明実施例ではなく、
実施例44*は、発明実施例45~48に対する比較であって、発明実施例ではなく、
実施例1*および実施例2*は、発明実施例3~9に対する比較であって、発明実施例ではなく、実施例38*は、発明実施例39~41に対する比較であって、発明実施例ではない。
【0193】
【0194】
*発明実施例ではない 1=良好、5=悪い
【0195】
活版印刷のようなフレキソ印刷は、凸版印刷プロセスの1種であり、新聞、書籍および包装を印刷するために、特に、高品質食品包装用に使用される。
【0196】
色の濃さ/透明度は、フレキソ印刷インクにおいて適用するために非常に重要なものである。一般に、いくつかの層で異なる顔料インクが塗布され、低透明度のインクは、前に塗布された層の色を隠し、印刷イメージの色品質に対して負の影響を有するであろう。
【0197】
塗布結果は、構成成分(B)は、構成成分(A)と組み合わせて相乗作用を示すことを示す。湿潤&分散添加物として溶媒中の構成成分(B)を用いて調製されたサンプルと比較して、色の濃さ/透明度ならびに光沢度が改善され得る。特に、2~3の不飽和基を有する構成成分(A)を用いて調製したサンプルは、試験サンプルの最良の結果を示した。
【0198】
光沢度の測定は、顔料分散物の品質を評価するための確立された方法であり、高い光沢度ほど、顔料の良好な分散および安定化を示す。