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特許7064580より高度な紫外線防御を有する無機日焼け防止剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】より高度な紫外線防御を有する無機日焼け防止剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/85 20060101AFI20220427BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20220427BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20220427BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
A61K8/85
A61K8/27
A61K8/29
A61Q17/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020514249
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 US2018049027
(87)【国際公開番号】W WO2019050785
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-04-15
(31)【優先権主張番号】62/554,060
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520076211
【氏名又は名称】ビゾール,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック リッグ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード リッグ
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-521442(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/85
A61K 8/27
A61K 8/29
A61Q 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択される微粒子化金属酸化物無機粒子を含み、無機粒子がポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で被膜され、被膜粒子が、経過時間1分、ドデカン中で10%負荷の測定において、2から10mvの範囲のゼータ電圧を有し、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10である、紫外線日焼け防止組成物の製造方法であって、
前記組成物が、(1)高速製粉化、および(2)超臨界炭酸ガス処理からなる群から選択される、油性分散剤を含まない処理において生成される、方法
【請求項2】
前記ゼータ電圧が2から5mVの範囲にある請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記被膜粒子が、トリカプリリン中で重量比1:1で分散される場合にスピンドル4で20rpm、23-28℃で測定されるブルックフィールド粘度が20から200cpsの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸が、ポリヒドロキシステアリン酸、ポリリシノール酸およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸が、ポリヒドロキシステアリン酸である、請求項1に記載の方法
【請求項6】
前記組成物が油性分散剤を含まない、請求項1に記載の方法
【請求項7】
無機粒子に対する前記ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の相対重量比が1:50から1:20である、請求項1に記載の方法
【請求項8】
前記無機粒子が、一次粒子サイズが5から500nmの範囲にある、請求項1に記載の方法
【請求項9】
(1)酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子を含み、無機粒子がポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で被膜され、被膜粒子が経過時間1分、ドデカン中で10%負荷の測定において、2から10mvの範囲のゼータ電圧を有し、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10である、紫外線日焼け防止組成物と、
(2)紫外線日焼け防止組成物を支持する皮膚学的に許容な担体とを含み、前記担体中に存在する前記組成物が相対重量比1100から1:5である、化粧品の製造方法であって、
前記組成物が、(1)高速製粉化、および(2)超臨界炭酸ガス処理からなる群から選択される、油性分散剤を含まない処理において生成される、方法
【請求項10】
前記担体が、水、皮膚軟化剤、脂肪酸、脂肪アルコール、保湿剤、増粘剤およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項に記載の方法
【請求項11】
前記担体に対する前記被膜紫外線日焼け防止組成物の相対重量比が1:100から1:10である、請求項に記載の方法
【請求項12】
前記担体が、化粧品の1から99.9%重量の量である、請求項に記載の方法
【請求項13】
前記化粧品が、さらに、p-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、4,4’-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、サリチル酸オクチル、テトラフタリリデンジカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-3およびそれらの混合物からなる群から選択される有機日焼け止め剤を含む、請求項に記載の方法
【請求項14】
前記ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸が、ポリヒドロキシステアリン酸、ポリリシノール酸およびそれらの混合物から成る群から選択される、請求項に記載の方法
【請求項15】
前記ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸が、ポリヒドロキシステアリン酸である、請求項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月5日に出願された米国特許出願(番号62/554,060)に基づく優先権を主張するものであり、その全内容が参照によって本出願に完全に取り込まれている。
【0002】
選択図
【背景技術】
【0003】
技術分野
本発明は皮膚ならびにパーソナルケア―組成物のための日焼け防止剤として有用な無機金属酸化物に関する。
従来技術の説明
【0004】
太陽光線は人の皮膚を著しく損傷し、毛髪に非常に有害となる場合がある。太陽光線の紫外線部分は人の真皮の光加齢を加速させることが知られている。急性暴露はさらに痛みを伴う紅斑を引き起こす場合がある。このような理由によって、化粧品化学者は処方に有機日焼け防止剤をしばしば組み合わせる。UVAとUVB放射のスペクトルは通常2種以上の有機日焼け防止剤の混合物によって解決される。
【0005】
残念ながら、有機型の日焼け防止剤はある問題を抱えている。紫外線の照射の下、有機日焼け防止剤自体が分解する。光安定性は僅か数時間の場合もある。消費者は日焼け防止ローションによって十分護られていると考えて、しばしば、光安定性の限界を超えて自らを曝すことになる。第二の問題は、有名な有機日焼け防止剤はある条件下で皮膚炎を引き起こす傾向があることである。
【0006】
最近、超微粒子酸化亜鉛と超微粒子二酸化チタンがUVAとUVBの両方の紫外線を屈折させることが示されている。もはや光安定性および皮膚炎は問題ではない。しかし、新しい技術には課題が発生している。問題の一つは製剤空間である。日焼け防止剤またはパーソナルケア組成物に懸濁され得る金属酸化物の量には限界がある。金属酸化物の濃度を一定に保ちながら紫外線防止指数(SPF)を上げるための方法が必要である。
【0007】
背景文献は以下の開示を含む。米国特許US5,587,148号(ミッチェルとはミッチニク)は日焼け防止剤として0.2ミクロン(200nm)以下の直径を有する微粒子化された酸化亜鉛の分散物を開示している。
【0008】
米国特許US8,623,386B2号(シュロスマンら)は化粧品組成物中の色素として使用される被膜金属酸化物を記載している。これらの粒子は200nm以下の一次粒子サイズ、そして200nm以上のサイズを有する色素品質のものとして利用可能であると知られている。被膜は好ましくはホホバエステルであるが、大豆ワックス、カンデリラろう、ヒマシ油、ココナッツ油、マカデミアナッツ油、および多くの鉱物油の画分から選択されてよい。
【0009】
米国特許US9,254,398号(シュロスマンら)は優れた自己分散能を有する一連の被膜微粒子化金属酸化物を開示している。これらはメークアップ化粧品、口紅、マニキュア液、アイシャドウ、マスカラなどの化粧品の成分としての用途がある。二層の第一層はトリエトキシカプリリルシランである。外側被膜第二層はポリヒドロキシステアリン酸である。
【0010】
市販の日焼け防止剤用の拡散剤がイノスペック社からディスペルサン(商標)名で販売されている。会社の製品カタログ(2010年第4巻)で、会社は(何れもポリヒドロキシステアリン酸として特定されている)ディスパーサンDSP-OL100とDSP-OL300の超微粒子二酸化チタンと酸化亜鉛を日焼け防止化粧品中へ分散させるための用途として宣伝している。より大きな紫外線防止指数(SPF)が顔料の量を増やすことなく実現され得ると言われている。改良の余地がある。
【発明の概要】
【0011】
発明の態様と概要
酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子であって、無機粒子がポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で被膜され、被膜粒子が経過時間1分、ドデカン中で10%負荷の測定において、2から10mv、特に2から5mvの範囲のゼータ電圧を有し、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10であることを特徴とする紫外線日焼け防止組成物が開示・提供される。
【0012】
ある実施例で有利なこととして、被膜粒子がトリカプリリン中で重量比1:1で分散される場合23-28℃、20rpm、スピンドル4、ブルックフィールド粘度が20から200cpsの範囲にあることを特徴としてもよい。
【0013】
さらに、化粧品は下記に基づいて提供され、(1)酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子を含む紫外線日焼け防止組成物と、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で被膜された無機粒子と、被膜粒子が経過時間1分、ドデカン中で10%負荷の測定において2~10mv、特に2~5mvの範囲のゼータ電圧を有し、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10であり、2)紫外線日焼け防止組成物を支持する皮膚学的に許容な担体を含み、担体中に存在する組成物が相対重量比1;100から1:4であることを特徴とする化粧品である。
【0014】
さらに、紫外線防止組成物を製造する方法が以下の、(1)酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子を粉末形状にして提供する段階と、(2)酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子であって、無機粒子がポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で被膜され、被膜粒子が経過時間1分、ドデカン中で10%負荷の測定において、2~10mv、特に2~5mvの範囲のゼータ電圧を有し、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10であるポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で囲まれた被膜粒子を生成するために粉末形状の金属酸化無機粒子とポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸をスラリー状非オイルとを容器中で混合する段階と、(3)容器から被膜粒子を取り出す段階とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様にしたがって、酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子と、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で被膜された無機粒子と、被膜粒子が、経過時間1分、ドデカン中で10%負荷の測定において、2~10mv、特に2~5mvの範囲のゼータ電圧を有し、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10であって、05間隔の範囲の間の全ての割合、例えば、1:95、1:90から1:6、1:55、1:50を含む、とを含む紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ゼータ電圧が2から5mvの範囲、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5mvを含むがそれに限定されない範囲にある紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0017】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、重量比1:1でトリカプリリン中に分散される場合に、23-28℃、20rpm、スピンドル4で測定されたブルックフィールド粘度が、20から200cpsの範囲にあることを特徴とする被膜粒子である紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0018】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸はポリヒドロキシステアリン酸、ポリリシノール酸およびその混合物からなる群から選択されている紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸はポリヒドロキシステアリン酸である紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0020】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、油性分散剤を含まない紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0021】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、(1)高速製粉化、(2)超臨界炭酸ガス処理、(3)次の溶媒除去と共に溶媒スラリー応用からなる群から選択される無油性分散剤段階から生成される紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0022】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸と無機粒子との相対重量比が、1:50から1:20の範囲であって、1:50、1:45、1:40、1:35、1:30、1:25、1:20を含めるがそれに限定されない紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0023】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、5から500nmの範囲にあって、無機粒子が一次粒子サイズが0.5nmの間隔で5と500nmの間のすべてのサイズ、限定されないが、例えば5.5nm、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0から499、499.5 および500nmの範囲にある紫外線日焼け防止組成物が提供される。
【0024】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、(1)酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子と、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で被膜された無機粒子と、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10であって、被膜粒子が経過時間1分、ドデカン中で10%負荷で測定される2~10mvの範囲のゼータ電圧を有し、(2)紫外線日焼け防止組成物を支持する皮膚学的に許容な担体を含み、担体中に存在する組成物が相対重量比1;100から1:50であり、例えば、1:95、1:90から1:6、1.55、1:50の範囲にあり、05の間隔の範囲の全ての割合を含んでいる化粧品が提供される。
【0025】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、担体が、水、皮膚軟化剤、脂肪酸、脂肪アルコール、保湿剤、増粘剤と、それらの混合物の群から選択されている化粧品が提供される。
【0026】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、被膜紫外線防止組成物に対する担体は、相対重量比で1:100から1:10にあって、05の間隔の範囲の間の全ての割合、例えば、1:95、1:90から1:15、1.10である化粧品が提供される。
【0027】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、担体が化粧品の1から99.0重量%の量である化粧品が提供される。
【0028】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、4-tert-ブチル-4-メトキシジベンゾイルメタン、サリチル酸オクチル、テトラフタリリデンジカンファースルホン酸、ベンゾフェノン-3およびそれらの混合物からなる群から選択される有機日焼け防止剤を含む化粧品が提供される。
【0029】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸はポリヒドロキシステアリン酸、ポリリシノール酸およびそれらの混合物からなる群から選択されて成る組成物が提供される。
【0030】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸はポリヒドロキシステアリン酸である組成物が提供される。
【0031】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、(1)酸化亜鉛と二酸化チタンとそれらの混合物からなる群から選択された微粒子化金属酸化物無機粒子を粉末形状にして提供する段階と、(2)被膜粒子が、経過時間1分、ドデカン中、10%負荷の測定において2~10mv、特に2~5mvの範囲のゼータ電圧を有するように、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の無機粒子に対する量が相対重量比で1:100から1:10であるポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸で囲まれた被膜粒子を生成するために粉末形状の金属酸化無機粒子と非油性スラリー状ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸を容器中で混合する段階と、(3)容器から被膜粒子を取り出す段階とを含む紫外線防止組成物を製造する方法が提供される。
【0032】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸はポリヒドロキシステアリン酸、ポリリシノール酸およびその混合物からなる群から選択されて成る紫外線防止組成物を製造する方法が提供される。
【0033】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸はポリヒドロキシステアリン酸である紫外線防止組成物を製造する方法が提供される。
【0034】
本発明のさらに別の一態様にしたがって、23-28℃、20rpm、スピンドル4で測定されるブルックフィールド粘度が、20から200cpsの範囲にあるように重量比1:1でトリカプリリン中に分散されることを特徴とする被膜粒子である紫外線防止組成物を製造する方法が提供される。
【0035】
上記及び本発明の他の任意の適応態様、特徴と長所は、付帯する図と連係して記載する以下の説明から明らかになり、同じ参照符号は同じ要素を定義する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明者は、微粒子化金属無機酸化物粒子のSPFは、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸、以下PHAと参照、で金属酸化物粒子の無油性分散剤コーティングによって改良され得ることを見出した。効果的無油性分散剤コーティング法は、(1)高速微粉末化と、(2)液体二酸化炭素と超臨界二酸化炭素処理と、(3)その後溶媒除去を伴う溶媒スラリーの適用と、を含む。3段階全てから成る方法は、既知の油性分散剤ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸コーティング技術で実施された場合の約2倍のSPFを有する被膜粒子を提供した。
【0038】
ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸の金属酸化物に対する相対重量比は、1:100から1:10の範囲、特に、1:50から1:20、さらに特に1:30から1:25重量の範囲にあってもよい。担体を有する化粧品に入れる場合、被膜紫外線日焼け防止組成物の担体に対する相対重量比は1:100から1:4、特に1:50から1:1.5の範囲であってもよい。
【0039】
被膜粒子の粘度はトリカプリリン中スラリー重量比約1:1で測定された。トリカプリリンはアクソナから入手可能なグリセロールトリオクタノエートであり、登録商標アクソナの名前でメルク・エイ・ジのシグマアルドリッチから、アビエテックからはIUPAC化合物名2,3-ジ(オクタノイルオキシ)プロピルオクタノエートとして入手できる。粘度は、ブルックフィールド粘度計DVーEを用いて、23-28℃、スピンドル数4で測定された。粘度は、20から200cps、特に50から150cpsの範囲にある。
【0040】
有利なことに、被膜粒子は、流体輸送媒体中の化粧品処方に添加され得る。適切な媒体は、トリグリセリド油、炭化水素、シリコーン、脂肪酸、脂肪アルコールおよびそれらの組み合わせを含んでいる。特に流体輸送媒体として特に有用なのはトリカプリリンである。流体輸送媒体が使われる場合、被膜粒子に対する相対重量比は、5:1から1:5、特に2:1から1:2、最も特別には約1:1である。
【0041】
金属酸化物無機粒子
【0042】
微粒子化酸化亜鉛、二酸化チタンとそれらの混合物が最も適切な金属酸化物である。粒子が球形または顆粒もしくは無形の場合、用語「微粒子化」は5から500nmの範囲の一次粒子サイズ、特に10から300nmを有する金属酸化物にすることを意味する。もし粒子が針状の場合、一次粒子サイズは、5から50nmの範囲から50から150nmの範囲であってもよい。一次粒子サイズは走査型電子顕微鏡を用いて分析されてもよい。
【0043】
ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸
【0044】
ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸はヒドロキシ脂肪酸のオリゴマーである。代表的オリゴマーにはポリヒドロキシステアリン酸(PHSA)、ポリリシノール酸およびそれらの混合物が挙げられる。ポリヒドロキシステアリン酸は、12-ヒドロキシステアリン酸のオリゴマーである。これらは12-ヒドロキシステアリン酸モノマー単位のホモポリマー縮合によって形成する。オリゴマーは、2から10、特に2から4のモノマー単位の繰り返しであってよい。原料はイノスペック社から入手可能である。
【0045】
非常に多くの場合、ポリヒドロキシステアリン酸は、その一つであって、そして微粒子化金属酸化物粒子の周囲を唯一被膜したものである。通常、ポリ(C8-C20)ヒドロキシカルボン酸コーティングと微粒子化金属酸化物粒子との間には何ら他の物は介在しない。
【0046】
化粧品
【0047】
改良被膜金属酸化物日焼け止め粒子を処方する化粧品は、通常皮膚学的に許容可能な担体を含んでいる。担体の量は、1~99.9重量%、好ましくは60~95重量%、最適には70~90重量%の範囲であってよい。有用な担体は、水、皮膚軟化剤、脂肪酸、脂肪アルコール、保湿剤、増粘剤、およびそれらの組み合わせである。担体は水性(化合物)、無水(化合物)または乳化物であってよい。好ましい組成物は、水性、特に水中油(O/W)、油水中(O/W)、三重の水中油水(W/O/W)などの水と油の乳化物である。水の量は、5から98重量%、20から70重量%、最適には35から60重量%の量である。
【0048】
担体として、あるいはそうでなくても、有用に組成物に脱イオン、滅菌または低温殺菌液体に取り込んでもよく、組成物中の他の成分を一緒に混合した後に加熱処理あるいは照射することもできる。これらの処理は病原性微生物の除去を保証する。
【0049】
皮膚軟化剤は皮膚学的許容される担体として作用してもよい。これらはシリコーンオイル、合成または天然のエステルおよび炭化水素の形態であってもよい。皮膚軟化剤の量は、化粧品の0.1から95重量%、好ましくは1から50重量%の範囲のいずれかであってよい。
【0050】
シリコン油は揮発性と非揮発性の種類に分けられてもよい。ここで用いられる用語「揮発性」は常温で測定可能な蒸気圧を有する材料を参照する。揮発性シリコン油は好ましくは、3から9個、好ましくは4から5個のシリコン原子を含む環状(シクロメチコン)または直鎖ポリジメチルシロキサンから選択される。
【0051】
皮膚軟化剤原料として有用な非揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーが挙げられる。本質的に有用な非揮発性ポリアルキルシロキサンは、例えば、25℃で5×10-6から0.1m2/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンを含む。本組成物中で有用な非揮発性皮膚軟化剤は25℃で1×10-5から約4×10-42/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。
【0052】
別の種類の非揮発性シリコンはシリコンエラストマーを乳化するものと、乳化しないものがある。この分類の代表は、ダウコーニング9040、ゼネラルエレクトリックSFE839、信越化学KSG-18として入手可能なジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーを含んでいる。シルワックス WS-L(ジメチコンコポリオールラウレート)などのシリコーンワックスもまた有用である場合がある。
【0053】
エステル皮膚軟化剤は、
1)10から24の炭素原子を有する飽和脂肪酸のアルキルエステルであり、その例は、ネオペンタン酸ベヘニル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピルおよびステアリン酸オクチルを含み、
2)エトキシル化飽和脂肪アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテル―エステル、
3)多価アルコールエステルエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200-6000)モノおよびジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、エトキシ化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが要件を満たす多価アルコールエステルである。C1-C30の炭素原子を有するアルコールのペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンおよびネオペンチルグリコールエステルが特に有用であり、
4)蜜蝋、鯨ろう、トリベヘニンワックスなどのワックスエステルと、
5)スクロースポリベヘネートやスクロースポリコットンシーデートなどの脂肪酸の糖エステルである。
【0054】
適切な担体である炭化水素は、ワセリン、鉱油、C11-C13イソパラフィン、特にプレスペルセ社からペルメチル101Aとして商業的に入手可能なイソヘキサデカンが挙げられる。
【0055】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸が担体として適切な場合がある。この分類の実例には、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、およびベヘン酸がある。
【0056】
10から30個の炭素原子を有する脂肪酸は担体の別の有用な分類に入れられる。この分類の実例には、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールがある。
【0057】
多価アルコール型の保湿剤は担体として用いられ得る。典型的な多価アルコールには、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロールおよびそれらの混合物を含むグリセロール、ポリアルキレングリコール、より好ましくは、アルキレンポリオールとそれらの誘導体が挙げられる。保湿剤の量は、製品の0.5から50%、好ましくは1から15重量%の範囲のいずれかであってよい。
【0058】
増粘剤は皮膚学的に許容可能な担体の一部として利用され得る。典型的な増粘剤には、架橋アクリレート(例えば、CARBOPOL 982(登録商標))、疎水変性アクリレート(例えば、CARBOPOL 1382(登録商標))、セルロース誘導体および天然ゴムが含まれる。有用なセルロース誘導体の中には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメトセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースがある。天然ガムは適切な増粘剤であり、グアー、キサンタン、菌核、カラギーナン、ペクチン、およびこれらのガムの組み合わせを含んでもよい。無機物は、特にベントナイトやヘクトライトなどの粘土、ヒュームドシリカ、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(VEEGUM(登録商標)などのケイ酸塩が増粘剤として利用されてもよい。増粘剤の量は、製品の0.0001から10%、通常0.001から1%、最適には0.01~0.5重量%の範囲であってもよい。
【0059】
皮膚を明るくすることを意図する化粧品は、通常皮膚美白用化合物と一緒に処方される。実例の物質には、胎盤抽出物、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、フェルラ酸、ヒドロキノン、レゾルシノールと4-置換レゾルシノールを含む誘導体およびそれらの組み合わせた物質がある。これらの物質の量は、製品の0.1から10%、好ましくは0.5から2重量%であってもよい。
【0060】
また、レスベラトロール、アルファリポ酸、エラグ酸、キネチン、レチノキシトリメチルシラン(Clariant社からSilcare 1M-75の商標で入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびそれらの組み合わせなどの材料が含まれてもよい。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3B、セラミド6およびセラミド7を含む)および疑似セラミドが有用である。これらの原料の量は、組成物の0.000001から10%、好ましくは0.0001から1重量%であってよい。
【0061】
化粧品組成物はビタミンを含んでもよい。例示的なビタミンは、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKおよびビオチンである。ビタミンの誘導体が用いられてもよい。例えば、ビタミンC誘導体には、アスコルビルテトライソパルミテート、マグネシウムアスコルビルリン酸、およびアスコルビルグリコシドが挙げられる。ビタミンEの誘導体には、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリルおよびリノール酸トコフェリルが含まれる。DL-パンテノールおよび誘導体が使用されてもよい。特に適切なビタミンB6誘導体は、パルミチン酸ピリドキシンである。フラボノイド類、特にグルコシルヘスペリジン、ルチン、および大豆イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼイン、エクオール、およびそれらのグルコシル誘導体を含む)およびそれらの混合物も有用であり得る。その場合、ビタミンまたはフラボノイドの合計量は、組成物の0.0001から10重量%の範囲であってよい。
【0062】
化粧品組成物は、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、トナー、スティック、スプレー、軟膏、クレンジング液体洗浄液ならびに固形バー、シャンプーならびにヘアコンディショナー、髪染め(ヘアカラー)、ペースト、泡、パウダー、ムース、ワイプ、膜形成製品、フェイシャルならびにスキンマスク、ファンデーション、アイライナー、アイシャドウなどのメイクアップ製品など幅広い種類の各種の製品を含むがそれらに限定されないで製品(化粧品)に処方されてもよい。
【0063】
付加的日焼け止めには有機紫外線防止剤(サンスクリーン)を利用してもよい。UVAとUVB両方の防止領域を含んでいる。有機紫外線防止剤は290から400nmの領域の紫外線を吸収する少なくともひとつの発色団を有するものである。発色性有機紫外線防止剤は、次の(具体的例を有する)分類に分けることができ、p-アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸;アントラニル酸塩(o-アミノ安息香酸塩;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキセニルエステル);サリチル酸塩(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル、グリセリル、およびジプロピレングリコールエステル);ケイ皮酸誘導体(メンチルおよびベンジルエステル、α-フェニルシンナモニトリル、ブチルシンナモイルピルビン酸塩);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトンおよびベンザルアセトフェノン;ナフトールスルホン酸塩(2-ナフトール-3,6-ジスルホン酸および2-ナフトール-6,8-ジスルホン酸のナトリウム塩);ジヒドロキシナフトエ酸およびその塩;o-およびp-ヒドロキシビフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(7-ヒドロキシ、7-メチル、3-フェニル);ジアゾール(2-アセチル-3-ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、アリールベンゾチアゾール類);キニーネ塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8-ヒドロキシキノリン塩、2-フェニルキノリン);ヒドロキシまたはメトキシ置換ベンゾフェノン;尿酸およびビルル酸;タンニン酸およびその誘導体(例、ヘキサエチルエーテル);(ブチルカルビチル)(6-プロピルピペロニル)エーテル;ハイドロキノン;ベンゾフェノン(オキシベンゾン、スリゾベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレソルシノール、2,2’、4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、オクタベンゾン;4-イソプロピルジベンゾイルメタン;ブチルメトキシジベンゾイルメタン;エトクリレン;および4-イソプロピル-ジベンゾイルメタン)を含んでよい。
【0064】
特に重要な紫外線防止剤としては、p-メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(Parsol MCX(登録商標)として入手可能)、4,4’-t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(一般にAvobenzoneとして知られ、Parsol 1789(登録商標)として入手可能)、オクチルサリチレート(Dermablock OS(登録商標)として入手可能)、テトラフタリデンジカンファースルホン酸(Mexoryl SX(登録商標))、ベンゾフェノン-3(オキシベンゾン)およびその混合物が挙げられる。
【0065】
有機紫外線防止剤の量は、化粧品組成物の0.01から30%、通常0.5~15%、しばしば4から12重量%の範囲であってよい。
【0066】
使用に適した界面活性剤は、乳化物を形成し得るもの、そしてあるいは会合構造を形成し得るものであってもよい。界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性または両性型に分類され得る。用語「界面活性剤」は、そうでなければ「乳化剤」と呼ばれる原料を含めて定義される。
【0067】
ここで記載される組成物中に使われてもよい界面活性剤の例は、C8-C22のアルキル鎖化合物の塩を含んでいる。代表的なものは、牛脂酸ナトリウム、ヤシ酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびミリスチル硫酸ナトリウム)、N-アシルサルコシン酸ナトリウム(たとえば、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウムおよびN-ミリストイルサルコシン酸ナトリウム)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ナトリウム水素化ココナッツ脂肪酸モノグリセリド硫酸塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウムおよびN-アシルグルタメート(例えば、N-パルミトイルグルタメート)、N-メチルアシルタウリンナトリウム塩、N-メチルアシルアラニンナトリウム塩、α-オレフィンスルホン酸ナトリウムおよびジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;N-アルキルアミノグリセロール(例:N-ラウリル-ジアミノ-エチルグリセロールおよびN-ミリスチルジアミノエチルグリセロール)、N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタインおよびナトリウム2-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンベタイン;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪族エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセロールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートならびにポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0068】
界面活性剤は、化粧品組成物の0.1%から97%、好ましくは2%から75%、より好ましくは10%から90%、最も好ましくは20%から70重量%の量で使用され得る。
【0069】
保存料が、潜在的に有害な微生物の増殖を防止するために組成物中に組み込まれていてもよい。適切な保存料はパラ安息香酸のアルキルエステルである。より最近使用されるようになった他の保存料には、ヒダントイン誘導体、プロピオン酸塩、およびいろいろな第四アンモニウム化合物が挙げられる。化粧品化学者は保存課題試験を満足し、製品の安定性を与えるために適切な保存料に熟知し、日常的にそれを選択する。特に好ましい保存料は、メチルクロロイソチアゾリノンとメチルイソチアゾリノンの組み合わせ混合物、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびベンジルアルコールである。保存料は、化粧品組成物の0.01%から2%重量%の範囲の量で用いられてよい。
【0070】
落屑剤が入れられてもよい。実例にはモノカルボン酸がある。モノカルボン酸は、最大16の長さの炭素鎖で置換または非置換されていてもよく、特に好ましいカルボン酸は、α-ヒドロキシカルボン酸およびβ-ヒドロキシカルボン酸である。用語「酸」は、遊離酸だけでなく、その塩およびC1-C30アルキルもしくはアリールエステル、および環状または鎖状ラクトン構造を形成するために水分子を除去することから生成されたラクトンをも含むことを意味する。代表的な酸は、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸が挙げられる。特に好ましい代表的な塩は乳酸アンモニウムである。サリチル酸は、代表的β-ヒドロキシカルボン酸である。その場合、使用される場合のこれら原料の量は、化粧品組成物の0.01から15重量%の範囲であってよい。
【0071】
好ましい落屑剤は、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、レチノイン酸、レチノールおよびそれらの塩を含めた混合物からなる群から選択されてもよい。
【0072】
着色剤は染料あるいは顔料のいずれでもよい。通常、賦形剤に不溶(結果懸濁するよう)な顔料と、それ自体が液体あるいは賦形剤に溶解する(結果溶液となる)染料とは区別されている。着色剤は賦形剤に依存して顔料もしくは染料のいずれかとして作用し得る。ある場合には、顔料は溶解している染料を金属イオンと一緒に沈殿させることによって染料から製造され得る。生成した顔料はレーキ顔料と呼ばれる。
【0073】
より一般的な染料には、アリザリン、アゾフロキシン、クリソイジン、コンゴレッド、フクシン酸、ゲンチアナバイオレット、ヤーヌスグリーン、メチルレッド、ナフトールグリーン、ナフトールイエロー、ローズベンガル、スーダンII、タイタンイエロー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。顔料の中では、二酸化チタンとアルミニウムレーキ(染料のアルミニウム塩)が最も一般的である。化粧品(口紅、ファウンデーション、染髪剤など)の種類によって、着色剤の量は化粧品組成物の0.000001から10%、通常は0.01から5重量%であってよい。
【0074】
紫外線防止指数(SPF評価)は防止効果における違いを定量的に記述するために使用されている。SPFは日焼けを引き起こす皮膚に到達する紫外線の割合の程度である。例えば、「SPF15」は2センチ平方辺り2ミリグラムの厚さで均等に日焼け防止剤が塗布されたと仮定して、日焼け光線の15分の1が皮膚に到達するであろうことを意味している。使用者は日焼け防止剤が無い状態で彼または彼女(人)自身が炎症を被るまでの時間の長さにSPF因子を掛け合わせることで日焼け防止の効果を決定し得る。従って、ある人が日焼け止めを使用しないで10分間で日焼け炎症を患う場合、同じ人が同じ強度の太陽光線の下でSPF15付与の日焼け防止剤を使用するならば150分間日焼けによる炎症を避けることが可能なことを意味している。
【0075】
測定に加えて、SPFは具体的に定義された役に立つ方法によって測定され得る。この場合、太陽光線に曝されることによって化粧品の劣化にともなう日焼け防止剤の実際が測定される。日焼け防止剤の透過度が太陽光の標準照度においてどのように効果があるかについて、いろいろな波長の表とともに、日焼け炎症(紅斑作用スペクトル)を起こす(太陽光UVBからUVAの全ての波長(290-400nm)について測定されなくてはならない。
次の例のSPF評価は、試験管内方法による結果で示す。
【0076】
例以外、または明確に示されない限り、原料の量、反応条件、原料そしてまたは使用の物理的特性を示す記載中の全ての数字は、単語「約」で修飾されるものと理解されるものとする。全ての量は別に規定されない限り、組成物の重量単位である。
【0077】
濃度または量の範囲を規定する際に、特定の上限濃度を特定の下限濃度または量に関連し得ると指摘する。
【0078】
疑念を避けるために、「含む(comprising)」という言葉は「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「で構成される(consisting of)」または「できている(composed of)」とは限らない。言い換えれば、記載された段階または選択肢は包括的である必要はない。
【0079】
本明細書に見られる本発明の開示は、特許請求の範囲に見られる全ての実施形態を、複数の依存性または冗長性がなくても、特許請求の範囲が見出され得るという事実に関係なく、互いに乗算依存するものとして網羅していると考えるべきである。
【0080】
本明細書で使用される場合、「製品」は、哺乳動物、特にヒトの皮膚または毛髪への外用塗布のための処方されたパーソナルケアまたは洗浄用組成物を含むことを意味し、または洗濯による布地への付着のための組成物を含むことを意味する。
【0081】
実施例1
【0082】
一連の実験は、いろいろ被膜技術によって微粒子化酸化亜鉛のポリヒドロキシステアリン酸(PHSA)によるコーティングに焦点を当てて行われた。比較は既知の油性分散物経路に対して行われる。
【0083】
高速乾燥粉末化および被膜方法
【0084】
酸化亜鉛を高速ミキサーを備えたタンクに加え、脱凝固のために数分間混合した。被膜用ポリヒドロキシステアリン酸は高速で混合されている酸化亜鉛に噴霧した。その後、混合は完全に被膜を分散するために少なくとも15分間続けた(PHSA)。適切な高速ミキサーはジェット粉砕機、ロジーミキサー、およびベーカー・パーキン装置である。原材料の量は下記表に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
液体または超臨界二酸化炭素法
【0087】
酸化亜鉛(ZnO)はミキサー(磁石式)を備えた高圧タンクに加えた。CO2が液体である超臨界二酸化炭素(CO2)が被膜PHSAおよびZnOを含む高圧タンクに注入する前に混合した混合物に加えた。ZnOとCO2/PHSAを約10分間混ぜ合わせた。その後、タンクの中身を二酸化炭素を昇華し、PHSA被膜ZnOが残る容器に移した。原材料の量は下記表に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
スラリー被膜方法
【0090】
ポリヒドロキシステアリン酸(PHSA)をイソドデカンに加え、被膜剤(PHSA)を溶解し、混合した。酸化亜鉛をシルバーソン(L5M-A)ミキサーによる高せん断混合装置に加え、30分間混合した。生成したスラリーを乾燥用トレーに注ぎ、70℃、24時間イソドデカンを除くために乾燥した。原材料の量は下記表に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
上記3つ全ての被膜物(スラリー、液体二酸化炭素、乾燥粉末)のための分散
トリカプリリン 50.0
PHSA被膜酸化亜鉛 50.0
【0093】
分散(PHSAの供給先単位)
トリカプリリン 50.0
PHSA 2.0
ZnO 48.0
【0094】
実施例2
【0095】
比較結果は下記表に記載する。オイル中へ後分散されるPHSAであらかじめ被膜処理した酸化亜鉛の分散物と酸化亜鉛上にオイルとPHSAのスラリーの後被膜処理とのSPFと粘度を比較する。
【0096】
【表4】
【0097】
PHSAで前被膜処理(方法1-3)し、その後オイル中に分散した酸化亜鉛はさらにより小さい粘度と2倍のSPFを与えた。酸化亜鉛に加えられるオイル/PHSAの従来法(方法4)は、粘度とSPFに関して有意に劣ることが分かった。
【0098】
【表5】
【0099】
実施例3
【0100】
PHSA被膜ZnOは下記のいろいろな種類の日焼け防止剤処方を作成するために用いられ得るが、それには限定されない。油中水(W/O)、水中油(O/W)、ピカリング乳化物、無水物、アルコール懸濁物の実際の化粧品処方を下記に記載する。
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
実施例4
【0104】
一連の実験は、いろいろ被膜技術によって微粒子化二酸化チタンのポリヒドロキシステアリン酸(PHSA)によるコーティングに焦点を当てて行われた。比較を既知の油性分散物経路に対して行った。
【0105】
上記3つ全ての被膜物(スラリー、液体二酸化炭素、乾燥粉末)のための分散
トリカプリリン 50.0
PHSA被膜二酸化チタン 50.0
【0106】
分散(PHAの供給先単位)
トリカプリリン 50.0
PHSA 2.0
TiO2 48.0
【0107】
【表8】
【0108】
実施例5
【0109】
二酸化チタンの比較結果は下記表に記載する。オイル中へ後分散されるPHSAであらかじめ被膜処理した二酸化チタンの分散物と二酸化チタン上にオイルとPHSAのスラリーの後被膜処理とのSPFと粘度を比較する。
【0110】
【表9】
【0111】
PHSAで前被膜処理(方法1-3)し、その後オイル中に分散した二酸化チタンはさらにより小さい粘度と2倍のSPFを与えた。二酸化チタンに加えられるオイル/PHSAの従来法(方法4)は、粘度とSPFに関して有意に劣ることが分かった。
【0112】
実施例6
【0113】
PHSA被膜酸化亜鉛は下記のいろいろな種類の日焼け防止剤処方を作成するために用いられ得るが、それには限定されない。W/O、O/W、ピカリング乳化物、無水物、アルコール懸濁物の実際の化粧品処方を下記に記載する。
【0114】
【表10】
【0115】
【表11】
【0116】
【表12】
【0117】
実施例6
【0118】
ゼータ電圧測定と方法を下の例で議論する。測定は、フロリダ州ポンテヴェドラビーチのコロイドダイナミクス社から市販されているゼータプローブアナライザー(商品名)用いて行った。n-ドデカン中10%の酸化亜鉛スラリーを分析標準量で、請求項に記載のゼータ電圧値の条件を表している。最初の測定の前に、システムを検量した。試料攪拌へらは170回転、5分間待機で操作し、試料を安定化した。一試料につき3回の精査を平均した。結果は、5分の安定化待機期間の後一分指標においてミリボルト)(mV)で記録した。
【0119】
測定試料を得るために用いた手順の概略を下記に示す。
【0120】
【表13】
【0121】
試料Aの処理
1.ドデカンを秤量し、ビーカーに加える。
2.ホモジナイザーを2500RPMに設定する。
3.均一化しつつドデカンに酸化亜鉛を加える。
4.2500回転で30分間混合する。
【0122】
試料Bの処理
1.ドデカンを秤量し、ビーカーに加える。
2.ホモジナイザーを2500RPMに設定する。
3. 均一化しつつドデカンにスーパー亜鉛天然を加える。
4. 均一化しつつドデカンとPHSA混合物に酸化亜鉛を加える。
【0123】
試料Cの処理
1.ドデカンを秤量し、ビーカーに加える。
2.ホモジナイザーを2500RPMに設定する。
3.均一化しつつドデカンにPHSAを加える。
4.均一化しつつドデカンとPHSA混合物に酸化亜鉛を加える。
5.2500回転で30分間混合する。
【0124】
試料AはPHSAを用いないコントロール実験を示す。試料Bは本発明の例であり、PHSAが酸化亜鉛の上と粉末が製品中に(例えば、ドデカンと一緒に)スラリー化する前に粉末酸化亜鉛/PHSAを形成するために担体賦形剤に密着させている。
【0125】
試料Bに類似の試料IIコントロール試料A(非被膜純亜鉛粒子)と有意のゼータ電圧を示す記載技術試料C(スラリー実施PHSA)を被膜処理金属酸化粒子の表面電荷に関する情報を得るために使用した。表面電荷(mV)と紫外線防止指数(SPF)との間の相関関係を見出した、電荷が大きければ大きいほど、SPF防御もより高い。SPFの向上は、より小さなゼータ電圧値の例で見られた。下記表の値を参照。
【0126】
【表14】
【0127】
本組成物および方法は、その具体的変形を参照して説明されているが、ここの記載の組成物および方法の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行い、均等物で置き換えられてもよいことを当業者は理解する筈である。さらに、特別な状況、原料、物質の組成、処理、処理段階または複数の段階を、本明細書に記載の化合物および方法の目的、精神および範囲に適合させるために、多くの修正を加えてもよい。上記で引用されたすべての特許および刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。