(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】高炉操業状況評価システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C21B 7/24 20060101AFI20220427BHJP
C21B 5/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
C21B7/24 305
C21B5/00 319
C21B5/00 311
C21B5/00 323
(21)【出願番号】P 2020535559
(86)(22)【出願日】2018-12-24
(86)【国際出願番号】 KR2018016580
(87)【国際公開番号】W WO2019132476
(87)【国際公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-08-18
(31)【優先権主張番号】10-2017-0180170
(32)【優先日】2017-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン,ギ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン-ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,サン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ギ-ワン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン-ド
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ギル-ボン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,サン-ハン
(72)【発明者】
【氏名】ベ,ホ-ムン
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-025187(JP,A)
【文献】特開2015-048508(JP,A)
【文献】特開2015-052148(JP,A)
【文献】特開2016-060931(JP,A)
【文献】韓国公開特許第95-18489(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 7/24
C21B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉に備えられた複数の羽口のそれぞれに対応した羽口別画像データを獲得する画像獲得部と、
前記画像獲得部によって獲得された前記羽口別画像データを収集する画像収集部と、
前記羽口別画像データを用いて人工知能をベースに各羽口別燃焼状態を分類する羽口燃焼状態判断部と、
前記羽口燃焼状態判断部によって分類された羽口別燃焼状態の分類結果を用いて羽口別燃焼状態指数を生成する羽口燃焼状態指数生成部と、
各羽口別に生成された前記羽口別燃焼状態指数に
1:1でマッチングされて高炉の円周方向に統合的に評価するための統合燃焼状態指数を生成する統合評価部と、を含
み、
前記羽口燃焼状態判断部は、
前記羽口別画像データを用いてディープラーニングをベースに各羽口別燃焼状態を分類するAIベース判断部を含み、
前記AIベース判断部は、ディープラーニングをベースに分類された羽口別燃焼状態の分類結果を予め設定された時間期間の間に時系列に蓄積した結果に基づいて羽口別燃焼状態の分類を確定し、前記羽口別燃焼状態の分類が最初に検出された時点から前記羽口別燃焼状態の分類が他の状態に遷移する時点までは経過時間情報に応じて前記時間期間を調整することを特徴とする高炉操業状況評価システム。
【請求項2】
前記AIベース判断部は、前記時間期間の間に任意の燃焼状態の分類が予め設定された回数以上発生すると燃焼状態の分類を確定することを特徴とする請求項
1に記載の高炉操業状況評価システム。
【請求項3】
前記AIベース判断部は、前記時間期間の間に蓄積された羽口別燃焼状態の分類結果に対して画像時系列ディープラーニングをベースに燃焼状態の分類を確定することを特徴とする請求項
1または
2に記載の高炉操業状況評価システム。
【請求項4】
前記羽口燃焼状態判断部は、
前記羽口別画像データに対する画像処理を介して羽口設備を診断し、羽口燃焼状態を判断する画像処理ベース判断部をさらに含むことを特徴とする請求項
1に記載の高炉操業状況評価システム。
【請求項5】
前記燃焼状態の分類は、燃焼状態正常、燃焼状態不良、微粉炭未吹込、未還元溶融物落下、及びコークス旋回を含むことを特徴とする請求項1または
4に記載の高炉操業状況評価システム。
【請求項6】
前記羽口別燃焼状態指数又は前記統合燃焼状態指数に基づいて、微粉炭吹込制御、N2パージ制御、及び高炉装入物制御のうちの少なくとも一つを行う炉況制御部をさらに含むことを特徴とする請求項1または
5に記載の高炉操業状況評価システム。
【請求項7】
前記羽口別燃焼状態指数は、燃焼状態不良指数、微粉炭未吹込指数、未還元溶融物落下指数、コークス旋回指数、燃焼状態レベル指数、微粉炭流量指数、及び羽口燃焼帯指数のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または
6に記載の高炉操業状況評価システム。
【請求項8】
高炉に備えられた複数の羽口のそれぞれに対応した羽口別画像データを収集する段階と、
前記羽口別画像データを用いて人工知能をベースに各羽口別燃焼状態を分類する段階と、
羽口別燃焼状態の分類結果を用いて羽口別燃焼状態指数を生成する段階と、
各羽口別に生成された前記羽口別燃焼状態指数に
1:1でマッチングされて高炉の円周方向に統合的に評価するための統合燃焼状態指数を生成する段階と、を含
み、
前記羽口別燃焼状態を分類する段階は、
前記羽口別画像データを用いてディープラーニングをベースに各羽口別燃焼状態を分類する段階と、
前記ディープラーニングをベースに分類された羽口別燃焼状態の分類結果を予め設定された時間期間の間に時系列に蓄積した結果に基づいて羽口別燃焼状態の分類を確定する段階と、を含み、
前記予め設定された時間期間の間に時系列に蓄積した結果に基づいて羽口別燃焼状態の分類を確定する段階は、前記羽口別燃焼状態の分類が最初に検出された時点から前記羽口別燃焼状態の分類が他の状態に遷移する時点までは経過時間情報に応じて前記時間期間を調整することを特徴とする高炉操業状況評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉操業状況評価システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉操業状況を評価するために、高炉の羽口などを介して撮影した画像データを分析して炉内の状況を判断するか、又は操業データをモニタリングして炉内の状況を判断しようとする試みがなされている。
【0003】
しかし、従来は、操業者が単に画像データを介して高炉の燃焼性又は炉況を定性的に判断するか、又は画像データの輝度分析を介して炉内の状況を判断するにとどまった。
【0004】
これに関連して、特開2015-52148号公報(公開日:2015.03.19)には、溶鉱炉の操業状況の判定に基づいた制御方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、羽口の画像データを基に羽口の燃焼性状態を定量的に評価し、これに基づいて、高炉操業状況を統合的に評価するための高炉操業状況評価システム及び高炉操業状況評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による高炉操業状況評価システムは、高炉に備えられた複数の羽口のそれぞれに対応した羽口別画像データを獲得する画像獲得部と、前記画像獲得部によって獲得された前記羽口別画像データを収集する画像収集部と、前記羽口別画像データを用いて人工知能をベースに各羽口別燃焼状態を分類する羽口燃焼状態判断部と、前記羽口燃焼状態判断部によって分類された羽口別燃焼状態の分類結果を用いて羽口別燃焼状態指数を生成する羽口燃焼状態指数生成部と、前記羽口別燃焼状態指数に基づいて統合燃焼状態指数を生成する統合評価部と、を含むことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による高炉操業状況評価方法は、高炉に備えられた複数の羽口のそれぞれに対応した羽口別画像データを収集する段階と、前記羽口別画像データを用いて人工知能をベースに各羽口別燃焼状態を分類する段階と、羽口別燃焼状態の分類結果を用いて羽口別燃焼状態指数を生成する段階と、前記羽口別燃焼状態指数に基づいて統合燃焼状態指数を生成する段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、羽口画像データを用いて、ディープラーニングをベースに羽口燃焼状態を分類することができ、羽口燃焼状態の分類結果に加えて羽口画像データの分析結果及び高炉操業データの分析結果をさらに活用することで、各羽口別に羽口燃焼状態指数を抽出するとともに、高炉操業状況を統合的に評価及び制御することができる。
【0009】
これにより、高炉燃焼性及び炉況を定量的に評価することにより、安定した高炉操業を可能にし、且つ生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による高炉操業状況評価システムの構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態により、ディープラーニングをベースに1次的に羽口燃焼状態を分類する概念を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態により、ディープラーニングをベースに1次的に分類した結果を時系列に蓄積した結果に基づいて、羽口燃焼状態の分類を確定する概念を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態により、ディープラーニングをベースに1次的に分類した結果を時系列に蓄積した結果に基づいて、羽口燃焼状態の分類を確定する概念を説明する図である。
【
図5】本発明の他の実施形態による高炉操業状況評価方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができるように好ましい実施形態について詳細に説明する。但し、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能又は構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。また、類似した機能及び作用をする部分に対しては、図面全体にわたって同一の符号を用いる。
【0012】
また、明細書全体にわたって、ある部分が他の部分に「連結」されているとき、これは「直接的に連結」される場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「間接的に連結」される場合も含む。尚、ある構成要素を「含む」とは、特に記載しない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得る。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による高炉操業状況評価システムの構成図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態による高炉操業状況評価システム100は、画像獲得部110、画像収集部120、羽口燃焼状態判断部130、羽口燃焼状態指数生成部140、操業情報収集部150、統合評価部160、及び炉況制御部170を含んで構成される。
【0015】
画像獲得部110は、高炉10に備えられた各羽口11別に画像データを獲得する。
【0016】
例えば、画像獲得部110は、それぞれの羽口11に設けられた複数のカメラを含み、それぞれのカメラを介して各羽口別画像データをリアルタイムで(例えば、ms単位)獲得する。
【0017】
画像収集部120は、画像獲得部110によって獲得された各羽口別画像データを収集する。
【0018】
例えば、画像収集部120は、画像獲得部110に含まれた複数のカメラから各羽口別にリアルタイムで獲得された画像データを収集する。
【0019】
また、画像収集部120は、収集された画像データを羽口番号やデータ獲得時間などを含む収集環境情報にマッピングする。
【0020】
画像収集部120によってマッピングが完了した画像データは、高炉操業状況評価システム100に備えられたデータ記憶部(図示せず)に格納されるか、又は羽口燃焼状態判断部130にリアルタイムで伝達される。
【0021】
羽口燃焼状態判断部130は、画像収集部120から伝達された各羽口別画像データを用いて各羽口別に燃焼状態を分類するためのものであって、AIベース判断部131及び画像処理ベース判断部132を含んで構成される。
【0022】
AIベース判断部131は、各羽口別画像データを用いて人工知能をベースに各羽口別に燃焼状態を分類する。例えば、AIベース判断部131は、ディープラーニングをベースに各羽口別燃焼状態を分類する。
【0023】
一実施形態によると、AIベース判断部131は、1次的に各羽口別画像データを用いて、CNN(Convolutional Neural Network)をベースに各羽口別燃焼状態を分類する。
【0024】
必要に応じて、AIベース判断部131は、1次的に分類された各羽口別燃焼状態の分類結果を時系列に蓄積した結果に基づいて、羽口燃焼状態の分類を確定することで、燃焼状態の分類の整合性をさらに向上させる。
【0025】
AIベース判断部131によって羽口燃焼状態を分類及び確定する概念を、
図2~
図4を参照してより具体的に説明する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態により、ディープラーニングをベースに1次的に羽口燃焼状態を分類する概念を説明する図である。
【0027】
図2を参照すると、AIベース判断部131は、各羽口別に獲得された第1羽口画像~第N羽口画像データ(21~2N)に対して、それぞれ画像ディープラーニング、例えば、CNNをベースに燃焼状態を分類して、第1羽口燃焼状態の分類~第N羽口燃焼状態の分類(21’~2N’)の結果を獲得する。ここで、Nは羽口の数を意味する。
【0028】
図3及び
図4は、本発明の一実施形態により、ディープラーニングをベースに1次的に分類した結果を、時系列に蓄積した結果に基づいて、羽口燃焼状態の分類を確定する概念を説明する図である。
【0029】
先ず、
図3を参照すると、AIベース判断部131は、各羽口別に1次的に分類された燃焼状態の分類の結果を時系列に蓄積した結果として、すなわち、第1羽口燃焼状態の分類(31-1、31-2、31-3)、第2羽口燃焼状態の分類(32-1、32-2、32-3)、及び第N羽口燃焼状態の分類(3N-1、3N-2、3N-3)に基づいて、各羽口別に羽口燃焼状態の分類を確定し、確定された羽口燃焼状態の分類結果(31’~33’)を獲得する。
【0030】
本実施形態において、いずれかの燃焼状態の分類が予め設定された回数以上発生した場合、羽口燃焼状態の分類を確定するために任意の時間期間(t-1~t+1)の間に1次的に分類された複数の燃焼状態の分類の結果が、該当燃焼状態の分類として確定される。これにより、羽口燃焼状態の分類の精度をより向上させることができる。
【0031】
次に、
図4を参照すると、AIベース判断部131は、各羽口別に1次的に分類された燃焼状態の分類の結果を時系列に蓄積した結果として、すなわち、第1羽口燃焼状態の分類(41-1、41-2、41-3)、第2羽口燃焼状態の分類(42-1、42-2、42-3)、及び第N羽口燃焼状態の分類(4N-1、4N-2、4N-3)に対して、画像時系列ディープラーニングをベースに各羽口別に羽口燃焼状態の分類を確定し、確定された羽口燃焼状態の分類結果(41’~43’)を獲得する。
【0032】
例えば、AIベース判断部131は、任意の時間期間(t-1~t+1)の間に各羽口別に1次的に分類された複数の燃焼状態の分類結果を用いることで、RNN(Recurrent Neural Network)又はRCNN(Recurrent Convolutional Neural Network)をベースに各羽口別に羽口燃焼状態の分類を確定する。
【0033】
羽口の燃焼状態は、時間の流れに伴う連続性を有して変化するため、任意の一時点の状態だけで羽口の燃焼状態を判断するには精度が低下する可能性がある。
【0034】
したがって、本実施形態によると、時間的流れに伴う羽口の燃焼状態の変化を総合的に評価して羽口の燃焼状態の分類を確定するために、画像時系列ディープラーニングを適用して、羽口燃焼状態の分類の精度をさらに向上させることができる。
【0035】
一方、
図3及び
図4に示すように、時系列に蓄積した結果に基づいて羽口燃焼状態の分類を確定するにあたり、1次的に分類した結果を蓄積する時間期間(例えば、t-1~t+1)及び該当時間期間の開始時点(t-1)に応じて、分類の精度に影響を与える可能性もある。
【0036】
一実施形態によると、初期遂行時には、該当羽口燃焼状態の分類が最初に感知された時点を皮切りに、ユーザーによって設定された時間期間の間に1次的に分類した結果を蓄積して羽口燃焼状態の分類を確定する。
【0037】
また、羽口燃焼状態の分類の確定結果が累積されると、羽口燃焼状態の分類が最初に感知された時点から羽口燃焼状態の分類が他の状態に遷移する時点までの経過時間情報に応じて上述した時間期間を調整することにより、分類の精度をさらに向上させることができる。
【0038】
AIベース判断部131によって分類される羽口の燃焼状態は、例えば、燃焼状態正常、燃焼状態不良、微粉炭未吹込、未還元溶融物落下(生鉱落下)、コークス旋回などを含む。ここで、微粉炭未吹込とは、微粉炭が吹き込まれるか否かを判断することを意味し、未還元溶融物落下(生鉱落下)とは、炉の上部で還元される必要のある原料が未還元のまま落下する未還元原料溶融物が落下するか否かを判断することを意味し、コークス旋回とは、炉の中部においてコークスが旋回するか否かを判断することを意味する。
【0039】
画像処理ベース判断部132は、各羽口別画像データに対する画像処理を介して羽口設備を診断するとともに、羽口燃焼状態を判断する。
【0040】
一実施形態によると、画像処理ベース判断部132は、各羽口別画像データに対する画像処理を介して羽口の曲損有無、羽口付着物有無、羽口詰まり、ランス曲げ、又はバーニングなどを含む羽口設備異常状態を判断する。
【0041】
また、画像処理ベース判断部132は、各羽口別画像データに対する画像処理を介して燃焼面積及び燃焼の明るさ(すなわち、輝度)を抽出する。
【0042】
尚、画像処理ベース判断部132は、燃焼状態が正常である場合には、各羽口別画像データに対する画像処理を介して微粉炭流量を判別する。
【0043】
画像処理ベース判断部132における各羽口別画像データに対する画像処理のために、当業者に公知された多様な画像処理技法が適用され、これについての具体的な説明は省略する。
【0044】
上述したAIベース判断部131及び画像処理ベース判断部132による判断は、並列的に行われ得る。
【0045】
羽口燃焼状態判断部130によって分類された各羽口別燃焼状態の分類結果及び羽口設備診断の結果は、各羽口別画像データ及び収集環境情報とともにマッピングされて格納及び管理される。
【0046】
羽口燃焼状態指数生成部140は、羽口燃焼状態判断部130によって分類された各羽口別燃焼状態の分類結果を用いることにより、各羽口別に燃焼状態指数を生成する。
【0047】
一実施形態によると、羽口燃焼状態指数生成部140によって生成される各羽口別の燃焼状態指数は、燃焼状態不良指数、微粉炭未吹込指数、未還元溶融物落下(生鉱落下)指数、コークス旋回指数、燃焼状態レベル指数、微粉炭流量指数、羽口燃焼帯(Raceway)指数などを含む。
【0048】
例えば、羽口燃焼状態指数生成部140は、予め設定された期間ごとに羽口燃焼状態判断部130による各羽口別燃焼状態の分類結果に基づいて、任意の分類結果が発生した回数をカウントし、該当期間別にカウントされた回数に応じて点数化することで、関連指数を生成する。
【0049】
また、羽口燃焼状態指数生成部140は、燃焼状態レベル指数に対しては、羽口燃焼状態判断部130によって抽出された燃焼面積及び燃焼の明るさ(すなわち、輝度)に応じて点数化し、予め設定された期間中に計算された点数を総合して燃焼状態レベル指数を生成する。ここで、燃焼状態レベル指数を生成するために用いられる基準情報は、管理者による入力信号に応じて更新される。これにより、更新された基準情報がリアルタイムで反映されて、高炉の状況が反映された指数情報を生成する。
【0050】
また、羽口燃焼状態指数生成部140は、羽口燃焼状態判断部130によって判断された羽口設備診断結果を点数化して羽口設備異常指数を生成する。ここで、羽口設備異常指数は、羽口曲損指数、羽口付着物指数、羽口詰まり指数、ランス損傷指数などを含む。
【0051】
操業情報収集部150は、高炉操業中に生成される操業情報をリアルタイムで収集するためのものである。ここで、操業情報は、例えば、高炉炉体温度、圧力、冷却水の流量などを含む。
【0052】
操業情報収集部150によってリアルタイムで収集される操業情報は、上述した羽口燃焼状態指数生成部140によって生成された羽口燃焼状態指数情報にマッピングされて格納及び管理される。
【0053】
統合評価部160は、羽口燃焼状態指数生成部140によって各羽口別に生成された羽口燃焼状態指数情報、及び操業情報収集部150によって収集された操業情報に基づいて高炉の円周方向に統合的に評価する。
【0054】
一実施形態によると、統合評価部160は、羽口燃焼状態指数生成部140により、各羽口別に生成された羽口燃焼状態指数情報を総合的に評価して統合燃焼状態指数を生成する。例えば、統合燃焼状態指数は、統合燃焼状態不良指数、統合微粉炭未吹込指数、統合未還元溶融物落下(生鉱落下)指数などのように、各羽口別に生成された羽口燃焼状態指数に1:1でマッチングされる統合燃焼状態指数を含み得る。
【0055】
また、統合評価部160は、各羽口別に生成された羽口燃焼帯(raceway)指数に基づいて、円周バランス指数を生成する。
【0056】
また、統合評価部160は、各羽口別に生成された羽口設備異常指数に基づいて、統合羽口設備異常指数を生成する。
【0057】
炉況制御部170は、羽口燃焼状態指数生成部140によって各羽口別に生成された羽口燃焼状態指数情報、又は統合評価部160によって生成された統合燃焼状態指数に基づいて、微粉炭吹込制御、N2パージ制御、及び高炉装入物制御のうちの少なくとも一つを行うことで高炉炉況を制御する。
【0058】
一実施形態によると、炉況制御部170は、任意の羽口に対する微粉炭未吹込指数が予め設定された基準値を超えた場合、微粉炭吹込制御を行う。
【0059】
また、炉況制御部170は、任意の羽口領域において生鉱落下が発生し、未還元溶融物落下指数が予め設定された基準値を超えた場合、高炉装入物制御を行う。
【0060】
他の実施形態によると、炉況制御部170は、統合燃焼状態指数又は円周バランス指数情報に基づいて、複数の羽口に対して統合的に制御を行う。
【0061】
例えば、炉況制御部170は、任意の一方向にのみ生鉱落下が発生した場合には、装入物分布を変更して装入物が落下する方向を変更するなどのように高炉装入物を制御する。
【0062】
図1を参照して上述した高炉操業状況評価システム100は、入力データに人工知能アルゴリズムを適用して画像処理を行い、各種指数の演算が可能な処理装置と、高炉制御を行う制御装置との組み合わせによって具現される。
【0063】
図5は、本発明の他の実施形態による高炉操業状況評価方法のフローチャートである。
【0064】
図5に示すように、本発明の他の実施形態による高炉操業状況評価方法によると、画像獲得部110及び画像収集部120により、高炉に備えられた各羽口別に画像データをリアルタイムで収集する(S510)。
【0065】
次に、羽口燃焼状態判断部130により、各羽口別画像データを用いて、各羽口の燃焼状態を分類する(S520)。具体的には、AIベース判断部131により、各羽口別画像データを用いて人工知能をベースに1次的に羽口燃焼状態を分類した後(S521)、分類結果に基づいて羽口燃焼状態の分類を確定する(S522)。また、これと並列的に、画像処理ベース判断部132により、各羽口別画像データに対する画像処理を介して各羽口の燃焼状態を分類するとともに、羽口設備を診断する(S525)。
【0066】
その後、羽口燃焼状態指数生成部140により、各羽口別燃焼状態の分類結果に基づいて羽口別燃焼状態指数を生成し(S530)、統合評価部160により、生成された羽口別燃焼状態指数に基づいて高炉の操業状況を円周方向に統合的に評価する(S540)。
【0067】
続いて、炉況制御部170により、統合的に評価された操業状況に基づいて炉況を制御する(S550)。
【0068】
図5を参照して、上述した各段階の具体的な遂行方法は、
図1~
図4を参照して上述したとおりであるため、これについての重複説明は省略する。
【0069】
本発明は、上述した実施形態及び図面によって限定されない。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明による構成要素を置換、変形、及び変更することが可能である。
【符号の説明】
【0070】
10 高炉
11 羽口
100 高炉操業状況評価システム
110 画像獲得部
120 画像収集部
130 羽口燃焼状態判断部
131 AIベース判断部
132 画像処理ベース判断部
140 羽口燃焼状態指数生成部
150 操業情報収集部
160 統合評価部
170 炉況制御部