(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】トライペダルフレクシャ部材及びそれを用いた負荷/トルク測定システム
(51)【国際特許分類】
G01L 5/1627 20200101AFI20220427BHJP
G01L 1/22 20060101ALI20220427BHJP
G01L 3/10 20060101ALI20220427BHJP
G01L 3/14 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
G01L5/1627
G01L1/22 Z
G01L3/10 311
G01L3/14 L
(21)【出願番号】P 2020568309
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(86)【国際出願番号】 US2020012119
(87)【国際公開番号】W WO2020154077
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-07-21
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520475595
【氏名又は名称】フューテック アドバンスト センサー テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】FUTEK ADVANCED SENSOR TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】リシャク,マチェイ
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】実公昭64-585(JP,Y2)
【文献】実公平7-40185(JP,Y2)
【文献】特許第2614743(JP,B2)
【文献】特許第2769493(JP,B2)
【文献】米国特許第4785896(US,A)
【文献】米国特許第4448085(US,A)
【文献】米国特許第3969935(US,A)
【文献】英国特許出願公開第1335520(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0277562(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0000387(US,A1)
【文献】実公平1-585(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面を備えた反対側に湾曲した上部及び下部を備えた一対の略S字型の外側ビームと、
端面を備えた反対側に湾曲した上部及び下部を有する単一の略S字型の中央ビームと、
の単一の組み合わせを備え、
前記外側ビームの上部及び下部が同じ方向を向く一方で前記中央ビームの上側及び下側湾曲部が反対方向を向き、
前記各ビームが上側及び下側湾曲部に沿って互いに離間するが一体に結合して共通の共通の上部構造及び共通の底部構造を形成し、前記各ビームの各々が歪み集中領域を提供する、トライペダルフレクシャ。
【請求項2】
前記領域の少なくとも一部に装着される歪み感知素子をさらに含む、請求項1に記載のフレクシャ。
【請求項3】
前記外側及び中央ビームの各々が反対向きの露出した端面を有し、前記中央ビームの前記露出した端面が前記外側ビームの前記端面と反対側に向き、前記S字部の内側端面が湾曲する一方で前記S字部の外側端面が平坦である、請求項1に記載のトライペダルフレクシャ。
【請求項4】
前記歪み感知素子が前記平坦な端面上に装着された可変抵抗器である、請求項3に記載のトライペダルフレクシャ。
【請求項5】
前記平坦な端面領域の全てが可変抵抗歪み感知デバイスを備え、それによって前記フレクシャが張力、圧縮力及び/又はトルクの全て又はいずれかを測定できる、請求項3に記載のトライペダルフレクシャ。
【請求項6】
前記フレクシャが単一の材料片から製造された、請求項1に記載のフレクシャ。
【請求項7】
東から西に向いた中央ビームと西から東に向いた2つの側方ビームとを含む3つの略同一のS字型フレクシャビームを備える力及び/又はトルクセンサであって、前記ビームの全てが外側端面を有し、
前記3つのS字型ビームが互いに平行に配置され、横方向に離間しているが一方の軸方向端部で共通の搭載構造によって、また他方の軸方向端部で共通の負荷構造によって一体構造をなし、
前記3つのビームが前記搭載及び負荷構造以外で互いに構造的及び屈曲的に分離し、
前記3つのビームの1つ以上の端面が張力、圧縮力及びトルクの1つ以上の負荷時に電気信号を生成するように計装された、力及び/又はトルクセンサ。
【請求項8】
前記中央ビームの厚さが前記外側ビームの約2倍である、請求項7に記載の力及び/又はトルクセンサ。
【請求項9】
全体構造が0.158インチ程度の高さと、0.118インチ程度の幅と、0.078インチ程度の奥行とを有する、請求項7に記載の力及び/又はトルクセンサ。
【請求項10】
全体構造が、ステンレス鋼、インコネル及びアルミニウムからなるグループから選択された材料を用いた単一の材料片から製造される、請求項7に記載の力及び/又はトルクセンサ。
【請求項11】
前記端面が略S字型フレクシャビームの各々の上の平坦な外側端面及び湾曲した内側端面からなる、請求項7に記載の力及び/又はトルクセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロードセル及びその他の力測定用途で使用されるフレクシャ構造に関し、より具体的には、平行に配置されているが一体の上面及び底面構造のみによって協調的に結合された3つの略S字型のフレクシャビームの一体型の組み合わせからなり、2つの外側のフレクシャビームの内向きのS字型開口が同じ方向を向く一方で中央のフレクシャビームの内向きのS字型開口が反対方向を向いた新規の「トライペダル」フレクシャに関する。ビームの面は、張力、圧縮力若しくはねじり力及び/又はそれらの組み合わせを測定するための様々な組み合わせの歪みゲージを取り付けることができる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、第1の態様によれば、平行で離間した関係で配置されているが、そこに圧縮力、張力及び/又はトルクなどの負荷量を印加できる構造によって上部及び底部で一体に結合された3つの略S字型のフレクシャビームを備えるトライペダルフレクシャである。可変抵抗歪みゲージなどの歪み感知素子を、様々な配置でビームの表面に様々な方法で装着することができる。
【0003】
例えば、中央のビームを専ら張力及び/又は圧縮力を測定するように計装してもよい。或いは、側方ビームをトルクを測定するように計装することもできる。別法として、ビームの全てをトルク、圧縮力及び/若しくは張力並びに/又はそれらの組み合わせを測定するように計装してもよい。
【発明の概要】
【0004】
以下に記載する例示的な実施形態によれば、全てのフレクシャビームは、全て内向きに湾曲した端面と平坦な平面状の外側端面とを有するという点で、「変形S字型」である。理論的には、ビームの内側曲面、又はその平面状の外側端面のいずれかを歪みゲージの取り付けに使用できるが、歪みゲージ又はその他の歪み応答性デバイスを装着するという製造の観点からは平坦な外側端面が好ましい。各ビームは狭い間隔を置いた平面状の平行な側面も備える。
【0005】
フレクシャ全体は、インコネル、ステンレス鋼及びアルミニウムなどの伸縮自在に形成可能な一片の金属材から製造でき、また製造されることが好ましく、例えば100グラムから1000ポンドにわたる様々な負荷範囲に耐える様々なサイズを有していてもよい。微小な、すなわち「ナノ」フレクシャの例示的な寸法については後述する。
【0006】
歪み感知素子は、接着、デポジット、及び/又は印刷などの最先端技術を用いて装着することができる。これらの素子は典型的には可変抵抗器であり、従来の方法でブリッジ回路内に接続されて可変電圧形式の出力信号を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書で、フレクシャ素子を単一の代表的な物理構成に関して開示し、様々な動作モードと様々な歪みゲージ計装の配置とを示す図に提示する。各図は以下の通りである。
【
図1】例示的なトライペダルフレクシャの斜視図である。
【
図2A】
図1のデバイス内のフレクシャビームの構成とその間隔とを示す側面図及び断面図である。
【
図2B】
図1のデバイス内のフレクシャビームの構成とその間隔とを示す側面図及び断面図である。
【
図2C】
図1のデバイス内のフレクシャビームの構成とその間隔とを示す側面図及び断面図である。
【
図3】それぞれ張力及び圧縮モードのフレクシャの2つの斜視図である。
【
図5】
図4のT及びC歪みゲージの一般的なブリッジ回路を示す図である。
【
図6】張力及び圧縮モードの両方で可能なT及びC歪みゲージの場所のマトリックスを示すチャートである。
【
図12】市販製品のパッケージ化コンセプトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~
図3を参照すると、平行に配置されているがわずかに離間した関係で配置された3つの変形S字型のフレクシャビーム12、14及び16を備えるフレクシャ10が示されている。3つのビームは全て、好ましくは一片の金属材から加工され、上部で構造18により、底部で構造20によって一体化されている。
【0009】
フレクシャビーム12及び16を、以下、「外側」ビームと呼び、各ビームは東方向及び西方向を向いた「S字」部分の内向きに湾曲した端面、すなわち、西方向に開いた上部22及び24と一方では東方向に開いた下部26及び28とを有する。
【0010】
中央ビーム14は、概ね外側ビーム12及び16に平行であるが、外側ビームとは正反対に東西方向を向いている。すなわち、中央ビームの上側湾曲端面30は東方向に開いている一方で下部32は西方向に開いている。さらに、中央ビームは外側ビーム12及び16の約2倍の厚さがある。「西」及び「東」という用語は、ここで現実の地理的方向を示すのではなく、単に相対的な方向を示すために使用されており、プラスx及びマイナスxによって水平x軸を示すといった、この向きの配置を記述する他の方法も使用できることは当然である。
【0011】
全てのビームは、歪み感知計装の好ましい場所である平坦な外側端面36、38、40、42及び44を有するように構成されている。
【0012】
図4A~4Dは、例えば、3つのビームの外側端面に「片面」方式で搭載された歪みゲージ抵抗器T及びCを示す。ビーム間の平坦面表面にはゲージは装着されない。文字「T」は張力で屈曲する領域に配置されたゲージを、文字「C」は同じ負荷による圧縮で屈曲して測定される領域を表す。
図5の回路図は片面計装の一般的なブリッジ回路を示し、
図6のチャートは可能なT及びCゲージの場所のマトリックスを示す。
【0013】
図7A及び7Bを参照すると、フレクシャ10の上部構造18に張力が印加されると
図7Bに示すようにフレクシャが歪み(図では誇張されている)、
図4に示す領域の歪みゲージが
図5の回路内に出力電圧を生成するように応答する。圧縮力が印加されると、フレクシャの弾性歪みは
図8Bに示すようになり、歪みゲージ抵抗器の応答は逆になる、すなわち、張力に応答する領域は圧縮応答性を示し、その逆も成り立つ。
【0014】
当業者には明らかであるが、歪みゲージは可変抵抗器として動作し、抵抗の変動はゲージが装着されるフレクシャ10の歪み集中領域内の歪み又は機械的歪みの程度の関数である。可変抵抗器はホイートストーンブリッジ回路に接続されて歪みの程度、すなわち代替的指標では印加された負荷力の程度を表す電圧を生成する。
【0015】
フレクシャ10の片面計装パターンを示す
図4A~4D及び
図5を再度参照すると、この例では、全ての歪みゲージが
図2に関して説明したビームの平坦な平面状の外側端面にのみ搭載されている。
図4Aは、中央ビーム14の下面40に搭載された4つのゲージT1、T2、C1、及びC2と、外側ビーム面36及び38の上端の8つの歪みゲージとを示す。
【0016】
外側ビーム12上の4つのゲージにはC5、C6、T5、及びT6のラベルが付いている。内側ビーム14の反対側の各ゲージにはC4、C3、T4、及びT3のラベルが付いている。
図5の回路図及び
図6のチャートは、ラベル付けされた抵抗器と、場所を
図5に相関させる指定子x及びyとを用いて典型的な回路図を形成する方法を示す。
【0017】
図10及び11に戻ると、典型的な両面計装図が示されている。ここでもまた、ラベルC1、C2、T1、T2などはビーム上及びブリッジ回路内の張力及び圧縮センサを表す。
【0018】
図12は、フレクシャ10の市販のパッケージ化コンセプトを示す図である。回路基板60が好適には中央ビーム14の下部構造及び外側下部端面に固定されている。上部構造にはフレクシャへ接続するためのコンポーネントを受けるねじ穴62が形成されている。
【0019】
例えば、これに限定されないが、実行可能なフレクシャは、0.4インチ×0.18インチ×0.14インチ(H×W×D)の寸法で、従来の接着型歪みゲージを用いていた。それよりも小型のデバイスは、わずか0.158インチ×0.118インチ×0.078インチ(H×W×D)の寸法で、全ブリッジ感知素子を計装していた。上部及び/又は下部構造のねじ穴、負荷ボタン、及び/又は貫通穴などの様々な手段を用いてフレクシャに力を伝達できることが理解されよう。
【0020】
フレクシャを搭載面で拘束し、負荷面に対して垂直に張力又は圧縮力を印加することで、逆方向に動作する2つの側方ビーム12、16と連動してプライマリ中央ビームがたわみ、フレクシャ10の負荷面と搭載面との間の平行な同心円運動が形成される。トライペダルフレクシャのこの平行運動においては、張力又は圧縮負荷の下で、フレクシャ構造は、力又はトルク感知用途のための歪み測定に利用できる6つの集中率の歪み測定場所を生成する。
【0021】
トライペダルビームの一意的な特徴は、3つのトライペダル屈曲ビーム12、14、及び16が負荷方向に対して垂直にたわむという事実である。これは、プライマリ中央ビーム14のたわみに対する側方ビームの反作用によって歪み測定面領域が測定される力の方向に平行になることに原因がある。
【0022】
張力及び圧縮荷重を受ける間、2つの張力及び圧縮歪み測定ゾーンは、測定されたz軸上の力の方向に平行な向きの3つのビーム面の各々に分散される。トライペダルフレクシャの高集中の超コンパクトな応力パターンは従来の屈曲ビーム能力を凌ぐ超小型センサ設計を可能にするだけでなく、これに限定されないが、単一の全ブリッジゲージ設計、又はプリンテッド、デポジットひずみゲージ技術による計装プロセスの合理化及び統合を可能にする。
【0023】
負荷時の歪み量デルタの変化を測定するためにプライマリ屈曲ビームの片側の張力及び圧縮ゾーンのみを計装することで力の測定を行うことができるが、この設計意図は、プライマリビームの両面計装も可能にして性能を向上させることにあった。特殊な状況では、トルク測定、マルチコンポーネント測定を可能にし、又はオフセンター負荷能力及びサイン誤り訂正オプションの改善に用いるために、側方カウンタビームを計装に使用することができる。
【0024】
本発明が例示的な実施形態に関して例示され記述されており、請求の範囲に規定する本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明に様々な変更及び変更を加えることが可能であることが理解されよう。