(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-26
(45)【発行日】2022-05-10
(54)【発明の名称】反転されたMRAM素子の垂直配向を有する改善されたMRAMクロスポイントメモリ
(51)【国際特許分類】
G11C 11/16 20060101AFI20220427BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20220427BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20220427BHJP
H01L 43/08 20060101ALI20220427BHJP
H01L 45/00 20060101ALI20220427BHJP
H01L 49/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
G11C11/16 220
H01L27/105 447
H01L43/08 Z
H01L45/00 Z
H01L49/00 Z
G11C11/16 230
G11C11/16 240
(21)【出願番号】P 2021103631
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511242535
【氏名又は名称】サンディスク テクノロジーズ エルエルシー
【住所又は居所原語表記】5080 Spectrum Drive,Suite 1050W,Addison,Texas 75001,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワード・パーキンソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス・オトゥール
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・フランキン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・トレント
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-191837(JP,A)
【文献】特開2004-95162(JP,A)
【文献】特開2004-5972(JP,A)
【文献】特開2013-137851(JP,A)
【文献】国際公開第2011/152061(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/16
H01L 21/8239
H01L 43/08
H01L 45/00
H01L 49/00
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
不揮発性メモリであって、
基板と、
前記基板上に形成された1つ以上のメモリアレイと、を備え、前記アレイの各々は、
前記基板の表面に平行な第1の方向に延びる第1の組の導電線と、
前記第1の組の導電線の上に形成されており、前記基板の前記表面に平行な第2の方向に延びる第2の組の導電線と、
前記第2の組の導電線の上に形成されており、前記第1の方向に延びる第3の組の導電線と、
各々が前記第1の組の導電線の対応する1つと前記第2の組の導電線の対応する1つとの間に接続された第1の複数のメモリセルであって、各々の前記第1の複数のメモリセルが磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスと直列に接続された閾値切替セレクタを含み、前記第1の複数のメモリセルの各々の前記MRAMデバイスが、
固定磁場極性を有する基準層と、
前記基準層と直列に接続されており、プログラム可能な磁場極性を有する自由層であって、前記基準層の下に形成されている、自由層と、を含む、第1の複数のメモリセルと、
各々が前記第2の組の導電線の対応する1つと前記第3の組の導電線の対応する1つとの間に接続された第2の複数のメモリセルであって、各々の第2の複数のメモリセルが、MRAMデバイスと直列に接続された閾値切替セレクタを含み、前記
第2の複数のメモリセルの各々のMRAMデバイスが、
固定磁場極性を有する基準層と、
前記基準層と直列に接続されており、プログラム可能な磁場極性を有する自由層であって、前記基準層の上に形成されている、自由層と、を含む、第2の複数のメモリセルと、を備える、装置。
【請求項2】
前記不揮発性メモリはメモリダイ上に形成され、前記装置は、
前記メモリダイに接続されており、前記1つ以上のメモリアレイにデータを書き込む、及び前記1つ以上のメモリアレイからデータを読み出す、ように構成された制御ダイであって、前記メモリダイとは別個に形成され、前記メモリダイに結合されている、制御ダイを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1、第2、及び第3の組の導電線に接続された1つ以上の制御回路を更に備え、前記1つ以上の制御回路は、
前記第1の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出し、
前記第3の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出し、
前記第1の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込み、
前記第1の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも高い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第2の状態から前記第1の状態に書き込み、
前記第3の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第1の状態から前記第2の状態に書き込み、
前記第3の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも高い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第2の状態から前記第1の状態に書き込む、ように構成された制御回路である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の状態は高抵抗状態であり、前記第2の状態は低抵抗状態である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の制御回路は、
前記第1の組の導電線のうちの対応する1つにそれぞれ接続された第1の組のドライバと、
前記第2の組の導電線のうちの対応する1つにそれぞれ接続された第2の組のドライバと、
前記第3の組の導電線のうちの対応する1つにそれぞれ接続された第3の組のドライバと、を含み、
前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出す際に、前記第1の組のドライバのうちの対応する1つが、Nチャネルデバイスによって前記対応する第1の導電線を低電圧レベルに接続し、前記第2の組のドライバのうちの対応する1つが、Pチャネルデバイスによって前記対応する第2の導電線を高電圧レベルに接続し、
前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出す際に、前記第3の組のドライバのうちの対応する1つが、Nチャネルデバイスによって前記対応する第3の導電線を前記低電圧レベルに接続し、前記第2の組のドライバのうちの対応する1つが、Pチャネルデバイスによって前記対応する第2の導電線を前記高電圧レベルに接続する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを読み出す際に、前記第2の組のドライバのうちの前記対応する1つは、前記第1の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを通して読み出し電流を駆動するように構成されており、
前記第2の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを読み出す際に、前記第2の組のドライバのうちの前記対応する1つは、前記第2の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを通して前記読み出し電流を駆動するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の制御回路は、前記第2の組の導電線のうちの第1の1つに接続された前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つ、及び前記第2の組の導電線のうちの前記第1の1つに接続された前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つ、を同時に読み出すように更に構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の組の導電線は、前記第1の組の導電線及び前記第3の組の導電線の両方よりも長い、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の複数のメモリセルの各々において、前記閾値切替セレクタは、前記直列接続されたMRAMデバイスの下に形成され、前記第2の複数のメモリセルの各々において、前記閾値切替セレクタは、前記直列接続されたMRAMデバイスの下に形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
方法であって、
第2の導電線から対応する第1の導電線に読み出し電流を強制的に流すことによって、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つのデータ状態を感知することであって、前記第1の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つは、前記第1の複数のメモリセル及び第2の複数のメモリセルを含むアレイの一部であり、前記第1及び前記第2の複数のメモリセルの各々は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスと直列に接続された閾値切替セレクタを含む、感知することと、
前記対応する第2の導電線から対応する第3の導電線に前記読み出し電流を強制的に流すことによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つのデータ状態を感知することと、
前記対応する第2の導電線から前記対応する第1の導電線に書き込み電流を強制的に流すことによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込むことと、
前記対応する第1の導電線から前記対応する第2の導電線に前記書き込み電流を強制的に流すことによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第2の状態から前記第1の状態に書き込むことと、
前記対応する第2の導電線から前記対応する第3の導電線に前記書き込み電流を強制的に流すことによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込むことと、
前記対応する第3の導電線から前記対応する第2の導電線に前記書き込み電流を強制的に流すことによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第2の状態から前記第1の状態に書き込むことと、を含む、方法。
【請求項11】
第1の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つの前記データ状態を前記感知することと、前記第2の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つの前記データ状態を前記感知することとは同時に実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の導電線から前記対応する第1の導電線に前記読み出し電流を強制的に流すことによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つの前記データ状態を感知することは、Nチャネルデバイスによって前記対応する第1の導電線を低電圧レベルに接続することを含み、
前記対応する第2の導電線から前記対応する第3の導電線に前記読み出し電流を強制的に流すことによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つの前記データ状態を感知することは、Nチャネルデバイスによって前記対応する第3の導電線を前記低電圧レベルに接続することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
装置であって、
磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスと直列に接続された閾値切替セレクタをそれぞれ有するメモリセルのアレイに接続するように構成されたコントローラ回路を備え、前記アレイは、第1の組の導電
線のうちの対応する1つと、第2の組の導電
線のうちの対応する1つとの間にそれぞれ接続された第1の複数のメモリセルと、第3の組の導電
線のうちの対応する1つと、前記第2の組の導電
線のうちの対応する1つとの間にそれぞれ接続された第2の複数のメモリセルと、
を含み、前記コントローラ回路は、
前記第1の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出し、
前記第3の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出し、
前記第1の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込み、
前記第1の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも高い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第2の状態から前記第1の状態に書き込み、
前記第3の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第1の状態から前記第2の状態に書き込み、
前記第3の組の導電線のうちの前記対応する1つに、前記第2の組の導電線のうちの前記対応する1つよりも高い電圧へとバイアスをかけることによって、前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを前記第2の状態から前記第1の状態に書き込むように構成され
ている、装置。
【請求項14】
前記コントローラ回路は、
各々が前記第1の組の導電線のうちの対応する1つに接続するように構成された第1の組のドライバと、
各々が前記第2の組の導電線のうちの対応する1つに接続するように構成された第2の組のドライバと、
各々が前記第3の組の導電線のうちの対応する1つに接続するように構成された第3の組のドライバと、を備え、
前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出す際に、前記第1の組のドライバのうちの対応する1つが、Nチャネルデバイスによって前記対応する第1の導電線を低電圧レベルに接続し、前記第2の組のドライバのうちの対応する1つが、Pチャネルデバイスによって前記対応する第2の導電線を高電圧レベルに接続し、
前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出す際に、前記第3の組のドライバのうちの対応する1つが、Nチャネルデバイスによって前記対応する第3の導電線を前記低電圧レベルに接続し、前記第2の組のドライバのうちの対応する1つが、Pチャネルデバイスによって前記対応する第2の導電線を前記高電圧レベルに接続する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを読み出す際に、前記第2の組のドライバのうちの前記対応する1つは、前記第1の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを通して読み出し電流を駆動するように構成されており、
前記第2の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを読み出す際に、前記第2の組のドライバのうちの前記対応する1つは、前記第2の複数のメモリセルのうちの前記選択された1つを通して前記読み出し電流を駆動するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記コントローラ回路は、前記第2の組の導電線のうちの第1の1つに接続された前記第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つ、及び前記第2の組の導電線のうちの前記第1の1つに接続された前記第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを、同時に読み出すように更に構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記
コントローラ回路は制御ダイ上に形成され、前記装置は、
メモリセルの前記アレイを含むメモリダイであって、前記制御ダイとは別個に形成され、前記制御ダイに結合されている、メモリダイを更に備える、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
メモリセルの前記アレイを更に備え、メモリセルの前記アレイは、
基板と、
前記基板の表面に平行な第1の方向に延びる前記第1の組の導電線と、
前記第1の組の導電線の上に形成されており、前記基板の前記表面に平行な第2の方向に延びる前記第2の組の導電線と、
前記第2の組の導電線の上に形成されており、前記第1の方向に延びる前記第3の組の導電線と、
前記第1の組の導電線の対応する1つと前記第2の組の導電線の対応する1つとの間にそれぞれ接続された前記第1の複数のメモリセルであって、前記第1の複数のメモリセルの各々の前記MRAMデバイスが、
固定磁場極性を有する基準層と、
前記基準層と直列に接続されており、プログラム可能な磁場極性を有する自由層であって、前記基準層の下に形成されている、自由層と、を含む、第1の複数のメモリセルと、
各々が前記第2の組の導電線の対応する1つと前記第3の組の導電線の対応する1つとの間に接続された第2の複数のメモリセルであって、前記
第2の複数のメモリセルの各々のMRAMデバイスが、
固定磁場極性を有する基準層と、
前記基準層と直列に接続されており、プログラム可能な磁場極性を有する自由層であって、前記基準層の上に形成されている、自由層と、を含む、第2の複数のメモリセルと、を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
前記第2の組の導電線は、前記第1の組の導電線及び前記第3の組の導電線の両方よりも長い、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の状態は高抵抗状態であり、前記第2の状態は低抵抗状態である、請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
メモリは、携帯電話、デジタルカメラ、個人情報端末、医療用電子機器、モバイルコンピューティングデバイス、非モバイルコンピューティングデバイス、及びデータサーバなどの様々な電子デバイスに広く使用されている。メモリは、不揮発性メモリ又は揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリにより、不揮発性メモリが電源(例えば、電池)に接続されていないときでも、情報を記憶及び保持することが可能になる。
【0002】
不揮発性メモリの一例として、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random access memory、MRAM)があり、これは、データを記憶するために電子電荷を使用するいくつかの他のメモリ技術とは対照的に、記憶されるデータを表すために磁化を使用する。一般に、MRAMは、半導体基板上に形成された数多くの磁気メモリセルを含み、そこでは、各メモリセルが、(少なくとも)1ビットのデータを表す。データのビットは、メモリセル内の磁気素子の磁化方向を変化させることによって、メモリセルに書き込まれ、ビットは、メモリセルの抵抗を測定することによって読み出される(低抵抗は、典型的には「0」ビットを表し、高抵抗は、典型的には「1」ビットを表す)。本明細書で使用されるとき、磁化方向とは、磁気モーメントが配向する方向である。
【0003】
MRAMは、有望な技術ではあるが、従前のMRAMメモリセル設計では、高速書き込み動作のための高ビット密度及び高耐久性を達成することは、困難である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
同様に番号付けされた要素は、異なる図で共通の構成要素を指す。
【0005】
【
図1】ホストに接続されたメモリシステムの一実施形態のブロック図である。
【0006】
【
図2】フロントエンドプロセッサ回路の一実施形態のブロック図である。いくつかの実施形態では、フロントエンドプロセッサ回路は、コントローラの一部である。
【0007】
【
図3】バックエンドプロセッサ回路の一実施形態のブロック図である。いくつかの実施形態では、バックエンドプロセッサ回路は、コントローラの一部である。
【0008】
【
図4】メモリパッケージの一実施形態のブロック図である。
【0009】
【
図5】メモリダイの一実施形態を示すブロック図である。
【0010】
【
図6A】ウェハ-ウェハ接合を通してメモリ構造に結合された制御回路の一例を示す。
【
図6B】ウェハ-ウェハ接合を通してメモリ構造に結合された制御回路の一例を示す。
【0011】
【
図7A】クロスポイントアーキテクチャを形成するメモリアレイの一部分の一実施形態を斜視で示す。
【0012】
【
図7B】
図7Aのクロスポイント構造の側面図及び上面図をそれぞれ示す。
【
図7C】
図7Aのクロスポイント構造の側面図及び上面図をそれぞれ示す。
【0013】
【
図7D】クロスポイントアーキテクチャを形成する2レベルメモリアレイの一部分の実施形態を斜視で示す。
【0014】
【
図8A】MRAMメモリセルの構造の実施形態を示す。
【
図8B】MRAMメモリセルの構造の実施形態を示す。
【0015】
【
図9】クロスポイントアレイで実装されるMRAMメモリセル設計の実施形態をより詳細に示す。
【0016】
【
図10A】スピントルクトランスファー(STT)機構を使用することによるMRAMメモリセルの書き込みを示す。
【
図10B】スピントルクトランスファー(STT)機構を使用することによるMRAMメモリセルの書き込みを示す。
【0017】
【
図11A】クロスポイントアーキテクチャを有するMRAMメモリアレイに閾値切替セレクタを組み込むための実施形態を示す。
【
図11B】クロスポイントアーキテクチャを有するMRAMメモリアレイに閾値切替セレクタを組み込むための実施形態を示す。
【0018】
【
図12】複数のメモリセルが同時にアクセスされる、クロスポイントアーキテクチャを有するメモリアレイの実施形態を示す。
【0019】
【
図13】ドライバからビット線及びワード線への接点の位置を示す、クロスポイントアーキテクチャを有するメモリアレイの実施形態を示す。
【0020】
【
図14】クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルに同時にアクセスするプロセスの一実施形態のフローチャートである。
【0021】
【
図15】SSRを実行することを含む、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルに同時にアクセスするプロセスの一実施形態を示すフローチャートである。
【0022】
【
図16A】SRR中の選択されたワード線を通して駆動されるアクセス電流に対する電流対時間を示す。
【0023】
【
図16B】SRR中の選択されたMRAMセルにわたる電圧の電圧対時間を示し、
図16Aに対応する。
【0024】
【
図17】破壊的SRR後にMRAMセルにデータを書き戻すためのプロセスのフローチャートを示す。
【0025】
【
図18】MRAMセルにデータを書き込む第2の段階のプロセスのフローチャートを示す。
【0026】
【
図19A】選択されたワード線に提供される書き込み電流に対する書き込み電流対時間を示す。
【0027】
【0028】
【
図20】全ての選択されたMRAMセルが最初にAP状態又はP状態のうちの一方に書き込まれる、MRAMセルを同時に書き込むプロセスのフローチャートである。
【0029】
【
図21A】読み出し動作における
図11A及び11Bの層1セルに対する電流及び電圧それぞれに対する波形の組の実施形態である。
【
図21B】読み出し動作における
図11A及び11Bの層1セルに対する電流及び電圧それぞれに対する波形の組の実施形態である。
【0030】
【
図22】閾値切替セレクタがオフ状態からオン状態に切り替わるときのMRAMデバイスにわたる電圧の一例を示す。
【0031】
【
図23】読み出し動作における静電容量を最小化するために、下部層内のMRAMデバイスが上部層に対して反転されている、クロスポイントメモリアーキテクチャの2つの層の実施形態を示す。
【0032】
【
図24】
図23の構造を使用して自己参照読み出しを実行するための実施形態のフローチャートである。
【0033】
【
図25】
図23の構造を形成するための実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
クロスポイント型アーキテクチャを有するメモリアレイでは、第1の組の導電線が基板の表面を横切って延び、第2の組の導電線が第1の組の導電線の上に形成され、第1の組の導電線に垂直な方向に基板上を延びる。メモリセルは、2組の導電線のクロスポイント接合部に配置される。メモリセルの実施形態は、セレクタスイッチと直列に接続されたMRAMメモリデバイスなどのプログラム可能な抵抗素子を含むことができる。1つのタイプのセレクタスイッチは、トランジスタなどの他の切替素子に対して追加の制御線を必要とせずに、少量の面積で実装することができる、オボニック閾値スイッチ(OTS)などの閾値切替セレクタである。電圧又は電流が特定のレベル、閾値電圧(Vth)又は閾値電流(Ith)を上回る場合、抵抗と直列のVholdが閾値切替セレクタにわたって又はそれを通して印加され、閾値切替セレクタは導電状態に切り替わる。閾値切替セレクタが最初にオンになると、VholdがVth未満となり得るため、特に(セレクタを厚くすることによって)Vthがより高いと漏れがより少なくなるので、直列接続されたMRAMデバイスにわたって過渡電圧スパイクが配置される。また、より低いVholdは、3.3Vなどの所与の電源のためのより利用可能な書き込み電流をもたらす。この過渡電流は、Iread又はIwriteよりも簡単に大きくなり得、メモリセルの状態が感知され得る前にメモリセルの状態を変更してディスターブをもたらし得る。選択されたメモリビットに接続されたセル、線、並びにトランジスタ選択及びドライバの容量を低減することなどによって、過渡電圧スパイクをより迅速に消散させることによって、そのようなディスターブのリスクを低減することができ、感知動作をより早く実行することができる。
【0035】
2つ以上のメモリセル層を有するクロスポイントアーキテクチャでは、各層のMRAMデバイスは、典型的には、MRAMデバイスの層の同じ垂直配向で形成される。MRAMデバイスは方向性を有し、メモリセルを書き込むためにスピントランスファートルクを使用するとき、一方向に印加される電流は、MRAMデバイスを高抵抗の逆平行状態(HRS又はAP)から低抵抗状態平行(LRS又はP)に書き込むために使用され、MRAMデバイスを低抵抗状態から高抵抗状態に書き込むために反対方向に印加される。この方向性のために、PからAPにビットを書き込むためにより長い時間より多くの電流が必要とされ得るので、メモリセルを感知するときに読み出し電流を印加するための好ましい方向もしばしば存在する。異なる層のメモリセルが同じ配向を有することにより、これらの層のうちの1つは、閾値切替セレクタが読み出し動作のためにオンになるとき、そのドライバ容量がより小さくなり得るため、過渡電圧スパイクをより迅速に放電することができる。一方の層のMRAM構造を他方の層に対して反転させることによって、両方の層に、このスパイクをより迅速に消散させることを可能にする配向を与えることができ、それが感知される前に記憶されたデータ状態を変更する可能性を低減する。これはまた、読み出し待ち時間アクセス時間の改善をもたらし得る。
【0036】
図1は、ホスト120に接続されたメモリシステム100の一実施形態のブロック図である。メモリシステム100は、過度にドリフトしたクロスポイントメモリアレイの動作のために、本明細書に提示される技術を実装することができる。多くの異なるタイプのメモリシステムを、本明細書で提案する技術と共に使用することができる。例示的なメモリシステムは、ソリッドステートドライブ(「SSD」)、DRAM置き換え用のデュアルインラインメモリ(DIMM)を含むメモリカード、及び埋め込みメモリデバイスを含む。しかしながら、他のタイプのメモリシステムも使用することができる。
【0037】
図1のメモリシステム100は、コントローラ102と、データを記憶するための不揮発性メモリ104と、ローカルメモリ(例えば、DRAM/ReRAM)106とを含む。コントローラ102は、フロントエンドプロセッサ(FEP)回路110、及び1つ以上のバックエンドプロセッサ(BEP)回路112を含む。一実施形態では、FEP回路110は、特定用途向け集積回路(ASIC)上に実装される。一実施形態では、各BEP回路112は、別個のASIC上に実装される。他の実施形態では、統合コントローラASICは、フロントエンド機能及びバックエンド機能の両方を組み合わせることができる。BEP回路112及びFEP回路110のそれぞれのASICは、コントローラ102がシステムオンチップ(「SoC」)として製造されるように、同じ半導体上に実装される。FEP回路110及びBEP回路112は両方とも、自身のプロセッサを含む。一実施形態では、FEP回路110及びBEP回路112は、FEP回路110がマスターであり各BEP回路112がスレーブである、マスタースレーブ構成として機能する。例えば、FEP回路110は、メモリ管理(例えば、ガベージコレクション、ウェアレベリングなど)、論理アドレスから物理アドレスへのアドレス変換、ホストとの通信、DRAM(ローカル揮発性メモリ)の管理、及びSSD(又は他の不揮発性記憶システム)の全体動作の管理を実行する、フラッシュ変換層(FTL)又はメディア管理層(MML)を実装する。BEP回路112は、FEP回路110の要求時にメモリパッケージ/ダイ内のメモリ動作を管理する。例えば、BEP回路112は、読み出し、消去、及びプログラミングプロセスを実行することができる。更に、BEP回路112は、バッファ管理、FEP回路110が必要とする特定の電圧レベルの設定、エラー訂正(ECC)、メモリパッケージへのトグルモードインターフェースの制御などを行うことができる。一実施形態では、各BEP回路112は、それ自体のメモリパッケージの組を担当する。
【0038】
一実施形態では、不揮発性メモリ104は、複数のメモリパッケージを含む。各メモリパッケージは、1つ以上のメモリダイを含む。したがって、コントローラ102は、1つ以上の不揮発性メモリダイに接続される。一実施形態では、メモリパッケージ104内の各メモリダイは、NANDフラッシュメモリ(2次元NANDフラッシュメモリ及び/又は3次元NANDフラッシュメモリを含む)を利用する。他の実施形態では、メモリパッケージは、抵抗性ランダムアクセスメモリ(ReRAM、MRAM、FeRAM又はRRAMなど)又は相変化メモリ(PCM)に基づくストレージクラスメモリ(SCM)などの他のタイプのメモリを含むことができる。別の実施形態では、BEP又はFEPは、メモリダイ上に含まれる。
【0039】
コントローラ102は、例えば、PCIエクスプレス(PCIe)上のNVMエクスプレス(NVMe)のようなプロトコルを実装するインターフェース130を介して、又は、DDR5若しくはLPDDR5のようなJEDEC標準ダブルデータレート(DDR)もしくは低電力ダブルデータレート(LPDDR)インターフェースを使用して、ホスト120と通信する。メモリシステム100と協働するために、ホスト120は、バス128に沿って接続されたホストプロセッサ122と、ホストメモリ124と、PCIeインターフェース126とを含む。ホストメモリ124は、ホストの物理メモリであり、DRAM、SRAM、不揮発性メモリ、又は別のタイプのストレージであり得る。ホスト120は、メモリシステム100の外部にあり、メモリシステム100とは別個である。一の実施形態では、メモリシステム100はホスト120内に埋め込まれる。
【0040】
図2は、FEP回路110の一実施形態のブロック図である。
図2は、ホスト120と通信するPCIeインターフェース150と、そのPCIeインターフェースと通信するホストプロセッサ152とを示す。ホストプロセッサ152は、実装に好適な、当該技術分野において既知の任意のタイプのプロセッサであり得る。ホストプロセッサ152は、ネットワークオンチップ(NOC)154と通信している。NOCは、典型的にはSoC内のコア間の、集積回路上の通信サブシステムである。NOCは、同期及び非同期クロックドメインにまたがるか、又はロックされていない非同期論理を使用することができる。NOC技術は、ネットワーキング理論及び方法をオンチップ通信に適用し、従来のバス及びクロスバー相互接続に顕著な改善をもたらす。NOCは、他の設計と比較して、SoCのスケーラビリティ及び複雑なSoCの電力効率を向上させる。NOCのワイヤ及びリンクは、多くの信号によって共有される。NOC内の全てのリンクが異なるデータパケット上で同時に動作することができるため、高レベルの並列性が達成される。したがって、統合サブシステムの複雑性が増大し続けると、NOCは、以前の通信アーキテクチャ(例えば、専用のポイントツーポイント信号ワイヤ、共有バス、又はブリッジを有するセグメント化バス)と比較して、向上した性能(スループットなど)及びスケーラビリティをもたらす。メモリプロセッサ156、SRAM160、及びDRAMコントローラ162はNOC154に接続され、これと通信している。DRAMコントローラ162は、DRAM(例えば、DRAM106)を動作させこれと通信するために使用される。SRAM160は、メモリプロセッサ156によって使用されるローカルRAMメモリである。メモリプロセッサ156は、FEP回路を動作させ、様々なメモリ動作を実行するために使用される。また、NOCと通信するのは、2つのPCIeインターフェース164、166である。
図2の実施形態では、SSDコントローラは、2つのBEP回路112を含む。したがって、2つのPCIeインターフェース164/166が存在する。各PCIeインターフェースは、BEP回路112のうちの1つと通信する。他の実施形態では、2つより多い又は少ないBEP回路112が存在し得る。したがって、3つ以上のPCIeインターフェースが存在し得る。
【0041】
FEP回路110はまた、メモリ管理(例えば、ガベージコレクション、ウェアレベリング、負荷バランシングなど)、論理アドレスから物理アドレスへのアドレス変換、ホストとの通信、DRAM(ローカル揮発性メモリ)の管理、及びSSD(又は他の不揮発性記憶システム)の全体動作の管理を実行する、フラッシュ変換層(FTL)、又はより一般的にはメディア管理層(MML)158を含むことができる。メディア管理層MML158は、メモリエラー、及びホストとのインターフェースを処理することができるメモリ管理の一部として統合することができる。具体的には、MMLは、FEP回路110内のモジュールであってもよく、メモリ管理の内部を担当してもよい。具体的には、MML158は、ホストからの書き込みをダイのメモリ構造(例えば、以下の
図5及び
図6の502/602)への書き込みに変換するメモリデバイスファームウェア内のアルゴリズムを含むことができる。MML158は、1)メモリの耐久性が限られている場合があること、2)メモリ構造がページの倍数単位でのみ書き込むことができること、及び/又は3)メモリ構造はブロックとして消去されない限り書き込むことができないことを理由に必要とされ得る。MML158は、ホストにとって可視でない可能性がある、メモリ構造のこれらの潜在的制約を理解する。したがって、MML158は、ホストからの書き込みをメモリ構造内への書き込みに変換しようと試みる。
【0042】
図3は、BEP回路112の一実施形態のブロック図である。
図3は、FEP回路110と通信する(例えば、
図2のPCIeインターフェース164及び166のうちの1つと通信する)ためのPCIeインターフェース200を示す。PCIeインターフェース200は、2つのNOC202及び204と通信している。一実施形態では、2つのNOCを、1つの大きなNOCに組み合わせることができる。各NOC(202/204)は、XORエンジン(224/254)及びECCエンジン(226/256)を介して、SRAM(230/260)、バッファ(232/262)、プロセッサ(220/250)、及びデータ経路コントローラ(222/252)に接続される。ECCエンジン226/256は、当該技術分野において既知のように、エラー訂正を実行するために使用される。XORエンジン224/254は、データをXOR演算するために使用され、その結果、データは、プログラミングエラーがある場合に復元することができる方法で組み合わされ、記憶され得る。データ経路コントローラ222は、4つのチャネルを介してメモリパッケージと通信するためのインターフェースモジュールに接続される。したがって、上部NOC202は、メモリパッケージと通信するための4つのチャネルのためのインターフェース228に関連付けられ、下部NOC204は、メモリパッケージと通信するための4つの追加のチャネルのためのインターフェース258と関連付けられる。各インターフェース228/258は、4つのトグルモードインターフェース(TMインターフェース)、4つのバッファ、及び4つのスケジューラを含む。チャネルのそれぞれについて、1つのスケジューラ、バッファ、及びTMインターフェースが存在する。プロセッサは、当該技術分野において既知の任意の標準的プロセッサであり得る。データ経路コントローラ222/252は、プロセッサ、FPGA、マイクロプロセッサ、又は他のタイプのコントローラであり得る。XORエンジン224/254及びECCエンジン226/256は、ハードウェアアクセラレータとして知られる専用ハードウェア回路である。他の実施形態では、XORエンジン224/254及びECCエンジン226/256は、ソフトウェアで実装され得る。スケジューラ、バッファ、及びTMインターフェースは、ハードウェア回路である。
【0043】
図4は、メモリバス(データ線及びチップイネーブル線)294に接続された複数のメモリダイ292を含むメモリパッケージ104の一実施形態のブロック図である。メモリバス294は、BEP回路112のTMインターフェースと通信するためのトグルモードインターフェース296に接続する(例えば、
図3を参照)。いくつかの実施形態では、メモリパッケージは、メモリバス及びTMインターフェースに接続された小型コントローラを含むことができる。メモリパッケージは、1つ以上のメモリダイを有することができる。一実施形態では、各メモリパッケージは、8つ又は16個のメモリダイを含むが、他の数のメモリダイもまた実装することができる。別の実施形態では、トグルインターフェースは、その代わりに、緩和された時間の組又はより小さいページサイズなどの変動を伴うか又は伴わない、JEDEC標準のDDR又はLPDDRである。本明細書に記載の技術は、特定の数のメモリダイに限定されない。
【0044】
図5は、本明細書に記載された技術を実装することができるメモリダイ500の一例を示すブロック図である。
図4のメモリダイ292のうちの1つに対応することができるメモリダイ500は、以下に記載されるメモリセルのいずれかを含むことができるメモリアレイ502を含む。メモリアレイ502のアレイ分界線は、行として編成されたワード線の様々な層、及び列として編成されたビット線の様々な層を含む。ただし、他の配向もまた、実装することができる。メモリダイ500は、行制御回路520を含み、その出力508は、メモリアレイ502のそれぞれのワード線に接続されている。行制御回路520は、M行アドレス信号のグループ、及びシステム制御ロジック560からの1つ以上の様々な制御信号を受信し、典型的には、行デコーダ522、アレイ終端ドライバ524、及びブロック選択回路526のような回路を、読み出し動作及び書き込み動作の両方に対して含むことができる。行制御回路520はまた、読み出し/書き込み回路を含んでもよい。一実施形態では、行制御回路520は、各々がメモリアレイ502のワード線の状態(例えば、電圧)を感知するための回路を含むセンス増幅器528を有する。一実施形態では、ワード線電圧を感知することによって、クロスポイントアレイ内のメモリセルの状態が決定される。メモリダイ500はまた、列制御回路510も含み、その入力/出力506は、メモリアレイ502のそれぞれのビット線に接続されている。アレイ502に対して単一のブロックのみが示されているが、メモリダイは、個別にアクセスすることができる複数のアレイ又は「タイル」を含むことができる。列制御回路510は、N列アドレス信号のグループ、及びシステム制御ロジック560からの1つ以上の様々な制御信号を受信し、典型的には、列デコーダ512、アレイ終端受信器又はドライバ514、ブロック選択回路516、並びに読み出し/書き込み回路及びI/Oマルチプレクサなどの回路を含むことができる。
【0045】
システム制御ロジック560は、ホストからのデータ及び命令を受信し、ホストに出力データ及びステータスを提供する。他の実施形態では、システム制御ロジック560は、別個のコントローラ回路からデータ及び命令を受信し、出力データをそのコントローラ回路に提供し、コントローラ回路がホストと通信する。いくつかの実施形態では、システム制御ロジック560は、メモリ動作のダイレベル制御を提供するステートマシン562を含むことができる。一実施形態では、ステートマシン562は、ソフトウェアによってプログラム可能である。他の実施形態では、ステートマシン562は、ソフトウェアを使用せず、ハードウェア(例えば電気回路)内に完全に実装される。別の実施形態では、ステートマシン562は、メモリチップ上又はメモリチップ外のいずれかのマイクロコントローラ又はマイクロプロセッサに置き換えられる。システム制御ロジック560はまた、メモリ動作中にメモリ502の行及び列に供給される電力及び電圧を制御する電力制御モジュール564を含むことができ、調整電圧を生成するためのチャージポンプ及びレギュレータ回路を含むことができる。システム制御ロジック560は、メモリアレイ502を動作させるためのパラメータを記憶するために使用され得る記憶装置566を含む。
【0046】
コマンド及びデータは、メモリコントローラインターフェース568(「通信インターフェース」とも呼ばれる)を介してコントローラ102とメモリダイ500との間で転送される。メモリコントローラインターフェース568は、メモリコントローラ102と通信するための電気的インターフェースである。メモリコントローラインターフェース568の例としては、トグルモードインターフェース及びオープンNANDフラッシュインターフェース(ONFI)が挙げられる。他のI/Oインターフェースも使用され得る。例えば、メモリコントローラインターフェース568は、メモリコントローラ102用のメモリインターフェース228/258のトグルモードインターフェースに接続するトグルモードインターフェースを実装してもよい。一実施形態では、メモリコントローラインターフェース568は、コントローラ102に接続する1組の入力ピン及び/又は出力(I/O)ピンを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、システム制御ロジック560を含むメモリダイ500の素子の全ては、単一ダイの一部として形成され得る。他の実施形態では、システム制御ロジック560の一部又は全ては、異なるダイ上に形成され得る。
【0048】
本明細書の目的のために、「1つ以上の制御回路」という語句は、コントローラ、ステートマシン、マイクロコントローラ、及び/又はシステム制御ロジック560によって表される他の制御回路、又は不揮発性メモリを制御するために使用される他の類似の回路を含むことができる。
【0049】
一実施形態では、メモリ構造502は、ウェハなどの単一の基板上に複数のメモリレベルが形成される不揮発性メモリセルの3次元メモリアレイを含む。メモリ構造は、シリコン(又は他の種類の)基板上に配置された活性領域を有するメモリセルの1つ以上の物理的レベルに、モノリシックに形成される任意の種類の不揮発性メモリを含み得る。一実施例では、不揮発性メモリセルは、電荷トラップを有する垂直NANDストリングを含む。
【0050】
別の実施形態では、メモリ構造502は、不揮発性メモリセルの2次元メモリアレイを含む。一実施例では、不揮発性メモリセルは、浮遊ゲートを利用するNANDフラッシュメモリセルである。他の種類のメモリセル(例えば、NOR型フラッシュメモリ)も使用することができる。
【0051】
メモリ構造502に含まれるメモリアレイアーキテクチャ又はメモリセルの正確な種類は、上記の例に限定されない。多くの異なる種類のメモリアレイアーキテクチャ又はメモリ技術を使用して、メモリ構造326を形成することができる。本明細書で提案される新たに特許請求される実施形態の目的には、特定の不揮発性メモリ技術は必要とされない。メモリ構造502のメモリセルに適した技術の他の例として、ReRAMメモリ(抵抗ランダムアクセスメモリ)、磁気抵抗メモリ(例えば、MRAM、スピントランスファートルクMRAM、スピン軌道トルクMRAM)、FeRAM、相変化メモリ(例えば、PCM)などが挙げられる。メモリ構造502のメモリセルアーキテクチャに適した技術の例として、2次元アレイ、3次元アレイ、クロスポイントアレイ、積層型2次元アレイ、垂直ビット線アレイなどが挙げられる。
【0052】
ReRAMクロスポイントメモリの一例として、X線及びY線(例えば、ワード線及びビット線)によってアクセスされるクロスポイントアレイに配置された可逆抵抗切替素子が挙げられる。別の実施形態では、メモリセルは、導電性ブリッジメモリ素子を含み得る。導電性ブリッジメモリ素子はまた、プログラム可能なメタライゼーションセルと呼ばれ得る。導電性ブリッジメモリ素子は、固体電解質内のイオンの物理的再配置に基づく状態変化素子として使用され得る。場合によっては、導電性ブリッジメモリ素子は、2つの電極間に固体電解質薄膜を有する、2つの固体金属電極を含んでもよく、一方は、比較的不活性であり(例えば、タングステン)、他方は、電気化学的に活性である(例えば、銀又は銅)。温度が上昇すると、イオンの移動度も増加し、導電性ブリッジメモリセルのプログラミング閾値が低下する。したがって、導電性ブリッジメモリ素子は、温度に対して広範囲のプログラミング閾値を有し得る。
【0053】
別の例は、磁気記憶素子によってデータを記憶する磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)である。素子は、薄い絶縁層によって分離された、各々が磁化を保持することができる2つの強磁性層から形成される。2つの層のうちの1つは、特定の極性に設定された永久磁石である。他方の層の磁化は、メモリを記憶するために外場の磁化と一致するように変更することができる。メモリデバイスは、このようなメモリセルのグリッドから構築される。プログラミングのための一実施形態では、各メモリセルは、互いに直角に、セルに平行に、一方はセルの上に、かつ一方はセルの下に配置された1対の書き込み線の間にある。電流がそれらを通過すると、誘導磁場が生成される。MRAMベースのメモリ実施形態について、以下でより詳細に論じる。
【0054】
相変化メモリ(Phase change memory、PCM)は、カルコゲナイドガラスのユニークな挙動を利用する。一実施形態は、レーザパルス(又は別の光源からの光パルス)でゲルマニウム原子の配位状態を単純に変化させることによって、非熱的相変化を達成するために、GeTe-Sb2Te3超格子を使用する。したがって、プログラミングの線量はレーザパルスである。メモリセルは、メモリセルが光を受光することをブロックすることによって抑制され得る。他のPCM実施形態では、メモリセルは、電流パルスによってプログラムされる。本書では「パルス」の使用には方形パルスを必要としないが、(連続的又は非連続的な)音の振動若しくはバースト、電流、電圧光、又はその他の波を含む。個々の選択可能なメモリセル内のこれらのメモリ素子,又はビットは、オボニック閾値スイッチ又は金属絶縁体基板などのセレクタである更なる直列素子を含むことができる。
【0055】
当業者であれば、本明細書に記載されるこの技術は単一の特定のメモリ構造、メモリ構築又は材料組成に限定されず、本明細書に記載され、当業者によって理解されるように、技術の趣旨及び範囲内で、多くの関連するメモリ構造をカバーすることを、理解するであろう。
【0056】
図5の素子は、メモリセルのメモリ構造502の構造と、他の素子の全てを含む周辺回路との2つの部分にグループ化することができる。メモリ回路の重要な特性はその容量であり、これは、メモリ構造502に与えられるメモリシステム500のメモリダイの面積を増加させることによって増加させることができるが、これにより、周辺回路に利用可能なメモリダイの面積が減少する。これは、これらの周辺素子に非常に厳しい制限を課す可能性がある。例えば、利用可能な領域内にセンス増幅器回路を適合させる必要性は、センス増幅器設計アーキテクチャに対する著しい制限となり得る。システム制御ロジック560に関して、面積の利用可能性の減少は、オンチップで実装することができる利用可能な機能を制限する可能性がある。したがって、メモリシステム500のためのメモリダイの設計における基本的なトレードオフは、メモリ構造502に費やされる面積の量及び周辺回路に費やされる面積の量である。
【0057】
メモリ構造502及び周辺回路がしばしば対立する別の領域は、これらの領域の形成に関与するプロセスに含まれるが、これは、これらの領域が異なるプロセス技術を含むことが多く、単一のダイに異なる技術を有することのトレードオフであるためである。例えば、メモリ構造502がNANDフラッシュである場合、これはNMOS構造であるが、周辺回路はCMOSベースであることが多い。例えば、このようなセンス増幅器回路、チャージポンプ、ステートマシン内の論理素子、及びシステム制御ロジック560内の他の周辺回路は、PMOSデバイスを使用することが多い。CMOSダイを製造するためのプロセス動作は、多くの態様において、NMOSフラッシュNANDメモリ又は他のメモリセル技術に関して最適化されたプロセス動作とは異なる。
【0058】
これらの制限を改善するために、以下に記載される実施形態は、
図5の素子を別個に形成されたダイ上に分離することができ、その後、ダイは互いに接合される。より具体的には、メモリ構造502を、1つのダイ上に形成することができ、1つ以上の制御回路を含む周辺回路素子の一部又は全てを、別個のダイ上に形成することができる。例えば、メモリダイは、フラッシュNANDメモリ、MRAMメモリ、PCMメモリ、ReRAMメモリ、又は他のメモリタイプのメモリセルのアレイなどのメモリ素子のみで形成することができる。周辺回路の一部又は全部は、デコーダ及びセンス増幅器などの素子を含む場合であっても、その後、別個のダイに移され得る。これにより、メモリダイの各々をその技術に従って個別に最適化することが可能になる。例えば、NANDメモリダイは、CMOSプロセスのために最適化することができる別個の周辺回路ダイ上に移されたCMOS素子を気にすることなく、NMOSベースのメモリアレイ構造のために最適化することができる。これにより、周辺素子のためのより多くの空間が可能になり、これで、メモリセルアレイを保持する同じダイのマージンに制限されていたならば容易に組み込むことができなかった、追加の機能を組み込むことができる。次いで、2つのダイを、接合されたマルチダイメモリ回路内で互いに接合することができ、一方のダイ上のアレイは、他方のメモリ回路上の周辺素子に接続される。以下では、1つのメモリダイ及び1つの周辺回路ダイの接合メモリ回路に焦点を当てるが、他の実施形態は、例えば2つのメモリダイ及び1つの周辺回路ダイなどのより多くのダイを使用することができる。
【0059】
図6A及び
図6Bは、メモリシステム600用の接合ダイ対を提供するためにウェハ-ウェハ接合を使用して実装され得る、
図5の構成に対する代替的な構成を示す。
図6Aは、メモリダイ601内に形成されたメモリ構造602に結合された、周辺回路又は制御ダイ611に形成された制御回路を含む周辺回路の例を示す。
図5の502と同様に、メモリダイ601は、複数の独立してアクセス可能なアレイ又は「タイル」を含むことができる。共通の構成要素は、
図5と同様にラベル付けされている(例えば、502はここでは602であり、510はここでは610であり、以下同様である)。システム制御ロジック660、行制御回路620、及び列制御回路610は、制御ダイ611内に配置されていることが分かる。いくつかの実施形態では、列制御回路610の全て又は一部、及び行制御回路620の全て又は一部は、メモリ構造ダイ601上に配置される。いくつかの実施形態では、システム制御ロジック660内の回路の一部は、メモリ構造ダイ601上に配置される。
【0060】
システム制御ロジック660、行制御回路620、及び列制御回路610は、一般的なプロセス(例えば、CMOSプロセス)によって形成されてもよく、それにより、より典型的にはメモリコントローラ102上に見られるECCなどの素子及び機能を追加することは、追加のプロセスステップをほとんど又は全く必要としなくてもよい(すなわち、コントローラ102を製造するために使用されるのと同じプロセスステップを使用して、システム制御ロジック660、行制御回路620、及び列制御回路610を製造することもできる)。したがって、そのような回路をメモリダイ292などのダイから移動させることにより、そのようなダイを製造するのに必要なステップの数を減らすことができ、そのような回路を制御ダイ611などのダイに追加することは、追加のプロセスステップを必要としない場合がある。
【0061】
図6Aは、電気経路606を通してメモリ構造ダイ601上のメモリ構造602に結合された制御ダイ611上の列制御回路610を示す。例えば、電気経路606は、列デコーダ612、ドライバ回路614、及びブロック選択部616とメモリ構造602のビット線との間の電気的接続を提供し得る。電気経路は、制御ダイ611内の列制御回路610から、メモリ構造602のビット線に接続されているメモリ構造ダイ601の対応するパッドに接合されている制御ダイ611上のパッドを通って延びてもよい。メモリ構造602の各ビット線は、列制御回路610に接続する1対のボンドパッドを含む電気経路606内に対応する電気経路を有してもよい。同様に、行デコーダ622、アレイドライバ624、ブロック選択部626、及びセンス増幅器628を含む行制御回路620は、電気経路608を通してメモリ構造602に結合される。電気経路608のそれぞれは、ワード線、ダミーワード線、又は選択ゲート線に対応してもよい。更に、制御ダイ611とメモリダイ601との間に追加の電気経路が設けられてもよい。
【0062】
本文書の目的のために、「制御回路」という語句は、コントローラ102、システム制御ロジック660、列制御回路610、行制御回路620、マイクロコントローラ、ステートマシン、及び/又は他の制御回路、又は不揮発性メモリを制御するために使用される他の類似回路のうちの1つ以上を含むことができる。制御回路は、ハードウェアのみ、又はハードウェアとソフトウェア(ファームウェアを含む)との組み合わせを含むことができる。例えば、本明細書に記載する機能を実行するためにファームウェアによってプログラムされたコントローラは、制御回路の一例である。制御回路は、プロセッサ、FGA、ASIC、集積回路、又は他の種類の回路を含むことができる。
【0063】
以下の説明では、
図5及び
図6Aのメモリアレイ502/602は、クロスポイントアーキテクチャの文脈で論じられる。クロスポイントアーキテクチャでは、ワード線などの第1の組の導電線又はワイヤは、下にある基板に対して第1の方向に延び、ビット線などの第2の組の導電線又はワイヤは、下にある基板に対して第2の方向に延びる。メモリセルは、ワード線とビット線との交点に配置される。これらのクロスポイントにおけるメモリセルは、上述のものを含むいくつかの技術のいずれかに従って形成することができる。以下の説明は、主に、MRAMメモリセルを使用したクロスポイントアーキテクチャに基づく実施形態に焦点を当てる。
【0064】
図6Bは、接合されたダイ対の統合メモリアセンブリ600の一実施形態の構成についてより詳細を示すブロック図である。メモリダイ601は、メモリセルの平面又はアレイ602を含む。メモリダイ601は、追加の平面又はアレイを有してもよい。各平面又はアレイ602に対して、1つの代表的なビット線(BL)及び代表的なワード線(WL)666が示されている。各平面又はアレイ602当たり数千又は数万のそのようなビット線が存在し得る。一実施形態では、アレイ又は平面は、切れ目のないワード線及び切れ目のないビット線の共通の組を共有する、接続されたメモリセルのグループを表す。
【0065】
制御ダイ611は、いくつかのビット線ドライバ614を含む。各ビット線ドライバ614は、1つのビット線に接続されるか、又はいくつかの実施形態では、複数のビット線に接続されてもよい。制御ダイ611は、いくつかのワード線ドライバ624(1)~624(n)を含む。ワード線ドライバ660は、ワード線に電圧を提供するように構成されている。この例では、アレイ又は平面メモリセル当たり「n」個のワード線が存在する。メモリ動作がプログラム又は読み出しである場合、一実施形態では、選択されたブロック内の1つのワード線がメモリ動作のために選択される。メモリ動作が消去である場合、一実施形態では、選択されたブロック内のワード線の全てが消去のために選択される。ワード線ドライバ660は、メモリダイ601内のワード線に電圧を提供する。
図6Aに関して上述したように、制御ダイ611はまた、ワード線ドライバ660及び/又はビット線ドライバ614のための電圧を提供するために使用され得る、
図6Bには示されていないチャージポンプ、電圧発生器などを含み得る。
【0066】
メモリダイ601は、メモリダイ601の第1の主面682上に、いくつかのボンドパッド670a、670bを有する。対応する「n」個のワード線ドライバ624(1)~624(n)から電圧を受け取るために、「n」個のボンドパッド670aが存在し得る。アレイ602に関連付けられた各ビット線に対して1つのボンドパッド670bが存在し得る。参照番号670は、一般に、主面682上のボンドパッドを参照するために使用される。
【0067】
いくつかの実施形態では、コードワードの各データビット及び各パリティビットは、異なるボンドパッドペア670b、674bを通して転送される。コードワードのビットは、ボンドパッドペア670b、674bを通して並列に転送されてもよい。これは、例えば、メモリコントローラ102と統合メモリアセンブリ600との間でデータを転送することに関して、非常に効率的なデータ転送を提供する。例えば、メモリコントローラ102と統合メモリアセンブリ600との間のデータバスは、例えば、8ビット、16ビット、又は恐らく32ビットを並列に転送することができる。しかしながら、メモリコントローラ102と統合メモリアセンブリ600との間のデータバスは、これらの実施例に限定されない。
【0068】
制御ダイ611は、制御ダイ611の第1の主面684上に、いくつかのボンドパッド674a、674bを有する。対応する「n」個のワード線ドライバ624(1)~624(n)からメモリダイ601に電圧を送達するために、「n」個のボンドパッド674aが存在し得る。アレイ602に関連付けられた各ビット線に対して1つのボンドパッド674bが存在し得る。参照番号674は、一般に、主面682上のボンドパッドを参照するために使用される。ボンドパッドペア670a/674a及びボンドパッドペア670b/674bが存在し得ることに留意されたい。一部の実施形態では、ボンドパッド670及び/又は674は、フリップチップボンドパッドである。
【0069】
一実施形態では、ボンドパッド670のパターンは、ボンドパッド674のパターンと一致する。ボンドパッド670はボンドパッド674に接合(例えば、フリップチップ接合)される。このため、ボンドパッド670、674は、メモリダイ601を制御ダイ611に電気的及び物理的に結合する。また、ボンドパッド670、674は、メモリダイ601と制御ダイ611との間の内部信号転送を可能にする。したがって、メモリダイ601及び制御ダイ611は、ボンドパッドによって一緒に接合される。
図6Aは、1つのメモリダイ601に接合された1つの制御ダイ611を示しているが、別の実施形態では、1つの制御ダイ611が複数のメモリダイ601に接合される。
【0070】
本明細書では、「内部信号転送」は、制御ダイ611とメモリダイ601との間の信号転送を意味する。内部信号転送は、制御ダイ611上の回路がメモリダイ601内のメモリ動作を制御することを可能にする。したがって、ボンドパッド670、674は、メモリ動作信号転送のために使用され得る。本明細書では、「メモリ動作信号転送」は、メモリダイ601内のメモリ動作に関係する任意の信号を指す。メモリ動作信号転送は、電圧を提供すること、電流を提供すること、電圧を受け取ること、電流を受け取ること、電圧を感知すること、及び/又は電流を感知することを含み得るが、これらに限定されない。
【0071】
ボンドパッド670~674は、例えば、銅、アルミニウム、及びこれらの合金から形成されてもよい。ボンドパッド670~674と主面(682~684)との間にライナーが存在してもよい。ライナーは、例えば、チタン/窒化チタンスタックで形成されてもよい。ボンドパッド670~674及びライナーは、蒸着及び/又はめっき技術によって適用されてもよい。ボンドパッド及びライナーは合わせて720nmの厚さを有してもよいが、更なる実施形態では、この厚さはより大きくても小さくてもよい。
【0072】
金属相互接続及び/又はビアは、ダイ内の様々な素子をボンドパッド670~674に電気的に接続するために使用され得る。金属相互接続及び/又はビアによって実装され得るいくつかの導電経路が示されている。例えば、センス増幅器は、経路664によってボンドパッド674bに電気的に接続され得る。
図6Aに関して、電気経路606は、経路664、ボンドパッド674b、及びボンドパッド670bに対応し得る。数千のそのようなセンス増幅器、経路、及びボンドパッドが存在し得る。BLは、ボンドパッド670bへの直接接続を必ずしも行わないことに留意されたい。ワード線ドライバ660は、経路662によってボンドパッド674aに電気的に接続され得る。
図6Aに関連して、電気経路608は、経路662、ボンドパッド674a、及びボンドパッド670aに対応し得る。経路662は、各ワード線ドライバ624(1)~624(n)に対して別個の導電経路を含んでもよいことに留意されたい。同様に、各ワード線ドライバ624(1)~624(n)に対して別個のボンドパッド674aが存在してもよい。メモリダイ601のブロック2内のワード線は、経路664によってボンドパッド670aに電気的に接続され得る。
図6Bでは、ブロック内の対応する「n」個のワード線に対して「n」個の経路664が存在する。各経路664に対して、ボンドパッド670a、674aの別個の対が存在し得る。
【0073】
図5を参照すると、
図6Aのオンダイ制御回路はまた、その論理素子内に追加機能を含むことができ、メモリコントローラ102及び一部のCPU機能で典型的に見られるものよりも一般的な能力も、アプリケーション固有の機能も含むことができる。
【0074】
以下では、システム制御ロジック560/660、列制御回路510/610、行制御回路520/620、及び/又はコントローラ102(又は同等に機能する回路)は、
図5に示される他の回路、又は
図6Aの制御ダイ611及び
図5の同様の素子の全て又はサブセットと組み合わせて、本明細書に記載の機能を実行する1つ以上の制御回路の一部と見なすことができる。制御回路は、ハードウェアのみ、又はハードウェアとソフトウェア(ファームウェアを含む)との組み合わせを含むことができる。例えば、本明細書に記載する機能を実行するためにファームウェアによってプログラムされたコントローラは、制御回路の一例である。制御回路は、プロセッサ、FGA、ASIC、集積回路、又は他の種類の回路を含むことができる。
【0075】
以下の説明では、
図5及び
図6Aのメモリアレイ502/602は、主としてクロスポイントアーキテクチャの文脈で論じられるが、説明の多くはより一般的に適用することができる。クロスポイントアーキテクチャでは、ワード線などの第1の組の導電線又はワイヤは、下にある基板に対して第1の方向に延び、ビット線などの第2の組の導電線又はワイヤは、下にある基板に対して第2の方向に延びる。メモリセルは、ワード線とビット線との交点に配置される。これらのクロスポイントにおけるメモリセルは、上述のものを含むいくつかの技術のいずれかに従って形成することができる。以下の説明は、主に、MRAMメモリセルを使用したクロスポイントアーキテクチャに基づく実施形態に焦点を当てる。
【0076】
図7Aは、クロスポイントアーキテクチャを形成するメモリアレイの一部分の一実施形態を斜視で示す。
図7Aのメモリアレイ502/602は、
図5のメモリアレイ502又は
図6Aのメモリアレイ602の実装形態の一例であり、メモリダイは、複数のそのようなアレイ構造を含むことができる。ビット線BL
1~BL
5は、ダイの下にある基板(図示せず)に対して第1の方向(ページ内に延びるものとして表される)に配置され、ワード線WL
1~WL
5は、第1の方向に垂直な第2の方向に配置される。
図7Aは、ワード線WL
1~WL
5及びBL
1~BL
5が両方とも基板に対して水平方向に延び、一方で、それらうちの2つが701において示されているメモリセルが、メモリセルを通る電流(I
cellにおいて示されるような)が垂直方向に延びるように配向されている水平クロスポイント構造の例である。
図7Dに関して以下に説明するような、メモリセルの追加層を有するメモリアレイでは、ビット線及びワード線の対応する追加層が存在する。
【0077】
図7Aに示すように、メモリアレイ502/602は、複数のメモリセル701を含む。メモリセル701は、ReRAM、MRAM、PCM、又はプログラム可能な抵抗を有する他の材料を使用して実装することができるような書き換え可能メモリセルを含んでもよい。以下の説明はMRAMメモリセルに焦点を当てているが、説明の大部分は、より一般的に適用することができる。第1のメモリレベルのメモリセル内の電流は、矢印I
cellによって示されるように上方に流れるものとして示されているが、電流は、以下でより詳細に説明するように、いずれの方向にも流れることができる。
【0078】
図7B及び
図7Cは、
図7Aのクロスポイント構造の側面図及び上面図をそれぞれ示す。
図7Bの側面図は、1つの下部ワイヤ、すなわちワード線WL
1、及び上部ワイヤすなわちビット線BL
1~BL
nを示す。各上部ワイヤと下部ワイヤとの間のクロスポイントは、MRAMメモリセル1201であるが、PCM、ReRAM、又は他の技術を使用することもできる。
図7Cは、M本の下部ワイヤWL
1~WL
M及びN本の上部ワイヤBL
1~BL
Nのクロスポイント構造を示す上面図である。バイナリ実施形態では、各クロスポイントにおけるMRAMセルは、高及び低の少なくとも2つの抵抗状態のうちの1つにプログラムすることができる。MRAMメモリセル設計の実施形態及びそれらのプログラミングのための技術について、以下により詳細に説明する。
【0079】
図7Aのクロスポイントアレイは、ワード線及びビット線の1つの層を有する実施形態を示し、MRAM又は他のメモリセルは、2組の導電線の交差部に配置される。メモリダイの記憶密度を高めるために、そのようなメモリセル及び導電線の複数の層を形成することができる。2層の例を
図7Dに示す。
【0080】
図7Dは、クロスポイントアーキテクチャを形成する2レベルメモリアレイの一部分の実施形態を斜視で示す。
図7Aと同様に、
図7Dは、ワード線WL
1、1~WL
1、4及びビット線BL
1~BL
5の第1の層のクロスポイントで接続されたアレイ502/602のメモリセル701の第1の層718を示す。メモリセル720の第2の層は、ビット線BL
1~BL
5の上、及びこれらのビット線とワード線WL
2、1~WL
2、4の第2の組との間に形成される。
図7Dは、メモリセルの2つの層718及び720を示しているが、この構造は、ワード線及びビット線の追加の交互する層を通って上方に拡張することができる。実施形態に応じて、
図7Dのアレイのワード線及びビット線は、各層内の電流がワード線層からビット線層に、又はその逆の方向に流れるように、読み出し又はプログラム動作のためにバイアスをかけられ得る。2つの層は、所与の動作のために各層において同じ方向の電流の流れを有するように、又は反対方向の電流の流れを有するように構成することができる。
【0081】
クロスポイントアーキテクチャの使用は、設置面積の小さいアレイを可能にし、そのようなアレイのいくつかを単一のダイ上に形成することができる。各クロスポイントにおいて形成されたメモリセルは、抵抗タイプのメモリセルであってもよく、データ値は、異なる抵抗レベルとして符号化される。実施形態に応じて、メモリセルは、低抵抗状態又は高抵抗状態のいずれか一方を有するバイナリ値であってもよく、又は低抵抗状態と高抵抗状態の中間の追加の抵抗を有することができるマルチレベルセル(MLC)であってもよい。本明細書に記載のクロスポイントアレイは、
図4のメモリダイ292として使用することができ、ローカルメモリ106と置き換えるために使用することができ、又はその両方として使用することができる。抵抗タイプのメモリセルは、ReRAM、FeRAM、PCM又はMRAMなど、上記の技術の多くに従って形成することができる。以下の説明は、主に、バイナリ値MRAMメモリセルを有するクロスポイントアーキテクチャを使用するメモリアレイの文脈で提示されるが、説明の多くはより一般的に適用することができる。
【0082】
図8A及び
図8Bは、MRAMメモリセルの構造の実施形態を示す。
図8Aでは、メモリセルの対応するワード線とビット線との間でメモリセルにわたって印加される電圧は、電圧ソースV
app813として表される。メモリセルは、下部電極801と、この例では酸化マグネシウム(MgO)805の分離層又はトンネル層によって分離された1対の磁性層(基準層803及び自由層807)と、次いでスペーサ809によって自由層807から分離された上部電極811とを含む。メモリセルの状態は、基準層803及び自由層807の磁化の相対的な配向に基づいており、2つの層が同じ方向に磁化されている場合、メモリセルは平行(P)低抵抗状態(LRS)であり、2つの磁化が反対の配向を有する場合、メモリセルは逆平行(AP)高抵抗状態(HRS)である。MLCの実施形態は、追加の中間状態を含む。基準層803の配向は固定され、
図15の例では上向きに配向される。基準層803はまた、固定層又はピンド層としても知られている。
【0083】
データは、自由層807を同じ配向又は反対の配向のいずれかにプログラミングすることによってMRAMメモリセルに書き込まれる。基準層803は、自由層807をプログラミングする際にその配向を維持するように形成される。基準層803は、合成反強磁性層及び追加の基準層を含む、より複雑な設計を有することができる。簡潔にするために、図及び説明は、これらの追加の層を省略し、セル内のトンネル磁気抵抗に主に関与する固定された磁性層にのみ焦点を当てる。
【0084】
図8Bの実施形態では、MRAMセルにアクセスするために強制電流手法が使用される。強制電流手法は、MRAMセルを読み出す、又は書き込むために使用され得る。強制電流手法では、アクセス電流(例えば、I
read I
write)は、電流源823によって下部電極801を通して駆動される。電流源823は、下部電極801のドライバ回路の一部である。電圧(例えば、V
select)が上部電極811に提供される。本明細書では、「読み出し電流」(I
read)及び「書き込み電流」(I
write)という用語は、MRAMセルを通して駆動されるアクセス電流に関連して使用される。書き込み電流は、第2の導電線(例えば、ビット線)に印加される電圧と組み合わせて、MRAMセルの状態を変更する、第1の導電線(例えば、ワード線)を通して駆動される電流である。MRAMセルを通って一方向に流れる書き込み電流は、AP状態のMRAMセルをAP状態からP状態に変更する。MRAMセルを通って逆の方向に流れる書き込み電流は、P状態のMRAMセルをP状態からAP状態に変更する。一般に、読み出し電流は、30ns未満など、限られた時間適用される場合、MRAMセルの状態をP状態からAP状態に、又はAP状態からP状態に変化させない。
【0085】
本明細書で定義されるように、アクセス電流は、正の大きさ又は負の大きさを有してもよい。所与の点において第1の導電線(例えば、ワード線)を通して駆動される正の大きさのアクセス電流は、所与の点において第1の導電線を通して駆動される負の大きさのアクセス電流と反対方向に流れる。したがって、アクセス電流は、アクセス電流が正の大きさを有するものとして定義されるか、又は負の大きさを有するものとして定義されるかに応じて、いずれかの方向にMRAMセルを流れることができる。一実施形態では、MRAMセルは、例えば、15マイクロアンペア(μA)の電流を下部電極801を通して駆動しながら、例えば0Vを上部電極811に印加することによって読み出される。この読み出し電流は、下部電極801から上部電極811に流れる。一実施形態では、MRAMセルは、例えば、下部電極801を通して-30μAの書き込み電流を駆動しながら、例えば3Vを上部電極811に印加することによって、AP状態からP状態に書き込まれる。この書き込み電流は、上部電極811から下部電極801に流れる。一実施形態では、MRAMセルは、例えば、下部電極801を通して30μAの電流を駆動しながら、例えば0Vを上部電極811に印加することによって、P状態からAP状態に書き込まれる。この書き込み電流は、下部電極801から上部電極811に流れる。
【0086】
図9は、クロスポイントアレイで実装されるMRAMメモリセル設計の実施形態をより詳細に示す。クロスポイントアレイに配置されるとき、MRAMメモリセルの上部及び下部電極は、アレイの隣接するワイヤの層のうちの2つ、例えば、2レベル又は2デッキアレイの上部及び下部ワイヤのうちの2つである。ここに示す実施形態では、メモリセルの下部電極はワード線(WL)901であり、上部電子はビット線(BL)911であるが、いくつかの実施形態では、メモリ素子の配向を反転させることによってこれらを反転させることができる。ワード線901とビット線911との間には、基準層903及び自由層907があり、これらもMgOバリア905によって分離されている。
図9に示される実施形態では、MgOキャップ908はまた自由層907の上部にも形成され、導電性スペーサ909が、ビット線911とMgOキャップ908との間に形成される。基準層903は、別の導電性スペーサ902によってワード線901から分離されている。メモリセル構造の両側にはライナー921及び923があり、これらは同じ構造の一部であり得るが、
図9の断面では分離して見える。ライナー921、923の両側には、クロスポイント構造のそうしないと空である領域を充填するために使用される充填材料925、927の一部が示されている。
【0087】
自由層設計907に関して、実施形態は約1~2nm程度の厚さを有するCoFe又はCoFeB合金を含み、Ir層は、MgOバリア905に近い自由層内に散在させることができ、自由層907は、Ta、W、又はMoでドープすることができる。基準層903の実施形態は、Ir又はRuスペーサ902と結合されたCoFeB及びCoPt多層の二重層を含み得る。MgOキャップ908は任意選択であるが、自由層907の異方性を高めるために使用することができる。導電性スペーサは、とりわけ、Ta、W、Ru、CN、TiN、及びTaNなどの導電性金属であり得る。
【0088】
MRAMに記憶されたデータ状態を感知するために、メモリセル全体にV
appによって表される電圧が印加されて、その抵抗状態を決定する。MRAMメモリセルを読み出すために、電圧差V
appをいずれかの方向に印加することができるが、MRAMメモリセルには方向性があるので、状況によっては、一方の方向の読み出しが他方の方向よりも優先される。例えば、AP(高抵抗状態、HRS)にビットを書き込むための最適な電流振幅は、P(低抵抗状態)に書き込むための電流振幅よりも約20%大きくてもよいため、AP(2AP)に読み出す場合、ビットエラー率(読み出しディスターブ)の可能性は低くなる。これらの状況の一部及び結果として得られる読み出しの方向性について、以下に説明する。
図10A及び10Bに関して更に説明するように、バイアスの方向性は、特にMRAMメモリセルのプログラミングのためのいくつかの実施形態の一部となる。
【0089】
以下の説明は、主に、垂直なスピントランスファートルクMRAMメモリセルに関して行われ、
図8及び
図9の自由層807/907は、自由層の平面に垂直な、切り替え可能な磁化方向を含む。スピントランスファートルク(spin transfer torque、「STT」)は、磁気トンネル接合内の磁気層の配向が、スピン偏極電流を使用して変更され得る効果である。電荷キャリア(電子など)は、キャリアに固有のわずかな量の角運動量であるスピンとして知られる特性を有する。電流は、一般に、非偏極である(例えば、50%のスピン上向き電子及び50%のスピン下向き電子からなる)。スピン偏極電流は、どちらかのスピンの電子がより多い電流である(例えば、過半量のスピン上向き電子、又は過半量のスピン下向き電子)。電流を厚い磁気層(通常、基準層と呼ばれる)に流すことによって、スピン偏極電流が生成され得る。このスピン偏極電流が、第2の磁気層(自由層)に方向付けられた場合、角運動量は、この第2の磁気層に伝達され、第2の磁気層の磁化方向を変化させることができる。これは、スピントランスファートルクと呼ばれる。
図10A及び10Bは、MRAMメモリへのプログラム又は書き込みのためのスピントランスファートルクの使用を示す。スピントランスファートルク磁気ランダムアクセスメモリ(STT MRAM)は、他のMRAMの変型例よりも消費電力が低く、スケーラビリティが良好であるという利点を有する。他のMRAM実装と比較して、STT切替技術は、相対的に低い電力を必要とし、隣接するビットの乱れの問題を実質的に排除し、より高いメモリセル密度(MRAMセルサイズの低減)のためのより良好なスケーリングを有する。後者の課題もまた、自由層磁化及び基準層磁化が、平面内ではなく、膜面に対して垂直に配向されているSTT MRAMに有利である。
【0090】
STT現象が電子挙動に関してより容易に説明されるように、
図10A及び10B、並びにそれらの説明が電子電流に関して与えられ、ここで、書き込み電流の方向は、電子流の方向として定義される。したがって、
図10A及び10Bを参照する「書き込み電流」という用語は、電子電流を指す。電子は負に帯電しているので、電子電流は、従来定義された電流とは反対の方向になり、電子電流は、従来の電流の流れのようにより高い電圧レベルからより低い電圧レベルに流れるのではなく、より低い電圧レベルからより高い電圧レベルに流れる。
【0091】
図10A及び10Bは、STT機構を使用することによるMRAMメモリセルの書き込みを示し、基準層及び自由層両方の磁化が垂直方向にある、STT切替MRAMメモリセル1000の一例の簡略化された概略図を示す。メモリセル1000は、上部強磁性層1010、下部強磁性層1012、及びそれら2つの強磁性層の間の絶縁層としてのトンネルバリア(TB)1014を含む磁気トンネル接合(MTJ)1002を含む。この例では、上部強磁性層1010は、自由層FLであり、その磁化方向は、切り替え可能である。下部強磁性層1012は、基準(又は固定)層RLであり、その磁化方向は、切り替え不可能である。自由層1010内の磁化が基準層RL1012内の磁化に対して平行である場合、メモリセル1000の両端間抵抗は、相対的に低い。自由層FL1010内の磁化が基準層RL1012内の磁化に対して逆平行である場合、メモリセル1000の両端間抵抗は、相対的に高い。メモリセル1000内のデータ(「0」又は「1」)は、メモリセル1000の抵抗を測定することによって読み出される。その際、メモリセル1000に取り付けられた導電体1006/1008を利用してMRAMデータを読み出す。プロセス及び回路設計によって、平行及び逆平行の両方の構成は、静穏状態及び/又は読み出し動作中において(十分に低い読み出し電流で)安定した状態を保つ。
【0092】
基準層RL1012及び自由層FL1010の両方について、磁化方向は、垂直方向にある(すなわち、自由層によって画定された平面に対して垂直であり、基準層によって画定された平面に対して垂直である)。
図10A及び
図10Bは、基準層RL1012の磁化方向を上向きとして示し、自由層FL1010の磁化方向を、これも平面に対して垂直である上向きと下向きとの間で切り替え可能であるものとして示している。
【0093】
一実施形態では、トンネルバリア1014は、酸化マグネシウム(MgO)で作製されているが、他の材料もまた、使用され得る。自由層1010は、強磁性金属であり、その磁化方向を変化/切り替えを行う能力を所有する。Co、Feなどの遷移金属、及びそれらの合金に基づく多層を使用して、自由層1010を形成することができる。一実施形態では、自由層1010は、コバルト、鉄、及びホウ素の合金を含む。基準層1012は、コバルト及び白金、並びに/又はコバルト及び鉄の合金の複数層を含む、多くの異なる種類の材料であり得る(ただし、これらに限定されない)。
【0094】
図10Aに描写されているように、MRAMメモリセルビット値を「設定する」(すなわち、自由層の磁化方向を選択する)ために、電子書き込み電流1050が、導体1008から導体1006に印加される。電子の負電荷により、電子書き込み電流1050を生成するために、上部導体1006は、下部導体1008よりも高い電圧レベルに置かれる。電子書き込み電流1050内の電子は、基準層1012が強磁性金属であるため、その電子が基準層1012を通過するとき、スピン偏極される。スピン偏極電子がトンネルバリア1014両端間をトンネルするとき、角運動量保存により、結果として、自由層1010及び基準層1012の両方にスピントランスファートルクを与えることができるが、このトルクは、基準層1012の磁化方向に影響を及ぼすには、(設計上)不十分である。対照的に、自由層1010の初期磁化配向が基準層1012に対して逆平行(AP)である場合、このスピントランスファートルクは、基準層1012の磁化配向に対して平行(P)になるように、自由層1010内の磁化配向を切り替えるには(設計によって)十分であり、これは逆平行-平行(AP2P)書き込みと呼ばれる。次いで、平行である磁化は、このような電子書き込み電流がオフになる前後では、安定したままの状態である。
【0095】
対照的に、自由層1010磁化及び基準層1012磁化が、初期に平行である場合、自由層1010の磁化方向は、前述の場合とは反対方向の電子書き込み電流の印加によって、基準層1012に対して逆平行になるように切り替えられ得る。例えば、電子書き込み電流1052は、
図10Bに示すように、より高い電圧レベルを下部導体1008上に配置することによって、導体1006から導体1008に印加される。これは、P状態の自由層1010をAP状態に書き込み、平行-逆平行(P2AP)書き込みと呼ばれる。したがって、同じSTT物理特性によって、自由層1010の磁化方法は、電子書き込み電流方向(極性)の賢明な選択によって、2つの安定した配向のうちのいずれかに、確定的に設定されることができる。
【0096】
メモリセル1000内のデータ(「0」又は「1」)は、メモリセル1000の抵抗を測定することによって読み取られ得る。低抵抗は、典型的には「0」ビットを表し、高抵抗は、典型的には「1」ビットを表すが、入れ替わりの規則が発生することもある。読み出し電流は、導体1008から導体1006に、
図10Aの1050について示されるように流れる(「AP2P方向」)電子読み出し電流を印加することによってメモリセルにわたって(例えば、磁気トンネル接合1002にわたって)印加することができ、あるいは、電子読み出し電流は、導体1006から導体1008に、
図10Bの1052に示されるように流れる(「P2AP方向」)ように印加することができる。読み出し動作では、電子書き込み電流が高すぎると、メモリセルに記憶されたデータをディスターブし、その状態を変更する可能性がある。例えば、電子読み出し電流が
図10BのP2AP方向を使用する場合、電流又は電圧レベルの高すぎると、低抵抗P状態の任意のメモリセルを高抵抗AP状態に切り替える可能性がある。その結果、MRAMメモリセルはいずれの方向にも読み出すことができるが、必要とされる書き込み電流がより高い場合など、様々な実施形態において、書き込み動作の方向性は一方の読み出し方向を他方よりも好ましいものとすることができ、例えば、この方向へのP2APの読み出しは、BERの低減(読み出しディスターブ)をもたらし得る。
【0097】
図10A及び10Bの説明は、読み出し及び書き込み電流のための電子電流の文脈であったが、以降の説明は、特に指定がない限り、従来の電流の文脈である。
【0098】
図7A~
図7Dのアレイ構造内の選択されたメモリセルを読み出すか書き込むかにかかわらず、選択されたメモリセル(ビット)に対応するビット線及びワード線は、
図10A又は
図10Bに関して示されるように、選択されたメモリセルにわたって電圧を印加し、電子の流れを誘導するようにバイアスをかけられる。これはまた、アレイの選択されていないメモリセルにわたっても電圧を印加し、選択されていないメモリセルに電流を誘導する可能性がある。この浪費された電力消費は、高抵抗状態及び低抵抗状態の両方に対して比較的高い抵抗レベルを有するようにメモリセルを設計することによってある程度軽減することができるが、これは依然として電流及び電力消費の増加をもたらし、メモリセル及びアレイの設計に更なる設計上の制約を課す。
【0099】
この望ましくない電流漏れに対処するための1つの手法は、セレクタ素子を各MRAMメモリセル又は他の抵抗(例えば、ReRAM、PCM)メモリセルと直列に配置することである。例えば、選択トランジスタを、
図7A~
図7Dの各抵抗メモリセル素子と直列に配置することができ、それにより、素子701は、ここではセレクタとプログラム可能な抵抗との複合体である。しかしながら、トランジスタの使用は、選択されたメモリセルの対応するトランジスタをオンにすることができる追加の制御線の導入を必要とする。加えて、トランジスタは、多くの場合、抵抗メモリ素子と同じようにはスケーリングされないので、メモリアレイがより小さいサイズに変わるにつれて、トランジスタベースのセレクタの使用が制限要因となり得る。
【0100】
セレクタ素子への代替的な手法は、個々のメモリセル又はビットを含むための、プログラム可能な抵抗素子と直列の閾値切替セレクタ素子の使用である。閾値切替セレクタは、その閾値電圧(V
th)よりも低い電圧及びその閾値電流(I
th)よりも低い電流へとバイアスをかけられると高い抵抗を有し(オフ又は非導電状態にある)、その閾値電流及び保持電流よりも高い電流へとバイアスをかけられると低い抵抗を有する(オン又は導電状態にある)。閾値切替セレクタは、その電流が保持電流未満に低下させられるか、又は電圧が保持電圧未満に低下させられるまで、オンのままである。これが起こると、閾値切替セレクタはオフ状態に戻る。したがって、メモリセルをクロスポイントでプログラムするために、関連する閾値切替セレクタをオンにし、かつ大きさが書き込みに十分である、例えば、抵抗面積(RA)が10Ω-μm
2の20nm限界寸法(CD)のMRAMに対して電流が35μaより大きい場合に、電流の方向によって決定される結果として生じる状態でメモリセルを設定又はリセットするのに十分な電圧又は電流を印加し、そしてメモリセルを読み出すために、閾値切替セレクタを、メモリセルの抵抗状態が決定され得る前にオンにされることによって起動しなければならない。閾値切替セレクタの一例は、オボニック閾値スイッチ(OTS)のオボニック閾値切替材料である。以下に提示される
図14に示される例としては、Ge-Se、Ge-Se-N、Ge-Se-As、Ge-Se-Sb-N、Ge58Se42、GeTe
6、Si-Te、Zn-Te、C-Te、B-Te、Ge-As-Te-Si-N、Ge-As-Se-Te-Si及びGe-Se-As-Teが挙げられる。
【0101】
図11A及び11Bは、クロスポイントアーキテクチャを有するMRAMメモリアレイに閾値切替セレクタを組み込むための実施形態を示す。
図11A及び11Bの実施例は、
図7Dに示されるような2層クロスポイントアレイにおける2つのMRAMセルを側面図で示す。
図11A及び11Bは、ワード線1 1100である下部の第1の導電線、ワード線2 1120である上部の第1の導電線、及びビット線1110である中間の第2の導電線を示す。これらの図では、提示を容易にするために、これらの線の全てがページを横切って左から右に延びるように示されており、クロスポイント配列では、これらは
図7Dの斜視図に表されるより正確に表されており、ワード線又は第1の導電線又はワイヤは、下にある基板の表面に平行な1つの方向に延び、ビット線又は第2の導電線又はワイヤは、第1の方向にほぼ直交する基板の表面に平行な第2の方向に延びる。MRAMメモリセルはまた、基準層、自由層、及び中間トンネルバリアのみを示す単純化された形態で表されるが、実際の実装では、典型的には、
図9に関して上述した追加の構造を含む。
【0102】
自由層1101、トンネルバリア1103、及び基準層1105を含むMRAMセル1102は、閾値切替セレクタ1109の上に形成され、MRAMデバイス1102と閾値切替セレクタ1109とのこの直列結合は、ビット線1110とワード線1 1100との間に層1セルを一緒に形成する。MRAMデバイス1102と閾値切替セレクタ1109との直列結合は、閾値切替セレクタ1109がオンにされたときに、閾値切替セレクタ1109にわたるいくらかの電圧降下を除いて、ほぼ
図10A及び10Bに関して上述したように動作する。しかしながら、最初に、閾値切替セレクタ1109は、閾値切替セレクタ1109の閾値を上回る電圧又は電流を印加することによってオンにされる必要があり、次いで、バイアス電流又は電圧は、後続の読み出し又は書き込み動作中にオンのままであるように、閾値切替セレクタ1109の保持電流又は保持電圧を十分に上回る高さに維持する必要がある。
【0103】
第2の層では、MRAMセル1112は、自由層1111、トンネルバリア1113を含み、基準層1115は、閾値切替セレクタ1119の上方に形成され、MRAMデバイス1112と閾値切替セレクタ1119との直列結合により、ビット線1110とワード線2 1120との間に層2セルが形成される。層2セルは、層1セルについて動作するが、下部導体はビット線1110に対応し、上部導体はここではワード線であって、ワード線2 1120である。
【0104】
図11Aの実施形態では、閾値切替セレクタ1109/1119はMRAMデバイス1102/1112の下に形成されるが、代替実施形態では、閾値切替セレクタは、1つ又は両方の層のMRAMデバイスの上に形成され得る。
図10A及び
図10Bに関して論じたように、MRAMメモリセルは指向性である。
図11Aでは、MRAMデバイス1102及び1112は同じ配向を有し、自由層1101/1111は(図示されていない基板に対して)基準層1105/1115の上にある。同じ構造を有する導電線間に層を形成することは、特に2つの層の各々、並びにより多くの層を有する実施形態における後続の層が同じプロセスシーケンスに従って形成され得るため、プロセスに関していくつかの利点を有することができる。
【0105】
図11Bは、
図11Aと同様に配置された代替の実施形態を示しているが、層2のセルにおいて、基準層及び自由層の位置が逆になっている。より具体的には、
図11Aのようにワード線1 1150とビット線1160との間に、層セル1は、トンネルバリア1153の上に形成された自由層1151を有するMRAM構造1152を含み、トンネルバリア1153は基準層1155の上に形成され、MRAM構造1152は、閾値切替セレクタ1159の上に形成されている。
図11Bの実施形態の第2の層は、やはり、ビット線1160とワード線2 1170との間の閾値切替セレクタ1169の上に形成されたMRAMデバイス1162を有するが、
図11Aと比較すると、MRAMデバイス1162は反転されており、MRAMデバイス1162を反転させた状態で、ここではトンネルバリア1163の上に形成された基準層1161と、ここではトンネルバリア1163の下に形成された自由層1165とを有する。
【0106】
図11Bの実施形態は、層を形成するための異なるプロセスシーケンスを必要とするが、いくつかの実施形態では利点を有することができる。具体的には、(基準及び自由層に関して)同じ方向での書き込み又は読み出し時には、ビット線は下部層及び上部層の両方に対して同じようにバイアスをかけられ、両方のワード線が同じようにバイアスをかけられるため、MRAM構造の方向性は、
図11Bの実施形態を魅力的にすることができる。例えば、層1及び層2のメモリセルの両方がP2AP方向(基準層及び自由層に関して)で感知される場合、ビット線層1160はP2AP方向などへとバイアスをかけられ、ビット線1160は、上部セル及び下部セルの両方に対して低く(例えば、0V)バイアスをかけられ、ワード線1 1150及びワード線2 1170は両方ともより高い電圧レベルへとバイアスをかけられる。同様に、書き込みに関して、高抵抗AP状態に書き込むために、ビット線1160は、上部セル及び下部セルの両方に対して低く(例えば、0V)バイアスをかけられ、ワード線1 1150及びワード線2 1170は両方ともより高い電圧レベルへとバイアスをかけられ、低抵抗P状態に書き込むために、ビット線1160は高電圧レベルへとバイアスをかけられ、ワード線1 1150及びワード線2 1170は両方とも低電圧レベルへとバイアスをかけられる。対照的に、
図11Aの実施形態では、下部レベルに対して上部レベルでこれらの動作のいずれかを実行するために、ビット線及びワード線はそれらのバイアスレベルを反転させる必要がある。
【0107】
MRAMメモリセルへのデータの読み出し又は書き込みのいずれかは、メモリセルに電流を通すことを含む。閾値切替セレクタがMRAM素子と直列に配置される実施形態では、電流がMRAM素子を通過し得る前に、閾値切替セレクタ及びMRAM素子の直列の組み合わせにわたって十分な電圧を印加することによって、閾値切替セレクタをオンにする必要がある。
【0108】
クロスポイントメモリアレイ内の2つ以上のビットに同時にアクセスすることは、非常に困難であり得る。クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルに同時にアクセスするための技術が本明細書に開示される。一実施形態では、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルが同時に読み出される。一実施形態では、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルが同時に書き込まれる。
【0109】
図12は、複数のメモリセルが同時にアクセスされる、クロスポイントアーキテクチャを有するメモリアレイ1202の実施形態を示す。アレイ1202は、1組の第1の導電線1206a~1206h及び1組の第2の導電線1208a~1208dを有する。一実施形態では、1組の第1の導電線1206a~1206hはワード線であり、1組の第2の導電線1208a~1208bはビット線である。説明を容易にするために、1組の第1の導電線1206a~1206hはワード線と呼ばれてもよく、1組の第2の導電線1208a~1208bはビット線と呼ばれてもよい。しかしながら、1組の第1の導電線1206a~1206hはビット線であってもよく、1組の第2の導電線1208a~1208bはワード線であってもよい。
【0110】
アレイ1202は、いくつかのメモリセル701を有する。各メモリセル701は、第1の導電線1206のうちの1つと第2の導電線1208の対応する1つとの間に接続される。各メモリセル701は、閾値切替セレクタ1204と直列の磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)要素1202を有する。したがって、各メモリセル701はMRAMセルと呼ばれてもよい。閾値切替セレクタ1204は、閾値切替セレクタ1204の閾値を超える電圧又は電流レベルの印加に応じて導電性になるように構成されている。
【0111】
各第1の導電線1206は、電流ドライバ1210a~1210hのうちの1つによって駆動される。例えば、第1の導電線1206aは電流ドライバ1210aによって駆動され、第1の導電線1206bは電流ドライバ1210bによって駆動されるなどである。各第2の導電線1208は、電圧ドライバ1212a~1212dのうちの1つによって駆動される。例えば、第2の導電線1208aは電圧ドライバ1212aによって駆動され、第2の導電線1208bは電圧ドライバ1212bによって駆動されるなどである。電流ドライバ1210bは、選択されたワード線1206bを通してアクセス電流(Iaccess)を駆動する。同様に、電流ドライバ1210gは、選択されたワード線1206bを通してIaccessを駆動する。電流ドライバ1210は、電流をソースするか、又は電流をシンクするように構成されている。したがって、Iaccessは、選択されたワード線を通していずれかの方向に流れることができる。電流ドライバ1210が電流をソースするか又はシンクするかにかかわらず、本明細書では、これをワード線を通す電流の駆動と呼ぶ。一実施形態では、比較的低い電流が、選択されていないワード線(例えば、1206a、1206c、1206d、1206e、1206f、及び1206h)を通して駆動される。本明細書では、「選択されたワード線」は、ワード線が選択されたメモリセルに接続されていることを意味する。「選択されていないワード線」は、ワード線が選択されたいずれのメモリセルにも接続されていないことを意味する。言い換えれば、選択されていないワード線に接続している全てのメモリセルは、選択されていないメモリセルである。本明細書では、「選択されたビット線」は、ビット線が少なくとも1つの選択されたメモリセルに接続されていることを意味する。「選択されていないビット線」は、ビット線が選択されたいずれのメモリセルにも接続されていないことを意味する。言い換えれば、選択されていないビット線又は選択されていないワード線に接続している全てのメモリセルは、選択されていないメモリセルである。
【0112】
メモリセルのうちの2つ、701b、701eは、同時アクセスのために選択される。選択されたメモリセル701bは、選択されたワード線1206b及び選択されたビット線1208bのクロスポイントにある。他のメモリセルは、アクセスのために選択されない(すなわち、選択されていないメモリセルである)。例えば、メモリセル701a、701c、701d、並びに参照番号で具体的にラベル付けされていないメモリセルは、アクセスのために選択されない。選択されたメモリセル701eは、選択されたワード線1206g及び選択されたビット線1208のクロスポイントにある。他の全てのワード線及び他の全てのビット線は選択されていない。メモリセル701を選択するために、選択されたビット線(例えば、ビット線1208b)に選択電圧(Vselect)が提供され、選択されたワード線(例えば、ワード線1206b、1206g)を通してアクセス電流が駆動される。選択されていないビット線(例えば、ビット線1208a、1208c、1208d)には、非選択電圧(Vunsel)が提供される。一実施形態では、Vselectは、選択されたメモリセル内の閾値切替セレクタ1204がオンになるような大きさを有する。一方、Vunselは、選択されていないメモリセル内の閾値切替セレクタ1204がオンにならないような大きさを有する。
【0113】
センス増幅器(SA)1228a~1228hのうちの1つは、各ワード線に接続される。例えば、SA1228aはワード線1206aに接続され、SA1228bはワード線1206bに接続されるなどである。各センス増幅器は、SAが接続されているワード線1206上の電圧を感知するように構成される。
【0114】
図12の例では、クロスポイントアレイ内で、ビット線よりも多くのワード線が存在する。一実施形態では、クロスポイントアレイ内で、ワード線よりも多くのビット線が存在する。一実施形態では、クロスポイントアレイ内で、ビット線の数はワード線の数に等しい。
図12の例では、クロスポイントアレイ内にビット線の2倍の数のワード線があるが、異なる比率を使用することもできる。
【0115】
いくつかの実施形態では、電圧ドライバ1212は、戦略的な位置でそれぞれのビット線1208に接続する。いくつかの実施形態では、電流ドライバ1210は、戦略的な位置でそれぞれのワード線1206に接続する。
図13は、ドライバからビット線及びワード線への接点の位置を示す、クロスポイントアーキテクチャを有するメモリアレイ1202の実施形態を示す。
図5又は6Aのアレイ502/602に対応することができる
図13のメモリアレイ1202は、
図12のアレイと同じワード線1206a~1206h及びビット線1208a~1208dを示す。ただし、メモリセル701は
図13に示されていない。
【0116】
各電流ドライバ1210a~1210hは、ワード線接点1302a~1302hのうちの対応する1つによってワード線1206のうちの1つに接続される。一実施形態では、電流ドライバは、その対応するワード線にビアによって接続する。したがって、電流ドライバは、駆動するワード線とは異なるレベルのクロスポイントアレイに存在し得る。電流ドライバ1210は、制御ダイ611上など、クロスポイントアレイの外側に配置することができる。各ワード線接点1302は、それぞれのワード線1206を第1の部分及び第2の部分に分割する位置でワード線1206に接続する。例えば、ワード線接点1302cは、ワード線1206cを第1の部分1312a及び第2の部分1312bに分割する位置でワード線1206cに接続する。いくつかの実施形態では、ビット線1208の半分は、それぞれの第1の部分のどこかでワード線1206と交差するように配置され、ビット線の他の半分は、それぞれの第2の部分のどこかでワード線と交差するように配置される。例えば、ビット線1208a及び1208bは、ワード線1206cの第1の部分1312aと交差し、ビット線1208c及び1208dは、ワード線1206cの第2の部分1312bと交差する。いくつかの実施形態では、ワード線接点1302は、それぞれのワード線1206の中点に配置される。したがって、いくつかの実施形態では、それぞれのワード線の第1及び第2の部分は、ほぼ同じ長さである。
【0117】
各電圧ドライバ1212a~1212dは、ビット線接点1304a~1304dのうちの対応する1つによってビット線1208のうちの1つに接続される。一実施形態では、電圧ドライバは、その対応するビット線にビアによって接続する。したがって、電圧ドライバは、駆動するビット線とは異なるレベルのクロスポイントアレイに存在し得る。電圧ドライバ1212は、制御ダイ611上など、クロスポイントアレイの外側に配置することができる。各ビット線接点1304は、それぞれのビット線1208を第1の部分及び第2の部分に分割する位置でビット線1208に接続する。例えば、ビット線接点1304aは、ビット線1208aを第1の部分1314a及び第2の部分1314bに分割する位置でビット線1208aに接続する。いくつかの実施形態では、ワード線1206の半分は、それぞれの第1の部分のどこかでビット線と交差するように配置され、ワード線1206の他の半分は、それぞれの第2の部分のどこかでビット線と交差するように配置される。例えば、ワード線1206a~1206dは、ビット線1208aの第1の部分1314aと交差し、ワード線1206e~1206hは、ビット線1208aの第2の部分1314bと交差する。いくつかの実施形態では、ビット線接点1304は、それぞれのビット線1208の中点に配置される。したがって、いくつかの実施形態では、それぞれのビット線1208の第1及び第2の部分は、ほぼ同じ長さである。
【0118】
図14は、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルに同時にアクセスするプロセス1400の一実施形態のフローチャートである。一実施形態では、メモリセルはMRAMセルである。一実施形態では、プロセス1400は、クロスポイントアレイ内の1つ又は複数のメモリセルを同時に読み出すために実行される。一実施形態では、プロセス1400は、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルを同時に書き込むために実行される。一実施形態では、プロセス1400は、メモリダイ500内の制御回路によって実行される。一実施形態では、プロセス1400は、制御ダイ611内の制御回路によって実行される。プロセス1400を説明するために、
図13に示すクロスポイントアレイを参照するが、プロセス1400は、
図13に示すアレイに限定されない。
【0119】
ステップ1402は、選択電圧を選択された第2の導電線1208に印加することを含む。
図13を参照すると、電圧ドライバ1212bによって第2の導電線1208bにV
selectが印加される。ステップ1402はまた、非選択電圧を選択されていない第2の導電線1208に印加することを含んでもよい。
図13を参照すると、電圧ドライバ1212aによって第2の導電線1208aに、及び電圧ドライバ1212cによって第2の導電線1208cに、電圧ドライバ1212dによって第2の導電線1208dに、V
unselが印加される。いくつかの実施形態では、第2の導電線はビット線である。
【0120】
ステップ1404は、各選択された第1の導電線1206を通して別々にアクセス電流を駆動して、各選択されたメモリセルを通してアクセス電流を別々に同時に駆動することを含む。アクセス電流は、アクセス電流が正又は負の大きさを有するものとして定義されるかどうかに応じて、第1の導電線1206を通っていずれかの方向に流れることができることに留意されたい。選択電圧が選択された第2の導電線に印加されている間に、メモリセルを通してアクセス電流が駆動される。
図13を参照すると、選択された第1の導電線1206bを通して電流ドライバ1210bによってI
accessが駆動され、メモリセル701bを通してI
accessが駆動される。ほぼ同時に、選択された第1の導電線1206gを通して電流ドライバ1210gによってI
accessが駆動され、メモリセル701eを通してI
accessが駆動される。したがって、I
accessは、現在、クロスポイントアレイ内の複数の選択されたメモリセルを通して別々に駆動される。
【0121】
一実施形態では、ステップ1404におけるアクセス電流は、メモリセルを同時に読み出すために使用され、電流は、Iholdを超えるのに十分であり、例えば、MRAMが10Ω-μm2のRAを有する20nmのCDを有する場合、15μaである。したがって、アクセス電流は、読み出し電流と呼ばれてもよい。この場合、プロセス1500は、各メモリセルを同時に読み出すために、それぞれの選択された第1の導電線1206の電圧を感知することを更に含んでもよい。
【0122】
一実施形態では、ステップ1404におけるアクセス電流は、メモリセルを同時に書き込むために使用される。したがって、アクセス電流は、書き込み電流と呼ばれてもよい。一実施形態では、アクセス電流は、MRAMセルをP状態からAP状態に変更する。したがって、クロスポイントアレイ内の複数のMRAMセルは、P状態からAP状態に同時にプログラムされてもよい。一実施形態では、アクセス電流は、MRAMセルをAP状態からP状態に変更する。したがって、クロスポイントアレイ内の複数のMRAMセルは、AP状態からP状態に同時にプログラムされてもよい。いくつかの実施形態では、書き込み動作は2段階動作である。一実施形態では、MRAMの2段階の書き込み動作のうち、第1の段階は、全ての選択されたメモリセルをAP状態に置く。第2の段階は、適切な又は選択されたMRAMセルを、AP状態からP状態に書き込む。あるいは、第1の段階はP状態にプログラムすることができ、第2の段階はAP状態にプログラムすることができる。別の実施形態では、セルは、最初に15μaなどの読み出し電流でP2AP方向に読み出され、センス増幅器に至るグローバル復号ノード上に得られた電圧を生成する(グローバルノードがビットセレクタをオンにして導電状態に維持するのに十分な読み出し電流によって駆動される、ビット線ドライブの上流で、ビット線デコーダ、ビット線、メモリセル、ワード線、ワード線デコーダを約0Vに駆動する。得られた電圧は、コンデンサに一時的に蓄積され、低電圧から高電圧への他の端子スイッチを有する別のコンデンサからの蓄積コンデンサ電荷に結合し、例えば蓄積された電圧を150mVまで移動させることによって、上方に調整され得る。次に、電流P2APを、例えば35uaで50ns程度の時間などの書き込み電流まで増加させる。次に、読み出しは再び実行されるが、結果として得られる電圧は、比較器によって、以前に蓄積され、調整された電圧と比較される。電圧が十分に変化した(例えば、150mvを超える)場合、ビットはLRS状態にあった。変化が150mv未満である場合、ビットはHRSにあった。次に、書き込み電流の方向を反転させることによってビットをLRS状態に書き戻すことができ、又はHRS状態のままにすることができる。
【0123】
クロスポイントアレイ内のどのメモリセルが同時にアクセスされるかを選択するために、いくつかの異なる方策を使用することができる。
図13を再び参照すると、いくつかの実施形態では、選択されたメモリセルは、ビット線接点1304に対するそれらの位置に関して選択される。同時アクセスの一実施形態では、選択された1つのビット線及び1つ以上の選択されたワード線の対が存在する。例示を目的として、選択された1つのビット線及び1対の選択されたワード線があるいくつかの例について説明する。一実施形態では、選択されたワード線の対は、選択されたビット線のビット線接点1304から選択されたワード線が選択されたビット線と交差する点までの距離に基づいて選択される。一実施形態では、選択されたビット線のビット線接点1304から前述の交差点までの距離は、選択されたワード線の対の両方の部材に対してほぼ同じである。言い換えれば、選択されたワード線の対の2つの部材は、ビット線接点の接続点から、各部材が選択されたビット線と交差するそれぞれの点まで等距離にある。本明細書において、「等距離」は、「ほぼ同じ距離」を意味する。一実施形態では、距離の差は5パーセント未満である。例えば、
図14を参照すると、対はワード線1206b及び1206gを含み得る。あるいは、対はワード線1206d及び1206eを含み得る。この方策は、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する場所と、選択されたビット線がそれぞれの選択されたメモリセルに接続する場所との間にほぼ同じIR降下をもたらす。この方策は、読み出しマージンを改善するのに役立ち、それによって、選択された各メモリセルの正確な感知を提供する。
【0124】
前述の距離ベースの例と同様の方策は、選択されたワード線と、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する場所との間のワード線の数に基づく。一実施形態では、1対のワード線の各部材は、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する接続点から「n」個のワード線だけ離れたワード線である。例えば、ワード線1206b及び1206gは、ビット線接点1304がビット線1208に接続する場所から3つ離れたワード線である(この例は、ワード線1206b及び1206gを3つのワード線のうちの1つとしてカウントする)。いくつかの実施形態では、ワード線は、ビット線接点の位置に対して対称的に離隔配置されてもよく、これにより、この方策はまた、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する場所と、選択されたビット線がそれぞれの選択されたメモリセルに接続する場所との間で、ほぼ同じIR降下をもたらす。したがって、この方策は、読み出しマージンを改善するのに役立ち、それによって、選択された各メモリセルの正確な感知を提供する。
【0125】
別の距離ベースの実施形態では、選択されたワード線の位置は、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する場所と、それぞれの選択されたワード線が選択されたビット線と交差する場所との間のほぼ同じ総距離を維持するために選ばれる。これは、一例として説明される。
図13を参照すると、ワード線対は、ワード線1206a及び1206e、ワード線1206b及び1206f、ワード線1206c及び1206f、並びにワード線1206d及び1206hであってもよい。この方策は、エラー訂正に有益であり得る。場合によっては、選択されたメモリセルの位置(及びそれゆえ、選択されたワード線の位置)は、メモリセル内に記憶されたデータの信頼性に影響を与える。一例として、ワード線1206aに沿ってメモリセル内に記憶されたデータは、ワード線1206dに沿ってメモリセル内に記憶されたデータよりも信頼性が低い。同様に、ワード線1206hに沿ってメモリセル内に記憶されたデータは、ワード線1206eに沿ってメモリセル内に記憶されたデータよりも信頼性が低い。したがって、この方策は、より高い信頼性データと同時により低い信頼性データを読み出す。いくつかの実施形態では、これらのデータのビットの両方は、同じECCコードワードの一部である。代わりに、ワード線1206aに沿ったメモリセル及びワード線1206bに沿ったメモリセルが同時に読み出された場合、2つのより低い信頼性ビットが一緒に読み出され、コードワードの復号が失敗する可能性が高まる。しかしながら、より低い信頼性のビットをより高い信頼性のビットと混合することにより、コードワードの復号が失敗する可能性が低くなる。したがって、この方策は、メモリセルに記憶されたコードワードの復号を改善する。
【0126】
前述の総距離ベースの例と同様の方策は、選択されたワード線の対のそれぞれの部材と、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する場所との間のワード線の総数に基づく。一実施形態では、ワード線の総数は、選択されたワード線の各対について同じである。
図13を参照すると、ワード線対がワード線1206a及び1206e、ワード線1206b及び1206f、ワード線1206c及び1206f、並びにワード線1206d及び1206hである場合、各々の場合に、選択されたワード線の対のそれぞれの部材と、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する場所との間には合計3つのワード線が存在する(この例は、選択されたワード線を、選択されたワード線の対のそれぞれの部材と、ビット線接点1304が選択されたビット線に接続する場所との「間」にあるワード線のうちの1つとしてカウントしない)。
【0127】
いくつかの実施形態では、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルの同時アクセスは、自己参照読み出し(SRR)を実行することを含む。一実施形態では、SRR読み出しは、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルの同時読み出しの間に使用される。一実施形態では、SRR読み出しは、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルの同時書き込みの間に使用される。一実施形態では、SRR読み出しは、複数のMRAMセルをAP状態に同時に置くために使用される。
【0128】
図15は、SSRを実行することを含む、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルに同時にアクセスするプロセス1500の一実施形態を示すフローチャートである。SRRは、破壊的SRRと呼ばれてもよく、これは、SRRの間にメモリセルの元の状態が変更され得ることを意味する。一実施形態では、プロセス1500は、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルを同時に読み出すために実行される。一実施形態では、プロセス1500は、クロスポイントアレイ内の複数のメモリセルの同時書き込みの間に実行される。一実施形態では、プロセス1500は、メモリダイ500内の制御回路によって実行される。一実施形態では、プロセス1500は、制御ダイ611内の制御回路によって実行される。
【0129】
プロセス1500を説明するために、
図13に示すクロスポイントアレイを参照するが、プロセス1500は、
図13に示すアレイに限定されない。プロセス1500では、メモリセルはMRAMセルとして記載される。しかしながら、プロセス1500は、クロスポイントアレイ内の他の種類のメモリセルと共に使用されてもよい。プロセス1500は、
図16A及び
図16Bを参照して説明される。
図16Aは、選択されたワード線を通して駆動されるアクセス電流に対する電流対時間を示す。
図16Bは、選択されたMRAMセルにわたる電圧の電圧対時間を示す。
【0130】
ステップ1502は、選択されたビット線に選択電圧を印加しながら、各選択されたMRAMセルを通して第1のアクセス電流を駆動するために、各選択されたワード線を通して第1の読み出し電流を駆動することを含む。
図13を参照すると、選択された第1の導電線1206bを通して電流ドライバ1210bによってI
accessが駆動され、メモリセル701bを通してI
accessが駆動される。ほぼ同時に、選択された第1の導電線1206gを通して電流ドライバ1210gによってI
accessが駆動され、メモリセル701eを通してI
accessが駆動される。
図13を参照すると、電圧ドライバ1212bによって第2の導電線1208bにV
selectが印加される。一実施形態では、I
accessは15μAであり、V
selectは0Vである。
【0131】
図16A及び16Bは、ここで、ステップ1502を更に詳述するために、1つのMRAMセル701に関して説明される。
図16Aを参照すると、アクセス電流は、時刻t1においてI
readまで増加し、t3までI
readで保持される。
図16Bを参照すると、メモリセル701にわたる電圧は、t1からt2まで増加する。閾値切替セレクタ1204は、t1~t2の間はオフである。t1とt2の間では、アクセス電流によってワード線電圧が上昇する。アクセス電流はまた、経路内のいかなる漏れもサポートする。いったん閾値切替セレクタ1204にわたる電圧が閾値切替セレクタ1204の閾値電圧V
thに達すると、閾値切替セレクタはオンになり、(t2で)低抵抗状態に切り替わる。したがって、閾値切替セレクタ1204と抵抗MRAM素子1202との直列結合にわたる電圧は、閾値切替セレクタがオフ状態にあるときに上昇する。
【0132】
閾値切替セレクタ1204が(t2で)オン状態になると、Iread電流は選択されたメモリセル701を通って流れる。アクセス電流がIreadで固定されて保持されると、メモリセルにわたる電圧は、MRAM素子1202の直列抵抗及び閾値切替セレクタ1204のオン状態抵抗に依存するレベルに低下する。バイナリ実施形態では、メモリセルは、高抵抗、AP状態、及び低抵抗、P状態を有する。高抵抗状態(HRS)及び低抵抗状態(LRS)に対するIread電流に応答して、直列接続されたMRAM素子1202及び閾値切替セレクタ1204にわたる結果として得られる電圧は、それぞれ線1610及び1612として示される。ここでの説明は、閾値切替セレクタと直列に配置されているMRAMベースのメモリセルに関連しているが、この読み出し技術は、PCM又はReRAMデバイスなどの他のプログラム可能な抵抗メモリセルにも同様に適用することができる。
【0133】
再び
図15に戻ると、ステップ1504は、各選択されたMRAMセルを通して書き込み電流を同時に駆動するために、選択されたビット線に選択電圧を印加しながら、各選択されたワード線を通して書き込み電流を駆動することを含む。
図13を参照すると、選択された第1の導電線1206bを通して電流ドライバ1210bによってI
accessが駆動され、メモリセル701bを通してI
accessが駆動される。ほぼ同時に、選択された第1の導電線1206gを通して電流ドライバ1210gによってI
accessが駆動され、メモリセル701eを通してI
accessが駆動される。
図13を参照すると、電圧ドライバ1212bによって第2の導電線1208bにV
selectが印加される。一実施形態では、I
accessは30μAであり、V
selectは0Vである。
【0134】
図16A及び16Bは、ここで、ステップ1504を更に詳述するために、1つのMRAMセル701に関して説明される。
図16Aを参照すると、アクセス電流は、時刻t3においてI
writeまで増加し、t5までI
writeで保持される。
図16Bを参照すると、t3において、MRAMセル701にわたる電圧は、t3で増加する。MRAMセル701がHRSにあった場合(線1610)、MRAMセルにわたる電圧は、t3において線1620によって示されるレベルまで上昇し、t5までそこに留まる。HRSはAP状態であることを想起されたい。したがって、このMRAMセルはAP状態のままである。
【0135】
MRAMセル701がLRSにあった場合(線1612)、MRAMセルにわたる電圧は、t3において線1622によって示されるレベルまで上昇する。LRSはP状態であることを想起されたい。MRAMセル701がP状態にあった場合、AP状態に切り替わる。
図16Bは、線1622がt4で上昇し、線1620と交わることを示す。これは、MRAMセルがP状態(LRS)からAP状態(HRS)に切り替わったことを表す。感知された実際の電圧はセル及びデコーダ、センス増幅器に至るいわゆるグローバル復号ノードを通り過ぎることが当業者には理解されよう。このグローバルノードに電流が印加されて、ワード線デコーダを通してメモリセルをメモリビットに駆動し、メモリビットの他方の側は、ソースが接地されたビット線デコーダドライバNチャネルトランジスタを通して接地付近に保持される。
【0136】
再び
図15に戻ると、ステップ1506は、各選択されたMRAMセルを通して第2のアクセス電流を駆動するために、選択されたビット線に選択電圧を印加しながら、各選択されたワード線を通して第2の読み出し電流を駆動することを含む。一実施形態では、第2のアクセス電流は、第1のアクセス電流と同じ方向及び実質的に同じ大きさを有する。
図13を参照すると、選択された第1の導電線1206bを通して電流ドライバ1210bによってI
accessが駆動され、メモリセル701bを通してI
accessが駆動される。ほぼ同時に、選択された第1の導電線1206gを通して電流ドライバ1210gによってI
accessが駆動され、メモリセル701eを通してI
accessが駆動される。
図13を参照すると、電圧ドライバ1212bによって第2の導電線1208bにV
selectが印加される。一実施形態では、I
accessは15μAであり、V
selectは0Vである。
【0137】
図16A及び16Bは、ここで、ステップ1506を更に詳述するために、1つのMRAMセル701に関して説明される。
図16Aを参照すると、アクセス電流は、時刻t5においてI
writeからI
readまで減少し、t6までI
readで保持される。
図16Bを参照すると、メモリセル701にわたる電圧は、t5で1630で示されるレベルまで低下し、t6までそのレベルで保持される。なお、線1630はHRSレベルである。MRAMセルの初期状態にかかわらず、MRAMセルは、ステップ1504においてHRS状態(AP状態)に置かれたことも想起されたい。
【0138】
再び
図15に戻ると、ステップ1508は、選択されたワード線を通して第1の読み出し電流を駆動してからの各選択されたワード線上の第1の電圧と、選択されたワード線を通して第2の読み出し電流を駆動してからの各選択されたワード線上の第2の電圧との比較に基づいて、各選択されたMRAMセルの先読み状態を決定することを含む。
【0139】
図16A及び16Bは、ここで、ステップ1508を更に詳述するために、1つのMRAMセル701に関して説明される。第1の読み出し電流を印加してからの選択されたワード線の第1の電圧は、t2とt3との間の電圧になる。したがって、第1の電圧は、HRSレベル1610又はLRSレベル1612のいずれかである。この第1の電圧は、ステップ1504において、例えば、ワード線電圧を使用してセンスキャパシタを充電することによって記憶されてもよい。第2の読み出し電流を印加してからの選択されたワード線上の第2の電圧は、t5とt6との間の電圧になる。この第2の電圧は、典型的には、およそHRSレベル1610である。しかしながら、第2の電圧は、HRSレベル1610とわずかに異なってもよい。したがって、第1の電圧を第2の電圧と比較することは、MRAMセルがt2とt3との間でHRSレベル1610又はLRSレベル1612にあったかどうかを決定するために使用され得る。
【0140】
再び
図15に戻ると、ステップ1508の後、プロセス1500は2つのオプションを有する。ステップ1510aは、読み出しオプションである。ステップ1510aは、必要に応じて、メモリセルの元の状態を書き戻すために、選択されたワード線1206を通して書き込み電流を駆動することを含む。ステップ1504が、全てのMRAMセルをAP状態に置いたことを想起されたい。したがって、ステップ1510aにおいて、元々P状態にあった全てのMRAMセルがP状態に書き戻される。元々AP状態にあった全てのMRAMセルは、ステップ1510aにおいてAP状態のままである。
【0141】
ステップ1510bは、書き込みオプションである。ステップ1510bは、必要に応じて、メモリセルの新しい状態を書き込むために、選択されたワード線1206を通して書き込み電流を駆動することを含む。上述のように、ステップ1504は、全てのMRAMセルをAP状態に置いた。したがって、P状態に書き込まれる全てのMRAMセルは、その元の状態にかかわらず、ステップ1510bにおいてP状態に書き込まれる。AP状態に書き込まれる全てのMRAMセルは、ステップ1510bにおいてAP状態のままである。
【0142】
図17は、破壊的SRR後にMRAMセルにデータを書き戻すためのプロセス1700のフローチャートを示す。プロセス1700は、ステップ1510aの一実施形態の更なる詳細を提供する。ステップ1702は、MRAMセルから読み出されたデータに対してECCを実行することを含む。プロセス1500は、単一のクロスポイントアレイからコードワードの複数ビットを同時に読み出すことができる。場合によっては、コードワードの他のビットは、他のクロスポイントアレイに記憶される。一実施形態では、メモリダイ500又は制御ダイ611のいずれかのシステム制御ロジック560/660は、コードワードの全てのビットを得るために、複数のクロスポイントアレイを読み出す。一実施形態では、システム制御ロジック560/660は、コードワードのビットを、コードワードを復号するメモリコントローラ102に送信する。いくつかの実施形態では、制御ダイ611はコードワードを復号する。復号が実行される場所にかかわらず、データ内の任意のエラーが訂正される。
【0143】
ステップ1704は、破壊的SRRの前にP状態にあったMRAMセルの組を識別することを含む。一実施形態では、ステップ1704は、メモリダイ500又は制御ダイ611のいずれかのシステム制御ロジック560/660によって実行される。この識別は、プロセス1500のステップ1508の結果に基づいて行われてもよい。
【0144】
ステップ1706は、選択されたビット線に選択電圧を印加することを含む。ステップ1708は、識別されたMRAMセルの組に接続されたワード線を通して書き込み電流を駆動することを含む。一実施形態では、Iaccessは-30μAであり、Vselectは0Vである。ステップ1708では、電流は、プロセス1500のステップ1504で流れた電流とは反対方向にMRAMセルを流れる。したがって、ステップ1504を使用してMRAMセルをAP状態に置いたが、ステップ1708を使用してMRAMセルをP状態に置く。
【0145】
図18は、MRAMセルにデータを書き込む第2の段階のプロセス1800のフローチャートを示す。プロセス1800は、ステップ1510bの一実施形態の更なる詳細を提供する。ステップ1802は、破壊的SRRの後に、P状態にプログラミングされるMRAMセルの組を識別することを含む。一実施形態では、ステップ1802は、メモリダイ500又は制御ダイ611のいずれかのシステム制御ロジック560/660によって実行される。この識別は、メモリコントローラ102によってシステム制御ロジック560/660に送信されるデータに基づいて行われてもよい。例えば、システム制御ロジック560/660は、「0」を記憶するMRAMセルがAP状態にプログラミングされ、「1」を記憶するメモリセルがP状態にプログラミングされると決定することができる。
【0146】
ステップ1804は、選択されたビット線に選択電圧を印加することを含む。ステップ1806は、識別されたMRAMセルの組に接続されたワード線を通して書き込み電流を駆動することを含む。一実施形態では、Iaccessは-30μAであり、Vselectは0Vである。ステップ1806では、電流は、プロセス1500のステップ1504で流れた電流とは反対方向にMRAMセルを流れる。したがって、ステップ1504を使用してMRAMセルをAP状態に置いたが、ステップ1806を使用してMRAMセルをP状態に置く。
【0147】
図19A及び19Bは、MRAMセルの書き込み中に使用されるタイミング図を示す。タイミング図は、プロセス1700又は1800のいずれにも適用することができる。
図19Aは、選択されたワード線を通して駆動される電流に対する電流対時間を示す。
図19Bは、MRAMセルにわたる電圧を時間に対して示す。タイミング図は、
図16A及び
図16Bのものと同様であり、いくつかの実施形態では、SRRのタイミング図に続くタイミングを表す。したがって、
図19A及び19Bでは、MRAMセルは時刻t1でAP状態にあると仮定されている。時刻t1において、選択されたワード線に提供される電流は、0AからI
writeレベルまで低下する。
図19Aでは、I
writeは負の値として表される。例えば、
図16AではI
writeは30μAであってもよいが、
図19AではI
writeは-30μAであってもよい。アクセス電流は、t1からt5までI
writeに保持される。本明細書で定義されるように、この負の大きさのアクセス電流は、選択されたワード線1206から電流ドライバ1210に流れることができることに留意されたい。言い換えれば、
図19Aの例では、電流ドライバ1210はアクセス電流をシンクする。本明細書で定義されるように、これはワード線を通して負電流を駆動する例である。
【0148】
図19Bを参照すると、t1とt3の間で、MRAMにわたる電圧は、0VからV
ssまで低下する
。閾値切替セレクタ1204は、t1~t2の間はオフである。いったん閾値切替セレクタ1204にわたる電圧が閾値切替セレクタ1204の閾値電圧V
thに達すると、閾値切替セレクタはオンになり、(t2で)低抵抗状態に切り替わる。閾値切替セレクタ1204がオンになった後、MRAMセルにわたる電圧は引き続き減少し得る。時刻t3まで、MRAMセル全体にわたる電圧は、定常状態値(V
ss)にある。また、時刻t2の後、全てのI
writeはMRAMセルを通過する。時刻t4において、MRAMセルはAP状態からP状態に切り替えられる。P状態はAP状態よりも低い抵抗状態であるため、MRAMセルにわたる電圧の絶対的な大きさはt4で低下する。言い換えれば、MRAMセルにわたる電圧は、t4で0Vに近づく。
【0149】
一実施形態では、最初にクロスポイントアレイ内の全ての選択されたMRAMセルをAP状態に同時に書き込むことによって、クロスポイントアレイ内のMRAMセルが同時に書き込まれる。次いで、選択されたMRAMセルの組は、AP状態からP状態に同時に書き込まれる。この技法は、最初にクロスポイントアレイ内の全ての選択されたMRAMセルをP状態に同時に書き込むように修正することができる。次いで、選択されたMRAMセルの組は、P状態からAP状態に同時に書き込まれる。
【0150】
図20は、全ての選択されたMRAMセルが最初にAP状態又はP状態のうちの一方に書き込まれる、MRAMセルを同時に書き込むプロセス2000のフローチャートである。一実施形態では、プロセス2000は、メモリダイ500内の制御回路によって実行される。一実施形態では、プロセス2000は、制御ダイ611内の制御回路によって実行される。
【0151】
ステップ2002は、不揮発性記憶装置に記憶されるデータを通信インターフェース568/668で受信することを含む。一実施形態では、メモリダイ500は、メモリコントローラ102からデータを受信する。一実施形態では、制御ダイ611は、メモリコントローラ102からデータを受信する。
【0152】
ステップ2004は、データを記憶するために、第1のビット値を記憶するためのクロスポイントアレイ内のMRAMセル701の第1の組を識別することと、第2のビット値を記憶するためのクロスポイントアレイ内のMRAMセル701の第2の組を識別することとを含む。MRAMセル701の第1の組及びMRAMセルの第2の組701は、クロスポイントアレイ内の全ての選択されたMRAMセル701を表す。一実施形態では、第1のビット値は「1」であり、第2のビット値は「0」である。一実施形態では、第1のビット値はAP状態によって表され、第2のビット値はP状態によって表される。したがって、「1」はAP状態によって表されてもよく、「0」はP状態によって表されてもよいが、この対応関係は逆にすることができる。
【0153】
ステップ2006は、第1及び第2の組内の全てのMRAMセル701を、AP状態又はP状態の一方に置くことを含む。したがって、クロスポイントアレイ内の全ての選択されたMRAMセル701が、AP状態又はP状態のいずれかに置かれる。これは、クロスポイントアレイ内の全ての選択されたMRAMセル701がAP状態に置かれるか、あるいは、クロスポイントアレイ内の全ての選択されたMRAMセル701が、P状態に置かれることを意味する。一実施形態では、ステップ2006は、SRRの少なくとも一部を実行することを含む。例えば、ステップ2006は、プロセス1500の少なくともステップ1502~1504を実行することを含み得る。一実施形態では、ステップ1502~1506が実行される。一実施形態では、ステップ1502~1508が実行される。
【0154】
ステップ2008は、MRAMセルの第2の組をAP状態又はP状態の一方に残したまま、MRAMセルの第1の組をAP状態又はP状態の他方に同時に置くことを含む。一実施形態では、MRAMセルの第1の組は2つ以上のセルを有し、MRAMセルの第2の組は0個以上のセルを有する。一実施形態では、MRAMセルの第1の組は0個以上のセルを有し、MRAMセルの第2の組は2つ以上のセルを有する。一実施形態では、MRAMセルの第1の組は1つ以上のセルを有し、MRAMセルの第2の組は1つ以上のセルを有する。
【0155】
以下の2つの実施例は、ステップ2006~2008で拡張するために使用される。一例として、ステップ2006で、クロスポイントアレイ内のMRAMセル701の第1の組及び第2の組の両方が、AP状態に置かれる。第1の例のステップ2008では、MRAMセルの第1の組はAP状態からP状態に書き込まれ、一方、MRAMセルの第2の組はAP状態のままである。第2の例として、ステップ2006で、クロスポイントアレイ内のMRAMセル701の第1の組及び第2の組の両方が、P状態に置かれる。第2の例のステップ2008では、MRAMセルの第1の組はP状態からAP状態に書き込まれ、一方、MRAMセルの第2の組はP状態のままである。
【0156】
上述のように、MRAMメモリセルへのデータの読み出し又は書き込みのいずれかは、メモリセルに電流を通すことを含む。閾値切替セレクタがMRAMデバイスと直列に配置される実施形態では、電流がMRAMデバイスを通過し得る前に、閾値切替セレクタ及びMRAMデバイスの直列結合にわたって十分な電圧を印加することによって、閾値切替セレクタをオンにする必要がある。
図21A、
図21B、及び
図22は、読み出し動作の文脈において、閾値切替セレクタのこのアクティブ化をより詳細に考察する。
【0157】
図21A及び21Bは、読み出し動作における
図11A及び11Bの層1セルの電流及び電圧のそれぞれの波形の組の実施形態であり、
図21A及び
図21Bの時間軸は、整列され、同じスケールである。
図16A及び
図16Bと比較して、
図21A及び
図21Bは、時刻t3までの間隔を考慮する。読み出し動作のための本実施形態では、読み出しはP2AP方向に実行され、ワード線1 1100/1150は高くバイアスをかけられ、ビット線1110/1160は低く(例えば、0V)設定され、それによって、(従来の)電流は、自由層1101/1151を通過する前に基準層1105/1155を通過して上方に流れる。(従来の電流とは対照的に、電子電流に関しては、電子流は、
図10Bに示す通りである。)
【0158】
図21A及び21Bの実施形態では、強制電流手法が使用され、メモリは、線用のドライバ回路内の電流源からの読み出し電流I
readで基準層側から駆動される。実線2101によって
図21Aに示されるように、電流はI
read値まで上昇し、電流読み出し動作の持続時間にわたってそこに保持される。この電流は、
図11A及び
図11Bの層1メモリセルのワード線1 1100/1150などの選択されたメモリセルに電流を供給する線を移動させ、また経路内の漏れも支持する。
図21Bの2151に示すように、閾値切替セレクタと抵抗MRAM素子との並列結合にわたる電流は、閾値切替セレクタがオフ状態にあるときに上昇する。2153で、閾値切替セレクタにわたる電圧が閾値切替セレクタの閾値電圧V
thに達すると、閾値切替セレクタはオンになり、低抵抗状態に切り替わる。
【0159】
いったん閾値切替セレクタがオン状態になると、I
read電流は選択されたメモリセルを通って流れる。これは、
図21Aの破線2103によって示されており、閾値切替セレクタが2153でオンに切り替わるときに0からI
readにジャンプして、メモリセルを通る電流をリセットする。電流レベルがI
readで固定されて保持されると、メモリセルにわたる電圧は、MRAMデバイスの直列抵抗及び閾値切替セレクタのオン状態抵抗に依存するレベルに低下する。バイナリ実施形態では、メモリセルは、高抵抗逆平行状態及び低抵抗平行状態を有する。高抵抗状態(HRS)及び低抵抗状態(LRS)に対するI
read電流に応答して、直列接続されたMRAMデバイス及び閾値切替セレクタにわたる電圧として結果的に得られる電圧は、それぞれ2155及び2153として示される。次いで、得られた電圧差をセンス増幅器によって測定して、メモリセルに記憶されたデータ状態を決定することができる。ここでの説明は、閾値切替セレクタと直列に配置されているMRAMベースのメモリセルに関連しているが、この読み出し技術は、PCM又はReRAMデバイスなどの他のプログラム可能な抵抗メモリセルにも同様に適用することができる。
【0160】
図21Bは、2153でV
thに達するまで2151で上昇させ、次いで、2155における高抵抗状態レベル又は2153における低抵抗状態のいずれかに低下させるのに印加される電圧を示す。実際のデバイスでは、抵抗及び静電容量により、2153における電圧スパイクが2155又は2153のいずれかに低下するにつれていくらかの遅延が生じる。これは、低抵抗状態の例についての
図22によって示される。
【0161】
図22は、閾値切替セレクタがオフ状態からオン状態に切り替わるときのMRAMデバイスにわたる電圧の一例を示す。
図21Bと比較して、
図22は、MRAMデバイスのみにわたる電圧V
MRAMを示し、
図21Bは、閾値切替セレクタとMRAMデバイスとの直列結合にわたる電圧を表す。最初に、閾値切替セレクタがオンになる前に、印加電圧がV
th電圧まで上昇すると、MRAMデバイスにわたる電圧はゼロになる。いったん閾値切替セレクタがオンになると、電流がMRAMデバイスを通って流れ始め、MRAMデバイスにわたる電圧はV
thから閾値切替セレクタにわたって降下する電圧V
holdを差し引いたレベルにスパイクする。したがって、V
MRAMは、0VからΔVすなわち(V
th-V
hold)までジャンプし、その後、印加されたI
read、例えばI
read×R
MRAMに応答して、抵抗状態にあるMRAMデバイスにわたる電圧降下まで減衰する。25KΩのLRS及び15uaの読み出し電流の場合、MRAMデバイスにわたる電圧V
MRAMは、375mVである。一方、50KΩのHRSでは、V
mramは750mVである(電圧をクランプ電圧に制限するコンプライアンスVに達しない限り)。375mVの差は、記憶されたレベルを150mVなどの閾値量だけ調整することによって感知することができる。
【0162】
VMRAM電圧が漸近的VMRAMレベル付近まで低下する速度は、(Vth-Vhold)とVMRAMとの間の差である「スナップバック電圧」ΔVによるスパイクの大きさと、メモリセル及びそれらの間に接続されている線のR-C特性に依存する、電荷がデバイスから流出することができる速度とに依存する。この挙動は、メモリセルの動作に関するいくつかの実際的な結果をもたらす。
【0163】
第1の結果は、
図22に示すように、低抵抗状態及び高抵抗状態の両方が減衰することであり、
図22は低抵抗状態を示す。高抵抗状態は、同様の挙動を示すが、より高い漸近状態を有する。これら2つの状態を区別するために、十分なマージンで分離する必要があり、そのため、2つの状態が明確に区別可能な電圧レベルを有するために十分な時間が経過するまで感知動作を実行することができない。
【0164】
別の結果として、過剰な電流スパイクは、メモリセル内に記憶されたデータをディスターブする可能性がある。
図10A及び
図10Bに関して説明したように、MRAMメモリの状態は、メモリセルに電流を流すことによって変更することができ、その結果、メモリセルにわたる電圧及び/又はメモリセルを通る電流が十分に長い間十分に高い場合、これは、電流の方向に応じて、
図10Bに示すように、平行状態を逆平行状態(P2AP書き込み)に変更し、又は
図10Aに示すように、逆平行状態を平行状態(AP2P書き込み)に変更する。例えば、
図21A及び
図21Bの読み出しプロセスは、P2AP方向で実行されるものとして説明されており、それにより、
図22の波形によるディスターブが、記憶されたデータ状態を決定することができる前に、低抵抗状態メモリセルを高抵抗状態に切り替えることができる。
【0165】
上述のように、閾値切替セレクタは、メモリセルへのアクセスを制御する。具体的には、電圧又は電流をメモリセルに印加してその抵抗状態を読み出し又は変更するために、対応するセレクタは、最初に、十分に高い電圧、例えば、動作閾値電圧Vthよりも高い大きさの電圧を印加することによって導電状態に切り替えられなければならない。セレクタが非導電状態にあるとき、例えば、セレクタの両端電圧が動作閾値電圧よりも低い大きさのとき、MRAM電圧は[RMRAM/(RMRAM+Rselector)]×Vapplied=VMRAMの比であるため、メモリセルは分離され、その既存の抵抗状態を維持する。非導電性Rselector(例えば1MΩより大きい)がRMRAM(例えば100Ω未満)よりもはるかに大きい場合、VMRAMは、セレクタがオンになり、その抵抗が例えば1KΩに低下するまで十分に低い。
【0166】
その結果、MRAMメモリセルのデータコンテンツを読み出すための選択は、対応する閾値切替セレクタをオンにすることを含み、これは、VthからVholdへのΔVのスナップバックを有する。この過渡現象は、例えばOTSターンオンが1ナノ秒未満であるために高速に誘発され、Vselectorの差は、MRAMデバイスにわたって印加され、閾値切替セレクタ及びMRAMの内部抵抗、並びにアレイノード(例えば、ワイヤ間容量、及びトランジスタ及びドライバ内の他の素子の容量)、並びにこれらの容量性素子に対する直列抵抗によって決定される時間で減衰する。この過渡現象は、メモリセルに記憶されたデータ状態のディスターブをもたらす可能性があり、過渡現象が十分に収まるまでメモリセルを感知することができないため、この過剰電圧のブリードオフをより迅速にできるほど、読み出しディスターブの量は少なくなり、より迅速に読み出し動作を完了することができる。
【0167】
図7Dに示すような多層クロスポイントアレイ構造において、上部層720内のMRAMデバイスの配向が、(
図11Aの実施形態に示すような)下部層718と同じである場合、自己参照読み出し(SRR)プロセスについて上述したようなP2AP方向の読み出し中に、電流は、2つの層内で異なる方向に流れる。より具体的には、
図11Aに示すようなMRAM1102及びMRAM1112の配向でP2AP方向で読み出す場合、電流は、層1セル及び層2セルの両方について上向きに流れる。結果的に、層1メモリセルに対してP2AP方向で読み出しを実行する場合、ワード線1 1100は高電圧レベルに設定され、ビット線1110は低電圧レベルに設定され、一方、層2メモリセルに対してP2AP方向で読み出しを実行する場合、ビット線1110は高電圧に設定され、ワード線2 1120は低電圧に設定される。これは、SRRプロセスにおける層1の読み出し時には、電流シンクとして機能するように、
図11Aのビット線1110に低くバイアスをかける必要があるが、SRRプロセスにおける層2の読み出し時には、ビット線1110は、代わりに、電流源として機能するように高くバイアスをかけられることに留意されたい。これは、層1メモリセル及び層2メモリセルの同時読み出しを防止する。
【0168】
図7D又は
図11Aに示すような多層メモリ構造を形成する場合、プロセスの観点から、各層が同じ方法で形成され、1つのモジュールのみが必要とされることが好ましい。例えば、
図11Aを見ると、基板(図示せず)上に第1の組の導電線(ワード線1 1100)を形成した後、プロセスモジュールは、閾値切替セレクタ、基準層、トンネルバリア、及び自由層(それぞれ1109、1105、1103、及び1101)を順に形成することができる。次いで、第2の組の導電線(ビット線1110)を形成した後、メモリセルプロセスモジュールを繰り返して、閾値切替セレクタ、基準層、トンネルバリア、及び自由層(それぞれ1119、1115、1113、及び1111)を形成することができる。後続の層ごとに同じステップの組を繰り返すことにより、特にMRAM構造1102及び1112が単純化された形態で表され、これらの要素のための実際のプロセスモジュールがより関与するので、プロセスが簡略化される。
【0169】
全てのMRAM層を同じ配向で形成することが典型的には好ましいが、交互の層のMRAMデバイスの配向を反転することは、いくつかの利点を提供することができる。
図11Bは、層2のメモリセルが
図11Aに対して反転されている実施形態を示し、それにより、SRR動作において、電流は、層1メモリセルを読み出すときにワード線1 1150からビット線1160に、層2メモリセルを読み出すときにワード線2 1170からビット線1160に強制的に流される。これにより、いずれのレベルからの読み出し時にもビット線1160上で同じバイアスレベルを使用することが可能になり、また、
図14、
図15、及び後続の図に関して上述した複数のメモリセルの同時アクセスのような、両方のレベルのメモリセルの同時読み出しも可能になる。あるいは、
図11Aの層1メモリセルは、反転された配向を有することができ、電流は、SRR読み出し動作においてビット線1110からワード線1 1100及び/又はワード線2 1120に強制的に流される。いずれかの層の配向を反転させることにより、いずれのレベルのメモリセルを読み出すときにも、ビット線1110の同じバイアスが可能になるが、2つの層のいずれが反転されているかは、
図22に示すような過渡電圧をどのくらい迅速に消散させることができるかに影響を及ぼし得る。
【0170】
上述したように、過渡スパイクが、閾値切替セレクタがオンになるときにMRAM素子にわたってどれだけ速く生成したかは、この電圧スパイクが放電する経路に沿った抵抗及び静電容量に依存する。例えば、層1及び層2の両方において配向が同じである
図11Aに戻ると、ワード線1 1100は、層1におけるSRR読み出しのために高く引っ張られ、一方、ワード線2は、層2におけるSRR読み出しのために低く引っ張られる。
図12又は
図13のワード線ドライバ1210a~1210hを参照すると、下部レベルのワード線を高く引っ張ることは、Pチャネルデバイスを使用することによって実施することができ、一方、上部レベルのワードを低く引っ張ることは、Nチャネルデバイスの使用を使用することによって実施することができる。PMOSプルアップトランジスタに基づくかNMOSプルダウントランジスタに基づくかにかかわらず、そのようなドライバの静電容量はそのサイズに大きく比例する。NMOSデバイスは、所与の量の駆動抵抗要件のために、PMOSデバイスよりも小さいサイズで形成することができる。その結果、ワード線がビット線よりも短い
図12又は
図13に示すようなアレイ構造では、
図22に示すMRAMデバイスにわたる過渡現象は、接地に向かって引っ張るNチャネルデバイスを使用することによって選択されたワード線によって最も迅速に放電することができ、下部層又は上部層のいずれかを選択するためのビット線は、P2APを読み出すために、例えば3.3Vなどの正電源の近くに引っ張られる。したがって、両方の層が
図11Aの上部層のようなワード線を選択することを可能にするために、
図23に示すように、下部レベルのMRAMデバイスの配向を反転させることができる。そのような構成は、読み出しディスターブが低減されるので、データを読み出すときのビットエラー率を大幅に低減することができ、読み出し待ち時間における性能の向上も可能にする。
【0171】
図23は、読み出し動作における静電容量を最小化するために、下部層内のMRAMデバイスが上部層に対して反転されている、クロスポイントメモリアーキテクチャの2つの層の実施形態を示す。
図23は、
図11Aの要素を繰り返し、同様に番号付けされている(例えば、ワード線1 1100は、ここでは2300である)が、層1セルの層MRAM構成要素は反転されている。
【0172】
より具体的には、
図23では、層1メモリセルは、ワード線1 2300の下部導電線とビット線2310の中間導電線との間に形成されている。ここで、MRAMデバイス2302は、トンネルバリア2303の上に形成された基準層2301を有し、トンネルバリア2303は、自由層2305の上に形成されている。これは、
図11Aの層1MRAMデバイス1101に対して反転されており、その結果、層1メモリセルは、ビット線2310からMRAMデバイス2302を通る強制電流によって感知される。これは、ビット線2310からワード線1 2300に流れる、太く強調された矢印によって表される。
図23の実施形態では、閾値切替セレクタ2309は依然としてMRAMデバイス2302の下にあり、この素子を形成することに関連するプロセスシーケンスが両方の層において同じであることを可能にするが、代替実施形態では、MRAMデバイス2302及び閾値切替セレクタ2309の順序が逆になる。
【0173】
層2では、ワード線2 2320とビット線2310との間のメモリセルは、
図11Aのように配向され、自由層2311はトンネルバリア2313の上に形成され、トンネルバリア2313は、基準層2315の上に形成され、その下に閾値切替セレクタ2319がある。層1メモリセルと同様に、層2メモリセルは、ビット線2310からMRAMデバイス2312を通る強制電流によって感知される。これは、ビット線2310からワード線2 2320に流れる、太く強調された矢印によって表される。
【0174】
図23はまた、ワード線1 2300、ビット線2310、及びワード線1 2320の選択及びドライバ回路を概略的に表す。
図12及び
図13を再び参照すると、これらの素子は、ワード線ドライブ1210a~1210h、又はビット線ドライバ1212a~1212dのいずれかの一部と見なすことができる。太く強調された矢印によって表されるように、P2AP方向での読み出し動作において、読み出し電流は、ビット線2310からワード線1 2300及びワード線2 2320の一方又は両方に駆動される。電流I
read(P2AP)は、例えば、供給レベルに接続する電流ミラーに基づくことができる電流源2345によって提供され得る。電流源2345は、デコード制御信号BL Selを受信してビット線2310を選択するPMOSデバイス2343によって、ビット線2310に読み出し電流I
read(P2AP)を供給する。読み出し電流は、それぞれのNMOSデバイス2341及び2347によってワード線1 2300及びワード線2 2320から放電され、これらのNMOSデバイスは、それぞれのデコード制御信号WL1 Selを受信してワード線1 2300を選択し、WL2 Selを受信してワード線2 2320を選択する。
【0175】
閾値電圧(V
th)を増加させることによって閾値切替デバイスの漏れが低減され、V
thドロップを回避するために、メモリセルのワード線又はビット線の一方にPチャネルプルアップデバイスを使用し、ワード線及びビット線の他方にNチャネルプルダウンを使用するときに、最も広い許容V
th範囲が得られる。ここで主に説明されている2つの層の実施形態では、ビット線は、それらが2つの別個のワード線の間に配置されていることに起因して、また、
図12及び
図13に関して示すような実施形態で、ビット線がより長くなる傾向があることに起因して、より大きい静電容量になる傾向がある。したがって、閾値選択スイッチが消散され得るときに過渡電圧がスパイクする速度は、主にワード線のR-C特性によって決定される。ブリードオフ時間及び読み出し待ち時間を低減することができる1つの方法は、導電性ワイヤの長さを短くし、アレイの線間間隔を大きくすることによって静電容量を低減することであるが、これらの技術はいずれもメモリ密度を低下させる。メモリ密度に悪影響を及ぼすことなく、ブリードオフ時間及び読み出し待ち時間を低減することができる別の方法は、導電性ワイヤを駆動するために使用されるトランジスタのサイズを縮小することによるものである。ワード線2300及び2320にサイズの小さいNMOSデバイス2341及び2347を使用し、ビット線2310にサイズの大きいPMOSデバイス2343を使用することにより、アレイ密度を低下させることなく、過渡電圧を消散させるための一次経路の静電容量を低減することができる。
【0176】
図16A及び
図16Bに示す自己参照読み出しプロセスを再び参照すると、t1~t3の間とt5~t6の間の感知動作の両方において、電流の流れは
図23に示す通りであり、両方ともI
readを使用する。メモリセルの全てが高抵抗AP状態に置かれるt3~t5における書き込みの場合、電流はまた、
図23に示すようにP2AP方向であるが、強制電流のためにI
writeを有する電流源を使用する。したがって、
図23の実施形態では、アレイは、ビット線2310がPMOSデバイス2343によって一貫して高く引っ張られ、電流源2345が区間t3~t5の間にI
writeに切り替えられ、ワード線2300及び2320がNMOSデバイス2341及び2347によって一貫して低く引っ張られて動作することができる。
図19A及び
図19Bに示すように、選択されたメモリセルを低抵抗平行状態(AP2P)に書き込むときにのみ、これらのバイアスが反転され、選択されたメモリセルを通してI
writeをAP2P方向に駆動するために、選択されたビット線2310は低く取られ、ワード線2300及び2320のうちの1つ又は両方の、選択されたワード線は、高く取られる。層1及び層2両方のメモリセルがSRRプロセスのサブ動作のそれぞれに関して同じ方向にバイアスをかけられるため、これらの動作が両方の層に対して並行して実行される実施形態が可能になることに留意されたい。
【0177】
図24は、
図23の構造を使用して自己参照読み出しを実行するための実施形態のフローチャートである。このフローは、層1メモリセル及び層2メモリセルの両方のSRRプロセスを説明し、このステップは、2つの層の間で交互になる。2つの層は、独立して動作することができ、その結果、層1又は層2の動作のみが実行されるか、又はそれらは同時に動作することができ、その結果、複数のワード線に沿った同時読み出しについて上述したように、所与の層2の動作が対応する層1の動作と同時に実行されて、両方の層のデータコンテンツを同時に読み出す。
【0178】
ステップ2401において、BL Sel信号をPMOS 2343にアサートし、WL1 Sel信号をNMOS 2341にアサートすることによって、Ireadをビット線2310からワード線1 2300に駆動することによって、層1のMRAMデバイス2302のデータコンテンツが感知される。MRAMデバイス2302の抵抗状態は、次いで、対応するセンス増幅器(すなわち、SA 1228a~1228hのうちの1つ)によって決定することができる。同様に、ステップ2403は、BL Sel信号をPMOS 2343にアサートし、WL2 Sel信号をNMOS 2347にアサートすることによってビット線2310からワード線2 2320へIreadを駆動することによって層2のMRAMデバイス2312のデータコンテンツが感知されることを決定し、MRAMデバイス2312の抵抗状態は、対応するセンス増幅器(すなわち、SA1228a~1228hのうちの1つ)によって決定される。層1及び層2の両方のメモリセルは、ステップ2401及び2403のように同時にバイアスをかけることができるため、いくつかの実施形態では、これらの感知動作を同時に実行することができる。
【0179】
ステップ2405において、BL Sel信号をPMOS 2343にアサートし、WL1 Sel信号をNMOS 2341にアサートすることによって、Iwriteをビット線2310からワード線1 2300に駆動することによって、層1のMRAMデバイス2302はAP状態に書き込まれるが、ここでは電流源2345はIwriteを供給している。ステップ2407において、BL Sel信号をPMOS 2343にアサートし、WL1 Sel信号をNMOS 2347にアサートすることによって、Iwriteをビット線2310からワード線2 2320に駆動することによって、層2のMRAMデバイス2312はAP状態に書き込まれ、ここでは電流源2345はIwriteを供給している。層1及び層2の両方のメモリセルは、ステップ2405及び2407のように同時にバイアスをかけることができるため、いくつかの実施形態では、これらの感知動作を同時に実行することができる。次いで、SRRプロセスの第2の読み出しは、ステップ2401及びステップ2403についてそれぞれ上述したように実行することができるステップ2409及び2411に続くことができる。
【0180】
層1メモリセルのMRAM素子2302が低抵抗平行状態に書き込まれるように選択された場合、ステップ2413において、ワード線1 2300からビット線2310に(すなわち、先行するステップとは反対方向に)書き込み電流Iwriteを駆動することによってAP2P動作が実行される。同様に、層2メモリセルのMRAM素子2312が低抵抗平行状態に書き込まれるように選択された場合、ステップ2415において、ワード線2 2320からビット線2310に書き込み電流Iwriteを駆動することによってAP2P動作が実行される。ステップ2413及び2415の両方が、対応するワード線から同じビットに電流を駆動するので、これらの動作を同時に実行することができる。
【0181】
図24の前述の説明で述べたように、ステップの各対がビット線及び対応するワード線に同じ方法でバイアスをかけるので、これらのステップを並列に実行することができる。逆に、層のうちの1つのみが読み出される場合、その層に関連するステップのみを実行することができる。
【0182】
図25は、
図23の構造を形成するための実施形態のフローチャートである。各ステップ内で、プロセスは、
図11Aの構造を形成することになるプロセスと同様であり得るが、
図25は、層1と層2との間のプロセスステップの順序の変更を強調している。上述したように、
図23は簡略化されており、自由層、トンネルバリア、及び基準層のMRAMのみが表されているが、より詳細な説明は、例えば
図9に関して上述した追加の構造を含む。
【0183】
ステップ2501では、第1の方向に延びる第1の組の導電性ワイヤが、
図23に示されていない基板の上に形成される。
図23の図では、第1の導電線はワード線1 2300を含み、
図7Dのワード線の下部の組に対応する。
図23の実施形態では、閾値切替デバイスは、各層のMRAMデバイスの下に形成され、閾値切替セレクタ2309は、ステップ2503で形成される。他の実施形態では、閾値切替デバイスは、層の一方又は両方においてMRAMデバイスの上に形成され得る。ステップ2504で、層1MRAMデバイス2302が形成される。層1MRAMデバイスが反転されている
図23の実施形態では、ステップ2504は、ステップ2505で自由層2305を閾値切替セレクタ2309の上に形成し、ステップ2507でトンネルバリア2303を自由層2305の上に形成し、次いでステップ2509でトンネルバリア2303の上に基準層2301を形成する一連のサブステップを含む。
【0184】
ステップ2511では、第2の組の導電線が層1MRAMデバイス2302の上に形成される。導電線の第2の層は、ビット線2310を含み、
図7Dのビット線に対応する。ステップ2511の完了により、層1のメモリ構造が完成する。クロスポイントアーキテクチャでは、この第2の組の導電線は、基板上で導電線の第1の層(ワード線の底部の組)に垂直な第2の方向に延びる。
図23(及び上記の
図11A及び
図11B)は、説明の目的のために左から右に延びるワード線及びビットの両方を表しているが、より大きな構造で見ると、これらのうちの1つ(ビット線又はワード線の2つの層のいずれか)は、
図7B~
図7Dに示されるように、より正確にページ内に延びている。
【0185】
第2の層は、第2の組の導電線(ビット線2310)の上に層2閾値切替セレクタ2319を形成するステップ2513で開始して形成される。
図23の実施形態のプロセスシーケンスでは、層2閾値切替セレクタは、層のメモリセルのMRAMデバイスの下に再び形成されるが、層1のように、他の実施形態はこれを逆にすることができる。次いで、ステップ2514で、層2MRAMデバイス2312が形成される。ステップ2514のサブステップは、層1に対して順序を逆にし、ステップ2515は、閾値切替セレクタ2319の上に基準層2315を形成し、ステップ2517は、基準層2315の上にトンネルバリア2313を形成し、ステップ2519は、トンネルバリア23313の上に自由層2311を形成する。ワード線2 2320を含む導電線の頂部層は、ステップ2521で、ワード線1 2300を含む導電線の底部層と同じ方向に、下にある構造の上を延びるように形成される。2521で、
図23の2層構造が完成する。追加の層が形成される場合、プロセスは同じ方法で継続し、層1のプロセスモジュールとモジュール2のプロセスモジュールと交互させることができる。
【0186】
第1の組の態様によれば、装置は、基板と、基板上に形成された1つ以上のメモリアレイとを有する不揮発性メモリを含む。アレイのそれぞれは、基板の表面に平行な第1の方向に延びる第1の組の導電線と、第1の組の導電線の上に形成されており、基板の表面に平行な第2の方向に延びる第2の組の導電線と、第2の組の導電線の上に形成されており、第1の方向に延びる第3の組の導電線と、第1及び第2の組のメモリセルと、を含む。第1の複数のメモリセルの各々は、第1の組の導電線の対応する1つと第2の組の導電線の対応する1つとの間に接続されており、第1の複数のメモリセルの各々は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスと直列に接続された閾値切替セレクタを含み、第1の複数のメモリセルの各々のMRAMデバイスは、固定磁場極性を有する基準層と、基準層と直列に接続されており、かつプログラム可能な磁場極性を有する自由層とを含み、自由層は基準層の下に形成されている。第2の複数のメモリセルはそれぞれ、第2の組の導電線の対応する1つと第3の組の導電線の対応する1つとの間に接続されており、第2の複数のメモリセルのそれぞれは、MRAMデバイスと直列に接続された閾値切替セレクタを含み、複数のメモリセルの各々のMRAMデバイスは、固定磁場極性を有する基準層と、基準層と直列に接続されており、かつプログラム可能な磁場極性を有する自由層とを含み、自由層は基準層の上に形成されている。
【0187】
追加の態様では、方法は、第2の導電線から対応する第1の導電線に読み出し電流を強制的に流すことによって、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つのデータ状態を感知することを含み、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つは、第1の複数のメモリセル及び第2の複数のメモリセルを含むアレイの一部であり、第1及び第2の複数のメモリセルの各々は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスと直列に接続された閾値切替セレクタを含む。方法はまた、対応する第2の導電線から対応する第3の導電線に読み出し電流を強制的に流すことによって、第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つのデータ状態を感知することを含む。更に、方法は、対応する第2の導電線から対応する第1の導電線に書き込み電流を強制的に流すことによって、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込むことと、対応する第1の導電線から対応する第2の導電線に書き込み電流を強制的に流すことによって、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第2の状態から第1の状態に書き込むことと、対応する第2の導電線から対応する第3の導電線に書き込み電流を強制的に流すことによって、第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込むことと、対応する第3の導電線から対応する第2の導電線に書き込み電流を強制的に流すことによって、第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第2の状態から第1の状態に書き込むことと、を含み得る。
【0188】
別の一組の態様では、装置は、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスと直列に接続された閾値切替セレクタをそれぞれ有するメモリセルのアレイに接続するように構成されたコントローラ回路を含み、アレイは、第1の組の導電性ワイヤのうちの対応する1つと、第2の組の導電性ワイヤのうちの対応する1つとの間にそれぞれ接続された第1の複数のメモリセルと、第3の組の導電性ワイヤのうちの対応する1つと、第2の組の導電性ワイヤのうちの対応する1つとの間にそれぞれ接続された第2の複数のメモリセルと、を含み、制御回路は、第1の組の導電性ワイヤのうちの対応する1つに、第2の組の導電性ワイヤのうちの対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出し、第3の組の導電線のうちの対応する1つに、第2の組の導電線のうちの対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを読み出し、第1の組の導電線のうちの対応する1つに、第2の組の導電線のうちの対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込み、第1の組の導電線のうちの対応する1つに、第2の組の導電線のうちの対応する1つよりも高い電圧へとバイアスをかけることによって、第1の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第2の状態から第1の状態に書き込み、第3の組の導電線のうちの対応する1つに、第2の組の導電線のうちの対応する1つよりも低い電圧へとバイアスをかけることによって、第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第1の状態から第2の状態に書き込み、第3の組の導電線のうちの対応する1つに、第2の組の導電線のうちの対応する1つよりも高い電圧へとバイアスをかけることによって、第2の複数のメモリセルのうちの選択された1つを第2の状態から第1の状態に書き込むように更に構成される。
【0189】
本明細書の目的のために、明細書中の「実施形態」、「一実施形態」、「いくつかの実施形態」又は「別の実施形態」に対する言及は、異なる実施形態又は同一の実施形態について記述するために使用されることがある。
【0190】
本明細書の目的のために、接続とは、直接的な接続又は間接的な接続(例えば、1つ又は複数の他の部分を介して)であり得る。場合によっては、ある要素が別の要素に接続されるか又は結合されると言及される場合、この要素は、他の要素に直接的に接続されてもよく、又は、介在要素を介して他の要素に間接的に接続されてもよい。ある要素が別の要素に直接的に接続されていると言及される場合、この要素と他の要素との間には介在要素は存在しない。2つのデバイスは、それらが互いの間で電子信号を交換することができるように直接的に又は間接的に接続されている場合、「通信状態」にある。
【0191】
本明細書の目的のために、「基いて」という用語は、「少なくとも部分的に基いて」と読むことができる。
【0192】
本明細書の目的のために、追加の文脈がない、「第1の」物体、「第2の」物体、及び「第3の」物体などの数値的な用語の使用は、物体の順序を示唆するものではなく、代わりに、異なる物体を識別するための識別目的で使用されることがある。
【0193】
本明細書の目的のために、物体の「組」という用語は、複数の物体のうちの1つ又は複数の物体の「組」を指すことがある。
【0194】
前述の詳細な説明は、例示及び説明の目的のために提示されている。前述の詳細な説明は、網羅的であること、又は開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。上記の教示に鑑みて多くの修正及び変形が可能である。説明した実施形態は、提案した技術の原理及びその実際の用途を最もよく説明するために選択されたものであり、それによって、当業者が様々な実施形態で、企図される特定の使用法に適するように様々な修正を伴って、この技術を最も良いように利用することを可能にする。本範囲は、本明細書に添付の請求項によって定義されることが意図されている。