(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-27
(45)【発行日】2022-05-11
(54)【発明の名称】連鎖状ソーセージ切断装置
(51)【国際特許分類】
A22C 13/02 20060101AFI20220428BHJP
A22C 15/00 20060101ALI20220428BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
A22C13/02
A22C15/00
B26D3/00 603A
(21)【出願番号】P 2019227058
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】今浦 博志
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-152745(JP,A)
【文献】特開2005-34081(JP,A)
【文献】特開2011-182695(JP,A)
【文献】特開2002-86386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 13/02
A22C 15/00
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに一定間隔で設けられた結束部を介して複数のソーセージが鎖状につながった連鎖状ソーセージを、前記結束部で切断して個別のソーセージに分離する連鎖状ソーセージ切断装置であって、
下端部に取り付けられた切断刃を、竿に接した状態で移動させることにより、当該竿にループ状に掛けられた前記連鎖状ソーセージの結束部を切断して、連鎖状ソーセージ片に分割するカッターユニットと、
内部に投入された前記連鎖状ソーセージ片の結束部を切断して個別のソーセージに分離する回転ドラム、および前記竿から落下した連鎖状ソーセージ片を、前記回転ドラムに投入するシューターを備えたドラムカッターと、
前記結束部が切断されて竿から落下した連鎖状ソーセージ片を受け止め、一時的に保管する可動シュートと、で構成され、
前記可動シュートは、前記竿から落下した連鎖状ソーセージ片を受け止めた後、所定の時間が経過したときに、前記連鎖状ソーセージ片を前記シューター上に落下させることを特徴とする連鎖状ソーセージ切断装置。
【請求項2】
前記可動シュートは、前記連鎖状ソーセージ片を一時的に保管する籠体を有し、当該籠体は、垂直面内で回転することにより、籠体内の連鎖状ソーセージ片を前記シューター上に落下させる、請求項1に記載の連鎖状ソーセージ切断装置。
【請求項3】
前記籠体は、当該籠体が回転したときに、籠体に保管された連鎖状ソーセージ片が落下できるように側壁の一部が取り除かれている、請求項2に記載の連鎖状ソーセージ切断装置。
【請求項4】
前記カッターユニットは、前記シューターの上方に2台並列に設置され、かつ一方のカッターユニットの下方に前記可動シュートが設置され、
前記2台のカッターユニットを用いて、2本の竿に掛けられた連鎖状ソーセージの結束部を同時に切断する、請求項2または3に記載の連鎖状ソーセージ切断装置。
【請求項5】
前記可動シュートの籠体は、前記竿に掛けられた連鎖状ソーセージの長さの略半分の長さを有し、
1本の竿に掛けられ、前記カッターユニットを用いて結束部が切断された連鎖状ソーセージ片のうち略半分は前記シューター上に落下し、残りの略半分は前記駆動シュートの籠体上に落下するように構成された、請求項2または3に記載の連鎖状ソーセージ切断装置。
【請求項6】
前記カッターユニットは、
水平方向に移動する移送手段に取り付けられたユニット本体と、
前記切断刃を支持し、かつ上下方向に移動可能なリンク機構を介して前記ユニット本体に取り付けられた支持具と、で構成され、
前記ユニット本体が前記移送手段によって移送されたとき、前記支持具は、直進板カムにより、前記切断刃が前記竿に接触する位置まで前記リンク機構を介して降下する、請求項1乃至5のいずれかに記載の連鎖状ソーセージ切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のソーセージが結束部を介して連結された連鎖状ソーセージを、当該結束部で切断して個別のソーセージに分離する連鎖状ソーセージ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連鎖状ソーセージは、例えばウインナソーセージのように、ケーシング(腸等の表皮)に一定間隔で設けられた結束部を介して複数のソーセージが鎖状につながったものである。
【0003】
連鎖状ソーセージを製造する際、食肉充填機により、ケーシングに原料(ミンチ肉等)を詰め、所定間隔毎にねじることにより、結束部とソーセージを形成した後、スモーク用の竿にループ状に掛けた状態で、スモーク室内でスモーク(加熱燻煙)を行う。
【0004】
本出願人は、先に、スモークが終了した連鎖状ソーセージを、結束部で切断して個別のソーセージに分離する装置を開発した(特許文献1、2参照)。
【0005】
具体的には、前処理として、スモーク後、竿にループ状に掛けられた連鎖状ソーセージの結束部を切断してループ毎の連鎖状ソーセージ片に分割する(特許文献1参照)。
【0006】
次に、分割された連鎖状ソーセージ片をドラムカッターの回転ドラムに投入し、連鎖状ソーセージの結束部を切断して個別のソーセージに分離する(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-34081号公報
【文献】特開2004-236555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した連鎖状ソーセージ切断装置において、回転ドラムに投入する連鎖状ソーセージの量を増加して、個別ソーセージの生産性を高めることが要望されている。
【0009】
しかし、回転ドラムに一度に投入する連鎖状ソーセージの投入量が許容量を超えると、ドラム内の連鎖状ソーセージが団子状に絡み合って自由度が奪われ、連鎖状ソーセージが回転ドラムの内周面に突出している刃受け治具にぶつかり、ソーセージに折れや破れが生じる。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ソーセージに折れや破れが生じることなく、個別ソーセージの生産性を高めることができる連鎖状ソーセージ切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明に係る連鎖状ソーセージ切断装置は、ケーシングに一定間隔で設けられた結束部を介して複数のソーセージが鎖状につながった連鎖状ソーセージを、前記結束部で切断して個別のソーセージに分離する連鎖状ソーセージ切断装置であって、
下端部に取り付けられた切断刃を、竿に接した状態で移動させることにより、当該竿にループ状に掛けられた前記連鎖状ソーセージの結束部を切断して、連鎖状ソーセージ片に分割するカッターユニットと、
内部に投入された前記連鎖状ソーセージ片の結束部を切断して個別のソーセージに分離する回転ドラム、および前記竿から落下した連鎖状ソーセージ片を、前記回転ドラムに投入するシューターを備えたドラムカッターと、
前記結束部が切断されて竿から落下した連鎖状ソーセージ片を受け止め、一時的に保管する可動シュートと、で構成され、
前記可動シュートは、前記竿から落下した連鎖状ソーセージ片を受け止めた後、所定の時間が経過したときに、前記連鎖状ソーセージ片を前記シューター上に落下させることを特徴とする。
【0012】
ここで、前記可動シュートは、前記連鎖状ソーセージ片を一時的に保管する籠体を有し、当該籠体は、垂直面内で回転することにより、籠体内の連鎖状ソーセージ片を前記シューター上に落下させることが好ましい。
【0013】
また前記籠体は、当該籠体が回転したときに、籠体に保管された連鎖状ソーセージ片が落下できるように側壁の一部が取り除かれていることが好ましい。
【0014】
前記カッターユニットは、前記シューターの上方に2台並列に設置され、かつ一方のカッターユニットの下方に前記可動シュートが設置され、前記2台のカッターユニットを用いて、2本の竿に掛けられた連鎖状ソーセージの結束部を同時に切断することが好ましい。
【0015】
もしくは、前記可動シュートの籠体は、前記竿に掛けられた連鎖状ソーセージの長さの略半分の長さを有し、1本の竿に掛けられ、前記カッターユニットを用いて結束部が切断された連鎖状ソーセージ片のうち略半分は前記シューター上に落下し、残りの略半分は前記駆動シュートの籠体上に落下するように構成されることが好ましい。
【0016】
また前記カッターユニットは、水平方向に移動する移送手段に取り付けられたユニット本体と、前記切断刃を支持し、かつ上下方向に移動可能なリンク機構を介して前記ユニット本体に取り付けられた支持具と、で構成され、
前記ユニット本体が前記移送手段によって移送されたとき、前記支持具は、直進板カムにより、前記切断刃が前記竿に接触する位置まで前記リンク機構を介して降下することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る連鎖状ソーセージ切断装置は、竿に掛けられた連鎖状ソーセージを連鎖状ソーセージ片に分割するカッターユニットとドラムカッターとの間に、連鎖状ソーセージ片を一時的に保管する可動シュートを設置し、ドラムカッターに一度に投入する連鎖状ソーセージ片の量を減らし、代わりに投入回数を増やしている。
【0018】
本発明では上述の処理を加え、ドラムカッターへの投入量を時間的に分散させることにより、ソーセージに折れや破れが生じることなく、単位時間当たりのソーセージの生産性を高めている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る連鎖状ソーセージ切断装置の側面図である。
【
図2】
図1の2本の竿に掛けられた連鎖状ソーセージのうち左側の竿に掛けられたソーセージを右側から見た正面図である。
【
図3】切断刃によって連鎖状ソーセージの結束部を切断する際の動作を説明する図である。
【
図4】実施の形態1における連鎖状ソーセージの処理工程を説明する図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る連鎖状ソーセージ切断装置の側面図である。
【
図6】
図5の竿に掛けられた連鎖状ソーセージを右側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る連鎖状ソーセージ切断装置(以降、「切断装置」と略す)について、図面を参照して説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る切断装置の側面図、
図2は
図1の2本の竿に掛けられた連鎖状ソーセージのうち紙面に向かって左側の竿に掛けられたソーセージを右側から見た正面図である。
【0022】
<切断装置の構成と動作>
切断装置1は、連鎖状ソーセージS1が掛けられた2本の竿5の上方に配置された2台のカッターユニット2、カッターユニット2によって結束部Cが切断され、自重により落下した連鎖状ソーセージ片S2を受け取り、個別のソーセージに切り離すドラムカッター3、および一方(左側)のカッターユニット2で切断された連鎖状ソーセージ片S2を受け止め、一時的に保管する可動シュート4で構成されている。
【0023】
前述したように、連鎖状ソーセージS1は、ケーシング(腸等の表皮)に一定間隔で設けられた結束部Cを介して複数のソーセージが鎖状に繋がったものである。連鎖状ソーセージS1は、
図1および
図2に示すように竿5にループ状に巻かれた状態で掛けられ、スモーク室内において、その状態でスモーク(加熱燻煙)が行われる。竿5は、直径14mm~15mm程度の断面が円形のステンレス製ロッドで作製されている。
【0024】
図1に示すように、ドラムカッター3のシューター32の上方には、2台のカッターユニット2が所定の間隔を隔てて設置されており、それぞれの下方には、連鎖状ソーセージS1が掛けられた竿5が、図示しない移送手段によって矢印で示す方向に移送され、後述する切断刃23の下で停止する。
【0025】
図示しないが、竿5の移送手段は、一対の無端ベルト、それぞれの無端ベルトの両端部に配置されたガイドローラ、および移送中の無端ベルトを支持するガイドレールで構成されている。一対の無端ベルトは、竿5に対して直交する方向に配置され、無端ベルトには、一定の間隔で竿5の両端部を載せる載置部が取り付けられている。
【0026】
竿5はガイドローラが回転することにより、ガイドレールに支持された状態で移送される。
図1に示すように、スモーク済の連鎖状ソーセージS1が掛けられた2本の竿5が、紙面に向かって右から左に移送され、カッターユニット2の下で停止する。
【0027】
カッターユニット2は、ユニット本体21、リンク機構を構成する3つのリンク22a~22c、切断刃23、切断刃23を支持する支持具24、およびユニット本体21を図示しない移送手段に取り付けるブラケット25で構成されている。切断装置1には、構成部材として、上述したカッターユニット2の移送手段および後述する直進板カムが含まれる。
【0028】
平板状の金属で作製されたユニット本体21の一方の側面には、3つのリンク22a、22bおよび22cで構成されたリンク機構が取り付けられ、リンク22aおよび22bの一方の端はユニット本体21に取り付けられている。リンク22aおよび22bの他方の端にはリンク22cが取り付けられ、その下端には切断刃23を支持する支持具24が取り付けられている。支持具24は、リンク22aおよび22bが旋回することにより、上下方向に移動する。
【0029】
図示しないが、ユニット本体21の他方の側面には、リンク22cと連動して上下動するカムフォロアーと、当該カムフォロアーを上方に付勢するスプリングが取り付けられている。
【0030】
一方、カッターユニット2の上部には、移送手段として、カッターユニット2を竿5に沿って左右に移送する無端ベルト、当該無端ベルトが巻回された一対のガイドローラおよび、移送の際に無端ベルトを支持するガイドレールが設置されている。移送手段の構成と機能は広く知られているため、図示を省略する。
【0031】
カッターユニット2の上部に取り付けられたブラケット25は、図示しない無端ベルトに接続されており、カッターユニット2は図示しないモータでガイドローラを回転させることにより、竿5に沿って左右に移動する。
【0032】
更に、図示しないが、上述のガイドレールと平行に直進板カムが設置されており、カッターユニット2の移動に伴って前述のカムフォロアーを上下動させ、それによって切断刃23を上下方向に移動させる。
【0033】
連鎖状ソーセージS1が掛けられた竿5を移送する際、カッターユニット2は竿5の一方の端の上方に位置し、竿5の移送の邪魔にならないように竿との間に隙間が空いた状態に保持される。その状態を
図1に示す。
【0034】
一方、竿5に掛けられた連鎖状ソーセージS1の結束部Cを切断する際には、
図2に示すように、カッターユニット2の先端に取り付けられた切断刃23が竿5に接触する。この動作を実現するため、前述の直進板カムは、竿5の端部では高さが高く、連鎖状ソーセージS1が掛けられた位置では高さが低くなっている。
【0035】
図3を参照して、切断刃23によって連鎖状ソーセージS1の結束部Cを切断する際の動作を説明する。支持具24の下面側には、一対の切断刃23a、23b(以降、総称して「切断刃23」とも云う)が、カッターユニット2の移動方向の前後に所定の間隔を隔てて取り付けられている。
【0036】
図3では、切断刃23a、23bと竿5との位置関係を分かりやすく示すため、支持具24を省略している。切断刃23a、23bとしては、既存のカッターナイフに使用される帯状の両刃タイプのものを用いている。
【0037】
切断刃23a、23bは、
図3に示すように、竿5の断面の中心を通る垂線Lを挟んで対象位置に配置されると共に、刃先が垂線Lに対して傾斜して配置され、更に、竿5の軸方向に対して所定角度傾斜した状態で設置されている。
【0038】
連鎖状ソーセージS1の結束部Cを切断する際、切断刃23a、23bは、
図3に示すように、一方の刃面が竿5の表面に接触するように支持具24にセットされる。その際、切断刃23a、23bの刃先が竿5の表面からわずかに浮くようにセットすることが好ましい。このようにすることで、刃先の刃こぼれを抑制することができる。
【0039】
前述したように、切断刃23はリンク機構を介してユニット本体21に取り付けられており、カッターユニット2の移動に伴い、直進板カムにより支持具24が下降して切断刃23a、23bが竿5に接触した際、リンク機構によって微小な上下動を吸収できる。そのため、切断刃23a、23bは、竿5との安定した接触状態を維持でき、結束部Cを確実に切断できる。
【0040】
図1の説明に戻って、本実施の形態では、2台のカッターユニット2を用いて2本の竿5に掛けられた連鎖状ソーセージS1の結束部Cが同時に切断される。切断され、ループ毎に分割された連鎖状ソーセージ片S2のうち右側の竿5から落下したソーセージ片Sはドラムカッター3のシューター32上に落下し、カッター本体31内の回転ドラム33に投入される。
【0041】
ここで、ドラムカッター3における連鎖状ソーセージ片S2の処理について説明する。ただし、ドラムカッターの構成と機能については広く知られており、かつ本発明はドラムカッターでの処理の前処理に特徴があるため、簡単に説明する。
【0042】
カッター本体31内に設置された円筒状の回転ドラム33の内周面には多数のフック状の刃物ホルダー(図示せず)が分散して取り付けられている。シューター32から回転ドラム33内に投入された連鎖状ソーセージ片S2は、刃物ホルダーにひっかけられて回転ドラム31と共に回転する。この回転状態のときに連鎖状ソーセージ片S2の結束部Cが刃物ホルダーのフック部に引っかかった状態で回転し、フック部の内側に配置された切断刃で切断される。
【0043】
この動作が、回転ドラム33の回転に伴って繰り返され、連鎖状ソーセージ片S2は、各結束部Cが切断されて個別のソーセージに分離されていく。分離された個別のソーセージは、回転ドラム33の出口シュート(図示せず)から排出され、その後、計量されて所定量毎に袋詰めされる。
【0044】
図1の説明に戻って、カッターユニット2で結束部Cが切断された連鎖状ソーセージ片S2のうち、左側の竿5から落下した連鎖状ソーセージ片S2は、カッターユニット2の下方に設置された可動シュート4内に落下し、一時保管される。
【0045】
図2に示すように、可動シュート4は、メッシュ状の金属を用いて籠状に形成された籠体41の底面に、一対の金属棒42が平行に取り付けられている。そして金属棒42の両端はプレート43を介して回転軸44に接続されている。可動シュート4は、図示しないエアーシリンダを用いて回転軸44を回転させることにより、軸を中心にして回転する。
【0046】
図2に示すように、籠体41の横幅は竿5に掛けられた連鎖状ソーセージS1の幅よりも長いため、カッターユニット2によって連鎖状ソーセージS1の結束部Cが切断された際、落下した連鎖状ソーセージ片S2は全て籠体41に収容される。その際、籠体41は水平状態に保持されている。
【0047】
籠体41の籠を形成する4つの側壁のうち、連鎖状ソーセージS1が移送される側の側壁は、連鎖状ソーセージS1が移送される際の妨げとならないように取り除かれている。
【0048】
竿5から落下した連鎖状ソーセージ片S2が一時保管された籠体41は、その後、回転軸44を回転させることにより、
図1に矢印で示すように時計回りに回転する。上述したように、籠体41の右側の側壁は欠落しているため、連鎖状ソーセージ片S2は自重によって籠体41からシューター32上に落下し、回転ドラム33に投入される。
【0049】
<連鎖状ソーセージの処理工程>
次に、
図4を参照して、本実施の形態における連鎖状ソーセージの処理工程について説明する。
図4では、工程の説明に不要な部材を省略し、各処理工程を簡略化して表示している。これに合わせて連鎖状ソーセージ片S2も模式化して表示している。
【0050】
本実施の形態では、切断装置の処理能力を高めるため、2台のカッターユニット2を用いて2本の竿5に掛けられた連鎖状ソーセージS1の結束部Cを同時に切断している。
【0051】
しかし、その反面、ドラムカッター3への連鎖状ソーセージ片S2の投入量が許容量を超えると、回転ドラム31内の連鎖状ソーセージが団子状に絡み合って自由度が奪われ、その結果、連鎖状ソーセージがドラムカッター31内に突出している刃受け治具にぶつかり、ソーセージに折れや破れが生じる。それを防止するためには、時間当たりの投入量を平準化する、すなわち一度に投入する連鎖状ソーセージ片の量を減らし、代わりに投入回数を増やす必要がある。
【0052】
このため本実施の形態では、同時に切断された2本の竿5に掛かった連鎖状ソーセージ片S2のうち1本分の連鎖状ソーセージ片をドラムカッター3に投入し、他の1本分の連鎖状ソーセージ片を可動シュート4に一時保管している。そしてドラムカッター3での連鎖状ソーセージ片S2の分離処理が進んだ段階で、可動シュート4内の連鎖状ソーセージ片S2をドラムカッター3に投入している。
【0053】
図4(a)に示すように、図示しない移送手段を用いて移送された2本の竿5のうち1本は可動シュート4の上で停止し、他の1本はシューター32の上で停止する。この状態において、
図2に示すカッターユニット2が竿5に沿って移動して、連鎖状ソーセージS1の結束部Cを切断する。
【0054】
図4(b)に示すように、結束部Sが切断され竿5から落下した連鎖状ソーセージ片のうち右側のソーセージ片S2はシューター32上に落下した後、回転ドラム33に投入される。一方、左側の竿5に掛けられた連鎖状ソーセージ片S2は可動シュート4の籠体41に一時保管される。
【0055】
図4(c)に示すように、右側の竿5から落下した連鎖状ソーセージ片S2がドラムカッター3に投入されてから所定の時間が経過するまで、左側の竿5から落下した連鎖状ソーセージ片S2は籠体41内に留まり、回転ドラム33での処理が進行するのを待つ。籠体41での待機時間については、実験を通して、連鎖状ソーセージ片S2が回転ドラム33内で個別のソーセージに分離される速度を計測し、その結果に基づいて決定する。
【0056】
次に、
図4(d)に示すように、所定の待機時間が経過した後、可動シュート4を時計回りに回転させる。上述したように、籠体41の右側の側壁は下部を除いて取り除かれているため、籠体41内の連鎖状ソーセージ片S2は、
図4(e)に示すように、自重によりシューター32上に落下し、回転ドラム33に投入される。
【0057】
上述したように、本実施の形態に係る切断装置を用いれば、2本の竿5に掛けられた連鎖状ソーセージS1の結束部Cを切断して連鎖状ソーセージ片S2に分割して処理能力を高めることと、ドラムカッター3により連鎖状ソーセージ片S2を個別のソーセージに分離する作業とを両立させて、個別ソーセージの生産性を高めることができる。
【0058】
1竿分の連鎖状ソーセージを単独で処理する場合と、2竿分の連鎖状ソーセージを同時に処理する場合について処理時間を比較してみた。その結果、1竿分の処理では5秒間隔で連鎖状ソーセージを供給したのに対し、2竿分の同時処理では7.5秒間隔で連鎖状ソーセージを供給でき、1竿分の処理時間を比較した場合、約25%短縮できることが分かった。
【0059】
なお、本実施の形態では、可動シュート4として垂直面内で回転する籠体41を用いたが、可動シュートとしてベルトコンベアを用いてもよい。その場合、移送手段によって移送される2本の竿5のうち右側の竿の下方に、竿5に掛けられた連鎖状ソーセージの幅よりも長い横幅のベルトコンベアを設置する。
【0060】
カッターユニット2で結束部Cが切断された連鎖状ソーセージ片S2のうち、左側の竿5から落下したソーセージ片はドラムカッター3のシューター32上に落下し、回転ドラム33に投入される。
【0061】
一方、右側の竿5から落下した連鎖状ソーセージ片S2は、カッターユニット2の下に設置されたベルトコンベア(図示せず)上に落下し、一時保管される。ベルトコンベアは、竿の移送方向と同じ方向に移動するように設置されており、左側の竿5から落下した連鎖状ソーセージ片S2がドラムカッター3に投入されてから所定の時間が経過した後、ベルトコンベアが駆動され、その上に載っていた連鎖状ソーセージ片S2がシューター32上に落下し、回転ドラム33に投入される。
【0062】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係る切断装置1aの側面図、
図6は竿5に掛けられた連鎖状ソーセージS1を、紙面に向かって右側から見た正面図である。図中、
図1および
図2に記載した構成部材と同一部材には、同一の符号を付して説明を省略する。一方、同一機能を有する関連部材には、同一符号を付すと共に、符号
「A」を付加している。
【0063】
本実施の形態に係る切断装置1Aと実施の形態1に係る切断装置1は、結束部Cが切断された連鎖状ソーセージ片S2を、時間差を設けてドラムカッター3に投入する点では共通しているが、1本の竿に掛けられた連鎖状ソーセージS1を処理対象としている点で異なっている。
【0064】
図5に示すように、ドラムカッター3のシューター32の上方には1台のカッターユニット2と1台の可動シュート4Aが設置され、図示しない移送装置により、連鎖状ソーセージS1が掛けられた竿5が移送され、カッターユニット2の下で停止する。
【0065】
図6に示すように、可動シュート4Aは、実施の形態1の可動シュート4と異なり、籠体41Aの横方向の長さが半分程度しかない。これに合わせて金属棒42Aも金属棒42の半分程度の長さであり、逆に回転軸44Aのうち紙面に向かって左側部分が、回転軸44に比べて長くなっている。
【0066】
上述の構成の切断装置1Aを用いた場合、カッターユニット2によって結束部Cが切断された連鎖状ソーセージ片S2のうち半分はドラムカッター3のシューター32の上に落下し、残りの半分は可動シュート4Aの籠体41A上に落下して一時保管される。
【0067】
そして回転ドラム33内に投入された連鎖状ソーセージ片S2の処理が終了する頃を見計らって可動シュート4Aの回転軸44Aを回転させ、籠体41A内に収容された連鎖状ソーセージ片S2をドラムカッター3のシューター32上に落下させ、回転ドラム33に投入する。
【0068】
上述したように、実施の形態1と2では、一度に処理する連鎖状ソーセージが掛かった竿の数が異なっているが、竿から落下した連鎖状ソーセージ片の一部を駆動シュートで一時保管し、回転ドラムでの分離処理が進んだ段階で、残りの連鎖状ソーセージ片を回転ドラムに投入する点で共通している。
【0069】
そしてこのような処理により、カッターユニットを用いて連鎖状ソーセージを連鎖状ソーセージ片に分割する作業と、ドラムカッターにより連鎖状ソーセージ片を個別のソーセージに分離する作業とを両立させて、ソーセージの生産性を高めている。
【0070】
なお、上述した各実施の形態では、連鎖状ソーセージを一時保管する可動シュートとして、軸を中心に回転させる籠体を採用したが、これに限定されない。例えば、籠体の底面にシャッターを設置し、当該シャッターを開くことにより連鎖状ソーセージ片を落下させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
S1 連鎖状ソーセージ
S2 連鎖状ソーセージ片
C 結束部
1 切断装置
2 カッターユニット
3 ドラムカッター
4 可動シュート
5 竿
21 ユニット本体
22a、22b、22c リンク
23 切断刃
24 支持具
25 ブラケット
26a、26b ジョイント
31 カッター本体
32 シューター
33 回転ドラム
41 籠体
42 金属棒
43 プレート
44 回転軸